説明

スキンケア組成物

本発明は、増粘剤を含む連続水相中に分散された少なくとも2つの油相を含むスキンケア組成物に関し、前記油相のうちの第1の油相は他の油相とは異なる組成を有し、前記組成物は乳化剤を1.0%を超えずに含有する。本発明はまた、第1の油相を増粘剤を含む連続水相中に分散することと、第2の油相を前記連続水相中に分散することとを含む、スキンケア組成物の調製方法に関し、前記第1の油相の組成は前記第2の油相の組成とは異なり、前記組成物は、乳化剤を1.0%を超えずに含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンケア組成物、その調製方法、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者にとって現在利用可能な多くのスキンケア製品は主として、皮膚及び/又は毛髪の、健康及び/又は物理的外観を改善することに向けられている。このような利益を提供するために、スキンケア製品は、通常は不快な油性の又は粘着性の感触を伴う、皮膚軟化剤及び油溶性皮膚活性物質などの種々の油性化合物を含有する。
【0003】
消費者の多くは、べたつく、油性の、又は脂っぽい感触の組成物を好まず、滑らかに広がり、爽やかな使用感を与えるとともに、後から滑らかなすべすべした感触が得られる組成物を好む。したがって、皮膚の状態を調整することのできる特定の皮膚活性物質及び化合物の送達はもちろん重要であるが、適用前及び適用後の両方におけるこうした感覚的観点での消費者からの受け入れ易さもまた重要である。
【0004】
低粘度の環状シリコーン油のような揮発性油は、それらが皮膚に適用された後素早く蒸発することに起因する、皮膚との接触時の心地よい感触のようなそれらの良好な化粧品的特性のために、化粧品組成物中で一般的に使用される。しかし、スキンケア組成物は種々の不揮発性油及び油溶性成分を含有するため、最終製品中の揮発性油の揮発性は減少し、揮発性油は皮膚との接触時に爽やかで冷涼な感覚を与えるのに十分なだけ素早く蒸発しない。例えば、不揮発性シリコーンは、それらの心地よい皮膚感覚品質だけではなく、皮膚からの水分の蒸発を防ぐことのできる皮膚上でのそれらの安定な油膜形成のために、スキンケア製品中で広く使用される。しかし、不揮発性シリコーンの濃度が増加すると、油相の揮発性は減少し、製品は爽やかな使用感を提供することができない。
【0005】
一方で、最も効果的であるためには、幾つかの製品は、規則正しく及び長期間に渡って適用されなければならない。頻繁な使用を奨励するためには、製品が心地よい外観を有することが重要である。例えば、半透明の外観は、消費者に純粋で明るいイメージを送達するとともになお豊かなイメージも提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のことから、特に滑らかな広がり及び爽やかな使用感覚及び適用後の滑らかなすべすべした感触に関して、感覚的かつ審美的利益を提供することができ、任意で半透明である、スキンケア組成物を処方する必要性が依然として存在する。既存の技術分野には、本発明の利点及び効果の全てを提供するものはない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、増粘剤を含む連続水相中に分散された少なくとも2つの油相を含むスキンケア組成物に関し、油相のうちの1つの油相は他の油相とは異なる組成を有し、前記組成物は1.0%以下の乳化剤を含有する。
【0008】
本発明はまた、増粘剤を含む連続水相中に分散された少なくとも2つの油相を含むスキンケア組成物に関し、油相のうちの1つの油相は他の油相とは異なる組成を有し、組成物は乳化剤を含まない。
【0009】
本発明はまた、増粘剤を含む連続水相中に第1の油相を分散する工程と、連続水相中に第2の油相を分散する工程とを含む、スキンケア組成物の調製方法に関し、第1の油相の組成は第2の油相の組成とは異なり、組成物は、1.0%以下の乳化剤を含有する。
【0010】
本開示を読むことで、本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点が、当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書は、本発明を具体的に示しかつ明確に主張する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は以下の説明によってより深く理解されると考えられる。
【0012】
別段の指定がない限り、本明細書において使用する全ての百分率及び比率は、組成物全体の重量によるものであり、また、全ての測定は25℃でなされるものとする。
【0013】
本明細書で使用するとき、「スキンケア製品」は、皮膚を処置若しくは手入れするため、又は何らかの形で保湿、改善、若しくは清浄するために使用されるものである。「スキンケア製品」という語によって意図される製品には、保湿剤、パーソナルクレンジング製品、閉塞性薬剤送達貼付剤、マニキュア液、粉末類、拭き取り用品、ヘアコンディショナー、皮膚トリートメントエマルション、シェービングクリーム等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
本明細書で使用されるとき、用語「周囲条件」は特に指示がない限り、約0.1MPa(1気圧)の圧力、約50%の相対湿度及び約25℃のもとでの周囲の条件を指す。
【0015】
本発明の組成物は、本発明の構成成分並びに本明細書で記載されるその他の成分を包含することができ、それらから本質的に成ることができ、又はそれらから成ることができる。本明細書で使用するとき、「から本質的に成る」とは、組成物又は構成成分が追加成分を包含してもよいが、それら追加成分が特許請求される組成物又は方法の基本的及び新規な特徴を実質的に変化させない場合に限ることを意味する。
【0016】
全ての百分率、割合及び比率は、特に指定のない限り、本発明のスキンケア組成物の総重量に基づく。記載した成分に関するこのような全ての重量は、活性物質の濃度に基づいており、したがって、特に指定しない限り、市販材料に包含される場合のあるキャリア又は副産物を包含しない。
【0017】
本明細書で引用する全ての刊行物は、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「ケラチン組織」とは、哺乳(例えば、ヒト、イヌ、ネコなど)の最外保護外皮として配置されるケラチン含有層を指し、皮膚、唇、毛髪、足の爪、指の爪、角皮、ひづめなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「油溶性」は、無機/有機バランスを計算したときに、有機部分が無機部分と等しいか又は有機部分が無機部分よりも大きいことを意味する。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「安全かつ有効な量」とは、本明細書で開示する個々の利益又はその利益の組み合わせを包含する、肯定的利益、好ましくはケラチン組織の外観又は感触の肯定的利益、又は毛髪の外観又は感触の肯定的利益を顕著に生じさせるのに十分であるが、重篤な副作用を避けるのに十分なだけ少ない化合物又は組成物の量、即ち、当業者の健全な判断の範囲内での妥当な利益対危険比を提供する量を意味する。
【0021】
本明細書において、「皮膚の状態を調整する」とは、例えば、より滑らかでより均一な外観及び/又は感触といった利益を提供することにより皮膚の外観及び/又は感触を改善することを意味する。ここで、「皮膚の状態を改善する」とは、視覚的に及び/又は触覚的に認知可能な好ましい変化を皮膚の外見及び感触において達成することを意味する。利益は長続きするものであり得、次の1つ以上を挙げてもよい。しわ及び粗く深い線、細かい線、割れ目、瘤、及び大きい毛穴の外見を減少させること、ケラチン組織を肥厚させること(例えば、皮膚、毛髪、又は爪萎縮を低減する、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下層並びに必要に応じて爪及び毛幹のケラチン層の構築)、真皮−表皮の境界の回旋(乳頭間隆起としても既知)を増加させること、例えば、機能的皮膚エラスチンの損失、損傷、及び/又は不活性化に起因する、弾力線維症、弛み、皮膚又は毛髪の変形からの反跳の損失のような状態をもたらす皮膚又は毛髪弾性の損失を防止すること、セルライトを減少させること、皮膚、毛髪、又は爪の着色、例えば目の下の周り、斑点(例えば、酒さに起因するむらのある赤色着色)、黄ばみ、毛色素沈着により引き起こされる変色等を変化させること。
【0022】
本明細書で使用するとき、「不揮発性」という用語は、25℃で、0.1Mpa(1気圧)で約26.7Pa(0.2mm Hg)以下の蒸気圧を示す物質、及び/又は、0.1Mpa(1気圧)で少なくとも約300℃の沸点を有する物質を意味する。本明細書で使用するとき、「揮発性」は本明細書の定義による「不揮発性」ではない全ての物質をいう。
【0023】
用語「分散された」とは、本明細書で使用するとき、油相が連続水相中に分散され及び懸濁された組成物を意味し、エマルション及び非エマルションを包含する。
【0024】
本発明の組成物は、スキンケア、化粧品、及びヘアケア製品に使用することができ、その非限定的な用途としては、保湿剤、コンディショナー、抗加齢調合品、美白調合品、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0025】
本発明の組成物は、安定性、重大な(使用者の許容不可能な)皮膚の炎症がないこと、及び良好な審美性を包含する、追加の利益を提供する。
【0026】
本明細書の組成物はまた、多種多様なその他の成分を包含してもよい。本発明の組成物は以下に詳細に記載される。
【0027】
油相
本発明の組成物は、連続水相中に分散された少なくとも2つの油相を含む。組成物は、約2%〜約40%、好ましくは約3%〜約25%の油相を含む。
【0028】
第1の油相は他の油相とは異なる組成を有する。第1の油相は好ましくは、揮発性油を含む、好ましくは油相の少なくとも80重量%の揮発性油を含む、揮発性の油相である。第1の油相は、約0.3cps(0.0003Pa.s)〜約100cps(0.1Pa.s)、好ましくは約0.4cps(0.0004Pa.s)〜約10cps(0.01Pa.s)、より好ましくは約0.5cps(0.0005Pa.s)〜約6cps(0.006Pa.s)の粘度を有していてもよい。組成物は、約1%〜約30%、好ましくは約2%〜約20%の第1の油相を含む。
【0029】
少なくとも2つの油相の存在は、小さな油滴に焦点を合わせてIRスペクトルを与えることのできる顕微鏡赤外線スペクトル技術を包含する、種々の組成分析法を用いて確認できる。異なる油組成を有する各油相は、異なるIRスペクトルパターンにより確認できる。組成物によってはまた、少なくとも2つの油相の存在を確認するために、染色法を用いてもよい。
【0030】
油相は、水相に不混和性であると解され、天然及び合成油のような、油性化合物、並びに、水相に対する溶解度が制限され、油溶性成分、油溶性日焼け止め剤、及び他の油溶性スキンケア活性物質を包含するがこれらに限定されない、他の疎水性物質を包含してもよい。脂質類及び油類は、動物類、植物類、又は石油から誘導されてもよく、及び天然又は合成であってもよい。
【0031】
好適な油化合物としては、炭化水素油類及びろう類、シリコーン油類、脂肪族アルコール及び脂肪酸誘導体類、コレステロール、コレステロール誘導体類、ジグリセリド類、トリグリセリド類、植物油類、植物油誘導体類、アセトグリセリドエステル類、アルキルエステル類、アルケニルエステル類、ラノリン、ろうエステル類、これらの塩、異性体類、及び誘導体類、並びにそれらの組み合わせを包含するがこれらに限定されない、揮発性油及び不揮発性油の両方が挙げられる。
【0032】
本明細書で使用するのに好適な不揮発性の炭化水素油類及びろう類の非限定例としては、ペトロラタム、鉱油、微晶性ろう類、ポリアルケン類、パラフィン類、ケラシン、オゾケライト、ポリエチレン、ペルヒドロスクアレン、ポリαオレフィン類、水素添加ポリイソブテン類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
本明細書で使用するのに好適な不揮発性シリコーン油の非限定例としては、ジメチコンコポリオール、シリコーンクロスポリマー類、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、混合C1〜30アルキルポリシロキサン類、フェニルジメチコン、ジメチコノール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書で使用するのに好適なシリコーンクロスポリマー類の非限定的な例としては、アクリレート/ビス−ヒドロキシプロピルジメチコンクロスポリマー、C30〜45アルキルセテアリルジメチコンクロスポリマー、アクリレート/ビス−ヒドロキシプロピルジメチコンクロスポリマー、C30〜45アルキルセテアリルジメチコンクロスポリマー、セテアリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ジメチコンクロスポリマー、ジメチコンクロスポリマー−3、ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマー、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ジフェニルジメチコンクロスポリマー、ジビニルジメチコン/ジメチコンクロスポリマー、トリフルオロプロピルジメチコン/トリフルオロプロピルジビニルジメチコンクロスポリマー、ビニルジメチコン/ラウリルジメチコンクロスポリマー、ビニルジメチル/トリメチルシロキシシリケートステアリルジメチコンクロスポリマー、ポリシリコーン−11、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0034】
本発明で有用な揮発性油類は、揮発性シリコーン油類、揮発性炭化水素類、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。揮発性油類は、例えば、バルサム(Balsam)及びサガリン(Sagarin)編「化粧品、科学、及び技術(Cosmetics,Science,and Technology)」第1巻、27〜104頁(1972年)に開示されている。本発明に有用な揮発性油類は、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよく、脂肪族の特徴を有していてもよく、直鎖若しくは分枝鎖であってもよく、又は脂環式若しくは芳香族の環を含有してもよい。好ましい揮発性の炭化水素類の例としては、イソドデカン及びイソデカン(例えば、プレスパース社(Presperse Inc.)から入手可能なペルメチル(Permethyl)−99A)などのポリデカン類、及びC7〜C8からC12〜C15までのイソパラフィン類(例えば、エクソン・ケミカルズ社(ExxonChemicals)から入手可能なアイソパー(Isopar)シリーズ)が挙げられる。揮発性の液体シリコーン油類は、米国特許第4,781,917号(ルーベ(Luebbe)ら、1988年11月1日発行)に開示されており、その全体を参照により本明細書に組み込む。更に、様々な揮発性シリコーン物質類の記述は、トッド(Todd)ら著、「化粧品用揮発性シリコーン流体(Volatile Silicone Fluids forCosmetics)」化粧品及びトイレタリー(Cosmetics and Toiletries)91号、27〜32頁(1976年)に見られ、その全体を本明細書に参照により組み込む。直鎖状揮発性シリコーン類は、一般に、25℃で約5E−6m2/s(5センチストークス)未満の粘度を有するが、環状シリコーン類は25℃で約1E−5m2/s(10センチストークス)未満の粘度を有する。特に好ましい揮発性シリコーン油は、以下からなる群から選択される。次式に相当する環式揮発性シリコーン類:
【0035】
【化1】

式中、nは約3〜約7である;次式に相当する直鎖状揮発性シリコーン類:
(CH33Si−−O−−[Si(CH32−−O]m−−Si(CH33
式中、mは約1〜約7である;及び分枝状揮発性シリコーン類。揮発性シリコーン油の非常に好ましい例としては、様々な粘度のシクロメチコン類、例えば、ダウ・コーニング(Dow Corning)200、ダウ・コーニング244、ダウ・コーニング245、ダウ・コーニング344、及びダウ・コーニング345(全てダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)より);SF−1204及びSF−1202シリコーン流体(全てG.E.シリコーンズ社(G.E.Silicones)より)、GE 7207及び7158(全てゼネラル・エレクトリック社(General Electric Co.)より);SWS−03314(全てSWSシリコーンズ社(SWS Silicones Corp.)より);並びにKF−995(信越化学(Shin-Etsu Chemical)より)が挙げられる。直鎖状揮発性シリコーン油類の好ましい例としては、KF−96A−1cs、KF−96L−1.5cs、KF−96L−2cs、KF96A−5cs(全て信越化学(Shin-Etsu Chemical)より)が挙げられる。分枝状揮発性シリコーン油類の好ましい例としては、TMF−1.5(信越化学(Shin-Etsu Chemical)より)が挙げられる。
【0036】
水相
本発明の組成物は、水性キャリア及び増粘剤を含む連続水相を含む。水相は更に、油相に対する溶解度が制限され、水溶性成分、水溶性日焼け止め剤、及び他の水溶性スキンケア活性物質を包含するがこれらに限定されない、他の親水性物質を含んでもよい。
【0037】
組成物は、約60%〜約98%、好ましくは約65%〜約97%の水相を含む。
【0038】
水性キャリア
本発明の水相は連続相を提供するために水性キャリアを含む。このキャリアの濃度と種は、他の構成成分との適合性、及び当該製品の他の所望の特性に応じて選択される。
【0039】
本発明において有用なキャリアとしては、水、及び低級アルキルアルコールの水溶液が挙げられる。本明細書において有用な低級アルキルアルコールは、1〜6個の炭素を有する一価アルコール、より好ましくはエタノールである。好ましくは、水性キャリアは実質的に水である。脱イオン水が好ましくは使用される。ミネラルカチオンを包含する天然供給源からの水もまた、製品の所望の特性に応じて使用することができる。
【0040】
本組成物のpHは、好ましくは約4〜約8である。皮膚処理剤を水相中に包含させる場合には、そのpHを、活性な皮膚処理剤の最適な有効性をもたらすpHに調整してもよい。望ましいpHを達成するために、緩衝剤及び他のpH調整剤を包含させることができる。本明細書における好適なpH調整剤としては、アセタート類、ホスフェート類、シトレート類、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン類、アミノメチルプロパノール、及びカーボネート類が挙げられる。
【0041】
増粘剤
本発明の水相は、約0.1%〜約2%、好ましくは約0.3%〜約1.5%の、増粘剤(thickeners)、ゲル化剤、及び構造剤を包含する増粘化剤(thickening agents)を含む。この増粘剤の濃度と種は、他の構成成分との適合性及び当該製品の他の所望の特性に応じて選択される。
【0042】
増粘剤の非限定的な部類としては、架橋ポリアクリレートポリマー類及びコポリマー類、疎水変性ポリアクリレートポリマー類及びコポリマー類、ポリアクリルアミドポリマー類及びコポリマー類、ポリアクリロイルジメチルタウレート類、アミノメチルプロパノール(AMP)−系ポリマー類及びコポリマー類、多糖類及びガム類が挙げられる。本明細書で有用なものは、カルボン酸/カルボキシレートコポリマー類である。本明細書で有用なカルボン酸/カルボキシレートコポリマーの非限定例としては、商標名ペムレン(Pemulen)TR−1、ペムレンTR−2、カーボポールウルトレツ(Carbopol Ultrez)10、カーボポールウルトレツ20、カーボポールウルトレツ21、カーボポール(Carbopol)1342、カーボポール1382、及びカーボポールETD 2020(全てノベオン(Noveon)より)を有するCTFA名称アクリレーツ/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーが挙げられる。本明細書で極めて有用な追加の市販の水溶性ポリマー類として、以下のものが挙げられる:ケルコ(Kelco)から入手可能な商標名ケルトロール(KELTROL)シリーズのキサンタンガム;商標名カーボポール(CARBOPOL)934、カーボポール940、カーボポール950、カーボポール980、及びカーボポール981のカルボマー類(全てノベオン(Noveon)より);商標名アクリソル(ACRYSOL)22のアクリレート類/ステアレス−20メタクリレートコポリマー(ローム・アンド・ハース(Rohm and Hass)より);商標名セピゲル(SEPIGEL)305のポリアクリルアミド(セピック(Seppic)より);商標名ルブラゲル(LUBRAGEL)NPのグリセリルポリメタクリレート、及び商標名ルブラゲルオイル(LUBRAGEL OIL)のグリセリルポリメタクリレートとプロピレングリコールとPVM/MAコポリマーとの混合物(全てISPより);商標名クリアロゲル(Clearogel)SC11のスクレログルカン(ミッシェル・メルシェ・プロダクツ社(Michel Mercier Products Inc.)より);商標名カルボワックス(CARBOWAX)PEG、ポリオックス(POLYOX)WASR及びユーコン・フルイッズ(UCON FLUIDS)のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド系ポリマー類(全てアマコール(Amerchol)より)。
【0043】
増粘剤の別の部類としては、構造剤が挙げられる。構造剤の非限定例としては、少なくとも約40℃の融点を有する、飽和C12〜C30脂肪族アルコール類、約1〜約5モルのエチレンオキシドを含有する飽和C12〜C30脂肪族アルコール類、飽和C12〜C30モノグリセロールエーテル類、飽和C12〜C30モノグリセロールエステル類、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明の好ましい構造剤は、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコールからなる群から選択される。
【0044】
乳化剤
本発明の組成物は、油相類を水相内に分散及び懸濁するのに有用な、乳化剤を含有してもよい。本発明の組成物が乳化剤を含有する場合、乳化剤を1%を超えずに、好ましくは0.5%を超えずに、より好ましくは0.2%を超えずに含有する。
【0045】
種々多様な乳化剤を本明細書で使用できる。
【0046】
一実施形態において、その非限定的な例には、糖エステル類及びポリエステル類、アルコキシル化糖エステル類及びポリエステル類、C1〜C30脂肪族アルコール類のC1〜C30脂肪酸エステル類、C1〜C30脂肪族アルコール類のC1〜C30脂肪酸エステル類のアルコキシル化誘導体、C1〜C30脂肪族アルコール類のアルコキシル化エーテル類、C1〜C30脂肪酸類のポリグリセリルエステル類、ポリオール類のC1〜C30エステル類、ポリオール類のC1〜C30エーテル類、アルキルホスフェート類、ポリオキシアルキレン脂肪族エーテルホスフェート類、脂肪酸アミド類、アシルラクチレート類、石鹸類、及びこれらの混合物などの非イオン性及び陰イオン性乳化剤が挙げられる。
【0047】
本明細書中で使用するための他の乳化剤の非限定的な例としては以下が挙げられる:ポリエチレングリコール20ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ステアレス−20、セテアレス−20、PPG−2メチルグルコースエーテルジステアレート、セテス−10、ポリソルベート80、セチルホスフェート、カリウムセチルホスフェート、ジエタノールアミンセチルホスフェート、ポリソルベート60、グリセリルステアレート、PEG−100ステアレート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリオレエート(ポリソルベート85)、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン4ラウリルエーテルナトリウムステアレート、ポリグリセリル−4イソステアレート、ラウリン酸ヘキシル、PPG−2メチルグルコースエーテルジステアレート、セテス−10、ジエタノールアミンセチルホスフェート、グリセリルステアレート、PEG40硬化ヒマシ油、PEG−60硬化ヒマシ油、グリセレス−25PCAイソステアレート、及びこれらの混合物。
【0048】
別の実施形態において、乳化剤は、ジメチコンコポリオール類などの有機的に修飾されたオルガノポリシロキサン類(シリコーン界面活性剤類)を包含するシリコーン乳化剤である。
【0049】
スキンケア活性物質類
本発明の組成物は、好ましくは少なくとも1つのスキンケア活性物質類を包含してもよい。理論に束縛されるものではないが、本発明の組成物は種々の活性物質を配合することで汎用性を与えると考えられる。
【0050】
しかしながら、本発明のいかなる実施形態においても、本明細書で有用な活性物質類は、それらが提供する効果又は前提とされるそれらの作用機序によって分類することができる。ただし、本明細書で有用な活性物質類は、場合によっては、2つ以上の効果をもたらすことができるか、又は2つ以上の作用機序を介して機能できると解されるべきである。したがって、本明細書の分類は、便宜上実施されるものであって、活性物質を、列挙した特定の用途(単数又は複数)に制限することを意図しない。
【0051】
ビタミンB3化合物
ナイアシンアミドのようなビタミンB3化合物は、本明細書で使用するために好ましいスキンケア活性物質である。本発明は、好ましくは約0.1%〜約20%、より好ましくは約0.5%〜約10%、更に好ましくは約2%〜約5%のビタミンB3化合物を包含する。
【0052】
本明細書で使用するとき、「ビタミンB3化合物」は、次式を有する化合物を意味する。
【0053】
【化2】

式中、Rは−CONH2(即ち、ナイアシンアミド)、−CH2OH(即ち、ニコチニルアルコール)、これらの誘導体、及び上記いずれかの塩である。前述のビタミンB3化合物の代表的な誘導体類には、非血管拡張性のニコチン酸のエステル類(例えば、トコフェリルニコチネート)、ニコチニルアミノ酸類、カルボン酸類のニコチニルアルコールエステル類、ニコチン酸−N−オキシド、及びナイアシンアミド−N−オキシドを包含するニコチン酸エステル類が挙げられる。
【0054】
美白剤類
本組成物は美白剤類を含有してもよい。本明細書において有用な美白剤とは、皮膚の外観を改変するだけではなく、処置前と比較して、異常な色素沈着を更に改善する活性成分をいう。本明細書で有用な美白剤類としては、アスコルビン酸化合物、ビタミンB3化合物類、アゼライン酸、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸とその誘導体類、ヒドロキノイン(hydroquinoine)、コウジ酸、アルブチン、クワ抽出物、ウンデシレノイルフェニルアラニン、及びこれらの混合物が挙げられる。美白剤類の混合使用はそれらが異なった機構による美白効果を提供し得る点で有利であるとも考えられる。
【0055】
使用する場合、組成物は好ましくは、組成物の約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の美白剤を含有する。
【0056】
アスコルビン酸化合物類は美白剤類に有用であり、次式(I)を有する。
【0057】
【化3】

式中、V及びWは独立して−OHであり、R1は−CH(OH)−CH2OH及びこれらの塩である。
【0058】
好ましくは、本明細書で有用なアスコルビン酸化合物は、アスコルビン酸塩又はこれらの誘導体であり、これには例えば、当該技術分野において周知の方法で調製したナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アンモニウム、及びプロタミン塩などの、当業者に公知の無毒性アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びアンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
フラボノイド
本発明の組成物はフラボノイド化合物を含有してもよい。フラボノイドは米国特許第5,686,082号及び同第5,686,367号に広く開示され、それら両方を参照により本明細書に組み入れる。
【0060】
置換フラバノン類、置換フラボン類、置換カルコン類、置換イソフラボン類、及びこれらの混合物は、本明細書に用いるのに好ましい。これらのフラボノイド類の幾つかの例は、グルコシルヘスペリジン、グルコシルルチン、グルコシルミリシトリン、グルコシルイソクエルシトリン、グルコシルクエルシトリン、メチルヘスペリジン、及びそれらの混合物から成る群から選択される。
【0061】
使用する場合、組成物は好ましくは、組成物の約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約5重量%のフラボノイド化合物を含有する。
【0062】
ペプチド
ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタペプチド類、並びにそれらの誘導体類を包含するがこれらに限定されないペプチド類は、安全かつ有効な量で本発明の組成物に包含されてもよい。本明細書で使用するとき、「ペプチド類」という用語は、天然由来のペプチド類及び合成ペプチド類の両方を意味する。ペプチド類を含有する天然由来の組成物及び市販の組成物も本発明で有用である。
【0063】
ペプチド類は、本組成物に包含される場合、好ましくは組成物の約1×10-6重量%〜約10重量%、より好ましくは約1×10-6重量%〜約0.1重量%、更により好ましくは約1×10-5重量%〜約0.01重量%の量で包含される。
【0064】
糖アミン類
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の、アミノ糖としても知られる糖アミンを包含してもよい。本明細書で使用するとき、「糖アミン」とは、6炭素の糖のアミン誘導体のことをいう。好ましくは、当該組成物は、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、より好ましくは約1重量%〜約10重量%、更により好ましくは約2重量%〜約5重量%の糖アミンを含有する。本明細書において有用な糖アミン類の例としてはグルコサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノサミン、N−アセチルマンノサミン、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミンが挙げられる。本明細書の使用に好ましいのはグルコサミンである。加えて、2つ以上の糖アミンの組み合わせを使用してもよい。
【0065】
日焼け止め剤類
本発明の組成物は、1つ以上の日焼け止め活性物質類(日焼け止め剤)及び/又は紫外線吸収剤類を含んでよい。本明細書において、「日焼け止め活性物質」とは、日焼け止め剤類と物理的日焼け防止剤類との両方を包含する。日焼け止め活性物質類及び紫外線吸収剤類は有機又は無機であってもよい。好適な日焼け止め用活性物質類及び紫外線吸収剤類の例は、国際化粧品成分辞典(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)(米国化粧品工業会(The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association)、第10版、T.E.ゴットシャルク(Gottschalck, T.E.)、マクイウーエン Jr.(McEwen, Jr.)編、2004年、2267頁及び2292〜93頁)に開示され、更にテレフタリリデンジカンファースルホン酸(メキソリル(Mexoryl)(商標)SX)が挙げられる。
【0066】
粒子状物質
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の、粒子状物質、好ましくは金属酸化物を含有してもよい。これらの微粒子類はコーティングされていることもされていないことも可能であり、荷電されていることもされていないことも可能である。荷電された粒子状物質類は、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第5,997,887号(ハー(Ha)ら)に開示されている。本明細書で有用な粒子状物質としては、酸化鉄、雲母、TiO2でコーティングされた雲母、シリカ、ポリメチルシルセスキオキサン(Polymethylsilesquioxane)、ナイロン、ポリエチレン、タルク、スチレン、ポリプロピレン、エチレン/アクリル酸コポリマー、二酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム、シリコーン樹脂、炭酸カルシウム、酢酸セルロース、ポリメチルメタクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0067】
好適な粒子状物質の幾つかの例は、BASFからZコート(Z-Cote)HP1として入手可能な酸化亜鉛、コボ・プロダクツ(Kobo Products Inc.)からコボ(Kobo)GLW75CAP−MPとして入手可能なTiO2、イクイスター・ケミカルズ(Equistar Chemicals)からマイクロセン(Microthene)FN510−00として入手可能なポリエチレン、GE東芝(GE Toshiba)からトスパール(Tospearl)145A、トスパール2000、又はトスパールCF600として入手可能なポリメチルシルセスキオキサン(Polymethylsilesquioxane)である。好ましくは、粒子状物質類は組成物中に、組成物の約0.01重量%〜約4重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約2重量%の濃度で存在する。
【0068】
追加構成成分類
本発明の組成物は、保湿剤、皮膚軟化剤、剥離剤、非ビタミン酸化防止剤及びラジカルスカベンジャー、育毛調節剤、鉱物、防腐剤、フィトステロール及び/又は植物ホルモン、蛋白質分解酵素抑制剤、チロシナーゼ阻害物質、抗炎症剤、並びにN−アシルアミノ酸化合物を更に含んでよい。
【0069】
好適な保湿剤としては、ポリアルキレングリコール類及びそれらの誘導体のような多価アルコール類が挙げられるが、それらに限定されない。プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、へキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシ化グリセリン、プロポキシル化グリセリン、及びそれらの混合物が代表的である。
【0070】
好適な皮膚軟化剤類としては、炭化水素類、脂肪酸類、脂肪族アルコール類、及びエステル類が挙げられるが、それらに限定されない。
【0071】
好適な剥離剤としては、C2〜C30α−ヒドロキシカルボン酸類、β−ヒドロキシカルボン酸類、及びこれらの酸類の塩類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
好適な非ビタミン酸化防止剤類及びラジカルスカベンジャー類としては、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、L−エルゴチオネイン(チオタン(THIOTANE)(商標)として入手可能)、テトラヒドロクルクミン、セチルピリジニウムクロリド、カルノシン、ジエチルヘキシルシリニリデンマロネート(オキシネックス(OXYNEX)(商標)として入手可能)、ヘキサデック−8−エン−1,16−ジカルボン酸(オクタデセン二酸;ユニケマ(Uniqema)からのアルラトン(ARLATONE)(商標)ジオイック(Dioic)DCA)、ユビキノン(コエンザイムQ10)、緑茶抽出物を包含する茶抽出物、酵母抽出物又は酵母培養液(例えば、サッカロミコプシス発酵素ろ液)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
好適な育毛調節剤類には、ヘキサミジン化合物、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ヘキサンジオール、パンテノール及びパントテン酸誘導体類、それらの異性体類、塩及び誘導体類、並びにそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0074】
好適なミネラル類には、亜鉛、マンガン、マグネシウム、銅、鉄、セレン、及びその他のミネラル補助食品が挙げられる。「ミネラル」は、種々の酸化状態のミネラル類、無機複合体類、塩類、誘導体類、及びこれらの組み合わせを包含すると解釈される。
【0075】
植物ステロール類(フィトステロール)及び/又は植物ホルモン類の好適な例には、シトステロール、スティグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール、キネチン、ゼアチン、及びこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0076】
好適な蛋白質分解酵素抑制剤類には、ヘキサミジン化合物類、バニリンアセテート、メンチルアントラニレート、大豆トリプシン阻害物質、ボーマン−バーク・インヒビター(Bowman-Birk inhibitor)、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0077】
好適なチロシナーゼ阻害剤類としては、シナブランカ(カラシナ種子抽出物)、テトラヒドロクルクミン、塩化セチルピリジニウム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
好適な抗炎症剤には、グリシルリチン酸(グリシルリチン、グリシルリキシン酸(glycyrrhixinic acid)、及びグリシルレチン酸グルコシドとしても既知)、グリシルレテン酸(glycyrrhetenic acid)、その他のカンゾウ抽出物、並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0079】
好適なN−アシルアミノ酸化合物としては、N−アシルフェニルアラニン、N−アシルチロシン、それらのD及びL異性体を包含するそれらの異性体、塩、誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。好適なN−アシルアミノ酸の例は、商標名セピホワイト(SEPIWHITE)(登録商標)としてセピック社(Seppic)(フランス)から市販されているN−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンである。
【0080】
他の有用なスキンケア活性物質としては、シラブ(Silab)からアクアフィリン(Aquaphyline)として入手可能な加水分解されたビオラトライカラー抽出物(Viola Tricolor Extract);デグッサ(Degussa)からテゴナチュラルベタイン(Tego Natural Betaine)として入手可能なベタイン;グリセロール、ペトロラタム、カフェイン、及び尿素;酵母抽出物(例えば、サッカロミコプシス発酵素ろ液);デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、その類似体及び誘導体のような、潤いを与える剤及び/又はコンディショニング剤;α−及びβ−ヒドロキシ酸類、α−ケト酸類、グリコール酸及びオクタノイルサリチラートを包含する剥離剤;抗菌剤;ピロクトンオラミン、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(トリクロサン)、トリクロカルバン、及びジンクピリチオンなどの抗ふけ剤;ジメチルアミノエタノール(DMAE);クレアチン;コウジ酸、クワ抽出物、ヒドロキノン、アルブチン、及びデオキシアルブチンなどの美白剤;ジヒドロキシアセトン(DHA)などの(日光不要の(sunless))日焼け剤;上記のいずれかの異性体、塩、及び誘導体;並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0081】
使用のための製品
好ましい一実施形態では、本発明の組成物は、1.0%以下の乳化剤、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.2%以下を含有する。
【0082】
別の好ましい実施形態では、組成物は乳化剤を含まない。
【0083】
別の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、約40Pa〜約1000Pa、好ましくは100Pa〜500Paの範囲の降伏応力を有する。40Pa未満の降伏応力を有する組成物は、経時に渡り油相を安定に懸濁する製品を与えない場合がある。
【0084】
別の好ましい実施形態では、本発明の組成物中の油相のうちの1つは揮発性であり、好ましくは揮発性シリコーン油類(silicon oils)及び揮発性炭化水素油類からなる群から選択される揮発性油を含む。
【0085】
別の好ましい実施形態では、本発明の組成物は半透明の外観を有し、油相と水相との屈折率(RI)の差は約0.001〜約0.05、好ましくは0.01〜0.03である。好ましくは油相は約1.38〜約1.44、より好ましくは約1.39〜約1.42のRIを有し、水相は約1.36〜約1.42、より好ましくは約1.37〜約1.39のRIを有する。
【0086】
本発明の組成物は、約5,000cps(5Pa.s)〜約500,000cps(500Pa.s)、好ましくは約10,000cps(10Pa.s)〜約200,000cps(200Pa.s)の範囲の粘度を有してもよい。
【0087】
これらの実施形態では、組成物はスキンケア活性物質、日焼け止め剤、保湿剤、及び皮膚軟化剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を更に含んでよい。
【0088】
組成物の調製
本発明の組成物は、水相中に少なくとも2つの油相を組み込むことによって調製され、一般には局所組成物を製造する技術分野で既知であるような従来の方法によって調製される。このような方法は、通常、加熱、冷却、真空の適用などを用いて又は用いずに、成分を1つ以上の工程で混合する工程と比較的均一な状態にする工程を伴う。
【0089】
一実施形態では、本発明の方法は、
約0.5cps(0.0005Pa.s)〜約100cps(0.1Pa.s)、好ましくは約1cps(0.001Pa.s)〜約10cps(0.01Pa.s)の粘度を有する低粘度の油相を調製する工程と、
前記低粘度の油相とは異なる組成を有する第2の油相を調製する工程と、
前記第2の油相を連続水相中に分散させる工程と、
前記低粘度の油を前記連続水相中に分散させる工程と、を含み、前記組成物は、1.0%以下の乳化剤を含有する。
【0090】
別の実施形態では、本発明の方法は、
約0.5cps(0.0005Pa.s)〜約100cps(0.1Pa.s)、好ましくは約1cps(0.001Pa.s)〜約10cps(0.01Pa.s)の粘度を有する低粘度の油相を調製する工程と、
前記第1の油相とは異なる組成を有する第2の油相を調製する工程と、
前記低粘度の油相を連続水相中に分散させる工程と、
前記第2の油相を前記連続水相中に分散させる工程と、を含み、前記組成物は、1.0%以下の乳化剤を含有する。
【0091】
これらの実施形態において、前記低粘度の油相は好ましくは揮発性油を含む。
【0092】
本発明の局所適用組成物は、顔用スキン化粧品、眼用化粧品、口唇用化粧品、頭毛スタイリング補助剤、顔毛スタイリング補助剤、保湿剤、しわ緩和美容液、ローション、マスカラ、顔用スキンマスク、スキンローション、スキンクリーム、スキンジェル、眼用ジェル、眼用クリーム、口唇用ジェル、口唇用クリーム、化粧品、ファンデーション、又はその他いずれかの周知の皮膚用製品又は処理剤に配合されてもよい。
【0093】
試験方法
降伏応力測定
降伏応力は、組成物の剪断応力対剪断速度の曲線から、剪断応力軸を通る曲線を外挿することにより、得ることができる。ここで、剪断応力は、ブルックフィールドDV−II+プロデジタル粘度計(Brookfield DV-II+ PRO Digital Viscometer)により、25℃でスピンドルLV2C又はLV3Cを用いて測定する。スピンドルの回転スピードは0.01rpm〜5rpmに設定する。各スピードにおいて、トルクが最大に達したなら剪断応力を記録する。剪断応力対剪断速度をプロットし、次に曲線と合致させることにより、曲線の交点において降伏応力を得ることができる。スピンドル回転スピード0.01ppmを用いるとき、剪断速度はすでに0.002(1/S)のように非常に低く、この剪断速度(0.002/s)における剪断応力は降伏応力と同一であるとして許容できる。
【0094】
粘度測定
粘度は、ブルックフィールドDV−II+プロデジタル粘度計(Brookfield DV-II+ PRO Digital Viscometer)のような市販の粘度計により、25℃において剪断スピード5rpmで測定できる。
【0095】
屈折率測定
屈折率(RI)は、アッベ(Abbe)屈折計(例えば、日本製のアタゴ(Atago)3T)のような市販の屈折計により、25℃で測定できる。
【実施例】
【0096】
実施例1−8は、本明細書に記述のスキンケア組成物の非限定的な例を表し、本明細書に記述される方法に従ってケラチン組織に好適に適用される。組成物は次のようにして好適に作製される。
【0097】
【表1】

*1 シクロペンタシロキサン:信越化学(Shin-Etsu Chemical Co. Ltd.)から入手可能なKF−995
*2 ジメチコン−1.5cs:信越化学(Shin-Etsu Chemical Co. Ltd.)から入手可能なKF−96L−1.5cs
*3 ジメチコン−5.0cs:信越化学(Shin-Etsu Chemical Co. Ltd.)から入手可能なKF−96A−5cs
*4 ジメチコン−100cs:信越化学(Shin-Etsu Chemical Co. Ltd.)から入手可能なKF−96A−100cs
*5 ジメチコン−500cs:信越化学(Shin-Etsu Chemical Co. Ltd.)から入手可能なKF−96A−500cs
*6 ジメチコン及びジメチコノール:ダウ・コーニング社(Dow Corning Corporation)から入手可能なDC Q2−1503流体
*7 ダウ・コーニング9040シリコーンエラストマー(Dow Corning 9040 Silicone Elastomer):ダウ・コーニング(Dow Corning Corporation)から入手可能
*8 ポリメチルシルセスキオキサン(Polymethylsilesquioxane):GE東芝(GE Toshiba)から入手可能なトスパール(Tospearl)CF600
*9 カーボポール(Carbopol)980:ノベオン(Noveon)から入手可能
*10 カーボポールウルトレツ(Carbopol Ultrez)21:ノベオン(Noveon)から入手可能
*11 ポリアクリルアミド/C13〜14イソパラフィン/ラウレス−7:セピック(SEPPIC Inc.)から入手可能なセピゲル(Sepigel)305
*12 シムジオール(Symdiol)68:シムライズ社(Symrise KK)から入手可能
*13 ナチュラルベタイン(Natural Betaine):デグッサ(Degussa)から入手可能
*14 ナイアシンアミド:DSMから入手可能
*15 ライトスキン(Lightskin):シラブ(Silab)から入手可能な褐藻アナメ(Agarum Cribosum)抽出物
*16 アクアフィリン(Aquaphyline):シラブ(Silab)から入手可能な加水分解ビオラトライカラー(Viola Tricolor)抽出物
*17 グルコシルヘスペリジン:東洋精糖(Toyo Sugar Refining)から入手可能なα−ゲスペリジン(Alpha-Ghesperidin)PS−CC
*18 プロマトリキシル(Promatrixyl):セデルマ社(Sederma, Inc.)から入手可能なパルミトイルペンタペプチド−3を含有する混合物
*19 サッカロミコプシス発酵素ろ液:カシワヤマ(Kashiwayama)から入手可能なSKIIピテラ(SKII Pitera)
*20 グリセレス−25PCAイソステアレート:味の素(Ajinomoto)から入手可能なピロター(Pyroter)GPI−25
*21 グリダントプラス液(Glydant Plus Liquid):ロンザ(Lonza)から入手可能
【0098】
実施例1〜4はクリームタイプのゲル組成物を提供し、以下のようにして好適に製造される:
(1)相A:全ての成分を容器中で、好適な混合機(例えば、アンカーブレード、プロペラブレード、又はIKA T25)を用いて、相が均質になるまで混合する。
(2)相B:全ての成分を容器中で、好適な混合機(例えば、アンカーブレード、プロペラブレード、又はIKA T25)を用いて、相が均質になるまで混合する。この相は、包含される場合、固体の油性化合物を融解するために、約60℃又はそれ以上に加熱することができる。
(3)相C:ポリマー粉末又はポリマー増粘剤プレミックスを水中に分散し、必要に応じてそれを目標pHへと中和する。他の水溶性成分を加えて相が均質になるまで混合する。固体成分は、含まれるならば、水の一部に予め溶解してから水相中にブレンドすることができる。
(4)相Bを相Cにゆっくりと加え、バッチが均質になるまで混合する。相Aを、相Bと相Cとの混合物中にゆっくりと加え、バッチが均質になるまで混合する。相Bを相Cと混合する前に、相Aを相Cと混合することができる。
(5)香料を加えて、均質となるまで混合する。
【0099】
【表2−1】

【0100】
【表2−2】

*1 ポリ綿実脂肪酸スクロース:コボ・プロダクツ社(Kobo Products Inc.)から入手可能
*2 セテアリルグルコシド:コグニス(Cognis)から入手可能なエムールゲイド(Emulgade)PL68/50
*3 PEG−100ステアレート:ユニケマ(Uniqema)から入手可能なMyrj59P
*4 イソプロピルラウロイルサルコシナート:味の素社(Ajinomoto Co.)から入手可能なエルデュー(Eldew)SL−205
*5 酸化亜鉛、Z−コート(Z-Cote)HP1:バスフ社(BASF Corp.)から入手可能
*6 ポリメチルシルセスキオキサン(Polymethylsilesquioxane):GE東芝(GE Toshiba)から入手可能なトスパール(Tospearl)145A
*7 コボ(KOBO)TiO2、コボ(KOBO)GLW75CAP−MP:コボ・プロダクツ(Kobo Products Inc.)から入手可能
*8 ポリエチレン:マイクロセン(Microthene)FN510−00:イクイスター・ケミカルズ(Equistar Chemicals)から入手可能
【0101】
他の構成成分:表1に記載
実施例5〜8はエマルション組成物を提供し、以下のようにして好適に製造される。
(1)相A:全ての成分を容器中で、好適な混合機(例えば、アンカーブレード、プロペラブレード、又はIKA T25)を用いて、相が均質になるまで混合する。
(2)相B:全ての成分を容器中で、好適な混合機(例えば、アンカーブレード、プロペラブレード、又はIKA T25)を用いて、相が均質になるまで混合する。この相は、包含される場合、固体の油性化合物を融解するために、約70℃又はそれ以上に加熱することができる。
(3)相C:ポリマー粉末又はポリマー増粘剤プレミックスを水中に分散し、必要に応じてそれを目標pHへと中和する。他の水溶性成分を加える。固体成分は、含まれるならば、水の一部に予め溶解してから加えることができる。約70℃又はそれ以上に加熱し、相が均質になるまで混合する。
(4)相D:全ての成分を一部の水に溶解する。不溶性であるが分散可能な粒子がある場合、それらはこの相に分散させて混合物を均質にする。
(5)相Bを相Cにゆっくりと加え、バッチが均質になるまで混合し、次いで約40℃又はそれ以下まで冷却する。
(6)相Dを、相Bと相Cとの上記混合物中に加え、バッチが均質になるまで混合する。
(7)相Aを、相B、相C、及び相Dの上記混合物中に加え、バッチが均質になるまで混合する。
(8)香料を加えて、均質となるまで混合する。
【0102】
前記降伏応力測定に従って、各スピンドル回転スピードにおける実施例1の剪断応力を測定し、176Paの降伏応力を得た。外挿により得られる176Paの降伏応力は、最も低い剪断速度における剪断応力のデータポイントと同じであった。
【0103】
【表3】

【0104】
上述した本発明の実施例及び実施形態の詳細な記述は、単に説明のために与えるものにすぎず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく多数の修正及び変更が当業者には明らかになると理解され、そのような明らかな修正及び変更は、添付の特許請求の範囲に含まれるものである。
【0105】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における用語のいずれかの意味又は定義と相反する範囲では、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0106】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることは当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
増粘剤を含む連続水相中に分散された少なくとも2つの油相を含むスキンケア組成物であって、前記油相の第1の油相が他の油相とは異なる組成を有し、及び前記組成物が1.0%以下の乳化剤を含有する、スキンケア組成物。
【請求項2】
前記第1の油相が揮発性油を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記揮発性油が、シクロペンタシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルトリメチコン、イソドデカン、及びイソヘキサデカンからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1の油相が揮発性である、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記第1の油相が、約0.3cps(0.0003Pa.s)〜約100cps(0.1Pa.s)の粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1の油相が、約0.4cps(0.0004Pa.s)〜約10cps(0.01Pa.s)の粘度を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、約1%〜約30%の前記第1の油相を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、0.5%以下の乳化剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、0.2%以下の乳化剤を含有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、約40Pa〜約1,000Paの範囲の降伏応力を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、約100Pa〜約500Paの範囲の降伏応力を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、スキンケア活性物質、日焼け止め剤、及び皮膚軟化剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記油相と前記水相との屈折率の差が、約0.001〜約0.05である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
増粘剤を含む連続水相中に分散された少なくとも2つの油相を含むスキンケア組成物であって、前記油相の第1の油相が他の油相とは異なる組成を有し、及び前記組成物が乳化剤を含まない、スキンケア組成物。
【請求項15】
前記組成物が、約40Pa〜約1,000Paの範囲の降伏応力を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、約100Pa〜約500Paの範囲の降伏応力を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
スキンケア組成物の調製方法であって、
(a)第1の油相を連続水相中に分散させる工程と、
(b)前記第1の油相とは異なる第2の油相を前記連続水相中に分散させる工程と、を含み、
前記組成物が1.0%以下の乳化剤を含有する、スキンケア組成物の調製方法。
【請求項18】
前記組成物が0.5%以下の乳化剤を含有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の油相と前記第2の油相のうちの少なくとも一方が、約0.3cps(0.0003Pa.s)〜約100cps(0.1Pa.s)の粘度を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の油相と前記第2の油相のうちの少なくとも一方が、揮発性油を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、約40Pa〜約1,000Paの範囲の降伏応力を有する、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2010−513289(P2010−513289A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541421(P2009−541421)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/025752
【国際公開番号】WO2008/076416
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】