説明

スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法

【課題】局所的に連続して発生する印刷不良を有効に防止して、印刷品質を確保することができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【解決手段】パターン孔12aが設けられたマスクプレート12に基板を当接させて半田ペーストSを電極10aに印刷するスクリーン印刷において、印刷後の基板におけるペーストの印刷状態について印刷量が過小の「かすれ」を検査項目に含んだ印刷検査の判定結果に基づき、マスクプレート12におけるパターン孔12aの状態を検査してクリーニングが必要とされる要クリーニング部位を特定し、特定された要クリーニング部位を吸引ヘッド38によって局所的にクリーニングする。これにより、局所的に連続して発生する印刷不良を有効に防止して、印刷品質を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に半田ペーストや導電性ペーストなどのペーストを印刷するスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品の実装においては、基板への電子部品の搭載に先立って基板の表面に半田ペーストが塗布される。半田塗布の方法としてはスクリーン印刷による方法が広く用いられており、印刷工程の後には半田ペーストの印刷状態を検査する印刷検査が行われる。この印刷検査は、スクリーン印刷後の基板をカメラにより撮像し、撮像結果を画像認識処理することにより印刷部位に正しく半田ペーストが印刷されているか否かを判定するものであり、印刷対象部位におけるペーストの印刷量が過大で印刷範囲から外側にはみ出した「にじみ」および印刷対象部位における印刷量が過小の「かすれ」などの検査項目について、検査結果が出力される。
【0003】
これらの検査は、一般に画像認識処理によって算出された印刷面積などの検査諸量を、予め設定された検査しきい値と比較することによって行われ、検査しきい値を境として良否の判定がなされる。またこれとともに、所定の検査項目については、算出された検査諸量を良否判定以外の目的、例えば印刷状態の特定項目の傾向を判断して動作パラメータを変更するためのフィードバックの要否判断に用いるようになっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−19071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでスクリーン印刷における印刷不良の発生傾向はマスクプレートの局所的な状態に依存する場合が多く、マスクプレートの状態に何らかの異常が発生している場合には、印刷後の基板において同一箇所に同様傾向の印刷不良が連続して検出される。しかしながら、前述の先行技術文献に示す例を含め、従来のスクリーン印刷においては、マスクプレートにおける何らかの異常に起因する印刷不良が検出された場合においても、マスクプレート全体を対象とするクリーニング動作の実行を指示する旨のフィードバック情報が出されるのみであり、局所的に発生した印刷不良に適正に対処するための処置が必ず行われるとは限らなかった。このように、従来のスクリーン印刷装置においては、局所的に連続して発生する印刷不良に対して有効に対処することができず、このことが印刷品質の低下の一因となっていた。
【0005】
そこで本発明は、局所的に連続して発生する印刷不良を有効に防止して、印刷品質を確保することができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスクリーン印刷装置は、パターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させ、マスクプレート上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより、前記パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、印刷後の基板におけるペーストの印刷状態について、印刷対象部位における印刷量が過小の「かすれ」を検査項目に含んだ印刷検査を行い、前記検査項目について所定の検査しきい値に基づく判定結果を出力する印刷検査部と、前記判定結果に基づき前記マスクプレートにおけるパターン孔の状態を検査してクリーニングが必要とされる要クリーニング部位を特定するマ
スク検査部とを備えた。
【0007】
本発明のスクリーン印刷方法は、パターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させ、マスクプレート上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより、前記パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、印刷後の基板におけるペーストの印刷状態について、印刷対象部位における印刷量が過小の「かすれ」を検査項目に含んだ印刷検査を行い、前記検査項目について所定の検査しきい値に基づく判定結果を出力する印刷検査工程と、前記判定結果に基づき前記マスクプレートにおけるパターン孔の状態を検査してクリーニングが必要とされる要クリーニング部位を特定するマスク検査工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷後の基板におけるペーストの印刷状態について、印刷対象部位における印刷量が過小の「かすれ」を検査項目に含んだ印刷検査の判定結果に基づいて、マスクプレートにおけるパターン孔の状態を検査してクリーニングが必要とされる要クリーニング部位を特定することにより、局所的に連続して発生する印刷不良を有効に防止して、印刷品質を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図、図2は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図、図3は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の平面図、図4は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のクリーニングユニットの構造説明図、図5は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のクリーニングユニットの動作説明図、図6は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の制御系の構成を示すブロック図、図7は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法におけるマスククリーニング動作の説明図である。
【0010】
まず図1、図2、図3を参照して、スクリーン印刷装置の構造を説明する。図1において、スクリーン印刷装置は、基板位置決め部1の上方にスクリーン印刷機構13を配設して構成されている。基板位置決め部1は、Y軸テーブル2、X軸テーブル3およびθ軸テーブル4を段積みし、更にその上に第1のZ軸テーブル5、第2のZ軸テーブル6を組み合わせて構成されている。第1のZ軸テーブル5の構成を説明する。θ軸テーブル4の上面に設けられた水平なベースプレート4aの上面側には、同様に水平なベースプレート5aが昇降ガイド機構(図示省略)によって昇降自在に保持されている。ベースプレート5aは、複数の送りねじ5cをモータ5bによってベルト5dを介して回転駆動する構成のZ軸昇降機構によって昇降する。
【0011】
ベースプレート5aには垂直フレーム5eが立設されており、垂直フレーム5eの上端部には基板搬送機構8が保持されている。基板搬送機構8は基板搬送方向(X方向−−図1において紙面垂直方向)に平行に配設された2条の搬送レールを備えており、これらの搬送レールによって印刷対象の基板10の両端部を支持して搬送する。第1のZ軸テーブル5を駆動することにより、基板搬送機構8によって保持された状態の基板10を、基板搬送機構8とともに後述するスクリーン印刷機構13に対して昇降させることができる。図2、図3に示すように、基板搬送機構8は上流側(図2、図3において左側)および下流側に延出し、上流側から搬入された基板10は基板搬送機構8によって搬送され、さらに基板位置決め部1によって位置決めされる。そして後述するスクリーン印刷機構によって印刷が行われた後の基板10は、基板搬送機構8によって下流側に搬出される。
【0012】
第2のZ軸テーブル6の構成を説明する。基板搬送機構8とベースプレート5aの中間には、水平なベースプレート6aが昇降ガイド機構(図示省略)に沿って昇降自在に配設
されている。ベースプレート6aは、複数の送りねじ6cをモータ6bによってベルト6dを介して回転駆動する構成のZ軸昇降機構によって昇降する。ベースプレート6aの上面には、上面に基板10を保持する下受け面が設けられた基板下受部7が配設されている。
【0013】
第2のZ軸テーブル6を駆動することにより、基板下受部7は基板搬送機構8に保持された状態の基板10に対して昇降する。そして基板下受部7の下受け面が基板10の下面に当接することにより、基板下受部7は基板10を下面側から支持する。基板搬送機構8の上面にはクランプ機構9が配設されている。クランプ機構9は、左右対向して配置された2つのクランプ部材9aを備えており、一方側のクランプ部材9aを駆動機構9bによって進退させることにより、基板10を両側からクランプして固定する。
【0014】
次に基板位置決め部1の上方に配設されたスクリーン印刷機構13について説明する。図1,図2において、マスク枠11にはマスクプレート12が展張されており、マスクプレート12には、基板10におおいて印刷対象となる電極10aの形状・位置(図3参照)に対応して、パターン孔12aが設けられている。マスクプレート12上にはスキージヘッド13aが配設されており、スキージヘッド13aは、水平なプレート14にスキージ16を昇降させるスキージ昇降機構15を配設した構成となっている。スキージ昇降機構15を駆動することによりスキージ16は昇降して、マスクプレート12の上面に当接する。
【0015】
図2に示すように、縦フレーム25上に配置されたブラケット26上にはガイドレール27がY方向に配設されており、ガイドレール27にスライド自在に嵌合したスライダ28は、プレート14の両端に結合されている。これにより、スキージヘッド13aはY方向にスライド自在となっている。プレート14は、ナット30、送りねじ29および送りねじ29を回転駆動するスキージ移動用モータ(図示省略)より成るスキージ移動手段によりY方向に水平移動する。
【0016】
次に、マスクプレート12の下面をクリーニングするマスククリーニング機構およびカメラヘッドユニット17について説明する。本実施の形態においては、クリーニング機構として、マスクプレート12の下面全体を対象として拭取りによるクリーニング動作を実行するための拭取クリーニングユニット18Aと、マスクプレート12の特定の部位を対象として吸引によるクリーニング動作を実行するための吸引クリーニングユニット18Bを備えた構成を採用している。
【0017】
図1に示すように、クリーニングヘッドユニット18は基板10およびマスクプレート12を撮像するカメラヘッドユニット17と一体的にY方向に移動する構成となっている。カメラヘッドユニット17は、基板10を上方から撮像するための基板認識カメラ17aと、マスクプレート12を下面側から撮像するためのマスク認識カメラ17bとを備えており、ヘッドX軸テーブル19に装着されてY方向に一体的に移動する。カメラヘッドユニット17をX方向、Y方向に移動させて基板位置決め部1とマスクプレート12との間に位置させることにより、基板10の認識とマスクプレート12の認識とを同時に行うことができる。
【0018】
図2において縦フレーム25上にはガイドレール31がY方向に配設されており、ガイドレール31にスライド自在に嵌合したスライダ32は、ヘッドX軸テーブル19にブラケット19aを介して結合されている。これにより、ヘッドX軸テーブル19はY方向にスライド自在となっている。ヘッドX軸テーブル19は、ナット34、送りねじ33および送りねじ33を回転駆動するヘッド移動用モータ(図示省略)より成るヘッドY軸移動機構20によりY方向に水平移動する。
【0019】
ヘッドX軸テーブル19にはカメラヘッドユニット17および吸引クリーニングユニット18Bが装着されており、ヘッドX軸テーブル19を駆動することにより、カメラヘッドユニット17および吸引クリーニングユニット18Bは一体的にX方向に移動する。ヘッドX軸テーブル19およびヘッドY軸移動機構20は、カメラヘッドユニット17、拭取クリーニングユニット18A,吸引クリーニングユニット18Bを移動させるヘッド移動手段を構成する。なお、カメラヘッドユニット17および吸引クリーニングユニット18Bを一体的に移動させる構成に替えて、それぞれを個別に移動させる専用の移動手段を備えるようにしてもよい。
【0020】
次にスクリーン印刷機構13による印刷動作について説明する。まず基板搬送機構8によって基板10が印刷位置に搬入されると、第2のZ軸テーブル6を駆動して基板下受部7を上昇させ、基板10の下面を下受けする。そしてこの状態で、基板位置決め部1を駆動して基板10をマスクプレート12に対して位置合わせする。この後、第1のZ軸テーブル5を駆動して基板10を基板搬送機構8とともに上昇させてマスクプレート12の下面に当接させ、次いで基板10をクランプ機構9によってクランプする。これにより、スキージヘッド13aによるスキージングにおいて、基板10の水平位置が固定される。そしてこの状態で、ペーストである半田ペーストが供給されたマスクプレート12上でスキージ16を摺動させることにより、パターン孔12aを介して基板10には半田ペーストが印刷される。 次に、図3,図4,図5を参照して、拭取クリーニングユニット18A、吸引クリーニングヘッドユニット18Bの構造を説明する。図3に示すように、拭取クリーニングユニット18Aは、水平なユニットベースに未使用のクリーニングペーパを巻回したペーパロール22Aと、使用済みのクリーニングペーパを巻回したペーパロール22Bおよび拭取ヘッド21を配設した構成となっており、ペーパロール22Aから引き出されたクリーニングペーパは、拭取ヘッド21を経由してペーパロール22Bに回収される。
【0021】
図4(a)は図3に示す拭取クリーニングユニット18AのY方向の断面を示しており、ペーパロール22Aから引き出されたクリーニングペーパ23は、複数のガイドローラ36によって導かれて、拭取ヘッド21の上面の押付面を周回して、ペーパロール22Bに巻き取られる。拭取ヘッド21はヘッド昇降機構35によって昇降自在となっている。
【0022】
図4(b)は、ヘッドX軸テーブル19に装着された吸引クリーニングユニット18Bの構造を示している。図4(b)において、ヘッドX軸テーブル19の移動プレート19bに結合されたベース部材37には、吸引ヘッド38が昇降機構38aによって昇降自在に配設されている。吸引ヘッド38の上面はマスクプレート12の下面に当接して吸引する吸引面となっており、吸引面に設けられた吸引孔38bには真空吸引源39が接続されている。真空吸引源39を駆動することにより、吸引孔38bから真空吸引し、これによりマスクプレート12の下面を対象として、吸引によるクリーニングを行うことが可能となっている。
【0023】
図5(a)に示す通常状態では、拭取クリーニングユニット18A、吸引クリーニングユニット18Bにおいては拭取ヘッド21、吸引ヘッド38はいずれも下降状態にある。そしてマスクプレート12の下面を清掃するマスククリーニング時には、拭取クリーニングユニット18A、吸引クリーニングユニット18Bによるクリーニング動作を選択的にあるいは併用して実行する。すなわち図5(b)に示すように、ヘッド昇降機構35を駆動して拭取ヘッド21を上昇させ、クリーニングペーパ23をマスクプレート12の下面に押し当てた状態で拭取ヘッド21をマスクプレート12の下面に対して摺動させる。また吸引ヘッド38を上昇させて、吸引面を特定のクリーニング対象部位に押しつけ、真空吸引源39を駆動して吸引孔38bから吸引する。
【0024】
次に図6を参照して、制御系の構成を説明する。図6において、制御部40は以下に説明する各部を統括して制御する。記憶部41は、制御部40による制御処理に必要な各種のプログラムや、動作や演算の制御に用いられる制御パラメータなどの各種データを記憶する。表示部42は、液晶パネルなどの表示装置であり、各種の報知や警告などの表示を行う。この表示項目には、マスクプレート12において局所的なクリーニングを必要とする要クリーニング部位を画面に表示して指示するための表示画面が含まれる。
【0025】
画像認識部43は、基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bによる撮像データを認識処理する。印刷検査部44は、スクリーン印刷後の基板10を基板認識カメラ17aによって撮像した撮像データを認識処理することにより、印刷後の基板10の印刷対象部位である電極10aにおける半田ペーストSの印刷状態についての検査を行う。すなわち画像認識部43によって算出された半田ペーストの面積などの検査諸量を検査しきい値と比較することによって、印刷対象部位において印刷量が過小であることを示す「かすれ」、印刷量が過大であることを示す「にじみ」、正規の印刷範囲からずれた位置に半田が印刷される「位置ずれ」などの項目が検査される。すなわち、印刷検査部44は、印刷対象部位における印刷量が過小の「かすれ」を検査項目に含んだ印刷検査を行い、これらの検査項目について所定の検査しきい値に基づく判定結果を出力する。
【0026】
マスク検査部45は、印刷検査部44の判定結果に基づき、マスクプレート12におけるパターン孔12aの状態を検査して、クリーニングが必要とされる要クリーニング部位を特定する処理を行う。すなわちマスク検査部45によって「かすれ」や「にじみ」など、パターン孔12aの状態に起因する度合いが大きい印刷不良が連続して同一部位に発生していると判断された場合には、まずマスク認識カメラ17bを当該部位に移動させてマスクプレート12の下面を撮像する。次いでこの撮像データの認識処理を画像認識部43に行わせることにより、当該部位が局所的なクリーニングが必要とされる要クリーニング部位であるか否かの確認を行う。
【0027】
ここで要クリーニング部位であることが確認された場合には、吸引クリーニングユニット18Bによって当該部位を局所的にクリーニングする。すなわち、吸引クリーニングユニット18Bは、要クリーニング部位を局所的にクリーニングする局所クリーニング手段となっている。なお局所クリーニング手段を備えていない場合には、マシンオペレータによる手動クリーニングを行う。すなわち、表示部42によって要クリーニング部位を画面に表示して指示し、マシンオペレータはこの指示にしたがって要クリーニング部位を吸引具などの作業ツールを用いてクリーニングする。
【0028】
機構制御部46は、記憶部41に記憶されたプログラムや制御パラメータに基づいて、スクリーン印刷機構13、基板位置決め部1の動作を制御するとともに、拭取クリーニングユニット18A、吸引クリーニングユニット18Bによって構成されるマスククリーニング機構47、ヘッドX軸テーブル19およびヘッドY軸移動機構20によって構成されるヘッド移動手段48の動作制御を行う。
【0029】
次に、このスクリーン印刷装置によって行われるスクリーン印刷方法における印刷検査およびこの印刷検査の結果に基づいて実行されるマスククリーニング動作について、図7を参照して説明する。まず、基板認識カメラ17aによってスクリーン印刷印刷後の基板10を撮像することにより、基板10における半田ペーストの印刷状態について、印刷対象部位における印刷量が過小の「かすれ」を検査項目に含んだ印刷検査を行い、検査項目について所定の検査しきい値に基づく判定結果を出力する(印刷検査工程)。図7(a)は、この印刷検査工程において、一部の電極10aにパターン孔12aによる印刷範囲の中央の一部分にしか半田ペーストSが印刷されていない「かすれ」が発生し、さらに一部
の電極10aに印刷範囲を超えて半田ペーストSがはみ出している「にじみ」が発生したことが判定結果として出力された場合の例を示している。
【0030】
次にこの判定結果を受けて、判定結果に基づきマスクプレート12におけるパターン孔12aの状態を検査してクリーニングが必要とされる要クリーニング部位を特定する(マスク検査工程)。すなわち図7(b)に示すように、マスク認識カメラ17bを前述の「かすれ」や「にじみ」が検出された電極位置に対応するマスクプレート12の部位に移動させ、マスク認識カメラ17bによって当該部位のパターン孔12aを撮像し、次いで撮像データを画像認識部43によって認識処理する。これにより、「かすれ」が検出されたパターン孔12aにはパターン孔12a内に半田ペーストSが強固に付着した目詰まり状態が発生し、「にじみ」が発生したパターン孔12aの周囲のマスク下面にははみ出した半田ペーストSが付着したままとなっていることが確認され、いずれも要クリーニング部位であることが検出される。
【0031】
そしてこのマスク検査工程の確認結果に基づき、マスククリーニング動作が実行される。ここではまず図7(d)に示すように、拭取クリーニングユニット18Aを「にじみ」が発生したパターン孔12aの近傍に移動させて、拭取ヘッド21によってクリーニングペーパ23を当該要クリーニング部位に押しつけ、はみ出した半田ペーストSをクリーニングペーパ23によって拭き取る。次いで、図7(e)に示すように、吸引クリーニングユニット18Bを「かすれ」が発生したパターン孔12aに移動させて、吸引ヘッド38を下面側から押し当て、吸引孔38bから吸引することにより、パターン孔12a内に強固に付着した半田ペーストSを除去する。
【0032】
これにより、従来の拭取りを主体としたマスククリーニング動作では除去が困難であったパターン孔12a内の目詰まりについても確実なクリーニング効果を得ることができる。なお、吸引クリーニングユニット18Bによる自動マスククリーニングを行う代わりに、表示部42によって要クリーニング部位を画面に表示して指示し、この表示にしたがってマシンオペレータによって要クリーニング部位を手作業によってクリーニングするようにしてもよい。
【0033】
上記説明したように、本実施の形態に示すスクリーン印刷においては、印刷後の基板におけるペーストの印刷状態について、印刷対象部位における印刷量が過小の「かすれ」を検査項目に含んだ印刷検査の判定結果に基づいて、マスクプレートにおけるパターン孔の状態を検査してクリーニングが必要とされる要クリーニング部位を特定するようにしている。これにより、局所的に連続して発生する印刷不良を有効に防止して、印刷品質を確保することができる。
【0034】
なお本実施の形態においては、ペーストとして半田ペーストを印刷する例を示したが、本発明の適用は半田ペーストに限定されるものではなく、導電性ペーストやフラックスなどの高粘性流体をスクリーン印刷によって印刷する場合にあっても、本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法は、局所的に連続して発生する印刷不良を有効に防止して、印刷品質を確保することができるという効果を有し、パターン孔を介して基板に半田ペーストなどのペーストを印刷する分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図
【図3】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の平面図
【図4】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のクリーニングユニットの構造説明図
【図5】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のクリーニングユニットの動作説明図
【図6】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の制御系の構成を示すブロック図
【図7】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法におけるマスククリーニング動作の説明図
【符号の説明】
【0037】
1 基板位置決め部
10 基板
10a 電極
12 マスクプレート
12a パターン孔
13 スクリーン印刷機構
16 スキージ
17 カメラヘッドユニット
18A 拭取クリーニングユニット
18B 吸引クリーニングユニット
21 拭取ヘッド
38 吸引ヘッド
S 半田ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させ、マスクプレート上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより、前記パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、
印刷後の基板におけるペーストの印刷状態について、印刷対象部位における印刷量が過小の「かすれ」を検査項目に含んだ印刷検査を行い、前記検査項目について所定の検査しきい値に基づく判定結果を出力する印刷検査部と、前記判定結果に基づき前記マスクプレートにおけるパターン孔の状態を検査してクリーニングが必要とされる要クリーニング部位を特定するマスク検査部とを備えたことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記要クリーニング部位を局所的にクリーニングする局所クリーニング手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記要クリーニング部位を画面に表示して指示する表示部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
パターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させ、マスクプレート上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより、前記パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、
印刷後の基板におけるペーストの印刷状態について、印刷対象部位における印刷量が過小の「かすれ」を検査項目に含んだ印刷検査を行い、前記検査項目について所定の検査しきい値に基づく判定結果を出力する印刷検査工程と、前記判定結果に基づき前記マスクプレートにおけるパターン孔の状態を検査してクリーニングが必要とされる要クリーニング部位を特定するマスク検査工程とを含むことを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項5】
前記要クリーニング部位を局所的にクリーニングする局所クリーニング手段によって、前記要クリーニング部位を自動的にクリーニングすることを特徴とする請求項4に記載のスクリーン印刷方法。
【請求項6】
前記要クリーニング部位を画面に表示して指示することを特徴とする請求項4に記載のスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−294035(P2008−294035A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135135(P2007−135135)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】