説明

ステータコア、モータ、及びステータコアの製造方法

【課題】鉄板の歩留まりを向上させ、簡易な工程により製造できるステータコアを提供する。
【解決手段】ステータコア21は、電磁綱板19が帯形状に連続するヨーク部23、及び、ヨーク部23の長手方向101に間隔を空けてヨーク部23の長手方向101と交差する幅方向102へそれぞれ突出されたティース本体24を有しており、ヨーク部23が環状に折り曲げられて螺旋に積層された本体部分20と、ティース本体24の先端に係合されてティース本体24が突出する方向と交差する方向へ突出するティース先端25と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄板が積層されてなるステータコアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、磁界を形成するステータに対してロータが回転されるブラシレスモータとしてインナーロータ型のものやアウターロータ型のものが知られている。インナーロータ型のブラシレスモータでは、複数のティースが内側へ向かって突出された円筒形状のステータの内側に、多極のマグネットを有するロータが配設され、該ステータの磁界により該ロータが回転される。アウターロータ型のブラシレスモータでは、複数のティースが外側へ放射状に突出されたステータの外側に、多極のマグネットを有する円筒形状のロータが配設され、該ステータの磁界により該ロータが回転される。
【0003】
ステータは、電磁綱板が積層されてなるステータコアの各ティースに、巻線が施されたものである。これにより、各ティース周りに複数のコイルが形成される。ステータコアは、例えば、平面視においてステータコアと同形状の環状の薄板が複数枚積層されて、各薄板がカシメなどにより相互に固定されて一体のものとして作製される(特許文献1)。各薄板は、電磁綱板からプレス加工などにより打ち抜かれる。例えば、ティースの数が多い、すなわちスロット数が多いステータコアのための薄板を、環状の一体のものとして打ち抜くには、大きなプレス機械が必要となる。また、打ち抜かれた後の電磁綱板の余り、すなわちスクラップが多くなり、材料の歩留まりが悪くなる結果、ステータコアのコストが高くなるという問題がある。
【0004】
前述された問題を解決するために、例えば、特許文献2に記載されているように、ステータコアを複数個のティース毎に分割した形状に打ち抜き、分割されて積層されたものを組み付けることにより、環状のステータコアとするものが考案されている。また、特許文献3に記載されているように、電磁綱板の長手方向に連続する帯状のヨーク及びティースを打ち抜いて積層し、各ティース間に形成された薄肉部を支点にしてヨークを折り曲げることにより環状に形成するものが考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−7936号公報
【特許文献2】特開2010−57221号公報
【特許文献3】特開2011−97759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、鉄板の材料価格の高騰などの影響を受け、ステータコアの更なるコストダウンの要請が強い。したがって、材料の歩留まりを更に向上させ、簡易な工程により製造できるステータコアが要望されている。
【0007】
本発明は前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、鉄板の歩留まりを向上させ、簡易な工程により製造できるステータコアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係るステータコアは、鉄板が帯形状に連続するヨーク部、及び、当該ヨーク部の長手方向に間隔を空けて当該ヨーク部の長手方向と交差する方向へそれぞれ突出されたティース本体を有しており、当該ヨーク部が環状に折り曲げられて螺旋に積層された第1部分と、上記ティース本体の先端に係合されて上記ティース本体が突出する方向と交差する方向へ突出するティース先端を有する第2部分と、を備えたものである。
【0009】
ヨーク部が鉄板の長手方向へ帯形状に連続することにより、鉄板の歩留まり、つまりスクラップを少なくして、第1部分を鉄板から打ち抜くことができる。また、第1部分と第2部分とが分割されているので、鉄板の利用効率が向上し、鉄板の歩留まりを向上させることができる。また、ヨーク部が環状に折り曲げられて螺旋に積層されるので、ステータコアの製造工程を簡易なものとすることができる。
【0010】
(2) 上記ヨーク部は、上記各ティース本体の間に、端から長手方向と交差する方向へ延出された切欠きを有するものであり、当該切欠きが形成された部分が折り曲げられて環状とされたものであってもよい。
【0011】
これにより、ヨーク部を容易に環状に折り曲げることができる。
【0012】
(3) 上記ティース本体の先端又は上記ティース先端の一方に、上記ティース本体が突出する方向へ延び、且つ突出基端より突出先端が幅広である凸部が設けられており、上記ティース本体の先端又は上記ティース先端の他方に、上記ティース本体が突出する方向へ延び、且つ開口側より終面側が幅広である凹部が設けられており、上記凸部と上記凹部とが係合されることにより、上記ティース本体の先端に上記ティース先端が係合されていてもよい。
【0013】
これにより、ティース本体の先端にティース先端を確実且つ簡易に組み付けることができる。
【0014】
(4) 上記ヨーク部は、上記各ティース本体が外側へ放射状に突出するように、環状に折り曲げられたものであってもよい。
【0015】
(5) 本発明は、前述されたステータコアと、当該ステータコアの上記ティース本体に巻かれたコイルと、当該コイルが形成する回転磁界により回転されるロータと、を具備するモータとして捉えられてもよい。
【0016】
(6) 本発明に係るステータコアの製造方法は、帯形状の鉄板の長手方向に連続するヨーク部、及び、当該長手方向に間隔を空けて当該長手方向と交差する方向へ当該ヨーク部からそれぞれ突出されたティース本体を有する第1部分を鉄板から打ち抜く第1ステップと、上記第1部分を、上記ヨーク部を環状に折り曲げて螺旋に積層する第2ステップと、上記ティース本体の先端に、上記ティース本体が突出する方向と交差する方向へ突出するティース先端を有する第2部分を係合する第3ステップと、を含む。
【0017】
ヨーク部を鉄板の長手方向へ帯形状に連続して打ち抜くことにより、鉄板の歩留まり、つまりスクラップを少なくすることができる。また、第1部分と第2部分とを分割して作製した後に係合させるので、鉄板の利用効率が向上し、鉄板の歩留まりを向上させることができる。また、ヨーク部を環状に折り曲げられて螺旋に積層するので、ステータコアの製造工程を簡易なものとすることができる。
【0018】
(7) 上記第1ステップにおいて、上記ヨーク部における上記各ティース本体の間に、端から長手方向と交差する方向へ延出された第1切欠きを形成し、上記第2ステップにおいて、上記第1切欠きが形成された部分を折り曲げられて環状としてもよい。
【0019】
これにより、ヨーク部を容易に環状に折り曲げることができる。
【0020】
(8) 上記第1ステップにおいて、上記ヨーク部において予め定められた上記ティース本体の個数が連続した箇所に、上記第1切欠きが形成された側と反対側の端から上記第1切欠きに向かって延出された第2切欠きを形成し、上記第2ステップにおいて、上記第1切欠きと上記第2切欠きとの間を破断することによって螺旋に積層された第1部分を形成してもよい。
【0021】
これにより、螺旋に積層された第1部分を鉄板から切り離すことが容易となる。
【0022】
(9) 上記ティース本体の先端又は上記ティース先端の一方に、上記ティース本体が突出する方向へ延び、且つ突出基端より突出先端が幅広である凸部を形成し、上記ティース本体の先端又は上記ティース先端の他方に、上記ティース本体が突出する方向へ延び、且つ開口側より終面側が幅広である凹部を形成し、上記第3ステップにおいて、上記凸部と上記凹部とを係合してもよい。
【0023】
これにより、ティース本体の先端にティース先端を確実且つ簡易に組み付けることができる。
【0024】
(10) 上記第1ステップにおいて、上記鉄板における上記ティース本体の間となる領域から上記第2部分を打ち抜いてもよい。
【0025】
これにより、鉄板の歩留まりを更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、鉄板の歩留まりを向上させ、簡易な工程によりステータコアを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本実施形態にかかる、モータ10の構成を示す平面図である。
【図2】図2は、ステータコア21の構成を示す平面図である。
【図3】図3は、電磁綱板19から本体部分20及びティース先端25が打ち抜かれる工程配置を示す平面図である。
【図4】図4は、図3におけるヨーク部23付近の一部拡大図である。
【図5】図5は、図3におけるティース本体24付近の一部拡大図である。
【図6】図6は、図3におけるティース先端25付近の一部拡大図である。
【図7】図7は、本体部分20が螺旋に積層される工程を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、適宜図面が参照されて、本発明の好ましい実施形態が説明される。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態が適宜変更できることは言うまでもない。
【0029】
[モータ10の概略構成]
図1に示されるように、モータ10は、ステータ11の外側において円筒形状のロータ12が回転するアウターロータ型のものである。ロータ12はステータ11の外側に空隙が隔てられて配設される。同図においては省略されているが、ロータ12は、所定の極数の磁石が周方向へN極とS極とが交互となるように配設されてなり、ステータ11により形成される回転磁界により、軸周りに回転する。ロータ12の極数は、ステータ11のスロット数との関係で適宜設定され、本実施形態のように36スロットのステータ11であれば、例えば48極のロータ12が採用される。
【0030】
[ステータ11]
ステータ11は、ステータコア21及びコイル22を主要な構成とする。
【0031】
図2に示されるように、ステータコア21は、36個のスロットを有する。図2に示される平面視において、ステータコア21は、内側において環形状に連続するヨーク部23と、ヨーク部23から外側へ放射状に突出する36個のティース本体24と、各ティース本体24の先端に組み付けられたティース先端25と、を有する。
【0032】
詳細は後述されるが、ヨーク部23は、帯状の電磁綱板が螺旋に積層されたものである。積層されたヨーク部23は、概ね円筒形状をなしている。ティース本体24及びおティース先端25は、相互に組み付けられた状態において1つのティースを形成する。各ティースは、ヨーク部23の周方向に等間隔に離間して配置されており、ヨーク部23から外側へ放射状に突出されている。各ティースは、平面視においてT字形状をなす。ティース本体24は、T字形状のティースにおいてコイル22が巻かれる部分であり、円筒形状のヨーク部23の径方向へ延びる角柱形状である。ティース先端25は、ティースの先端においてコイル22が巻かれる空間を区画するものであり、ヨーク部23と対向してヨーク部23の周方向へ突出している。このようにティース本体24及びティース先端25により形成された各ティースに、不図示のインシュレータなどにより絶縁加工が施されて、コイル22が巻かれる。各コイル22は、例えば、U相、V相、W相の3相が回転磁界を形成するように構成される。
【0033】
ステータコア21は、例えば高速プレスの順送金型によって、ステータコア21の本体部分20とティース先端25とが電磁綱板19からプレス加工され、これらが組み付けられることによって製造される。ステータコア21の本体部分20は、ヨーク部23及びティース本体24から構成される。本体部分20が、第1部分に相当する。ティース先端25が第2部分に相当する。
【0034】
図3に示されるように、帯状の薄板である電磁綱板19から本体部分20及びティース先端25からそれぞれプレスされて打ち抜かれる。本体部分20は、帯状の電磁綱板19の長手方向101に沿ってヨーク部23が延び、長手方向101と直交する幅方向102に沿ってティース本体24が延びるように打ち抜かれる。ティース先端25は、本体部分20の各ティース本体24の間の空間において打ち抜かれる。このように電磁綱板19から本体部分20及びティース先端25を打ち抜くことにより、電磁綱板19のスクラップを少なくすることができる。電磁綱板19から本体部分20を打ち抜く工程が、第1ステップに相当する。
【0035】
ヨーク部23は、電磁綱板19の長手方向101に沿って帯状に延びている。ヨーク部23は、36個のティース本体24毎に切断されることなく、電磁綱板19と同様に連続したものとして打ち抜かれる。
【0036】
図4に示されるように、ヨーク部23において各ティース本体24の間に相当する部分には、切欠き31、カシメ部32、パイロット孔33が形成される。切欠き31は、ティース本体24が突出側と反対側となるヨーク部23の端、すなわちステータコア21の内側となる端から幅方向102へ延びている。切欠き31は、長手方向101に沿った幅が概ね一定であり、全体としてU字形状である。また、切欠き31は、ヨーク部23の幅方向102に対して概ね半分程度まで延出されている。切欠き31が、第1切欠きに相当する。
【0037】
カシメ部32は、切欠き31の長手方向101の側方に形成されている。カシメ部32は、電磁綱板19を厚みより小さい分だけプレスした、所謂半抜きにより形成されている。したがって、カシメ部32は、上側が厚み方向に凹んでおり、下側が厚み方向に突出している。カシメ部32は、本体部分20が積層されると、積層の上下方向において相互に嵌合、つまりカシメられて、積層された本体部分20を固定する。
【0038】
なお、カシメ部32は、ティース本体24が36スロット×積層枚数に相当する個数だけ連続したときに、半抜きではなく全抜きのカットパンチとされる。このカットパンチは、ステータコア21のスロット数だけ、すなわち36個連続して形成される。これにより、所定の積層枚数だけ本体部分20が積層されると、その前後の各本体部分20とが相互に固定されることがない。
【0039】
パイロット孔33は、切欠き31の長手方向101に対してカシメ部32と反対側に形成されている。パイロット孔33は、後述されるように本体部分20が螺旋に積層されるときに、位置決めのためのピンなどが挿入されるものである。
【0040】
また、ヨーク部23には、ティース本体24が36スロット×積層枚数に相当する個数だけ連続したときに、引き千切りパンチ34が形成される。引き千切りパンチ34は、ティース本体24が突出する側となるヨーク部23の端、すなわちステータコア21の外側となる端から幅方向102へ延びている。引き千切りパンチ34は、切欠き31と対向している。したがって、引き千切りパンチ34と切欠き31とによって、ヨーク部23は、幅方向102に対して幅狭な部分が形成されている。この幅狭な部分が、本体部分20が積層方向へ押し出されることによって破断される。つまり、引き千切りパンチ34は、後述されるように本体部分20が所定の枚数分だけ螺旋に積層されたときに、積層された本体部分20を電磁綱板19から切り離すために用いられる。
【0041】
図5に示されるように、ティース本体24はヨーク部23と共に本体部分20として電磁綱板19から打ち抜かれる。ティース本体24は、突出先端側に形成された凸部41と、先端とヨーク部23との間に形成されたカシメ部42とを有する。
【0042】
凸部41は、ティース本体24の先端、つまりヨーク部23と反対側の端から幅方向102へ突出されている。ティース本体24がヨーク部23から突出する方向は幅方向102なので、凸部41が突出する方向とティース本体24が突出する方向は一致する。凸部41は、突出先端側の幅W1(長手方向101に沿った寸法)が、突出基端側の幅W2(長手方向101に沿った寸法)より広い(幅W1>幅W2)。また、幅W1及び幅W2は、いずれもティース本体24の幅W3(長手方向101に沿った寸法)より狭い(幅W3>幅W1>幅W2)。
【0043】
カシメ部42は、ティース本体24の先端とヨーク部23との間に形成されている。カシメ部42は、電磁綱板19にV字形状の凹みを付けた、所謂半抜きにより形成されている。したがって、カシメ部42は、上側が厚み方向に凹んでおり、下側が厚み方向に突出している。カシメ部42は、本体部分20が積層されると、積層の上下方向において相互に嵌合、つまりカシメられて、積層された本体部分20を固定する。
【0044】
なお、カシメ部42は、ティース本体24が36スロット×積層枚数に相当する個数だけ連続したときに、半抜きではなく全抜きのカットパンチとされる。このカットパンチは、ステータコア21のスロット数だけ、すなわち36個連続して形成される。これにより、所定の積層枚数だけ本体部分20が積層されると、その前後の各本体部分20とが相互に固定されることがない。
【0045】
図6に示されるように、ティース先端25は、電磁綱板19において各ティース本体24の間において打ち抜かれる。ティース先端25は、ティース本体24に組み付けられたときにティース本体24から突出する方向を電磁綱板19の幅方向102として打ち抜かれる。ティース本体先端25は、長手方向101の一方端側に形成された凹部51と、カシメ部52とを有する。
【0046】
凹部51は、ティース先端25がティース本体24と組み付けられる側の端から長手方向101へ凹んでいる。凹部51は、開口側の幅W4(幅方向102に沿った寸法)が、終面側の幅W5(幅方向102に沿った寸法)より狭い(幅W4<幅W5)。また、幅W4及び幅W5は、いずれもティース本体24の幅W3(長手方向101に沿った寸法)より狭い(幅W3>幅W5>幅W4)。
【0047】
カシメ部52は、ティース先端25がティース本体24から突出方向の2箇所に形成されている。カシメ部52は、電磁綱板19を厚みより小さい分だけプレスした、所謂半抜きにより形成されている。したがって、カシメ部52は、上側が厚み方向に凹んでり、下側が厚み方向に突出している。カシメ部52は、電磁綱板19から打ち抜かれた各ティース先端25が積層されると、積層の上下方向において相互に嵌合、つまりカシメられて、積層されたティース先端25を固定する。
【0048】
なお、カシメ部52は、ティース先端25の積層枚数に相当する個数だけ連続したときに、半抜きではなく全抜きのカットパンチとされる。これにより、所定の積層枚数だけティース先端25が積層されると、その前後の各ティース先端25が相互に固定されることがない。
【0049】
なお、本実施形態では、ティース本体24に凸部41が設けられ、ティース先端25に凹部51が設けられているが、凸部41と凹部51とは相互に係合可能に、ティース本体24及びティース先端25の一方又は他方に設けられていればよい。したがって、例えば、ティース本体24に凹部51が設けられ、ティース先端25に凸部41が設けられてもよい。また、凸部41と凹部51との係合は、所謂蟻継ぎ手であり、例えば凸部41の形状が台形ではなく、ドーム形状などであってもよい。
【0050】
また、電磁綱板19には、プレス加工の位置決めのためのパイロット孔54が、本体部分20及びティース先端25を打ち抜く領域外に適宜設けられている。
【0051】
前述された形状の本体部分20及びティース先端25が、電磁綱板19からプレス加工によりそれぞれ打ち抜かれる。
【0052】
図7に示されるように、電磁綱板19から帯状に連続して打ち抜かれた本体部分20は、ヨーク部23が、電磁綱板19の長手方向101に沿って延びており、また、ティース本体24が、電磁綱板19の幅方向102に沿ってヨーク部23から突出している。このように連続する本体部分20が、ヨーク部23に形成された切欠き31の幅を狭めるようにして、ヨーク部23が各ティース本体24の間において折り曲げられて環状とされる。
【0053】
切欠き31においてヨーク部23がそれぞれ折り曲げられる角度は、36個のティース本体24が1つの環に対して等間隔で放射状に突出するように設定されている。したがって、切欠き31の幅は、ヨーク部23を折り曲げたときに、切欠き31において対向する両縁が重ならないように設定されている。このようなヨーク部23の折り曲げは、例えば、円筒形状の治具の内側に本体部分20を案内して、円周に配置された複数のピンに本体部分20のパイロット孔33を嵌め込むことにより、実現される。
【0054】
36個のティース本体24を1周としてヨーク部23がそれぞれ折り曲げられた本体部分20は、更に連続する本体部分20を、その折り曲げられた部分の上側に螺旋に積層するようにして、ヨーク部23が各切欠き31において順次折り曲げられる。そして、螺旋に積層された本体部分20が上側からプレスされることにより、カシメ部32,42において積層された本体部分20が相互に固定される。そして、予め定められた所定の積層枚数分だけ、本体部分20が螺旋に積層されると、その積層された本体部分20が上側からプレスされ、切欠き31と引き千切りパンチ33との間のヨーク部23が破断されて、螺旋に積層された本体部分20が電磁綱板19から切り離される。このようにヨーク部23を折り曲げて螺旋に積層する工程が、第2ステップに相当する。
【0055】
続いて、螺旋に積層された本体部分20の各ティース本体24に、本体部分20と同じ枚数分だけ積層された各ティース先端25が組み付けられる。ティース先端25の組み付けは、ティース本体24の凸部41とティース先端25の凹部51とが係合されることにより行われる。凸部41と凹部51との係合は、ティース本体24に対して、ティース先端25を積層方向、つまり積層綱板19の厚み方向に移動させることによって行われる。本体部分20の各ティース本体24にティース先端25を組み付ける工程が、第3ステップに相当する。
【0056】
[本実施形態における作用効果]
本実施形態によれば、ヨーク部23が電磁綱板19の長手方向101へ帯形状に連続することにより、電磁綱板19の歩留まり、つまりスクラップを少なくして、本体部分20を電磁綱板19から打ち抜くことができる。また、本体部分20とティース先端25とが分割されているので、電磁綱板19の利用効率が向上し、電磁綱板19の歩留まりを向上させることができる。また、ヨーク部23が環状に折り曲げられて螺旋に積層されるので、ステータコア21の製造工程を簡易なものとすることができる。
【0057】
また、ヨーク部23は、切欠き31が形成された部分が折り曲げられて環状とされるので、ヨーク部23を容易に環状に折り曲げることができる。
【0058】
また、凸部41と凹部51とが係合されることにより、ティース本体24の先端にティース先端25が係合されるので、ティース本体24とティース先端25とを確実且つ簡易に組み付けることができる。
【0059】
また、本体部分20が螺旋に積層された後に、切欠き31と引き千切りパンチ34との間を破断することによって積層された本体部分20が形成されるので、螺旋に積層された本体部分20を電磁綱板19から切り離すことが容易である。
【0060】
また、電磁綱板19におけるティース本体24の間となる領域からティース先端25を打ち抜くので、電磁綱板19の歩留まりを更に向上させることができる。
【0061】
[変形例]
なお、本実施形態では、ステータコア21がモータ10の一部品として実現されているが、ステータコア21は、その他の形態の電動機や発電機のステータコアとして実現されてもよい。また、ステータコア21は、アウターロータ型に限定されず、インナーロータ型として実現されてもよい。ステータコア21がインナーロータ型のものとして実現される場合には、切欠き31は、本実施形態におけるヨーク部23の端と対向する側の端、すなわちティース本体24が突出する側の端に設けられることとなる。つまり、切欠き31は、環状に折り曲げられた本体部分20の内側に配置されていればよい。また、引き千切りパンチ34も、本実施形態におけるヨーク部23の端と対向する側の端、すなわち、ティース本体24が突出する側と反対側の端に設けられることとなる。
【0062】
また、本実施形態では、36スロットのモータ10が説明されているが、ステータ11のスロット数は特に限定されない。
【0063】
また、本実施形態では、本体部分20及びティース先端25が電磁綱板19から打ち抜かれているが、ステータコア21の材料は電磁綱板19に限定されず、ステータコアの材料として公知な他の鉄板が用いられてもよいことは言うまでもない。また、本実施形態では、1枚の電磁綱板19から本体部分20及びティース先端25が打ち抜かれているが、本体部分20とティース先端25とは、別の電磁綱板からそれぞれ打ち抜かれてもよい。例えば、ティース先端25の積層枚数を本体部分20の積層枚数より多くすることにより、本体部分20とティース先端25との係合による磁路のロスを抑制することができる。
【符号の説明】
【0064】
10・・・モータ
11・・・ステータ
12・・・ロータ
19・・・電磁綱板
20・・・本体部分(第1部分)
21・・・ステータコア
23・・・ヨーク部
24・・・ティース本体
25・・・ティース先端(第2部分)
31・・・切欠き(第1切欠き)
34・・・引き千切りパンチ(第2切欠き)
41・・・凸部
51・・・凹部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄板が帯形状に連続するヨーク部、及び、当該ヨーク部の長手方向に間隔を空けて当該ヨーク部の長手方向と交差する方向へそれぞれ突出されたティース本体を有しており、当該ヨーク部が環状に折り曲げられて螺旋に積層された第1部分と、
上記ティース本体の先端に係合されて上記ティース本体が突出する方向と交差する方向へ突出するティース先端を有する第2部分と、を備えたステータコア。
【請求項2】
上記ヨーク部は、上記各ティース本体の間に、端から長手方向と交差する方向へ延出された切欠きを有するものであり、当該切欠きが形成された部分が折り曲げられて環状とされたものである請求項1に記載のステータコア。
【請求項3】
上記ティース本体の先端又は上記ティース先端の一方に、上記ティース本体が突出する方向へ延び、且つ突出基端より突出先端が幅広である凸部が設けられており、
上記ティース本体の先端又は上記ティース先端の他方に、上記ティース本体が突出する方向へ延び、且つ開口側より終面側が幅広である凹部が設けられており、
上記凸部と上記凹部とが係合されることにより、上記ティース本体の先端に上記ティース先端が係合されている請求項1又は2に記載のステータコア。
【請求項4】
上記ヨーク部は、上記各ティース本体が外側へ放射状に突出するように、環状に折り曲げられたものである請求項1から3のいずれかに記載のステータコア。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のステータコアと、当該ステータコアの上記ティース本体に巻かれたコイルと、当該コイルが形成する回転磁界により回転されるロータと、を具備するモータ。
【請求項6】
帯形状の鉄板の長手方向に連続するヨーク部、及び、当該長手方向に間隔を空けて当該長手方向と交差する方向へ当該ヨーク部からそれぞれ突出されたティース本体を有する第1部分を鉄板から打ち抜く第1ステップと、
上記第1部分を、上記ヨーク部を環状に折り曲げて螺旋に積層する第2ステップと、
上記ティース本体の先端に、上記ティース本体が突出する方向と交差する方向へ突出するティース先端を有する第2部分を係合する第3ステップと、を含むステータコアの製造方法。
【請求項7】
上記第1ステップにおいて、上記ヨーク部における上記各ティース本体の間に、端から長手方向と交差する方向へ延出された第1切欠きを形成し、
上記第2ステップにおいて、上記第1切欠きが形成された部分を折り曲げられて環状とする請求項6に記載のステータコアの製造方法。
【請求項8】
上記第1ステップにおいて、上記ヨーク部において予め定められた上記ティース本体の個数が連続した箇所に、上記第1切欠きが形成された側と反対側の端から上記第1切欠きに向かって延出された第2切欠きを形成し、
上記第2ステップにおいて、上記第1切欠きと上記第2切欠きとの間を破断することによって螺旋に積層された第1部分を形成する請求項6又は7に記載のステータコアの製造方法。
【請求項9】
上記ティース本体の先端又は上記ティース先端の一方に、上記ティース本体が突出する方向へ延び、且つ突出基端より突出先端が幅広である凸部を形成し、
上記ティース本体の先端又は上記ティース先端の他方に、上記ティース本体が突出する方向へ延び、且つ開口側より終面側が幅広である凹部を形成し、
上記第3ステップにおいて、上記凸部と上記凹部とを係合する請求項6から8のいずれかに記載のステータコアの製造方法。
【請求項10】
上記第1ステップにおいて、上記鉄板における上記ティース本体の間となる領域から上記第2部分を打ち抜く請求項6から9のいずかに記載のステータコアの製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−55766(P2013−55766A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191598(P2011−191598)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(591201952)株式会社一宮電機 (20)
【Fターム(参考)】