説明

シートアレンジ構造

【課題】自動車等の車両の室内の荷物積載用スペースを確保するために車両用シートの配置を変更可能に構成されるシートアレンジ構造において、通常の荷物よりも長さが長くなる長尺の荷物を積み込むことをできるようにする。
【解決手段】助手席13Aおよび車両後席15Aは車両幅方向一側となる車両幅方向右側に寄せた配置位置となるスペースアップ位置(T2)に配置変更する。ここで、このスペースアップ位置(T2)にて寄せられるように配置変更する助手席13Aおよび車両後席15Aの車両幅方向右側は、自動車10Aの室内11Aの運転席12A設置側と同じ側に設定されている。もって、自動車10Aの室内11Aの車両後席15A側から車両前面席側までの自動車10Aの室内11Aの長さを有効的に活用できるように荷物を積み込むためのスペースを纏めて確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両の室内に設置される車両用シートの配置を変更可能に構成されるシートアレンジ構造に関し、詳しくは車両の室内の荷物積載用スペースを確保するために車両用シートの配置を変更可能に構成されるシートアレンジ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両の室内には、車両運転席の後側の車両後席として、車両用シートが設置されている。このような車両用シートには、座席として使用しない場合に車両の室内のスペースを拡げるようにシートの配置を変更可能に構成されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。開示される車両用シートは、乗員が着座する通常使用状態おいては、着座可能にシートクッションが配置され、さらに背凭れ可能にシートバックが配置される。このように着座可能となる車両用シートは、座席として使用しない場合には、シートクッションとシートバックとを重畳させるようになっており、車両の室内のスペースを拡げることができるようになっている。このように車両用シートの配置が変更できると、車両の室内における幅方向のスペースを確保することができるようになり、室内への荷物を積み込むのに有利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4434075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような車両の室内のスペースを単純に拡げるようにシートクッションとシートバックとを単純に重畳したのでは、荷物室の容量としては確保できるものの、通常の荷物よりも長さが長くなる長尺の荷物を積み込むことができないという問題が生ずる。なお、このような通常の荷物よりも長さが長くなる長尺の荷物としては、例えば、自転車、スキー板、サーフボード、スノーボード等がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、自動車等の車両の室内の荷物積載用スペースを確保するために車両用シートの配置を変更可能に構成されるシートアレンジ構造において、通常の荷物よりも長さが長くなる長尺の荷物を積み込むことをできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するにあたって、本発明に係るシートアレンジ構造は次の手段をとる。すなわち、本発明の第1の発明に係るシートアレンジ構造は、自動車等の車両の室内の荷物積載用スペースを確保するために車両用シートの配置を変更可能に構成されるシートアレンジ構造であって、前記車両用シートは、前記車両の前面に面して設置され且つ該車両を運転する乗員の座席となる運転席と、該車両の前面に面しつつ該運転席に隣接して設置されて乗員の座席となる助手席と、該運転席および該助手席の後ろ側に設置されて乗員の座席となる車両後席と、を含んでおり、少なくとも前記助手席および前記車両後席は、前倒しされることによりシートクッションと重ねて畳むことができるシートバックを具備し、該シートクッションに該シートバックを重ねた状態で該シートクッションの車両幅方向一端部分を回動の支点にして畳まれたシートを上げるように回動させて、シート通常位置から起立させ且つ車両幅方向一側に寄せるスペースアップ位置に配置変更可能に構成され、少なくとも前記スペースアップ位置にて寄せられる前記車両後席の前記車両幅方向一側は、前記運転席が設置される前記車両の室内の該運転席設置側と同じ側に設定されていることを特徴とする。
【0007】
この第1の発明に係るシートアレンジ構造によれば、助手席および車両後席は車両幅方向一側に寄せた配置位置となるスペースアップ位置に配置変更するが、このスペースアップ位置にて寄せられるように配置変更する車両後席の車両幅方向一側は、少なくとも車両後席に関して運転席が設置される車両の室内の運転席設置側と同じ側に設定されることとなる。これによって、運転席が設置されていない側に荷物を積み込むためのスペースを、車両の室内の車両後席側から車両前面席側まで纏めて確保することができる。したがって、車両の室内の車両後席側から車両前面席側までの車両の室内の長さを有効的に活用できるように荷物を積み込むためのスペースを纏めて確保することができ、もって通常の荷物よりも長さが長くなる長尺の荷物を積み込むことができるようになる。特に、このシートアレンジ構造によれば、車両床面から車両屋根位置までの高さ範囲が積み込み可能な空間として設定されることとなる。このため、自転車等の高さのある積み込み物を積み込みスペースに積み込む場合に有利となる。
【0008】
第2の発明に係るシートアレンジ構造は、前記第1の発明に係るシートアレンジ構造において、前記スペースアップ位置にて寄せられる前記助手席の前記車両幅方向一側は、前記運転席が設置される前記車両の室内の該運転席設置側と同じ側に設定されていることを特徴とする。
この第2の発明に係るシートアレンジ構造によれば、スペースアップ位置にて寄せられる助手席の車両幅方向一側は、運転席が設置される車両の室内の運転席設置側と同じ側に設定されているので、助手席に関しても運転席が設置される車両の室内の運転席設置側と同じ側に設定されることとなる。これによって、スペースアップ位置に配置される助手席は、荷物を積み込むためのスペースと運転席とを区画する位置に配置されることとなり、この荷物を積み込むためのスペースが助手席の配置による区画にて分かり易いようになる。これによって、積み込み可能な容量がユーザに分かり易いものとなって、荷物の積み込み作業に有利となる。また、このシートアレンジ構造によれば、車両の急旋回等によって自転車等の積み込み物が運転者側に倒れてきそうな場合でも、スペースアップ位置に配置される助手席によって倒れ込もうとする積み込み物を支持することができて、積み込みの安定性を向上させる。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明に係るシートアレンジ構造によれば、車両の室内の車両後席側から車両前面席側までの車両の室内の長さを有効的に活用できるように荷物を積み込むためのスペースを纏めて確保することができ、もって通常の荷物よりも長さが長くなる長尺の荷物を積み込むことができるようになる。
第2の発明に係るシートアレンジ構造によれば、積み込み可能な容量がユーザに分かり易いものとなって、荷物の積み込み作業に有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】車両用シートが前後2列で配列される車両の室内を模式的に示す上面視模式図である。
【図2】車両用シートが前後3列で配列される車両の室内を模式的に示す上面視模式図である。
【図3】着席可能状態の左右両側の後席シートを模式的に示す斜視図である。
【図4】前倒しした重畳状態の左右両側の後席シートを模式的に示す斜視図である。
【図5】回動してスペースアップ位置に切り替わろうとする左側後席シートを模式的に示す斜視図である。
【図6】スペースアップ位置となった左側後席シートを模式的に示す斜視図である。
【図7】回動してスペースアップ位置に切り替わろうとする右側後席シートを模式的に示す斜視図である。
【図8】スペースアップ位置となった右側後席シートを模式的に示す斜視図である。
【図9】前倒しした重畳状態の左右両側の後席シートを模式的に示す背面視図である。
【図10】スペースアップ位置となった左右両側の後席シートを模式的に示す背面視図である。
【図11】車両幅方向内側に向けてスライド移動するためのスライド構造を模式的に示す斜視図である。
【図12】シート通常位置からスペースアップ位置に配置変更するに際しての一時停止位置となる右側後席シートを模式的に示す背面視図である。
【図13】スペースアップ位置となる右側後席シートを模式的に示す背面視図である。
【図14】助手席を構成するための車両用シートの概略構成を示した斜視図である。
【図15】車両用シートを側方へ跳ね上げた状態を示した斜視図である。
【図16】車内全体のシートレイアウトを示した平面図である。
【図17】車両用シートの側面図である。
【図18】車両用シートをチルトダウンさせた状態を示した側面図である。
【図19】車両用シートの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るシートアレンジ構造を実施するための形態について説明する。図1および図2は、配置を変更可能に構成される車両用シートについてのシートアレンジ構造を示す上面模式図である。図1は、車両用シートの配列形式が前後2列に設定され、車両後部がハッチバックドア形式にて開閉される自動車10Aである。図2は、車両用シートの配列形式が前後3列に設定され、車両側部がスライドドア形式にて開閉される自動車10Bである。また、図1および図2の(A)は、乗員が着座可能となるシート通常位置(T1)に設定される車両用シートのシートアレンジU1を示している。これに対して、図1および図2の(B)は、荷物が積み込み可能となるスペースアップ位置(T2)に設定される車両用シートのシートアレンジU2を示している。このように、自動車10Aでは図1(A)のシートアレンジU1から図1(B)のシートアレンジU2に移行可能になっており、自動車10Bでは図2(A)のシートアレンジU1から図2(B)のシートアレンジU2に移行可能になっている。なお、図1(B)および図2(B)のシーアレンジU2では、荷物を積み込むための積み込みスペースW1,W2が室内11A,11Bに形成されるようになっている。
【0012】
まず、図1に示す車両用シートの配列形式が前後2列に設定される自動車10Aについて説明する。自動車10Aの室内11Aには、車両の前面に面して設置され且つ車両を運転する乗員の座席となる運転席12Aと、車両の前面に面しつつ運転席に隣接して設置されて乗員の座席となる助手席13Aと、運転席12Aおよび助手席13Aの後ろ側に設置されて乗員の座席となる車両後席15Aと、が設置されている。なお、図1に示す自動車10Aは、いわゆる右ハンドルと称される自動車である。つまり、自動車10Aの運転席12Aは、室内11Aのうち車両の前面に面しつつ車両進行方向右側に位置するように設置されている。これに対して、自動車10Aの助手席13Aは、室内11Aのうち、車両の前面に面しつつ車両進行方向左側に位置するように設置されている。
また、図1(A)では、助手席13Aと車両後席15Aが、乗員が着座可能となるシート通常位置(T1)に設定されている。また図1(B)では、助手席13Aおよび車両後席15Aが、荷物が積み込み可能となるスペースアップ位置(T2)に設定されている。なお、図1(B)に示すように、助手席13Aおよび車両後席15Aが、荷物が積み込み可能となるスペースアップ位置(T2)に設定された場合でも、運転席12Aについては、運転者が着座できるシート通常位置(T1)にて固定されたままとなっている。なお、車両後席15Aは、室内11Aの車両進行方向右側に位置するように設置される右側後席シート20と、室内11Aの車両進行方向左側に位置するように設置される左側後席シート40と、により構成される。
【0013】
ここで、助手席13Aおよび車両後席15Aは、通常の配置位置となるシート通常位置(T1)から、荷物が積み込み可能となるスペースアップ位置(T2)に配置変更されるにあたっては、次のように配置変更される。
すなわち、助手席13Aにあっては、通常の配置位置となるシート通常位置(T1)から、シートクッション131にシートバック132を重ねた状態でクッションフレーム(不図示)の車両幅方向右端(車両幅方向一端)部分を回動の支点にして、車両幅方向左端側(車両幅方向他端側)部分を上げるように回動させるように構成される。ここで、このように回動させた助手席13Aは、図1(B)に示すように、直角に起立しつつ、車両幅方向右側(車両幅方向一側)に寄せた配置位置となるスペースアップ位置(T2)に配置変更されることとなる。また、車両後席15Aをなす右側後席シート20と左側後席シート40にあっても、通常の配置位置となるシート通常位置(T1)から、シートクッション21,41にシートバック25,45を重ねた状態でクッションフレーム(不図示)の車両幅方向右端(車両幅方向一端)部分を回動の支点にして、車両幅方向左端側(車両幅方向他端側)部分を上げるように回動させるように構成される。ここで、このように回動させた右側後席シート20と左側後席シート40は、図1(B)に示すように、直角に起立しつつ、車両幅方向右側(車両幅方向一側)に寄せた配置位置となるスペースアップ位置(T2)に配置変更されることとなる。
【0014】
ここで車両後席15Aをなす右側後席シート20および左側後席シート40は、図1(B)に示すように、スペースアップ位置(T2)にて寄せられるにあたり、運転席12Aが設置される自動車10Aの室内11Aの運転席12A設置側と同じ側となる車両幅方向右側に寄せられている。つまり、上記したように自動車10Aは、いわゆる右ハンドルと称される自動車であるため、右側後席シート20と左側後席シート40がスペースアップ位置(T2)となって寄せられる側は、車両幅方向右側に設定されている。また、助手席13Aにあっても、図1(B)に示すように、スペースアップ位置(T2)にて寄せられるにあたり、運転席12Aが設置される自動車10Aの室内11Aの運転席12A設置側と同じ側となる車両幅方向右側に寄せられている。つまり、上記したように自動車10Aは、いわゆる右ハンドルと称される自動車であるため、右側後席シート20と左側後席シート40がスペースアップ位置(T2)となって寄せられる側は、車両幅方向右側に設定されている。
このようにして、助手席13Aと右側後席シート20および左側後席シート40が、互いにスペースアップ位置(T2)に位置した場合には、自動車10Aの室内11Aの運転席12A設置側と同じ側となる車両幅方向右側に寄せられることとなる。このようにして両者がスペースアップ位置(T2)に設定されるように車両用シートのシートアレンジとなった場合には、荷物を積み込むための積み込みスペースW1が形成されることとなる。なお、この自動車10Aの車両後部には、ハッチバックドア形式にて開閉されるハッチバックドア14Aが設けられており、このハッチバックドア14Aを開けることによっても、積み込みスペースW1に荷物を積み込むことができるようになっている。
【0015】
次に、図2に示す車両用シートの配列形式が前後3列に設定される自動車10Bについて説明する。すなわち、図1に示す自動車10Aにあっては車両後席15Aが1列にて構成されていたところ、この図2に示す自動車10Bにあっては車両後席15B,15Cが2列にて構成される点について相違する。つまり、図2に示す自動車10Bの室内11Bには、車両の前面に面して設置され且つ車両を運転する乗員の座席となる運転席12Bと、車両の前面に面しつつ運転席に隣接して設置されて乗員の座席となる助手席13Bと、運転席12Bおよび助手席13Bの後ろ側に設置されて乗員の座席となる2列の車両後席15B,15Cと、が設置されている。なお、この自動車10Bの車両後席15B,15Cにあっても、図1に示しつつ説明した自動車10Aの車両後席15Aと同様に構成される。
【0016】
ここで車両後席15B,15Cをなす右側後席シート20および左側後席シート40は、図2(B)に示すように、スペースアップ位置(T2)にて寄せられるにあたり、運転席12Bが設置される自動車10Bの室内11Bの運転席12B設置側と同じ側となる車両幅方向右側に寄せられている。つまり、上記したように自動車10Bは、いわゆる右ハンドルと称される自動車であるため、右側後席シート20と左側後席シート40がスペースアップ位置(T2)となって寄せられる側は、車両幅方向右側に設定されている。また、助手席13Bにあっても、図2(B)に示すように、スペースアップ位置(T2)にて寄せられるにあたり、運転席12Bが設置される自動車10Bの室内11Bの運転席12B設置側と同じ側となる車両幅方向右側に寄せられている。つまり、上記したように自動車10Bは、いわゆる右ハンドルと称される自動車であるため、右側後席シート20と左側後席シート40がスペースアップ位置(T2)となって寄せられる側は、車両幅方向右側に設定されている。
このようにして、助手席13Bと右側後席シート20および左側後席シート40が、互いにスペースアップ位置(T2)に位置した場合には、自動車10Bの室内11Bの運転席12B設置側と同じ側となる車両幅方向右側に寄せられることとなる。このようにして両者がスペースアップ位置(T2)に設定されるように車両用シートのシートアレンジとなった場合には、荷物を積み込むための積み込みスペースW2が形成されることとなる。なお、この自動車10Bの車両側部には、スライドドア形式にて開閉されるスライドドア14Bが設けられており、このスライドドア14Bを開けることによっても、積み込みスペースW2に荷物を積み込むことができるようになっている。
【0017】
次に、上記した車両後席15(15A,15B,15C)を構成するための車両用シートとしての後席シートについて説明する。なお、この後席シートを説明するにあたっては、この後席シートを模式的に図示する図3〜図13を参照しながら説明するものとする。すなわち、図3〜図8に示す符号15は、車両としての自動車10の室内11に設置されるものであり、車両運転席の後側に設置される車両後席である。なお、この車両として自動車は、運転席が右側に設定される、いわゆる右ハンドル自動車である。また、図3〜図8に示す車両後席15には、図9および図10にて示して後に説明するロック機構75(ストライカ76、ロック機構本体77)および伸縮可能連結部材80に関する図示は省略してある。
また、図3〜図8に示す車両後席15は、座席として使用する場合の通常のシートの配置構成となるシート通常位置から、座席として使用しない場合に自動車10の室内11のスペースを拡げるようにシート配置構成となるスペースアップ位置(T2)に配置を変更するまでを、シート通常位置(T1)から順を追って図示している。
【0018】
すなわち、図3は、シート通常位置(T1)となる着席可能状態の左右両側の後席シート20,40を示す斜視図である。図4は、シート通常位置(T1)となる前倒しした重畳状態の左右両側の後席シート20,40を示す斜視図である。図5は、回動してスペースアップ位置(T2)に切り替わろうとする右側後席シート20を示す斜視図である。図6は、スペースアップ位置(T2)となった右側後席シート20を示す斜視図である。図7は、回動してスペースアップ位置(T2)に切り替わろうとする左側後席シート40を示す斜視図である。図8は、スペースアップ位置(T2)となった左側後席シート40を示す斜視図である。なお、このシート通常位置(T1)は、いわゆるシートの配置の横置きを意味しており、またスペースアップ位置(T2)は、いわゆるシートの配置の縦置きを意味している。
また、図9は、シート通常位置(T1)となる前倒しした重畳状態の左右両側の後席シート20,40を示す後席背面視図である。図10は、スペースアップ位置(T2)となった左右両側の後席シート20,40を示す後席背面視図である。図11は、車両幅方向内側に向けてスライド移動するためのスライド支持構造60を示す斜視図である。
なお、これら右側後席シート20および左側後席シート40における、上下前後左右に関する方向の規定は全図に記載のとおりである。また、これら右側後席シート20と左側後席シート40とが互いに対向する側を車両内側と規定し、これとは反対側の右側後席シート20と左側後席シート40との外側を車両外側と規定するものとする。
【0019】
図示される車両後席15は、前後2列にて構成される所謂2列目シートである。この車両後席15は、2つの後席シートとなる右側後席シート20および左側後席シート40を、車両幅方向となる左右方向で並べることにより構成される。言い換えれば、車両幅方向右側には右側後席シート20が配設され、右側後席シート20に対して左側に隣接する車両幅方向左側には左側後席シート40が配設される。このように左右方向の車両幅方向に並べられた右側後席シート20および左側後席シート40により、車両後席15をなすものとなっている。また図9および図10に示すように、これら右側後席シート20および左側後席シート40の車両外側は、自動車10の内部と外部とを区画する車両ドアパネルPが設けられたものとなっている。なお、この車両後席15を構成する右側後席シート20および左側後席シートのうち右側後席シート20が、本発明に係る車両用シートとして例示されるものである。
図3〜図8にも示すように、右側後席シート20および左側後席シート40は、一般的な車両用シートと同様、乗員が着座する座としてのシートクッション21,41と、着座した乗員の背凭れとなるシートバック25,45とを備える。ここで、右側後席シート20および左側後席シート40のシートバック25,45は、シートクッション21の不図示のクッションフレームにて支持され、前倒し可能に構成される。具体的には、これら右側後席シート20および左側後席シート40のシートバック25,45は、前倒しされることにより図3に示す状態から図4に示す状態へと移行するようになっている。この場合、これらのシートバック25,45は、シートクッション21,41と重ねられるように配置されるものとなっており、シートクッション21,41とシートバック25,45とにより二重の重畳状態にて畳まれた状態となる。
【0020】
ところで、右側後席シート20および左側後席シート40は、自動車10の床面をなす室内フロアFに対して、スライド支持構造60を介して設置されるものとなっている。つまり、車両の室内11の床面を構成する室内フロアF上には、スライド支持構造60が室内フロアFに一体固定されて設置されている。これに対して、右側後席シート20および左側後席シート40は、このスライド支持構造60により、室内フロアFに対して左右方向の車両幅方向でスライド移動可能に支持されている。
ここで、これら右側後席シート20および左側後席シート40は、左右方向の車両幅方向で並べられることにより構成されるシートアレンジ構造となっている。このように互いに隣接配置される右側後席シート20および左側後席シート40の互いの間(車両内側)には、指1本が入るか入らないかの隙間しか形成されていない。つまり、右側後席シート20および左側後席シート40の対向する内側面同士は互いに面接触するほど、隣接配置される右側後席シート20および左側後席シート40は近接して配置されている。
【0021】
これに対して図9に示すように、右側後席シート20の車両外側となる右側箇所には、車両ドアパネルPとの間に空間S1が設けられている。この空間S1は、後に詳述する右側後席シート20を図9に示すシート通常位置(T1)から図10に示すスペースアップ位置(T2)に配置を変更するために、左側後席シート40との間の図9に示す回動スペースS3を形成するためのものである。具体的には、この空間S1を埋めるように右側後席シート20を車両幅方向右側にスライド移動させると、このスライド移動により右側後席シート20と左側後席シート40との間には、図9に示す回動スペースS3が形成されることとなる。この回動スペースS3により、右側後席シート20をシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に向けて起立させるにあたって、左側後席シート40に干渉されることなくシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に回動させることができる。この空間S1は、右側後席シート20を回動させる前に車両幅方向外側に予めスライド移動させるための本発明に係る空間に相当する。ちなみに、図9に示すように、左側後席シート40の車両外側となる左側箇所にも、この上記した空間S1との均衡を保つために、車両ドアパネルPとの間に空間S2が設けられている。
【0022】
次に、右側後席シート20の設置構成について詳細に説明する。右側後席シート20は、上記したように、室内フロアFに一体固定されて設置されるスライド支持構造60により、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するのに連動して、車両幅方向内外側に向けてスライド移動できるように車両の室内フロアFに支持されるものとなっている。具体的には、スライド支持構造60は、図11にも示すように、室内フロアFに固定設置されるベース61と、このベース61にて支持される2つのレール構造65,65とを備える。ベース61は、図3等に示すように室内フロアFに固定設置されている。また、このベース61の前後左右位置には、内部に設置される2つのレール構造65,65を目隠しするように側壁状をなすカバー体62が設けられている。また、このベース61の内部には、前後方向にて適宜の距離を隔てて位置される2つレール構造65,65が配設されている。これらのレール構造65,65は、図示するとおり、左右方向の車幅方向にて延びるように形成されている。また、この2つレール構造65,65は、ベース61に対して配設されるものとなっているが、図9等にも示すように、この2つレール構造65,65が配設される高さ位置は、車両フロアFの床面と略同一面上に位置するまで下げられた高さ位置にて設定されている。
【0023】
このレール構造65は、図11に示すように、広く利用されるスライドレールの構造と同様、ロアレール66とアッパレール67とを具備して構成される。すなわち、ロアレール66は、上記したベース61と一体化するように固定設置されている。また、アッパレール67は、このロアレール66に対して不図示の支持ローラ等を介してスライド移動可能に嵌め合わされた構造を有する。つまり、アッパレール67は、ロアレール66に対して、スムーズにスライド移動可能に取り付けられている。ここで、このアッパレール67の上面には、回動軸71を支持する支持ブラケット68が一体固定されている。なお、この回動軸71についての図示は、この回動軸71をなすための軸線を模した形式により図示されている。ここで、支持ブラケット68は、次に説明する回動軸71を支持する軸受けとして機能するものである。具体的には、支持ブラケット68は、略L字形をなして形成されており、下部がアッパレール67に固定支持され、上部がアッパレール67の上側に突き出されるように形成されている。この支持ブラケット68の上部は、次に説明する右側後席シート20の回動軸71の軸受けとなる部分であり、次に説明する回動軸71を、左右方向の車幅方向にてスライド移動可能に室内フロアF側から支持されている。
【0024】
次に、右側後席シート20の回動軸71について説明する。右側後席シート20の回動軸71は、座席として使用しない場合の自動車10の室内11のスペースを拡げるために、この右側後席シート20の回動を軸支持する軸支持部材として機能する。つまり、この回動軸71は、シートバック25をシートクッション21に重ねた状態でクッションフレーム(不図示)の車両幅方向外側部分を回動の支点として設定される。このため、この右側後席シート20は、この回動軸71を回動の支点とし、シートバック25をシートクッション21に重ねた状態で、クッションフレーム(不図示)の車両幅方向内側部分を上側に上げるように起立回動可能となっている。つまり、シートバック25をシートクッション21に重ねた状態のクッションフレーム(不図示)は、この回動軸71を回動の支点として、シート通常位置(T1)から車両幅方向外側に向けて直角に起立させたスペースアップ位置(T2)に、配置の変更が可能となっている。このように、右側後席シート20の配置が、シート通常位置(T1)から車両幅方向外側に向けて直角に起立させたスペースアップ位置(T2)に変更されると、この右側後席シート20を座席として使用しない場合に、自動車10の室内11の空きスペースを纏めるように拡げることができる。
【0025】
ここで、回動軸71は、上記した支持ブラケット68による軸受け機能により支持されている。このため、クッションフレーム(不図示)の車両幅方向外側部分を回動の支点とするように、クッションフレーム(不図示)と一体化して配設される回動軸71は、この右側後席シート20がシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置を変更するにあたって、支持ブラケット68を一体化するレール構造65により、この回動軸71を車両幅方向内側に向けてスライド移動させることができる。つまり、図5に示す状態から図6に示す状態に移行するにあたって、シートバック25をシートクッション21に重ねた状態でクッションフレーム(不図示)を直角に起立させるが、この際に、シートバック25をシートクッション21に重ねた状態でクッションフレーム(不図示)を起立回動させるための支点となる回動軸71は、車両幅方向内側に向けてスライド移動できるようになっている。
【0026】
一方、上記した右側後席シート20には、この右側後席シート20がシート通常位置(T1)に配置されている場合に、このシート通常位置(T1)を固定保持しておくためのロック機構75が設けられている。このロック機構75は、本発明に係る固定保持手段に相当するものであり、広く利用されるロック機構と同様に、ストライカ76とロック機構本体77とを具備して構成される。ストライカ76は上記した右側後席シート20のクッションフレーム(不図示)に一体的に配設されており、ロック機構本体77は上記したスライド支持構造60のベース61に一体的に配設されている。このため、このストライカ76がロック機構本体77にてロックされると、右側後席シート20はシート通常位置(T1)にて固定保持されることとなる。なお、この実施の形態のロック機構75のロック機構本体77は、スライド支持構造60のベース61に一体的に配設されるものであった。しかしながら、このロック機構本体77は、上記したレール構造65のアッパレール67の形状を延長し、このように延長したアッパレール67に対して一体的に配設されるものであってもよい。このようにロック機構本体77をアッパレール67に一体的に配設すると、上記した右側後席シート20は、シート通常位置(T1)を維持した状態で、室内フロアFに対して左右方向の車両幅方向でスライド移動できるようになる。
【0027】
また、上記した右側後席シート20は、ロック機構本体77によるストライカ76のロックが解除されると、それまで固定保持されていたシート通常位置(T1)の右側後席シート20の配置は、このシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に自動的に変更されるようになっている。すなわち、この右側後席シート20には、常時、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に向けて回動するように、起立回動およびスライド移動を含む回動付勢手段としての伸縮可能連結部材80が配設されている。つまり、伸縮可能連結部材80は、シートバック25をシートクッション21に重ねた状態でクッションフレーム(不図示)を、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に向けて、起立回動させるとともに車両幅方向右側に向けてスライド移動させる。具体的には、この伸縮可能連結部材80は、圧縮ガスの膨張力を利用して伸張方向にて付勢するガスシリンダ(ガスダンパー)により構成され、伸張方向への付勢力によりシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に向けた回動付勢(上記した起立回動およびスライド移動を含む)をする。
【0028】
図12は、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するに際しての一時停止位置となる右側後席シート20を模式的に示す背面視図である。つまり、図12は、シートクッション21がスペースアップ位置(T2)に回動する際に最初に車両側面部材となる車両ドアパネルPに当接した状態を示している。また、図13は、スペースアップ位置(T2)となる右側後席シート20を模式的に示す背面視図である。なお、図12および図13では、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)への配置変更と、回動軸71のスライド移動との連動性を分かり易くするために、レール構造65のアッパレール67を見え易く図示している。
この伸縮可能連結部材80は、本発明に係る連結部材に相当する部材であり、シートクッション21と自動車10の室内フロアF側との間に配設されるものであり、これらシートクッション21と自動車10の室内フロアF側との両者を互いに連結するものである。このため、この伸縮可能連結部材80の基端81は、室内フロアFに固定設置されるベース61に対して回動可能に固定支持されており、伸縮可能連結部材80の先端82は、シートクッション21(クッションフレーム(不図示))に対して回動可能に固定支持されている。ここで、伸縮可能連結部材80は、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置を変更するにあたり伸縮可能に構成されている。
【0029】
ところで、この伸縮可能連結部材80は、上記したように伸張方向に付勢する機能を有しながら、次のような長さに条件設定されている。すなわち、伸縮可能連結部材80の最大伸張時の長さは、回動軸71が移動範囲の車両幅方向最外側位置にあるとした場合におけるシートクッション21がスペースアップ位置(T2)へ回動する際に最初に車両側面部材となる車両ドアパネルPに当接する回動位置状態での長さより長い長さに、さらに回動軸71が移動範囲の車両幅方向最外側位置にあるとした場合におけるシートクッション21が直立した回動位置状態での長さより短い長さに、設定されている。
また、伸縮可能連結部材80の最大伸張時の長さは、図12にて示す状態で最大伸張時となるのが最も好ましい。つまり、伸縮可能連結部材80の最大伸張時の長さは、回動軸71が移動範囲の車両幅方向最外側位置にあるとした場合におけるシートクッション21がスペースアップ位置(T2)へ回動する際に最初に車両側面部材となる車両ドアパネルPに当接する回動位置状態での長さと同じ長さになる場合である。
つまり、上記した伸縮可能連結部材80は、シートバック25をシートクッション21に重ねた状態でクッションフレーム(不図示)を、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に向けて、起立回動させるとともに車両幅方向右側に向けてスライド移動させる付勢力を発生する機能と、上記した長さの条件設定によって起立回動および車両幅方向右側に向けたスライド移動のガイドする機能とを有する。なお、本発明に係る連結部材の要件としては、このような両者の機能のうち、上記した長さの条件設定によって起立回動および車両幅方向右側に向けたスライド移動のガイドする機能を具備すれば足りるものとなっている。
【0030】
このように構成される右側後席シート20によれば、ロック機構本体77によるストライカ76のロックが解除されると、伸縮可能連結部材80からの回動付勢を受けることによって、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に右側後席シート20の配置を変更しようと回動することとなる。そうすると、図12に示す状態となって、スペースアップ位置(T2)に向けて起立回動しようとする右側後席シート20が車両ドアパネルPに当接することとなる。この際、伸縮可能連結部材80の伸張した長さが最大伸張の長さとなっている場合には、右側後席シート20のスペースアップ位置(T2)に向けた起立回動は、ここで一時停止することとなる。そして、ユーザが右側後席シート20を回動付勢すると、図12に示す状態から図13に示す状態に移行するように、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更しつつ、これに連動して車両幅方向内側に向けてアッパレール67がスライド移動することとなる。なお、図12に示す状態となった際、伸縮可能連結部材80の伸張した長さが最大伸張の長さよりも短い場合には、右側後席シート20のスペースアップ位置(T2)に向けた起立回動は一時停止することなく起立回動を続けて、図12に示す状態から図13に示す状態に移行するように、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更しつつ、これに連動して車両幅方向内側に向けてアッパレール67がスライド移動することとなる。
【0031】
また、左側後席シート40の設置構成についても、上記した右側後席シート20と略同一の設置構成にて室内フロアFに設置されている。すなわち、左側後席シート40は、スライド支持構造60により室内フロアFに対して左右方向の車両幅方向でスライド移動可能に支持されている。このため、左側後席シート40も、上記した右側後席シート20と略同様に起立回動およびスライド移動を含む回動付勢がされており、図9に示すシート通常位置(T1)から図10に示すスペースアップ位置(T2)に配置を変更することができるようになっている。このため、この左側後席シート40の設置構成において上記した右側後席シート20の設置構成と略同一に構成される箇所については、上記した右側後席シート20の設置構成を説明する際に付した図示符号に対して末尾に‘n’を付加することにより説明を省略する。このようにして、左側後席シート40も、支持ブラケット68nによる軸受け機能により支持される回動軸71nを支点にして、シート通常位置(T1)のスペースアップ位置(T2)に配置を変更することができる。
【0032】
具体的には、この左側後席シート40は、ロック機構本体77nによるストライカ76nのロック解除されると、回動付勢スプリング80nにより、シートバック45をシートクッション41に重ねた状態でクッションフレーム(不図示)を、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に向けて、起立回動させるとともに車両幅方向右側に向けてスライド移動させる。なお、この左側後席シート40の回動付勢スプリング80nは、上記した右側後席シート20の伸縮可能連結部材80とは異なり、この左側後席シート40の回動軸71nに沿って配設されるスパイラルスプリングにより構成され、このスパイラルスプリングの付勢力によりシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に向けた回動付勢をする。また、左側後席シート40の支持ブラケット68nを一体固定するアッパレール67nを嵌め合わせるロアレール66nは、上記した右側後席シート20の支持ブラケット68を一体固定するアッパレール67を嵌め合わせるロアレール66を延在させたことによる一部材にて構成される。
【0033】
ここで、この左側後席シート40のスペースアップ位置(T2)は、図10等に示すように右側後席シート20のスペースアップ位置(T2)に対して隣接する位置に設定されている。このため、この左側後席シート40は、右側後席シート20のスペースアップ位置(T2)に隣接するまで、車両幅方向右側に向けてスライド移動するようになっている。このようにして、左側後席シート40も、回動軸71nを回動の支点として、シート通常位置(T1)から車両幅方向外側に向けて直角に起立させたスペースアップ位置(T2)に、配置の変更が可能となっている。もって、右側後席シート20および左側後席シート40の双方の配置が、シート通常位置(T1)から車両幅方向外側に向けて直角に起立させたスペースアップ位置(T2)に変更されると、これら右側後席シート20および左側後席シート40を座席として使用しない場合に、自動車10の室内11の空きスペースを纏めるように拡げることができる。つまり、互いにスペースアップ位置(T2)となる右側後席シート20および左側後席シート40は、自動車10の室内11に車両幅方向片側となる右側(運転席側)に偏らせられたものとなる。
【0034】
上記したように構成された右側後席シート20によれば次の作用効果を奏することができる。すなわち、上記した右側後席シート20によれば、クッションフレーム(不図示)の車両幅方向外側部分を回動の支点とするように配設される回動軸71は、自動車10の室内フロアF側からとなるベース61にて支持されている。このため、室内11の最下端に設定される室内フロアFに対して右側後席シート20を設置することができる。これによって、右側後席シート20の配設位置を下げることができて、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更した場合でも車両外の景観を後席車両窓から見え易いようにできる。さらに上記した右側後席シート20によれば、クッションフレーム(不図示)の車両幅方向外側部分を回動の支点とするように配設される回動軸71は、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更する際に、車両幅方向内側に向けてスライド移動可能になっているので、自動車10の室内11を区画する自動車10の種々のボデー構造の干渉を受けることなくスライド移動させることができる。これによって、右側後席シート20をシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するにあたってスムーズに配置変更することができる。
【0035】
上記した右側後席シート20によれば、シートクッション21の回動軸71は、自動車10の室内フロアF側に支持されているので、室内11の最下端に設定される室内フロアFに対して右側後席シート20を設置することができる。これによって、右側後席シート20の配設位置を下げることができて、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更した場合でも車両外の景観を後席車両窓から見え易いようにできる。さらに上記した右側後席シート20によれば、シートクッション21の回動軸71は、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するのに連動して、車両幅方向内側に向けてスライド移動できるようになっているので、自動車10の室内11を区画する自動車10の種々のボデー構造となる車両ドアパネルPからの干渉をシートクッション21が受けることがないように、該シートクッション21をスライド移動させながら回動させることができる。これによって、右側後席シート20をシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するにあたってスムーズに配置変更することができる。
【0036】
また、上記した右側後席シート20によれば、伸縮可能連結部材80の最大伸張時の長さは、図12に示す回動軸71が移動範囲の車両幅方向最外側位置にあるとした場合における、シートクッション21がスペースアップ位置(T2)へ回動する際に最初に車両ドアパネルP(車両側面部材)に当接する回動位置状態での長さよりは長いので、例えば自動車10の室内11を区画する車両ドアパネルPからの干渉を受けた場合に、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するのに連動してシートクッション21の回動軸71を車両幅方向内側に向けてスライド移動させることができる。
また、上記した右側後席シート20によれば、伸縮可能連結部材80の最大伸張時の長さは、図12に示す回動軸71が移動範囲の車両幅方向最外側位置にあるとした場合における、シートクッション21が直立した回動位置状態での長さよりは短いので、シートクッション21が直立した回動位置状態となるのに連動してシートクッション21の回動軸71を車両幅方向内側に向けてスライド移動させることができる。もって、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するに際しての、シートクッション21の回動軸71を車両幅方向内側に向けたスライド移動の連動を、よりスムーズなものとすることができる。
【0037】
また、上記した右側後席シート20によれば、車両幅方向外側には回動の前に車両幅方向外側に予めスライド移動させるための空間S1が設けられているので、シート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に回動させるにあたって、予め車両幅方向外側にスライド移動させることによって回動スペースS3を車両幅方向内側に形成することができる。これによって、この回動スペースS3により、車両幅方向内側に隣接する左側後席シート40からの回動に関する干渉を回避することができて、右側後席シート20をシート通常位置(T1)からスペースアップ位置(T2)に配置変更するにあたってスムーズに回動させることができるようになる。
また、上記したようにシートアレンジ構造をなす車両後席15によれば、スペースアップ位置(T2)とする際の右側後席シート20および左側後席シート40のそれぞれは、車両幅方向同側となる右側に向けてスライド移動できるように車両フロアFに設置されているので、これら右側後席シート20および左側後席シート40のそれぞれを自動車10の室内11の車両幅方向片側となる右側に偏らせておくことができる。これによって、車両後席15を偏らせて配置する車両幅方向片側とは反対側の左側の場所には、荷物を積み込むためのスペースを形成することができる。これによって、自動車10の幅方向右側に荷物を積み込むためのスペースを纏めて確保することができて、積込み荷物の形状に対する積込みスペースの応用度を高めることができる。
【0038】
次に、上記した助手席13A,13Bを構成するための車両用シートの構成について、図14〜図19を用いて説明する。この例の車両用シートは、図14に示すように、自動車の助手席シート91Pとして構成されており、着座乗員の背凭れとなるシートバック92と、着座部となるシートクッション93と、を備えている。この助手席シート91Pは、図15〜図16に示すように、その着座使用しない不使用時に、シートバック92を前に倒し込むことにより、シートクッション93を一緒に下方側に沈み込ませるように連動させて、これらを下方側にコンパクトに畳み込んだ状態に格納することができるチルトダウン機構と、この畳み込んだ助手席シート91P全体を、更に隣側の運転席シート91Dに向けて横に跳ね上げてフロア9F上のスペースを広く空けられるようにするスペースアップ機構と、を備えた構成となっている。ここで、助手席シート91Pが、本発明の「車両用シート」に相当し、運転席シート91Dが、本発明の「隣側シート」に相当する。以下、この助手席シート91Pの構成について詳しく説明する。
【0039】
図14に示すように、シートバック92は、その左右両サイドの下端部が、車両のフロア9F上に設置された底板98上に設けられた左右一対のベース部材94に対し、それぞれ、回転止め可能な回転軸装置として機能するリクライニング装置95を間に介して連結されている。ここで、各ベース部材94は、底板98上に設けられた左右一対のスライド装置97の上部に支持ブラケット97C2を介して一体的に結合された状態として設けられている。
【0040】
上記各リクライニング装置95は、詳しくは、シートバック92の骨格を成す逆U字状に組まれたシートバックフレーム92Fの左右両サイドの下端部と、両ベース部材94と、の間にそれぞれ介設されて、これらを互いに相対回転可能な状態に軸連結した状態となっている。これにより、シートバック92が、各ベース部材94に対して、各リクライニング装置95の中心軸線95Rのまわりに前後回転可能に軸支された状態として、その背凭れ角度の調節移動が行える状態とされている。上記各リクライニング装置95は、常時は、それらの内部に備えられた回転止め構造(ロック構造)により、シートバック92の回動をロックした状態(ロック状態)として保持されている。これにより、シートバック92が、通常時、その背凭れ角度が固定された状態として保持されている。
【0041】
これらリクライニング装置95のロック状態は、シートクッション93の車両外側の側部に設けられた解除レバー95Aを引き上げる操作によって解除されるようになっている。具体的には、各リクライニング装置95の中心部には、回動により各リクライニング装置95のロック状態を解除する操作軸95Bがそれぞれ軸方向に挿通されており、各操作軸95Bは、コネクティングロッド95Cによって互いに回動方向に一体的に結合された状態とされている。そして、上記各操作軸95Bのうち、車両外側に配された操作軸95Bの外側の端部には、解除レバー95Aが一体に結合されており、この解除レバー95Aの引き上げ操作を行うことによって、各操作軸95Bが一斉に軸回動操作されて、各リクライニング装置95のロック状態が解除されるようになっている。なお、各リクライニング装置95の基本構造は、特開2011−116303号公報等の文献に開示されたものと同じものとなっているため、その具体的な説明は省略することとする。
【0042】
シートクッション93は、その左右両サイドの前部が、それぞれ、フロントリンク93Aを介して、上述した底板98上に設けられた左右一対のスライド装置97の上部にそれぞれ前後回転可能にリンク連結されて支持された状態となっている。ここで、フロントリンク93が、本発明の「リンク部材」に相当する。また、シートクッション93の後部は、その左右両サイド部が、上述したシートバック92の両サイド部にそれぞれ回転可能に軸連結されて支持された状態となっている。具体的には、シートクッション93は、その骨格を成す平面視U字状に組まれた鋼管パイプ製のシートクッションフレーム93Fの前フレーム部に、板状の懸架ブラケット93F1が溶着されて付設されており、この懸架ブラケット93F1の左右両サイド部に、各フロントリンク93Aの上端部が、連結軸93A1により前後回転可能に軸連結された状態となっている。
【0043】
また、各フロントリンク93Aの下端部は、各スライド装置97の上部に結合されたL字板状の各支持ブラケット97C1に、それぞれ、連結軸93A2により前後回転可能に軸連結された状態となっている。また、上記シートクッションフレーム93Fの左右両サイドの後端部には、それぞれ、L字状に形成されたL字リンク93Bの前下側の端部が一体的に結合されており、これらL字リンク93Bの後ろ上側の各端部が、シートバックフレーム92Fの左右両サイドフレーム部の外側部に、それぞれ、連結軸93B1により前後回転可能に軸連結された状態となっている。これにより、シートクッション93は、常時は、上記シートバック92により後端部が吊持された状態として、通常時、背凭れ角度が固定されているシートバック92によって、その配設位置が固定された状態として保持されている。
【0044】
上記シートクッション93は、図17〜図18に示すように、上述した各リクライニング装置95によるシートバック92の背凭れ角度の固定状態を解除して、シートバック92を前に倒し込むことにより、この動作に連動して、下方側に沈み込むように動作する。具体的には、シートクッション93は、シートバック92が前に倒し込まれることにより、上述した各L字リンク93Bにより後ろ側から前に押し出される格好で動かされて、各フロントリンク93Aを前側に倒し込む態様で、前下側に沈み込んでいくように動作するようになっている。このシートクッション93の沈み込み動作により、シートバック92を倒し込むことのできる最大倒し込み位置が下方側に広く拡張され、シートバック92は、上記下方側に沈み込んだシートクッション93の上面部に重なる位置まで大きく前に倒し込まれるようになっている。これにより、シートバック92とシートクッション93とが、フロア9F上の底板98上に、底板98上からの出っ張りの少ないコンパクトな形に畳み込まれるようになっている。
【0045】
ここで、上述した各フロントリンク93Aの下部と各支持ブラケット97C1とを連結する各連結軸93A2には、各フロントリンク93Aに対して、常時、前回転させる方向への附勢力をかける渦巻きバネ96がそれぞれ掛着されている。具体的には、各連結軸93A2は、各支持ブラケット97C1に一体的に結合された状態として、各フロントリンク93Aの下部をそれぞれ回転可能に軸支した状態となっており、これら連結軸93A2に各渦巻きバネ96の内側の端部がそれぞれ掛着されて固定されている。各渦巻きバネ96の外側の端部は、各フロントリンク93Aの中間下部に突設された掛ピン93A3にそれぞれ掛着されて固定された状態となっている。これら渦巻きバネ96の設定により、シートバック92には、常時、前方側に倒し込まれる方向の附勢力がかけられた状態とされており、その背凭れ角度の固定状態が解かれることにより、シートバック92が附勢によって前に倒し込まれるようになっている。
【0046】
ここで、図14に示すように、上述したシートクッション93の左右両サイド部には、これら両サイドの下部空間を外側から覆う樹脂製のシールド93Sが配設されている。これらシールド93Sにより、上述したフロントリンク93Aや渦巻きバネ96等の内部部品が、外部に対して露呈しないように覆い被された状態とされている。また、上記底板98上に左右一対で設けられるスライド装置97は、底板98上に一体的に結合されて設けられたロアレール97Aと、各ロアレール97Aに前後スライド可能に組み付けられたアッパレール97Bと、を有し、各アッパレール97Bに、各ロアレール97Aとの係合によって各アッパレール97Bのスライドをロックする図示しないロック機構が設けられた構成となっている。各アッパレール97Bの上部には、前述した支持ブラケット97C1,97C2がそれぞれ一体的に結合された状態となって設けられている。なお、上記スライド装置97の基本構造は、特開2010−221935号公報等の文献に開示されたものと同じものとなっているため、その具体的な説明は省略することとする。
【0047】
図14、図15及び図19に示すように、上記底板98の車両外側の縁部とフロア9Fとの間には、上記底板98をフロア9Fに係合させたり離脱させたりするロック機構99が設けられている。また、上記底板98の車両内側の縁部とフロア9Fとの間には、上記底板98をフロア9Fに対して車両内側に向けて跳ね上げ可能にヒンジ連結するヒンジ機構910が設けられている。上記ロック機構99は、フロア9F上の前後2箇所の位置に設けられたロック装置99Aと、これらロック装置99Aに係合する部材として、底板98の底面部上の前後2箇所の位置に下方側に突出して設けられたU字状のストライカ99Bと、から成る。
【0048】
各ロック装置99Aは、各ストライカ99Bを上方側から落とし込むように押し付けることにより、各ストライカ99Bに引掛けられてロックするフック機構を備え、常時は各ストライカ99Bに引掛けられてロックした状態となって保持されている。これらロック装置99Aがストライカ99Bに絡んでロックした状態は、フロア9F上に設けられた解除レバー99A1の引き上げ操作を行うことにより、解除操作されるようになっている。この解除操作により、各ロック装置99Aは、再び、各ストライカ99Bを押し込むことでロックさせることのできるロック可能状態(スタンバイ状態)に切り替えられるようになっている。なお、上記ロック装置99Aの基本構造は、特開2007−320468号公報等の文献に開示されたものと同じものとなっているため、その具体的な説明は省略することとする。
【0049】
ヒンジ機構910は、フロア9F上に一体的に結合された固定側ブラケット911と、底板98の底面部に一体的に結合された可動側ブラケット912と、可動側ブラケット912を固定側ブラケット911に回転可能に軸連結するヒンジ軸913と、可動側ブラケット912に跳ね上げ方向の回転附勢力をかける4個の渦巻きバネ914と、を有する。これら渦巻きバネ914は、その内側の端部が、固定側ブラケット911に一体的に結合されたバネ掛軸915に掛着されて固定されており、外側の端部が、可動側ブラケット912から延出するバネ掛部912Aに掛着されて固定されている。バネ掛軸915は、固定側ブラケット911におけるヒンジ軸913よりも車両外側の下部位置に配設されている。このように、上記渦巻きバネ914を掛着させるためのバネ掛軸915が、上記ヒンジ軸913とは別の箇所に設定されていることにより、ヒンジ軸913まわりに渦巻きバネ914を巻装するスペースが確保できないような構成においても、渦巻きバネ914を上記固定側ブラケット911と可動側ブラケット912との間に好適に掛着させられるようになっている。
【0050】
上述した渦巻きバネ914の設定により、底板98には、常時、フロア9F上から車両内側に向かって起こし上げられる方向の附勢力がかけられた状態とされている。これにより、底板98は、上述したロック機構99のロック状態が解除されることで、その上部に配設された助手席シート91Pの構成物と一緒に、フロア9F上から跳ね上げられて、図16に示すように、運転席シート91Dの内側部に立壁状に起立した格納状態とされるようになっている。
【0051】
上記助手席シート91Pの跳ね上げにより、運転席シート91Dの内側部には、跳ね上げられた助手席シート91Pが横壁となって配置されるようになっている。これにより、例えば、上記助手席シート91Pの跳ね上げにより空けられたフロア9F上の空きスペース9S上に、自転車等の横倒れするおそれがあるものが置かれた場合に、上記跳ね上げられた助手席シート91Pが横壁となって、運転席シート91D側に自転車が倒れ込まないようにガードすることができるようになっている。上記助手席シート91Pは、前述したチルトダウン動作によって、シートバック92とシートクッション93とが下方側に沈み込まされて底板98上にコンパクトに畳み込まれた状態として跳ね上げられるため、全体として、厚みの薄い状態で跳ね上げられるようになっている。したがって、上記跳ね上げた助手席シート91Pは、比較的横幅をとらない薄型の構成となるため、車室内スペースを阻害しにくいコンパクトな状態として、運転席シート91Dの横側の位置に格納状態として置かれるようになっている。
【0052】
以上のように構成された運転席12A,12B、助手席13A,13B、車両後席15(15A,15B,15C)によりなされるシートアレンジ構造(U1,U2)によれば、次の作用効果を奏することができる。
すなわち、運転席12A,12B、助手席13A,13B、車両後席15(15A,15B,15C)によりなされるシートアレンジ構造(U1,U2)によれば、助手席13A,13Bおよび車両後席15(15A,15B,15C)は車両幅方向一側となる車両幅方向右側に寄せた配置位置となるスペースアップ位置(T2)に配置変更するが、このスペースアップ位置(T2)にて寄せられるように配置変更する車両後席15(15A,15B,15C)の車両幅方向右側は、少なくとも車両後席15(15A,15B,15C)に関して運転席12A,12Bが設置される自動車10A,10Bの室内11A,11Bの運転席12A,12B設置側と同じ側に設定されることとなる。これによって、運転席12A,12Bが設置されていない側に荷物を積み込むためのスペースを、自動車10A,10Bの室内11A,11Bの車両後席15(15A,15B,15C)側から車両前面席側まで纏めて確保することができる。したがって、自動車10A,10Bの室内11A,11Bの車両後席15(15A,15B,15C)側から車両前面席側までの自動車10A,10Bの室内11A,11Bの長さを有効的に活用できるように荷物を積み込むためのスペースを纏めて確保することができ、もって通常の荷物よりも長さが長くなる長尺の荷物を積み込むことができるようになる。特に、このシートアレンジ構造によれば、車両床面から車両屋根位置までの高さ範囲が積み込み可能な空間として設定されることとなる。このため、自転車等の高さのある積み込み物を積み込みスペースに積み込む場合に有利となる。
【0053】
また、上記した運転席12A,12B、助手席13A,13B、車両後席15(15A,15B,15C)によりなされるシートアレンジ構造(U1,U2)によれば、スペースアップ位置にて寄せられる助手席13A,13Bの車両幅方向一側となる車両幅方向右側は、運転席12A,12Bが設置される自動車10A,10Bの室内11A,11Bの運転席12A,12B設置側と同じ側に設定されているので、助手席13A,13Bに関しても運転席12A,12Bが設置される自動車10A,10Bの室内11A,11Bの運転席12A,12B設置側と同じ側に設定されることとなる。これによって、スペースアップ位置に配置される助手席13A,13Bは、荷物を積み込むためのスペースと運転席12A,12Bとを区画する位置に配置されることとなり、この荷物を積み込むためのスペースが助手席13A,13Bの配置による区画にて分かり易いようになる。これによって、積み込み可能な容量がユーザに分かり易いものとなって、荷物の積み込み作業に有利となる。また、このシートアレンジ構造によれば、車両の急旋回等によって自転車等の積み込み物が運転者側に倒れてきそうな場合でも、スペースアップ位置に配置される助手席13A,13Bによって倒れ込もうとする積み込み物を支持することができて、積み込みの安定性を向上させる。
【0054】
なお、本発明に係るシートアレンジ構造にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、適宜個所を変更して構成されるものであってよい。
すなわち、上記した自動車10A,10Bにあっては、いわゆる右ハンドルと称される自動車であったため、右側後席シート20と左側後席シート40がスペースアップ位置(T2)となって寄せられる側は、車両幅方向右側に設定されるものであった。また、助手席13Aにあっても、図1(B)に示すように、スペースアップ位置(T2)にて寄せられるにあたって、運転席12Aが設置される自動車10Aの室内11Aの運転席12A設置側と同じ側となる車両幅方向右側に寄せられているものであった。しかしながら、上記した自動車が所謂左ハンドルと称される自動車である場合には、上記した構成に沿って左右逆転した構成となれば、本発明に係るシートアレンジ構造を成し得るものとなる。さらに、助手席13A,13Bに関して言えば、上記した実施の形態のように車両後席15A,15B,15Cの右側後席シート20と左側後席シート40のように、必ずしも運転席12A,12B側に寄せる必要はなく、このような運転席12A,12B側とは反対側の車両ドア側に寄せるように構成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
10(10A,10B) 自動車(車両)
11(11A,11B) 室内
12A,12B 運転席
13A,13B 助手席
131 シートクッション
132 シートバック
14A ハッチバックドア
14B スライドドア
15(15A,15B,15C) 車両後席
20 右側後席シート
40 左側後席シート
21,41 シートクッション
25,45 シートバック
60 スライド支持構造
61 ベース
62 カバー体
65 レール構造
66,66n ロアレール
67,67n アッパレール
68,68n 支持ブラケット
71,71n 回動軸
75,75n ロック機構
76,76n ストライカ
77,77n ロック機構本体
80,80n 回動付勢機構
91P 助手席シート(車両用シート)
91D 運転席シート(隣側シート)
91Rr 窓側シート
91Rc 中央シート
91Rl 窓側シート
92 シートバック
92F シートバックフレーム
93 シートクッション
93F シートクッションフレーム
93F1 懸架ブラケット
93A フロントリンク(リンク部材)
93A1,93A2 連結軸
93A3 掛ピン
93B L字リンク
93B1 連結軸
93S シールド
94 ベース部材
95 リクライニング装置
95A 解除レバー
95B 操作軸
95C コネクティングロッド
95R 中心軸線
96 渦巻きバネ
97 スライド装置
97A ロアレール
97B アッパレール
97C1,97C2 支持ブラケット
98 底板
99 ロック機構
99A ロック装置
99A1 解除レバー
99B ストライカ
910 ヒンジ機構
911 固定側ブラケット
912 可動側ブラケット
912A バネ掛部
913 ヒンジ軸
914 渦巻きバネ
915 バネ掛軸
9F フロア
9S 空きスペース
F 室内フロア
P 車両ドアパネル
S1,S2 空間
S3 回動スペース
T1 シート通常位置
T2 スペースアップ位置
U1,U2 シーアレンジ
W1,W2 スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車等の車両の室内の荷物積載用スペースを確保するために車両用シートの配置を変更可能に構成されるシートアレンジ構造であって、
前記車両用シートは、前記車両の前面に面して設置され且つ該車両を運転する乗員の座席となる運転席と、該車両の前面に面しつつ該運転席に隣接して設置されて乗員の座席となる助手席と、該運転席および該助手席の後ろ側に設置されて乗員の座席となる車両後席と、を含んでおり、
少なくとも前記助手席および前記車両後席は、前倒しされることによりシートクッションと重ねて畳むことができるシートバックを具備し、該シートクッションに該シートバックを重ねた状態で該シートクッションの車両幅方向一端部分を回動の支点にして畳まれたシートを上げるように回動させて、シート通常位置から起立させ且つ車両幅方向一側に寄せるスペースアップ位置に配置変更可能に構成され、
少なくとも前記スペースアップ位置にて寄せられる前記車両後席の前記車両幅方向一側は、前記運転席が設置される前記車両の室内の該運転席設置側と同じ側に設定されていることを特徴とするシートアレンジ構造。
【請求項2】
請求項1に記載のシートアレンジ構造において、
前記スペースアップ位置にて寄せられる前記助手席の前記車両幅方向一側は、前記運転席が設置される前記車両の室内の該運転席設置側と同じ側に設定されていることを特徴とするシートアレンジ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−86577(P2013−86577A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226707(P2011−226707)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】