説明

シート後処理装置

【課題】上面排紙トレイの堆積可能枚数を超えて後処理を行わないシートが送られた場合であっても、排紙が可能となる。
【解決手段】入口ローラ22から送られた用紙20を上側搬送路74と下側搬送路80とに分ける用紙切替フラップ72と、上側搬送路74の終端部に設けられた上面排紙トレイ70と、下側搬送路80の終端部に設けられ、後処理機構により後処理された用紙20を積載する排紙トレイ16と、上面排紙トレイ70に設けられ、上面排紙トレイ70に所定枚数の用紙20が積載されたことを検知する積載センサ90と、積載センサ90により所定枚数の用紙20が積載されたことが検知された時点で、用紙切替フラップ72を下側搬送路80側に切り替える切替機構93とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFPの後段に設けられるフィニッシャ等のシート後処理装置に関し、特に後処理を行わないシートの用紙堆積を円滑に行うことができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi Function Peripheral)でプリントしたシートを複数束ねてステイプルするフィニシャが知られている。このフィニシャでは、MFPから送られたシートを順次処理トレイに搬送し、ステイプラにより綴じて排出トレイに排紙する。
【0003】
フィニシャでの後処理では、ステイプラによる綴じ処理が存在するので、MFPでの処理速度を吸収する遅延機構が必要であり、そのために搬送路を長くしている(例えば、特許文献1参照)。このため装置の小型化が十分にできなかった。なお、ステイプル処理をしない際にだけ使用する排紙トレイは知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特公平6−99070号公報
【特許文献2】特開2000−53308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したシート後処理装置では、次のような問題があった。すなわち、MFPでプリントしたシートのうち、フィニシャによる処理が行われないものもある。このような処理が行われないシートは、ユーザがすぐに取り出されるように装置の上面に設けられた上面排紙トレイに排出される。このとき、上面排紙トレイの堆積可能枚数を増やそうとすると、装置が大型化する虞があるため、上面排紙トレイの堆積可能枚数は一定枚数(例えば、250枚程度)に限られていた。
【0005】
そこで本発明は、上面排紙トレイの堆積可能枚数を超えて後処理を行わないシートが送られた場合であっても、排紙を可能とするシート後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、シート後処理装置は次のように構成されている。
【0007】
MFP本体から搬送されたシートを受取り搬送する入口ローラと、この入口ローラから送られたシートを前記上側搬送路と前記下側搬送路とに分ける用紙切替フラップと、前記上側搬送路の終端部に設けられ、後処理を行わない場合に前記入口ローラから送られたシートを積載する上面排紙トレイと、前記下側搬送路に設けられ、後処理を行う場合に前記入口ローラから送られたシートを後処理する後処理機構と、前記下側搬送路の終端部に設けられ、前記後処理機構により後処理されたシートを積載する他のトレイと、前記上面排紙トレイに設けられ、前記上面排紙トレイに所定枚数のシートが積載されたことを検知する上面排紙トレイ積載センサと、この上面排紙トレイ積載センサにより所定枚数のシートが積載されたことが検知された時点で、前記用紙切替フラップを前記下側搬送路側に切り替える切替機構とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上面排紙トレイの堆積可能枚数を超えて後処理を行わないシートが送られた場合であっても、排紙が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る後処理装置の要部を示す斜視図、図2は本発明の後処理装置の要部の上面図を表している。この図で示される後処理装置の要部は基本的に、待機トレイ10、処理トレイ12、ステイプラ14、第1の排紙トレイ16、第2の排紙トレイ18とからなる。
【0010】
MFP1から送られてくる用紙20は、一対の入口ローラ(入口ローラ)22で受け取られた後、後処理の有無に基づき用紙切替フラップ72により、上側搬送路74と下側搬送路80とに搬送方向が切り替えられる(図7参照)。後処理が行われる場合には、下側搬送路80に用紙20が送られた後、一対の給紙ローラ24に供給され、給紙ローラ24から待機トレイ10に送られる。これに対し後処理が行われない場合には、上側搬送路74に用紙20が送られた後、一対の上面排紙ローラ76に供給され、上面排紙ローラ76から、上面排紙トレイ70に送られる。入口ローラ22は入口ローラモータ26で駆動される。
【0011】
入口ローラ22は、上入口ローラ22a、下入口ローラ22bからなる。給紙ローラ24も上給紙ローラ、下給紙ローラからなる。
【0012】
待機トレイ10は左右に移動可能な一対の待機トレイ部品10a、10bからなり、待機トレイ部品10a、10bが閉じた状態で用紙を受け取る。この状態で用紙の整合を行うための待機トレイローラ28が設けられている。待機トレイローラ28は上下に移動可能でその制御は待機トレイローラ駆動源30により実行される。また待機トレイローラ28の回転は待機トレイローラモータ32により行われる。
【0013】
待機トレイ10に所定の枚数の用紙が蓄積されると、待機トレイモータ34により、図3に示すように待機トレイ部品10a、10bが開き、用紙20は自重により処理トレイ12に落下される。この動作をアクティブドロップという。
【0014】
MFP1から送られる用紙を待機トレイ10、処理トレイ12に案内するためにペーパーパス36が設けられているが、このペーパーパス36にはペーパーパス天井が設けられている。
【0015】
処理トレイ12に送られた用紙は、縦と横の整合を実行される。縦整合は、図4に示すように縦整合ローラ38によりなされ、縦整合上ローラ38aは縦整合上ローラモータ40により、縦整合下ローラ38bは縦整合下ローラモータ42により駆動され、用紙をストッパー45を基準にして揃える。またこの整合を補助するためにパドル44が設けられ、このパドル44はパドルモータ46により駆動される。
【0016】
横整合は図5に示すように、横整合機構47と横整合モータ48とにより実行される。
【0017】
処理トレイ12に所定の枚数の用紙が整合され蓄積されると、ステイプル処理がステイプラ14により行われる。図6に示すように、ステイプラ14はステイプル駆動部49により位置決めされ、ステイプル処理を制御される。
【0018】
ステイプル処理された用紙束は、図4に示すように、搬送機構50により排紙トレイ(他のトレイ)16又は排紙トレイ(他のトレイ)18に送られる。排紙トレイ16、18の選択は、排紙トレイ駆動部52により排紙トレイ16、18を上下移動させてなされる。
【0019】
図7は本発明の後処理装置の側面図、図8は本発明の後処理装置に組み込まれた上面排紙トレイの積載センサ90を示す斜視図、図9は後処理装置の斜視図である。この後処理装置には上面排紙トレイ70が設けられている。また、上面排紙トレイ70には、上面排紙トレイ70の堆積可能枚数(例えば、250枚)に対応して、積載センサ90が設けられている。積載センサ90は、堆積した用紙20によって押圧されて回転軸91a廻りに回動するアクチュエータ91と、このアクチュエータ91が回動したことによりONとなるマイクロスイッチ等のスイッチ機構92とを備えている。また、スイッチ機構92のON/OFFに基づいて、用紙切替フラップ72を動作させる切替機構93が設けられている。切替機構93は、スイッチ機構92がONとなった場合に、上側搬送路74側から下側搬送路80側に切替を行う。
【0020】
上面排紙トレイ70には入口ローラ22、用紙切替フラップ72、上側搬送路74、上面排紙ローラ76を介して用紙20が排紙される。
【0021】
この経路を利用した排紙は、待機トレイ10、処理トレイ12、ステイプラ14を介さずに直接排紙されるので、排紙スピードを高めることができる。
【0022】
なお、後処理を行う際には、入口ローラ22、用紙切替フラップ72、下側搬送路80、給紙ローラ24、待機トレイ10、処理トレイ12、ステイプラ14を経由して、用紙束21が第1の排紙トレイ16又は第2の排紙トレイ18のいずれかに排紙される。第1の排紙トレイ16と第2の排紙トレイ18の選択設定は使用者が行う。部署毎に使用排紙トレイを設定しても良いし、使用者を個別に選別して排紙トレイ16,18の設定を行っても良い。
【0023】
また、上面排紙トレイ70に開閉蓋78を設けることができる。この場合、開閉蓋78にカギをかければ、他人には見られたり取られてはいけない書面の管理が可能となる。
【0024】
当然ながら、開閉蓋78を設けなくても良い。このようにするとステイプル等の後処理を行わない書面は上面排紙トレイ70に直接排紙できるので、搬送距離が短くなる関係からスループットの向上が可能となる。
【0025】
図10乃至18を参照して本発明の後処理装置の動作を説明する。図10に示すように、MFP1から送られてきた用紙20は入口ローラ22を介して矢印で示すように給紙ローラ24に送られる。
【0026】
次に図11に示すように、給紙ローラ24を通って待機トレイ10に1枚目の用紙が蓄積される。その際待機トレイローラ28が矢印で示すように下がって待機トレイ10に供給された用紙20を待機トレイ10の後端(上流側)60に位置合わせする。
【0027】
次に図10に示されるように、待機トレイローラ28が上昇し、2枚目の用紙20aを受け入れる準備をする。
【0028】
準備が完了すると図13に示されるように2枚目の用紙20aが待機トレイ10に送られ、待機トレイローラ28が下降して用紙の位置を待機トレイ10の後端60に整える。このようにして待機トレイ10には2枚の用紙20、20aからなる用紙束20bが形成される。
【0029】
次に図14に示されるように待機トレイローラ28が上昇し、更に図3に示されるように待機トレイ部品10a、10bが開いて、アクティブドロップが図15に示されるように実行され、用紙束20bは処理トレイ12に送られる。
【0030】
その後、3枚目からの用紙20cは、図16に示されるように待機トレイ10を経由せずに、給紙ローラ24から直接処理トレイ12に送られ、2枚の用紙束20b上に堆積されて所定枚数の用紙束21を形成する。この際、縦横整合機構38、47が機能して、縦横の用紙整合が実行される。
【0031】
この際、図16に示されるように、待機トレイ10の後端60が処理トレイ12の後端(上流側)62より下流側に存在するように、待機トレイ10の後端60と処理トレイ12の後端62は距離Lだけ横方向に離隔されている。このような構成とすると、待機トレイ10から処理トレイ12への用紙束20bの落下が容易となり、縦横整合機構38、47による整合動作も容易にできる。その結果ジャムの発生を防止できる。
【0032】
なお、待機トレイ10及び処理トレイ12は、上流側を下にして斜めに傾けられて配置されることが望ましい。即ち、それぞれの後端60,62が最も下に位置するようにし、用紙20及び用紙束21の自重によって用紙20及び用紙束21が後端60、62に整合可能にする。
【0033】
更に、図13乃至図16に示されるように、(1)待機トレイ10の搬送方向のサイズが用紙20のサイズより小さくなっており、(2)処理トレイ12の搬送方向のサイズが用紙20のサイズより小さくなっている。また、(3)前記(2)の関係から待機トレイ10から処理トレイ12に紙が落下した際、用紙20は処理トレイ12と排紙トレイ16に跨って積載される。これら(1)〜(3)の構成を採用しているので、後処理装置(フィニッシャ)の搬送方向のサイズを小さくできる。
【0034】
次に図17に示すように、用紙束21をステイプラ14によりステイプル処理する。そして、図18に示すように、搬送機構50により用紙束20を排紙トレイ16に送り、後処理が終了する。
【0035】
なお、後処理を必要としない場合には、図19に示すように待機トレイ10、処理トレイ12を経由せず直接上面排紙トレイ70に排紙する。図19に示すように、MFP1から送られてきた用紙は入口ローラ22、用紙切替フラップ72、上側搬送路74、上面排紙ローラ76を介して、上面排紙トレイ70に送られる。
【0036】
なお、上面排紙トレイ70に堆積した用紙20が一定枚数に達すると、堆積した用紙20によってアクチュエータ91が押圧されて回動し、アクチュエータ91に当接したスイッチ機構92がONとなる。切替機構93は、スイッチ機構92がONとなった場合に、上側搬送路74側から下側搬送路80側に切替を行うため、用紙切替フラップ72が下側搬送路80側に切り替わり、用紙20が下側搬送路80を経由して排紙トレイ16又は排紙トレイ18に堆積される。したがって、後処理を必要としない用紙20が上面排紙トレイ70の堆積可能枚数を超えた場合であっても、排紙トレイ16又は排紙トレイ18によって保持すること可能となる。
【0037】
上述したように本実施の形態に係るシート後処理装置によれば、MFP1でプリントした用紙20のうち、フィニシャによる処理が行われない用紙20が排出される上面排紙トレイ70に所定の枚数が堆積した場合においては、排紙トレイ16,18に堆積されることとなり、上面排紙トレイ70の堆積可能枚数を超えても用紙20を保持することが可能となる。
【0038】
なお、上述した構成は、入口ローラ22から上面排紙トレイ70への距離が、入口ローラ22から排紙トレイ16,18への距離に対して十分に短い(例えば5分の1)場合に特に有効であり、また、待機や後処理が行われる時間が長い場合ほど有効である。
【0039】
本発明の実施例を一実施形態を参照して説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されない。実施例に示された各構成要素はその機能が同じであれば他の構成要素に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の後処理装置の要部の斜視図である。
【図2】本発明の後処理装置の要部の上面図である。
【図3】本発明の待機トレイの動作を説明する図である。
【図4】本発明の後処理装置の縦整合と用紙束搬送機構を説明する図である。
【図5】本発明の後処理装置の横整合機構を説明する図である。
【図6】本発明の後処理装置のステイプラの動作を説明する図である。
【図7】本発明の後処理装置の側面図である。
【図8】本発明の後処理装置に組み込まれた上面排紙トレイの積載センサを示す斜視図である。
【図9】本発明の後処理装置の斜視図である。
【図10】本発明の後処理装置における入口ローラと給紙ローラ間における1枚目の用紙の流れを説明する図である。
【図11】本発明の後処理装置における給紙ローラと待機トレイ間における1枚目の用紙の流れを説明する図である。
【図12】本発明の後処理装置における給紙ローラと待機トレイ間における2枚目の用紙の流れを説明する図である。
【図13】本発明の後処理装置における待機トレイローラの動作を説明する図である。
【図14】本発明の後処理装置における待機トレイローラの動作を説明する図である。
【図15】本発明の後処理装置におけるアクティブドロップの動作を説明する図である。
【図16】本発明の後処理装置における3枚目の用紙の流れを説明する図である。
【図17】本発明の後処理装置におけるステイプラの動作を説明する図である。
【図18】本発明の後処理装置における処理トレイと排紙トレイ間の用紙束の流れを説明する図である。
【図19】本発明の後処理装置における第3の排紙トレイへの用紙の直接排紙の流れを説明する図である。
【符号の説明】
【0041】
10…待機トレイ、12…処理トレイ、14…ステイプラ、16…第1の排紙トレイ、18…第2の排紙トレイ、20…用紙、21…用紙束、22…入口ローラ、22a…上入口ローラ、22b…下入口ローラ、24…給紙ローラ、26…入口ローラモータ、28…待機トレイローラ、30…待機トレイローラ駆動源、32…待機トレイローラモータ、34…待機トレイモータ、36…ペーパーパス、38…縦整合ローラ38、40…縦整合上ローラモータ、42…縦整合下ローラモータ、44…パドル、45…ストッパー、46…パドルモータ、47…横整合機構、48…横整合モータ、49…ステイプル駆動部、50…搬送機構、52…排紙トレイ駆動部、60…待機トレイの後端、62…処理トレイの後端、70…上面排紙トレイ、72…用紙切替フラップ、74…下側搬送路、76…上面排紙ローラ、78…開閉蓋、80…下側搬送路、90…積載センサ、91…アクチュエータ、92…スイッチ機構、93…切替機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MFP本体から搬送されたシートを受取り搬送する入口ローラと、
この入口ローラから送られたシートを前記上側搬送路と前記下側搬送路とに分ける用紙切替フラップと、
前記上側搬送路の終端部に設けられ、後処理を行わない場合に前記入口ローラから送られたシートを積載する上面排紙トレイと、
前記下側搬送路に設けられ、後処理を行う場合に前記入口ローラから送られたシートを後処理する後処理機構と、
前記下側搬送路の終端部に設けられ、前記後処理機構により後処理されたシートを積載する他のトレイと、
前記上面排紙トレイに設けられ、前記上面排紙トレイに所定枚数のシートが積載されたことを検知する上面排紙トレイ積載センサと、
この上面排紙トレイ積載センサにより所定枚数のシートが積載されたことが検知された時点で、前記用紙切替フラップを前記下側搬送路側に切り替える切替機構と、
を具備することを特徴とするシート後処理装置。
【請求項2】
前記上側搬送路に対し前記下側搬送路が長く形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項3】
前記上側搬送路を前記シートが通過する時間に対し前記下側搬送路を前記シートが通過する時間が長いことを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−76898(P2007−76898A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−270515(P2005−270515)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】