説明

スイッチ装置

【課題】可動端子と固定端子を確実に接触させることができるスイッチ装置を得る。
【解決手段】ストライカ88がラッチ90に係止されていない状態で、ターミナルベース14の固定端子54にスプリングターミナル70の可動端子74が接触している。つまり、マイクロスイッチはONの状態となっている。ここで、可動端子74は外側へ向って折曲げられており、板バネ機能を有している。さらに、可動端子74の先端部には、半球状の接点部74Aが外側へ向かって突出しており、該接点部74Aが固定端子54の接点部54Aと接触する。このように、接点部74Aが接点部54Aに接触した状態で、可動端子74には弾性エネルギが蓄積される。このため、単に可動端子74と固定端子54を接触させるだけの場合と比較して、可動端子74と固定端子54の接触力が向上し、可動端子74と固定端子54を確実に接触させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カップホルダーや灰皿などの車室内のアクセサリーやオーディオ機器等にはスイッチ装置が備えられている。例えば、特許文献1では、スイッチ付ラッチが開示されており、コイルスプリングで付勢され突出位置に位置する可動部材をハウジング内へ押し込むことにより、ロック機構がロック状態となって可動部材を押し込み位置にロックする。
【0003】
そして、この状態で、マイクロスイッチがオフとなり、押し込み位置の可動部材を再度ハウジング内へ押し込むことにより、ロック機構のロック状態が解除され、可動部材が突出位置へ戻ると共に、マイクロスイッチがオンとなる。
【0004】
このスイッチ付ラッチでは、マイクロスイッチが、可動部材に取り付けられたピンと、ハウジング内に固定され可動部材の突出位置でピンの両端部が接触して導通状態となり、可動部材の押し込み位置でピンの両端部が非接触となって非導通状態となる一対の固定端子と、を備えており、固定端子には端子孔が形成され、該端子孔内にピンが挿入可能とされている。
【0005】
可動部材が突出位置に到達すると、端子孔の端部がピンに接触して、導通状態となるが、端子孔の幅はピンの外径寸法よりも大きくされており、端子孔の端部がピンの外径寸法と略同一となっている。このため、一対の固定端子でその位置がずれると、端子孔の内縁部がピンに接触しない場合が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−42428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事実を考慮して、可動端子と固定端子を確実に接触させることができるスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、スイッチ装置において、ハウジングから突出可能に設けられた移動部材と、前記移動部材に設けられ、ストライカと係合するラッチ部材と、前記移動部材を前記ハウジングから突出させる方向へ付勢する付勢手段と、前記付勢手段に付勢力が蓄積された状態で、前記ハウジングに対して前記移動部材を移動不能にロックし、移動部材がハウジングにロックされた状態で移動部材をハウジング内へ押込むと移動部材のロック状態を解除するロック手段と、前記移動部材に設けられた可動端子と、前記ハウジング内に固定された固定部材に設けられ、前記移動部材のロック状態で、前記可動端子が接触して導通し、移動部材のロック解除状態で、可動端子が非接触となって非導通となる固定端子と、を備え、少なくとも可動端子又は固定端子に弾性エネルギが蓄積された状態で、前記可動端子と前記固定端子が接触する。
【0009】
請求項1に記載の発明では、ハウジングから移動部材が突出可能とされており、該移動部材にはストライカと係合するラッチ部材が設けられている。ここで、移動部材をハウジングから突出させる方向へ付勢する付勢手段が設けられており、付勢手段に付勢力が蓄積された状態で、ハウジングに対して移動部材が移動不能にロックされ、移動部材がハウジングにロックされた状態で移動部材をハウジング内へ押込むと移動部材のロック状態が解除される。
【0010】
また、移動部材には可動端子が設けられており、ハウジング内に固定された固定部材に設けられた固定端子が接触可能とされている。そして、移動部材のロック状態では、可動端子が固定端子に接触して導通し、移動部材のロック解除状態では、可動端子が固定端子に対して非接触となって非導通となる。
【0011】
ここで、少なくとも可動端子又は固定端子に弾性エネルギが蓄積された状態で、可動端子と固定端子を接触させる。これにより、単に可動端子と固定端子を接触させるだけの場合と比較して、可動端子と固定端子の接触力が向上する。つまり、可動端子と固定端子を確実に接触(導通)させることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、スイッチ装置において、ハウジングから突出可能に設けられた移動部材と、前記移動部材に設けられ、ストライカと係合するラッチ部材と、前記移動部材を前記ハウジングから突出させる方向へ付勢する付勢手段と、前記付勢手段に付勢力が蓄積された状態で、前記ハウジングに対して前記移動部材を移動不能にロックし、移動部材がハウジングにロックされた状態で移動部材をハウジング内へ押込むと移動部材のロック状態を解除するロック手段と、前記移動部材に設けられた可動端子と、前記ハウジング内に固定された固定部材に設けられ、前記移動部材のロック解除状態で、前記可動端子が接触して導通し、移動部材のロック状態で、可動端子が非接触となって非導通となる固定端子と、を備え、少なくとも可動端子又は固定端子に弾性エネルギが蓄積された状態で、前記可動端子と前記固定端子が接触する。
【0013】
請求項2に記載の発明では、移動部材のロック解除状態では、可動端子が固定端子に接触して導通し、移動部材のロック状態では、可動端子が固定端子に対して非接触となって非導通となるが、請求項1に記載の発明の効果と略同一の効果を得ることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のスイッチ装置において、前記ラッチ部材が前記移動部材に回転可能に支持され、前記ハウジング内には移動部材の移動量を前記ラッチ部の回転力に変換させるカム手段が設けられている。
【0015】
請求項3に記載の発明では、ラッチ部材が移動部材に回転可能に支持されており、前記ハウジング内に設けられたカム手段によって、移動部材の移動量をラッチ部の回転力に変換させることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載のスイッチ装置において、前記ハウジングに前記固定部材を固定する固定手段を設けている。
【0017】
請求項4に記載の発明では、ハウジングに固定部材を固定する固定手段を設けることで、固定部材をハウジングに対して位置決めすることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のスイッチ装置において、前記固定手段が、前記ハウジングに設けられた開口と、前記固定部材に設けられ、前記開口へ進入し、開口の口縁部に係止される突起部と、を含んで構成されている。
【0019】
請求項5に記載の発明では、ハウジングに開口を設けている。固定部材には、突起部を設けており、ハウジング内に固定部材を挿入し、突起部が開口へ進入して開口の口縁部に係止されると、固定部材がハウジングに固定される。これによると、ハウジングの開口から突起部が露出するため、固定部材がハウジングに確実に固定されたか否かを目視で確認することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載のスイッチ装置において、前記ロック手段が、前記移動部材に形成された循環カム溝と、前記ハウジングに揺動可能に設けられて、前記循環カム溝に沿って循環し、循環カム溝に設けられた係止部に係止された状態で、前記移動部材をロックするガイド部材と、を含んで構成されている。
【0021】
請求項6に記載の発明では、ロック手段が、移動部材に形成された循環カム溝を備えており、ハウジングにはガイド部材が揺動可能に設けられている。そして、移動部材の移動によって、ガイド部材が循環カム溝に沿って循環し、ガイド部材が循環カム溝に設けられた係止部に係止された状態で移動部材がロックされる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載のスイッチ装置において、前記ロック手段が、前記ハウジングに形成された循環カム溝と、前記移動部材に揺動可能に設けられて、前記循環カム溝に沿って循環し、循環カム溝に設けられた係止部に係止された状態で、前記移動部材をロックするガイド部材と、を含んで構成されている。
【0023】
請求項7に記載の発明では、ハウジングに循環カム溝が形成され、移動部材にはガイド部材が揺動可能に設けられている。そして、移動部材の移動によって、ガイド部材が循環カム溝に沿って循環し、ガイド部材が循環カム溝に設けられた係止部に係止された状態で移動部材がロックされる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載のスイッチ装置において、前記固定端子が前記固定部材にインサート成形されている。
【0025】
請求項8に記載の発明では、固定端子を固定部材にインサート成形することで、固定端子を固定部材に装着する作業を省くことができ、作業工数を削減することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、上記構成としたので、可動端子と固定端子を確実に接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の横断面図であり、スイッチ装置にストライカが係止されていない状態のスイッチ装置のみを示している。
【図3】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置のハウジングを示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の縦断面図であり、スイッチ装置にストライカが係止されていない状態を示している。
【図5】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の縦断面図であり、スイッチ装置にストライカを係止させる途中の状態を示している。
【図6】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の縦断面図であり、スイッチ装置にストライカが係止された状態を示している。
【図7】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の横断面図であり、スイッチ装置にストライカが係止された状態のスイッチ装置のみを示している。
【図8】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の縦断面図であり、スイッチ装置からストライカを無理に引張った状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置について説明する。
図1に示すように、スイッチ装置10はハウジング12を備えており、該ハウジング12内にターミナルベース14及びスライダー16等が収容可能とされている。
【0029】
(ハウジング)
まず、ハウジング12について説明する。
図1に示すように、スイッチ装置10には、角筒型を成すハウジング12が備えられている。ここで、説明の便宜上、図1の矢印UPはハウジング12の上方を示し、矢印DOWNはハウジング12の下方を示している。
【0030】
ハウジング12の長手方向の一端側(図1中右側)には、ハウジング12の側壁12Aから張り出すフランジ18が設けられている。このフランジ18はハウジング12の下壁12B側に設けられた傾斜部20と、この傾斜部20と繋がりハウジング12の側壁12Aと平行に形成された直線部22と、で構成されている。
【0031】
直線部22の近傍には、ハウジング12の長手方向に沿って貫通穴24が形成されており、該貫通穴24内には、直線部22側へ延出する係止片26が設けられている。図2に示すように(なお、図2はスイッチ装置10の横断面図である)、この係止片26は先端側へ行くにしたがって外側へ向かって張り出しており、フランジ18との間で、フレーム11に形成された取付穴11Aの周縁部を挟持することで、ハウジング12をフレーム11に取付け可能としている。
【0032】
一方、図1に示すように、フランジ18の直線部22では、ハウジング12の側壁12Aの外側に張り出した分、直線部22の内壁は傾斜部20の内壁よりも外側に広がり、ハウジング12の一端部では、ハウジング12の上壁12C側の開口28が下壁12B側の開口30よりも幅広となっている。このため、スライダー16をハウジング12内に収容させるとき、スライダー16の上下方向の逆挿入が防止される。ここで、図3に示すように、ハウジング12の一端側の側壁12Aの内側には、後述するが、三角形状を成すカム斜面(カム手段)32が形成されている。
【0033】
また、ハウジング12の他端側の上壁12C及び下壁12Bには、ハウジング12の幅方向に沿って、矩形穴36が貫通している。そして、ハウジング12内には、矩形穴36のフランジ18側に位置する口縁部近傍にストッパ38が設けられている。
【0034】
ストッパ38は、直方体状を成す首部40と胴部42を備えている。首部40の、矩形穴36とは反対側の面の上端部には、係合凹部44が設けられており、略U字状を成すレバー46(図1参照)の基部46Aが係合可能とされている。
【0035】
そして、後述するターミナルベース14の延出片48(図1参照)と係合凹部44との間で、レバー46の基部46Aが保持される(図4参照;なお、図4はスイッチ装置の縦断面図である)。これにより、レバー46は基部46Aを中心に、レバー46が上下方向に沿って揺動可能とされる。
【0036】
一方、胴部42の、矩形穴36とは反対側の面の中央部には、ハウジング12の長手方向に沿って突出する棒状の装着部50が設けられている。この装着部50にコイルスプリング52(図1参照)が装着される。なお、首部40の両側壁からは、ハウジング12の幅方向に沿って延出した後、ハウジング12の上壁へ延びる腕部(図示省略)が設けられている。
【0037】
また、ストッパ38の首部40の上面とハウジング12の上壁12Cとの間、及び、胴部42とハウジング12の側壁12Aとの間には、それぞれ隙間が設けられており、後述するターミナルベース14の延出片48及び固定端子54がそれぞれの隙間へ挿通可能とされている。
【0038】
(ターミナルベース)
次に、ターミナルベースについて説明する。
図1及び図3に示すように、ターミナルベース14は略直方体状を成しており、ハウジング12の長手方向の他端側(図1中左側)から収容可能とされている。ハウジング12内には、ストッパ38が設けられているため、該ストッパ38によってターミナルベース14は移動規制される。
【0039】
ここで、ターミナルベース14の一端面はハウジング12の開口に位置し、一端面の中央部からは、水平方向に沿って一対の長板状の導電性の固定端子56が設けられている。この固定端子56が、例えば、LEDの点灯装置などと接続されている。
【0040】
また、ターミナルベース14の他端面の下部両端部には、固定端子56と接続された長板状の導電性の固定端子54がそれぞれ水平方向に沿って設けられており、インサート成形によって固定端子56と共に樹脂製のターミナルベース14と一体に形成されている。これにより、固定端子54、56をターミナルベース14に装着する作業を省くことができ、作業工数を削減することができる。
【0041】
この固定端子54が、前述したように、ハウジング12の側壁12Aとストッパ38の胴部42の間に設けられた隙間内に挿通可能とされており、固定端子54の先端部には、上方へ向かって垂直に起立する接点部54Aが設けられている。
【0042】
また、ターミナルベース14の他端面の上部中央からは、延出片48が水平に延出しており、前述したように、ハウジング12の上壁12Cと首部40の上面との間に設けられた隙間内に挿通可能とされ、延出片48が該隙間内に挿通された状態で、延出片48とストッパ38の係合凹部44との間でレバー46が保持される(図4参照)。
【0043】
さらに、ターミナルベース14の上面及び下面には、突起部58が設けられている。この突起部58はハウジング12に設けられた矩形穴36へ進入可能とされており、ハウジング12の長手方向の他端側からターミナルベース14を圧入し、ターミナルベース14がストッパ38に当接して移動規制された状態で、突起部58が矩形穴36へ進入して該突起部58は矩形穴36の口縁部にそれぞれ係止される。
【0044】
これにより、ターミナルベース14がハウジング12に固定される。また、この状態では、ハウジング12の矩形穴36から突起部58が露出するため、ターミナルベース14がハウジング12に確実に固定されたか否かを目視で確認することができる。
【0045】
(スライダー)
次に、スライダーについて説明する。
図1に示すように、スライダー16は略直方体状を成しており、ハウジング12の長手方向の一端側から収容可能とされている。スライダー16はカム部60と支持部62とで構成されており、カム部60側がハウジング12内に収容される。
【0046】
カム部60の端面の中央部には、スライダー16の長手方向に沿って略円柱状の収容凹部(図示省略)が形成されており、ストッパ38の装着部50に装着されたコイルスプリング52の他端部が収容可能とされている。そして、スライダー16はこのコイルスプリング52によってハウジング12から突出する方向へ付勢されるようになっている。
【0047】
また、カム部60の両側壁の上部には、略ハート状を成すカム溝66が形成されている。このカム溝66に、ストッパ38の係合凹部44に係合されたレバー46の先端部に設けられた係合ピン46Bがそれぞれ係合する。
【0048】
カム部60の両側壁の下部には、カム部60の端面側に略直方体状の突設部64が設けられており、該突設部64の近傍には、係止孔68が形成されている。この係止孔68を介して、導電性のスプリングターミナル70がカム部60の両側壁の下部に装着可能とされている。
【0049】
スプリングターミナル70は、カム部60の下壁に面接触される基部72と、基部72の両側に互いに対面するようにして折曲げられた可動端子74と、で構成されている。可動端子74は、基部72の長手方向に沿って延出しており、可動端子74の基部側には装着片76が設けられ、該装着片76が係止孔68に係止される。
【0050】
また、可動端子74は互いに離間する方向へ向かって外側へ折曲げられており、板バネ機能を有している。さらに、可動端子74の先端部の外面には、半球状の接点部74Aが外側へ向かって突出している。
【0051】
また、接点部74Aの外面同士の離間距離は、ターミナルベース14に設けられた固定端子54の接点部54Aの内面同士の離間距離よりも大きくなっており、接点部74Aは接点部54Aと対面可能としている。このため、該接点部74Aは縮径された状態で固定端子54の接点部54Aと接触する。そして、接点部74Aが接点部54Aに接触した状態で、互いに導通しマイクロスイッチがONの状態となる。
【0052】
ここで、固定端子54の接点部54Aは、固定端子54の先端部で上方へ向かって垂直に起立した状態で形成されているため、固定端子54の基部側は、接点部54Aとの間に高さ方向でずれている。したがって、可動端子74の接点部74Aが接点部54Aとの対面位置からずれると、可動端子74の接点部74Aと固定端子54は接触しない状態(非接触の状態)となる。
【0053】
一方、支持部62は、カム部60よりも幅広とされており、支持部62がカム部60の一部を覆うようにして形成されている。そして、この支持部62がカム部60を覆っている領域では、支持部62とカム部60との間には、その幅方向で隙間が設けられている。
【0054】
支持部62には、スライダー16の幅方向に沿って、軸支穴78が形成されており、ラッチ部材80に設けられた軸部82が支持部62とカム部60との間に設けられた隙間内を挿通して、軸支穴78に軸支される。これにより、ラッチ部材80が軸部82を中心にスライダー16に対して揺動可能となる。
【0055】
また、支持部62の端面には、上部が切込まれてカム部60の略半分の高さとなった張出部84が設けられている。この張出部84には、その上下方向に貫通する挿通穴86が形成されており、ラッチ部材80の一端部に設けられたラッチ90が、挿通穴86内を上下に移動(揺動)可能としている。このラッチ90によって、ストライカ88(図4参照)が係止される。
【0056】
また、ラッチ部材80の他端部には、カム部60の幅方向へ突出するガイド部92が設けられている。このガイド部92がハウジング12の一端側の内側に設けられたカム斜面32(図3参照)に当接可能としており、カム斜面32の形状に従って、ガイド部92を介して、ラッチ部材80が軸部82を中心に揺動する。
【0057】
つまり、ラッチ部材80がスライダー16の支持部62に揺動可能に支持された状態で、カム斜面32によって、ガイド部92を介して、スライダー16の移動量をラッチ部材80の回転力に変換させることができる。
【0058】
ここで、図1に示すように、スライダー16のカム部60の下面の支持部62側中央には、突起16Aが設けられており、ハウジング12の一端側の下壁12Bの中央に設けられた挿入穴(図示省略)内へ挿入可能とされている。突起16Aが挿入穴内へ挿入された状態で、突起16Aの移動範囲内でスライダー16はハウジング12内を移動可能となっている。これにより、スライダー16が無闇にハウジング12から抜け出さないようにしている。
【0059】
(スイッチ装置の作用)
次に、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の作用について説明する。
図2及び図4に示すように(なお、図2ではストライカの図示を省略している)、ストライカ88がラッチ90に係止されていない状態では、コイルスプリング52によってスライダー16はハウジング12から突出する方向へ付勢され、レバー46の係合ピン46Bはカム溝66の導入部66Aに位置している。
【0060】
ここで、ハウジング12に設けられた挿入穴(図示省略)及びスライダー16に設けられた突起16Aを介して該スライダー16は移動規制されるため、コイルスプリング52の付勢力によってスライダー16がハウジング12から抜け出ることはない。また、この状態では、ターミナルベース14に設けられた固定端子54の接点部54Aにスプリングターミナル70に設けられた可動端子74の接点部74Aが接触している。つまり、マイクロスイッチはONの状態となっている。
【0061】
この状態から、図5に示すように、ストライカ88をハウジング12側へ移動させる。ここで、ストライカ88は表面が曲面状を成すボタン部94を有しており、該ボタン部94の裏面上部、すなわち、支持部62の上部端面と対面可能な位置からは被係止片96が突出している。この被係止片96の先端部に設けられた鈎状の被係止部96Aがラッチ部材80のラッチ90に係止可能とされる。
【0062】
まず、図4に示す状態から、ボタン部94を押圧してストライカ88をハウジング12側へ移動させるが、ストライカ88の被係止部96Aが支持部62の上部端面に当接する。このため、この状態のままストライカ88をハウジング12側へ移動させると、支持部62を介して、スライダー16がコイルスプリング52の付勢力に抗してハウジング12内へ押込まれる。
【0063】
図5に示すように、スライダー16がハウジング12内へ押込まれると、スライダー16に設けられたガイド部92及びハウジング12に設けられたカム斜面32を介して、ラッチ90が上方へ向かって移動する。このとき、スライダー16のカム溝66の移動と共に、カム溝66の形状に沿ってレバー46の係合ピン46Bは揺動する。
【0064】
ここで、カム溝66からはスライダー16の長手方向に沿って第1終端部66Bが延出しており、この第1終端部66Bがレバー46の係合ピン46Bに当接すると、スライダー16を介してストライカ88はその移動が規制される。
【0065】
これにより、ボタン部94への押圧力を解除すると、コイルスプリング52の付勢力により、スライダー16がハウジング12から突出する方向へ付勢される。このとき、カム溝66の移動と共に、図6に示すように、カム溝66の凹部66Cがレバー46の係合ピン46Bに係止されスライダー16が移動規制されると共に、被係止部96Aがラッチ90に係止される。
【0066】
そして、図6及び図7に示す状態では(なお、図7ではストライカの図示を省略している)、スプリングターミナル70に設けられた可動端子74の接点部74Aは、ターミナルベース14に設けられた固定端子54の接点部54Aの対面位置からずれており、接点部74Aと接点部54Aは非接触の状態となる。つまり、マイクロスイッチはOFFの状態となる。
【0067】
この状態で、ストライカ88のボタン部94を再度押圧して、スライダー16をハウジング12内へ押込むと、カム溝66の移動と共に、カム溝66の凹部66Cとレバー46の係合ピン46Bとの係止状態が解除され、第1終端部66Bの上部に設けられた第2終端部66Dが、レバー46の係合ピン46Bに当接して、スライダー16を介してストライカ88はその移動が規制される。
【0068】
これにより、ボタン部94への押圧力を解除すると、コイルスプリング52の付勢力により、スライダー16がハウジング12から突出する方向へ付勢される。このとき、カム溝66の移動と共に、図4に示すように、カム溝66の導入部66Aがレバー46の係合ピン46Bの位置へ戻る。また、スライダー16のガイド部92がカム斜面32に沿って移動して、ラッチ90が下方へ移動する。これにより、被係止部96Aがラッチ90に係止された状態が解除される。
【0069】
そして、この状態では、スプリングターミナル70に設けられた可動端子74の接点部74Aは、ターミナルベース14に設けられた固定端子54の接点部54Aに接触し、マイクロスイッチはONの状態となる。
【0070】
本実施形態では、可動端子74は外側へ向って折曲げられており、板バネ機能を有している。さらに、可動端子74の先端部には、半球状の接点部74Aが外側へ向かって突出しており、該接点部74Aがターミナルベース14に設けられた固定端子54の接点部54Aと接触する。そして、接点部74Aが接点部54Aに接触した状態で、スイッチがONの状態となる。
【0071】
つまり、可動端子74に弾性エネルギが蓄積された状態で、固定端子54が接触することとなる。このため、単に可動端子74と固定端子54を接触させるだけの場合と比較して、可動端子74と固定端子54の接触力が向上し、可動端子74と固定端子54を確実に接触(導通)させることができる。
【0072】
なお、ここでは、固定端子54と接触した状態で、可動端子74に弾性エネルギが蓄積されるようにしたが、固定端子54側に弾性エネルギが蓄積されるようにしても良いし、また、可動端子74及び固定端子54に弾性エネルギが蓄積されるようにしても良い。
【0073】
ところで、本実施形態では、図6及び図7に示す状態で、ストライカ88のボタン部94を押圧して、スライダー16をハウジング12内へ押込み、カム溝66の凹部66Cとレバー46の係合ピン46Bとの係止状態を解除させ、コイルスプリング52によってスライダー16をハウジング12から突出させることで、ラッチ部材80を揺動させ、被係止片96から係止解除させるようにしたが、必ずしもスライダー16をハウジング12内へ押込む必要はない。
【0074】
ラッチ部材80が支持部62に対して揺動可能に設けられているため、図6及び図7に示す状態で、ストライカ88を引張ると、ストライカ88の被係止片96を介して、ラッチ部材80が支持部62に対して揺動する。このため、図8に示すように、ラッチ90を被係止片96から係止解除させることができる。これによると、ストライカ88とラッチ部材80との間で必要以上に外力が作用した場合に、被係止片96及びラッチ90の破損を防止することができる。
【0075】
また、本実施形態では、図4に示すように、ストライカ88がラッチ90に係止されていない状態で、ターミナルベース14の固定端子54の接点部54Aにスプリングターミナル70の可動端子74の接点部74Aを接触させ、スイッチがONの状態となるようにしたが、スプリングターミナル70の可動端子74の接点部74Aの位置を変え、ストライカ88がラッチ90に係止されていない状態で、スイッチがOFFの状態となり、ストライカ88がラッチ90に係止された状態で、スイッチはONの状態になるようにしても良い。
【0076】
また、ここでは、レバー46をストッパ38に取付けるようにしたが、スライダー16を移動規制することができれば良いためこれに限るものではない。例えば、ハウジング12にレバー46を取付けても良い。さらに、ストライカ88の形状はボタン部94を有するものに限るものではない。例えば、ストライカとしては、板状の蓋体の裏面に被係止片を設けた形状であっても良く、また、該ストライカの形状によっては、ラッチ90の形状を変えても良い。
【符号の説明】
【0077】
10 スイッチ装置
12 ハウジング
14 ターミナルベース(固定部材)
16 スライダー(移動部材)
32 カム斜面(カム手段)
36 矩形穴(開口、固定手段)
46 レバー(ガイド部材)
52 コイルスプリング(付勢手段)
54 固定端子
58 突起部(固定手段)
66 カム溝(循環カム溝)
66C 凹部(係止部)
74 可動端子
80 ラッチ部材
88 ストライカ
92 ガイド部(カム手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングから突出可能に設けられた移動部材と、
前記移動部材に設けられ、ストライカと係合するラッチ部材と、
前記移動部材を前記ハウジングから突出させる方向へ付勢する付勢手段と、
前記付勢手段に付勢力が蓄積された状態で、前記ハウジングに対して前記移動部材を移動不能にロックし、移動部材がハウジングにロックされた状態で移動部材をハウジング内へ押込むと移動部材のロック状態を解除するロック手段と、
前記移動部材に設けられた可動端子と、
前記ハウジング内に固定された固定部材に設けられ、前記移動部材のロック状態で、前記可動端子が接触して導通し、移動部材のロック解除状態で、可動端子が非接触となって非導通となる固定端子と、
を備え、
少なくとも可動端子又は固定端子に弾性エネルギが蓄積された状態で、前記可動端子と前記固定端子が接触するスイッチ装置。
【請求項2】
ハウジングから突出可能に設けられた移動部材と、
前記移動部材に設けられ、ストライカと係合するラッチ部材と、
前記移動部材を前記ハウジングから突出させる方向へ付勢する付勢手段と、
前記付勢手段に付勢力が蓄積された状態で、前記ハウジングに対して前記移動部材を移動不能にロックし、移動部材がハウジングにロックされた状態で移動部材をハウジング内へ押込むと移動部材のロック状態を解除するロック手段と、
前記移動部材に設けられた可動端子と、
前記ハウジング内に固定された固定部材に設けられ、前記移動部材のロック解除状態で、前記可動端子が接触して導通し、移動部材のロック状態で、可動端子が非接触となって非導通となる固定端子と、
を備え、
少なくとも可動端子又は固定端子に弾性エネルギが蓄積された状態で、前記可動端子と前記固定端子が接触するスイッチ装置。
【請求項3】
前記ラッチ部材が前記移動部材に回転可能に支持され、前記ハウジング内には移動部材の移動量を前記ラッチ部の回転力に変換させるカム手段が設けられた請求項1又は2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記ハウジングに前記固定部材を固定する固定手段を設けた請求項1〜3の何れか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記固定手段が、
前記ハウジングに設けられた開口と、
前記固定部材に設けられ、前記開口へ進入し、開口の口縁部に係止される突起部と、を含んで構成された請求項4に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記ロック手段が、
前記移動部材に形成された循環カム溝と、
前記ハウジングに揺動可能に設けられて、前記循環カム溝に沿って循環し、循環カム溝に設けられた係止部に係止された状態で、前記移動部材をロックするガイド部材と、
を含んで構成された請求項1〜5の何れか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記ロック手段が、
前記ハウジングに形成された循環カム溝と、
前記移動部材に揺動可能に設けられて、前記循環カム溝に沿って循環し、循環カム溝に設けられた係止部に係止された状態で、前記移動部材をロックするガイド部材と、
を含んで構成された請求項1〜5の何れか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記固定端子が前記固定部材にインサート成形された請求項1〜7の何れか1項に記載のスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−192339(P2010−192339A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37200(P2009−37200)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】