説明

スイッチング電源回路

【課題】スイッチ素子を確実に起動させて良好にオン、オフ動作に移行させることのできるスイッチング電源回路を提供する。
【解決手段】本願発明のスイッチング電源回路は、一次巻線側に相互に磁気的に結合された主巻線Taと第1及び第2補助巻線Tb,Tcとを有する高周波トランスTと、主巻線Taに供給される直流電圧を断続するための第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2と、直流電圧の断続により第1及び第2補助巻線Tb,Tcに誘起される電圧を用いて第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2をオン・オフ動作させる第1及び第2発振制御回路6,7とを備え、主巻線Taに接続された起動用スイッチS3と、起動用スイッチS3をオン動作させるために起動用スイッチS3に駆動パルスを出力する第1及び第2タイマー回路13,14とを有する起動回路3が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、自励式のスイッチング電源回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチング電源のスイッチング制御方式では、自励式のものが広く採用されている(例えば、特許文献1)。自励式のスイッチング電源では、一般に、スイッチ素子を継続してオン・オフ動作させるために、電源投入時にスイッチ素子をオン動作させるための起動回路が設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−61343号公報
【0004】
図29は、自励式のスイッチング電源(プッシュプル型)の一例を示す図である。このスイッチング電源の構成を簡単に説明すると、このスイッチング電源では、商用電源を入力するための電源入力回路41が設けられ、この電源入力回路41には、交流電圧を直流電圧に変換する入力側整流回路42が接続されている。入力側整流回路42の後段には、電解コンデンサCeが並列に接続され、電解コンデンサCeの正極側は、インダクタンスLcを介して高周波トランスT′の1次巻線側に巻回された主巻線Ta′の中点に接続されている。
【0005】
主巻線Ta′の一端には、例えばNPN型の第1トランジスタQ11が接続され、他端には、第2トランジスタQ12が接続されている。第1トランジスタQ11のベース端子には、電解コンデンサCeの正極側に接続された起動抵抗Reが接続されるとともに、直列接続された抵抗R21及びコンデンサC11を介して第1補助巻線Tb′の一端が接続されている。また、第2トランジスタQ12のベース端子には、直列接続された抵抗R22及びコンデンサC12を介して第1補助巻線Tb′の他端が接続されている。第1トランジスタQ11のベース端子と0Vライン間には、抵抗R23が介在され、第2トランジスタQ12のベース端子と0Vライン間には、抵抗R24が介在されている。また、第1トランジスタQ11及び第2トランジスタQ12の各コレクタ−エミッタ間には、フライホイルダイオードD11,D12がそれぞれ接続されている。
【0006】
高周波トランスT′の2次巻線側には、当該2次巻線に誘起される交流電圧を直流電圧に変換する出力側整流回路43が接続され、出力側整流回路43には、平滑コイルLd及び平滑コンデンサCfからなる平滑回路44が接続されている。
【0007】
上記スイッチング電源の動作を説明すると、商用電源が入力されていないときは、第1及び第2トランジスタQ11,Q12のベースには電圧が発生しないので、第1及び第2トランジスタQ11,Q12は、オフ状態であり、スイッチング動作は行われていない。
【0008】
ここで、商用電源が印加されると、入力側整流回路42によって商用電源が整流化され、直流電圧V+が発生する。この直流電圧V+によって、起動抵抗Re及び抵抗R23に電流が流れる。その後、直流電圧V+が上昇し、それが第1トランジスタQ11のベース・エミッタ間の閾値電圧を越えるようになると、第1トランジスタQ11のベースに電流が流れ始める。
【0009】
第1トランジスタQ11のベースに電流が流れると、第1トランジスタQ11はオン状態に移行し始め、高周波トランスT′の主巻線Ta′に電流i(図29参照)が流れる。高周波トランスT′の主巻線Ta′に電流が流れると、第1補助巻線Tb′に誘起電圧が発生する。
【0010】
この誘起電圧は、第1トランジスタQ11のベース電位をさらに増加させるので、第1トランジスタQ11は急速にオン状態に移行する。また、この起電力は、第2トランジスタQ12のベース電位を減少させるような極性であるので、第2トランジスタQ12には逆バイアスがかかり、第2トランジスタQ12はオフ状態のままである。
【0011】
第1トランジスタQ11がオン状態の間は、高周波トランスT′の主巻線Ta′における励磁電流は、時間とともに増加していくが、やがて高周波トランスT′のコアの磁気飽和領域に近づくにつれて、実効的な透磁率が低下する。これにより、磁束変化量が減少するので、第1補助巻線Tb′に誘起される誘起電圧が減少していき、第1トランジスタQ11のベース電位が下がる。
【0012】
第1トランジスタQ11のベース電流が減少し、第1トランジスタQ11のオン状態が維持できなくなると、主巻線Ta′の励磁電流は増加傾向から減少傾向に変わり、第1補助巻線Tb′の起電力の極性が反転する。これにより、第1トランジスタQ11のベース電位は低下し、第1トランジスタQ11は急速にオフ状態に移行する。一方、第2トランジスタQ12のベース電位は上昇し、第2トランジスタQ12は急速にオン状態に移行する。その後、第1補助巻線Tb′における起電力の極性の反転が繰り返され、第1及び第2トランジスタQ11,Q12は、交互にオン、オフ動作を繰り返す。
【0013】
ここで、上記スイッチング電源において、第1及び第2トランジスタQ11,Q12のスイッチング動作が行われていない状態からスイッチング動作が安定に行われる状態に移行するためには、起動抵抗Reの値を適切に設定しなければならないという課題がある。
【0014】
すなわち、第1トランジスタQ11においては、起動抵抗Reによる順バイアス電圧を第1補助巻線Tb′の反転した起電力が打ち消して、第1トランジスタQ11を確実にオフさせる必要がある。ところが、起動抵抗Reの値が小さすぎると、第1補助巻線Tb′に発生する起電力が第1及び第2トランジスタQ11,Q12のオン、オフ状態を反転させるのに十分な電圧を生成することができない場合があり、そうすると、第1トランジスタQ11のオン状態が維持されてしまい、第1トランジスタQ11がオフできなくなる場合がある。
【0015】
第1トランジスタQ11がオンし続けると、第1トランジスタQ11のコレクタ電流が内部回路の直列抵抗分によって制限されるまで電流が増加するので、第1トランジスタQ11が過電流によって破壊されることがある。
【0016】
一方、起動抵抗Reの値が大き過ぎると、起動そのものができなくなることがある。すなわち、第1トランジスタQ11をオン動作させるためには、直流電圧V+が第1トランジスタQ11のベース・エミッタ間の閾値電圧を越えるような電流を、第1トランジスタQ11のベースに流す必要があるが、起動抵抗Reの値が大き過ぎると、第1トランジスタQ11のベースに電流が流れにくくなる。
【0017】
そのため、起動抵抗Reは、起動時に第1トランジスタQ11が適切にオン動作することのできる電流を流すような値である一方で、第1補助巻線Tb′における誘起電圧の減少にともなって第1トランジスタQ11のベース電流を減少させ、第1トランジスタQ11をオフ状態に追い込むような値である必要がある。
【0018】
上記のように、商用電源(例えばAC100V)を入力とするスイッチング電源の場合、直流電圧V+は入力される商用電源の電圧に依存するので、直流電圧V+にはバラツキが生じるとともに変動も大きくなる。起動抵抗Reは、直流電圧V+が直接的に供給されるため、上記のように、直流電圧V+が変動すると、起動抵抗Reに流れる電流も変化し、第1トランジスタQ11を確実にオン、オフ動作させることがさらに困難となる。
【0019】
また、起動抵抗Reは、第1及び第2トランジスタQ11,Q12がオン、オフ動作を交互に繰り返し行っているときでも、定常的に回路上で接続されているため、自身の抵抗分によって少なからず電力が消費されるといった問題点もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、自励式のスイッチング電源において、スイッチ素子を確実に起動させて良好にオン、オフ動作に移行させることのできるスイッチング電源回路を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0022】
本願発明によって提供されるスイッチング電源回路は、一次巻線側に相互に磁気的に結合された主巻線と補助巻線とを有するトランスと、前記主巻線に供給される直流電圧を断続するためのスイッチ素子と、前記直流電圧の断続により前記補助巻線に誘起される電圧を用いて前記スイッチ素子をオン・オフ動作させる制御手段と、を備えた自励式のスイッチング電源回路であって、前記主巻線に接続された起動用スイッチと、前記起動用スイッチをオン動作させるために前記起動用スイッチに駆動パルスを出力する駆動パルス発生手段と、を有する起動回路が設けられたことを特徴としている(請求項1)。
【0023】
この構成によれば、駆動パルス発生手段から出力される駆動パルスによって起動用スイッチがオン動作されると、起動用スイッチに接続された主巻線に電流が流れ、これにより補助巻線に誘起電圧が発生し、この誘起電圧によってスイッチ素子がオン・オフ動作される。そのため、スイッチ素子を確実に起動させ、スイッチ素子を良好にオン・オフ動作に移行させることができる。
【0024】
本願発明のスイッチング電源回路において、前記起動回路は、前記スイッチ素子のオン・オフ動作が開始されたか否かを検出する動作検出手段と、前記動作検出手段によって前記スイッチ素子のオン・オフ動作が開始されたことが予め定める第1所定時間の間に検出されないとき、前記駆動パルス発生手段に前記起動用スイッチを再度オン動作させるための駆動パルスを出力させる出力制御手段と、をさらに有するとよい(請求項2)。
【0025】
また、本願発明のスイッチング電源回路において、前記駆動パルス発生手段は、基準となる基準パルスを発生する第1パルス発生部と、この第1パルス発生部から発生される基準パルスに基づいて前記駆動パルスを発生する第2パルス発生部とによって構成され、前記出力制御手段は、オン・オフ動作することにより前記第1パルス発生部から基準パルスを発生させるか否かを制御するスイッチ部と、前記第1パルス発生部から発生される基準パルスを遅延させ、遅延されたタイミングで前記スイッチ部をオフ動作させて前記第1パルス発生部から次の基準パルスを発生させる遅延回路部と、によって構成されるとよい(請求項3)。
【0026】
また、本願発明のスイッチング電源回路において、前記起動回路は、この起動回路に電源を供給する電源供給手段と、前記動作検出手段によって前記スイッチ素子のオン・オフ動作が開始されたことが検出されたとき、前記電源供給手段による電源の供給を停止させる供給停止手段と、をさらに有するとよい(請求項4)。
【0027】
また、本願発明のスイッチング電源回路において、前記動作検出手段は、前記補助巻線に誘起される電圧を整流、積分しその積分値が所定の閾値を越えるか否かを検出する判別部によって構成され、前記供給停止手段は、前記判別部によって前記積分値が所定の閾値を越えたときオフ動作して前記電源供給手段による前記電源の供給を遮断するスイッチ部によって構成されるとよい(請求項5)。
【0028】
また、本願発明のスイッチング電源回路において、前記起動回路は、前記動作検出手段によって前記スイッチ素子のオン・オフ動作が開始されたことが前記第1所定時間より長い予め定める第2所定時間の間に検出されないとき、前記駆動パルス発生手段の動作を停止させる動作制御手段をさらに有するとよい(請求項6)。
【0029】
また、本願発明のスイッチング電源回路において、前記起動回路は、前記制御手段が可飽和リアクトルによって構成された場合、前記可飽和リアクトルの残留磁束をリセットするためのリセット信号を出力するリセット部をさらに有するとよい(請求項7)。
【0030】
また、本願発明のスイッチング電源回路において、前記第1パルス発生部から発生される基準パルスの発生周期は、前記第1所定時間より長く設定されているとよい(請求項8)。
【0031】
また、本願発明のスイッチング電源回路において、前記駆動パルスのパルス幅は、前記スイッチ素子のオン・オフ周期より短く設定されているとよい(請求項9)。
【0032】
また、本願発明のスイッチング電源回路において、回路上に過電流が流れたことを検出する過電流検出手段と、前記過電流検出手段による検出結果に基づいて、前記スイッチ素子によるオン・オフ動作を停止させる発振停止手段と、を有する保護回路がさらに設けられているとよい(請求項10)。
【0033】
また、本願発明のスイッチング電源回路において、前記保護回路は、前記過電流検出手段による検出結果に基づいて、前記起動回路の出力制御手段による前記起動用スイッチの再度のオン動作を停止させるオン動作停止手段をさらに有するとよい(請求項11)。
【0034】
また、本願発明のスイッチング電源回路において、前記過電流検出手段は、前記いずれかのスイッチ素子に接続された電流検出用抵抗と、その電流検出用抵抗に接続されたトリガー入力端子を有し、前記トリガー入力端子に入力されるトリガー入力信号によってオン動作するとその状態を保持するサイリスタと、によって構成され、前記発振停止手段は、前記サイリスタのオン動作に基づいて、前記スイッチ素子によるオン・オフ動作を停止させるとよい(請求項12)。
【0035】
また、本願発明のスイッチング電源回路において、回路上の過度の温度上昇を検出する過熱状態検出手段と、前記過熱状態検出手段による検出結果に基づいて、前記スイッチ素子によるオン・オフ動作を停止させる発振停止手段と、を有する保護回路がさらに設けられているとよい(請求項13)。
【0036】
また、本願発明のスイッチング電源回路において、前記保護回路は、前記過熱状態検出手段による検出結果に基づいて、前記起動回路の出力制御手段による前記起動用スイッチの再度のオン動作を停止させるオン動作停止手段をさらに有するとよい(請求項14)。
【0037】
また、本願発明のスイッチング電源回路において、前記過熱状態検出手段は、温度を検出するための温度センサと、その温度センサに間接的に接続されたトリガー入力端子を有し、前記トリガー入力端子に入力されるトリガー入力信号によってオン動作するとその状態を保持するサイリスタと、によって構成され、前記発振停止手段は、前記サイリスタのオン動作に基づいて、前記スイッチ素子によるオン・オフ動作を停止させるとよい(請求項15)。
【0038】
本願発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0040】
<第1実施形態>
図1は、本願発明の第1実施形態に係るスイッチング電源の回路構成を示す図である。このスイッチング電源は、いわゆる自励式のハーフ・ブリッジ型のものであり、例えば商用交流電源からの交流電圧を整流、平滑化して得られた直流電圧を、スイッチ素子によってスイッチングすることにより高い周波数を有する交流電圧に変換し、この交流電圧から高周波トランスや整流平滑回路を用いて所望の直流電圧を生成して出力するものである。
【0041】
この第1実施形態に係るスイッチング電源は、従来の、スイッチ素子のオン、オフ動作を起動させるための起動抵抗Re(図29参照)に代えて、スイッチ素子の起動をより確実に行うことのできる起動回路3(後述)を備えている。以下、詳述する。
【0042】
図1に示すスイッチング電源は、例えば商用電源(例えばAC100V)が入力される電源入力回路1を備え、電源入力回路1は、複数のコンデンサと複数のコイルとを有している。電源入力回路1には、入力側整流回路2が接続されているとともに、本実施形態の特徴部分である起動回路3が接続されている。
【0043】
入力側整流回路2は、入力される商用交流電源からの交流電圧を整流、平滑化する回路であり、例えばダイオードブリッジ回路からなる。起動回路3は、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2(後述)を起動させるためのものであり、それらを起動させるとき、高周波トランスTの主巻線Ta(後述)に電流を流すものである。
【0044】
入力側整流回路2には、直列接続された2個の電解コンデンサCa,Cbが並列に接続されているとともに、起動回路3が接続されている。すなわち、起動回路3には、電源入力回路1の出力である交流電圧と、入力側整流回路2の出力である平滑後の直流電圧とが入力される。電源入力回路1の出力である交流電圧は、起動回路3の電源端子AC1,AC2に入力され、後述する起動回路3の第2スイッチS2のバイアス電圧に変化されて用いられる。入力側整流回路2の出力である直流電圧は、起動回路3の電源端子V+,V−に入力され、起動回路3の電源電圧として用いられる。
【0045】
入力側整流回路2には、第1スイッチ素子SW1が直列に接続され、第1スイッチ素子SW1には、第2スイッチ素子SW2が直列に接続されている。第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2は、例えばMOS−FETによって構成されている。
【0046】
第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2には、第1及び第2発振制御回路6,7がそれぞれ接続されている。第1及び第2発振制御回路6,7は、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2のオン、オフ動作をそれぞれ制御する回路である。
【0047】
接続構成を説明すると、入力側整流回路2の出力端Paには、第1スイッチ素子SW1のドレイン端子(D)が接続されている。第1スイッチ素子SW1のゲート端子(G)及びソース端子(S)には、第1発振制御回路6の制御端子G,Sがそれぞれ接続されている。第1スイッチ素子SW1のソース端子(S)には、第2スイッチ素子SW2のドレイン端子(D)が接続され、このドレイン端子(D)には、起動回路3の外部出力端子EXTが接続されている。第2スイッチ素子SW2のゲート端子(G)及びソース端子(S)には、第2発振制御回路7の制御端子G,Sがそれぞれ接続されている。また、このソース端子(S)には、起動回路3のグランド端子(0V)が接続されている。
【0048】
第1スイッチ素子SW1のソース端子(S)には、インダクタンスLaの正極側が接続され、その負極側には、高周波トランスTの1次巻線側に巻回された主巻線Taの正極側が接続されている。主巻線Taの負極側には、第1及び第2電解コンデンサCa,Cbの接続点Pcが接続されている。
【0049】
第1発振制御回路6の電圧供給端子P1は高周波トランスTの1次巻線側に巻回された第1補助巻線Tbの正極側に接続され、電圧供給端子P2は第1補助巻線Tbの負極側に接続されている。一方、第2発振制御回路7の電圧供給端子P1は高周波トランスTの1次巻線側に巻回された第2補助巻線Tcの負極側に接続され、電圧供給端子P2は第2補助巻線Tcの正極側に接続されている。高周波トランスTの1次巻線側の主巻線Taに起電力が発生すると、第1補助巻線Tb及び第2補助巻線Tcにそれぞれ誘起電圧が発生し、第1及び第2発振制御回路6,7に供給するようになっている。
【0050】
第1及び第2発振制御回路6,7は、高周波トランスTの第1及び第2第1補助巻線Tb,Tcから誘起電圧が供給されることにより、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2をそれぞれ制御してオン、オフ動作させる。
【0051】
また、第2補助巻線Tcの負極側には、整流ダイオードD1を介して起動回路3の電圧入力端子P1が接続されている。起動回路3では、後述するように、この電圧入力端子P1に入力される誘起電圧を検出し、例えば電源端子V+,V−から入力される直流電圧の内部の各回路に対する供給を阻止するよう制御する。
【0052】
高周波トランスTの2次巻線側には、出力側整流回路4が接続されており、出力側整流回路4には、平滑コイルLb及び平滑コンデンサCcからなる平滑回路5が接続されている。
【0053】
図2は、起動回路3のブロック構成を示す図である。
【0054】
起動回路3は、電源回路11、時定数回路12、第1タイマー回路13、第2タイマー回路14、第1遅延回路15、第2遅延回路16、積分回路17、第1スイッチS1、第2スイッチS2、及び起動用スイッチS3等によって構成されている。
【0055】
電源回路11は、電源端子V+,V−から入力される直流電圧を、第1及び第2タイマー回路13,14並びに時定数回路12等に供給するものである。電源回路11は、第2スイッチS2によって電源端子V+,V−からの直流電圧の入力が許可又は阻止される。これにより、電源回路11は、各回路への電源供給を許可又は阻止する。なお、電源回路11は、本願発明の電源供給手段として機能する。
【0056】
時定数回路12は、電源回路11からの直流電圧を所定の時間だけ遅らせて、第1タイマー回路13に供給するものである。時定数回路12は、例えば抵抗R1及びコンデンサ1の直列回路によって構成される。
【0057】
第1タイマー回路13は、例えば単安定マルチバイブレータによって構成され、時定数回路12の出力に基づいて、起動用スイッチS3に出力される駆動パルス信号の基準となる基準パルス信号を発生するためのものである。基準パルス信号は、そのオン期間(後述する第1所定期間T1に相当)が例えば2〜5msecとされている。第1タイマー回路13は、後述するように、第1スイッチS1のオン、オフ動作によって基準パルス信号を繰り返し出力することができるようになっている。
【0058】
第2タイマー回路14は、第1タイマー回路13と同様に、例えば単安定マルチバイブレータによって構成され、第1タイマー回路13からの基準パルス信号に基づいて、起動用スイッチS3をオン動作させるための駆動パルス信号を発生するためのものである。駆動パルス信号は、そのオン期間が例えば5〜10μsecとされている。このオン期間(後述する第3所定期間T3に相当)は、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2の発振周期の1/2の期間よりやや短めに設定されている。通常、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2による発振周波数は50〜200kHzに設定されるので、この場合の1/2周期は2.5〜10μsecとなり、上記オン期間が設定される。なお、第1及び第2タイマー回路13,14は、本願発明の駆動パルス発生手段として機能する。また、駆動パルス信号を発生させるものであれば、上記第1及び第2タイマー回路13,14に限るものではない。
【0059】
第1遅延回路15は、第1タイマー回路13からの基準パルス信号に基づいて、第1スイッチS1をオン、オフ動作させるものである。詳細には、第1遅延回路15は、第1タイマー回路13からの基準パルス信号が入力されてから所定時間(例えば1msec、後述する第2所定期間T2に相当)経過後に、第1スイッチS1をオフ状態からオン状態に切り換える切換信号を、第1スイッチS1に与えるものである。また、第1遅延回路15は、第1タイマー回路13からの基準パルス信号が出力されなくなってから所定時間(例えば3msec、後述する第5所定期間T5に相当)経過後に、第1スイッチS1をオン状態からオフ状態に切り換える切換信号を、第1スイッチS1に与えるものである。
【0060】
第2遅延回路16は、電圧入力端子P1に入力される、第2補助巻線Tcからの誘起電圧を所定時間(例えば2msec、後述する第4所定期間T4に相当)遅延させて、第2スイッチS2に与えるものである。上記所定時間は、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2の発振状態が確実に継続したことを判別するために設定された時間とされている。例えば、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2による発振が数100サイクル連続すると、安定な発振状態に移行したものと判別することができる。
【0061】
このように、電圧入力端子P1から誘起電圧が入力されると、第2スイッチS2をオン状態からオフ状態に切り換える切換信号が、第2遅延回路16によって第4所定時間T4経過後に、第2スイッチS2に与えられる。これにより、第2スイッチS2はオフ状態となり、電源回路11に対する電源端子V+,V−からの直流電圧の入力を阻止する。
【0062】
積分回路17は、第1タイマー回路13の出力を積分してその積分値が所定の閾値を越えた場合、第2タイマー回路14の動作を禁止させるものである。すなわち、積分回路17は、回路の故障等により第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2における発振動作が不能になった場合、第1タイマー回路13は、基準パルス信号を繰り返し出力するので、繰り返し出力される基準パルス信号を検出して例えば数秒後に第2タイマー回路14から駆動パルス信号を出力させないようにする。第2タイマー回路14は、積分回路17からの動作禁止信号によって動作が停止し、起動用スイッチS3に対する駆動パルス信号を出力しないようにされる。
【0063】
積分回路17は、第2遅延回路16の出力に基づいてリセットされる。なお、積分回路17は、これに代えて、カウンターが用いられてもよい。
【0064】
第1スイッチS1は、第1タイマー回路13に対するクロック入力を所定のタイミングで禁止するためのものである。第1スイッチS1は、第1遅延回路15の出力に基づいて、オン、オフ動作され、オフ動作時に時定数回路12の動作を有効にし、オン動作時に第1タイマー回路13に対するクロック入力を禁止する。これにより、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2に対する1回目の起動動作が失敗した場合に、第1スイッチS1をオン状態からオフ状態にし第1タイマー回路13のクロック入力を有効にして基準パルス信号を発生させることにより、再度起動動作を行うことができる。
【0065】
第2スイッチS2は、電源端子AC1,AC2から入力される交流電圧に基づいてそのバイアス電圧が与えられ、第2遅延回路16の出力に基づいて、電源端子V+,V−から入力される直流電圧の電源回路11に対する供給を許可又は阻止するものである。第2スイッチS2は、システムの電源投入時にはオン状態とされ、電源回路11に対する直流電圧の供給を許可するが、第2遅延回路16によってオフ状態にされると、電源回路11に対する直流電圧の供給を阻止する。これにより、起動回路3内の回路に電源電圧が供給されなくなり、起動回路3の動作が停止される。
【0066】
起動用スイッチS3は、第2タイマー回路14の出力に基づいてオン動作することにより外部出力端子EXTを介して図1に示した主巻線Taに流れる電流を引き込み、主巻線Taに励磁電流を流すためのものである。主巻線Taに電流が流れると、第2補助巻線Tcに誘起電圧が発生し、第2発振制御回路7によって第2スイッチ素子SW2をオン動作させるようになっている。
【0067】
起動用スイッチS3は、例えばMOS−FETによって構成され、起動時において主巻線Taに励磁電流を流すためのものであるので、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2に比べて小電力タイプのものが用いられる。起動用スイッチS3のドレイン端子(D)は、逆電流防止用ダイオードD2を介して外部出力端子EXTに接続されている。なお、起動用スイッチS3は、例えばバイポーラトランジスタによって構成されてもよいが、バイポーラトランジスタでは、動作スピードが不足する場合があるため、起動用スイッチS3は、MOS−FETで構成されることがより好ましい。
【0068】
図3は、第1発振制御回路6又は第2発振制御回路7の回路構成を示す図である。第1及び第2発振制御回路6,7は、同一の回路構成とされている。そのため、以下では第1発振制御回路6について概略説明する。第1発振制御回路6は、直列制御素子回路21、正帰還回路22、補助スイッチ回路23、及び時定数回路24等を備えている。
【0069】
第1発振制御回路6は、第1スイッチ素子SW1に与えられる駆動電圧の供給時間を時定数回路24によって決定し、時定数回路24で決定された供給時間が経過すると、第1スイッチ素子SW1に与えられる駆動電圧の第1スイッチ素子SW1への供給を補助スイッチ回路23によって強制的に停止させるものである。
【0070】
これにより、第1発振制御回路6では、第1スイッチ素子SW1のオン時間におけるスイッチング損失が生じる期間を除去することができ、スイッチング損失の発生を抑制することができる。なお、回路の詳細な動作説明は、本願出願人による既出願明細書(特願2005−43851号)に記載されているため、ここでの詳細説明は省略する。
【0071】
次に、上記した起動回路3の回路構成における作用を、図4に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0072】
このスイッチング電源の起動回路3は、起動用スイッチS3をオン動作させることにより、主巻線Taに励磁電流を流し、第2補助巻線Tcに誘起電圧を発生させ、第2スイッチ素子SW2をオン動作させることにより、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2を発振状態に移行させる。発振状態への移行が失敗したときには、再度起動用スイッチS3をオン動作させて第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2を発振状態に移行させる。また、発振状態への移行が成功したときには、起動回路3への電源供給を阻止して動作を停止し電力消費を抑制するようにしている。以下、詳述する。
【0073】
起動回路3において、システムの電源が投入されるとき、第1スイッチS1はオフ状態に、第2スイッチS2はオン状態にそれぞれ設定されている。システムの電源が投入されると、図4(a) のt1に示すように、電源回路11から起動回路3内の各回路に対して所定の直流電圧(例えばDC5V)が出力される(図2のA点参照)。
【0074】
電源回路11から出力される直流電圧は、時定数回路12を介して第1タイマー回路13のクロック端子CK(図2のB点参照)に入力される。この直流電圧は、時定数回路12の抵抗R1とコンデンサC1とよって、所定の遅延時間だけ遅れて立ち上がる(図4(b) 参照)。
【0075】
第1タイマー回路13は、時定数回路12の出力電圧が所定の電圧値Vbになったとき、Hレベルと認識し、図4(c)に示すように、出力Q(図2のC点参照)から基準パルス信号を出力する。基準パルス信号は、第1所定時間T1(例えば2〜5msec)だけHレベルとなる信号であり、第2タイマー回路14のクロック端子CKに入力される。
【0076】
第1タイマー回路13の出力Qは、第1遅延回路15にも入力され、第1遅延回路15によって第2所定時間T2遅延されて(図4(d) 参照)、第1スイッチS1に入力される。すなわち、第1遅延回路15では、第1タイマー回路13の出力Qに基づいて第2所定時間T2経過後に第1スイッチS1に対して切換信号を出力するように予め閾値電圧Vd(図4(d) 参照)が予め定められており、遅延された電圧値が閾値電圧Vdを越えた場合に、第1スイッチS1に対して切換信号を出力する。これにより、第1スイッチS1はオフ状態からオン状態になり、第1タイマー回路13のクロック入力CKを低レベル(Lレベル)にリセットする(図4(b)のt2参照)。なお、第1遅延回路15による第2所定時間T2は、第1タイマー回路13のクロック入力CKにおけるノイズ成分の影響を除くために、1msec程度に設定するのが好ましい。
【0077】
一方、第2タイマー回路14のクロック入力CKは、Lレベルになるとタイマー動作を開始するように設定されているので、第1タイマー回路13の出力QがLレベルになったとき(図4(c)のt3参照)、出力Q(図2のE点参照)から駆動パルス信号を出力する。すなわち、第2タイマー回路14の出力Qは、第3所定時間T3(図4(g) 参照)の間Hレベルを出力する。
【0078】
第2タイマー回路14の出力である駆動パルス信号は、起動用スイッチS3に供給され、これにより、起動用スイッチS3は、第3設定時間T3の間オンされる。起動用スイッチS3がオンされると、図1に示す主巻線Taに励磁電流を流す。この励磁電流によって第2補助巻線Tcの正極側が負極側に対して正となるような誘起電圧が発生し(第1補助巻線Tbには逆相の電圧が発生する)、この誘起電圧によって第2発振制御回路7を介して第2スイッチ素子SW2がオンされる。
【0079】
第2スイッチ素子SW2がオン状態になると、所定時間経過後、第2発振制御回路7によって強制的にオフ状態に移行される。その後、第2スイッチ素子SW2がオフ状態になることにともない、高周波トランスTの磁束変化が反転し、第1補助巻線Tbの正極側が負極側に対して正となるような誘起電圧が発生し(第2補助巻線Tcには逆相の電圧が発生する)、第1スイッチ素子SW1をオン状態に第2スイッチ素子SW2をオフ状態に急速に移行させる。このようにして、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2の発振が開始され、断続的な直流電圧が出力される。
【0080】
ここで、上記のような起動動作によって第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2において発振動作が継続した場合(図4(h),(j)参照)、第2補助巻線Tcにおいて発生した誘起電圧は、整流ダイオードD1で整流され、起動回路3の電圧入力端子P1に入力され、第2遅延回路16において第4所定時間T4(例えば2msec、図4(g)参照)遅延される(図4(k)参照)。
【0081】
すなわち、第2遅延回路16では、電圧入力端子P1に入力される誘起電圧に基づいて第4所定時間T4経過後に第1スイッチS2に対して切換信号を出力するように予め閾値電圧Vk(図4(k)参照)が予め定められており、遅延された電圧値が閾値電圧Vkを越えた場合に、第2スイッチS2に対して切換信号を出力する。これにより、第2スイッチS2は、オン状態からオフ状態となり(図4(e)のt4参照)、起動回路3内の各回路に対する電源供給が停止される(図4(a)参照)。
【0082】
これにより、無駄な電力消費を軽減することができる。すなわち、従来の構成では、起動抵抗Reが常時接続されていたために、発振動作が継続した場合でも無駄な電力を消費していたが、この実施形態によれば、発振動作が継続した場合、起動回路3における電源供給が停止されるため、無駄な電力消費を抑制することができる。
【0083】
その後、第1遅延回路15は、第1タイマー回路13からの基準パルス信号が立ち下がってから第5所定時間T5経過後に、第1スイッチS1に対して切換信号を出力し、これにより、第1スイッチS1は、オン状態からオフ状態に切り換わる(図4(d)のt5参照)。
【0084】
図4に示すタイミングチャートは、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2における発振動作が、起動用スイッチS3のオン動作によって1回で成功した場合を示しているが、上記発振動作は何らかの原因によって1回で成功しない場合もある。
【0085】
図5は、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2における発振動作が、起動用スイッチS3のオン動作によって1回で成功せずに、2回目で成功した場合の例を示す図である。
【0086】
すなわち、第1及び第2スイッチSW1,SW2において発振動作が良好に継続できなかった場合、第2補助巻線Tcには誘起電圧が発生しないため、起動回路3の電圧入力端子P1にも十分な電圧があらわれないことになる。そのため、第2スイッチS2はオン状態からオフ状態に切り換えられず、電源回路11による電源供給は継続される(図5(a)参照)。
【0087】
このとき、第1スイッチS1は、第1タイマー回路13の出力QがLレベルになってから第1遅延回路15によって第5所定時間T5(図5(d)参照)経過後にオン状態からオフ状態にされる(図5(f)のt5参照)。第1スイッチS1がオフ状態になると、時定数回路12のコンデンサC1は、再び抵抗R1によって充電が開始され、これによって立ち上がった電圧が閾値電圧Vbを越えたとき、第1タイマー回路13のクロックCKに入力される。
【0088】
これにより、第1タイマー回路13において再び基準パルス信号が生成され、その立下りで第2タイマー回路14から駆動パルス信号が出力され、起動用スイッチS3がオン動作される。図5におけるタイミングチャートでは、この2回目の起動用スイッチS3のオン動作によって第1及び第2スイッチSW1,SW2の発振動作が良好に継続された場合を示している。
【0089】
このように、この起動回路3によれば、起動動作を行っても第1及び第2スイッチSW1,SW2が発振動作を行わない場合に、再度、起動動作を行うようにされている。そのため、起動動作時に動作不具合が発生する確率が極端に少なくなるとともに、起動動作不良時に過電流が流れて素子が破壊してしまう等の不具合を生じることを抑制することができる。
【0090】
なお、小電力型である起動用スイッチS3と大電力型である第2スイッチ素子SW2との干渉を防止するために、第1タイマー回路13が出力する基準パルス信号が繰り返して出力される周期は、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2の発振開始から発振状態を確認するまでの時間(第4所定時間T4)よりも大きく設定することが好ましい。
【0091】
また、この第1実施形態の構成によれば、何らかの異常(回路の故障、入力電圧の不足等)によって第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2の発振が不能となったとき、その状態を検出して駆動パルス信号の出力を停止するようにされている。
【0092】
すなわち、何らかの異常が発生し、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2の発振が開始されない場合には、上述したように、再起動動作が行われ、それがいつまでも繰り返し行われることになる。そこで、本第1実施形態では、ある所定時間たっても発振が開始されない場合には、何らかの異常が発生したと判断し、駆動パルス信号の出力を停止するようにしている。
【0093】
具体的には、第1タイマー回路13の出力は、第1遅延回路15へ供給される他に積分回路17にも供給される。積分回路17では、第1タイマー回路13からのHレベル信号が蓄積され、蓄積されたレベル信号が予め定める閾値電圧に達すると、第2タイマー回路14に動作禁止信号を出力する。これにより、第2タイマー回路14は、その動作が停止され、駆動パルス信号が出力されなくなり、起動用スイッチS3をオン動作させなくする。したがって、それ以降、再起動が行われなくなる。
【0094】
また、正常に発振が開始された場合は、第2遅延回路16から積分回路17に対してリセット信号が出力され、これにより、積分回路17がリセットされ、上記異常時における発振不能検出動作は行われないようにされる。
【0095】
なお、積分回路17では、発振不能と判別するまでの時間が基準パルス信号の繰り返し周期より長い数秒程度となるように設定するのが好ましい。また、積分回路17からの動作禁止信号は、第2タイマー回路14の動作を停止するための他に、第2スイッチS2をオフして起動回路3内における電源供給を遮断するために用いられてもよい。
【0096】
また、積分回路17からの動作禁止信号は、例えばフォトカプラ等を介して外部に出力して、異常表示や異常警報等に用いられてもよいし、システムの電源そのものを遮断したりするために用いられてもよい。
【0097】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係るスイッチング電源の構成を示す図である。この変形例では、図1に示した第1及び第2発振制御回路6,7に代えて、可飽和リアクトルを用いた発振制御回路が用いられている。
【0098】
発振制御回路に可飽和リアクトルが用いられた場合、システムの電源がオフ時の残留磁束と次の起動時に発生する補助巻線の極性とに起因して発振が不安定になる場合がある。したがって、第2スイッチ素子SW2を確実に起動させるためには、起動前に可飽和リアクトルの残留磁束をリセットしておく(起動時に発生する補助巻線Tb,Tcの誘起電圧の立ち上がりに対して高インピーダンスとなる残留磁束にしておく)必要がある。
【0099】
図6によると、第2実施形態では、可飽和リアクトルとして高周波トランスが用いられ、すなわち、第1補助巻線Tbに並列に第1高周波トランスTdが接続され、第2補助巻線Tcに並列に第2高周波トランスTeが接続されている。
【0100】
より詳細には、第1高周波トランスTdの二次巻線の正極側には、第1スイッチ素子SW1のゲート端子(G)に接続されているとともに、抵抗R2を介して第1補助巻線Tbの正極側に接続されている。また、第1高周波トランスTdの二次巻線の負極側は、第1スイッチ素子SW1のソース端子(S)に接続されているとともに、第1補助巻線Tbの負極側に接続されている。
【0101】
一方、第1高周波トランスTdの一次巻線の正極側は、電流制限用抵抗R3を介して入力側整流回路2に接続されている。また、一次巻線の負極側は、第2高周波トランスTeの一次巻線の負極側に接続され、第2高周波トランスTeの一次巻線の正極側は、起動回路3のリセット端子RESETに接続されている。
【0102】
第2高周波トランスTeの二次巻線の正極側は、第2スイッチ素子SW2のゲート端子(G)に接続されているとともに、抵抗R4を介して第2補助巻線Tcの負極側に接続されている。また、第2高周波トランスTeの二次巻線の負極側は、第2スイッチ素子SW2のソース端子(S)に接続されているとともに、第2補助巻線Tcの正極側に接続されている。
【0103】
図7は、可飽和リアクトルが用いられた場合に適用される起動回路3Aのブロック構成を示す図である。
【0104】
この起動回路3Aでは、図2に示した第1実施形態に係る起動回路3に対して、さらに可飽和リアクトルのリセット用スイッチS4が設けられている。リセット用スイッチS4は、起動用スイッチS3と並列に配置され、起動用スイッチS3とソース端子(S)同士が接続されている。リセット用スイッチS4のゲート端子(G)は、コンデンサC2を介して第1タイマー回路13に接続されている。また、リセット用スイッチS4のドレイン端子(D)は、整流ダイオードD3を介してリセット端子RESETに接続されている。その他の構成については、上記第1実施形態と略同様である。
【0105】
図8は、起動回路3Aの回路動作を示すタイミングチャートである。同図は、図4に示したタイミングチャートと比較して、リセット用スイッチS4のゲート端子(G)である、図7のD点における電圧波形(図8(g)参照)が追記されたものである。
【0106】
図8を参照して動作を説明すると、第1タイマー回路13が基準パルス信号を出力すると(図8(c)参照)、リセット用スイッチS4のゲート端子(G)にコンデンサC2を介してバイアス電圧が供給され、これにより、リセット用スイッチS4がオン状態となる。このリセット用スイッチS4のオン動作によって、第1及び第2高周波トランスTd,Teの一次巻線側に励磁電流が流れ、第1及び第2高周波トランスTd,Teがそれぞれリセットされる。
【0107】
その後、第2タイマー回路14からの駆動パルス信号によって、起動用スイッチS3がオンし、第2スイッチ素子SW2が起動して、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2が発振する。
【0108】
このように、可飽和リアクトルが用いられたスイッチング電源においては、起動回路3Aを用いることにより、可飽和リアクトルを起動前にリセットすることができる。なお、起動回路3Aの構成は、図3に示した第1実施形態の起動回路3の構成とリセット用スイッチS4に関する構成以外は、同様であるので、第1実施形態の説明で述べたように、この起動回路3Aにおいても、1回目の起動失敗時には自動的に再起動動作が行われる。
【0109】
図9は、図7に示す起動回路3Aの詳細な回路構成を示す図である。同図によると、第1及び第2タイマー回路13,14はICチップによって構成され、電源回路11、時定数回路12、第1遅延回路15、第2遅延回路16、及び積分回路17は、それぞれ点線で区切る範囲で構成される回路に対応している。なお、図中の符号18で構成される回路は、図7に示したリセット用スイッチS4及びその周辺回路を示している。
【0110】
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態に係るスイッチング電源に適用される起動回路3Bのブロック構成を示す図である。
【0111】
第1及び第2実施形態に係る起動回路3,3Aにおいては、駆動パルス発生用の回路として、第1及び第2タイマー回路13,14としての単安定マルチバイブレータを用いたが、第3実施形態に係る起動回路3Bにおいては、駆動パルス発生用の回路として、4つのCMOSインバータ回路による低デューティサイクル発振器を備えたパルス発生回路32が用いられている。
【0112】
起動回路3Bは、電源回路31、パルス発生回路32、第2スイッチS2、起動用スイッチS3、第1積分回路33、第1比較回路34、第2積分回路35、第2比較回路36、及びリセット用回路37等によって構成されている。
【0113】
パルス発生回路32は、図11に示すように、主として直列に接続された4つの第1ないし第4インバータ回路I1〜I4によって構成されている。より具体的には、抵抗R2の他端に第1インバータ回路I1が接続されている。抵抗R2の一端には、コンデンサC3の一端が接続され、その他端には、第2インバータ回路I2の出力及び第3インバータ回路I3の入力が接続されている。また、抵抗R2の一端には、抵抗R3の一端が接続され、その他端には、ダイオードD4を介して第3インバータ回路I3の出力及び第4インバータ回路I4の入力が接続されている。抵抗R3及びダイオードD4の両端には、抵抗R4が並列に接続されている。
【0114】
第1積分回路33及び第1比較回路34は、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2における発振が開始されたことを検出するための回路として機能する。すなわち、第1積分回路33は、電圧入力端子P1から第2補助巻線Tcにおいて発生した誘起電圧が入力されると、それを整流し、積分するものである。第1比較回路34は、その積分された誘起電圧の値と所定の閾値とを比較し、積分された誘起電圧の値が所定の閾値を越えたとき、第2スイッチS2に対して切換信号を出力するものである。
【0115】
また、第2比較回路36、第2積分回路35は、発振不能を検出してその検出結果を外部に出力するための回路として機能する。すなわち、第2積分回路35は、パルス発生回路32の起動用スイッチS3に対する駆動パルス信号を積分するものである。第2比較回路36は、第2積分回路35によって積分された電圧値と所定の閾値とを比較し、積分された電圧値が所定の閾値を越えたとき、起動不良検出出力として外部に出力するものである。
【0116】
リセット用回路37は、パルス発生回路32の反転出力をコンデンサC2で微分してリセット用パルスとしてリセット用スイッチS4に出力し、リセット信号をリセット端子RESETを介して外部に出力するものである。すなわち、リセット用回路37は、第2実施形態で示したリセット用スイッチS2及びその周辺回路に相当するものであり、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2の発振制御回路が可飽和リアクトルで構成される場合に適用される回路である。したがって、第1実施形態で示したスイッチング電源(図1参照)が用いられる場合には、このリセット用回路37は適用されず、第2実施形態で示したスイッチング電源(図6参照)が用いられる場合には、このリセット用回路37が適用されることになる。
【0117】
なお、上記起動回路3Bには、電源入力回路1(図1参照)の出力である交流電圧が入力されておらず、第2スイッチS2のバイアス電圧は、電源回路31内の回路によって生成するようにしている。
【0118】
図12は、図11に示す起動回路3Bの詳細な回路構成を示す図である。同図によると、電源回路11、パルス発生回路32、第1積分回路33、第1比較回路34、第2比較回路36、第2積分回路35、及びリセット用回路37は、それぞれ点線で区切る範囲で構成される回路に対応している。なお、図12に示す回路には、リセット用回路37は含まれていない。
【0119】
次に、第3実施形態に係る起動回路3Bの動作について、図13に示すタイミングチャートを参照して説明する。同図に示すA点〜F点の波形は、図9に示す回路の各A点〜F点における波形を示す。
【0120】
起動回路3Bにおいては、システムの電源投入時には第2スイッチS2がオン状態とされている。システムの電源が投入されると、起動回路3の電源端子V+,V−に直流電圧が印加される(図13(a)参照)。これにより、電源回路11において所定の電圧VDD(図中VSSはグランド電圧を示す)が生成され、所定の電圧VDDがパルス発生回路32に印加される。
【0121】
パルス発生回路32では、C点における電圧が抵抗R4とコンデンサC3とで構成される時定数回路によって、期間T1a(例えば4〜6msec)においては徐々に充電される。C点における電圧は、抵抗R3及び抵抗R4の並列回路とコンデンサC3とで構成される時定数回路によって、期間T2a(例えば4〜5μsec)において所定電圧(VDD+Vth)から閾値電圧Vthに変化される。これにより、D点において駆動パルス信号が発生される(図13(f)参照)。
【0122】
この駆動パルス信号は、トーテンポール型に接続された2つのトランジスタTR1,TR2(図12参照)によって増幅されて、起動用スイッチS3に供給される。この駆動パルス信号の出力によって起動用スイッチS3がオン状態となり、図1に示した高周波トランスTの主巻線Taに励磁電流を流し、この励磁電流によって第2補助巻線Tcの誘起電圧を発生させ、第2スイッチ素子SW2をオンさせる。第2スイッチ素子SW2がオン状態になると、第2発振制御回路7によって、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2が交互にオン、オフ動作される。
【0123】
このように、インバータ回路で構成されるパルス発生回路32によっても、第1実施形態で示した第1及び第2タイマー回路13,14と同様に、駆動パルス信号を起動用スイッチS3に供給することができる。なお、図13に示すタイミングチャートは、図5に示したタイミングチャートと同様に、第2スイッチ素子SW2に対する起動動作が、起動用スイッチS3のオン動作によって1回で成功せずに、2回目で成功した場合の例を示している。
【0124】
起動回路3Bにおいても、発振状態に良好に移行できなかった場合は、パルス発生回路32によって周期的に駆動パルス信号が出力される動作が繰り返される。すなわち、第1積分回路33によって電圧入力端子P1から入力される誘起電圧を整流、積分し(図13(h)参照)、第1比較回路34によって積分された値が所定の閾値電圧VBEthを越えないと判別されたことが判別されたとき、パルス発生回路32に動作禁止信号が出力されるとともに(図13(j)参照)、第2スイッチS2をオフ動作させ、直流電圧V+の供給を停止させる(図13(b)参照)。なお、駆動パルス信号の繰り返し周期は、パルス発生回路32内の抵抗R3,R4及びコンデンサC3による時定数回路によって設定される。
【0125】
第2積分回路35及び第2比較回路36は、パルス発生回路32からの起動用パルス信号を積分し(図13(k)参照)、所定のレベルを超えると起動不良と判断する。そして、起動不良検出出力としてフォトカプラFC(図12参照)を介して外部に出力される。
【0126】
なお、図12中の符号38で示す回路は、本願発明と直接的には関連はないが、システムの電源オン時にパルス発生回路32の電源電圧が所定電圧以上になるまで、パルス発生回路32を停止させておくためのものであって、起動用スイッチS3の不完全なオン状態を回避するためのものである。
<第4実施形態>
【0127】
ところで、上記実施形態に示したスイッチング電源では、回路上に過電流が流れた場合、又は回路上で過度に温度が上昇した場合(以下、総称して「過負荷状態」という。)には、回路誤動作が生じることがある。すなわち、過負荷状態になった場合には、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2等の受動素子に悪影響を及ぼし、例えば第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2が正常な発振動作(スイッチング動作)を行わなくなるといったことが生じる。
【0128】
そこで、スイッチング電源において過負荷状態になった場合には、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2による発振動作を強制的に停止させる必要がある。また、上記した起動回路3では、電源投入時に第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2による発振動作が行われない場合には、発振動作を行わせようとする再起動動作を行う機能を有しているが、過負荷状態になった場合には、その再起動動作をも行わせないようにする必要がある。
【0129】
第4実施形態に係るスイッチング電源では、図14に示すように、回路に過電流が流れたことを検出して第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2による発振動作を停止させ、かつ起動回路3による再起動動作を生じさせなくするための保護回路39が設けられている。
【0130】
保護回路39は、概して入力側整流回路2の出力端Pa,Pb間に介在されるようにして設けられ、図15に示すように、出力端Paに通じた電源端子Vaに接続された抵抗R5と、この抵抗R5に接続されたフォトカプラPCと、発光ダイオードD5と、サイリスタ(例えば逆阻止3端子サイリスタ)SCRと、抵抗R6,R7及びコンデンサC4からなるトリガー回路とによって構成されている。
【0131】
接続構成を説明すると、入力側整流回路2の出力端Pa(図14参照)には、保護回路39の電源端子Vaが接続され、電源端子Vaには抵抗R5の一端が接続されている。抵抗R5は、サイリスタSCRに流れる電流を制限するためのものであり、抵抗R5の抵抗値は、サイリスタSCRがオン動作したときにそのオン動作を維持することのできる値に予め設定されている。
【0132】
抵抗R5の他端には、フォトカプラPCのフォトダイオードのアノード端子が接続され、このフォトダイオードのカソード端子は、発光ダイオードD5のアノード端子に接続されている。
【0133】
フォトカプラPCは、このスイッチング電源に端子Mを介して例えばマイクロコンピュータ(図略)に接続され、この保護回路39が動作したこと(サイリスタSCRがオン動作したこと)をマイクロコンピュータに出力するものである。マイクロコンピュータは、フォトカプラPCの出力に基づいて例えばこのスイッチング電源に入力される商用電源(図14の「入力」参照)を遮断する。また、発光ダイオードD5は、サイリスタSCRがオン動作したとき(所定の電流以上の電流が流れたとき)に発光して外部に保護回路39が動作したことを報知するものである。
【0134】
発光ダイオードD5のカソード端子は、サイリスタSCRのアノード端子(A)に接続されている。サイリスタSCRは、ゲート端子(G)にトリガー入力があるとオン動作し、保持電流以上の電流が流れている限り、そのオン動作を継続する素子である。
【0135】
サイリスタSCRのアノード端子(A)には、逆電流防止用ダイオードD6のカソード端子が接続され、逆電流防止用ダイオードD6のアノード端子には、保護回路39の出力端子dis1を介して第2スイッチ素子SW2のゲート端子(G)が接続されている(図14参照)。
【0136】
また、サイリスタSCRのアノード端子(A)には、逆電流防止用ダイオードD7のカソード端子が接続され、逆電流防止用ダイオードD7のアノード端子には、保護回路39の出力端子dis2を介して起動回路3Cの入力端子dis2に接続されている(図14参照)。
【0137】
なお、本第4実施形態に係る起動回路3Cの回路構成は、図16に示すように、第2遅延回路16のトランジスタのコレクタ端子に端子dis2が接続された構成とされている。詳細は後述するが、この端子dis2に保護回路39Bから制御信号が入力されることにより、起動回路3による再起動動作が停止されるようになっている。起動回路3Cのその他の回路構成は、図9に示した起動回路Cの回路構成と同様である。
【0138】
サイリスタSCRのゲート端子(G)、カソード端子(K)間には、バイアス抵抗R6及びバイアスコンデンサC4からなる並列回路が接続されている。また、サイリスタSCRのゲート端子(G)には、このサイリスタSCRのトリガー入力として機能する抵抗R7の一端が接続され、抵抗R7の他端には、保護回路39の端子detを介して後述する過電流検出抵抗R8(図14参照)の一端が接続されている。また、サイリスタSCRのカソード端子(K)は、保護回路39の端子Vbを介して過電流検出抵抗R8の他端に接続されている。過電流検出抵抗R8は、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2に流れる過電流を検出するためのものである。
【0139】
過電流検出抵抗R8の一端は、第2スイッチ素子SW2のソース端子(S)であって、第2発振制御回路7の制御端子Sに接続されている。また、過電流検出抵抗R8の他端は、第2電解コンデンサCbの負極側であって起動回路3Cの電源端子V−に接続されている。
【0140】
次に、上記回路構成における動作を説明する。
【0141】
上記構成の保護回路39は、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2が正常に発振動作を行っているときは、動作しておらず、サイリスタSCRもオフ状態にある。そのため、フォトカプラPC及び発光ダイオードD5もオフ状態にある。ここで、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2に過電流が流れたとすると、第2スイッチ素子SW2のソース端子(S)に接続された過電流検出抵抗R8にもその過電流が流れ、過電流検出抵抗R8によって電流−電圧変換が行われ、その電圧降下分がサイリスタSCRのゲート端子(G)に供給され、電圧降下分が所定の電圧値を超えると、サイリスタSCRがオン動作する。
【0142】
このサイリスタSCRのオン動作により、フォトカプラPCがオン動作し、図略のマイクロコンピュータに出力信号を供給するとともに、発光ダイオードD5が点灯する。このとき、サイリスタSCRは、抵抗R5を通じて保持電流以上の電流が供給されるので、オン動作を保持し続ける。
【0143】
また、サイリスタSCRがオン動作すると、サイリスタSCRのアノード電圧は、端子Vbにおける電圧値近傍まで低下する。サイリスタSCRのアノード電圧が低下すると、サイリスタSCRのアノード端子(A)に逆電流防止用ダイオードD6、端子dis1を介して接続されている第2スイッチ素子SW2のゲート電圧が下げられ、第2スイッチ素子SW2がオフ動作されることになる。
【0144】
第2スイッチ素子SW2がオフ動作すると、第1スイッチ素子SW1、第2スイッチ素子SW2、高周波トランスTの主巻線Ta、及び帰還用の第1及び第2補助巻線Tb,Tcで構成される帰還ループが途切れることになり、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2による発振動作が停止される。
【0145】
また、サイリスタSCRのアノード電圧が低下すると、逆電流防止用ダイオードD7を介して起動回路3Cの端子dis2にローレベル信号が出力される。これにより、起動回路3Cの第2スイッチS2がオフ動作し、起動回路3Cの電源回路11による電源供給が停止されることになる。すなわち、起動回路3Cの電源回路11によって各回路への電源供給がされなくなるので、起動回路3Cの動作が停止される。
【0146】
上記実施形態では、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2による発振動作が行われないと、起動回路3が再起動動作を開始するようにされていたが、本第4実施形態では、保護回路39が動作することによって、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2による発振動作が停止されると、起動回路3Cは、再起動動作を行なわないようにされている。
【0147】
サイリスタSCRのオン状態は、サイリスタSCRに流れる電流が保持電流以下になるまで持続される。すなわち、図略のマイクロコンピュータは、サイリスタSCRがオン動作したことにより、フォトカプラPCの出力を受信しており、このマイクロコンピュータによって入力商用電源が遮断される。これにより、スイッチング電源には、商用電源が供給されなくなり、サイリスタSCRには電流が流れなくなり(電流が保持電流以下になり)、サイリスタSCRはオフ状態に戻る。
【0148】
サイリスタSCRは、上記のように入力商用電源が遮断されない限り、すなわち流れる電流が保持電流以下にならない限り、オン状態を維持するので、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2による発振動作及び起動回路3Cによる再起動動作は行われないことになる。
【0149】
このように、本第4実施形態では、保護回路39及び過電流検出抵抗R8を設けることにより、回路上に過電流が流れたことを検出し、サイリスタSCRを用いて第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2による発振動作を停止させるとともに、起動回路3Cによる再起動動作を起こさせなくすることができる。
【0150】
なお、サイリスタSCRに流れる電流は、保護回路39が動作したときにのみ流れ、過負荷状態になっていない正常動作時には流れていない。したがって、正常動作時に電力損失を増加させるようなことはない。
【0151】
上記保護回路39及び過電流検出抵抗R8は、回路上の過電流を検出する構成とされたが、過電流を検出する構成に過度の温度上昇を検出する構成が加えられてもよい。すなわち、図17に示すように、保護回路39Aには、過度の温度上昇を検出するための正特性サーミスタPTHが設けられ、過電流検出抵抗R8等によって過電流を検出するとともに、過度の温度上昇を検出するようにしてもよい
【0152】
具体的には、保護回路39Aは、図15に示した構成に加え、電源端子Va,Vb間に直列接続された抵抗R9及び正特性サーミスタPTHを有している。電源端子Vaには、正特性サーミスタPTHによって過度の温度上昇が検出されるとオン動作するNPN型のトランジスタTR3のコレクタ端子が接続され、抵抗R9及び正特性サーミスタPTHの中点にはトランジスタTR3のベース端子が接続されている。トランジスタTR3のエミッタ端子には、ダイオードD8のアノード端子が接続され、ダイオードD8のカソード端子には、サイリスタSCRのゲート端子(G)が接続されている。
【0153】
なお、正特性サーミスタPTHは、図示しないが、例えば第1及び第2スイッチング素子SW1,SW2等に接触して設けられた放熱用のヒートシンクに熱的に結合されて実際の回路内に設けられている。
【0154】
正特性サーミスタPTHは、図18に示すように、例えば周囲の温度が常温では比較的低い抵抗値(例えば数10Ω〜数100Ω)を有し、周囲の温度が常温より高い所定温度Tc近傍になると、極端に高い抵抗値Rc(例えば数10kΩ)を有するようになる抵抗温度特性を備える素子である。
【0155】
上記構成によれば、回路上の温度が過度に上昇すると、正特性サーミスタPTHにおける抵抗値が上昇し、トランジスタTR3のベース電圧が所定の閾値を越えることにより、トランジスタTR3がオン動作する。このトランジスタTR3のオン動作によってダイオードD8を介してサイリスタSCRのゲート端子(G)における電圧が上昇し、これがトリガーとなってサイリスタSCRがオン動作する。
【0156】
サイリスタSCRがオン動作すると、上述したように、サイリスタSCRのアノード電圧が低下し、逆電流防止用ダイオードD6を介して第2スイッチ素子SW2(図14参照)のゲート電圧が下げられ、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2による発振動作が停止する。また、逆電流防止用ダイオードD7を介して起動回路3Cの端子dis2からローレベル信号が出力され、これにより起動回路3Cの再起動動作が停止する(以下、第1及び第2スイッチ素子SW1,SW2による発振動作及び起動回路3Cの再起動動作が停止されることを総称して「保護動作」という。)。したがって、保護回路39Aでは、回路上に過度の温度上昇が生じた場合でも、それを検出し、保護動作を行うことができる。
【0157】
なお、上記した正特性サーミスタPTHを用いた温度検出回路は、過電流を検出する過電流検出回路に付加された構成とされているが、各回路は、互いに独立して動作する。すなわち、図19に示すように、常温においてほぼ一定の電流Ic以上の過電流が流れたときには、過電流検出回路がそれを検出し保護動作を行う。一方、過電流が流れていない状態で所定温度Tcを超える過度の温度上昇があったときには、第2スイッチ素子SW2等に流れる電流とは無関係に、温度検出回路が過度の温度上昇を検出し保護動作を行う。
【0158】
図17に示した正特性サーミスタPTHに代えて、図20に示すように、感熱抵抗Rthが用いられ、感熱抵抗Rthを有する保護回路39Bが採用されてもよい。この保護回路39Bでは、図17に示したダイオードD8に代えて、抵抗R10が用いられ、この抵抗R10がサイリスタSCRのゲート端子(G)に接続されることにより、後述する温度ディレーティング特性を有するための加算回路を構成している。
【0159】
感熱抵抗Rthは、例えば白金、銅又はニッケル等が用いられた抵抗体であり、図21に示すように、温度抵抗特性が比較的リニアな正特性を有するものである。この感熱抵抗Rthを用いた保護回路39Bでは、図22に示すように、温度が高くなるほど、保護動作に移行するときの電流値が低くなっており、温度上昇に伴って回路部品等に与えるストレスを軽減するといった温度ディレーティング特性を有している。
【0160】
また、図17に示した正特性サーミスタPTHに代えて、図23に示すように、負特性サーミスタNTHが用いられ、負特性サーミスタNTHを有する保護回路39Cが採用されてもよい。
【0161】
具体的には、保護回路39Cは、図15に示した過電流検出回路の構成に加え、電源端子Va,Vb間に直列接続された抵抗R11,R12を有している。電源端子Vaには、負特性サーミスタNTHが接続され、負特性サーミスタNTHには、PNP型のトランジスタTR4のエミッタ端子が接続され、抵抗R11,R12の中点にはトランジスタTR4のベース端子が接続されている。トランジスタTR4のコレクタ端子は、サイリスタSCRのゲート端子(G)が接続されている。
【0162】
負特性サーミスタNTHは、図24に示すように、例えば周囲の温度が常温では比較的抵抗値が高く、周囲の温度が高くなるにつれて指数関数的に低い抵抗値になっていくといった抵抗温度特性を有する素子である。
【0163】
上記構成によると、常温では負特性サーミスタNTHは高抵抗であるため、トランジスタTR4に流れる電流は比較的小さく、その電流によるサイリスタSCRのゲート電圧の上昇は小さいが、温度上昇とともに負特性サーミスタNTHの抵抗値が減少し、トランジスタTR4の電流が増加して、サイリスタSCRのゲート電圧を上昇させる。これにより、過電流検出の閾値が低下するので、温度が高いほど過電流保護の閾値が低下するディレーティングが行われる(図25参照)。
【0164】
さらに、図26に示すように、図23に示した負特性サーミスタNTHを有する保護回路39Cの構成に加え、電源端子Vaと抵抗R11との間に正特性サーミスタPTHが介在され、負特性サーミスタNTHと正特性サーミスタPTHとが併用された保護回路39Dが採用されてもよい。
【0165】
負特性サーミスタNTH及び正特性サーミスタPTHは、図27に示すように、それぞれ温度抵抗特性を有しているので、保護回路39Dにおいては、図28に示すように、周囲温度が所定温度Tc未満では、温度ディレーティング特性を示し、周囲温度が所定温度Tc以上では、第2スイッチ素子SW2等に流れる電流とは無関係に、保護動作を行うようになっている。
【0166】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態に示したスイッチング電源は、ハーフ・ブリッジ型の電源回路を用いたが、上記起動回路3,3A,3B,3Cの構成は、プッシュプル型のスイッチング電源にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本願発明の第1実施形態に係るスイッチング電源の回路構成を示す図である。
【図2】起動回路のブロック構成を示す図である。
【図3】第1発振制御回路又は第2発振制御回路の回路構成を示す図である。
【図4】起動回路の回路動作を示すタイミングチャートである。
【図5】起動回路の回路動作を示すタイミングチャートであり、第1及び第2スイッチ素子の発振動作が起動動作の2回目で成功した場合の例を示す図である。
【図6】第2実施形態に係るスイッチング電源の回路構成を示す図である。
【図7】可飽和リアクトルが用いられた場合に適用される起動回路のブロック構成を示す図である。
【図8】第2実施形態に係る起動回路の回路動作を示すタイミングチャートである。
【図9】図7に示す起動回路の詳細な回路構成を示す図である。
【図10】第3実施形態に係るスイッチング電源に適用される起動回路のブロック構成を示す図である。
【図11】パルス発生回路の構成を示す図である。
【図12】図11に示す起動回路の詳細な回路構成を示す図である。
【図13】第3実施形態に係る起動回路の回路動作を示すタイミングチャートである。
【図14】第4実施形態に係るスイッチング電源の回路構成を示す図である。
【図15】図14に示す保護回路の詳細な回路構成を示す図である。
【図16】図14に示す起動回路の詳細な回路構成を示す図である。
【図17】正特性サーミスタを用いた保護回路の回路構成例を示す図である。
【図18】正特性サーミスタの抵抗温度特性を示す図である。
【図19】図17に示す保護回路の温度及び電流に対する保護領域を示す図である。
【図20】感熱抵抗を用いた保護回路の回路構成例を示す図である。
【図21】感熱抵抗の抵抗温度特性を示す図である。
【図22】図20に示す保護回路の温度及び電流に対する保護領域を示す図である。
【図23】負特性サーミスタを用いた保護回路の回路構成例を示す図である。
【図24】負特性サーミスタの抵抗温度特性を示す図である。
【図25】図23に示す保護回路の温度及び電流に対する保護領域を示す図である。
【図26】正特性サーミスタ及び負特性サーミスタを用いた保護回路の回路構成例を示す図である。
【図27】正特性サーミスタ及び負特性サーミスタの抵抗温度特性を示す図である。
【図28】図26に示す保護回路の温度及び電流に対する保護領域を示す図である。
【図29】従来の自励式のスイッチング電源の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0168】
1 電源入力回路
2 入力側整流回路
3 起動回路
4 出力側整流回路
5 平滑回路
11 電源回路
12 時定数回路
13 第1タイマー回路
14 第2タイマー回路
15 第1遅延回路
16 第2遅延回路
17 積分回路
31 電源回路
32 パルス発生回路
39 保護回路
NTH 負特性サーミスタ
PTH 正特性サーミスタ
R8 過電流検出抵抗
Rth 感熱抵抗
S1 第1スイッチ
S2 第2スイッチ
S3 起動用スイッチ
S4 リセット用スイッチ
SCR サイリスタ
SW1 第1スイッチ素子
SW2 第2スイッチ素子
T 高周波トランス
Ta 主巻線
Tb 第1補助巻線
Tc 第2補助巻線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次巻線側に相互に磁気的に結合された主巻線と補助巻線とを有するトランスと、
前記主巻線に供給される直流電圧を断続するためのスイッチ素子と、
前記直流電圧の断続により前記補助巻線に誘起される電圧を用いて前記スイッチ素子をオン・オフ動作させる制御手段と、を備えた自励式のスイッチング電源回路であって、
前記主巻線に接続された起動用スイッチと、
前記起動用スイッチをオン動作させるために前記起動用スイッチに駆動パルスを出力する駆動パルス発生手段と、を有する起動回路が設けられたことを特徴とする、スイッチング電源回路。
【請求項2】
前記起動回路は、
前記スイッチ素子のオン・オフ動作が開始されたか否かを検出する動作検出手段と、
前記動作検出手段によって前記スイッチ素子のオン・オフ動作が開始されたことが予め定める第1所定時間の間に検出されないとき、前記駆動パルス発生手段に前記起動用スイッチを再度オン動作させるための駆動パルスを出力させる出力制御手段と、
をさらに有する、請求項1に記載のスイッチング電源回路。
【請求項3】
前記駆動パルス発生手段は、
基準となる基準パルスを発生する第1パルス発生部と、この第1パルス発生部から発生される基準パルスに基づいて前記駆動パルスを発生する第2パルス発生部とによって構成され、
前記出力制御手段は、
オン・オフ動作することにより前記第1パルス発生部から基準パルスを発生させるか否かを制御するスイッチ部と、前記第1パルス発生部から発生される基準パルスを遅延させ、遅延されたタイミングで前記スイッチ部をオフ動作させて前記第1パルス発生部から次の基準パルスを発生させる遅延回路部と、によって構成される、請求項2に記載のスイッチング電源回路。
【請求項4】
前記起動回路は、
この起動回路に電源を供給する電源供給手段と、
前記動作検出手段によって前記スイッチ素子のオン・オフ動作が開始されたことが検出されたとき、前記電源供給手段による電源の供給を停止させる供給停止手段と、
をさらに有する、請求項1ないし3のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項5】
前記動作検出手段は、
前記補助巻線に誘起される電圧を整流、積分しその積分値が所定の閾値を越えるか否かを検出する判別部によって構成され、
前記供給停止手段は、
前記判別部によって前記積分値が所定の閾値を越えたときオフ動作して前記電源供給手段による前記電源の供給を遮断するスイッチ部によって構成される、請求項4に記載のスイッチング電源回路。
【請求項6】
前記起動回路は、
前記動作検出手段によって前記スイッチ素子のオン・オフ動作が開始されたことが前記第1所定時間より長い予め定める第2所定時間の間に検出されないとき、
前記駆動パルス発生手段の動作を停止させる動作制御手段をさらに有する、請求項2ないし5のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項7】
前記起動回路は、
前記制御手段が可飽和リアクトルによって構成された場合、前記可飽和リアクトルの残留磁束をリセットするためのリセット信号を出力するリセット部をさらに有する、請求項1ないし6のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項8】
前記第1パルス発生部から発生される基準パルスの発生周期は、前記第1所定時間より長く設定されている、請求項3ないし7のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項9】
前記駆動パルスのパルス幅は、前記スイッチ素子のオン・オフ周期より短く設定されている、請求項1ないし8のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項10】
回路上に過電流が流れたことを検出する過電流検出手段と、
前記過電流検出手段による検出結果に基づいて、前記スイッチ素子によるオン・オフ動作を停止させる発振停止手段と、
を有する保護回路がさらに設けられている、請求項1ないし9のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項11】
前記保護回路は、
前記過電流検出手段による検出結果に基づいて、前記起動回路の出力制御手段による前記起動用スイッチの再度のオン動作を停止させるオン動作停止手段をさらに有する、請求項10に記載のスイッチング電源回路。
【請求項12】
前記過電流検出手段は、
前記いずれかのスイッチ素子に接続された電流検出用抵抗と、その電流検出用抵抗に接続されたトリガー入力端子を有し、前記トリガー入力端子に入力されるトリガー入力信号によってオン動作するとその状態を保持するサイリスタと、によって構成され、
前記発振停止手段は、
前記サイリスタのオン動作に基づいて、前記スイッチ素子によるオン・オフ動作を停止させる、請求項10又は11に記載のスイッチング電源回路。
【請求項13】
回路上の過度の温度上昇を検出する過熱状態検出手段と、
前記過熱状態検出手段による検出結果に基づいて、前記スイッチ素子によるオン・オフ動作を停止させる発振停止手段と、
を有する保護回路がさらに設けられている、請求項1ないし9のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
【請求項14】
前記保護回路は、
前記過熱状態検出手段による検出結果に基づいて、前記起動回路の出力制御手段による前記起動用スイッチの再度のオン動作を停止させるオン動作停止手段をさらに有する、請求項13に記載のスイッチング電源回路。
【請求項15】
前記過熱状態検出手段は、
温度を検出するための温度センサと、その温度センサに間接的に接続されたトリガー入力端子を有し、前記トリガー入力端子に入力されるトリガー入力信号によってオン動作するとその状態を保持するサイリスタと、によって構成され、
前記発振停止手段は、
前記サイリスタのオン動作に基づいて、前記スイッチ素子によるオン・オフ動作を停止させる、請求項13又は14に記載のスイッチング電源回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2007−53888(P2007−53888A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25416(P2006−25416)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】