説明

スキャンアンテナ

【課題】拡大縮小可能なリニアスキャンアンテナを提供すること。
【解決手段】固定面(120)を有するスキャンアンテナアセンブリ(520)において実施可能な反射鏡アセンブリ(100)は、固定面(120)に結合された支持アセンブリ(110)と、ほぼ平面の第1の反射鏡パネル(130)であって、第1の反射鏡パネル(130)の中心軸のまわりに第1の反射鏡パネル(130)が回転できるように支持アセンブリ(110)に結合された第1の反射鏡パネル(130)と、第1の反射鏡パネル(130)に結合された並進アーム(160)を含むアクチュエータアセンブリ(140)とを備え、アーム(160)の並進運動の動作により、第1の反射鏡パネル(130)がその中心軸のまわりに所定の角度範囲にわたって所定の周波数で前後に回転するようにできる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ミリメートル波の画像ベースの航空機着陸用合成映像システム(SVS)では、94GHzにおいて更新速度が100msであるかそれよりも速く、方位角方向で+/−15°を直線的にスキャンするアンテナを必要とすることがある。クランクロッカー駆動装置を使用する従来の機械式スキャンアセンブリは、望ましくない正弦波のプロファイルをもたらすことになり、大きくて扱いにくく、小型でコンパクトなアセンブリを必要とする小さなプラットフォームには不適切なことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許第5453653号
【特許文献2】米国特許第5616980号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態では、固定面を有するスキャンアンテナアセンブリにおいて実施可能な反射鏡アセンブリは、固定面に結合された支持アセンブリと、ほぼ平面の第1の反射鏡パネルであって、第1の反射鏡パネルの中心軸のまわりに第1の反射鏡パネルが回転できるように支持アセンブリに結合された第1の反射鏡パネルと、第1の反射鏡パネルに結合された並進アームを含むアクチュエータアセンブリとを備え、アームの並進運動の動作により、第1の反射鏡パネルがその中心軸のまわりに所定の角度範囲にわたって所定の周波数で前後に回転するようにできる。
【0004】
本発明の好ましい実施形態および代替実施形態を以下の図面を参照して次に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明の一実施形態による反射鏡アセンブリの第1の斜視平面図である。
【図2】本発明の一実施形態による反射鏡アセンブリの第2の斜視平面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるモータの斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態によるアクチュエータアセンブリの斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態によるアンテナアセンブリの第1の部分破断斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態によるアンテナアセンブリの第2の部分破断斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態によるアンテナアセンブリの第3の部分破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一実施形態では、拡大縮小可能なリニアスキャンアンテナを含み、このリニアスキャンアンテナは、小型ビジネスジェット機を含む多くのプラットフォームのサイズ、重量、出力、および製造コストの制約条件を満たすための好ましい解決策になりうる。
【0007】
本発明の一実施形態では、摩擦駆動圧電モータを使用して、小型の拡大縮小可能機械式スキャンアンテナのリニアスキャンプロファイルに対処する。最適位置に配置した摩擦駆動モータにより、スキャン機構を非常に小さくすることができ、その設計は、様々な開口寸法およびスキャン速度に対して拡大縮小可能である。圧電モータは非常に小さく、必要であれば複数のモータを使用して高いトルクを得ることもできる。閉ループシステムとして動作すると、アンテナビーム位置は、角度位置フィードバック光学エンコーダを用いて精密に制御される。PIDコントローラを使用すると、スキャンプロファイルは完全にプログラム可能になる。通常の正弦波プロファイルの代わりに、任意のプロファイルをプログラムして特定のシステム要件を満たすことができる。摩擦駆動機構は、荒い離陸および着陸の際の強い衝撃を吸収するとともに自己回復することができる。
【0008】
以下でより詳細に説明するように、一実施形態によるアンテナは、フィードホーンと、主パラボラ反射鏡と、スキャンする小型軽量のサブ反射鏡とを含むことができる。このような設計では、パラボラ反射鏡の焦点に配置されたフィードホーンから水平偏波が放射し、反射され、垂直偏波になって、最小損失で主反射鏡を通過する。サブ反射鏡を回転させることによって、ビームは同じ方向に2倍の振幅で進行する。スキャンは、例えば小型摩擦駆動モータを使用してサブ反射鏡を直線的に動かすことによって実施することができる。
【0009】
図1および図2を参照すると、本発明の一実施形態による反射鏡アセンブリ100が示されている。反射鏡アセンブリ100は支持アセンブリ110を含み、この支持アセンブリは、図示のように1対の取付けブラケット110a、110bを含むことができる。支持アセンブリ110は固定面パネル120に取り付けることができ、この固定面パネルは、以下でさらに詳細に説明するように、スキャンアンテナハウジングの一部分を形成することができる。ほぼ平面の反射鏡パネル130は、取付けブラケット110a、110bを貫通する反射鏡の中心軸のまわりに反射鏡パネルを回転させることができるようにして、支持アセンブリ110に取り付けられる。
【0010】
アクチュエータアセンブリ140が反射鏡パネル130に結合される。図示の実施形態では、図3および図4でもさらに示されているように、アクチュエータアセンブリ140は第1の圧電モータ150aおよび第2の圧電モータ150bを含み、これらの圧電モータは、ヒンジ170によってパネル130に結合されたアーム160を直線的に前後に動かす。アーム160のこのような並進運動は、反射鏡パネル130をその中心軸のまわりに所定の角度範囲(例えば、一実施形態では、全体で15°の動きの場合に+/−7.5°)にわたって所定の周波数(例えば10Hz)で回転させるように前後に動作可能である。アクチュエータアセンブリ140はさらにエンコーダセンサ180を含み、このエンコーダセンサは、好ましくは、モータ150a、150bの両方と連絡し、パネル130の位置および動きを検知/制御するように取付けブラケット110a、110bの一方に取り付けられる。
【0011】
アーム160は一般に、セラミック材料の細片などの摩擦面を有し、この摩擦面は、モータ150a、150bに対してアーム160を動かすようにモータ150a、150bから作用を受ける。エンコーダセンサ180は、ほぼ平面の反射鏡パネル130の、モータ150a、150bに対する角度位置を決定するために使用される。本発明の一実施形態によれば、エンコーダセンサ180は、高分解能の角度位置フィードバック光学エンコーダである。
【0012】
図3に最もよく示されるように、モータ150a、150bは、アーム160の摩擦面と接触するように動作可能なフィンガ要素を含む。各フィンガ300が摩擦面に作用してアーム160をモータ150a、150bに対して前後に直線的に動かすようにモータに付随する電極(図示せず)を選択的に励振することによって、アーム160がモータ150a、150bに対して動く。フィンガ300の動きが小さいので、モータ150a、150bに対するアーム160の動きを非常に精密に制御することができる。本発明の実施形態に関連した用途に適する圧電リニアアクチュエータの付加的な説明については、1995年9月26日発行の米国特許第5453653号、および1997年4月1日発行の米国特許第5616980号を参照されたい。同特許の開示全体を参照により本明細書に組み込む。本発明の一実施形態によれば、圧電セラミックモータ150a、150bは、Nanomotion,Inc.から入手可能な精密デュアルモード定在波モータである。
【0013】
デュアルモード定在波モータの代替として、圧電リニアモータ150a、150bは直接駆動圧電モータを含むこともできる。必要な繰返し精度を実現できる他のモータ150a、150bには、それだけには限らないが、親ねじを使用したセラミック圧電モータが含まれる。
【0014】
次に図5を参照すると、一実施形態によるスキャンアンテナ520のハウジング500に結合され、その内部に配置された反射鏡アセンブリ100が示されている。やはり図5に示されているように、パネル130は、電磁信号を送信および/または受信するように動作可能なフィードホーン510をスロット(図示せず)または他の適切な構造によって受け入れるように構成される。
【0015】
図6を参照すると、送信される水平偏波レーダ信号波(矢印の組610で示される)が、パラボラ反射鏡630の焦点に配置されたフィードホーン510から放射し、パラボラ反射鏡630に当たって反射鏡パネル130の方にはね返り、パネル130で反射され垂直偏波と同様にねじられ、最後にパラボラ反射鏡630を通過して外に放射される。送信されたレーダ信号(今度は矢印の組620で示される)は、対象物に当たってはね返り、アンテナ520まで戻り、反射鏡パネル130に当たってはね返り、次にパラボラ反射鏡630に当たってはね返り、次いで受信器フィードホーン510上に集束する。
【0016】
図7に示されたように、アンテナ520はさらに中央シート710を含み、このシートは、反射鏡パネル130とパラボラ反射鏡630の間の領域を上側チャンバと下側チャンバに分離する役割を果たし、それによって、フィードホーン510に付随する送信と受信のそれぞれのフィールドを分離する。したがって、パネル130は、パネル130の回転時にシート710を収容する1つまたは複数のスロット530を含むことができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態を図示し説明してきたが、上記のように、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく多くの変更を加えることができる。したがって、本発明の範囲は、好ましい実施形態の開示によっては制限されない。そうではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲を参照することによって完全に確定されるべきものである。
【0018】
独占的な所有権または特権が主張される本発明の実施形態は、下記の通りに定義される。
【符号の説明】
【0019】
100 反射鏡アセンブリ
110 支持アセンブリ
110a 取付けブラケット
110b 取付けブラケット
120 固定面パネル
130 反射鏡パネル
140 アクチュエータアセンブリ
150a 第1の圧電モータ
150b 第2の圧電モータ
160 並進アーム、アーム
170 ヒンジ
180 エンコーダセンサ
300 フィンガ
500 ハウジング
510 受信器フィードホーン、送受信器フィードホーン
520 スキャンアンテナ、スキャンアンテナアセンブリ
530 スロット
610 送信される水平偏波レーダ信号波
620 送信されたレーダ信号
630 パラボラ反射鏡パネル
710 中央シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定面(120)を有するスキャンアンテナアセンブリ(520)において実施可能な反射鏡アセンブリ(100)であって、
前記固定面(120)に結合された支持アセンブリ(110)と、
ほぼ平面の第1の反射鏡パネル(130)であって、前記第1の反射鏡パネル(130)の中心軸のまわりに前記第1の反射鏡パネル(130)が回転できるように前記支持アセンブリ(110)に結合された第1の反射鏡パネル(130)と、
前記第1の反射鏡パネル(130)に結合された並進アーム(160)を含むアクチュエータアセンブリ(140)とを備え、前記アーム(160)の並進運動の動作により、前記第1の反射鏡パネル(130)が前記中心軸のまわりに所定の角度範囲にわたって所定の周波数で前後に回転するようにできる、反射鏡アセンブリ(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の反射鏡アセンブリ(100)において、前記並進アーム(160)が圧電駆動される反射鏡アセンブリ(100)。
【請求項3】
焦点領域を有するパラボラ反射鏡パネル(630)を含むハウジング(500)と、
前記焦点領域内に配置された送受信器フィードホーン(510)と、
前記ハウジング(500)に結合された支持アセンブリ(100)と、
ほぼ平面の反射鏡パネル(130)であって、前記平面の反射鏡パネル(130)の中心軸のまわりに前記平面の反射鏡パネル(130)が回転できるように前記支持アセンブリ(110)に結合された平面の反射鏡パネル(130)と、
前記平面の反射鏡パネル(130)に結合された並進アーム(160)を含むアクチュエータアセンブリ(140)とを備えるスキャンアンテナ(520)であって、前記アーム(160)の並進運動の動作により、前記平面の反射鏡パネル(130)が前記中心軸のまわりに所定の角度範囲にわたって所定の周波数で前後に回転するようにできる、スキャンアンテナ(520)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−74828(P2010−74828A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−205790(P2009−205790)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】