説明

ジャッキブラケット及びその製造方法

本発明は、ジャッキが嵌め込まれる受け入れ要素用のフランジ及び開口部(16)を有する自動車のシルに固定される自動車用のジャッキブラケット(12)に関する。本発明はまた、前記ブラケット(12)を製造する方法に関する。その安定性を失わずにブラケット(12)の製造及び構成を簡素化するために、ブラケット(12)は、管状中空部材(6)と、前記端部(10)を覆う中空部材(6)のシルと反対側の端部(10)に取り付けられ、受け入れ要素用の開口部(16)を有するカバー(13)とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段によるジャッキブラケットと、請求項18の前段によるジャッキブラケットを製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なブラケット及びその製造方法は特許文献1に記載されている。その文献に記載のブラケットは、板金シェル構造から形成され、そのブラケットが下部シル領域にスポット溶接によって固定される取り付け領域を有する。溶接されたシェル構造は、その他端に、プラスチックストッパが嵌め込まれる開口部を有し、プラスチックストッパは、ジャッキのピンを挿入できるくぼみを有する。ブラケットのシェル構造は、そのマルチパートの性質上、加工工学や設備に関し製造するのが比較的複雑となる。さらに、その構造が過負荷の結果生じる座屈を防止できるように、その構造を特に、自動車がジャッキアップされたときのブラケットへの力の導入に、複雑な方法で、適合させなければならない。
【0003】
【特許文献1】独国特許発明第195 28 309C2号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ブラケットの製造及び構造がいかなる安定性も失うことなく簡素化されるように一般的なブラケット及び一般的な製造方法をさらに発展させる目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、ジャッキブラケットに関する請求項18の特徴によって、及びその方法に関する請求項17の特徴によって達成される。
【0006】
ジャッキを受け入れる開口部を含むカバーを一端に備えている中空部材としてブラケットを設計すると、複雑なシェル構造を使用しないで済ますことが可能となる。引き抜き管、巻かれた後に長手方向に溶接されている板金、又は押出部材から簡単に形成できる周囲が連続した中空部材は、高い曲げ及び捩り強度を有し、その結果としてブラケットは、自動車をジャッキアップするときに生じるような、高い機械的応力に容易に耐えることができる。中空部材は、カバーに接合されるだけでよく、つまり抵抗スポット溶接、レーザ溶接、接着剤接合、リベット接合又はこれらの接合方法の組み合わせのような、大きな出費を伴わずに実施できる多数の接合技術を使用することが可能となる。中空部材とカバーとから構成されるブラケットのこの2部品構成の他の利点は、例えば自動車を歩道に駐車させるために歩道に乗り上げたり、歩道から車道に降りたりするときに生じるような、過負荷をブラケットが受けた場合、カバーだけが変形し、それだけで過負荷を吸収する。しかしながら、中空部材は無傷のままである。カバーを中空部材から取り外し、標準修理方法を採用している工場内で新カバーと交換することはゆえに容易で安価である。これはまた、損傷した標準ブラケットの場合と比べても大いに修理時間の短縮となる。実証された本発明によるブラケットの変形特性は、カバー及び中空部材の幾何学的形状と材料との適当な構成によってさらに高められる。
【0007】
ブラケットに関し請求項2に記載及び方法に関し請求項19に記載の本発明の特に好ましい改良において、中空部材はハイドロフォーミング部品によって形成される。
【0008】
中空部材は、この場合、ハイドロフォーミングによって伸ばされる管状素材から形成される。ハイドロフォーミングは、中空部材を理想的にブラケットの周囲に適合させることを可能にし、これらの適合は、比較的小さな変形度のため、ハイドロフォーミングにおいて形成し易い膨張で自ずと現れる。ハイドロフォーミングの製造公差の自由度のおかげで、自動車シルの下部領域へのブラケットの取り付けを自動化し易い。
【0009】
請求項3に記載の本発明の他の好ましい実施形態において、接続フランジが中空部材の壁部分から形成される。このことにより、追加の個別金属フランジシートを不要にすることが可能となり、構成部品点数を低レベルに保つことにもなり、さらに中空部材へのそのような金属フランジシートの取り付けもなしで済ますことも可能になり、それは不必要な接合にかかる費用を未然に回避することにもなる。さらに、中空部材とのフランジの一体性が、機械的応力に対するブラケットの安定性を高める。フランジの構造に関する本発明による方法に対応する特に好ましい改良が請求項23で提示されている。この場合、壁部分は、カバーから遠い中空部材の端部において単に切り欠き又は切り取りが施されるだけである。無くなった壁部分は中空部材の重量を低減し、それは自動車の全重量の低減にも有利になる。切り欠き又は切り取りは、ハイドロフォーミングによる中空部材の形成後に、同じハイドロフォーム成形機内に尚も存在しているハイドロフォーミング圧力を利用して、実現でき、これは経済的方法を構成する。さらに、形成される隙間だけ互いに間隔を空けて配置され、残りのフランジを形成する少なくとも一部の壁部分は、ハイドロフォーム成形機の外部で行われる動作で、折り曲げられる。この性質の適当な角度付けは、シル領域及び他の隣接ボディ領域の取り付け表面の位置への中空部材の取り付けの一致を最適化して、ブラケットをこれらの領域に迅速且つ堅牢に接合できるようにする。この目的のため、抵抗スポット溶接、レーザ溶接、はんだ付け又は二重曲げ接合のような接合方法を採用すると有利である。重量を低減するために、大面積のフランジが、例えば切り欠きによって「庭の垣根」のように形成されることも可能である。しかしながら、この場合、裂け目やエッジ腐食を避けるために塗布されることになるシーム封止に伴う費用が増大する。
【0010】
請求項4に記載のような本発明によるブラケットの他の特に好ましい改良において、カバーは、スリーブ状拡張部を有し、それによりカバーが中空部材に嵌め込まれる。このことにより、いかなる保持装置も準備する必要がなくカバーを簡単に中空部材に位置決めできる。さらに、取り付け領域で起こる中空部材及びカバーの重複によって生成された二重壁のおかげで、中空部材の強度が増す。請求項25に記載のような本発明による対応する方法の他の好ましい実施形態において、板金部材が、キャップ状カバーを非常に低コストで形成するために深絞り成形によってカバーを製造するために使用される。このように製造されたカバーは、中央に穴が空けられ、特に打ち抜かれることが好ましく、それは深絞り型内で行うことができ、それによって設備費用を低減できる。この目的のために、革新的な複合型を製造の経済性を改良するために使用できる。請求項26に記載のようなこの目的の本発明による方法の好ましい改良において、キャップ状穴付きカバーは、中空部材に嵌め込まれ、次に上述のスリーブ状拡張部を形成するその円筒状縁部の端面の領域の周りで、好ましくは溶接によって、中空部材に接合される。差し込み式接続のおかげで、この場合、縁部の端面の周りで、プロセス工学に関し実行するのが非常に簡単である、隅肉溶接によってカバーと中空部材とが互いに特に堅牢且つ着脱不能に接合されることが可能となる。隅肉溶接に加えて、例えば二重曲げ接合やスポット溶接など、実行が簡単な考えられる代わりの接合技術がある。
【0011】
請求項5に記載の本発明の他の好ましい構成において、カバーは、実質的に平面状であるベース領域を有する。これにより受け入れ要素とカバーとの間で当接させ易くなり、ブラケットへの力のより良好な導入が、達成された均一な当接の結果として達成される。さらに、単純な当接が受け入れ要素の明確なストッパとなるので、受け入れ要素の取り付けも容易になる。
【0012】
請求項6に記載の本発明による好ましい改良において、自動車のジャッキブラケットの設置位置における、カバーは、全ベース領域にわたり道路と平行に向けて配置される。これにより、ジャッキブラケットの受け入れ要素へのジャッキの困難且つ安全でない取り付けが防止される。
【0013】
他の好ましい改良は請求項7の内容によって提案される。この場合、カバーは、ベース領域にビードを有し、それらは、カバーに、したがって、ブラケットに強度の改良をもたらす。
【0014】
請求項8に記載の本発明の他の好ましい構成において、カバーは、ベース領域に取り付け装置用の位置決め穴を有する。これらの穴はカバーを精密に取り付けるために使用され、その後、カバーは、中空部材と組み立てられると、常に正しい相対的位置を選定する。さらに、その取り付けは、組み立てられ、接合されたブラケットのシルへの所定の位置決めを可能にするので、接続フランジが精密に所望位置でそれと当接できる。この結果は、ブラケットとシルとの間の接合を、走行時の接合部の耐久性に役立つより確実な方法を使用して行うことができることである。位置決め穴を形成する他の利点は、陰極浸漬コーティング塗布法で使用された液体や、走行中に入る、水又は油のような、液体が、ブラケットから流れ出るので、一方で受け入れ要素を支障なく取り付けることができ、他方でブラケットへの腐食の危険性が最小限に抑えられるということに基づく。
【0015】
請求項9の内容は、異なる大きさの位置決め穴に関する。これは、作業者がブラケットの位置に戸惑う危険性が排除するもので、そうでなければ、位置決め穴に関して180゜回転されたブラケットのカバーの一致する位置も起こりうる。
【0016】
請求項10に記載の本発明による他の特に好ましい構成は、カバーの中央開口部が中空部材に向かって設定されたカラー部で区切られることを示す。カラー部は、一方でカバーの、したがって、ブラケットの強度を増し、他方でカバーへの受け入れ要素の接合を簡素化し、接合部を形成するその接合要素は、例えば受け入れ要素の中心ピンによって、カバーの開口部に圧入できる。あるいは代わりに、クリップ止めによる接合は、特に有利で確実である。カバーの中央開口部は、オーバーヘッド又はスキッド運搬を利用する自動車の製造工程にも有利に使用できる。これは、開口部の全てが同一位置の受け入れ点を形成するからであり、それは、自動車の位置の結果として簡素化された基準のおかげで、例えばアクスルアセンブリのような一般に公差の厳しいワークステーションを基礎にした製造に有利である。
【0017】
請求項11に記載の本発明の特に好ましい改良において、受け入れ要素は、好ましくはプラスチックから成る、ストッパによって形成される。これは、受け入れ要素に関して、それが、例えばカバー開口部に圧入されることによって、カバーに利用し易い安価な構成要素によって形成されることを意味する。
【0018】
請求項12に記載の本発明の他の好ましい改良において、ストッパは、カバーに面する側に、カバーの中央開口部と接続するように相互に作用し合う、少なくとも1つのクリップ要素を有する。これにより、カバーの開口部、特にカラー部の背後で接触するクリップ要素で、ストッパをカバーに合わせ易くなる。
【0019】
請求項13に記載の本発明の他の特に好ましい構成において、固定位置の、ストッパの外周面は、カバーの円筒状縁部と面一となるか又はそれから内側とされる。このことにより、ブラケットへの力の確実な導入が確実となり、ストッパがカバーの縁部を越えて突き出た場合に起こり得る、衝撃荷重の際のストッパの座屈を防止する。これに基づくかぎり、カバー及びストッパ、ならびにカバーへの中空部材の取り付け断面は任意の所望断面形状であっても良い。
【0020】
請求項14に記載の本発明の他の特に好ましい改良において、カバーから遠いストッパの端部側は、自動車の、損傷に関し重要である、周囲構成要素に対して下方に予めオフセットされている。これにより、例えば自動車が車道から歩道上に、及び歩道から車道に走行するとき縁石の縁と接触したときの過度な機械的衝撃応力の結果として、例えばリアアクスル、排気系統、ボディの設備、長手方向ビーム及び横断ビームのような、修理が高価となる自動車の周囲構成要素への損傷を防ぐ。当然、この場合もまた、自動車のアンダーボディのジャッキブラケットの位置決めの適切な選択が重要な役割を果たす。
【0021】
本発明によるブラケットは、したがって、車輪を交換するときのジャッキの取り付けのためだけではなく、上述の自動車構成要素を衝撃またはショックから保護するものとしても有利に働く。
【0022】
請求項15に記載の本発明の他の好ましい改良において、中空部材の接続フランジを形成する壁部分の輪郭及びシルの輪郭は、ブラケットの取り付け領域において互いに対応する形状のものとなるように設計されるので、シルにブラケットを確実に取り付けることが容易にでき、耐久性のある接続を確実にする。
【0023】
請求項16に記載の本発明による他の好ましい改良は、自動車の後輪の前及び前輪の背後のシルのブラケットが同一形状のものであることにある。これは、装置にかかる費用を最小限に抑える理由で、製造工程を簡素化する。
【0024】
請求項17に記載の本発明の他の好ましい改良において、ブラケットは、自動車のシルパネルとアンダーボディパネルとの間の構成要素分離部の外部に配置され、受け入れ要素と共にブラケットがアンダーボディパネルの開口部を通って突出する。これによって、アンダーボディパネルを取り外すだけが必要となるので、損傷の際に受け入れ要素と共にカバーを容易に交換することができる。シルパネルの高価な分解作業が不要である。
【0025】
請求項20に記載の本発明による方法の特に好ましい改良において、ハイドロフォーミング圧力は、素材から、軸方向に互いに間隔が空けられる少なくとも2つの拡張部材を形成し、これらの部材は、次に分割工程によって個別の中空部材に分割される。この場合、複数の中空部材が、一回の形成動作とそれに続く分割工程によって同時に形成でき、
ハイドロフォーム成形機内で、プロセスが経済的となるように行われ、短い作業サイクルでのブラケットの大量生産に有利である。この場合、異なる形状の中空部材を共通の素材から形成することが可能となる。
【0026】
これに関する本発明による方法の他の特に好ましい実施形態が請求項21で提示されている。成形加工に続いて、素材は、素材の長手方向軸に対し横方向に、拡張区画間で分割されて、個々の素材区画を形成し、これらは次に素材区画の軸方向範囲に対し横方向に行われるさらなる分割によって略中間で、それぞれ2つの中空部材に分割される。この場合、素材の区画の拡張部が、対称分割切断によって、簡単に全く同一の二重部品を造るために使用され、その結果として、一方で特に成形機を有効に活用することが可能となり、他方で大量生産が促進され、ブラケットの製造に必要な作業サイクルが加速される。分割方法は、−前にも説明したように−ハイドロフォーム成形機内で行われるが、このことは、異なる方法選択肢の使用の汎用性を制限する。例えば、この場合、主に、打ち抜き又は回転刃による分割のような、機械的分割方法が実用的である。分割がハイドロフォーミングに続いて、その成形型の外部で、実行されることも同等に考えられる。このことにより、さらに他の分割方法を利用することも可能となる。この場合、レーザ切断又はプラズマ切断も適切である。
【0027】
請求項22に記載の本発明による方法の他の好ましい実施形態において、素材の非拡張端部は、成形加工後に切断される。このことにより、ハイドロフォーミング加工中に素材を軸方向に密閉させる軸方向ラムによって挟まれ、したがって、損傷を受ける端部側素材の材料が、その動作強度を確保することは不可能であろうブラケットを形成するのに使用されるのを防ぐ。さらに、この端部は中空部材を無駄に長くせず、その形状も設置条件に適切に一致しない。さらにこの種類の端部は、全く不要な余分の重量を伴う。これらの端部は、これらの欠点を避けるべく切断される。
【0028】
請求項24に記載の本発明の他の特に好ましい改良において、切り欠きはハイドロフォーム成形機内にまだ残っているハイドロフォーミング圧力を用いて中空部材のハイドロフォーミング中に又はそれに続いて行われ、これは、それがフランジの形状を望ましくなく変形させるひけを避けるので、プロセス経済に関し特に有利である。
【0029】
本発明を図面で示された例示的な実施形態を基に以下で詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、ハイドロフォーミングによって拡張され、互いに軸方向に間隔を空けて配置される複数の(この場合:4つ)の拡張区画2を有する細長管状素材1を示す。素材1は区画2の間に短い非拡張区画3を有する。
【0031】
変形された素材1がハイドロフォーム成形機から取り出された後、未変形のままであるその非拡張端部4は切り落とされる。同時に又はその後、素材1は、短区画3の位置において、素材長手方向軸5に対して横方向に分割されて、個々の素材区画を形成する。これらの素材区画は、次に素材区画の軸方向の範囲に対して横方向に実行される他の分割方法によって、略中間で分割されて、それぞれ2つの中空部材6を形成するが、それらのうちのたった1つが図2に示されている。壁部は、カバーから遠い外周連続中空部材6の端部7において切り欠き又は切り取りが施され、明確な隙間8を残す。
【0032】
形成された隙間8によって円周方向に互いに間隔を空けて配置されるブラケット12のフランジを形成する残りの壁部9の一部9aは、次に、シル領域及び周囲ボディ領域の取り付けフランジに合致するように、折り曲げられているので、ブラケット12を取り付け表面においてシル及び周囲ボディ部品に容易に接続できる。カバーに近い中空部材6の端部10に、中空部材6は、実質的に円形の円周領域11を有し、それに接合されることになるカバーを嵌め込むことができる(図3)。円周領域11を形成すると、カバーへの嵌め込みが容易になる。
【0033】
図4は、完成したジャッキブラケット12を示す。この状態を達成するために、板金部材から深絞りされ、ジャッキを嵌め込むことができる受け入れ要素用の開口部16を形成できるように中央に穴が空けられ、特に打ち抜かれている、キャップ状カバー13が、中空部材6の円周領域11に嵌め込まれている。カバー13のスリーブ状拡張部を形成する、管状縁部15の端面14の領域において、カバー13は、中空部材6に、好ましくは溶接によって接合されている。
【0034】
図5は、カバー13が、実質的に平面形状であるベース領域17を有することを示す、その組み立て前のジャッキブラケット12を示す。さらに、ベース領域17において、カバー13は、円形ベース領域17の円周方向に互いに対してそれぞれ72゜オフセットして、五芒星の形に、配置されるビード18を有する。さらに、異なる大きさの取り付け装置用の位置決め穴19は、ベース領域17に形成される。さらに、カバー13は、中空部材6に向かって設定され、カバー13のベース領域17に形成された中央開口部16を区切るカラー部20を有する。図4ですでに行われている、組み立てには、中空部材6の円周領域11がカバー13の縁部15と当接するように、カバー13に嵌め込まれ、その縁部15に、好ましくは溶接、接着接合又は二重曲げ接合によって、接合されるが、カバー13や中空部材6の寸法は、カバー13の縁部15が中空部材6の貫通開口部29に嵌め込まれ、次に円周領域11に固定して接合されるようなものになることも考えられる。図5はまた、固定フランジを形成する中空部材6又は次のジャッキブラケット12の壁部分9を特に明らかにする。
【0035】
図6において、本発明によるジャッキブラケット12は自動車30に設置されている。この場合、ブラケット12のカバー13は、全ベース領域17にわたり道路と平行に向けられる。自動車30の後輪の前及び前輪の背後のシル26のブラケット12は、同一形状である。さらに、中空部材6の、接続フランジを形成する、壁部分9の輪郭、及びシル26の輪郭は、ブラケット12の取り付け領域において互いに対応する形状のものとなるように設計されるので、それらの間に隙間のない当接、したがって、特に耐久性のある接続をもたらすことができる。
【0036】
ブラケット12の受け入れ要素は、ストッパ21によって形成され、これは好ましくはプラスチックから成り、固定位置における、その外周面24は、カバー13の円筒状縁部15から内側に配置される。カバーに面するストッパ21のその面22は、いかなる隙間もなくカバー13の下面31に当接する。さらに、ストッパ21は中央貫通ボア32を有し、それを通ってクリップ要素23が突出する。クリップ要素23は中空形状であり、カバーから離れた端部33はリングカラー部34を有し、そのリングカラー部34によってクリップ要素23が貫通ボア32の段付肩部35に当接する。プラグ37は、クリップ要素23のキャビティ36に圧入され、クリップ要素23をストッパ21の貫通ボア32内で固定し、それに当接することによって外部に対しリングカラー部34を覆う。プラグ37は、固定リング38によって貫通ボア32内で追加的に固定され、その固定リング38は、プラグ37のヘッド40の外周39に形成された受け入れ溝41に嵌め込まれる。プラグ37のヘッド40は、カバーから遠いストッパ21の端面25と面一になっている。カバーから遠いストッパ21の端面25は、損傷に関し重要である自動車30の周囲構成要素に対し下方に予めオフセットされている。カバーに近いその端部42には、クリップ要素23が、カバー13の中央開口部16を貫通し、そこで円形カラー部20の周りで接触する円形アンカーフックの形式で設計されるので、ストッパ21をカバー13に合わすことができる。プラグ37は、フックの全長にわたり中空となるように設計されるので、フックは、カバー開口部16に押し込まれたとき半径内方に降伏でき、そのあとカラー部20背後の固定位置に復元するに足る弾性力を備えている。クリップ要素23は、ゆえにカバー13の中央開口部16と接続して相互に作用し合う。ストッパ21はまた、開口部16に嵌め込まれ、カラー部20の内側に当接する中空中央ショートネック部43を有する。設置された位置において、クリップ要素23のフックは、カラー部20を経由して、ネック部43を包囲する。カバー13は、結果的にストッパ21をカバー13に確動的且つ摩擦的に係止する接続のおかげで特に確実に保持される。
【0037】
ブラケット12は、自動車30のシルパネル27とアンダーボディパネル28との間の構成要素分離部の外部に配置され、受け入れ要素、すなわちストッパ21は、アンダーボディパネル28の開口部44を通り突出する。
【0038】
最後に、図7は、ブラケット12を形成する中空部材6に分割される前の中空部材素材1を示し、素材1はすでに拡張区画2を有する。さらに、分割動作後に隙間8(図2参照)を形成する切り欠き45がハイドロフォーム成形機内で生成されるが、その間、適当なラムによって、ハイドロフォーミング圧力が尚も残っている。その分割は、一方で拡張区画の中間で切断し、他方で対になって形成され、ウエブ46によって互いに軸方向に分離された切り欠き45aと45bとの間で切断する、素材1の縦方向範囲に対して横向きに切断する分割切断によって行われる。上述ウエブ46は分割切断中に完全に取り除かれる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明によるブラケットの製造の進捗の連続段階の斜視図を示す。
【図2】本発明によるブラケットの製造の進捗の連続段階の斜視図を示す。
【図3】本発明によるブラケットの製造の進捗の連続段階の斜視図を示す。
【図4】本発明によるブラケットの製造の進捗の連続段階の斜視図を示す。
【図5】カバーと中空部材とが組み立てられて本発明によるブラケットを形成する前のカバー及び中空部材の斜視図を示す。
【図6】自動車の設置位置における本発明によるジャッキブラケットの横断面図を示す。
【図7】切り欠き部が形成された拡張管状素材の斜視図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジを用いて自動車のシルに固定され、ジャッキをはめ込むことができる受け入れ要素用の開口部を有する、自動車用のジャッキブラケットであって、
前記ブラケット(12)が、管状の中空部材(6)と、前記シルから遠い前記中空部材(6)の端部(10)に固定され、前記端部(10)を覆い、前記受け入れ要素用の前記開口部(16)を有するカバー(13)とから成ることを特徴とするジャッキブラケット。
【請求項2】
前記中空部材(6)がハイドロフォーミング部品であることを特徴とする請求項1に記載のジャッキブラケット。
【請求項3】
前記フランジが、前記中空部材(6)の壁部分(9)から形成されることを特徴とする請求項1あるいは2に記載のジャッキブラケット。
【請求項4】
前記カバー(13)がスリーブ状拡張部を有し、同スリーブ状拡張部によって前記カバー(13)が前記中空部材(6)に嵌め込まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のジャッキブラケット。
【請求項5】
前記カバー(13)は、実質的に平面状であるベース領域(17)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のジャッキブラケット。
【請求項6】
前記カバー(13)は、前記自動車(30)の前記ジャッキブラケット(12)の設置位置において、全ベース領域(17)にわたり道路と平行に向けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のジャッキブラケット。
【請求項7】
前記カバー(13)は前記ベース領域(17)にビード(18)を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のジャッキブラケット。
【請求項8】
前記カバー(13)は、前記ベース領域(17)に取り付け装置用の位置決め穴(19)を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のジャッキブラケット。
【請求項9】
前記位置決め穴(19)は異なる大きさのものであることを特徴とする請求項8に記載のジャッキブラケット。
【請求項10】
前記カバー(13)の中央開口部(16)は、前記中空部材(6)に向かうカラー部(20)によって区切られることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のジャッキブラケット。
【請求項11】
前記受け入れ要素は、好ましくはプラスチックから成る、ストッパ(21)によって形成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のジャッキブラケット。
【請求項12】
前記ストッパ(21)は、前記カバーに面する面(22)に、前記カバー(13)の前記中央開口部(16)と接続するよう相互に作用する少なくとも1つのクリップ要素(23)を有することを特徴とする請求項11に記載のジャッキブラケット。
【請求項13】
前記ストッパ(21)の外周面(24)は、前記固定位置において、前記カバー(13)の円筒状縁部(15)と面一になるか又は内側にあることを特徴とする請求項11あるいは12のいずれか一項に記載のジャッキブラケット。
【請求項14】
前記カバーから遠い前記ストッパ(21)の端面(25)は、前記自動車(30)の、損傷に関し重要である、周囲構成要素に対し下方に予めオフセットされることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載のジャッキブラケット。
【請求項15】
前記中空部材(6)の、接続フランジを形成する、壁部分(9)の輪郭と、前記シル(26)の輪郭とは、前記ブラケット(12)の取り付け領域において互いに対応する形状となるように設計されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のジャッキブラケット。
【請求項16】
前記自動車(30)の後輪の前方及び前輪の後方の前記シル(26)の前記ブラケット(12)は、同一形状であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のジャッキブラケット。
【請求項17】
前記ブラケット(12)は、前記自動車(30)のシルパネル(27)とアンダーボディパネル(28)との間の構成要素分離部の外部に配置され、前記受け入れ要素と共に前記ブラケット(12)は前記アンダーパネル(28)の開口部(44)を通って突出することを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のジャッキブラケット。
【請求項18】
フランジによって自動車のシルに固定され、ジャッキをはめ込むことができる受け入れ要素用の開口部を有する、前記自動車のジャッキブラケットを製造する方法であって、
前記ブラケット(12)が、中空部材(6)と、一端で前記中空部材(6)を覆うカバー(13)とから組み立てられ、
前記開口部(16)が前記カバー(13)に形成されることを特徴とする方法。
【請求項19】
前記中空部材(6)が、ハイドロフォーミングによって伸ばされる、管状素材(1)から形成されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ハイドロフォーミング圧力が、前記素材(1)から、互いに軸方向に離間して配置される、少なくとも2つの拡張区画(2)を形成し、それらの区画(2)が次に分割工程によって別々の中空部材(6)に分割されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記形成動作に続き前記素材(1)が、前記素材の長手方向軸(5)に対して横方向に前記拡張区画(2)間で分割されて別々の素材区画を形成し、次に前記個々の素材区画が、略中間で、前記素材区画の軸方向の範囲に対し横方向に行われる他の分割方法によって、それぞれ2つの中空部材(6)に分割されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記素材(1)の非拡張端部(4)が、前記形成動作後に切り落とされることを特徴とする請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
壁部分が、前記カバーから遠い前記中空部材(6)の端部(7)において切り欠きまたは切り取りが施され、
形成された隙間(8)により互いに間隔を空けられて残りがフランジを形成する前記壁部分(9)の少なくとも一部(9a)が折り曲げられることを特徴とする請求項18〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記切り欠きが、前記ハイドロフォーミング圧力がまだ前記ハイドロフォーム成形機内に残っている、前記中空部材(6)のハイドロフォーミング中又はその後に行われることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
板金部材がキャップ状カバー(13)を形成するよう深絞り成形され、
前記カバー(13)が好ましくは中央に穴が空けられ、特に打ち抜かれることを特徴とする請求項18〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記キャップ状カバー(13)が前記中空部材(6)に嵌め込まれ、次にその円筒状縁部(15)の端面(14)の領域で、好ましくは溶接によって、前記中空部材(6)に接合されることを特徴とする請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−533525(P2007−533525A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529851(P2006−529851)
【出願日】平成16年5月18日(2004.5.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005320
【国際公開番号】WO2004/106130
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(598051819)ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【Fターム(参考)】