説明

スイッチング装置およびその装置を含む洗浄システム

本発明は、洗浄システムのためのスイッチング装置に関する。本発明によるスイッチング装置は、加圧下の流体を供給する供給ポートとカテーテルのバルーンが固定されたバルーンポート間、かつ供給ポートと液体容器を取り付けたポート間を選択的に連絡する。選択ハンドルの使用によって、使用者は導管を所定シーケンスで変形し、かつそのようにして種々の導管内の流体流を開閉することにより洗浄処理を制御する。本発明は更にスイッチング装置を組み入れた洗浄装置、および例えば洗浄システム内の流体流を制御する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、流体制御、特に液体収容容器、圧力下の流体供給源、および体腔内にカテーテルを固定するためのバルーンを備えたカテーテルを含む種類の洗浄もしくは潅注(irrigation)システムのためのスイッチング装置に関する。このスイッチング装置はバルーン導管、容器導管、配送導管、および洗浄シーケンスに従ってそれらの導管内の流れを制御するハンドルを含む。
【背景技術】
【0002】
洗浄システムは、例えば脊髄損傷、脊椎破裂、または多発性硬化に苦しむ人により、使用される。係る使用者にとって、洗浄もしくは潅注は、便秘を防止し、腸を空にする処置に費やす時間を短縮し、便失禁を減少することにより、また全体的非依存性を向上することにより、生活の質の改善になる。
【0003】
種々の洗浄システムが当分野で既知である。広く使用されているシステムは可膨張バルーンにより固定位置に維持される患者の直腸へ挿入できる形態および寸法のカテーテルを含む。このシステムは、手動ポンプ、典型例としてバルーンポンプを含み、ポンプはバルーン導管を介してバルーンと流体により連通する。バルーン導管内の流体流は、バルーンバルブにより制御される。配送導管は、液体、例えば洗浄液を収容する容器とカテーテルの入口との間に固定される。手動ポンプ、代表例としてバルーンポンプ、は容器導管を介して容器と流体により連通する。ポンプの使用により、使用者は、通常空気または気体を容器へ運び、かつそれにより洗浄液を容器から配送導管へ、そしてカテーテルを介して患者へ移動させる。容器バルブは容器導管への流体流を制御するために作動可能であり、かつ配送バルブは配送導管内の液体流を制御するために作動可能である。
【0004】
あるときには、バルーンは空気の使用により膨張し、またあるときにはバルーンは液体の使用により膨張する。同一ポンプがバルーンの膨張と液体の容器からの移動に使用される場合、三つバルブが精確なタイミングで継続的に作動する必要がある。既知システムにおいて、導管内の流れはシリンダバルブまたはボールバルブ等の伝統的バルブの使用により典型的には制御される。かかるバルブは比較的高価であり、重量があり、かつ典型的には多くの空間を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特記なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、洗浄システムおよび洗浄方法に関係する流体制御を改善することある。他の課題は、衛生的かつ安全な洗浄を促進する簡単かつ信頼できる流体スイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、第一特徴として、導入部で述べたような、導管に対するハンドルの運動中に洗浄シーケンスに従って導管内の流れ抵抗を変化させるために導管の変形を制御するように構成された表面パターンを有する挟持カム面を含む選択ハンドルを含む、種類のスイッチ装置を提供する。
【0008】
導管内の流れは導管の変形により制御されるので、非常に簡単なバルブが非常に廉価、低重量、および小型で取得でき、かつ挟持カム面により、導管の変形は、例えば、異なるバルブの異なる作動を個別的に必要とすることなく継続的に挟持することにより達成され得る。
【0009】
導管は、代表例として、シリコーンまたは形状記憶可能な他の同様材料から形成された柔軟医療ホースであってよく、ホースは挟持圧力が停止するときに初期形状に復帰する。液体運搬導管は、気体運搬導管よりも大きい。気体運搬導管について、2.5mmの寸法の流路の断面、および1mmの寸法の壁圧が選択でき、かつ液体運搬導管については、5.0mmの寸法の流路の断面および1mmの寸法の壁圧が選択できる。幾つかの導管が、二つまたは三つの導管を一片として形成する多孔ホースとして提供され得る。
【0010】
挟持カム面は、何らかの種類の表面パターンを有する表面、または表面が導管と共働して(相互作用して)導管の形状を変化させ、それにより導管内の流れ抵抗を変化させる外形であってよい。一例として、挟持カム面は、挟持前の状態で開放流路を形成する導管を挟持できる。他の例において、導管は、崩壊して閉鎖した状態へ向けてスプリングまたは導管の外形に圧力を加えることのできる同様手段により付勢されてよく、そしてこの圧力は挟持カム面により解放され得る。他の例において、導管は弛緩状態で崩壊して閉鎖した形状から変形により解放状態に変化するホースにより構成される。続く説明は、挟持カム面と導管との相互作用が『挟持』(pinching)の用語により説明される。しかしながら、挟持カム面と導管間の導管の開放または閉鎖に関するいずれの種類の相互作用も実行可能な他の形態を構成してよい。
【0011】
一実施形態において、バルーン導管は第一ポートと第二ポートとの間に伸長し、容器導管は第三ポートと第四ポートとの間に伸長し、かつ配送導管は第五ポートと第六ポート間に伸長する。問題の流体は、気体、例えば通常の大気空気、液体、例えば水であってよい。圧力下の流体がバルーンを膨張させかつ容器から液体を移動するために使用される場合に、第一ポートおよび第六ポートは空気入口を形成する一つのポートに結合さてよく、かつスイッチング装置は、例えばバルーンハンドポンプ等の装置と直接接触するポンプを含んでよい。
【0012】
上述の導管は、カウンタボディ(counter body)と挟持カム面間に位置し、挟持は導管と挟持カム面間の直接接触により行なわれる。カウンタボディ、挟持カム面、そして選択ハンドルはプラスチックで形成されてよく、特に挟持カム面は極めて低表面摩擦、好適には使用者が挟持カム面を移動させるための選択ハンドルの把持可能部の対応する表面摩擦よりも低い摩擦の材料により形成されてよい。
【0013】
導管の通路の迅速かつ完全な開閉を確実にすることは洗浄にとって重要であるので、導管と挟持カム面間を調整することが望ましく、挟持要素は挟持カム面により、好適には導管に対して垂直方向へ移動し、導管を変形させ、それにより閉鎖形態に付勢されるときに導管の完全閉鎖を可能にする。挟持要素は、例えば比較的シャープな端、または導管へ対面する尖端を含んでよい。
【0014】
選択ハンドルの一方向への移動により、スイッチングシーケンスは少なくとも二つの状態を含んでよい。
【0015】
第一状態において、バルーン導管は、圧力下の流体がバルーンを膨張させ、それによりカテーテルを体腔内に固定するために供給される。この状態において、容器導管および配送導管は閉鎖して、カテーテルが固定される前に患者の体内への液体の導入を阻止する。
【0016】
第二状態において、カテーテルは患者の体内に固定され、かつバルーン導管は閉鎖されてバルーンのそれ以上の膨張を阻止する。第二状態において、容器導管および配送導管は開放して圧力下の流体が容器から患者の体内へ移動するようにする。
【0017】
第三状態において、バルーン導管および容器導管は換気される。即ち、バルーン導管および容器導管は周囲空間に開放されてバルーンおよび容器を収縮させる。このことは、洗浄処理が終了したときに望まれる。第三状態において、配送導管は好適には閉鎖し、バルーンが適正に膨張しないときに液体がカテーテルまたは患者の身体へ侵入することを防止する。第三状態において、バルーンおよび容器導管は、両導管と周囲空間との間の通路を開放する解放バルブの使用により換気され得る。両導管の開放に加えて、選択ハンドルは、更に、解放バルブを作動させるカム面を含む。
【0018】
明らかなように、配送導管は好適には単一状態でのみ、即ち、患者の身体へ液体を流す間だけ開放する。エンドレスループを可能にすることが望ましく、その場合にそのシーケンスは一方向への選択ハンドルの反復運動のために反復し、かつ第三状態が第二状態へ戻ることなく第一状態に直接続行する。この目的のために、そして良好な使用者インターフエースを提供するために、スイッチングシーケンスが選択ハンドルの回転によりトリガーされるようにスイッチング装置を提供することが望ましい。従って、選択ハンドルは中心点を中心に回転可能であってよく、かつ挟持カム面は中心点を中心に環状または少なくとも半円形に形成されてよい。このようにして、バルーン導管が、液体がカテーテルから流出する第二状態へ戻ることなく換気状態から膨張第一状態へ変化する。
【0019】
第三状態から第一状態へ、そして更に第二状態へ移動するときに、容器導管は開放状態から閉鎖状態へ転換しかつ開放状態へ戻り、そしてバルーン導管は開放状態から閉鎖状態へ転換する。同一シーケンスにおいて、配送導管は単に閉鎖状態から開放状態へ切り替わる。
【0020】
単一回転可能選択ハンドルの使用により上述シーケンスを達成するために、選択ハンドルは移動した第一および第二挟持カム面を含んでよい。例えば、第一および第二挟持カム面はそれぞれリング形であり、半径方向に移動していて、中心点から半径方向に異なる距離で中心点を中心に回転し、かつ挟持要素は、選択ハンドルの回転時に挟持カム面が異なる挟持要素を移動させるために対応して中心点から半径方向に移動している。換言すれば、洗浄シーケンスはサブシーケンスを含み、第一および第二挟持カム面の一方は一状態、例えば開放した挟持前状態で前記導管の一方を維持し、他方、第一および第二挟持カム面の他方は開放状態と閉鎖状態間でもう一つの導管の状態を切り換える。
【0021】
選択的第四状態において、全導管が開放する。相対的に長時間の導管の恒常的挟持は、導管の構造に影響し、かつ最悪の場合には挟持前形状への完全復帰を阻止し、第四状態が相対的長時間にわたる装置の保管を促進する。
【0022】
前記解放バルブは、選択ハンドルの一部を形成するか、または選択ハンドルに連結された解放カム面を介して作動する。一実施形態において、導管内の流れを制御する挟持カム面は、ディスクまたは板状要素の下面に、例えば板状要素が回転するように構成された中心点から半径方向に異なる距離をもつ二つのリング形上昇面部として形成される。板状要素の反対側の上面は選択ハンドルの把持可能部を形成するか、または例えば接着、摩擦、またはネジ、リベット等の使用により板状要素に取り付けられる分離した把持可能部に対するインターフエースを形成する。この実施形態において、解放カム面は下面上の付加的表面部として形成されるか、または解放カム面は板状要素の円の一部を、例えば下面と上面間に、形成してよい。この場合に、解放カム面は中心点から半径方向外方に伸長する突起を形成する。
【0023】
バルーンの膨張に使用される圧力下の流体は、容器から液体を移動させるために使用する流体であってよいので、第一および第三ポートは、例えばスイッチング装置を圧力下の流体源に連結するための連結装置により、一つに結合されたポートであってよい。一実施形態において、第一および第三ポートは、例えばスイッチング装置の一部を形成するバルーンポンプ等の、ハンドポンプにより直接結合される。
【0024】
バルーンは、また、容器内に収容された液体により膨張されてよいので、第一ポートおよび第四ポートは同様に結合されたポートであってよく、また容器と流体連結されてよく、それによりバルーン導管および配送導管は容器からバルーンそしてカテーテル入口へ液体を誘導する。
【0025】
本発明の使用により、肛門洗浄は次の工程で行われ得る。
−容器を、例えば通常の水道水等の、液体で充填し、
−容器およびカテーテルをスイッチング装置に連結し、かつスイッチング装置が圧力下の流体を供給するために一体化したポンプを具有しない場合には、加圧流体源を取り付ける。
−選択ハンドルを第二状態に従って位置決めし、かつカテーテルを液体で充填するまで液体をバッグから移動させる。
−カテーテルを位置決めし、かつ選択ハンドルを第一状態に従って位置決めし、かつ身体内にカテーテルを固定するためにバルーンを膨張させる。
−選択ハンドルを第二状態に従って位置決めし、かつ洗浄を実行する。
−選択ハンドルを換気状態に位置決めし、かつカテーテルを取り外す。
【0026】
挟持構造は、各導管につき、ベース部、例えば上述のカウンタボディの一部を形成する部分を、含んでよく、導管に対して固定され、かつベース部に対して移動可能な挟持要素を含む。ベース部および対応する挟持要素は導管の両側に配置されて、導管がその間に挟まれるようにする。この実施形態において、ベース部は、例えば筒状に上方へ伸長した要素によりベース部を形成することにより、挟持要素に対する線状ガイドベアリングを形成してよく、そのようにして挟持要素は筒状側壁内に摺動可能に受けられる。
【0027】
上記側壁は、導管が侵入するスリットを含んでよい。そのようにして、導管は挟持構造に対して固定位置に保持され、かつ挟持時の導管の移動は回避される。他の利点として、導管はベース部の側壁の二点に当接してよく、挟持要素は側壁の二点間の所定場所で導管を付勢する。このことにより、例えば三点間で導管を捩じることにより、導管を完全に閉鎖する能力が改良される。
【0028】
挟持カム面の挟持要素上への下方圧力が断続されるときに、対応する導管は閉鎖状態から開放状態へ転換すべきである。このことは、一部でシリコーンまたは導管に対して記憶特性を有する同様材料により、かつ一部で挟持要素を導管から離れて対応する挟持カム面へ向けて挟持要素を付勢するスプリング効果の作用により促進される。スプリング効果は、各挟持要素に対して設置された個別スプリングの使用により提供され得る。ただし、スイッチング装置の容易組立を促進するために、挟持要素は単一構成要素の一部を形成してよく、かつこの構成要素は、所望スプリング力またはスプリング特性が得られるように形成されてよい。
【0029】
第二形態において、本発明は洗浄システムを提供し、本発明による洗浄システムは、容器を液体に連結のための第一コネクタ、圧力下の所定量の供給流体を連結するための第二コネクタ、体腔内にカテーテルを固定するためのバルーンを具備したカテーテル、および上述種類のスイッチング装置を含む。
【0030】
圧力下の流体は、スイッチング装置に一体形成されてよいハンドポンプにより供給され、そのようにして第二コネクタはハンドポンプと固定結合を形成する。同様に、容器はプラスチックバッグ、または第一コネクタが容器と固定結合を形成するようにスイッチング装置により一部が形成されてよい同様の比較的簡単な容器構造であってよい。
【0031】
流体は、普通の空気、その他の気体、または例えば容器内に収容された液体等の、液体であってよい。
【0032】
第三形態において、本発明は洗浄システムにおいて流体流を制御する方法を提供し、洗浄システムは液体を収容する容器、圧力下の所定量の供給流体、体腔内にカテーテルを固定するためのバルーンを具備したカテーテル、ならびに第一ポンプと第二ポート間にバルーン導管、第三ポートと第四ポート間に配送導管、そして第五ポートと第六ポート間に配送導管を有する分配セットを含む。この方法は、前記バルーンおよび前記容器のいずれか一方への流体流を選択するために導管を挟持することを含む。特に、導管は、導管を変形させる挟持要素に対する挟持カム面の運動により挟持される。
【0033】
第四形態において、本発明は一般的使用を提供し、スイッチング装置は、次の構成要素を含む。
−複数のポート間に流れ通路を形成する導管を含む分配セット、この場合に導管は導管内の流れ抵抗を変化させるために外圧により変形可能である。
−各導管について、導管を変形させる外圧を提供する移動可能な挟持要素を含む挟持構造、
−挟持構造に対して回転可能でありかつ第一および第二の移動した挟持カム面を含む選択ハンドル、この場合に、挟持カム面は選択ハンドルの回転時に異なる複数の挟持要素を移動させるように構成される。
【0034】
本発明の第二、第三、および第四形態のいずれか一つは本発明の第一形態に関する上述の特徴のいずれかに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】スイッチング装置の斜視図を示す。
【図2】スイッチング装置の分解図を示す。
【図3】図2の挟持要素拡大図を示す。
【図4】ベースおよび挟持要素を含む挟持構造の断面図を示す。
【図5】部分的に組立てた状態のスイッチング装置を示す。
【図6】選択ハンドルの一部を形成する板状要素を示す。
【図7】選択ハンドルの一部を形成する板状要素を示す。
【図8】洗浄シーケンスの概略形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
添付図面を参照して本発明の好適実施形態を更に詳細に説明する。
【0037】
図1に示されたように、本発明によるスイッチング装置1はハウジング2および選択ハンドルの把持可能部3を含み、バルーンポンプ4は圧力下で流体、即ち、圧力下の通常空気を供給し、かつ複数のポート5,6,7,8は容器とカテーテルの連結に利用可能である。
【0038】
図2は図1のスイッチング装置の更に詳細を示す。スイッチング装置は、射出成形プラスチックで形成された上ハウジングシエル9および下ハウジングシエル10を含む。二つのシエル間内部に、スイッチング装置は、第一ポート12と第二ポート7との間に伸長するバルーン導管11を有する分配セットを含む。分配セットは、更に、第三ポート15と第四ポート5との間に伸長する容器導管14を含む。分配セットは、更に、第五ポート6と第六ポート8間に伸長する配送導管17を含む。第一ポート12および第三ポート15はコネクタ20内で単一導管に結合され、バルーンポンプ4(図1参照)はコネクタ20に連結できる。第二ポート7および第六ポート8は単一構成要素に形成されるが、対応する導管は結合されない。第四ポート5および第五ポート6は単一構成要素に形成されるが、対応する導管を結合しない。
【0039】
上述の導管は柔軟かつ変形可能なシリコーン材料により形成される。把持可能部3および板状要素21は共に選択ハンドルを形成し、板状要素の上面23に形成された係合突起22、および把持可能部内に形成された窪み(図示せず)により摩擦結合する。板状要素21は、上面23の反対側に下面24を有する。下面上には、第一および第二挟持カム面が形成されている。これらは図6に示されている。挟持カム面は表面パターンを形成し、表面パターンは選択ハンドルの回転時に挟持要素25,26,そして27(図3参照)を移動させる。これらの挟持要素は一つの構成要素28に結合され、挟持要素を結合するブリッジ部は、各挟持要素を導管から離れる上方において挟持カム面へ向けて付勢するスプリング効果を提供する。ブリッジ部は、更に、固定手段29,30を含み(図3参照)、固定手段29,30は下ハウジングシエル10内の空洞と係合し、かつ構成要素28を下ハウジングシエル10へ摩擦により固定する。金属製のナット31が下ハウジングシエル10内の空洞内に挿入され、ネジ32と共働して板状要素21を下ハウジングシエル10に対して保持し、かつ下ハウジングシエル10に対する板状要素の回転を可能にする。
【0040】
スイッチング装置は、バルーンを収縮させるためにバルーン導管11と周囲空間との間、そして容器を減圧にするために容器導管14と周囲空間との間に通路を開放できる換気バルブ33を含む。換気バルブは一方向弁であり、可動バルブ部材がそこへ押し込まれて作動ピン34(図3参照)の使用により換気バルブを開放し、作動ピン34は解放ピン35(図3参照)により、例えば突起の形態の解放カム面または板状要素21の縁との接触を介して移動する。
【0041】
スイッチング装置は、更に、空気の一方向連絡のみを可能にするチエックバルブ36を含み、それによりバルーン導管そして容器導管からの空気の解放を防止する。
【0042】
スイッチング装置は挟持構造を有し、導管はその挟持構造により挟持要素25,26,27と、導管に対して固定される対応するベース部37,38,39との間に挟まれる。挟持要素はベース部の筒状側壁に摺動可能に受けられる(図4参照)。図4において、導管が如何にしてベース部の二つの壁部40と挟持要素間で捩じれるかが示されている。
【0043】
図5は部分的に組立てた装置を示し、構成要素28は下ハウジングシエル10内に設置されかつ板状要素21は下ハウジングシエル10上方に示されている。選択ハンドルの把持可能部は示されていない。
【0044】
図6および7は板状要素21の下面24を示す。下面24は第一挟持カム面41および第二挟持カム面42を含む。各挟持カム面はリング形上昇パターンを形成し、各上昇パターンは、挟持要素を対応する導管へ向けて付勢することにより挟持要素の一方または両方を作動させる。回転中心点43(矢印44,45により図示)からの半径方向距離はそれぞれ異なっている。
【0045】
板状要素21は、更に、解放カム面46を含み、解放カム面は解放ピン35(図2,3参照)を移動させ、そのようにして解放バルブ33を作動させる。
【0046】
図8は洗浄シーケンスを概略的に示す。Aoは開放状態におけるバルーン導管を示し、Acは閉鎖状態のバルーン導管を示す。Boは開放状態における容器導管を示し、Bcは閉鎖状態の容器導管を示す。Coは開放状態における配送導管を示し、Ccは閉鎖状態の配送導管を示す。T1−T5は選択ハンドルの360°回転により形成される一サイクルにおける各状態を示す。
【符号の説明】
【0047】
1 スイッチング装置
2 ハウジング
3 選択ハンドルの把持可能部
4 バルーンポンプ
9 上ハウジングシエル
10 下ハウジングシエル
21 板状要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄システムのためのスイッチング装置であって、
バルーン導管、容器導管、配送導管、挟持構造、およびハンドルを含み、
前記挟持構造は、前記導管に対する前記ハンドルの運動時の洗浄シーケンスに従って前記導管のうちの少なくとも二つの導管の変形を制御するために第一挟持カム面を含む、スイッチング装置。
【請求項2】
前記導管の少なくとも一つと周囲空間との間で通路を開放するための解放バルブを更に含み、前記解放バルブは、前記導管に対する前記ハンドルの運動時に前記解放バルブを作動させる解放カム面を介して制御可能である、請求項1のスイッチング装置。
【請求項3】
前記ハンドルは軸方向に伸長する中心軸を中心に回転するように構成され、前記カム面の一方は軸方向に対面し、かつ前記カム面の他方は前記中心軸に対して半径方向外方に対面している、請求項1または2のスイッチング装置。
【請求項4】
前記挟持構造は、各導管について、導管を変形させることのできる外圧を提供するために移動可能な挟持要素を含み、前記挟持カム面は前記選択ハンドルの回転時に前記挟持要素を移動させるように構成されている、請求項1から3のいずれか一のスイッチング装置。
【請求項5】
第二挟持カム面を含み、第二挟持カム面は前記選択ハンドルの運動時に異なる導管の変形を制御するように構成されている、請求項1から4のいずれか一のスイッチング装置。
【請求項6】
第一および第二挟持カム面はそれぞれリング形面であり、一方のリング形面は他方のリング形面に対して半径方向に移動している、請求項5のスイッチング装置。
【請求項7】
洗浄シーケンスはサブシーケンスを含み、第一および第二挟持カム面の一方は一状態で前記導管の一方を維持し、第一および第二挟持カム面の他方は開放状態と閉鎖状態間でもう一つの導管の状態を転換する、請求項5または6のスイッチング装置。
【請求項8】
前記洗浄シーケンスは、全導管が開放する状態を含む、請求項1から7のいずれか一のスイッチング装置。
【請求項9】
前記挟持構造は、前記導管のそれぞれに対して固定されたベース部、および前記ベース部に対して移動可能な挟持要素を含み、各ベース部および対応する挟持要素は、前記導管の挟持を可能にするために前記導管の両側に設置されている、請求項1から8のいずれか一のスイッチング装置。
【請求項10】
前記挟持要素は前記ベース部内に形成されたガイド内に摺動可能に受けられる、請求項9のスイッチング装置。
【請求項11】
各導管は前記挟持要素と前記ベース部の二つの壁部間に挟持され、前記挟持要素は二つの前記壁部間の所定場所で前記導管を付勢するように設置されている、請求項10または11のスイッチング装置。
【請求項12】
全挟持要素は、単一構成要素の一部を形成するようにブリッジ部により連結されている、請求項10または11のスイッチング装置。
【請求項13】
前記ブリッジ部は前記挟持カム面の一つに向かう方向において前記挟持要素上にスプリング力を付与する、請求項12のスイッチング装置。
【請求項14】
液体を収容する容器の連結のための第一コネクタ、圧力下の所定量の供給流体、体腔内にカテーテルを固定するためのバルーンを具備したカテーテルの連結のための第二コネクタ、および請求項1から14のいずれか一に記載のスイッチング装置を含み、かつ前記スイッチング装置が第一コネクタに取り付けられた容器および第二コネクタに連結されたカテーテルのバルーンのいずれか一方に選択的に所定量の供給流体を接続するように構成されている、洗浄システム。
【請求項15】
洗浄システムにおいて流体流を制御する方法であって、
洗浄システムが液体を収容する容器、圧力下の所定量の供給流体、体腔内にカテーテルを固定するためにバルーンを具備したカテーテル、ならびにバルーン導管、容器導管および配送導管を有する分配セットを含み、
導管内の流体の流れを変化させかつそれにより前記バルーンおよび前記容器のいずれか一方への流体の流れを選択するために前記導管を変形することを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−521203(P2010−521203A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553160(P2009−553160)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053116
【国際公開番号】WO2008/110629
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(500085884)コロプラスト アクティーゼルスカブ (153)
【Fターム(参考)】