説明

スタチン類と抗肥満症薬との組み合わせ

抗肥満症薬とスタチンとの共治療が、その多剤混合薬と共に開示される。アトルバスタチン及びオルリスタットが、様々な成分として好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2007年4月9日に出願された、米国特許仮出願第60/922454号の利益を主張する。
【0002】
連邦支援の研究もしくは開発に関しては、これには該当しない。
【背景技術】
【0003】
本発明は、スタチン系治療薬の分野;抗肥満症薬(例えばオルリスタット及びシブトラミン)の分野;別個の製剤の別々の投与として、又は同時投与として、更に、最も好ましくは単一の多剤混合薬剤として、これらを一緒に用いる共治療剤に関する。本発明は、更に、血清トリグリセリド及び/又はコレステロールの低減、並びに/又は体重軽減の改善された方法、特に血清トリグリセリド及び/又は血清コレステロールの一方もしくは両方における、個別の作用剤を用いて達成可能であるよりも改善された低減方法に関する。本発明は、更に、個別の作用剤の用量を、同一もしくは実質的に同一の結果を達成するために単剤療法に使用されるであろうレベルよりも下げることを可能にする、併用療法に関する。
【0004】
様々なスタチン類が有効なHMG-CoA還元酵素阻害剤であることが判明している。脂質異常症及び/又は高コレステロール血症の治療のために現在利用可能なスタチン類には、アトルバスタチン(Pfizer社製、Lipitor(登録商標))、シムバスタチン(Merck社製、Zocor(登録商標))、プラバスタチン(Bristol Myers Squibb社製、Pravachol(登録商標))、フルバスタチン(Novartis社製、Lescor(登録商標))、ロバスタチン(Merck社製、Mevacor(登録商標))、及びロスバスタチン(AstraZeneca社製、Crestor(登録商標))が含まれる。抗肥満症成分であるオルリスタット(Roche社製、Xenical(登録商標))は、胃腸管からの脂肪の吸収を阻害し(、よって身体がコレステロールの生合成を含む多数の過程に未吸収の脂肪を利用することを妨げ)て体重軽減のために作用し、もしくは、シブトラミン(Abbott社製、Meridia(登録商標))は、主にノルエピネフリン、ドーパミン、及びセロトニンの再摂取阻害によって作用する。スタチン類は、HMG CoA還元酵素阻害剤であり、したがってコレステロール生合成経路におけるある中間体から別の中間体への転化を妨げる点で非常に特異な作用機序を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/922454号
【特許文献2】米国特許出願第11/282507号
【特許文献3】米国特許第4,681,893号明細書
【特許文献4】米国特許第5,273,995号明細書
【特許文献5】米国特許第5,686,104号明細書
【特許文献6】米国特許第5,969,156号明細書
【特許文献7】米国特許第6,126,971号明細書
【特許文献8】米国特許第4,444,784号明細書
【特許文献9】米国再発行特許第36481号
【特許文献10】米国再発行特許36520号
【特許文献11】米国特許第4,346,227号明細書
【特許文献12】米国特許第5,030,447号明細書
【特許文献13】米国特許第5,180,589号明細書
【特許文献14】米国特許第5,622,985号明細書
【特許文献15】米国特許第5,354,772号明細書
【特許文献16】米国特許第5,356,896号明細書
【特許文献17】米国特許第4,231,938号明細書
【特許文献18】米国特許第6,316,460号明細書
【特許文献19】米国特許第6,589,959号明細書
【特許文献20】米国再発行特許第37,314号
【特許文献21】米国特許第4,598,089号
【特許文献22】米国特許第4,746,680号
【特許文献23】米国特許第4,929,629号明細書
【特許文献24】米国特許第5,436,272号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、共治療剤を必要とする患者に、少なくとも一つのスタチンと少なくとも一つの抗肥満症薬とを組み合わせて含む共治療剤を投与することによって、スタチン類の有効性を増強する方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、少なくとも一つのスタチンと少なくとも一つの抗肥満症薬とを含む組成物を提供することである。
【0008】
本発明の更に別の目的は、(a)少なくとも1つのスタチンと(b)少なくとも1つの抗肥満症薬とを含む相乗組成物を提供することである。
【0009】
本発明の更に別の目的は、患者におけるコレステロール及び/又はトリグリセリドの、スタチン又は少なくとも一つの抗肥満症薬を用いる単剤療法で達成可能な低減を上回る、低減を達成する方法を提供することである。
【0010】
本発明の更に別の目的は、スタチンがアトルバスタチン又は製薬品として許容されるその塩である、抗肥満症薬を用いたスタチン共治療剤を提供することである。
【0011】
本発明の更に別の目的は、抗肥満症薬がオルリスタット又は製薬品として許容されるその塩である、抗肥満症薬を用いたスタチン共治療剤を提供することである。
【0012】
本発明の更に別の目的は、抗肥満症薬がシブトラミン又は製薬品として許容されるその塩である、抗肥満症薬を用いたスタチン共治療剤を提供することである。
【0013】
本発明の更に別の目的は、当業者には明らかとなろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のこれら及び別の目的は、コレステロール及び/又は血清トリグリセリドの低減もしくは制御、並びに/または体重軽減もしくは制御の必要のある患者において、こうした患者を少なくとも一つのスタチンと少なくとも一つの抗肥満症薬とを含む共治療剤を用いて治療することによって達成可能である。好ましくは、共治療は、両方の作用剤を単一の製剤中に有する製剤で行われる。
【0015】
本発明は、少なくとも一つのスタチンと少なくとも一つの抗肥満症薬との組み合わせであって、単一の製剤であるか、同時に、連続して、または一日の別々の時間に投与される、それぞれが二つの活性剤(スタチン及び抗肥満症薬)の一方を有する別々の製剤であるかによらない。上述のこれら作用剤に加えて、付加的な単独型の製品として、あるいは別のスタチン及び/又は抗肥満症薬のいずれかまたは全てとの多剤混合薬としてのいずれかによらず、付加的活性剤を前記共治療剤レジメンに任意に加えることができる。本明細書中において活性剤を挙げた場合は、これにはその指名の遊離化合物及びその製薬品として許容される塩が含まれる。多形相についてまたは結晶化度について、あるいはこうした特性のないことについて言及せずに挙げる化合物には、あらゆる種類の多形相及び結晶形態が含まれる。非結晶形態を製造する一つの方法として、その全体が参照のために援用される、2005年11月18日に出願された米国特許出願第11/282507号が参照される。溶媒和物または非溶媒和物について言及せずに挙げる化合物には、水和物、無水形態、別の溶媒和物、非溶媒和形態、及び混合溶媒和物が含まれる(水和物は溶媒分子が水である場合の溶媒和物である)。
【0016】
本発明のもっとも単純な形態では、抗肥満症成分、スタチン成分、及びあらゆる任意の付加的作用剤は、それぞれが異なる製剤である。この点において、これら作用剤の現在市販の形態が適当であり、これらを、本願出願時におけるそれぞれのラベルに記載された最少有効量未満から(すなわち、本発明の相乗効果の恩恵を享受する)、一般的には本願出願時におけるそれぞれのラベルに記載された最大推奨量の二倍を超えない、それぞれの最大耐量の最大までの範囲の量で使用してよい。本発明の共治療剤は、単剤療法としての実体では、活性剤の最大耐量を超えてさえも達成し得ない結果をもたらす。好ましくは、個別の作用剤の最大耐量は用いられず、各作用剤の好ましい最大量は、本願出願時におけるそれぞれのラベルに記載された最大推奨量内である。上記量の範囲内には、ある成分の別の成分に対する、考慮されないかまたは考慮されるべきでない決まった割合はなく、その全てが本願発明に包含される。現在市販されていないそれぞれの化合物については、本発明において考慮される用量の範囲は、本願出願時におけるその最も近い市販の関連化合物についての少なくとも一つの表示において、その最も近い市販の関連化合物と、平均しておよそ同等の治療反応もたらす量であるべきである。然るに、市販されていない「アトルバスタチン系薬」がスタチンとして使用されるならば、本発明のためのその用量範囲は、アトルバスタチン(現在米国内では市販)、または世界各地で現在市販されている、より近い関連スタチンに基づくべきである。むろん、本願出願時にその化合物が世界各地(すなわち米国以外)では市販されているが米国内では市販されていない場合、容量は市販品のラベル表示に基づいて算出されるべきである。米国での用量範囲と別の国のラベル表示の用量範囲が異なる場合は、最小の最小値と最大の最大値(同一のラベルに記載されている必要はない)とが「現行の市販用量」と見なされるべきである。同様の指針が、抗肥満症薬の用量算出についても使用されるべきである。共投与されることが望ましく、共治療剤または共製剤に含まれる付加的な活性剤は、一般的にこれらの付加的活性剤が単独型の治療剤として使用される場合の、それぞれのラベル表示に推奨されている用量範囲で使用されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
スタチン類は、下式I:
【化1】

[式中、Xは直鎖状または分枝状の-(CH2)m-またはCH=CH-であり、好ましくは-(CH2)m-であり、mは0-4(好ましくは1)である]
を有する化合物、またはその対応する式II:
【化2】

[式中、Rは、様々な置換基で置換されていてよい、それぞれの場合において5-6員の単環または9-10員の二環である]
のラクトンの群に属する。本発明の目的のためには、「スタチン」なる語は、(特にそうでないと限定があるか、または文脈により制限されない限り)上記式Iに示される酸基の製薬品として許容される塩及びエステルをさらに含む。市販品を購入可能な典型的なスタチン類には、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、及びシムバスタチンが含まれる。
【0018】
式I中のRは、式III、IV、V、及びVIからなる群より選択されてよく、ここで式IIIは、下記の通りであり、
【化3】

[式中、R1-結合y-結合z-R1は、R1-C*H-CH=C*-CH=C*-R1、R1-C*H-CH=C*-CH2C*H-R1、R1-C*H-CH2-C*=CH-C*H-R1、またはR1-C*H-CH2-C*H-CH=C*-R1を表し、ここで*は、この構造の残部との結合を示し(換言すれば、(1)結合x、y、及びzの一つが二重結合であるか、または(2)yが単結合であり、x及びzのいずれもが二重結合であり);
各R1は、H、OH、または炭素原子が1-4(好ましくは炭素が1つ)のアルキルから個別に選択され;
R2は、H、及び炭素原子が1-4、好ましくは炭素が1つのアルキルから選択され;
各R3は、H、及び炭素原子が1-4、好ましくは炭素が1つのアルキルから個別に選択される]
式IVは下記の通りであり、
【化4】

[式中、R7及びR8の一方は、炭素原子が1-4のアルキル、炭素原子が1-4のアルコキシ、ハロゲン(好ましくはフルオロまたはクロロ)、フェノキシ、及びベンジルオキシから個別に選択される1-3の置換基を任意に有するフェニル環であり;R7及びR8の他方は、炭素原子が1-5の第一級アルキルまたは第二級アルキルであり;R12及びR13は、H、炭素原子が1-4の直鎖状もしくは分枝状のアルキル、炭素原子が1-4の直鎖状もしくは分枝状のアルコキシ、炭素原子が3-6のシクロアルキル、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、フェノキシ、及びベンジルオキシから個別に選択される]
式Vは下記の通りであり、
【化5】

[式中、AはS、-SO2-、またはNであり、Nは炭素原子が1-5の直鎖状もしくは分枝状のアルキル(好ましくはメチル)によって任意に置換されており;
R14は、
(1)ハロゲン、アミン、及び/又はシアノから選択される1-3の置換基で任意に置換された、炭素原子が1-3のアルキル(好ましくはメチル)、
(2)炭素原子が1-3のアルキル、ハロゲン、アミノ、またはシアノから選択される1-3の置換基で任意に置換された、炭素原子が1-6の芳香族基、あるいは
(3)炭素原子が1-3のアルキル、ハロゲン、アミノ、またはシアノから選択される1-3の置換基で任意に置換された、炭素原子が6-12の芳香族基から個別に選択される1-3の置換基で任意に置換された、炭素原子が1-3のアルキル(好ましくはメチル)
から選択され;
各R15は、(1)H、(2)ハロゲン、アミノ、及び/又はシアノで任意に置換された、炭素原子が1-3のアルキル、及び(3)アルキル、ハロゲン(好ましくはフルオロ)、及び/又はアミノで任意に置換された、炭素原子が6-12の芳香族基(好ましくはフェニル)から個別に選択される]
式VIは下記の通りである。
【化6】

[式中、R4は、炭素原子が1-6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル、炭素原子が3-6のシクロアルキル、及びトリフルオロメチルから選択され;
R5は、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、炭素原子が1-4のアルキル、炭素原子が1-4のアルコキシ、または炭素原子が2-8のアルカノイルオキシで任意に置換されたフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、シクロヘキシル、またはノルボルニルから選択され;
R6及びR9のいずれかが-CON(R10)(R11)であり、式中、各R10及びR11は、水素、炭素原子が1-6のアルキル、あるいはフッ素、塩素、臭素、シアノ、トリフルオロメチル、及び/又は炭素原子が3-8のカルボアルコキシで任意に置換されたフェニルから個別に選択され;
R6及びR9の他方が、水素、炭素原子が1-6のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルから選択され、前記フェニルはフッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、炭素原子が1-4のアルキル、炭素原子が1-4のアルコキシ、及び/又は炭素原子が2-8のアルカノイルオキシで任意に置換されている]
【0019】
アトルバスタチン及びアトルバスタチン系薬は、上記式VIのものであり、参照のためにこれら全ての全体を本明細書中に援用することとする、米国特許第4,681,893号明細書、米国特許第5,273,995号明細書、米国特許第5,686,104号明細書、米国特許第5,969,156号明細書、及び米国特許第6,126,971号明細書に、その製造及び使用の方法を含んでより詳細に記載されている。幾つかの実施態様では、アトルバスタチンもしくはアトルバスタチン系薬はカルシウム塩の形態である。遊離化合物としての「アトルバスタチン」は、特に、(βR,δR)-2-(4-フルオロフェニル)-ベータ,デルタ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸なる化合物である。
【0020】
シムバスタチン及びシムバスタチン系薬は、上記式IIIに属し、参照のためにこれら全ての全体を本明細書中に援用することとする、米国特許第4,444,784号明細書、米国再発行特許第36481号、及び米国再発行特許36520号明細書に、その製造及び使用の方法を含んでより詳細に記載されている。
【0021】
プラバスタチン及びプラバスタチン系薬は、上記式IIIに属し、参照のためにこれら全ての全体を本明細書中に援用することとする、米国特許第4,346,227号明細書、米国特許第5,030,447号明細書、米国特許第5,180,589号明細書、及び米国特許第5,622,985号明細書に、その製造及び使用の方法を含んでより詳細に記載されている。
【0022】
フルバスタチン及びフルバスタチン系薬は、上記式IVに属し、参照のためにその全体を本明細書中に援用することとする、米国特許第5,354,772号明細書及び米国特許第5,356,896号明細書に、その製造及び使用の方法を含んでより詳細に記載されている。
【0023】
ロバスタチン及びロバスタチン系薬は、上記式IIIに属し、参照のためにその全体を本明細書中に援用することとする、米国特許第4,231,938号明細書に、その製造及び使用の方法を含んでより詳細に記載されている。
【0024】
ロスバスタチン及びロスバスタチン系薬は、上記式Vに属し、参照のためにこれら全ての全体を本明細書中に援用することとする、米国特許第6,316,460号明細書、米国特許第6,589,959号明細書、及び米国再発行特許第37,314号に、その製造及び使用の方法を含んでより詳細に記載されている。
【0025】
本発明における使用のための抗肥満症薬は、オルリスタット及びシブトラミンタイプの化合物から選択される。
【0026】
オルリスタットは、(3S,4S)-3-ヘキシル-4-[(2S)-2-ヒドロキシトリデシル]-2-オキセタノンのN-ホルミル-L-ロイシンエステルであり、下式を有する。
【化7】

これは、Roche社よりXENICALの名称で入手可能であり、参照のためにその全体を本明細書中に援用することとする、米国特許第4,598,089号に、その製造及び使用の方法を含んでより詳細に記載されている。
【0027】
シブトラミンタイプ化合物は、下式VIIIのものである。
【化8】

式中、R28は上限6の炭素原子の分枝状アルキルであり、R29は、Hまたは炭素原子が1-3のアルキルであり、R30及びR31は、H、炭素原子が1-4の直鎖状もしくは分枝状のアルキル、炭素原子が3-6のアルケニル、炭素原子が3-6のアルキニル、3-7員のシクロアルキル、またはホルミルから選択される、同一又は相違する基であり、R32及びR33は、H、ハロ、トリフルオロメチル、炭素原子が1-3のアルキル、炭素原子が1-3のアルキルチオ、及びフェニルから選択される、同一又は相違する基であるか、あるいはR32及びR33は、その結合する炭素原子と共に第二のベンゼン環を形成し、(a)この第二のベンゼン環がm少なくとも一つのハロ、1-4の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシ基で任意に置換されているか、または(b)第二のベンゼン環の置換基が、このベンゼン環に結合する炭素原子と共に第三のベンゼン環並びにその製薬品として許容される塩を形成している。
シブトラミン自体は、下記の構造を有する。
【化9】

シブトラミンタイプの化合物は、参照のためにこれら全ての全体を本明細書中に援用することとする米国特許第4,746,680号、米国特許第4,929,629号明細書、及び米国特許第5,436,272号明細書に、その製造及び使用の方法を含んでより詳細に議論されている。シブトラミンタイプの化合物では、シブトラミン及びその製薬品として許容される塩が好ましい。シブトラミンは、5mg、10mg、及び15mgの経口カプセルとして入手可能であり、一日一回、5mg乃至15mgの用量で使用されることが推奨される。本発明の目的のためには、シブトラミンは、一日一回、約1mg乃至約30mgの用量で使用することができる。
【0028】
上記スタチン類の中では、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、及びロスバスタチン、あるいはこれらの製薬品として許容される塩(またはその規定通りのラクトンまたは非ラクトン変異形)が好ましいが、その理由の一部は、これらが医療用途のために市販品を購入可能なためである。これらの中で、アトルバスタチン、その製薬品として許容される塩、及びそのラクトン変異形が特に好ましい。アトルバスタチン塩の中では、アミノ酸、ナトリウム及びカルシウム塩が好ましく、カルシウム塩がいっそう好ましい。
【0029】
オルリスタットは、現行の認可されたラベル表示では、体重軽減目的で一日三回、120mgの量で、脂肪を含む食事と共に使用される。本発明のためには、オルリスタットは、一日一回の30mgから、一日に480mgまでの用量を分割して、一般的には一日に三回、120mgまでの量で使用される。本発明の併用療法におけるオルリスタットの目的は体重軽減そのものではなく、利点として体重軽減を加えることができる。むしろ、オルリスタットの意図する目的は、別法であれば吸収される脂肪の総吸収レベルを低減してコレステロールの生合成のために利用可能な食事由来の脂肪を制限し、これによって懸かるスタチンの有効性を補足及び促進することである。
【0030】
アトルバスタチンは、現在、コレステロール低減のための現行の米国でのラベル表示において、一日一回、10mg乃至80mgの用量が推奨されている。本発明の目的のためには、これは下限2.5mgから上限160mgの用量を一日に一回もしくは分割して、一般的には上限80mgの用量を一日に一回もしくは分割して使用することができる。
【0031】
ロバスタチンは、現在、現行の米国でのラベル表示において、一日に一回もしくは二回に分割した用量で、10mg乃至80mgの量で投与されることが推奨されている。本発明の目的のためには、ロバスタチンは下限2.5mgから上限160mgの用量を一日に一回もしくは分割して、一般的には上限80mgの用量を一日に一回もしくは分割して使用することができる。
【0032】
フルバスタチンは、現在、現行の米国でのラベル表示において、一日に一回、もしくは二回に分割した用量で、20mg乃至80mgの量で投与されることが推奨されている。本発明によれば、フルバスタチンは、毎日5mgの用量から、160mgの用量を一日に一回もしくは分割して、一般的には80mgの用量を一日に一回もしくは分割して投与することができる。
【0033】
プラバスタチンは、現在、現行の米国で市販のラベルにおいて、一日一回、10mg乃至80mgの量で投与されることが推奨されている。本発明によれば、プラバスタチンは、一日一回、2.5mgを下限とし、上限160mgの用量を一日に一回もしくは分割して、一般的には一日に80mgを上限として、使用することができる。
【0034】
シムバスタチンは、現在、現行の米国でのラベル表示において、一日一回、5-80mgの用量が推奨されている。本発明によれば、シムバスタチンは、一日に1.25mgから160mgの用量を一日に一回もしくは分割して、一般的には一日に80mgを上限として投与することができる。
【0035】
ロスバスタチンは、高コレステロール血症の制御に使用される場合は、一日一回、5mg乃至40mgで投与される。本発明によれば、ロスバスタチンは、約1mg乃至約80mgの用量を一日に一回もしくは分割して、一般的には上限40mgの用量を一日に一回もしくは分割して投与することができる。
【0036】
スタチンに対する抗肥満症薬の割合は、抗肥満症薬及びスタチンを上述の範囲内で投与することができるあらゆる割合であってよいが、現在市販の単独型の製品を簡便に使用するために最も好ましいのは、各活性剤の現在市販の製剤を利用した割合である。したがって、例えば、一日毎であれば、一実施態様では120mgのオルリスタットが好ましく、これを市販のスタチン類の現在市販の製剤の一つと、更に所望によって別の活性剤の現在市販の製剤と組み合わせる。これらの同様の製剤、特に二つまたはそれ以上の上記作用剤の多剤混合薬は、患者の滴定を容易にし、さらに多剤混合薬への変換を可能にする点で有利である。別の多剤混合薬は、用量によって患者を交代させるため、または個別の患者に対して治療レジメンを調節するために必要とされる、投薬工程における間隔を空けずに済むために有利である。
【0037】
多剤混合薬剤のサンプルを、アトルバスタチン及びオルリスタットについて以下に記載する。別の市販のスタチン類及び別の市販の抗肥満症薬についても、当業者には同様の割合が明らかであろう。上述の具体的なものではないが上記式の範囲内である、別のスタチン類と抗肥満症薬についての用量は、下式のように算出することができる。
市販されていないスタチン化合物の、本発明のための最少量=最も近い市販のスタチンの最少量とほぼ同等の治療反応である量の1/4
市販されていないスタチン化合物の、本発明のための最大量=市販されていないスタチン化合物の最大耐量
市販されていない抗肥満症薬の、本発明のための最少量=最も近い市販の抗肥満症薬の最少量に対してほぼ同等の治療反応である量の1/4
市販されていない抗肥満症薬の、本発明のための最大量=市販されていない抗肥満症薬化合物の最大耐量
オルリスタットに代えてシブトラミンを用いても、下記表中の120mg OD、120mg BID、及び120mg TIDが、それぞれシブトラミンの5mg OD、10mg OD、または5mg BID、及び15mg OD、または5mg TIDで置き換えられるのみである。
【0038】
(非限定的)多剤混合薬(市販の製剤の併用薬(free combination))*:
【表1】

*OD=一日一回、BID=一日二回、TID=一日三回。各成分が同じスケジュールで投与される併用薬は、三つの成分全ての多剤混合薬製品としても投与することができる。
【0039】
市販品として入手可能な様々な製品の最少用量を下回る用量での併用投与のサンプルには、非限定的に以下が含まれる。
【表2】

【0040】
多剤混合薬は、当業者に既知のあらゆる方法で調製することができ、特に単独型の単一活性剤の対応する製品の製剤化において利用される原材料から調製される。これらは、活性剤を単独の混合物中に混合すること、または全種類より少ない種類の活性剤の前混合物を調製し、それぞれを最終的に混合するための別個の粒子に形成することによって製造して良く、あるいは、活性剤を、混合してカプセル中に充填するため、または錠剤に圧縮するために、個別のビーズに調製することができる。別の形式では、1つまたは複数の活性剤を、二層または三層の錠剤の場合のように製剤の別々の部分として製剤化することができる。当業者はこのテーマについて更なる変形を認識していよう。
【0041】
上記に加え、1つまたは複数の活性剤を、別の投与経路によって、すなわち、オルリスタット以外のあらゆる活性剤については非経口経路によって投与することができる。然るに、例えば経口のオルリスタットと組み合わせたスタチンの経皮投与もまた、本発明の範囲内である。当業者であれば、スタチンと別の抗肥満薬を投与することのできる更に別の経路を認識するであろう。アトルバスタチンまたはアトルバスタチン含有多剤混合薬のための特に有利な製剤を以下により詳細に記載する。
【0042】
上記態様のそれぞれにおいて、別個の製剤中の別個の作用剤であるか多剤混合薬であるかによらず、1つまたは複数の更なる活性剤を更に共治療剤レジメンに加えることができる。これらの更なる作用剤は、上記のものと共に併用薬に加えることができ、あるいは1つまたは複数の別の作用剤と多剤混合薬としてもよい。例えば、活性剤が三つの状況では、(a)活性剤1、2、及び3のそれぞれを併用薬として使用してよく、あるいは(b)作用剤1及び2を共に多剤混合薬とし、作用剤3と併用薬として使用するか、または作用剤1及び3を共に多剤混合薬とし、作用剤2と併用薬として使用するか、または作用剤2及び3を共に多剤混合薬とし、作用剤1と併用薬として使用してよく、あるいは(c)作用剤1、2、及び3の全てを共に多剤混合薬とする。当業者であれば、更に別の活性剤が共治療剤に加えられる、様々な代替法を認識するであろう。活性剤の投与のあらゆる経路が、この経路が活性剤自体と活性剤が送達しようとする活性との両方に適合することを前提として適切である。したがって、オルリスタットが使用される場合は、オルリスタット含有製品は、オルリスタットの作用は胃腸管内で起こるため、経口で投与されるべきである。しかしながら、スタチン類、シブトラミン、及び本発明の共治療剤に使用される別の任意の作用剤には、それほど制限がない。
【0043】
使用可能な不活性剤は、接触する活性剤と適合性であり、且つ製薬品として許容されるあらゆるものである。これらは、一般的に当業者に既知である(成分と相対量とのいずれもが、参照のために本明細書中に援用することとする、本明細書中に記載した様々な特許に具体的に表示されている)。これらは、典型的には、活性剤安定化剤(化学安定剤及び物理安定剤などを含む)、希釈剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑剤、流動促進剤、及び被覆材を非限定的に含む。それぞれの活性剤を含む現在市販の製品中に存在するあらゆる不活性剤を、本発明の多剤混合薬のその成分として使用して良く、本発明の多剤混合薬中の別の活性成分と不適合を生じない限り、別の活性剤と直接接触させて使用してもよい。
【0044】
単独粒子が1つ以上の活性剤を含む場合は、不活性剤は各活性剤と適合性である必要がある。被覆材は活性剤と直接接触しないため、これらは活性剤と不適合性である場合があるためであり、そうである場合は、不適合な被覆成分を残部から隔離する中間バリア被覆を有することが好ましいが、こうした中間バリア被覆を用いずに許容される製剤安定性が得られるならば、バリア層を使用する必要はない。当業者であれば、単純な試験または当該分野の知識に基づいて適当な被覆材を選択することができよう。
【0045】
典型的な好ましい不活性剤には、非限定的に、増量剤(例えば、非限定的に、単糖類及び二糖類(例えばデキストロース、ラクトース、スクロース等)、糖アルコール(例えば、マンニトール、キシリトール、ソルビトール等)、及び別の増量剤(例えば、マイクロクリスタリンセルロース、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム等))、界面活性剤(例えば、ポリエチレングリコール類、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックもしくはランダムコポリマー類、Tween類、ビタミンE TPGS、Tween界面活性剤、Brij界面活性剤、硫酸脂肪アルキル、スルホン酸脂肪アルキル、ポリエトキシ化硫酸脂肪アルキル、ポリエトキシ化スルホン酸脂肪アルキル等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等)、崩壊剤、及び超崩壊剤(例えば、ポビドン、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム等)、アルカリ化塩(例えば、炭酸、重炭酸、またはケイ酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属水酸化物、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、マグネシウムアルミニウム水酸化物等)、滑剤、及び流動促進剤(例えば、脂肪酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、二酸化ケイ素、タルク等)、及び当業者に既知の典型的な被覆材が含まれる。典型的な被覆材は、溶解プロフィールを変化させない単なるフィルムコーティング(例えば、非限定的に、OPADRYの名称で入手可能なもの)、pH依存性またはpH非依存性の、放出を遅延させるもの、及び制御されたまたは持続性の放出をもたらすものであってよい。各不活性剤は、製剤中に占める割合に関して大幅に相違してよく、投与される活性剤の量及び求められる特定の溶解プロフィールにある程度依存する。非常に好ましい製剤を実施例に記載するが、広範な別の組成物も同様に好適である。
【0046】
製剤構築は、粒子内に1つまたは複数の活性剤を用いて、あるいは粒子内に1つまたは複数の活性剤と粒子外に1つまたは複数の活性剤を用いて、単独粒子に倣ってよく、あるいはまた、1つまたは複数の活性剤を被覆しても、担体粒子表面もしくは粒子内に吸着させてもよい。あるいはまた、1つ以上の活性剤を、1970年代及び1980年代にALZA社によってその多くが特許取得されたOROS製剤として知られたタイプの経口−浸透圧製剤に導入しても良い。あるいはまた、活性剤が同一または異なる層に存在しうる、二層または多層製剤を調製しても良く、胃の中での1つまたは複数の活性剤の放出のために胃の中で製剤の全てまたは一部を胃貯留させることができるように、異なる層が、放出速度、例えば高速膨潤に関して同様または異なる物理特性を有してよい(例えば、非限定的に、JagotechまたはDepomedによって特許取得されたもの)。更に別の可能性は、粒子外不活性剤または粒子外活性剤の有無によらない、粒子または微小錠剤の形態のいずれかとして様々な活性剤を含む、カプセル製剤(硬質であるか軟質であるかによらない)とすることである。多剤混合薬の更に別の製剤構築は、当業者には明かとなろう。
【0047】
特に好ましい実施態様では、スタチン活性剤は、超崩壊剤、例えばクロスカルメロースナトリウム及び任意にマイクロクリスタリンセルロースと混合される。この混合物は、水性溶液または界面活性剤様物質、例えばビタミンE TPGS等の分散物を用いて粒状化され、その後この粒子は篩過され、乾燥させる。乾燥した粒子を、次いで抗肥満症薬、担体、例えばラクトース、マイクロクリスタリンセルロース、崩壊剤、例えばクロスカルメロースナトリウム、またはデンプングリコール酸ナトリウム、並びに滑剤と流動促進剤とのいずれかまたは両方と混合する。その後、混合物を単独の錠剤に打錠する。あるいは、抗肥満症薬の一部または全体を、粒状化の前に別の粒子内成分と混合することによって粒子内に導入してもよい。同様に、スタチン活性剤の一部または全体を粒子外部分に入れてもよい。
【0048】
更なる活性剤を、スタチン粒剤の粒子内成分として、抗肥満症成分粒剤の粒子内成分として、または所望により粒子外に加えることができる。設計選択肢、例えば個別の活性剤薬物動態が選択の助けとなるが、如何なる構成も本発明の範囲内である。一般的に、最も活性な作用剤は、少なくとも部分的にスタチン粒剤または抗肥満症粒剤内にあるか、もしくはスタチン及び抗肥満症活性剤含有粒剤の粒子内成分となる。あるいはまた、付加的活性剤が、スタチン及び抗肥満症活性剤の一方または両方を含む1つまたは複数の粒子と混合される、それ自体の粒子として製剤化されても良い。
【0049】
付加的方法は、2つの薬剤の、界面活性剤または可溶化剤の併用の有無によらず、内部崩壊剤の併用の有無によらない共凍結乾燥を含んで良い。凍結乾燥された混合物は、その後、増量賦形剤及び崩壊剤と混合され、潤滑され、更に打錠されるかまたはカプセル中に充填される。共凍結乾燥において、結合剤もまた使用することができる。
【0050】
製剤例を下記の実施例に記載する。基本製剤として、実施例3の製剤及び単独の活性剤としてスタチンを使用して(すなわち、80mgのアトルバスタチン単独製剤、これは実施例の別のオルリスタットを含まない)、この製剤は、粒子内及び/又は粒子外マイクロクリスタリンセルロース及び/又は粒子外ラクトースの一部を置き換えることによって粒子内に添加された、または単に粒子内でベース組成物に添加された、別の活性剤を有してよい。あるいは、付加的な任意の活性剤を、それ自体の粒子として、または所望により粒子外に、一般的には粒子外マイクロクリスタリンセルロース及び/又はラクトースの一部を置き換えることによって加えることができる。粒子外に使用される場合は、これらは粒子外マイクロクリスタリンセルロース及び/又はラクトースの部分的置き換えとして加えられても、あるいはマイクロクリスタリンセルロースまたはラクトースのいずれの置き換えでもなく単に加えられてもよい。この方式で、80mgのアトルバスタチンを含む各組成物が、共治療薬の必要且つ/又は任意の付加的活性剤と共に、その多剤混合薬として得られる。より低用量のアトルバスタチンのためには、上述の80mgのアトルバスタチンベース組成物の比例量(すなわち、10mg製剤については1/8)から出発するか、またはより少量のアトルバスタチンを用いること以外は上記通りのベース製剤(すなわち、80mgのアトルバスタチンを10mgのアトルバスタチンで単に置き換えた以外は上記通りのベース製剤)から出発して、80mgを含む組み合わせについて表示された別の活性剤を導入して良い。これらの各場合において、アトルバスタチンを適当量の別のスタチン類で置き換えて、これらスタチン類を含む製剤を達成しても良い。更にまた、各場合において、マイクロクリスタリンセルロース及びラクトースは、その全体または一部を別の製薬品として許容される増量剤、例えば、非限定的に前述のものによって置き換えられて良く、クロスカルメロースナトリウム及びデンプングリコール酸ナトリウムは、その全体または一部を別の製薬品として許容される崩壊剤、例えば、非限定的に前述のものによって置き換えられて良く、またステアリン酸マグネシウムは、その全体または一部を別の製薬品として許容される滑剤及び/又は流動促進剤、例えば、非限定的に前述のものによって置き換えられて良い。かくして(最も好ましい量で)達成された各製剤中においては、不活性成分の範囲は、以下の通り上記より導き出せるもの(依然好ましいが、最も好ましいものではない量)と異なって良い:増量剤は、別法で達成される量の±約15%、崩壊剤は、別法で達成される量の±約15%、滑剤/流動促進剤は、別法で達成される量の±約2%、更にTPGS成分は如何なる製剤中でも最低約5mgはなければならず、別法で達成される如何なる製剤中でも上限約40mgであってよい。上記にもかかわらず、いったん本発明を理解すれば、当業者にはより広範な変形が明かとなろう。
【0051】
以下の実施例は、請求によってのみ制限される本発明を、非限定的に例示する。
【実施例】
【0052】
(実施例1)
一日一回、80mgのアトルバスタチンを摂取している患者について、依然として体重、トリグリセリド、及びコレステロールレベルをさらに低減させる必要があると判明した。一日一回、120mgのオルリスタットをこの患者のレジメンに加えたところ、患者の体重、血清トリグリセリド、及びコレステロールは低減し始める。患者に、2ヶ月に亘ってこのレジメンを維持させ、その後アトルバスタチン用量を一日一回、60mgに低減させたところ、従前に得られた低減が維持される。その後、一日一回、120mgのオルリスタット及び60mgのアトルバスタチンを含む多剤混合薬に切り替える。
【0053】
(実施例2)
一日一回、10mgのアトルバスタチンを摂取している患者について、コレステロールレベルはアトルバスタチンによって適切に維持されているが、依然として体重及びトリグリセリドを低減させる必要があると判明した。一日一回、120mgのオルリスタットをこの患者のレジメンに加えたところ、体重、血清トリグリセリド、及びコレステロールのそれぞれが低減する。この治療法で6週間経過した後、一日一回、120mgのオルリスタット及び一日一回、5mgのアトルバスタチンに切り替えたところ、より高いアトルバスタチン用量で達成された低い体重、トリグリセリド、及びコレステロールのレベルが、驚くべきことに維持される。その後、120mgのオルリスタット及び5mgのアトルバスタチンの多剤混合薬に切り替える。
【0054】
(実施例3)
アトルバスタチンhemiカルシウム及びオルリスタットを活性剤として含む組成物を以下の通り調製する。
【表3】

【0055】
製造方法:
アトルバスタチンカルシウム及びクロスカルメロースナトリウム(製剤2の場合には更にマイクロクリスタリンセルロース)を共に篩い、乾燥混合させた。別途ビタミンE TPGSを温水に溶解させて透明な溶液を得て、これを使用して高剪断ミキサーで前記乾燥混合物を粒状化させた。湿った粒子を篩い、45-50℃の製品床(product bed)温度で乾燥させた。その後、乾燥した粒子を粒径規定し、オルリスタット並びにステアリン酸マグネシウム以外の別の不活性成分と混合し、その後ステアリン酸マグネシウムを加えた。生じた混合物を、錠剤に打錠し、錠剤をOpadryで被覆した。
【0056】
溶解性:
各製剤毎に六つの錠剤について、本発明の二つの組成物と、同量のアトルバスタチンカルシウムが存在するLIPITOR(Pfizer)錠剤とを比較して溶解研究を行った。溶解パラメーター及び放出プロフィールを以下に示す。
溶剤: 0.1N HCl(0.2%のNaClを含む)
体積: 900mL
装置: USP タイプII(パドル)
回転: 50rpm
定量化: UV
【表4】

【0057】
0.1N HCl中のアトルバスタチンの溶解性は、Pfizer製品と比較して著しく増大した。アトルバスタチンが胃から吸収されることから、胃液中への溶解の増大は生物学的利用能の増大を意味する。溶解性データに基づいて、本発明の新規な製剤の生物学的利用能が少なくとも70%増大することが予期される。
【0058】
(実施例4)
粒状化の前にオルリスタットとアトルバスタチンとを混合して、オルリスタットが粒子内となるようにした以外は、実施例3を反復する。
【0059】
(実施例5−10)
第三の活性剤として更に非スタチン系降圧薬を加えて、実施例3及び4を反復する。実施例5及び6では、非スタチン系降圧剤を、アトルバスタチンと共に別の粒子内成分として加えるが、それ以外の点ではこれらの製剤は実施例3及び4とそれぞれ同様である。実施例7及び8では、付加的非スタチン系降圧薬を粒子外に加えてアトルバスタチンと直接接触しないようにすること以外は、実施例3及び4を反復する。実施例9及び10では、非スタチン系降圧薬を含む個別の粒子と、アトルバスタチン含有粒子及び粒子外成分とを打錠の前に混合すること以外は、実施例3及び4を反復する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共治療剤として(a)少なくとも1つのスタチンと(b)少なくとも1つの抗肥満症薬とを投与する工程を含む、患者における血清トリグリセリド及び/又は血清コレステロールの低減方法。
【請求項2】
スタチンが、アトルバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、もしくはシムバスタチン、又は製薬品として許容されるこれらの塩、又はこれらのラクトン形から選択される、請求項1の方法。
【請求項3】
スタチンが、アトルバスタチン又は製薬品として許容されるその塩である、請求項1の方法。
【請求項4】
抗肥満症薬が、オルリスタット及びシブトラミンタイプ剤又は製薬品として許容されるその塩から選択される、請求項1の方法。
【請求項5】
抗肥満症薬が、オルリスタットもしくはシブトラミン又は製薬品として許容されるその塩から選択される、請求項1の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの別の活性剤を更に含む、請求項1の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの別の活性剤が、非スタチン系降圧薬から成る群から選択される、請求項1の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの抗肥満症薬及び少なくとも1つのスタチンを含む多剤混合薬剤。
【請求項9】
抗肥満症薬が、オルリスタット、シブトラミン、又は製薬品として許容されるその塩から選択される、請求項8の多剤混合薬剤。
【請求項10】
スタチンが、アトルバスタチン又は製薬品として許容されるその塩である、請求項8の多剤混合薬剤。
【請求項11】
スタチン、抗肥満症薬、クロスカルメロースナトリウム、ビタミンE TPGS、マイクロクリスタリンセルロース、水和ラクトース、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、及び薄膜被覆成分を含む、請求項7の多剤混合薬剤。
【請求項12】
非スタチン系降圧剤から選択される、少なくとも1つの別の活性剤を更に含む、請求項11の多剤混合薬剤。
【請求項13】
前記クロスカルメロースナトリウムと前記デンプングリコール酸ナトリウムとの少なくとも1つを、(a)前記スタチンの少なくとも一部、及び/又は(b)前記抗肥満症薬の少なくとも一部、及び任意に前記マイクロクリスタリンセルロースと混合して第一の混合物を形成する工程;前記第一の混合物を前記ビタミンE TPGSと共に粒状化して第一の粒子を形成する工程;前記第一の粒子を乾燥させ、更に篩過する工程;前記第一の粒子と、前記第一の粒子に入っていない前記スタチン及び前記抗肥満症薬及び前記マイクロクリスタリンセルロースのいずれか、前記含水ラクトース、及び前記第一の粒子に入っていない前記クロスカルメロース及び前記デンプングリコール酸ナトリウムのいずれか、及び前記ステアリン酸マグネシウムを混合して錠剤化混合物を形成する工程;前記錠剤化混合物を圧縮して錠剤を形成する工程;並びに前記錠剤を薄膜被覆する工程を含む、請求項8の多剤混合薬剤の製造方法。
【請求項14】
前記多剤混合薬が、非スタチン系降圧剤から成る群より選択される、少なくとも1つの別の活性剤を含む、請求項13の方法。

【公表番号】特表2010−523659(P2010−523659A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503026(P2010−503026)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/004492
【国際公開番号】WO2008/124120
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(508148334)サイドース・エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】