説明

スクリーン印刷用導電性インキ組成物及び導電性塗膜

【課題】高精細なパターンを形成することが可能なスクリーン印刷用導電性インキ組成物及び導電性塗膜の提供。
【解決手段】導電性物質とバインダー成分を含有する導電性インキにおいて、回転粘度計測定法で、測定部の形状が円錐―円盤型の試料容器を用い温度条件25℃で測定した粘度が5rpmで10Pa・S〜200Pa・S、好ましくは15Pa・S〜130Pa・Sの範囲内であり、且つ2rpmと20rpmの比率(TI値)で4.0〜10.0であることを特徴とするスクリーン印刷用導電性インキ組成物の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細パターンを形成することが可能なスクリーン印刷用導電性インキ組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品あるいは電磁波シールド用の薄膜形成あるいは導電回路のパターニングは、一般的に、熱硬化型、熱可塑型の導電性インキなどによる回路あるいは回路パターンを印刷し、熱処理による焼結する方法、または銅張り基材からのエッチング法が知られている。
【0003】
焼結法の例としては、特開2000−305260号公報には、感光性導電性ペーストとして、アルカリ可溶性ネガ型感光性樹脂組成物、光重合開始剤、金属粉末および金属超微粒子からなる感光性ペーストが開示されている。該公報では、感光性樹脂組成物をパターニングした後、電気炉やベルト炉等の焼成炉で有機成分を揮発させ、無機粉末を焼成させることにより導電性パターン膜を形成しており、その際の焼成の雰囲気は、大気中または窒素雰囲気あるいは水素雰囲気で、500℃以上であり、大型の設備が必要となる。
【0004】
エッチング法については、金属の表面や形状を、化学的あるいは電気化学的に溶解除去し、それを表面処理を含めた広義の加工技術とすることである。エッチングはすなわち化学加工の一種であり、主に金属表面に希望のパターン形状を得るために行われるが、一般的に工程が煩雑であり、また後工程で廃液処理が必要であるため、問題が多い。また、エッチング法によって形成された導電回路は、アルミニウムや銅など金属のみで形成されたものであるため、折り曲げ等の物理的衝撃に対して弱いという問題がある。
【0005】
導電性インキは、電子部品の小型軽量化あるいは生産性の向上、低コスト化が期待でき、また基材に印刷あるいは塗工し、乾燥させることによって容易に導電性を付与できる。この乾燥、硬化工程では、基材や電子部品に高温を加えることなく、低温にて行うことが出来ることから、近年急速に需要が高まっている。
【0006】
熱硬化型導電性インキの内、バインダー成分としてガラスフリットなどの無機物質を用いている物は、基材に塗布または印刷後に高温で過熱する必要がある。加熱による硬化には、多大なエネルギー、時間、装置設置のための床の面積を必要とし、不経済であるばかりでなく、次に示すような大きな制約がある。
【0007】
すなわち、ガラスフリット等の無機物質をバインダーとする導電性インキは、通常800℃以上での焼成を必要とするため、合成樹脂系の基材には適用できない。一方、熱硬化性樹脂をバインダーとする導電性インキは、合成樹脂系の基材に対して適用可能であるが、導電性インキを硬化させる際の過熱によって基材が変形し、得られたプリント配線回路を用いた後工程の部品搭載に支障を来たすなどの大きな障害があった。
【0008】
また従来より、例えばプリント配線板におけるメッキレジストパターンやエッチングレジストパターンあるいはPDP用の隔壁等を形成する方法としてスクリーン印刷法が多様用されている。
【0009】
このようなスクリーン印刷法自体はよく知られているように、スクリーン上にスクリーン印刷インキを盛り、スキージー等で押圧しながら、スクリーンの網目を通して印刷材を印刷するものである(特表平05−506876)。
【0010】
しかしながら、スクリーン印刷法においては、スキージー等で押圧することで、スクリーンが撓んだ状態で印刷される等の種々の要因から、高精細な印刷を行った場合に印刷精度が得られ難いという問題点があった。
【0011】
特に、高精細なパターンを形成するためのスクリーン印刷に用いられるスクリーン用印刷用インキとしては粘度が高すぎるとスキージー等で押圧した際にインキをスクリーン版に十分に落とし込むことが出来ず、このため精度の高い印刷をすることが出来ず、一方スクリーン印刷用インキの粘度が低い場合は、転写時にインキが印刷版の裏側に回ってしまうといった不具合が生じ、この場合も精度の高い印刷を行うことが出来ないといった問題点があった。
【0012】
高精細なパターンを形成することが可能なスクリーン印刷用インキ組成物については特開2003−238876に開示されているが、カラーフィルター用インキについて書かれているものであり、導電性について、触れておらず、本用途とは異なる。
【0013】
またTI値に関する導電性インキについては特開2001−234106に開示されているが、平版オフセット印刷法について書かれているものであり、印刷法が異なり、本方式とは異なる。
【特許文献1】特開2000−305260号公報
【特許文献2】特表平05−506876号公報
【特許文献3】特開2003−238876号公報
【特許文献4】特開2001−234106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高精細なパターンを形成することが可能なスクリーン印刷用導電性インキ組成物を提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、導電性物質とバインダー成分を含有する導電性インキにおいて、粘度測定法としてE型回転粘度計測定法を用いて、測定部の形状が円錐で円板型の試料容器を用い、測定温度25℃で測定した粘度(5rpm)が、10Pa・S〜200Pa・Sであり、粘度が2rpmと20rpmとの比率(TI値)が4.0〜10.0であることを特徴とするスクリーン印刷用導電性インキ組成物に関するものである。
【0016】
なお、ここで、TI値とはE型回転粘度計測定法を用いて、2rpmの粘度V2rpmと20rpmとの粘度V20rpmの比率であり、TI値=V2rpm/V20rpmで表される。
【0017】
さらに、本発明は、全固形分が70重量%〜97重量%であることを特徴とする上記のスクリーン印刷用導電性インキ組成物に関するものである。
【0018】
また、本発明は、導電性物質と樹脂との固形分の重量比率が90:10〜99:1である事を特徴とする上記のスクリーン印刷用導電性インキ組成物に関するものである。
【0019】
さらに、本発明は、導電性物質が、タップ密度1.5〜5g/cm3であり、平均粒径0.5〜5μmであることを特徴とする上記のスクリーン印刷用導電性インキ組成物に関するものである。
【0020】
また、本発明は、上記のスクリーン印刷用導電性インキ組成物を基材上に印刷後、硬化させてなることを特徴とする導電性塗膜に関するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の導電性インキは高速状態では低粘度になり、スクリーン印刷用版内に正確にインキを落とし込むことが可能となり、またスクリーン印刷用版から被印刷物へとインキが転写される状態、すなわち低速状態では高粘度になり、転写時にインキがスクリーン版印刷用版の裏側に回る等の不具合が無く、正確な転写を行なうことが可能となった。したがって、高精細なパターンをスクリーン印刷により形成する際のスクリーン印刷用インキ組成物として好適に用いることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明について、実施の形態に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0023】
本発明者は、上述したように、スクリーン印刷法において、スキージーによりインキを落とし込む際には、インキの粘度が低いほうが好ましく、且つスクリーン印刷版に落とし込まれた後は、インキ粘度が高いほうが好ましい点に着目し、スクリーン印刷用インキ組成物のレオロジー特性を重視した印刷要因を鋭意検討した結果、本発明を見出すに至ったものである。
【0024】
本発明のスクリーン印刷用導電性インキ組成物は、少なくとも導電性物質とバインダー成分とを含有するスクリーン印刷用導電性インキ組成物であって、粘度測定法として、E型回転粘度計を使用し、測定部の形状が円錐で、円盤型の試料容器を用い、温度条件25℃で測定した粘度が5rpm及び粘度が2rpmと20rpmの比率(TI値)での測定値を所定の範囲として決定した点に特徴を有するものである。
【0025】
すなわち、粘度(5rpm)が、10Pa・S〜200Pa・Sであり、粘度が2rpmと20rpmとの比率(TI値)が4.0〜10.0であることを特徴とするスクリーン印刷用導電性インキ組成物に関するものである。
【0026】
なお、ここで、TI値とはE型回転粘度計測定法を用いて、2rpmの粘度V2rpmと20rpmの粘度V20rpmの比率であり、TI値=V2rpm/V20rpmで表される。
【0027】
TI値が4以上の場合、スキージーによりインキを落とし込む状態、すなわち高速状態では低粘度になり、スクリーン印刷用版内に正確にインキを落とし込むことが可能となる。またスクリーン印刷用版から被印刷物へとインキが転写される状態、すなわち低速状態では高粘度になり、転写時にインキがスクリーン版印刷用版の裏側に回る等の不具合が無く、正確な転写を行なうことが可能となる。したがって、高精細なパターンをスクリーン印刷により形成する際のスクリーン印刷用インキ組成物として好適に用いることが可能となる。
【0028】
また、本発明において、スクリーン印刷用導電性インキ組成物は、全固形分が70%〜97%、好ましくは80%〜93%の範囲内であることが好ましい。
【0029】
さらに、本発明において、スクリーン印刷用導電性インキ組成物は、導電性物質と樹脂比率が90:10〜99:1、好ましくは94:6〜98:2の範囲内であることが好ましい。このような範囲内で含有させることにより、チクソトロピー性が付与され、高精細な印刷が可能となる。
【0030】
次に本発明に用いる導電性インキについて説明する。
【0031】
導電性物質としては、例えば、金、銀、銅、銀メッキ銅粉、銀−銅複合粉、銀−銅合金、アモルファス銅、ニッケル、クロム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ケイ素、アルミニウム、タングステン、モリブデン、白金などの金属粉、これらの金属で被覆した無機物粉末、酸化銀、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ルテニウムなどの金属酸化物の粉末、これらの金属酸化物で被覆した無機物粉末、およびカーボンブラック、グラファイト等を用いることができる。これらの導電性物質は、2種類以上組み合わせて用いても良い。これらの導電性物質のなかでも、高導電性で酸化による抵抗値の上昇の少ないことから銀が好ましい。
【0032】
この導電性物質の形状は不定形、鱗片状、塊状、微結晶状、球状、フレーク状等の種々の形状であっても良い。このような導電性粉体は、上記のようにタップ密度が1.5〜5g/cm3の銀粉を用いることで、基材への密着性、屈曲性が良好である。また、平均粒径が0.5〜5μmの範囲内の銀粉を用いることで、凝集し難く、版からの転移が良好なものが得られる。
【0033】
バインダーは有機樹脂を単独或いは併用することができる。有機樹脂としては、ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステルなどの各種変性ポリエステル樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリエーテルウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリカーボネートウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン、塩化ゴム、メラミン樹脂、尿素樹脂、ニトロセルロース、セルロース・アセテート・ブチレート(CAB)、セルロース・アセテート・プロピオネート(CAP)などの変性セルロース類、ロジン、マレイン酸樹脂、天然樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
【0034】
本発明に係わる導電性インキは、樹脂の種類、分子量、溶解性に応じて、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族系溶剤、芳香族系溶剤、アルコール系溶剤、水等を使用することができ、2種類以上を混合して使用することもできる。
【0035】
エステル系溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸(イソ)アミル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、酢酸3−メトキシブチル等が挙げられ、ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等が挙げられる。また、グリコールエーテル系溶剤としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、及びこれらモノエーテル類の酢酸エステル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のジアルキルエーテル類が挙げられる。
【0036】
脂肪族系溶剤としては、n−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンが挙げられ、芳香族系溶剤としては、トルエン、キシレンが挙げられる。アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、シクロヘキサノール、3−メトキシブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
【0037】
また、その他の液状媒体として、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネートが挙げられる。
【0038】
その他に、本発明のインキは必要に応じて、分散剤、耐摩擦向上剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、酸化防止剤、消泡剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、保湿剤、などを含むことが出来る。
【0039】
本発明のスクリーン印刷用導電性インキは、使用用途に応じて紙、プラスチック等の基材の片面または両面上に印刷される。
【0040】
紙基材としては、コート紙、非コート紙、その他、合成紙、ポリエチレンコート紙、含浸紙、耐水加工紙、絶縁加工紙、伸縮加工紙等の各種加工紙が使用できるが、安定した印刷物を得るためには、コート紙、加工紙が好ましい。コート紙の場合は、平滑度の高いものほど好ましい。
【0041】
プラスチック基材としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロハン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリスチレン、ビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール、ナイロン、ポリイミド、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0042】
また、表面を改質して、印刷効果を上げる手段として、アンカー処理が挙げられる。アンカー処理剤としてはポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステルなどの各種変性ポリエステル樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリエーテルウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリカーボネートウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン、塩化ゴム、メラミン樹脂、尿素樹脂、ニトロセルロース、セルロース・アセテート・ブチレート(CAB)、セルロース・アセテート・プロピオネート(CAP)などの変性セルロース類、ロジン、マレイン酸樹脂、天然樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
塗布方法としては、フレキソ印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷等、従来公知の印刷方法を用いて印刷することができる。
【0043】
本発明のスクリーン印刷用導電性インキ組成物の用途としては、種々の微細パターンを必要とする機能性素子の形成に用いることが出来る。具体的にはプリント配線板におけるメッキレジストパターンやエッチングレジストパターンあるいはPDP用の隔壁、EMIシールド材等を挙げることが出来る。
【実施例】
【0044】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明において、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を表す。
【0045】
[銀粉A]
METALOR社製銀粉C−1284P(タップ密度2.8g/cm3、平均粒径1.2μm)を銀粉Aとした。
【0046】
[銀粉B]
福田金属箔工業製銀粉シルコートAgC−A(タップ密度3.4g/cm3、平均粒径3.1μm)を銀粉Bとした。
【0047】
[銀粉C]
SINO−PLATIUM製銀粉(タップ密度2.9g/cm3、平均粒径5.6μm)を銀粉Cとした。
【0048】
[ワニスA]
日信化学工業社製塩ビ酢ビ共重合樹脂ソルバインTA−3を40部、イソホロンを60部、丸底フラスコに投入し、60℃、2時間攪拌、溶解しワニスA(固形分40%)とした。
【0049】
[ワニスB]
東洋紡社製ポリエステル樹脂バイロン630を40部、イソホロンを60部、丸底フラスコに投入し、60℃、2時間攪拌、溶解しワニスB(固形分40%)とした。
【0050】
[ワニスC]
ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂エピコート1256を40部、イソホロンを60部、丸底フラスコに投入し80℃、2時間攪拌、溶解しワニスC(固形分40%)とした。
【0051】
表1に記載した配合比率にて銀粉、ワニス、溶剤をディスパー、3本ロールにより混練し、導電性インキを調整した。得られた導電性インキの流動性は下記の方法で測定した。
【0052】
この導電性インキを400メッシュスクリーン版を用いて長さ70mm、線巾100μm、200μm、300μm、500μm、1mm、2mm、3mm、5mm、ピッチ幅10mmの格子状テストパターンを50μmPETフィルム上に印刷し、150℃オーブン中で10分間乾燥させた。得られた印刷物外観評価用とした。
【0053】
(銀粉末のタップ密度及び平均粒径の測定)
1)タップ密度
JIS Z 2512:2006法に基づいて測定した。
2)平均粒径
島津製作所製レーザー回折粒度分布測定装置「SALAD−3000」を用いて測 定した体積粒度分布の累積粒度50の粒子径(D50)を平均粒径と定義し記載し た。
【0054】
(インキの粘度及びTI値の測定)
導電性インキを所定量秤り取り、E型回転粘度計(東機産業社製「RE80H」)を使用して、測定部の形状が円錐で、円盤型の試料容器を用い、25℃環境下で、インキ粘度測定の場合は5rpmで、TI値(チキソトロピーインデックス値)測定の場合は2rpm及び20rpmにて測定し、インキ粘度、TI値を求めた。
ここで、TI値とは、2rpmの粘度V2rpmと20rpmとの粘度V20rpmの比率であり、TI値=V2rpm/V20rpmのことである。
【0055】
(印刷物外観評価)
印刷物の外観を光学顕微鏡(KEYENCE社製「VH−Z450」、倍率:×100倍)にて観察し評価した。
○:断線、インキの滲み、欠け等が無く良好。
×:断線、或いはインキの滲み、欠け等が見られる。
【0056】
(印刷適性)
印刷物外観測定用以外に400メッシュシルクスクリーン版を用いて、50μmPETフィルム上に50mm×80mmのテストパターンを印刷し、150℃オーブン中で10分乾燥させた。印刷適性は版からインキの転移性を目視評価した。
○:異常なく良好なもの
×:版から転移しない。または印刷表面が不良のもの。
【0057】
(比抵抗の測定)
上記印刷物と同じ印刷物の表面抵抗率をダイアインスツルメント社製抵抗率計ロレスタGPにて測定し、株式会社仙台ニコン社製MH−15M型測定器を用いて測定した膜厚を乗じて比抵抗を求めた。
【0058】
(接着の測定)
上記印刷物と同じ印刷物を用い、セロハンテープ(12mm巾)を印刷物表面に貼り付け、急激に剥離し、印刷物の接着性を評価した。
○:剥離せず、異常なし。
×:剥離あり。
【0059】
表1に示すように、実施例1〜3に関しては良好な印刷効果を有し、低抵抗な印刷物を得られるが、比較例1〜3においては粘度、TI値が本発明範囲を逸脱しており、細線印刷に問題を発生する。
【0060】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
E型回転粘度計測定法で、測定部の形状が円錐で円盤型の試料容器を用い、温度条件が25℃で測定した粘度が5rpmで10Pa・S〜200Pa・Sであり、2rpmと20rpmとの比率(TI値)が4.0〜10.0であることを特徴とするスクリーン印刷用導電性インキ組成物。
【請求項2】
全固形分が70重量%〜97重量%であることを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷用導電性インキ組成物。
【請求項3】
導電性物質と樹脂との固形分の重量比率が90:10〜99:1である事を特徴とする請求項1または2記載のスクリーン印刷用導電性インキ組成物。
【請求項4】
導電性物質が、タップ密度1.5〜5g/cm3であり、平均粒径0.5〜5μmであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のスクリーン印刷用導電性インキ組成物。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載のスクリーン印刷用導電性インキ組成物を基材上に印刷後、硬化させてなることを特徴とする導電性塗膜。


【公開番号】特開2010−47716(P2010−47716A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214625(P2008−214625)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】