説明

スキンケア用組成物及び方法

親油性陽イオンでミトコンドリアに標的化された抗酸化化合物を含有し、治療的有効量の該抗酸化化合物を、皮膚線維芽細胞及び角化細胞へ送達する局所製剤を適用することを含む、対象の皮膚における活性酸素種生成から生じる皮膚状態を治療するための組成物及び方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年4月1日に出願された米国特許仮出願第61/041,551号の出願日の優先権を主張するものであり、この仮出願の全内容は引用により本明細書中に組み込まれている。
【0002】
(背景)
(技術分野)
本発明は概して、皮膚に影響を及ぼす疾患、障害及び状態を治療するための、生物医学的組成物及び方法に関する。特に本発明は、皮膚線維芽細胞及び角化細胞の細胞型におけるミトコンドリアへの送達を含む、皮膚線維芽細胞及び角化細胞への抗酸化剤の高度に有効な送達による、光老化及び他の年齢に関連した皮膚損傷などの、ヒト皮膚における活性酸素種生成から生じる皮膚状態を治療する組成物及び方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
哺乳類及び特にヒトを含む高等脊椎動物において、皮膚は、最大の体器官であり、かつ重要な環境との境界面としての機能を果たし、ホメオスタシスにとって重要である保護外皮を提供する。皮膚の外層である表皮は、下側にある表皮の顆粒細胞、有棘細胞、及び基底細胞の層から押し出された新たな物質により置き換えられるにつれて、連続して剥がれ落ちる、角質層、死滅した表皮の皮膚細胞(例えば角化細胞)の保護層、及び細胞外結合組織タンパク質により覆われ、基底細胞層では連続する細胞分裂及びタンパク質合成が、新たな皮膚細胞及び皮膚タンパク質(例えばケラチン、コラーゲン)を生成している。表皮の下側には真皮が位置し、そこでは真皮線維芽細胞が、皮膚の柔軟性、強度及び弾性を皮膚にもたらす細胞外マトリックス及び線維構造を構築する、結合組織タンパク質(例えばコラーゲン、エラスチンなど)を作り上げている。神経、血管、平滑筋細胞、毛包及び脂腺も、真皮に存在する。
【0004】
皮膚は、その障壁機能、力学的強度及び不透水性により、環境からの侵襲(environmental insult)に対する物理化学的保護を提供する。表皮の樹枝状(ランゲルハンス)細胞、並びに皮膚内の遊走性に加え常在性の白血球(例えばリンパ球、マクロファージ、マスト細胞)は、免疫防御に貢献する一方で、基底層内の色素性のメラノサイトは、潜在的に有害な紫外線(UV)照射を吸収する。
【0005】
しかし皮膚は、その構造及び機能を変更することが可能である広い範囲の物理的物質(例えばUV線照射)及び化学的物質(例えば生体異物)による毒性の侵襲の主要標的でもある。酸化的ストレスは、自然な皮膚老化及び光老化(UV曝露に起因した加速された皮膚老化)の両方の主要メディエーターとしてかかわっており、これは典型的には、皺、乾燥、痒み、たるみ、キメの変化、色素沈着又は肥厚、表在性血管の出現、良性及び前癌性病変を含む増殖の出現、並びに他の後遺症のようなひとつ以上の望ましくない作用を随伴している。皮膚老化を含む自然な老化において、酸化的ストレスは、全てのヒト細胞において生じかつ生命の維持に必要とされる好気的酸化代謝から派生する。皮膚の光老化において、酸化的ストレスは、日光UV照射に曝露された皮膚細胞内での電磁エネルギーの化学的活性酸素種(ROS)への光化学的転換から派生する。例えば、Mayachiの文献、「皮膚科学における酸化的ストレス(Oxidative Stress in Dermatology)」の「酸化的損傷に関連した皮膚疾患(Skin Diseases Associated with Oxidative Injury)」、J. Fuchs(編集)、Marcel Dekker社、NY、1993年、323ff頁を参照されたい。
【0006】
酸化的ストレスは、複雑な一連の細胞反応を稼動させる(例えば、Xuらの論文、Am. J. Pathol. 169:823 (2006);Xuらの論文、J. Biol. Chem. 281:27389 (2006))。中でもこれらの反応は、マトリックスメタロプロテイナーゼの生成増大を生じるシグナル伝達経路の活性化である。マトリックスメタロプロテイナーゼは、皮膚結合組織(真皮)を構成しているコラーゲン性細胞外マトリックスを分解する。主にI型コラーゲンによって構成されている真皮細胞外マトリックスの分解は、皮膚の構造上の完全性を損ない、かつ老化した皮膚及び光老化した皮膚の薄い、皺のよった外観に大きく寄与する(Fisherらの論文、Arch. Dermatol. 138:1462 (2002))。
【0007】
加えて多くの環境の汚染物質は、それら自身オキシダントであるか、さもなければ直接又は間接に活性酸素種(ROS)の生成を触媒するかのいずれかである。ROSは、光過敏性疾患及びいくつかの皮膚悪性疾患型を含む、多くの皮膚障害の病因に関係し得るアポトーシス経路及び他の調節された経路を変更する(例えば、統計学的に有意な様式でアップ-又はダウン-レギュレートする)ことができる機構を含む、細胞増殖及び/又は細胞生存のシグナル伝達機構を活性化すると考えられる。
【0008】
皮膚は、毒性物質の有害な作用を未然に防ぐために、毒性物質と相互作用する一連の防御機構を有する。これらの保護的機構は、強力な抗酸化剤又はオキシダント-分解システムとして機能する非酵素分子及び酵素分子を含んでいる。残念ながら、これらのホメオスタシス防御は、高度に有効であるが、限定された能力を有し、かつ圧倒されることがあり、これにより皮膚科疾患の発達を助長し得る皮膚中のROSの増大につながる。
【0009】
皮膚におけるこれらのROSが媒介した障害を予防又は治療するための多くのアプローチは、組織及び細胞内のタンパク質、DNA及びリン脂質の酸化的損傷をブロックし、生理的ホメオスタシスを回復しようとする、様々な抗酸化剤の直接の局所投与を基本にしている(例えば、Farrisの論文、Dermatol. Ther. 20:322 (2007);Kangらの論文、J. Invest. Dermatol. 120:835 (2003);Kohenの論文、Biomed. Pharmacother. 53:181 (1999))。そのような抗酸化剤は、局所的N-アセチルシステイン(例えば、Kangらの論文、J. Invest. Dermatol. 120:835 (2003))、及び典型的にはヒトユビキノンであるコエンザイムQ10(CoQ10)の優勢型を基にした他の抗酸化剤を含む。しかしCoQ10は、少なくとも一部その高度の疎水性に起因する概して低い生物学的利用能を示す生理的に標的化されない化合物であり、このことが酸化的損傷部位でのCoQ10の抗酸化活性が保護的レベルに到達することを困難にしている。
【0010】
別の標的化されない抗酸化剤は、人工的ユビキノンであるイデベノン、すなわちコエンザイムQ10類似体である。イデベノンは、生体皮膚における日焼け細胞の形成を抑制する局所薬としてのその能力を含む、様々な生化学的方法、細胞生物学的方法及びインビボ方法(例えば、米国特許第6,756,045号)において、酸化的ストレス由来の細胞損傷を保護するその能力を基に抗酸化作用を有することが示されている(McDanielらの論文、J. Cosmet. Dermatol. 4:10 (2005);同じく、Farrisの総説、Dermatol. Ther. 20:322 (2007)も参照のこと)。イデベノンは、局所クリーム剤としての比較臨床試験において、損傷から皮膚を保護することも報告されている(McDanielらの論文、J. Cosmet. Dermatol. 4:167 (2005))が、抗酸化的皮膚の光線保護剤としてのその有効性は疑問視されている(Tournasらの論文、J. Invest. Dermatol. 126:1185 (2006))。イデベノンは、化粧品(Prevage(登録商標))として局所的に利用可能であり、かつAllergan & Elizabeth Arden社により市販されている。しかしイデベノンは、標的化されない抗酸化剤として、酸化的損傷が生じ得る組織、細胞部位及び細胞下部位へ、抗酸化活性の局所的に高濃度を送達する能力を欠いている。例えば皮膚線維芽細胞について試験した場合、CoQ10よりも高濃度のイデベノンが、著しい細胞保護作用を得るために必要であり、かついずれの化合物も、ROS発生の主要部位であるミトコンドリア内での蓄積が不可能である(Jauslinらの論文、FASEB J. 17:1972 (2003))。多数の局所用皮膚科学製品が、抗酸化剤を使用し光老化に対し皮膚を保護することを主張しているが、一般に低濃度の抗酸化化合物のみを提供し、かつ皮膚への吸収不良を示している(Kangらの論文、J. Invest. Dermatol. 120:835 (2003);Tournasらの論文、J. Invest. Dermatol. 126:1185 (2006))。加えて、CoQ10又はイデベノンなどの標的化されない抗酸化剤による抗酸化活性の他の皮膚細胞型への有益な送達は依然として実証されるべきである。
【0011】
多段の複雑な細胞の呼吸、酸化及び代謝のプロセスは、高等生物における主要な細胞エネルギー源であるミトコンドリア内でかつそれにより制御されている。これらのプロセスは、電子伝達系(ETC)活性を含み、これは酸化的リン酸化を駆動し、アデノシン三リン酸(ATP)の形で代謝エネルギーを産生し、かつこれは細胞内カルシウムホメオスタシスにおける中心的なミトコンドリアの役割の基礎でもある。
【0012】
細胞及び組織を損傷する潜在能を有するより高度に反応性のフリーラジカルは、ETCのいずれかの工程での失敗を含むが、これに限定されるものではない、変更されたか又は欠損したミトコンドリアの活性から生じることがある。これらのフリーラジカルは、スーパーオキシド、ペルオキシナイトライト及びヒドロキシルラジカルなどの活性酸素種(ROS)、並びに潜在的に細胞に対し毒性であり得る他の活性種を含んでよい。例えばUVが誘導したシグナル伝達及びROS発生は、光老化の基礎となる分子機序の一部として、ヒト皮膚においてマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)発現を誘導することが示されている(Kangらの論文、J. Invest. Dermatol. 120:835 (2003))。
【0013】
当該技術分野において、角化細胞及び線維芽細胞のミトコンドリアなどのROS生成の皮膚部位への抗酸化剤の有効な送達を含む、ROS発生及び酸化的損傷から生じる皮膚状態を治療するための改善された組成物及び方法の必要性が明確に存在する。ここで明らかにされる発明の実施態様は、この必要性に対処し、かつ他の関連した利点をもたらす。
【発明の概要】
【0014】
(簡単な概要)
本発明のある実施態様に従い、対象の皮膚における活性酸素種生成から生じる皮膚状態を治療する方法であって、(a)(i)連結部分により抗酸化部分へ連結された親油性陽イオン部分、及び(ii)該陽イオン部分の陰イオン補完物(complement):を含む、抗酸化化合物、並びに(b)局所使用のための医薬賦形剤又は担体:を含有する局所製剤を皮膚へ適用することであって、ここで該製剤は、抗酸化化合物の治療的有効量を、皮膚線維芽細胞及び角化細胞へ送達し、かつ該陽イオン部分は、該抗酸化部分をミトコンドリアに標的化することが可能であり、かつここで該陰イオン補完物は、臭化物イオン又は硝酸陰イオンでなく、かつ前記抗酸化部分、陽イオン部分又は連結部分に対し反応性を示さない、医薬として許容し得る陰イオンであり、かつこれにより、皮膚における活性酸素種生成から生じる皮膚状態を治療することを含む、前記方法が提供される。ある実施態様において、この抗酸化部分は、(i)キノン又はキノール、(ii)ビタミンE又はビタミンE誘導体、(iii)アスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体、(iv)α-リポ酸又はそれらの誘導体、(v)連鎖破壊型酸化防止剤、(vi)誘導体化されたフラーレン、(vii)スピントラップ剤、(viii)ブチル化されたヒドロキシアニソール、ブチル化されたヒドロキシトルエン、5,5-ジメチルピロリン-N-オキシド、tert-ブチルニトロソベンゼン、tert-ニトロソベンゼン及びα-フェニル-tert-ブチルニトロンからなる群から選択される、抗酸化部分、並びに(ix)N-アセチルシステイン:から選択される少なくともひとつの抗酸化部分を含む。ある実施態様において、この局所製剤は、レチノイン酸を更に含有する。ある実施態様において、この抗酸化化合物は、(i)ヒト皮膚線維芽細胞中の活性酸素種の検出可能な指標、及び(ii)ヒト皮膚角化細胞中の活性酸素種の検出可能な指標を変化させることが可能である。ある実施態様において、この親油性陽イオン部分は、トリフェニルホスホニウム陽イオンである。ある実施態様において、この医薬として許容し得る陰イオンは、ハロゲンイオンではない。ある実施態様において、この医薬として許容し得る陰イオンは、求核的ではない。ある実施態様において、この医薬として許容し得る陰イオンは、アルキルスルホネートである。ある実施態様において、この医薬として許容し得る陰イオンは、メタンスルホネート、p-トルエンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート及び2-ナフタレンスルホネートから選択される。ある実施態様において、この医薬として許容し得る陰イオンは、メタンスルホネートである。ある実施態様において、この抗酸化化合物は、下記式I又はそのキノール型を有する:
【化1】

(式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なり、かつC1〜C5アルキル及びHから選択され、並びに式中nは、2〜20の整数であり、かつ式中Zは、陰イオン補完物である。)。ある更なる実施態様において、Zは、アルキルスルホネート、アリールスルホネート及び硝酸イオンから選択される。ある実施態様において、この(C)nのCは、飽和されている。
【0015】
前述の方法のある実施態様において、この抗酸化化合物は、下記式又はそのキノール型を有する:
【化2】

(式中、Zは、陰イオン補完物である。)。
【0016】
ある実施態様において、この抗酸化化合物は、下記式又はそのキノール型を有する:
【化3】

【0017】
ある実施態様において、前記医薬賦形剤又は担体は、シクロデキストリンを含む。ある更なる実施態様において、この抗酸化化合物及びシクロデキストリンは、約10:1〜約1:10である化合物-対-シクロデキストリンモル比で存在する。ある他の更なる実施態様において、前記抗酸化化合物及びシクロデキストリンは、(i)約5:1〜約1:5、(ii)約4:1〜約1:4、(iii)約2:1〜約1:2、(iv)約1:1及び(v)約1:2からなる群から選択される化合物-対-シクロデキストリンモル比で存在する。ある実施態様において、このシクロデキストリンは、β-シクロデキストリンである。ある実施態様において、この抗酸化化合物及びシクロデキストリンは、約1:2である化合物-対-シクロデキストリンモル比で存在する。
【0018】
前述の方法のある実施態様において、前記活性酸素種生成から生じる皮膚状態は、(i)ヒト皮膚線維芽細胞中の活性酸素種の検出可能な指標、及び(ii)ヒト皮膚角化細胞中の活性酸素種の検出可能な指標の少なくとも一方の変化により特徴づけられる。ある別の実施態様において、活性酸素種生成から生じる皮膚状態は、(i)ヒト皮膚線維芽細胞中の活性酸素種の検出可能な指標、及び(ii)ヒト皮膚角化細胞中の活性酸素種の検出可能な指標の変化により特徴づけられる。ある実施態様において、活性酸素種生成から生じる皮膚状態は、年齢に関連した皮膚損傷である。ある更なる実施態様において、この年齢に関連した皮膚損傷は、皮膚の光老化を含む。ある更なる実施態様において、この皮膚の光老化は、皺、瘢痕組織沈着、変化した皮膚弾力、変化した皮膚の色、変化した皮膚のキメ、変化した皮膚厚、血管腫、毛細血管拡張症、日焼け、乾燥、そう痒、新生物形成及び前癌性の増殖のひとつ以上を含む。ある別の関連した実施態様において、活性酸素種生成から生じる皮膚状態は、皮膚感染症を含む。ある更なる実施態様において、皮膚感染症は、細菌感染症、ウイルス感染症、寄生体感染症及び真菌感染症の少なくともひとつを含む。
【0019】
ある別の実施態様において、活性酸素種生成から生じる皮膚状態は、座瘡、アミロイドーシス、良性皮膚腫瘍、水疱又は潰瘍、水疱性疾患、皮膚癌、皮膚炎、湿疹、炎症、魚鱗癬、昆虫咬傷又は昆虫刺傷、毛孔性角化症、そう痒、乾癬、落屑性疾患、発疹、白斑及び汗腺障害のひとつ以上を含む。ある実施態様において、前記抗酸化化合物は、(i)活性酸素種発生、マトリックスメタロプロテイナーゼ発現及び細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)リン酸化状態からなる群から選択される、ヒト皮膚線維芽細胞中の少なくともひとつの活性酸素種の検出可能な指標、並びに(ii)活性酸素種発生、マトリックスメタロプロテイナーゼ発現及び細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)リン酸化状態からなる群から選択される、ヒト皮膚角化細胞中の少なくともひとつの活性酸素種の検出可能な指標を変化させることが可能である。ある別の実施態様において、この活性酸素種生成から生じる皮膚状態は、レーザー手術、放射線治療、日焼け、酒さ、火傷又は敗血症により引き起こされた、紅斑、皮膚発赤及び炎症からなる群から選択されるひとつ以上の状態を含む。
【0020】
ある別の実施態様に従い、対象の皮膚における局所創傷治癒を促進する方法であって、(a)(i)連結部分により抗酸化部分へ連結された親油性陽イオン部分、及び(ii)該陽イオン部分の陰イオン補完物:を含む、抗酸化化合物、並びに(b)局所使用のための医薬賦形剤又は担体:を含有する局所製剤を、皮膚へ適用することであって、ここで該製剤は、抗酸化化合物の治療的有効量を、皮膚線維芽細胞及び角化細胞へ送達し、かつ該陽イオン部分は、該抗酸化部分をミトコンドリアに標的化することが可能であり、かつここで、この陰イオン補完物は、臭化物イオン又は硝酸陰イオンでなく、かつ前記抗酸化部分、陽イオン部分又は連結部分に対し反応性を示さない、医薬として許容し得る陰イオンであり、かつこれにより、皮膚における活性酸素種生成から生じる皮膚状態を治療することを含む、前記方法が提供される。ある更なる実施態様において、抗酸化部分は、(i)キノン又はキノール、(ii)ビタミンE又はビタミンE誘導体、(iii)アスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体、(iv)α-リポ酸又はそれらの誘導体、(v)連鎖破壊型酸化防止剤、(vi)誘導体化されたフラーレン、(vii)スピントラップ剤、(viii)ブチル化されたヒドロキシアニソール、ブチル化されたヒドロキシトルエン、5,5-ジメチルピロリン-N-オキシド、tert-ブチルニトロソベンゼン、tert-ニトロソベンゼン及びα-フェニル-tert-ブチルニトロンからなる群から選択される、抗酸化部分、並びに(ix)N-アセチルシステイン:からなる群から選択される少なくともひとつの抗酸化部分を含む。ある実施態様において、この局所製剤は、レチノイン酸を更に含有する。ある実施態様において、抗酸化化合物は、(i)ヒト皮膚線維芽細胞中の活性酸素種の検出可能な指標、及び(ii)ヒト皮膚角化細胞中の活性酸素種の検出可能な指標を変化させることが可能である。ある実施態様において、この親油性陽イオン部分は、トリフェニルホスホニウム陽イオンである。ある実施態様において、この医薬として許容し得る陰イオンは、ハロゲンイオンではない。ある実施態様において、この医薬として許容し得る陰イオンは、求核的ではない。ある実施態様において、この医薬として許容し得る陰イオンは、アルキルスルホネートである。ある実施態様において、この医薬として許容し得る陰イオンは、メタンスルホネート、p-トルエンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート及び2-ナフタレンスルホネートからなる群から選択される。ある実施態様において、この医薬として許容し得る陰イオンは、メタンスルホネートである。
【0021】
本発明のこれら及び他の態様は、下記の詳細な説明及び添付された図面を参照し、明白であろう。本明細書において言及されたか及び/又は出願データシートに列記された米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許刊行物は全て、各々が個別に組み込まれているように、それらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。本発明の態様は、本発明のなお更なる実施態様を提供するために、様々な特許、出願及び公報の概念を利用するよう、必要に応じ、変更されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
(図面のいくつかの見解の簡単な説明)
【図1】図1は、コラゲナーゼ(MMP1)による処理後の、三次元コラーゲン格子において培養されたヒト皮膚線維芽細胞のROS生成の誘導を示す。
【図2】図2は、コラゲナーゼ(MMP1)による処理後の、三次元コラーゲン格子において培養されたヒト皮膚線維芽細胞におけるROS生成に対する、MitoQ10メシラートの作用を示す。
【図3】図3は、コラゲナーゼ(MMP1)による処理後の、三次元コラーゲン格子において培養されたヒト皮膚線維芽細胞におけるMMP1発現に対する、MitoQ10メシラートの作用を示す。
【図4】図4は、培養されたヒト角化細胞におけるERKリン酸化に対する、MitoQ10メシラートの作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(詳細な説明)
本明細書において開示された発明のある実施態様は、連結された抗酸化部分をミトコンドリアに標的化することが可能である陽イオン部分を含む本明細書において説明された抗酸化化合物は、皮膚線維芽細胞及び角化細胞へ、治療的有効量の該抗酸化化合物を送達する局所製剤に製剤化できるという驚くべき発見を基にしている。
【0024】
特に本明細書において説明された局所製剤の抗酸化化合物及び治療方法は、ヒト皮膚への局所投与後、表皮角化細胞及び真皮線維芽細胞に、予想外に体内分布し、かつ有効であり、並びに治療的恩恵を付与するのに十分なレベルで、そのような細胞及び周囲組織へ抗酸化活性を提供する方式でそのように作用することが発見された。従って本出願者の発見は、皮膚における活性酸素種生成から生じる皮膚状態を治療するために、局所的に任意の抗酸化化合物を送達するための先行する試みに勝る、前例がなくかつ予期しない利点をもたらし、かつ皮膚線維芽細胞及び角化細胞の両方の細胞型において、これまで公知の局所投与された抗酸化剤が、効果的に送達されず、かつ有益な抗酸化活性が示されない場合に、特に注目に値すると見なされる。加えて本明細書に開示された抗酸化化合物を含有する局所製剤は、先に説明された局所用抗酸化剤に必要とされる濃度よりもより低濃度の本抗酸化化合物を使用し、有効な医薬的及び化粧的恩恵を提供する。
【0025】
従ってある好ましい実施態様は、有益な(例えば、治療的又は化粧的に有益な)使用のために本明細書において説明されたミトコンドリアに標的化された抗酸化化合物を、抗酸化部分をミトコンドリアに標的化することが可能である先に開示された陽イオン部分を欠いている先に説明された局所用抗酸化剤などの、任意の先に説明された局所用抗酸化剤に関して必要とされる濃度よりもより低い濃度で(例えば、統計学的に有意な様式で)含有する局所製剤を企図している。そのような低濃度は、同等の治療的及び/又は化粧的作用を達成するために、抗酸化部分をミトコンドリアに標的化することが可能である先に開示された陽イオン部分を欠いている先に説明された局所用抗酸化剤のような、先に説明された局所用抗酸化剤に関して必要とされる濃度よりも、少なくとも1%、2%、5%、10%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又はそれを超えて低いことができ;ある関連した実施態様は、本ミトコンドリアに標的化された抗酸化化合物の細胞ミトコンドリア内の本明細書において開示された蓄積を考慮し、抗酸化部分をミトコンドリアに標的化することが可能であるここで開示された陽イオン部分を欠いている任意の先に説明された局所用抗酸化剤に関して必要とされる濃度の1/50、1/100、1/500、1/1000、1/5000、1/10000、若しくは1/20000未満であることができる本ミトコンドリアに標的化された抗酸化化合物の濃度、又はそれ以下で、そのような利益を達成することを企図している。
【0026】
従って本明細書に開示された実施態様は、対象の皮膚における、特に皮膚線維芽細胞及び角化細胞における、活性酸素種生成から生じる皮膚状態を治療するための組成物及び方法を含む。
【0027】
対象の皮膚におけるROS生成から生じる皮膚状態を治療することに関連しているある好ましい実施態様において、治療は、望ましい薬理学的効果及び/又は生理学的効果及び/又は化粧的効果を得るために、対象、及び/又は対象の皮膚組織及び/又は1若しくは多数の細胞に影響を及ぼす方法で、例えば本明細書において説明されたように局所製剤を皮膚へ直接適用することにより、対象の皮膚と接触させることを含む。この効果は、皮膚におけるROS生成から生じる状態のような疾患若しくは障害、又はそれらの徴候若しくは症状を完全に若しくは部分的に予防する点で、予防的であり得、並びに/又はこの効果は、症状若しくは徴候を軽減するか、又はそのような障害若しくは疾患の部分的もしくは完全な治癒を提供するか、及び/又はこの障害若しくは疾患が起因し得る有害作用を実質的に減弱する点で、治療的であり得る。
【0028】
従ってある実施態様に従う治療方法は、対象における障害又は疾患の、特に好ましい実施態様において、皮膚におけるROS生成から生じる皮膚状態の治療又は予防又は阻害のいずれかを含むことができる。この対象は、無脊椎動物、ヒト及び非ヒト霊長類を含む哺乳類などの脊椎動物であってよく、特に好ましい実施態様においては、ヒトである。
【0029】
関連した実施態様は、例として:(i)疾患又は障害(例えば、ROSから生じる皮膚状態)の素因があるが、未だそれを有するとは診断されていない対象において、該疾患又は障害の発生を予防すること;(ii)該疾患又は障害を阻害すること、すなわちその進行を抑止すること;又は、(iii)該疾患又は障害を軽減又は改善する、すなわち退縮を引き起こすこと:を企図している。従って本明細書において使用される治療は、例えば年齢に関連した皮膚損傷(例えば、光損傷)の部位のなどの損傷された若しくは負傷した組織若しくは細胞の修復及び再生、又は例えば、UV線照射、化学物質(医療化合物、医薬化合物又は化粧化合物のような他の局所物質を含む)のような皮膚におけるROS生成を促進し得る酸化的ストレスの給源への対象の曝露以前に、又は化学療法以前に、そのような損傷を防止するための予防的治療を含む。
【0030】
先にも注記したように、ここで開示された実施態様は、一部、本明細書に開示された抗酸化化合物を含有する局所製剤は、治療的有効量の抗酸化剤を、皮膚線維芽細胞及び角化細胞へ送達するという、予想外の驚くべき知見から派生している。従って、連結された抗酸化部分をミトコンドリアに標的化することが可能である陽イオン部分を含有する抗酸化化合物は、皮膚に浸透し、かつ両方の細胞型へ送達され、驚くべきことに抗酸化作用を発揮することができる。
【0031】
他の抗酸化化合物の局所製剤を適用する先行する試みからも、本明細書において説明された抗酸化化合物のこれまでの特徴からも、本製剤が、皮膚におけるROS生成から生じる皮膚状態の治療における使用に関して、皮膚線維芽細胞及び角化細胞に対する抗酸化作用を有することを予測することはできなかった。理論に結びつけられることを欲するものではないが、局所投与、角質層の浸透、及び表皮(表皮角化細胞を含む)内の吸収の後、更には真皮層(真皮線維芽細胞による更新を含む)への侵入後の効果的抗酸化活性のそのような化合物による保持は、予想外とみなされた。更に非限定的理論に従い、ここで説明された治療的作用は、少なくとも一部皮膚線維芽細胞及び角化細胞のミトコンドリアへの抗酸化部分のミトコンドリアへの標的化に由来するが、この治療的作用は、同じく一部、本明細書において説明された抗酸化化合物のミトコンドリア外作用(例えば、細胞シグナル伝達経路成分に対する)にも由来し、及び/又は細胞外作用(例えば、細胞外マトリックス内のROS作用に対する)にも由来すると考えられる。
【0032】
好ましい実施態様に従い、(a)(i)連結部分により抗酸化部分へ連結された親油性陽イオン部分、及び、(ii)該陽イオン部分の陰イオン補完物:を含む、抗酸化化合物、並びに、(b)局所使用のための医薬賦形剤又は担体:を含有する局所製剤の使用を指示された、組成物及び方法であって、ここで該局所製剤は、抗酸化化合物の治療的有効量を、皮膚線維芽細胞及び角化細胞へ送達し、かつ該陽イオン部分は、この抗酸化部分をミトコンドリアに標的化することが可能であり、並びにここで該陰イオン補完物は、臭化物イオン又は硝酸陰イオンではなく、かつ前記抗酸化部分、陽イオン部分又は連結部分に対し反応性を示さない、医薬として許容し得る陰イオンであり、かつこれにより、皮膚における活性酸素種生成から生じる皮膚状態を治療する、前記組成物及び方法が提供されている。
【0033】
本明細書において説明された実施態様に従う使用に関して好ましい抗酸化化合物は、本明細書において説明されたもの、及び当該技術分野において公知である他のもの、並びに例えばWO 2005/019232、WO 2005/019233、米国特許出願公開第2006/0229278号(USAN 11/355518)、米国特許出願公開第2007/0238709号(USAN 10/568654)、及びUSAN 10/568,655に開示されたものを含み、これらは全て先に注記されたように、引用により組み込まれている。その中には好ましい実施態様において、トリフェニルホスホニウム陽イオンであってよい親油性陽イオン部分の選択、並びに求核的ではなく、ハロゲンイオンではなく、かつアルキルスルホネート(例えば、メタンスルホネート、エタンスルホネート)又はp-トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、2-ナフタレンスルホネートその他などの、医薬として許容し得る陰イオンを含む陰イオンであってよい、そのような陽イオン部分に関する陰イオン補完物の選択、並びに陽イオン部分の抗酸化部分への連結のための連結部分(例えば、本明細書及び引用された公報に説明されたような置換されたリンカーを含む、2〜20個の炭素原子の、好ましくは3〜15個の炭素原子の、より好ましくは4、5、6、7、8、9、10、11、12、13若しくは14個の原子の置換又は非置換の炭素鎖)の選択に関する、追加の詳細を認めることができる。
【0034】
前記抗酸化部分は、好ましい実施態様において、ミトキノン又はユビキノン(若しくはそのキノール型)において認められるキノンのようなキノン又はキノールであってよく、かつ別の好ましい実施態様において、これはビタミンE又はビタミンE誘導体(例えば、α-トコフェロール、コハク酸α-トコフェロール、酢酸α-トコフェラル、トコトリエノール、α-トコフェリルオキシ酢酸、α-トコフェロール酢酸エーテルアナログ[2,5,7,8-テトラメチル-2R-(4R,8R,12-トリメチルトリデシル)クロマン-6-イルオキシ酢酸(α-TEA)]、又はWO 2005/032544及び米国特許第5,869,703号及び第6,387,882号に開示された誘導体)、アスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体(例えば、アスコルビン酸塩、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビルパルミテートなど)、α-リポ酸又はそれらの誘導体(例えば、N-(6,'8-ジメルカプトオクタノイル)-2-アミノエタンスルホン酸ナトリウム及びN-(6,8-ジメルカプトオクタノイル)-L-アスパラギン酸ナトリウム(Nodaらの論文、Res. Comm. Mol. Path. Pharmacol. 113:133 (2003);又は、米国特許第6,951,887号及び欧州特許第1,371,640号に開示された化合物)、別の連鎖破壊型酸化防止剤(例えば、Buettnerの論文、Arch. Biochem. Biophys. 300:535 (1993))、誘導体化されたフラーレン(例えば、Bakryらの論文、Int. J. Nanomed. 2:639 (2007))、スピントラップ剤(例えば、Halliwell及びGutteridgeの文献、「生物学及び医学におけるフリーラジカル(Free Radicals In Biology and Medicine)」(第3版)、1999年、Oxford Univ. Press社に説明されたようなもの、又は当該技術分野において公知の他のスピントラップ剤)、並びに/又は別の抗酸化部分、例えばブチル化されたヒドロキシアニソール、ブチル化されたヒドロキシトルエン、5,5-ジメチルピロリン-N-オキシド、tert-ブチルニトロソベンゼン、tert-ニトロソベンゼン、α-フェニル-tert-ブチルニトロン、又はN-アセチルシステインであることができる。
【0035】
従ってある好ましい実施態様において、人工的ユビキノンであるMitoQ(登録商標)([10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニルホスホニウムメタンスルホネート;WO 05/019232)は、ユビキノン抗酸化部分の親油性トリフェニルホスホニウム陽イオンへの共有結合により、ミトコンドリアへ標的化される。電子伝達系(ETC)のミトコンドリアの酸化的リン酸化への化学浸透共役により発生した大きいミトコンドリア内膜電位のために、MitoQ(登録商標)トリフェニルホスホニウム陽イオンは、コエンザイムQのような標的化されない抗酸化剤又はその標的化されないアナログ(例えばイデベノン)により達成されるレベルよりも最大1,000倍より大きいレベルで、細胞のミトコンドリア内に蓄積し、この抗酸化部分が、脂質の過酸化をブロックし、かつミトコンドリアを酸化的損傷から保護することができる。
【0036】
局所使用のための医薬賦形剤又は担体は、本明細書に説明されているか当該技術分野において公知であり、かつWO 2005/019232、WO 2005/019233、米国特許出願公開第2006/0229278号(USAN 11/355518)、米国特許出願公開第2007/0238709号(USAN 10/568654)、及びUSAN 10/568,655において認めることもでき、並びにある好ましい実施態様において、シクロデキストリン(例えばβ-シクロデキストリン)を含んでよい。ある関連した実施態様において、シクロデキストリンは、本明細書において説明された抗酸化化合物を含有する局所製剤中に、化合物-対-シクロデキストリンモル比が、約10:1〜約1:10で存在することができ、並びにある別の関連した実施態様において、そのような化合物-対-シクロデキストリンモル比は、約5:1〜約1:5、約4:1〜約1:4、約2:1〜約1:2、約1:1又は約1:2であることができ、ここで定量的パラメータの文脈において、「約」は、言及された値の0.5対数単位(例えば「log」又は桁)より大きい又はより小さいであることができ、より好ましくは0.4対数単位を超えない、より好ましくは0.3対数単位を超えない、更により好ましくは0.2対数単位を超えない、及び最も好ましくは0.1〜0.15対数単位を超えない、量的変動を反映すると理解されてよい。
【0037】
(皮膚状態)
本抗酸化化合物を含有する局所製剤の送達方法は、様々であり得るが、典型的には、年齢に関連した皮膚損傷、例えば光老化、又は内因性老化及び/若しくは外因性老化に随伴したか、これらにより引き起こされたか、又はこれらにより罹患されたいずれか他の皮膚状態若しくは障害のような、ROS生成から生じる皮膚状態の傾向があるか又はそれにより罹患された皮膚領域への、本発明の製剤の適用が関与している。老化に関連した皮膚状態は、例えば、皺、しみ、日光損傷(特にUV線照射が誘導した酸化的ストレス)、そばかす、高色素沈着した皮膚、しみ、増大した皮膚厚、皮膚の弾性及びコラーゲン含量の喪失及び/又は乾燥皮膚が関与してよい。
【0038】
従って本発明の実施態様は、様々な皮膚状態の、特にその皮膚状態が疾患、感染症、老化、それらの要因への曝露、又はその他により引き起こされた問題に関連し得る対象の皮膚におけるROS生成から生じる皮膚状態の予防、管理、又は治療において使用することができる、医薬用又は有益な化粧用(「薬用化粧用」)調製品に関する。当業者は、以下の例は、対象の皮膚におけるROS生成から生じる皮膚状態を含む皮膚状態の単に代表であること、及び本明細書に列挙されたもの以外の皮膚状態は、本発明の実施態様に従い治療することができることを理解するであろう。例えば、本発明の実施態様は、以下のいずれかを予防、管理、又は治療するために使用することができる:
【0039】
好ましい実施態様において、本明細書に開示された組成物及び方法は、酸素フリーラジカルにより引き起こされた損傷に起因することが多い、皮膚に対する年齢に関連した作用の治療又は予防における使用を認めるであろう。酸素フリーラジカルは、細胞を損傷することができ、かつ癌及び年齢に関連した疾患を促進すると考えられる。年齢に関連した皮膚損傷は、長年の日光損傷、栄養不良、高いストレスレベル、環境汚染への曝露、及び喫煙、飲酒又は薬物乱用のようなある生活スタイルの選択によっても引き起こされ得る。皮膚に対する老化作用の代表例は、乾燥、そう痒、小皺(fine lines)及び皺の発達、皮膚の菲薄化又は肥厚化、弾力の喪失、増加したたるみ、しまりの喪失、色の均一さ(色調)の喪失、色又はキメの変化(粗雑又は粗い皮膚表面のキメを含む)、高色素沈着の領域(しみ又は肝斑と称されることが多い)、化学線性紫斑(少量出血により引き起こされた皮膚上の紫がかった斑点)のようなまだらな色素沈着、サクランボ色血管腫を含む視認できる血管(皮膚上の赤色ドーム様の形成)及び毛細血管拡張症(顔面上の毛細血管の破壊)、数が増加した良性増殖(例えば脂漏性角化症)及び前癌性増殖(例えば光化学線性角化症)、汗腺及び脂腺の喪失、脱毛、むだ毛(unwanted hair)、及び光老化(皮膚のたるみ、伸展を引き起こし、かつ伸展後に元の状態に戻るその能力を喪失する、日光紫外線が、エラスチンと称される皮膚内のある種の線維を損傷する場合など)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0040】
全ての段階における皮膚並びにその脂腺及び毛包に関与する全ての型の座瘡を含む座瘡は、本明細書において説明された方法により有益に治療されることができる皮膚状態の別の範疇であることができ、これは、例えば、活動期炎症相(膿疱-、丘疹-、面皰-形成する)及び非炎症相(ブラックヘッド-及び嚢胞-形成する)、及び炎症後相(治癒する、瘢痕化する、及び瘢痕化した)における、尋常性座瘡、酒さ性座瘡(顔面上の圧倒的に赤い発疹)、うなじのケロイド座瘡(剃刀負)、集簇性座瘡、化粧品座瘡(化粧品により引き起こされる)、電撃性座瘡、薬物性座瘡(医薬品の開始又は抑止により引き起こされる)、乳児座瘡、塩素座瘡(塩素化された炭化水素への曝露により引き起こされる)、口周皮膚炎、又は過剰なアンドロゲン分泌により特徴づけられた内分泌学的状態において観察される座瘡などを含む。
【0041】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、様々な器官内での様々な不溶性タンパク質(アミロイド)の蓄積であるアミロイドーシスを治療するために使用されてもよい。皮膚に限定されたアミロイドーシスは、原発性局所的皮膚アミロイドーシスと称され、かつ例えば、苔癬アミロイドーシス、及び斑状アミロイドーシス及び結節性原発性局所的皮膚アミロイドーシスを含む。
【0042】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、例えば、おでき、蜂巣炎、皮下膿瘍、丹毒、紅色陰癬、毛包炎、フルンケル、カルブンケル、化膿性汗腺炎、膿痂疹及び膿疱、リンパ節炎、リンパ管炎、壊死性皮下感染、侵襲性A群連鎖球菌感染症、ブドウ球菌性熱傷性皮膚症候群、梅毒、及び爪周囲炎を含む、細菌性の皮膚感染症を治療するために使用されてもよい。
【0043】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、例えば、皮膚線維腫(derbatofibroma)、表皮嚢胞、血管の増殖及び奇形、ケロイド、角化棘細胞腫、脂肪腫、母斑、脂漏性角化症、懸垂線維腫、及び血管病変を含む、良性(非-癌性)皮膚腫瘍を治療するために使用されてもよい。
【0044】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、様々な状態、疾患により、又は物理的要素への曝露により、引き起こされ得る、水疱(以下の水疱性疾患も参照のこと)、ただれ又は潰瘍を治療するために使用されてもよく、これは例えば、熱傷、日光暴露、創傷、凍傷、運動機能の喪失(例えば、褥瘡又は圧迫潰瘍)、口内炎、口唇ヘルペス、膿痂疹、昆虫咬傷若しくは刺傷、色素失調症、白血病、皮膚癌、糖尿病、AIDS、循環障害、結合組織異常、慢性肉芽腫症、鼠径部肉芽腫、鼻疽、高IgE症候群、高血圧、菌状息肉腫、壊死性筋膜炎、関節リウマチ、鎌状赤血球貧血、スポロトリクム症、ビブリオ・バルニフィカス(vibrio vulnificus)、創傷、ヴェーゲナー肉芽腫症、静脈鬱血、及び同様の病因を有する他の状態、疾患、又は感染症を含む。これらは、一般に皮膚の水疱形成により特徴づけられる疾患であり、かつ例えば、水疱性類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、後天性表皮水疱症、線状免疫グロブリンA疾患、落葉状天疱瘡、尋常性天疱瘡、及び瘢痕性類天疱瘡を含む、水疱性疾患を含んでよい。
【0045】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、皮膚の癌、及び癌治療(例えば、化学療法、放射線治療、手術、骨髄移植又は造血系移植を含む免疫療法、GVHDなど)から生じる皮膚への損傷を治療するために使用されてもよい。皮膚の癌の例は、例えば、基底細胞癌腫、扁平上皮癌、悪性黒色腫、ボーエン病、カポジ肉腫、皮膚線維肉腫、メルケル細胞癌、及び乳頭のパジェット病を含む。
【0046】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、発赤、浮腫、滲出、痂皮形成、落屑、及び時には小胞により特徴づけられる皮膚の表在性炎症又は発疹として特徴づけられることが多い、皮膚炎を治療するために使用されてもよい。痒疹(痒み)は、皮膚炎において一般的である。湿疹は、皮膚炎と互換的に頻用される用語である。皮膚炎又は湿疹の例は、例えば、アトピー性皮膚炎(乳児湿疹又は屈面性湿疹とも称される)、接触性皮膚炎(アレルギー性及び刺激性を含む)、乾燥性湿疹(乾皮性湿疹、クラクール(craquele)若しくは皮脂欠乏性湿疹、冬期そう痒、又は冬季痒疹とも称される)、剥脱性皮膚炎、手足の皮膚炎、神経皮膚炎(例えば慢性単純性苔癬)、脂漏性皮膚炎(新生児の頭部皮膚炎、ふけ)、円盤状湿疹(貨幣状湿疹、滲出性湿疹、微生物性湿疹とも称される)、汗疱、静脈湿疹(鬱滞性湿疹、欝滞性皮膚炎、静脈瘤性湿疹欝滞性皮膚炎、疱疹状皮膚炎(ジューリング病)、自己湿疹化(id反応、自己感作とも称される)、セルカリア皮膚炎(例えば水泳者痒疹又は薬痒疹)、トキシコデンドロン皮膚炎及びウルシ皮膚炎とも称されるウルシオールが誘導した接触性皮膚炎(例えば有毒オーク、ツタウルシ、ウルシ)、日光皮膚炎、及び主婦湿疹を含む。
【0047】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、一部真菌が、皮膚、毛髪及び爪の主要タンパク質成分であるケラチンに寄生して生きるために皮膚を損傷する、真菌の皮膚感染症を治療するために使用されてもよい。真菌の皮膚感染症の例は、カンジダ症(がこう瘡)、皮膚糸状菌症、間擦疹、癜風、足部白癬(水虫)、股部白癬(ジョック痒疹)、体部白癬(体の輪癬)、頭部白癬(頭皮の輪癬)、顔面白癬(顔の真菌)、爪真菌症(onchomycosis)及び爪周囲炎(爪感染症)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0048】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、例えば、脱毛症(瘢痕性及び非瘢痕性の両方)、多毛症、仮性毛包炎(内方発育毛)、及び毛幹障害を含む、毛障害を治療するために使用されてもよい。
【0049】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、例えば、アレルギー反応、急性熱性好中球性皮膚症、薬疹及び薬物反応、皮膚筋炎、紅斑(例えば、多形性紅斑及び結節性紅斑)、環状肉芽腫、じんましん、皮下脂肪組織炎、天疱瘡、壊疽性膿皮症、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症、紅皮症、円板状紅斑性狼瘡、全身性紅斑性狼瘡、強皮症、血小板減少性紫斑病、予防接種に対する反応、及び本明細書において言及された又はそうでなければ当業者に公知のその他の疾患若しくは状態を含む、過敏症、炎症、自己免疫疾患などを治療するために使用されてもよく、従ってここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、紅斑、皮膚発赤、レーザー手術、放射線治療、日焼けにより引き起こされた炎症、又は酒さ、熱傷及び/若しくは敗血症のような皮膚状態において生じる炎症を治療するためにも使用されてよい。
【0050】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、魚鱗にやや似ることができる鱗状の皮膚により特徴づけられることが多い、皮膚科学的状態の仲間である、魚鱗癬を治療するために使用されてもよい。これらの状態は、主に遺伝的異常により引き起こされ、かつ例えば、シーメンズ型水疱性魚鱗癬、尋常性魚鱗癬、葉状魚鱗癬、X染色体連関魚鱗癬、表皮剥離性角質増殖症、後天性魚鱗癬、ハーリキン型魚鱗癬、ネセルトン症候群、シェーグレン・ラルソン症候群、魚鱗癬変異性紅斑角皮症を含む。
【0051】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、昆虫の咬傷若しくは刺傷又は他の節足動物の咬傷若しくは刺傷を治療するために使用されてもよく、これは、例えば、ヒアリ、ジガバチ、キイロスズメバチ、スズメバチ、ミツバチ、ノミ、マダニ、ダニ、トコジラミ、クモ、蚊などにより引き起こされた咬傷若しくは刺傷を含んでよい。
【0052】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、皮膚上の粗い隆起の出現により顕在化される非常に一般的な遺伝的小胞状態であり、かつ例えば、毛孔性角化症(赤く腫れた隆起)、白質(alba)(刺激無しに粗く隆起した皮膚)、赤色顔面(rubra faceii)(頬上の赤味を帯びた発疹)及び関連した障害を含むことができる、毛孔性角化症を治療するために使用されてもよい。
【0053】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、例えば、皮膚爬行症、皮膚幼虫移行症、寄生虫妄想症、シラミの発生、疥癬、サルコイドーシス、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、及びアフリカ睡眠病を含んでよい、寄生性の皮膚感染症及びそれらの皮膚への潜在的損傷作用を治療するために使用されてもよい。
【0054】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、浮腫、血管拡張、真皮内のリンパ球及び好中球の浸潤、異角化症性角化細胞、表皮の海綿化に加え、本明細書において言及されたか又はそうでなければ当業者に公知の他の状態(例えば、年齢に関連した)を引き起こし得る、電離放射線からの光損傷を治療するために使用されてもよい。
【0055】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、一般に皮膚の痒みをいい、かつ本明細書において言及されたか又はそうでなければ当業者に公知の多くの皮膚の障害、状態、及び感染症から生じる、そう痒を治療するために使用されてもよく、かつ同じく例えば、結節性痒疹、光線痒疹、及びベニエー痒疹(接触性皮膚炎とも称される)を含む、皮膚の痒みのある崩壊を意味する痒疹を治療するためにも使用されてもよい。
【0056】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、膿疱と称される大きい液体で充満された水疱様領域により特徴づけられることが多い皮膚状態であり、かつ例えば、掌蹠膿疱症状、掌蹠膿疱症、先端膿疱症、発疹性膿疱症、角層下膿疱症、好中球性膿疱症、滑膜炎・座瘡・膿疱症・骨化症・骨炎症候群(SAPHO)を含む、膿疱症を治療するために使用されてもよい。
【0057】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、一般に湿気、外殻(crust)、亀裂及び擦りむきを伴わない、鋭い周縁を持つ落屑性丘疹又はプラークにより特徴づけられ、かつ例えば、扁平苔癬、硬化性苔癬、類乾癬、苔癬状粃糠疹(慢性及び急性痘瘡状を含む)、バラ色粃糠疹、毛孔性紅色粃糠疹、乾癬を含んでよい、落屑性疾患を治療するために使用されてもよい。乾癬は、原因不明の一般的な非接触感染性の慢性炎症疾患であり、かつ例えば、プラーク乾癬、滴状(Guttafe)乾癬、逆型乾癬、紅皮症性乾病、乾癬性関節炎、頭皮乾癬、及び爪乾癬を含む。
【0058】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、皮膚の外観又はキメに影響を及ぼすような皮膚の変化により一般に特徴づけられ、かつその皮膚の、色の変化、痒み、温まり、凹凸、乾燥、ひび又は水疱形成、腫脹を引き起こし、かつ有痛性であることがある発疹を治療するために使用されてもよい。発疹の原因は、非常に広範であることができ、かつ例えば、不安又はストレス、日光又は熱への曝露、刺激(例えば、物理的摩耗、又は一部の金属、洗浄液、洗剤、化粧品、香水、工業用化学薬品、及びラテックスゴムのような化学刺激物質との接触による)、鉛中毒、妊娠、おむつ、及び本明細書において言及されたか又はそうでなければ当業者に公知のいずれか他の皮膚状態を含む。痒み及び非感染性発疹の代表例は、皮膚炎、薬疹、多形性紅斑、結節性紅斑、環状肉芽腫、痒み、毛孔性角化症、扁平苔癬、バラ色粃糠疹、乾癬、酒さ、及び中毒性表皮壊死症を含むが、これらに限定されるものではない。
【0059】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、皮膚の不規則な青白い区画(patch)を生じ、色素喪失を引き起こす慢性皮膚状態として特徴づけられることが多く、かつ例えば、尋常性白斑(すなわち、一般的な白斑)、線状白斑、分節型白斑、三色白斑、及び炎症性白斑を含むことができる、白斑又はロイコデルマを治療するために使用されてもよい。例えば臭汗症、多汗症、粟粒疹及び汗疹を含む、発汗及び腺障害も、ここで開示された方法に従い治療されてよい。
【0060】
ここで開示された組成物(局所製剤を含む)及び方法は、例えば、ポックス・ウイルスにより引き起こされた伝染性軟属腫、単純ヘルペス、第五病、バラ疹、ヒトパピローマウイルス(HPV)により引き起こされた尋常性疣贅、生殖器/肛門のいぼ(尖形コンジローマ)、扁平疣贅、手掌及び足底疣贅、モザイク様疣贅、爪周囲疣贅、人畜共通感染症、水痘、天然痘、口唇ヘルペス、麻疹、類鼻疽症、及び帯状疱疹を含むことができる、ウイルス性皮膚疾患を治療するために使用されてもよい。
【0061】
当業者は、本発明のこれらの及び関連した実施態様は、皮膚の状態、障害、合併症、疾患、感染症、又はそうでなければ、ここに列挙されたもの以外を予防又は治療するために使用されてよいことを理解するであろう。
【0062】
(局所製剤)
前述のように、本明細書において説明された発明の実施態様は、説明された酸化防止組成物の局所製剤に関連しており、この製剤は、医薬として許容し得る担体、賦形剤又は希釈剤中に、並びに動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトへ局所的に投与された場合に本明細書において開示されたような治療的量で、本抗酸化化合物を含有する。
【0063】
本明細書において説明された抗酸化化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩の純粋形で又は好適な医薬組成物中での局所投与は、同様の実用性で役立つ物質の局所投与の許容された様式のいずれかにより、実行できる。組成物の局所適用又は投与は、好ましい実施態様において、該組成物(例えば局所製剤)を、治療を受けている対象の皮膚へ直接接触することを意味し、これは、1以上の局所化された又は広く分布された皮膚部位においてであってよく、かつ一般に該局所製剤を、それに限定される必要はないが無傷の角質層又は表皮と接触することを意味してよく;例えば、局所適用として、ある実施態様は、負傷した、擦過された若しくは損傷された皮膚、又は手術を受けた対象の皮膚への、本明細書において説明された局所製剤の投与を企図し、その結果該局所製剤の接触は、角質層又は表皮とのみではなく、例えば創傷修復又は創傷治癒又は他の皮膚組織再建のある型を伴うことができるように、皮膚の顆粒細胞層、有棘細胞層、及び/若しくは基底細胞層とも、並びに/又は真皮若しくは皮下組織とも生じることができる。
【0064】
本発明の局所製剤(例えば、化粧組成物及び医薬組成物)は、説明された抗酸化化合物を、局所製剤調製品における使用に好適な医薬として許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤と組み合わせることにより調製されることができ、かつ固形、半固形、ゲル、クリーム、コロイド、懸濁液若しくは液体の調製品、又は散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、洗浄液、ゲル剤、泥膏、硬膏、塗布剤、生体接着剤、ミクロスフェア懸濁液、及びエアゾールスプレーのような他の局所適用型に製剤化できる。本発明の医薬組成物は、その中に含まれる活性成分、特に好ましい実施態様において連結部分により抗酸化部分へ連結された親油性陽イオン部分、及び陰イオン補完物(例えばmitoQuinol C10メシラート)を含む本明細書において説明された抗酸化化合物が、ヒトを含む哺乳類のような対象の皮膚への、及びある好ましい実施態様においてROS生成から生じる皮膚状態を有するヒト患者の皮膚への、該組成物の局所投与時に生体利用可能であることができるように、製剤される。
【0065】
本明細書において説明された局所製剤は、本抗酸化化合物の治療的有効量を、皮膚線維芽細胞及び角化細胞へ送達する。従って好ましい製剤は、薬組成物の皮膚透過性試験に関して当該技術分野において公知の多くの確立された方法のいずれかに従い決定され得るような、皮膚への即時透過性を示す(例えば、Wagnerらの論文、J. Invest. Dermatol. 118:540 (2002)、及びその論文に引用された参考文献;Bronaughらの論文、J. Pharm. Sci. 74:64 (1985);Bosmanらの論文、J. Pharm. Biomed. Anal. 17:493-499 (1998);Bosmanらの論文、J. Pharm Biomed Anal. 1996 14:1015-23 (1996);Bonferoniらの論文、Pharm Dev Technol. 4:45-53 (1999);Frantzの文献、「皮膚吸収法(Methods for Skin Absorption)」(Kemppainen及びReifenrath編集)の、「皮膚吸収の方法におけるインビトロ皮膚拡散細胞に関する装置及び方法(Instrumentation and methodology for in vitro skin diffusion cells in methodology for skin absorption)」、CRC Press社、フロリダ州、1990年、35-59頁;Tojoの文献、「経皮的制御された全身投薬(Transdermal Controlled Systemic Medications)」(Chien YW編集)の、「インビトロ浸透装置のデザイン及びキャリブレーション(Design and calibration of in vitro permeation apparatus)」、Marcel Dekker社、ニューヨーク州、1987年、127-158頁;Barryの文献、「皮膚科学製剤:経皮吸収(Dermatological Formulations: Percutaneous absorption)」の「経皮吸収試験法(Methods for studying percutaneous absorption)」、Marcel Dekker社、ニューヨーク州、1983年、234-295頁を参照されたい)。
【0066】
対象又は患者の皮膚へ投与される組成物は、ある実施態様において、1以上の単位用量の形をとることができ、ここで例えば、液体充填型カプセル又はアンプルは、単回の単位用量を含有することができ、かつエアゾール型の本明細書において説明された局所製剤の容器は、複数回の単位用量を収容することができる。そのような剤形を調製する実際の方法は、当業者に公知であるか、又は明らかであり;例えば、「調剤の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」、第20版(Philadelphia College of Pharmacy and Science, 2000年)を参照されたい。投与されるべき組成物は、いずれにしても、本内容に従い、対象の皮膚におけるROS生成から生じる皮膚状態を治療するための、治療的有効量の本発明の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩を含有するであろう。
【0067】
前述のように、本局所製剤は、多種多様な形のいずれかをとることができ、かつ例えば、クリーム剤、ローション剤、液剤、スプレー剤、ゲル剤、軟膏、泥膏などを含み、並びに/又はリポソーム、ミセル、及び/若しくはミクロスフェアを含むように調製できる。例えば、米国特許第7,205,003号を参照されたい。例えば医薬製剤及び化粧製剤の技術分野において周知であるように、クリーム剤は、水中油型又は油中水型のいずれかの、粘稠な液体又は半固形の乳液である。クリーム基剤は、水で洗浄可能であり、かつ油相、乳化剤、及び水相を含む。油相は「内」相とも称され、通常はワセリン及びセチルアルコール又はステアリルアルコールのような脂肪族アルコールで構成される。水相は、必ずしもではないが、容積が油相よりも過剰であり、かつ一般に湿潤剤を含有する。クリーム製剤中の乳化剤は、一般に、非イオン性、陰イオン、陽イオン又は両性イオン性界面活性剤である。
【0068】
化粧物質の送達に好ましいローション剤は、摩擦なく皮膚表面に適用するための調製品であり、かつ典型的にはその中に活性物質を含む固形粒子が水又はアルコール基剤中に存在している、液体又は半液体の調製品である。ローション剤は通常、固形物の懸濁液であり、かつ好ましくは水中油型の液体油性乳剤を含む。より流動的な組成物を適用することは容易であるので、ローション剤は、広い体表面積の治療に関して好ましい製剤である。ローション剤中の不溶性物質が、細かく分割されていることは、一般に好ましい。ローション剤は典型的には、より良い分散を生じるための懸濁化剤に加え、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの皮膚との接触における活性物質の局在化及び保持に有用な化合物を含むであろう。
【0069】
液剤は、溶解された物質の分子がそれらの溶媒の中に分散されるように、液体中に1種以上の化学物質(溶質)を溶解することにより調製された均質な混合物である。この液剤は、該溶質の緩衝、安定化又は保存のために、他の医薬として許容し得る及び/又は薬用化粧品として許容し得る化学物質を含有することができる。液剤の調製に使用される溶媒の一般的な例は、エタノール、水、プロピレングリコール又はいずれか他の医薬として許容し得る及び/又は薬用化粧品として許容し得るビヒクルである。
【0070】
ゲル剤は、半固形の懸濁液型システムである。単相のゲル剤は、典型的には水性であるが、好ましくはアルコール、及び任意に油も含む液体担体全体に渡り、実質的に均一に分散された有機高分子を含有する。好ましい「有機高分子」、すなわちゲル化剤は、架橋されたアクリル酸ポリマー、例としてポリマーの「カルボマー」ファミリー、例えば商標Carbopol(登録商標)で商業的に得ることができるカルボキシポリアルキレンのような、化学的に架橋されたポリマーであってよい。ある実施態様において、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー及びポリビニルアルコールのような親水性ポリマー;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びメチルセルロースのようなセルロース系ポリマー;トラガカントガム及びキサンタンガムのようなガム;アルギン酸ナトリウム;及び、ゼラチンも、同じく好ましいことができる。均一なゲル剤を調製するために、アルコール又はグリセリンのような分散剤を添加することができるか、又はゲル化剤を、粉砕、機械的混合若しくは攪拌、若しくはそれらの組合せにより分散することができる。
【0071】
軟膏は、同じく当該技術分野において周知であるように、典型的にはワセリン又は他の石油誘導体を基剤にした半固形調製品である。当業者に理解されるように、使用される具体的な軟膏基剤は、例えば皮膚軟化性などの多くの望ましい特性を提供するものである。軟膏基剤は、他の担体又はビヒクルのように、不活性で、安定し、非刺激性であり、かつ非感作性でなければならない。Remingtonの文献「調剤の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」第19版(イーストン, Pa.: Mack Publishing社、1995年)の1399-1404頁に説明されるように、軟膏基剤は、4つのクラスにグループ分けすることができる:油脂性基剤;乳化性(emulsifiable)基剤;乳液性基剤;及び、水溶性基剤。油脂性軟膏基剤は、例えば、植物油、動物から得られた油脂、及び石油から得られた半固形の炭化水素を含む。乳化性軟膏基剤は、吸収性軟膏基剤としても公知であり、水をほとんど含まないか又は全く含まず、かつ例えばヒドロキシステアリンスルフェート、無水ラノリン、及び親水ワセリンを含む。乳液性軟膏基剤は、油中水(W/O)型乳液、又は水中油(O/W)型乳液のいずれかであり、かつ例えば、セチルアルコール、グリセリルモノステアラート、ラノリン、及びステアリン酸を含む。好ましい水溶性軟膏基剤は、様々な分子量のポリエチレングリコールから調製される(例えば、前掲のRemingtonの文献を参照されたい)。
【0072】
泥膏は、活性物質が、好適な基剤中に懸濁されている半固形剤形である。この基剤の性質に応じ、泥膏は、油脂泥膏又は単相水性ゲルから製造されたものに分けられる。油脂泥膏中の基剤は、一般にワセリン又は親水ワセリンなどである。単相水性ゲルから作製された泥膏は、一般に基剤としてカルボキシメチルセルロースなどを混合している。
【0073】
製剤は、リポソーム、ミセル、及びミクロスフェアにより調製することもできる。リポソームは、脂質二層を含むひとつ(単層)又は複数(多層)の脂質壁を有する微視的小胞であり、かつ本文脈において、本抗酸化化合物又はある種の担体若しくは賦形剤のような、本明細書において説明された局所製剤の1種以上の成分が、被包されるか及び/又は脂質膜表面に吸着されることができる。本明細書のリポソーム調製品は、陽イオン性(正帯電した)、陰イオン性(負帯電した)、及び中性の調製品を含む。陽イオン性リポソームは、容易に入手可能である。例えば、N[1-2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリエチルアンモニウム(DOTMA)リポソームは、商標Lipofectin(登録商標)(GIBCO BRL社、グランドアイランド、ニューヨーク州)で入手可能である。同様に、陰イオン性及び中性リポソームは、例えば、Avanti Polar Lipids社(バーミンガム、AL)から同じく容易に入手可能であるか、又は容易に入手可能である材料を使用し、容易に調製することができる。そのような材料は、とりわけホスファチジルコリン、コレステロール、ホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を含む。これらの材料は、好適な比で、DOTMAと混合されることもできる。これらの材料を使用するリポソームの製造法は、当該技術分野において周知である。
【0074】
ミセルは、それらの極性ヘッド基が外側球形シェルを形成する一方で、疎水性炭化水素鎖は、その球の中心を向いているように配置され、コアを形成している界面活性剤分子を構成することが、当該技術分野において公知である。ミセルは、界面活性剤を、ミセルが自然に生じるような十分に高い濃度で含有する水溶液を形成する。ミセル形成に有用な界面活性剤は、ラウリン酸カリウム、オクタンスルホン酸ナトリウム、デカンスルホン酸ナトリウム、ドデカンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチル-塩化アンモニウム、ドデシル塩化アンモニウム、ポリオキシル-8ドデシルエーテル、ポリオキシル-12ドデシルエーテル、ノノキシノール10、及びノノキシノール30を含むが、これらに限定されるものではない。
【0075】
同様に、ミクロスフェアは、ここで説明された局所製剤に混合できる。リポソーム及びミセル同様、ミクロスフェアは、本質的に本製剤の1種以上の成分を被包している。これらは一般に、脂質、好ましくはリン脂質のような帯電した脂質から形成されるが、必ずしもではない。脂質系ミクロスフェアの調製は、当該技術分野において周知である。
【0076】
当業者に公知であるように、様々な添加剤も、本局所製剤中に含まれてよい。例えば、比較的少量のアルコールを含む溶媒が、ある種の製剤成分を可溶化するために使用されてよい。本明細書において説明された抗酸化化合物のミトコンドリアへ標的化された親油性陽イオンは、細胞膜を横断し、かつ皮膚線維芽細胞及び角化細胞のミトコンドリア内で細胞内に蓄積するが、ある種の局所製剤に関して又はROSから生じる特定の重篤な皮膚状態の症例において、局所製剤中に、製剤中の追加の皮膚浸透促進剤を含有することが望ましいことがある。好適な促進剤の例は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol(登録商標)として商業的に入手可能)及びジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなエーテル;ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、Poloxamer(登録商標)(231、182、184)、Tween(登録商標)(20、40、60、80)、及びレシチン(米国特許第4,783,450号)のような界面活性剤;エタノール、プロパノール、オクタノール、ベンジルアルコールその他などのアルコール;ポリエチレングリコールモノラウレート(PEGML;例えば米国特許第4,568,343号参照)のようなポリエチレングリコール及びそれらのエステル;尿素、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンのようなアミド及び他の含窒素化合物;テルペン;アルカノン;並びに、有機酸、特にクエン酸及びコハク酸を含むが、これらに限定されるものではない。Azone(登録商標)並びにDMSO及びC10MSOのようなスルホキシドも使用することができるが、余り好ましくない。
【0077】
最も好ましい皮膚浸透促進剤は、典型的には「可塑化」促進剤と称される、そのような親油性共促進剤、すなわち分子量約150〜1000ダルトンの範囲の、水溶解度約1重量%未満、好ましくは約0.5重量%未満、最も好ましくは約0.2重量%未満を有する促進剤である。この可塑化促進剤のヒルデブランド溶解度パラメータは、約2.5〜約10の範囲、好ましくは約5〜約10の範囲である。好ましい親油性促進剤は、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、及び脂肪族エーテルである。具体的かつ最も好ましい脂肪酸エステルの例は、ラウリン酸メチル、オレイン酸エチル、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリセロールジラウレート、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノオレエート、n-デカン酸イソプロピル、及びミリスチン酸オクチルドデシルを含む。脂肪族アルコールは、例えば、ステアリルアルコール及びオレイルアルコールを含むが、脂肪族エーテルは、ジオール又はトリオール、好ましくはC2-C4アルカンジオール又はトリオールが、1又は2個の脂肪族エーテル置換基により置換されている化合物を含む。追加の皮膚浸透促進剤は、局所的薬物送達の技術分野の業者に公知であり、及び/又は関連文献に説明されている。例えば、Smithら編集の文献「経皮浸透促進剤(Percutaneous Penetration Enhancers)」(CRC Press社、1995年)を参照されたい。
【0078】
先に確定された添加剤に加え、様々な他の添加剤を、本発明のある実施態様に従い、本局所製剤中に含んでよい。これらは、追加の抗酸化剤、収斂剤、香料、保存剤、皮膚柔軟剤、顔料、色素、湿潤剤、噴射剤、及び日焼け止め剤、更にはその存在が、化粧品的、医薬的又はそれ以外で望ましいとされる他のクラスの材料を含むが、これらに限定されるものではない。本発明の製剤中に含有するための任意の添加剤の典型例は、以下である:ソルビン酸塩のような保存剤;イソプロパノール及びプロピレングリコールのような溶媒;メントール及びエタノールのような収斂剤;ポリアルキレンメチルグルコシドのような皮膚柔軟剤;グリセリンのような湿潤剤;グリセロールステアレート、PEG-100ステアレート、ポリグリセリル-3ヒドロキシラウリルエーテル、及びポリソルベート60のような乳化剤;ソルビトール及びポリエチレングリコールのような他のポリヒドロキシアルコール;メトキシルケイヒ酸オクチル(Parsol MCXとして商業的に入手可能)及びブチルメトキシベンゾイルメタン(商標Parsol 1789として入手可能)のような日焼け止め剤;アスコルビン酸(ビタミンC)、α-トコフェロール(ビタミンE)、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、ε-トコフェロール、ζ1-トコフェロール、ζ2-トコフェロール、η-トコフェロール、及びレチノール(ビタミンA)のような抗酸化剤;精油、セラミド、必須脂肪酸、鉱油、植物油(例えばダイズ油、ヤシ油、シアバターの液体画分、ヒマワリ油)、動物油(例えばペルヒドロスクアレン)、合成油、シリコーン油又はワックス(例えばシクロメチコン及びジメチコーン)、フッ素添加油(一般にペルフルオロポリエーテル)、脂肪族アルコール(例えばセチルアルコール)、並びにワックス(例えば、蜜蝋、カルナバワックス、及びパラフィンワックス);皮膚-感触改良剤;並びに、膨潤クレイ及びCarbopol(登録商標)の商標で商業的に入手することができる架橋したカルボキシポリアルキレンのような増粘剤及び構造体(structurant)。
【0079】
他の添加剤は、皮膚(特に角質層内の皮膚の上側層)を整え、かつその含水量の低下を遅らせることによりこれを柔軟に維持し、及び/又はその皮膚を保護する材料のような有益な物質を含む。そのようなコンディショニング剤及び保湿剤は、例として、ピロリジンカルボン酸及びアミノ酸;2,4,4'-トリクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)及び安息香酸のような有機抗微生物薬;アセチルサリチル酸及びグリシレチン酸のような抗炎症薬;レチノイン酸のような抗脂漏薬;ニコチン酸のような血管拡張薬;コジック酸のようなメラニン形成阻害薬;並びに、それらの混合物を含む。その他の有利に含有される薬用化粧品用活性物質、例えば、α-ヒドロキシ酸、α-ケト酸、高分子ヒドロキシ酸、保湿剤、コラーゲン、海洋抽出物、及びアスコルビン酸(ビタミンC)、α-トコフェロール(ビタミンE)又は先に説明されたもののようなその他のトコフェロール、及びレチノール(ビタミンA)のような抗酸化剤、並びに/又はそれらの化粧品として許容し得る塩、エステル、アミド、又は他の誘導体が、存在することができる。追加の化粧物質は、例えば、WO 94/00098及びWO 94/00109に開示されたような、皮膚組織の酸素供給を改善することが可能である物質を含む。日焼け止め剤も含まれてよい。
【0080】
他の実施態様は、本発明の製剤による治療を促進する、様々な非発癌性、非刺激性の治癒性物質を含んでよい。そのような治癒性物質は、栄養素、ミネラル、ビタミン、電解質、酵素、薬草、植物抽出物、腺若しくは動物の抽出物、又は真皮障害の治癒を促進するために本製剤に添加され得る安全な治療物質を含むことができる。これらの様々な添加剤の量は、化粧品分野において従来使用されるものであり、かつ例えば、本局所製剤の総重量の約0.01%〜約20%の範囲である。
【0081】
本発明の製剤は、乳白剤、芳香剤、着色剤、ゲル化剤、増粘剤、安定剤、界面活性剤その他などの従来の添加剤も含有することができる。貯蔵時の腐敗を防ぐため、すなわち酵母及びカビのような微生物の増殖を阻害するために、抗微生物剤のようなその他の物質も、添加することができる。好適な抗微生物剤は典型的には、p-ヒドロキシ安息香酸のメチル及びプロピルエステル(例えば、メチル及びプロピルパラベン)、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、イミド尿素、及びそれらの組合せから選択される。本製剤は、投与されるべき化学実体、若しくは該組成物の他の成分から生じる皮膚刺激若しくは皮膚損傷の可能性を最小化若しくは排除するための、刺激-緩和添加剤も含有することができる。好適な刺激-緩和添加剤は、例えば以下を含む:α-トコフェロール;モノアミンオキシダーゼ阻害剤、特に2-フェニル-1-エタノールのようなフェニルアルコール;グリセリン;サリチラート;アスコルベート;モネンシンのようなイオノフォア;両親媒性アミン;塩化アンモニウム(animonium chloride);N-アセチルシステイン;カプサイシン;及び、クロロキン(chioroquine)。刺激-緩和添加剤が存在する場合、これは刺激又は皮膚損傷を緩和するのに有効な濃度で、典型的には該製剤の約20重量%を超えず、より典型的には約5重量%を超えずに、本局所製剤に混合されてよい。
【0082】
前記局所製剤は、本明細書において説明されたミトコンドリアに標的化された抗酸化化合物(例えば、mitoQ-C10メシラート)に加え、治療的有効量の1種以上の追加の局所投与に適した薬理学的活性物質も含有することができる。そのような物質は、例えば、国際特許公報WO 94/00098及びWO 94/00109に説明されたように、皮膚組織中の酸素供給を改善することが可能である、リン脂質及び酸素-負荷されたフルオロカーボン又はフルオロカーボン化合物の混合物からなる非対称の層状凝集物(asymmetrical lamellar aggregate)を含むことができる。
【0083】
ミトコンドリアに標的化された医薬的及び/又は化粧的活性のある抗酸化化合物(例えば、mitoQ-C10メシラート)と共に、本局所製剤に混合することができ、その結果局所的に適用される好適な薬理学的活性物質は、以下の物質を含むが、これらに限定されるものではない:色素沈着した又はしていないしみ、角化症、及び皺を改善又は根絶する物質;抗微生物剤;抗菌薬;止痒薬及び乾燥防止剤;抗炎症剤;局所麻酔薬及び鎮痛薬;コルチコステロイド;レチノイド(例えば、レチノイン酸);ビタミン;ホルモン;及び、代謝拮抗薬。局所用薬理学的活性物質の例の一部は、アシクロビル、アンホテリシン、クロルヘキシジン、クロトリマゾール、ケトコナゾール、エコナゾール、ミコナゾール、メトロニダゾール、ミノサイクリン、ナイスタチン、ネオマイシン、カナマイシン、フェニトイン、p-アミノ安息香酸エステル、メトキシケイヒ酸オクチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、ジオキシベンゾン、トコフェロール、酢酸トコフェリル、セレンスルフィド、亜鉛ピリチオン、ジフェンヒドラミン、プラモキシン、リドカイン、プロカイン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、クリンダマイシン、クロタミトン、ヒドロキノン並びにそのモノメチル及びベンジルエーテル、ナプロキセン、イブプロフェン、クロモリン、レチノイン酸、レチノール、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、コールタール、グリセオフルビン、エストラジオール、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン21-アセテート、ヒドロコルチゾン17-バレレート、ヒドロコルチゾン17-ブチラート、プロゲステロン、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノニド、プロピオン酸クロベタゾール、ミノキシジル、ジピリダモール、ジフェニルヒダントイン、過酸化ベンゾイル、及び5-フルオロウラシルを含む。
【0084】
薬理学的に許容し得る担体も、ある本実施態様の局所製剤に混合されることができ、かつ当該技術分野において通常使用される担体のいずれかであってよい。例としては、水、低級アルコール、高級アルコール、多価アルコール、単糖、二糖、多糖、炭化水素油、油脂、ワックス、脂肪酸、シリコーン油、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、並びにそのような担体の水-ベースの混合物及び乳液-ベースの混合物を含む。
【0085】
本発明の実施態様は、化粧品的に、医薬的に、又は同時に両方で使用されてよい。化粧品適用及び医薬品適用は、エアゾール、ベビー用品、浴用油、(風呂の)泡立て剤、クレンザー、カラー化粧製品、コンディショニング剤、コンシーラー、クリーム、防臭剤、消毒薬(disenfectant)、液滴、目と顔のメーキャップ用品、手の爪のマニュキア剤、ファンデーション、ゲル、リップバルム、リップグロス、口紅、美顔用パック(masks)、乳液(milk)、保湿クリーム、ナイトクリーム、軟膏、油、香料、貼付剤(経皮貼付剤を含む)、パウダー、シャンプー、髭剃り用ゲル又はローション、皮膚に有益なクリーム及びローション、石鹸、スポンジ、スプレー、化粧水(toner)、トニック、ふき取り剤その他などの製品を含むことができる。当業者は、本発明の実施態様は、ここに提供された例に限定されないことを理解するであろう。
【0086】
本発明の局所製剤の実施態様は、望ましい結果を達成するために必要とされる頻度及び量で、治療を必要とするあらゆる皮膚領域に、定期的に適用されてよい。治療の頻度は、皮膚状態(例えば、皮膚におけるROS生成から生じる皮膚状態)の性質、皮膚の損傷又は荒廃の程度、使用者の皮膚の反応性、特定の実施態様における活性成分(例えば、本明細書において説明されたミトコンドリアに標的化された抗酸化化合物及び任意に1種以上の追加の医薬的若しくは化粧的活性成分)の強度、活性成分を皮膚の適切な層に送達するために使用されるビヒクルの有効性、製剤の衣服との物理的接触による除去又は汗若しくは他の内因性若しくは外因性液体によるその除去の容易さ、並びに使用者の生活スタイルへの利便性によって決まる。
【0087】
本明細書において説明された新規治療組成物のような生化学的活性物質の典型的濃度は、例えば該組成物の総重量を基に約0.001〜30重量%から約0.01〜5.0%まで、より好ましくは約0.1〜2.0%までの範囲であることができる。ひとつの代表例として、本発明の組成物は、約1.0mg/cm2皮膚〜約20.0mg/cm2皮膚までと等しい割合で皮膚へ適用されてよい。局所製剤の代表例は、エアゾール、アルコール、無水基剤(口紅及びパウダーなど)、水溶液、クリーム、乳剤(油中水型又は水中油型乳剤のいずれかを含む)、脂肪、泡剤、ゲル剤、水性-アルコール溶液、リポソーム、ローション、マイクロエマルジョン、軟膏、油、有機溶媒、ポリオール、ポリマー、パウダー、塩、シリコーン誘導体、及びワックスを含むが、これらに限定されるものではない。局所製剤は、例えば、キレート剤、コンディショニング剤、皮膚柔軟剤、賦形剤、湿潤剤、保護剤、増粘剤、又はUV吸収剤を含んでよい。当業者は、列挙されたもの以外の製剤が、本発明の実施態様において使用されてよいことを理解するであろう。
【0088】
キレート剤は、局所製剤中に任意に含まれてよく、かつ化粧組成物中での使用に適している物質のいずれかから選択されてよく、かつCa2+、Mn2+、又はMg2+のような二価の陽イオン金属に結合する能力を有する天然又は合成の化学物質のいずれかを含んでよい。キレート剤の例は、EDTA、EDTA二ナトリウム、EGTA、クエン酸、及びジカルボン酸を含むが、これらに限定されるものではない。
【0089】
コンディショニング剤も、局所製剤中に任意に含まれてよい。皮膚コンディショニング剤の例は、アセチルシステイン、N-アセチルジヒドロスフィンゴシン、アクリレート/ベヘニルアクリレート/ジメチコーンアクリレートのコポリマー、アデノシン、環状アデノシン一リン酸、アデノシン一リン酸、アデノシン三リン酸、アラニン、アルブメン、海藻エキス、アラントイン及び誘導体、アロエバルバデンシスエキス、アルミニウムPCA、アミログルコシダーゼ、アルブチン、アルギニン、アズレン、ブロメライン、粉末バターミルク、ブチレングリコール、カフェイン、グルコン酸カルシウム、カプサイシン、カルボシステイン、カルノシン、β-カロテン、カゼイン、カタラーゼ、セファリン、セラミド、カモミラ・レキュチタ(chamomilla recutita)(カミツレ)花エキス、コレカルシフェロール、コレステリルエステル、ココベタイン、コエンザイムA、加工コーンスターチ、クリスタリン(crystallin)、シクロエトキシメチコン、システインDNA、シトクロムC、ダルトシド、硫酸デキストラン、ジメチコーンコポリオール、ヒアルロン酸ジメチルシラノール、DNA、エラスチン、エラスチンアミノ酸、上皮細胞増殖因子、エルゴカルシフェロール、エルゴステロール、エチルヘキシルPCA、フィブロネクチン、葉酸、ゼラチン、グリアジン、β-グルカン、グルコース、グリシン、グリコーゲン、糖脂質、糖タンパク質、グリコサミノグリカン、グリコスフィンゴリピド、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、水素化タンパク質、タンパク質加水分解物、ホホバ油、ケラチン、ケラチンアミノ酸、及びキネチン、ラクトフェリン、ラノステロール、ラウリルPCA、レシチン、リノール酸、リノレン酸、リパーゼ、リジン、リゾチーム、麦芽エキス、マルトデキストリン、メラニン、メチオニン、無機塩、ナイアシン、ナイアシンアミド、エンバクアミノ酸、オリザノール、パルミトイル加水分解タンパク質、パンクレアチン、パパイン、PEG、ペプシン、リン脂質、フィトステロール、胎盤の酵素、胎盤の脂質、ピリドキサル5-リン酸、ケルセチン、酢酸レゾルシノール、リボフラビン、RNA、サッカロミセス溶解質エキス、シルクアミノ酸、スフィンゴ脂質、ステアラミドプロピルベタイン、パルミチン酸ステアリル、トコフェロール、酢酸トコフェリル、リノール酸トコフェリル、ユビキノン、ヴィティス・ヴィニヘラ(ブドウ)種子油、小麦アミノ酸、キサンタンガム、及びグルコン酸亜鉛を含むが、これらに限定されるものではない。先に列記されたもの以外の皮膚コンディショニング剤は、当業者により容易に理解され得るように、開示された組成物又はそれらにより提供される調製品と組み合わせることができる。
【0090】
局所製剤は、1種以上の皮膚柔軟剤を任意に含んでもよく、その例は、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアルコール、アクリレート/C10-30アクリル酸アルキルクロスポリマー、アクリレートコポリマー、アラニン、海藻エキス、アロエバルバデンシスエキス又はゲル、アルテア・オフィシナリス(althea officinalis)エキス、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、ステアリン酸アルミニウム 、アプリコット(プルナス・アルメニアカ(prunus armeniaca))カーネル油、アルギニン、アスパラギン酸アルギニン、アルニカ・モンタナ(arnica montana)エキス、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、アスパラギン酸、アボカド(パーシア・グラティッシマ(persea gratissima))油、硫酸バリウム、バリア(barrier)スフィンゴ脂質、ブチルアルコール、蜜蝋、ベヘニルアルコール、β-シトステロール、BHT、カバノキ(ベチュラ・アルバ(betula alba))バークエキス、ルリヂサ(ボラゴ・オフィシナリス(borago officinalis))エキス、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、ナギイカダ(ルスカス・アキュレアツス(ruscus aculeatus))エキス、ブチレングリコール、マリーゴールド(calendula officinalis)エキス、マリーゴールド油、キンセンカ(ユーホルビア・セリフェラ(euphorbia cerifera))ワックス、キャノーラ油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリル、カルダモン(エレッタリア・カルダモムム(elettaria cardamomum))油、カルナバ(コペルニシア・セリフェラ(copernicia cerifera))ワックス、カラゲナン(コンドラス・クリスパス(chondrus crispus))、ニンジン(ダウカス・キャロッタ・サティバ(daucus carota sativa))油、ヒマシ(リシナス・コミュニス(ricinus communis))油、セラミド、セレシン、セテアレス-5、セテアレス-12、セテアレス-20、オクタン酸セテアリル、セテス-20、セテス-24、酢酸セチル、オクタン酸セチル、パルミチン酸セチル、カモミール(アンテミス・ノビリス(anthemis nobilis))油、コレステロール、コレステロールエステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、クエン酸、サルビア(サルビア・スクラレア(salvia sclarea))油、ココア(テオブロマカカオ)バター、ココ-カプリル酸/カプリン酸、ココナツ(ココス・ヌシフェラ(cocos nucifera))油、コラーゲン、コラーゲンアミノ酸、コーン(ズィー・メイス(zea mays))油、脂肪酸、オレイン酸デシル、デキストリン、ジアゾリニリル尿素、ジメチコーンコポリオール、ジメチコノール、アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジオクチル、ヘキサカプリル酸/ヘキサカプリン酸ジペンタエリスリチル、DMDMヒダントイン、DNA、エリトリトール、エトキシジグリコール、リノール酸エチル、ユーカリ・グロブルス(eucalyptus globulus)油、月見草(オエノセラ・ビエンニス(oenothera biennis))油、脂肪酸、果糖(tructose)、ゼラチン、ゼラニウム(geranium maculatum)油、グルコサミン、グルタミン酸グルコース、グルタミン酸、グリセレス-26、グリセリン、グリセロール、ジステアリン酸グリセリル、ヒドロキシステアリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、リノール酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリルSE、グリシン、ステアリン酸グリコール、ステアリン酸グリコールSE、グリコサミノグリカン、ブドウ(ヴィティス・ヴィニヘラ(vitis vinifera))種子油、ヘーゼル(コリラス・アメリカーナ(corylus americana))ナッツ油、ヘーゼル(コリラス・アベラナ(corylus avellana))ナッツ油、ヘキシレングリコール、ハチミツ、ヒアルロン酸、ハイブリッドベニバナ(カーサマス・ティンクトリアス(carthamus tinctorius))油、水素化ヒマシ油、水素化ココ-グリセリド、水素化ココナツ油、水素化ラノリン、水素化レシチン、水素化パームグリセリド、硬化パームカーネル油、硬化ダイズ油、硬化獣脂グリセリド、硬化植物油、加水分解コラーゲン、加水分解エラスチン、加水分解グリコサミノグリカン、加水分解ケラチン、加水分解大豆タンパク質、ヒドロキシル化ラノリン、ヒドロキシプロリン、イミダゾリジニル尿素、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ステアリン酸イソセチル、ステアロイルステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、イソステアラミドDEA、イソステアリン酸、乳酸イソステアリル、ネオペンタン酸イソステアリル、ジャスミン(ジャスミナム・オフィシナレ(jasminum officinale))油、ホホバ(バクサス・チネンシス(buxus chinensis))油、海藻、ククイ(アレウリテス・モルカナ(aleurites moluccana))ナッツ油、ラクタミドMEA、ラネス-16、酢酸ラネス-10、ラノリン、ラノリン酸、ラノリンアルコール、ラノリン油、ラノリンワックス、ラベンダー(ラバンデュラ・アンガスティフォリア(lavandula angustifolia))油、レシチン、レモン(シトラス・メディカ・リモナム(citrus medica limonum))油、リノール酸、リノレン酸、マカダミア・テルニフォリア(macadamia ternifolia)ナッツ油、ステアリン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、マルチトール、カツミレ(カモミラ・レキュチタ)油、セスキステアリン酸メチルグルコース、メチルシラノールPCA、微晶質ワックス、鉱油、ミンクオイル、モルティエレラ油、乳酸ミリスチル、ミリスチン酸ミリスチル、プロピオン酸ミリスチル、ジカプリル酸/ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、オクチルドデカノール、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアロイルステアリン酸オクチルドデシル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、パルミチン酸オクチル、サリチル酸オクチル、ステアリン酸オクチル、オレイン酸、オリーブ(オレア・ユーロパエア(olea europaea))油、オレンジ(シトラス・アウランチウム・デュルシス(citrus aurantium dulcis))油、ヤシ(エラエイス・グィネエンシス(elaeis guineensis))油、パルミチン酸、パンテチン、パンテノール、パンテノールエチルエーテル、パラフィン、PCA、モモ(プルーナス・ペルシカ(prunus persica))カーネル油、ピーナツ(アラキス・ヒポガエ(arachis hypogaea))油、PEG-8 C12 18エステル、PEG-15コカミン、PEG-150ジステアリン酸、イソステアリン酸PEG-60グリセリル、ステアリン酸PEG-5グリセリル、ステアリン酸PEG-30グリセリル、PEG-7水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース、PEG-40ペルオレイン酸ソルビタン、PEG-5大豆ステロール、PEG-10大豆ステロール、ステアリン酸PEG-2、ステアリン酸PEG-8、ステアリン酸PEG-20、ステアリン酸PEG-32、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-50、ステアリン酸PEG-100、ステアリン酸PEG-150、ペンタデカラクトン、ペパーミント(メンタ・ピペリタ(mentha piperita))油、ワセリン、リン脂質、ポリアミノ糖縮合体、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ポリクオタニウム-24、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリソルベート85、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ソルビン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、プロピレングリコール、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオクタン酸プロピレングリコール、プロピレングリコールジペラルゴナート、ラウリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸SEプロピレングリコール、PVP、ジパルミチン酸ピリドキシン、クオタニウム-15、クオタニウム-18ヘクトライト、クオタニウム-22、レチノール、パルミチン酸レチニル、米(オリザ・サティバ(oryza sativa))ヌカ油、RNA、ローズマリー(ロスマリヌス・オフィシナリス(rosmarinus officinalis))油、バラ油、ベニバナ(カーサマス・ティンクトリアス)油、セージ(サルビア・オフィシナリス(salvia officinalis))油、サリチル酸、白檀(サンタラム・アルバム(santalum album))油、セリン、血清タンパク質、ゴマ(セサマム・インディカム(sesamum indicum))油、シアバター(ブチロスパーマム・パーキー(butyrospermum parkii))、シルクパウダー、コンドロイチン硫酸ナトリウム、DNAナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ナトリウムPCA、ポリグルタミン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、水溶性コラーゲン、ソルビン酸、ラウリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、ソルビトール、大豆(グリシンソヤ)油、スフィンゴ脂質、スクワラン、スクアレン、ステアリン酸ステアラミドMEA、ステアリン酸、ステアロキシジメチコーン、ステアロキシトリメチルシラン、ステアリルアルコール、グリチルレチン酸ステアリル、ヘプタン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、ヒマワリ(ヘリアンサス・アナス(helianthus annuus))種子油、スイートアーモンド(プルーナス・アミグダラス・デュルシス(prunus amygdalus dulcis)油、合成蜜蝋、トコフェロール、酢酸トコフェリル、リノレイン酸トコフェリル、トリベヘニン、ネオペンタン酸トリデシル、ステアリン酸トリデシル、トリエタノールアミン、トリステアリン、尿素、植物油、水、ワックス、小麦(トリチカム・ブルガレ(triticum vulgare))胚芽油、及びイランイラン(カナンガ・オドラータ(cananga odorata))油を含むが、これらに限定されるものではない。
【0091】
一部の実施態様において、局所製剤は典型的には、皮膚に関して高親和性を有し、忍容性がよく、安定し、かつ容易な利用を可能にするコンシステンシーを生じなければならない、好適な賦形剤を含有してよい。好適な局所賦形剤及びビヒクルは、当業者により、特に「レミントンの薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第18版、Mack Publishing社、イーストン、Pa. (1990年)の特に第87章のような当該技術分野の多くの標準教本(これはその全体が引用により本明細書中に組み込まれている)のひとつを参照し、特定の用途に関して慣習的に選択されることができる。任意に1種以上の湿潤剤も、本局所製剤中に含まれる。湿潤剤の例は、アミノ酸、コンドロイチン硫酸、ジグリセリン、エリトリトール、フルクトース、グルコース、グリセリン、グリセロール、グリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、ハチミツ、ヒアルロン酸、水素化ハチミツ、水素化デンプン水解物、イノシトール、ラクチトール、マルチトール、マルトース、マンニトール、天然保湿因子、PEG-15ブタンジオール、ポリグリセリルソルビトール、ピロリドンカルボン酸塩、カリウムPCA、プロピレングリコール、グルクロン酸ナトリウム、ナトリウムPCA、ソルビトール、ショ糖、トレハロース、尿素、及びキシリトールを含むが、これらに限定されるものではない。
【0092】
ある実施態様は、1種以上の追加の皮膚保護剤を含有している局所製剤を企図している。皮膚保護剤の例は、海藻エキス、アラントイン、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ベタイン、カメリアシネンシス(camellia sinensis)葉エキス、セレブロシド、ジメチコーン、グルクロノラクトン、グリセリン、カオリン、ラノリン、麦芽エキス、鉱油、ワセリン、グルコン酸カリウム、及びタルクを含むことができるが、これらに限定されるものではない。当業者は、先に列挙されたもの以外の皮膚保護剤も、開示された本発明の組成物又はそれによ提供された調製品と組合されてよいことを容易に理解するであろう。
【0093】
界面活性剤も望ましくは、本明細書において企図されたある局所製剤中に含まれてよく、かつ陽イオン、陰イオン、両性イオン性、若しくは非イオン性界面活性剤、又はそれらの混合物のような、化粧組成物における使用に適した天然又は合成の界面活性剤のいずれかから選択されることができる(Rosen, M.の文献、「界面活性剤及び界面現象(Surfactants and Interfacial Phenomena)」、第2版、John Wiley & Sons社、ニューヨーク、1988年、第1章、431頁を参照されたい)。陽イオン界面活性剤の例は、DMDAO又は他のアミンオキシド、長鎖第一級アミン、ジアミン及びポリアミン並びにそれらの塩、四級アンモニウム塩、ポリオキシエチレン化された長鎖アミン、並びに四級化ポリオキシエチレン化された長鎖アミンを含んでよいが、これらに限定されるものではない。陰イオン界面活性剤の例は、SDS;カルボン酸の塩(例えば石鹸);スルホン酸の塩、硫酸の塩、リン酸及びポリリン酸エステル;アルキルホスフェート;モノアルキルホスフェート(MAP);及び、ペルフルオロカルボン酸の塩を含んでよいが、これらに限定されるものではない。両性イオン性界面活性剤の例は、ココアミドプロピルヒドロキシサルタイン(CAPHS)、及びpH-感受性がありかつその製剤の至適pHをデザインする際に特別な注意を必要とするその他のもの(すなわち、アルキルアミノプロピオン酸、カルボン酸イミダゾリン、及びベタイン)又はpH-感受性ではないもの(例えば、スルホベタイン、サルタイン)を含んでよいが、これらに限定されるものではない。非イオン性界面活性剤の例は、アルキルフェノールエトキシレート、アルコールエトキシレート、ポリオキシエチレン化されたポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化されたメルカプタン、長鎖型カルボン酸エステル、アルカノールアミド、第三級アセチレングリコール、ポリオキシエチレン化されたシリコーン、N-アルキルピロリドン、及びアルキルポリグリコシダーゼを含んでよいが、これらに限定されるものではない。界面活性剤の任意の組合せが許容され得る。ある実施態様は、相溶性がある、すなわち混合した場合に明らかに沈殿する錯体を形成しない、少なくとも1種の陰イオン界面活性剤と1種の陽イオン界面活性剤を含むか、又は少なくとも1種の陽イオン界面活性剤と1種の両性イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0094】
同じくある局所製剤中に存在し得る増粘剤の例は、アクリルアミドコポリマー、アガロース、アミロペクチン、ベントナイト、アルギン酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボマー、カルボキシメチルキチン、セルロースガム、デキストリン、ゼラチン、水素化獣脂、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxytheylcellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、アルギン酸マグネシウム、メチルセルロース、微晶質セルロース、ペクチン、様々なPEG類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、様々なPPG類、アクリル酸ナトリウムコポリマー、カラゲナンナトリウム、キサンタンガム、及び酵母β-グルカンを含むが、これらに限定されるものではない。先に列挙されたもの以外の増粘剤も、本発明の実施態様において使用されてよい。
【0095】
本明細書において企図されたある実施態様に従い、皮膚におけるROS生成から生じる皮膚状態の治療において使用するための局所製剤は、1種以上の日焼け防止剤又はUV吸収剤を含有してよい。紫外線-(UVA及びUVB)吸収特性が望ましい場合、そのような物質は、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン-1、ベンゾフェノン-2、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、ベンゾフェノン-6、ベンゾフェノン-7、ベンゾフェノン-8、ベンゾフェノン-9、ベンゾフェノン-10、ベンゾフェノン-11、ベンゾフェノン-12、サリチル酸ベンジル、ブチルPABA、ケイヒ酸エステル、シノキサート、DEA-メトキシケイヒ酸、メチルケイヒ酸ジイソプロピル、エチルジヒドロキシプロピルPABA、ジイソプロピルケイヒ酸エチル、メトキシケイヒ酸エチル、エチルPABA、ウロカニン酸エチル、ジメトキシケイヒ酸オクタン酸グリセリル、グリセリルPABA、サリチル酸グリコール、ホモサラート、p-メトキシケイヒ酸イソアミル、チタン、亜鉛、ジルコニウム、ケイ素、マンガン及びセリウムの酸化物、PABA、PABAエステル、Parsol 1789、並びにサリチル酸イソプロピルベンジル、並びにそれらの混合物を含んでよい。当業者は、列挙されたもの以外の日焼け防止剤及びUV吸収剤又は保護剤が、本発明において使用されてよいことを理解するであろう。
【0096】
本明細書において開示された局所製剤は典型的には、約2.5〜約10.0の間のpH値で有効である。好ましくは、本組成物のpHは、下記のpH範囲又はその付近である:約pH5.5〜約pH8.5、約pH5〜約pH10、約pH5〜約pH9、約pH5〜約pH8、約pH3〜約pH10、約pH3〜約pH9、約pH3〜約pH8、及び約pH3〜約pH8.5。最も好ましくは、このpHは、約pH7〜約pH8である。当業者は、pHを許容し得る範囲に調節するために、好適なpH調節成分を、本発明の組成物に添加することができる。
【0097】
(適用)
クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、軟膏、泥膏などは、罹患した表面上に広げられ、かつ優しく擦り込まれてよい。液剤は、同じ方式で適用されてよいが、より典型的には、点滴器、綿棒などにより適用され、かつ罹患領域に慎重に適用されるであろう。この適用レジメンは、状態の重症度及び初期治療に対するその反応性のような、容易に決定され得る多くの要因により左右されるであろうが、通常は、進行中の基準(ongoing basis)に対し1日1回以上の適用が関与するであろう。当業者は、投与されるべき製剤の適量、投与方法及び反復の割合を容易に決定することができる。概して、本発明の製剤は、毎週1又は2回から、1日1、2若しくは3回までの範囲で適用されることが企図されている。
【0098】
同じく先に考察されたように、本明細書において有用な局所製剤(例えば、医薬組成物及び/又は化粧組成物)は、結果として、それ自身該組成物を受け取る対象に有害ではない任意の医薬物質を含み、かつ過度の毒性を伴わずに投与されることができる、任意の好適な希釈剤又は賦形剤を含む、医薬として許容し得る担体も含む。医薬として許容し得る担体は、水、食塩水、グリセロール及びエタノールその他などの液体を含むが、これらに限定されるものではなく、かつ粘度増強剤(例えば、バルサムモミ樹脂)又はコロジオン溶液若しくはニトロセルロース溶液のような被膜形成剤も含むことができる。医薬として許容し得る担体、希釈剤、及び他の賦形剤の徹底した考察は、「レミントンの薬科学(REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES)」(Mack Pub.社、N.J.、最新版)に示されている。
【0099】
局所製剤が、例えばゼラチンカプセル剤など、ゲル-又は液体-充填型カプセル剤の形状である場合、前述の種類の物質に加え、ポリエチレングリコール又は油分のような液体担体を含んでよい。溶液、懸濁液又は他の類似形のいずれであっても、本発明の液体の医薬組成物及び化粧組成物は、以下の1種以上を含んでよい:注射用水、食塩水、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム、溶媒若しくは懸濁媒体として働くことができる合成のモノグリセリド若しくはジグリセリドのような不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール若しくは他の溶媒のような無菌の希釈剤;ベンジルアルコール又はメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムのような追加の抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩のような緩衝剤、及び塩化ナトリウム又はデキストロースのような張度調節剤。
【0100】
局所投与のための担体は、好適には、液剤、乳剤、軟膏又はゲル剤の基剤を含むことができる。この基剤は、例えば、以下の1種以上を含んでよい:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱油、水及びアルコールのような希釈剤、並びに乳化剤及び安定剤。増粘剤は、局所投与のための医薬又は化粧組成物中に存在してよい。経皮投与が意図される場合、本組成物は、経皮貼付剤又はイオントフォレーシス装置を含んでよい。局所製剤は、約0.1〜約10%w/v(重量/単位容積)の本化合物の濃度を含んでよい。局所製剤は、クリーム剤、ローション剤、液剤、スプレー、ゲル剤、軟膏、泥膏などの形で提供されてよく、並びに/又はリポソーム、ミセル、ミクロスフェア及び/又は他の微粒子若しくはナノ粒子の送達要素を含んでよい。
【0101】
本局所製剤は、抗酸化化合物に結合し、かつこれにより皮膚線維芽細胞及び角化細胞へのその送達を補助する物質を含んでよい。この能力で作用することができる好適な物質は、シクロデキストリンのような包接物質を含み;他の物質は、タンパク質又はリポソームを含んでよい。
【0102】
本発明の局所製剤は、エアゾールとして投与され得る単位剤形でも提供されてよい。用語エアゾールは、コロイド状の性質のものから、加圧された包装からなるシステムまでの範囲の様々なシステムを意味するように使用される。送達は、液化ガス若しくは圧縮ガスによるか、又は活性成分を分散している好適なポンプシステムによることができる。本発明の化合物のエアゾールは、活性成分(類)を送達するために、単相、二相、又は三相システムで送達されてよい。エアゾールの送達は、必要な容器、アクチベーター、バルブ、補助容器などを含み、これらは一緒にキットを形成することができる。当業者は、過度の実験をすることなく、局所製剤を皮膚へ送達するのに好ましいエアゾールを決定することができる。
【0103】
本局所製剤は、医薬技術分野において周知の方法論により調製されてよい。例えば、スプレー、洗浄液(wash)又はリンスとして皮膚へ投与されることが意図された医薬組成物は、溶液を形成するために、本明細書において説明されたような抗酸化化合物を、無菌の蒸留水と組み合わせることにより調製されることができる。均質な溶液又は懸濁液の形成を促進するために、界面活性剤が添加されてよい。界面活性剤は、水性送達システム中の本化合物の溶解又は均質な懸濁を促進するために、抗酸化活性化合物と非共有的に相互作用する化合物である。
【0104】
局所製剤において使用するための抗酸化化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩は、治療的有効量で投与され、これは、使用される具体的抗酸化化合物の活性;該化合物の代謝安定性及び作用時間;対象の年齢、体重、全般的健康状態、性別、皮膚の種類及び食事;投与の様式及び時間;排泄率;併用薬;皮膚におけるROS生成から生じる特定の皮膚状態の重症度;並びに、治療を受けている対象を含む、様々な要因に応じて変動するであろう。一般に、治療的に有効な1日投与量(70kgの哺乳類に関して)は、約0.001mg/kg(すなわち0.07mg)〜約100mg/kg(すなわち7.0g)であり;好ましくは治療的有効量(70kgの哺乳類に関して)は、約0.01mg/kg(すなわち7mg)〜約50mg/kg(すなわち3.5g)であり;より好ましくは、治療的有効量(70kgの哺乳類に関して)は、約1mg/kg(すなわち70mg)〜約25mg/kg(すなわち1.75g)である。
【0105】
本明細書に提供された有効量の範囲は、限定されることを意図するものではなく、かつ好ましい用量範囲を表している。しかし最も好ましい用量は、関連技術分野の業者により理解されかつ決定されるように、個々の対象に合わせられる(例えば、Berkowら編集の文献、「メルクマニュアル(The Merck Manual)」、第16版、Merck and Co.、ラーウェイ、N.J.、1992年;Goodmanら編集の文献、「グッドマン・ギルマン薬理書(Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics)」、第10版、Pergamon Press社、エルムスフォード、N.Y.、(2001);「アベリー薬物治療:臨床薬理学及び治療の理論と実践(Avery's Drug Treatment: Principles and Practice of Clinical Pharmacology and Therapeutics)」、第3版、ADIS Press社、Williams and Wilkins、ボルチモア、MD.、(1987);Ebadiの文献、「薬理学(Pharmacology)」、Little, Brown and Co.、ボストン(1985);Osolciら編集の文献、「レミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第18版、Mack Publishing社、イーストン、PA、(1990);Katzungの文献、「基礎及び臨床薬理学(Basic and Clinical Pharmacology)」、Appleton and Lange社、ノーウォーク、CT (1992)を参照されたい)。
【0106】
各治療に必要とされる総投与量は、望ましいならば、1日の経過にわたる反復投与量又は単回投与量により投与できる。ある好ましい実施態様は、1日につき本局所製剤の単回適用を企図している。一般に、かつ個別の実施態様において、治療は、本化合物の適量よりも少ない、低用量で開始されてよい。その後この用量は、その状況下で最適作用に到達するまで、少ない増分で増加される。
【0107】
本局所製剤は、単独で、又はROSから生じる皮膚状態に対して指示された、又は他の関連症状若しくは病因に対して指示された、他の治療及び/若しくは医薬品と組合せて投与されることができる。例えば、先にも注記されたように、本局所製剤は、レチノイン酸も更に含有してよい。別の例として、本局所製剤は、特定された抗酸化部分を有する、本明細書において説明されたミトコンドリアに標的化された抗酸化化合物を含有してよいか、又は異なる抗酸化部分を有するそのような抗酸化化合物の2種以上(例えば、キノン又はミトキノールのようなキノール、及びビタミンE(トコフェロール))を含有してよいか、又は本明細書において説明された1種以上のミトコンドリアに標的化された抗酸化化合物を、他の標的化された若しくは標的化されない抗酸化剤と組合せて、含有してよい。例えば、MitoQ(登録商標)(ミトキノン/ミトキノール)は、減少したビタミンE(トコフェロール)を再生することが可能であり、その結果のMitoQ及びビタミンEの両方の製剤中の包含(ミトコンドリアに標的化された抗酸化化合物の抗酸化部分として、又は複合されない抗酸化剤のいずれかとして)は、そのような例証的実施態様に従い抗酸化剤の能力の再生可能な給源を有利に提供するとみなされることが企図され;同様に、それによりひとつの抗酸化剤が別のものを再生することができる抗酸化部分の他の組合せの局所製剤内の包含は、ここで企図されている関連した実施態様内である。
【0108】
本明細書において説明された局所製剤のレシピエントは、哺乳類のような、任意の脊椎動物であることができる。哺乳類の中でも、好ましいレシピエントは、霊長類目(ヒト、類人猿及びサルを含む)、偶蹄目(ウマ、ヤギ、ウシ、ヒツジ、ブタを含む)、齧歯目(マウス、ラット、ウサギ、及びハムスターを含む)、並びに食肉目(ネコ及びイヌを含む)の哺乳類である。トリの中で、好ましいレシピエントは、シチメンチョウ、ニワトリ及び同じ目のその他の一員である。最も好ましいレシピエントは、ヒトである。
【0109】
局所適用に関しては、本発明の抗酸化化合物を含有する医薬又は化粧組成物の有効量を、標的領域、例えば罹患した皮膚表面、皮膚のリスクのある領域などに投与することが、好ましい。この量は一般に、治療される領域、症状の重症度、及び使用される局所ビヒクルの性質に応じて、1回の適用につき本発明の化合物約0.0001mg〜約1gの範囲であろう。好ましい局所調製品は、軟膏基剤1cc当たり活性成分約0.001〜約50mgが使用される、軟膏である。本医薬組成物は、経皮組成物又は経皮送達装置(「貼付剤」)として製剤されることができる。そのような組成物は、例えば、裏張り層、活性化合物リザーバ、制御膜、ライナー及び接触接着剤を含む。そのような経皮貼付剤は、所望の本発明の化合物の連続式拍動(pulsatile)、又はオンデマンド送達を提供するために使用されてよい。
【0110】
本発明の組成物は、当該技術分野において公知の手順を使用することによる、患者への投与後に、活性成分の迅速放出、持続放出又は遅延放出を提供するように製剤されることができる。放出制御薬物送達システムは、浸透圧ポンプシステム及びポリマー-コートされたリザーバを備える溶出システム又は薬物-ポリマーマトリックス製剤を含む。放出制御システムの例は、米国特許第3,845,770号及び第4,326,525号、並びにP. J. Kuzmaらの論文、Regional Anesthesia, 22 (6): 543-551 (1997)に示されており、これらは全て引用により本明細書中に組み込まれている。
【0111】
最も好適な経路は、治療される状態の性質及び重症度によって左右されるであろう。当業者は、局所投与方法(スプレー、クリーム剤、開放塗布(open application)、閉鎖包帯、浸漬、洗浄など)、剤形、好適な医薬賦形剤の決定、及びそれらを必要とする対象への本化合物の送達に関連したその他の事象も熟知している。
【0112】
前記のように、本明細書において開示された好ましい実施態様に従い、先に説明された抗酸化化合物は、高度に好ましい実施態様に従いヒト対象における皮膚線維芽細胞及び/又は角化細胞である、対象の細胞又は組織内の活性酸素種(ROS)の検出可能な指標を変化させる(すなわち、統計学的に有意な様式で増加又は減少させる)ことが可能である。例えばヒト対象から得られた生物学的試料中に存在する場合の、皮膚線維芽細胞及び角化細胞の同定(例えば、細胞型-特異的組織学的マーカー又は免疫組織学的マーカーの使用)、並びにそのような細胞におけるROS生成の検出は、関連技術分野の業者に周知である。
【0113】
変化した(すなわち、統計学的意味を持つように増加若しくは減少した)ROSレベルは、変化したミトコンドリア機能の指標として検出可能であることができる。ミトコンドリアは、生物システムにおけるフリーラジカルの主な給源であるが(例えば、Murphyらの文献、1998年、「神経変性疾患におけるミトコンドリア及びフリーラジカル(Mitochondria and Free Radicals in Neurodegenerative Diseases)」、Beal, Howell及びBodis- Wollner編集、Wiley-Liss社、ニューヨーク、159-186頁、並びにそこに引用された文献を参照されたい)、企図された実施態様は、それに限定されることを意図せず、かつ変化したROS生成は、特定の細胞下給源部位とは無関係に、皮膚におけるROS生成から生じる皮膚状態の指標であることができる。例えば、フラビン-連結されたオキシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ又は酸化窒素合成酵素のような酵素により触媒された反応を介した、過酸化水素、酸化窒素又はスーパーオキシドラジカルのような代謝産物の生成を通じたラジカルの形成につながる多くの細胞内生化学経路は、そのようなラジカルを検出する方法として、当該技術分野において公知である(例えば、Kelverの論文、Crit. Rev. Toxicol., 23:21 (1993);Halliwell B.及びJ.M.C. Gutteridgeの文献、「生物学・医学におけるフリーラジカル(Free Radicals in Biology and Medicine)」、1989年、Clarendon Press社、オックスフォード、英国;Davies, K.J.A.及びF. Ursiniの文献、「酸素パラドックス(The Oxygen Paradox)」、Cleup Univ. Press社、パドバ、イタリアを参照されたい)。ETCの任意の段階の失敗のような、変化したミトコンドリア機能も、高度に反応性のフリーラジカルの発生につながり得る。前述のように、そのような変化したミトコンドリア機能から又は他の給源から生じたラジカルは、活性酸素種(ROS)、例えば、スーパーオキシド、ペルオキシナイトライト及びヒドロキシルラジカル、並びに細胞に毒性がある可能性のある他の反応種を含む。従ってある好ましい実施態様において、変化した(例えば、好適な対照に対し、統計学的に有意な様式で増加又は減少した)ROSの検出可能なレベルは、本明細書において説明された抗酸化化合物を含有する局所製剤で治療されている対象のヒト皮膚由来の皮膚線維芽細胞及び角化細胞を含む生物学的試料中に存在することができ、ここで変化したROSの指標のレベルは、そのような治療を受けていない対象からの対照試料においてより高いであろう。
【0114】
抗酸化化合物がROSレベルを変化させることが可能であることを確認するために有用であり得るものなどのROSを検出する方法は、当該技術分野において公知であり、かつ特定のROSラジカルによって決まるであろう。典型的には、生物学的試料中のフリーラジカル生成のレベルは、以下の検出及び/又は測定を含むが、これらに限定されるものではない、当業者が容易に熟知している方法に従い決定できる:ペントシジン、カルボキシメチルリジン及びピロリンを含む糖酸化反応生成物;グリオキサール、マロンジアルデヒド及び4-ヒドロキシノネナールを含む脂質過酸化(lipoxidation)生成物;チオバルビツール酸反応性物質(TBARS;例えば、Steinbrecherらの論文、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 81:3883 (1984);Wolffの論文、Br. Med. Bull. 49:642 (1993)を参照のこと)、並びに/又はヒドロキシルラジカルのサリチル酸エステル捕獲のような、他の化学検出手段(例えば、Ghiselliらの論文、Meths. Mol. Biol. 108:89 (1998);Halliwellらの論文、Free Radic. Res. 27:239 (1997))、又はマロンジアルデヒド形成を含む、特異的付加物形成(例えば、Mecocciらの論文、Ann. Neurol. 34:609 (1993);Giuliviらの論文、Meths. Enzymol. 233:363 (1994)参照)、タンパク質ニトロシル化、ミトコンドリアのDNA酸化を含むDNA酸化、8'-OH-グアノシン付加物(例えば、Beckmanらの論文、Mutat. Res. 424:51 (1999))、タンパク質酸化、タンパク質カルボニル修飾(例えば、Baynesらの論文、Diabetes, 40:405 (1991);Baynesらの論文、Diabetes, 48:1 (1999));電子スピン共鳴(ESR)プローブ;サイクリックボルタンメトリー;蛍光及び/又は化学発光指標(同じく例えば、Greenwald, R.A.編集の文献、「酸素ラジカル研究法ハンドブック(Handbook of Methods for Oxygen Radical Research)」、1985年、CRC Press社、ボカラトン、FL;Acworth及びBailey編集の文献、「酸化的代謝ハンドブック(Handbook of Oxidative Metabolism)」、1995年、ESA社、チェルムスフォード、MA;Yla-Herttualaらの論文、J. Clin. Invest. 84:1086 (1989);Velazquesらの論文、Diabetic Medicine, 8:752 (1991);Belchらの論文、Int. Angiol. 14:385 (1995);Satoらの論文、Biochem. Med. 21:104 (1979);Traversoらの論文、Diabetologia, 41:265 (1998);Hauglandの文献、1996年、「蛍光プローブ及び研究用化学物質のハンドブック(Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals)」、第6版、Molecular Probes社、ユージーン、OR、483-502頁、並びにそこに引用された参考文献も参照のこと)。例えば、限定ではなく例証として、ジクロロジヒドロフルオレセイン二酢酸塩及びそのカルボキシル化誘導体カルボキシジクロロジヒドロフルオレセイン二酢酸塩の蛍光プローブの酸化(例えば、Hauglandの論文、(1996)前掲参照)は、細胞内の蓄積後に定量されてよく、そのプロセスは、活性酸素種の存在に左右され、かつこれに比例する(同じく、例えば、Molecular Proves社のオンラインハンドブック、「蛍光プローブ及び研究用化学物質のハンドブック」、http://www.probes.com/handbook/toc.htmlを参照のこと)。フリーラジカル(例えばROS)生成の検出に使用されることができる他の蛍光的検出可能な化合物は、ジヒドロローダミン及びジヒドロロサミン誘導体、cis-パリナリン酸、レソルフィン誘導体、ルシゲニン、及び当該技術分野に詳しい業者に公知であるいずれか他の好適な化合物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0115】
従って同じく先に説明されたように、フリーラジカル(例えばROS)で媒介された損傷は、ミトコンドリア電子伝達系(ETC)の無数のタンパク質のひとつ以上を失活することができ、かつその際に、酸化的リン酸化及びATP生成に寄与するミトコンドリアの化学浸透機構と共役しないことができる。従ってROSの得られる指標は、当該技術分野において周知である、変化したミトコンドリア機能の1種以上の指標を含むことができる(例えば米国特許第6,140,067号を参照されたい)。
【0116】
追加のROSの検出可能な指標は、対象(例えば、皮膚におけるROS生成から生じる皮膚状態を有するか、有することが疑わしいか、又は有するリスクがあるヒト)から得られる生物学的試料(例えば、皮膚外植片培養物、生検標本、初代培養物、株化細胞、又は他の臨床的に関連のある細胞若しくは組織を含有する標本)、並びに皮膚線維芽細胞及び/又は角化細胞を含む生物学的試料中に存在することができる。これらの指標は、周知のマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)遺伝子ファミリーのひとつ以上のメンバーの変化した(例えば、統計学的に有意な様式で増加又は減少された)発現の検出(例えば、Heppnerらの論文、Am. J. Pathol. 149:273 (1996))、並びに周知の細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)ポリペプチドERK1若しくはERK2の変化した(例えば、統計学的に有意な様式で増加又は減少された)リン酸化状態の検出(例えば、Segerらの論文、FASEB J. 9:726 (1995);Pagesらの論文、Science, 286:1374 (1999);Blume-Jensenらの論文、Nature, 411:355 (2001);Boultonらの論文、Science, 249:64 (1990);Boultonらの論文、Cell, 65:663 (1991);Ferrellらの論文、J. Biol. Chem. 272:19008 (1997))、又はERK経路の分子成分の変化したリン酸化状態の検出(例えば、Danceyらの論文、Nat. Rev. Drug. Dis. 2:296 (2003);Grunwaldらの論文、J. Nat. Canc. Inst. 95:851 (2003);Darnellの論文, Nat. Rev. Canc. 2:740 (2002);Sebolt-Leopoldの論文, Oncogene, 19:6594 (2000))を含む。
【実施例】
【0117】
下記実施例は、例証のために提示されており、限定のためではない。
(実施例1)
(局所用抗酸化製剤)
示された成分は、皮膚におけるROS生成から生じる皮膚状態を治療するための、局所酸化防止製剤であるクリームを調製するために組合せられる。
【0118】
【表1】

【表2】

【0119】
(実施例2)
(MitoQ10メシラートは、インビトロ皮膚老化モデルにおいてヒト皮膚線維芽細胞によるROS及びコラゲナーゼ生成を抑制する)
インビボの光老化されたヒト皮膚において、皮膚の皺は、コラーゲン断片化及びROS生成を刺激するコラゲナーゼレベルの上昇が伴った。本実施例は、抗酸化化合物の作用に関して作製されかつ試験された、皮膚コラーゲン断片化のインビトロモデルを説明する。三次元細胞外マトリックス(ECM)コラーゲン格子の調製、その上での皮膚線維芽細胞及び角化細胞の培養、並びにマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)によるそのようなマトリックスの処理及びMMPのそれらに対する作用の特徴決定のための材料及び方法は、説明されている(例えば、Pilcherらの論文、J. Cell Biol. 137:1445 (1997);Hotaryらの論文、J. Cell Biol. 149:1309 (2000);Netzel-Arnettらの論文、J. Biol. Chem. 277:45154 (2002);Fisherらの論文、Arch Dermatol. 138:1462 (2002);Kangらの論文、J. Invest. Dermatol. 120:835 (2003);Xuらの論文、Am J Pathol. 169:823 (2006);Xuらの論文、J Biol. Chem 281:27389 (2006)を参照されたい)。
【0120】
ヒト皮膚線維芽細胞は、皮膚細胞外マトリックスを模倣した三次元コラーゲン格子において培養した。無傷のコラーゲン格子において、皮膚線維芽細胞は、コラーゲンへ付着することにより広がり、かつマトリックスメタロプロテイナーゼ-1(MMP1)として公知のコラゲナーゼを比較的低レベルで産生した。外因性に導入されたコラゲナーゼ(MMP1)によるコラーゲン格子の断片化は、線維芽細胞の崩壊を引き起こし(すなわち、力学的張力の喪失)、かつ線維芽細胞にマトリックスメタロプロテイナーゼ-1のレベルの上昇も引き起こす。加えて、コラゲナーゼが誘導したコラーゲン断片化は、線維芽細胞に、インビボの老化したヒト皮膚において観察されるものに類似した、比較的高レベルのROSの生成を引き起こした(図1)。
【0121】
ヒト皮膚線維芽細胞が、1nM MitoQ10メシラート(「MitoQ10」、[10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニルホスホニウムメタンスルホネート)の存在又は非存在下で、コラゲナーゼで断片化された三次元コラーゲン格子において培養される場合、オキシダント(ROS)レベルは、MitoQ10が存在する場合に、対照と比べ、有意に低下し(図2)、MMP1 mRNAの定量及びMMP1タンパク質の定量により評価される、マトリックスメタロプロテイナーゼ-1発現のレベルも同様であった(図3)。これらのデータは、MitoQ10が存在する場合の、皮膚線維芽細胞における酸化的ストレスの減少と一致し、これによりMMP発現は減少し、かつその結果MMP-触媒したコラーゲン断片化は減少する。
【0122】
(実施例3)
(MitoQ10メシラートは、ヒト角化細胞におけるUV照射-誘導したERK活性化を抑制する)
紫外線(UV)照射は、皮膚の光老化を引き起こし、かつマイトジェン-活性化プロテイン(MAP)キナーゼシグナル伝達経路を活性化することが報告されている(Fisherらの論文、J. Clin. Invest. 101:1432 (1998);Kangらの論文、J. Invest. Dermatol. 120:835 (2003))。そのような経路における上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)のUV活性化の機序は依然不明であるが、しかしROSの役割が関係があるとされている(Xuらの論文、Am. J. Pathol. 169:823 (2006);Xuらの論文、J. Biol. Chem. 281:27389 (2006))。本実施例は、ヒト角化細胞におけるUV-誘導したシグナル伝達のインビトロモデルを説明している。これらの実験を実行するために適合された例証的材料及び方法を説明している刊行物は、例えば、Pilcherらの論文、J. Cell Biol. 137:1445 (1997);Hotaryらの論文、J. Cell Biol. 149:1309 (2000);Netzel-Arnettらの論文、J. Biol. Chem. 277:45154 (2002);Fisherらの論文、Arch Dermatol. 138:1462 (2002);Kangらの論文、J. Invest. Dermatol. 120:835 (2003);Xuらの論文、Am J Pathol. 169:823 (2006);Xuらの論文、J Biol. Chem, 281:27389 (2006)を含む。
【0123】
培養されたヒト角化細胞のUV照射への曝露は、UV-照射された角化細胞からの免疫沈降物中のリン酸化されたERKポリペプチドのレベルの上昇により証明されたように、未処理の対照角化細胞と比べ、ERK MAPキナーゼを活性化した(図4)。
【0124】
同じく図4に示されたように、角化細胞の示された濃度のMitoQ10メシラートによる前処理は、引き続きのUV照射による、ERK MAPキナーゼの活性化を実質的に阻害した。図4(上側パネル、左側から第一レーン及び第二レーン)は、UV照射が、ERK1(上側パネルの上側バンド)及びERK2(上側パネルの下側バンド)のリン酸化を増大させたことを示している。UV照射前の角化細胞の指定された濃度のMitoQ10と一緒のインキュベーションは、ERK1及びERK2のリン酸化を有意に減少させた。下側パネルは、角化細胞中のErk1及びErk2の量は、UV照射への曝露によっても、MitoQ10への曝露によっても、変わらなかったことを示している。これらのデータは、MitoQ10がUV照射時に存在する場合の、ヒト角化細胞におけるUV-誘導した酸化的ストレスの減少と一致した。
【0125】
先に説明された様々な実施態様を組合せ、更なる実施態様を提供することができる。本明細書に引用され及び/又は出願データシートに列挙された米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許刊行物は全て、それらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。これらの実施態様の態様は、更なる実施態様を提供するために、必要ならば、様々な特許、出願及び刊行物の概念を利用し、変更できる。
【0126】
これら及び他の変更は、前述の詳細な説明を考慮し、本実施態様に行うことができる。概して、下記の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を、本明細書及び特許請求の範囲に開示された具体的実施態様に限定すると解釈されてはならないが、そのような特許請求の範囲で権利が与えられた同等物の完全な範囲と共に全ての可能性のある実施態様を含むと解釈されるべきである。従って、特許請求の範囲は、本開示により限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の皮膚における活性酸素種生成から生じる皮膚状態を治療する方法であって:
(a)(i)連結部分により抗酸化部分へ連結された親油性陽イオン部分、及び
(ii)該陽イオン部分の陰イオン補完物:を含む、抗酸化化合物、並びに
(b)局所使用のための医薬賦形剤又は担体:を含有する局所製剤を、皮膚へ適用すること:
ここで該製剤は、抗酸化化合物の治療的有効量を、皮膚線維芽細胞及び角化細胞へ送達し、かつ該陽イオン部分は、該抗酸化部分をミトコンドリアに標的化することが可能であり、かつ
ここで該陰イオン補完物は、臭化物イオン又は硝酸陰イオンでなく、かつ該抗酸化部分、陽イオン部分又は連結部分に対し反応性を示さない、医薬として許容し得る陰イオンであり、かつこれにより、皮膚における活性酸素種生成から生じる皮膚状態を治療することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記抗酸化部分が、
(i)キノン又はキノール、
(ii)ビタミンE又はビタミンE誘導体、
(iii)アスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体、
(iv)α-リポ酸又はそれらの誘導体、
(v)連鎖破壊型酸化防止剤、
(vi)誘導体化されたフラーレン、
(vii)スピントラップ剤、
(viii)ブチル化されたヒドロキシアニソール、ブチル化されたヒドロキシトルエン、5,5-ジメチルピロリン-N-オキシド、tert-ブチルニトロソベンゼン、tert-ニトロソベンゼン及びα-フェニル-tert-ブチルニトロンからなる群から選択される、抗酸化部分、並びに
(ix)N-アセチルシステイン:からなる群から選択される少なくともひとつの抗酸化部分を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記局所製剤が、レチノイン酸を更に含有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記抗酸化化合物が、(i)ヒト皮膚線維芽細胞中の活性酸素種の検出可能な指標、及び(ii)ヒト皮膚角化細胞中の活性酸素種の検出可能な指標を変化させることが可能である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記親油性陽イオン部分が、トリフェニルホスホニウム陽イオンである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記医薬として許容し得る陰イオンが、ハロゲンイオンではない、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記医薬として許容し得る陰イオンが、求核的ではない、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記医薬として許容し得る陰イオンが、アルキルスルホネートである、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記医薬として許容し得る陰イオンが、メタンスルホネート、p-トルエンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート及び2-ナフタレンスルホネートからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記医薬として許容し得る陰イオンが、メタンスルホネートである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記抗酸化化合物が、下記式I又はそのキノール型を有する、請求項1記載の方法:
【化1】

(式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なり、かつC1〜C5アルキル及びHから選択され、並びに式中nは、2〜20の整数であり、かつ式中Zは、陰イオン補完物である。)。
【請求項12】
前記Zが、アルキルスルホネート、アリールスルホネート及び硝酸イオンからなる群から選択される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記(C)nのCが、飽和されている、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記抗酸化化合物が、下記式又はそのキノール型を有する、請求項1記載の方法:
【化2】

(式中、Zは、陰イオン補完物である。)。
【請求項15】
前記抗酸化化合物が、下記式又はそのキノール型を有する、請求項1記載の方法:
【化3】

【請求項16】
前記医薬賦形剤又は担体が、シクロデキストリンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記抗酸化化合物及びシクロデキストリンが、約10:1〜約1:10である化合物-対-シクロデキストリンモル比で存在する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記抗酸化化合物及びシクロデキストリンが、(i)約5:1〜約1:5、(ii)約4:1〜約1:4、(iii)約2:1〜約1:2、(iv)約1:1及び(v)約1:2からなる群から選択される化合物-対-シクロデキストリンモル比で存在する、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記シクロデキストリンが、β-シクロデキストリンである、請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記抗酸化化合物及びシクロデキストリンが、約1:2である化合物-対-シクロデキストリンモル比で存在する、請求項16記載の方法。
【請求項21】
前記活性酸素種生成から生じる皮膚状態が、(i)ヒト皮膚線維芽細胞中の活性酸素種の検出可能な指標、及び(ii)ヒト皮膚角化細胞中の活性酸素種の検出可能な指標の少なくとも一方の変化により特徴づけられる、請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記活性酸素種生成から生じる皮膚状態が、(i)ヒト皮膚線維芽細胞中の活性酸素種の検出可能な指標、及び(ii)ヒト皮膚角化細胞中の活性酸素種の検出可能な指標の変化により特徴づけられる、請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記活性酸素種生成から生じる皮膚状態が、年齢に関連した皮膚損傷である、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記年齢に関連した皮膚損傷が、皮膚の光老化を含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記皮膚の光老化が、皺、瘢痕組織沈着、変化した皮膚弾力、変化した皮膚の色、変化した皮膚のキメ、変化した皮膚厚、血管腫、毛細血管拡張症、日焼け、乾燥、そう痒、新生物形成及び前癌性の増殖の1種以上を含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記活性酸素種生成から生じる皮膚状態が、皮膚感染症を含む、請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記皮膚感染症が、細菌感染症、ウイルス感染症、寄生体感染症及び真菌感染症の少なくともひとつを含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記活性酸素種生成から生じる皮膚状態が、座瘡、アミロイドーシス、良性皮膚腫瘍、水疱又は潰瘍、水疱性疾患、皮膚癌、皮膚炎、湿疹、炎症、魚鱗癬、昆虫咬傷又は昆虫刺傷、毛孔性角化症、そう痒、乾癬、落屑性疾患、発疹、白斑及び汗腺障害の1種以上を含む、請求項1記載の方法。
【請求項29】
前記抗酸化化合物が、(i)活性酸素種発生、マトリックスメタロプロテイナーゼ発現及び細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)リン酸化状態からなる群から選択される、ヒト皮膚線維芽細胞中の少なくともひとつの活性酸素種の検出可能な指標、並びに(ii)活性酸素種発生、マトリックスメタロプロテイナーゼ発現及び細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)リン酸化状態からなる群から選択される、ヒト皮膚角化細胞中の少なくともひとつの活性酸素種の検出可能な指標を変化させることが可能である、請求項1記載の方法。
【請求項30】
前記活性酸素種生成から生じる皮膚状態が、レーザー手術、放射線治療、日焼け、酒さ、火傷又は敗血症により引き起こされた、紅斑、皮膚発赤及び炎症からなる群から選択される1種以上の状態を含む、請求項1記載の方法。
【請求項31】
対象の皮膚における局所創傷治癒を促進する方法であって:
(a)(i)連結部分により抗酸化部分へ連結された親油性陽イオン部分、及び
(ii)該陽イオン部分の陰イオン補完物:を含む、抗酸化化合物、並びに
(b)局所使用のための医薬賦形剤又は担体:を含有する局所製剤を、皮膚へ適用すること:
ここで該製剤は、抗酸化化合物の治療的有効量を、皮膚線維芽細胞及び角化細胞へ送達し、かつ該陽イオン部分は、該抗酸化部分をミトコンドリアに標的化することが可能であり、かつ
ここで該陰イオン補完物は、臭化物イオン又は硝酸陰イオンでなく、かつ該抗酸化部分、陽イオン部分又は連結部分に対し反応性を示さない、医薬として許容し得る陰イオンであり、かつこれにより、皮膚における活性酸素種生成から生じる皮膚状態を治療することを含む、前記方法。
【請求項32】
前記抗酸化部分が、
(i)キノン又はキノール、
(ii)ビタミンE又はビタミンE誘導体、
(iii)アスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体、
(iv)α-リポ酸又はそれらの誘導体、
(v)連鎖破壊型酸化防止剤、
(vi)誘導体化されたフラーレン、
(vii)スピントラップ剤、
(viii)ブチル化されたヒドロキシアニソール、ブチル化されたヒドロキシトルエン、5,5-ジメチルピロリン-N-オキシド、tert-ブチルニトロソベンゼン、tert-ニトロソベンゼン及びα-フェニル-tert-ブチルニトロンからなる群から選択される、抗酸化部分、並びに
(ix)N-アセチルシステイン:からなる群から選択される少なくともひとつの抗酸化部分を含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記局所製剤が、レチノイン酸を更に含有する、請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記抗酸化化合物が、(i)ヒト皮膚線維芽細胞中の活性酸素種の検出可能な指標、及び(ii)ヒト皮膚角化細胞中の活性酸素種の検出可能な指標を変化させることが可能である、請求項31記載の方法。
【請求項35】
前記親油性陽イオン部分が、トリフェニルホスホニウム陽イオンである、請求項31記載の方法。
【請求項36】
前記医薬として許容し得る陰イオンが、ハロゲンイオンではない、請求項31記載の方法。
【請求項37】
前記医薬として許容し得る陰イオンが、求核的ではない、請求項31記載の方法。
【請求項38】
前記医薬として許容し得る陰イオンが、アルキルスルホネートである、請求項31記載の方法。
【請求項39】
前記医薬として許容し得る陰イオンが、メタンスルホネート、p-トルエンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート及び2-ナフタレンスルホネートからなる群から選択される、請求項31記載の方法。
【請求項40】
前記医薬として許容し得る陰イオンが、メタンスルホネートである、請求項31記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−516483(P2011−516483A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503035(P2011−503035)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/038123
【国際公開番号】WO2009/145982
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(510260972)アントイポデアン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】