説明

スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドの同定方法

スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドの同定方法が記載される。スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドは、スキンケア組成物マトリックスから皮膚に強く結合し、そこで安定である。スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドベースの、スキンコンディショナーおよび皮膚着色剤などのペプチドベースの皮膚効果剤について記載される。ペプチドベースのスキンコンディショナーおよび皮膚着色剤は、スキンコンディショニング剤または着色剤に対して直接的にまたは任意選択のスペーサーを介して共役されたスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドよりなる。これらのペプチドベースのスキンコンディショナーおよび着色剤を含んでなるスキンケアおよび皮膚着色製品組成物についても記載される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2005年3月1日出願の米国仮特許出願第60/657,494号明細書の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、パーソナルケア製品の分野に関する。より詳細には、本発明は、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドの同定方法ならびにスキンコンディショナーおよび皮膚着色剤などのペプチドベースの皮膚効果剤におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
スキンコンディショナーおよび皮膚着色剤は、よく知られた、頻繁に利用されるスキンケア製品である。現行のスキンコンディショナーおよび皮膚着色剤に伴う主要な問題は、それらにおける長期持続効果に必要な耐久性が不足する点である。これらの組成物の耐久性を改善するため、ペプチドベースのスキンコンディショナー、皮膚着色剤、および他の効果剤が開発されている(ファン(Huang)ら、同時係属および共有の特許文献1および特許文献2)。ペプチドベースのスキンコンディショナーまたは着色剤は、皮膚に対して高い結合親和性を有する特異的なペプチド配列とコンディショニング剤または着色剤との各共役によって調製される。ペプチド部分は皮膚に結合し、それによりコンディショニング剤または着色剤が強く付着される。ファージディスプレイスクリーニング技術(ファン(Huang)ら、上記;エステル(Estell)ら、特許文献3;マレイ(Murray)ら、特許文献4;ジャンセン(Janssen)ら、特許文献5;およびジャンセン(Janssen)ら、特許文献6)を用い、皮膚に対して高い結合親和性を有するペプチドが同定されている。特許文献3、特許文献4、特許文献5、および特許文献6といった出願では、バスゲルの希薄溶液(すなわち2%水溶液)の存在下でのペプチドライブラリーと皮膚試料との接触、およびファージディスプレイスクリーニングの間での、生成されるファージ−ペプチド−皮膚複合体のバスゲル溶液による洗浄について記載されているが、用いられるバスゲルの濃度は、バスゲル抵抗性の皮膚結合ペプチドを同定するには低すぎる。
【0004】
皮膚結合ペプチドは、スキンケア組成物マトリックスの存在下で結合親和性を低下させており、それ故、組成物マトリックスから皮膚に強く結合することはなく、スキンケア製品の適用によって皮膚から洗い流される。さらに、皮膚結合ペプチドは、スキンケア組成物マトリックス中で長期間安定ではなく、それはスキンケア製品組成物中でのそれらの結合親和性の経時的低下の原因である。
【0005】
シャンプー抵抗性の毛髪結合ペプチド(ファン(Huang)ら、同時係属および共有の特許文献1、およびオブライエン(O’Brien)ら、同時係属および共有の特許文献7)、マラセチア・フルフル(Malassezia furfur)の細胞表面タンパク質に結合するシャンプー抵抗性の抗体断片(非特許文献1)、ならびに毛髪コンディショナー抵抗性の毛髪結合ペプチド(ワン(Wang)ら、同時係属および共有の特許文献8)の同定方法については報告されている。しかし、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドの同定方法については記載がなされていない。
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0050656号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0226839号明細書
【特許文献3】国際公開第0179479号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0098524号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0152976号明細書
【特許文献6】国際公開第04048399号パンフレット
【特許文献7】米国特許出願第11/251715号明細書
【特許文献8】米国仮特許出願第60/657496号明細書
【非特許文献1】ドルク(Dolk)ら、Appl.Environ.Microbiol.71:442−450頁(2005年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、解決されるべき課題は、スキンケア組成物マトリックスから皮膚に結合可能であり、かつそこで安定な皮膚結合ペプチドを提供することである。
【0008】
出願者らは、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドの同定方法を見出すことにより、記載された課題に対処してきた。本発明の方法によって同定されるスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド配列を用いることで、スキンケア組成物マトリックスの存在下での皮膚に対する高い結合親和性およびスキンケア組成物中での改善された安定性を有する、スキンコンディショナーおよび皮膚着色剤などのペプチドベースの皮膚効果剤の調製が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、結合特性がスキンケア組成物の存在によって影響を受けない皮膚結合ペプチドを同定および単離する方法に関する。本発明のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドは、コンビナトリアルペプチドライブラリーから選別され、かつ、場合によりスペーサーならびに着色剤およびコンディショナーなどの効果剤を含んでなる、ジブロックまたはトリブロック構造のスキンケア組成物中に提供される。
【0010】
したがって、本発明は、
a)DNA会合ペプチドのコンビナトリアルライブラリーを準備し、
b)(a)の該ライブラリーを皮膚試料と接触させ、ここで、該皮膚が該DNA会合ペプチドと複合してDNA会合ペプチド−皮膚複合体を含んでなる反応溶液を形成し、
c)(b)の該DNA会合ペプチド−皮膚複合体を該反応溶液から単離し、
d)(c)の該単離されたDNA会合ペプチド−皮膚複合体をスキンケア組成物マトリックスと接触させて、ペプチド−皮膚複合体−組成物混合物を形成せしめ、ここで、該スキンケア組成物マトリックスの濃度が少なくとも約10%のフルストレングス濃度であり、
e)(d)の該DNA会合ペプチド−皮膚複合体を該ペプチド−皮膚複合体−組成物混合物から単離し、
f)(e)の該DNA会合ペプチド−皮膚複合体のペプチド部分をコードするDNAを増幅し、
g)スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドをコードする(f)の該増幅されたDNAを配列決定し、ここで、該スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドを同定する、
ことを含んでなるスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドの同定方法を提供する。
【0011】
場合により、ステップ(e)の後、皮膚結合ペプチドを、溶出剤で皮膚から溶出させ、かつ、本発明の方法によって同定されたペプチドを、本方法にうまく適用させることにより、さらに精製することが可能である。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、
a)DNA会合ペプチドのコンビナトリアルライブラリーを準備し、
b)(a)の該ライブラリーを皮膚試料と接触させ、ここで、該皮膚が該DNA会合ペプチドと複合してDNA会合ペプチド−皮膚複合体を含んでなる反応溶液を形成し、
c)(b)の該DNA会合ペプチド−皮膚複合体を該反応溶液から単離し、
d)(c)の該単離されたDNA会合ペプチド−皮膚複合体をスキンケア組成物マトリックスと接触させて、ペプチド−皮膚複合体−組成物混合物を形成せしめ、ここで、該スキンケア組成物マトリックスの濃度が少なくとも約10%のフルストレングス濃度であり、
e)(d)の該DNA会合ペプチド−皮膚複合体を該ペプチド−皮膚複合体−組成物混合物から単離し、
f)(e)の該DNA会合ペプチド−皮膚複合体のペプチド部分をコードするDNAを増幅させ、
g)スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドをコードする(f)の該増幅されたDNAを配列決定し、ここで、該スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドを同定する
ことを含んでなるプロセスによって同定されるスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドを提供する。
【0013】
さらに、本発明は、一般構造(SCP−BA[式中、
a)SCPはスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドであり、
b)BAは効果剤であり、
c)mは1〜約100の範囲であり、そして
d)nは1〜約50,000の範囲である]
を有するジブロックのペプチドベースの皮膚効果剤を提供する。
【0014】
同様に、本発明は、一般構造[(SCP−S)−BA[式中、
a)SCPはスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドであり、
b)BAは効果剤であり、
c)Sはスペーサーであり、
d)xは1〜約10であり、
e)mは1〜約100の範囲であり、そして
f)nは1〜約50,000の範囲である]
を有するトリブロックのペプチドベースの皮膚効果剤を提供する。
【0015】
別の実施形態では、本発明は、本発明のペプチドベースのスキンコンディショナーの有効量を含んでなるスキンケア製品組成物を提供する。同様に、本発明は、本発明のペプチドベースの皮膚着色剤の有効量を含んでなる皮膚着色製品組成物を提供する。さらに、本発明は、本発明のペプチドベースのスキンコンディショナーの有効量を含んでなるスキンクレンジング製品組成物を提供する。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、本発明の組成物を皮膚に適用し、そして、該保護層を形成させることを含んでなる皮膚上にペプチドベースのコンディショナーの保護層を形成する方法を提供する。同様に、本発明は、本発明の組成物を皮膚に皮膚を着色させるのに十分な時間適用することを含んでなる皮膚の着色方法を提供する。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、
a)i)(SCP−C、および
ii)[(SCP−S)−C
[式中、
1)SCPはスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドであり、
2)Cは着色剤であり、
3)nは1〜約50,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約100の範囲であり、そして
6)xは1〜約10の範囲である]
よりなる群から選択される皮膚着色剤を含んでなる皮膚着色組成物を準備し、ここで、該スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドが、
A)DNA会合ペプチドのコンビナトリアルライブラリーを準備し、
B)(a)の該ライブラリーを皮膚試料と接触させ、ここで、該皮膚が該DNA会合ペプチドと複合してDNA会合ペプチド−皮膚複合体を含んでなる反応溶液を形成し、
C)(B)の該DNA会合ペプチド−皮膚複合体を該反応溶液から単離し、
D)(C)の該単離されたDNA会合ペプチド−皮膚複合体をスキンケア組成物マトリックスと接触させて、プチド−皮膚複合体−組成物混合物を形成せしめ、ここで、該スキンケア組成物マトリックスの濃度が少なくとも約10%のフルストレングス濃度であり、
E)(D)の該DNA会合ペプチド−皮膚複合体を該ペプチド−皮膚複合体−組成物混合物から単離し、
F)(E)の該DNA会合ペプチド−皮膚複合体のペプチド部分をコードするDNAを増幅し、
G)スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドをコードする(F)の該増幅されたDNAを配列決定し、ここで、該スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドを同定する
ことを含んでなる方法によって選択され、そして
b)(a)の該皮膚着色組成物を皮膚に、該皮膚着色剤が皮膚に結合するのに十分な時間適用する
ことを含んでなる皮膚の着色方法を提供する。
【0018】
さらなる実施形態では、本発明は、
a)i)(SCP−SCA、および
ii)[(SCP−S)−SCA
[式中、
1)SCPはスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドであり、
2)SCAはスキンコンディショニング剤であり、
3)nは1〜約50,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約100の範囲であり、そして
6)xは1〜約10の範囲である]
よりなる群から選択されるスキンコンディショナーを含んでなるスキンケア組成物を準備し、ここで、該スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドが、
A)DNA会合ペプチドのコンビナトリアルライブラリーを準備し、
B)(a)の該ライブラリーを皮膚試料と接触させ、ここで、該皮膚が該DNA会合ペプチドと複合してDNA会合ペプチド−皮膚複合体を含んでなる反応溶液を形成し、
C)(B)の該DNA会合ペプチド−皮膚複合体を該反応溶液から単離し、
D)(C)の該単離されたDNA会合ペプチド−皮膚複合体をスキンケア組成物マトリックスと接触させて、ペプチド−皮膚複合体−組成物混合物を形成せしめ、ここで、該スキンケア組成物マトリックスの濃度が少なくとも約10%のフルストレングス濃度であり、
E)(D)の該DNA会合ペプチド−皮膚複合体を該ペプチド−皮膚複合体−組成物混合物から単離し、
F)(E)の該DNA会合ペプチド−皮膚複合体のペプチド部分をコードするDNAを増幅し、
G)スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドをコードする(F)の該増幅されたDNAを配列決定し、ここで、該スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドを同定する
ことを含んでなる方法によって選択し、そして
b)(a)の該スキンケア組成物を皮膚に適用し、該保護層を形成させる
ことを含んでなる皮膚上のペプチドベースのコンディショナーの保護層の形成方法を提供する。
【0019】
配列記述の簡単な説明
本発明は、本出願の一部を形成する、以下の詳細な説明および添付の配列記述からより十分に理解されうる。
【0020】
以下の配列は、37C.F.R.1.821〜1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列の開示を含む、特許出願のための要求事項−配列規則(Requirements for Patent Applications Containing Nucleotide Sequences and/or Amino Acid Sequence Disclosures−the Sequence Rules)」)に一致し、かつ世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998年)ならびにEPOおよびPCTの配列リストへの要求事項(規則5.2および49.5(a−bis)、ならびに実施細則のセクション208および付録C)に一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データのために用いられる記号および形式は、37C.F.R.§1.822に示される規則に従う。
【0021】
配列番号1は、カスパーゼ3切断部位のアミノ酸配列である。
【0022】
配列番号2は、ファージDNAを配列決定するためのオリゴヌクレオチドプライマーのヌクレオチド配列である。
【0023】
配列番号3は、実施例4および15に記載の対照の毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0024】
配列番号4は、実施例4に記載の蛍光標識された毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0025】
配列番号5〜7は、ペプチドスペーサーのアミノ酸配列である。
【0026】
配列番号8〜25は、身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0027】
配列番号26は、実施例15における対照として用いられる毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0028】
配列番号27は、C−末端に付加されたシステイン残基を有する、身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチドのアミノ酸配列(配列番号20)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、スキンケア組成物マトリックスの存在下でヒト皮膚に高親和性で特異的に結合する皮膚結合ペプチドの同定方法を提供する。これらの皮膚結合ペプチドを用いることで、スキンケア組成物マトリックスの存在下での皮膚に対する高い結合親和性およびスキンケア組成物中での改善された安定性を有する、スキンコンディショナーおよび皮膚着色剤などのペプチドベースの皮膚効果剤の調製が可能である。
【0030】
以下の定義は、本明細書において用いられ、特許請求の範囲および本明細書の解釈において参照されるべきものである。
「SCP」はスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドを意味する。
「BA」は皮膚効果剤を意味する。
「SCA」はスキンコンディショニング剤を意味する。
「C」は着色剤を意味する。
「S」はスペーサーを意味する。
【0031】
「ペプチド」という用語は、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合によって互いに結合される2個もしくはそれより多数のアミノ酸を示す。
【0032】
本明細書において用いられる「皮膚」という用語は、ヒト皮膚、またはブタ皮膚のビトロ−スキン(Vitro−Skin)(登録商標)およびエピダーム(EpiDerm)(商標)などのヒト皮膚の代替物を示す。
【0033】
「スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド」という語句は、スキンケア組成物マトリックスから皮膚に強く結合し、かつそこで安定であるペプチドを示す。
【0034】
「スキンケア組成物マトリックス」という語句は、不希釈または希釈形態の、スキンコンディショナー、スキンクレンザー、メイクアップ、皺取り製品および皮膚着色剤などのスキンケア製品、あるいはスキンケア製品の少なくとも1つの成分、さらにはスキンケア製品の少なくとも2つの成分を含んでなる混合物を含んでなる媒体を示す。スキンケア製品の成分には、オイル、ワックス、ガム、いわゆるペースト状脂肪物質、スキンコンディショニング剤、皮膚着色剤、抗酸化剤、保護剤、充填剤、界面活性剤、UVAおよび/またはUVBサンスクリーン、香料、増粘剤、浸潤剤ならびに陰イオン性、非イオン性または両性ポリマー、ならびに染料または色素が含まれるがこれらに限定されない。
【0035】
「フルストレングス濃度」という語句は、成分がスキンケア製品中に存在する場合の成分の濃度を示す。
【0036】
「効果剤」という用語は、皮膚への適用により化粧または皮膚効果を得るための、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドと共役されうる化合物または物質を示す一般用語である。効果剤は、典型的にはパーソナルケア産業において一般に用いられる他の物質とともに、コンディショナー、着色剤、香料、サンスクリーンなどを含む。
【0037】
本明細書で用いられる「共役」および「共役される」という用語は、任意の化学結合を示し、かつ共有と非共有の双方の相互作用を含む。
【0038】
「ペプチド−皮膚複合体」という用語は、ペプチド上の結合部位を介して皮膚に結合されるペプチドを含んでなる構造を意味する。
【0039】
「DNA会合ペプチド−皮膚複合体」という用語は、ペプチドが同定対象の核酸成分と結合している場合の皮膚とペプチドの間の複合体を示す。典型的には、DNA会合ペプチドは、ファージディスプレイなどのディスプレイ系の結果として生成される。この系では、ペプチドはファージの表面上に提示される一方、ペプチドをコードするDNAは、ファージの付着された糖タンパク質コート内に含まれる。ファージ内でのコーディングDNAの結合を用いることで、ペプチドの同定を意図したコーディング領域の増幅を行いやすくなる。
【0040】
「非標的」という用語はある基質を示し、ここではそれに対する結合親和性を有するペプチドは望ましくない。スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドの選択においては、非標的は毛髪およびプラスチックを含むがこれらに限定されない。
【0041】
「アミノ酸」という用語は、タンパク質またはポリペプチドの塩基性化学構造単位を示す。以下の略語は、特定のアミノ酸を特定するのに本明細書中で用いられる。
【0042】
【表1】

【0043】
「遺伝子」は、コーディング配列の上流(5’非コーディング配列)および下流(3’非コーディング配列)の調節配列を含む、特定のタンパク質を発現する核酸断片を示す。「天然遺伝子」は、それ自身の調節配列を有する天然に見出される遺伝子を示す。「キメラ遺伝子」は、天然遺伝子ではない任意の遺伝子を示し、天然に共に見出されることのない調節およびコーディング配列を含んでなる。したがって、キメラ遺伝子は、異なるソース由来の調節配列およびコーディング配列、または同じソース由来であるが天然に見出される様式とは異なる様式で配列された調節配列およびコーディング配列を含んでなる場合がある。「外来」遺伝子は、通常は宿主生物内に見出されることがないが遺伝子転移により宿主生物に導入される遺伝子を示す。外来遺伝子は、非天然生物またはキメラ遺伝子に挿入される天然遺伝子を含んでなる可能性がある。
【0044】
「合成遺伝子」は、当業者に既知の手順を用いて化学的に合成されるオリゴヌクレオチドビルディングブロックから構築されうる。これらのビルディングブロックは、ライゲートおよびアニールされて遺伝子セグメントが形成され、次いでそれは酵素的に構築されて遺伝子全体が作製される。DNA配列に関連して「化学的に合成された」とは、ヌクレオチド成分がインビトロで構築されたことを意味する。手動によるDNA化学合成が周知の手順を用いて実施される場合がある一方、自動化学合成については多数の市販の機器の1つを用いて実施してもよい。したがって、遺伝子をヌクレオチド配列の最適化に基づいて最適な遺伝子発現に適合させることで、宿主細胞のコドンバイアスを反映させてもよい。もしコドンの使用が宿主にとって好ましいコドン群に向けてバイアスされる場合、当業者は遺伝子発現が成功する可能性について理解している。好ましいコドンについては、配列情報が得られる宿主細胞に由来する遺伝子の調査に基づいて判定されうる。
【0045】
「コーディング配列」は、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を示す。「適切な調節配列」は、コーディング配列の上流(5’非コーディング配列)、内部、または下流(3’非コーディング配列)に位置し、かつ関連するコーディング配列の転写、RNAプロセシングまたは安定性、あるいは翻訳に作用するヌクレオチド配列を示す。調節配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位およびステムループ構造を含みうる。
【0046】
「プロモーター」は、コーディング配列または機能的RNAの発現を制御可能なDNA配列を示す。一般に、コーディング配列はプロモーター配列に対して3’方向に位置する。プロモーターは、それら全体が天然遺伝子由来であるか、天然に見出される異なるプロモーター由来の異なる要素よりなるか、またはさらに合成DNAセグメントを含んでなる場合がある。異なるプロモーターが、異なる組織内または細胞型内で、発生の異なる段階で、または異なる環境条件もしくは生理的条件に応答して遺伝子の発現を指示しうることが当業者によって理解されている。ほぼ常に大部分の細胞型内で遺伝子の発現を引き起こすプロモーターは、一般に「構成的プロモーター」と称される。さらに、ほとんどの場合、調節配列の正確な境界が完全に確定されていないことから、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有する場合があることが認識されている。
【0047】
本明細書中で用いられる「発現」という用語は、本発明の核酸断片由来のセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定な蓄積を示す。発現はmRNAのポリペプチドへの翻訳を示す場合もある。
【0048】
「形質転換」という用語は、核酸断片の宿主生物ゲノムへの転移により遺伝的に安定な形質がもたらされることを示す。形質転換された核酸断片を含む宿主生物は、「トランスジェニック」または「組み換え」または「形質転換された」生物と称される。
【0049】
「宿主細胞」という用語は、外来ポリヌクレオチド配列により形質転換または形質移入されているか、あるいは形質転換または形質移入可能である細胞を示す。
【0050】
「プラスミド」、「ベクター」および「カセット」という用語は、細胞の中央代謝の一部ではない遺伝子を運搬することが多く、通常は環状二本鎖DNA分子の形態である特別な染色体要素を示す。かかる要素は、任意のソース由来の一本鎖もしくは二本鎖DNAまたはRNAの、自己複製配列、ゲノム融合配列、ファージまたはヌクレオチド配列、線形体または環状体である場合があり、ここでは多数のヌクレオチド配列が、適切な3’非翻訳配列を伴う選択された遺伝子産物におけるプロモーター断片およびDNA配列を細胞に導入可能な固有の作製物に連結されるかまたは組み換えられている。「形質転換カセット」は、外来遺伝子を有しかつ特定の宿主細胞の形質転換を促進する外来遺伝子以外の要素を有する特定のベクターを示す。「発現カセット」は、外来遺伝子を有しかつ外来宿主内でのその遺伝子の発現の促進を可能にする外来遺伝子以外の要素を有する特定のベクターを示す。
【0051】
「ファージ」または「バクテリオファージ」という用語は、細菌に感染するウイルスを示す。本発明の目的にかなうように別の形態が使用される場合がある。好ましいバクテリオファージは、M13と称される「野生型」ファージ由来である。M13系は細菌内部で成長可能であることから、それが感染する細胞を破壊することはないが新たなファージを連続的に作る原因になる。それは一本鎖DNAファージである。
【0052】
「ファージディスプレイ」という用語は、バクテリオファージ粒子またはファージミド粒子の表面上の機能的な外来ペプチドまたは小タンパク質の提示を示す。遺伝子組み換えファージは、ペプチドをそれらの天然表面タンパク質のセグメントとして提示するのに使用されうる。異なる遺伝子配列を有するファージ集団により、ペプチドライブラリーが創製されうる。
【0053】
「PCR」または「ポリメラーゼ連鎖反応」は、特定のDNAセグメントの増幅において用いられる技術である(米国特許第4,683,195号明細書および米国特許第4,800,159号明細書)。
【0054】
本明細書中で用いられる標準の組み換えDNAおよび分子クローニング技術は、当該技術分野で周知であり、サンブルック J.(Sambrook J.)、フリッツ E.F.(Fritsch E.F.)およびマニアティス T.(Maniatis T.)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク州(NY)(1989年)(以下、「マニアティス(Maniatis)」);およびシルハヴィ T.J.(Silhavy T.J.)、ベナン M.L.(Bennan M.L.)およびエンキスト L.W.(Enquist L.W.)、Experiments with Gene Fusions、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク州(NY)(1984年);およびアウスベル F.M.(Ausubel F.M.)ら、Current Protocols in Molecular Biology(グリーン・パブリッシング・アソシエイツ・アンド・ワイリー・インターサイエンス(Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience)(1987年)による出版)に記載されている。
【0055】
本発明は、スキンケア組成物マトリックスの存在下で高親和性で皮膚に特異的に結合するスキンケア組成物抵抗性のペプチド配列の同定方法を提供する。方法は、皮膚がコンビナトリアルに生成されたペプチドのライブラリーと接触される、標準のバイオパニング技術を改良したものである。次いで、生成されたDNA会合ペプチド−皮膚複合体がスキンケア組成物マトリックスとある時間接触される。DNA会合ペプチド−皮膚複合体は、単離され、溶出剤との接触により、溶出されたDNA会合ペプチドと皮膚に結合されたままのDNA会合ペプチドが得られる。溶出されたDNA会合ペプチドおよび/または残存する結合されたDNA会合ペプチドは、増幅および同定される。同定されたスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド配列を用い、スキンコンディショナーおよび皮膚着色剤などのペプチドベースの皮膚効果剤を作製することが可能である。
【0056】
スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドの同定
本明細書において定義されたスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド(SCP)は、スキンケア組成物マトリックスから皮膚に特異的に結合しかつそこで安定なペプチド配列である。本発明のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドは、約7アミノ酸長〜約45アミノ酸長、より好ましくは約7アミノ酸長〜約25アミノ酸長、最も好ましくは約12〜約20アミノ酸長である。本発明のペプチドは、ランダムに生成され、次いで、下記のように、スキンケア組成物マトリックスの存在下でのその皮膚に対する結合親和性に基づき、皮膚試料に対して選択される。
【0057】
ペプチドのランダムライブラリーの創製は、周知であり、細菌ディスプレイ(ケンプ D.J.(Kemp D.J.);Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78(7):4520−4524頁(1981年)、およびヘルフマン(Helfman)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80(1):31−35頁(1983年))、酵母ディスプレイ(キエン(Chien)ら、Proc Natl Acad Sci USA 88(21):9578−82頁(1991年))、コンビナトリアル固体相ペプチド合成(米国特許第5,449,754号明細書、米国特許第5,480,971号明細書、米国特許第5,585,275号明細書、米国特許第5,639,603号明細書)、ならびにファージディスプレイ技術(米国特許第5,223,409号明細書、米国特許第5,403,484号明細書、米国特許第5,571,698号明細書、米国特許第5,837,500号明細書)を含む種々の技術によって実施可能である。かかる生体ペプチドライブラリーを創製するための技術は、当該技術分野で周知である。典型的な方法は、ダニ M.J.(Dani M.J.)、Receptor & Signal Transduction Res.、21(4):447−468頁(2001年)、シドゥ(Sidhu)ら、Methods in Enzymology 328:333−363頁(2000年)、およびPhage Display of Peptides and Proteins,A Laboratory Manual、ブライアン K.ケイ(Brian K.Kay)、ジル・ウインター(Jill Winter)、およびジョン・マッカファーティ(JohnMcCafferty)編;アカデミック・プレス(Academic Press)、ニューヨーク(NY)、1996年において記載されている。さらに、ファージディスプレイライブラリーは、ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England biolabs)(ビバリー(Beverly)、マサチューセッツ州(MA))などの商用ソースから購入可能である。
【0058】
一実施形態では、いくつかの様式でペプチドに結合したペプチドをコードするDNAを有することは特に有用である。この結合により、スクリーニングまたはバイオパニングプロセスにおいて結合ペプチドを迅速に同定しやすくなる。同定を容易にするため、コーディングDNAをPCR増幅するかまたは複製宿主への感染に用い、ペプチドの発現を高めることが可能である。典型的には、DNA会合ペプチドは、上で参照されたファージディスプレイ、細菌ディスプレイおよび酵母ディスプレイの方法によって生成される。
【0059】
ペプチドをランダムに生成するための好ましい方法は、ファージディスプレイによるものである。ファージディスプレイは、インビトロ選択技術であり、ここではペプチドまたはタンパク質がバクテリオファージのコートタンパク質に遺伝的に融合されて、ファージウイルス粒子の外表面上に融合ペプチドの提示がなされる一方、融合体をコードするDNAはウイルス粒子内に存在する。提示されたペプチドとそれをコードするDNAの間のこの物理的な連結により、膨大な数で各々が対応するDNA配列に連結されたペプチドの変異体のスクリーニングが「バイオパニング(biopanning)」と称される単純なインビトロ選択手順により可能になる。バイオパニングは、その最も単純な形態では、ファージディスプレイが施された変異体のプールを目的の標的とともにインキュベートし、非結合ファージを洗い流し、かつファージと標的の間の結合相互作用の妨害によって特異的に結合されたファージを溶出させることによって実施される。次いで、溶出されたファージがインビボで増幅されかつプロセスが繰り返されて、最も緊密な結合配列を支持するファージプールの段階的濃縮がもたらされる。選択/増幅を3回以上行った後、各クローンがDNA配列決定により特徴づけられる。
【0060】
本発明のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドは、ファージディスプレイを用い、皮膚組成物マトリックスの存在下でのその皮膚に対する結合親和性に基づいて皮膚試料に対してファージペプチドを選択することによって同定されうる。皮膚およびファージペプチドを様々な方法で皮膚組成物マトリックスと接触させることで、下記に詳細に記載されるようにペプチド−皮膚複合体−組成物混合物の形成が可能である。例えば、ファージペプチドライブラリーは、皮膚組成物マトリックス中に溶解可能であり、次いで皮膚試料と接触される。あるいは、ファージ−ペプチド−皮膚複合体は、皮膚試料とファージディスプレイライブラリーとの接触によって形成され、続いて皮膚組成物マトリックスと接触されうる。さらに、これらの皮膚組成物マトリックスとの接触方法の任意の組み合わせが用いられうる。
【0061】
DNA会合ペプチドの適切なライブラリーが創製されるかまたは商用サプライヤから購入された後、ライブラリーは適量の皮膚試料と接触されてDNA会合ペプチド−皮膚複合体を含んでなる反応溶液が形成される。ヒト皮膚試料は、死体からまたはインビトロでヒト皮膚の培養物から入手されうる。さらに、ブタ皮膚のビトロ−スキン(Vitro−Skin)(登録商標)(IMS社(IMS Inc.)、ミルフォード(Milford)、コネチカット州(CT)から入手可能)およびエピダーム(EpiDerm)(商標)(マテック社(MatTek Corp.)、アシュランド(Ashland)、マサチューセッツ州(MA)から入手可能)は、ヒト皮膚の代用物として使用される場合がある。DNA会合ペプチドのライブラリーは、皮膚試料と接触するための適切な溶液中に溶解される。一実施形態では、ペプチドライブラリーは、界面活性剤を含有する緩衝生理食塩水溶液中に溶解される。適切な溶液は0.5%トゥイーン(Tween)(登録商標)20を有するトリス緩衝生理食塩水(TBS)である。別の実施形態では、ペプチドライブラリーは、スキンケア組成物マトリックス中に溶解され(下記参照)、皮膚試料と接触される。ペプチドの皮膚表面への物質移動速度を高めるために、溶液が任意の手段によって撹拌されることにより、最大の結合を得るのに必要な時間が短縮されうる。最大の結合を得るのに必要な時間は、皮膚試料の大きさ、ペプチドライブラリーの濃度、および撹拌速度などの多数の因子に依存して変化する。必要な時間は、当業者により、通常の実験を用いて容易に決定されうる。典型的には、接触時間は1分から1時間である。場合により、ペプチドライブラリーを、皮膚試料との接触に先立ちまたはそれと同時に、毛髪またはプラスチックなどの非標的と接触させることで、非標的に結合する望ましくないDNA会合ペプチドを除去することが可能である。
【0062】
多数のランダムに創製されたペプチドは、皮膚試料との接触時に皮膚に結合してDNA会合ペプチド−皮膚複合体を形成する。多数のペプチドは複合体が形成されないままであり、かつ皮膚試料の一部も結合されない。複合体を形成していないペプチドは、場合によりトリス−HCl、トリス緩衝生理食塩水、トリス−ホウ酸塩、トリス−酢酸、トリエチルアミン、リン酸塩緩衝液、およびグリシン−HClなど(ここではトリス緩衝生理食塩水が好ましい)の任意の適切な緩衝溶液を用いて洗浄することにより除去されうる。洗浄溶液は、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、DOC(デオキシコール酸ナトリウム)、ノニデット(Nonidet)P−40、トリトン(Triton)X−100、および0.5%の濃度が好ましいトゥイーン(Tween)(登録商標)20などの界面活性剤も含有しうる。洗浄ステップは、1つもしくはそれ以上の回数繰り返される場合がある。
【0063】
複合体を形成していない物質の除去後、DNA会合ペプチド−皮膚複合体をある時間、典型的には約1分〜約30分間、スキンケア組成物マトリックスと接触させることで、ペプチド−皮膚複合体−組成物混合物が形成される。本明細書にて用いられるスキンケア組成物マトリックスは、スキンコンディショナー、スキンクレンザー、メイクアップ、皺取り製品および皮膚着色剤などのスキンケア製品を、不希釈または希釈形態で、あるいはスキンケア製品の少なくとも1つの成分、さらにスキンケア製品の少なくとも2つの成分を含んでなる混合物を含んでなる媒体を示す。適切なスキンケア製品組成物は、当該技術分野で周知である。スキンケア組成物は、米国特許第6,280,747号明細書でフィリップ(Philippe)らによって記載されている。例えば、スキンケア組成物は、一般に組成物の総重量に対して約10〜約90%重量の割合で脂肪物質を含有する無水組成物である場合があり、ここで脂肪相は少なくとも1つの液体、固体または半固体の脂肪物質を含有する。脂肪物質は、オイル、ワックス、ガム、およびいわゆるペースト状脂肪物質を含むがこれらに限定されない。あるいは、組成物は、水中油または油中水エマルジョンなどの安定な分散形態でありうる。さらに、組成物は、スキンコンディショニング剤(例えば下記参照)、皮膚着色剤(例えば下記参照)、抗酸化剤、保護剤、充填剤、界面活性剤、UVAおよび/またはUVBサンスクリーン、香料、増粘剤、浸潤剤、ならびに陰イオン性、非イオン性または両性ポリマー、ならびに染料または色素を含むがこれらに限定されない、1つもしくはそれ以上の従来の化粧用または皮膚用の添加剤または補助剤を含みうる。ロレアル(L’Oreal)、ニュートロジーナ(Neutrogena)、プロクター・アンド・ギャンブル(Proctor and Gamble)、ユニリーバ(Unilever)、およびジョンソン・アンド・ジョンソン(Johnson and Johnson)などの企業から市販されているスキンケア製品が使用されうる。これらのスキンケア製品は、地方のスーパーマーケットおよび薬局で購入されうる。好ましくは、最終的にスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドが使用されることになるスキンケア組成物マトリックスは、本方法において使用される。スキンケア組成物マトリックスは、希釈されずに使用されうるか、あるいは特に極めて粘性の高い組成物の場合には希釈されてその適用が容易になりうる。スキンケア組成物は、水で希釈されるか、または上記を例とする適切な緩衝溶液が使用される場合がある。スキンケア組成物マトリックスの濃度は、フルストレングス濃度の、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%である。最も好ましくは、スキンケア組成物マトリックスは不希釈形態で使用される。場合により、DNA会合ペプチド−皮膚複合体は、スキンケア組成物マトリックスと1回もしくはそれ以上の回数接触されうる。
【0064】
一実施形態では、スキンケア組成物マトリックスは、スキンコンディショニング製品を含んでなる。別の実施形態では、スキンケア組成物マトリックスは、スキンクレンジング製品を含んでなる。
【0065】
DNA会合ペプチド−皮膚複合体は、ペプチド−皮膚複合体−組成物混合物から単離され、場合により、上記のように緩衝溶液を使用して1回もしくはそれ以上の回数洗浄される。スキンケア組成物マトリックスは、洗浄溶液として使用される場合もある。次いで、DNA会合ペプチド−皮膚複合体が、ある時間、典型的には1〜30分間、溶出剤と接触されて、皮膚からDNA会合ペプチドが解離するが、DNA会合ペプチドの一部は、この処理後、依然として皮膚に結合されたままでありうる。場合により、DNA会合ペプチド−皮膚複合体は、溶出剤と接触する前に新しい容器に移される。溶出剤は、酸(pH1.5〜3.0);塩基(pH10〜12.5);MgCl(3〜5M)およびLiCl(5〜10M)などの高塩濃度;水;エチレングリコール(25〜50%);ジオキサン(5〜20%);チオシアン酸塩(1〜5M);グアニジン(2〜5M);および尿素(2〜8M)(ここでは酸による処理が好ましい)を含むがこれらに限定されない任意の既知の溶出剤でありうる。もし使用される溶出緩衝液が酸または塩基である場合、溶出ステップ後、中性緩衝液が添加されてpHが中性範囲に調節される。任意の適切な緩衝液の使用が可能であり、酸溶出緩衝液を伴う使用については1M トリス−HCl pH9.2が好ましい。
【0066】
次いで、溶出されたペプチドまたは残存する結合されたペプチドをコードするDNA、あるいは溶出されたペプチドと残存する結合されたペプチドの双方をコードするDNAは、当該技術分野で既知の方法を用いて増幅される。例えば、溶出されたペプチドおよび残存する結合されたペプチドをコードするDNAは、ファン(Huang)ら(同時係属および共有の米国特許出願公開第2005/0050656号明細書、参照により本明細書中に援用)に記載のように、大腸菌(E.coli)ER2738などの細菌宿主細胞に所望のペプチドをコードするDNAを感染させることによって増幅されうる。感染された宿主細胞はLB(ルリア−ベルターニ(Luria−Bertani))培地などの適切な成長培地内で成長され、この培養物はIPTG(イソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド)およびS−Gal(商標)(3,4−シクロヘキセノエスクレチン−β−D−ガラクトピラノシド)を有するLB培地などの適切な成長培地を含む寒天上に広げられる。成長後、DNAの単離および配列決定のためにプラークが採取され、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド配列が同定される。あるいは、溶出されたペプチドおよび残存する結合されたペプチドをコードするDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの核酸増幅方法を用いて増幅されうる。そのアプローチにおけるPCRは、参照により本明細書中に援用される米国特許出願公開第2003/0152976号明細書中でのジャンセン(Janssen)らによる記載のように、溶出されたペプチドおよび/または残存する結合されたペプチドをコードするDNA上で適切なプライマーを用いて行われる。
【0067】
一実施形態では、溶出されたペプチドおよび残存する結合されたペプチドをコードするDNAは細菌宿主細胞に感染させることによって増幅され、増幅されたDNA会合ペプチドは新しい皮膚試料に接触され、上記のプロセス全体が1回もしくはそれ以上の回数繰り返されてスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合DNA会合ペプチド内に濃縮された集団が得られる。バイオパニングサイクルを所望の回数行った後、増幅されたDNA配列が当該技術分野で周知の標準のDNA配列決定技術を用いて決定されて、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド配列が同定される。
【0068】
スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドの生成
本発明のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドは、当該技術分野で周知の標準のペプチド合成方法(例えば、スチュワート(Stewart)ら、Solid Phase Peptide Synthesis、ピアース・ケミカル社(Pierce Chemical Co.)、ロックフォード(Rockford)、イリノイ州(IL)、1984年;ボダンスズキー(Bodanszky)、Principles of Peptide Synthesis、シュプリンガー・フェアラーク(Springer−Verlag)、ニューヨーク(New York)、1984年;およびペニントン(Pennington)ら、Peptide Synthesis Protocols、ヒューマナ・プレス(Humana Press)、トトワ(Totowa)、ニュージャージー州(NJ)、1994年を参照)を用いて調製されうる。さらに、多数の企業がカスタムペプチド合成サービスを提供している。
【0069】
あるいは、本発明のペプチドは、組み換えDNAおよび分子クローニング技術を用いて調製されうる。異種宿主細胞内、特に微生物宿主細胞内で皮膚結合ペプチドをコードする遺伝子が生成されうる。
【0070】
本発明の結合ペプチドの発現において好ましい異種宿主細胞は、真菌または細菌のファミリー内で幅広く見出される可能性があり、かつ温度、pH値、および溶媒耐性の広範囲にわたり成長する微生物宿主である。転写、翻訳、およびそのタンパク質生合成装置は細胞供給原料(cellular feedstock)に関係なく同じであることから、細胞バイオマスを生成するのに用いられる炭素供給原料に関係なく機能的遺伝子が発現される。宿主株の例として、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピキア(Pichia)、カンジダ(Candida)、ハンセヌラ(Hansenula)などの真菌種または酵母種、またはサルモネラ(Salmonella)、バチルス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ロードコッカス(Rhodococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、エスケリキア(Escherichia)、シュードモナス(Pseudomonas)、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、シネコシスティス(Synechocystis)、アナバエナ(Anabaena)、チオバチルス(Thiobacillus)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)およびクレブシエラ(Klebsiella)などの細菌種が挙げられるがこれらに限定されない。
【0071】
種々の発現系を用いることで、本発明のペプチドを生成してもよい。かかるベクターは、染色体、エピソームおよびウイルス由来ベクター、例えば、細菌プラスミド由来ベクター、バクテリオファージ由来ベクター、トランスポゾン由来ベクター、挿入要素由来ベクター、酵母エピソーム由来ベクター、バキュロウイルス、レトロウイルスなどのウイルス由来ベクター、ならびにコスミドやファージミドなど、プラスミドおよびバクテリオファージ遺伝要素に由来するものなどのそれらの組み合わせに由来するベクターを含むがこれらに限定されない。発現系コンストラクトは、発現を調節するとともに引き起こす調節領域を含む場合がある。一般に、宿主細胞内でのポリヌクレオチドまたはポリペプチドの維持、増殖または発現に適する任意の系またはベクターは、これに関連する発現のために使用される場合がある。微生物の発現系および発現ベクターは、宿主細胞の成長との関連において外来タンパク質の高レベルの発現を指示する調節配列を含む。調節配列は当業者に周知であり、例として、例えばエンハンサー配列といったベクター内の調節因子の存在を含む、化学的または物理的刺激に応答して遺伝子発現のオンまたはオフを誘発するものが挙げられるがこれらに限定されない。これらのいずれかを用いるならば、本発明の結合ペプチドのいずれかを生成するためのキメラ遺伝子の作製が可能である。次いで、これらのキメラ遺伝子が形質転換を介して適切な微生物に導入されるならば、ペプチドの高レベルの発現が可能である。
【0072】
適切な宿主細胞の形質転換にとって有用なベクターまたはカセットは、当該技術分野で周知である。典型的には、ベクターまたはカセットは、関連遺伝子の転写および翻訳を指示する配列、1つもしくはそれ以上の選択可能なマーカー、および自律的複製または染色体の統合を可能にする配列を含んでなる。適切なベクターは、転写開始制御を内在させる遺伝子の領域5’および転写終結を制御するDNA断片の領域3’を含んでなる。それは、両方の制御領域が形質転換された宿主細胞に対して相同な遺伝子由来である場合に最も好ましいが、かかる制御領域が生成宿主として選択される特定の種に対して天然の遺伝子由来である必要がないものと理解されるべきである。選択可能なマーカー遺伝子は、大腸菌におけるテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性など、形質転換された宿主細胞の選択における表現型形質をもたらす。
【0073】
所望の宿主細胞内でのキメラ遺伝子の発現を駆動するのに有用な開始制御領域またはプロモーターは多数存在し、当業者にとって周知である。遺伝子を駆動可能な事実上任意のプロモーターは、本発明の結合ペプチドの生成に適し、CYC1、HIS3、GAL1、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI(サッカロミセス(Saccharomyces)における発現に有用);AOX1(ピキア(Pichia)における発現に有用);lac、ara、tet、trp、lP、lP、T7、tacおよびtrc(大腸菌(Escherichia coli)における発現に有用);ならびにバチルス(Bacillus)における発現に有用なamy、apr、nprプロモーターおよび様々なファージプロモーターを含むがこれらに限定されない。
【0074】
終結制御領域はまた、好ましい宿主に対して天然の様々な遺伝子に由来する場合がある。場合により、終結部位は不要である場合があるが、もしそれが含まれるとしたら最も好ましい。
【0075】
上記の適切なDNA配列を含むベクターおよび適切なプロモーターまたは制御配列を用いることで、適切な宿主を形質転換して宿主における本発明のペプチドの発現を可能にする場合がある。さらに細胞を伴わない翻訳系を用い、本発明のDNAコンストラクト由来のRNAを用いてかかるペプチドを生成してもよい。場合により、形質転換された宿主の分泌産物として本発明の遺伝子産物を生成することが望ましいかもしれない。所望のタンパク質の成長培地への分泌は、精製手順における簡素化およびそのコスト低減という利点を有する。分泌シグナル配列が細胞膜を横切る発現可能なタンパク質の能動輸送の促進に有用な場合が多いことは、当該技術分野で周知である。分泌可能な形質転換された宿主の構築は、生成宿主内で機能的な分泌シグナルをコードするDNA配列の取り込みによって行われる場合がある。適切なシグナル配列を選択するための方法は、当該技術分野で周知である(例えば、欧州特許第546049号明細書および国際公開第9324631号パンフレットを参照)。分泌シグナルDNAまたは促進因子(facilitator)は、発現を制御するDNAとインスタント遺伝子または遺伝子断片との間、および後者を有する同じリーディングフレーム内に位置する場合がある。
【0076】
ペプチドベースの皮膚効果剤
本発明のペプチドベースの皮膚効果剤は、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド(SCP)とコンディショナー、着色剤、香料、サンスクリーンなどの効果剤(BA)との共役によって形成される。ペプチドベースの効果剤のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド部分がスキンケア組成物マトリックスから皮膚に強く結合することから、皮膚に付着された効果剤における長期持続効果が保持される。スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドと効果剤との共役相互作用は、共有結合または非共有相互作用であり、下記のように任意選択のスペーサーによるものである場合がある。
【0077】
ファン(Huang)ら(同時係属および共有の米国特許出願公開第2005/0050656号明細書)で記載のように、複数のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドと効果剤とを共役させてペプチドベースの効果剤と皮膚との間の相互作用を高めることが望ましい場合もある。単一のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド配列の複数のコピーと効果剤とを共役させるか、あるいは2つもしくはそれ以上のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド配列を直接的にまたはスペーサーを介して共に連結させ、かつ生成される複数のコピーの皮膚結合配列と効果剤とを共役させることにより、これは実施されうる。さらに、複数のコピーのスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド配列の複数のコピーが効果剤に共役されうる。すべてのこれらのペプチドベースの皮膚効果剤では、同じスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドの複数のコピーまたは異なるスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドの組み合わせの使用が可能である。
【0078】
本発明の一実施形態では、ペプチドベースの効果剤は、一般構造(SCP−BA(式中、mは1〜約100、好ましくは1〜約10の範囲である)を有する、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド(SCP)および効果剤(BA)よりなるジブロック組成物である。効果剤が分子種である場合、nは1〜約100、好ましくは1〜約10の範囲である。効果剤が色素などの粒子である場合、nは1〜約50,000、好ましくは1〜約10,000の範囲である。
【0079】
別の実施形態では、ペプチドベースの効果剤は、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドを効果剤から分離するスペーサー(S)を有する。スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドの複数のコピーは、単一のスペーサー分子と共役されうる。あるいは、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドの複数のコピーは、様々なスペーサーによって分離されうる。この実施形態では、ペプチドベースの効果剤は、一般構造[(SCP−S)−BA(式中、xは1〜約10の範囲であり、好ましくはxは1であり、かつmは1〜約100、好ましくは1〜約10の範囲である)を有する、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド、スペーサー、および効果剤よりなるトリブロック組成物である。効果剤が染料または非粒子状コンディショニング剤などの分子種である場合、nは1〜約100、好ましくは1〜約10の範囲である。効果剤が色素などの粒子である場合、nは1〜約50,000、好ましくは1〜約10,000の範囲である。
【0080】
本明細書で用いられるSCPは総称であり、単一のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド配列に言及することを意味するものではないことが理解されるべきである。上で用いられるm、nまたはxが1より大きい場合、一連の異なる配列の皮膚結合ペプチドが組成物の一部を形成しうる場合の状況を設けることは本発明の範囲内で十分になされる。さらに、Sは総称であり、単一のスペーサーに言及することを意味するものではない。トリブロック組成物において上で用いられるmおよびnが1より大きい場合、一連の異なるスペーサーが組成物の一部を形成しうる場合の状況を設けることは本発明の範囲内で十分になされる。これらの構造がペプチド、効果剤、および任意選択のスペーサーの間の共有結合を必ずしも示さないことも理解されるべきである。下記のように、ペプチド、効果剤、および任意選択のスペーサーの間の共役相互作用は、共有的または非共有的でありうる。
【0081】
本発明のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドベースの効果剤の調製については、スキンコンディショナーおよび皮膚着色剤に対して下記に記載される。これらの方法が他の効果剤に適用される場合があり、かつこれらの他のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドベースの効果剤が本発明の範囲内にあることが理解されるべきである。
【0082】
ペプチドベースのスキンコンディショナー
本発明のペプチドベースのスキンコンディショナーは、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド(SCP)とスキンコンディショニング剤(SCA)との共役によって形成される。コンディショナーのスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド部分がスキンケア組成物マトリックスから皮膚に強く結合することから、皮膚に付着されたコンディショニング剤における長期持続性のコンディショニング効果が保持される。スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドは、上記方法を用いて同定される。
【0083】
本明細書にて定義されたスキンコンディショニング剤は、皮膚を引き締めるアストリンゼント;死滅した皮膚細胞を除去するエクスフォリアン(exfoliants);滑らかで柔らかくしなやかな外観の維持を助ける皮膚軟化剤;皮膚の最上層における含水量を増加させる保湿剤;水の皮膚表面からの蒸発を遅らせる閉塞剤(occlusives);健康増進剤、ならびに乾燥もしくは損傷した皮膚の外観を良くするか、または剥離を少なくしかつ柔軟性を回復させる多種多様な化合物を含むがこれらに限定されない。本発明のペプチドベースのスキンコンディショナーでは、任意の適切な既知のスキンコンディショニング剤が使用されうる。スキンコンディショニング剤は、例えば、参照により本明細書中に援用されるグリーン(Green)ら(国際公開第0107009号パンフレット)を参照しても当該技術分野で周知であり、様々なソースから市販されている。スキンコンディショニング剤の適切な例として、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、ポリオール、ヒアルロン酸、D,L−パンテノール、ポリサリチレート(polysalicylates)、ビタミンAパルミテート、ビタミンEアセテート、グリセリン、ソルビトール、シリコーン、シリコーン誘導体、ラノリン、天然油、中性脂肪エステル、γアミノ酪酸、ヒト成長ホルモン放出ホルモンなどのホルモン、およびインスリン様成長因子−Iが挙げられるがこれらに限定されない。本発明の好ましいスキンコンディショニング剤は、ポリサリチレート、プロピレングリコール(CAS番号57−55−6、ダウ・ケミカル(Dow Chemical)、ミッドランド(Midland)、ミシガン州(MI))、グリセリン(CAS番号56−81−5、プロクター・アンド・ギャンブル社(Proctor&Gamble Co.)、シンシナティ(Cincinnati)、オハイオ州(OH))、グリコール酸(CAS番号79−14−1、デュポン社(DuPont Co.)、ウィルミントン(Wilmington)、デラウェア州(DE))、乳酸(CAS番号50−21−5、アルファ・エイサー(Alfa Aesar)、ワードヒル(Ward Hill)、マサチューセッツ州(MA))、リンゴ酸(CAS番号617−48−1、アルファ・エイサー(Alfa Aesar))、クエン酸(CAS番号77−92−9、アルファ・エイサー(Alfa Aesar))、酒石酸(CAS NO.133−37−9、アルファ・エイサー(Alfa Aesar))、グルカル酸(CAS番号87−73−0)、ガラクタル酸(CAS番号526−99−8)、3−ヒドロキシ吉草酸(CAS番号10237−77−1)、サリチル酸(CAS番号69−72−7、アルファ・エイサー(Alfa Aesar))、および1,3−プロパンジオール(CAS番号504−63−2、デュポン社(DuPont Co.)、ウィルミントン(Wilmington)、デラウェア州(DE))である。ポリサリチレートは、参照により本明細書中に援用される米国特許第4,855,483号明細書にてホワイト(White)らにより記載された方法によって調製されうる。グルカル酸は、メルボウ(Merbouh)ら(Carbohydr.Res.336:75−78頁(2001年)により記載の方法を用いて合成されうる。3−ヒドロキシ吉草酸は、国際公開第02/012530号パンフレットでのブラムッチ(Bramucci)による記載のように調製されうる。
【0084】
本発明のペプチドベースのスキンコンディショナーは、特定のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドとスキンコンディショニング剤との直接的なまたは任意選択のスペーサーを介した共役によって調製される。共役相互作用は、共有結合、あるいは水素結合、静電相互作用、疎水性相互作用、またはファンデルワールス相互作用などの非共有相互作用でありうる。非共有相互作用の場合、ペプチドベースのスキンコンディショナーは、ペプチドとコンディショニング剤および任意選択のスペーサー(もし必要な場合)との混合ならびに相互作用が生じるための十分な時間を許容することによって調製される。結合していない物質は、ゲル透過クロマトグラフィーを例とする当該技術分野で既知の方法を用い、生成されたペプチドベースのスキンコンディショナーの付加物から分離されうる。
【0085】
本発明のペプチドベースのスキンコンディショナーは、ファン(Huang)ら(同時係属および共有の米国特許出願公開第2005/0050656号明細書)によって記載のように、特定のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドをスキンコンディショニング剤に直接にまたはスペーサーを介して共有結合させることによっても調製されうる。任意の適切な既知のペプチドまたはタンパク質の化学抱合体(conjugation chemistry)を用い、本発明のペプチドベースのスキンコンディショナーを形成することが可能である。化学抱合体は当該技術分野で周知である(例えば、ハーマンソン(Hermanson)、Bioconjugate Techniques、アカデミック・プレス(Academic Press)、ニューヨーク(New York)(1996年)を参照)。適切なカップリング剤は、ペプチド上の末端アミン基および/またはカルボン酸基、およびスルフヒドリル基、ならびにスキンコンディショニング剤上のアミン基、カルボン酸基またはアルコール基に対して反応性を示す、カルボジイミドカップリング剤、塩化酸、イソシアネート、エポキシド、マレイミド、および他の官能性カップリング試薬を含むがこれらに限定されない。さらに、ペプチド上の反応性アミン基またはカルボン酸基を保護し、ペプチドベースのスキンコンディショナーにおいて所望の構造を作製することが必要な場合がある。t−ブチロキシカルボニル(t−Boc)など、アミノ酸における保護基の使用は、当該技術分野で周知である(例えばスチュワート(Stewart)ら、上記;ボダンスズキー(Bodanszky)、上記;およびペニントン(Pennington)ら、上記を参照)。場合により、皮膚結合ペプチドに対する共役のため、カルボン酸基、アルコール基、アミン基、イソシアネート基またはアルデヒド基などの反応基をスキンコンディショニング剤上に導入することが必要でありうる。これらの修飾は、当該技術分野で周知の酸化、還元、ホスゲン化(phosgenation)などの通常の化学反応を用いて行われる場合がある。
【0086】
スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドをスキンコンディショニング剤に対してスペーサーを介して共役することが望ましい場合もある。スペーサーがコンディショニング剤をペプチドから分離するように機能することで、同剤がペプチドの皮膚への結合と干渉しないことが保証される。スペーサーは、アルキル鎖、フェニル化合物、エチレングリコール、アミド、エステルなどの種々の分子のいずれかでありうる。好ましいスペーサーは、親水性を示し、1〜約100原子、より好ましくは2〜約30原子の鎖長を有する。好ましいスペーサーの例として、エタノールアミン、エチレングリコール、6炭素原子の鎖長を有するポリエチレン、3〜6反復単位を有するポリエチレングリコール、フェノキシエタノール、プロパノールアミド、ブチレングリコール、ブチレングリコールアミド、プロピルフェニル、ならびにエチル、プロピル、ヘキシル、ステリル、セチル、およびパルミトイルアルキルの鎖が挙げられるがこれらに限定されない。スペーサーは、上記のカップリング化学物質のいずれかを用いてペプチドおよびスキンコンディショニング剤と共有結合されうる。スペーサーの取り込みを促進するため、ペプチドおよびコンディショニング剤に対する共役において、スペーサーおよび反応基を両末端に含む二官能性架橋剤が使用されうる。適切な二官能性架橋剤は、当該技術分野で周知であり、1,6−ジアミノヘキサンなどのジアミン;グルタルアルデヒドなどのジアルデヒド;エチレングリコール−ビス(琥珀酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステル)、ジサクシニミジルグルタレート(disuccinimidyl glutarate)、ジサクシニミジルスベレート(disuccinimidyl suberate)、およびエチレングリコール−ビス(サクシニミジルサクシネート(succinimidyl succinate))などのビスN−ヒドロキシサクシンイミドエステル;ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート;1,4ブタンジイルジグリシジルエーテルなどのビスオキシラン;サクシニルジサリチレート(succinyldisalicylate)などのジカルボン酸などを含むがこれらに限定されない。異なる反応基を各末端に含むヘテロ二官能性架橋剤もまた使用されうる。ヘテロ二官能性架橋剤の例として、以下の構造を有する化合物が挙げられるがこれに限定されない。
【0087】
【化1】

【0088】
(式中、RはHまたは−SONa、−NO、または−Brなどの置換基であり、かつRは−CHCH(エチル)、−(CH(プロピル)、または−(CH(プロピルフェニル)などのスペーサーである)かかるヘテロ二官能性架橋剤の例として、3−マレイミドプロピオン酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステルが挙げられる。これらの試薬のN−ヒドロキシサクシンイミドエステル基はコンディショナー上のアミン基またはアルコール基と反応する一方、マレイミド基はペプチド上に存在するチオール基と反応する。チオール基は、少なくとも1つのシステイン基を結合ペプチド配列の少なくとも一方の末端すなわちC−末端またはN−末端に付加することによってペプチドに取り込まれうる。グリシンなどの数個のスペーサーのアミノ酸残基が結合ペプチド配列と末端システインの間に取り込まれることで、反応性のチオール基が結合配列から分離されうる。さらに、少なくとも1つのリジン残基が結合ペプチド配列の少なくとも1方の末端すなわちC−末端またはN−末端に付加されて、共役におけるアミン基が提供されうる。
【0089】
さらに、スペーサーは、任意のアミノ酸およびその混合物を含んでなるペプチドでありうる。好ましいペプチドスペーサーは、アミノ酸のプロリン、リジン、グリシン、アラニン、およびセリン、ならびにこれらの混合物を含んでなる。さらに、ペプチドスペーサーは、配列番号1で与えられる、プロテアーゼカスパーゼの3部位などの特定の酵素切断部位を含む場合があり、皮膚からのコンディショニング剤の酵素的除去が可能になる。ペプチドスペーサーは、1〜約50アミノ酸長、好ましくは1〜約20アミノ酸長でありうる。ペプチドスペーサーの例として配列番号5〜7が挙げられるがこれらに限定されない。これらのペプチドスペーサーは、当該技術分野で既知の任意の方法によって結合ペプチド配列に連結されうる。例えば、結合ペプチド−ペプチドスペーサー−ジブロックの全体は、上記の標準のペプチド合成方法を用いて調製されうる。さらに、結合ペプチドとペプチドスペーサーブロックは、ペプチド上の末端のアミンおよび/またはカルボン酸に反応性を示す、カルボジイミドカップリング剤(例えば、ハーマンソン(Hermanson)、Bioconjugate Techniques、アカデミック・プレス(Academic Press)、ニューヨーク(New York)(1996年)を参照)、塩化二酸、ジイソシアネートおよび他の二官能性カップリング試薬を用いて結合されうる。あるいは、結合ペプチド−ペプチドスペーサー−ジブロックの全体は、上記の組み換えDNAおよび分子クローニング技術を用いて調製されうる。スペーサーはまた、ペプチドスペーサーと有機スペーサー分子の組み合わせである場合があり、上記の方法を用いて調製されうる。
【0090】
ペプチドベースのスキンコンディショナーと皮膚の間の相互作用を高めるのに、複数のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドをスキンコンディショニング剤に共役させることが望ましい場合もある。同じ皮膚結合ペプチドの複数のコピーまたは異なる皮膚結合ペプチドの組み合わせが使用されうる。大きいコンディショニング粒子(例えば粒子エマルジョン)の場合、多数の皮膚結合ペプチドすなわち約50,000個までがコンディショニング剤に付着されうる。より少数の皮膚結合ペプチドをより少ないコンディショナー分子すなわち最大約100個に共役させてもよい。さらに、ペプチドの複数のコピーが共に連結され、かつスキンコンディショニング剤に共役されうる。したがって、本発明の一実施形態では、ペプチドベースのスキンコンディショナーは、一般構造(SCP−SCA(式中、mは1〜約100、好ましくは1〜約10の範囲である)を有する、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド(SCP)およびスキンコンディショニング剤(SCA)よりなるジブロック組成物である。コンディショニング剤が分子種である場合、nは1〜約100、好ましくは1〜約10の範囲である。コンディショニング剤が粒子である場合、nは1〜約50,000、好ましくは1〜約10,000の範囲である。
【0091】
別の実施形態では、ペプチドベースのスキンコンディショナーは、上記のように、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドをスキンコンディショニング剤から分離するスペーサー(S)を含む。皮膚結合ペプチドの複数のコピーは、単一のスペーサー分子に共役されうる。さらに、ペプチドの複数のコピーは、スペーサーを介して共に連結されかつスペーサーを介してスキンコンディショニング剤に共役されうる。この実施形態では、ペプチドベースのスキンコンディショナーは、一般構造[(SCP−S)−SCA(式中、xは1〜約10の範囲、好ましくはxは1であり、かつmは1〜約100、好ましくはmは1〜約10の範囲である)を有する、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド、スペーサー、およびスキンコンディショニング剤よりなるトリブロック組成物である。スキンコンディショニング剤が分子種すなわち非粒子状コンディショニング剤である場合、nは1〜約100、好ましくは1〜約10の範囲である。スキンコンディショニング剤が粒子である場合、nは1〜約50,000、好ましくは1〜約10,000の範囲である。
【0092】
本明細書で用いられるSCPは総称であり、単一の皮膚結合ペプチド配列に言及することを意味するものではないことが理解されるべきである。上で用いられるm、nまたはxが1より大きい場合、一連の異なる配列の皮膚結合ペプチドが組成物の一部を形成しうる場合の状況を設けることは本発明の範囲内で十分になされる。さらに、Sは総称であり、単一のスペーサーに言及することを意味するものではない。トリブロック組成物において上で用いられるmおよびnが1より大きい場合、一連の異なるスペーサーが組成物の一部を形成しうる場合の状況を設けることは本発明の範囲内で十分になされる。これらの構造がペプチド、スキンコンディショニング剤、および任意選択のスペーサーの間の共有結合を必ずしも示さないことも理解されるべきである。上記のように、ペプチド、スキンコンディショニング剤、および任意選択のスペーサーの間の共役相互作用は、共有的または非共有的でありうる。
【0093】
本発明のペプチドベースのスキンコンディショナーは、スキンケア用製品において使用されうる。皮膚結合ペプチド自体が皮膚用コンディショニング剤としての機能を果たしうることも理解されるべきである。スキンケア製品組成物は、スキンコンディショナー、スキンクレンザー、メイクアップ、皺取り製品および皮膚着色剤を含むがこれらに限定されない。一実施形態では、スキンケア製品組成物はスキンコンディショニング製品である。別の実施形態では、スキンケア製品組成物は皮膚着色製品である。別の実施形態では、スキンケア製品組成物はスキンクレンジング製品である。
【0094】
本発明のスキンケア製品組成物は、ペプチドベースのスキンコンディショナーまたは化粧用に許容可能な媒体中での異なるペプチドベースのスキンコンディショナーの混合物の有効量を含んでなる。スキンケア組成物におけるペプチドベースのスキンコンディショナーまたは皮膚結合ペプチドの有効量は、本明細書において、組成物の総重量に対する重量で約0.001%〜約10%、好ましくは約0.01%〜約5%の割合として定義される。この割合は、スキンケア製品のタイプの関数として変化しうる。スキンケア製品における化粧用に許容可能な媒体の成分は、当該技術分野で周知であり、上記に例を挙げる。
【0095】
ペプチドベースの皮膚着色剤
本発明のペプチドベースの皮膚着色剤は、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド(SCP)と着色剤(C)との共役によって形成する。ペプチドベースの皮膚着色剤のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド部分がスキンケア組成物マトリックスから皮膚に強く結合することにより、着色剤の皮膚への付着状態が保持されて長期持続性の皮膚着色効果が得られる。スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドは、上記方法を用いて同定される。
【0096】
本発明のペプチドベースの皮膚着色剤は、上記の共役方法のいずれかを用い、特定のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドと着色剤との直接的なまたはスペーサーを介した共役によって調製される。本明細書で定義される着色剤は、皮膚の色を変化させるのに使用可能な任意の染料、色素などである。本発明のペプチドベースの皮膚着色剤では、任意の適切な既知の着色剤が使用されうる。着色剤は、当該技術分野で周知であり(例えば、グリーン(Green)ら、上記、CFTA International Color Handbook、第2版、ミセル・プレス(Micelle Press)、英国(1992年)およびCosmetic Handbook、米国食品医薬品局(US Food and Drug Administration)、FDA/IAS Booklet(1992年)を参照)、様々なソース(例えばバイエル(Bayer)、ピッツバーグ(Pittsburgh)、ペンシルバニア州(PA);チバ・ガイギー(Ciba−Geigy)、タリータウン(Tarrytown)、ニューヨーク州(NY);ICI、ブリッジウォーター(Bridgewater)、ニュージャージ州(NJ);サンドズ(Sandoz)、ウィーン(Vienna)、オーストリア;BASF、マウントオリーブ(Mount Olive)、ニュージャージ州(NJ);およびヘキスト(Hoechst)、フランクフルト(Frankfurt)、ドイツ)から市販されている。本発明のペプチドベースの皮膚着色剤にて用いるための好ましい着色剤は、染料では、D&Cレッド21号などのエオシン誘導体や、D&Cレッド21号およびD&Cオレンジ10号と併用されたD&Cレッド27号、D&Cレッドオレンジ5号などのハロゲン化フルオレセイン誘導体、ならびに色素では、二酸化チタン、酸化亜鉛、D&Cレッド36号およびD&Cオレンジ17号、D&Cレッド7号、11号、31号および34号のカルシウムレーキ、D&Cレッド12号のバリウムレーキ、D&Cレッド13号のストロンチウムレーキ、FD&Cイエロー5号、FD&Cイエロー6号、D&Cレッド27号、D&Cレッド21号、FD&Cブルー1号のアルミニウムレーキ、酸化鉄、マンガンバイオレット、酸化クロム、ウルトラマリンブルー、およびカーボンブラックを含む。着色剤はまた、太陽に暴露することなく皮膚上に日焼けした外観をもたらす、ジヒドロキシアセトンなどのサンレスタンニング剤でありうる。
【0097】
さらに、付着、吸着または吸収された染料を有する、有機および無機ナノ粒子は、着色剤として使用されうる。例えば、着色剤は着色重合体ナノ粒子でありうる。典型的な高分子ミクロスフィアは、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルトルエン、スチレン/ブタジエン共重合体およびラテックスのミクロスフィアを含むがこれらに限定されない。本発明での使用においては、ミクロスフィアは約10nm〜約2μmの直径を有する。ミクロスフィアは、上記を例とする任意の適切な染料とミクロスフィアとの共役によって着色されうる。染料は、ミクロスフィアの表面に共役されるか、または多孔質ミクロスフィアの多孔質構造内に吸着されうる。共有結合を可能にするように官能性付与された、染色されていないミクロスフィアおよび染色されたミクロスフィアを含む、適切なミクロスフィアは、バング・ラボラトリーズ(Bang Laboratories)(フィッシャーズ(Fishers)、インディアナ州(IN))などの企業から入手可能である。
【0098】
ペプチドベースの皮膚着色剤と皮膚の間の相互作用を高めるのに、複数のスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドを着色剤に共役させることが望ましい場合もある。同じ皮膚結合ペプチドの複数のコピーまたは異なる皮膚結合ペプチドの組み合わせが使用されうる。さらに、複数の皮膚結合ペプチド配列が共に連結され、かつ上記のように着色剤に共役されうる。大きい色素粒子の場合、多数すなわち約50,000個までの皮膚結合ペプチドが色素に付着されうる。より少数すなわち約100個までの皮膚結合ペプチドをより少ない染料分子に共役させてもよい。したがって、本発明の一実施形態では、ペプチドベースの皮膚着色剤は、一般構造(SCP−C(式中、mは1〜約100、好ましくはmは1〜約10の範囲である)を有する、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド(SCP)および着色剤(C)よりなるジブロック組成物である。着色剤が染料などの分子種である場合、nは1〜約100、好ましくは1〜約10の範囲である。着色剤が色素などの粒子またはナノ粒子である場合、nは1〜約50,000、好ましくは1〜約10,000の範囲である。
【0099】
別の実施形態では、ペプチドベースの皮膚着色剤は、上記のように、結合ペプチドを着色剤から分離するスペーサー(S)を含む。皮膚結合ペプチドの複数のコピーは、単一のスペーサー分子に共役されうる。さらに、ペプチドの複数のコピーは、スペーサーを介して共に連結されかつスペーサーを介して着色剤に共役されうる。この実施形態では、ペプチドベースの皮膚着色剤は、一般構造[(SCP−S)−C(式中、xは1〜約10の範囲、好ましくはxは1であり、かつmは1〜約100、好ましくはmは1〜約10の範囲である)を有する、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド、スペーサー、および着色剤よりなるトリブロック組成物である。着色剤が染料などの分子種である場合、nは1〜約100、好ましくは1〜約10の範囲である。着色剤が色素などの粒子またはナノ粒子である場合、nは1〜約50,000、好ましくは1〜約10,000の範囲である。
【0100】
本明細書で用いられるSCPは総称であり、単一の皮膚結合ペプチド配列に言及することを意味するものではないことが理解されるべきである。上で用いられるm、nまたはxが1より大きい場合、一連の異なる配列の皮膚結合ペプチドが組成物の一部を形成しうる場合の状況を設けることは本発明の範囲内で十分になされる。さらに、Sは総称であり、単一のスペーサーに言及することを意味するものではない。トリブロック組成物において上で用いられるmおよびnが1より大きい場合、一連の異なるスペーサーが組成物の一部を形成しうる場合の状況を設けることは本発明の範囲内で十分になされる。これらの構造がペプチド、着色剤、および任意選択のスペーサーの間の共有結合を必ずしも示さないことも理解されるべきである。上記のように、ペプチド、着色剤、および任意選択のスペーサーの間の共役相互作用は、共有的または非共有的でありうる。
【0101】
本発明のペプチドベースの皮膚着色剤は、ファンデーション、ブラッシュ、リップスティック、リップライナー、リップグロス、アイシャドウおよびアイライナーを含むがこれらに限定されない、化粧品およびメイクアップ製品における着色剤として使用されうる。これらは、脂肪物質を含有する化粧用に許容可能な媒体を含んでなる無水メイクアップ製品であるか、あるいは、上記のように水中油または油中水エマルジョンなどの安定な分散形態でありうる。これらの組成物では、ペプチドベースの皮膚着色剤の割合は、一般に組成物の総重量に対して約0.001%〜約40%重量である。
【0102】
皮膚を処理するための方法
別の実施形態では、皮膚を本発明のペプチドベースのコンディショナーおよび着色剤で処理するための方法が提供される。詳細には、本発明は、有効量のペプチドベースのスキンコンディショナーを含んでなる上記組成物のうちの1つを皮膚に適用するステップと、保護膜の形成を可能にするステップとにより、皮膚上にペプチドベースのコンディショナーの保護膜を形成するための方法も含んでなる。本発明の組成物は、スプレー、ブラッシング、および手による塗布を含むがこれらに限定されない様々な手段によって皮膚に適用されうる。ペプチドベースのコンディショナー組成物は、保護膜を形成するのに十分な時間、好ましくは少なくとも約0.1〜60分間、皮膚と接触状態にされる。
【0103】
本発明は、上記手段による、有効量のペプチドベースの皮膚着色剤を含んでなる皮膚着色組成物の皮膚への適用によって皮膚の着色方法も提供する。
【実施例】
【0104】
本発明は、以下の実施例においてさらに明らかにされる。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示す一方、あくまで例示目的で与えられることが理解されるべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認でき、その趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更および改良を行うことでそれを様々な使用および条件に適合させることができる。
【0105】
用いられる略語の意味は以下の通りである。すなわち、「min」は分を意味し、「sec」は秒を意味し、「h」は時間を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「nm」はナノメータを意味し、「mm」はミリメータを意味し、「cm」はセンチメータを意味し、「μm」はマイクロメータを意味し、「mM」はミリモルを意味し、「M」はモルを示し、「mmol」はミリモルを意味し、「μmol」はマイクロモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「pfu」はプラーク形成単位を意味し、「BSA」はウシ血清アルブミンを意味し、「ELISA」は酵素結合免疫吸着アッセイを意味し、「A」は吸光度を意味し、「A450」は450nmの波長で測定された吸光度を意味し、「TBS」はトリス緩衝生理食塩水を意味し、「TBST−X」は「X」がトゥイーン(Tween)(登録商標)20の重量パーセントである場合のトゥイーン(Tween)(登録商標)20を含有するトリス緩衝生理食塩水を意味し、「SEM」は平均の標準誤差を意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「DMF」はジメチルホルムアミドを意味し、「Mw」は重量平均分子量を意味し、「kDa」はキロダルトンを意味し、「NMR」は核磁気共鳴分光法を意味し、かつ「v/v」は容量対容量の比率を意味する。
【0106】
一般的方法
標準の組み換えDNAおよび分子クローニング技術は、当該技術分野で周知であり、サンブルック J.(Sambrook J.)、フリッツ E.F.(Fritsch E.F.)およびマニアティス T.(Maniatis T.)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク州(N.Y.)、1989年、T.J.シルハヴィ(T.J.Silhavy)、M.L.ベナン(M.L.Bennan)およびL.W.エンキスト(L.W.Enquist)、Experiments with Gene Fusions、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク州(N.Y.)、1984年、およびアウスベル F.M.(Ausubel F.M.)ら、Current Protocols in Molecular Biology、グリーン・パブリッシング・アソシエイツ・アンド・ワイリー・インターサイエンス(Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience)、1987年に記載されている。
【0107】
細菌培養物の維持および成長に適する材料および方法も当該技術分野で周知である。以下の実施例における使用に適する技術は、Manual of Methods for General Bacteriology、フィリップ・ゲアハルト(Phillipp Gerhardt)、R.G.E.マレイ(R.G.E.Murray)、ラルフ N.コスチロウ(Ralph N.Costilow)、ユーギーン W.ネスター(Eugene W.Nester)、ウィリス A.ウッド(Willis A.Wood)、ノエル R.クリーク(Noel R.Krieg)およびG.ブリッグス・フィリップス(G.Briggs Phillips)編、American Society for Microbiology、ワシントンDC.(Washington,DC.)、1994年、またはトーマス D.ブロック(Thomas D.Brock)によるBiotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology、第2版、シナウアー・アソシエーツ社(Sinauer Associates,Inc.)、マサチューセッツ州サンダーランド(Sunderland,MA)、1989年の中で見出されうる。細菌細胞の成長および維持を目的とした実施例に記載のすべての試薬および物質を、他に規定のない限り、アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)(ミルウォーキー(Milwaukee)、ワイオミング州(WI))、BDダイアグノスティック・システムズ(BD Diagnostic Systems)(スパークス(Sparks)、メリーランド州(MD))、ライフ・テクノロジーズ(Life Technologies)(ロックヴィル(Rockville)、メリーランド州(MD))、またはシグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Company)(セントルイス(St.Louis)、ミズーリ州(MO))から入手可能である。
【0108】
ファージディスプレイペプチドライブラリー
以下の実施例では、4つのファージディスプレイペプチドライブラリーを用いる。Ph.D.−12(商標)ファージディスプレイペプチドライブラリー(Phage Display Peptide Library)をニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs)(ベバリー(Beverly)、マサチューセッツ州(MA))から購入する。このキットは、M13ファージの小コートタンパク質(pIII)と融合されたランダムペプチド12−mersのコンビナトリアルライブラリーに基づく。提示されたペプチドは、シグナルペプチドの切断後にコートタンパク質の1番目の残基が提示されたペプチドの1番目の残基であるように、pIIIのN末端で発現される。Ph.D.−12(商標)ライブラリーは、約2.7×10配列よりなる。
【0109】
第一に15−merランダムペプチド配列を有し、第二に20−merランダムペプチド配列を有し、第三に位置3および11にシスチン残基を含む14−merジスルフィド制約型ランダムペプチド配列を有する3つのファージディスプレイペプチドライブラリーを、ケイ(Kay)ら(Combinatorial Chemistry & High Throughput Screening、第8巻、545−551頁(2005年))に記載の方法を用いて調製する。この方法は、大腸菌株CJ236(dutung)を用いることでウリジンを有する一本鎖ファージミドDNA(U−ssDNA)が生成されるという、シドゥ(Sidhu)ら(Methods in Enzymology 328:333−363頁(2000年))で報告された方法を改良したものである。このDNAは、二本鎖のプライマーとしてだけでなくコード対象のランダムアミノ酸を挿入することを目的とした、オリゴヌクレオチドを用いる二本鎖合成用鋳型として用いられる。二本鎖合成の完了時に、二本鎖(dsDNA)は野生型株に形質転換される。任意のU−ssDNAが宿主細胞により分解され、それ故に組み換え鎖のみが残存してファージ粒子が生成される。この方法を用い、M13コートタンパク質に対するペプチド融合体または変異体を生成してもよい。ケイ(Kay)らの方法は、遺伝子IIIの開始点でアンバー停止コドンを用いる。DNA配列のランダム化されたストレッチを有するオリゴヌクレオチドを、ランダム化された領域が停止コドンと整列するように一本鎖ファージゲノムにアニールさせる。一本鎖DNA(ssDNA)を、共有結合により閉じた環状dsDNAに酵素的に変換し、続いて大腸菌の非サプレッサー株にエレクトロポレーションする。新たに合成されたDNA鎖(マイナス鎖)は、宿主細胞内でプラス鎖を生成するための鋳型としての機能を果たし、それはウイルス遺伝子の転写/翻訳用に利用されかつウイルス粒子内にパッケージングされる。
【0110】
実施例1−3(予測)
スキンコンディショナー抵抗性の皮膚結合ペプチドの同定
これらの予測的な実施例の目的は、3つのランダムファージディスプレイペプチドライブラリー、詳細にはPh.D.−12(商標)ファージディスプレイペプチドライブラリー(Phage Display Peptide Library)、15−merおよび20−merのランダムペプチドライブラリーからのスキンコンディショナー抵抗性の皮膚結合ペプチドの同定方法について記載することである。
【0111】
プロセスにおいて、1層のパラフィルム(Parafilm)(登録商標)をミニフォールドIドット−ブロットシステム(Minifold I Dot−Blot System)(シュライヒャー・アンド・シュエル社(Schleicher&Schuell,Inc.)、キーン(Keene)、ニューハンプシャー州(NH))の最上位ウェルブロックの下に適用し、無毛ブタ皮膚の層をパラフィルム(Parafilm)(登録商標)カバー上に追加し、次いで装置を締め付けることにより、独自のブタ皮膚−底部96−ウェル装置を作製する。ブタ皮膚については、地元のスーパーマーケットから購入して−80℃で保存することができる。使用前に、皮膚を脱イオン水中に入れて解凍し、次いでペーパータオルを使用して拭き取って乾かす。皮膚の表面を90%イソプロパノールで拭き、次いで脱イオン水ですすぐ。
【0112】
各実験では、目的のライブラリー由来の約4×1010pfuのファージを含有する試料を使用する。ファージライブラリーの試料をまず前処理して毛髪およびプラスチック結合クローンを除去する。毛髪結合クローンを除去するため、ファージライブラリーの試料を、インターナショナル・ヘア・インポーターズ・アンド・プロダクツ(International Hair Importers and Products)(ベルローズ(Bellerose)、ニューヨーク州(NY))から得たヒト毛髪の試料とともに室温で1時間インキュベートする。以下の手順を用いてこれを行う。毛髪をまず90%イソプロパノール中に室温で30分間入れ、次いでそれぞれを脱イオン水で10分間、5回洗浄する。毛髪を室温で一晩風乾する。毛髪を1cmの長さに切断し、ファージライブラリーとのインキュベーションのために10〜20の毛髪をマイクロ遠心チューブに入れる。ファージ試料を、毛髪試料への暴露後、ポリスチレンの6ウェルのセルカルチャークラスター(cell culture cluster)(コーニング社(Corning Inc.)、アクトン(Acton)、マサチューセッツ州(MA);カタログ番号3526)に移し、室温で1時間インキュベートしてプラスチック結合クローンを除去する。
【0113】
前処理したファージ試料をブタ皮膚試料を有する装置に添加し、混合物を室温で1時間インキュベートする。ファージ溶液を除去し、ブタ皮膚試料を、希釈されていないオレイ・エイジ・ディファイニング・プロテクティブ・リニューアル・ローション(Olay Age Defying Protective Renewal Lotion)(プロクター・アンド・ギャンブル(Proctor&Gamble)、シンシナティ(Cincinnati)、オハイオ州(OH))中で室温で5分間インキュベートする。次いで、ブタ皮膚試料をTBST−0.5%緩衝液で6回洗浄する。洗浄後、ブタ皮膚を、0.2Mグリシン−HCl、pH2.2中の1mg/mL BSAよりなる溶出緩衝液で処理し、10分間インキュベートする。次いで、1Mトリス−HCl、pH9.2よりなる中和緩衝液を添加する。溶出されたかまたは依然としてブタ皮膚に結合されたファージを、新しい宿主細胞(大腸菌ER2338)の添加により増幅する。増幅および単離されたファージを新しい皮膚試料に接触させ、各ライブラリーに対してバイオパニング法をさらに2回繰り返す。
【0114】
バイオパニングを3回行った後、ランダムな単一のファージクローンを選択し、単一のプラーク溶解物を製造業者の使用説明書(ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England BioLabs))に従って調製し、一本鎖ファージゲノムDNAをキアプレップ・スピンM13キット(QIAprep Spin M13 Kit)(キアゲン(Qiagen)、バレンシア(Valencia)、カリフォルニア州(CA))を使用して精製し、デュポン・シークエンシング・ファシリティ(DuPont Sequencing Facility)で、配列番号2として与えられる−96gIII配列決定プライマー(5’CCCTCATAGTTAGCGTAACG−3’)を用いて配列決定する。提示されるペプチドは、遺伝子IIIのシグナルペプチドの直後に位置する。同定された皮膚結合ペプチド配列は、スキンコンディショナーマトリックスから皮膚に結合可能であり、かつそこで安定であると予想される。
【0115】
実施例4(予測)
スキンコンディショナー抵抗性の皮膚結合ペプチドの特異性
この予測的な実施例の目的は、ELISA法を用いて、実施例1〜3に記載の方法を用いて同定されるスキンコンディショナー抵抗性の皮膚結合ペプチドの特異性を判定する方法について記載することである。
【0116】
実施例1〜3に記載の方法を用いて同定されるスキンコンディショナー抵抗性の皮膚結合ペプチドを、配列番号3として与えられる対照ペプチドである関連のない毛髪結合ペプチドI−B5(ファン(Huang)ら、上記)とともに用いる。すべてのペプチドは、シンペプ(SynPep)(ダブリン(Dublin)、カリフォルニア州(CA))により、リジン残基の付加によって合成され、C末端で蛍光タグの5−カルボキシフルオレセイン−アミノヘキシルアミダイト(5−FAM)で誘導体化される。標識されたI−B5毛髪結合ペプチドの配列は、配列番号4として与えられる。
【0117】
アッセイにおいて、1層のパラフィルム(Parafilm)(登録商標)をミニフォールドIドット−ブロットシステム(Minifold I Dot−Blot System)(シュライヒャー・アンド・シュエル社(Schleicher&Schuell,Inc.)、キーン(Keene)、ニューハンプシャー州(NH))の最上位ウェルブロックの下に適用し、毛髪または無毛ブタ皮膚層をパラフィルム(Parafilm)(登録商標)カバー上に追加し、次いで装置を締め付けることにより、独自の毛髪またはブタ皮膚−底部96−ウェル装置を作製する。まず96ウェル装置内の毛髪または皮膚試料を、室温で1時間インキュベートし、スーパーブロック(SuperBlock)(登録商標)ブロッキング緩衝液(トリス緩衝化;ピアス・バイオテクノロジー(Pierce Biotechnology)、ロックフォード(Rockford)、イリノイ州(IL))でブロッキングする。次いで、毛髪または皮膚試料を洗浄緩衝液(TBST−0.5%)で6回洗浄する。結合緩衝液(1mg/mL BSAを含有するTBST−0.5%)1.0mL中、20μMの濃度で蛍光標識したペプチドを各ウェルに添加し、37℃で30分間インキュベートする。毛髪または皮膚試料をTBST−0.5%で6回洗浄し、次いで抗−フルオレセイン/マウスIgG(モレキュラー・プローブス社(Molecular Probes,Inc.)、ユージン(Eugene)、オレゴン州(OR))溶液(ブロッキング緩衝液で1:1000希釈)1.0mLを各ウェルに添加する。試料を室温で1時間インキュベートし、次いで洗浄緩衝液で6回洗浄する。次いで、抗−マウスIgG−HRP抱合体(ピアス・バイオテクノロジー(Pierce Biotechnology))溶液(ブロッキング緩衝液で1:1000希釈)1.0mLを各ウェルに添加し、試料を室温で1時間インキュベートする。試料を洗浄緩衝液で6回洗浄し、TMB基質(ピアス・バイオテクノロジー(Pierce Biotechnology))300μLを各ウェルに添加する。試料を室温で10分間インキュベートし、次いで各ウェルから試料100μLを採取し、新しいマイクロタイタープレート内のウェルに添加する。次いで、停止溶液(2M硫酸溶液)100μLを各ウェルに添加し、各試料の吸光度を450nmの波長で測定する。このアッセイを2通りに実施し、ここで各々は少なくとも3つの複製物よりなる。
【0118】
スキンコンディショナー抵抗性の皮膚結合ペプチドが、皮膚に対して高いA450値で示されるように強い結合親和性を有し、毛髪に対して低いA450値で示されるように低い結合親和性を有することになると予想される。対照の毛髪結合ペプチドI−B5は、皮膚に対して低い結合親和性および毛髪に対して高い結合親和性を有することになる。
【0119】
実施例5(予測)
スキンコンディショナー抵抗性の皮膚結合ペプチドのスキンコンディショナーマトリックスからの皮膚への結合
この予測的な実施例の目的は、スキンコンディショナー抵抗性の皮膚結合ペプチドがスキンコンディショナーマトリックスから皮膚に結合することを実証する方法について記載することである。
【0120】
実施例4に記載と同じELISA法を用いる。実施例1〜3で同定した皮膚結合ペプチドを、高剪断ミキサー(シルバーソン(Silverson)、モデルL4R7A;シルバーソン・マシーンズ(Silverson Machines)、イースト・ロングメドゥ(East Longmeadow)、マサチューセッツ州(MA))を使用し、希釈されていないオレイ・エイジ・ディファイニング・プロテクティブ・リニューアル・ローション(Olay Age Defying Protective Renewal Lotion)と別々に6分間混合し、20μMの最終ペプチド濃度を得る。ブタ皮膚試料を実施例4に記載のようにブロッキングし、次いでペプチド−コンディショナー混合物中で37℃で30分間インキュベートする。次いで、ブタ皮膚試料を、実施例4に記載のように洗浄および処理し、各試料の吸光度を450nmの波長で測定する。
【0121】
同じ手順を用い、皮膚結合ペプチドと緩衝液からの皮膚との結合について測定する。さらに同じ手順を用い、スキンコンディショナー中と緩衝液中の双方で任意の皮膚結合ペプチドの非存在下で対照について実施する。
【0122】
皮膚結合ペプチドに対する、A450値で示される結合親和性がスキンコンディショナーマトリックス中および緩衝液中で類似することになり、これはスキンコンディショナー抵抗性の皮膚結合ペプチドがスキンコンディショナーマトリックスから皮膚に強く結合することを示すと予想される。
【0123】
実施例6(予測)
スキンコンディショナーマトリックス中でのスキンコンディショナー抵抗性の皮膚結合ペプチドの安定性
この予測的な実施例の目的は、スキンコンディショナーマトリックス中でのスキンコンディショナー抵抗性の皮膚結合ペプチドの安定性を実証する方法について記載することである。
【0124】
スキンコンディショナー中の、実施例1〜3で同定した皮膚結合ペプチドの別々の混合物を、実施例5に記載のように調製する。比較のため、緩衝液中での皮膚結合ペプチドの溶液を使用する。すべての溶液を室温で保存し、異なる時間で採取した試料を用い、実施例5に記載のELISA法を用いてペプチドの結合活性を測定する。対照についても皮膚結合ペプチドを含有しなかった緩衝液およびスキンコンディショナーを用いて実施する。
【0125】
皮膚結合ペプチドを最大で21日の期間にわたりスキンコンディショナー中で保存後、同ペプチドでは、A450値で示される結合親和性における有意な低下は全くないものと予想される。
【0126】
実施例7〜10(予測)
スキンクレンザー抵抗性の皮膚結合ペプチドの同定
これらの予測的な実施例の目的は、3つのランダムファージディスプレイペプチドライブラリー、詳細にはPh.D.−12(商標)ファージディスプレイペプチドライブラリー(Phage Display Peptide Library)、15−merおよび20−merランダムペプチドライブラリーに由来するスキンクレンザー抵抗性の皮膚結合ペプチドの同定方法について記載することである。
【0127】
スキンクレンザーのジョンソン(Johnson)のヘッドトゥトウ・ベイビーウォッシュ(Head−to−Toe Baby Wash)(ジョンソン・アンド・ジョンソン(Johnson&Johnson)、スキルマン(Skillman)、ニュージャージー州(NJ))をスキンコンディショナーの代わりに使用する場合を除き、実施例1〜3に記載の手順を用いる。
【0128】
同定した皮膚結合ペプチド配列は、スキンクレンザーマトリックスから皮膚に結合可能でありかつそこで安定であると予想される。実施例4に記載のように皮膚結合ペプチドの特異性について判定する。皮膚結合ペプチドのスキンクレンザーマトリックスからの皮膚に対する結合能を実施例5に記載の方法を用いて測定し、実施例6に記載のようにスキンクレンザーマトリックスにおける皮膚結合ペプチドの安定性について判定する。
【0129】
実施例11〜13
身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチドの同定
これらの実施例の目的は、3つのランダムファージディスプレイペプチドライブラリー、詳細にはPh.D.−12(商標)ファージディスプレイペプチドライブラリー(Phage Display Peptide Library)、15−merランダムペプチドライブラリー、および14−merジスルフィド制約型のランダムペプチドライブラリーに由来する身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチドを同定することである。
【0130】
プロセスにおいて、1層のパラフィルム(Parafilm)(登録商標)をミニフォールドIドット−ブロットシステム(Minifold I Dot−Blot System)(シュライヒャー・アンド・シュエル社(Schleicher&Schuell,Inc.)、キーン(Keene)、ニューハンプシャー州(NH))の最上位ウェルブロックの下に適用し、無毛ブタ皮膚の層をパラフィルム(Parafilm)(登録商標)カバー上に追加し、次いで装置を締め付けることにより、独自のブタ皮膚−底部96−ウェル装置を作製した。ブタ皮膚を地元のスーパーマーケットから購入し、−80℃で保存した。使用前に、皮膚を脱イオン水中に入れて解凍し、次いでペーパータオルを使用して拭き取って乾かした。皮膚の表面を90%イソプロパノールで拭き、次いで脱イオン水ですすいだ。
【0131】
まず96ウェル装置内の皮膚試料を、室温で1時間インキュベートし、スーパーブロック(SuperBlock)(登録商標)ブロッキング緩衝液(トリス緩衝化;ピアス・バイオテクノロジー(Pierce Biotechnology)、ロックフォード(Rockford)、イリノイ州(IL))でブロッキングした。次いで、皮膚試料を洗浄緩衝液(TBST−0.5%)で6回洗浄した。
【0132】
各実験では、目的のライブラリー由来の約1×1011pfuのファージを含有する試料を使用した。ファージライブラリーの試料をジョンソン(Johnson)のヘッドトゥトウ・ベイビーウォッシュ(Head−to−Toe Baby Wash)(ジョンソン・アンド・ジョンソン(Johnson&Johnson)、スキルマン(Skillman)、ニュージャージー州(NJ))と前混合し、皮膚ウェルに添加し、ゆっくり振とうしながら37℃で30分間インキュベートした。この時間経過後、未結合のファージ粒子を除去し廃棄した。次いで、皮膚試料をTBST緩衝液(0.5%トゥイーン(Tween)20)で10回洗浄した。結合されたファージの皮膚からの溶出前、装置の最上位プレート(ウェルを形成する皮膚上部)を除去し、新しいプレートと交換した。このステップでは、任意のプラスチック結合ファージを除去した。ブタ皮膚を0.2Mグリシン−HCl、pH2.2中の1mg/mL BSAよりなる溶出緩衝液で処理し、20分間までインキュベートした。次いで、1Mトリス−HCl、pH9.2よりなる中和緩衝液を添加した。溶出されたかまたは依然としてブタ皮膚に結合されたファージを、新しい宿主細胞(大腸菌ER2338)の添加によって増幅した。増幅および単離したファージを新しいブタ皮膚試料に接触させ、バイオパニング法を各ライブラリーに対してさらに3回ずつ繰り返した。
【0133】
バイオパニングを4回行った後、単一のランダムファージクローンを選択し、単一のプラーク溶解物を製造業者の使用説明書(ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England BioLabs))に従って調製し、キアプレップ・スピンM13キット(QIAprep Spin M13 Kit)(キアゲン(Qiagen)、バレンシア(Valencia)、カリフォルニア州(CA))を使用して一本鎖ファージゲノムDNAを精製し、デュポン・シークエンシング・ファシリティ(DuPont Sequencing Facility)で、配列番号2として与えられる−96gIII配列決定プライマー(5’CCCTCATAGTTAGCGTAACG−3’)を用いて配列決定した。提示されるペプチドは、遺伝子IIIのシグナルペプチドの直後に位置した。同定した身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチド配列を表1に示す。
【0134】
【表2】

【0135】
【表3】

【0136】
実施例14
身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチドの特徴づけ
この実施例の目的は、身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチドの皮膚結合親和性をELISA法を用いて評価することである。
【0137】
実施例11〜13において同定したファージ−ペプチドクローンを、新しい宿主細胞(大腸菌ER2338)に感染させることによって増幅した。ELISA法においては、実施例11〜13に記載のブタ皮膚−底部96−ウェル装置系を用いた。試験されるべき各クローン系においては、ブタ皮膚ウェルを、TBS中の2%脱脂粉乳(シュライヒャー・アンド・シュエル社(Schleicher&Schuell,Inc.))よりなるブロッキング緩衝液400μLとともに室温で1時間インキュベートした。ブロッキング緩衝液を、系を反転させ、ペーパータオルを使用して拭き取って乾かすことによって除去した。系をTBST−0.05%よりなる洗浄緩衝液で6回すすいだ。ウェルを1mg/mLのBSAおよび1×1011pfuのファージを含有する100μLのTBST−0.5%で満たした。試料をゆっくりと振とうしながら37℃で15分間インキュベートした。非結合ファージを、ウェルをTBST−0.5%で10〜20回洗浄することによって除去した。次いで、ブロッキング緩衝液で1:500に希釈した西洋わさびペルオキシダーゼ/抗−M13抗体抱合体(アマシャムUSA(Amersham USA)、ピスカタウェイ(Piscataway)、ニュージャージー州(NJ))100μLを各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。抱合体溶液を除去し、ウェルをTBST−0.05%で6回洗浄した。ピアス・バイオテクノロジー(Pierce Biotechnology)(ロックフォード(Rockford)、イリノイ州(IL))から得たTMB基質(200μL)を各ウェルに添加し、室温で5〜30分間、典型的には10分間、色を展開させておいた。次いで、停止溶液(200μLの2M HSO)を各ウェルに添加し、溶液を96ウェルプレートに移し、450nm(A450)での吸光度を、マイクロプレート分光光度計(モレキュラーデバイス(Molecular Devices)、サニーベール、カリフォルニア州(CA))を使用して測定した。得られる吸光度値は、少なくとも3つの複製物の平均として報告されたものであり、平均の標準誤差(SEM)を表2に与える。
【0138】
【表4】

【0139】
表2中のデータから分かるように、クローンは、A450値での測定によると皮膚に対して様々な親和性を有した。しかし、すべてのクローンは、対照で得られたA450値よりも有意に高いA450値で示されるように、皮膚に対して有意な親和性を有した。
【0140】
実施例15
身体洗浄処理後での身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチドの特徴づけ
この実施例の目的は、ELISA法を用い、身体洗浄による処理後での選択された身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチドの皮膚結合親和性を評価することである。
【0141】
実施例14に記載のELISA法を以下の改良を加えた上で用いた。ウェルからの非結合ファージペプチド溶液の除去後、ジョンソン(Johnson)のヘッドトゥトウ・ベイビーウォッシュ(Head−to−Toe Baby Wash)200μLをウェルに添加し、30分間インキュベートした。引き続いて実施例14に記載の洗浄および色展開ステップを行った。緩衝液の洗浄試料において、実施例14に記載の同じ手順を用いた。2つの毛髪結合ファージペプチドIB5およびD21は、それぞれ配列番号3および26として与えられて皮膚に対して既知の低い結合親和性を有するものであり、それらを対照の場合と同じ手順を用いて試験した。得られる吸光度値は、少なくとも3つの複製物の平均として報告されたものであり、平均の標準誤差を表3に与える。
【0142】
【表5】

【0143】
結果は、身体洗浄抵抗性の皮膚結合ファージペプチドが皮膚に対して高い結合親和性を有し、かつ身体洗浄による処理後に皮膚に対して有意な結合親和性を維持することを示す。予想どおり、毛髪結合対照は、緩衝液での洗浄および身体洗浄処理の後に皮膚に対して皮膚結合ファージペプチドよりも有意に低い結合親和性を有した。
【0144】
実施例16(予測)
身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチドの特異性
この予測的な実施例の目的は、実施例11〜13において同定した身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチドの特異性をELISA法を用いて判定する方法を記載することである。
【0145】
実施例11〜13において同定した身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチドを、配列番号3として与えられる対照ペプチドである関連のない毛髪結合ペプチドI−B5(ファン(Huang)ら、上記)とともに用いる。すべてのペプチドは、シンペプ(SynPep)(ダブリン(Dublin)、カリフォルニア州(CA))により、リジン残基の付加によって合成され、C末端で蛍光タグの5−カルボキシフルオレセイン−アミノヘキシルアミダイト(5−FAM)で誘導体化される。
【0146】
アッセイにおいて、1層のパラフィルム(Parafilm)(登録商標)をミニフォールドIドット−ブロットシステム(Minifold I Dot−Blot System)(シュライヒャー・アンド・シュエル社(Schleicher&Schuell,Inc.)、キーン(Keene)、ニューハンプシャー州(NH))の最上位96ウェルブロックの下に適用し、毛髪または無毛ブタ皮膚層をパラフィルム(Parafilm)(登録商標)カバー上に追加し、次いで装置を締め付けることにより、独自の毛髪またはブタ皮膚−底部96−ウェル装置を作製する。まず96ウェル装置内の毛髪または皮膚試料を、室温で1時間インキュベートし、スーパーブロック(SuperBlock)(登録商標)ブロッキング緩衝液(トリス緩衝化;ピアス・バイオテクノロジー(Pierce Biotechnology)、ロックフォード(Rockford)、イリノイ州(IL))でブロッキングする。次いで、毛髪または皮膚試料を洗浄緩衝液(TBST−0.5%)で6回洗浄する。結合緩衝液(1mg/mL BSAを含有するTBST−0.5%)1.0mL中、20μMの濃度で蛍光標識したペプチドを各ウェルに添加し、37℃で30分間インキュベートする。毛髪または皮膚試料をTBST−0.5%で6回洗浄し、次いで抗−フルオレセイン/マウスIgG(モレキュラー・プローブス社(Molecular Probes,Inc.)、ユージン(Eugene)、オレゴン州(OR))溶液(ブロッキング緩衝液で1:1000希釈)1.0mLを各ウェルに添加する。試料を室温で1時間インキュベートし、次いで洗浄緩衝液で6回洗浄する。次いで、抗−マウスIgG−HRP抱合体(ピアス・バイオテクノロジー(Pierce Biotechnology))溶液(ブロッキング緩衝液で1:1000希釈)1.0mLを各ウェルに添加し、試料を室温で1時間インキュベートする。試料を洗浄緩衝液で6回洗浄し、TMB基質(ピアス・バイオテクノロジー(Pierce Biotechnology))300μLを各ウェルに添加する。試料を室温で10分間インキュベートし、次いで各ウェルから試料100μLを採取し、新しいマイクロタイタープレート内のウェルに添加する。次いで、停止溶液(2M硫酸溶液)100μLを各ウェルに添加し、各試料の吸光度を450nmの波長で測定する。このアッセイを2通りに実施し、ここで各々は少なくとも3つの複製物よりなる。
【0147】
身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチドは、皮膚に対して高いA450値で示されるように強い結合親和性を有し、かつ毛髪に対して低いA450値で示されるように低い結合親和性を有すると予想される。対照の毛髪結合ペプチドI−B5は、皮膚に対して低い結合親和性および毛髪に対して高い結合親和性を有することになる。
【0148】
実施例17(予測)
皮膚結合ペプチドベースのスキンコンディショナー
この予測的な実施例の目的は、ペプチドベースのスキンコンディショナーを、身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチドと8−アームポリエチレングリコール(8−アームPEG)とのリンカーとして3−マレイミドプロピオン酸を用いた共役によって調製する方法について記載することである。
【0149】
8−アームPEGの官能性付与
8−アームPEG(Mw 10kDa;ネクター・トランスフォーミング・セラピューティクス(Nektar Transforming Therapeutics)、ハンツビル(Huntsville)、アラバマ州(AL)から入手可能)の溶液を、テトラヒドロフラン(THF)20mLに0.97g(0.78mmol)を溶解させて調製する。溶液を窒素下で十分に撹拌し、3−マレイミドプロピオン酸溶液(7.5mmol;アルドリッチ(Aldrich))2mLを添加する。次いで、N,N’−ジシクロヘキシル−カルボジイミド(DCC)溶液(DMF2mL中1.55g)2mLの添加後、ジメチルアミノピリジン(DMAP)250μLを滴下添加する。混合物を50℃で一晩撹拌する。翌日、混合物を室温まで冷却し、中型のフリット濾過漏斗(ケミグラス社(Chemglass Inc)、バインランド(Vineland)、ニュージャージー州(NJ))を使用して濾過する。濾過物を大量のエーテル/DMF(30:1のv/v)と共沈させる。沈殿物を収集し、水70mLに溶解し、均一の水溶液を形成する。水溶液をエーテルで4回抽出する。最後に、水性部分を凍結乾燥し、乾燥粉末を生成する。
【0150】
官能性付与した8−アームPEG−リンカーと皮膚結合ペプチドとの共役
上記のように調製した、官能性付与した8アーム−PEG−リンカーをTBS緩衝液に懸濁し、(シンペプ(SynPep)から得られた、配列番号27として与えられる)ペプチド配列のC末端に付加されたシステイン残基を有する、等しいモル比の身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチドのスキン−シス−1(Skin−cys−1)(配列番号20)を溶液に添加する。混合物を室温で6時間撹拌する。最終生成物を水/エーテルで抽出して精製し、NMRによって分析する。
【0151】
実施例18(予測)
ペプチドベースの皮膚着色剤の調製
この予測的な実施例の目的は、ペプチドベースの皮膚着色剤を、身体洗浄抵抗性の皮膚結合ペプチドのスキン−シス−1(Skin−cys−1)(配列番号20)とディスパース・オレンジ3(Disperse Orange 3)染料との共有結合によって調製する方法について記載することである。染料をまずイソシアネートで官能性付与し、次いでスキン−シス−1(Skin−cys−1)ペプチドと反応させる。
【0152】
ディスパース・オレンジ3(Disperse Orange 3)の官能性付与
ドライボックス内で、14.25gのディスパース・オレンジ3(Disperse Orange 3)(アルドリッチ(Aldrich))を添加漏斗(addition funnel)内の乾燥THF400mLに懸濁する。磁気撹拌棒を有する2リットルの四つ首反応フラスコ(コーニング社(Corning Inc.)、コーニング(Corning)、ニューヨーク州(NY);部品番号1533−12)を乾燥トルエン200mLで帯電させる。フラスコを、コールドフィンガー・コンデンサー(cold finger condenser)(コーニング社(Corning Inc.)、部品番号1209−04)および添加漏斗を具備する第2のコールドフィンガー・コンデンサーに取り付け、フード内の油槽上に置く。
【0153】
ホスゲン(Phosgene)(25.4mL)を室温で反応フラスコに濃縮させる。ホスゲン添加の完了後、油槽の温度を80℃に上昇させ、ディスパース・オレンジ3(Disperse Orange 3)懸濁液を、反応温度およびスクラバーからのガス放出を監視しながら、反応フラスコに滴下添加し2時間かけて100mL増加させる。添加の間中、温度を64℃もしくはそれ未満で維持する。添加完了後、反応物質を64℃で1時間加熱し、次いで攪拌しながら室温になるまで一晩冷却しておく。
【0154】
反応溶媒を、40℃もしくはそれ未満で含有量を維持しながら乾燥するまで真空蒸留し、さらに1時間真空を維持する。反応フラスコをドライボックスに移す、すなわち生成物を収集して一晩乾燥させる。所望の生成物をプロトンNMRによって確認する。
【0155】
イソシアネートで官能性付与した染料とスキン−シス−1(Skin−cys−1)皮膚結合ペプチドとの共役
上記のように調製したイソシアネートで官能性付与したディスパース・オレンジ3(Disperse Orange 3)[(2−(4−イソシアントフェニル(isocyantophenyl))−1−(4−ニトロフェニル)ジアゼン](16mg)を、DMF5mLに溶解し、DMF10mLに溶解された、シンペプ(SynPep)から得られた、75mgの保護されていないスキン−シス−1(Skin−cys−1)ペプチド(配列番号20)を含有する溶液に添加する。トリエチルアミン(30mg)を添加して反応を触媒する。溶液を室温で24時間撹拌する。溶媒を蒸発させ、暗赤褐色の粉末生成物を生成する。生成物をMALDI質量分析によって分析し、付加体の形成を確認する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)DNA会合ペプチドのコンビナトリアルライブラリーを準備し、
b)(a)のライブラリーを皮膚試料と接触させ、ここで、皮膚がDNA会合ペプチドと複合してDNA会合ペプチド−皮膚複合体を含んでなる反応溶液を形成し、
c)(b)のDNA会合ペプチド−皮膚複合体を反応溶液から単離し、
d)(c)の単離されたDNA会合ペプチド−皮膚複合体をスキンケア組成物マトリックスと接触させて、ペプチド−皮膚複合体−組成物混合物を形成せしめ、ここで、スキンケア組成物マトリックスの濃度が少なくとも約10%のフルストレングス濃度であり、
e)(d)のDNA会合ペプチド−皮膚複合体をペプチド−皮膚複合体−組成物混合物から単離し、
f)(e)のDNA会合ペプチド−皮膚複合体のペプチド部分をコードするDNAを増幅し、
g)スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドをコードする(f)の増幅されたDNAを配列決定し、ここで、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドを同定する、
ことを含んでなるスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドの同定方法。
【請求項2】
ステップ(e)の後、
i)DNA会合ペプチド−皮膚複合体のペプチドを溶出剤と接触させ、それによりDNA会合ペプチドの一部を皮膚から溶出させ、かつDNA会合ペプチドの一部を複合されたままにし、そして
ii)(i)の溶出または複合されたDNA会合ペプチドをステップ(f)および(g)に付す
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ペプチドをコードするDNAを、
a)ポリメラーゼ連鎖反応、および
b)宿主細胞にペプチドをコードするDNAを含んでなるファージを感染させ、かつ宿主細胞を適切な成長培地で成長させること
よりなる群から選択されるプロセスによって増幅する請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(f)の増幅されたDNAによってコードされたペプチドを新しい皮膚試料と接触させ、かつステップ(b)〜(f)を1回もしくはそれ以上の回数繰り返す請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(d)を1回もしくはそれ以上の回数繰り返す請求項1に記載の方法。
【請求項6】
DNA会合ペプチドのコンビナトリアルライブラリーをスキンケア組成物マトリックス中に準備し、そして皮膚試料と接触させて、DNA会合ペプチド−皮膚複合体を含んでなる反応溶液を形成せしめ、ここでスキンケア組成物マトリックスの濃度が少なくとも約10%のフルストレングス濃度である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
DNA会合ペプチドのコンビナトリアルライブラリーをスキンケア組成物マトリックス中に準備し、そして皮膚試料と接触させて、DNA会合ペプチド−皮膚複合体を含んでなる反応溶液を形成せしめ、ここでスキンケア組成物マトリックスの濃度が少なくとも約10%のフルストレングス濃度であり、かつステップ(d)および(e)が場合により削除してもよい請求項1に記載の方法。
【請求項8】
DNA会合ペプチドのコンビナトリアルライブラリーをファージディスプレイ、細菌ディスプレイおよび酵母ディスプレイよりなる群から選択される方法によって創製する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
DNA会合ペプチドのコンビナトリアルライブラリーを、場合により皮膚試料との接触に先立ちまたはそれと同時に非標的と接触させて、非標的に結合するペプチドが除去してもよい請求項1に記載の方法。
【請求項10】
スキンケア組成物マトリックスの濃度が少なくとも約20%のフルストレングス濃度である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
スキンケア組成物マトリックスの濃度が少なくとも約50%のフルストレングス濃度である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
スキンケア組成物マトリックスの濃度が少なくとも約75%のフルストレングス濃度である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
スキンケア組成物マトリックスが希釈されない請求項1に記載の方法。
【請求項14】
溶出剤が、酸、塩基、塩溶液、水、エチレングリコール、ジオキサン、チオシアネート、グアニジンおよび尿素よりなる群から選択される請求項2に記載の方法。
【請求項15】
スキンケア組成物マトリックスがスキンコンディショニング製品である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
スキンケア組成物マトリックスがスキンクレンジング製品である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
a)DNA会合ペプチドのコンビナトリアルライブラリーを準備し、
b)(a)のライブラリーを皮膚試料と接触させ、ここで、皮膚がDNA会合ペプチドと複合してDNA会合ペプチド−皮膚複合体を含んでなる反応溶液を形成し、
c)(b)のDNA会合ペプチド−皮膚複合体を反応溶液から単離し、
d)(c)の単離されたDNA会合ペプチド−皮膚複合体をスキンケア組成物マトリックスと接触させて、ペプチド−皮膚複合体−組成物混合物を形成せしめ、ここで、スキンケア組成物マトリックスの濃度が少なくとも約10%のフルストレングス濃度であり、
e)(d)のDNA会合ペプチド−皮膚複合体をペプチド−皮膚複合体−組成物混合物から単離し、
f)(e)のDNA会合ペプチド−皮膚複合体のペプチド部分をコードするDNAを増幅させ、
g)スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドをコードする(f)の増幅されたDNAを配列決定し、ここで、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドを同定する
ことを含んでなるプロセスによって同定されるスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチド。
【請求項18】
配列番号8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、および27よりなる群から選択されるスキンケア組成物抵抗性の毛髪結合ペプチド。
【請求項19】
一般構造(SCP−BA[式中、
a)SCPはスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドであり、
b)BAは効果剤であり、
c)mは1〜約100の範囲であり、そして
d)nは1〜約50,000の範囲である]
を有するジブロックのペプチドベースの皮膚効果剤。
【請求項20】
一般構造[(SCP−S)−BA[式中、
a)SCPはスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドであり、
b)BAは効果剤であり、
c)Sはスペーサーであり、
d)xは1〜約10であり、
e)mは1〜約100の範囲であり、そして
f)nは1〜約50,000の範囲である]
を有するトリブロックのペプチドベースの皮膚効果剤。
【請求項21】
効果剤がスキンコンディショニング剤である請求項19に記載のジブロックのペプチドベースの効果剤。
【請求項22】
効果剤がスキンコンディショニング剤である請求項20に記載のトリブロックのペプチドベースの効果剤。
【請求項23】
効果剤が着色剤である請求項19に記載のジブロックのペプチドベースの効果剤。
【請求項24】
効果剤が着色剤である請求項20に記載のトリブロックのペプチドベースの効果剤。
【請求項25】
スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドが、
a)DNA会合ペプチドのコンビナトリアルライブラリーを準備し、
b)(a)のライブラリーを皮膚試料と接触させ、ここで、皮膚がDNA会合ペプチドと複合してDNA会合ペプチド−皮膚複合体を含んでなる反応溶液を形成し、
c)(b)のDNA会合ペプチド−皮膚複合体を反応溶液から単離し、
d)(c)の単離されたDNA会合ペプチド−皮膚複合体をスキンケア組成物マトリックスと接触させて、ペプチド−皮膚複合体−組成物混合物を形成せしめ、ここで、スキンケア組成物マトリックスの濃度が少なくとも約10%のフルストレングス濃度であり、
e)(d)のDNA会合ペプチド−皮膚複合体をペプチド−皮膚複合体−組成物混合物から単離し、
f)(e)のDNA会合ペプチド−皮膚複合体のペプチド部分をコードするDNAを増幅し、
g)スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドをコードする(f)の増幅されたDNAを配列決定し、ここで、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドを同定する
ことを含んでなるプロセスによって単離される請求項19〜24のいずれか一項に記載のペプチドベースの効果剤。
【請求項26】
スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドが約7アミノ酸長〜約25アミノ酸長である請求項19〜24のいずれか一項に記載のペプチドベースの効果剤。
【請求項27】
スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドが約12アミノ酸長〜約20アミノ酸長である請求項19〜24のいずれか一項に記載のペプチドベースの効果剤。
【請求項28】
スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドが、
a)N−末端、および
b)C−末端
よりなる群から選択されるペプチドの少なくとも1つの末端上に少なくとも1つのシステイン残基をさらに含んでなる請求項19〜24のいずれか一項に記載のペプチドベースの効果剤。
【請求項29】
スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドが、
a)N−末端、および
b)C−末端
よりなる群から選択されるペプチドの少なくとも1つの末端上に少なくとも1つのリジン残基をさらに含んでなる請求項19〜24のいずれか一項に記載のペプチドベースの効果剤。
【請求項30】
スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドが、配列番号8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25および27よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有する請求項19〜24のいずれか一項に記載のペプチドベースの効果剤。
【請求項31】
スキンコンディショニング剤が、ポリサリチレート、プロピレングリコール、グリセリン、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルカル酸、ガラクタル酸、3−ヒドロキシ吉草酸、サリチル酸、および1,3−プロパンジオールよりなる群から選択される請求項21または22に記載のペプチドベースの効果剤。
【請求項32】
着色剤が、D&Cレッド21号、D&Cレッド27号、D&Cレッドオレンジ5号、D&Cレッド21号、D&Cオレンジ10号、二酸化チタン、酸化亜鉛、D&Cレッド36号、D&Cオレンジ17号、D&Cレッド7号、11号、31号、34号のカルシウムレーキ、D&Cレッド12号のバリウムレーキ、D&Cレッド13号のストロンチウムレーキ、FD&Cイエロー5号のアルミニウムレーキ、FD&Cイエロー6号のアルミニウムレーキ、D&Cレッド27号のアルミニウムレーキ、D&Cレッド21号のアルミニウムレーキ、FD&Cブルー1号のアルミニウムレーキ、酸化鉄、マンガンバイオレット、酸化クロム、ウルトラマリンブルー、カーボンブラック、ジヒドロキシアセトン、および着色されたミクロスフィアよりなる群から選択される請求項23または24に記載のペプチドベースの効果剤。
【請求項33】
着色されたミクロスフィアが、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルトルエン、スチレン/ブタジエン共重合体およびラテックスよりなる群から選択される物質を含んでなり、ミクロスフィアが約10nm〜約2μmの直径を有する請求項32に記載のペプチドベースの効果剤。
【請求項34】
スペーサーが、エタノールアミン、エチレングリコール、6個の炭素原子鎖長を有するポリエチレン、3〜6個の反復単位を有するポリエチレングリコール、フェノキシエタノール、プロパノールアミド、ブチレングリコール、ブチレングリコールアミド、プロピルフェニル、エチルアルキル鎖、プロピルアルキル鎖、ヘキシルアルキル鎖、ステアリルアルキル鎖、セチルアルキル鎖およびパルミトイルアルキル鎖よりなる群から選択される請求項20、22または24のいずれか一項に記載のペプチドベースの効果剤。
【請求項35】
スペーサーが、プロリン、リジン、グリシン、アラニン、セリンおよびこれらの混合物よりなる群から選択されるアミノ酸を含んでなるペプチドである請求項20、22または24のいずれか一項に記載のペプチドベースの効果剤。
【請求項36】
スペーサーが、配列番号1、配列番号5、配列番号6および配列番号7よりなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなるペプチドである請求項20、22または24のいずれか一項に記載のペプチドベースの効果剤。
【請求項37】
請求項19または20に記載のペプチドベースの効果剤の有効量を含んでなるスキンケア製品組成物。
【請求項38】
請求項21または22に記載のペプチドベースの効果剤の有効量を含んでなるスキンコンディショニング製品組成物。
【請求項39】
請求項23または24に記載のペプチドベースの効果剤の有効量を含んでなる皮膚着色製品組成物。
【請求項40】
請求項21または22に記載のペプチドベースの効果剤の有効量を含んでなる皮膚着色製品組成物。
【請求項41】
請求項21または22に記載のペプチドベースの効果剤の有効量を含んでなるスキンクレンジング製品組成物。
【請求項42】
請求項38に記載の組成物を皮膚に適用し、そして、保護層を形成させることを含んでなる皮膚上にペプチドベースのコンディショナーの保護層を形成する方法。
【請求項43】
皮膚を着色させるのに十分な時間、請求項39に記載の組成物を皮膚に適用することを含んでなる皮膚の着色方法。
【請求項44】
a)i)(SCP−C、および
ii)[(SCP−S)−C
[式中、
1)SCPはスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドであり、
2)Cは着色剤であり、
3)nは1〜約50,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約100の範囲であり、そして
6)xは1〜約10の範囲である]
よりなる群から選択される皮膚着色剤を含んでなる皮膚着色組成物を準備し、ここで、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドが、
A)DNA会合ペプチドのコンビナトリアルライブラリーを準備し、
B)(A)のライブラリーを皮膚試料と接触させ、ここで、皮膚がDNA会合ペプチドと複合してDNA会合ペプチド−皮膚複合体を含んでなる反応溶液を形成し、
C)(B)のDNA会合ペプチド−皮膚複合体を反応溶液から単離し、
D)(C)の単離されたDNA会合ペプチド−皮膚複合体をスキンケア組成物マトリックスと接触させて、ペプチド−皮膚複合体−組成物混合物を形成せしめ、ここで、スキンケア組成物マトリックスの濃度が少なくとも約10%のフルストレングス濃度であり、
E)(D)のDNA会合ペプチド−皮膚複合体をペプチド−皮膚複合体−組成物混合物から単離し、
F)(E)のDNA会合ペプチド−皮膚複合体のペプチド部分をコードするDNAを増幅し、
G)スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドをコードする(F)の増幅されたDNAを配列決定し、ここで、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドを同定する
ことを含んでなる方法によって選択され、そして
b)(a)の皮膚着色組成物を皮膚に、皮膚着色剤が皮膚に結合するのに十分な時間適用する
ことを含んでなる皮膚の着色方法。
【請求項45】
a)i)(SCP−SCA、および
ii)[(SCP−S)−SCA
[式中、
1)SCPはスキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドであり、
2)SCAはスキンコンディショニング剤であり、
3)nは1〜約50,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約100の範囲であり、そして
6)xは1〜約10の範囲である]
よりなる群から選択されるスキンコンディショナーを含んでなるスキンケア組成物を準備し、ここで、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドが、
A)DNA会合ペプチドのコンビナトリアルライブラリーを準備し、
B)(A)のライブラリーを皮膚試料と接触させ、ここで、皮膚がDNA会合ペプチドと複合してDNA会合ペプチド−皮膚複合体を含んでなる反応溶液を形成し、
C)(B)のDNA会合ペプチド−皮膚複合体を反応溶液から単離し、
D)(C)の単離されたDNA会合ペプチド−皮膚複合体をスキンケア組成物マトリックスと接触させて、ペプチド−皮膚複合体−組成物混合物を形成せしめ、ここで、スキンケア組成物マトリックスの濃度が少なくとも約10%のフルストレングス濃度であり、
E)(D)のDNA会合ペプチド−皮膚複合体をペプチド−皮膚複合体−組成物混合物から単離し、
F)(E)のDNA会合ペプチド−皮膚複合体のペプチド部分をコードするDNAを増幅し、
G)スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドをコードする(F)の増幅されたDNAを配列決定し、ここで、スキンケア組成物抵抗性の皮膚結合ペプチドを同定する
ことを含んでなる方法によって選択し、そして
b)(a)のスキンケア組成物を皮膚に適用し、保護層を形成させる
ことを含んでなる皮膚上のペプチドベースのコンディショナーの保護層の形成方法。

【公表番号】特表2008−537479(P2008−537479A)
【公表日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558195(P2007−558195)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/007362
【国際公開番号】WO2006/094093
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】