説明

シーズヒータの発熱線のリード線の固定方法

【課題】シーズヒータの組み立て作業を容易にし、かつリードピンの断線事故の発生を少なくする。
【解決手段】シーズヒータ10内部に入れた発熱線21のリード線23、26(発熱線21に接続されているリードピン24、27と、撚り線25、28とを有している。)の固定方法であって、撚り線25、28をリードピン24、27の先端部24a、27aに接続した箇所を柱状の保護部材30の軸方向の貫通孔31、32内に配置する。保護部材30の軸方向の一端33をシーズヒータ10の端部に当接させ、保護部材30およびシーズヒータ10のシースパイプ11の端部を被う金属スリーブ36を配置し、金属スリーブ36を減径して保護部材30およびシースパイプ11の端部を金属スリーブ36で固定するとともに、金属スリーブ36の減径により保護部材30を圧縮してリード線23、26を保護部材30に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーズヒータ(カートリッジタイプを含む。)のリード線の固定方法に関するものであり、特に、リード線の断線事故を防ぐ技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からシーズヒータが使用されている。シーズヒータのリード線は例えばリードピンで形成されている(例えば特許文献1参照)。さらに、リードピンの先端に被覆撚り線を接続する場合がある。
図7〜図9はこの場合の第1の従来例であり、シーズヒータ50のリード線56の固定方法を示す。なお、リード線56はリードピン57および被覆撚り線58を有している。
まず、図7に示すように、セラミックコア53に巻かれた発熱線52にリードピン57が接続される。つぎに、図8に示すように、リードピン57の先端部に被覆撚り線58が溶接、カシメ等により接続され、発熱線アセンブリ59を構成する。つぎに、図9に示すように、発熱線アセンブリ59をシースパイプ51の開口部からシープパイプ51内に入れて、シースパイプ51と発熱線アセンブリ59との間にマグネシア等の粉状の電気絶縁物54を充填してスエージング等でシースパイプ51を減径して電気絶縁物54の充填密度を上げ、シースパイプ51の外面を研磨してシースパイプ51の寸法を整えた後に、口元ガイシ55でシースパイプ51の開口部を封止する。被覆撚り線58は口元ガイシ55の貫通孔を通して口元ガイシ55の外側に引き出されている。図10は、図9のリード線56の固定部分を拡大して示す。
【0003】
さらに、図11は第2の従来例を示す。図11において、シーズヒータ60ではシースパイプ61の内部に発熱線アセンブリ69を入れてシースパイプ61と発熱線アセンブリ69との間に粉状の電気絶縁物64を充填している。発熱線アセンブリ69は発熱線62をセラミックコア63に巻いて、発熱線62にリード線66を接続したものである。なお、リード線66はリードピン67および被覆撚り線68を有している。発熱線62に接続されたリードピン67が口元ガイシ65の貫通孔を通って口元ガイシ65の外部に引き出されている。そして、リードピン67の先端部に被覆撚り線68が接続され、この接続箇所を接続スリーブ70が被っている。さらに、リードピン67のうち口元ガイシ65の外側にある部分、接続スリーブ70および被覆撚り線68の前記接続箇所近傍を絶縁チューブ71が被っている。
【特許文献1】特開平9−82461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の第1の従来例では、全ての作業工程においてリードピン57および長い被覆撚り線58が発熱線アセンブリ59に含まれているので、作業がやりにくいとともに、危険を伴うという問題があった。
また、第2の従来例では、硬いリードピン67が口元ガイシ65の外側に突き出ているので、シーズヒータ60が左右、上下に動くワークに取り付けられている場合には、しばしばリードピン67および被覆撚り線68が接続スリーブ70付近で断線する事故が発生するという問題があった。
そこで、本願発明の課題は、上述の問題を解決し、シーズヒータの組み立て作業が容易でかつリード線のリードピンおよび被覆撚り線の断線事故の発生が少なくなるシーズヒータの発熱線のリード線の固定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、シーズヒータの内部に発熱線を入れたシーズヒータの前記発熱線のリード線の固定方法であって、前記リード線はリードピンと被覆撚り線とを有し、前記リードピンは前記発熱線に接続され、前記被覆撚り線は前記リードピンの先端部に接続され、前記被覆撚り線を前記リードピンの先端部に接続した箇所を柱状でかつ柱の軸方向に貫通孔が形成された保護部材の前記貫通孔内に配置し、前記保護部材の軸方向の端部を前記シーズヒータの端部に当接させ、前記保護部材および前記シーズヒータの金属シースパイプの端部を被う金属スリーブを配置し、前記金属スリーブを減径して前記保護部材および前記金属シースパイプの端部を前記金属スリーブで固定するとともに、前記金属スリーブの減径により前記保護部材の貫通孔を圧縮して前記リード線を前記保護部材の貫通孔に固定することを特徴とするシーズヒータの発熱線のリード線の固定方法である。
【0006】
請求項1記載の発明により、リード線をリードピンと被覆撚り線で構成し、発熱線に接続されたリードピンの先端部と被覆撚り線とを接続した箇所を柱状でかつ柱の軸方向に貫通孔が形成された保護部材の前記貫通孔内に配置し、前記保護部材の軸方向の端部を前記シーズヒータの端部に当接させ、前記保護部材および前記シーズヒータの金属シースパイプの端部を被う金属スリーブを配置し、前記金属スリーブを減径して前記保護部材および前記金属シースパイプの端部を前記金属スリーブで固定するとともに、前記金属スリーブの減径により前記保護部材を圧縮することにより前記保護部材の貫通孔を圧縮して前記リード線を前記保護部材の貫通孔に固定するので、リード線のリードピンと被覆撚り線の接続箇所を保護部材および金属スリーブを介して前記金属シースパイプに確実に固定することができる。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のシーズヒータの発熱線のリード線の固定方法であって、前記金属スリーブの先端部分が折れ曲って形成され、前記金属スリーブの折れ曲った先端部分に他の保護部材が挿入され、前記他の保護部材は柱状でかつ柱の軸方向に貫通孔が形成され、前記他の保護部材の貫通孔に前記リード線の被覆撚り線を挿入し、前記金属スリーブの先端部分を減径して前記他の保護部材を前記金属スリーブの先端部分で固定するとともに、前記金属スリーブの先端部分の減径により前記他の保護部材の貫通孔を圧縮して前記リード線の被覆撚り線を前記保護部材の貫通孔に固定することを特徴とするシーズヒータの発熱線のリード線の固定方法である。
【0008】
請求項2記載の発明により、前記金属スリーブの折れ曲った先端部分に他の保護部材が挿入され、前記他の保護部材は柱状でかつ柱の軸方向に貫通孔が形成され、前記他の保護部材の貫通孔に前記リード線の被覆撚り線を挿入し、前記金属スリーブの先端部分を減径して前記他の保護部材を前記金属スリーブの先端部分で固定するとともに、前記金属スリーブの先端部分の減径により前記他の保護部材の貫通孔を圧縮して前記リード線の被覆撚り線を前記保護部材の貫通孔に固定するので、前記金属スリーブの折れ曲った先端部分内に固定された他の保護部材の貫通孔によりリード線の被覆撚り線が固定される。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のシーズヒータの発熱線のリード線の固定方法であって、前記リード線の被覆撚り線がコイルスプリング内を挿通し、前記コイルスプリングが前記他の保護部材の貫通孔を挿通し、前記金属スリーブの先端部分を減径して前記他の保護部材を前記金属スリーブの先端部分で固定するとともに、前記金属スリーブの先端部分の減径により前記他の保護部材の貫通孔を圧縮して前記リード線の被覆撚り線を前記コイルスプリングを介して前記保護部材の貫通孔に固定することを特徴とするシーズヒータの発熱線のリード線の固定方法である。
【0010】
請求項3記載の発明により、前記リード線の被覆撚り線がコイルスプリング内を挿通し、前記コイルスプリングが前記他の保護部材の貫通孔を挿通し、前記金属スリーブの先端部分を減径して前記他の保護部材を前記金属スリーブの先端部分で固定するとともに、前記金属スリーブの先端部分の減径により前記他の保護部材の貫通孔を圧縮して前記リード線の被覆撚り線を前記コイルスプリングを介して前記保護部材の貫通孔に固定するので、被覆撚り線が可撓性あるコイルスプリングにより保護される。
【0011】
請求項4記載の発明は、シーズヒータの内部に発熱線を入れたシーズヒータの前記発熱線のリード線の固定方法であって、前記リード線はリードピンと被覆撚り線とを有し、前記リードピンは前記発熱線に接続され、前記被覆撚り線は前記リードピンの先端部に接続され、前記シーズヒータの金属シースパイプの端部に金属パイプの端を溶接し、前記金属パイプ内に柱状でかつ柱の軸方向に貫通孔が形成された保護部材を挿入して、前記被覆撚り線を前記リードピンの先端部に接続した箇所を前記保護部材の前記貫通孔内に配置し、前記金属パイプを減径して前記保護部材を前記金属パイプにより固定するとともに、前記金属パイプの減径により前記保護部材の貫通孔を圧縮して前記リード線を前記保護部材の貫通孔に固定することを特徴とするシーズヒータの発熱線のリード線の固定方法である。
【0012】
請求項4記載の発明により、前記リード線をリードピンと被覆撚り線とで構成し、発熱線に接続されたリードピンの先端部に被覆撚り線を接続し、前記シーズヒータの金属シースパイプの端部に端を溶接した金属パイプ内に柱状でかつ柱の軸方向に貫通孔が形成された保護部材を挿入して、前記被覆撚り線を前記リードピンの先端部に接続した箇所を前記保護部材の前記貫通孔内に配置する。
そして、前記金属パイプを減径して前記保護部材を前記金属パイプにより固定するとともに、前記金属パイプの減径により前記保護部材を圧縮することにより前記保護部材の貫通孔を圧縮して前記リード線を前記保護部材の貫通孔に固定するので、リード線のリードピンと被覆撚り線の接続箇所を保護部材および金属パイプを介して前記金属シースパイプに確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、組み立て作業が容易でかつリード線のリードピンおよび被覆撚り線の断線事故の発生が少なくなる。また、シーズヒータの外部に引き出されたリード線の引っ張り強度を高めることができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果とともに、シーズヒータのリード線をシーズヒータのシースパイプの軸方向と異なる方向に引き出す場合でも、金属スリーブの折れ曲った先端部分の折れ曲った方向にリード線の被覆撚り線を引き出すことができるため、前記リード線を湾曲させる必要がないので、前記リード線に必要なスペースを小さくすることができる。
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明の効果とともに、リード線がコイルスプリングにより保護される。
請求項4記載の発明によっても、組み立て作業が容易でかつリード線のリードピンおよび被覆撚り線の断線事故の発生が少なくなる。また、シーズヒータの外部に引き出されたリード線の引っ張り強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明における実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るリード線の固定方法により製造されたシーズヒータの断面を示し、図2は前記第1の実施の形態に係るリード線の固定方法に使用する保護部材を示す。さらに、図3は第2の実施の形態に係るリード線の固定方法により製造されたシーズヒータの側面を示し、図4は図3のA−A断面を示し、図5は図3のB−B断面を示す。さらに、図6は本発明の第3の実施の形態に係るリード線の固定方法により製造されたシーズヒータの断面を示す。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、シーズヒータ10の内部に発熱線21を入れたシーズヒータ10の発熱線21の第1リード線23および第2リード線26の固定方法は以下のようになる。
なお、発熱線21をセラミックコア22に巻いて第1リード線23および第2リード線26を発熱線21に接続して発熱線アセンブリ20を形成する。シーズヒータ10の金属製の円筒形のシースパイプ11内に入れた発熱線アセンブリ20とシースパイプ11との間にマグネシア等の電気絶縁物12が充填されている。
第1リード線23は発熱線21の一端に接続され、第2リード線26は発熱線21の他端に接続され、第1リード線23と第2リード線26との間に電圧を加えると、発熱線21に電流が流れて、発熱線21がジュール熱により発熱する。
【0016】
第1リード線23は第1リードピン24と第1被覆撚り線25とを有し、第1リードピン24の基部は発熱線21の一端に接続され、第1被覆撚り線25は第1リードピン24の先端部24aに接続されている。また、第2リード線26は第2リードピン27と第2被覆撚り線28とを有し、第2リードピン27の基部は発熱線21の他端に接続され、第2被覆撚り線28は第2リードピン27の先端部27aに接続されている。なお、第1リードピン24および第2リードピン27は単線の導線であり、例えばニッケル線、二クロム線である。また、第1被覆撚り線25および第2被覆撚り線28は導体としてニッケル線、銅線等の撚り線を使用し、撚り線を被う絶縁被覆(例えばガラス繊維の被覆)が形成されている。そして、第1被覆撚り線25を第1リードピン24の先端部24aに接続するときには、第1被覆撚り線25の撚り線を第1リードピン24の先端部24aに接続することになる。また、第2被覆撚り線28を第2リードピン27の先端部27aに接続するときには、第2被覆撚り線28の撚り線を第2リードピン27の先端部27aに接続することになる。
【0017】
図2に示すように、保護部材30は円柱状でかつ円柱の軸方向に第1貫通孔31および第2貫通孔32が形成されている。軸方向の一端33の面および他端34の面は円形である。また、D1は保護部材30の径である。保護部材30は熱に強く圧縮しても割れない材質のものであり、例えばテフロン(登録商標)等である。
図1に示すように、第1被覆撚り線25を第1リードピン24の先端部24aに接続した箇所を保護部材30の第1貫通孔31内に配置し、さらに、第2被覆撚り線28を第2リードピン27の先端部27aに接続した箇所を保護部材30の第2貫通孔32内に配置する。そして、保護部材30の軸方向の一端33をシーズヒータ10のシースパイプ11の端部に当接させ、保護部材30およびシースパイプ11の端部を被う円筒形の金属スリーブ35を配置し、金属スリーブ35を減径して保護部材30およびシースパイプ11の端部を金属スリーブ35で固定するとともに、金属スリーブ35の減径により保護部材30を圧縮することにより保護部材30の貫通孔31、32を圧縮して第1リード線23および第2リード線26を保護部材30の貫通孔31、32に固定する。
【0018】
(第1の実施の形態の作用効果)
各リードピン24、27の先端部24a、27aと各被覆撚り線25、28とを接続した箇所をそれぞれ保護部材30の各貫通孔31、32内に配置し、保護部材30の軸方向の一端33をシースパイプ11の端部に当接させ、保護部材30およびシースパイプ11の端部を被う金属スリーブ35を配置し、金属スリーブ35を減径して保護部材30およびシースパイプ11の端部を金属スリーブ35で固定するとともに、金属スリーブ35の減径により保護部材30を圧縮することにより貫通孔31、32を圧縮して各リードピン24、27の先端部24a、27aと各被覆撚り線25、28とを接続した箇所を保護部材30の貫通孔31、32に固定するので、各リードピン24、27と各被覆撚り線25、28の接続箇所を保護部材30および金属スリーブ35を介してシースパイプ11に確実に固定することができる。また、各被覆撚り線25、28は保護部材30から外部に引き出されている。
【0019】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は第1の実施の形態の変形例であり、図4に示すように、シーズヒータ10の発熱線21のリード線23a、26a(図1のリード線23、26に相当する。)の固定方法である。
図3に示すように、金属スリーブ35aの先端部分35yが金属スリーブ35aの基部分35xに対して直角に折れ曲って形成され、先端部分35yに他の保護部材36が挿入されている。図4に示すように、他の保護部材36は柱状でかつ柱の軸方向に第1貫通孔37aおよび第2貫通孔37bが形成されている。なお、他の保護部材36の材質は、熱に強く圧縮しても割れない材質のものであり、例えばポリペンコであるが、テフロン(登録商標)、シリコーン、ミオレックス等でもよい。
さらに、図4に示すように、第1リード線23aの第1被覆撚り線25aが第1コイルスプリング39a内を挿通し、第1コイルスプリング39aが他の保護部材36の第1貫通孔37aを挿通し、第2リード線26aの第2被覆撚り線28aが第2コイルスプリング39b内を挿通し、第2コイルスプリング39bが他の保護部材36の第2貫通孔37bを挿通している。
図5に示すように、先端部分35yを減径して他の保護部材36を先端部分35yで固定するとともに、先端部分35yの減径により他の保護部材36の貫通孔37a、37bを圧縮してコイルスプリング39a、39bおよび被覆撚り線25a、28aをコイルスプリング39a、39bを介して他の保護部材36の貫通孔37a、37bに固定する。
【0020】
なお、図5に示すように、他の保護部材36の一端38aは金属スリーブ35aの内部に配置され、他の保護部材36の他端38bは先端部分35yの先端に位置している。また、他の保護部材36の一端38aにおいて、第1コイルスプリング39aと第2コイルスプリング39bが連結部分39xにより連結されている。このため、第1コイルスプリング39aと第2コイルスプリング39bが他の保護部材36の貫通孔37a、37bから抜けて外れることを防いでいる。
また、金属スリーブ35aの基部分35x(図4参照)に保護部材30a(図1の保護部材30に相当する。)が配設されている。また、他の保護部材36の径D2は保護部材30aの径と同じでもよい。
【0021】
図4に示すように、保護部材30aは円柱状でかつ円柱の軸方向に第1貫通孔31aおよび第2貫通孔32aが形成されている。軸方向の一端33aの面および他端34aの面は円形である。また、保護部材30aの径は保護部材30の径D1(図2参照)と同じである。
第1被覆撚り線25aを第1リードピン24xの先端部24yに接続した箇所を保護部材30aの第1貫通孔31a内に配置し、さらに、第2被覆撚り線28aを第2リードピン27xの先端部27yに接続した箇所を保護部材30aの第2貫通孔32a内に配置する。そして、保護部材30aの軸方向の一端33aをシーズヒータ10のシースパイプ11の端部に当接させ、保護部材30aおよびシースパイプ11の端部を被うように金属スリーブ35aの基部分35xを配置し、基部分35xを減径して保護部材30aおよびシースパイプ11の端部を基部分35xで固定するとともに、基部分35xの減径により保護部材30aを圧縮することにより保護部材30aの貫通孔31a、32aを圧縮して第1リード線23aおよび第2リード線26aを保護部材30aの貫通孔31a、32aに固定する。なお、図5に示すように、第1被覆撚り線25aは外側被覆25xと内側被覆25yとの二重の被覆を有し、第2被覆撚り線28aは外側被覆28xと内側被覆28yとの二重の被覆を有している。
【0022】
(第2の実施の形態の作用効果)
リード線23a、26aの被覆撚り線25a、28aがそれぞれコイルスプリング39a、39b内を挿通し、コイルスプリング39a、39bが他の保護部材36の貫通孔37a、37bを挿通し、金属スリーブ35aの先端部分35yを減径して他の保護部材36を先端部分35yで固定するとともに、先端部分35yの減径により他の保護部材36の貫通孔37a、37bを圧縮してコイルスプリング39a、39bおよびリード線23a、26aの被覆撚り線25a、28aをコイルスプリング39a、39bを介して他の保護部材36の貫通孔37a、37bに固定するので、被覆撚り線25a、28aが可撓性あるコイルスプリング39a、39bにより保護される。
なお、第1の実施の形態と同様に、各リードピン24x、27xと各被覆撚り線25a、28aの接続箇所を保護部材30aおよび金属スリーブ35aを介してシースパイプ11に確実に固定することができる。また、保護部材30aの一端33aから他端34aまでの距離が長いほど金属スリーブ35aの基部分35xの減径によるカシメの安定性が向上する。
【0023】
(第3の実施の形態)
図6に示すように、シーズヒータ10の発熱線21の各リード線23b、26bの固定方法である。シーズヒータ10の金属製のシースパイプ11の端部に金属パイプ46の一端を溶接し、金属パイプ46内に円柱状でかつ円柱の軸方向に第1貫通孔41および第2貫通孔42が形成された保護部材40を挿入して、保護部材40の一端43をシースパイプ11内に充填されたマグネシア等の電気絶縁物12の端に当接させる。なお、保護部材40の径D3はシースパイプ11の内径に等しく、保護部材40の材質は保護部材30の材質と同じである。その際、被覆撚り線25、28をリードピン24、27の先端部24a、27aに接続した箇所をそれぞれ貫通孔41、42内に配置する。また、保護部材40の他端44から各被覆撚り線25、28が引き出される。
そして、金属パイプ46を減径して保護部材40を金属パイプ46により固定するとともに、金属パイプ46の減径により保護部材40の貫通孔41、42を圧縮してリード線23b、26bを保護部材40の貫通孔41、42に固定する。
【0024】
(第3の実施の形態の作用効果)
シーズヒータ10のシースパイプ11の端部に端を溶接した金属パイプ46内に円柱状でかつ円柱の軸方向に各貫通孔41、42が形成された保護部材40を挿入して、各被覆撚り線25、28を各リードピン24、27の先端部24a、27aに接続した箇所を保護部材40の各貫通孔41、42内に配置する。そして、金属パイプ46を減径して保護部材40を金属パイプ46により固定するとともに、金属パイプ46の減径により保護部材40を圧縮することにより保護部材40の貫通孔41、42を圧縮して各リード線23b、26bの各リードピン24、26と各被覆撚り線25、28の接続箇所を保護部材40の貫通孔41、42に固定するので、各リード線23b、26bの各リードピン24、26と各被覆撚り線25、28の接続箇所を保護部材40および金属パイプ46を介してシースパイプ11に確実に固定することができる。また、保護部材40の他端44から外部に各被覆撚り線25、28が引き出される。
【0025】
なお、第2の実施の形態において、コイルスプリング39a、39bはなくてもよい。このようにすると、金属スリーブ35aの折れ曲った先端部分35yに他の保護部材36が挿入され、他の保護部材36は柱状でかつ柱の軸方向に貫通孔37a、37bが形成され、他の保護部材36の貫通孔37a、37bにリード線23a、26aの被覆撚り線25a、28aを挿入し、先端部分35yを減径して他の保護部材36を先端部分35yで固定するとともに、先端部分35yの減径により他の保護部材36の貫通孔37a、37bを圧縮して被覆撚り線25a、28aを貫通孔37a、37bに固定するので、先端部分35y内に固定された他の保護部材36の貫通孔37a、37bにより被覆撚り線25a、28aが固定される。
【0026】
また、上記各実施の形態において、シーズヒータ10の一端に2本のリード線(23、26等)が形成されているが、これに限定されず、シーズヒータの一端に一方のリード線が形成され、シーズヒータの他端に他方のリード線が形成されるようにしてもよい。
また、第2の実施の形態において、金属スリーブ35aの先端部分35yが基部分35xに対して直角に折れ曲っているが、これに限定されず、シーズヒータ10のリード線を引き出す方向に応じて金属スリーブ35aの先端部分35yが基部分35xに対して折れ曲る角度を例えば45°、30°等任意の角度に選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るリード線の固定方法により製造されたシーズヒータの断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るリード線の固定方法に使用する保護部材を示す斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るリード線の固定方法により製造されたシーズヒータの側面図である。
【図4】図3のシーズヒータのA−A断面図である。
【図5】図3のシーズヒータのB−B断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るリード線の固定方法により製造されたシーズヒータの断面図である。
【図7】第1の従来例であり、セラミックコアに巻かれた発熱線にリードピンが接続された状態を示す部分図である。
【図8】図7のリードピンの先端部に被覆撚り線が接続された状態を示す部分図である。
【図9】第1の従来例のシーズヒータの断面図である。
【図10】図9のリード線の固定部分を拡大して示す断面図である。
【図11】第2の従来例の断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10 シーズヒータ
11 シースパイプ
21 発熱線
23 第1リード線
24 第1リードピン
24a 先端部
25 第1被覆撚り線
26 第2リード線
27 第2リードピン
27a 先端部
28 第2被覆撚り線
30 保護部材
31 第1貫通孔
32 第2貫通孔
33 一端
35 金属スリーブ
40 保護部材
41 第1貫通孔
42 第2貫通孔
43 一端
46 金属パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーズヒータの内部に発熱線を入れたシーズヒータの前記発熱線のリード線の固定方法であって、
前記リード線はリードピンと被覆撚り線とを有し、
前記リードピンは前記発熱線に接続され、前記被覆撚り線は前記リードピンの先端部に接続され、
前記被覆撚り線を前記リードピンの先端部に接続した箇所を柱状でかつ柱の軸方向に貫通孔が形成された保護部材の前記貫通孔内に配置し、
前記保護部材の軸方向の端部を前記シーズヒータの端部に当接させ、
前記保護部材および前記シーズヒータの金属シースパイプの端部を被う金属スリーブを配置し、
前記金属スリーブを減径して前記保護部材および前記金属シースパイプの端部を前記金属スリーブで固定するとともに、前記金属スリーブの減径により前記保護部材の貫通孔を圧縮して前記リード線を前記保護部材の貫通孔に固定することを特徴とするシーズヒータの発熱線のリード線の固定方法。
【請求項2】
請求項1記載のシーズヒータの発熱線のリード線の固定方法であって、
前記金属スリーブの先端部分が折れ曲って形成され、前記金属スリーブの折れ曲った先端部分に他の保護部材が挿入され、
前記他の保護部材は柱状でかつ柱の軸方向に貫通孔が形成され、
前記他の保護部材の貫通孔に前記リード線の被覆撚り線を挿入し、
前記金属スリーブの先端部分を減径して前記他の保護部材を前記金属スリーブの先端部分で固定するとともに、前記金属スリーブの先端部分の減径により前記他の保護部材の貫通孔を圧縮して前記リード線の被覆撚り線を前記保護部材の貫通孔に固定することを特徴とするシーズヒータの発熱線のリード線の固定方法。
【請求項3】
請求項2記載のシーズヒータの発熱線のリード線の固定方法であって、
前記リード線の被覆撚り線がコイルスプリング内を挿通し、前記コイルスピリングが前記他の保護部材の貫通孔を挿通し、
前記金属スリーブの先端部分を減径して前記他の保護部材を前記金属スリーブの先端部分で固定するとともに、前記金属スリーブの先端部分の減径により前記他の保護部材の貫通孔を圧縮して前記リード線の被覆撚り線を前記コイルスプリングを介して前記保護部材の貫通孔に固定することを特徴とするシーズヒータの発熱線のリード線の固定方法。
【請求項4】
シーズヒータの内部に発熱線を入れたシーズヒータの前記発熱線のリード線の固定方法であって、
前記リード線はリードピンと被覆撚り線とを有し、
前記リードピンは前記発熱線に接続され、前記被覆撚り線は前記リードピンの先端部に接続され、
前記シーズヒータの金属シースパイプの端部に金属パイプの端を溶接し、
前記金属パイプ内に柱状でかつ柱の軸方向に貫通孔が形成された保護部材を挿入して、前記被覆撚り線を前記リードピンの先端部に接続した箇所を前記保護部材の前記貫通孔内に配置し、
前記金属パイプを減径して前記保護部材を前記金属パイプにより固定するとともに、前記金属パイプの減径により前記保護部材の貫通孔を圧縮して前記リード線を前記保護部材の貫通孔に固定することを特徴とするシーズヒータの発熱線のリード線の固定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−44988(P2010−44988A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209618(P2008−209618)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(500077672)三洋熱工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】