説明

スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法

【課題】人手によって半田の補充を行う場合に、生産効率を低下させることなく印刷不良の発生を抑制することができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供する。
【解決手段】スクリーン印刷装置は、一枚の基板に印刷を終える毎に印刷回数を計上し、累計印刷回数がオペレータによって予め設定された回数に達したときにオペレータに対して半田の残量確認を促す警告を行う。警告を受けたオペレータが累計印刷回数の繰り下げ要求を入力すると、スクリーン印刷装置は印刷作業を中断することなく累計印刷回数を繰り下げ、繰り下げられたところから再び印刷回数を計上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンマスク上の半田を基板に印刷するスクリーン印刷に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷ではスクリーンマスクに置かれた半田の残量が少なくなるにつれ印刷むらや空刷り等の印刷不良が発生し易い。印刷品質を一定以上の水準に保つためにはある程度の量の半田が必要であるため適宜半田を補充する必要がある。半田の補充は通常は残量を監視しているオペレータが手動で行っているが、このような人手による方法では補充を忘れる可能性があることから、特許文献1にはスクリーンマスク上の半田の残量をセンサで検出し、必要な量の半田を自動供給するスクリーン印刷装置が開示されている。
【特許文献1】特開平6−23945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このスクリーン印刷装置は、スキージ部分にセンサと半田の自動供給装置を配置することになるため、初期費用が上昇するとともにスキージ部分が大型化し、重量も増加するという問題がある。また供給用の半田を貯留しておくための場所も必要であり、貯留した半田の重量も加わるためスキージ部分はさらに大型化、高重量化することになる。スキージは半田印刷の際にスクリーンマスクの表面を摺動する部材であり小型軽量であることが望ましいため、特許文献1に開示されたスクリーン印刷装置は適用できる状況が極めて限られる。
【0004】
そこでスキージ部分の機能付加を伴わずに人手によって半田補充を行う場合を考えると、人為的ミスによる印刷不良の発生を極力避けるという観点から、予め定めた印刷回数に達したらスクリーン印刷装置の稼動を強制的に停止するという方法が考えられる。しかし、この方法では稼動停止により生産が行われない時間が発生するため生産効率が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、人手によって半田の補充を行う場合に、生産効率を低下させることなく印刷不良の発生を抑制することができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のスクリーン印刷装置は、スクリーンマスクに置かれた半田を基板に印刷する印刷作業を行うスクリーン印刷装置において、一枚の基板に印刷を終える毎に印刷回数を計上する手段と、累計印刷回数がオペレータによって予め設定された回数に達したときにオペレータに対して半田の残量確認を促す警告を行う手段と、前記累計印刷回数の繰り下げ要求をオペレータが入力する手段と、を備え、前記繰り下げ要求を受けたときに印刷作業を中断することなく前記累計印刷回数を繰り下げ、繰り下げられたところから再び印刷回数を計上する。
【0007】
請求項2記載のスクリーン印刷装置は、請求項1記載のスクリーン印刷装置であって、前記警告に係る情報と前記累計印刷回数の繰り下げ要求に係る情報をオペレータに提示する表示パネルを備えた。
【0008】
請求項3記載のスクリーン印刷方法は、スクリーンマスクに置かれた半田を基板に印刷する印刷作業を行うスクリーン印刷方法において、一枚の基板に印刷を終える毎に印刷回
数を計上する工程と、累計印刷回数がオペレータによって予め設定された回数に達したときにオペレータに対して半田の残量確認を促す警告を行う工程と、前記警告を受けたオペレータが前記累計印刷回数の繰り下げ要求を入力する工程と、前記繰り下げ要求を受けたときに印刷作業を中断することなく前記累計印刷回数を繰り下げ、繰り下げられたところから再び印刷回数を計上する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、予め定めた印刷回数に達したら印刷作業を中断することなく半田の残量確認を促す警告が出され、オペレータは視認した半田の残量に応じた処置を施すことができるので、生産効率を低下させることなく印刷不良の発生を極力抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置の外観を示す図、図2は本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置の内部を示す図、図3は警告時に表示パネルに表示される画面例、図4は本発明の実施の形態のスクリーン印刷方法を示すフローチャートである。
【0011】
最初にスクリーン印刷装置の構成について図1乃至図3を参照して説明する。
スクリーン印刷装置1は外周を安全カバー2で覆われており、安全カバー2に内部で行われる印刷作業を観察するための窓3と、情報を入力したり作業状況をオペレータに知らせるためのタッチパネル機能を備えた表示パネル4と、作業中に異常が発生したときなどに外部に報知するためのパトライト5が備わっている。
【0012】
スクリーン印刷装置1の内部にはスクリーンマスク6とスキージ7と制御装置8が備わっている。半田9は予め所定の量だけスクリーンマスク6の上に置かれており、これをスキージ7で移動させながら基板10に転写するスクリーン印刷を行う。
【0013】
制御装置8はRAM、ROM等の記憶領域とCPU等の演算領域を有し、スクリーン印刷装置1の全般の動作制御を行う。演算領域では一枚の基板10に印刷を終える毎に印刷回数を計上し、累計印刷回数を算出する。記憶領域には最初に印刷作業中断回数と半田残量確認回数を記憶させておく。印刷作業中断回数とはスクリーン印刷装置1の印刷動作を強制的に中断するまでに行う累計印刷回数のことであり、半田残量確認回数とは半田の残量確認を促す警告を行うまでの累計印刷回数のことである。制御装置8は累計印刷回数が半田残量確認回数に達したときに半田の残量確認を促す警告を出す制御を行う。警告に係る具体的な情報は表示パネル4に表示され、オペレータに提示される。
【0014】
警告時に表示パネル4の表示される画面の例を図3に示す。制御装置8は累計印刷回数が半田残量確認回数に達したときに表示パネル4に警告画面を表示させる。表示パネル4の画面上部には「警告」の文字とともに「半田の残量を確認してください」と表示され、画面下部には「リセット」と「スヌーズ」と記された領域が表示される。これらはオペレータが制御装置8に対して累計印刷回数の繰り下げ要求を入力するためのインターフェイスであり、オペレータが「リセット」領域に手を触れると累計印刷回数が初期値(印刷回数=0)まで繰り下げられ、「スヌーズ」領域に手を触れると所定の回数だけ累計印刷回数が繰り下げられる。一回手を触れる毎にどれだけ繰り下げるかは予め設定しておく。
【0015】
また制御装置8は、印刷回数の累計印刷回数が印刷作業中断回数に達したときには、いわゆる空刷りを防止するためスクリーン印刷装置1の印刷動作を強制的に中断し、パトライト5を点灯させる。
【0016】
次にスクリーン印刷装置1を用いたスクリーン印刷方法について図4のフローチャートを参照して説明する。スクリーン印刷を開始するに当たってオペレータは最初に印刷作業中断回数と半田残量確認回数を設定する(ST1)。印刷作業中断回数と半田残量確認回数の設定は表示パネル4のタッチパネル機能を用いたデータ入力で行い、入力されたデータは制御装置8に自動的に記憶される。このとき半田残量確認回数は印刷作業中断回数より小さい値とする。これにより印刷作業が中断される前段階で必ず半田の残量確認を促す警告が出されるようになり、オペレータが気づかないうちにスクリーン印刷装置1が稼動を停止するような事態になることを回避することができる。
【0017】
スクリーン印刷装置1は印刷作業中断回数と半田残量確認回数の入力を確認したら累計印刷回数をリセットして印刷作業を開始する(ST2)。一枚の基板10に印刷を終える毎に印刷回数を1ずつ計上し(ST3)、累計印刷回数が半田残量確認回数に達したら半田の残量確認を促す警告を出す(ST4)。この警告は表示パネル4に詳細に表示されるほかパトライト5の点灯によっても報知され、スクリーン印刷装置1から離れた場所にいるオペレータにも確実に伝わるようになっている。
【0018】
警告を受けたオペレータは稼働中のスクリーン印刷装置1の窓3から内部を覗いて半田9を視認する(ST5)。視認の結果、スクリーンマスク6上に印刷作業を継続するのに十分な量の半田9が残っていると判断した場合には「リセット」を選択し、累計印刷回数を初期値に戻すまでの残量はないと判断した場合には「スヌーズ」を選択する。「リセット」選択された場合には、スクリーン印刷装置1は印刷作業を継続したまま累計印刷回数をリセットし(ST6)、その後の印刷回数は初期値から計上する(ST3)。「スヌーズ」が選択された場合には、スクリーン印刷装置1は印刷作業を継続したまま所定の回数だけ累計印刷回数を繰り下げ(ST7)、その後の印刷回数は繰り下げられたところから計上する(ST3)。
【0019】
以上の工程を経て累計印刷回数が印刷動作中断回数に達したら、スクリーン印刷装置1が稼動を停止し、印刷動作が中断する(ST8)。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は多数の基板に連続して半田印刷を行うスクリーン印刷の分野で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置の外観を示す図
【図2】本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置の内部を示す図
【図3】警告時に表示パネルに表示される画面例を示す図
【図4】本発明の実施の形態のスクリーン印刷方法を示すフローチャート
【符号の説明】
【0022】
1 スクリーン印刷装置
4 表示パネル
6 スクリーンマスク
8 制御装置
9 半田

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンマスクに置かれた半田を基板に印刷する印刷作業を行うスクリーン印刷装置において、
一枚の基板に印刷を終える毎に印刷回数を計上する手段と、
累計印刷回数がオペレータによって予め設定された回数に達したときにオペレータに対して半田の残量確認を促す警告を行う手段と、
前記累計印刷回数の繰り下げ要求をオペレータが入力する手段と、
を備え、
前記繰り下げ要求を受けたときに印刷作業を中断することなく前記累計印刷回数を繰り下げ、繰り下げられたところから再び印刷回数を計上することを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記警告に係る情報と前記累計印刷回数の繰り下げ要求に係る情報をオペレータに提示する表示パネルを備えたことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
スクリーンマスクに置かれた半田を基板に印刷する印刷作業を行うスクリーン印刷方法において、
一枚の基板に印刷を終える毎に印刷回数を計上する工程と、
累計印刷回数がオペレータによって予め設定された回数に達したときにオペレータに対して半田の残量確認を促す警告を行う工程と、
前記警告を受けたオペレータが前記累計印刷回数の繰り下げ要求を入力する工程と、
前記繰り下げ要求を受けたときに印刷作業を中断することなく前記累計印刷回数を繰り下げ、繰り下げられたところから再び印刷回数を計上する工程と、
を含むことを特徴とするスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−125736(P2010−125736A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303968(P2008−303968)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】