説明

ステレオカメラ、およびステレオカメラ用ステー

【課題】 ステレオカメラにおいて、簡単な構成で2つの撮像部の位置調整を精度よく行う。
【解決手段】 ステレオカメラ2のステー21は、第1撮像部12aが固定される固定部21aと、第2撮像部12bが取り付けられ、第2撮像部12bのピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転位置調整を行う調整機構が設けられた調整部21bと、固定部21aおよび調整部21bを、所定の間隔を開けて一体的に連結する基幹部21cとからなる。調整機構は、第2撮像部12bが固着される保持板45と、保持板45の一部分を第2撮像部12bのピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転中心として軸支するスタッド46と、保持板45に第2撮像部12bのピッチ、ヨー、ロール軸まわりの方向の回転力を与えるコイルバネ48b、48c、板バネ49と、第2撮像部12bのピッチ、ヨー、ロール軸まわりの変位量を調整するネジ53a、53b、56とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像レンズおよび撮像素子を有する第1、第2撮像部が所定の間隔を開けて配設されるステーを、カバーで覆ってなるステレオカメラ、およびステレオカメラ用ステーに関する。
【背景技術】
【0002】
CCDなどの固体撮像素子を備えた2つの撮像部を用いて、視差を有する2つの画像を得るステレオカメラが知られている。このようなステレオカメラは、得られた2つの画像を元に三角測量の原理により被写体までの距離が求められることから、車の衝突防止システムの測距装置としての応用が考えられている。
【0003】
上記のようなステレオカメラでは、2つの撮像部のCCDの撮像面の3次元的な位置を、いかに精度よく合致させるかが重要な課題となっている。この課題に対して、一方のビデオカメラのイメージセンサの画素の並びが他方のそれと平行となるように一方のビデオカメラの位置を調整し、一方のビデオカメラの光学系の光軸が他方のそれと平行となるように、他方のビデオカメラの光学系の光軸を調整する車載用距離検出装置(特許文献1参照)や、メインカメラおよびサブカメラからなる2つの撮像部を配設したステーを調整架台に固設し、メインカメラのマウントをアジャスタに嵌合させ、アジャスタを介して光軸を中心にマウントを回転させて、メインカメラの回転ずれを調整するステレオカメラの回転調整装置(特許文献2参照)が提案されている。
【0004】
また、2つの撮像部が配設されるステーを車体に取り付ける際に、振動などによりステーに歪みが生じて2つの撮像部の光学系の光軸がずれることを防ぐために、ステーの中央後部に樹脂スペーサまたは硬質ゴムを挟んで車体に取り付ける車載用ステレオカメラの支持装置(特許文献3参照)が提案されている。さらに、特許文献3と同様の目的で、ステーの両端部とステーを取り付ける基部との間に緩衝部材を介装したセンサの支持構造(特許文献4参照)が提案されている。
【特許文献1】特開平5−157557号公報
【特許文献2】特開平11−237702号公報
【特許文献3】特開平11−301365号公報
【特許文献4】特開2003−335180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の車載用距離検出装置では、2台のカメラの相関関係を機械的に調整しているため、調整の精度が低いという問題があった。また、特許文献2に記載のステレオカメラの回転調整装置では、メインカメラの光軸まわりの回転ずれは調整することができるが、光軸に対する撮像面の傾きは無視されている。さらに、特許文献3および4に記載の車載用ステレオカメラの支持装置およびセンサの支持構造については、2つの撮像部のずれ調整は言及されていない。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、簡単な構成で2つの撮像部の位置調整を精度よく行うことができるステレオカメラ、およびステレオカメラ用ステーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、撮像レンズおよび撮像素子を有する第1、第2撮像部が所定の間隔を開けて配設されるステーを、カバーで覆ってなるステレオカメラにおいて、前記ステーは、前記第1撮像部が固定される固定部と、前記第2撮像部が取り付けられ、前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転位置調整を行う調整機構が設けられた調整部と、前記固定部および前記調整部を、前記所定の間隔を開けて一体的に連結する基幹部とからなることを特徴とする。
【0008】
なお、前記調整機構は、前記第2撮像部が固着される保持板と、前記保持板の一部分を前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転中心として軸支する軸支部材と、前記保持板に前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの方向の回転力を与える付勢部材と、前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの変位量を調整する調整部材とを備えることが好ましい。
【0009】
また、前記カバーに、弾性部材を介して前記ステーを取り付けることが好ましい。あるいは、前記ステーを、弾性体から形成することが好ましい。若しくは、前記基幹部の中央部分に、弾性を付与するための穴を設けることが好ましい。
【0010】
さらに、前記撮像素子から出力される撮像信号に対して各種信号処理を施す信号処理回路が実装された回路基板を前記カバーに固定するとともに、可撓性を有する配線部材により前記回路基板と前記撮像素子とを電気的に接続することが好ましい。
【0011】
また、前記カバーのロール軸まわりの回転位置調整を行うカバー用調整機構を設けるとともに、前記ステーのピッチ、ヨー軸まわりの変位量を調整するステー用調整部材を備え、前記ステーのピッチ、ヨー軸まわりの回転位置調整を行うステー用調整機構を設け、前記ステー用調整部材を、前記カバーから外部に露呈することが好ましい。
【0012】
また、本発明は、撮像レンズおよび撮像素子を有する第1、第2撮像部が所定の間隔を開けて配設されるステレオカメラ用ステーであって、前記第1撮像部が固定される固定部と、前記第2撮像部が取り付けられ、前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転位置調整を行う調整機構が設けられた調整部と、前記固定部および前記調整部を、前記所定の間隔を開けて一体的に連結する基幹部とからなることを特徴とする。
【0013】
なお、前記調整機構は、前記第2撮像部が固着される保持板と、前記保持板の一部分を前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転中心として軸支する軸支部材と、前記保持板に前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの方向の回転力を与える付勢部材と、前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの変位量を調整する調整部材とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のステレオカメラ、およびステレオカメラ用ステーによれば、第1撮像部が固定される固定部と、第2撮像部が取り付けられ、第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転位置調整を行う調整機構が設けられた調整部と、固定部および調整部を、所定の間隔を開けて一体的に連結する基幹部とからなるので、簡単な構成で2つの撮像部の位置調整を精度よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1において、本発明を適用したステレオカメラ2は、前カバー10aおよび後カバー10bにより本体基部20(図2参照)を覆われている。前カバー10aおよび後カバー10bは、図示しないネジにより組み付けられている。
【0016】
前カバー10aの両端部中央には、開口11a、11bが形成されており、これらの開口11a、11bから第1、第2撮像部12a、12bの撮像レンズ13a、13bが露呈されている。また、開口11a、11bの上部には、開口14a、14bが形成されており、これらの開口14a、14bからステー21(図2参照)のピッチ、ヨー軸まわりの変位量を調整するためのネジ15a、15bが露呈されている。なお、第1、第2撮像部12a、12bは、撮像レンズ13a、13bとCCD27a、27b(図4参照)とがユニット化されたものである。また、ここでは、撮像レンズ13a、13bの光軸をロール軸(Z軸)、撮像レンズ13a、13bの並び方向をヨー軸(Y軸)、前カバー10aの面上でヨー軸に直交する方向をピッチ軸(X軸)とする。つまり、ピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転は、図中ρ、γ、φで表される回転にそれぞれ相当する。
【0017】
前カバー10aの両拡縁部16a、16bには、ステレオカメラ2を車体などに取り付けるネジが挿通される挿通穴17、18a、18bが形成されている。挿通穴17は、挿通されるネジの径と同等の径を有する丸穴となっている。一方、挿通穴18a、18bは、ピッチ軸方向に拡がった小判穴となっている。これにより、ステレオカメラ2をネジにより取り付け箇所に仮止めした状態で、挿通穴17に挿通されたネジを軸として、挿通穴18a、18bのガタの分だけステレオカメラ2自体がロール軸まわりに回転可能となる。なお、挿通穴17、18a、18bは、カバー用調整機構を構成している。
【0018】
図2〜図5に示すように、ステレオカメラ2の本体基部20は、前述の第1、第2撮像部12a、12bと、これらの撮像部12a、12bが配設されるステー21と、回路基板22とから構成される。ステー21は、第1撮像部12aが固定される固定部21aと、第2撮像部12bが取り付けられる調整部21bと、固定部21aおよび調整部21bを一体的に連結する基幹部21cとからなる。
【0019】
図2において、前カバー10aの裏面中央下部には、スタッド23が立設されている。スタッド23には、基幹部21cの中央下部に形成された舌片24が当接する。
【0020】
前カバー10aの開口14a、14bの裏面には、ネジ15a、15bに螺合するネジ穴が貫通されたスタッド25a、25bが取り付けられている。スタッド25a、25bは、その高さがスタッド23と同じ寸法となっている。スタッド25a、25bには、固定部21aおよび調整部21bの中央上部に形成された舌片26a、26bが当接する。
【0021】
ネジ15a、15bは、スタッド25a、25bの高さ寸法よりも長いものが用いられる。スタッド23と舌片24、スタッド25a、25bと舌片26a、26bが当接した状態では、ステー21の各部21a〜21cは同一平面上にある。後述するように、ステー21は、板バネ33(図5参照)を介して後カバー10bから浮いた状態で取り付けられているため、ネジ15a、15bを締める方向に回すと、舌片26a、26bを介して固定部21a、調整部21bの中央上部が後カバー10b側に押される。これにより、ステレオカメラ2を取り付け箇所に取り付けた状態で、スタッド23を支点として、固定部21a、調整部21cがピッチ、ヨー軸まわりに回転可能となる。なお、ネジ15a、15b、スタッド23、25a、25b、舌片24、26a、26bは、ステー用調整機構を構成し、ネジ15a、15bは、ステー用調整部材となっている。
【0022】
回路基板22には、第1、第2撮像部のCCD27a、27b(図4参照)から出力される撮像信号に対して、A/D変換などの各種信号処理を施す信号処理回路が実装されている。図3および図4に示すように、回路基板22は、後カバー10bに立設された4本のスタッド28上に、4本のネジ29により締結固定される。
【0023】
図4に示すように、回路基板22とCCD27a、27bとの電気的な接続は、可撓性を有する配線部材(フレキシブルプリント基板(flexible printed circuit;FPC)、フレキシブルフラットケーブル(flexible flat cable;FFC)など)30a、30bにより行われる。
【0024】
図5に示すように、ステー21は、4本のネジ31、32により、板バネ33を介して後カバー10bに取り付けられている。基幹部21cの中央部分には、後カバー10bの中央部分に形成されたボス34が挿入される挿通穴35と、ネジ32が螺合するネジ穴36が穿たれている(図6も参照)。また、ボス34には、ネジ31が螺合するネジ穴37が穿たれている。
【0025】
ボス34は、その高さがステー21の厚みよりも長く形成されている。これにより、ステー21は、後カバー10bから浮いた状態で、後カバー10bとは非接触で板バネ33を介して取り付けられる。
【0026】
図6において、固定部21aには、保持板40と、3本のスタッド41(1本は図示せず)とが配されている。保持板40には、撮像レンズ13aを露呈させるための開口42が形成されており、4本のネジ43により第1撮像部12aが固着されている。スタッド41は、第1撮像部12aを取り囲むように配置され、ステー21上に締結固定されている。スタッド41には、3本のネジ44が螺合するネジ穴が穿たれている。保持板42は、ネジ44によりスタッド41上に締結固定される。
【0027】
調整部21bには、保持板45と、3本のスタッド46、47a、47bと、コイルバネ48a〜48cと、板バネ49とが配されている。保持板45には、撮像レンズ13bを露呈させるため開口50が形成されており、4本のネジ51により第2撮像部12bが固着されている。スタッド46、47a、47bは、第2撮像部12bを取り囲むように配置され、ステー21上に締結固定されている。
【0028】
スタッド46、47a、47bには、3本のネジ52、53a、53bが螺合するネジ穴が穿たれており、コイルバネ48a〜48cが挿通されている。コイルバネ48a〜48cは、その一端がステー21に係合され、自身の付勢力で伸びた状態の高さが、スタッド46、47a、47bの高さよりも高くなるように形成されている。保持板45は、コイルバネ48a〜48cに支持され、ネジ52、53a、53bによりスタッド46、47a、47bに取り付けられる。
【0029】
板バネ49は、ステー21に取り付けられたL板54に一体成形されている。板バネ49は、保持板45の一側面にその先端が当接し、保持板45を一側面に対向する側面の方向に押し付ける。L板54には、保持板45のピッチ、ヨー軸まわりの回転を規制するストッパ55が延設されている。また、L板54には、ネジ56が挿通されている。
【0030】
図7に示すように、保持板45には、スタッド46のボス63(図8参照)が緩く嵌め込まれる軸受け穴60と、ネジ53a、53bが挿通される挿通穴61a、61bが形成されている。軸受け穴60の板バネ49側は、略くの字に面取られた面取り部62となっている。挿通穴61a、61bは、保持板45のロール軸まわりの回転を許容するために、ヨー軸方向に拡がった小判穴となっている。
【0031】
図8に示すように、スタッド46の先端には、軸受け穴60と略同一の外径寸法を有するボス63が形成されている。ボス63は、その高さが保持板45の厚みよりも若干高く形成されている。これにより、保持板45のピッチ、ヨー軸まわりの回転を許容する逃げが確保される。
【0032】
スタッド46は、ネジ52、53a、53bにより保持板45をスタッド46、47a、47bに取り付けた状態で、板バネ49の付勢により軸受け穴60の面取り部62にボス63の2箇所で当接し、ピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転中心として保持板45を軸支する。
【0033】
スタッド46は、ボス63を含めたその高さが、スタッド41上に固定された固定部21aの保持板40の高さと同一になるように形成されている。つまり、ネジ52により保持板45をスタッド46に取り付けた図8に示す状態では、保持板45は、少なくとも軸受け穴60の部分で、固定部21aの保持板40と高さが一致している。調整部21bでは、この軸受け穴60の部分を基準として、第2撮像部12bのピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転位置調整を行う。
【0034】
図9に示すように、スタッド47a、47bは、その高さがスタッド46のボス63を除いた高さよりも若干低く形成されている。これにより、保持板45のピッチ、ヨー軸まわりの回転を許容する調整代が確保される。
【0035】
L板54には、ネジ56が挿通される挿通穴64が形成されている。また、板バネ49の先端が当接する保持板45の側面には、ネジ56が螺合するネジ穴65が穿たれている。
【0036】
ネジ52、53a、53b、56により保持板45をスタッド46、47a、47bに取り付けた状態でネジ53a、53bを回すと、コイルバネ48b、48cの付勢力により、ボス63を支点として保持板45のネジ53a、53bに当たる部分がロール軸方向に移動する。これにより、保持板45に固着された第2撮像部12bのピッチ、ヨー軸まわりの回転位置調整が可能となる。
【0037】
また、上記の状態でネジ56を回すと、板バネ49の付勢力より、ボス63を支点として保持板45のネジ56に当たる部分がヨー軸方向に移動する。これにより、保持板45に固着された第2撮像部12bのロール軸まわりの回転位置調整が可能となる。なお、保持板45、スタッド46、コイルバネ48b、48c、板バネ49、ネジ52、53a、53b、56は、調整機構を構成し、スタッド46は軸支部材、コイルバネ48b、48c、板バネ49は付勢部材、ネジ53a、53b、56は調整部材となっている。
【0038】
次に、上記構成を有するステレオカメラ2を取り付け箇所に取り付ける際の手順について説明する。まず、ネジ43により第1撮像部12aを保持板40に固着し、ネジ44により保持板40をスタッド41上に固定する。
【0039】
次いで、ネジ51により第2撮像部12bを保持板45に固着し、スタッド46のボス63を保持板45の軸受け穴60に緩く嵌入した後、ネジ52によりスタッド46に保持板45を取り付ける。また、挿通穴61a、61bにネジ53a、53bを挿通し、保持板45をスタッド47a、47bに取り付ける。さらに、挿通穴64にネジ56を挿通し、ネジ穴65にネジ56を螺合させる。このとき、ネジ52は、ネジ頭がボス63に当たるまで、スタッド46のネジ穴にきつく締め付ける。その他のネジ53a、53b、56は、それぞれのネジ穴に仮止めした状態にしておく。
【0040】
次に、検査治具を用いて、第1、第2撮像部12a、12bで撮像された画像を観察しながら、第1撮像部12aで撮像された画像と、第2撮像部12bで撮像された画像とが視差を除いて一致するように、第2撮像部12bのピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転位置を調整する。
【0041】
第2撮像部12bのピッチ、ヨー軸まわりの回転位置の調整は、ネジ53a、53bを回すことで行う。ネジ53a、53bを回すと、コイルバネ48b、48cの付勢力によって、保持板45に固着された第2撮像部12bが、ボス63を回転中心としてピッチ、ヨー軸まわりに回転される。
【0042】
第2撮像部12bのロール軸まわりの回転位置の調整は、ネジ56を回すことで行う。ネジ56を回すと、板バネ49の付勢力より、保持板45に固着された第2撮像部12bが、ボス63を回転中心としてロール軸まわりに回転される。
【0043】
第2撮像部12bのピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転位置を調整した後、後カバー10bのボス34に基幹部21cの穴35を挿入し、ネジ31により板バネ33をボス34に取り付け、ネジ32によりステー21を板バネ33に取り付ける。
【0044】
板バネ33を介して後カバー10bにステー21を取り付けた後、配線部材30a、30bで回路基板22とCCD27a、27bとを電気的に接続するとともに、ネジ29により回路基板22をスタッド28上に締結固定する。次いで、後カバー10bに前カバー10aを被せて本体基部20を両カバー10a、10bで覆い、ネジにより両カバー10a、10bを組み付ける。
【0045】
両カバー10a、10bの組み付け後、ネジを挿通穴17、18a、18bに挿通し、ステレオカメラ2を取り付け箇所に取り付ける。そして、再び第1、第2撮像部12a、12bで撮像された画像を観察しながら、挿通穴17に挿通されたネジを軸として、挿通穴18a、18bのガタの分だけステレオカメラ2自体をロール軸まわりに回転させ、ステレオカメラ2自体のロール軸まわりの回転位置を調整する。
【0046】
次いで、ネジ15a、15bを回して、スタッド23を支点として、固定部21a、調整部21bをピッチ、ヨー軸まわりに回転させ、ステー21のピッチ、ヨー軸まわりの回転位置を調整する。
【0047】
上記のように、第1撮像部12aを固定部21aに固定し、ボス63を回転中心として、ネジ53a、53b、56を回すことで、第2撮像部12bのピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転位置を調整するので、簡単な構成で2つの撮像部の位置調整を精度よく行うことができる。
【0048】
また、ステー21を、板バネ33を介して後カバー10bに取り付けているので、両カバー10a、10bの組み付け時やステレオカメラ2の取り付け時に、両カバー10a、10bに歪みや撓みが生じて、第1、第2撮像部12a、12bの位置がずれてしまうことがなく、両カバー10a、10bの組み付け後やステレオカメラ2の取り付け後に、第1、第2撮像部12a、12bの位置調整を再度行う必要がない。
【0049】
また、回路基板22を後カバー10bに固定するとともに、可撓性を有する配線部材30a、30bにより回路基板22とCCD27a、27bとを電気的に接続したので、ステー21の位置がずれた場合に、回路基板22とCCD27a、27bとの電気的な接続が切断されることがない。
【0050】
さらに、挿通穴17、18a、18bにより、ステレオカメラ2自体のロール軸まわりの回転位置の調整を可能とし、前カバー10aから開口14a、14bを介して露呈されたネジ15a、15bを回すことで、ステレオカメラ2を取り付けた後も、ステー21のピッチ、ヨー軸まわりの回転位置の調整を可能としたので、ステレオカメラ2取り付け後の位置調整を容易に行うことができる。
【0051】
なお、上記実施形態では、板バネ33を介して後カバー10bにステー21を取り付けているが、ステー21を弾性体から形成し、板バネ33と同様の効果をステー21自体に持たせてもよい。また、図10に示すステー70のように、基幹部70cの中央部分に穴71を穿ち、基幹部70cに部分的に弾性を付与させてもよい。これにより、板バネ33は不要となり、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明を適用したステレオカメラの外観斜視図である。
【図2】後カバーを取り外した状態における前カバーおよび本体基部の外観斜視図である。
【図3】前カバーを取り外した状態における本体基部の外観平面図である。
【図4】後カバーおよび本体基部の断面図である。
【図5】後カバーおよび本体基部の断面図である。
【図6】ステーに第1、第2撮像部を取り付けた状態を示す外観斜視図である。
【図7】保持板の外観平面図である。
【図8】調整部の部分断面図である。
【図9】調整部の部分断面図である。
【図10】ステーの別の実施形態を示す外観平面図である。
【符号の説明】
【0053】
2 ステレオカメラ
10a、10b 前カバー、後カバー
12a、12b 第1、第2撮像部
13a、13b 撮像レンズ
15a、15b ネジ
17、18a、18b 挿通穴
20 本体基部
21、70 ステー
21a 固定部
21b 調整部
21c 基幹部
22 回路基板
23、25a、25b スタッド
24、26a、26b 舌片
27a、27b CCD
30a、30b 配線部材
33 板バネ
45 保持板
46、47a、47b スタッド
48a〜48c コイルバネ
49 板バネ
52、53a、53b、56 ネジ
60 軸受け穴
61a、61b 挿通穴
62 面取り部
63 ボス
71 穴


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズおよび撮像素子を有する第1、第2撮像部が所定の間隔を開けて配設されるステーを、カバーで覆ってなるステレオカメラにおいて、
前記ステーは、前記第1撮像部が固定される固定部と、
前記第2撮像部が取り付けられ、前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転位置調整を行う調整機構が設けられた調整部と、
前記固定部および前記調整部を、前記所定の間隔を開けて一体的に連結する基幹部とからなることを特徴とするステレオカメラ。
【請求項2】
前記調整機構は、前記第2撮像部が固着される保持板と、
前記保持板の一部分を前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転中心として軸支する軸支部材と、
前記保持板に前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの方向の回転力を与える付勢部材と、
前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの変位量を調整する調整部材とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のステレオカメラ。
【請求項3】
前記カバーに、弾性部材を介して前記ステーを取り付けたことを特徴とする請求項1または2に記載のステレオカメラ。
【請求項4】
前記ステーを、弾性体から形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のステレオカメラ。
【請求項5】
前記基幹部の中央部分に、弾性を付与するための穴を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のステレオカメラ。
【請求項6】
前記撮像素子から出力される撮像信号に対して各種信号処理を施す信号処理回路が実装された回路基板を前記カバーに固定するとともに、
可撓性を有する配線部材により前記回路基板と前記撮像素子とを電気的に接続したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のステレオカメラ。
【請求項7】
前記カバーのロール軸まわりの回転位置調整を行うカバー用調整機構を設けるとともに、
前記ステーのピッチ、ヨー軸まわりの変位量を調整するステー用調整部材を備え、前記ステーのピッチ、ヨー軸まわりの回転位置調整を行うステー用調整機構を設け、
前記ステー用調整部材を、前記カバーから外部に露呈したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のステレオカメラ。
【請求項8】
撮像レンズおよび撮像素子を有する第1、第2撮像部が所定の間隔を開けて配設されるステレオカメラ用ステーであって、
前記第1撮像部が固定される固定部と、
前記第2撮像部が取り付けられ、前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転位置調整を行う調整機構が設けられた調整部と、
前記固定部および前記調整部を、前記所定の間隔を開けて一体的に連結する基幹部とからなることを特徴とするステレオカメラ用ステー。
【請求項9】
前記調整機構は、前記第2撮像部が固着される保持板と、
前記保持板の一部分を前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの回転中心として軸支する軸支部材と、
前記保持板に前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの方向の回転力を与える付勢部材と、
前記第2撮像部のピッチ、ヨー、ロール軸まわりの変位量を調整する調整部材とを備えたことを特徴とする請求項8に記載のステレオカメラ用ステー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−91177(P2006−91177A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−274122(P2004−274122)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】