説明

シート給送装置,シート給送ユニット及び画像形成装置

【課題】 画像形成装置本体の下側にシート給送装置を装着する場合において、画像形成装置本体の騒音レベルを低減でき、かつ、画像形成装置の機内冷却効果を維持することのできる技術を提供する。
【解決手段】 給送装置60本体の下部に設けられ、空気を流通させるための下部通気孔63bと、給送装置60本体内部に設けられ、下部通気孔60cを介して空気が流通する通気経路62と、給送装置60本体の上部に設けられ、画像形成装置100に装着された場合に、画像形成装置100下部の開口17bを介して、画像形成装置100内と通気経路62内とで空気を流通させるための上部通気孔60aと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート等の記録媒体上に画像を形成する機能を備えた、例えば、複写機、プリンタ、あるいは、ファクシミリ装置などの画像形成装置に関し、特に、これらの装置に備えられる、シートを給送するためのシート給送装置及びシート給送ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の画像形成装置においては、定着装置等の発熱に伴う機内昇温を防ぎ、画像形成に適した温度に保つため、冷却ファンを設け、吸気用の開口から吸入した空気を装置内部に通し、排気用の開口から排出する構成が一般的である。
【0003】
これらの開口部からは、ファンの回転や風切り音、機内の動作音が放出されやすく、騒音レベルを悪化させてしまう。
【0004】
近年、快適なオフィス環境として低騒音の要求が高まっており、装置の性能を維持するための冷却効果と騒音低減を両立させる技術が求められている。機内冷却用の空気吸入口或いは排気口から機内騒音が放出されることの対策として、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されたような装置が提案されている。
【0005】
特許文献1では、骨格フレームを上下方向に向けて配設してフレーム内部に通気経路を形成し、前記通気経路の上部を筐体内に連通させ、下部を筐体の下側へ向けて開口し、通気経路内にファンを設けている。また、特許文献2では、筐体底面に吸気口を設け、そこに近接した筐体底部にファンを設け、筐体上部の定着部と画像形成部の間に断熱部材を介在させている。
【0006】
これらの技術に共通して使われている特徴的な構成は、本体下部に吸気口、或いは排気口を設けていることである。吸気口或いは排気口を本体下部に設けることにより、そこから放出される騒音が使用者へ届きにくくするとともに、騒音が間接的に外部に放出されるため、騒音を低減できる。
【0007】
また、吸気口が本体下部に設けられている別のメリットとしては、比較的温度が低い傾向にある床面近くの空気を吸入できるとともに、自然対流の観点から機内冷却に対して有利な上昇風路を得やすいことである。
【0008】
一方、プリンタ等の画像形成装置の下部に、給送装置を複数段積み重ねて配置し、任意の給送装置から画像形成部へ記録紙を給送する多段給送装置が知られている。
【0009】
このような給送装置における騒音対策としては、特許文献3に提案されているように、駆動系の工夫等により多段給送装置そのものから発生する騒音を低減させる方法であり、多段給送装置を組み合わせることにより画像形成装置本体から発生する騒音を低減するものはなかった。
【特許文献1】特許第3290004号公報
【特許文献2】特開平11−282327号公報
【特許文献3】特開平08−143177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、画像形成装置下部に吸気口或いは排気口を設けて騒音低減を図った装置であっても、多段給送装置と組み合わせた場合には、積み重ねる給送装置が多くなるにつれて吸気口或いは排気口位置が上がり、そこから放出される騒音が使用者に届きやすくなるため、装置全体の騒音レベルが悪化してしまうことが懸念される。また、吸気口位置が上がることにより、比較的温度が低い床面近くの空気を吸入できるメリットが低減してしまうことが懸念される。
【0011】
本発明は、上記したような事情に鑑みてなされたものであり、画像形成装置本体の下側にシート給送装置を装着する場合において、画像形成装置本体の騒音レベルを低減でき、かつ、画像形成装置の機内冷却効果を維持することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
装置下部に空気を流通させるための通気孔が設けられた画像形成装置の下部に装着され、該画像形成装置にシートを給送するシート給送装置において、
装置本体の下部に設けられ、空気を流通させるための下部通気孔と、
装置本体内部に設けられ、前記下部通気孔を介して空気が流通する通気経路と、
装置本体の上部に設けられ、前記画像形成装置に装着された場合に、該画像形成装置下部の前記画像形成装置側通気孔を介して、該画像形成装置内と前記通気経路内とで空気を流通させるための上部通気孔と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
また、シート給送ユニットにあっては、
上記記載のシート給送装置が複数段積み重ねて設けられ、
積み重ねて設けられた2つのシート給送装置のうち下側のシート給送装置の上部通気孔と、上側のシート給送装置の下部通気孔とは連通していることを特徴とする。
【0014】
また、画像形成装置にあっては、
下部に空気を流通させるための通気孔が設けられた画像形成装置本体と、
上記記載のシート給送装置、または、上記記載のシート給送ユニットと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像形成装置本体の下側にシート給送装置を装着する場合において、画像形成装置本体の騒音レベルを低減でき、かつ、画像形成装置の機内冷却効果を維持することのできる技術を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を構成する画像形成装置本体としてフルカラーレーザービームプリンタ(以下、画像形成装置100という)の全体構成を示す縦断面図である。
【0018】
図1に示す画像形成装置100は、像担持体として垂直方向に並設された4個の感光体ドラム1(1a,1b,1c,1d)を備えている。感光体ドラム1は、駆動手段によっ
て反時計回りに回転駆動される。感光体ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に、感光体ドラム1表面を均一に帯電する帯電装置2(2a,2b,2c,2d)、画像情報に基づいてレーザービームを照射し感光体ドラム1上の静電潜像を形成するスキャナユニット3(3a,3b,3c,3d)、静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する現像装置4(4a,4b,4c,4d)、感光体ドラム1上のトナー像をシートSに転写させる静電転写装置5、転写後の感光体ドラム1表面に残った転写残トナーを除去するクリーニング装置6(6a,6b,6c,6d)等が配設されている。
【0019】
ここで、感光体ドラム1と帯電装置2、現像装置4、クリーニング装置6は一体的にカートリッジ化されプロセスカートリッジ7(7a,7b,7c,7d)を形成している。
【0020】
以下、感光体ドラム1から順に詳述する。
【0021】
感光体ドラム1は、例えば直径30mmのアルミシリンダの外周面に有機光導伝体層(OPC感光体)を塗布して構成したものである。感光体ドラム1は、その両端部を支持部材によって回転自在に支持されており、一方の端部に駆動モータ(不図示)からの駆動力が伝達されることにより、反時計周りに回転駆動される。
【0022】
帯電装置2としては、接触帯電方式のものを使用することができる。帯電部材は、ローラ状に形成された導電性ローラであり、このローラを感光体ドラム1表面に当接させるとともに、このローラに帯電バイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム1表面を一様に帯電させるものである。
【0023】
スキャナユニット3は、感光体ドラム1の略水平方向に配置され、レーザーダイオード(不図示)によって画像信号に対応する画像光が、スキャナモーター(不図示)によって高速回転されるポリゴンミラー9(9a,9b,9c,9d)に照射される。ポリゴンミラー9に反射した画像光は、結像レンズ10(10a,10b,10c,10d)を介して帯電済みの感光体ドラム1表面を選択的に露光して静電潜像を形成するように構成している。
【0024】
現像装置4はそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーを図示時計方向に回転する現像ローラ40(40a,40b,40c,40d)の外周に塗布し、且つトナーに電荷を付与する。
【0025】
そして潜像が形成された感光体ドラム1と対向した現像ローラ40に現像バイアスを印加することにより、潜像に応じて感光体ドラム1上にトナー現像を行うものである。
【0026】
すべての感光体ドラム1a,1b,1c,1dに対向し、接するように循環移動する静電転写ベルト11が配設される。静電転写ベルト11は1011 〜1014 Ω・cmの体積固有抵抗を持たせた厚さ約150μmのフィルム状部材で構成される。この静電転写ベルト11は、垂直方向に4軸でローラに支持され、図中左側の外周面にシートSを静電吸着して上記感光体ドラム1にシートSを接触させるべく循環移動する。これにより、シートSは静電転写ベルト11により転写位置まで搬送され、感光体ドラム1上のトナー像を転写される。
【0027】
この静電転写ベルト11の内側に当接し、4個の感光体ドラム1a,1b,1c,1dに対向した位置に転写ローラ12(12a,12b,12c,12d)が並設される。これら転写ローラ12から正極性の電荷が静電転写ベルト11を介してシートSに印加され、この電荷による電界により、感光体ドラム1に接触中の用紙に、感光体ドラム1上の負極性のトナー像が転写される。
【0028】
静電転写ベルト11は周長約700mm、厚み150μmのベルトであり、駆動ローラ13、従動ローラ14a,14b、テンションローラ15の4本のローラにより掛け渡され、図の矢印方向に回転する。これにより、上述した静電転写ベルト11が循環移動してシートSが従動ローラ14a側から駆動ローラ13側へ搬送される間にトナー像を転写される。
【0029】
給送部16は、画像形成部にシートSを給送(搬送)するものであり、複数枚のシートSが給送カセット17に収納されている。画像形成時には給送ローラ18(半月ローラ)、レジストローラ対19が画像形成動作に応じて駆動回転し、給送カセット17内のシートSを1枚毎、分離給送するとともに、シートS先端はレジストローラ対19に突き当たり一旦停止し、ループを形成した後静電転写ベルト11の回転と画像書出し位置の同期をとって、レジストローラ対19によって静電転写ベルト11へと給送されていく。
【0030】
定着部20は、シートSに転写された複数色のトナー画像を定着させるものであり、回転する加熱ローラ21aと、これに圧接してシートSに熱及び圧力を与える加圧ローラ21bとからなる。
【0031】
すなわち、感光体ドラム1上のトナー像を転写したシートSは定着部20を通過する際に定着ローラ対21で搬送されるとともに、定着ローラ対21によって熱及び圧力を与えられる。これによって複数色のトナー像がシートS表面に定着される。
【0032】
画像形成の動作としては、プロセスカートリッジ7a,7b,7c,7dが、印字タイミングに合わせて順次駆動され、その駆動に応じて感光体ドラム1a,1b,1c,1dが、反時計回り方向に回転駆動される。そして、各々のプロセスカートリッジ7に対応するスキャナユニット3が順次駆動される。この駆動により、帯電ローラ2は感光体ドラム1の周面に一様な電荷を付与し、スキャナユニット3は、その感光体ドラム1周面に画像信号に応じて露光を行って感光体ドラム1周面上に静電潜像を形成する。現像装置4内の現像ローラ40は、静電潜像の低電位部にトナーを転移させて感光体ドラム1周面上にトナー像を形成(現像)する。
【0033】
最上流の感光体ドラム1周面上に形成されたトナー像の先端が、静電転写ベルト11との対向点に回転搬送されてくるタイミングで、その対向点にシートSの印字開始位置が一致するように、レジローラ対19が回転を開始してシートSを静電転写ベルト11へ給送する。
【0034】
シートSは静電吸着ローラ22と静電転写ベルト11とによって挟み込むようにして静電転写ベルト11の外周に圧接し、かつ静電転写ベルト11と静電吸着ローラ22との間に電圧を印加することにより、誘電体であるシートSと静電転写ベルト11の誘電体層に電荷を誘起し、シートを静電転写ベルト11の外周に静電吸着するように構成している。これにより、シートSは静電転写ベルト11に安定して吸着され、最下流の転写部まで搬送される。
【0035】
このように搬送されながらシートSは、各感光体ドラム1と転写ローラ12との間に形成される電界によって、各感光体ドラム1のトナー像を順次転写される。
【0036】
4色のトナー像を転写されたシートSは、ベルト駆動ローラ13の曲率により静電転写ベルト11から曲率分離され、定着部20に搬入される。シートSは、定着部20で上記トナー像を熱定着された後、排紙ローラ対23によって、排紙部24から画像面を下にした状態で装置本体外に排出される。
【0037】
次に、本実施の形態の特徴的な構成について実施例に基づいて詳しく説明する。
【実施例1】
【0038】
図2は、実施例1に係る画像形成装置100及び給送装置60を示す概略図であり、画像形成装置100においては通気経路の概略を示す透視図で示している。
【0039】
画像形成装置100内の上部(上側、上方)に機内冷却用のファン51を配置しており、画像形成装置100内の空気(排気)はフィルター52を介して機外に排出される。一方、前記ファン51に連結される吸気側の通気経路が、本実施例における特徴的な構成である。
【0040】
第一の通気経路55は、定着部20とプロセスカートリッジ7dとの間に形成されている。定着部20はトナー像を熱定着するために高温となるが、その下側に位置するプロセスカートリッジ7dはトナーの内蔵や現像、クリーニングプロセス等のために最適温度範囲が限られているため、定着部20とプロセスカートリッジ7dとの間での断熱が必須となる。
【0041】
そこで、第一の通気経路55が設けられることによって、定着部20とプロセスカートリッジ7dとの間に、いわゆるエアカーテンが形成されることになり、優れた断熱効果を得ることができる。この通気経路の上流は静電転写ベルト11に沿って画像形成装置100下部(下側、下方)に至り、給送カセット17手前上部に設けられた開口17aに連結される。ここで、本実施例においては、図1,2において、静電転写ベルト11が設けられている側(図において給送カセット17が引き出されている側)を手前(前方、正面)としている。
【0042】
給送カセット17手前上部に設けられた開口17aは、給送カセット17の内部を貫通して給送カセット17下部に設けられた開口17bにつながり、通気経路17cを形成している。ここで、本実施例では、給送カセット17下部の開口17bは、画像形成装置100内に空気を流通させるための画像形成装置100の通気孔を構成している。
【0043】
この通気経路(17c,55)はシート給送経路と異なる経路とすることにより、通紙状態に依存しない安定した通気を得ることができる。
【0044】
第二の通気経路56は、画像形成装置100横側に配置された駆動部53を冷却する通気経路である。本実施例においては、4色のプロセスカートリッジ7に対し、各々1個のモータ、及びそれに連結されたギア列を配した駆動系としているが、特にモータの電気基板の発熱に対して十分な冷却を行わなければならない。ファン51につながる第二の通気経路56は、これらの駆動部53を経て画像形成装置100下部の吸気口(通気孔)54につながっている。
【0045】
画像形成装置100下部から吸気することにより、装置が設置される室内においても比較的低い温度の空気を取り込みやすいこと、および上部に設けたファン51への上向きの通気経路が自然対流を併用することになり効率が良いことから、機内冷却効果に優れている。
【0046】
ここで、画像形成装置100においては、画像形成装置100下部に複数段積み重ね可能に装着され、シートを画像形成装置100に給送するシート給送装置(以下、給送装置という)60が設けられている。ここで、画像形成装置100と給送装置60とにより、本実施の形態に係る画像形成装置が構成されている。
【0047】
以下に、本実施例に係る給送装置60について説明する。
【0048】
本実施例においては、給送装置60に設けられたシート載置手段としての給送カセット63においても、画像形成装置100側の給送カセット17に設けられた通気経路17cと同様に、給送カセット63の上部通気孔63aと下部通気孔63bとを貫通する通気経路62が形成されており、この給送カセット63が給送装置60に装着されることによって、給送装置60の内部に、給送装置60の上部通気孔60aと下部通気孔とをおよそ貫通する通気経路62が形成されている。なお、本実施例では、給送装置60の下部通気孔は、給送カセット63の下部通気孔63bにより構成させている。
【0049】
また、給送装置60の側方においても、給送装置60の内部に、給送装置60の上部通気孔60bと下部通気孔60cとをおよそ貫通する通気経路61が形成されている。
【0050】
そして、画像形成装置100に給送装置60が装着されると、画像形成装置100下部に配置された吸気口54と給送装置60の通気経路61、或いは画像形成装置100側の給送カセット17の開口17bと給送装置60側の通気経路62が連結(連通、接続)される。また、給送装置60から給送されるシートは、シート搬送口60dを通って画像形成装置100に給送される。
【0051】
ここで、通気経路61,62においても、シート給送経路と異なる経路とすることにより、通紙状態に依存しない安定した通気を得ることができる。例えば、画像形成装置と多段給送装置の通気経路を給送カセットが遮断する配置になっていたとしても、その給送カセットの上部と下部を貫通する通気経路を形成することにより、給送カセットを迂回した通気経路に変更する等の制約を受けること無く、最適な通気経路を得ることができる。
【0052】
上述したように、実施例によれば、画像形成装置の機内冷却用の吸気口或いは排気口の位置を、実質的に多段に装着可能な給紙装置60下部に維持することができるため、画像形成装置100から放射される騒音レベルを低減できるとともに、画像形成装置100の機内冷却効果を維持することができる。
【0053】
図3は、画像形成装置100に対して、シート給送ユニットとして、上述した給送装置60を2段装着した状態を示す概観図である。
【0054】
図3に示す状態においても、画像形成装置100と給送装置60を組み合わせた画像形成装置全体としての吸気口が相変わらず装置全体の下部に位置しているため、上述のように吸気口を装置下部に配置することによる騒音低減効果、機内冷却効果を維持することができる。
【実施例2】
【0055】
図4は、本発明の実施例2に係る画像形成装置を示す図であり、画像形成装置100に対して、本実施例に係る給送装置70を装着する前の状態を示す概観図である。また、図5は、画像形成装置100に給送装置70を複数段装着した状態を示す概観図である。
【0056】
本実施例においては、図4に示すように、画像形成装置100および給送装置70の吸気口58(実施例1で説明した給送装置60の吸気口54に相当)を、本体下部の側面に配置している。なお、本実施例に係る画像形成装置本体は、実施例1で説明した画像形成装置100と同様であって、実施例1で説明した構成と同様の構成部分については、その説明を省略する。
【0057】
デザイン上の都合等により装置と床面との間に大きな隙間を設けにくい場合、必要な吸気口面積を確保するために装置下部の側面に開口を設けることになるが、この場合においても図4に示すような構成にすることにより、画像形成装置100側の吸気口58,17bを給送装置70によって外部から遮断できることがわかる(図5参照)。
【0058】
図6は、図4に示した画像形成装置の部分断面図である。
【0059】
給送装置70の側面においては、給送装置70の底面71の側面側端部から上方に延びる第1側面72と、第1側面72の上方端部から水平方向側面側に突出するように設けられた水平部73と、水平部73の側面側に突出した端部から上方に延びる第2側面74と、により構成される段部が設けられている。そして、第1側面72には吸気口72aが設けられており、吸気口72aには、給送装置70の側面側の内壁面75と、第1側面72と水平部73と第2側面74とにより形成される通気経路76が接続されている。ここで、第1側面72,第1側面72,水平部73,第2側面74,内壁面75は屈曲路形成部を構成している。
【0060】
給送装置70が積み重ねられた場合には、図6に示すように、下段の給送装置70の第2側面74が上段の給送装置70の第2側面74の下側端部近傍に位置することとなり、上段の給送装置70の吸気口72aは下段の給送装置70の第2側面74に覆われて、外部から遮断された状態となる(吸気口72aが略閉ざされた状態となる)。これにより、上段と下段との給送装置70の通気経路76同士が連通するようになる。
【0061】
また、画像形成装置100には、上述した給送装置70の段部と同様の段部が構成されることにより、吸気口58が形成されている。そして、給送装置70が画像形成装置100に装着された場合には、給送装置70が積み重ねられる場合同様、画像形成装置100の吸気口58は給送装置70の第2側面74に覆われて、外部から遮断された状態となる(吸気口58が略閉ざされた状態となる)。これにより、画像形成装置100内の通気経路56と、給送装置70の通気経路76とが連通するようになる。
【0062】
ここで、本実施例においては、図6に示すように、画像形成装置100から給送装置70に至る通気経路が屈曲しており、これにより通気経路内で騒音を反射、減衰させることができる。
【0063】
また、図3に示したような単純な経路であっても、その内部に意図した屈曲形状をつくることにより同様の効果を得ることができる(図示略)。さらに、通気経路内の少なくとも一部(例えば、側面)に音(音波)を吸収する吸音材(図6においては、符号77にて示している)を設けることにより、騒音の吸音、減衰効果を高めることができる。なお、通気経路を屈曲形状とした場合には、通気の損失を伴うため、通気経路の形状は、騒音の低減効果とのバランスを考慮して適宜設定されるとよい。
【実施例3】
【0064】
図7は、本発明の実施例3を説明するための図である。本実施例においては、通気経路が長くなること、或いは、通気経路が屈曲することによる通気損失に対応する策について説明するものである。なお、本実施例に係る画像形成装置本体は、実施例1で説明した画像形成装置100と同様であって、実施例1で説明した構成と同様の構成部分については、その説明を省略する。
【0065】
本実施例においては、図7に示すように、本実施例に係る給送装置80の上下を貫通し、上方の給送装置80内、または、画像形成装置100内に設けられた通気経路に接続する通気経路82に、装置内で接続するように接続通気経路83を設け、この接続通気経路
83に冷却手段として冷却ファン81を設けている。そして、接続通気経路83は、機外に開口する吸気口(通気孔)84に接続されている。
【0066】
このように、給送装置80の上下を貫通する通気経路82に接続する接続通気経路83に冷却ファン81を配置することにより、通気経路が長くなること、或いは、通気経路が屈曲することによる通気損失を補うことができる。また、給送装置を複数積み重ねて通気経路が長くなった状態においても機内冷却効果を低減することがなく、騒音の発生源となりやすいファンが装置下部に配置されるため騒音悪化も生じにくい。
【0067】
ここで、給送装置80の上下を貫通する通気経路82に冷却ファンを設けた場合には、通気経路82を流通する空気が冷却ファンにより干渉される場合があるが、本実施例によれば、通気経路82を流通する空気と冷却ファン81との干渉(通気経路82に冷却ファン81を設けた場合に、生じることが懸念される損失)を避けることができる。
【0068】
なお、冷却ファン81による冷却風の一部を、給送装置80に設けられたモータ等の熱発生部の冷却に用いても良い(図示略)。また、図7において、冷却ファン81を無くした構成、即ち、給送装置80に設けられた通気経路の一部を機外に開口させ、そこから外気を吸気できるようにしても、損失を補うことができる。
【実施例4】
【0069】
図8は、本発明の実施例4を説明するための図であり、画像形成装置100の電源ユニット30を冷却する構成を示した部分断面図である。なお、本実施例に係る画像形成装置本体は、実施例1で説明した画像形成装置100と同様であって、実施例1で説明した構成と同様の構成部分については、その説明を省略する。
【0070】
図8に示すように、電源ユニット30は画像形成装置100の奥側の下部であって、給送カセット17の上側に配置されている。
【0071】
そして、本実施例においては、画像形成装置100内において、電源ユニット30が通気経路内に位置するように通気経路91が設けられ、さらに、通気経路91に冷却ファン92が設けられている。また、本実施例に係る給送装置90の上下を貫通する通気経路が2つ(2経路、通気経路93,94)設けられている。
【0072】
図中左側の通気経路93下部の吸気口(通気孔)95から吸入した外気をファン92によって電源ユニット30に吹き付けて電源ユニット30を冷却し、電源ユニット30から熱を奪った空気は図中右側の通気経路94を経て装置右側下部の排気口(通気孔)96から排出される。排気側の下向きの通気経路94は自然対流に逆らう方向だが、図8のように比較的装置下部に位置するユニットの冷却に関しては損失割合が低く、騒音低減によるメリットの方が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置本体の概略構成を示す断面図である。
【図2】実施例1に係る画像形成装置本体及び給送装置の概略を示す図である。
【図3】実施例1において、画像形成装置に給送装置を装着した状態を示す概観図である。
【図4】実施例2において、画像形成装置に対して給送装置を装着する前の状態を示す概観図である。
【図5】実施例2において、画像形成装置に給送装置を複数段装着した状態を示す概観図である。
【図6】図5に示した画像形成装置の部分断面図である。
【図7】実施例3において、画像形成装置に給送装置を装着した状態を示す部分断面図である。
【図8】実施例4において、画像形成装置に給送装置を装着した状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1a,1b,1c,1d 感光体ドラム
2a,2b,2c,2d 帯電装置
3a,3b,3c,3d スキャナユニット
4a,4b,4c,4d 現像装置
5 転写装置
6a,6b,6c,6d クリーニング手段
7a,7b,7c,7d プロセスカートリッジ
11 静電転写ベルト
12a,12b,12c,12d 転写ローラ
16 給送部
17 給送カセット
17a,17b 開口
17c 通気経路
20 定着部
24 排紙部
30 電源ユニット
40 現像ローラ
51,81,92 冷却ファン
52 フィルター
53 駆動部
54,58,95 吸気口
55,56,61,62,76,82,91,93,94 通気経路
60,70,80,90 給送装置
60a,60b 上部通気孔
60c 下部通気孔
60d シート搬送口
63 給送カセット
63a 上部通気孔
63b 下部通気孔
71 底面
72 第1側面
72a 吸気口
73 水平部
74 第2側面
75 内壁面
77 吸音材
83 接続通気経路
96 排気口
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置下部に空気を流通させるための通気孔が設けられた画像形成装置の下部に装着され、該画像形成装置にシートを給送するシート給送装置において、
装置本体の下部に設けられ、空気を流通させるための下部通気孔と、
装置本体内部に設けられ、前記下部通気孔を介して空気が流通する通気経路と、
装置本体の上部に設けられ、前記画像形成装置に装着された場合に、該画像形成装置下部の前記画像形成装置側通気孔を介して、該画像形成装置内と前記通気経路内とで空気を流通させるための上部通気孔と、
を備えることを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
装置本体内にはシートを載置するシート載置手段が設けられ、
前記通気経路は、前記シート載置手段から画像形成装置に給送されるシートの給送経路とは異なって設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記シート載置手段には、前記通気経路を構成する装置内通気経路が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記通気経路、または、前記上部通気孔と前記画像形成装置側通気孔とを連通させる経路を屈曲した経路とする屈曲路形成部を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記通気経路の少なくとも一部に吸音材を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記通気経路に接続し、空気を流通させるための送風手段が設けられた接続通気経路が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシート給送装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のシート給送装置が複数段積み重ねて設けられ、
積み重ねて設けられた2つのシート給送装置のうち下側のシート給送装置の上部通気孔と、上側のシート給送装置の下部通気孔とは連通していることを特徴とするシート給送ユニット。
【請求項8】
前記シート給送装置が複数段積み重ねられることにより形成される通気経路を屈曲した経路とする屈曲路形成部を備えることを特徴とする請求項7に記載のシート給送ユニット。
【請求項9】
複数段積み重ねて設けられたシート給送装置のうち少なくとも1つには、装置内部に設けられた通気経路に接続し、空気を流通させるための送風手段が設けられた接続通気経路が設けられていることを特徴とする請求項7または8に記載のシート給送ユニット。
【請求項10】
下部に空気を流通させるための通気孔が設けられた画像形成装置本体と、
請求項1〜6のいずれかに記載のシート給送装置、または、請求項7〜9のいずれかに記載のシート給送ユニットと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−36512(P2006−36512A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221919(P2004−221919)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】