スクリーン印刷機
【課題】改善されたスクリーン印刷機を提供する。
【解決手段】印刷機本体18の本体部20と支持台部22とを別体に構成し、支持台部22に本体部20を前方へ移動可能に支持させる。本体部20に送りねじ150を、前後方向に平行な姿勢で軸方向に移動不能かつ回転可能に保持させ、支持台部22に設けたナット154に螺合する。送りねじ150に取り付けたハンドル152を作業者が回転操作し、本体部20を支持台部22に対して前方へ移動させ、支持台部22から引き出す。それにより、支持台部22の後部上方であって、本体部20の後方にスペースが得られ、作業者がメンテナンス等を行うことができる。本体部20は作業者のハンドル操作により支持台部22上に引き込まれるとともに、引込装置の作動により後退端位置に位置決めされる。
【解決手段】印刷機本体18の本体部20と支持台部22とを別体に構成し、支持台部22に本体部20を前方へ移動可能に支持させる。本体部20に送りねじ150を、前後方向に平行な姿勢で軸方向に移動不能かつ回転可能に保持させ、支持台部22に設けたナット154に螺合する。送りねじ150に取り付けたハンドル152を作業者が回転操作し、本体部20を支持台部22に対して前方へ移動させ、支持台部22から引き出す。それにより、支持台部22の後部上方であって、本体部20の後方にスペースが得られ、作業者がメンテナンス等を行うことができる。本体部20は作業者のハンドル操作により支持台部22上に引き込まれるとともに、引込装置の作動により後退端位置に位置決めされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷機には、下記の特許文献1に記載されているように、印刷機本体と、印刷機本体に保持された基板搬送支持装置および印刷装置とを有するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−15307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスクリーン印刷機には未だ改善の余地がある。例えば、スクリーン印刷機の前方には、通常の操作や前方から行うことが可能な作業等を行うための前方スペースが必要であるが、メンテナンス等を行うためにスクリーン印刷機の後方にも作業スペースが必要である場合が多く、その場合には、スクリーン印刷機を設置する際、前方スペースに加えて後方スペースも確保しつつ設置することが必要であり、所要スペースが広くなり、スペース効率が悪いという不都合がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、上記不都合を解消するなど、改善されたスクリーン印刷機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、(a)回路基板を左右方向に搬送し、印刷位置に位置決めして支持する基板搬送支持装置と、(b)その基板搬送支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う印刷装置と、(c)それら基板搬送支持装置と印刷装置とを保持する印刷機本体とを含むスクリーン印刷機において、前記印刷機本体の本体部と支持台部とを別体に構成し、支持台部に本体部を前方へ移動可能に支持させることにより解決される。
【発明の効果】
【0006】
本体部を支持台部に対して前方へ移動させることにより、支持台部の後部上方であって、本体部の後方にスペースが得られ、作業者がメンテナンス等の作業を行うことが可能となる。
スクリーン印刷機は前面側から操作されるのが普通であり、それの前方に作業スペースを設けることは不可欠である。また、スクリーン印刷機が、後面側からも作業を行うことが必要なものである場合には、通常であれば、そのスクリーン印刷機を、それの後面を壁あるいは他の装置に近接させた状態で設置することはできない。それに対して、上記構成のスクリーン印刷機においては、本体部が支持台部に対して前方へ移動させられることにより、本体部の後方にスペースが形成されるため、後面側に作業スペースがない状態で設置することができるのである。換言すれば、前方スペースを後方からの作業を行うために利用することができるのであり、スクリーン印刷機の前方と後方との両方に作業スペースを確保しなくてもよく、単位スペース当たりの生産性が向上し、スペース効率が向上する効果が得られる。
【発明の態様】
【0007】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施形態の記載,従来技術,技術常識等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0008】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(3)項が請求項2に、(5)項が請求項3に、(9)項が請求項4に、(10)項が請求項5に、(11)項が請求項6に、(15)項が請求項7にそれぞれ相当する。
【0009】
(1)(a)回路基板を左右方向に搬送し、印刷位置に位置決めして支持する基板搬送支持装置と、(b)その基板搬送支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う印刷装置と、(c)それら基板搬送支持装置と印刷装置とを保持する印刷機本体とを含むスクリーン印刷機において、
前記印刷機本体の本体部と支持台部とを別体に構成し、支持台部に本体部を前方へ移動可能に支持させたことを特徴とするスクリーン印刷機。
(2)前記本体部と前記支持台部との間に、前記本体部の前記支持台部に対する相対移動の抵抗を軽減する抵抗軽減装置が設けられた(1)項に記載のスクリーン印刷機。
本体部が支持台部に対して軽快に移動可能となり、本体部の移動作業が容易となるとともに、本体部および支持台部の相対移動時の摩擦による損傷が回避され、寿命の長いスクリーン印刷機が得られる。本体部の支持台部に対する移動を案内する案内装置を設け、その案内装置を抵抗軽減装置とすることも可能である。
(3)前記抵抗軽減装置が、
前記支持台部に前後方向に平行に固定された第1ガイドと、前記本体部の後端部に設けられて前記第1ガイドと前後方向に相対移動可能に係合する第1係合ブロックとを含む第1抵抗軽減部と、
前記本体部に前後方向に平行に固定された第2ガイドと、前記支持台部の前端部に設けられて前記第2ガイドと前後方向に相対移動可能に係合する第2係合ブロックとを含む第2抵抗軽減部と
を含む(2)項に記載のスクリーン印刷機。
本体部と支持台部とは第1,第2係合ブロックと第1,第2ガイドとの係合により案内され、移動の前後において相対位置を安定に保ち得る。また、第1,第2係合ブロックと第1,第2ガイドとの少なくとも一方の硬度を高め、面粗さを小さくするとともに潤滑を充分に行い、あるいは、第1,第2係合ブロックを鋼球等の転動体を有するものとすること等により、接触部の摩擦を軽減することができる。その上、本体部が支持台部に対して最も前方へ移動させられた状態でも、最も後方へ移動させられた状態でも、本体部と支持台部とが重なり合う部分の前端部と後端部とにおいて、第1,第2係合ブロックが第1,第2ガイドと係合するため、本体部が支持台部によって最も安定に支持されることとなり、かつ、第1,第2係合ブロックと第1,第2ガイドとに作用する最大の荷重を小さくすることができ、製造コストを低減し得る。第1,第2抵抗軽減部を第1,第2案内部と考えることもできる。
(4)前記本体部の前記支持台部に対する前進端位置を規定するストッパ装置を含む(1)項ないし(3)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
本体部が支持台部から外れたり、支持台部に対して傾いた状態となることを防止することができる。
(5)前記本体部が前記支持台部に対して、前記ストッパ装置により規定される前記前進端位置へ移動させられた状態で、その本体部の重心が、前記支持台部のその本体部を支持する部分の前端より後方に位置する構成とされた(4)項に記載のスクリーン印刷機。
本体部が前方へ最大ストローク移動させられた状態においても、本体部が支持台部に安定に支持される。
(6)さらに、前記本体部の少なくとも後部が前記支持台部から上方へ浮き上がることを防止する浮き上がり防止装置を含み、かつ、前記本体部が前記支持台部に対して、前記ストッパ装置により規定される前記前進端位置へ移動させられた状態で、それら本体部と支持台部とを合わせたものの重心が、前記支持台部の床面に接する部分の前端より後方に位置する構成とされた(4)項に記載のスクリーン印刷機。
支持台部の重量を利用して、本体部の前方への最大ストロークを大きくすることができる。
(7)さらに、
前記本体部に、前後方向に平行な姿勢でかつ回転可能に保持された送りねじと、
その送りねじを回転させるために回転操作されるハンドルと、
前記支持台部に回転不能に保持され、前記送りねじと螺合されたナットと
を含み、前記ハンドルの回転操作に伴って前記本体部を前記支持台部に対して前後方向に進退させるマニュアル駆動装置を含む(1)項ないし(6)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
作業者が本体部を容易に移動させることができる。また、作業者によるハンドルの回転操作速度には限度があるため、本体部の進退速度が制限され、前進,後退のいずれの場合にも停止時における衝撃が少なく、支持台部が床面に対してずれること、あるいは慣性力に基づく回転モーメントにより、本体部が単独で、または支持台部と共に前方へ傾くことが防止される。
(8)さらに、動力により作動するアクチュエータを備え、そのアクチュエータの作動力に基づいて前記本体部を前記支持台部に対して進退させる動力駆動装置を含む(1)項ないし(6)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
動力駆動装置は、例えば、電動回転モータ,送りねじ,ナットを含む装置とされる。
本体部が動力によって移動させられる。本体部の前進端位置および後退端位置を検出するセンサを設け、その検出結果に基づいてアクチュエータが制御されるようにすれば、作業者は前進,後退を指令する操作部材を操作すればよくなる。前進端位置および後退端位置を規定するストッパ装置を設けることが望ましい。
(9)さらに、
(a)前記本体部に、前後方向に平行な姿勢でかつ回転可能に保持された送りねじと、(b)その送りねじを回転させるために回転操作されるハンドルと、(c)前記支持台部に回転不能に保持され、前記送りねじと螺合されたナットとを含み、前記ハンドルの回転操作に伴って前記本体部を前記支持台部に対して前後方向に進退させるマニュアル駆動装置と、
前記本体部の前記支持台部に対する後退端位置を規定するストッパ装置と、
動力により作動するアクチュエータを備え、そのアクチュエータの作動力に基づいて前記本体部を前記支持台部に対して、前記ストッパ装置により後退が阻止されるまで後退させる動力駆動装置と
を含み、かつ、前記ナットと前記支持台部との間に、前記動力駆動装置により前記本体部が後退させられるストローク以上の相対移動を、前記送りねじの回転を伴うことなく許容する遊隙が設けられた(1)項ないし(6)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
本体部がマニュアル駆動装置によって移動させられることによる効果が得られる上、動力駆動装置の作動により、作業者が意識しなくても、本体部が常に確実に後退端位置に位置決めされる効果が得られる。また、動力駆動装置による本体部の後退時には送りねじが回転せず、ハンドルが回転しないため、作業者が自身の操作以上にハンドルが回転して違和感を感じることがない。
(10)さらに、
前記スクリーン印刷機の、前記本体部内に配設される装置の少なくとも一部を支持する可動部材と、
その可動部材を、前記本体部内に位置する収納位置と、前記本体部の後方へ露出したメンテナンス位置とに移動可能に支持する可動部材支持装置と
を含む(1)項ないし(9)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
本体部内の装置を可動部材に載せ、本体部の前方への移動により得られる後方スペースに引き出してメンテナンス作業等を容易に行うことができる。また、本体部の前後方向の中央部付近に装置を設けてもメンテナンスを行うことが可能となり、本体部内の空間の有効利用により印刷機をコンパクトに構成し、スペース効率を更に向上させることができる。
(11)前記可動部材支持装置が、
前記本体部に、前後方向に平行に設けられた第3ガイドと、
その第3ガイドに、その第3ガイドに対して前後方向に相対移動可能に保持され、前記可動部材を前後方向に相対移動可能に保持するた第4ガイドと、
前記可動部材が前記本体部の後方へ引き出される際、その可動部材の引出ストロークより小さいストロークだけ前記第4ガイドを前記第3ガイドに対して後退方向へ移動させる第4ガイド移動装置と
を含む(10)項に記載のスクリーン印刷機。
第4ガイドが第3ガイドに案内されつつ第3ガイドに対して後方へ移動し、その第4ガイドに可動部材が支持されることとなるため、第3ガイドを一時的に後方へ延長したに等しいこととなり、可動部材の後退ストロークを大きくしつつ、可動部材を本体部に安定に支持させることができる。
第4ガイド移動装置としては次項に記載の連動型が望ましいが、不可欠ではない。例えば、第3ガイドと第4ガイドとの間に第4ガイドの第3ガイドに対する相対移動可能量を規定するストッパ装置を設けるとともに、可動部材と第4ガイドとの間に可動部材の第4ガイドに対する相対移動可能量を規定するストッパ装置を設け、それら両ストッパ装置を第4ガイド移動装置とすることも可能である。
(12)前記第4ガイド移動装置が、前記第3ガイド,前記第4ガイドおよび前記可動部材の間に設けられ、前記可動部材の前記後方への引出しに連動して、その可動部材の引出量の半分の量ずつ前記第4ガイドを前記第3ガイドに対して後退方向へ移動させる連動型第4ガイド移動装置である(11)項に記載のスクリーン印刷機。
第4ガイドが第3ガイドに対して長さのほぼ半分の距離移動し、可動部材が第4ガイドに対して前後方向の寸法のほぼ半分の距離移動することとなるため、可動部材の後退ストロークが最大の状態においても、第4ガイドは第3ガイドにより安定に保持され、その第4ガイドにより可動部材が安定に保持されることとなる。
(13)前記印刷機本体の上流側と下流側との少なくとも一方に、(a)前記基板搬送支持装置との間で回路基板の授受を行うとともに、前記基板搬送支持装置による回路基板の搬送方向と直交する方向に移動可能な可動コンベヤと、(b)その可動コンベヤを移動させるコンベヤ移動装置とを含むシャトルコンベヤが取り付けられた(1)項ないし(12)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
シャトルコンベヤは種々の態様で使用することができ、スクリーン印刷機の使い勝手を向上させることができる。本項に記載のスクリーン印刷機によれば、印刷機本体をシャトルコンベヤの支持体として使用することができ、シャトルコンベヤを床面に設置するための専用の支持体が不要である。また、基板搬送支持装置と可動コンベヤとの高さ方向の位置合わせが容易である。
本項に記載の特徴は、(1)項ないし(12)項のいずれに記載の特徴からも独立して採用することが可能である。
(14)前記シャトルコンベヤが取外し可能に取り付けられた(13)項に記載のスクリーン印刷機。
スクリーン印刷機の構成や、被印刷剤が印刷された回路基板について電子回路部品の装着等の対基板作業を施す対基板作業機の種類等に応じてシャトルコンベヤが必要であれば取り付け、不要であれば取外してラインを短く構成したりすることができ、柔軟性に優れたスクリーン印刷機が得られる。また、本体部内の装置に対するメンテナンス作業の都合で、シャトルコンベヤを取り外すことも可能である。
(15)前記シャトルコンベヤが前記本体部に取り付けられ、その本体部と共に前記支持台部に対して前方へ移動可能である(13)項または(14)項に記載のスクリーン印刷機。
シャトルコンベヤについてのメンテナンス作業等が容易になる。また、本項が(14)項に従属する態様においては、シャトルコンベヤの取り外し作業が容易になる。
(16)前記本体部内の空気を前記シャトルコンベヤの下部スペースに排出することにより、前記本体部内において発生した熱を本体部外へ排出する排熱装置を含む(13)項ないし(15)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
本体部内に発生した空気を後方へ排出することができない場合、例えば、スクリーン印刷機が壁面に沿って設けられる場合や、別の装置と背中合わせに設けられる場合でも排熱が良好に行われる。
シャトルコンベヤの下部スペース内に、排出された空気を上方へ導き、加熱された空気が隣接する装置に吹き付けられることを抑制する導風板,導風ダクト等の導風装置を設けることが望ましい。
(17)前記シャトルコンベヤの下部スペースに前記本体部内の装置の補機が配設された(13)項ないし(16)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
シャトルコンベヤ内部のスペースを有効に利用することによりスクリーン印刷機をコンパクトに構成することができる。
上記補機としては、例えば、トランス,バキューム発生装置および加圧空気発生装置の少なくとも1つが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態であるスクリーン印刷機を備えた電子回路組立ラインを示す斜視図である。
【図2】上記スクリーン印刷機を示す側面図である。
【図3】上記スクリーン印刷機の印刷装置,マスク保持装置等を示す側面図である。
【図4】上記スクリーン印刷機の基板搬送支持装置およびシャトルコンベヤを示す平面図である。
【図5】上記スクリーン印刷機の印刷機本体を示す側面図である。
【図6】上記印刷機本体の本体部の支持台部に対する引出し,引込み時におけるマニュアル駆動装置のナットの移動を説明する図である。
【図7】上記スクリーン印刷機の車輪装置,引込装置を示す側面図(一部断面)である。
【図8】上記本体部が支持台部から引き出され、可動台が収納位置に位置する状態を示す側面図である。
【図9】上記可動台がメンテナンス位置に位置する状態を示す側面図である。
【図10】上記可動台および可動台支持装置の一方の側を示す側面図である。
【図11】上記可動台支持装置の2つのガイドを示す背面図(一部断面)である。
【図12】上記可動台が上記2つのガイドの一方に設けられたローラにより案内される状態を示す背面図である。
【図13】上記スクリーン印刷機を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、請求可能発明の実施形態を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0012】
図1に、請求可能発明の一実施形態であるスクリーン印刷機を含む電子回路組立ラインを図示する。本電子回路組立ラインは、1台以上、本実施形態においては複数台、例えば、2台のスクリーン印刷機10(以後、印刷機10と略称する)と、1台以上、本実施形態においては複数台、例えば、4台の電子回路部品装着機14(以後、装着機14と略称する)とを備えている。印刷機10および装着機14は、回路基板に対して作業を施す対基板作業機の一種であり、電子回路組立ラインは対基板作業ラインの一種である。2台の印刷機10は、スクリーン印刷ラインを構成し、4台の装着機14に対して、電子回路組立ラインにおける回路基板の搬送方向において上流側に互いに隣接し、回路基板の搬送方向に平行に左右に並んで配設されている。本実施形態においては、左右方向が回路基板の搬送方向であり、搬送方向と直交する方向を前後方向とする。本実施形態においては、左右方向および前後方向はいずれも水平である。また、本電子回路組立ラインは、印刷機10および装着機14の各背面が壁面(図示省略)に沿った状態で設けられている。
【0013】
2台の印刷機10は同様に構成されており、上流側の印刷機10を代表して説明する。
印刷機本体18は、図2に示すように、本体部20と支持台部22とが別体に構成され、本体部20は支持台部22により前方へ移動可能に支持されている。支持台部22は、その4隅に設けられた脚部24において床面26上に設置されている。
【0014】
本体部20は複数の部材が組み付けられて成り、複数の段部、本実施形態においては上段部28,中段部30および下段部32を含む。図3に示すように、上段部28にマスク保持装置34および印刷装置36が設けられ、中段部30に基板搬送支持装置38および通過基板搬送装置40(図4参照)が設けられている。本マスク保持装置34は、マスク支持台42上に載置されたマスク44を水平な姿勢で保持する。印刷装置36は、1対のスキージ46,それらスキージ46をマスク44に沿って前後方向に移動させるスキージ移動装置48および1対のスキージ46をそれぞれ昇降させ、マスク44に接触,離間させるスキージ昇降装置50を含む。
【0015】
本基板搬送支持装置38は、図4に示すように中段部30の前部に設けられ、メインコンベヤ60と、搬送方向においてメインコンベヤ60の上流側に配設されたインコンベヤ62と、下流側に配設されたアウトコンベヤ64とを含む。メインコンベヤ60は、コンベヤ装置66および基板支持装置68を含む。コンベヤ装置66は、本実施形態においてはベルトコンベヤにより構成され、1対のコンベヤベルト70と、それらコンベヤベルト70をそれぞれ周回させるベルト周回装置72とを含む。1対のコンベヤベルト70はそれぞれ、サイドフレーム74により周回可能に支持され、周回用モータ76を駆動源とするベルト周回装置72により同期して周回させられ、回路基板をその被印刷面が水平となる姿勢で搬送する。
【0016】
メインコンベヤ60にはストッパ装置(図示省略)が設けられ、回路基板が所定の印刷位置に停止させられ、位置決めされる。また、コンベヤ装置66の回路基板の搬送幅は、搬送幅変更装置82により自動的に変更される。基板支持装置68は、本実施形態においては、図3に概略的に示すように、支持部材たる複数の支持ピン86,ピン支持台88および支持台昇降装置90を含み、回路基板92を下方から支持する。また、本実施形態においては、基板支持装置68はコンベヤ装置66と共同して基板クランプ装置を構成し、メインコンベヤ60が昇降装置(図示省略)によって昇降させられることにより、回路基板92がマスク44の下面に接触離間させられる。
【0017】
インコンベヤ62およびアウトコンベヤ64は、メインコンベヤ60と同様に、コンベヤ装置94および搬送幅変更装置96(図4参照)を備えており、同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
【0018】
前記通過基板搬送装置40は、図4に示すように、中段部30の後部に設けられ、コンベヤ62,64と同様にコンベヤ装置100および搬送幅変更装置102を備えている。コンベヤ装置100はベルトコンベヤにより構成され、コンベヤ62,64と平行に設けられ、搬送方向において印刷機10の一方の端から他方の端に至るまで設けられている。通過基板搬送装置40においてコンベヤ62,64の構成要素と同じ作用を成す構成用要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
【0019】
本印刷機10において印刷機本体18の本体部20は、作業者がマニュアル駆動装置120を操作することにより支持台部22に対して前後方向に進退させられ、本体部20の支持台部22に対する相対移動の抵抗が抵抗軽減装置122により軽減される。
【0020】
本抵抗軽減装置122は、図2に示すように、第1の抵抗軽減部130と第2の抵抗軽減部132とを含む。抵抗軽減部130は、支持台部22に設けられた1対のガイド134と、本体部20に設けられた1対の係合ブロック136とを含む。本ガイド134はレール状を成し、支持台部22の上面後部の左右方向に隔たった両端部にそれぞれ、前後方向に平行に固定されている。また、1対の係合ブロック136は、本体部20の下面の後端部の左右方向に隔たった両端部にそれぞれ固定して設けられている。
【0021】
抵抗軽減部132は、本体部20に設けられた1対のガイド138と、支持台部22に設けられた1対の係合ブロック140とを含む。本ガイド138はレール状を成し、本体部20の下面前部の左右方向に隔たった両端部にそれぞれ、前後方向に平行に固定され、係合ブロック140は支持台部22の上面の前端部の左右方向に隔たった両端部にそれぞれ固定して設けられている。
【0022】
係合ブロック136,140はそれぞれ、ガイド134,138に前後方向に相対移動可能に嵌合されている。本実施形態においては、係合ブロック136,140がそれぞれ複数の鋼球(図示省略)を周回路に沿って周回可能に保持し、それら鋼球の一部により、ガイド134,138の各一対の側面にそれぞれ、前後方向に延びる状態で形成されたガイド溝と係合させられ、本体部20の荷重を支持するのみならず、何らかの理由で本体部20に外力が加えられた場合に、本体部20が支持台部22から浮き上がることを防止する。本実施形態においては、複数の鋼球およびガイド134,138のガイド溝が浮き上がり防止装置を構成している。この浮き上がり防止装置の構成はよく知られており、図示および説明を省略する。
【0023】
前記マニュアル駆動装置120は、図5に示すように、送りねじ150,ハンドル152およびナット154を含む。送りねじ150は、本体部20の下面の前部側に前後方向に平行な姿勢で、軸方向に移動不能かつ回転可能に取り付けられ、その前端部は本体部20の前端部に至るとともに、ハンドル152が取り付けられている。
【0024】
ナット154は、図5に示すように、支持台部22の前部に設けられ、複数の鋼球を保持して送りねじ150と螺合され、送りねじ150と共にボールねじ機構を構成している。本実施形態においては、ナット154には、その下面の前後方向に隔たった2箇所にそれぞれ突部156,158が突設されて係合部を構成し、それら突部156,158が、支持台部22に設けられた係合部160の前後に位置する状態でナット154が設けられている。係合部160は支持台部22の左右方向の梁材により構成され、突部156,158の間隔は係合部160の前後方向の長さより長くされ、図6に示すように、ナット154と支持台部22との間には前後方向の遊隙が設けられている。
【0025】
ナット154と係合部160との間の上下方向の隙間は小さくされており、それによりナット154の支持台部22に対する前後方向に平行な軸線まわりの回転が阻止される。また、ナット154は、突部156,158の一方が係合部160に係合することにより支持台部22に対する移動を阻止され、その状態でハンドル152が回転操作されることにより、送りねじ150が回転させられつつ軸方向に移動させられ、本体部20が支持台部22に対して前進,後退させられる。遊隙を設ける理由は後に説明する。支持台部に1対の係合部が設けられ、ナットに、それら1対の係合部と択一的に係合する係合部が設けられてもよい。
【0026】
本体部20の支持台部22に対する前進端位置および後退端位置は、図7に示すストッパ装置164により規定される。ストッパ装置164は、本実施形態においては、本体部20の下面から下方へ突出させられた突部状の本体部側ストッパ部166と、支持台部22の上面から上方へ突出させられた突部状の1対の支持台部側ストッパ部168,170とを含む。支持台部側ストッパ部168,170は前後方向に距離を隔てて設けられ、本体部側ストッパ部166の前側の支持台部側ストッパ部168への当接により本体部20の前進端位置が規定され、後側の支持台部側ストッパ部170への当接により後退端位置が規定される。
【0027】
本実施形態においては、前側の支持台部側ストッパ部168は、本体部20が支持台部22に対して前進端位置へ移動させられた状態で、本体部20の重心が、支持台部22の本体部20を支持する部分の前端より後方に位置する位置に設けられている。また、後側の支持台部側ストッパ部170は、図7に示すように、本体部20全体が支持台部22上に引き込まれた位置を後退端位置とする位置に設けられている。
【0028】
本実施形態においては、図7に示すように、動力駆動装置たる引込装置180が設けられ、本体部20は自動的に後退端位置に位置決めされる。本引込装置180はエアシリンダ182を駆動源とする。エアシリンダは、流体圧アクチュエータたる流体圧シリンダの一種であり、圧縮エアを動力として作動する。本実施形態においてはエアシリンダ182はピストンが図示しない弾性部材により後退方向に付勢された単動シリンダとされ、そのシリンダハウジング184の一端部が支持台部22に回動可能に取り付けられ、ピストンロッド186の先端部に係合部材たるレバー188が取り付けられている。レバー188は支持台部22に回動可能に取り付けられ、その回動軸線から延び出させられたアーム部190がピストンロッド186に回動可能に連結されている。また、レバー188の回動軸線から、アーム部190とは反対側へ延び出させられた別のアーム部192の先端部にはローラ194が回転可能に取り付けられ、係合部たる回転係合部を構成している。
【0029】
本体部20の下端部には、図7に示すように係合突部196が突設され、被係合部を構成している。レバー188はピストンロッド186の伸縮により回動させられ、実線で示すように、ローラ194が係合突部196の移動経路より下方に位置してその進退を許容する退避位置と、二点鎖線で示すように、ローラ194が上記移動経路内へ進入させられ、係合突部196に係合して本体部20を後退させる作用位置とに移動させられる。なお、引込装置180および係合突部196と前記ストッパ装置164とは、左右方向において異なる位置に設けられている。
【0030】
エアシリンダ182は、支持台部22に設けられたセンサ200(図1参照)の出力信号に基づいて作動させられ、センサ202(図1,図6参照)の出力信号に基づいて作動を解除される。センサ200,202は、例えば、非接触型センサの一種である光電センサたる透過型光電センサにより構成され、受光部の受光の有無によって異なる信号を出力する。本実施形態においては、センサ200は本体部側ストッパ部166により受光部の受光が妨げられ、信号がONからOFFに変化し、その変化に基づいてエアシリンダ182に圧縮エアが供給され、レバー188が作用位置へ回動させられる。そのため、センサ200および係合突部196は、本体部側ストッパ部166と後側の支持台部側ストッパ部170との距離がローラ194の作動ストロークより短くなった状態でローラ194が係合突部196の前端面に係合し、本体部20を後方へ押し、後退端位置に位置させた状態においても押し続ける状態が得られる位置に設けられている。本体部側ストッパ部166には、その前端から前方へ延び出す突条部204が設けられ、本体部側ストッパ部166と共に被検出部を構成しており、本体部20が後退端位置へ移動させられた状態においても受光部の受光が妨げられる。そのため、エアシリンダ182の作動により本体部20が後退端位置に位置する状態に保たれる。
【0031】
センサ202は支持台部22の、前記ナット154の後側の突部158と係合部160との間の遊隙の大きさに応じて出力信号が変化する位置に設けられている。本体部20が後退端位置に位置決めされた状態では、図6(a)に示すように突部156,158と係合部160との間に隙間があるが、後に説明するように、本体部20が支持台部22から引き出される際にナット154が送りねじ150に対して後方へ移動し、突部156が係合部160に係合するため、突部158と係合部160との間の隙間が大きくなり、図6(b)に示すように最大となる。そのため、センサ202は、本体部20が後退端位置に位置決めされ、隙間が最大より短い状態では受光部の受光が妨げられてOFF信号を出力し、隙間が最大の状態となる以前に受光部が受光状態となってON信号を出力する位置に設けられている。
【0032】
センサ202の出力信号のOFFからONへの変化に基づいてエアシリンダ182のエア室が大気に開放され、レバー188が退避位置へ回動させられて本体部20の支持台部22に対する前進が許容される。本実施形態においては、センサ202が、引込装置180の作動解除を指令する解除指令装置を構成している。解除指令装置は、作業者により操作されるスイッチにより構成されてもよい。作業者が本体部20の支持台部22からの引出し操作に先立ってスイッチを操作し、作動解除を制御装置に入力し、エアシリンダ182のエア室が大気に開放されるようにするのである。
【0033】
本体部20には、図7に示すように車輪装置208が設けられている。車輪装置208は、車輪210および車輪保持体212を含み、本体部22の底壁214の前端部の下面216に取り付けられている。車輪保持体212は車輪210を回転可能に保持し、底壁214との間に配設された弾性部材たる圧縮コイルスプリング218により本体部20から離間する向きに付勢されている。スプリング218は1つ以上、本実施形態においては複数、例えば、3つ設けられている。3つのスプリング218のうちの2つは、車輪保持体212の昇降をガイドするガイドロッド220の外側に嵌合されている。ガイドロッド220は棒状を成し、車輪保持体212上に突設されるとともに、底壁214を上下方向に相対移動可能に貫通させられている。スプリング218の付勢による本体部20と車輪保持体212との離間限度は、ガイドロッド220の上端部に設けられた係合部222が底壁214の上面に係合することにより規定されており、スプリング218には予荷重が付与されている。本実施形態においては、係合部222は、底壁214に係合した状態において、車輪210が床面26から僅かに離れた状態となるように設けられている。弾性部材は、車輪保持体と本体部との間に設けられるのに替えて、あるいはそれと共に、車輪と車輪保持体との間に設けられてもよい。
【0034】
本体部20の下段部32内には、図8に示すように可動部材たる可動台240および可動部材支持装置たる可動台支持装置242が設けられている。可動台支持装置242は、図10に示すように、下段部32の下部に前後方向に平行に設けられた1対のガイド244と、それらガイド244に保持された別の1対のガイド246と、ガイド246をガイド244に対して後退方向へ移動させる連動型ガイド移動装置248とを含む。図8には、一方のガイド244,246が図示されている。1対のガイド244は長手形状を成し、左右方向に隔たって設けられ、図11に一方を示すように、下段部32に鉛直な姿勢で固定して設けられた側板部252と、側板部252の下端部から直角に延び出させられたレール部254と、側板部252の上端部から延び出させられた係合部256とを含む。
【0035】
1対のガイド246は長手形状を成し、一方を図12に示すように、鉛直に設けられる側板部258と、側板部258の下端部から直角に突出させられたリブ260と、横断面形状がL字形を成し、側板部258の上端部から突出させられた保持部262とを含む。側板部258の下部の後側には、図10に示すように、2個のローラ264が前後方向に距離を隔てて回転可能に取り付けられている。これらローラ264は、その下部が、リブ260に設けられた開口266を通ってリブ260の下方へ突出させられるとともに、ガイド244のレール部254上に転動可能に載置され、ガイド246はガイド244により前後方向に相対移動可能に保持されている。ガイド246のガイド244に対する移動は、リブ260から下方へ突出して設けられたストッパ部270が、レール部254に前後方向に延びる状態で形成された切欠272内に嵌入させられ、切欠272の前端面274,後端面276に当接することにより規定される。これらストッパ部270,端面274,276がストッパ装置278を構成し、ガイド246のガイド244に対する移動量を、ガイド246の長さのほぼ半分とするようにされている。
【0036】
側板部258にはまた、図10に示すように、その前端部の上部にローラ280が回転可能に取り付けられている。このローラ280は、ガイド244の係合部256に設けられた溝281に嵌合されている。側板部258にはさらに、その後端部の下部にローラ282が回転可能に取り付けられるとともに、保持部262の前後方向の中間部にローラ284が回転可能かつ前後方向に相対移動可能に保持されている。ローラ284の移動は、保持部262に設けられたストッパ部(図示省略)により規定され、前記2個のローラ264の間において移動する。
【0037】
可動台240には、その左右方向に隔たった両側面にそれぞれ、レール290が設けられている(図10には、一方のレール290が図示されている)。レール290は前後方向に長く、図11および図12に示すように、ガイド246のローラ264,282上に載せられ、支持されている。レール290の後端部と、後端部から前方へ隔たった部分とにはそれぞれ、突部292,294が突設されており、側板部258に突設された突部296に当接することにより、可動台240のガイド246に対する前進端位置と後退端位置とが規定される。突部292,294,296が係合部を構成し、ストッパ装置298を構成し、可動台240のガイド246に対する移動量を、可動台240の前後方向の寸法のほぼ半分とするようにされている。本実施形態においては、回転支持体を構成するローラ264,282およびストッパ装置278,298が連動型ガイド移動装置248を構成している。
【0038】
可動台240上には、印刷機10を構成する装置、例えば、電装品の一種であり、印刷機10を制御する制御装置300が載せられる。制御装置300はコンピュータを主体として構成され、印刷機10を構成する各種装置の駆動源等を制御する。本印刷機10において駆動源を構成するモータの多くは、電動モータの一種であり、回転角度の正確な制御が可能な回転電動モータであるサーボモータにより構成される。リニアモータにより構成されてもよい。制御装置300は、電子回路組立ライン全体を制御する統括制御装置302(図1参照)により統括して制御される。統括制御装置302はコンピュータを主体として構成されている。
【0039】
本印刷機10には、図4および図13に示すように、本体部20の下流側にシャトルコンベヤ310が取り付けられている。本シャトルコンベヤ310は、コンベヤ本体312,可動コンベヤ314およびコンベヤ移動装置316を含む。コンベヤ本体312は、図2に示すように、複数の部材が組み付けられて枠状を成し、複数の段部、例えば、上段部318と下段部320とに分かれている。コンベヤ本体312は、本体部20の下流側の側面に複数のボルト(図示省略)によって固定されており、ボルトを緩めて本体部20から取り外すことができる。シャトルコンベヤ310は、図13に示すように、床面26から浮いた状態で本体部20に取り付けられている。
【0040】
可動コンベヤ314は上段部318に設けられ、図4に示すように、コンベヤ装置326および搬送幅変更装置328を備えている。コンベヤ装置326は、前記コンベヤ62,64のコンベヤ装置94と同様に構成され、1対のサイドフレーム330にそれぞれ支持されたコンベヤベルト332と、周回用モータ334を駆動源とし、1対のコンベヤベルト332をそれぞれ周回させるベルト周回装置336とを含む。
【0041】
コンベヤ移動装置316は、図4に示すように、駆動源たるシャトル用モータ342,ベルト344および複数のプーリ346を含む。ベルト344はタイミングベルトとされ、プーリ346はタイミングプーリとされている。複数のプーリ346のうちの1つがシャトル用モータ342により回転させられ、ベルト344が移動させられる。それにより、1対のガイドロッド348を含む案内装置350により案内されつつ、1対のサイドフレーム330が搬送幅変更装置328と共に移動させられる。可動コンベヤ314は前後方向の任意の位置へ移動させられ、図4に一点鎖線および二点鎖線で例示するように、その上流側あるいは下流側において回路基板の受渡しを行うコンベヤに連なる位置へ移動させられる。シャトルコンベヤ310は制御装置300により制御される。
【0042】
コンベヤ本体312の下段部320には、図13に示すように、複数の床材360が取り付けられ、下段部320内のスペースである下部スペース362に本体部20内の補機、本実施形態においてはトランス364が配設されている。印刷機本体18およびコンベヤ本体312はそれぞれ、図1に示すようにハウジング366,368により覆われている。ハウジング366,368はそれぞれ、印刷機10の下流側および上流側において回路基板の受渡しに必要な開口が設けられるとともに、下段部32内のスペースである下部スペース370とシャトルコンベヤ310の下部スペース362とがつながるようにされており、印刷機10の補機をシャトルコンベヤ310内に置いて使用することができる。ハウジング366の前面には、図1に示すように開口372が形成され、作業者は開口372から手を入れて前記ハンドル152を操作する。
【0043】
また、本体部20の下段部32のシャトルコンベヤ310に隣接する部分の上部には、図13に示すように、排熱装置の一種であるファン376が取り付けられている。ファン376は、本体部20内において発生した熱を本体部20外へ、本実施形態においては本体部20に取り付けられたシャトルコンベヤ310の下部スペース362に排出するように設けられている。下部スペース362には、導風板378が取り付けられている。導風板378は、下部スペース362の上部に、下方ほど本体部20に接近する向きに傾斜して取り付けられており、下部スペース362内に置かれる補機との干渉が回避されるとともに、ファン376により排出された空気を上方へ導き、ハウジング368の天井部に形成された排気口から外へ排出させる。それにより、本体部20から排出された熱い空気が下流側の印刷機10あるいは装着機14に吹き付けられたり、隣接する装置からの排気とぶつかることが回避される。
【0044】
前記4台の装着機14は、本実施形態においては特開2004−104075号公報に記載の電子回路部品装着機と同様に構成され、モジュール化されており、図1に一部を示すように、それぞれ、装着機本体390,基板搬送装置392,基板支持装置394,部品供給装置396,部品装着装置398および制御装置400等を含み、1枚の回路基板への電子回路部品の装着を分担し、並行して行う。基板搬送装置392は、1対のコンベヤ402を備えている。これらコンベヤ402は、装着機本体390の前後方向に並んで平行に設けられている。コンベヤ402は、本実施形態においてはベルトコンベヤにより構成され、図示を省略する搬送幅変更装置により、搬送幅が自動的に調節される。基板支持装置394は2つのコンベヤ402の各々について設けられ、いずれのコンベヤ402により搬送される回路基板も基板支持装置394により支持され、電子回路部品の装着が行われる。制御装置400はコンピュータを主体として構成され、前記統括制御装置302により統括して制御される。
【0045】
以上のように構成された電子回路組立ラインにおいては、2台の印刷機10において並行して回路基板への被印刷剤、本実施形態においてはクリーム状はんだ(以後、はんだと略称する)の印刷が行われる。2台の印刷機10のうち、上流側の印刷機10においてはんだが印刷される回路基板は基板搬送支持装置38に供給され、インコンベヤ62からメインコンベヤ60に搬入される。回路基板は基板支持装置68により支持されてマスク44に接触させられ、印刷装置36によりはんだが印刷される。印刷後、回路基板はアウトコンベヤ64へ搬出され、アウトコンベヤ64からシャトルコンベヤ310の可動コンベヤ314に移載される。そして、可動コンベヤ314から下流側の印刷機10の通過基板搬送装置40に搬入されてその印刷機10を通過し、下流側の印刷機10のシャトルコンベヤ310によって装着機14の後側のコンベヤ402に搬入され、電子回路部品が装着される。
【0046】
また、下流側の印刷機10においてはんだが印刷される回路基板は、上流側の印刷機10の通過基板搬送装置40に供給され、その上流側印刷機10を通過させられ、シャトルコンベヤ310によって下流側の印刷機10の基板搬送支持装置38に搬入され、はんだが印刷される。そして、シャトルコンベヤ310によって装着機14の前側のコンベヤ402に搬入され、電子回路部品が装着される。
【0047】
本印刷機10において、通常は、図2に示すように、本体部20が支持台部22上に引き込まれ、引込装置180の作動により後退端位置に位置する状態に保たれている。また、図6(a)に示すように、ナット154の突部156,158と支持台部22の係合部160との間に隙間がある。そのため、作業者がメンテナンス等を行うために本体部20を支持台部22から引き出す際にはハンドル152を回転操作するが、当初は送りねじ150は移動せず、ナット154が送りねじ150に対して後退させられ、図6(b)に示すように、前側の突部156が係合部160に係合させられる。そのため、突部158と係合部160との間の隙間が大きくなり、センサ202の信号がOFFからONに変わり、本体部20の引出しが行われることが検出される。そして、レバー188が退避位置へ回動させられて本体部20の引出しが許容され、ハンドル152が回転操作されることにより送りねじ150が前進させられ、それにより、図8に示すように本体部20がハウジング366と共に支持台部22から引き出される。本体部20と共にシャトルコンベヤ310も引き出され、支持台部22に対して前方へ移動させられる。
【0048】
引出しは、ガイド134,138および係合ブロック136,140により案内されるとともに、移動抵抗が軽減される。作業者は本体部20を前進端位置まで引き出すことができるが、係合ブロック136が本体部20の後端部に設けられ、係合ブロック140が支持台部22の前端部に設けられるとともに、それらに対応してガイド134,138がそれぞれ支持台部22と本体部22とに設けられているため、本体部20は支持台部22からの引出し量の大きさにかかわらず、支持台部22と重なる部分が常に4隅において支持され、安定して支持される。
【0049】
床面26は平坦であり、車輪210は、本体部20の引出し時にも引込み時にも原則的には床面26から僅かに離れているが、本体部20が支持台部22から引き出された状態で本体部20に下向きの力が加えられ、本体部20が僅かに傾いた場合には床面26に接触してそれ以上の傾きを防止する。また、万一、床面26が平面でないために車輪210が床面26に接触した場合には、スプリング218が圧縮され、車輪210が床面26上を転動し、本体部20は水平な姿勢を保ちつつ進退させられることが許容される。このように、車輪210が床面26に接触した状態では、弾性部材が本体部20の重量の少なくとも一部を車輪210に伝達する。
【0050】
本体部20を支持台部22上に戻す場合には、作業者はハンドル152を引出し時とは逆向きに回転操作する。操作開始当初は送りねじ150は軸方向に移動せず、ナット154が送りねじ150に対して前方へ移動させられ、図6(c)に示すように、後側の突部158が係合部160に係合させられる。その状態から更にハンドル152が回転操作されることにより、送りねじ150が後退させられ、本体部20がハウジング366と共に支持台部22上に引き込まれる。なお、このナット154の移動によりセンサ202の検出信号がONからOFFに変わるが、この変化は制御装置300において無視され、利用されない。
【0051】
本体部側ストッパ突部166がセンサ200により検出されれば、エアシリンダ182が作動させられてレバー188が作用位置へ回動させられ、本体部20を自動的に後退端位置へ移動させる。この際、ナット154は、図6(c)に示すように、突部156と係合部160との間に隙間があるため、送りねじ150と共に後方へ移動させられる。そのため、送りねじ150が回転させられず、後退するのみであり、ハンドル152も回転させられない。ナット154と係合部160との間の遊隙は、引込装置180が本体部20を後退端位置へ後退させるストロークより大きくされており、引込装置180による本体部20の引込みが送りねじ150の回転を伴うことなく許容される。本体部20の引込みと共にシャトルコンベヤ310も後退させられ、支持台部20と並ぶ位置へ戻される。
【0052】
印刷機10において前記可動台240は、常には、図8に示す収納位置に位置させられている。本体部20が支持台部22から引き出されれば、支持台部22の後部上方に空いたスペースが得られる。そのため、作業者は、図9に示すように、可動台240を本体部20の後方へ露出したメンテナンス位置へ引き出し、制御装置300についてメンテナンスを行うことができる。本体部20と共にシャトルコンベヤ310も支持台部22より前へ移動させられるため、シャトルコンベヤ310の後方にも空いたスペースが得られ、作業者が本体部20の後方スペースへ入ることを妨げない。
【0053】
可動台240は、本体部20から引き出されるとき、ローラ264,282を回転させる。それにより、可動台240が軽快に移動させられるとともに、ローラ264がレール部254上を転動し、ガイド246がガイド244に対して後方へ移動させられる。転動時におけるローラ264の頂点の周速は回転軸線の2倍であり、ローラ264の転動により移動するガイド246の移動距離は、レール290がローラ264の頂面に載置された可動台240の半分であり、ガイド246は可動台240の引出し量の半分の量ずつ、ガイド244に対して後退方向へ移動させられる。そのため、可動台240,ガイド246はそれぞれ、図9に示すように後退端位置まで移動させられた状態でも、ガイド246,244によって前後方向の寸法のほぼ半分の長さを支持され、安定して保持される。また、ガイド246のローラ284がローラ264との間でレール290を挟むことにより、可動台240の後傾が防止される。さらに、ローラ280がガイド244の係合部256に係合することにより、ガイド246の後傾が防止される。
【0054】
可動台240を収納位置へ移動させる場合には、作業者は可動台240を押して本体部20内へ移動させる。この場合にも、ローラ264,282の回転により可動台240が前進させられるとともに、ローラ264の転動によりガイド246がガイド244に対して前進させられ、ガイド244内に収められる。
【0055】
なお、本体部の支持台部からの引出しにより、本体部の後方にスペースが得られるため、印刷機を別の装置と背中合わせに配設することができる。別の装置は、印刷機でもよく、装着機,接着剤塗布機,基板検査機等、印刷機以外の対基板作業機でもよく、対基板作業機以外の装置でもよい。例えば、図1に示す電子回路組立ラインと同様のラインを2組、左右対称に配設し、印刷機同士、装着機同士が背中合わせとなるように設けてもよく、あるいは2組の電子回路組立ラインを180度回転させた位相で設け、印刷機と装着機とが背中合わせとなるように設けてもよい。このように電子回路組立ラインを設ければ、生産性がより向上する効果が得られる。
電子回路組立ラインは、印刷機を1台含むラインとしてもよい。
【0056】
また、印刷機に車輪装置と浮き上がり防止装置との少なくとも一方が設けられれば、本体部が支持台部に対して、ストッパ装置により規定される前進端位置へ移動させられた状態で、本体部の重心を、支持台部の本体部を支持する部分の前端より前方に位置させ、本体部の前方への最大ストロークを大きくすることができる。車輪装置のみが設けられる場合、車輪は常に床面に接触するように設けられる。浮き上がり防止装置のみが設けられる場合、本体部と支持台部とを合わせたものの重心は、支持台部の床面に接する部分の前端より後方に位置させられる。両装置が設けられる場合、車輪は原則的には床面から僅かに離れた状態で設けられ、特殊な場合、例えば、浮き上がり防止装置の構成要素間に隙間があれば接地して本体部の前傾を防止し、あるいは床面に凸部があれば、弾性部材の弾性変形により本体部材の姿勢を水平に保ちつつこれを乗り越える。
【0057】
さらに印刷機は通過基板搬送装置は有さないものとしてもよい。このような印刷機においてシャトルコンベヤは必要に応じて設けられ、例えば、被印刷剤が印刷された回路基板が供給される装置が、平行に配設された複数の基板搬送装置を備える場合に設けられる。
【符号の説明】
【0058】
10:スクリーン印刷機 18:印刷機本体 20:本体部 22:支持台部 120:マニュアル駆動装置 122:抵抗軽減装置 240:可動台 242:可動台支持装置 310:シャトルコンベヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷機には、下記の特許文献1に記載されているように、印刷機本体と、印刷機本体に保持された基板搬送支持装置および印刷装置とを有するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−15307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスクリーン印刷機には未だ改善の余地がある。例えば、スクリーン印刷機の前方には、通常の操作や前方から行うことが可能な作業等を行うための前方スペースが必要であるが、メンテナンス等を行うためにスクリーン印刷機の後方にも作業スペースが必要である場合が多く、その場合には、スクリーン印刷機を設置する際、前方スペースに加えて後方スペースも確保しつつ設置することが必要であり、所要スペースが広くなり、スペース効率が悪いという不都合がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、上記不都合を解消するなど、改善されたスクリーン印刷機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、(a)回路基板を左右方向に搬送し、印刷位置に位置決めして支持する基板搬送支持装置と、(b)その基板搬送支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う印刷装置と、(c)それら基板搬送支持装置と印刷装置とを保持する印刷機本体とを含むスクリーン印刷機において、前記印刷機本体の本体部と支持台部とを別体に構成し、支持台部に本体部を前方へ移動可能に支持させることにより解決される。
【発明の効果】
【0006】
本体部を支持台部に対して前方へ移動させることにより、支持台部の後部上方であって、本体部の後方にスペースが得られ、作業者がメンテナンス等の作業を行うことが可能となる。
スクリーン印刷機は前面側から操作されるのが普通であり、それの前方に作業スペースを設けることは不可欠である。また、スクリーン印刷機が、後面側からも作業を行うことが必要なものである場合には、通常であれば、そのスクリーン印刷機を、それの後面を壁あるいは他の装置に近接させた状態で設置することはできない。それに対して、上記構成のスクリーン印刷機においては、本体部が支持台部に対して前方へ移動させられることにより、本体部の後方にスペースが形成されるため、後面側に作業スペースがない状態で設置することができるのである。換言すれば、前方スペースを後方からの作業を行うために利用することができるのであり、スクリーン印刷機の前方と後方との両方に作業スペースを確保しなくてもよく、単位スペース当たりの生産性が向上し、スペース効率が向上する効果が得られる。
【発明の態様】
【0007】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施形態の記載,従来技術,技術常識等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0008】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(3)項が請求項2に、(5)項が請求項3に、(9)項が請求項4に、(10)項が請求項5に、(11)項が請求項6に、(15)項が請求項7にそれぞれ相当する。
【0009】
(1)(a)回路基板を左右方向に搬送し、印刷位置に位置決めして支持する基板搬送支持装置と、(b)その基板搬送支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う印刷装置と、(c)それら基板搬送支持装置と印刷装置とを保持する印刷機本体とを含むスクリーン印刷機において、
前記印刷機本体の本体部と支持台部とを別体に構成し、支持台部に本体部を前方へ移動可能に支持させたことを特徴とするスクリーン印刷機。
(2)前記本体部と前記支持台部との間に、前記本体部の前記支持台部に対する相対移動の抵抗を軽減する抵抗軽減装置が設けられた(1)項に記載のスクリーン印刷機。
本体部が支持台部に対して軽快に移動可能となり、本体部の移動作業が容易となるとともに、本体部および支持台部の相対移動時の摩擦による損傷が回避され、寿命の長いスクリーン印刷機が得られる。本体部の支持台部に対する移動を案内する案内装置を設け、その案内装置を抵抗軽減装置とすることも可能である。
(3)前記抵抗軽減装置が、
前記支持台部に前後方向に平行に固定された第1ガイドと、前記本体部の後端部に設けられて前記第1ガイドと前後方向に相対移動可能に係合する第1係合ブロックとを含む第1抵抗軽減部と、
前記本体部に前後方向に平行に固定された第2ガイドと、前記支持台部の前端部に設けられて前記第2ガイドと前後方向に相対移動可能に係合する第2係合ブロックとを含む第2抵抗軽減部と
を含む(2)項に記載のスクリーン印刷機。
本体部と支持台部とは第1,第2係合ブロックと第1,第2ガイドとの係合により案内され、移動の前後において相対位置を安定に保ち得る。また、第1,第2係合ブロックと第1,第2ガイドとの少なくとも一方の硬度を高め、面粗さを小さくするとともに潤滑を充分に行い、あるいは、第1,第2係合ブロックを鋼球等の転動体を有するものとすること等により、接触部の摩擦を軽減することができる。その上、本体部が支持台部に対して最も前方へ移動させられた状態でも、最も後方へ移動させられた状態でも、本体部と支持台部とが重なり合う部分の前端部と後端部とにおいて、第1,第2係合ブロックが第1,第2ガイドと係合するため、本体部が支持台部によって最も安定に支持されることとなり、かつ、第1,第2係合ブロックと第1,第2ガイドとに作用する最大の荷重を小さくすることができ、製造コストを低減し得る。第1,第2抵抗軽減部を第1,第2案内部と考えることもできる。
(4)前記本体部の前記支持台部に対する前進端位置を規定するストッパ装置を含む(1)項ないし(3)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
本体部が支持台部から外れたり、支持台部に対して傾いた状態となることを防止することができる。
(5)前記本体部が前記支持台部に対して、前記ストッパ装置により規定される前記前進端位置へ移動させられた状態で、その本体部の重心が、前記支持台部のその本体部を支持する部分の前端より後方に位置する構成とされた(4)項に記載のスクリーン印刷機。
本体部が前方へ最大ストローク移動させられた状態においても、本体部が支持台部に安定に支持される。
(6)さらに、前記本体部の少なくとも後部が前記支持台部から上方へ浮き上がることを防止する浮き上がり防止装置を含み、かつ、前記本体部が前記支持台部に対して、前記ストッパ装置により規定される前記前進端位置へ移動させられた状態で、それら本体部と支持台部とを合わせたものの重心が、前記支持台部の床面に接する部分の前端より後方に位置する構成とされた(4)項に記載のスクリーン印刷機。
支持台部の重量を利用して、本体部の前方への最大ストロークを大きくすることができる。
(7)さらに、
前記本体部に、前後方向に平行な姿勢でかつ回転可能に保持された送りねじと、
その送りねじを回転させるために回転操作されるハンドルと、
前記支持台部に回転不能に保持され、前記送りねじと螺合されたナットと
を含み、前記ハンドルの回転操作に伴って前記本体部を前記支持台部に対して前後方向に進退させるマニュアル駆動装置を含む(1)項ないし(6)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
作業者が本体部を容易に移動させることができる。また、作業者によるハンドルの回転操作速度には限度があるため、本体部の進退速度が制限され、前進,後退のいずれの場合にも停止時における衝撃が少なく、支持台部が床面に対してずれること、あるいは慣性力に基づく回転モーメントにより、本体部が単独で、または支持台部と共に前方へ傾くことが防止される。
(8)さらに、動力により作動するアクチュエータを備え、そのアクチュエータの作動力に基づいて前記本体部を前記支持台部に対して進退させる動力駆動装置を含む(1)項ないし(6)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
動力駆動装置は、例えば、電動回転モータ,送りねじ,ナットを含む装置とされる。
本体部が動力によって移動させられる。本体部の前進端位置および後退端位置を検出するセンサを設け、その検出結果に基づいてアクチュエータが制御されるようにすれば、作業者は前進,後退を指令する操作部材を操作すればよくなる。前進端位置および後退端位置を規定するストッパ装置を設けることが望ましい。
(9)さらに、
(a)前記本体部に、前後方向に平行な姿勢でかつ回転可能に保持された送りねじと、(b)その送りねじを回転させるために回転操作されるハンドルと、(c)前記支持台部に回転不能に保持され、前記送りねじと螺合されたナットとを含み、前記ハンドルの回転操作に伴って前記本体部を前記支持台部に対して前後方向に進退させるマニュアル駆動装置と、
前記本体部の前記支持台部に対する後退端位置を規定するストッパ装置と、
動力により作動するアクチュエータを備え、そのアクチュエータの作動力に基づいて前記本体部を前記支持台部に対して、前記ストッパ装置により後退が阻止されるまで後退させる動力駆動装置と
を含み、かつ、前記ナットと前記支持台部との間に、前記動力駆動装置により前記本体部が後退させられるストローク以上の相対移動を、前記送りねじの回転を伴うことなく許容する遊隙が設けられた(1)項ないし(6)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
本体部がマニュアル駆動装置によって移動させられることによる効果が得られる上、動力駆動装置の作動により、作業者が意識しなくても、本体部が常に確実に後退端位置に位置決めされる効果が得られる。また、動力駆動装置による本体部の後退時には送りねじが回転せず、ハンドルが回転しないため、作業者が自身の操作以上にハンドルが回転して違和感を感じることがない。
(10)さらに、
前記スクリーン印刷機の、前記本体部内に配設される装置の少なくとも一部を支持する可動部材と、
その可動部材を、前記本体部内に位置する収納位置と、前記本体部の後方へ露出したメンテナンス位置とに移動可能に支持する可動部材支持装置と
を含む(1)項ないし(9)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
本体部内の装置を可動部材に載せ、本体部の前方への移動により得られる後方スペースに引き出してメンテナンス作業等を容易に行うことができる。また、本体部の前後方向の中央部付近に装置を設けてもメンテナンスを行うことが可能となり、本体部内の空間の有効利用により印刷機をコンパクトに構成し、スペース効率を更に向上させることができる。
(11)前記可動部材支持装置が、
前記本体部に、前後方向に平行に設けられた第3ガイドと、
その第3ガイドに、その第3ガイドに対して前後方向に相対移動可能に保持され、前記可動部材を前後方向に相対移動可能に保持するた第4ガイドと、
前記可動部材が前記本体部の後方へ引き出される際、その可動部材の引出ストロークより小さいストロークだけ前記第4ガイドを前記第3ガイドに対して後退方向へ移動させる第4ガイド移動装置と
を含む(10)項に記載のスクリーン印刷機。
第4ガイドが第3ガイドに案内されつつ第3ガイドに対して後方へ移動し、その第4ガイドに可動部材が支持されることとなるため、第3ガイドを一時的に後方へ延長したに等しいこととなり、可動部材の後退ストロークを大きくしつつ、可動部材を本体部に安定に支持させることができる。
第4ガイド移動装置としては次項に記載の連動型が望ましいが、不可欠ではない。例えば、第3ガイドと第4ガイドとの間に第4ガイドの第3ガイドに対する相対移動可能量を規定するストッパ装置を設けるとともに、可動部材と第4ガイドとの間に可動部材の第4ガイドに対する相対移動可能量を規定するストッパ装置を設け、それら両ストッパ装置を第4ガイド移動装置とすることも可能である。
(12)前記第4ガイド移動装置が、前記第3ガイド,前記第4ガイドおよび前記可動部材の間に設けられ、前記可動部材の前記後方への引出しに連動して、その可動部材の引出量の半分の量ずつ前記第4ガイドを前記第3ガイドに対して後退方向へ移動させる連動型第4ガイド移動装置である(11)項に記載のスクリーン印刷機。
第4ガイドが第3ガイドに対して長さのほぼ半分の距離移動し、可動部材が第4ガイドに対して前後方向の寸法のほぼ半分の距離移動することとなるため、可動部材の後退ストロークが最大の状態においても、第4ガイドは第3ガイドにより安定に保持され、その第4ガイドにより可動部材が安定に保持されることとなる。
(13)前記印刷機本体の上流側と下流側との少なくとも一方に、(a)前記基板搬送支持装置との間で回路基板の授受を行うとともに、前記基板搬送支持装置による回路基板の搬送方向と直交する方向に移動可能な可動コンベヤと、(b)その可動コンベヤを移動させるコンベヤ移動装置とを含むシャトルコンベヤが取り付けられた(1)項ないし(12)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
シャトルコンベヤは種々の態様で使用することができ、スクリーン印刷機の使い勝手を向上させることができる。本項に記載のスクリーン印刷機によれば、印刷機本体をシャトルコンベヤの支持体として使用することができ、シャトルコンベヤを床面に設置するための専用の支持体が不要である。また、基板搬送支持装置と可動コンベヤとの高さ方向の位置合わせが容易である。
本項に記載の特徴は、(1)項ないし(12)項のいずれに記載の特徴からも独立して採用することが可能である。
(14)前記シャトルコンベヤが取外し可能に取り付けられた(13)項に記載のスクリーン印刷機。
スクリーン印刷機の構成や、被印刷剤が印刷された回路基板について電子回路部品の装着等の対基板作業を施す対基板作業機の種類等に応じてシャトルコンベヤが必要であれば取り付け、不要であれば取外してラインを短く構成したりすることができ、柔軟性に優れたスクリーン印刷機が得られる。また、本体部内の装置に対するメンテナンス作業の都合で、シャトルコンベヤを取り外すことも可能である。
(15)前記シャトルコンベヤが前記本体部に取り付けられ、その本体部と共に前記支持台部に対して前方へ移動可能である(13)項または(14)項に記載のスクリーン印刷機。
シャトルコンベヤについてのメンテナンス作業等が容易になる。また、本項が(14)項に従属する態様においては、シャトルコンベヤの取り外し作業が容易になる。
(16)前記本体部内の空気を前記シャトルコンベヤの下部スペースに排出することにより、前記本体部内において発生した熱を本体部外へ排出する排熱装置を含む(13)項ないし(15)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
本体部内に発生した空気を後方へ排出することができない場合、例えば、スクリーン印刷機が壁面に沿って設けられる場合や、別の装置と背中合わせに設けられる場合でも排熱が良好に行われる。
シャトルコンベヤの下部スペース内に、排出された空気を上方へ導き、加熱された空気が隣接する装置に吹き付けられることを抑制する導風板,導風ダクト等の導風装置を設けることが望ましい。
(17)前記シャトルコンベヤの下部スペースに前記本体部内の装置の補機が配設された(13)項ないし(16)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
シャトルコンベヤ内部のスペースを有効に利用することによりスクリーン印刷機をコンパクトに構成することができる。
上記補機としては、例えば、トランス,バキューム発生装置および加圧空気発生装置の少なくとも1つが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態であるスクリーン印刷機を備えた電子回路組立ラインを示す斜視図である。
【図2】上記スクリーン印刷機を示す側面図である。
【図3】上記スクリーン印刷機の印刷装置,マスク保持装置等を示す側面図である。
【図4】上記スクリーン印刷機の基板搬送支持装置およびシャトルコンベヤを示す平面図である。
【図5】上記スクリーン印刷機の印刷機本体を示す側面図である。
【図6】上記印刷機本体の本体部の支持台部に対する引出し,引込み時におけるマニュアル駆動装置のナットの移動を説明する図である。
【図7】上記スクリーン印刷機の車輪装置,引込装置を示す側面図(一部断面)である。
【図8】上記本体部が支持台部から引き出され、可動台が収納位置に位置する状態を示す側面図である。
【図9】上記可動台がメンテナンス位置に位置する状態を示す側面図である。
【図10】上記可動台および可動台支持装置の一方の側を示す側面図である。
【図11】上記可動台支持装置の2つのガイドを示す背面図(一部断面)である。
【図12】上記可動台が上記2つのガイドの一方に設けられたローラにより案内される状態を示す背面図である。
【図13】上記スクリーン印刷機を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、請求可能発明の実施形態を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0012】
図1に、請求可能発明の一実施形態であるスクリーン印刷機を含む電子回路組立ラインを図示する。本電子回路組立ラインは、1台以上、本実施形態においては複数台、例えば、2台のスクリーン印刷機10(以後、印刷機10と略称する)と、1台以上、本実施形態においては複数台、例えば、4台の電子回路部品装着機14(以後、装着機14と略称する)とを備えている。印刷機10および装着機14は、回路基板に対して作業を施す対基板作業機の一種であり、電子回路組立ラインは対基板作業ラインの一種である。2台の印刷機10は、スクリーン印刷ラインを構成し、4台の装着機14に対して、電子回路組立ラインにおける回路基板の搬送方向において上流側に互いに隣接し、回路基板の搬送方向に平行に左右に並んで配設されている。本実施形態においては、左右方向が回路基板の搬送方向であり、搬送方向と直交する方向を前後方向とする。本実施形態においては、左右方向および前後方向はいずれも水平である。また、本電子回路組立ラインは、印刷機10および装着機14の各背面が壁面(図示省略)に沿った状態で設けられている。
【0013】
2台の印刷機10は同様に構成されており、上流側の印刷機10を代表して説明する。
印刷機本体18は、図2に示すように、本体部20と支持台部22とが別体に構成され、本体部20は支持台部22により前方へ移動可能に支持されている。支持台部22は、その4隅に設けられた脚部24において床面26上に設置されている。
【0014】
本体部20は複数の部材が組み付けられて成り、複数の段部、本実施形態においては上段部28,中段部30および下段部32を含む。図3に示すように、上段部28にマスク保持装置34および印刷装置36が設けられ、中段部30に基板搬送支持装置38および通過基板搬送装置40(図4参照)が設けられている。本マスク保持装置34は、マスク支持台42上に載置されたマスク44を水平な姿勢で保持する。印刷装置36は、1対のスキージ46,それらスキージ46をマスク44に沿って前後方向に移動させるスキージ移動装置48および1対のスキージ46をそれぞれ昇降させ、マスク44に接触,離間させるスキージ昇降装置50を含む。
【0015】
本基板搬送支持装置38は、図4に示すように中段部30の前部に設けられ、メインコンベヤ60と、搬送方向においてメインコンベヤ60の上流側に配設されたインコンベヤ62と、下流側に配設されたアウトコンベヤ64とを含む。メインコンベヤ60は、コンベヤ装置66および基板支持装置68を含む。コンベヤ装置66は、本実施形態においてはベルトコンベヤにより構成され、1対のコンベヤベルト70と、それらコンベヤベルト70をそれぞれ周回させるベルト周回装置72とを含む。1対のコンベヤベルト70はそれぞれ、サイドフレーム74により周回可能に支持され、周回用モータ76を駆動源とするベルト周回装置72により同期して周回させられ、回路基板をその被印刷面が水平となる姿勢で搬送する。
【0016】
メインコンベヤ60にはストッパ装置(図示省略)が設けられ、回路基板が所定の印刷位置に停止させられ、位置決めされる。また、コンベヤ装置66の回路基板の搬送幅は、搬送幅変更装置82により自動的に変更される。基板支持装置68は、本実施形態においては、図3に概略的に示すように、支持部材たる複数の支持ピン86,ピン支持台88および支持台昇降装置90を含み、回路基板92を下方から支持する。また、本実施形態においては、基板支持装置68はコンベヤ装置66と共同して基板クランプ装置を構成し、メインコンベヤ60が昇降装置(図示省略)によって昇降させられることにより、回路基板92がマスク44の下面に接触離間させられる。
【0017】
インコンベヤ62およびアウトコンベヤ64は、メインコンベヤ60と同様に、コンベヤ装置94および搬送幅変更装置96(図4参照)を備えており、同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
【0018】
前記通過基板搬送装置40は、図4に示すように、中段部30の後部に設けられ、コンベヤ62,64と同様にコンベヤ装置100および搬送幅変更装置102を備えている。コンベヤ装置100はベルトコンベヤにより構成され、コンベヤ62,64と平行に設けられ、搬送方向において印刷機10の一方の端から他方の端に至るまで設けられている。通過基板搬送装置40においてコンベヤ62,64の構成要素と同じ作用を成す構成用要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
【0019】
本印刷機10において印刷機本体18の本体部20は、作業者がマニュアル駆動装置120を操作することにより支持台部22に対して前後方向に進退させられ、本体部20の支持台部22に対する相対移動の抵抗が抵抗軽減装置122により軽減される。
【0020】
本抵抗軽減装置122は、図2に示すように、第1の抵抗軽減部130と第2の抵抗軽減部132とを含む。抵抗軽減部130は、支持台部22に設けられた1対のガイド134と、本体部20に設けられた1対の係合ブロック136とを含む。本ガイド134はレール状を成し、支持台部22の上面後部の左右方向に隔たった両端部にそれぞれ、前後方向に平行に固定されている。また、1対の係合ブロック136は、本体部20の下面の後端部の左右方向に隔たった両端部にそれぞれ固定して設けられている。
【0021】
抵抗軽減部132は、本体部20に設けられた1対のガイド138と、支持台部22に設けられた1対の係合ブロック140とを含む。本ガイド138はレール状を成し、本体部20の下面前部の左右方向に隔たった両端部にそれぞれ、前後方向に平行に固定され、係合ブロック140は支持台部22の上面の前端部の左右方向に隔たった両端部にそれぞれ固定して設けられている。
【0022】
係合ブロック136,140はそれぞれ、ガイド134,138に前後方向に相対移動可能に嵌合されている。本実施形態においては、係合ブロック136,140がそれぞれ複数の鋼球(図示省略)を周回路に沿って周回可能に保持し、それら鋼球の一部により、ガイド134,138の各一対の側面にそれぞれ、前後方向に延びる状態で形成されたガイド溝と係合させられ、本体部20の荷重を支持するのみならず、何らかの理由で本体部20に外力が加えられた場合に、本体部20が支持台部22から浮き上がることを防止する。本実施形態においては、複数の鋼球およびガイド134,138のガイド溝が浮き上がり防止装置を構成している。この浮き上がり防止装置の構成はよく知られており、図示および説明を省略する。
【0023】
前記マニュアル駆動装置120は、図5に示すように、送りねじ150,ハンドル152およびナット154を含む。送りねじ150は、本体部20の下面の前部側に前後方向に平行な姿勢で、軸方向に移動不能かつ回転可能に取り付けられ、その前端部は本体部20の前端部に至るとともに、ハンドル152が取り付けられている。
【0024】
ナット154は、図5に示すように、支持台部22の前部に設けられ、複数の鋼球を保持して送りねじ150と螺合され、送りねじ150と共にボールねじ機構を構成している。本実施形態においては、ナット154には、その下面の前後方向に隔たった2箇所にそれぞれ突部156,158が突設されて係合部を構成し、それら突部156,158が、支持台部22に設けられた係合部160の前後に位置する状態でナット154が設けられている。係合部160は支持台部22の左右方向の梁材により構成され、突部156,158の間隔は係合部160の前後方向の長さより長くされ、図6に示すように、ナット154と支持台部22との間には前後方向の遊隙が設けられている。
【0025】
ナット154と係合部160との間の上下方向の隙間は小さくされており、それによりナット154の支持台部22に対する前後方向に平行な軸線まわりの回転が阻止される。また、ナット154は、突部156,158の一方が係合部160に係合することにより支持台部22に対する移動を阻止され、その状態でハンドル152が回転操作されることにより、送りねじ150が回転させられつつ軸方向に移動させられ、本体部20が支持台部22に対して前進,後退させられる。遊隙を設ける理由は後に説明する。支持台部に1対の係合部が設けられ、ナットに、それら1対の係合部と択一的に係合する係合部が設けられてもよい。
【0026】
本体部20の支持台部22に対する前進端位置および後退端位置は、図7に示すストッパ装置164により規定される。ストッパ装置164は、本実施形態においては、本体部20の下面から下方へ突出させられた突部状の本体部側ストッパ部166と、支持台部22の上面から上方へ突出させられた突部状の1対の支持台部側ストッパ部168,170とを含む。支持台部側ストッパ部168,170は前後方向に距離を隔てて設けられ、本体部側ストッパ部166の前側の支持台部側ストッパ部168への当接により本体部20の前進端位置が規定され、後側の支持台部側ストッパ部170への当接により後退端位置が規定される。
【0027】
本実施形態においては、前側の支持台部側ストッパ部168は、本体部20が支持台部22に対して前進端位置へ移動させられた状態で、本体部20の重心が、支持台部22の本体部20を支持する部分の前端より後方に位置する位置に設けられている。また、後側の支持台部側ストッパ部170は、図7に示すように、本体部20全体が支持台部22上に引き込まれた位置を後退端位置とする位置に設けられている。
【0028】
本実施形態においては、図7に示すように、動力駆動装置たる引込装置180が設けられ、本体部20は自動的に後退端位置に位置決めされる。本引込装置180はエアシリンダ182を駆動源とする。エアシリンダは、流体圧アクチュエータたる流体圧シリンダの一種であり、圧縮エアを動力として作動する。本実施形態においてはエアシリンダ182はピストンが図示しない弾性部材により後退方向に付勢された単動シリンダとされ、そのシリンダハウジング184の一端部が支持台部22に回動可能に取り付けられ、ピストンロッド186の先端部に係合部材たるレバー188が取り付けられている。レバー188は支持台部22に回動可能に取り付けられ、その回動軸線から延び出させられたアーム部190がピストンロッド186に回動可能に連結されている。また、レバー188の回動軸線から、アーム部190とは反対側へ延び出させられた別のアーム部192の先端部にはローラ194が回転可能に取り付けられ、係合部たる回転係合部を構成している。
【0029】
本体部20の下端部には、図7に示すように係合突部196が突設され、被係合部を構成している。レバー188はピストンロッド186の伸縮により回動させられ、実線で示すように、ローラ194が係合突部196の移動経路より下方に位置してその進退を許容する退避位置と、二点鎖線で示すように、ローラ194が上記移動経路内へ進入させられ、係合突部196に係合して本体部20を後退させる作用位置とに移動させられる。なお、引込装置180および係合突部196と前記ストッパ装置164とは、左右方向において異なる位置に設けられている。
【0030】
エアシリンダ182は、支持台部22に設けられたセンサ200(図1参照)の出力信号に基づいて作動させられ、センサ202(図1,図6参照)の出力信号に基づいて作動を解除される。センサ200,202は、例えば、非接触型センサの一種である光電センサたる透過型光電センサにより構成され、受光部の受光の有無によって異なる信号を出力する。本実施形態においては、センサ200は本体部側ストッパ部166により受光部の受光が妨げられ、信号がONからOFFに変化し、その変化に基づいてエアシリンダ182に圧縮エアが供給され、レバー188が作用位置へ回動させられる。そのため、センサ200および係合突部196は、本体部側ストッパ部166と後側の支持台部側ストッパ部170との距離がローラ194の作動ストロークより短くなった状態でローラ194が係合突部196の前端面に係合し、本体部20を後方へ押し、後退端位置に位置させた状態においても押し続ける状態が得られる位置に設けられている。本体部側ストッパ部166には、その前端から前方へ延び出す突条部204が設けられ、本体部側ストッパ部166と共に被検出部を構成しており、本体部20が後退端位置へ移動させられた状態においても受光部の受光が妨げられる。そのため、エアシリンダ182の作動により本体部20が後退端位置に位置する状態に保たれる。
【0031】
センサ202は支持台部22の、前記ナット154の後側の突部158と係合部160との間の遊隙の大きさに応じて出力信号が変化する位置に設けられている。本体部20が後退端位置に位置決めされた状態では、図6(a)に示すように突部156,158と係合部160との間に隙間があるが、後に説明するように、本体部20が支持台部22から引き出される際にナット154が送りねじ150に対して後方へ移動し、突部156が係合部160に係合するため、突部158と係合部160との間の隙間が大きくなり、図6(b)に示すように最大となる。そのため、センサ202は、本体部20が後退端位置に位置決めされ、隙間が最大より短い状態では受光部の受光が妨げられてOFF信号を出力し、隙間が最大の状態となる以前に受光部が受光状態となってON信号を出力する位置に設けられている。
【0032】
センサ202の出力信号のOFFからONへの変化に基づいてエアシリンダ182のエア室が大気に開放され、レバー188が退避位置へ回動させられて本体部20の支持台部22に対する前進が許容される。本実施形態においては、センサ202が、引込装置180の作動解除を指令する解除指令装置を構成している。解除指令装置は、作業者により操作されるスイッチにより構成されてもよい。作業者が本体部20の支持台部22からの引出し操作に先立ってスイッチを操作し、作動解除を制御装置に入力し、エアシリンダ182のエア室が大気に開放されるようにするのである。
【0033】
本体部20には、図7に示すように車輪装置208が設けられている。車輪装置208は、車輪210および車輪保持体212を含み、本体部22の底壁214の前端部の下面216に取り付けられている。車輪保持体212は車輪210を回転可能に保持し、底壁214との間に配設された弾性部材たる圧縮コイルスプリング218により本体部20から離間する向きに付勢されている。スプリング218は1つ以上、本実施形態においては複数、例えば、3つ設けられている。3つのスプリング218のうちの2つは、車輪保持体212の昇降をガイドするガイドロッド220の外側に嵌合されている。ガイドロッド220は棒状を成し、車輪保持体212上に突設されるとともに、底壁214を上下方向に相対移動可能に貫通させられている。スプリング218の付勢による本体部20と車輪保持体212との離間限度は、ガイドロッド220の上端部に設けられた係合部222が底壁214の上面に係合することにより規定されており、スプリング218には予荷重が付与されている。本実施形態においては、係合部222は、底壁214に係合した状態において、車輪210が床面26から僅かに離れた状態となるように設けられている。弾性部材は、車輪保持体と本体部との間に設けられるのに替えて、あるいはそれと共に、車輪と車輪保持体との間に設けられてもよい。
【0034】
本体部20の下段部32内には、図8に示すように可動部材たる可動台240および可動部材支持装置たる可動台支持装置242が設けられている。可動台支持装置242は、図10に示すように、下段部32の下部に前後方向に平行に設けられた1対のガイド244と、それらガイド244に保持された別の1対のガイド246と、ガイド246をガイド244に対して後退方向へ移動させる連動型ガイド移動装置248とを含む。図8には、一方のガイド244,246が図示されている。1対のガイド244は長手形状を成し、左右方向に隔たって設けられ、図11に一方を示すように、下段部32に鉛直な姿勢で固定して設けられた側板部252と、側板部252の下端部から直角に延び出させられたレール部254と、側板部252の上端部から延び出させられた係合部256とを含む。
【0035】
1対のガイド246は長手形状を成し、一方を図12に示すように、鉛直に設けられる側板部258と、側板部258の下端部から直角に突出させられたリブ260と、横断面形状がL字形を成し、側板部258の上端部から突出させられた保持部262とを含む。側板部258の下部の後側には、図10に示すように、2個のローラ264が前後方向に距離を隔てて回転可能に取り付けられている。これらローラ264は、その下部が、リブ260に設けられた開口266を通ってリブ260の下方へ突出させられるとともに、ガイド244のレール部254上に転動可能に載置され、ガイド246はガイド244により前後方向に相対移動可能に保持されている。ガイド246のガイド244に対する移動は、リブ260から下方へ突出して設けられたストッパ部270が、レール部254に前後方向に延びる状態で形成された切欠272内に嵌入させられ、切欠272の前端面274,後端面276に当接することにより規定される。これらストッパ部270,端面274,276がストッパ装置278を構成し、ガイド246のガイド244に対する移動量を、ガイド246の長さのほぼ半分とするようにされている。
【0036】
側板部258にはまた、図10に示すように、その前端部の上部にローラ280が回転可能に取り付けられている。このローラ280は、ガイド244の係合部256に設けられた溝281に嵌合されている。側板部258にはさらに、その後端部の下部にローラ282が回転可能に取り付けられるとともに、保持部262の前後方向の中間部にローラ284が回転可能かつ前後方向に相対移動可能に保持されている。ローラ284の移動は、保持部262に設けられたストッパ部(図示省略)により規定され、前記2個のローラ264の間において移動する。
【0037】
可動台240には、その左右方向に隔たった両側面にそれぞれ、レール290が設けられている(図10には、一方のレール290が図示されている)。レール290は前後方向に長く、図11および図12に示すように、ガイド246のローラ264,282上に載せられ、支持されている。レール290の後端部と、後端部から前方へ隔たった部分とにはそれぞれ、突部292,294が突設されており、側板部258に突設された突部296に当接することにより、可動台240のガイド246に対する前進端位置と後退端位置とが規定される。突部292,294,296が係合部を構成し、ストッパ装置298を構成し、可動台240のガイド246に対する移動量を、可動台240の前後方向の寸法のほぼ半分とするようにされている。本実施形態においては、回転支持体を構成するローラ264,282およびストッパ装置278,298が連動型ガイド移動装置248を構成している。
【0038】
可動台240上には、印刷機10を構成する装置、例えば、電装品の一種であり、印刷機10を制御する制御装置300が載せられる。制御装置300はコンピュータを主体として構成され、印刷機10を構成する各種装置の駆動源等を制御する。本印刷機10において駆動源を構成するモータの多くは、電動モータの一種であり、回転角度の正確な制御が可能な回転電動モータであるサーボモータにより構成される。リニアモータにより構成されてもよい。制御装置300は、電子回路組立ライン全体を制御する統括制御装置302(図1参照)により統括して制御される。統括制御装置302はコンピュータを主体として構成されている。
【0039】
本印刷機10には、図4および図13に示すように、本体部20の下流側にシャトルコンベヤ310が取り付けられている。本シャトルコンベヤ310は、コンベヤ本体312,可動コンベヤ314およびコンベヤ移動装置316を含む。コンベヤ本体312は、図2に示すように、複数の部材が組み付けられて枠状を成し、複数の段部、例えば、上段部318と下段部320とに分かれている。コンベヤ本体312は、本体部20の下流側の側面に複数のボルト(図示省略)によって固定されており、ボルトを緩めて本体部20から取り外すことができる。シャトルコンベヤ310は、図13に示すように、床面26から浮いた状態で本体部20に取り付けられている。
【0040】
可動コンベヤ314は上段部318に設けられ、図4に示すように、コンベヤ装置326および搬送幅変更装置328を備えている。コンベヤ装置326は、前記コンベヤ62,64のコンベヤ装置94と同様に構成され、1対のサイドフレーム330にそれぞれ支持されたコンベヤベルト332と、周回用モータ334を駆動源とし、1対のコンベヤベルト332をそれぞれ周回させるベルト周回装置336とを含む。
【0041】
コンベヤ移動装置316は、図4に示すように、駆動源たるシャトル用モータ342,ベルト344および複数のプーリ346を含む。ベルト344はタイミングベルトとされ、プーリ346はタイミングプーリとされている。複数のプーリ346のうちの1つがシャトル用モータ342により回転させられ、ベルト344が移動させられる。それにより、1対のガイドロッド348を含む案内装置350により案内されつつ、1対のサイドフレーム330が搬送幅変更装置328と共に移動させられる。可動コンベヤ314は前後方向の任意の位置へ移動させられ、図4に一点鎖線および二点鎖線で例示するように、その上流側あるいは下流側において回路基板の受渡しを行うコンベヤに連なる位置へ移動させられる。シャトルコンベヤ310は制御装置300により制御される。
【0042】
コンベヤ本体312の下段部320には、図13に示すように、複数の床材360が取り付けられ、下段部320内のスペースである下部スペース362に本体部20内の補機、本実施形態においてはトランス364が配設されている。印刷機本体18およびコンベヤ本体312はそれぞれ、図1に示すようにハウジング366,368により覆われている。ハウジング366,368はそれぞれ、印刷機10の下流側および上流側において回路基板の受渡しに必要な開口が設けられるとともに、下段部32内のスペースである下部スペース370とシャトルコンベヤ310の下部スペース362とがつながるようにされており、印刷機10の補機をシャトルコンベヤ310内に置いて使用することができる。ハウジング366の前面には、図1に示すように開口372が形成され、作業者は開口372から手を入れて前記ハンドル152を操作する。
【0043】
また、本体部20の下段部32のシャトルコンベヤ310に隣接する部分の上部には、図13に示すように、排熱装置の一種であるファン376が取り付けられている。ファン376は、本体部20内において発生した熱を本体部20外へ、本実施形態においては本体部20に取り付けられたシャトルコンベヤ310の下部スペース362に排出するように設けられている。下部スペース362には、導風板378が取り付けられている。導風板378は、下部スペース362の上部に、下方ほど本体部20に接近する向きに傾斜して取り付けられており、下部スペース362内に置かれる補機との干渉が回避されるとともに、ファン376により排出された空気を上方へ導き、ハウジング368の天井部に形成された排気口から外へ排出させる。それにより、本体部20から排出された熱い空気が下流側の印刷機10あるいは装着機14に吹き付けられたり、隣接する装置からの排気とぶつかることが回避される。
【0044】
前記4台の装着機14は、本実施形態においては特開2004−104075号公報に記載の電子回路部品装着機と同様に構成され、モジュール化されており、図1に一部を示すように、それぞれ、装着機本体390,基板搬送装置392,基板支持装置394,部品供給装置396,部品装着装置398および制御装置400等を含み、1枚の回路基板への電子回路部品の装着を分担し、並行して行う。基板搬送装置392は、1対のコンベヤ402を備えている。これらコンベヤ402は、装着機本体390の前後方向に並んで平行に設けられている。コンベヤ402は、本実施形態においてはベルトコンベヤにより構成され、図示を省略する搬送幅変更装置により、搬送幅が自動的に調節される。基板支持装置394は2つのコンベヤ402の各々について設けられ、いずれのコンベヤ402により搬送される回路基板も基板支持装置394により支持され、電子回路部品の装着が行われる。制御装置400はコンピュータを主体として構成され、前記統括制御装置302により統括して制御される。
【0045】
以上のように構成された電子回路組立ラインにおいては、2台の印刷機10において並行して回路基板への被印刷剤、本実施形態においてはクリーム状はんだ(以後、はんだと略称する)の印刷が行われる。2台の印刷機10のうち、上流側の印刷機10においてはんだが印刷される回路基板は基板搬送支持装置38に供給され、インコンベヤ62からメインコンベヤ60に搬入される。回路基板は基板支持装置68により支持されてマスク44に接触させられ、印刷装置36によりはんだが印刷される。印刷後、回路基板はアウトコンベヤ64へ搬出され、アウトコンベヤ64からシャトルコンベヤ310の可動コンベヤ314に移載される。そして、可動コンベヤ314から下流側の印刷機10の通過基板搬送装置40に搬入されてその印刷機10を通過し、下流側の印刷機10のシャトルコンベヤ310によって装着機14の後側のコンベヤ402に搬入され、電子回路部品が装着される。
【0046】
また、下流側の印刷機10においてはんだが印刷される回路基板は、上流側の印刷機10の通過基板搬送装置40に供給され、その上流側印刷機10を通過させられ、シャトルコンベヤ310によって下流側の印刷機10の基板搬送支持装置38に搬入され、はんだが印刷される。そして、シャトルコンベヤ310によって装着機14の前側のコンベヤ402に搬入され、電子回路部品が装着される。
【0047】
本印刷機10において、通常は、図2に示すように、本体部20が支持台部22上に引き込まれ、引込装置180の作動により後退端位置に位置する状態に保たれている。また、図6(a)に示すように、ナット154の突部156,158と支持台部22の係合部160との間に隙間がある。そのため、作業者がメンテナンス等を行うために本体部20を支持台部22から引き出す際にはハンドル152を回転操作するが、当初は送りねじ150は移動せず、ナット154が送りねじ150に対して後退させられ、図6(b)に示すように、前側の突部156が係合部160に係合させられる。そのため、突部158と係合部160との間の隙間が大きくなり、センサ202の信号がOFFからONに変わり、本体部20の引出しが行われることが検出される。そして、レバー188が退避位置へ回動させられて本体部20の引出しが許容され、ハンドル152が回転操作されることにより送りねじ150が前進させられ、それにより、図8に示すように本体部20がハウジング366と共に支持台部22から引き出される。本体部20と共にシャトルコンベヤ310も引き出され、支持台部22に対して前方へ移動させられる。
【0048】
引出しは、ガイド134,138および係合ブロック136,140により案内されるとともに、移動抵抗が軽減される。作業者は本体部20を前進端位置まで引き出すことができるが、係合ブロック136が本体部20の後端部に設けられ、係合ブロック140が支持台部22の前端部に設けられるとともに、それらに対応してガイド134,138がそれぞれ支持台部22と本体部22とに設けられているため、本体部20は支持台部22からの引出し量の大きさにかかわらず、支持台部22と重なる部分が常に4隅において支持され、安定して支持される。
【0049】
床面26は平坦であり、車輪210は、本体部20の引出し時にも引込み時にも原則的には床面26から僅かに離れているが、本体部20が支持台部22から引き出された状態で本体部20に下向きの力が加えられ、本体部20が僅かに傾いた場合には床面26に接触してそれ以上の傾きを防止する。また、万一、床面26が平面でないために車輪210が床面26に接触した場合には、スプリング218が圧縮され、車輪210が床面26上を転動し、本体部20は水平な姿勢を保ちつつ進退させられることが許容される。このように、車輪210が床面26に接触した状態では、弾性部材が本体部20の重量の少なくとも一部を車輪210に伝達する。
【0050】
本体部20を支持台部22上に戻す場合には、作業者はハンドル152を引出し時とは逆向きに回転操作する。操作開始当初は送りねじ150は軸方向に移動せず、ナット154が送りねじ150に対して前方へ移動させられ、図6(c)に示すように、後側の突部158が係合部160に係合させられる。その状態から更にハンドル152が回転操作されることにより、送りねじ150が後退させられ、本体部20がハウジング366と共に支持台部22上に引き込まれる。なお、このナット154の移動によりセンサ202の検出信号がONからOFFに変わるが、この変化は制御装置300において無視され、利用されない。
【0051】
本体部側ストッパ突部166がセンサ200により検出されれば、エアシリンダ182が作動させられてレバー188が作用位置へ回動させられ、本体部20を自動的に後退端位置へ移動させる。この際、ナット154は、図6(c)に示すように、突部156と係合部160との間に隙間があるため、送りねじ150と共に後方へ移動させられる。そのため、送りねじ150が回転させられず、後退するのみであり、ハンドル152も回転させられない。ナット154と係合部160との間の遊隙は、引込装置180が本体部20を後退端位置へ後退させるストロークより大きくされており、引込装置180による本体部20の引込みが送りねじ150の回転を伴うことなく許容される。本体部20の引込みと共にシャトルコンベヤ310も後退させられ、支持台部20と並ぶ位置へ戻される。
【0052】
印刷機10において前記可動台240は、常には、図8に示す収納位置に位置させられている。本体部20が支持台部22から引き出されれば、支持台部22の後部上方に空いたスペースが得られる。そのため、作業者は、図9に示すように、可動台240を本体部20の後方へ露出したメンテナンス位置へ引き出し、制御装置300についてメンテナンスを行うことができる。本体部20と共にシャトルコンベヤ310も支持台部22より前へ移動させられるため、シャトルコンベヤ310の後方にも空いたスペースが得られ、作業者が本体部20の後方スペースへ入ることを妨げない。
【0053】
可動台240は、本体部20から引き出されるとき、ローラ264,282を回転させる。それにより、可動台240が軽快に移動させられるとともに、ローラ264がレール部254上を転動し、ガイド246がガイド244に対して後方へ移動させられる。転動時におけるローラ264の頂点の周速は回転軸線の2倍であり、ローラ264の転動により移動するガイド246の移動距離は、レール290がローラ264の頂面に載置された可動台240の半分であり、ガイド246は可動台240の引出し量の半分の量ずつ、ガイド244に対して後退方向へ移動させられる。そのため、可動台240,ガイド246はそれぞれ、図9に示すように後退端位置まで移動させられた状態でも、ガイド246,244によって前後方向の寸法のほぼ半分の長さを支持され、安定して保持される。また、ガイド246のローラ284がローラ264との間でレール290を挟むことにより、可動台240の後傾が防止される。さらに、ローラ280がガイド244の係合部256に係合することにより、ガイド246の後傾が防止される。
【0054】
可動台240を収納位置へ移動させる場合には、作業者は可動台240を押して本体部20内へ移動させる。この場合にも、ローラ264,282の回転により可動台240が前進させられるとともに、ローラ264の転動によりガイド246がガイド244に対して前進させられ、ガイド244内に収められる。
【0055】
なお、本体部の支持台部からの引出しにより、本体部の後方にスペースが得られるため、印刷機を別の装置と背中合わせに配設することができる。別の装置は、印刷機でもよく、装着機,接着剤塗布機,基板検査機等、印刷機以外の対基板作業機でもよく、対基板作業機以外の装置でもよい。例えば、図1に示す電子回路組立ラインと同様のラインを2組、左右対称に配設し、印刷機同士、装着機同士が背中合わせとなるように設けてもよく、あるいは2組の電子回路組立ラインを180度回転させた位相で設け、印刷機と装着機とが背中合わせとなるように設けてもよい。このように電子回路組立ラインを設ければ、生産性がより向上する効果が得られる。
電子回路組立ラインは、印刷機を1台含むラインとしてもよい。
【0056】
また、印刷機に車輪装置と浮き上がり防止装置との少なくとも一方が設けられれば、本体部が支持台部に対して、ストッパ装置により規定される前進端位置へ移動させられた状態で、本体部の重心を、支持台部の本体部を支持する部分の前端より前方に位置させ、本体部の前方への最大ストロークを大きくすることができる。車輪装置のみが設けられる場合、車輪は常に床面に接触するように設けられる。浮き上がり防止装置のみが設けられる場合、本体部と支持台部とを合わせたものの重心は、支持台部の床面に接する部分の前端より後方に位置させられる。両装置が設けられる場合、車輪は原則的には床面から僅かに離れた状態で設けられ、特殊な場合、例えば、浮き上がり防止装置の構成要素間に隙間があれば接地して本体部の前傾を防止し、あるいは床面に凸部があれば、弾性部材の弾性変形により本体部材の姿勢を水平に保ちつつこれを乗り越える。
【0057】
さらに印刷機は通過基板搬送装置は有さないものとしてもよい。このような印刷機においてシャトルコンベヤは必要に応じて設けられ、例えば、被印刷剤が印刷された回路基板が供給される装置が、平行に配設された複数の基板搬送装置を備える場合に設けられる。
【符号の説明】
【0058】
10:スクリーン印刷機 18:印刷機本体 20:本体部 22:支持台部 120:マニュアル駆動装置 122:抵抗軽減装置 240:可動台 242:可動台支持装置 310:シャトルコンベヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)回路基板を左右方向に搬送し、印刷位置に位置決めして支持する基板搬送支持装置と、(b)その基板搬送支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う印刷装置と、(c)それら基板搬送支持装置と印刷装置とを保持する印刷機本体とを含むスクリーン印刷機において、
前記印刷機本体の本体部と支持台部とを別体に構成し、支持台部に本体部を前方へ移動可能に支持させたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
前記本体部と前記支持台部との間に、
前記支持台部に前後方向に平行に固定された第1ガイドと、前記本体部の後端部に設けられて前記第1ガイドと前後方向に相対移動可能に係合する第1係合ブロックとを含む第1抵抗軽減部と、
前記本体部に前後方向に平行に固定された第2ガイドと、前記支持台部の前端部に設けられて前記第2ガイドと前後方向に相対移動可能に係合する第2係合ブロックとを含む第2抵抗軽減部と
を含み、
前記本体部の前記支持台部に対する相対移動の抵抗を軽減する抵抗軽減装置が設けられた請求項1に記載のスクリーン印刷機。
【請求項3】
さらに、前記本体部の前記支持台部に対する前進端位置を規定するストッパ装置を含み、前記本体部が前記支持台部に対して前記ストッパ装置により規定される前記前進端位置へ移動させられた状態で、その本体部の重心が、前記支持台部のその本体部を支持する部分の前端より後方に位置する構成とされた請求項1または2に記載のスクリーン印刷機。
【請求項4】
さらに、
(a)前記本体部に、前後方向に平行な姿勢でかつ回転可能に保持された送りねじと、(b)その送りねじを回転させるために回転操作されるハンドルと、(c)前記支持台部に回転不能に保持され、前記送りねじと螺合されたナットとを含み、前記ハンドルの回転操作に伴って前記本体部を前記支持台部に対して前後方向に進退させるマニュアル駆動装置と、
前記本体部の前記支持台部に対する後退端位置を規定するストッパ装置と、
動力により作動するアクチュエータを備え、そのアクチュエータの作動力に基づいて前記本体部を前記支持台部に対して、前記ストッパ装置により後退が阻止されるまで後退させる動力駆動装置と
を含み、かつ、前記ナットと前記支持台部との間に、前記動力駆動装置により前記本体部が後退させられるストローク以上の相対移動を、前記送りねじの回転を伴うことなく許容する遊隙が設けられた請求項1ないし3のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
【請求項5】
さらに、
前記スクリーン印刷機の、前記本体部内に配設される装置の少なくとも一部を支持する可動部材と、
その可動部材を、前記本体部内に位置する収納位置と、前記本体部の後方へ露出したメンテナンス位置とに移動可能に支持する可動部材支持装置と
を含む請求項1ないし4のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
【請求項6】
前記可動部材支持装置が、
前記本体部に、前後方向に平行に設けられた第3ガイドと、
その第3ガイドに、その第3ガイドに対して前後方向に相対移動可能に保持され、前記可動部材を前後方向に相対移動可能に保持するた第4ガイドと、
前記可動部材が前記本体部の後方へ引き出される際、その可動部材の引出ストロークより小さいストロークだけ前記第4ガイドを前記第3ガイドに対して後退方向へ移動させる第4ガイド移動装置と
を含む請求項5に記載のスクリーン印刷機。
【請求項7】
前記印刷機本体の前記本体部の上流側と下流側との少なくとも一方に、(a)前記基板搬送支持装置との間で回路基板の授受を行うとともに、前記基板搬送支持装置による回路基板の搬送方向と直交する方向に移動可能な可動コンベヤと、(b)その可動コンベヤを移動させるコンベヤ移動装置とを含むシャトルコンベヤが取り付けられ、その本体部と共に前記支持台部に対して前方へ移動可能である請求項1ないし6のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
【請求項1】
(a)回路基板を左右方向に搬送し、印刷位置に位置決めして支持する基板搬送支持装置と、(b)その基板搬送支持装置に支持された回路基板にスクリーン印刷を行う印刷装置と、(c)それら基板搬送支持装置と印刷装置とを保持する印刷機本体とを含むスクリーン印刷機において、
前記印刷機本体の本体部と支持台部とを別体に構成し、支持台部に本体部を前方へ移動可能に支持させたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
前記本体部と前記支持台部との間に、
前記支持台部に前後方向に平行に固定された第1ガイドと、前記本体部の後端部に設けられて前記第1ガイドと前後方向に相対移動可能に係合する第1係合ブロックとを含む第1抵抗軽減部と、
前記本体部に前後方向に平行に固定された第2ガイドと、前記支持台部の前端部に設けられて前記第2ガイドと前後方向に相対移動可能に係合する第2係合ブロックとを含む第2抵抗軽減部と
を含み、
前記本体部の前記支持台部に対する相対移動の抵抗を軽減する抵抗軽減装置が設けられた請求項1に記載のスクリーン印刷機。
【請求項3】
さらに、前記本体部の前記支持台部に対する前進端位置を規定するストッパ装置を含み、前記本体部が前記支持台部に対して前記ストッパ装置により規定される前記前進端位置へ移動させられた状態で、その本体部の重心が、前記支持台部のその本体部を支持する部分の前端より後方に位置する構成とされた請求項1または2に記載のスクリーン印刷機。
【請求項4】
さらに、
(a)前記本体部に、前後方向に平行な姿勢でかつ回転可能に保持された送りねじと、(b)その送りねじを回転させるために回転操作されるハンドルと、(c)前記支持台部に回転不能に保持され、前記送りねじと螺合されたナットとを含み、前記ハンドルの回転操作に伴って前記本体部を前記支持台部に対して前後方向に進退させるマニュアル駆動装置と、
前記本体部の前記支持台部に対する後退端位置を規定するストッパ装置と、
動力により作動するアクチュエータを備え、そのアクチュエータの作動力に基づいて前記本体部を前記支持台部に対して、前記ストッパ装置により後退が阻止されるまで後退させる動力駆動装置と
を含み、かつ、前記ナットと前記支持台部との間に、前記動力駆動装置により前記本体部が後退させられるストローク以上の相対移動を、前記送りねじの回転を伴うことなく許容する遊隙が設けられた請求項1ないし3のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
【請求項5】
さらに、
前記スクリーン印刷機の、前記本体部内に配設される装置の少なくとも一部を支持する可動部材と、
その可動部材を、前記本体部内に位置する収納位置と、前記本体部の後方へ露出したメンテナンス位置とに移動可能に支持する可動部材支持装置と
を含む請求項1ないし4のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
【請求項6】
前記可動部材支持装置が、
前記本体部に、前後方向に平行に設けられた第3ガイドと、
その第3ガイドに、その第3ガイドに対して前後方向に相対移動可能に保持され、前記可動部材を前後方向に相対移動可能に保持するた第4ガイドと、
前記可動部材が前記本体部の後方へ引き出される際、その可動部材の引出ストロークより小さいストロークだけ前記第4ガイドを前記第3ガイドに対して後退方向へ移動させる第4ガイド移動装置と
を含む請求項5に記載のスクリーン印刷機。
【請求項7】
前記印刷機本体の前記本体部の上流側と下流側との少なくとも一方に、(a)前記基板搬送支持装置との間で回路基板の授受を行うとともに、前記基板搬送支持装置による回路基板の搬送方向と直交する方向に移動可能な可動コンベヤと、(b)その可動コンベヤを移動させるコンベヤ移動装置とを含むシャトルコンベヤが取り付けられ、その本体部と共に前記支持台部に対して前方へ移動可能である請求項1ないし6のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−235585(P2011−235585A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110427(P2010−110427)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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