説明

シート貼付装置及びスイッチモジュールの製造方法

【課題】スイッチモジュールの生産性及び品質の向上を図ることのできるシート貼付装置を提供することである。
【解決手段】メタルドームシート20を回路基板10に貼り付けるシート貼付装置60は、回路基板10が載置される載置台70と、メタルドームシート20を回路基板10に対して位置決めするガイドピン80及び第2のガイド孔40a,50aと、載置台70に載置された回路基板10に対してメタルドームシート20を押圧する押圧ブロック90と、を備えており、押圧ブロック90には、メタルドームシート20を回路基板10に押圧する際に、メタルドームシート20が有するメタルドーム30を収容することが可能な収容孔91a,92aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
メタルドームシートを回路基板に貼り付けるシート貼付装置、及びメタルドームシートを回路基板に貼り付けて構成されるスイッチモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯情報端末のスイッチモジュールとして、粘着剤付きのシートにメタルドームを貼り付けて構成されるメタルドームシートを、回路基板に貼り付けたものが知られている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−318653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このメタルドームシートと回路基板の貼付工程は、手作業で行われているため、作業効率が悪く、貼付品質にもバラツキがあり、特にメタルドームの周囲では、回路基板からメタルドームシートが剥がれ易いという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、スイッチモジュールの生産性及び品質の向上を図ることのできるシート貼付装置及びスイッチモジュールの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシート貼付装置は、メタルドームシートを回路基板に貼り付けるシート貼付装置であって、前記回路基板が載置される載置台と、前記メタルドームシートを前記回路基板に対して位置決めする位置決め手段と、前記載置台に載置された前記回路基板に対して前記メタルドームシートを押圧する押圧部材と、を備えており、前記押圧部材には、前記メタルドームシートを前記回路基板に押圧する際に、前記メタルドームシートが有するメタルドームを収容することが可能な収容孔が形成されていることを特徴とする。
【0007】
上記発明において、前記押圧部材の押圧面において、前記収容孔の開口に沿った部分が前記載置台に向かって突出していてもよい。
【0008】
上記発明において、前記押圧部材は、金属材料からなる本体部と、弾性材料からなる押圧部と、を有していてもよい。
【0009】
上記発明において、前記位置決め手段は、前記回路基板に形成された第1のガイド孔と、前記メタルドームシートに形成された第2のガイド孔と、に対応するように、前記載置台から突出しているガイドピンを含んでいてもよい。
【0010】
上記発明において、前記位置決め手段は、前記ガイドピンに対応するように、前記押圧部材に形成された第3のガイド孔を含んでいてもよい。
【0011】
本発明に係るスイッチモジュールの製造方法は、メタルドームシートを回路基板に貼り付けて構成されるスイッチモジュールの製造方法であって、前記回路基板を載置台に載置する載置工程と、前記メタルドームシートを前記回路基板に対して位置決めする位置決め工程と、前記メタルドームシートが有するメタルドームを収容する収容孔が形成された押圧部材を、前記載置台に向かって接近させて、前記収容孔に前記メタルドームを収容しつつ、前記押圧部材によって前記メタルドームシートを前記回路基板に対して押し付ける押圧工程と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
上記発明において、前記押圧工程において、前記メタルドームシートにおける前記メタルドームの周囲部分を最も強く押圧してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、押圧部材によって、メタルドームとの干渉を回避しつつ、メタルドームシートを回路基板に押圧するので、スイッチモジュールの生産性及び品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施形態におけるスイッチモジュール及びシート貼付装置を示す分解断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態におけるスイッチモジュール及びシート貼付装置の示す分解平面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態におけるシート貼付装置の第1変形例を示す分解平面図である。
【図4】図4は、図1のIV部の拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態におけるシート貼付装置の第2変形例を示す要部断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態におけるスイッチモジュールの製造方法を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の実施形態におけるスイッチモジュールの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図8】図8は、本発明の実施形態におけるスイッチモジュールの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図9】図9は、本実施形態における押さえシートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態におけるシート貼付装置60は、スイッチモジュール1の製造過程において、回路基板10とメタルドームシート20とを貼り付ける際に用いられる装置である。シート貼付装置60について説明する前に、まずスイッチモジュール1について説明する。
【0016】
図1は本発明の実施形態におけるスイッチモジュール及びシート貼付装置を示す分解断面図、図2は本発明の実施形態におけるスイッチモジュール及びシート貼付装置の示す分解平面図である。
【0017】
本実施形態におけるスイッチモジュール1は、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型パソコン、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルオーディオプレーヤ等の電子機器のスイッチ部分に用いられるモジュールである。このスイッチモジュール1は、図1及び図2に示すように、電気配線パターンが形成された回路基板10と、回路基板10に積層されるメタルドームシート20と、を備えている。
【0018】
回路基板10は、例えば、ガラスエポキシ樹脂等から構成されるリジッドなプリント配線基板(PCB:Printed Circuit Board)や、ポリイミド等から構成されるフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)である。
【0019】
この回路基板10には、略環状形状の第1の接点11と、第1の接点12の略中央に位置する第2の接点12と、が電気配線パターンの一部として形成されており、第2の接点12から延在する配線パターン13は、第1の接点11の切り欠き部11aを介して、第1の接点11の外部に導出している。なお、回路基板10を貫通するスルーホールで第2の接点12を構成してもよく、この場合には、第1の接点11には切り欠き部11aが形成されていない。
【0020】
また、この回路基板10には、2つの第1のガイド孔14が形成されている。第1のガイド孔14は、後述するガイドピン80に対応するように、第2の接点12を中心とした対角線上の位置で回路基板10を貫通している。第1のガイド孔14の内径は、ガイドピン80よりも僅かに大きくなっており、第1のガイド孔14にはガイドピン80が挿入可能となっている。
【0021】
メタルドームシート20は、回路基板10上の第1の接点11と第2の接点12を導通させるためのメタルドーム30と、メタルドーム30を回路基板10に固定する押さえシート40と、押さえシート40に積層された導光シート(LGF:Light Guide Film)50と、を備えている。
【0022】
なお、図1に示す例では、メタルドームシート20がメタルドーム30を一つしか備えていないが、実際には、一枚のメタルドームシート20が複数のメタルドーム30を備えている。また、本実施形態では、メタルドームシート20が押さえシート40と導光シート50の両方を備えているが、スイッチモジュール1に照明機能が不要な場合には、メタルドームシート20が導光シート50を備えていなくてもよい。
【0023】
メタルドーム30は、導電性及び可撓性を持つドーム状の部材から構成されており、例えば、3〜6mm程度の直径、及び0.1〜0.4mm程度の高さを有している。このため、メタルドームシート20は、メタルドーム30の部分でドーム状に膨らんでいるような形状となっている。
【0024】
このメタルドーム30は、例えば、ステンレスや銅系金属の薄板をドーム状に加
工することで形成されている。このため、このメタルドーム30は、頭頂部を押圧されるとドーム形状が徐々に反転変形する一方で、頭頂部への押圧が解除されると当初のドーム形状を復元するようになっている。
【0025】
また、メタルドーム30の頭頂部の裏側には突起31が形成されている。この突起31は、メタルドーム30が回路基板10に実装された際に、回路基板10の第2の接点12に対向し、メタルドーム30が反転変形することで、当該第2の接点12と接触する可動接点を構成する。一方、回路基板10の第1の接点11にはメタルドーム30の外周部32が接触する。なお、このメタルドーム20の表面には、導電性を向上させるために銀メッキ処理を施してもよい。
【0026】
なお、メタルドーム30の頭頂部に突起を形成しなくてもよい。また、特に図示しないが、メタルドーム30の外周部32において配線パターン13に対応する箇所が切り欠かれており、当該配線パターン13とメタルドーム30との電気的な接触が防止されている。
【0027】
押さえシート40は、合成樹脂材料から構成されるシート部材41と、このシート部材41の下面に塗布された粘着層42と、を備えている。シート部材41は、例えば、白色のポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene terephthalate)から構成されており、50μm程度の厚さを有している。また、粘着層42を構成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤等を例示することができる。
【0028】
この押さえシート40の下面には、メタルドーム30が取り付けられており、粘着層42によってメタルドーム30が保持されている。一方、粘着層42においてメタルドーム30が貼り付けられていない部分は、メタルドームシート20が回路基板10に積層された際に、メタルドームシート20を回路基板10の表面に貼り付ける。なお、押さえシート40においてメタルドーム30が貼り付けられる箇所を凸状に予め成型しておいてもよい。
【0029】
また、本実施形態では、この押さえシート40に、2つの第2のガイド孔40aが形成されている。第2のガイド孔40aは、後述するガイドピン80に対応するように、メタルドーム30を中心とした対角線上の位置でシート部41及び粘着層42を貫通している。この第2のガイド孔40aの内径は、ガイドピン80よりも僅かに大きくなっており、第2のガイド孔40aにはガイドピン80が挿入可能となっている。
【0030】
導光シート50は、発光ダイオード(不図示)から入射される光を導光する透明なフィルムであり、200μm程度の厚さを有している。この導光シート50は、押さえシート40の上に積層されており、特に図示しないが、その外周縁で粘着テープを介して押さえシート40に固定されている。
【0031】
導光シート50を構成する具体的な材料としては、例えば、シリコーンゴム等のシリコーン系樹脂、熱可塑性ポリウレタンや架橋ポリウレタン等のウレタン系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等、エチレンビニルアセテート(EVA:Ethylene-vinyl acetate)、或いは、ポリエチレンテレフタレート(PET: Polyethylene terephthalate)を例示することができる。
【0032】
また、本実施形態では、この導光シート50には、押さえシート40と同様に、2つの第2のガイド孔50aが形成されている。この第2のガイド孔50aは、後述するガイドピン80に対応するように、メタルドーム30を中心とした対角線上の位置で導光シート50を貫通している。この第2のガイド孔50aの内径は、ガイドピン80よりも僅かに大きくなっており、第2のガイド孔50aにはガイドピン80が挿入可能となっている。
【0033】
押さえシート40及び導光シート50の第2のガイド孔40a,50aにガイドピン80が挿入されることで、メタルドームシート20が回路基板10に対して位置決めされる。
【0034】
次にシート貼付装置60について説明する。
【0035】
図3は本発明の実施形態におけるシート貼付装置の第1変形例を示す分解平面図、図4は図1のIV部の拡大断面図、図5は本発明の実施形態におけるシート貼付装置の第2変形例を示す要部断面図である。
【0036】
図1及び図2に示すように、シート貼付装置60は、載置台70と、2本のガイドピン80と、押圧ブロック90と、を備えている。
【0037】
載置台70は、回路基板10が載置される台であり、押圧ブロック90との間で、回路基板10とメタルドームシート20を挟み込むようになっている。載置台70には、ガイドピン80が挿入される孔71が2箇所に形成されておる。この孔71の内周面には、ガイドピン80の下部に形成された雄ネジ部と螺合可能な雌ネジが形成されている。
【0038】
ガイドピン80は、例えば、アルミニウム等から構成されるピン状の部材である。このガイドピン80は、その下部が載置台70の孔71に螺合することで、載置台70に保持されている。ガイドピン80が、回路基板10の第1ガイド孔14と、メタルドームシート20の第2のガイド孔40a,50aと、に挿入されると、メタルドームシート20が回路基板10に対して位置決めされる。また、このガイドピン80が、後述する第3のガイド孔91b,92bに挿入されると、押圧ブロック90がメタルドームシート20に対して位置決めされる。
【0039】
なお、ガイドピン80の本数や配置は上記のものに特に限定されず、例えば、4本のガイドピン80をメタルドーム30を中心として四方に配置してもよい。また、第1〜第3のガイド孔14,40a,50a,91b,92bの数や配置も、ガイドピン80の本数や配置に応じて設定される。
【0040】
また図3に示すように、回路基板10とメタルドームシート20の外形が同一である場合には、回路基板10及びメタルドームシート20の外形に合わせた枠状のストッパ81を載置台70に設けることで、回路基板10とメタルドームシート20を位置決めしてもよい。
【0041】
押圧ブロック90は、図1に示すように、本体部91及び押圧部92から構成されている。
【0042】
本体部91は、上面で外部(例えば図8に示すプレス機100)から押圧力を受けて、下面でその押圧力を押圧部92に伝達する。本体部91は、例えば、アルミニウム、鉄、銅などの金属材料から構成されるが、後述する押圧部92と同一材料で構成してもよい。
【0043】
一方、押圧部92は、本体部91から押圧力を受け、メタルドームシート20に当接して当該メタルドームシート20を回路基板10に対して押圧する。押圧部92は、例えば、シリコーンゴム(Silicone Rubber)などの弾性材料で構成されている。そのため、押圧ブロック90によってメタルドームシート20を回路基板10に対して押圧する際に、押圧ブロック90による導光シート50の損傷を抑制すると共に、押圧部92自体が弾性変形することで、メタルドームシート20を斑なく押圧することができる。
【0044】
本体部91には、メタルドーム30を収容可能な収容孔91aが形成されている。この収容孔91aは、本体部91の上面から下面に亘って貫通した貫通孔である。収容孔91aの内径は、メタルドーム30の外形よりも若干大きくなっている。
【0045】
一方、押圧部92には、メタルドーム30を収容可能な収容孔92aが形成されている。収容孔92aは、押圧部92の上面から下面92cに亘って貫通した貫通孔であり、その内径はメタルドーム30の外形よりも若干大きくなっている。これらの収容孔91a,92aは、同軸上で相互に連通している。なお、本実施形態における下面92cが、本発明における押圧面の一例に相当する。
【0046】
このような収容孔91a,92aを押圧ブロック90に形成することで、押圧ブロック90によってメタルドームシート20を回路基板10に対して押圧する際に、押圧ブロック90とメタルドーム30との干渉を回避することが可能となっている。
【0047】
なお、本体部91の収容孔91aは、メタルドーム30を収容することができればよく、貫通孔とせずに本体部91の上面側が閉塞された穴であってもよい。また、特に図示しないが、メタルドーム30を収容する収容孔91a,92aに加えて、回路基板10に実装された電子部品(例えばLED)を収容することが可能な電子部品収容孔を押圧ブロック90に形成してもよい。
【0048】
本体部91及び押圧部92には、上面から下面に亘って貫通した第3のガイド孔91b,92bが形成されている。第3のガイド孔91b,92bは、ガイドピン80に対応するように設けられており、同軸上で相互に連通している。これらの第3のガイド孔91b,92bの内径は、ガイドピン80よりも僅かに大きくなっており、第3のガイド孔91b、92bにガイドピン80を挿入可能となっている。
【0049】
このため、第3のガイド孔91b,92bにガイドピン80が挿入されることで、押圧ブロック90がメタルドームシート20に対して位置決めされる。この際、本体部91がアルミニウム等の金属材料で構成されているので、当該本体部91に形成された第3のガイド孔91bによって正確な位置決めを行うことが可能となっている。
【0050】
また、本実施形態では、図1及び図4に示すように、押圧部92の下面92cにおいて収容孔92aの開口に沿った部分に凸部92dが形成されている。この凸部92dは、下面92cにおける他の部分よりも載置台70に向かって相対的に突出している。このため、押圧ブロック90によってメタルドームシート20を回路基板10に対して押圧する際に、メタルドームシート20において、メタルドーム30の周囲部分A(図9参照)が他の部分よりも相対的に強く押圧される。なお、図5に示すように、下面92cにおいて、収容孔92aの開口に沿った部分を傾斜させて突出させることで凸部92eを形成してもよい。
【0051】
次に、シート貼付装置60を用いたスイッチモジュール1の製造方法について説明する。
【0052】
図6は、本発明の実施形態におけるスイッチモジュールの製造方法を示すフローチャート、図7及び図8は本発明の実施形態におけるスイッチモジュールの製造方法を示す断面図、図9は本実施形態における押さえシートの平面図である。
【0053】
本実施形態におけるスイッチモジュールの製造方法は、図6に示すように、載置ステップS10と、位置決めステップS20と、押圧ステップS30と、から構成されている。以下に、図面に基づいて詳説する。
【0054】
載置ステップS10では、回路基板10を載置台70に載置する。図1及び図2に示すように、第1のガイド孔14にガイドピン80を貫通させ、ガイドピン80に沿って回路基板10を載置台70に載置する。これによって、回路基板10が載置台70に保持された状態となる。
【0055】
次いで、位置決めステップS20では、回路基板10に対してメタルドームシート20を位置決めする。この工程では、第2のガイド孔40a,50aにガイドピン80を貫通させ、ガイドピン80に沿って、メタルドームシート20を回路基板10に載置することで、回路基板10に対してメタルドームシート20を位置決めする。
【0056】
この工程では、第1のガイド孔14と第2のガイド孔40a,50aにガイドピン80を貫通させるだけで、回路基板10をメタルドームシート20に簡単に位置決めすることができるので、スイッチモジュール1の生産性が向上する。また、メタルドーム30の外周部32が第1の接点11上に確実に配置されると共に、メタルドーム30の突起31が第2の接点12と確実に対向するので、スイッチモジュール1の品質の安定化を図ることができる。
【0057】
次いで、押圧ステップS30では、押圧ブロック90によって導光シート50を介して押さえシート40を押圧する。これにより、押さえシート40の粘着層42が回路基板10に粘着し、メタルドームシート20が回路基板10に貼り付く。この工程では、まず第3のガイド孔91b,92bにガイドピン80を貫通させ、ガイドピン80に沿って、押圧ブロック90をメタルドームシート20に向かって接近させる。このため、図7に示すように、ガイドピン80によって押圧ブロック90がメタルドームシート20に対して位置決めされ、メタルドーム30が押圧ブロック90の収容孔91a,92a内に確実に収容される。これにより、押圧ブロック90は、メタルドーム30と干渉せずに、メタルドームシート20を押圧することができる。
【0058】
次いで、図8に示すように、プレス機100を用いて押圧ブロック90を5秒程度押圧する。このように、押圧ブロック90と載置台70との間に回路基板10とメタルドームシート20を挟み込んだ状態で押圧力を印加することで、粘着層42を介してメタルドームシート20が回路基板10に貼り付けられる。また、同図に示すように、プレス機100の押圧力によって押圧部92が弾性変形するので、メタルドームシート20が回路基板10に対して斑なく押圧される。このため、メタルドームシート20が回路基板10に均一に貼り付けられ、スイッチモジュール1の品質が向上する。
【0059】
また、図9に示すように、押圧部92の凸部92dがメタルドーム30の周囲部分A(図9で模様を付した部分)に配置されるので、この部分に伝達される押圧力は、他の部分と比べて強くなっている。このため、メタルドームシート20はこの周囲部分Aで回路基板10に対して最も強く押圧される。
【0060】
また、この押圧ステップS30において、プレス機100を使用することで、メタルドームシート20に印加する押圧力を一定に管理することができる。このため、メタルドームシート20と回路基板10との貼り合わせのバラツキが抑制され、スイッチモジュール1の品質が安定する。
【0061】
また、本実施形態では、収容孔91a,92aが形成された押圧ブロック90によって、メタルドーム30の干渉を回避しつつ、メタルドームシート20全体を回路基板10に対して一度に押圧するので、貼付作業の効率が向上する。また、この押圧ブロック90によって、メタルドームシート20におけるメタルドーム30の周囲部分も十分に押圧することができるので、メタルドームシート20を回路基板10に斑なく貼り付けることができ、メタルドームシート20の回路基板10への貼付品質のバラツキも低減する。
【0062】
特に、押さえシート40において、メタルドーム30の外周から当該押さえシート40の外周までの距離が短いと、メタルドームシート20が回路基板10から剥がれ易くなる。これに対し、本実施形態では、凸部92dによって周囲部分Aを他の部分よりも相対的に強く押圧するので、こうした問題も解決する。
【0063】
また、メタルドームシート20の周囲部分Aが剥がれると、外部からゴミや水滴がスイッチ部分(回路基板10の各接点11,12)に侵入しやすくなるので、スイッチモジュール1の故障の原因となる。これに対し、本実施形態では、押圧ブロック90の押圧部92において、収容孔92aの開口に沿った部分に凸部92dを設けたので、メタルドームシート20における周囲部分Aを他の部分よりも相対的に強く押圧することができ、スイッチモジュール1の品質が顕著に向上する。
【0064】
また、本実施形態では、押圧ブロック90の押圧部92をシリコーンゴム等の弾性材料で構成したので、押圧ブロック90による導光シート50の損傷が抑制される。また、押圧部92自体が弾性変形することにより、メタルドームシート20を回路基板10に斑なく押圧できるので、メタルドームシート20の回路基板10への貼付が均一となる。そのため、メタルドームシート20が回路基板10から剥がれ難くなり、スイッチモジュール1の品質が向上する。
【0065】
また、複数のメタルドーム30を有するメタルドームシート20を回路基板10に貼り付ける際には、メタルドーム30の配置に合わせた複数の収容孔91a,92aを形成した押圧ブロック90を用いることで対応できる。これによって、さらにスイッチモジュール1の生産性が向上する。
【符号の説明】
【0066】
1…照明付きスイッチモジュール
10…回路基板
11,12…接点
11a…切り欠き部
13…配線パターン
14…第1のガイド孔
20…メタルドームシート
30…メタルドーム
31…突起(可動接点)
32…外周部
40…押さえシート
40a…第2のガイド孔
41…シート部材
42…粘着層
50…導光シート
50a…第2のガイド孔
60…シート貼付装置
70…載置台
71…嵌合孔
80…ガイドピン
90…押圧ブロック
91…本体部
92…押圧部
91a, 92a…収容孔
91b, 92b…第3のガイド孔
92c…下面
92d,e…凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタルドームシートを回路基板に貼り付けるシート貼付装置であって、
前記回路基板が載置される載置台と、
前記メタルドームシートを前記回路基板に対して位置決めする位置決め手段と、
前記載置台に載置された前記回路基板に対して前記メタルドームシートを押圧する押圧部材と、を備えており、
前記押圧部材には、前記メタルドームシートを前記回路基板に押圧する際に、前記メタルドームシートが有するメタルドームを収容することが可能な収容孔が形成されていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
請求項1記載のシート貼付装置であって、
前記押圧部材の押圧面において、前記収容孔の開口に沿った部分が前記載置台に向かって突出していることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のシート貼付装置であって、
前記押圧部材は、
金属材料からなる本体部と、
弾性材料からなる押圧部と、を有することを特徴とするシート貼付装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のシート貼付装置であって、
前記位置決め手段は、前記回路基板に形成された第1のガイド孔と、前記メタルドームシートに形成された第2のガイド孔と、に対応するように、前記載置台から突出しているガイドピンを含むことを特徴とするシート貼付装置。
【請求項5】
請求項4記載のシート貼付装置であって、
前記位置決め手段は、前記ガイドピンに対応するように、前記押圧部材に形成された第3のガイド孔を含むことを特徴とするシート貼付装置。
【請求項6】
メタルドームシートを回路基板に貼り付けて構成されるスイッチモジュールの製造方法であって、
前記回路基板を載置台に載置する載置工程と、
前記メタルドームシートを前記回路基板に対して位置決めする位置決め工程と、
前記メタルドームシートが有するメタルドームを収容する収容孔が形成された押圧部材を、前記載置台に向かって接近させて、前記収容孔に前記メタルドームを収容しつつ、前記押圧部材によって前記メタルドームシートを前記回路基板に対して押し付ける押圧工程と、を備えたことを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。
【請求項7】
請求項6記載のスイッチモジュールの製造方法であって、
前記押圧工程において、前記メタルドームシートにおける前記メタルドームの周囲部分を最も強く押圧することを特徴とするスイッチモジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−96477(P2011−96477A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248566(P2009−248566)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】