説明

ジアシルピペラジン誘導体

【課題】DPP-IV阻害作用を有する医薬、特に糖尿病治療剤として有用な、新規な化合物の提供。
【解決手段】発明者等は、DPP-IV阻害作用を有する化合物について鋭意検討した結果、置換ピペラジン、ジアゼパンやアザビシクロオクタン等の環状ジアミン化合物の一方の窒素原子にβ-アミノ酸が統合し、更に他方の窒素原子にもアシル基を有するジアシルピペラジン誘導体又はその塩がDPP-IV阻害作用を有することを見出し、本発明を完成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬、殊に糖尿病治療剤として有用な新規なジアシルピペラジン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
ジペプチジルペプチダーゼ-IV (DPP-IV) は、N末端から2番目にプロリン、ヒドロキシプロリンまたはアラニンを含む配列(H-Xaa-Pro、H-Xaa-Hyp、またはH-Xaa-Ala (Xaaは任意のアミノ酸を示す))を認識し切断するセリンプロテアーゼである。その生理的役割は完全には解明されていないが、様々な生理活性ペプチドを切断することで生体機能の調節に関与していると考えられている (Regulatory Peptide, 85, 9-24 (1999))。
なかでも特に、食事後の血糖上昇抑制に関与するインクレチンと呼ばれるホルモンの活性制御が注目されている。
インクレチンは食事により栄養物が摂取された後、腸管から分泌され、膵β細胞に作用し、糖刺激によるインスリン分泌を増強させることで血糖を調節するホルモンである。2型糖尿病患者ではこのインクレチン作用が減弱していることが知られており (Diabetologia, 29, 46-52 (1986))、この作用減弱が糖尿病の発症要因の一つと考えられている。このことから、インクレチン作用を増強させることで糖尿病患者の食後高血糖を改善し得るのではないかと考えられている。
現在、生体内において最も強力なインクレチン作用を示すホルモンとしてはグルカゴン様ペプチド(以下「GLP-1」)が知られている。このGLP-1は血中に分泌後直ちにDPP-IVにより切断され不活性化することが知られている (Diabetes, 47,159-69 (1998))。
これらのことから、DPP-IV阻害薬はインクレチンの不活性化を防ぐことで、食後のインスリン分泌を増強させ、結果として糖尿病患者などで見られる食後高血糖を是正することができると考えられる。また、インクレチンは生体の糖濃度依存的なインスリン分泌を増強させることから、既存のインスリン分泌薬にみられる低血糖などの副作用がない安全な治療薬となることが期待される (Diabetes Care, 26, 2929-40 (2003))。
【0003】
DPP-IV阻害作用を有するピペラジン誘導体として、下記化合物が報告されている(特許文献1)。
【化3】

(式中、特にXはCH2、O及びNR7からなる群から選択され、R7はH、或いはそれぞれ置換されていてもよいアルキルまたは環基を示す。詳細は当該公報参照。)
当該クレームは広範に及ぶものの、R7はアシルを含まず、ジアシルピぺラジン化合物に関する開示も示唆もない。
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2003/000181号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、DPP-IV阻害作用を有する医薬、特に糖尿病治療剤として有用な、新規な化合物の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者等は、DPP-IV阻害作用を有する化合物について鋭意検討した結果、β-アミノ酸構造を有するジアシルピペラジン誘導体がDPP-IV阻害作用を有することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、一般式(I)で示されるジアシルピペラジン誘導体又はその塩に関する。
【化4】

(式中の記号は以下の意味を示す。
R1:-R0、-O-R0、-ハロゲノ低級アルキル、-O-(ハロゲノ低級アルキル)、-N(RA)-R0、-N(RA)-(ハロゲノ低級アルキル)、-置換されていてもよいアリール、-置換されていてもよいヘテロ環、-置換されていてもよいシクロアルキル、-R00-OH、-R00-O-R0、-R00-(置換されていてもよいアリール)、-R00-(置換されていてもよいヘテロ環)、-R00-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-O-(置換されていてもよいアリール)、-O-(置換されていてもよいヘテロ環)、-O-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-O-R00-(置換されていてもよいアリール)、-O-R00-(置換されていてもよいヘテロ環)、-O-R00-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-R00-O-(置換されていてもよいアリール)、-R00-O-(置換されていてもよいヘテロ環)、-R00-O-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-N(RA)-(置換されていてもよいアリール)、-N(RA)-(置換されていてもよいヘテロ環)、-N(RA)-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-N(RA)-R00-(置換されていてもよいアリール)、-N(RA)-R00-(置換されていてもよいヘテロ環)、-N(RA)-R00-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-R00-N(RA)-(置換されていてもよいアリール)、-R00-N(RA)-(置換されていてもよいヘテロ環)又は-R00-N(RA)-(置換されていてもよいシクロアルキル)、
R0:それぞれ同一又は互いに異なって、-低級アルキル、
R00:それぞれ同一又は互いに異なって、-低級アルキレン、
RA:それぞれ同一又は互いに異なって、-H又は-R0
X:-C(O)-又は-S(O)2-、
R21及びR22:同一又は互いに異なって、-H又は-R0
R31及びR32:同一又は互いに異なって、-H又は-R0
R41及びR42:同一又は互いに異なって、-H又は-R0
【化5】

R51及びR52:同一又は互いに異なって、-H、-R0、-ハロゲノ低級アルキル、-置換されていてもよいフェニル又は-R00-(置換されていてもよいフェニル)、
R53、R54、R55及びR56:同一又は互いに異なって、-H、-R0、-ハロゲノ低級アルキル、-R00-OH、-R00-O-R0、-CO2H、-CO2R0、-CONH2、-CO-N(RA)-R0、-CO-N(RA)-(置換されていてもよいアリール)、-CO-N(RA)-(置換されていてもよいヘテロ環)、-CO-N(RA)-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-CO-N(RA)-R00-(置換されていてもよいアリール)、-CO-N(RA)-R00-(置換されていてもよいヘテロ環)、-CO-N(RA)-R00-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-R00-CO2H、-R00-CO2R0、-R00-CONH2、-R00-CO-N(RA)-R0、-R00-CO-N(RA)-(置換されていてもよいアリール)、-R00-CO-N(RA)-(置換されていてもよいヘテロ環)、-R00-CO-N(RA)-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-R00-CO-N(RA)-R00-(置換されていてもよいアリール)、-R00-CO-N(RA)-R00-(置換されていてもよいヘテロ環)、-R00-CO-N(RA)-R00-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-置換されていてもよいフェニル又は-R00-(置換されていてもよいフェニル)、
但し、R53、R54、R55及びR56のうち、少なくとも1個はH以外の基を示す、
或いは、R53及びR54、R55及びR56、R53及びR55、R54及びR56、R53及びR56又はR54及びR55のいずれかが一体となって、-(CH2)n-、
n:1、2、3又は4、
B:-置換されていてもよいアリール又は-置換されていてもよいヘテロアリール。
(以下同様。))
【0007】
更に本願は、一般式(I)で示されるジアシルピペラジン誘導体又はその塩を有効成分とする医薬、殊にDPP-IV阻害剤並びに糖尿病治療剤にも関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明化合物は、DPP-IV阻害作用を有することから、糖尿病、特に2型糖尿病、インスリン抵抗性疾患、及び肥満等の予防及び/又は治療剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本明細書中、「アルキル」及び「アルキレン」とは、直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖を意味する。「低級アルキル」は、好ましくは炭素数1〜6個(以下、C1-6と略す)のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、tert-ブチル、1-ヘキシル等である。より好ましくはC1-4アルキル、より更に好ましくはC1-2アルキルである。
「低級アルキレン」は、上記「低級アルキル」の任意の水素原子1個を除去してなる二価基(C1-6アルキレン)を意味し、好ましくはC1-4アルキレンであり、より好ましくはC1-3アルキレンであり、より更に好ましくはC1-2アルキレンである。
「ハロゲン」は、F、Cl、Br及びIを示す。「ハロゲノ低級アルキル」とは、好ましくは、1個以上のハロゲンで置換されたC1-6アルキルを意味し、より好ましくはハロゲノC1-3アルキルであり、更に好ましくはフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル及び3,3,3-トリフルオロプロピル、より更に好ましくは、トリフルオロメチル、1,1-ジフルオロエチル及び2,2,2-トリフルオロエチルである。
「アリール」とは、C6-14の芳香族炭化水素基であり、好ましくはフェニル、ナフチル及びテトラヒドロナフチルであり、より好ましくはフェニルである。
「シクロアルキル」は、好ましくはC3-10のシクロアルキルであり、架橋されていてもよい。より好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びアダマンチルである。
【0010】
「へテロ環」とは、i) O、S及びNから選択されるヘテロ原子を1〜4個有していてもよい単環4〜8員、好ましくは5〜7員の、飽和、一部不飽和又は芳香族ヘテロ環、ii) 上記i)に示すヘテロ環が縮環した2環式へテロ環、但し、縮合する環は互いに同一でも異なっていてもよい、及びiii) 上記i) に示すヘテロ環とベンゼン環又は5〜7員シクロアルカンが縮合した2環式へテロ環、から選択される環からなる1価基を意味する。例えば、i) ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピロリル、チエニル、フリル、ジオキサニル、ジオキソラニル、トリアジニル、トリアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、テトラヒドロフラニル、ii) ナフチリジニル、イミダゾピリジニル、ピロロピリミジニル、ナフチリジル、チエノピリジニル、チエノピロリル、iii) ジヒドロベンゾフラニル、キノリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ジヒドロベンゾフラニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、トリチアニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インダゾリル、テトラヒドロベンゾイミダゾリル、クロマニルが挙げられる。また、環のS又はNが酸化されて、オキシドやジオキシドを形成していてもよい。
「へテロアリール」とは上記「へテロ環」のうち、O、S及びNから選択されるヘテロ原子を1〜4個有していてもよい単環5又は6員の芳香族ヘテロ環、同一又は異なる2個の芳香族ヘテロ環が縮環した2環式へテロ環、及び芳香族ヘテロ環とベンゼン環又は5〜7員シクロアルカンが縮合した2環式へテロ環、から選択される環からなる1価基を意味する。
【0011】
「置換されていてもよい」とは、「無置換」あるいは「同一又は異なる置換基を1〜5個有していること」を示す。「置換されていてもよいアリール」、「置換されていてもよいヘテロ環」、「置換されていてもよいシクロアルキル」及び「置換されていてもよいフェニル」における「アリール」、「ヘテロ環」、「シクロアルキル」及び「フェニル」の置換基として好ましくは、-R0、-O-R0、-ハロゲン、-ハロゲノ低級アルキル、-O-(ハロゲノ低級アルキル)、-OH、-CN、-NO2、-NH2、-NH-R0、-N(R0)2、-CO2H、-CO2-R0、-CONH2、-SO2-NH2、-SO2-NH-R0、-SO2-N(R0)2、-CO-R6、-NH-CO-R6、-NH-SO2-R6、-SO2-R6、-S-R6、-S(O)-R6、-SO2NHCO-R6、-CONHSO2-R6、1〜3個のR7で置換された低級アルキル又はオキソである。
【0012】
化合物(I)として好ましくは下記式(I’)で示される化合物である。
【化6】

(式中の記号は以下の意味を示す。
R1:-R0、-置換されていてもよいアリール、-置換されていてもよいヘテロ環、-置換されていてもよいシクロアルキル、-R00-(置換されていてもよいアリール)、-R00-(置換されていてもよいヘテロ環)又は-R00-(置換されていてもよいシクロアルキル)。
【0013】
更に、本発明の好ましい態様を以下に示す。
(1)R1として、好ましくは、-R0、-置換されていてもよいアリール、-置換されていてもよいヘテロ環、-置換されていてもよいシクロアルキル、-R00-(置換されていてもよいアリール)、-R00-(置換されていてもよいヘテロ環)又は-R00-(置換されていてもよいシクロアルキル)、より好ましくは-R0、-置換されていてもよいアリール又は-置換されていてもよいヘテロアリール、更に好ましくは-R0、-置換されていてもよいフェニル又は-置換されていてもよい単環ヘテロアリール、より更に好ましくは-C1-2アルキル、-置換されていてもよいフェニル又は-置換されていてもよいピリジルである。「置換されていてもよいアリール」、「置換されていてもよいヘテロ環」及び「置換されていてもよいシクロアルキル」における「アリール」、「ヘテロ環」及び「シクロアルキル」の置換基として好ましくは前述の基であり、より好ましくは-R0、-O-R0、-ハロゲン、-CO2H又は-CO2-R0、更に好ましくは-O-R0、-CO2H又は-CO2-R0である。但し、R6は-R0、-ハロゲノ低級アルキル又はR0もしくはハロゲンで置換されていてもよいフェニルを、R7は-OH、-O-R0、-CO2H、-CO2-R0又は-CONH2をそれぞれ示す。
(2)Xとして、好ましくは、-C(O)-である。
(3)Aとして、好ましくは、
【化7】

より好ましくは、
【化8】

である。
ここに、R53、R54、R55及びR56として好ましくは、同一又は互いに異なって、-H、-R0、-ハロゲノ低級アルキル、-R00-(置換されていてもよいフェニル)、-R00-OH又は-R00-O-R0であり、より好ましくは-H、-R0、-ハロゲノ低級アルキル、-R00-(-R0、-O-R0及びハロゲンから選択される基で置換されていてもよいフェニル)、-R00-OH又は-R00-O-R0であり、更に好ましくは-H、-R0、-(Fで置換された低級アルキル)、ベンジル、-R00-OH又は-R00-O-R0である。
(4)Bとして、好ましくは置換されていてもよいフェニル、より好ましくは、-R0、-O-R0及び-ハロゲンからなる群から選択される基で置換されていてもよいフェニル、更に好ましくはハロゲンで置換されたフェニル、より更に好ましくは1〜3個のFで置換されたフェニルである。
【0014】
別の好ましい態様としては、上記(1)〜(4)に記載の各好ましい基の組合せからなる化合物が好ましく、以下の化合物が好ましい。
(5)R1が、-R0、-置換されていてもよいアリール又は-置換されていてもよいヘテロアリールであり;Xが-C(O)-又は-S(O)2-であり;Aが、
【化9】

であり;Bが、-R0、-O-R0及び-ハロゲンからなる群から選択される基で置換されていてもよいフェニルである化合物。
(6)R1が、-C1-2アルキル、-置換されていてもよいフェニル又は-置換されていてもよいピリジルであり;Xが-C(O)-であり;Aが、
【化10】

であり;Bが1〜3個のFで置換されたフェニルである化合物。
【0015】
本発明の化合物は、置換基の種類によっては他の互変異性体や幾何異性体が存在する場合もある。本明細書中、それら異性体の一形態のみで記載することがあるが、本発明にはこれらの異性体も包含し、異性体の分離したもの、あるいは混合物も包含する。
また、本発明の化合物(I)は、置換基の種類によっては、不斉炭素原子を有する場合があり、その他の軸不斉を有する場合もある。本発明はこれらの光学異性体の混合物や単離されたものを全て包含する。
更に、本発明には、化合物(I)の薬理学的に許容されるプロドラッグも含まれる。薬理学的に許容されるプロドラッグとは、加溶媒分解により又は生理学的条件下で本発明のアミノ基、OH、CO2H等に変換できる基を有する化合物である。プロドラッグを形成する基としては、例えば、Prog. Med., 5, 2157-2161 (1985)や「医薬品の開発」(廣川書店、1990年)第7巻 分子設計163-198に記載の基が挙げられる。
【0016】
更に、本発明化合物は、酸付加塩又は置換基の種類によっては塩基との塩を形成する場合もあり、かかる塩が製薬学的に許容され得る塩である限りにおいて本発明に包含される。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、又はグルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リシン、オルニチン等の有機塩基との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。更には、分子内で塩を形成していてもよい。
本発明は、本発明化合物及びその製薬学的に許容され得る塩の各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形を有する物質も包含する。また、本発明は、種々の放射性又は非放射性同位体でラベルされた化合物も包含する。
【0017】
(製造法)
本発明化合物及びその製薬学的に許容され得る塩は、その基本骨格或いは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。その際、官能基の種類によっては、当該官能基を原料乃至中間体の段階で適当な保護基(容易に当該官能基に転化可能な基)に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。このような官能基としては例えばアミノ基、水酸基、カルボキシル基等であり、それらの保護基としては例えばグリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年)」に記載の保護基等を挙げることができ、これらを反応条件に応じて適宜選択して用いればよい。このような方法では、当該保護基を導入して反応を行った後、必要に応じて保護基を除去することにより、所望の化合物を得ることができる。
また、化合物(I)のプロドラッグは上記保護基と同様、原料乃至中間体の段階で特定の基を導入、あるいは得られた化合物(I)を用い反応を行うことで製造できる。反応は通常のエステル化、アミド化、脱水等、当業者により公知の方法を適用することにより行うことができる。
以下、本発明化合物の代表的な製造法を説明する。なお、本発明の製造法は以下に示した例には限定されない。
第1製法
【0018】
【化11】


(式中、P1は保護基又は低級アルキル基を示す。以下同様。)
本製法は、カルボン酸化合物(III)と環状アミン(II)とのアミド化反応を行ない本発明化合物(Ia)を得る反応である。また、P1が保護基の場合、脱保護反応を行うことにより、本発明化合物(I)を得ることができる。
アミド化反応は、カルボン酸化合物(III)又はその反応性誘導体を、それぞれ対応する環状アミン(II)と反応させることにより行うことができる。当該反応性誘導体としては酸ハロゲン化物(酸クロリド、酸ブロミド等)、酸無水物(クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸ベンジル、クロロ炭酸フェニル、p-トルエンスルホン酸、イソ吉草酸等との反応で得られる混合酸無水物、或いは対称酸無水物)、活性エステル(ニトロ基あるいはフッ素原子などの電子吸引基で置換していてもよいフェノール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N-ヒドロキシスクシンイミド(HONSu)等を用いて調製できるエステル)、カルボニルジイミダゾール(CDI)を用いて調整できる反応性誘導体、低級アルキルエステル、酸アジド等が挙げられる。これらの反応性誘導体は常法により製造することができる。
反応はカルボン酸化合物(III)又はその反応性誘導体と、対応する環状アミン(II)とを、等モルあるいは一方を過剰量用いて、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジグリム、1,2-ジメトキシエタン、2-メトキシジエチルエーテル等のエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチルピロリドン(NMP)、酢酸エチル又はアセトニトリル等の不活性溶媒中、冷却下〜加熱下で行うことができる。反応性誘導体の種類によっては、塩基(好ましくは、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン等)の存在下に反応させるのが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。ピリジンは溶媒を兼ねることもできる。
遊離カルボン酸を用いる場合には、縮合剤(N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(WSC)、CDI、N,N’-ジスクシンイミジルカルボナート、Bop試薬(アルドリッチ社(Aldrich)、米国)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート(HBTU)、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)、オキシ塩化リン、三塩化リン、トリフェニルホスフィン/N-ブロモスクシンイミド等)、または縮合剤を担持したポリスチレン樹脂、例えばPS-カルボジイミド(PS-Carbodiimide)(バイオタージ社製)、PL-DCC レジン(PL-DCC Resin)(ポリマー・ラボラトリーズ社(Polymer Laboratories)、英国)を用いることが好ましい。反応の種類によっては、更に添加剤(例えば、HONSu、HOBt等)を用いるのが反応の促進に有利なことがある。また、場合によっては、更に反応終了後の過剰なアミンを除去する目的でイソシアネートを担持したポリスチレン樹脂、例えばPS-イソシアネート(PS-Isocyanate)(バイオタージ社製)等を用いることが好ましい。また、更に反応終了後の過剰なカルボン酸、前述の添加剤等を除去する目的で4級アンモニウム塩を担持したポリスチレン樹脂、例えばMP-カルボネート(MP-Carbonate)(バイオタージ社製)等を用いることが好ましい場合がある。
P1が保護基の場合の保護基としては、前記「Protective Groups in Organic Synthesis」に記載の保護基が適宜適用でき、好ましくはt-ブトキシカルボニルやベンジルオキシカルボニル等である。脱保護反応の条件としては、当該文献に記載の条件を適用することができる。
第2製法
【0019】
【化12】


(式中、L1は脱離基又はOHを示す。以下同様。)
本製法は、カルボニル又はスルホニル化合物(IV)と環状アミン(V)とのアシル化反応を行ない本発明化合物(Ia)を得る反応である。また、P1が保護基の場合、脱保護反応を行うことにより、本発明化合物(I)を得ることができる。
XがCOの場合、前記第1製法に記載の方法に従い、反応を行うことができる。
XがSO2の場合、スルホニル化合物(IV)として、酸ハライドや種々の酸無水物を使用するのが好ましく、前記第1製法に記載の方法とほぼ同様の条件で、反応を行うことができる。
原料製法
【0020】
【化13】


環状アミン(II)及び(V)は、対応するピペラジン誘導体(VII)をアシル化又はアミド化反応に付すことにより製造できる。反応は、前記第1及び第2製法に記載のアシル化又はアミド化反応に従い行うことができる。また、ピペラジン誘導体(VII)は一方の窒素原子を適当な保護基で保護しておくことが好ましい場合があり、当該保護基としては前記「Protective Groups in Organic Synthesis」に記載の保護基が適用できる。
また、上記製法によって得られた環状アミン(II)及び(V)は、単離することなく前記第1又は第2製法に付して、本発明化合物を製造してもよい。
ピペラジン誘導体(VII)は多くの公知化合物や市販化合物が使用できるが、以下の方法によっても製造できる。
【0021】
【化14】

【0022】
原料化合物(IX)は、種々のアミノ酸誘導体を適宜、脱保護やベンジル化反応に付すことにより製造できる。ベンジル化は、例えばハロゲン化ベンジル又によるアルキル化反応又はベンズアルデヒドを用いた還元的アミノ化反応(日本化学会編「実験化学講座(第4版)」20巻(1992年)(丸善)等に記載の方法)等が適用できる。
環化反応は不活性溶媒中、無機又は有機酸触媒存在下又は非存在下、過熱還流することにより行なうことができる。あるいは、アミド化反応を適用することもできる。
還元反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(第4版)」20巻(1992年)(丸善)、p.282等に記載の方法等の、通常当業者が用いる還元反応が適用できる。
【0023】
本発明化合物は、遊離化合物、その製薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、あるいは結晶多形の物質として単離され、精製される。本発明化合物(I)の製薬学的に許容される塩は、常法の造塩反応に付すことにより製造することもできる。
単離、精製は、抽出、分別結晶化、各種分画クロマトグラフィー等通常の化学操作を適用して行われる。
各種の異性体は、適当な原料化合物を選択することにより、あるいは異性体間の物理化学的性質の差を利用して分離することができる。例えば、光学異性体は一般的な光学分割法(例えば、光学活性な塩基又は酸とのジアステレオマー塩に導く分別結晶化やキラルカラム等を用いたクロマトグラフィー等)により、立体化学的に純粋な異性体に導くことができる。また、適当な光学活性な原料化合物より製造することもできる。
【0024】
本発明化合物の薬理活性は以下の試験により確認した。
試験例1
DPP-IV阻害作用測定試験
血漿中DPP-IV活性測定の手順は、以下の通りである。なお、反応は96ウェルブラックプレートを用いて行った。ヒト血漿 20 μlに、20 μlの被験化合物溶液(最終濃度の4倍濃度となるように、25 mM HEPES、140 mM 塩化ナトリウム、1%ウシ血清アルブミン及び0.1%ジメチルスルホキシド(DMSO)からなる水溶液に溶解)を加え、さらに、25 mM HEPES、140 mM 塩化ナトリウム、80 mM 塩化マグネシウム及び1%ウシ血清アルブミンからなる水溶液(20 μl/ウェル)を加えて室温で30分間インキュベーションしたのち、25 mM HEPES、140 mM 塩化ナトリウム及び1%ウシ血清アルブミンからなる水溶液に溶解した0.2 mM Gly-Pro-AMC (BACHEM)溶液(20 μl/ウェル)を添加してさらに室温遮光下で20分間インキュベートし、遊離AMCの蛍光強度(Excitation 380 nm/ Emission 460 nm)をプレートリーダー(SPECTRA Max、Molecular Devices)で測定した。既知濃度のAMCを用いて作成した標準直線より遊離AMC濃度を求め、血漿1 mlによって1分間に遊離したAMC量をDPP-IV活性(nmol/min/ml)として算出した。
溶媒添加群のDPP-IV活性を100%として、各濃度におけるDPP-IV活性の残存率を算出し、溶媒添加群との差を阻害率とした。測定結果は、同一条件である2ウェルの値を平均して算出し、ロジスティック解析により50%阻害濃度(IC50値)を求めた。
本発明の代表的化合物のIC50値を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
試験例2
ラットにおけるDPP-IV阻害作用持続評価試験
各群 3例の雄性 Sprague Dawley (SD) 系 ラット(日本チャールス・リバー)に対し、精製水に溶解または0.5%メチルセルロース溶液に懸濁した被験化合物を1もしくは3 mg/kgの用量で経口投与した。被験化合物投与前及び投与後 1, 4, 8 時間に尾静脈より採血した。採取した血液は直ちに遠心分離を行って血漿を分取し、血漿中DPP-IV活性を測定した。
血漿中DPP-IV活性測定の手順は、以下の通りである。なお、反応は96ウェルブラックプレートを用いて行った。採取した血漿 30 μlに25 mM HEPES、140 mM 塩化ナトリウム、40 mM 塩化マグネシウム、1% ウシ血清アルブミン及び0.1 mM Gly-Pro-AMC (BACHEM)からなる水溶液(30 μl/ウェル)を加えて室温遮光下で10分間インキュベーションし、遊離AMCの蛍光強度(Exitation 380 nm/ Emission 460 nm)をプレートリーダー(SPECTRA Max、Molecular Devices)で測定した。既知濃度のAMCを用いて作成した標準直線より遊離AMC濃度を求め、血漿1 mlによって1分間に遊離したAMC量をDPP-IV活性(nmol/min/ml)として算出した。
被験化合物投与前の血漿のDPP-IV活性を100%として、投与後の各時点における血漿中のDPP-IV活性の残存率を算出し、投与前値との差を被験化合物の阻害率とした。
【0027】
上記の各試験の結果、本発明化合物はDPP-IV阻害作用を有することが確認され、このことから、糖尿病、特に2型糖尿病等の疾患の治療剤として有用であることは明らかである。
【0028】
本発明化合物(I)又はその塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する製剤は、当分野において通常用いられている薬剤用担体、賦形剤等を用いて通常使用されている方法によって調製することができる。
投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は、関節内、静脈内、筋肉内等の注射剤、坐剤、点眼剤、眼軟膏、経皮用液剤、軟膏剤、経皮用貼付剤、経粘膜液剤、経粘膜貼付剤、吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1種又は2種以上の有効成分を、少なくとも1種の不活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、及び/又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等のような崩壊剤、安定化剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水又はエタノールを含む。当該液体組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
【0029】
非経口投与のための注射剤は、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤又は乳濁剤を含有する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水又は生理食塩液が含まれる。非水溶性の溶剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール又はオリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、又はポリソルベート80(局方名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、又は溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解又は懸濁して使用することもできる。
吸入剤や経鼻剤等の経粘膜剤は固体、液体又は半固体状のものが用いられ、従来公知の方法に従って製造することができる。例えば公知の賦形剤や、更に、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、滑沢剤、安定剤や増粘剤等が適宜添加されていてもよい。投与は、適当な吸入又は吹送のためのデバイスを使用することができる。例えば、計量投与吸入デバイス等の公知のデバイスや噴霧器を使用して、化合物を単独で又は処方された混合物の粉末として、もしくは医薬的に許容し得る担体と組み合わせて溶液又は懸濁液として投与することができる。乾燥粉末吸入器等は、単回又は多数回の投与用のものであってもよく、乾燥粉末又は粉末含有カプセルを利用することができる。あるいは、適当な駆出剤、例えば、クロロフルオロアルカン、ヒドロフルオロアルカン又は二酸化炭素等の好適な気体を使用した加圧エアゾールスプレー等の形態であってもよい。
【実施例】
【0030】
以下、実施例に基づき本発明化合物(I)の製法を更に詳細に説明する。本発明化合物は下記実施例に記載の化合物に限定されるものではない。

参考例1 (製法A1)
3,5-ビス(エトキシカルボニル)安息香酸 (22.00 g) のDMF (160 ml) 溶液に、氷冷下でHOBt・H2O (10.80 g) を加え5分間攪拌後、(3S)-3-メチルピペラジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル (12.78 g) のDMF (40 ml) 溶液及びWSC・HCl (13.50 g) を加え、同温で1時間攪拌したのち室温で20時間攪拌した。溶媒を減圧留去したのち残渣に水 (400 ml) を加え酢酸エチル (600 ml) で抽出した。有機層を1M 塩酸 (300 ml)、水 (150 ml)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (300 ml)及び飽和食塩水 (150 ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後溶媒を減圧留去した。得られた残渣 (33.3 g) をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン: 酢酸エチル = 7:3〜1:1)で精製して、5-[[(2S)-4-(tert-ブトキシカルボニル)-2-メチルピペラジン-1-イル]カルボニル]イソフタル酸 ジエチルエステル (24.60 g) を無色固体として得た。

参考例2 (製法B)
5-[[(2S)-4-(tert-ブトキシカルボニル)-2-メチルピペラジン-1-イル]カルボニル]イソフタル酸 ジエチルエステル (24.60 g) のジオキサン (40 ml) 溶液に、水冷下で4M 塩化水素-ジオキサン溶液 (110 ml) を加え、室温で2.5時間攪拌した。溶媒を減圧留去したのち、残渣に酢酸エチル (100 ml) を加え1M 塩酸 (200 mlx2) で抽出した。水層に8M 水酸化カリウム水溶液 (25 ml) 及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (400 ml) を加えpH約7にした後、クロロホルム (300 mlx5)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を減圧留去して、5-[[(2S)-2-メチルピペラジン-1-イル]カルボニル]イソフタル酸 ジエチルエステル (18.60 g) を無色非晶性固体として得た。
【0031】
参考例3 (製法A2)
(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン酸 (15.32 g) のDMF (200 ml) 溶液に、氷冷下でHOBt・H2O (7.75 g) を加え10分間攪拌した後、5-[[(2S)-2-メチルピペラジン-1-イル]カルボニル]イソフタル酸 ジエチルエステル (16.02 g) 及びWSC・HCl (9.70 g) を順に加えた。同温で1時間攪拌した後室温へ昇温し、そのまま20時間攪拌した。溶媒を減圧下留去したのち残渣に1M 塩酸 (400 ml) を加え酢酸エチルで2度抽出した。有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を減圧留去した。得られた無色非晶性固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1〜1:2) で精製したのち、ヘキサン (300 ml) 及び酢酸エチル (3 ml) を加え析出した固体を濾取、乾燥して、5-[[(2S)-4-[(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタノイル]-2-メチルピペラジン-1-イル]カルボニル]イソフタル酸 ジエチルエステル (28.65 g) を無色固体として得た。

参考例4 (製法C)
(2S)-4-[(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタノイル]-2-メチルピペラジン-1-カルボン酸 ベンジルエステル (3.26 g) をエタノール (33 ml) に溶解し、ギ酸アンモニウム (1.12 g) 及び10%パラジウム-炭素 (320 mg) を加え、70℃で1時間攪拌した。反応液をセライト濾過後溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール = 10:1)で精製して、tert-ブチル [(1R)-4-[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-オキソ-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-イル]カルバメート (2.46 g) を無色油状物として得た。
【0032】
参考例5 (製法A3)
tert-ブチル [(2R)-4-[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-オキソ-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-イル]カルバメート (150 mg) のジクロロメタン (2 ml) 溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン (0.08 ml) を加え、氷冷下、塩化アセチル (0.03 ml)を加えた。室温で10分間攪拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール = 30:1) で精製することにより、tert-ブチル [(2R)-4-[(3S)-4-アセチル-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-オキソ-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-イル]カルバメート (165 mg) を無色油状物として得た。

参考例6 (製法D)
N-{(2S)-2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ブタノイル}グリシン メチルエステル (16.2 g)に4M 塩化水素-ジオキサン溶液 (100 ml) を加え、室温で30分攪拌した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣のジクロロメタン (105 ml)及びDMF (11 ml) の懸濁液に対して、ベンズアルデヒド (6 ml)、酢酸 (3.9 ml) 及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム (23.2 g) を加え、室温で20時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えクロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去することにより、N-[(2S)-2-(ベンジルアミノ)ブタノイル]グリシン メチルエステル (24.1 g) を得た。

参考例7 (製法E)
N-[(2S)-2-(ベンジルアミノ)ブタノイル]グリシン メチルエステル (24.1g) のトルエン (192 ml) 溶液に酢酸 (4.2 ml) を加え、110℃で4時間攪拌した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、(6S)-1-ベンジル-6-エチルピペラジン-2,5-ジオン (6.24 g) を得た。

参考例8 (製法F)
水素化リチウムアルミニウム (163 mg) のTHF (10 ml) の懸濁液に氷冷下、(6S)-1-ベンジル-6-エチルピペラジン-2,5-ジオン (500 mg) を加えた。反応混合物を75℃まで昇温し、3時間攪拌した。水 (0.57 ml)及び15%水酸化ナトリウム水溶液 (0.165 ml) を加え、室温で30分間攪拌した。不純物を濾別し、溶媒を減圧下留去することにより(2S)-1-ベンジル-2-エチルピペラジン (394 mg) を得た。
【0033】
参考例9 (製法G)
(3S)-3-(ヒドロキシメチル)ピペラジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル (300 mg)、ベンズアルデヒド (157 mg)、酢酸 (0.10 ml) 及びジクロロメタン (10 ml) の混合物を室温で10分間攪拌後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム (730 mg)を加え更に20時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (50 ml) を加え酢酸エチルで抽出したのち、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール = 99:1〜96:4) で精製して、(3S)-4-ベンジル-3-(ヒドロキシメチル)ピペラジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル (425 mg) を無色油状物として得た。

参考例10 (製法H)
5-[[(3R)-3-[(ベンジロキシ)メチル]-4-[(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタノイル]ピペラジン-1-イル}カルボニル)イソフタル酸 ジエチルエステル (210 mg) のエタノール (10 ml) 溶液に、10%水酸化パラジウム (25 mg) を加え、水素雰囲気下、3気圧で10時間攪拌した。触媒をセライトろ過にてろ去した後、ろ液を減圧下一部濃縮し、再度10%水酸化パラジウム (25 mg) を加え、水素雰囲気下、3気圧で10時間攪拌した。触媒をセライトろ過にてろ去し、ろ液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール = 100:0〜90:10)で精製して、5-[[(3R)-4-[(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタノイル]-3-ヒドロキシメチルピペラジン-1-イル]カルボニル]イソフタル酸 ジエチルエステル (182 mg) を無色非晶性固体として得た。

参考例11 (製法I)
2-[(2S)-4-ベンジルピペラジン-2-イル]エタノール (574 mg) のDMF (10 ml) 溶液に水冷下、イミダゾール (254 mg) 及びtert-ブチルジメチルシリルクロライド (486 mg) を加え、同条件で8時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール = 10:1)で精製し、(3S)-1-ベンジル-3-[2-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]エチル]ピペラジン (582 mg) を油状物として得た。

参考例12 (製法J)
3,5-ビス(エトキシカルボニル)安息香酸 (253 mg) のジクロロメタン (5 ml) 溶液に塩化オキザリル (0.333 ml) を加え、室温で攪拌しながらDMF(2滴)を加えた。反応液を15時間攪拌した後減圧濃縮した。得られた油状物をジクロロメタン (1 ml) に溶解し、この溶液を、tert-ブチル [(2R)-4-[(3R,5S)-3,5-ジメチルピペラジン-1-イル]-4-オキソ-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-イル]カルバメート (273 mg) のジクロロメタン (4 ml) とトリエチルアミン (0.3 ml) 溶液に加え、室温にて18時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を1M 塩酸、飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮した。得られた褐色油状物 (367 mg) のエタノール(5 ml) 溶液に1M 水酸化ナトリウム水溶液 (5 ml) を加え室温にて6時間攪拌した。反応液を濃縮し水 (5 ml)、1M 塩酸 (10 ml) を加え析出した固体を濾取し、5-[[(2R,6S)-4-[(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタノイル]-2,6-ジメチルピペラジン-1-イル}カルボニル)イソフタル酸 (176 mg) を得た。
【0034】
参考例13 (製法K)
参考例Cと同様の操作により、tert-ブチル [(1R)-4-[(2R,5S)-4-ベンジル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル]-4-オキソ-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-イル]カルバメート (4.37 g) より、tert-ブチル [(1R)-4-[(2R,5S)- 2,5-ジメチルピペラジン-1-イル]-4-オキソ-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-イル]カルバメート (3.15 g) を得た。

参考例14 (製法L)
5-(アミノメチル)-1-(4-メトキシベンジル)プロリン メチルエステル (26.2 g) のメタノール溶液 (600 ml) にナトリウムメトキシド (9.8 g) をアルゴン雰囲気下、0℃にて加え、室温で一終夜攪拌した。反応液に酢酸エチル (1.25 l) を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (2.5 l) にて2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、8-(4-メトキシベンジル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-2-オン (17.5 g) を得た。

上記参考例と同様にして、後記表に示す各参考例化合物を、それぞれ対応する原料を使用して製造した。各参考例化合物の構造及び物理化学的データを後記表2〜30に示す。
【0035】
実施例1 (製法M)
tert-ブチル [(2R)-4-[(3S)-4-アセチル-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-オキソ-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-イル]カルバメート (157 mg) のジクロロメタン (4 ml) 溶液に4M 塩化水素-ジオキサン溶液 (1 ml) を加え、室温で2時間攪拌した後、反応混合物を減圧下濃縮することにより、(2R)-4-[(3S)-4-アセチル-3-メチルピペラジン-1-イル]-4-オキソ-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-イルアミン 塩酸塩 (110 mg) を無色固体として得た。

実施例2 (製法N)
5-[[4-[(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタノイル]-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル]カルボニル]イソフタル酸ジエチルエステル (520 mg)、1M 水酸化ナトリウム水溶液 (3 ml)、エタノール (5 ml) 及びTHF (5 ml) の混合物を、室温で1時間攪拌後終夜放置した。溶媒を減圧下留去後、残渣にジエチルエーテル (10 ml) を加え水 (30 ml) で抽出した。水層に1M 塩酸 (3.5 ml) を加えクロロホルムで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を減圧下留去して、無色非晶性固体 (516 mg) を得た。この固体に4M 塩化水素-ジオキサン溶液 (5 ml) を加え室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧下留去した後、残渣にジエチルエーテルを加え固体を濾取、乾燥して、5-[[4-[(3R)-3-アミノ-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタノイル]-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル]カルボニル]イソフタル酸 塩酸塩 (384 mg) を無色固体として得た。
【0036】
実施例3 (製法P)
5-[[(3R)-4-[(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタノイル]-3-[2-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]エチル]ピペラジン-1-イル]カルボニル]イソフタル酸ジエチルエステル (229 mg) のエタノール (1.5 ml) 及びTHF (1.5 ml) の混合溶液に、1M 水酸化ナトリウム水溶液 (0.7 ml) を加え、室温にて5時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧下濃縮し、1M 塩酸を加え、クロロホルム及びクロロホルム-メタノール(10/1)混合溶液で抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去することにより対応するジカルボン酸を得た。得られたジカルボン酸のジオキサン (2 ml) 溶液に4M 塩化水素-ジオキサン溶液 (1 ml) を加え、室温にて2時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧下濃縮し、逆相分取液体クロマトグラフィー (0.08% ギ酸/アセトニトリル, 0.1%ギ酸/水;10%〜50%) にて精製した。得られた精製物のジオキサン (2 ml) 溶液に、4M 塩化水素-ジオキサン溶液 (0.5 ml) を加え、10分後に反応液を減圧下濃縮することにより、5-[[(3R)-4-[(3R)-3-アミノ-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタノル]-3-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]カルボニル]イソフタル酸 塩酸塩 (8.3 mg) を無色固体として得た。

実施例4 (製法Q)
8-(4-メトキシベンジル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン (23 mg)をDMF (1 ml)に溶解しHOBt (10 mg)、3-メトキシカルボニル安息香酸 (15 mg)、PS-Carbodiimide (バイオタージ社製) (100 mg)を加え一晩振とうした。その後、PS-Isocyanate (バイオタージ社製) (50 mg)、MP-Carbonate (バイオタージ社製) (50 mg)とDMF (0.5 ml)を加え2時間振とうした。反応溶液をろ過し、ろ液を減圧留去後、得られた残渣をメタノール (1 ml)に溶解し、10%パラジウム-炭素 (5 mg)を加え、水素雰囲気下にて一晩攪拌した。反応液をセライトろ過し、ろ液を減圧下濃縮後、得られた残渣をDMF (0.5 ml)に溶解し、(3R)-3-アミノ-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン酸 (4 mg)、HOBt (2 mg) 及びPS-Carbodiimide (バイオタージ社製) (50 mg) を加え一晩振とうした。その後、PS-Isocyanate (バイオタージ社製) (50 mg)、MP-Carbonate (バイオタージ社製) (50 mg) 及びDMF (0.5 ml) を加え2時間振とうした。反応液をろ過し、ろ液を減圧下濃縮後、得られた残渣を4M 塩化水素-酢酸エチル溶液 (0.5 ml) とメタノール (0.5 ml) に溶解し30分間室温にて攪拌後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をメタノール (1 ml) に溶解しMP-Carbonate (バイオタージ社製) (50 mg) を加え、2時間振とうした。反応液をろ過し、ろ液を減圧下濃縮し、3-[[8-[(3R)-3-アミノ-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタノイル]-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)カルボニル]安息香酸 (2.8 mg) を得た。

上記実施例と同様にして、後記表に示す各実施例化合物を、それぞれ対応する原料を使用して製造した。各実施例化合物の構造及び物理化学的データを後記表31〜49に示す。
【0037】
参考例中及び後記表中、以下の略号を用いる。REx:参考例番号、Ex:実施例番号、Str:構造式、Syn:製造法(上記参考例1〜14及び実施例1〜4の製法を同様に行なったことを、それぞれ順にA1、B、A2、C、A3、D〜N、P、Qで示す。なお、複数個の記載があるものはそれらの反応を記載の順に行なったことを示す。)、Sal:塩(HCl:塩酸塩、Frm:ギ酸塩。酸成分の数字は組成比を表し、例えば2HClは2塩酸塩を示す。無記載はフリー体を示す。)、Dat:物理化学的データ(NMR1:DMSO-d6中の1H NMRにおけるδ(ppm)、NMR2:CDCl3中の1H NMRにおけるδ(ppm)、FAB:FAB-MS (陽イオン)、ESI:ESI-MS (陽イオン)、ESI-N:ESI-MS (陰イオン)、Me:メチル、Et:エチル、Ph:フェニル、tBu:tert-ブチル、Bn:ベンジル、Boc:tert-ブトキシカルボニル、Z:ベンジルオキシカルボニル、TBDMS:tert-ブチルジメチルシリル。
【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
【表4】

【0041】
【表5】

【0042】
【表6】

【0043】
【表7】

【0044】
【表8】

【0045】
【表9】

【0046】
【表10】

【0047】
【表11】

【0048】
【表12】

【0049】
【表13】

【0050】
【表14】

【0051】
【表15】

【0052】
【表16】

【0053】
【表17】

【0054】
【表18】

【0055】
【表19】

【0056】
【表20】

【0057】
【表21】

【0058】
【表22】

【0059】
【表23】

【0060】
【表24】

【0061】
【表25】

【0062】
【表26】

【0063】
【表27】

【0064】
【表28】

【0065】
【表29】

【0066】
【表30】

【0067】
【表31】

【0068】
【表32】

【0069】
【表33】

【0070】
【表34】

【0071】
【表35】

【0072】
【表36】

【0073】
【表37】

【0074】
【表38】

【0075】
【表39】

【0076】
【表40】

【0077】
【表41】

【0078】
【表42】

【0079】
【表43】

【0080】
【表44】

【0081】
【表45】

【0082】
【表46】

【0083】
【表47】

【0084】
【表48】

【0085】
【表49】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で示されるジアシルピペラジン誘導体又はその製薬学的に許容される塩。
【化1】

(式中の記号は以下の意味を示す。
R1:-R0、-O-R0、-ハロゲノ低級アルキル、-O-(ハロゲノ低級アルキル)、-N(RA)-R0、-N(RA)-(ハロゲノ低級アルキル)、-置換されていてもよいアリール、-置換されていてもよいヘテロ環、-置換されていてもよいシクロアルキル、-R00-OH、-R00-O-R0、-R00-(置換されていてもよいアリール)、-R00-(置換されていてもよいヘテロ環)、-R00-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-O-(置換されていてもよいアリール)、-O-(置換されていてもよいヘテロ環)、-O-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-O-R00-(置換されていてもよいアリール)、-O-R00-(置換されていてもよいヘテロ環)、-O-R00-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-R00-O-(置換されていてもよいアリール)、-R00-O-(置換されていてもよいヘテロ環)、-R00-O-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-N(RA)-(置換されていてもよいアリール)、-N(RA)-(置換されていてもよいヘテロ環)、-N(RA)-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-N(RA)-R00-(置換されていてもよいアリール)、-N(RA)-R00-(置換されていてもよいヘテロ環)、-N(RA)-R00-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-R00-N(RA)-(置換されていてもよいアリール)、-R00-N(RA)-(置換されていてもよいヘテロ環)又は-R00-N(RA)-(置換されていてもよいシクロアルキル)、
R0:それぞれ同一又は互いに異なって、-低級アルキル、
R00:それぞれ同一又は互いに異なって、-低級アルキレン、
RA:それぞれ同一又は互いに異なって、-H又は-R0
X:-C(O)-又は-S(O)2-、
R21及びR22:同一又は互いに異なって、-H又は-R0
R31及びR32:同一又は互いに異なって、-H又は-R0
R41及びR42:同一又は互いに異なって、-H又は-R0
【化2】

R51及びR52:同一又は互いに異なって、-H、-R0、-ハロゲノ低級アルキル、-置換されていてもよいフェニル又は-R00-(置換されていてもよいフェニル)、
R53、R54、R55及びR56:同一又は互いに異なって、-H、-R0、-ハロゲノ低級アルキル、-R00-OH、-R00-O-R0、-CO2H、-CO2R0、-CONH2、-CO-N(RA)-R0、-CO-N(RA)-(置換されていてもよいアリール)、-CO-N(RA)-(置換されていてもよいヘテロ環)、-CO-N(RA)-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-CO-N(RA)-R00-(置換されていてもよいアリール)、-CO-N(RA)-R00-(置換されていてもよいヘテロ環)、-CO-N(RA)-R00-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-R00-CO2H、-R00-CO2R0、-R00-CONH2、-R00-CO-N(RA)-R0、-R00-CO-N(RA)-(置換されていてもよいアリール)、-R00-CO-N(RA)-(置換されていてもよいヘテロ環)、-R00-CO-N(RA)-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-R00-CO-N(RA)-R00-(置換されていてもよいアリール)、-R00-CO-N(RA)-R00-(置換されていてもよいヘテロ環)、-R00-CO-N(RA)-R00-(置換されていてもよいシクロアルキル)、-置換されていてもよいフェニル又は-R00-(置換されていてもよいフェニル)、
但し、R53、R54、R55及びR56のうち、少なくとも1個はH以外の基を示す、
或いは、R53及びR54、R55及びR56、R53及びR55、R54及びR56、R53及びR56又はR54及びR55のいずれかが一体となって、-(CH2)n-、
n:1、2、3又は4、
B:-置換されていてもよいアリール又は-置換されていてもよいヘテロアリール。)

【公開番号】特開2008−31064(P2008−31064A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204649(P2006−204649)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【Fターム(参考)】