説明

スピンドルモータ、および記録再生装置

【課題】HDD用スピンドルモータにおいて、磁気吸引板を貫く磁束により渦電流が発生することによりロストルクが大きくなり、消費電流が増加する。
【解決手段】ベースに、ロータマグネットとの間の磁気作用によって前記ロータ部をベース側に引き付けるために、周方向に分割された圧粉磁心材料からなる磁気吸引板を有することにより、コキングの影響を低減し、吸引力を確保した状態で、渦電流を小さくすることができ、消費電流を下げることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動圧軸受を用いたスピンドルモータ及びこのスピンドルモータにより記録用ディスクを回転駆動するハードディスクドライブ(以下HDD)等の情報記録再生装置において、ロータマグネットと磁気的に吸引し合うことによりロータ部をベース側に引き付けるように付勢する磁気吸引部が設けられたスピンドルモータに関する。
【背景技術】
【0002】
HDD装置などに用いられるスピンドルモータは、情報の読み書きや呼び出しを行うため、高精度の回転が要求される。特に最近では、記録の高密度化の要求から、ラジアル方向とスラスト方向の位置決めに対して厳しい精度が必要とされており、この種のモータの軸受としては、従来からボールベアリングが多用されていたが、上記した高精度の回転要求により、ボールベアリングから潤滑オイルを用いた動圧流体軸受に置き換えが進んでいる。また、最近の傾向としてHDD装置が従来のコンピュータの記録再生装置用途以外として、映像や音楽プレーヤーの記録再生装置のように屋外で身につけた状態で使われるケースが増えてきており、それに伴い、製品使用可能時間と直接関係してくるモータ消費電流低減や、広い使用温度範囲および低振動/低騒音化がこれまで以上に求められている。
【0003】
そこで、特許文献1記載の発明では、固定部材に回転自在にロータを支持し、固定部材とロータとの間にロータを回転自在に支持する動圧軸受を介在し、固定部材にステータを固定し、ステータに対して径方向に対向して駆動マグネットをロータに取り付け、固定部材に磁性体リングを取り付け、この磁性体リングの上面を駆動マグネットの下端面に対向する位置に配設すると共に、この上面を外周側から内周側への下り傾斜面させる構成としたものや、磁性体リングの上面が、径方向や周方向に複数に分割形成されている構成が提案されている。
【0004】
また、特許文献2記載の発明では、コイル巻線が巻回されたステータコアを含むステータ部が固定フレームに取り付けられているとともに、前記ステータコアと近接対向するように配置されたロータマグネットを含むロータ部が前記ステータ部に対して軸受部を介して回転可能に支持されたものであって、前記ロータマグネットが、前記固定フレームに対して軸方向に適宜の微少ギャップを介して対面するように配置されたモータにおいて、前記固定フレームにおける少なくとも前記ロータマグネットとの軸方向対向部分を含む領域に、貫通孔または凹部からなる渦電流分断手段が設けられた構成が提案されている。
【0005】
このような磁性体リング形状にすることにより、磁性体リング表面を貫く磁束変化により発生する渦電流の通路の電気抵抗を高めることにより、渦電流を小さくすることができ、モータ消費電流を低下させることが可能となる。
【特許文献1】特開2001−309605号公報
【特許文献2】特開2005−348587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のスピンドルモータでは、ポータブル用途のように衝撃や振動に対し更に高い安定性を確保するため、磁気吸引板とロータマグネットとの間の磁気作用を大きくするために磁気吸引板とロータマグネットの距離を小さくして磁気吸引板を貫く磁束量を多くしようとすると、ロータ部の回転に伴う多極着磁されたロータマグネットから磁気吸引板に貫く磁束変化も大きくなるため、複数個の貫通孔または凹部を形成しても、磁性部材であり導電部材からなる磁気吸引板表面には磁束変化を妨げるように大きな渦電流が発生し、ロータ部の回転を妨げる方向のロストルクとなり消費電流が増加する。
【0007】
また、磁気吸引板に貫通孔または凹部を形成することにより、ロータマグネットと磁気吸引板間で磁気抵抗が変化するため、コギングトルクや軸方向の吸引力の変化が大きくなり、振動や騒音が増加する。さらには、一般的にアルミ材料からなる固定フレームに鉄系材料からなる磁性体リングを接着等で固定する場合、2つの材料の持つ線膨張係数の違いにより、使用される温度環境が変化すると、固定フレームと磁性体リングの膨張や収縮の差により接合面に大きな応力が発生し、接着部分が破壊し、最悪の場合は、磁性体リングが外れてしまう問題があった。
【0008】
本件発明は、簡単な構成により、渦電流損失を低減させることにより、モータ消費電流を低減させ、かつ、広い使用温度範囲で安定したモータ特性を達成できるスピンドルモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従来の課題を解決するために、本発明のスピンドルモータは、コイル巻線が巻回されたステータコアを有するベースと、前記ベースに軸受部を介して回転自在に支持され、前記ステータコアに対向するロータマグネットを備えたロータ部を含むスピンドルモータにおいて、前記ベースには、前記ロータマグネットと軸方向にギャップを介して対向するように周方向に延在して前記ロータマグネットとの間の磁気作用によって前記ロータ部をベース側に引き付けるための磁気吸引部を有し、前記磁気吸引部の少なくとも前記ロータマグネットとの軸方向対向部分を含む領域が圧紛磁性体により形成されたことを特徴としたものである。
【0010】
また、本発明は、コイル巻線が巻回された複数の突極部と前記突極部を連結するリング部からなるステータコアを有するベースと、前記ベースに軸受部を介して回転自在に支持され、前記ステータコアに対向するロータマグネットを備えたロータ部を含むスピンドルモータにおいて、前記ベースには、圧粉磁性体からなる複数の磁気吸引板片が前記ロータマグネットと軸方向にギャップを介して対向するように同心円状に配置されており、前記それぞれの磁気吸引板片が周方向に隙間を有していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、コイル巻線が巻回されたNs個からなる突極部と前記突極部を連結するリング部からなるステータコアを有するベースと、そのベースに軸受部を介して回転自在に支持され、前記ステータコアに対向するロータマグネットを備えたロータ部を含むスピンドルモータにおいて、前記ベースには、圧粉磁性体からなる複数の磁気吸引板片が前記ロータマグネットと軸方向にギャップを介して対向するように同心円状に配置され、1つの磁気吸引板片の角度が360/(Ns×n) (n=1,2,3・・・)であり、ステータコアの突極部の周方向中心と磁気吸引板片の周方向中心、または、磁気吸引板片間の隙間の周方向中心が一致するように周方向に隙間を介し配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、コイル巻線が巻回された複数の突極部と前記突極部を連結するリング部からなるステータコアを有するベースと、前記ベースに軸受部を介して回転自在に支持され、前記ステータコアに対向するロータマグネットを備えたロータ部を含むスピンドルモータにおいて、前記ベースには、前記ロータマグネットと軸方向にギャップを介して対向するように磁性体からなる磁気吸引板が配置され、前記磁気吸引板には周方向に複数の切り欠きが形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明のスピンドルモータによれば、ロータマグネット端部からの磁束が対向する磁気吸引板を貫くことにより発生する吸引力が、振動や衝撃が加わった状態でもモータを安定的に回転させるのに十分な吸引力を保つために、ロータマグネットと磁気吸引板のギャップを小さくし磁気吸引板を貫く磁束量を増やした状態でも、磁気吸引板の材料を鉄などの金属磁性粉末に電気的絶縁と結合を兼ねる樹脂コンパウンドを混合し圧縮成型した圧粉磁性体により形成したことにより、ロータマグネットが回転し、磁気吸引板を貫く磁束の変化が大きい場合でも、それぞれの金属磁性粉末が電気的絶縁されていることにより、渦電流の発生を抑えることができロータ部の回転を妨げる方向のロストルクが減少し、消費電流の低減が可能である。
【0014】
また、使用温度環境が大きく変化したときでも、ベース材料の線膨張係数と磁気吸引板材料である圧粉磁性体の線膨張係数の違いにより発生する熱応力を、複数の、例えば扇形状の、磁気吸引板片としたりすることにより緩和し、磁気吸引板の割れや欠け、または、剥れをなくし、広い使用温度環境で安定したモータ性能を達成することができ、さらに、扇形状の磁気吸引板片の角度を検討することにより、モータのコギングトルクや軸方向の吸引力の変化を小さく抑えることができる。
【0015】
さらに、上記の熱応力を、磁気吸引板に周方向に設けた複数の半径方向の切り欠き部に集中させることにより、切り欠き部以外での磁気吸引板の剥れをなくし、広い使用温度環境で安定したモータ性能を達成することができ、さらに、切り欠きの数を検討することにより、モータのコギングトルクや軸方向の吸引力の変化を小さく抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明を適用したスピンドルモータの一例として、動圧軸受装置を用いたハードディスク駆動装置(HDD)の概要を説明しつつ、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1におけるスピンドルモータの断面図、図2は吸引部詳細図、図3は圧粉磁性体材料の内部構造図を示すものである。
【0018】
図1に示されている軸回転型のHDDスピンドルモータとしては、動圧軸受装置を採用したモータが採用されているが、その全体は、固定部材としてのベース1と、そのベース1に対して上側から組み付けられた回転部材としてのロータ部6とから構成されている。そのうちベース1の略中央部分に中空円筒状に形成された固定軸受部材としての軸受スリーブ2が、圧入、焼嵌めまたは接着によって上記ベース1に接合されている。軸受スリーブは、銅合金等で形成され、表面はニッケル等でメッキされている。鉄系や銅系の燒結金属で形成されることもある。
【0019】
また、前記ベース1の前記軸受スリーブ2の外側には、電磁鋼板の積層体からなるステータコア8が嵌着されているとともに、そのステータコア8において半径方向外方側に向かって放射状に突出するように設けられた複数個の各突極部には、コイル巻線12がそれぞれ巻回されている。
【0020】
さらに、上記軸受スリーブ2に設けられた中心孔内には、上述したロータ部6を構成する回転軸3が回転自在に挿入されている。すなわち、上記軸受スリーブ2の内周壁部に形成された動圧面は、上記回転軸3の外周壁面に形成された動圧面に対して半径方向に対向するように配置されており、ラジアル動圧軸受部10が構成されている。より詳細には、上記ラジアル動圧軸受部10における軸受スリーブ2側の動圧面と、回転軸3側の動圧面とは、2〜4μmの微少隙間を介して周状に対向配置されており、その微少隙間からなる軸受空間内に、オイルや高流動性グリスやイオン性液体等の潤滑流体が軸線方向に連続するように注入又は介在されている。(気体軸受では、上記潤滑流体はエアである。)
さらに、上記軸受スリーブ2及び回転軸3の両動圧面の少なくとも一方側には、例えば、へリングボーン形状やスパイラル形状等からなるラジアル動圧発生用溝が、軸線方向に1ないし2ブロックに分けられて形成(例えば、環状に凹設)されており、回転時に、当該ラジアル動圧発生用溝のポンピング作用により潤滑流体(図示省略)が加圧されて動圧を生じ、その潤滑流体の動圧によって、上記回転軸3とともにロータ部6が、上記軸受スリーブ2に対してラジアル方向に非接触状態で軸支持される構成になされている。
【0021】
さらに、ロータ部6は、ステンレス鋼からなる略カップ状部材からなり、中心部分に設けられた穴が、上記回転軸3の上端部分に対して圧入や焼嵌めまたは接着によって一体的に接合されている。このロータ部6は、磁気ディスク等の記録媒体ディスク(図示省略)をクランパ(図示省略)の上方側からの押圧力によって、上記記録媒体ディスクが固定されるようになっている。
【0022】
また、上記ロータ部6の内周壁面側には、環状のロータマグネット7が取り付けられている。このロータマグネット7は、前述したステータコア8における各突極部の外周側端面に対して環状に対向するように0.1〜0.3mmのギャップを介して配置されている。
【0023】
さらに、上記ロータマグネット7の下端面、すなわち前記固定ベース1に対向する側の端面の直下位置には、図2に示すような内部構造からなる圧粉磁性体材料から形成された磁気吸引板9が、表面に電着塗装または樹脂コーティングされて、前記ベース1の表面上に接着剤等を用いて直接的に固着され、ロータマグネット7の下端面に対して、0.2〜0.5mmのギャップを介して軸方向に対向するように配置されている。圧粉磁性体材料(圧粉鉄心材料、焼結軟磁材料、圧粉磁心材料等の名称がある)は、絶縁皮膜を有する金属磁性粉末に樹脂を混合し、成形・硬化させたものである。図3に示すように、圧粉磁性体材料は直径数十μmから数百μmの鉄などの金属磁性粉末9aの表面に電気的絶縁膜9bが形成され、各粉末は樹脂バインダーにより混合し圧縮成型されている。従って、各粉末それぞれが電気的に絶縁されているため、圧粉磁性体材料全体としての電気抵抗が大きくなっている。具体的には一般的な鉄材料の比抵抗が1.0×10-7〜1.0×10-6Ωmに対し、圧粉磁性体材料の比抵抗は1.0×10-5〜5.0×10-2Ωmと大きい。圧粉磁性体材料は、金属と比較して比抵抗が高い反面、その構造上機械的強度が劣る。このため吸引板のように片面が接着等により拘束されて熱膨張収縮を受ける環境では、従来は使用が困難であったが、本願は形状を工夫し、さらにその形状がコギング等のモータ特性に多大な影響を与えないように考慮することにより使用を可能にしたものである。
【0024】
一方、上述した回転軸3の下端側の先端部分には、円盤状のスラストプレート4が、焼き嵌めや圧入または溶接によって固着されている。回転軸と一体加工される場合もある。このスラストプレート4は、上述した軸受スリーブ2の下端側とカウンタープレート5にスラスト隙間10〜30μmを介して配置されており、軸受スリーブ2の下端面と上記スラストプレート4の上面の少なくとも一方の面及び上記スラストプレート4の下面とカウンタープレート5の上面の少なくとも一方の面には、図示を省略したヘリングボーン形状またはスパイラル形状からなるスラスト動圧発生溝からなるスラスト動圧軸受部11が形成されている。
【0025】
前記スラスト隙間内には、オイルや高流動性グリスやイオン性液体等の潤滑流体が充填されており、(気体軸受においては、上記潤滑流体はエアである)回転時に、上述したスラストプレート4に設けられたスラスト動圧発生用溝のポンピング作用によって潤滑流体が加圧されて動圧を生じ、その潤滑流体の動圧により、上述した回転軸3及びロータ部6がスラスト方向に浮上した非接触状態で軸支持されるように構成されている。
【0026】
また、ベース1のロータマグネット7の下面に対向する位置に圧粉磁性体からなる磁気吸引板9が設けられており、ロータマグネット7からの磁束が磁気吸引力として有効に作用することとなり、ロータ部6及び回転軸3等を含む回転体全体がベース側に吸引されているので、回転体の姿勢にかかわらず、回転中のスラスト浮上量等が良好に維持されるようになる。
【0027】
一方、例えば、電磁鋼板からなるリング形状の磁気吸引板9xを用いた場合の、磁気吸引板9xに発生する渦電流は、ロータマグネット7の極数が12極である場合には、図17に示すようにロータマグネット7から磁気吸引板9xに貫く磁束の変化を妨げるように渦電流が発生する。ここで、従来例で示されるように、図18で示すような磁気吸引板を周方向に例えば24分割した場合、磁気吸引板9yに発生した渦電流の経路内に電気抵抗の高い空気からなる隙間を設けることにより、渦電流の経路が遮断され、図18に示すような分割された経路を形成することになる。ここで、それぞれの経路を見た場合、経路が分割されたことにより一つの経路長が短くなるため、逆に経路の電気抵抗が低下し渦電流の総和が増加し、ロータマグネット7の回転を妨げる方向に大きな磁極が発生し、ロストルクとなり、モータ消費電流を増加させる場合がある。シミュレーションによれば、十分な渦電流低減を達成するためには、一極あたり8分割以上する必要があり、磁気吸引板全体では96箇所のスリットが必要であり、製造が大変になるばかりではなく、スリット面積が増加することにより、ロータマグネット7との対向面積が減少し、吸引力が低下してしまうことが考えられる。
【0028】
それに対して、前述したような圧粉磁性体からなる磁気吸引板9を備えた本実施例にかかるスピンドルモータによれば、有効な磁気吸引力を保った状態で、磁気吸引板9内に発生する渦電流の経路内において、鉄粉1つ1つが絶縁されていることにより、等価電気抵抗(比抵抗)を高くすることができ、それによって渦電流を小さくすることができ、さらにそれに伴い、モータの消費電流を下げることができる。
【0029】
また、圧粉磁性体からなる磁気吸引板9の表面に電着塗装または樹脂コーティングを施すことにより、一般的に用いられる比抵抗が0.8〜1.0×10-4の無電解ニッケルメッキを用いたコーティングに対し、上記比抵抗の大きいコーティングを施すことにより磁気吸引板表面のコーティング部での渦電流を少なくし、更に、磁気吸引板表面からの粉末の脱落やアウトガスの低減が図れ、HDD用途として重要なHDD装置内のクリーン度の維持に貢献することができる。
【実施例2】
【0030】
図4は本発明の実施例2におけるスピンドルモータの断面図、図5は図4に示す本発明の実施例2におけるステータコアおよび磁気吸引板の上面図、図6は本発明の実施例2における、その他のステータコアおよび磁気吸引板の上面図、図7は本発明の実施例2における、その他のステータコアおよび磁気吸引板の上面図である。尚、本実施例におけるモータの基本的な構成は上記した実施例1とほぼ同じであるため、主として実施例1と相違する点について説明する。
【0031】
実施例2では、図4および図5に示すように、アルミ材料からなるベース1には9つの突極部を有するステータコア8が嵌合され、さらにロータマグネット7に対向する面に圧粉磁心からなる磁気吸引板を構成する磁気吸引板片9dが40度等ピッチで周方向に配置されて、突極部の周方向の中心と磁気吸引板片の周方向中心が一致するように接着固定されている。
【0032】
ここで、ベース1に図4で示すような円筒凸部1aを形成し、磁気吸引板片9dの内周または外周の位置規制をすることにより、精度良く同心円状に磁気吸引板片9dを配置することができる。(図5では外周を位置規制している)
なお、磁気吸引板片9dは渦電流によるロストルクの発生に影響ない範囲において、細い切り欠き部によって全体が連結されていてもよい。また、磁気吸引板片9dの周方向の相互の位置関係を保持するために、磁気吸引板片間の周方向にスペーサ部材を入れてもよい。
【0033】
本実施例においては、実施例1に記載した以外の効果として、使用される温度環境が広い場合や、モータの自己発熱によりモータ内部の温度変化が大きい場合でも圧粉磁性体材料からなる磁気吸引板9dの損傷を防ぐことができる。
【0034】
詳細には、ベース1に用いられているアルミ材料に比べ磁気吸引板に用いる圧粉磁性体材料の線膨張係数は小さいため、ベース1に接着された磁気吸引板には、ベース1の伸縮により、高温時には広がる方向の力、低温時には縮まる方向の力を受けてしまう。圧粉磁性体材料は先に説明したように、金属粉末間が樹脂バインダーにより結合されているにすぎず、外力に対し脆い性質を有しており、使用温度環境の変化により、磁気吸引板の割れ欠けが考えられる。
【0035】
一方、本実施例における圧粉磁性体からなる複数の例えば扇形状の磁気吸引板片9dにおいては、それぞれの磁気吸引板片9dが周方向に分割されているので、使用温度環境が変化してベース1が伸縮しても、磁気吸引板9dに加わる応力を緩和することができ、磁気吸引部の割れや欠けを防ぎ、広い使用温度範囲で安定したモータ性能を達成することができる。
【0036】
また、ステータコア8の突極部の数をNs個としたとき、1つの扇形状の磁気吸引板の角度が360/(Ns×n) (n=1,2,3・・・)で、ステータコアの突極部の周方向中心と扇形状の磁気吸引板片の周方向の中心、または、磁気吸引板間が一致するように周方向に隙間を介し配置することにより、磁気吸引板9dを周方向に並べたことによる、ステータコア8とロータマグネット7間の発生トルクへのトルク脈動の重畳を低減することができ、効果的に鉄損を下げることができる。
【0037】
具体的に図5にはステータコアの突極部の周方向中心と扇形状の磁気吸引板の周方向の中心を一致させた場合のステータコア8と磁気吸引板9dの上面図を、図6には磁気吸引板片間の中心がステータコアの突極部の周方向中心と一致した場合のステータコア8と磁気吸引板片9dの上面図を示している。また、図7には磁気吸引板片の角度が半分の場合のステータコア8と磁気吸引板片9dの上面図を示している。
【0038】
上記の説明では、磁気吸引板を構成する磁気吸引板片は扇形状としたが、機能を損なわない範囲での変形は可能である。
【実施例3】
【0039】
図8は本発明の実施例3におけるスピンドルモータの断面図、図9は本発明の実施例3における、ステータコアおよび磁気吸引板の上面図、図10及び図11は本発明の実施例3における、その他のステータコアおよび磁気吸引板の上面図、図12は本発明の実施形態3におけるベースと吸引板間の接着剤塗布位置である。尚、本実施例におけるモータの基本的な構成は上記した実施例1および2とほぼ同じであるため、主として実施例1および2と相違する点について説明する。
【0040】
実施例3では、図8および図9に示すように、アルミ材料からなるベース1には9つの突極部を有するステータコア8が嵌合され、さらにロータマグネット7に対向する面に角度ピッチが40度なるスリット9fが設けられた磁気吸引板9eが、ステータコア8の突極部の周方向中心と磁気吸引板のスリット9fの周方向中心が一致するように接着固定されている。(図9)ベース1と磁気吸引板9eの接着においては吸引板全面または図12で示すように、スリット9fを除いた部分のベースまたは吸引板に接着剤13が塗布されている。
【0041】
ここで、通常、使用温度環境が変化した場合、アルミ材料からなるベース1と磁性材料(例えば、鉄系材料のSPCC等であり、圧粉磁性体材料も含む)からなる磁気吸引板では線膨張係数の違いにより、伸縮量が違うためにベース1と磁気吸引板の間の接着剤部分に大きな応力が加わり、最悪の場合、接着剤が破壊され、吸引板が浮いたり、剥がれたりする場合が考えられる。
【0042】
一方、本実施例における周方向にスリット9fが設けられた磁気吸引板9eに おいては、スリット9fを設けた部分で磁気吸引板が細くなっているため、磁気吸引板9eに応力が加わった場合、スリット9fを設けた部分において大きく伸縮するため、スリット9fを設けていない部分(9g)での伸縮は小さくなる。
【0043】
したがって、使用温度環境が変化し線膨張係数の大きいベース1が線膨張係数の小さい磁気吸引板9eより大きく伸縮した場合でも、磁気吸引板9eのスリット9f部分が大きく伸縮し、他の部分の伸縮を抑えることができ、スリット9f以外のベース1と磁気吸引板9e間の接着剤の破壊による磁気吸引板9eの浮きや剥がれを抑えることができ、広い使用温度範囲で安定したモータ性能を達成することができる。
【0044】
また、磁気吸引板には周方向均等にステータコア8の突極部の数の整数倍からなる半径方向のスリット9fが形成され、ステータコア8の突極部の周方向中心と磁気吸引板のスリット9f、または、磁気吸引板のスリット間の周方向中央が一致するように配置されていることにより、ステータコア8とロータマグネット7間の発生トルクへのトルク脈動の重畳を低減することができ、効果的に鉄損を下げることができる。
【0045】
具体的に図9にはステータコアの突極部の周方向中心と磁気吸引板のスリット9fの中心が一致するように配置された場合のステータコア8と磁気吸引板9eの上面図を、図10にはステータコアの突極部の周方向中心と磁気吸引板のスリット間の周方向中央が一致した場合のステータコア8と磁気吸引板9eの上面図を示している。また、図11には磁気吸引板のスリット形状が異なる場合のステータコア8と磁気吸引板9eの上面図を示している。
【0046】
ここで、モータの発生トルクに関しては、一般的なフラットな磁気吸引板の場合や磁気吸引板が無い場合は、主としてステータコア8の形状とロータマグネット7の着磁パターンで決まるが、磁気吸引板9eを分割したり、スリットを設けた場合には、ロータマグネット7と磁気吸引板9eの間で磁気抵抗の変化が発生するため、例えば磁気吸引板9eのスリット間角度をロータマグネット7の極ピッチ角度と同じ角度にした場合、ロータマグネット7の極と磁気吸引板のスリットが全て一致した位置で、一番磁気抵抗が小さくなり、この安定位置に留まろうとする大きなコギングトルクが発生する。一方、磁気吸引板9eのスリット間角度をステータコア8の突極部の角度と同じにすると、ロータマグネット7の極と磁気吸引板9eのスリットが1部分でしか一致することはないため、この位置に安定させるための力も下がり、従ってコギングトルクは小さくなる。
【0047】
さらに説明を追加すると、コギングはステータ側部材とロータ側部材それぞれの磁気的安定点の最小公倍数ですから、図10においては、ステータと磁気吸引板の磁気的安定点が一致しているので、コギングは着磁極数12とステータ突極数または磁気吸引板スリット数9の最小公倍数で36となり1回転に36回発生し、図9および11は、ステータと磁気吸引板の磁気的安定点が位相で180度ずれているのでステータ+磁気吸引板の磁気的安定点は倍の18となり、コギングは着磁極数12とステータの突極数9に加えて磁気吸引板スリット数9の合計で18との最小公倍数で72となり1回転に72回発生し、コギングの周波数が上がるのでその結果コギングの振幅は下がる。
【0048】
次に、スラスト吸引力は、ロータマグネット7とステータコア8間の磁気吸引力とロータマグネット7と磁気吸引板9e間の磁気吸引力の和によって決まってくる。ステータコア8の高さ方向(軸方向)の中心よりロータマグネット7の高さ方向(軸方向)の中心を上方向に設定することにより、ロータマグネット7とステータコア8間の磁気吸引力はロータマグネット7からステータコア8に向かって下方向に働き、また、ロータマグネット7と磁気吸引板9eに働く磁気吸引力もロータマグネット7から磁気吸引板9eに向かって下方向に働く。
【0049】
このような構成においてステータコア8の突極部に巻かれたコイル12に電流を流すと、コイル12による磁束がロータマグネット7の造る磁束と同方向の場合、ステータコア8とロータマグネット7間の磁束が増加することにより磁気吸引力は増加するが、一方でロータマグネット7から磁気吸引板9に漏れる磁束が減るため、磁気吸引板9とロータマグネット7間の磁気吸引力は減少する。反対に、コイル12によるできる磁束がロータマグネット7の造る磁束と反対方向の場合、ステータコア8とロータマグネット7間の磁束が減少することにより磁気吸引力は低下する、一方、ロータマグネット7から磁気吸引板9への漏れ磁束は増加することにより、磁気吸引力は増加する。従って、ステータコア8に働くスラスト吸引力と磁気吸引板9eに働くスラスト吸引力の変化が逆位相に変化することにより、スラスト吸引力の変化を抑えることができ、安定したスラスト方向の位置決めや、振動騒音の低減が可能である。
【0050】
ここで、磁気吸引板にスリットを設けた場合、それぞれの吸引力のバランスが崩れ大きなスラスト吸引力の変化が起こることが考えられ、磁気吸引板9eのスリット間角度をステータコア8の突極部の角度と同じまたは1/n倍の角度にし、ステータコア8の突極部の周方向の中心とスリット位置またはスリット間中央位置にすることにより、吸引力の周方向バランスを保ち、スラスト吸引力の変化を低減することができる。
【0051】
図15には磁気吸引板のスリット間角度を変えたときの発生トルクの変化を、図16にはスラスト吸引力の変化を示している。図15にはステータコア8の突極部の数が9個でロータマグネット7の極数が12極であるスピンドルモータにおいて、磁気吸引板のスリット間角度が、スリットなし、スリット間20度、スリット間30度及びスリット間40度の4パターンにおける発生トルクの変化をロータ回転角度0度から30度の間で2度毎に解析した結果であり、図16には同条件で解析により求めたスラスト吸引力の変化を示している。
【0052】
図15及び図16はステータコア8の突極部の周方向の中心とスリット間中央位置が一致した場合であり、図15及び図16のグラフから磁気吸引板のスリット間角度が突極部角度の自然数分の1の角度である40度及び20度のとき、発生トルク及びスラスト吸引力の変化がスリットなしと同様に小さく抑えられており、安定したスラスト方向の位置決めや、振動騒音の低減が可能である。
【実施例4】
【0053】
図13は本発明の実施例4におけるスピンドルモータの断面図である。本実施例におけるモータの基本的な構成は上記した実施例1〜3とほぼ同じであるが、実施例4では、ベース1のロータマグネット7と対向する面に磁気吸引板9を固定し、更に磁気吸引板の表面の全体及び部分的に接着剤を塗布する構成となっている。
【0054】
このような構成にすることにより、使用温度環境の変化による磁気吸引板の剥れに対し、接着強度を強くすることができ、また、磁気吸引板が割れ欠けした場合でも、磁気吸引板の欠片が脱落するのを防止することが可能となり、広い温度環境化でも安定したモータ性能を発揮させることができる。
【0055】
また、本発明の磁気吸引板の断面形状は長方形形状だけではなく、図14に示すような、外周に凸部がある場合や、内周に凸部がある場合でも、同様の効果を得ることができ、スリット形状においても本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、斜め形状や、扇形形状でも同様の効果を得ることができる。さらに、本発明の磁気吸引板は、吸引板全体が圧粉磁性体材料であると説明したが、磁気吸引板が異種材料と多層状に形成されており、少なくともロータマグネットとの軸方向対向部分を含む層が圧粉磁性体材料で形成されていてもよい。(コーティングは上記層には含まない)
【0056】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。
【0057】
例えば、上述した各実施形態は、アウターロータタイプのHDDスピンドルモータに対して本発明を適用したものであるが、インナーロータタイプやその他の多種多様な機器に使用されるスピンドルモータ、或いは動圧軸受部を備えていないスピンドルモータに対しても、本発明は同様に適用することができる。
【0058】
また、図19に示すように、上述したスピンドルモータを、情報記録再生装置20に適用することにより、消費電流が小さく、信頼性の高い装置とすることができる
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の小型モータは、ハードディスク用スピンドルモータ、特にポータブルプレーヤーやカーナビゲーション装置などの振動を受けやすい環境下で用いられる装置に適しているが、この他、光ディスク駆動装置、ビデオテープレコーダ等の各種のモータなどにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例1におけるスピンドルモータの断面図
【図2】本発明の実施例1におけるスピンドルモータの吸引部詳細図
【図3】実施例1の磁気吸引板材料である圧粉磁性体材料の内部構造図
【図4】本発明の実施例2におけるスピンドルモータの断面図
【図5】本発明の実施例2におけるステータコアおよび磁気吸引板の上面図
【図6】本発明の実施例2における、その他のステータコアおよび磁気吸引板の上面図
【図7】本発明の実施例2における、その他のステータコアおよび磁気吸引板の上面図
【図8】本発明の実施例3におけるスピンドルモータの断面図
【図9】本発明の実施例3における、ステータコアおよび磁気吸引板の上面図
【図10】本発明の実施例3における、その他のステータコアおよび磁気吸引板の上面図
【図11】本発明の実施例3における、その他のステータコアおよび磁気吸引板の上面図
【図12】本発明の実施形態3におけるベースと吸引板間の接着剤塗布位置の上面図
【図13】本発明の実施例4におけるスピンドルモータの断面図
【図14】本発明における磁気吸引板の他の断面形状図
【図15】本発明にかかる磁気吸引板の分割角度と発生トルクの関係を示した線図
【図16】本発明にかかる磁気吸引板の分割角度と発生トルクの関係を示した線図
【図17】一般的な磁気吸引板に発生する渦電流の経路図
【図18】従来例における磁気吸引板に発生する渦電流の経路図
【図19】本発明のスピンドルモータおよびそれを備えた情報記録再生装置を示す断面図
【符号の説明】
【0061】
1 ベース
2 軸受スリーブ
3 回転軸
4 スラストプレート
5 カウンタープレート
6 ロータ部
7 ロータマグネット
8 ステータコア
9 磁気吸引板
10 ラジアル軸受
11 スラスト軸受
12 コイル
13 接着剤
20 情報記録再生装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル巻線が巻回されたステータコアを有するベースと、前記ベースに軸受部を介して回転自在に支持され、前記ステータコアに対向するロータマグネットを備えたロータ部を含むスピンドルモータにおいて、
前記ベースには、前記ロータマグネットと軸方向にギャップを介して対向するように周方向に延在して前記ロータマグネットとの間の磁気作用によって前記ロータ部をベース側に引き付けるための磁気吸引部を有し、
前記磁気吸引部の少なくとも前記ロータマグネットとの軸方向対向部分を含む領域が圧紛磁性体により形成されたことを特徴とするスピンドルモータ。
【請求項2】
前記ベースには、前記ロータマグネットと軸方向にギャップを介して対向するように磁気吸引板が配置され、前記磁気吸引板が圧紛磁性体により形成されたことを特徴とする請求項1に記載のスピンドルモータ。
【請求項3】
コイル巻線が巻回された複数の突極部と前記突極部を連結するリング部からなるステータコアを有するベースと、前記ベースに軸受部を介して回転自在に支持され、前記ステータコアに対向するロータマグネットを備えたロータ部を含むスピンドルモータにおいて、
前記ベースには、圧粉磁性体からなる複数の磁気吸引板片が前記ロータマグネットと軸方向にギャップを介して対向するように同心円状に配置されており、前記それぞれの磁気吸引板片が周方向に隙間を有していることを特徴とするスピンドルモータ。
【請求項4】
コイル巻線が巻回されたNs個からなる突極部と前記突極部を連結するリング部からなるステータコアを有するベースと、そのベースに軸受部を介して回転自在に支持され、前記ステータコアに対向するロータマグネットを備えたロータ部を含むスピンドルモータにおいて、
前記ベースには、圧粉磁性体からなる複数の磁気吸引板片が前記ロータマグネットと軸方向にギャップを介して対向するように同心円状に配置され、1つの磁気吸引板片の角度が360/(Ns×n) (n=1,2,3・・・)であり、ステータコアの突極部の周方向中心と磁気吸引板片の周方向中心、または磁気吸引板片間の隙間の周方向中心が一致するように周方向に隙間を介し配置されていることを特徴とするスピンドルモータ。
【請求項5】
コイル巻線が巻回された複数の突極部と前記突極部を連結するリング部からなるステータコアを有するベースと、前記ベースに軸受部を介して回転自在に支持され、前記ステータコアに対向するロータマグネットを備えたロータ部を含むスピンドルモータにおいて、
前記ベースには、前記ロータマグネットと軸方向にギャップを介して対向するように磁性体からなる磁気吸引板が配置され、前記磁気吸引板には周方向に複数の切り欠きが形成されていることを特徴とするスピンドルモータ。
【請求項6】
前記磁気吸引板には周方向に等ピッチでステータコアの突極部の数の整数倍からなる切り欠きが形成され、ステータコアの突極部の周方向中心と磁気吸引板の切り欠き、または磁気吸引板片間の隙間の周方向中央が一致するように配置されていることを特徴とする請求項5に記載のスピンドルモータ。
【請求項7】
圧粉磁性体材料からなる磁気吸引板の表面に、前記圧粉磁性体材料の固有電気抵抗より大きな固有電気抵抗を持つコーティングを形成したことを特徴とする請求項1から6に記載のスピンドルモータ
【請求項8】
圧粉磁性体材料からなる磁気吸引板の表面に、電着塗装または樹脂コーティングを形成したことを特徴とする請求項1から6に記載のスピンドルモータ
【請求項9】
磁気吸引板の表面が接着剤が覆われていることを特徴とする請求項1から6に記載のスピンドルモータ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかのスピンドルモータを備えた情報記録再生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−109793(P2008−109793A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290949(P2006−290949)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】