説明

スクリーンセーバ表示方法及び情報処理システム

【課題】 ICカード等を抜いた際に起動するスクリーンセーバにおいて、ユーザによって任意に入力された文字を、スクリーンセーバの起動時の簡単な操作で表示できるようにしたスクリーンセーバ表示方法及び情報処理システムを提供する。
【解決手段】 ICカード3の本人認証装置がカードリードライタ30にセットされている状態でコンピュータが利用可能となり、ICカード等が抜き取られて本人認証装置を認識しなくなると、スクリーンセーバ画面表示となって、コンピュータへの入力ができなくなる情報処理システムにおいて、処理装置10の制御部11は、ICカード3が抜き取られて特定時間以内に特定キーの押下があると、任意の文字を入力可能とする画面を表示部20のスクリーンセーバの画面に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンセーバの表示方法に係り、特に、ICカード等の本人認証装置(UAD:User Authentication Device)を抜き取った時に開始するスクリーンセーバロックの表示画面においてユーザ指定の文字を表示してスクリーンセーバにメッセージ性を持たせたスクリーンセーバ表示方法及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(パソコン)において、画面の焼き付け防止のために、キーボード又はマウス等の入力装置から特定時間入力がない場合に動作するスクリーンセーバはよく知られている。
【0003】
また、近年、セキュリティ強化のために、パソコンに接続されたICカードのカードリードライタに真正のICカードが挿入されている場合にのみパソコンを動作可能とし、ICカードが抜かれるとスクリーンセーバを開始し、再度、真正のICカードが挿入されると、パソコンを動作可能とするものがある。いわゆるスクリーンセーバロックの技術である。つまり、ICカードが抜き取られた状態では、スクリーンセーバの画面が表示されて、パソコンの動作がロックされるというものである。
【0004】
尚、ICカードの代わりに、パソコンのUSB(Universal Serial Bus)に直接挿入可能なUSBトークンが用いられることがある。
【0005】
上記セキュリティ強化のためのスクリーンセーバの先行技術については、平成13(2001)年11月30日公開の特開2001−331235「情報処理装置」がある(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−331235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の焼き付け防止のスクリーンセーバ及びセキュリティ関連のスクリーンセーバでは、スクリーンセーバの表示画面に文字等を表示するためには事前準備が面倒であり、特に、ICカードを抜き取ってから表示されるスクリーンセーバ画面において簡単な操作で、行き先等を示す文字等、帰社予定時刻等を示す文字等又はパソコンのステータス等を示す文字等を表示させることができず、周囲に対するメッセージ性が有効に利用されていないという問題点があった。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、ICカード等を抜いた際に起動するスクリーンセーバにおいて、ユーザによって任意に入力された文字を、スクリーンセーバの起動時の簡単な操作で表示できるようにすることで、ユーザの行き先、帰社時刻、パソコンのステータス等を第三者に容易に知らせることができ、ユーザの利便性を向上させることができるスクリーンセーバ表示方法及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、ICカード等を抜くことで、スクリーンセーバによる入力ロックを実現し、ICカード等を差し込むことで、スクリーンセーバのロックを解除可能であるか否かを判定し、解除可能であればパスワード入力画面を表示するようにしているので、コンピュータにおおけるセキュリティ向上を図ることができると共にスクリーンセーバロック解除をスムーズに行うことができるスクリーンセーバ表示方法及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、本人認証装置の接続を認識しなくなると処理装置の表示部にスクリーンセーバを表示して処理装置における処理をロックするスクリーンセーバ表示方法であって、本人認証装置の接続を認識しなくなって特定時間以内に予め設定された特定キーが入力されると、任意の文字を入力可能とする画面を表示し、当該画面で入力文字が確定されると、当該文字内容をスクリーンセーバ画面に表示し、特定時間内に予め設定された特定キーが入力されなければ、デフォルトの表示文字をスクリーンセーバ画面に表示することを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記スクリーンセーバ表示方法において、任意の文字を入力可能とする画面において、予め設定した文字内容を表示し、当該表示した文字内容に対して入力文字を上書き入力して入力文字を確定することを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記スクリーンセーバ表示方法において、本人認証装置の接続を認識すると、スクリーンセーバ表示を解除可能であるか本人認証装置の識別情報から判定し、解除可能であればパスワード入力画面を表示し、適正なパスワードが入力されると、処理装置における処理を復帰させることを特徴とする。
【0013】
本発明は、本人認証装置を監視しており、本人認証装置の接続を認識しなくなると処理装置の表示部にスクリーンセーバを表示して処理装置における処理をロックする情報処理システムであって、任意に文字を入力可能とする画面を表示させるための特定キーを予め定め、本人認証装置の接続を認識しなくなって特定時間以内に当該特定キーが入力されると、任意の文字を入力可能とする画面を表示部に表示させ、当該画面で入力文字が確定されると、当該文字内容をスクリーンセーバ画面に表示させ、特定時間内に予め設定された特定キーが入力されなければ、デフォルトの表示文字をスクリーンセーバ画面に表示させる制御部を有することを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記情報処理システムにおいて、制御部が、任意の文字を入力可能とする画面において表示され、上書きされる文字内容を予め設定しておき、当該画面において表示した文字内容に対して入力文字を上書き入力して入力文字を確定することを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記情報処理システムにおいて、本人認証装置の接続を認識すると、制御部が、スクリーンセーバ表示を解除可能であるか本人認証装置の識別情報から判定し、解除可能であればパスワード入力画面を表示部に表示させ、入力されたパスワードが適正であるか判定し、適正なパスワードであれば、処理装置における処理を復帰させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、本人認証装置の接続を認識しなくなると処理装置の表示部にスクリーンセーバを表示して処理装置における処理をロックするスクリーンセーバ表示方法であって、本人認証装置の接続を認識しなくなって特定時間以内に予め設定された特定キーが入力されると、任意の文字を入力可能とする画面を表示し、当該画面で入力文字が確定されると、当該文字内容をスクリーンセーバ画面に表示し、特定時間内に予め設定された特定キーが入力されなければ、デフォルトの表示文字をスクリーンセーバ画面に表示するものであり、任意に入力された文字内容をスクリーンセーバ画面に表示することにより本人を特定して周囲の人にメッセージを伝達でき、省スペース、ペーパレス化を実現できる効果がある。
【0017】
本発明によれば、本人認証装置の接続を認識すると、スクリーンセーバ表示を解除可能であるか本人認証装置の識別情報から判定し、解除可能であればパスワード入力画面を表示し、適正なパスワードが入力されると、処理装置における処理を復帰させる上記スクリーンセーバ表示方法としているので、復帰処理をスムーズに行うことができる効果がある。
【0018】
本発明によれば、本人認証装置を監視しており、本人認証装置の接続を認識しなくなると処理装置の表示部にスクリーンセーバを表示して処理装置における処理をロックする情報処理システムであって、任意に文字を入力可能とする画面を表示させるための特定キーを予め定め、本人認証装置の接続を認識しなくなって特定時間以内に当該特定キーが入力されると、任意の文字を入力可能とする画面を表示部に表示させ、当該画面で入力文字が確定されると、当該文字内容をスクリーンセーバ画面に表示させ、特定時間内に予め設定された特定キーが入力されなければ、デフォルトの表示文字をスクリーンセーバ画面に表示させる制御部を有するものであり、任意に入力された文字内容をスクリーンセーバ画面に表示することにより本人を特定して周囲の人にメッセージを伝達でき、省スペース、ペーパレス化を実現できる効果がある。
【0019】
本発明によれば、本人認証装置の接続を認識すると、制御部が、スクリーンセーバ表示を解除可能であるか本人認証装置の識別情報から判定し、解除可能であればパスワード入力画面を表示部に表示させ、入力されたパスワードが適正であるか判定し、適正なパスワードであれば、処理装置における処理を復帰させる上記情報処理システムとしているので、復帰処理をスムーズに行うことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態は、ICカード等のデバイス(本人認証装置:UAD)がカードリードライタ等の読み取り装置にセットされている状態でコンピュータが利用可能となり、ICカード等が抜き取られて本人認証装置の接続(物理的接続に限らず無線通信接続も含む)を認識しなくなると、スクリーンセーバ画面表示となって、コンピュータへの入力ができなくなる情報処理システムにおいて、ICカードが抜き取られて特定時間以内に特定キーの押下があると、当該キーに対応して設定されている特定文字をスクリーンセーバの画面に表示するものである。これにより、ユーザがICカードを抜いてスクリーンセーバの画面を表示する際に、設定された文字の中から選択された文字、又は任意に入力した文字を表示でき、本人を特定して周囲の人に、例えば、行き先、帰社時刻、コンピュータのステータス等の情報を伝達でき、省スペース、ペーパレス化を実現できるものである。
【0021】
[本システムの概要]
本発明の実施の形態に係る情報処理システム(コンピュータシステム)について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る情報処理システム(本システム)は、図1に示すように、処理装置10と、サーバ1とがネットワーク50で接続され、処理装置10には表示部20と、カードリーダライタ30、キーボード40とが接続されている。
また、サーバ1にはデータベース2が接続されている。
【0022】
[本システムの各部]
本システムの各部について具体的に説明する。
[処理装置10]
処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)で実現される制御部11と、プログラムが一時的にロードされて動作するメインメモリ12と、各種処理プログラム又はデータ、テーブル等を記憶する記憶部13と、外部装置及びネットワークに接続するためのインタフェース14とを備えている。
インタフェース14は、本来、個々の外部装置に対応して設けられるものであるが、図1では、説明を簡単にするためにまとめて1つで記述している。
【0023】
制御部11は、記憶部13から処理プログラムを読み込み、メインメモリ12にロードして展開し、処理プログラムを動作可能とする。
主に、制御部11によって実現される手段は、監視処理手段、プリスクリーンセーバ、スクリーンセーバ、スクリーンセーバ設定マネージャである。
各手段の詳細は、後述する。
【0024】
メインメモリ12は、プログラム実行のために、プログラム及びデータを一時的に記憶するメモリである。
記憶部13は、ハードディスク等で実現され、各種処理プログラム、データ及び各種テーブルを記憶している。
特に、記憶部13には、スクリーンセーバ表示画面において表示する文字を予め設定しておく表示文字設定テーブルが記憶されている。
上記の例では、表示文字設定テーブルを処理装置10の記憶部13に記憶するようにしているが、DB2に記憶し、処理装置10がネットワーク50,サーバ1を介してアクセスするようにしてもよい。
【0025】
[表示文字設定テーブル]
表示文字設定テーブルについて図2を参照しながら説明する。図2は、表示文字設定テーブルの概略図である。
表示文字設定テーブルは、図2に示すように、キーと表示内容とを対応付けて記憶するもので、例えば、数字キー「1」キーに対応して「101会議室」、文字キー「E」キーに対応して「食事中」が記憶されている。
【0026】
ICカード3がカードリーダライタ30から抜き取られてプリスクリーンセーバが動作して特定時間(スクリーンセーバ設定マネージャで設定可能)内に上記キーが押下されると、対応する文字がスクリーンセーバ表示画面に表示されるものである。
尚、「スペース」キーに対しては、スクリーンセーバ設定マネージャで設定されているデフォルト値(デフォルト文字)が表示され、そのデフォルト文字に上書きできるようになっている。
【0027】
[表示部20]
表示部20は、スクリーンセーバの画面を表示し、特定時間内にユーザによりキーボード40からキー入力されると、当該キーに対応して設定されている文字をスクリーンセーバ画面で表示する。
【0028】
[カードリーダライタ30]
カードリーダライタ30は、ICカード3の情報を読み取り、ICカード3に情報を書き込むものである。つまり、ICカード等の本人認証装置へのデータの入出力を行う入出力装置である。
ICカード3と処理装置10との間の処理については後述する。
ICカード3の代わりにUSBポートに直接接続するUSBトークンを用いてもよい。
【0029】
[キーボード40]
キーボード40は、情報処理装置10への入力を行う入力装置であり、特に、ICカード3がカードリーダライタ30から抜き取られてプリスクリーンセーバが動作し、特定時間内に表示文字設定テーブルに登録してあるキーが押下されると、対応する文字がスクリーンセーバ表示画面に表示されるものである。
【0030】
[サーバ1]
サーバ1は、ネットワーク50を介して処理装置10に接続し、また、データベース(DB)2に接続している。
図1では、サーバ1に1台の処理装置10が接続しているが、これは説明を簡単にするためのものであり、実際は、サーバ1には複数の処理装置10が接続している。
【0031】
サーバ1は、DB2を管理しており、処理装置10のユーザの情報をDB2に記憶し、ユーザのログイン、ログアウト等の履歴情報もDB2に記憶している。
尚、表示文字設定テーブルをDB2で記憶する場合には、本発明における処理は実質的にサーバ1が行い、処理装置10は、サーバ1からデータを受信して表示部20に表示し、キーボード40等の入力部からデータを入力してサーバ1に送信するものとなる。
【0032】
[ICカード3]
ICカード3は、本人認証装置であり、少なくとも識別子を記憶してある。本人認証装置としては、指紋認証、その他の身体的特徴について認証を行う装置が考えられる。また、認証装置ではなく、単純にスクリーンセーバ(プリスクリーンセーバ)をフックする装置であってもよい。
【0033】
[ログイン処理]
本システムにおけるOS(Operating System)へのログインの処理を説明する。
コンピュータである処理装置10の電源をオンにすると、OSが起動し、立ち上がる前に、本人認証プログラムが動作して、制御部11はカードリーダライタ30にICカード3が挿入されているか判定し、挿入されていなければ、ICカード3をカードリーダライタ30にセットするよう表示部20の表示画面で促す。
【0034】
ICカード3がカードリーダライタ30にセットされていると、表示部20の表示画面でパスワードの入力を促し、パスワードの入力があると、ICカード3の識別情報に対してパスワードが適正であるか否か判定し、パスワードが適正であれば、ログインを許可する。
【0035】
ICカード3には、識別情報以外に前回ログアウト時刻を記憶しており、同じ時刻を処理装置10の記憶部13に記憶させ、本人認証プログラムにてその時刻が一致するか否かもチェックし、一致しなければ、当該ICカード3が偽造カードということになるので、ログインを許可しない。
【0036】
上記の例では、ログイン処理を処理装置10で行っているが、必要なデータをDB2に記憶しておき、サーバ1で実質的なログイン処理を行うようにしてもよい。
【0037】
[スクリーンセーバロック処理]
次に、スクリーンセーバロック処理について説明する。
ログイン状態で、ユーザが離席するために、ICカード3をカードリーダライタ30から抜き出す際に、ICカード3にはその時刻が瞬時に記憶され、処理装置10にも同じ時刻が記憶される。
それから特定時間内に、キーボード40から表示文字設定テーブルに設定されているキーが入力されると、表示文字設定テーブルに設定された対応する表示内容がスクリーンセーバ画面に表示される。
【0038】
特定時間内に設定キーが入力されなければ、スクリーンセーバ設定マネージャで設定されているデフォルトの表示文字をスクリーンセーバの画面で表示することになる。
【0039】
また、設定キーと表示内容の対応を忘れた場合には、エスケープ(Esc)キーを押下すると、設定キーとスクリーンセーバに表示する文字の対応関係を参照でき、対応関係の画面表示から別の特定時間内に設定キーが押下されると、対応する表示内容を表示するようになっている。
設定キーとスクリーンセーバに表示する文字の対応関係を表す画面を図4に示す。図4は、キーとスクリーンセーバに表示する文字の対応関係を表す画面の概略図である。
図4の画面の下にインジケータを設けて、インジケータの目盛が一杯になるまでの時間内にキー入力を受け付け、時間外となるとキー入力を受け付けないで、デフォルト表示文字をスクリーンセーバ画面で表示するようになっている。
【0040】
また、ICカード3がカードリーダライタ30から抜き取られた時から特定時間内に「スペース」キーが押下された場合には、スクリーンセーバ設定マネージャで設定された表示文字入力のデフォルト値が表示される。デフォルト値は、上書きモードで表示されているため、必要な箇所に入力すれば、デフォルト値を利用できる。
例えば、デフォルト値が「HH:MM 帰社予定」である場合は、最初の「HH:MM 」を変更すれば、「帰社予定」はそのまま利用することができる。
【0041】
「スペース」キーの押下によって表示される画面を図5に示す。図5は、スペースキー押下による表示画面の概略図である。
図5の表示画面においては、時間的制約はなく、文字を入力して「エンター」キーで確定するまでは、余裕をもって入力できるようにしている。
文字が入力されて、「エンター」キーが入力されると、当該入力した文字がスクリーンセーバ画面に表示されることになる。
このようにしてスクリーンセーバ画面を表示して処理装置10の処理をロックするものである。
【0042】
上記の例では、スクリーンセーバロック処理を処理装置10で行っているが、必要なデータをDB2に記憶しておき、サーバ1で実質的なスクリーンセーバロック処理を行うようにしてもよい。
【0043】
[スクリーンセーバ解除処理]
スクリーンセーバ解除処理は、ユーザが席に戻り、カードリーダライタ30にICカード3を挿入すると、当該ICカード3の識別情報と時刻情報(抜き出されたときの時刻情報)を読み取り、スクリーンセーバ解除可能なICカード3であるか否かの判定を行う。
【0044】
スクリーンセーバ解除が、スクリーンセーバロック時のICカード3と同一でなければ解除できない条件設定であれば、ICカード3の識別情報と時刻情報が処理装置10の記憶部13に記憶されているICカードの識別情報と時刻情報に一致しなければスクリーンセーバ解除は拒否される。
【0045】
また、スクリーンセーバ解除が、特権ICカードでも行えるとの条件設定であれば、当該特権ICカードの識別情報を読み取って、処理装置10に予め設定されている特権ICカードの識別情報と比較して挿入されたICカードが特権カードと認定されれば、スクリーンセーバ解除可能なICカードであると判定することになる。
【0046】
そして、スクリーンセーバ解除可能なICカード3であれば、表示部30の表示画面にパスワード入力を促す画面を表示し、適正なパスワードが入力されれば、スクリーンセーバを解除して、解除前の画面に復帰させる。つまり、処理装置10における処理が復帰することになる。また、適正なパスワードが入力されなければ、スクリーンセーバの解除は為されない。
【0047】
上記の例では、スクリーンセーバ解除処理を処理装置10で行っているが、必要なデータをDB2に記憶しておき、サーバ1で実質的なスクリーンセーバ解除処理を行うようにしてもよい。
【0048】
[スクリーンセーバ設定マネージャ]
次に、処理装置10の記憶部13に記憶された処理プログラムを制御部11が実行させて、実現する手段としてスクリーンセーバ設定マネージャがある。
当該スクリーンセーバ設定マネージャの機能は、図2の表示文字設定テーブルにキーと表示文字とを登録し、デフォルト表示文字(特定期間内に設定キーが押下されなかったときに表示する文字内容)を特定し、スクリーンセーバ開始までの時間を設定し、表示文字入力のデフォルト値(ユーザが任意の文字を上書き入力する際に表示される文字内容)を設定し、更にショートカットキー入力を受け付けない設定も可能とし、セキュリティ情報について、同一のUADのみスクリーンセーバ解除可能とするか、特権カードによるスクリーンセーバ解除を可能にするかのいずれかを設定可能である。
【0049】
設定された内容は、記憶部13に記憶される。
尚、設定内容をDB2に記憶するようにしてもよい。この場合、スクリーンセーバ設定マネージャの処理をサーバ1で実行するようにしてもよい。
【0050】
スクリーンセーバ設定マネージャで設定を行うための表示画面を図3に示す。図3は、スクリーンセーバ設定画面の概略図である。
図3に示すように、画面左側で、表示文字設定テーブルに設定するショートカットキー及び表示内容の入力を可能にしており、画面右上側では、スクリーン表示として、デフォルト表示文字、ショートカットキーの受け付けの有無、スクリーンセーバ開始時間、表示文字入力のデフォルト値の入力を可能としており、画面右下側では、セキュリティ情報として、スクリーンセーバ解除の条件設定が可能となっている。
【0051】
[監視処理手段]
次に、処理装置10の記憶部13に記憶された処理プログラムを制御部11が実行させて、実現する手段として監視処理手段、プリスクリーンセーバ、スクリーンセーバがある。各手段によって実行される処理を説明する。
【0052】
制御部11の実行により実現される監視処理手段における監視処理について図6を参照しながら説明する。図6は、監視処理のフローチャートである。
まず、監視処理手段では、常時、OSの終了と、カードリーダライタ30におけるICカードの着脱状態を監視している。
【0053】
監視手段は、OS終了か否かを判定し(S1)、OS終了であれば(Yesの場合)、処理を終了する。
また、OS終了でなければ(Noの場合)、ここでは、ICカード3が挿入されていることを前提としているので、ICカード3が挿入された状態からICカード3が抜き取られたか否かを判定する(S2)。
処理S2でICカード3が抜かれたのであれば(Yesの場合)、次に、プリスクリーンセーバを起動する(S3)。
【0054】
そして、プリスクリーンセーバに対するコードサイニングを行う(S4)。このコードサイニングとは、プリスクリーンセーバには暗号化キーを保持し、監視処理手段にはそれに対応した復号キーを保持しており、監視処理手段からプリスクリーンセーバに対して乱数を発行すると、プリスクリーンセーバが暗号化キーで乱数を暗号化して監視処理手段に返信する。すると、監視処理手段は、暗号化された乱数を復号キーで復号し、発行した乱数と復号した乱数が一致すると、適正なプリスクリーンセーバが動作していると認識するものである。
【0055】
ここで、発行した乱数と復号した乱数が一致しなければ、適正なプリスクリーンセーバが動作していないとして、スクリーンセーバを起動してコードサイニングを行って通常のスクリーンセーバロック処理を行うようにする。
【0056】
処理S4でのコードサイニングが正常に為されると、その後、プリスクリーンセーバとスクリーンセーバが動作して表示画面がスクリーンセーバ画面となり、スクリーンセーバロックされることになる。引き続いて、監視処理手段は、OS終了とICカード3がカードリーダライタ30から抜き取られたか否かを判定する(S2)。
【0057】
そして、ICカード3がカードリーダライタ30から抜き取られておらず、挿入されているものであれば(Noの場合)、監視処理手段は、スクリーンセーバが起動中であるか否かを判定する(S5)。
スクリーンセーバ起動中でなければ(Noの場合)、処理S1に戻る。
また、スクリーンセーバ起動中であれば(Yesの場合)、監視処理手段によりPIN(Personal Identification Number)入力画面を表示し(S6)、入力PINが適正であるか否かを判定する(S7)。
【0058】
入力PINが適正でなければ(Noの場合)、再度、PIN入力を促す。
入力PINが適正であれば(Yesの場合)、スクリーンセーバロックを解除して(S8)、スクリーンセーバロック前の表示画面に復帰して処理S1に戻る。
【0059】
[プリスクリーンセーバ]
制御部11の実行により実現されるプリスクリーンセーバにおけるプリスクリーンセーバ処理について図7を参照しながら説明する。図7は、プリスクリーンセーバ処理のフローチャートである。
プリスクリーンセーバは、監視処理手段から起動されると、監視処理手段からのコードサイニングを行う(S11)。コードサイニングについては、上述のような処理を行うものである。
【0060】
コードサイニングが正常に為されると、制御部11内に備えるタイマーを用いて特定時間のカウントを開始する(S12)。特定時間は、スクリーンセーバ設定マネージャにより設定されたものである。
そして、設定されたキー入力があるか否かを判定し(S13)、キー入力がない場合(Noの場合)、特定時間のカウントが終了したか否かを判定し(S14)、終了していなければ(Noの場合)、処理S13のキー入力の判定に戻る。
判定処理S14で特定時間カウントが終了したのであれば(Yesの場合)、スクリーンセーバを起動して(S17)、処理を終了する。
【0061】
処理S13で設定されたキー入力がある場合(Yesの場合)、いずれのキーが入力されたのか入力キーの判定処理を行う(S15)。そして、表示文字設定テーブルを参照して、判定された入力キーに対応する表示文字を選択し、表示用として設定する(S16)。
【0062】
入力キーが「エスケープ」キーであれば、図4に示した画面を表示して、別の特定時間内でのキー入力を待って処理S16に移行する。
また、入力キーが「スペース」キーであれば、図5に示した画面を表示して、表示文字入力のデフォルト値に上書き入力して、入力確定した文字を表示用として設定し、処理S17に移行する。
【0063】
そして、スクリーンセーバを起動して、表示用として設定された表示文字又はデフォルト表示文字を用いてスクリーンセーバ画面の表示を行わせる(S17)。
【0064】
[スクリーンセーバ]
制御部11の実行により実現されるスクリーンセーバにおけるスクリーンセーバ処理について図8を参照しながら説明する。図8は、スクリーンセーバ処理のフローチャートである。
スクリーンセーバは、プリスクリーンセーバによって起動され、プリスクリーンセーバからのコードサイニングを行う(S21)。
【0065】
コードサイニングは、スクリーンセーバには暗号化キーを保持し、プリスクリーンセーバにはそれに対応する復号キーを保持しており、プリスクリーンセーバからスクリーンセーバに対して乱数を発行すると、スクリーンセーバが暗号化キーで乱数を暗号化してプリスクリーンセーバに返信する。すると、プリスクリーンセーバは、暗号化された乱数を復号キーで復号し、発行した乱数と復号した乱数が一致すると、適正なスクリーンセーバが動作していると認識する。
【0066】
ここで、発行した乱数と復号した乱数が一致しなければ、適正なスクリーンセーバが動作していないとして、プリスクリーンセーバで設定した文字を用いたスクリーンセーバの画面表示を行わず、デフォルト表示文字によるスクリーンセーバの画面表示を行うようにする。
【0067】
コードサイニングが正常に為されると、スクリーンセーバは、設定された文字を用いてスクリーンセーバ画面表示を行う(S22)。
そして、スクリーンセーバは、監視処理手段からの割り込みがあるか否かを監視(判定)し(S23)、割り込みがあるまでこの判定処理S23を繰り返す。この割り込み処理とは、カードリーダライタ30にICカード3が再度挿入されたことによって発生するものである。
【0068】
監視処理手段からの割り込みがあると(Yesの場合)、スクリーンセーバ画面表示を停止して(S24)、処理を終了する。
【0069】
[実施の形態の効果]
本システム及び方法によれば、本人認証装置であるICカード3がカードリーダライタ30から抜き取られると、スクリーンセーバロックとなる際に、予め設定してある文字内容をショートカットキーで選択されると、スクリーンセーバ画面で選択された文字内容が表示されるので、ユーザ本人を特定して、ユーザは行き先、パソコンのステータスを周辺の人に知らせてメッセージ性を活用することができ、省スペース、ペーパレス化を実現できる効果がある。
【0070】
また、本システム及び方法によれば、本人認証装置であるICカード3がカードリーダライタ30から抜き取られると、スクリーンセーバロックとなる際に、特定キーである「スペース」キーが押下されると、任意の文字が入力可能となり、当該入力された文字内容をスクリーンセーバ画面で表示させるので、任意の事項、例えば帰社時刻等を周辺の人に知らせることができる効果がある。
尚、任意の文字の入力に際して、デフォルト値として設定された特定文字に上書き入力するようにしているので、特定文字を利用すれば、入力を効率的に行うことができる効果がある。
【0071】
また、本システム及び方法によれば、本人認証装置であるICカード3がカードリーダライタ30から抜き取られると、スクリーンセーバロックとなる際に、特定キーである「エスケープ」キーが押下されると、ショートカットキーと文字内容との対応関係を参照できるので、スクリーンセーバ画面で表示する文字内容の選択誤りを少なくできる効果がある。
【0072】
また、本システム及び方法によれば、監視処理手段、プリスクリーンセーバ、スクリーンセーバにおいて、コードサイニングを行い、適正なプログラムで実行されていることを確認するようにしているので、セキュリティを向上できる。
【0073】
また、本システム及び方法によれば、ICカード3がカードリーダライタ30に差し込まれると、スクリーンセーバ解除となる際に、当該ICカードが解除可能なICカードであるか判定し、解除可能なICカードであればパスワード入力画面を自動で表示するようにしているので、スクリーンセーバ解除をスムーズに行うことができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、本人認証装置のICカード等を抜いた際に起動するスクリーンセーバにおいて、ユーザが任意に選択した文字又はユーザによって任意に入力された文字を、スクリーンセーバの起動時の簡単な操作で表示できるようにすることで、ユーザの行き先、帰社時刻、パソコンのステータス等を第三者に容易に知らせることができ、ユーザの利便性を向上させることができるスクリーンセーバ表示方法及び情報処理システムに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成ブロック図である。
【図2】表示文字設定テーブルの概略図である。
【図3】スクリーンセーバ設定画面の概略図である。
【図4】キーとスクリーンセーバに表示する文字の対応関係を表す画面の概略図である。
【図5】スペースキー押下による表示画面の概略図である。
【図6】監視処理のフローチャートである。
【図7】プリスクリーンセーバ処理のフローチャートである。
【図8】スクリーンセーバ処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1…サーバ、 2…データベース、 3…ICカード、 10…処理装置、 11…制御部、 12…メインメモリ、 13…記憶部、 14…インタフェース、 20…表示部、 30…カードリーダライタ、 40…キーボード、 50…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本人認証装置の接続を認識しなくなると処理装置の表示部にスクリーンセーバを表示して処理装置における処理をロックするスクリーンセーバ表示方法であって、
本人認証装置の接続を認識しなくなって特定時間以内に予め設定された特定キーが入力されると、任意の文字を入力可能とする画面を表示し、当該画面で入力文字が確定されると、当該文字内容をスクリーンセーバ画面に表示し、前記特定時間内に前記予め設定された特定キーが入力されなければ、デフォルトの表示文字をスクリーンセーバ画面に表示することを特徴とするスクリーンセーバ表示方法。
【請求項2】
任意の文字を入力可能とする画面において、予め設定した文字内容を表示し、当該表示した文字内容に対して入力文字を上書き入力して入力文字を確定することを特徴とする請求項1記載のスクリーンセーバ表示方法。
【請求項3】
本人認証装置の接続を認識すると、スクリーンセーバ表示を解除可能であるか本人認証装置の識別情報から判定し、解除可能であればパスワード入力画面を表示し、適正なパスワードが入力されると、処理装置における処理を復帰させることを特徴とする請求項1又は2記載のスクリーンセーバ表示方法。
【請求項4】
本人認証装置を監視しており、本人認証装置の接続を認識しなくなると処理装置の表示部にスクリーンセーバを表示して処理装置における処理をロックする情報処理システムであって、
任意に文字を入力可能とする画面を表示させるための特定キーを予め定め、本人認証装置の接続を認識しなくなって特定時間以内に当該特定キーが入力されると、任意の文字を入力可能とする画面を表示部に表示させ、当該画面で入力文字が確定されると、当該文字内容をスクリーンセーバ画面に表示させ、前記特定時間内に前記予め設定された特定キーが入力されなければ、デフォルトの表示文字をスクリーンセーバ画面に表示させる制御部を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
制御部が、任意の文字を入力可能とする画面において表示され、上書きされる文字内容を予め設定しておき、当該画面において表示した文字内容に対して入力文字を上書き入力して入力文字を確定することを特徴とする請求項4記載の情報処理システム。
【請求項6】
本人認証装置の接続を認識すると、制御部が、スクリーンセーバ表示を解除可能であるか本人認証装置の識別情報から判定し、解除可能であればパスワード入力画面を表示部に表示させ、入力されたパスワードが適正であるか判定し、適正なパスワードであれば、処理装置における処理を復帰させることを特徴とする請求項4又は5記載の情報処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−104616(P2009−104616A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303910(P2008−303910)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【分割の表示】特願2005−29786(P2005−29786)の分割
【原出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(597115082)システムニーズ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】