説明

シート給送装置及び画像形成装置

【課題】シート積載部に積載されたシート情報が間違っている場合でも適切にシートを給送することのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】昇降可能なシートトレイ105に積載され、予め入力部によって入力されたシート情報に基づくエアの吹き付け条件に応じてファン609を駆動してエアの吹き付けシートトレイ105に積載されたシートを捌く。捌かれたシートの最上位シートS1の位置を、位置検出部607,608により検出する。そして、エアの吹き付けにより捌かれた最上位シートS1を位置検出部607,608が検出した場合にはシートトレイ105を下降させる。また、エアを吹き付けても位置検出部607,608が最上位シートS1を検出せず、昇降検出部がシートトレイ105の上昇した場合には入力部によって入力されたシート情報がシート積載部105に積載されたシートと異なっていると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置及び画像形成装置に関し、特にシートに空気を吹き付けることによりシートを分離給送するようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機等の画像形成装置においては、シートを1枚ずつ画像形成部に給送するためのシート給送装置を備えている。ここで、このようなシート給送装置としては、摩擦ローラを利用する他に、例えばシート収納部である収納庫に積載されたシート束からシートを1枚ずつ給送するために、シート束端部に気体、例えば空気(エア)を吹き付けるようにしたものがある。
【0003】
そして、このように空気を吹き付けることにより、シートを複数浮上、分離させ、さらにはシートを搬送ベルトに吸着して送り出すようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0004】
図20は、このような従来の、いわゆるエア給紙方式のシート給送装置の構成を示す図であり、図20において11は収納庫である。この収納庫11は、不図示の画像形成装置本体に引き出し自在に設けられると共に、複数のシート(シート束)が載置される昇降可能なシートトレイ12を備えている。
【0005】
また、シートのシート給送方向上流側の端部である後端位置を規制する後端規制板13、シート搬送方向と直交する方向(以下、幅方向という)の端部である側端位置を規制する横規制板14を備えている。なお、後端規制板13及び横規制板14はシートのサイズによって位置を任意に変えられるように構成されている。また、収納庫11を不図示の画像形成装置本体に引き出し可能に収納するためのスライドレール15等を備えている。
【0006】
また、30は吸着搬送部であり、この吸着搬送部30は、分離ファン31、捌きノズル33及び分離ノズル34を備えた分離ダクト32、吸着ファン36、吸着シャッタ37及びシートを吸着搬送する吸着搬送ベルト21等を備えている。なお、図20は、ユーザが収納庫11を引き出した後、シートをセットして再び画像形成装置本体内に収納庫11を収納した状態を示している。
【0007】
このように収納庫11を収納すると、不図示の駆動手段によってシートトレイ12が図21の矢印Aに示す方向に上昇し始め、シートトレイ上のシート束上面と吸着搬送ベルト21との距離がBになる位置で停止し、不図示の制御部からの給送信号に備える。
【0008】
次に、不図示の制御部から給送信号が入力されると、分離ファン31が作動し、図22に示すように矢印C方向へ空気を吸い込む。この空気は分離ダクト32を介して捌きノズル33、分離ノズル34からそれぞれ図中D、E方向からシート束STに吹き付けられ、これに伴いシート束STのうちの上部に位置する数枚のシートSAが浮上する。また、一方で吸着ファン36を作動させ、図中F方向に空気を吐き出す。この際、吸着シャッタ37はまだ閉じられている。
【0009】
この後、給送信号を検出してから所定時間が経過し、数枚のシートSAの浮上が安定したところで、図23に示すように吸着シャッタ37を矢印G方向に回転させる。これにより、吸着搬送ベルト21に形成された不図示の吸引穴から図中H方向への吸引力が発生し、浮上した数枚のシートSAのうち最上位のシートSB(以下、最上位シートという)が吸着搬送ベルト21に吸着される。
【0010】
次に、このように最上位シートSBを吸着した後に、図24に示すように吸着搬送ベルト21が巻き付けられているベルト駆動ローラ41を矢印J方向に回転させることにより、吸着搬送ベルト21が回転し、最上位シートSBは矢印K方向に搬送される。そして、最終的に、最上位シートSBは、図中L、M方向に回転する引き抜きローラ対42により、吸着搬送ベルト21引き抜かれた後、次の搬送路へ送られる。
【0011】
ところで、このような従来のシート給送装置において、例えば図25に示すように浮揚している最上位シートSBの位置を検出する位置検出センサ101,102を設けるようにしたものがある。そして、この位置検出センサ101,102により、最上位シートSBが所定範囲内の浮揚位置にあるか否かを判定し、所定範囲外にある時は、シートトレイを昇降させるようにしている。これにより、浮揚している最上位シートSBの位置をシートの給送が可能となる所定範囲内に位置するように制御している(特許文献2参照)。
【0012】
このようなシート給送装置の場合、例えばエア吐出動作中、最上位シートSBが所定範囲よりも下方にある場合は、シートトレイを上昇させ、最上位シートSBが所定範囲よりも上方にある場合は、シートトレイを下降させるように制御する。
【0013】
なお、図25においては、浮揚している最上位シートSBを検出する位置検出部として、2つの位置検出センサ101,102を用いているが、吸着搬送ベルト21から最上位シートSBまでの距離を測定する距離測定センサを用いても構わない。
【0014】
また、従来のシート給送装置において、例えばシートの種類(材質、厚さ、重さ等)により、シートの浮揚量が異なるため、最適な浮揚量となるように空気の吐出量を制御するようにしたものがある。例えば、図26に示すように、シート給送方向の先端部近傍に距離測定センサ103を配置し、この距離測定センサ103にて、ベルト面から浮揚される最上位シートSBの距離を認識するようにしたものがある(特許文献3参照)。
【0015】
そして、このようなシート給送装置の場合、距離測定センサ103からの距離情報に基づき、分離ファン31の回転数を制御することによりエアの吐出量を制御し、最上位シートSBの浮揚量が最適な浮揚量となるようにしている。例えば、シートが薄いもしくは軽い材質の場合は、分離ファン31の回転数を低く(遅く)なるように制御し、シートが厚いもしくは重い材質の場合は、分離ファン31の回転数を高く(速く)なるように制御する。
【0016】
なお、画像形成装置の操作部から、シートトレイに積載されたシートの種類(材質、厚さ、重さ等)を入力することで、入力されたシートの種類に応じて空気の吐出量を一義的に決定するように制御するものも提案されている。
【0017】
【特許文献1】特開平7−196187号公報
【特許文献2】特開2005−272019号公報
【特許文献3】特開平7−89625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、従来のシート給送装置において、最上位シートの浮揚位置を判定して最上位シートの位置を所定範囲内に保つように制御するものの場合、シートトレイに積載されているシートが最適な捌き状態となっているかどうかまでは判別することはできない。
【0019】
このため、シートトレイに積載されているシートが薄いもしくは軽い材質の場合に、分離ファンの回転数を目標よりも速くすると、シートの捌き状態が安定せず、ジャム、斜行、位置ずれ、傷、折れ、汚れ等の不具合が発生することがある。また、シートトレイに積載されているシートが厚いもしくは重い材質の場合に、分離ファンの回転数を目標よりも遅くすると、シート間に適切な空気が流入されずに、シートの重送などの不具合が発生することがある。
【0020】
また、ベルト面から最上位シートまでの距離を認識し、これに基づいて分離ファンの回転数を制御することにより空気の吐出量を制御するものの場合、シートの種類を変更するたびに、分離ファンの回転数を変更するように制御する必要がある。このため、給紙開始までに時間がかかってしまうようになる。
【0021】
ところで、操作部からシートの種類に関する情報を入力し、入力された情報に応じて空気の吐出量を一義的に決定するように制御するものの場合、シートの種類の情報が実際にシートトレイに積載されたシートの種類と間違って入力される場合がある。
【0022】
この場合には、分離ファンの回転数が適切でない値となり、この結果、上記のようなシートの重送や斜行、位置ずれ、傷、折れ、汚れ等の不具合が発生することがあった。つまり、シートの種類に関する情報が間違って入力されると、適切にシートを給送することができないという問題があった。
【0023】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、シートトレイに積載されたシート情報が間違っている場合でも適切にシートを給送することのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、昇降可能なシートトレイと、前記シートトレイに積載されたシートにエアを吹き付けてシートを捌くファンを有するエア吹き付け部と、捌かれたシートの最上位のシートを吸着して搬送する吸着搬送機構と、前記エアの吹き付けにより捌かれた前記シートトレイに積載されたシートの最上位シートの位置を検出する位置検出部と、を備え、前記エアの吹き付けによりシートを捌いたときに、前記位置検出部による前記最上位シートの検出に基づいて前記シートトレイを下降させるように制御するシート給送装置において、前記シートトレイの昇降を検出する昇降検出部と、前記シートトレイに積載されたシートに応じたシート情報を入力する入力部と、を備え、前記入力部から入力されたシート情報に基づいたエアの吹き付け条件に応じて前記エア吹き付け部がエアを吹き付けたときに、前記位置検出部が、前記最上位シートがシート給送可能位置にあることを検出せず、前記昇降検出部が前記シートトレイの上昇を検出した場合には前記入力部によって入力されたシート情報が前記シートトレイに積載されたシートと異なっていると判断することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明のように、シートを捌く際、位置検出部が最上位シートを検出せず、シートトレイが上昇した場合にはシートトレイに積載されたシート情報と実際のシートとが異なっていると判断することにより、適切にシートを給送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成図である。
【0028】
図1において、1000はプリンタであり、このプリンタ1000は、プリンタ本体1001と、プリンタ本体1001の上面に配されたスキャナ2000とを備えている。
【0029】
ここで、原稿を読み取るスキャナ2000は、走査光学系光源201、プラテンガラス252、開閉する原稿圧板251、レンズ204、受光素子(光電変換)205を備えている。また、画像処理部206、画像処理部206にて処理された画像処理信号を記憶しておくためのメモリ部208等を備えている。
【0030】
そして、原稿を読み取る際には、プラテンガラス252の上に載置された不図示の原稿に走査光学系光源201によって光を照射することにより読み取るようにしている。そして、読み取った原稿画像は画像処理部206により処理された後、電気的に符号化された電気信号207に変換されて作像手段たるレーザスキャナ111に伝送される。
【0031】
なお、画像処理部206にて処理され、符号化された画像情報を一旦メモリ部208に記憶させ、後述するコントローラ120からの信号によって、必要に応じてレーザスキャナ111に伝送することもできる。
【0032】
プリンタ本体1001の側面には大容量のペーパーデッキ1002が接続されている。また、プリンタ本体1001の内部には、ペーパーデッキ1002から給送されたシートSを画像形成部1005に搬送するシート搬送装置1004と、プリンタ1000を制御するための制御手段たるコントローラ120等を備えている。
【0033】
ここでシート搬送装置1004は、レジスト前ローラ対130及びレジストローラ対110を有するレジストローラ部とを備えている。そして、ペーパーデッキ1002から給送されたシートSはシート搬送路109を通過した後、レジスト前ローラ対130を経てレジストローラ対110に導かれるようになっている。さらに、シートSは、この後、レジストローラ対110によって画像形成部1005に搬送されるようになっている。
【0034】
画像形成部1005は、感光ドラム112、レーザスキャナ111、現像器114、転写帯電器115、分離帯電器116等を備えている。そして、画像形成の際には、レーザスキャナ111からのレーザ光がミラー113によって折り返されて時計方向に回転する感光ドラム上の露光位置112aに照射されることにより、感光ドラム上に潜像が形成される。さらに、このようにして感光ドラム上に形成された潜像は、この後、現像器114によってトナー像として顕像化されるようになっている。
【0035】
なお、この感光ドラム上のトナー像は、この後、転写部1006において、転写帯電器115によりシートSに転写される。さらに、このようにトナー像が転写されたシートSは、分離帯電器116により感光ドラム112から静電分離された後、搬送ベルト117により定着装置118に搬送されてトナー像の定着が行われ、この後、排出ローラ119によって排出される。また、定着装置118と排紙ローラ119の間の搬送経路中に排紙センサ121が設けられており、この排紙センサ121により排出されるシートSの通過が検出できるように構成されている。
【0036】
なお、本実施の形態においては、プリンタ本体1001とスキャナ2000とは別体であるが、プリンタ本体1001とスキャナ2000とが一体の場合もある。また、プリンタ本体1001はスキャナ2000と別体でも一体でも、レーザスキャナ111にスキャナ2000の処理信号を入力すれば複写機として機能し、FAXの送信信号を入力すればFAXとして機能する。さらに、パソコンの出力信号を入力すれば、プリンタとしても機能する。
【0037】
逆に、スキャナ2000の画像処理部206の処理信号を、他のFAXに送信すれば、FAXとして機能する。また、スキャナ2000において、原稿圧板251に変わって2点鎖線で示すような原稿自動送り装置250を装着するようにすれば、原稿を自動的に読み取ることもできる。
【0038】
ところで、ペーパーデッキ1002は、シート束STを収容している上部シート収容部303と、下部シート収容部103を備えている。そして、下部シート収容部103のシート束STのシート搬送方向(矢印A方向)の後端側には後端規制板104が備えられている。なお、この後端規制板104はシート束STのサイズに応じて移動し、シート束STの先端側が、シート収納部103のシート搬送方向先端側にそろえられるように、シート束STの後端側を規制するものである。
【0039】
また、ペーパーデッキ1002は、上部及び下部シート収容部303,103に収納されたシートを空気により分離して給送するシート給送装置である上部及び下部シート分離給送装置202A,107を備えている。
【0040】
さらに、ペーパーデッキ1002は、上部及び下部シート分離給送装置202A,107によるシートの給送を制御する制御部300を備えている。そして、この制御部300には、図1及び図2に示すシート検知センサ17〜19,24〜26からシートの通過を示す信号が入力される。また、図2に示すシートサイズ入力部30から上部及び下部シート収容部303,103に格納されるシートのサイズ及び種類、坪量などのシート情報が入力されるようになっている。
【0041】
なお、図1において、202、102は上部及び下部シート分離給送装置202A,107に設けられた吸着搬送機構としての吸着搬送ベルト、10、20は吸着搬送ベルト102,202に吸着されたシートを引き出す引抜きローラ対である。11〜16及び21〜23は搬送ローラ対であり、305、105はシート束STが積載される昇降可能なシートトレイである。
【0042】
そして、引抜きローラ対10,20は、図2に示す引抜モータM10、M20により、搬送ローラ対11〜16は搬送モータM11〜M16により、搬送ローラ対21〜23は搬送モータM21〜M23によりそれぞれ独立して駆動される。また、シートトレイ305,105は、リフタモータM05,M205により昇降する。
【0043】
ここで、図3は、シートを空気により分離して給送する上部シート収容部303の構成を示す図である。図3において、F151は捌きファン、151は捌きノズル、F152は分離ファン、152は分離ノズル、202は吸着搬送ベルト、F150は吸引ファンである。なお、吸着搬送ベルト202は図2に示す吸着搬送ベルトモータM102により回転駆動される駆動ローラ202aにより駆動される。
【0044】
そして、シートを給送する際は、まず上部シート分離給送装置202Aにおいて、給送前動作として捌きファンF151が回転し、これにより捌きノズル151及び分離ノズル152からシート束STの上部に向かってそれぞれ空気が吹き出される。この結果、シート束STの上部の数枚のシートが捌かれながら浮上する。なお、この捌きファンF151、捌きノズル151及び分離ノズル152によりシートトレイ305に積載されたシートに空気を吹き付けてシートを捌くエア吹き付け部が構成される。
【0045】
次に、制御部300から、給送開始信号が発信されると、吸引ファンF150が回転し、これにより吸着搬送ベルト202内には負圧が発生する。つまり、吸引力が発生する。これにより、シートの吸引が開始され、シート束STの最上位シートS1が一枚だけが吸着搬送ベルト202に貼り付けられる。そして、所定時間後、吸着搬送ベルト202は、シートS1が貼りついた状態で吸着搬送ベルトモータM102により回転が開始され、シートS1は矢印A方向に搬送される。
【0046】
次に、シートS1の先端が駆動ローラ部に達すると、シート先端部は、吸引ファンF150による吸引力から開放され、吸着搬送ベルト202から離れて引抜きローラ対20に受け渡される。そして、このようにシートS1の先端が引抜きローラ対20に到達すると、吸引ファンF105による負圧が開放されるようになり、これによりシートS1は引抜きローラ対20の搬送力によってのみ搬送される。
【0047】
次に、シートS1の後端が、吸着搬送ベルト202から抜けた後、再び、制御部300から給送開始信号が発信されると、既述したような給送動作が開始され、次のシートS2が分離給送される。なお、本実施の形態においては、給送開始信号が発信される前に給送前動作として、捌きファンF151を動作させているが、給送開始信号が発信された後に、捌きファンF151を動作させるように制御しても構わない。
【0048】
図4は、下部シート収容部103の構成を示す図である。図4において、612は給紙ファン、613は給紙ファンダクトである。そして、給紙ファン612を回転させることで生じた吸い込み方向の風圧を、給紙ファンダクト613を通して吸着搬送ベルト102に与えることにより、シート束STの最上位シートS1を吸着搬送ベルト102に吸着するようにしている。
【0049】
また、609はシートトレイ105に収納されたシート束STを給紙動作に先行して捌いておく目的で設けられた捌きファン、610は捌きファンダクトである。そして、捌きファン609を回転させることで生じた吐き出し方向の風圧を、捌きファンダクト610によってシート束STの最上位シートS1の近辺に与えることで、シート給送動作時に複数枚のシートが一度に給紙されること(重送)を防いでいる。
【0050】
そして、シートを給送する際は、まず給送前動作として捌きファン609を回転させ、捌きファンダクト610によってシート束STの最上位シートS1の近辺に吐き出し方向の風圧を与えることで、シート束STの上部の数枚のシートを浮上させる。なお、この捌きファン609、捌きファンダクト610によりシートトレイ105に積載されたシートに空気を吹き付けてシートを捌くエア吹き付け部が構成される。
【0051】
次に、制御部300から、給送開始信号が発信されると、給紙ファン612を回転させ、これにより生じた吸い込み方向の風圧を、給紙ファンダクト613を通して吸着搬送ベルト102に与える。この結果、シート束STの最上位シートS1が吸着搬送ベルト102に吸着される。
【0052】
そして、所定時間後、吸着搬送ベルトモータM102を回転させる。これにより、吸着搬送ベルト102は、シートS1が貼りついた状態で回転を開始し、シートS1は矢印A方向に搬送される。この後、吸着搬送ベルト102に吸着されたシートS1は、給紙リトライセンサ620及び引き抜きローラ10側へ搬送される。
【0053】
なお、シートトレイ105は、プーリ603を経由してリフタモータM205の駆動により上下に移動するようになっている。ここで、このリフタモータM205には図2に示すエンコーダ160が取り付けられており、このエンコーダ160によってリフタモータM205の駆動量、つまりシートトレイ105の移動量を知ることが可能である。
【0054】
下部シート収容部103の底面にはシートトレイ105の下限位置を検知するための下限検知センサ605が配置されている。なお、本実施の形態においては、シートトレイ105の昇降を検出する昇降検出部を既述したエンコーダ160により構成している。
【0055】
つまり、エンコーダ160の回転方向によりシートトレイ105の移動(昇降)方向を知ることができる。なお、吸着搬送ベルトモータM102の制御信号によりシートトレイ105の移動方向を知ることもできる。
【0056】
一方、シートトレイ105の上方には、シートの有無を検知するためのシート有無検知センサ606、捌きファン609による風圧で浮上した最上位シートの位置を検出するシート浮上下限センサ607及びシート浮上上限センサ608が配置されている。
【0057】
ここで、シート有無検知センサ606はフラグによりシートを検知する機械式のものであり、シート浮上下限及び上限センサ607,608は光によりシートを検出する光学式のものである。
【0058】
また、シート有無検知センサ606は、シート浮上下限及び上限センサ607,608よりも下方に配置されている。これにより、シートトレイ105に積載されたシート束STが給紙開始位置へ上昇してくる際、シート浮上下限及び上限センサ607,608よりも先にシート有無検知センサ606がシート束STの上面を検知し、シートの有無を検知できるようになっている。
【0059】
また、第1の検知部であるシート浮上下限センサ607は、第2の検知部であるシート浮上上限センサ608よりも下方に位置している浮上シートを検出できるように感度調整がなされている。そして、このように2つのセンサ607,センサ608の感度調整を行うことにより、浮上した最上位シートがシートの給送が可能な所定範囲内に位置しているかを検出できる構成となっている。
【0060】
なお、エアの吹き付けにより捌かれた際、シートトレイに積載されたシートの最上位シートの位置を検出する位置検出部を構成するシート浮上下限及び上限センサ607,608の検出状態とシート給送状態との関係は後述する。
【0061】
ここで、図4はシートS1を吸着搬送ベルト102に吸着した状態を示しているが、シート浮上下限及び上限センサ607,608によりシートの浮上位置を検出する時は、図5に示すように、捌きファン609だけを動作させている間に行う。即ち、給紙ファン612は動作させずに、捌きファン609を動作させている間に、シート浮上下限及び上限センサ607,608に基づいてシートS1の浮上位置を検出し、この検出結果に基づいてシートトレイ105の昇降を制御するようにしている。
【0062】
なお、給紙ファン612及び捌きファン609がともに非動作状態におけるシート束STのシート給送待機位置をシート浮上下限センサ607のオンエッジとするようにしても、シート有無検知センサ606のオンエッジとしても構わない。
【0063】
次に、図6を用いてシート浮上下限センサ607とシート浮上上限センサ608の論理について説明する。
【0064】
給紙ファン612及び捌きファン609がともに非動作状態におけるシート束STのシート給送待機位置をシート浮上下限センサ607のオンエッジとすると、図6の(a)に示す状態がシート束STの待機状態となる。なお、このような待機状態のとき、図6の(b)に示すように、最上位シートS1は、図5に示すシート浮上上限センサ608の検出可能下限(第1の検出位置)よりも下方に位置している。
【0065】
この状態で捌きファン609を駆動するとシート束STの上方が数枚捌かれ、シート束STの最上位シートS1が浮上する。これにより、最上位シートS1は、図5に示すシート浮上下限センサ607の検出可能下限よりも上方の、シート浮上上限センサ608の検出可能下限(第2の検出位置)よりも上方に移動する。
【0066】
そして、この後、図5に示すように、浮上した最上位シートS1がシート浮上下限センサ607とシート浮上上限センサ608の間に入る位置(紙面制御最適位置)となるようシートトレイ105の昇降が制御される。
【0067】
なお、図4及び図5において、シート浮上下限及び上限センサ607,608はシート給紙方向に配列されているが、シート給紙方向に対して直交する方向である幅方向に配列することにより、より正確な検出が可能となる。また、シート浮上下限及び上限センサ607,608の代わりに距離を測定可能な測距センサを用いても良い。
【0068】
図7は図1に示したプリンタ本体1001のコントローラ120とペーパーデッキ1002の制御部300の構成を示すブロック図である。
【0069】
プリンタ本体1001のコントローラ120は、CPU201、ROM206、RAM205、通信インターフェイス(I/F)207、入出力ポート204、画像処理部170及び画像メモリ部3で構成されている。
【0070】
CPU201は、プリンタ本体1001の基本制御を行うものであり、制御プログラムが書き込まれたROM206、処理を行うためのRAM205及び入出力ポート204が、アドレスバスとデータバスにより接続されている。なお、RAM205の一部の領域は電源オフされてもデータが消去されないバックアップRAMとなっている。入出力ポート204には、プリンタ本体1001が制御するモータやクラッチなどの各種負荷装置や、シートの位置を検知するシート検知センサなどの入力装置が接続されている。
【0071】
そして、CPU201は、ROM206に格納された制御プログラムの内容に従って、入出力ポート204を介して順次入出力の制御を行い、画像形成処理を実行する。また、CPU201にはシートトレイ105に積載されたシートに応じたシート情報を入力する入力部である操作部203が接続されており、CPU201は操作部203の表示部やキー入力部を制御する。
【0072】
使用者はキー入力部を通して、画像形成動作モードや表示の切換えをCPU201に指示し、CPU201は後述する図8に示す操作部203の表示部に対して、プリンタ本体1001の動作状態や、キー入力によって設定された動作モードの表示を行う。さらにCPU201には、イメージセンサ部205で電気信号に変換された信号を処理する画像処理部170と、処理された画像を蓄積する画像メモリ部3とが接続されている。
【0073】
一方、ペーパーデッキ1002の制御部300は、図1を用いて説明した動作を実現するために、CPU2201、ROM2202、RAM2203、通信インターフェイス(I/F)2204及び入出力ポート2205で構成されている。
【0074】
CPU2201は、操作部2206が接続されると共に、入出力ポート2205を介して、既述したシート浮上下限及び上限センサ607,608から検出結果が入力される。そして、この検出結果に基づきリフタモータM205、捌きファン609及び給紙ファン612へ駆動命令を出力する。
【0075】
図8は、プリンタ本体1001に設けられた操作部203の構成を示す図である。なお、ペーパーデッキ1002の制御部300に接続される操作部2206も同様の構成とすることができる。
【0076】
図8において、3001は表示部であり、プリンタ本体1001及びペーパーデッキ1002の動作状態やユーザへの作業指示といった各種メッセージや作業手順等が表示される。また、表示部3001の表面はタッチパネルにより構成されており、表面に触れることにより選択キーとして働く。
【0077】
3002は数字を入力するためのテンキー、3003はコピー動作を開始するスタートキー、3004は応用モード選択キーであり、シート表面の材質や、坪量、表面平滑性などのシート種類に関する情報(条件)を入力できるようになっている。
【0078】
例えば、図9に示すように、表示部3001からペーパーデッキ内に収容されているシートのマテリアル(種類)を選択することができるようになっている。なお、シート表面の材質や、坪量、表面平滑性などのシート情報を細かに設定可能としても良い。
【0079】
ペーパーデッキ1002の制御部300のROM2202は、表示部3001から設定された図9に示すシートのマテリアルに応じて捌きファン609,F151の回転数を最適な捌き空気が得られるような回転数となるように変更するテーブルを備えている。
【0080】
図10は、ROM2202に記録されているシート情報の一つであるシートの坪量と、捌きファンの回転数との関係を示すテーブルを示す図である。
【0081】
そして、操作画面からシートの坪量が入力されると、回転数制御部であるペーパーデッキ1002の制御部300は、このテーブルに基づき捌きファン609によるエアの吹き付け条件(風圧)が最適となる回転数となるよう捌きファン609の回転数を設定する。なお、設定がなされていない場合は、通常普通紙208の設定となっている。また、図9以外にも、例えば図11に示すようにシートのマテリアル(種類)を細かに設定可能としても良い。
【0082】
図12は、このように入力された例えば、シートの坪量(シート条件)に応じて捌きファン609の回転数を設定した場合の、シート給送動作開始前に行われる最上位シートの正常な紙面制御を説明する図である。
【0083】
図12の(a)に示す状態で捌きファン609が動作すると、図12の(b)に示すようにシート束STの上部に空気が吹き付けられる。
【0084】
そして、このように空気が吹き付けられることにより、シートトレイ105の昇降動作を行わなくても、シート束STの最上位シートはシート浮上下限及び上限センサ607,608の間、或はシート浮上上限センサ608よりも上方へ移動する。
【0085】
なお、このようにシートがシート浮上上限センサ608よりも上方へ浮上した場合は、図12の(c)に示すように、シートトレイ105は最終的にΔL1だけ下降するように制御される。これにより、この後、シートの給送が開始され、空気が吹き付けられると、最上位シートS1はシート浮上下限及び上限センサ607,608の間のシート給送可能位置に移動することができるようになる。
【0086】
ところで、このような紙面制御は操作画面上で設定されたシート条件(情報)とシートトレイ105に積載されたシートとが一致する場合のものである。しかし、操作画面で設定したシート条件と、実際にシートトレイ105に積載されているシートとが異なっている場合がある。
【0087】
例えば、図9に示すような操作画面から薄紙が選択された場合、図11に示すように捌きファン609は25%のPWM駆動にて動作するように制御される。しかし、実際には最厚口がシートトレイ105に積載されているとすると、最厚口の最適ファンPWM値は100%なので、25%のPWM駆動では十分な空気の吹き付けがなされない。
【0088】
この場合、図13の(a)に示す状態で捌きファン609が動作するとシート束STの上部に空気が吹き付けられるが、図13の(b)に示すようにシート束STの最上位シートS1は十分な浮上状態とならない。つまり、最上位シートS1がシート浮上下限センサ607とシート浮上上限センサ608の間に入らない。
【0089】
このため、捌きファン609の回転が安定した(所定時間)後、最上位シートS1がシート浮上下限センサ607とシート浮上上限センサ608の間に入るようにシートトレイ105の昇降が制御される。この結果、シートトレイ105は図13の(c)に示すようにΔL2だけ上昇する。
【0090】
つまり、判断部であるペーパーデッキ1002の制御部300は、シート給送動作開始前に行われる最上位シートの紙面制御において、操作画面で設定したシート条件(情報)と、実際にシートトレイ105に積載されているシートとが一致するかを判断する。そして、シート条件(情報)と、実際にシートトレイ105に積載されているシートとが異なっていると判断した場合、捌きファン609の回転が安定した後、シートトレイ105を上昇させる。
【0091】
このようにシートトレイ105が上昇した場合、本実施の形態においては、図14の(a)に示すように操作画面上で設定したシート条件(情報)とシートトレイ105に積載されたシートが異なっている可能性がある旨の警告を報知するように制御される。
【0092】
また、シートトレイ105が上昇した場合には、捌きファン609のPWM値を徐々にもしくは一気に上昇させるように制御し、最上位シートS1がシート浮上下限センサ607とシート浮上上限センサ608の間に入るようにする。
【0093】
そして、このように最上位シートS1がシート浮上下限センサ607とシート浮上上限センサ608の間のシート給送可能位置に入るようになると、この後、シートトレイ105をΔL1だけ下降するように制御する。
【0094】
なお、捌きファン609のPWM値を徐々にもしくは一気に上昇させてもシートトレイ105が下降しない場合には、何らかの異常状態、例えば捌きファン609、シート浮上下限及び上限センサ607,608、トレイ昇降モータ604の異常が考えられる。このため、この場合には、図14の(b)に示すように、その旨を表示(報知)するように制御される。
【0095】
ところで、このように捌きファン609のPWM値を徐々にもしくは一気に上昇させることにより、シートトレイ105が下降し、かつシート給送待機位置よりも下降したことが検出されれば、その時点で捌きファン609のPWM設定値を固定する。
【0096】
例えば、図13の状態から、捌きファン609のPWM値を徐々にまたは一気に上昇させていった場合、捌きファン609のPWM値が100%となり、シートトレイ105がシート給送待機位置から2.0mm下降したとする。
【0097】
この場合、図15に示す捌きファン609のPWM値と、シートの種類(坪量)、シート給送待機位置からのシートトレイ移動量の関係のテーブルを参照すると、シートトレイ105に積載されているシートは最厚口であると判断することができる。そして、このように判断した場合は、図16のように操作画面上に、シートトレイ105に積載されているシートは最厚口(長厚紙)である旨を報知し、ユーザに確認させることが可能となる。
【0098】
なお、本実施の形態においては、既述した図9に示すように表示部3001にはシートのマテリアルを自動設定するマテリアル自動設定ボタン213及びマテリアルをマニュアル設定するマテリアルマニュアル設定ボタン212が設けられている。
【0099】
そして、例えば図16のような表示がなされた場合には、手動入力部であるマテリアルマニュアル設定ボタン212を操作してシート情報を入力し、このシート情報に応じた捌きファン609のPWM値に変更するように制御するようにする。或は、自動入力部であるマテリアル自動設定ボタン213を操作して自動的にシート情報を入力し、このシート情報に応じた捌きファン609のPWM値に変更するようにする。
【0100】
更に、捌きファン609の各PWM値におけるシート条件(坪量)とシートトレイ105の移動量は図17のような関係にあるため、捌きファンPWM値とシートの坪量とシートトレイの移動量は一義的に決定することが可能である。
【0101】
即ち、図17では捌きファン609のPWM値を25%刻みに、シートの坪量を50g/m刻みに、シートトレイ105の移動量を1mm刻みに表示している。これにより、この3条件のうち2条件が決定すれば、残りの1つを決定することができる。
【0102】
次に、このようなペーパーデッキ1002におけるシート給送動作が開始される前の処理を図18のフローチャートを用いて説明する。
【0103】
まず、シートトレイ105上にシートが積載され、かつシートがシート給送待機位置で待機している状態において、予備捌き信号または給紙前捌き信号が検出されると、ペーパーデッキ1002の制御部300は、捌きファン609をONする(S101)。なお、このとき、捌きファン609は積載されているシートに最適の捌き圧(PWM値)で回転するように制御される。これにより、既述した図12の(b)に示すようにシート束STの上部に空気が吹き付けられる。
【0104】
次に、捌きファン609の回転が安定するまでの所定時間が経過すると(S102のY)、制御部300は、シートトレイ105を昇降させるリフタモータM205をONする(S103)。これにより、シート束STの最上位シートはシート浮上下限センサ607とシート浮上上限センサ608の間、或はシート浮上上限センサ608よりも上方へ移動する(S104のY)。なお、シートトレイ105の昇降動作を行わなくても最上位シートがシート浮上下限センサ607とシート浮上上限センサ608の間にあるときは、シートトレイ105は停止している。
【0105】
ところで、操作画面上で設定されたシート条件とシートトレイ105に積載されたシートとが一致する場合、この後、既述した図12の(c)に示すように、シートトレイ105は最終的にΔL1だけ下降するように制御される。そして、このようにシートトレイ105がΔL1だけ下降した場合は(S104のN)、制御部300は、正常な紙面制御動作を行うよう制御する(S113)。
【0106】
一方、シートトレイ105が上昇した場合は、予め設定したシート条件と実際に積載されているシートが異なっている可能性が高い。このため、予めアラーム表示を行うように設定されている場合には(S105のY)、既述した図14の(a)に示すように、その旨表示する。
【0107】
一方、アラーム表示を行わない場合には(S105のN)、制御部300は、捌きファン609のPWM値を上昇させ、捌きファン609の回転数をUP(増加)するように制御する(S106)。ここで、この後、捌きファン609の回転数をUPさせてもシートトレイ105が下降しなければ(S107のN)、捌きファン609等の異常と判断し、既述した図14の(b)に示すように、操作画面上にエラー表示を行う(S114)。
【0108】
一方、捌きファン609の回転数をUPさせることにより最上位シートがシート浮上上限センサ608よりも上方へ移動すると、この後、シートトレイ105が下降する。そして、このようにシートトレイ105が下降した場合には(S107のY)、制御部300は、捌きファン609のPWMを上昇するのを停止し、捌きファン609の回転数UPを停止する(S108)。さらに、その直前の増加後のPWM値をラッチするように制御する。
【0109】
次に、ラッチされた捌きファン609のPWM値と、実際のシートトレイ105のシート給送待機位置からの移動量と、図17に示す捌きファン609の各PWM値におけるシート条件とシートトレイの移動量との関係を示すテーブルとを比較する(S109)。これにより、実際に積載されているシートのマテリアルを確定する(S110)。
【0110】
そして、このようにマテリアルを確定した後、操作画面上に報知するように制御されている場合には(S111のY)、操作画面上に現在積載されているシートのマテリアルを報知するように制御する。
【0111】
なお、操作画面上に報知するように制御されていない場合には(S111のN)、自動的にマテリアル設定を変更するように制御する(S112)。なお、自動的にマテリアル設置を変更するか否かの選択は操作画面上から行っても構わない。
【0112】
このように、本実施の形態においては、シートを捌く際、シートトレイ105が上昇した場合にはシートトレイ105に積載されたシート情報が間違っていると判断するようにしている。これにより、シートトレイ105に積載されたシートの情報が間違っている場合でも、適切にシートを給送することができる。また、入力されたシートの材質とシートトレイ105に積載されたシートの材質が異なっていると予め判断できるため、誤った設定でのミスコピーをなくすことが可能となる。
【0113】
さらに、入力されたシート情報が異なっている判断した場合には、捌きファン609の回転数とシートトレイ105の移動量の関係からマテリアルを一義的に決定することが可能となるため、設定不良による不具合を解消することができる。
【0114】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0115】
図19は、本実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成図である。なお、図19において、既述した図1と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0116】
図19において、1002’は、プリンタ本体1001に設けられたシート給送装置である。このシート給送装置1002’は、カセット100と、シート給送手段であるピックアップローラ101と、フィードローラ102及びリタードローラ103とから成る分離部を備えている。
【0117】
そして、カセット100内のシートSは所定のタイミングで昇降/回転するピックアップローラ101と、分離部との作用によって1枚ずつ分離給送されるようになっている。また、フィードローラ102とリタードローラ103のシート搬送方向下流側近傍には給紙センサ104が設けられており、この給紙センサ104によりシートSの通過が検出できるように構成されている。
【0118】
1006は、シート束に対して製本処理等の処理を行うためのフィニッシャ、1003はシート挿入装置であり、このシート挿入装置1003は、シート給送装置302,303を備えている。ここで、このシート給送装置302,303は、プリンタ本体1001によって作成されるシート束の合紙、表紙、裏表紙、仕切り紙等として使用するための画像形成が行われていないシートを給送するものである。また、画像形成済のシート、プリンタ本体1001内を搬送させたくないシート等を給送するものである。
【0119】
そして、これらのシート給送装置302,303により、プリンタ本体1001から順次搬送されるシートの間に、合紙、表紙、裏表紙等のシートを挿入し、順次、フィニッシャ1006に送り込むようにしている。
【0120】
このようなシート挿入装置1003を備えたプリンタ1000において、プリンタ本体1001から排出されたシートSは、直後にシート挿入装置1003のシート搬送路301に導かれる。ここで、このシート搬送路301は、入口部から排紙部まで形成されており、シート搬送路301の上方にシート給送装置302が、シート搬送路301の下方にシート給送装置303が配されている。
【0121】
そして、このシート給送装置302,303により、プリンタ本体1001から順次搬送されるシートの間に、既述したようなシートを挿入し、順次、フィニッシャ1006に送り込むようにしている。
【0122】
ここで、シート給送装置303は、シート束STを収容しているシート収容部306を備えており、シート束STの矢印に示すシート搬送方向の、後端側には後端規制板307が備えられている。なお、この後端規制板307はシート束STのサイズに応じて移動し、シート束の先端側が、シート収納部306の搬送方向先端側にそろえられるように、シート束の搬送方向後端側を規制している。
【0123】
そして、このシート給送装置303は、多種のシートに対して安定した分離給送を行うため、既述した図4に示すような空気給紙機構を採用している。また、シート給送装置302は、既述した図3に示すような空気給紙機構を採用している。
【0124】
これにより、シートを給送する際、シート収納部306内のシートは、吸着搬送ベルト308に貼りついた状態で矢印方向に搬送され、この後、引抜きローラ対312の搬送力のみによって搬送速度V2で搬送される。また、シート給送装置302においても、シートは吸着搬送ベルト302bに貼りついた状態で矢印方向に搬送され、この後、引抜きローラ対302aの搬送力のみによって搬送速度V2で搬送される。
【0125】
この後、このシート給送装置302,303からのシートはシート搬送路301の途中の合流点320で、プリンタ本体1001から搬送されたシートと合流し、フィニッシャ1006に搬送される。なお、シートの後端が吸着搬送ベルト302b,308から抜けた後、再び、制御部131から給送開始信号が発信されると、再度、給送動作が開始され、後続シートが分離給送される。
【0126】
そして、このようなシート給送装置302,303を備えることにより、挿入するシートに応じてシート給送装置302,303を随時選択して給送を行うことができる。なお、シートの給送は、2つのシート給送装置302,303により交互に行っても良いし、一方を連続して使用してもよい。
【0127】
フィニッシャ1006では、シート搬送路301から搬送されたシートを順次、積載整合を行う。詳細な動作の説明は省略するが、ここでは、プリンタ本体1001のコントローラ120とフィニッシャの制御部132が通信を行い、シートの大きさ、枚数、種類等々の情報により最適条件を得ている。
【0128】
また、フィニッシャ1006では、製本を行う束毎に不図示のステイプル装置で綴じを行ったり、綴じは行わず、シートの積載のみを行ったりするなど、様々な処理方法を選択することが可能である。
【0129】
次に、10枚の本文をプリンタ本体1001で作成し、シート挿入装置1003で、予め印刷した表紙、裏表紙をつけ、本文の5枚目と6枚目の間に仕切りシートを挿入する束を作成する場合について説明する。
【0130】
なお、本実施の形態において、プリンタ本体1001のカセット100には、本文作成用のシートが収容されている。また、シート挿入装置1003の上段給送装置302には、仕切りシートが収容されており、下段給送装置303には、予め印刷された表紙、裏表紙が交互に積載されたシート束が収容されている。
【0131】
プリンタ本体1001の制御部120は、プリンタ単体の制御のみならず、システム全体の制御も司っているため、束作成信号が入力されると、この束作成信号を、プリンタ本体1001の制御部120が受信する。なお、この束作成信号の入力方法は、プリンタ本体1001に設けられた既述した図8に示す操作部からでも、遠隔地にあるコンピュータ等によって行ってもよい。
【0132】
束作成信号が入力されると、制御部120は、1束の枚数、シート挿入タイミング等のシートに関する情報をシート挿入装置1003の制御部131や、フィニッシャの制御部132に送信する。そして、この情報に基づき、シート挿入装置1003、フィニッシャ1006では稼動準備が開始される。
【0133】
即ち、シート挿入装置1003では、上段の給送装置302からは7枚目のシートである仕切りシートS7が分離給送され、ローラ317を通過後、合流搬送路301に到達する前の停止位置で待機する。下段の給送装置303からは、1枚目のシートである表紙S1が分離給送され、センサ315を通過後、合流搬送路301に到達する前の停止位置で待機する。
【0134】
次に、このような準備が完了すると、まずシート挿入装置1003の表紙S1が給送待機位置から搬送され、これと同時に、プリンタ本体1001では、本文用シートS2〜S6が等間隔で分離給送される。その後、仕切りシートS7が挿入される分、つまりシート1枚分が搬送されるのと同等の時間が空けられた後、シートS8〜S12が分離給送される。
【0135】
そして、裏表紙S13の分、及び2部目の表紙S14の分の、2枚分のシート間隔が空けられた後、2部目の本文シートS15〜S19が分離給送されるようになっている。以上のように、挿入するシートの分の間隔が空けられた状態で、画像形成が行われる。
【0136】
一方、シート挿入装置内で待機している表紙S1は、プリンタ本体1001からシートS2が排出される前に給送待機位置から動き始め、所定速度V1で搬送が開始される。また、シート挿入装置1003内の搬送合流点320の近傍にある搬送ローラ321は、表紙S1の搬送時は、搬送速度V1まで増速される。
【0137】
そして、表紙S1の後端が搬送ローラ321を抜けると、プリンタ本体1001とシート挿入装置1003の搬送受け渡し速度、即ちプリンタ本体1001の排紙速度V0に減速され、シートS2の受け渡しに備える。
【0138】
この後、画像形成が行われたシートS2〜S6が、排紙センサ121を通過し、所定時間後、シート挿入装置1003内に搬送され、シート後端が排紙ローラ119を抜けた後、搬送ローラ321は画像形成速度V0から所定の搬送速度V1まで増速される。この結果、シートS2〜S6はシート挿入装置内で増速され、搬送される。
【0139】
シート搬送速度の増速は、シートS6の後端が合流点320の到達する前に終了している。また、シートS6の後端が合流点320を通過した後、上段給送装置302から分離給送され停止位置で待機していた仕切りシートS7が、搬送速度V1で搬送される。これにより、仕切りシートS7は、シートS6と次にプリンタ本体1001から排出されるシートS8との間に挿入される。
【0140】
こうして、シート搬送路301の合流点320を通過したシートは、搬送速度V1で搬送される。なお、搬送されるシートの先端が、シート挿入装置1003の排紙センサ319を通過したところでシートは再びプリンタ本体1001とシート挿入装置1003の受け渡し速度と同等の搬送速度V0まで減速し、フィニッシャ1006に受け渡される。
【0141】
次に、プリンタ本体1001から搬送されたシートS12は、その後端が排紙ローラ119を抜けた増速点で増速を開始し、搬送速度V0からV1に増速する。一方、停止位置で停止していた裏表紙S13は、シート間隔が所定間隔となるようなタイミングで、搬送速度V1で搬送を開始する。
【0142】
次束の表紙S14は、裏表紙S13が搬送された後でなければ、裏表紙S13の後端が邪魔になり、吸引が開始できないので、裏表紙S13の搬送が開始された後、所定の吸引時間を経て搬送が開始される。
【0143】
本実施の形態では、搬送速度が速いため、十分に吸引時間を確保しながら、待機時間を創造し、シート間隔を維持することができる。そして、このように待機時間が得られるため、分離給送時に想定外の不具合が発生し、シート搬送に遅れが発生したとしても、遅れを待機時間内であれば吸収することができる。
【0144】
また、搬送速度をV0からV1と増速することにより、先行シート後端から後続シート先端までの時間をより長くすることができるので、合流時に発生しやすいシート間の衝突を回避することができる。
【0145】
なお、本実施の形態では、プリンタ本体1001の分離給送方式をリタード方式、シート挿入装置1003の分離給送方式を空気分離方式としたが、分離方式に制約はない。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成図。
【図2】上記プリンタのプリンタ本体に接続されるペーパーデッキの制御ブロック図。
【図3】上記ペーパーデッキに設けられた上部シート収容部の構成を示す図。
【図4】上記ペーパーデッキに設けられた下部シート収容部の構成を示す図。
【図5】上記下部シート収容部に設けられたシート浮上上限及び下限センサのシート検出可能な下限を示す図。
【図6】上記シート浮上上限センサ及びシート浮上下限センサの待機状態における論理を示す図。
【図7】上記プリンタのプリンタ本体及びペーパーデッキの制御ブロック図。
【図8】上記プリンタ本体に設けられた操作部の構成を示す図。
【図9】上記操作部の操作画面を示す図。
【図10】上記ペーパーデッキの制御部のROMに備えられているシートの坪量と、捌きファンの回転数との関係を示す図。
【図11】上記操作部のシート条件を入力する画面の詳細を示す図。
【図12】上記下部シート収容部における正常な最上位シートの紙面制御を説明する図。
【図13】上記下部シート収容部における正常でない最上位シートの紙面制御を説明する図。
【図14】上記操作部の操作画面上の、(a)は操作画面上で設定したシート条件とシートトレイに積載されたシートが異なっている可能性がある旨を表示する画面、(b)は捌きファン等に異常がある旨を表示する画面を表す図。
【図15】上記シート条件による捌きファンPWM値とシートトレイ移動量の関係を表す図。
【図16】上記操作部の操作画面上に表示された警告報知を示す図。
【図17】上記捌きファンPWM値によるシート坪量とシートトレイ移動量の関係を表す図。
【図18】上記ペーパーデッキにおけるシート給送動作が開始される前の処理を説明するフローチャート。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成図。
【図20】従来のシート給送装置の構成を示す図。
【図21】上記従来のシート給送装置のシート給送動作を説明する第1の図。
【図22】上記従来のシート給送装置のシート給送動作を説明する第2の図。
【図23】上記従来のシート給送装置のシート給送動作を説明する第3の図。
【図24】上記従来のシート給送装置のシート給送動作を説明する第4の図。
【図25】従来のシート給送装置の他の構成を示す図。
【図26】従来のシート給送装置の他の構成を示す図。
【符号の説明】
【0147】
105 シートトレイ
107 下部シート分離給送装置
120 コントローラ
151 捌きノズル
152 分離ノズル
160 エンコーダ
202A 上部シート分離給送装置
203 操作部
212 マテリアルマニュアル設定ボタン
213 マテリアル自動設定ボタン
300 制御部
305 シートトレイ
607 シート浮上下限センサ
608 シート浮上上限センサ
609 捌きファン
610 捌きファンダクト
1000 プリンタ
1001 プリンタ本体
1002 ペーパーデッキ
1005 画像形成部
2206 操作部
F151 捌きファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能なシートトレイと、前記シートトレイに積載されたシートにエアを吹き付けてシートを捌くファンを有するエア吹き付け部と、捌かれたシートの最上位のシートを吸着して搬送する吸着搬送機構と、前記エアの吹き付けにより捌かれた前記シートトレイに積載されたシートの最上位シートの位置を検出する位置検出部と、を備え、前記エアの吹き付けによりシートを捌いたときに、前記位置検出部による前記最上位シートの検出に基づいて前記シートトレイを下降させるように制御するシート給送装置において、
前記シートトレイの昇降を検出する昇降検出部と、
前記シートトレイに積載されたシートに応じたシート情報を入力する入力部と、
を備え、
前記入力部から入力されたシート情報に基づいたエアの吹き付け条件に応じて前記エア吹き付け部がエアを吹き付けたときに、前記位置検出部が、前記最上位シートがシート給送可能位置にあることを検出せず、前記昇降検出部が前記シートトレイの上昇を検出した場合には前記入力部によって入力されたシート情報が前記シートトレイに積載されたシートと異なっていると判断することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記入力部によって入力されたシート情報が前記シートトレイに積載されたシートと異なっていると判断した場合には、前記シート情報の異なっていることを報知することを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記入力部によって入力されたシート情報に応じて前記ファンの回転数を制御する回転数制御部を備え、
前記回転数制御部は、前記入力部によって入力されたシート情報に応じた回転数で前記ファンを回転させ、前記昇降検出部が前記シートトレイの上昇を検出した場合には前記ファンの回転数を増加させるよう制御することを特徴とする請求項1又は2記載のシート給送装置。
【請求項4】
シートの種類と、前記ファンの回転数と、前記シートトレイのシート給送待機位置からの移動量との関係を示すテーブルを備え、
前記ファンの回転数を増加させた後、前記昇降検出部が前記シートトレイの下降を検出した場合は、増加後の前記ファンの回転数と、前記シートトレイの前記シート給送待機位置からの移動量と、前記テーブルとに基づき前記シートトレイに載置されたシート情報を決定することを特徴とする請求項3記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記入力部は、決定された前記シート情報を表示する表示部と、前記表示部に表示された前記シート情報を手動により入力する手動入力部とを備えていることを特徴とする請求項4記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記入力部は、決定された前記シート情報を自動的に入力する自動入力部を備えていることを特徴とする請求項4記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記ファンの回転数を増加させても前記シートトレイが下降しない場合は、異常を報知することを特徴とする請求項4記載のシート給送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート給送装置と、前記シート給送装置から送り出されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−285298(P2008−285298A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133115(P2007−133115)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】