説明

ジペプチドを含むパーソナルケア組成物

ジペプチドを含むパーソナルケア組成物、及びケラチン組織の状態を処置するためにこのような組成物を使用する方法。前記ジペプチドのC末端アミノ酸は、トレオニンである。パーソナルケア組成物は、局所適用する、経口摂取する、注射する、又は組み合わされた処置レジメンの部分として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジペプチドと、所望により1以上の他の成分とを含むパーソナルケア組成物に関する。このような組成物は、哺乳類のケラチン組織(例えば、皮膚、毛髪、及び/又は爪)の状態を調節する、特に哺乳類のケラチン組織の美容的外見を調節するために有用である。
【背景技術】
【0002】
消費者にとって現在利用可能な多くのパーソナルケア製品は、主として、皮膚、毛髪、又は爪の健康及び/又は物理的外見を改善することを対象としている。これらの皮膚、毛髪、又は爪のケア製品の多くは、典型的に、ヒトの皮膚、毛髪、又は爪に対する、老化又は環境的な損傷に関連する、皮膚、毛髪、又は爪の変化を、遅延させる、最小にする、又は更には除去することを目的とする。当該技術分野において、多くの化合物が、皮膚、毛髪、又は爪の状態を調節するために有用であると記載されてきた。
【0003】
皮膚、毛髪、及び爪は、多くの外部要因及び内部要因により、損傷を受けやすい。外部要因としては、紫外線放射(例えば、日光暴露による)、環境汚染、風、熱、低湿度、強い界面活性剤、研磨剤等が挙げられる。内部要因としては、年齢的老化、並びに皮膚、毛髪、又は爪の内部からの他の生化学的変化が挙げられる。これらの要因は、皮膚、毛髪、及び爪の老化、並びに環境的損傷(例えば、太陽光線損傷、煙損傷、並びに窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン、及び鉛のような、例えば金属などの汚染物質からの損傷)の可視的兆候を外部、内部にかかわらずもたらす。多くの人々にとって、皮膚、毛髪、又は爪の魅力を失うことは、若さの消失のしるしとなる。結果として、若さ重視社会において、若々しい外見を維持することは、好況ビジネスとなってきている。より若い毛髪、皮膚、及び爪の外見維持の補助のために、多くの製品及び処置が、様々な形態で入手可能である。
【0004】
外部要因又は内部要因は、皮膚、毛髪、又は爪の薄化及び一般的な劣化をもたらす可能性がある。例えば、皮膚、毛髪、及び爪の自然な老化として、皮膚、毛髪、又は爪を供給する細胞及び血管の収縮が存在する。真皮−表皮接合点も平板化し、そしてその結果、この接合点の機械的抵抗がより弱化する。例えば、オイカリネン(Oikarinen)著、「皮膚の老化:経年的老化対光老化(The Aging of Skin:Chronoaging Versus Photoaging)」、光皮膚科学(Photodermatol.)、光免疫学(Photoimmunol.)、光医療(Photomed.)、第7巻、3〜4頁、1990年を参照のこと。
【0005】
多数の皮膚、毛髪、及び爪のケア活性物質が当該技術分野において既知であり、皮膚、毛髪、又は、爪の健康及び/又は美容的外見の改善のために使用されている。例えば、様々なペプチド類が、皮膚、毛髪、又は爪のケア効果を提供するために皮膚、毛髪、及び爪のケア組成物に含まれている。しかし、全てのペプチド類が、所望の効果を提供可能なわけではない。
【0006】
例えば、C末端セリン残基は、皮膚医薬的(dermopharmaceutically)及び/又は美容的活性物質ではない可能性がある、あるいは好ましい適用において有用ではない可能性があるジペプチド類を引き起こし得る。例えば、リジン及びセリン(Lys−Ser)を含むジペプチド類は、多くの皮膚医薬的(dermopharmaceutical)及び/又は美容的適用にとって、不適切な特性を有し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、対応するLys−Serジペプチドと比較して優れた特性を提供し得るジペプチドを含むパーソナルケア組成物を提供することが、望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、対応するLys−Serジペプチドと比較して優れた特性を提供し得るジペプチドを含むパーソナルケア組成物を提供する。本発明のジペプチドは、C末端アミノ酸がトレオニン(「Thr」)であるジペプチドである。より好ましくは、このようなジペプチドのN末端アミノ酸は、塩基性アミノ酸であり、さらにより好ましくは、pH6.0において正荷電したものである。これらは、天然起源のアミノ酸リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、及びヒスチジン(His)を含む。リジンの使用が、最も好ましい。従って、本発明に従う特に好ましいジペプチドは、配列Lys−Thr、並びにN−アシル誘導体及びエステル、並びにこれらの窒素含有C末端誘導体を有する。
【0009】
パーソナルケア組成物は、1以上のこのようなジペプチド類及び/又はこのようなジペプチド類の誘導体を、好ましくは安全且つ有効な量で含む。
【0010】
また本発明は、哺乳類のケラチン組織(例えば、皮膚、毛髪、又は爪)の状態を調節するために、このような組成物を使用する方法に関する。前記方法は、本発明の組成物を、このような処置が必要な哺乳類のケラチン組織(例えば、皮膚、毛髪、又は爪)に局所適用する工程を一般に含む。
【0011】
一実施形態において本方法は、ジペプチド、好ましくは安全且つ有効な量のジペプチドを、哺乳類ケラチン組織(例えば、皮膚、毛髪、又は爪)の状態を調節するために、経口摂取する工程を含む。一実施形態では、本方法は、組成物の経口摂取及び組成物の局所適用の両方を含む、二元的処置レジメンを含み、ここで、少なくとも1つの組成物は、本発明に従うジペプチドを含む。
【0012】
別の態様において本方法は、ジペプチドを注射する、好ましくはジペプチドを皮膚内に及び/又は皮膚下に注射する工程を含む。特定の実施形態では、本方法は、注射及び/又は経口投与及び/又は局所適用の組み合わせを含む処置レジメンを含む。
【0013】
本発明のこれらの及び他の特徴、態様、及び利点は、本開示を読むことで当業者には明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書は、本発明を特に指摘し、明確に請求する特許請求の範囲をもって結論づけられるが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されるであろうと考えられる。
【0015】
本明細書で使用するとき、単数形の用語「ジペプチド」は、1以上のジペプチド類、ジペプチド誘導体、又はこれらの組み合わせを含むのに充分広義である。従って、用語「ジペプチド(dipeptide)」、「ジペプチド類(dipeptides)」、及び「ジペプチド類の誘導体」は、完全に交換可能に使用される。「ジペプチド」とは、天然起源のジペプチド類及び合成されたジペプチド類の両方を指し、少なくとも1つのジペプチドを含有する天然起源の及び市販の組成物を含む。
【0016】
本明細書で使用するとき、単数形の用語「ペプチド」は、1以上のペプチド類、ペプチド誘導体、又はこれらの組み合わせを含むのに充分広義である。従って、用語「ペプチド(peptide)」、「ペプチド類(peptides)」、及び「ペプチド類の誘導体(derivatives of peptides)」は、完全に交換可能に使用される。「ペプチド」とは、天然起源のペプチド類及び合成されたペプチド類の両方を指し、少なくとも1つのペプチドを含有する天然起源の及び市販の組成物を含む。
【0017】
他に指示がない限り、本明細書で使用する全ての百分率及び割合は、全組成物の重量を基準とし、測定は全て25℃で実施される。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「ケラチン組織」とは、哺乳類(例えば、ヒト、イヌ、ネコ等)の最も外側の保護被膜として配置されるケラチン含有層を指し、皮膚、粘膜、唇、髪、足指の爪、手指の爪、角皮、ひづめ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「局所適用(topical application)」、「局所に(topically)」、及び「局所の(topical)」は、ケラチン組織の表面上に、本発明の組成物を適用(例えば、塗布、噴霧)することを意味する。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「経口の(oral)」、「経口に(orally)」、及び「経口投与(oral administration)」とは、本発明の組成物を経口摂取することを指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「皮膚科学的に許容可能な」とは、そのように記載されている組成物又はその構成要素が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応等を伴うことなく、哺乳類のケラチン組織と接触させて使用するのに適していることを意味する。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「経口に許容可能」とは、そのように記載されている組成物又はその構成要素が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応等を伴うことなく、哺乳類にとって経口摂取に適していることを意味する。
【0023】
本明細書で使用するとき、「有効な量」とは、独立して、あるいは本明細書にて開示された他の効果と組み合わせて、ケラチン組織のプラス効果を著しく引き起こすのに十分な、化合物又は組成物の量を意味する。これは、製剤中のジペプチドの含有量及び/又は濃度が、製剤を通常の頻度で通常の量適用したときにその製剤が、1以上の望ましくないケラチン組織状態(例えば、皮膚の皺)を処置し得るのに充分であることを意味する。例えば量は、ケラチン組織内で生じるいくつかの生化学的機能を、阻害又は増強するのに十分な量であることができる。このジペプチドの量は、製品の種類、対応すべきケラチン組織状態の種類等に依存して、変化する可能性がある。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「安全且つ有効な量」とは、当業者の正しい判断の範囲内で、本明細書にて開示される効果が独立して又は組み合わせで包含されるプラス効果、好ましくはケラチン組織の外見又は感触のプラス効果を、著しく引き起こすのに充分であるが、深刻な副作用を回避するのに充分に少ない、すなわち合理的な効果対危険比を提供する、化合物又は組成物の量を意味する。
【0025】
本発明のパーソナルケア組成物は、ケラチン組織(例えば、毛髪、皮膚、又は爪)の状態を処置するために有用であり得る。本明細書で使用するとき、「処置(treating)」又は「処置(treatment)」又は「処置する(treat)」とは、ケラチン組織美容的外見及び/又は感触を調節する及び/又は即座に改善することを含む。本明細書で使用するとき、「調節(regulating)」又は「調節(regulation)」とは、健康及び/又は美容的外見を維持又は改善することを意味し、予防的調節及び/又は治療的調節の両方を含む。ケラチン組織状態、すなわち哺乳類、特にヒトの皮膚、毛髪、又は爪の状態の調節は、体に対する内因性及び/又は外因性因子によって誘発又は引き起こされ得る状態のために必要とされることが多い。例としては、環境的な損傷、放射線暴露(紫外線を含む)、年齢的老化、更年期状態(例えば、閉経後の皮膚、毛髪、又は爪の変化)、ストレス、病気、疾患等が挙げられる。例えば、「皮膚、毛髪、又は爪の状態の調節」としては、皮膚、毛髪、又は爪状態の予防的調整及び/又は治療的調整が挙げられ、次の効果の1つ以上を含み得る:皮膚、毛髪、又は爪の萎縮を低減するために、皮膚、毛髪、又は爪を厚くすること(例えば、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下(sub-dermal)(例えば、皮下脂肪又は筋肉)層の構築、並びに適用可能であるところで、爪及び毛幹の角質層の構築)、真皮−表皮の境界の回旋(convolution)の増加(乳頭間隆起としても既知)、弾力線維症、たるみのような皮膚又は毛髪弾性の損失(機能的皮膚エラスチンの損失、損傷、及び/又は不活性化)の防止、変形からの皮膚の損失又は毛髪萎縮、目の下のクマのような皮膚、毛髪、又は爪の着色におけるメラニン又は非メラニン変化、斑点(例えば、酒さによる不均一な赤い着色)(本明細書において、後に「赤色斑点」と称される)、血色の悪さ(青白い色)、毛細血管拡張症又はクモ状血管、及び白髪により引き起こされる変色。
【0026】
本明細書で使用する時、ケラチン組織状態の予防的調整としては、皮膚、毛髪、又は爪の加齢老化の兆候が含まれる可視的及び/又は触知性のケラチン組織の不連続性(例えば、視覚的又は感触によって検出される可能性がある、皮膚、毛髪、爪のきめの凹凸)を遅延させる、最小にする、及び/又は予防することが挙げられる。また、これは、用語「処置」にも網羅される。
【0027】
本明細書で使用するとき、ケラチン組織状態の治療的調節としては、ケラチン組織(例えば、皮膚、毛髪、又は爪)の不連続を改善する、例えば、減少すること、最小にすること、及び/又は消失することが挙げられる。また、これは、用語「処置」にも網羅される。
【0028】
本明細書で使用するとき、「パーソナルケア組成物」とは、ケラチン組織(例えば、皮膚、毛髪、爪)を処置する目的で、ケラチン組織への局所適用、及び/又は経口摂取、及び/又は注射が意図される形態の組成物を意味し、それに続く製造又は変更は意図されない。
【0029】
また本発明の組成物は、ケラチン組織(例えば、皮膚、毛髪、又は爪)の美容的外見及び/又は感触を即座に改善するためにも有用であり得る。例えば、本発明の局所適用組成物は、皮膚、毛髪、又は爪に組成物を適用した後、皮膚、毛髪、又は爪の外見を、即座に視覚的に改善することによって、皮膚、毛髪、又は爪状態の美容的外見を調節するために有用であり得る。一般的に言えば、さらに微粒子物質(例えば、顔料)を含有する本発明の局所適用組成物は、即座に視覚的に改善するために最も有用であり得る。
【0030】
本明細書で使用する時、用語「たるみ」とは、皮膚エラスチン、粘膜、及び/又は皮下脂肪における、喪失、損傷、変性、及び/又は異常によって起こる、ゆるみ、しまりのないこと等の皮膚の状態を意味する。
【0031】
本明細書で使用する時、用語「滑らかにする」及び「軟らかくする」とは、触知性の感覚の改善のような、ケラチン組織表面の改変を意味する。
【0032】
「ケラチン組織老化の徴候」としては、目視及び触知できる程に認知可能な全ての外面への現れ、並びにケラチン組織老化によるあらゆる他のマクロ的又はミクロ的現象が挙げられるが、これらに限定されない。このような徴候は、内的要因又は外的要因、例えば経年的老化及び/又は環境的損傷によって誘導される又は引き起こされることがある。これらの徴候は、これらに限定されるものではないが、皺及び荒くて深い皺、小皺、皮膚の線、亀裂、打撲傷、大きな毛穴(例えば、汗腺管、脂腺又は毛包のような付属器官構造に関連する)、不均一性又は粗さのような組織的不規則性の発生、皮膚の弾性喪失(機能的な皮膚エラスチンの喪失及び/又は不活性化)、たるみ(目の領域や顎の腫れを包含する)、皮膚堅固性の喪失、皮膚緊張性の喪失、皮膚の変形反動の喪失、変色(目の下のくまを包含する)、しみ、青白さ、年齢斑やそばかすのような色素沈着過剰皮膚領域、角化症、異常な分化、過剰ケラチン化、弾性線維症、コラーゲン分解、並びに角質層、真皮、表皮、皮膚血管系(例えば、毛細血管拡張症又はクモ状脈管)、及び基礎となっている組織(例えば、脂肪及び/又は筋肉)における、とりわけ皮膚近位の、他の組織学的変化を包含する過程から生じる可能性がある。
本発明の組成物は以下に詳細に記載される。
【0033】
I.パーソナルケア組成物
一つの態様において、本発明のパーソナルケア組成物は、
(1)ジペプチド;
(2)皮膚科学的に又は経口に許容可能な担体、あるいは注射可能な液体;及び
(3)所望により、任意構成要素
を含む。
【0034】
本発明のパーソナルケア組成物は、あらゆる好適な形態であることが可能である。これらのジペプチド類を含む全ての形態の局所用及び経口用パーソナルケア組成物は、例えば、クリーム、ジェル、ローション、エマルション、セラム、コロイド、溶液、懸濁液、軟膏、ミルク、スプレー、カプセル、錠剤、リキッド、スティック、固形、ペースト、パウダー、コンパクト、ペンシル、スプレー・オン製剤、ブラッシュ・オン製剤、布、ワイプ等を意図し、含むことができる。
【0035】
局所用パーソナルケア組成物の非限定例としては、リップスティック、マスカラ、口紅、ファンデーション、頬紅、アイライナー、リップライナー、リップグロス、顔用又は体用パウダー、サンスクリーン及びサンブロック、ネイルポリッシュ、ムース、スプレー、スタイリングジェル、ネイルコンディショナー、浴用及びシャワー用ジェル、シャンプー、コンディショナー、クリーム状リンス、毛髪染料及びカラーリング製品、リーブオン・コンディショナー、サンスクリーン及びサンブロック、リップバーム、皮膚コンディショナー、コールドクリーム、保湿剤、ヘアスプレー、石鹸、体用スクラブ、剥離剤、収れん剤、脱毛剤及びパーマ液、防ふけ製剤、制汗及び発汗抑制組成物、シェービング、プレシェービング及びアフターシェービング製品、保湿剤、防臭剤、コールドクリーム、クレンザー、スキンジェル、並びにリンスを挙げることができる。さらに組成物は、貼付剤又は他の供給装置の使用を通じて、局所適用することができる。供給装置としては、加熱又は冷却され得るもの、並びにイオン導入又は超音波を利用するものを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0036】
経口用パーソナルケア組成物の非限定例としては、錠剤、ピル、カプセル、ドリンク、飲料、パウダー、ビタミン、サプリメント、ヘルスバー、キャンディ、ガム、及びドロップを挙げることができる。
【0037】
別の態様では、本発明は、少なくとも1つの局所用組成物と、少なくとも1つの経口用組成物とを組み合わせて使用することを含むパーソナルケアレジメンを提供する。このレジメンの少なくとも1つの組成物は、本発明に従うジペプチドを含む。好ましくは、レジメンは、このようなジペプチドを含む少なくとも1つの局所用組成物、及びこのようなジペプチドを含む少なくとも1つの経口用組成物を含む。
別の態様では、本方法は、ジペプチドを注射する、好ましくはジペプチドを皮膚中及び/又は皮膚下に注射する工程を含む。特定の実施形態では、本方法は、本発明のジペプチドの注射及び/又は経口投与及び/又は局所適用の組み合わせを含む処置レジメンを含む。
【0038】
II.ジペプチド
本発明の組成物は、ジペプチド活性物質を含む。本明細書で使用するとき、用語「ジペプチド」は、1以上のジペプチド類、1以上のジペプチド類の誘導体、及びこれらの組み合わせを含むのに十分に広義である。好ましくは、組成物は、有効な量の、好ましくは安全且つ有効な量のこのようなジペプチドを含む。
【0039】
本明細書において用いるのに好適なペプチド活性物質は、ジペプチドLys−Thr及びこの誘導体である。好ましいジペプチド誘導体含有組成物は、フランスのセダーマ(Sederma)より入手可能なパルミトイル−Lys−Thrである。ジペプチドにおけるC末端残基として、トレオニン(Thr)を使用することは、特に望ましく、セリン末端の同類のジペプチド類と比較して、優れた特質を提供することができる。例えば、ジペプチドLys−ThrとN−アシル誘導体及びエステル、及びこれらの窒素含有C末端誘導体は、対応するLys−Serジペプチドと比較して、優れた特性を提供することができる。
【0040】
より好ましくは、このようなジペプチド類のN末端アミノ酸は、pH6.0で正帯電された塩基性アミノ酸である。より好ましくは、このようなジペプチド類のN末端アミノ酸は、pH6.0で正帯電している塩基性アミノ酸である。これらは、天然起源のアミノ酸リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、及びヒスチジン(His)を包含する。リジンを使用することが最も好ましい。従って、本発明に従う特に好ましいジペプチドは、配列Lys−Thr、及びN−アシル誘導体及びエステル、並びにこれらの窒素含有C末端誘導体を有する。
【0041】
本発明に従うジペプチド類及び誘導体としては、His−Thr、Arg−Thr、Lys−Thr、Alk−His−Thr、Alk−Arg−Thr、Alk−Lys−Thr、His−Thr−OAlk、Arg−Thr−OAlk、Lys−Thr−OAlk、His−Thr−NR12、Arg−Thr−NR12、Lys−Thr−NR12、Alk−His−Thr−OAlk、Alk−Lys−Thr−NR12、Alk−Lys−Thr−OAlkが、限定することなく挙げられる。配列の左側にて使用されるとき、「Alk」とは、本明細書にて定義されるN−アシル誘導体を指す。配列の右側にて使用されるとき、「OAlk」とは、ThrのC末端カルボニルに付着するエステル基を指す(例えば、COOAlk)。「NR12」は、本明細書にて定義されるとおりである。
【0042】
本発明の別の態様に従うと、本発明のジペプチド類は、構造:
【0043】
【化1】

を有し、
式中、
Aは、NH3+(CH24−、
NH2+=C(NH2)NH−(CH23− 又は
【0044】
【化2】

であり、
Bは、−NH2、−NH3+、−NH−Dであり、
Dは、炭素原子2〜22個の長さのアシル基、又はビオチニルであり、
Eは、−O−Alk、−NR12、−H、−O-、又は−OHであり、
式中、Alkは、炭素1〜24個の長さのアルキル基であり、R1及びR2は、独立してH又は炭素1〜12個の長さのアルキル基である。特に好ましい実施形態では、Bは−NH−Dである。分子のA(それぞれLys、Arg、及びHis)は、pH6.0で個々の荷電状態にあることが示されることに留意すること。それらは、非荷電状態で存在してもよく、上記の表示Aは、両方を包含することを意味することが理解される。
【0045】
本発明に従うジペプチド類は、パーソナルケア組成物中に提供されるとき、好ましくは少なくとも1つの望ましくないケラチン組織(例えば、皮膚、毛髪、又は爪)の状態の兆候を処置するために、安全且つ有効な量で、提供される。明細書で使用するとき、語句「少なくとも1つの望ましくないケラチン組織(例えば、皮膚、毛髪、又は爪)の状態を処置するために」とは、局所に及び/又は経口に有効な量で使用されるとき、ジペプチドが、ケラチン組織(例えば、皮膚、毛髪、又は爪)状態のいくつかの態様での影響における、客観的に測定可能な増加を提供することを意味する。
これは、例えば皺の著しい減少、向上した効能、皮膚、毛髪、又は爪における少なくとも1つの生化学的プロセスを著しい程度に促進又は阻害する能力等であり得る。一般に、これは、対照との比較に基づき決定される。
【0046】
ジペプチドは、好ましくはパーソナルケア組成物の約1×10−6重量%〜約10重量%、より好ましくは約1×10−6重量%〜約0.1重量%、さらにより好ましくは約1×10−5重量%〜約0.01重量%の量で含まれる。
【0047】
本発明に従う「ジペプチド」との言及は、そのC末端アミノ酸がThrであるジペプチドを意味する。これらは、文脈において別な方法で指定しない限り、本明細書において議論されるようなエステル、酸ハロゲン化物、及び窒素含有化合物のような、そのN−アシル誘導体、並びにC末端誘導体を含む。
【0048】
N−アシル誘導体は、水素の位置において、N末端アミノ酸に付着する群であり、炭素2〜22個の炭素長のアルキル鎖を含むことができる。これらは、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換、飽和又は不飽和、ヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化、硫黄含有又は非含有であることができる。またN−アシルは、ビオチニル基を意味してもよい。同様に、トレオニンは、C末端誘導体の形態であってもよく、例えば、酸、1〜24個の炭素、好ましくは1〜3個の炭素又は炭素14〜18個の炭素長を有するアルキル鎖とのエステル(「Oalk」)が挙げられる。これらは、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換、飽和又は不飽和、ヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化、硫黄含有又は非含有であることができる。またC末端誘導体は、NR1R2であってもよく、ここでR1及びR2は、互いに独立してH又は炭素1〜12個の炭素長のアルキル鎖である。これらは、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換、飽和又は不飽和、ヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化、硫黄含有又は非含有であることができる。好ましくは、N末端アミノ酸に付着したアシル誘導体はパルミトイル基であり、最も好ましくは、C末端アミノ酸は酸の形態である。
【0049】
「皮膚老化」、「皮膚老化の兆候」等のような全ての用語は、パーソナルケア製品の開発、試験、及び販売の業界で、一般的に及び広く使用される意味で使用される。「皺」とは、肉眼で見え、一般に平均深さ50〜200μm超過の、本質的に高齢化により現れる、顔の皮膚のなめらかな表面以外の溝を意味する。
【0050】
本明細書にて採用される用語「アミノ酸」は、光学活性であればD−又はL−配置のいずれかの、全ての天然起源の及び合成のアミノ酸を包含及び網羅する。用語「ジペプチド」とは、本明細書にて定義される2つのアミノ酸を含む分子を意味する。
【0051】
それらのペプチドの生物学的利用能及び皮膚及び/又は上皮のバリア交差(crossing)を増強するために、ペプチドのN−末端NH2基のアシル化、直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和、ヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化のアルコールでのカルボキシル基のエステル化のいずれか、あるいは両方により、それらの親油性又は親油性の特徴の向上が図れる。
【0052】
本発明を実施する好ましい方法においては、使用されるN−アシル基は、ラウロイル(C12)、又はミリストイル(C14)、又はパルミトイル(C16)、又はステアロイル(C18)、又はオレオイル(C18:1)、又はアラキジック(C20)、又はリノレオイル(C18:2)である。ビオチニル基(ビオチン又は誘導体)も同様に好ましい。特に好ましい実施形態では、N末端基は、H又はパルミトイルのいずれかである。
【0053】
III.任意構成要素/成分
本発明の組成物は、1以上の好適な所望の任意構成要素を含むことができる。例えば、組成物は、所望により他の活性又は不活性成分を含むことができる。ナイアシンアミドのような任意のケラチン組織活性物質と組み合わせてペプチドを含む組成物は、相加的及び/又は相乗的なケラチン組織(例えば、皮膚、毛髪、又は爪)の効果を提供することが可能であり得る。
【0054】
例えば、このような物質は、糖アミン(例えば、N−アセチルグルコサミン)、ビタミンB3化合物、デヒドロ酢酸ナトリウム、デヒドロ酢酸及びその塩、フィトステロール、大豆誘導体(例えば、エクオル及び他のイソフラボン)、ナイアシンアミド、フィタントリオール、ファルネソール、ビサボロール、サリチル酸化合物、ヘキサミジン、ジアルカノイルヒドロキシプロリン化合物、フラボノイド、N−アシルアミノ酸化合物、レチノイド(例えば、レチニルプロピオネート)、水溶性ビタミン、アスコルビン酸塩(例えば、ビタミンC、アスコルビン酸、アスコルビルグルコシド、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビルリン酸マグネシウム、アスコルビルリン酸ナトリウム)、粒子状物質、日焼け止め活性物質、抗セルライト剤、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、これらの誘導体、並びにこれらの組み合わせから成る群から選択されることができる。任意成分の他の例としては、カチオン性ポリマー、コンディショニング剤(炭化水素油、脂肪酸エステル、シリコーン)、抗ふけ剤、抗脂漏剤、抗乾癬剤、懸濁剤、粘度調整剤、染料、不揮発性溶媒又は希釈剤(水溶性及び水不溶性)、真珠光沢助剤、起泡増進剤、界面活性剤、非イオン補助界面活性剤、殺シラミ剤(pediculocides)、pH調整剤、香料、防腐剤、キレート剤、キレート化剤、タンパク質、UV吸収剤、顔料、他のアミノ酸、並びに他のビタミンを含むことができる。
【0055】
例えば、本発明の組成物は、例えば、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、パントテン酸、パントテニルエチルエーテル、パンテノール、ビオチン及びこれらの誘導体のような水溶性ビタミン、アスパラギン、アラニン、インドール、グルタミン酸及びこれらの塩のような水溶性アミノ酸、ビタミンA、D、E及びこれらの誘導体のような非水溶性ビタミン、チロシン、トリプタミン及びこれらの塩のような非水溶性アミノ酸、のようなビタミン及びアミノ酸を1以上含んでもよい。
【0056】
また本発明の組成物は、C.I.名を有するもののような水溶性構成要素を含む、無機、ニトロソ、モノアゾ、ジアゾ、カロチノイド、トリフェニルメタン、トリアリールメタン、キサンテン、キノリン、オキサジン、アジン、アントラキノン、インジゴイド、チオンインジゴイド、キナクリドン、フタロシアニン、植物の色、天然の色のような顔料物質を1以上含有してもよい。また本発明の組成物は、化粧品用殺生物剤及び抗ふけ剤として有用な抗菌剤を含有してもよく、これには、ピロクトンオラミンのような水溶性構成要素、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(トリクロサン)、トリクロカルバン及びピリチオン亜鉛のような非水溶性構成要素が挙げられる。
【0057】
さらに、組成物は、米国特許第6,492,326号(2002年12月10日、ロビンソン(Robinson)らに発行)に開示されているもののような他のペプチド類(例えば、Lys−Thr−Thr−Lys−Serのようなペンタペプチド、及びこれらの誘導体)を含むことができる。好適なペンタペプチド誘導体としては、フランスのセダーマ(Sederma)から入手可能なパルミトイル−Lys−Thr−Thr−Lys−Serが挙げられる。本明細書において組成物に使用することができる別の任意のジペプチドは、カルノシンである。本明細書で使用するとき、用語「ペプチド」とは、1以上のペプチド、1以上のペプチド誘導体、及びこれらの組み合わせを含むのに十分に広義である。
【0058】
一実施形態では、任意成分は、ペプチドを含まない。特定の実施形態では、任意成分は、ペプチドを含み、ここで前記ペプチドは、ペンタペプチド(例えば、パルミトイル−Lys−Thr−Thr−Lys−Ser)ではない。別の実施形態では、任意成分は、ペンタペプチド・パルミトイル−Lys−Thr−Thr−Lys−Serを含まない。さらに別の実施形態では、任意成分は、ペンタペプチド(例えば、パルミトイル−Lys−Thr−Thr−Lys−Ser)のようなペプチドを含むが、前記ペプチドは、有効な量で存在しない(例えば、それは本明細書にて開示された所望の効果以外の目的で含まれる)、あるいはこのようなペプチドは、安全且つ有効な量で存在しない。
【0059】
また、所与の製品型に従来使用される成分のような、あらゆる他の好適な任意構成要素も、本発明のパーソナルケア組成物に含まれることができる。CTFA化粧品成分便覧、第10版(米国化粧品工業会社出版、ワシントンD.C)(2004年)(以後、「CTFA」)は、本明細書における組成物に添加することができる多種多様な非限定物質を記載している。これらの成分部類の例としては、研磨剤、吸収剤、香料、顔料、着色料/着色剤、精油、皮膚感覚剤、収れん剤等のような審美的構成要素(例えば、丁子油、メントール、カンファー、ユーカリ油、オイゲノール、メンチルラクテート、ウィッチヘーゼル留出物)、抗ニキビ剤、固化防止剤、消泡剤、抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカーバメート)、抗細菌剤、抗真菌剤、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、充填剤、キレート化剤、化学的添加剤、着色剤、化粧品収れん剤、化粧品殺生物剤、変性剤、医薬収れん剤、外用鎮痛薬、フィルム形成剤又はフィルム形成物質、例えば、フィルム形成特性及び組成物の実質性(substantivity)を補助するためのポリマー(例えば、エイコサン(eicosene)とビニルピロリドンとのコポリマー)、乳白剤、pH調整剤、草木誘導体、草木抽出物、草木組織抽出物、草木種抽出物、草木油、植物、植物抽出物、保存料、推進剤、還元剤、皮脂コントロール剤、金属イオン封鎖剤、皮膚漂白剤及び美白剤(例えば、ハイドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、アスコルビルリン酸マグネシウム、アスコルビルグルコシド、ピリドキシン)、酵素、補酵素、皮膚コンディショニング剤(例えば、保湿剤及び閉塞剤)、皮膚平滑剤及び/又は治療剤及び誘導体(例えば、パンテノール及びエチルパンテノールのような誘導体、アロエベラ、パントテン酸及びその誘導体、アラントイン、ビサボロール、及びグリチルリチン酸二カリウム)、皮膚処置剤(例えば、ビタミンD化合物、モノ−、ジ−、及びトリ−テルペノイド、β−イオノール、セドロール)、増粘剤、ビタミン、並びにそれらの誘導体、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0060】
IV.担体
本発明の組成物は、所望の製品形態によって、経口に又は皮膚科学的に許容可能な担体、又は注射可能な液体を含むことができる。
【0061】
a.皮膚科学的に許容可能なキャリア
また、本発明の局所適用組成物は、組成物に、皮膚科学的に許容可能な担体も含むことができる。一実施形態では、担体は、組成物の約50重量%〜約99.99重量%、好ましくは約60重量%〜約99.9重量%、より好ましくは約70重量%〜約98重量%、さらにより好ましくは約80重量%〜約95重量%の濃度で存在する。
【0062】
キャリアは、多種多様な形態をとることができる。非限定例としては、単一溶液(水系又は油系)、エマルション、及び固体形態(ゲル、スティック)が挙げられる。例えば、エマルションキャリアとしては、水中油型、油中水型、シリコーン中水型、水中油中水型、及びシリコーン中水中油型エマルションを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0063】
所望の製品形態によって、好ましい担体は、水中油型エマルション(例えば、水中シリコーン型)及び油中水型エマルション(例えば、シリコーン中水型エマルション)のようなエマルションを含むことができる。当業者に理解されるであろうように、所与の構成要素は、組成物中の構成要素の水溶解度/非必須性に応じて、主として水相又は油相のいずれかに分配される。一実施形態では、水中油型エマルションが特に好ましい。
【0064】
本発明に従うエマルションは、水相及び脂質又は油を含有することができる。脂質及び油は、動物、植物、又は石油に由来してもよく、天然又は合成(即ち、人工)でもよい。また好ましいエマルションは、グリセリンのような湿潤剤も含有できる。更に、エマルションは、組成物の約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約5重量%の乳化剤を含むことができる。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、又はカチオン性であってよい。好適な乳化剤は、例えば、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、及びマカッチャンの洗剤及び乳化剤(McCutcheon's Detergents and Emulsifiers)」(北米版、317〜324頁、1986年)に開示されている。好適なエマルションは、所望の製品形態に応じて、幅広い粘度を有してもよい。
【0065】
本発明の組成物は、注入可能な液体の形態(周囲条件下で)であることができる。そのため、組成物は水性担体を含むことができ、典型的には約20%〜約95%、好ましくは約60%〜約85%の濃度で存在する。水性キャリアは、水又は水と有機溶媒との混和性混合物を含んでもよいが、他の必須構成要素又は任意構成要素の微量成分として、組成物中に別な方法で付随的に組み込まれる場合を除き、最小限の有機溶媒を有する水か又は有意の濃度の有機溶媒を有さない水を含むことが好ましい。
【0066】
b.経口に許容可能な担体
また本発明の組成物は、それが摂取されるとき、経口に許容可能な担体も含むことができる。当該技術分野において、ないしは別の方法で既知である、あらゆる好適な経口に摂取可能な担体又は担体形態を使用することができる。経口パーソナルケア組成物の非限定例としては、錠剤、ピル、カプセル、ドリンク、飲料、パウダー、ビタミン、サプリメント、ヘルスバー、キャンディ、ガム、及びドロップを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0067】
c.注射可能な液体
また本発明の組成物は、組成物が注射される場合、皮膚内及び/又は皮膚下への注射に許容可能な液体を含むことができる。当該技術分野においてないしは別の方法で既知である、あらゆる好適な許容可能な液体を使用することができる。
【0068】
V.組成物の調製
一般に、本発明の方法において有用な組成物は、局所用及び経口用組成物、並びに注射のための組成物を作製する、当該技術分野において既知である方法のような、従来の方法により調製される。このような方法は、典型的に、加熱、冷却、真空の適用等を用いて又は用いずに、成分を1つ以上の工程で混合して比較的均一な状態にすることを含むことができる。
【0069】
VI.ケラチン組織の状態の処置方法
本発明の組成物は、多数の哺乳類のケラチン組織の状態を処置するのに有用であり得る。このようなケラチン組織状態の処置は、哺乳類のケラチン組織の美容的外見を調節することを包含する、予防的及び治療的調節を含むことができる。より具体的には、そのような処置方法は、不均一な皮膚の色調を防止、遅延、及び/又は処置すること、哺乳類の皮膚の毛穴の大きさを縮めること、哺乳類の皮膚の脂っぽい/てかてかした外見を調整すること、ケラチン組織を厚くすること(即ち、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下層の構築、適用可能であれば爪及び毛幹のケラチン層の構築)、美白又は色素沈着を減少させる化粧品として作用することによって皮膚の色調が不均一になるのを防止、遅延、及び/又は処置すること、哺乳類の皮膚の萎縮を防止、遅延、及び/又は処置すること、哺乳類の口唇、毛髪及び爪を軟化させる及び/又は滑らかにすること、哺乳類の皮膚の痒みを防止、遅延、及び/又は処置すること、目の下のクマ及び/又は腫れぼったい目の外見を防止、遅延、及び/又は処置すること、哺乳類の皮膚の血色の悪さを防止、遅延、及び/又は処置すること、哺乳類の皮膚のたるみ(即ち、グリケーション)を防止、遅延、及び/又は処置すること、哺乳類の皮膚の日焼けを防止及び/又は遅延すること、哺乳類の皮膚を落屑させ、剥離させ、及び/又は代謝回転を向上させること、炎症後の過度の色素沈着等の過度の色素沈着を防止、遅延、及び/又は処置すること、哺乳類の皮膚上にクモ状血管及び/又は赤色斑点が現れるのを防止、遅延、及び/又は処置すること、哺乳類の皮膚の小皺及び皺を防止、遅延、及び/又は処置すること、皮膚の乾燥(即ち、荒れ、鱗屑、粉状の剥がれ)を防止、遅延、及び/又は処置すること、並びに哺乳類の皮膚にセルライトの出現を防止、遅延、及び/又は処置することを対象とすることができるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、本組成物は、老化の兆候を処置するために使用される。一つの態様において、本組成物は、老化の兆候を調節するために使用される。別の態様では、本組成物は、老化の兆候を低減又は低下するために使用される。さらに別の態様では、本組成物は、ケラチン組織(例えば、皮膚、毛髪、又は爪)における老化の兆候を防止するために使用される。
【0070】
例えば、本発明は、皮膚の質感及び色における不連続性を含む、哺乳類のケラチン組織における可視的及び/又は触知性の不連続性を、治療的に調節するために有用であり得る。例えば、毛穴の見かけ上の直径を減少させることができ、毛穴開口部の直近位の組織の見かけ上の高さは、内部付属器官の皮膚(interadnexal skin)の高さに近づくことができ、皮膚の色調/色は、より均一になることができ、及び/あるいは、小皺及び/又は皺の長さ、深さ及び/又は他の寸法を減少させることができる。
【0071】
さらに、本発明の組成物は、洗浄(例えば、毛髪、体、顔)、毛髪等のケラチン組織の感触の改善(乾湿)(例えば、外見/見た目の改善、絡み合いをほどくこと(detangling)、光沢、つや、摩擦係数の減少、平滑度の上昇、色保持、枝毛の減少、毛髪破損の防止、太陽光損傷、煙損傷、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン、及び鉛のような金属のような汚染物質からの損傷のような環境的損傷の防止)、臭い制御、オイル制御、コンディショニング、毛髪ボリューム制御、育毛、及び育毛阻害に有用でもあり得る。
【0072】
ケラチン組織状態の調節は、ケラチン組織に、安全且つ有効な量の本発明の組成物を局所適用することを含むことができる。適用される組成物の量、適用頻度、及び使用期間は、所与の組成物の構成要素の濃度、並びに例えば、存在する又は発生が予想されるケラチン組織の損傷の程度を考慮した所望の調整の程度に応じ、広範囲に渡って異なるであろう。
さらに、ケラチン組織状態の調節は、安全且つ有効な量の本発明の組成物を経口摂取することを含むことができる。摂取される組成物の量、摂取頻度、及び使用期間は、所与の組成物の構成要素の濃度、並びに、例えば存在する又は発生が予想されるケラチン組織の損傷の程度を考慮した、所望の調整の程度に応じて、広範囲に渡って異なるであろう。
【0073】
一実施形態では、組成物は、皮膚、例えば局所に、慢性的に適用される。「慢性適用」とは、被験者の生存中長期間にわたって、好ましくは少なくとも約1週間、より好ましくは少なくとも約1か月間、更により好ましくは少なくとも約3か月間、更により一層好ましくは少なくとも約6か月間、なおより好ましくは少なくとも約1年間にわたって、組成物を連続的に局所適用することを意味する。効果は、様々な最大使用期間(例えば、5年、10年、又は20年)の後に得ることができるが、被験体の生涯を通じて慢性適用を継続することが好ましい。典型的に適用は、このような長期間に渡り1日当たり約1回程度で有り得るが、適用の度合いは、1週間当たり約1回から1日当たり約3回、又はそれ以上に変動又は含むことができる。
【0074】
局所適用の際、ケラチン組織の外見及び/又は感触の効果を提供するために、広範囲の量の本発明組成物を採用することが可能である。例えば、1回の適用当たりに典型的に適用される本組成物の量は、ケラチン組織1cm2当たりの組成物のmgで、約0.1mg/cm2〜約20mg/cm2である。特に有用な適用量は、約0.5mg/cm2〜約10mg/cm2である。
【0075】
例えば、何らかの審美的、予防的、治療的又は他の効果を、皮膚又は他のケラチン組織上に残すことを意図する、スキンローション、クリアローション、ミルキーローション、クリーム、ジェル、フォーム、軟膏、ペースト、エマルション、スプレー、コンディショナー、トニック、化粧品、リップスティック、ファンデーション、ネイルポリッシュ、アフターシェーブ等の形態の組成物(即ち、「リーブオン」組成物)を適用することにより、ケラチン組織状態の処置を実施することができる。ケラチン組織(例えば、皮膚)に組成物を適用した後、少なくとも約15分間、より好ましくは少なくとも約30分間、更に好ましくは少なくとも約1時間、更により好ましくは少なくとも数時間、例えば約12時間まで、残留させることが好ましい。顔、毛髪、及び/又は爪の外部のいずれかの部分(例えば、顔、唇、目の下の領域、まぶた、頭皮、首、胴体、腕、手、脚、足、手指の爪、足指の爪、頭毛、睫、眉毛等)を処置することができる。本組成物の適用は、手の平及び/又は指を用いて行われてもよく、あるいは装置又は用具(例えば、コットンボール、綿棒、パッド、塗布ペン、スプレー塗布器等)を用いて行われてもよい。
【0076】
少なくとも最低濃度の組成物にケラチン組織を連続的に曝すことを確実にする別の手法は、例えば顔に適用される、貼付剤の使用により化合物を適用することである。そのような手法は、より集中的な処置が必要な問題のある皮膚領域(例えば、顔の目尻の皺の領域、眉間の小皺、目の下の領域、上唇等)に特に有用である。貼付剤は、閉塞性、半閉塞性又は非閉塞性であってよいし、接着性又は非接着性であってもよい。組成物は、貼付剤内に含有されるか、又は貼付剤の適用前に皮膚に適用されることができる。また貼付剤は、PCT国際公開特許WO9701313、並びに米国特許第5,821,250号、同第5,981,547号、及び同第5,972,957号(ウー(Wu)ら)に記載されたもののような、発熱反応のための化学的反応開始剤のような、さらなる活性物質を包含することもできる。また貼付剤は、例えば、組成物及び活性剤の放出(例えば、イオン導入)を向上させるための、電気エネルギー源(例えば、電池)も含むことができる。貼付剤は、好ましくは少なくとも約5分間、より好ましくは少なくとも約15分間、より好ましくは少なくとも約30分間、更に好ましくは少なくとも約1時間、更により好ましくは夜間治療の形態で夜間に、ケラチン組織に放置される。
【0077】
別の実施形態では、パーソナルケアレジメンは、ケラチン組織の状態を調節するために使用される。「レジメン」とは、局所用組成物と併用した経口組成物の使用を意味する。特定の実施形態では、経口用組成物及び局所用組成物は、キットとして共に包装される。別の実施形態において、経口用組成物及び局所用組成物はキットとして共に包装されないが、ケラチン組織の状態を調節するために経口用及び局所用組成物を互いに併用して使用してもよいという情報が、例えば、広告、商品ラベルを通じてレジメンの潜在的使用者に与えられる。経口用又は局所用の少なくとも1つの組成物は、本発明のジペプチドを含む。好ましくは、経口用及び局所用組成物の両方が、本発明のジペプチドを含む。
【実施例】
【0078】
以下は、本発明の組成物の非限定例である。実施例は単に説明のために示すものであり、本発明を限定するものと解釈するべきでなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの改変が可能であり、これらのことは当業者には理解されよう。
【0079】
実施例においては、全ての濃度は重量%として列挙され、特に指定のない限り、希釈剤、充填剤等の微量物質は除外されてもよい。そのため、列挙した処方には、列挙した構成要素及び該構成要素に関連するいかなる微量物質も含まれている。当業者にとって明白なように、このような微量成分の選択は、本明細書に記載したように本発明をなすために選択される特定成分の物理的及び化学的特質によって変わるであろう。
【0080】
(実施例1〜5)
【0081】
【表1】

1コボ・プロダクツ(Kobo products)より入手可能
2パルミトイル−リジン−トレオニン、セダーマ(Sederma)より入手可能
3二酸化チタン被覆雲母紫色干渉顔料、エッカート(Eckart)より入手可能
4シリカ及び二酸化チタン被覆雲母赤色干渉顔料、ロナ(Rona)より入手可能
【0082】
好適な容器内で、水相成分を組み合わせ、75℃に加熱する。別の好適な容器内で、油相成分を組み合わせ、75℃に加熱する。次に、油相を水相に加え、得られるエマルションを粉砕する(例えば、テクマー(Tekmar)T−25で)。続いて、増粘剤を前記エマルションに加え、該エマルションを攪拌しながら45℃に冷却する。45℃で、残りの成分を加える。生成物を30℃に冷却及び攪拌し、好適な容器に注ぐ。
【0083】
(実施例6〜11)
【0084】
【表2−1】

【0085】
【表2−2】

1GLW75CAP−MP、75%二酸化チタン水性分散体、コボ(Kobo)より
2パルミトイル−リジン−トレオニン、セダーマ(Sederma)より入手可能
3シリコーンエラストマー分散体、ダウ・コーニング社(Dow Corning Corp)より
4シリコーンエラストマー分散体、信越(Shin Etsu)より
5二酸化チタン及び酸化スズ被覆雲母緑色干渉顔料、エンゲルハード(Engelhard)より
6二酸化チタン被覆雲母赤色干渉顔料、エッカート(Eckart)より
【0086】
好適な容器内で、水相成分を組み合わせて均一になるまで混合する。別の好適な容器内で、シリコーン/油相成分を組み合わせて均一になるまで混合する。別に、ジパルミトイルヒドロキシプロリンプレミックス及び/又はウンデシレノイルフェニルアラニンプレミックスを、好適な容器内で当該プレミックス成分を組み合わせ、攪拌しながら約70℃に加熱し、攪拌しながら室温に冷却することによって調製する。増粘剤の半量、続いてシリコーン/油相を水相に加え、得られるエマルションを(例えば、テクマー(Tekmar)T−25で)粉砕する。残りの増粘剤、ジパルミトイルヒドロキシプロリンプレミックス及び/又はウンデシレノイルフェニルアラニンプレミックス、続いて残りの成分を、攪拌しながらエマルションに加える。組成物が均一になったら、生成物を好適な容器に注ぐ。
【0087】
(実施例12〜17)
【0088】
【表3−1】

【0089】
【表3−2】

1パルミトイル−リジン−トレオニン、セダーマ(Sederma)より入手可能
2KSG−21、信越(Shin Etsu)より入手可能な乳化型シリコーンエラストマー
3シリコーンエラストマー分散体、ダウ・コーニング社(Dow Corning Corp)より
4エイビル(Abil)EM−97、ゴールドシュミット・ケミカル・コーポレーション(Goldschmidt Chemical Corporation)より入手可能
【0090】
好適な容器内で、相Aの構成要素を合わせて、好適なミキサー(例えば、テクマー(Tekmar)モデルRW20DZM)でブレンドし、全ての構成要素が溶解するまで混合する。次いで、好適な容器内で相Bの構成要素を合わせてブレンドし、好適なミル(例えば、テクマー(Tekmar)RW−20)を使用して約5分間粉砕する。混合しながら、相Bの混合物に相Cの構成要素を加える。次いで、相B及び相Cの混合物に相Dの構成要素を加えて、得られる相B、C、及びDの構成要素の複合体を、好適なミキサー(例えば、テクマー(Tekmar)RW−20)を使用して約1時間混合する。該当する場合、ウンデシレノイルフェニルアラニンプレミックス及び/又は相Eを、全ての成分を組み合わせ、攪拌しながら約70℃に加熱し、攪拌しながら室温に冷却することによって調製する。ウンデシレノイルフェニルアラニンプレミックス及び/又は相Eを、混合しながら相Aに加える。次に、混合しながら、相Aを相B、C、及びDの混合物にゆっくり加える。得られる混合物を、生成物が均一になるまで継続的に混合する。適切なミル(例えば、テクマー(Tekmar)T−25)を使用して、得られる生成物を約5分間粉砕する。
【0091】
(実施例18〜22)
【0092】
【表4】

1コボ・プロダクツ(Kobo products)より入手可能
2パルミトイル−リジン−トレオニン、セダーマ(Sederma)より入手可能
3二酸化チタン被覆雲母紫色干渉顔料、エッカート(Eckart)より入手可能
4シリカ及び二酸化チタン被覆雲母赤色干渉顔料、ロナ(Rona)より入手可能
【0093】
好適な容器内で、水相成分を組み合わせ、75℃に加熱する。別の好適な容器内で、油相成分を組み合わせ、75℃に加熱する。次に、油相を水相に加え、得られるエマルションを粉砕する(例えば、テクマー(Tekmar)T−25にて)。増粘剤をエマルションに加え、該エマルションを攪拌しながら45℃に冷却する。45℃で、残りの成分を加える。生成物を攪拌しながら30℃に冷却し、好適な容器に注ぐ。好適なエアゾール容器に噴射剤及び生成物を加え、該容器を封止する。
【0094】
(実施例23〜28)
【0095】
【表5−1】

【0096】
【表5−2】

1GLW75CAP−MP、75%二酸化チタン水性分散体、コボ(Kobo)より
2パルミトイル−リジン−トレオニン、セダーマ(Sederma)より入手可能
3シリコーンエラストマー分散体、ダウ・コーニング社(Dow Corning Corp)より
4シリコーンエラストマー分散体、信越(Shin Etsu)より
5二酸化チタン及び酸化スズ被覆雲母緑色干渉顔料、エンゲルハード(Engelhard)より
6二酸化チタン被覆雲母赤色干渉顔料、エッカート(Eckart)より
【0097】
好適な容器内で、水相成分を組み合わせて均一になるまで混合する。別の好適な容器内で、シリコーン/油相成分を組み合わせて均一になるまで混合する。別に、好適な容器中でプレミックス成分を組み合わせ、攪拌しながら約70℃に加熱し、攪拌しながら室温に冷却することにより、ウンデシレノイルフェニルアラニン及び/又はジパルミトイルヒドロキシプロリンプレミックスを調製する。増粘剤の半量、続いてシリコーン/油相を水相に加え、得られるエマルションを粉砕する(例えば、テクマー(Tekmar)T−25で)。残りの増粘剤、ウンデシレノイルフェニルアラニン及び/又はジパルミトイルヒドロキシプロリンプレミックス、続いて残りの成分を、攪拌しながらエマルションに加える。組成物が均一になったら、生成物を好適な容器に注ぐ。生成物及び噴射剤をエアゾール容器に加える。当該エアゾール容器を密封する。
【0098】
(実施例29〜34)
【0099】
【表6】

1パルミトイル−リジン−トレオニン、セダーマ(Sederma)より入手可能
【0100】
全ての成分を適切な大きさの容器内にて合わせ、85℃まで加熱し、冷却し、およそ65℃でスティック容器に注ぐ。
【0101】
(実施例35〜40)
【0102】
【表7】

1パルミトイル−リジン−トレオニン、セダーマ(Sederma)より入手可能
【0103】
全ての成分を適切な大きさの容器に加え、75℃に加熱した後、混合物がおよそ45℃に達するまで攪拌しながら冷却する。混合物をスティック容器に注ぐ。
【0104】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ジペプチド系分子、ここで、前記ジペプチド系分子のC末端アミノ酸はトレオニンである;及び
(b)皮膚科学的に又は経口に許容可能な担体、あるいは注射可能な液体
を含むパーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記ジペプチド系分子のN末端アミノ酸が、塩基性アミノ酸であり、好ましくは前記ジペプチド系分子のN末端アミノ酸が、リジン、アルギニン、及びヒスチジンから成る群から選択され、より好ましくは前記ジペプチド系分子のN末端アミノ酸が、リジンである請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項3】
前記アミノ酸が、前記ジペプチド系分子のNアシル誘導体を含み、好ましくは前記Nアシル誘導体がエステルである請求項1又は2に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項4】
前記C末端アミノ酸が窒素含有誘導体である請求項1から3のいずれか1項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項5】
前記ジペプチドが、His−Thr、Arg−Thr、Lys−Thr、Alk−His−Thr、Alk−Arg−Thr、Alk−Lys−Thr、His−Thr−OAlk、Arg−Thr−OAlk、Lys−Thr−OAlk、His−Thr−NR12、Arg−Thr−NR12、Lys−Thr−NR12、Alk−His−Thr−OAlk、Alk−Lys−Thr−NR12、Alk−Lys−Thr−OAlk、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される誘導体である請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項6】
(a)ジペプチド、ここで、前記ジペプチドは構造:
【化1】

を有し、
式中、
Aは、NH3+(CH24−、
NH2+=C(NH2)NH−(CH23− 又は
【化2】

であり、
Bは、−NH2、−NH3+、−NH−Dであり、
Dは、炭素原子2〜22個の長さのアシル基、又はビオチニル基であり、
Eは、−O−Alk、−NR12、−H、−O-、又は−OHであり、
式中、Alkは、炭素1〜24個の長さのアルキル基、R1及びR2は、独立して、H又は炭素1〜12個の長さのアルキル基である;並びに
(b)皮膚科学的に又は経口に許容可能な担体、あるいは注射可能な液体
を含むパーソナルケア組成物。
【請求項7】
Bが−NH−D又はHであり、AがNH3+(CH24−である請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
Eが−O-又は−OHである請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
(a)ジペプチド系分子、ここで、前記ジペプチド系分子は、His−Thr、Arg−Thr、Lys−Thr、Alk−His−Thr、Alk−Arg−Thr、Alk−Lys−Thr、His−Thr−OAlk、Arg−Thr−OAlk、Lys−Thr−OAlk、His−Thr−NR12、Arg−Thr−NR12、Lys−Thr−NR12、Alk−His−Thr−OAlk、Alk−Lys−Thr−NR12、又はAlk−Lys−Thr−OAlkを含み、ここで、Alkは、N−アシル誘導体を指し、OAlkは、前記ThrのC末端カルボニルに付着するアルキル基であり、R1及びR2は、独立して、H又は炭素原子1〜12個の長さのアルキル基である;並びに
(b)皮膚科学的に又は経口に許容可能な担体、あるいは注射可能な液体
を含むパーソナルケア組成物。
【請求項10】
前記組成物が、皮膚科学的に許容可能な担体を含み、前記組成物が、哺乳類ケラチン組織の美容的外見を調節するのに有効な量の前記ジペプチドを含み、好ましくは前記組成物が、前記組成物の約0.000001重量%〜約10重量%の濃度の前記ジペプチドを含む請求項1から9のいずれか1項に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−538769(P2008−538769A)
【公表日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508009(P2008−508009)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/016418
【国際公開番号】WO2006/116731
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】