説明

ジャー炊飯器

【課題】保温時の温度下降中に発生する蒸気を回収し、蓋や鍋側面への結露を防止するとともに、過剰に回収しないよう蒸気循環手段を連続動作や間欠動作とすることで鍋内の余分な蒸気のみを回し、乾燥を防止することで食味を非常によくし、さらに小型のスチーム保温を実現するとともに、使い勝手のよい炊飯器を提供する。
【解決手段】少なくとも高温保温温度と低温保温温度の2つの保温温度をもつ保温工程において発生する蒸気を鍋内に循環させる蒸気循環手段と、蒸気循環手段の動作を制御する操作制御手段とを有し、炊飯終了後から低温保温温度への移行時および高温保温温度から低温保温温度への移行時に鍋温度検知手段の検知温度が第1の所定温度に下がったと検知した時に、蒸気循環手段動を動作させ、鍋温度検知手段の検知温度が第2の所定温度まで下がるかあるいは所定時間が経過した場合に蒸気循環手段を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭、あるいは業務用に使用するジャー炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の機器の構成は以下のようなものであった。特許文献1によれば、本体と、前記本体内に着脱自在に収納される鍋と、前記本体内に設けられ前記鍋を加熱する加熱手段と、前記本体の上面開口部を覆い開閉自在に軸支した蓋とを備え、前記蓋には炊飯時の蒸気を排出する蒸気口を有する鍋内に連通した送風経路と、前記鍋の上方の送風口により鍋内に連通した送風通路と、前記蒸気通路又は送風通路のどちらか一方に送風機を設け、前記送風機のモーター部を蓋内に、ファン部を蒸気通路又は送風通路内に配してなることにより、モーター部には蒸気や湿った外気が直接通ることなく安全な構成で、ご飯のべたつきを抑えると共に、ご飯の劣化を少なくすることができるものであり、安全性が高く清潔な構成でご飯の余分な水分を減らしてご飯のべたつきをおさえるとともに、早く保温温度まで降下させてご飯の劣化を少なくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−217702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような炊飯器では、炊飯直後に余分な水分を飛ばしている為、長時間保温された場合において黄変や、表面が乾燥する恐れがあった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、少なくとも2つの保温温度(例えば、高温保温温度と低温保温温度)をもつ保温時において、保温温度が高温保温温度から低温保温温度に温度下降中に発生する蒸気を回収し、蓋や鍋側面への結露を防止するとともに、過剰に回収しないよう蒸気循環手段を連続動作や間欠動作とすることで鍋内の余分な蒸気のみを回収する。
【0006】
そして、回収された蒸気は一時的に蓋内に結露させて溜めておき、温調時または間欠過熱時に蒸気加熱板により加熱されて蒸気となって鍋内へ戻される共に、乾燥を防止することで食味を非常によくし、さらに小型のスチーム保温を実現するとともに、使い勝手のよい炊飯器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、着脱自在な鍋と、上面に有底筒状の鍋収納部を有する本体と、前記鍋収納部に設けられるとともに前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、少なくとも高温保温温度と低温保温温度の2つの保温温度をもつ保温工程において発生する蒸気を前記鍋内に循環させる蒸気循環手段と、前記蒸気循環手段の動作を制御する操作制御手段とを有し、炊飯終了後から前記低温保温温度への移行時および前記高温保温温度から前記低温保温温度への移行時に前記鍋温度検知手段の検知温度が第1の所定温度に下がったと検知した時に、前記蒸気循環手段動を動作させ、前記鍋温度検知手段の検知温度が第2の所定温度まで下がるかあるいは所定時間が経過した場合に前記蒸気循環手段を停止させるジャー炊飯器である。
【0008】
これにより、保温時の高温保温温度から低温保温温度に温度下降中に発生する蒸気を回収し、蓋や鍋側面への結露を防止するとともに、過剰に回収しないよう蒸気循環手段を連続動作や間欠動作とすることで鍋内の余分な蒸気のみを回収する。
【0009】
そして、回収された蒸気は一時的に蓋内に結露させて溜めておき、温調時または間欠過熱時に蒸気加熱板により加熱されて蒸気となって鍋内へ戻されると共に、乾燥を防止することで食味を非常によくし、さらに小型のスチーム保温を実現するとともに、使い勝手のよい炊飯器を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の炊飯器は、保温時の高温保温温度から低温保温温度に温度下降中に発生する蒸気を回収し、蓋や鍋側面への結露を防止するとともに、過剰に回収しないよう蒸気循環手段を連続動作や間欠動作とすることで鍋内の余分な蒸気のみを回収する。
【0011】
そして、回収された蒸気は一時的に蓋内に結露させて溜めておき、温調時または間欠過熱時に蒸気加熱板に加熱されて蒸気となって鍋内へ戻されると共に、乾燥を防止することで食味を非常によくし、さらに小型のスチーム保温を実現するとともに、使い勝手のよい炊飯器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1の炊飯器の断面図
【図2】本発明の実施の形態1の炊飯器の蓋体部面図
【図3】本発明の実施の形態1の炊飯器の要部断面図
【図4】本発明の実施の形態2の炊飯器の要部断面図
【図5】本発明の実施の形態1のご飯温度とシロッコファン動作タイミングのグラフ
【図6】本発明の実施の形態1のご飯温度とシロッコファン動作タイミングのグラフ
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、着脱自在な鍋と、上面に有底筒状の鍋収納部を有する本体と、前記鍋収納部に設けられるとともに前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、少なくとも高温保温温度と低温保温温度の2つの保温温度をもつ保温工程において発生する蒸気を前記鍋内に循環させる蒸気循環手段と、前記蒸気循環手段の動作を制御する操作制御手段とを有し、炊飯終了後から前記低温保温温度への移行時および前記高温保温温度から前記低温保温温度への移行時に前記鍋温度検知手段の検知温度が第1の所定温度に下がったと検知した時に、前記蒸気循環手段動を動作させ、前記鍋温度検知手段の検知温度が第2の所定温度まで下がるかあるいは所定時間が経過した場合に前記蒸気循環手段を停止させるジャー炊飯器である。
【0014】
これにより、保温時の温度下降中に発生する蒸気を回収し、蓋や鍋側面への結露を防止するとともに、過剰に回収しないよう蒸気循環手段を連続動作や間欠動作とすることで鍋内の余分な蒸気のみを回収する。そして、回収された蒸気は一時的に蓋内に結露させて溜めておき、温調時または間欠過熱時に蒸気加熱板に加熱されて蒸気となって鍋内へ戻されると共に、乾燥を防止することで食味を非常によくし、さらに小型のスチーム保温を実現するとともに、使い勝手のよい炊飯器を提供する。
【0015】
第2の発明は、特に第1の発明において、蒸気循環手段は蒸気を過熱蒸気に加熱する蒸気過熱手段を有するものである。これにより、鍋内に発生した蒸気を蒸気過熱手段によって過熱蒸気に生成し、鍋内の雰囲気を一定に保つことで、消費電力を抑えることのできる炊飯器を提供する。
【0016】
第3の発明は、特に第1の発明において、蒸気循環手段は気密型のポンプを有したものである。これにより、保温時の高温保温温度から低温保温温度に温度下降中に発生する蒸気を回収し、蓋や鍋側面への結露を防止するとともに、過剰に回収しないよう蒸気循環手段を連続動作や間欠動作とすることで鍋内の余分な蒸気のみを回収する。そして、回収された蒸気は温調時、または間欠過熱時に蒸気となって鍋内へ投入されると共に、乾燥を防止することで食味を非常によくし、さらに小型のスチーム保温を実現するとともに、使い勝手のよい炊飯器を提供する。
【0017】
第4の発明は、特に第3の発明において、加熱手段を動作させる加熱制御手段を有し、前記加熱制御手段よりの発熱を冷却する冷却ファンを有したものであって、蒸気循環手段動作時は前記冷却ファンの回転数を低下もしくは停止してなるものである。これにより、冷却ファンと蒸気循環手段が同時に動作することによる騒音や許容電力量の増加を抑えることができる。
【0018】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における炊飯器について、図1から図3を用いて説明する。
図1において、炊飯器本体1は上面を構成する上枠3と側面および底面を構成するボディ4でその外郭が構成されている。上枠3は円筒状の穴部3aを有し、穴部より連なる筒状で金属製または樹脂製の保護枠胴5と皿状の保護枠6により有底筒状の鍋収納部1aを構成し、着脱自在に鍋2を収納する。保護枠6の底部に設けられた底誘導コイル7が鍋加熱手段となり、鍋2を誘導加熱し炊飯・保温を行う。ここで磁性材料にて構成された複数の底フェライト8が底誘導コイル7に対向しかつ底誘導コイル7に直交した配置で鍋2と反対側に設けられている。
【0019】
9は底センサーで、鍋2の底面に当接して、鍋2の温度を検知し、マイコン10へ信号を送る。マイコン10は底センサー9の信号より底誘導コイル7の通電量を変化させ、鍋2の加熱電力送出部12から底誘導コイル7へ供給する高周波電流を可変することで鍋2の温度を炊飯・保温時に適温に制御する。
【0020】
加熱電力送出部12はアルミやアルミダイキャスト等でできたヒートシンク13を有し、ヒートシンク13に外気を送風する底ファンモータ54が取り付けてある。底誘導コイル7の外周には反射枠32が環状に設けてある。
【0021】
本体後方で上枠3の上面にはヒンジ部14が設けられており、蓋体15がヒンジ部14に取り付けたヒンジ軸16にて軸支され、開閉自在に本体上面を覆っている。ヒンジ部14にはヒンジバネ17が蓋体15と本体1双方に係合するように取り付けてあり、蓋体15に対し開放する方向の付勢力を有している。そして、ヒンジ部14の後部はヒンジカバー45がその外郭を覆い、外部よりヒンジ軸16やヒンジバネ17が見えないようにしている。
【0022】
本体前方のフックレバー18はヒンジバネ17の力に対し、蓋が開かないよう蓋体15先端に設けたフック嵌合部15aと嵌合し、閉蓋状態を保つ。フックレバー18を押すと、フック嵌合部15aとフックレバー18の嵌合が外れ、蓋はヒンジバネ17の力で開く。蓋体15のヒンジ部14近傍にはヒンジブレーキ板19が設けてある。また、ヒンジ部14にはヒンジキャップ20が設けてあり、ヒンジブレーキ板19とヒンジキャップ20は蓋開き時のブレーキ機構を構成する。そして、通常若干床面から浮いた本体後方には本体後方脚部1b配設されている。保護枠胴5の外周には側面加熱手段である側面ヒーター20が巻かれている。そして、側面ヒーター20の外周には筒状の側面断熱材21が配設されている。
【0023】
図2に示すように、蓋体15はその表面を外蓋22で構成し、鍋2側は外蓋カバー23で構成されている。外蓋カバー23は筒状に穴部を有し、穴部には非磁性金属かつその厚さが0.5mm以下の薄板でできた蒸気加熱板24が取り付けられている。ここで非磁性金属の代表的なものとしてはオーステナイト系ステンレスなどがある。蒸気加熱板24の上部には蓋コイル支え25に載置された環状の蓋誘導コイル26が設けてある。蓋コイル支え25と蓋コイル26に挟持される形で蓋温度ヒューズ27が設置されている。蓋誘導コイル26の上方には蓋反射板34があり、蓋誘導コイルからの高周波磁界が外部に漏れ出すのを防止している。
【0024】
外蓋カバー23の鍋側には加熱板支え28にカシメ結合で一体に保持され、蓋体15より加熱板支え28と一体となった状態で着脱自在な磁性金属製の加熱板29がある。ここで磁性金属の代表的なものとしては、鉄板やフェライト系ステンレスなどがある。加熱板29と鍋2のフランジ部2aの間は加熱板支え28で加熱板29と一体に結合された鍋パッキン31が加熱板29と鍋2のフランジ部2aを水密にシールしている。また、蒸気加熱板24と加熱板29の間には蒸気加熱板パッキン47がその外周部に設けてあり、加熱板29と蒸気加熱板24の間を水密にシールする。30は蓋センサーで蓋センサーバネ33による押し圧で加熱板29に当接し、加熱板の温度を検知する。また蓋センサー30と蒸気加熱板24の間には蓋センサーパッキン46が設けてある。
【0025】
図3に示すように、加熱板29には蒸気吸入口29aがあり、蒸気吸入口29aに臨む位置に蒸気吸入経路パッキン48が設けてある。蒸気吸入経路パッキン48とシロッコファン50は蒸気吸入経路49で結ばれ、鍋2とシロッコファン50が通気可能となっている。そして、蒸気加熱板24には蒸気入口穴24aがあり、蒸気入口穴24aに臨む位置に蒸気排気経路パッキン51が設けてある。蒸気排気経路パッキン51とシロッコファン50は蒸気排気経路52結ばれ、蒸気加熱板24と加熱板29の間の蒸気加熱空間53とシロッコファン50の間を通気可能としている。蒸気吸入経路パッキン48と蒸気排気経路パッキン51にはいずれも弁部48a、51aが設けてある。この弁はシロッコファン50の動作により、蒸気吸入経路49および蒸気排気経路52の内圧が下降もしくは上昇することによる鍋内との圧力差によって開閉する。これら蒸気吸入経路49からシロッコファン50および蒸気加熱空間53を経て、図3の矢印に示すような鍋内へ蒸気を高温蒸気として再投入する蒸気循環手段を構成する。
【0026】
外蓋22の内部には、操作部15bと表示部15cを構成する操作基板35が基板カバー36に覆われて設置されている。操作基板35上の液晶39は炊飯器の設定状態や動作状態を表示する。外蓋22はその一部を透明な樹脂で構成されており、その表面をフィルム22bで一体に覆われている。そして、部分的にフィルムのみの部分からなるエンボス部22aを有している。エンボス部22aは上下に撓み、エンボス部22aと操作基板35上に設けたキートップ37およびタクトSW38で操作スイッチを構成し、複数の操作スイッチにより操作部15bを構成している。
【0027】
基板カバーパッキン40は基板カバー36の外周部と外蓋22に設けた基板カバーシールリブ22cで挟持され、基板カバー36と外蓋22の間を水密にシールし、万が一、蓋体15内に蒸気が侵入しても基板35が結露しないようにしてある。基板カバー36のおよそ中心部分には蒸気通路部36aが設けてある。蒸気通路部36aは外蓋を貫通して外部へと臨む形の筒状で、蒸気筒41を着脱自在に保持する。蒸気通路部36a外周と外蓋22の間は蒸気通路パッキン42で水密にシールされている。この基板カバーパッキン40と蒸気通路パッキン42によるシールで蓋体15内部に配置した操作基板35は外部からの水や蒸気が直接かからない構成となっている。また蒸気板パッキン45は蒸気通路部36aと蒸気加熱板24および加熱板29を水密にシールする。蒸気筒41はおよそヒンジ軸16の長手方向と直交する方向に動作するマグネット43を有し、マグネット43と
蒸気筒41に対向する部分に設けたリードSW44で炊飯時のふきこぼれ検知手段と蓋開閉検知手段を構成する。
【0028】
次に上記構成において、図5、図6を参照しながら、保温中の動作を説明する。
【0029】
炊飯終了後、まず低温保温温度にご飯温度を(鍋検知温度により検知される鍋温度で近似)保持するべく温度下降工程に入り時間が経過する。そしてマイコン(操作制御手段)10が底センサー9によりご飯温度(鍋温度)を第1の所定温度(たとえば、約70〜90℃)に達したと検知した時、次工程の蒸気循環工程へ移行する。
【0030】
蒸気循環工程はシロッコファン50がマイコン10によって制御され、連続動作または間欠動作することで鍋内の蒸気を蒸気加熱空間53へ送り込む。このとき蓋誘導コイル26は通電されず、蒸気加熱板24および加熱板29が加熱されない為、蒸気加熱板24と加熱板29の間に結露する。これにより、鍋2内の余分な蒸気を回収する。そして第2の所定温度(たとえば、約50〜60℃)(図6(a)の場合)または所定の設定時間が経過した時点(図6(b)の場合)でシロッコファン50を停止させ次工程の温度維持工程へ移行する。
【0031】
また、マイコン10とシロッコファン50が蓋内にあることにより、接続するリード線の長さを最小限とすることができるため余分なコストアップを省き、操作基板35から電源を供給するため炊飯器本体内1へリード線によって配線する必要がなくなり、組立効率が悪くならない。
【0032】
温度維持工程はマイコン10が底センサー9によってご飯温度を検知し、一定の温度を保つ。このとき蓋誘導コイル26に通電され、蒸気加熱板24および加熱板29が加熱されると結露した露が蒸気となって鍋2へ戻る。
【0033】
ここで、蓋センサーパッキン46と蒸気加熱板パッキン47によりシロッコファン50から送り込まれた蒸気は外部や蓋内部に漏れることなく、また蒸気板パッキン45にて蒸気通路部36aへも漏れることなく確実に高温蒸気に加熱され鍋2内へと送り込まれる。また、温度維持工程では底センサー9がご飯の温度を検知し、所定の温度で鍋2全体を一定温度の状態に保っている。そして、蓋誘導コイル26に通電され、蒸気加熱板24および加熱板29が加熱されると、蒸気加熱板24と加熱板29の間に結露した露が蒸気となることで水から蒸気を発生させることしなくても蒸気を発生させ、鍋2内へ戻すことで消費電力を抑えることができる。また、蒸気を循環させることにより外部へ排出される蒸気を減らすことができ、ご飯の乾燥を防ぐことができる。また加熱板29のみの発熱だけでなく蒸気の熱も利用する為、満遍なく温めることで消費電力を抑えることができる。
【0034】
また、100℃以上の高温蒸気をご飯に供給することにより、ご飯の乾燥を防止しながら、鍋2内のご飯の温度を上げることができ、保湿効果を高めることができる。さらには、蒸気加熱板24と加熱板29の2枚の熱板で蒸気を挟み込むように加熱することで、蒸気の温度を瞬時にかつ効率よく高温蒸気とすることができるので、より早くご飯を温めることができる。
【0035】
また加熱板29は100℃以上の高温となっているため、過熱後に加熱板29に露付き等が発生することもない。また、シロッコファン50は動作するものの、底ファンモータ54はその回転数を低下させるか停止することができるので、ファンの騒音が大きくならず、ファンの動作による消費電力量の増加といったこともない。
【0036】
(実施の形態2)
実施の形態2における炊飯器について図4を用いて説明する。図4において、シロッコファン50の代わりに気密型ポンプ60が取り付けられている。気密型ポンプ60は、モーター60aと循環部60bによって構成されるエアポンプまたはウォーターポンプである。また、蒸気吸入経路パッキン49および蒸気排気経路パッキン51には弁部などはない。その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0037】
上述のような構成の炊飯器において、ポンプ停止時の蒸気吸入経路は閉空間への通路であるので、蒸気吸入経路は特に弁部などを設けなくとも汚れるようなことはない。保温時・再加熱時は蒸気しか発生しない為、汚れないのでお手入れの必要性がなく、使い勝手がよいだけでなく、弁部などがないので部品の構成も簡単で済み、低コストで構成可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、蒸気循環装置で鍋内の蒸気を攪拌させて、調理物であるご飯を効率よく加熱することができ、さらに、蒸気循環装置へおねばの流入なく使い勝手のよい炊飯器を提供することができるので、家庭用のみならず、業務用の炊飯器にも適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 炊飯器本体
1a 鍋収納部
2 鍋
7 底誘導コイル(加熱手段)
9 底センサー(ご飯温度検知手段)
15 蓋体
24 蒸気加熱板
24a 蒸気入口
26 蓋誘導コイル
29 加熱板
29a 蒸気吸入口
29b 蒸気投入口
37 再加熱ボタン
48 蒸気吸入経路パッキン
49 蒸気吸入経路
49a 弁部
50 シロッコファン
51 蒸気排出経路パッキン
51a 弁部
52 蒸気排出経路
53 蒸気加熱空間
54 底ファンモータ
60 気密型ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在な鍋と、上面に有底筒状の鍋収納部を有する本体と、前記鍋収納部に設けられるとともに前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、少なくとも高温保温温度と低温保温温度の2つの保温温度をもつ保温工程において発生する蒸気を前記鍋内に循環させる蒸気循環手段と、前記蒸気循環手段の動作を制御する操作制御手段とを有し、炊飯終了後から前記低温保温温度への移行時および前記高温保温温度から前記低温保温温度への移行時に前記鍋温度検知手段の検知温度が第1の所定温度に下がったと検知した時に、前記蒸気循環手段動を動作させ、前記鍋温度検知手段の検知温度が第2の所定温度まで下がるかあるいは所定時間が経過した場合に前記蒸気循環手段を停止させるジャー炊飯器。
【請求項2】
蒸気循環手段は蒸気を過熱蒸気に加熱する蒸気過熱手段を有する請求項1記載のジャー炊飯器。
【請求項3】
蒸気循環手段は気密型のポンプを有した請求項1または2記載のジャー炊飯器。
【請求項4】
加熱手段を動作させる加熱制御手段を有し、前記加熱制御手段からの発熱を冷却する冷却ファンを有し、蒸気循環手段動作時は前記冷却ファンの回転数を低下もしくは停止してなる請求項3記載のジャー炊飯器。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−240375(P2010−240375A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129881(P2009−129881)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】