説明

スチレン−メタクリル酸メチル共重合体を含む樹脂組成物、該組成物を用いて製造された人造大理石及びその製造方法

【課題】スチレン-メタクリル酸メチル共重合体を含む樹脂組成物、この組成物を用いて製造された人造大理石及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明はスチレン-メタクリル酸メチル共重合体及びスチレン、メタクリル酸メチル、又はこれらの混合物を含むスチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液100重量部と、無機充填剤100ないし200重量部、及び架橋性単量体0.5ないし10重量部を含む樹脂組成物、該組成物を用いて製造された人造大理石及びその製造方法を提供する。本発明に係るスチレン-メタクリル酸メチル共重合体を含む樹脂組成物によれば、既存のアクリール重合体が有する優れた耐候性及び熱的特性を保ったまま水酸化アルミニウムとの屈折率差の減少によって透明度が向上された人造大理石が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスチレン-メタクリル酸メチル共重合体を含む樹脂組成物、この組成物を用いて製造された人造大理石及びその製造方法に係り、さらに詳しくは既存のメタクリル酸メチル(屈折率1.49)とその重合体だけを使用した場合、充填剤として使用される水酸化アルミニウム(屈折率1.57〜1.60)との屈折率差による透明度の減少が招かれてきたことをメタクリル酸メチル単量体に屈折率が高いスチレン単量体(屈折率1.59)を共重合させたスチレン-メタクリル酸メチル共重合体を使って水酸化アルミニウムとの屈折率差を縮めることによって、その重合物の透明度を向上させた人造大理石及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人造大理石は天然石粉や鉱物を樹脂成分(アクリル、不飽和ポリエステル、エポキシなど)やセメントと配合し各種顔料及び添加剤などを添加して天然石の質感を具現した人造 合成体を通称するが、代表的にはアクリル系人造大理石、ポリエステル系人造大理石などが挙げられる。これらアクリル系人造大理石とポリエステル系人造大理石は固体材料に特有の強度と色調を持っており、特にアクリル系人造大理石は優れた加工性と耐候性を有している。アクリル系人造大理石は天然大理石と比較して軽くて非多孔質であり、天然大理石に劣らない優雅な色調、優れた強度及び耐候性を持っており、さらに木質と比肩されるべき優れた加工性を持っていて天然大理石と差別化可能である。
【0003】
一方、ポリエステル人造大理石は耐候性、耐熱性がアクリル系人造大理石より劣悪し熱成形が困難な短所があるが、充填剤として使用される水酸化アルミニウムなどとの屈折率が類似なので重合物の透明度に優れることによって一層天然石のように自然で深さ感のある外観具現が可能な長所がある。このような人造大理石は最近各種床板材料、ドレッシングテーブル、洗面台、テーブル、壁材、床材、家具、内装材、間接照明パネル、インテリア小物のような多様な用途に使用されている。
【0004】
日本特許2002-105144号ではアクリル系人造大理石の優れた耐候性効果を得るためにポリエステル系人造大理石にメタクリル酸メチル単量体を添加したが、この場合単量体添加による作業時揮発成分の増加とコンパウンドの粘度減少によって困難になり、その効果も足りなかった。日本特開平5-171022号では同じ効果を得るために不飽和ポリエステル樹脂とアクリル系樹脂をニーダで混合して使用しているが、この場合混合物コンパウンドの粘度が上昇し、よって鋳型による連続成形式には不向きの短所がある。
【0005】
また、アメリカ特許第3、135、723号にはアクリル系樹脂の耐熱性を向上させるためにα-メチルスチレンを共重合させた方法が開示されているが、前記方法はアクリル系樹脂自体の耐熱性を向上させた手段としては有用であるが、これを無機充填剤と混練し成形用に利用するには透明度など外観特性及び硬化条件において問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前述した技術的課題を解決するために案出されたもので、その目的は既存のアクリール重合体が有する優れた耐候性及び熱的特性を保ったまま水酸化アルミニウムとの屈折率差の減少によって透明度が向上されたスチレン-メタクリル酸メチル共重合体を含む樹脂組成物を提供するところにある。
【0007】
本発明の他の目的は、前記樹脂組成物を用いて製造された人造大理石を提供するところにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、前記人造大理石の製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために本発明は、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体及びスチレン、メタクリル酸メチル、またはこれらの混合物を含むスチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液100重量部と、無機充填剤100ないし200重量部、及び架橋性単量体0。5ないし10重量部を含む樹脂組成物を提供する。
【0010】
本発明は前記第2の技術的課題を解決するため、前記組成物を用いて製造される人造大理石を提供する。
【0011】
本発明の前記第3の技術的課題を解決するため、前記樹脂組成物を製造する段階と、前記樹脂組成物を連続成形型に注いで20℃ないし150℃の温度で30分ないし2時間硬化させる段階と、前記硬化物を冷却及び切断し表面を研磨加工する段階を含む人造大理石の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように、本発明に係るスチレン-メタクリル酸メチル共重合体を含む樹脂組成物によれば、既存のアクリール重合体が有する優れた耐候性及び熱的特性を保ったまま水酸化アルミニウムとの屈折率差の減少によって透明度が向上された人造大理石が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に対して具体的に説明する。
【0014】
本発明に係る樹脂組成物はスチレン-メタクリル酸メチル共重合体及びスチレン、メタクリル酸メチル、あるいはこれらの混合物を含むスチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液100重量部と、無機充填剤100ないし200重量部、及び架橋性単量体0.5ないし10重量部を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明においてスチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液はスチレン-メタクリル酸メチル共重合体をスチレン、メチルメタクリル酸メチルまたはこれらの混合物に入れ40ないし60℃で溶解させて製造したもので、前記スチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液100重量部のうち共重合体の含量は10ないし50重量部であり、前記スチレン、メチルメタクリル酸メチルまたはこれらの混合物の含量は50ないし90重量部であることが望ましい。前記共重合体の含量が10重量部より小さい場合は反応速度の向上及び単量体の揮発防止などの目的を達成できない問題があり、50重量部より大きい場合は未溶解物が存在し粘度も過渡に高くなる問題があって好ましくない。
【0016】
スチレン-メタクリル酸メチル共重合体はメタクリル酸メチル単量体とスチレン単量体を重合触媒下で一般的な重合方式により製造されるが、前記共重合体はメタクリル酸メチル単独重合物に比べて同一レベルの光沢、透明度、表面硬度及び低吸収性を有しながらも優れた耐候性を保ち、加工性が改善された特性を有している。本発明のスチレン-メタクリル酸メチル共重合体100重量部のうちスチレンの含量は20ないし80重量部が望ましい。
【0017】
本発明のスチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液100重量部のうちスチレンの総含量は10ないし70重量部が望ましい。前記スチレンの含量が10重量部より小さい場合には透明性向上の効果が大きくない問題があり、70重量部より大きい場合には熱変形温度の低下及び耐候性悪化が激しくなりその程度が下級製品と言える不飽和ポリエステル系人造大理石レベルになる問題があって望ましくない。
【0018】
本発明で使われる無機充填剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミン酸カルシウムの中から選ばれる単独または2種以上の混合物であり1.57ないし1.62の屈折率を有することが望ましい。なぜならば、既存のメタクリル酸メチル(屈折率1.49)とその重合体だけを使用した場合充填剤との屈折率(例えば、水酸化アルミニウムは1.57〜1.60である)の差が大きくて透明度が減少したが、本発明ではメタクリル酸メチル単量体に屈折率が高いスチレン単量体(屈折率1.59)を共重合させたスチレン-メタクリル酸メチル共重合体を使って前記屈折率差を縮めることにより、その重合物の透明度を向上させられるからである。
【0019】
前記充填剤は樹脂溶液との分散性、製品の機械的強度向上及び沈殿防止などのためにシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤またはステアリン酸で処理された表面を有することが望ましい。
【0020】
前記無機充填剤の望ましい含量は前記スチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液100重量部に対して100ないし200重量部である。前記含量が100重量部より小さい場合は人造大理石の難燃性が弱くなり色調が消失されその強度が大幅に低下すると同時にその質感が減少し、200重量部より大きい場合には粘度の上昇、硬化速度の遅延など作業性低下と人造大理石の機械的特性の低下を引き起こす。
【0021】
また、前記無機充填剤の粒子サイズは5ないし100ミクロンが望ましいが、前記粒子サイズが5ミクロンより小さい場合は人造大理石と光透過性能に劣り、100ミクロより大きい場合には人造大理石の物理的特性が低下する問題点がある。
【0022】
本発明で使用される架橋性単量体は分子内二重結合を含む多官能性アクリル単量体として、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1、6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート及びネオペンチルグリコールジメタクリレートの中から選ばれる単独または2種以上の混合物であり、これらのうちエチレングリコールジメタクリレートが特に望ましい。架橋性単量体の含量は前記スチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液100重量部に対して0.5ないし10重量部が望ましい。前記含量が0.5重量部より小さい場合には重合物の熱的性質及び強度が著しく低下する問題があり、10重量部より大きい場合には重合時過渡な発熱による亀裂が発生しやすくなる問題があって好ましくない。
【0023】
本発明ではスチレン-メタクリル酸メチル樹脂組成物の重合及び硬化を行うために重合開始剤が使用される。前記重合開始剤は有機過酸化物としてベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシドのようなジアシルパーオキシド、ブチルヒドロパーオキシド、クミルヒドロパーオキシドのようなヒドロパーオキシド、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルヒドロパーオキシド、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルの中から選らばれる単独または2種以上の混合物である。また、パーオキシドとアミンまたはスルホン酸の混合物またはパーオキシドとコバルト化合物の混合物を使って重合と硬化が室温で行われるようにすることができる。重合開始剤の含量は前記スチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液100重量部に対して0.1ないし5重量部であることが望ましく、重合促進剤と共に使用することが一般的である。前記含量が0.1重量部より小さい場合は硬化速度が遅く、十分な硬化が起らない問題があり、5重量部より大きい場合にはかえって硬化速度が遅れ、部分的な未硬化が発生する問題がある。
【0024】
本発明には分子量を調節する役割を果たす連鎖移動剤が使われるが、前記連鎖移動剤としてはノルマルドデシルメルカプタン、ターシャリドデシルメルカプタン、ベンジルメルカプタン及びトリメチルベンジルメルカプタンの中から選ばれるメルカプタン化合物が望ましい。連鎖移動剤の含量は前記スチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液100 重量部に対して0.1ないし5重量部が望ましいが、前記含量が0.1重量部より小さい場合は効果のない問題点があり、5重量部より大きい場合は硬化速度が著しく落ち、完全な硬化が達成できない問題点がある。
【0025】
また、本発明では天然大理石に似ている表面形態を得るため、既に成形されたアクリル系、不飽和ポリエステル系またはエポキシ系人造大理石を一定サイズに粉砕した顆粒状の粉砕物を前記組成物と混合して重合し成形した後滑らかな表面と光沢などを提供するためにその表面をサンドペーパまたはその他の方法で研磨加工することを特徴とする。成形工程後表面加工がなければ表面の模様効果を正しく発揮できず、表面が凸凹になっているので表面加工処理することが望ましい。
【0026】
前記粉砕物の含量は前記スチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液100重量部に対して200重量部より大きい場合は経時的な粘度変化が激しくなり、硬化物の強度が著しく低下する問題があって好ましくない。
【0027】
前記粉砕物の大きさは100メッシュないし3.5メッシュが望ましいが、100メッシュより小さい場合は経時的な粘度変化が激しくなって作業が困難になる問題が発生し、3.5メッシュより大きい場合は硬化時粉砕物の移動による気泡発生頻度が高くなり、かえって外観効果に劣り、硬化物の機械的強度を低下させる問題がある。
【0028】
その他、前記樹脂組成物には通常に公知の人造大理石の添加成分としてシリコン系または非シリコン系消泡剤と、トリメトキシシラン(trimethoxysilane)を主成分にするシラン系、酸系又はチタネート系カップリング剤と、有機又は無機顔料や染料と、フェニルサリシレート(phenyl salicylates)系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ニッケル誘導体系またはラジカルスカベンジャー(radical scavenger)系紫外線吸収剤と、ハロゲン系、リン系または無機金属系難燃剤と、ステアリン酸系またはシリコン系離形剤と、カテコル系またはヒドロキノン類系重合抑制剤、及びフェノール系、アミン系、キノン系、硫黄系またはリン系酸化防止剤、耐熱安定剤の中から選ばれる1種以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0029】
本発明の人造大理石の製造方法は次の通りです。
【0030】
まず、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体を溶剤であるスチレン、メチルメタクリル酸メチルまたはこれらの混合物に入れ40-60℃で溶解させ前記スチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液を製造し、これに前記無機充填剤、架橋性単量体、重合開始剤、連鎖移動剤、粉砕物、及びその他添加剤を添加しよく撹拌して樹脂組成物を製造する。
【0031】
この際、前記スチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液を製造するにおいて、前記スチレン、メチルメタクリル酸メチルまたはこれらの混合物の一部だけで前記共重合体を溶解してシラップを製造し、その後前記シラップに粘度及びスチレン含量の調節目的でその残りを混合して製造できる。
【0032】
その後、前記樹脂組成物を脱泡させ、成形型に連続的に供給する。前記成形型が連続的に移動しつつ硬化が行なわれる。これを連続キャスティング製造方式と呼ぶ。
【0033】
この際、前記連続成形型における硬化条件は20℃ないし150℃の温度で30分ないし2時間が望ましい。前記硬化温度が20℃より小さい場合は硬化し難い問題があり、150℃より大きい場合は重合時単量体の揮発が過度に発生し重合物の変形及び亀裂が発生する問題があって好ましくなく、前記硬化時間が30分より小さい場合は硬化のために過渡なエネルギー供給が求められるので、前記150℃以上の熱を加えた場合と同じ問題が発生し、2時間より大きい場合は無機充填剤及び粒子粉砕物の沈降が発生し、生産性も低下することから好ましくない。
【0034】
その後、前記硬化物を冷却させ規格に合わせて切断し、添加された粉砕物による効果を強調するために表面を研磨加工する。
【0035】
以下、実施例を挙げて本発明を詳述するが、本発明はこれに限られない。
【実施例1】
【0036】
メタクリル酸メチルにスチレン-メタクリル酸メチル共重合体(スチレン含量80重量%、NAS 21、Nova Chemical、アメリカ)25重量部を溶解して製造したスチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液100重量部に水酸化アルミニウム180重量部、ジエチレングリコールジメタクリレート3重量部、ベンゾイルパーオキシド(BPO)1.0重量部、ノルマルドデシルメルカプタン0.1重量部、消泡剤としてBYK555(BYK-Chemie社、ドイツ)0.5重量部、カップリング剤としてBYK900(BYK-Chemie社、ドイツ)1重量部、紫外線安定(吸収)剤としてHisorp-P(LG化学)0.5重量部及び粉砕物150重量部を添加しよく撹拌してから連続成形型に注いで20℃ないし150℃の温度で硬化させて、本発明に係る人造大理石を製造した。
【実施例2】
【0037】
スチレン-メタクリル酸メチル共重合体としてMS600(スチレン含量40重量%、新日鉄化学、日本)を使ってスチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液を製造したことを除けば、実施例1と同様な方法で人造大理石を製造した。
【実施例3】
【0038】
メタクリル酸メチルとスチレンの混合物にスチレン-メタクリル酸メチル共重合体でMS600(スチレン含量40重量%)を溶解してスチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液を製造したことを除けば、実施例1と同様な方法で人造大理石を製造した。
【実施例4】
【0039】
メタクリル酸メチルとスチレンの混合物にスチレン-メタクリル酸メチル共重合体40重量部を溶解してスチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液を製造したことを除けば、実施例1と同様な方法で人造大理石を製造した。
【実施例5】
【0040】
メタクリル酸メチル単量体にスチレン-メタクリル酸メチル共重合体(スチレン含量80重量%、NAS21、Nova chemical、アメリカ)25重量部を溶解して製造したスチレン-メタクリル酸メチルシラップ50重量部にスチレン単量体50重量部を混合してスチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液を製造したことを除けば、 実施例1と同様な方法で人造大理石を製造した。
【実施例6】
【0041】
メタクリル酸メチル単量体とスチレン単量体混合物にスチレン-メタクリル酸メチル共重合体でMS600(スチレン含量40重量%)を溶解してスチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液を製造し、ジエチレングリコールジメタクリレート6重量部、ベンゾイルパーオキシド(BPO)2.0重量部を添加し、耐熱及び酸化防止剤(B-561、Ciba Specialty Chemicals、アメリカ)0.5重量部をさらに添加することを除けば、実施例1と同様な方法で人造大理石を製造した。
【比較例1】
【0042】
スチレン-メタクリル酸メチル共重合体の代りにメタクリル酸メチル重合体を使ってメタクリル酸メチル樹脂溶液を製造したことを除けば、実施例1と同様な方法で人造大理石を製造した。
【比較例2】
【0043】
メタクリル酸メチル14.3重量部に不飽和ポリエステル樹脂(M-900、セウォン化成、韓国)85.7重量部を溶解して樹脂溶液を製造しノルマルドデシルメルカプタン0.3重量部を添加したことを除けば、実施例1と同様な方法で人造大理石を製造した。
【比較例3】
【0044】
メタクリル酸メチルにメタクリル酸メチル重合体25重量部を溶解して製造したメタクリル酸メチルシラップ80重量部にスチレン単量体20重量部を混合して樹脂溶液を製造したことを除けば、実施例1と同様な方法で人造大理石を製造した。
【比較例4】
【0045】
メタクリル酸メチルにメタクリル酸メチル重合体25重量部を溶解して製造したメタクリル酸メチルシラップ60重量部にスチレン単量体40重量部を混合して樹脂溶液を製造したことを除けば、実施例1と同様な方法で人造大理石を製造した。
【比較例5】
【0046】
メタクリル酸メチルの代りにスチレンを使ってスチレン-メタクリル酸メチル共重合体(スチレン含量40重量%、MS600、新日鉄化学、日本)25重量部を溶解してスチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液を製造したことを除けば、実施例1と同様な方法で人造大理石を製造した。
【比較例6】
【0047】
メタクリル酸メチルとスチレンの混合物にメタクリル酸メチル重合体25重量部を溶解してスチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液を製造したことを除けば、実施例1と同様な方法で人造大理石を製造した。
【0048】
前記実施例及び比較例において製造した人造大理石の透明度、耐熱変色、耐候性、及び熱変形温度を下記の評価方法で測定し、その結果を表1に比較した。
<評価方法>
(1) 透明度
透明度は前記実施例及び比較例とは別に、実施例及び比較例の組成において透明度に影響を与えられる顔料及び粉砕物を除去した後製造した2mm厚さの硬化物をヘーズメータ(Haze meter)(Murakami Color Research Laboratory、Japan)を用いて測定した。
(2) 耐熱変色(△E)
人造大理石試片を170℃で1時間放置後色差計を用いて測定した。
(3) 耐候性(△E)
ASTM G-53によってQUV試験機を用いて促進耐候性テストを行なった後色差計を用いて測定した。
(4)熱変形温度(℃)
ASTM D648によって測定した。
【0049】
【表1】

【0050】
前記表1によれば、実施例1ないし6の人造大理石は従来のメタクリル酸メチル重合体だけを使用した比較例1の場合より透明度が大幅に向上されたことが分かる。しかし、比較例5の場合のように全体樹脂溶液のうちスチレン(SM)の含量が85重量部になれば耐熱変色、耐候性が大幅に低下し、熱変形温度も小さくなることが分かる。
【0051】
また、樹脂溶液のうちスチレン含量が同一な場合、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体(S-M共重合体)を使用した場合がそうでない場合に比べて耐熱変色、耐候性及び熱変形温度特性が向上することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン-メタクリル酸メチル共重合体及びスチレン、メタクリル酸メチル、又はこれらの混合物を含むスチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液100重量部と、
無機充填剤100ないし200重量部と、
架橋性単量体0.5ないし10重量部とを含んでなる、樹脂組成物。
【請求項2】
前記スチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液100重量部に対して前記スチレン-メタクリル酸メチル共重合体が10ないし50重量部であり、
前記スチレン、メタクリル酸メチル、またはこれらの混合物が50ないし90重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記スチレン-メタクリル酸メチル樹脂溶液100重量部のうちスチレンの含量が10ないし70重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記無機充填剤が水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及びアルミン酸カルシウムの中から選ばれる単独または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記無機充填剤がシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤またはステアリン酸で表面処理されたことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記無機充填剤の粒子サイズが5ないし100ミクロンであることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記架橋性単量体がエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1、6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート及びネオペンチルグリコールジメタクリレートの中から選ばれる単独または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
重合開始剤0.1ないし5重量部及び連鎖移動剤0.1ないし5重量部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記重合開始剤がベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ブチルヒドロパーオキシド、クミルヒドロパーオキシド、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルヒドロパーオキシド、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリの中から選ばれる単独または2種以上の混合物、またはパーオキシドとアミンまたはスルホン酸の混合物またはパーオキシドとコバルト化合物の混合物であることを特徴とする、請求項8に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記連鎖移動剤がノルマルドデシルメルカプタン、ターシャリドデシルメルカプタン、ベンジルメルカプタン及びトリメチルベンジルメルカプタンの中から選ばれることを特徴とする、請求項8に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
粉砕物、消泡剤、カップリング剤、有機または無機顔料や染料、紫外線吸収剤、難燃剤、離形剤、重合抑制剤、耐熱安定剤及び酸化防止剤の中から選ばれる1種以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
前記粉砕物がアクリル系、不飽和ポリエステル系またはエポキシ系人造大理石を一定サイズに粉砕した顆粒状であることを特徴とする、請求項11に記載の樹脂組成物。
【請求項13】
前記粉砕物の大きさが100メッシュないし3.5メッシュであることを特徴とする、請求項11に記載の樹脂組成物。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて製造された、人造大理石。
【請求項15】
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の樹脂組成物を製造する段階と、
前記樹脂組成物を連続成形型に注いで20℃ないし150℃の温度で30分ないし2時間硬化させる段階と、
前記硬化物を冷却及び切断し表面を研磨加工する段階と、を含んでなる、人造大理石の製造方法。

【公表番号】特表2008−508390(P2008−508390A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523459(P2007−523459)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000667
【国際公開番号】WO2006/016737
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(502202007)エルジー・ケム・リミテッド (224)
【Fターム(参考)】