説明

ジペプチドを有効成分として含む紫外線による紅斑反応抑制組成物

本発明は、400個のジペプチドから選ばれた特定のジペプチドを有効成分として含む、紫外線による紅斑反応抑制組成物に関する。本発明の組成物は、プロスタグランジンE(PGE)の生産を抑制することにより、紫外線による紅斑反応を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジペプチドを有効成分として含む、紫外線による紅斑反応抑制組成物に係り、さらに詳しくは、紫外線によって合成が増加する炎症媒介物質の一種であるPGE(prostaglandin E)の生産を抑制することにより、紫外線による紅斑反応と炎症反応を同時に調節することが可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線による皮膚反応には、紅斑反応や日光火傷、色素沈着、光老化、皮膚癌発生などがある。前記皮膚反応の中でも、紅斑反応には即時紅斑と遅延紅斑があるが、これは角質形成細胞で分泌されるプロスタグランジン、ヒスタミン、セロトニン、インターロイキンなどが血管を拡張させ且つ血管壁の透過性を増加させるためであると思われる。本発明は、前記プロスタグランジン成分の活性抑制に焦点を合わせて開発された。
【0003】
プロスタグランジンは、ほぼ全ての組織と臓器から発見され、リンパ球を除いたほぼ全ての核を持つ細胞から生産される。脂肪酸から作られるプロスタグランジンは、血小板(platelet)、血管内皮(endothelium)、肥満細胞(mast cell)などの様々な細胞に作用し、シクロオキシゲナーゼ−1(cyclooxygenase−1、COX−1)またはシクロオキシゲナーゼ−2(cyclooxygenase−2、COX−2)の経路によって生合成される。
【0004】
プロスタグランジンの基本骨格は、プロスタン酸(prostanoic acid)であり、プロスタン酸中の環の構造差によってPGA、PGB、PGC、PGD、PGE、PGF、PGG、PGH、PGIと命名し、側鎖の二重結合の数によって1、2、3の数字を付ける。生理的に重要な作用をするプロスタグランジンの例として、PGIは血小板凝集作用などをし、PGFは血管収縮作用などをし、PGEは血管拡張、気管支拡張、胃酸抑制などの作用をし、TXAは血小板凝集促進などの作用をする。
【0005】
特に、前記プロスタグランジンの中でも、PGEは紫外線による皮膚紅斑および炎症反応に関与するものと報告されている。PGEの受容体のうちEP2とEP4が欠乏したマウスにおいて炎症反応が著しく減少するという事実を示唆して、PGEが紫外線による紅斑と炎症反応において重要な役割を果たすということが分かり、PGEの生産を抑制することができれば紫外線による紅斑および炎症反応を調節することができるものと思われ、本発明に至ることになった。
【0006】
次に、ペプチドと皮膚炎症に関連した特許を考察する。
【0007】
韓国特許公開第2007−0116134号では、ジペプチド系分子のC末端アミノ酸がトレオニンとしてのジペプチドと担体または注射可能な液体を含有する個人ケア組成物を公開しているが、その目的において角質組織状態を処置する用途に限定しているうえ、ジペプチドの種類も非常に限定的であることが分かる。
【0008】
日本特許公開第1997−124434号では、尿素とペプチドを含有した皮膚外用剤について開示しているが、pHの変化またはアンモニア臭の発生を抑制し、保湿効果に優れた皮膚外用剤に関する技術であって、紫外線による紅斑作用に関する技術とは関係ない。
【0009】
米国特許登録第3965260号では、ペプチドを用いたリウマチの治療に関する技術を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、PGEの生産を抑制して紫外線による皮膚反応、特に紅斑反応を抑制することができる、特定のジペプチドを含む組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、SI(セリン−イソロイシン)、YK(チロシン−リシン)、VC(バリン−システイン)、MD(メチオニン−アスパラギン酸)、WF(トリプトファン−フェニルアラニン)、NR(アスパラギン−アルギニン)、DP(アスパラギン酸−プロリン)、YE(チロシン−グルタミン酸)、RM(アルギニン−メチオニン)、QT(グルタミン−トレオニン)、LH(ロイシン−ヒスチジン)、SP(セリン−プロリン)、IT(イソロイシン−トレオニン)、FW(フェニルアラニン−トリプトファン)、AP(アラニン−プロリン)、WP(トリプトファン−プロリン)、AN(アラニン−アスパラギン)、AE(アラニン−グルタミン酸)、DT(アスパラギン酸−トレオニン)、PT(プロリン−トレオニン)、WD(トリプトファン−アスパラギン酸)、NA(アスパラギン−アラニン)、WY(トリプトファン−チロシン)、AS(アラニン−セリン)、DG(アスパラギン酸−グリシン)、SY(セリン−チロシン)、NY(アスパラギン−チロシン)、LE(ロイシン−グルタミン酸)、VH(バリン−ヒスチジン)、TI(トレオニン−イソロイシン)、LR(ロイシン−アルギニン)、FN(フェニルアラニン−アスパラギン)、YR(チロシン−アルギニン)、NE(アスパラギン−グルタミン酸)、SL(セリン−ロイシン)、GL(グリシン−ロイシン)、MY(メチオニン−チロシン)、AA(アラニン−アラニン)、IQ(イソロイシン−グルタミン)、HH(ヒスチジン−ヒスチジン)、NP(アスパラギン−プロリン)、RP(アルギニン−プロリン)、SD(セリン−アスパラギン酸)、AK(アラニン−リシン)、TD(トレオニン−アスパラギン酸)、KY(リシン−チロシン)、LF(ロイシン−フェニルアラニン)、IK(イソロイシン−リシン)、AF(アラニン−フェニルアラニン)、RS(アルギニン−セリン)、FK(フェニルアラニン−リシン)、ST(セリン−トレオニン)、EP(グルタミン酸−プロリン)、WL(トリプトファン−ロイシン)、NC(アスパラギン−システイン)、RC(アルギニン−システイン)、SQ(セリン−グルタミン)、WV(トリプトファン−バリン)、SM(セリン−メチオニン)、PA(プロリン−アラニン)、YA(チロシン−アラニン)、HY(ヒスチジン−チロシン)、YD(チロシン−アスパラギン酸)、RD(アルギニン−アスパラギン酸)、KD(リシン−アスパラギン酸)、DD(アスパラギン酸−アスパラギン酸)、YI(チロシン−イソロイシン)、AR(アラニン−アルギニン)、AC(アラニン−システイン)、YQ(チロシン−グルタミン)、VF(バリン−フェニルアラニン)、LC(ロイシン−システイン)、KT(リシン−トレオニン)、QW(グルタミン−トリプトファン)、RK(アルギニン−リシン)、NL(アスパラギン−ロイシン)、GQ(グリシン−グルタミン)、GI(グリシン−イソロイシン)、HK(ヒスチジン−リシン)、DH(アスパラギン酸−ヒスチジン)、VD(バリン−アスパラギン酸)、VY(バリン−チロシン)、MT(メチオニン−トレオニン)、QK(グルタミン−リシン)、TK(トレオニン−リシン)、TV(トレオニン−バリン)、QQ(グルタミン−グルタミン)、WC(トリプトファン−システイン)、YY(チロシン−チロシン)、ET(グルタミン酸−トレオニン)、QF(グルタミン−フェニルアラニン)、RN(アルギニン−アスパラギン)、TR(トレオニン−アルギニン)、AQ(アラニン−グルタミン)、GD(グリシン−アスパラギン酸)、WA(トリプトファン−アラニン)、IH(イソロイシン−ヒスチジン)、WW(トリプトファン−トリプトファン)、QN(グルタミン−アスパラギン)、VI(バリン−イソロイシン)、AD(アラニン−アスパラギン酸)、VN(バリン−アスパラギン)、CW(システイン−トリプトファン)、EI(グルタミン酸−イソロイシン)、SN(セリン−アスパラギン)、WN(トリプトファン−アスパラギン)、TG(トレオニン−グリシン)、SA(セリン−アラニン)、GA(グリシン−アラニン)、PW(プロリン−トリプトファン)、PQ(プロリン−グルタミン)、IG(イソロイシン−グリシン)、SH(セリン−ヒスチジン)、VR(バリン−アルギニン)、KM(リシン−メチオニン)、VK(バリン−リシン)、GF(グリシン−フェニルアラニン)、NV(アスパラギン−バリン)、RG(アラギニン−グリシン)、HW(ヒスチジン−トリプトファン)、VQ(バリン−グルタミン)、CM(システイン−メチオニン)、KC(リシン−システイン)、WQ(トリプトファン−グルタミン)、PD(プロリン−アスパラギン酸)、NQ(アスパラギン−グルタミン)、AY(アラニン−チロシン)、GS(グリシン−セリン)、TW(トレオニン−トリプトファン)、EF(グルタミン酸−フェニルアラニン)、EG(グルタミン酸−グリシン)、IV(イソロイシン−バリン)、QY(グルタミン−チロシン)、HL(ヒスチジン−ロイシン)、SK(セリン−リシン)、ID(イソロイシン−アスパラギン酸)、TS(トレオニン−セリン)、GW(グリシン−トリプトファン)、PI(プロリン−イソロイシン)、NH(アスパラギン−ヒスチジン)、PY(プロリン−チロシン)、TP(トレオニン−プロリン)、ED(グルタミン酸−アスパラギン酸)、DV(アスパラギン酸−バリン)、DA(アスパラギン酸−アラニン)、NT(アスパラギン−トレオニン)、DQ(アスパラギン酸−グルタミン)、PF(プロリン−フェニルアラニン)、SV(セリン−バリン)、DS(アスパラギン酸−セリン)、GY(グリシン−チロシン)、WR(トリプトファン−アルギニン)、NN(アスパラギン−アスパラギン)、FA(フェニルアラニン−アラニン)、TQ(トレオニン−グルタミン)、IS(イソロイシン−セリン)、VE(バリン−グルタミン酸)、FR(フェニルアラニン−アルギニン)、QR(グルタミン−アルギニン)、RL(アルギニン−ロイシン)、TM(トレオニン−メチオニン)、CN(システイン−アスパラギン)、FL(フェニルアラニン−ロイシン)、TE(トレオニン−グルタミン酸)、DI(アスパラギン酸−イソロイシン)、RW(アルギニン−トリプトファン)、RT(アルギニン−トレオニン)、MQ(メチオニン−グルタミン)、VP(バリン−プロリン)、WK(トリプトファン−リシン)、QH(グルタミン−ヒスチジン)、SE(セリン−グルタミン酸)、AG(アラニン−グリシン)、HS(ヒスチジン−セリン)、HP(ヒスチジン−プロリン)、RE(アルギニン−グルタミン酸)、QS(グルタミン−セリン)、SG(セリン−グリシン)、AL(アラニン−ロイシン)、VA(バリン−アラニン)、YL(チロシン−ロイシン)、YT(チロシン−トレオニン)、SR(セリン−アルギニン)、WS(トリプトファン−セリン)、RY(アルギニン−チロシン)、FI(フェニルアラニン−イソロイシン)、VG(バリン−グリシン)、LV(ロイシン−バリン)、WM(トリプトファン−メチオニン)、DW(アスパラギン酸−トリプトファン)、DC(アスパラギン酸−システイン)、FG(フェニルアラニン−グリシン)、HF(ヒスチジン−フェニルアラニン)、PG(プロリン−グリシン)、CE(システイン−グルタミン酸)、VV(バリン−バリン)、DN(アスパラギン酸−アスパラギン)、FH(フェニルアラニン−ヒスチジン)、GH(グリシン−ヒスチジン)、MW(メチオニン−トリプトファン)、IP(イソロイシン−プロリン)、AI(アラニン−イソロイシン)、ES(グルタミン酸−セリン)、EA(グルタミン酸−アラニン)、QV(グルタミン−バリン)、MR(メチオニン−アルギニン)、VL(バリン−ロイシン)、PK(プロリン−リシン)、DM(アスパラギン酸−メチオニン)、GG(グリシン−グリシン)、YF(チロシン−フェニルアラニン)、EE(グルタミン酸−グルタミン酸)、TF(トレオニン−フェニルアラニン)、ER(グルタミン酸−アルギニン)、CS(システイン−セリン)、IA(イソロイシン−アラニン)、YM(チロシン−メチオニン)、IM(イソロイシン−メチオニン)、EV(グルタミン酸−バリン)、SS(セリン−セリン)、AH(アラニン−ヒスチジン)、EH(グルタミン酸−ヒスチジン)、NF(アスパラギン−フェニルアラニン)、EM(グルタミン酸−メチオニン)、HA(ヒスチジン−アラニン)、RR(アルギニン−アルギニン)、IY(イソロイシン−チロシン)、SC(セリン−システイン)、GK(グリシン−リシン)、PS(プロリン−セリン)、EY(グルタミン酸−チロシン)、LK(ロイシン−リシン)、CQ(システイン−グルタミン)、KV(リシン−バリン)、WE(トリプトファン−グルタミン酸)、HG(ヒスチジン−グリシン)、EK(グルタミン酸−リシン)、FF(フェニルアラニン−フェニルアラニン)、FM(フェニルアラニン−メチオニン)、DK(アスパラギン酸−リシン)、LT(ロイシン−トレオニン)、FD(フェニルアラニン−アスパラギン酸)、DF(アスパラギン酸−フェニルアラニン)、FY(フェニルアラニン−チロシン)、QD(グルタミン−アスパラギン酸)、LN(ロイシン−アスパラギン)、KW(リシン−トリプトファン)、NS(アスパラギン−セリン)、PH(プロリン−ヒスチジン)、WG(トリプトファン−グリシン)、EL(グルタミン酸−ロイシン)、EQ(グルタミン酸−グルタミン)、LA(ロイシン−アラニン)、NG(アスパラギン−グリシン)、NM(アスパラギン−メチオニン)、WH(トリプトファン−ヒスチジン)、DE(アスパラギン酸−グルタミン酸)、DL(アスパラギン酸−ロイシン)、AV(アラニン−バリン)、PN(プロリン−アスパラギン)およびPR(プロリン−アルギニン)の中から選ばれる少なくとも一つのジペプチドを有効成分として含むことを特徴とする、紫外線による紅斑反応抑制組成物を提供する。
【0012】
特に、前記組成物の総重量に対し、前記ジペプチドを0.001〜30重量%含有することが好ましい。
【0013】
特に、前記組成物は薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含むことが好ましい。
【0014】
特に、前記組成物はスキンローション、エマルジョンローション、クリーム、ファウンデーション、エッセンス、ゲル、パック、フォームクレンジング、石鹸などの化粧料、または皮膚外用軟膏などの薬品軟膏の形態であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の特定のジペプチドを含む紫外線反応抑制組成物は、PGEの生産を抑制し、紫外線による皮膚の紅斑と炎症発生を抑制するうえ、人体に安全に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一般に、ペプチドの合成に高い費用がかかり、長さが長い場合によく吸収されないという問題がある。本発明では、合成の費用を軽減させ且つ吸収の問題も減少させることが可能なジペプチドが、紫外線によって生成されるPGEを抑制して紫外線反応調節効果を持つのかを調べようとした。このために、2つのアミノ酸からなるジペプチドライブラリー400個を構成し、培養した角質形成細胞に紫外線を照射してPGEの生成抑制効果を実験した。
【0017】
後述する如く、400個の全てのジペプチドが紫外線による紅斑および炎症反応を制御することができるのではなく、特定のジペプチドのみが効果を発揮するということが分かった。結果を下記表2に示す。
【0018】
本発明の組成物は、ジペプチドを使用目的および使用方法に応じてその含量を調節して含むことができ、組成物の総重量に対して0.001〜30重量%のジペプチドを含むことが好ましい。
【0019】
また、本発明の組成物は、薬学的に許容されるに担体または賦形剤をさらに含んでもよい。代表的な担体または賦形剤としては水、デキストリンまたは生理食塩水を例示することができる。
【0020】
また、本発明の紫外線反応抑制組成物は、化粧料組成物、洗浄剤組成物または薬剤の形で使用できる。本発明の紫外線反応抑制組成物は、化粧料組成物として使用される場合には柔軟化粧水、スキンローション、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、パック、石鹸、シャンプ、皮膚接着用パッチまたは皮膚接着用ゲルの剤形であってもよく、洗浄剤組成物として使用される場合には洗顔剤または入浴剤の剤形であってもよい。本発明の紫外線反応抑制組成物は、薬剤として使用される場合には硬膏剤、顆粒剤、ローション剤、散剤、シロップ剤、軟膏剤、エマルション剤、懸濁剤、錠剤または注射剤などの剤形に製造して使用することができる。
【0021】
本発明の組成物は、使用用途および適用部位の状態に応じて使用量を調節して使用し、例えば1日0.001〜100mg/mLの濃度で1日1回〜3回使用することが好ましい。
【0022】
以下、本発明の実施例について説明する。下記実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の保護範囲を限定するためのものである。
【0023】
紫外線B調査によるPGE生成誘導
角質形成細胞をKGM(keratinocyte growth medium)2mL内に100,000個となるように6ウェルプレートに撒いて一日間培養した後、0.1%BSA(bovine serum albumin)含有KBM(keratinocyte basal medium)2mLに培地を取り替えた後、24時間さらに培養した。同じ培地に表1の各ジペプチドの最終濃度が10μg/mLとなるように添加して準備した新しい培地2mLに取り替えた後、24時間前処理した。但し、陽性対照群としてのNS−398(N194、Sigma、St.Louis、MO、USA)は紫外線Bを照射する1時間前に5μM濃度で前処理した。前処理した培地を新しい24ウェルプレートに移し、細胞にDPBS(Dulbecco’s phosphate buffered saline)1mLずつ入れた。移した前記培地は、紫外線を照射する間に細胞培養器に入れて保管した。PGEの生産を誘導するために紫外線Bを100mJ/cmとなるように細胞に照射した。この際、対照群は銀箔で覆った。紫外線照射の後にDPBSを除去し、保管しておいた前処理培地をさらに入れた。24時間さらに培養した後、培地2mLのうち1mLをマイクロ遠心分離チューブ(microcentrifuge tube)に移し、約1mLの培地が残った細胞にMTT(3−(4,5−dimetylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyltetrazoliumbromide)溶液100μLを添加して3〜4時間細胞培養器で反応させた。MTT溶液含有培地を除去し、DMSO(Dimethyl sulfoxide)1mLを入れてホルマザン(formazan)を充分に溶解させた後、200μLを96ウェルプレートに採取してELISA(enzyme−linked immunosorbent assay)リーダーを用いて波長540nmで吸光度を測定した。一方、チューブに移した培地は微量遠心分離機を用いて冷蔵条件で12,000〜15,000rpmの速度で5分間遠心分離した後、上澄み液を新しいチューブに入れ、PGEを測定するまで冷凍庫に保管した。
【0024】
PGEの測定
PGE分析キット(KGE004、R&D Systems、Inc.,Minneapolis、MN、USA)を用いて、製造社から提示した方法とおりPGEを測定した。PGE標準溶液を2500、1250、625、312、156、78、39pg/mLの濃度となるように準備した。実験して保管しておいた培地の上澄み液と濃度別に準備したPGE標準溶液を100μLずつ、Kitから提供した96ウェルプレートに入れた。光を遮断した状態でPGE一次抗体溶液(Primary Antibody Solution) 50μLを添加した後、PGEコンジュゲート(conjugate)を添加し、しかる後に、室温で攪拌器に入れて2時間反応させた。反応液を除去し、洗浄緩衝液(Wash Buffer)400μLを添加してウェル(well)を5回洗浄した。基質溶液(substrate Solution)200μLずつをウェルに添加した後、20〜30分間反応させた。停止液(stop solution)50μLずつをウェルに添加して反応を中止させた後、ELISAリーダーを用いて波長450nmで吸光度値を測定した。スタンダードグラフから各サンプルのPGE濃度を算出してMTT実験結果吸光度値に補正した後、PGEの生成抑制程度を計算した。10%以上を効果のある群として分類し、0%以下の効果は0と記載した。結果を下記表1に示す。
【0025】
表1:PGE抑制率の実験結果

【0026】



【0027】
上記表1において、A=アラニン、C=システイン、D=アスパラギン酸、E=グルタミン酸、F=フェニルアラニン、G=グリシン、H=ヒスチジン、I=イソロイシン、K=リシン、L=ロイシン、M=メチオニン、N=アスパラギン、P=プロリン、Q=グルタミン、R=アルギニン、S=セリン、T=トレオニン、V=バリン、W=トリプトファン、Y=チロシンを意味する。
【0028】
20個のアミノ酸から合成されたジペプチド400個に対して実験した結果、表1のとおり、一定のジペプチドでのみPGEの抑制効果があることを確認した。前記表1におけるPGE抑制効果のあるジペプチドのみをまとめたものが下記表2である。
【0029】
表2:PGE抑制効果のあるジペプチド

【0030】



【0031】
また、前記表2のジペプチドを含む組成物は、様々な形態の最終製品として使用できる。
【0032】
例えば、前記表2の少なくとも一つのジペプチド1.0重量%、グリセリン5.0重量%、1,3−ブチレングリコール3.0重量%、PEG−1500 1.0重量%、アラントイン0.1重量%、DL−パンテノール0.3重量%、EDTA−2NA 0.02重量%、ベンゾフェノン−9 0.04重量%、ヒアルロン酸ナトリウム5.0重量%、エタノール10.0重量%、オクチルドデセス−16 0.3重量%、ポリソルベート−20 0.3重量%、微量の防腐剤、香りおよび色素と残量の精製水を混合して柔軟化粧水を製造することができる。前記含量は例示的なものに過ぎず、様々な範囲内で含量の変化を加え得るのは当たり前である。
【0033】
また、前記表2の少なくとも一つのジペプチド1.0重量%、グリセリン2.0重量%、1,3−ブチレングリコール2.0重量%、PEG−1500 1.0重量%、アラントイン0.2重量%、DL−パンテノール0.2重量%、ヒアルロン酸ナトリウム3.0重量%、エタノール15.0重量%、オクチルドデセス−16 0.2重量%、ポリソルベート−20 0.3重量%、マンサク抽出物2.0重量%、微量のクエン酸、防腐剤、香りおよび色素と残量の精製水を混合して軟膏を製造することができる。前記含量は例示的なものに過ぎず、様々な範囲内で含量の変化を加え得るのは当たり前である。
【0034】
また、前記表2のジペプチドを含有してスキンローション、エマルジョンローション、クリーム、ファウンデーション、エッセンス、ゲル、パック、フォームクレンジング、石鹸などの化粧料、または皮膚外用軟膏などの薬品軟膏の形態に製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SI(セリン−イソロイシン)、YK(チロシン−リシン)、VC(バリン−システイン)、MD(メチオニン−アスパラギン酸)、WF(トリプトファン−フェニルアラニン)、NR(アスパラギン−アルギニン)、DP(アスパラギン酸−プロリン)、YE(チロシン−グルタミン酸)、RM(アルギニン−メチオニン)、QT(グルタミン−トレオニン)、LH(ロイシン−ヒスチジン)、SP(セリン−プロリン)、IT(イソロイシン−トレオニン)、FW(フェニルアラニン−トリプトファン)、AP(アラニン−プロリン)、WP(トリプトファン−プロリン)、AN(アラニン−アスパラギン)、AE(アラニン−グルタミン酸)、DT(アスパラギン酸−トレオニン)、PT(プロリン−トレオニン)、WD(トリプトファン−アスパラギン酸)、NA(アスパラギン−アラニン)、WY(トリプトファン−チロシン)、AS(アラニン−セリン)、DG(アスパラギン酸−グリシン)、SY(セリン−チロシン)、NY(アスパラギン−チロシン)、LE(ロイシン−グルタミン酸)、VH(バリン−ヒスチジン)、TI(トレオニン−イソロイシン)、LR(ロイシン−アルギニン)、FN(フェニルアラニン−アスパラギン)、YR(チロシン−アルギニン)、NE(アスパラギン−グルタミン酸)、SL(セリン−ロイシン)、GL(グリシン−ロイシン)、MY(メチオニン−チロシン)、AA(アラニン−アラニン)、IQ(イソロイシン−グルタミン)、HH(ヒスチジン−ヒスチジン)、NP(アスパラギン−プロリン)、RP(アルギニン−プロリン)、SD(セリン−アスパラギン酸)、AK(アラニン−リシン)、TD(トレオニン−アスパラギン酸)、KY(リシン−チロシン)、LF(ロイシン−フェニルアラニン)、IK(イソロイシン−リシン)、AF(アラニン−フェニルアラニン)、RS(アルギニン−セリン)、FK(フェニルアラニン−リシン)、ST(セリン−トレオニン)、EP(グルタミン酸−プロリン)、WL(トリプトファン−ロイシン)、NC(アスパラギン−システイン)、RC(アルギニン−システイン)、SQ(セリン−グルタミン)、WV(トリプトファン−バリン)、SM(セリン−メチオニン)、PA(プロリン−アラニン)、YA(チロシン−アラニン)、HY(ヒスチジン−チロシン)、YD(チロシン−アスパラギン酸)、RD(アルギニン−アスパラギン酸)、KD(リシン−アスパラギン酸)、DD(アスパラギン酸−アスパラギン酸)、YI(チロシン−イソロイシン)、AR(アラニン−アルギニン)、AC(アラニン−システイン)、YQ(チロシン−グルタミン)、VF(バリン−フェニルアラニン)、LC(ロイシン−システイン)、KT(リシン−トレオニン)、QW(グルタミン−トリプトファン)、RK(アルギニン−リシン)、NL(アスパラギン−ロイシン)、GQ(グリシン−グルタミン)、GI(グリシン−イソロイシン)、HK(ヒスチジン−リシン)、DH(アスパラギン酸−ヒスチジン)、VD(バリン−アスパラギン酸)、VY(バリン−チロシン)、MT(メチオニン−トレオニン)、QK(グルタミン−リシン)、TK(トレオニン−リシン)、TV(トレオニン−バリン)、QQ(グルタミン−グルタミン)、WC(トリプトファン−システイン)、YY(チロシン−チロシン)、ET(グルタミン酸−トレオニン)、QF(グルタミン−フェニルアラニン)、RN(アルギニン−アスパラギン)、TR(トレオニン−アルギニン)、AQ(アラニン−グルタミン)、GD(グリシン−アスパラギン酸)、WA(トリプトファン−アラニン)、IH(イソロイシン−ヒスチジン)、WW(トリプトファン−トリプトファン)、QN(グルタミン−アスパラギン)、VI(バリン−イソロイシン)、AD(アラニン−アスパラギン酸)、VN(バリン−アスパラギン)、CW(システイン−トリプトファン)、EI(グルタミン酸−イソロイシン)、SN(セリン−アスパラギン)、WN(トリプトファン−アスパラギン)、TG(トレオニン−グリシン)、SA(セリン−アラニン)、GA(グリシン−アラニン)、PW(プロリン−トリプトファン)、PQ(プロリン−グルタミン)、IG(イソロイシン−グリシン)、SH(セリン−ヒスチジン)、VR(バリン−アルギニン)、KM(リシン−メチオニン)、VK(バリン−リシン)、GF(グリシン−フェニルアラニン)、NV(アスパラギン−バリン)、RG(アラギニン−グリシン)、HW(ヒスチジン−トリプトファン)、VQ(バリン−グルタミン)、CM(システイン−メチオニン)、KC(リシン−システイン)、WQ(トリプトファン−グルタミン)、PD(プロリン−アスパラギン酸)、NQ(アスパラギン−グルタミン)、AY(アラニン−チロシン)、GS(グリシン−セリン)、TW(トレオニン−トリプトファン)、EF(グルタミン酸−フェニルアラニン)、EG(グルタミン酸−グリシン)、IV(イソロイシン−バリン)、QY(グルタミン−チロシン)、HL(ヒスチジン−ロイシン)、SK(セリン−リシン)、ID(イソロイシン−アスパラギン酸)、TS(トレオニン−セリン)、GW(グリシン−トリプトファン)、PI(プロリン−イソロイシン)、NH(アスパラギン−ヒスチジン)、PY(プロリン−チロシン)、TP(トレオニン−プロリン)、ED(グルタミン酸−アスパラギン酸)、DV(アスパラギン酸−バリン)、DA(アスパラギン酸−アラニン)、NT(アスパラギン−トレオニン)、DQ(アスパラギン酸−グルタミン)、PF(プロリン−フェニルアラニン)、SV(セリン−バリン)、DS(アスパラギン酸−セリン)、GY(グリシン−チロシン)、WR(トリプトファン−アルギニン)、NN(アスパラギン−アスパラギン)、FA(フェニルアラニン−アラニン)、TQ(トレオニン−グルタミン)、IS(イソロイシン−セリン)、VE(バリン−グルタミン酸)、FR(フェニルアラニン−アルギニン)、QR(グルタミン−アルギニン)、RL(アルギニン−ロイシン)、TM(トレオニン−メチオニン)、CN(システイン−アスパラギン)、FL(フェニルアラニン−ロイシン)、TE(トレオニン−グルタミン酸)、DI(アスパラギン酸−イソロイシン)、RW(アルギニン−トリプトファン)、RT(アルギニン−トレオニン)、MQ(メチオニン−グルタミン)、VP(バリン−プロリン)、WK(トリプトファン−リシン)、QH(グルタミン−ヒスチジン)、SE(セリン−グルタミン酸)、AG(アラニン−グリシン)、HS(ヒスチジン−セリン)、HP(ヒスチジン−プロリン)、RE(アルギニン−グルタミン酸)、QS(グルタミン−セリン)、SG(セリン−グリシン)、AL(アラニン−ロイシン)、VA(バリン−アラニン)、YL(チロシン−ロイシン)、YT(チロシン−トレオニン)、SR(セリン−アルギニン)、WS(トリプトファン−セリン)、RY(アルギニン−チロシン)、FI(フェニルアラニン−イソロイシン)、VG(バリン−グリシン)、LV(ロイシン−バリン)、WM(トリプトファン−メチオニン)、DW(アスパラギン酸−トリプトファン)、DC(アスパラギン酸−システイン)、FG(フェニルアラニン−グリシン)、HF(ヒスチジン−フェニルアラニン)、PG(プロリン−グリシン)、CE(システイン−グルタミン酸)、VV(バリン−バリン)、DN(アスパラギン酸−アスパラギン)、FH(フェニルアラニン−ヒスチジン)、GH(グリシン−ヒスチジン)、MW(メチオニン−トリプトファン)、IP(イソロイシン−プロリン)、AI(アラニン−イソロイシン)、ES(グルタミン酸−セリン)、EA(グルタミン酸−アラニン)、QV(グルタミン−バリン)、MR(メチオニン−アルギニン)、VL(バリン−ロイシン)、PK(プロリン−リシン)、DM(アスパラギン酸−メチオニン)、GG(グリシン−グリシン)、YF(チロシン−フェニルアラニン)、EE(グルタミン酸−グルタミン酸)、TF(トレオニン−フェニルアラニン)、ER(グルタミン酸−アルギニン)、CS(システイン−セリン)、IA(イソロイシン−アラニン)、YM(チロシン−メチオニン)、IM(イソロイシン−メチオニン)、EV(グルタミン酸−バリン)、SS(セリン−セリン)、AH(アラニン−ヒスチジン)、EH(グルタミン酸−ヒスチジン)、NF(アスパラギン−フェニルアラニン)、EM(グルタミン酸−メチオニン)、HA(ヒスチジン−アラニン)、RR(アルギニン−アルギニン)、IY(イソロイシン−チロシン)、SC(セリン−システイン)、GK(グリシン−リシン)、PS(プロリン−セリン)、EY(グルタミン酸−チロシン)、LK(ロイシン−リシン)、CQ(システイン−グルタミン)、KV(リシン−バリン)、WE(トリプトファン−グルタミン酸)、HG(ヒスチジン−グリシン)、EK(グルタミン酸−リシン)、FF(フェニルアラニン−フェニルアラニン)、FM(フェニルアラニン−メチオニン)、DK(アスパラギン酸−リシン)、LT(ロイシン−トレオニン)、FD(フェニルアラニン−アスパラギン酸)、DF(アスパラギン酸−フェニルアラニン)、FY(フェニルアラニン−チロシン)、QD(グルタミン−アスパラギン酸)、LN(ロイシン−アスパラギン)、KW(リシン−トリプトファン)、NS(アスパラギン−セリン)、PH(プロリン−ヒスチジン)、WG(トリプトファン−グリシン)、EL(グルタミン酸−ロイシン)、EQ(グルタミン酸−グルタミン)、LA(ロイシン−アラニン)、NG(アスパラギン−グリシン)、NM(アスパラギン−メチオニン)、WH(トリプトファン−ヒスチジン)、DE(アスパラギン酸−グルタミン酸)、DL(アスパラギン酸−ロイシン)、AV(アラニン−バリン)、PN(プロリン−アスパラギン)およびPR(プロリン−アルギニン)の中から選ばれる少なくとも一つのジペプチドを有効成分として含むことを特徴とする、紫外線による紅斑反応抑制組成物。
【請求項2】
前記組成物の総重量に対し、前記ジペプチドを0.001〜30重量%含有することを特徴とする、請求項1に記載の紫外線による紅斑反応抑制組成物。
【請求項3】
前記組成物は薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の紫外線による紅斑反応抑制組成物。
【請求項4】
前記組成物は、スキンローション、エマルジョンローション、クリーム、ファウンデーション、エッセンス、ゲル、パック、フォームクレンジングおよび石鹸のような化粧料、または皮膚外用軟膏などの薬品軟膏であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線による紅斑反応抑制組成物。

【公表番号】特表2012−522043(P2012−522043A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503319(P2012−503319)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【国際出願番号】PCT/KR2010/001923
【国際公開番号】WO2010/114275
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(511231919)ウェルスキン カンパニー,リミテッド (1)
【Fターム(参考)】