説明

スペクトルデコード装置

【課題】測定の精度を落とすことなく測定速度の高速化できるスペクトルデコード装置を提供することを目的とする。
【解決手段】輝度スペクトル分布の違いでコード化した被検体をデコード可能かつ最少のバンドパスフィルタを選択するバンドパスフィルタ選択手段101と、選択したバンドパスフィルタで前記被検体の輝度スペクトル分布を取得するスペクトル取得手段1117と、取得した輝度スペクトル分布と予め測定した被検体の輝度スペクトル分布のリファレンススペクトルデータから前記被検体をデコードするデコード手段1116とリファレンスペクトルデータを予め記憶するリファレンススペクトルデータ記憶手段1101を備え、被検体に応じて測定に用いるバンドパスフィルタを選択し測定することにより、被検体の測定時間を短縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに異なる輝度スペクトル分布を有する物質の種類を判別する際に最適なバンドパスフィルタを選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子の発現は遺伝子機能を明らかにするため、種々の遺伝的関連性を有する疾患の新しい治療方法を発見するために研究されている。
【0003】
近年、半導体ナノクリスタルを用いた遺伝子発現解析手法が提案されている。半導体ナノクリスタルは、ある特定の短波長の励起光を照射すると、半導体ナノクリスタルの組成とサイズに応じて異なる波長の光を発光する性質を持つ(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この性質を利用して、プラスチックのビーズに発光波長の異なる複数の半導体ナノクリスタルを任意の比率で付着させ固有の輝度スペクトル分布を持たせてコード化する。更に各コードのビーズに特定のmRNAと結合するためのプローブを付着させ、コードとmRNAを一対一で対応させる。従って、励起光を照射して発光したビーズの輝度スペクトル分布を観察しデコードすることで発現したmRNAの種類を解析出来る(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
このような発光波長の異なる蛍光物質を測定する方法として、複数のバンドパスフィルタを用いて測定を行う蛍光顕微鏡装置がある(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
図11に、上記従来の蛍光顕微鏡装置を用いて観察された輝度スペクトル分布を用いてデコードし、mRNAを特定する従来のスペクトルデコード装置を示す。
【0007】
図11において従来のスペクトルデコード装置は、リファレンススペクトルデータ記憶手段1101と、デコード手段1116と、スペクトル取得手段1117で構成され、スペクトル取得手段1117は詳しくは、システムコントローラ1102と、ウェルプレート駆動手段1104と、フォーカス手段1106と、バンドパスフィルタ1109a〜バンドパスフィルタ1109hと、回転フィルタ1110と、回転フィルタ駆動手段1111と、ウェルプレート1103と、対物レンズ1105と、ダイクロイックミラー1114と、励起光源1107と、励起光源制御手段1108と、CCDカメラ1112と、CCDカメラ制御手段1113と、画像処理手段1115とで構成される。
【0008】
リファレンススペクトルデータ記憶手段1101は輝度スペクトル分布の違いにより判別可能であるように予め用意された物質(以下、物質群と称す)から任意に選択された複数の物質に夫々固有の輝度スペクトル分布(以下、リファレンススペクトルデータと称す)とリファレンススペクトルデータに対応するコードを予め記憶しておく。ここでは、物質群とは判別可能であるように予め用意されたビーズのことを言い、以下においてはビーズ群と称す。また、複数の物質とはビーズ群から任意に選択されたビーズであり、このビーズに対応するリファレンススペクトルデータとコードをリファレンススペクトルデータ記憶手段1101は予め記憶しておく。
【0009】
輝度スペクトル分布は、コードによって一意的に決定される。図12はリファレンススペクトルの一例を示したものである。図12にはコードA〜コードDの4種類のビーズのリファレンススペクトルを示している。各バンドパスフィルタを透過した波長を測定した場合の輝度値を各バンドパスフィルタ毎にプロットし直線で結んだものであり、これを各コードのリファレンススペクトルデータと呼ぶ。○はコードA、△はコードB、□はコードC、●はコードDのリファレンススペクトルデータである。
【0010】
システムコントローラ1102は、複数の物質の内全てもしくは一部を抽出した複数の物質(以下、複数の被検体と称す)が注入された観察対象をCCDカメラ1112の撮影範囲内に配置するように、ウェルプレート1103をX軸とY軸方向に移動させるウェルプレート駆動手段1104の制御を行う。ここで複数の被検体は、観察対象内のビーズであり複数の物質の中から任意に選択される。更にシステムコントローラ1102は、対物レンズ1105を移動し観察対象に注入されたビーズにフォーカスを合わせるフォーカス手段1106と、ビーズを励起する励起光源1107の光量を制御する励起光源制御手段1108と、それぞれ異なった透過帯域波長を有する複数枚のバンドパスフィルタ1109a〜バンドパスフィルタ1109hを配置した回転フィルタ1110を制御し任意のバンドパスフィルタを観察対象とCCDカメラ1112の光路上に配置する回転フィルタ駆動手段1111の制御を行い、CCDカメラ1112の撮影を制御するCCDカメラ制御手段1113の制御を行う。
【0011】
ダイクロイックミラー1114は、励起光源1107からの励起光を観察対象方向へ反射し、励起光によるビーズからの発光を透過する。
【0012】
画像処理手段1115は、観察対象の各ビーズに対してバンドパスフィルタ1109a〜バンドパスフィルタ1109hを1枚ずつ通して撮影した画像に写るビーズの輝度値を使用したバンドパスフィルタごとに求める。このようにして求めた各ビーズの輝度スペクトル分布を測定スペクトルデータとしてデコード手段1116に送る。
【0013】
デコード手段1116はデコードすることで特定されたmRNAの情報を外部装置に出力する。
【0014】
次に、デコード手段1116において行われるコードの特定について図13を用いて説明する。例えば、画像処理手段1115で求めたあるビーズの測定スペクトルデータが図13に示す場合には、図12に示すコードCのリファレンススペクトルデータと同じ分布であるため、当該ビーズがコードCであることが分かる。
【0015】
この時、バンドパスフィルタはビーズ群を判別可能な数が用意され、ここでは、約200種類のコードを判別するために8枚のバンドパスフィルタ1109a〜バンドパスフィルタ1109h(以下、全バンドパスフィルタと称す)が用意されており、常時全バンドパスフィルタが使用されている。
【特許文献1】特表2002−544488号公報
【特許文献2】特表2004−500109号公報
【特許文献3】特開平10−309281号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、前記従来の構成では、観察対象内のコードの種類が少ない場合でも、デコードには全バンドパスフィルタを透過した画像が必要であった。従って,バンドパスフィルタの枚数だけ画像を撮影するために時間がかかるという課題を有していた。
【0017】
本発明は、前記課題を解決するもので、デコードの精度を落とすことなく撮影に使用するバンドパスフィルタの枚数を減らすことで撮影回数を削減し、測定速度を高速化できるスペクトルデコード装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記従来の課題を解決するために、本発明のスペクトルデコード装置は、互いに異なる輝度スペクトル分布を有する物質に対して、透過帯域の異なる複数のバンドパスフィルタを用いて前記輝度スペクトル分布を測定し、前記物質の種類を判別するスペクトルデコード装置であって、輝度スペクトル分布の違いにより判別可能であるように予め用意された前記物質(以下、物質群と称す)から任意に選択された複数の物質に夫々固有の輝度スペクトル分布(以下、リファレンススペクトルデータと称す)と前記リファレンススペクトルデータに対応するコードを予め記憶しておくリファレンススペクトルデータ記憶手段と、前記リファレンススペクトルデータ記憶手段からリファレンススペクトルデータを取り出し、前記物質群を判別するために必要な枚数が用意された前記複数のバンドパスフィルタ(以下、全バンドパスフィルタと称す)から、前記複数の物質を判別するために最小限必要なバンドパスフィルタ(以下、第一バンドパスフィルタ群と称す)を選択するバンドパスフィルタ選択手段と、前記複数の物質の内、全てもしくは一部を抽出した複数の物質(以下、複数の被検体と称す)の輝度スペクトル分布を前記第一バンドパスフィルタ群を用いて取得するスペクトル取得手段と、前記スペクトル取得手段が取得した輝度スペクトル分布を前記リファレンススペクトルデータと比較して前記複数の被検体を判別するデコード手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0019】
さらにスペクトルデコード装置において、互いに異なる輝度スペクトル分布を有する物質に対して、透過帯域の異なる複数のバンドパスフィルタを用いて前記輝度スペクトル分布を測定し、前記物質の種類を判別するスペクトルデコード装置であって、輝度スペクトル分布の違いにより判別可能であるように予め用意された前記物質(以下、物質群と称す)から任意に選択された複数の物質に夫々固有の輝度スペクトル分布(以下、リファレンススペクトルデータと称す)と前記リファレンススペクトルデータに対応するコードを予め記憶しておくリファレンススペクトルデータ記憶手段と、前記複数の物質の内、全てもしくは一部を抽出した複数の物質(以下、複数の被検体と称す)に対応する複数のコード(以下、コード群と称す)を予め記憶しておく被検体情報記憶手段と、前記被検体情報記憶手段に記憶された前記コード群に基づいて前記複数の被検体に対応する前記リファレンススペクトルデータを前記リファレンススペクトルデータ記憶手段から取り出し、前記物質群を判別するために必要な枚数が用意された前記複数のバンドパスフィルタ(以下、全バンドパスフィルタと称す)から、前記複数の被検体を判別するために最小限必要なバンドパスフィルタ(以下、第二バンドパスフィルタ群と称す)を選択するバンドパスフィルタ選択手段と、前記第二バンドパスフィルタ群を用いて前記複数の被検体の輝度スペクトル分布を取得するスペクトル取得手段と、前記スペクトル取得手段が取得した輝度スペクトル分布を前記リファレンススペクトルデータと比較して前記複数の被検体を判別するデコード手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
さらにスペクトルデコード装置において、互いに異なる輝度スペクトル分布を有する物質に対して、透過帯域の異なる複数のバンドパスフィルタを用いて前記輝度スペクトル分布を測定し、前記物質の種類を判別するスペクトルデコード装置であって、輝度スペクトル分布の違いにより判別可能であるように予め用意された前記物質(以下、物質群と称す)から任意に選択された複数の物質に夫々固有の輝度スペクトル分布(以下、リファレンススペクトルデータと称す)と前記リファレンススペクトルデータに対応するコードを予め記憶しておくリファレンススペクトルデータ記憶手段と、前記複数の物質の内、全てもしくは一部を抽出した複数の物質(以下、複数の被検体と称す)に対応する複数のコード(以下、コード群と称す)を予め記憶しておく被検体情報記憶手段と、前記被検体情報記憶手段に記憶された前記コード群に基づいて前記複数の被検体に対応する前記リファレンススペクトルデータを前記リファレンススペクトルデータ記憶手段から取り出し、前記物質群を判別するために必要な枚数が用意された前記複数のバンドパスフィルタ(以下、全バンドパスフィルタと称す)から、前記複数の被検体を判別するために最小限必要なバンドパスフィルタ(以下、第二バンドパスフィルタ群と称す)を選択するバンドパスフィルタ選択手段と、前記複数の被検体が注入された観察対象の内、判別済みの前記観察対象の前記複数の被検体の前記コード群と,該コード群を判別するための前記第二バンドパスフィルタ群(以下、判別済第二バンドパスフィルタ群と称す)を記憶する判別済被検体情報記憶手段と、前記被検体情報記憶手段が出力する前記コード群に基づいて、前記バンドパスフィルタ選択手段が出力する前記第二バンドパスフィルタ群あるいは前記判別済被検体情報記憶手段が出力する前記判別済第二バンドパスフィルタ群のいずれかを選択し第三バンドパスフィルタ群として出力するセレクタと、前記第三バンドパスフィルタ群を用いて前記複数の被検体の輝度スペクトル分布を取得するスペクトル取得手段と、前記スペクトル取得手段が取得した輝度スペクトル分布を前記リファレンススペクトルデータと比較して前記複数の被検体を判別するデコード手段と、を備え、前記セレクタは、前記被検体情報記憶手段が出力するコード群と前記判別済被検体情報記憶手段に記憶されたコード群が一致する場合には前記判別済第二バンドパスフィルタ群を前記第三バンドパスフィルタ群とし、前記被検体情報記憶手段が出力するコード群と前記判別済被検体情報記憶手段に記憶されたコード群が一致しない場合には、前記バンドパスフィルタ選択手段に前記第二バンドパスフィルタ群を選択させることを指示し、前記第二バンドパスフィルタ群を前記第三バンドパスフィルタ群とする、ことを特徴とするスペクトルデコード装置。
【0021】
さらにスペクトルデコード装置において、互いに異なる輝度スペクトル分布を有する物質に対して、透過帯域の異なる複数のバンドパスフィルタを用いて前記輝度スペクトル分布を測定し、前記物質の種類を判別するスペクトルデコード装置であって、輝度スペクトル分布の違いにより判別可能であるように予め用意された前記物質(以下、物質群と称す)から任意に選択された複数の物質に夫々固有の輝度スペクトル分布(以下、リファレンススペクトルデータと称す)と前記リファレンススペクトルデータに対応するコードを予め記憶しておくリファレンススペクトルデータ記憶手段と、前記リファレンススペクトルデータ記憶手段から、前記リファレンススペクトルデータを取り出し、前記物質群を判別するために必要な枚数が用意された前記複数のバンドパスフィルタ(以下、全バンドパスフィルタと称す)から、前記複数の物質の内、全てもしくは一部を抽出した複数の物質(以下、複数の被検体と称す)を判別するために最小限必要なバンドパスフィルタ(以下、第四バンドパスフィルタ群と称す)を選択するバンドパスフィルタ選択手段と、前記第四バンドパスフィルタ群を用いて前記複数の被検体の輝度スペクトル分布を取得するスペクトル取得手段と、前記スペクトル取得手段が取得した輝度スペクトル分布を前記リファレンススペクトルデータと比較して前記複数の被検体を判別し、該複数の被検体のコード群を前記バンドパスフィルタ選択手段に出力するデコード手段と、を備え、前記バンドパスフィルタ選択手段は前記複数の被検体が注入された観察対象が複数存在する場合において、複数の前記観察対象の内最初の観察対象内の前記複数の被検体の輝度スペクトル分布を取得する際には前記全バンドパスフィルタを前記第四バンドパスフィルタ群として前記スペクトル取得手段に出力し、2つ目以降の観察対象内の前記複数の被検体の輝度スペクトル分布を取得する際には前記デコード手段が出力する前記コード群に基づいて前記第四バンドパスフィルタ群を選択し前記スペクトル取得手段に出力する、ことを特徴とするものである。
【0022】
さらにスペクトルデコード装置において、複数の前記観察対象内の前記複数の被検体は全て同じ種類のコード群が含まれていることを特徴とするものである。
【0023】
さらにスペクトルデコード装置において、前記バンドパスフィルタ選択手段は、入力されたコード(以下、入力コード群と称す)の前記複数の物質または前記複数の被検体(以下、入力物質と称す)を判別可能で、かつ最少枚数のバンドパスフィルタで構成される1つまたは複数のバンドパスフィルタ群候補を選択する最少バンドパスフィルタ選択手段と、1つまたは複数の前記バンドパスフィルタ群候補を記憶する最少バンドパスフィルタ記憶手段と、1つまたは複数の前記バンドパスフィルタ群候補から最適なバンドパスフィルタ群を選択し、前記第一バンドパスフィルタ群または前記第二バンドパスフィルタ群または前記第三バンドパスフィルタ群または前記第四バンドパスフィルタ群を出力する信頼バンドパスフィルタ選択手段とを備えることを特徴とするものである。
【0024】
さらにスペクトルデコード装置において、前記最少バンドパスフィルタ選択手段は、前記全バンドパスフィルタから選択し得る全てのバンドパスフィルタ群を、1組ずつ順次出力するバンドパスフィルタ組み合わせ選択手段と、前記バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段が出力するバンドパスフィルタ群を用いて前記入力物質を判別可能であるかどうかを判定するデコード可否判定手段と、前記デコード可否判定手段で前記入力物質を判別可能であると判定されたバンドパスフィルタ群を記憶するデコード可能バンドパスフィルタ記憶手段と、前記デコード可能バンドパスフィルタ記憶手段に記憶されているバンドパスフィルタ群の中から、前記バンドパスフィルタ群候補を選択する最少枚数選択手段とを備えることを特徴とするものである。
【0025】
さらにスペクトルデコード装置において、前記最少バンドパスフィルタ選択手段は、前記バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段が選択するバンドパスフィルタ群のバンドパスフィルタ枚数を決定する枚数決定手段と、前記枚数決定手段が選択する前記バンドパスフィルタ枚数の初期値を決定する初期枚数決定手段とをさらに備え、前記枚数決定手段は、前記バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段が前記全バンドパスフィルタのうち前記枚数決定手段から与えられるバンドパスフィルタ枚数で選択し得る全てのバンドパスフィルタ群を順次前記デコード可否判定手段に出力し、前記デコード可否判定手段が、前記バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段が出力する全てのバンドパスフィルタ群の判別の可否を判定した後に前記デコード可能バンドパスフィルタ記憶手段を参照し、前記デコード可能バンドパスフィルタ記憶手段に少なくとも1つのバンドパスフィルタ群が存在すれば前記バンドパスフィルタ枚数より1枚少ないバンドパスフィルタ枚数を出力し、存在しなければ前記バンドパスフィルタ枚数より1枚多いバンドパスフィルタ枚数を出力することを特徴とするものである。
【0026】
さらにスペクトルデコード装置において、前記最少バンドパスフィルタ選択手段は、過去の前記入力コード群のコード数と前記信頼バンドパスフィルタ選択手段が選択したバンドパスフィルタ群のバンドパスフィルタ枚数と該コード数毎に該バンドパスフィルタ枚数の頻度を記憶する過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段をさらに備え、前記初期枚数決定手段は、前記入力コード群のコード数が前記過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段に記憶されているコード数と同じ場合には、該コード数に対応する最も頻度の高いバンドパスフィルタ枚数を前記初期枚数決定手段に出力することを特徴とするものである。
【0027】
さらにスペクトルデコード装置において、前記過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段が、過去の前記入力コード群のコード数に対するバンドパスフィルタ枚数を記憶しておく数を制限することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明のスペクトルデコード装置によれば、コード化した1つまたは複数の物質をデコードするために最小限必要なバンドパスフィルタを導出し、そのバンドパスフィルタで測定を行うことにより撮影回数を減らすことができるため、デコードの精度を落とすことなく測定時間を高速化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明のスペクトルデコード装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
以下に、本発明の請求項1及び請求項6及び請求項7に記載された発明の実施の形態について、図1から図3及び図11及び表1を用いて説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施例1におけるスペクトルデコード装置のブロック図を示すものである。図1において、本発明のスペクトルデコード装置はバンドパスフィルタ選択手段101と、リファレンススペクトルデータ記憶手段1101と、デコード手段1116と、スペクトル取得手段1117で構成され、スペクトル取得手段1117は、詳しくは、システムコントローラ1102と、画像処理手段1115と、ウェルプレート1103と、ウェルプレート駆動手段1104と、フォーカス手段1106と、バンドパスフィルタ1109a〜バンドパスフィルタ1109hと、回転フィルタ1110と、回転フィルタ駆動手段1111と、対物レンズ1105と、ダイクロイックミラー1114と、励起光源1107と、励起光源制御手段1108と、CCDカメラ1112と、CCDカメラ制御手段1113と、で構成される。
【0032】
なお、リファレンススペクトルデータ記憶手段1101と、システムコントローラ1102と、ウェルプレート1103と、ウェルプレート駆動手段1104と、フォーカス手段1106と、回転フィルタ駆動手段1111と、対物レンズ1105と、ダイクロイックミラー1114と、励起光源1107と、励起光源制御手段1108と、CCDカメラ1112と、CCDカメラ制御手段1113と、画像処理手段1115と、デコード手段1116は従来の構成と同じであるので、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0033】
回転フィルタ1110の形状はホイール型であり、円周上にバンドパスフィルタ1109a〜1109hを備えている。バンドパスフィルタは8種類準備されており、バンドパスフィルタ1109aからバンドパスフィルタ1109hまでは各々が特定の波長帯域の光を透過させるバンドパスフィルタである。バンドパスフィルタ1109aから順番に透過する光の波長帯域が短くなり、バンドパスフィルタ1109hはフィルタの中で最も短波長帯域を透過させるバンドパスフィルタである。これら8種類のバンドパスフィルタは、ビーズ群をデコードするために必要な枚数が用意されている。
【0034】
バンドパスフィルタ選択手段101は、リファレンススペクトルデータ記憶手段1101に記憶されているコードとリファレンススペクトルデータからこれらをデコードするために必要最少のバンドパスフィルタ群(以下、第一バンドパスフィルタ群と称す)を選択する。ここで、複数のバンドパスフィルタの組み合わせをバンドパスフィルタ群と呼び、バンドパスフィルタ群は例えばバンドパスフィルタ1109d、バンドパスフィルタ1109e、バンドパスフィルタ1109fで構成される。
【0035】
図2は、図1におけるバンドパスフィルタ選択手段101を詳細に示すブロック図である。図2において、最少バンドパスフィルタ選択手段200はリファレンススペクトルデータ記憶手段1101に記憶しているコードをデコード可能でかつ最少枚数のバンドパスフィルタで構成される1つまたは複数のバンドパスフィルタ群を選択する。
【0036】
さらに最少バンドパスフィルタ選択手段200は、バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段201とデコード可否判定手段202とデコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203と最少枚数選択手段204で構成される。
【0037】
今、リファレンススペクトルデータ記憶手段1101は図12のようにコードA〜Dのリファレンススペクトルデータを記憶しているとする。バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段201は、8種類の全バンドパスフィルタから全ての組み合わせのバンドパスフィルタ群を選択し、随時デコード可否判定手段202に選択したバンドパスフィルタ群の情報を送る。例えばバンドパスフィルタ1109d、バンドパスフィルタ1109e、バンドパスフィルタ1109fで構成されるバンドパスフィルタ群を選択する。
【0038】
デコード可否判定手段202は、バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段201で選択したバンドパスフィルタ群を用いてリファレンススペクトルデータ記憶手段1101に記憶されたコードをデコード可能であるかを判定する。
【0039】
詳しくは、図3を用いて説明する。図3はコードA及びコードBのリファレンススペクトルデータを示した図であり、輝度範囲1201は、リファレンススペクトルデータの輝度値を中心とした任意に設定可能な所定の幅を定めたものである。
【0040】
まず、リファレンススペクトルデータ記憶手段1101に記憶されたある2つのコード、例えば、コードAおよびコードBのリファレンススペクトルデータを抜き出す。
【0041】
次に、コードA及びコードBのリファレンススペクトルデータにおいて、バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段201で選択したバンドパスフィルタ群、バンドパスフィルタ1109d、バンドパスフィルタ1109e及びバンドパスフィルタ1109fの内、少なくとも1つ以上のバンドパスフィルタにおける輝度値の輝度範囲1201が重なっていなければ、コードAおよびコードBはこのバンドパスフィルタ群でデコード可能であると判定する。図3の場合、バンドパスフィルタ1109eにおいてはコードAとコードBの輝度範囲1201が重なっているが、バンドパスフィルタ1109d及びバンドパスフィルタ1109fにおいてはコードAとコードBの輝度範囲1201が重なっていないため、コードAおよびコードBはこのバンドパスフィルタ群でデコード可能であると判定する。
【0042】
さらにデコード可否判定手段202は、コードAとコードBのみならずリファレンススペクトルデータ記憶手段1101に記憶した全てのコードについて互いに上述した判定を行い、全てのコードが互いにデコード可能であればバンドパスフィルタ組み合わせ選択手段201で選択したバンドパスフィルタ群はデコード可能なバンドパスフィルタ群であると判定する。
【0043】
ここで輝度範囲1201は、全バンドパスフィルタ、全てのコードにおいて一定値を用いても良いし、バンドパスフィルタごとに可変値でも良いし、コードごとに可変値でも良い。また、リファレンススペクトルデータを複数回または同じコードのビーズを複数個測定して取得し、そのバンドパスフィルタごとに輝度値の平均値より標準偏差を減じた値から輝度値の平均値に標準偏差を足した値までを輝度範囲1201としても良い。
【0044】
表1は、図12におけるバンドパスフィルタ1109d、バンドパスフィルタ1109e、バンドパスフィルタ1109fのデコードの可否判定を示した表である。
【0045】
【表1】

【0046】
表1のようにバンドパスフィルタ1109d、バンドパスフィルタ1109e、バンドパスフィルタ1109fからなるバンドパスフィルタ群はコードA〜Dにおいて互いにデコード可能と判定されているため、リファレンススペクトルデータ記憶手段1101に記憶したコードはデコード可能であると判定する。そして、デコード可否判定手段202は、デコード可能と判定したバンドパスフィルタ群をデコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203に記憶する。
【0047】
デコード可否判定手段202はバンドパスフィルタ組み合わせ選択手段201が随時選択するバンドパスフィルタ群を同様にデコード可能であるか判定する。図12においてはバンドパスフィルタの枚数が1枚のバンドパスフィルタ群はデコード不可能であるが、2枚以上のバンドパスフィルタ群にはデコード可能なバンドパスフィルタ群が存在する。そして、デコード可能なバンドパスフィルタ群の全てをデコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203に記憶する。
【0048】
最少枚数選択手段204は、デコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203に記憶した1つまたは複数のバンドパスフィルタ群の中から最少枚数のバンドパスフィルタ群を1つまたは複数選択し、最少バンドパスフィルタ記憶手段205に記憶する。図12の場合、デコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203が記憶しているバンドパスフィルタ群のなかで最少枚数は2枚である。そしてデコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203が記憶している2枚のバンドパスフィルタ群は、バンドパスフィルタ1109a及びバンドパスフィルタ1109bからなるバンドパスフィルタ群と、バンドパスフィルタ1109a及びバンドパスフィルタ1109cからなるバンドパスフィルタ群と、バンドパスフィルタ1109a及びバンドパスフィルタ1109dからなるバンドパスフィルタ群と、バンドパスフィルタ1109a及びバンドパスフィルタ1109eからなるバンドパスフィルタ群である。最少枚数選択手段204はこれらのバンドパスフィルタ群を最少バンドパスフィルタ記憶手段205に記憶する。
【0049】
信頼バンドパスフィルタ選択手段206は、まず最少バンドパスフィルタ記憶手段205で記憶した複数のバンドパスフィルタ群から1つのバンドパスフィルタ群を選択する。次にリファレンススペクトルデータ記憶手段1101に記憶された各コードのリファレンススペクトルデータから、バンドパスフィルタ群を構成するバンドパスフィルタにおける輝度データを抜き出す。
【0050】
その輝度データを各バンドパスフィルタにおいて比較し、その各コードの輝度範囲1201が重ならないとき、各コードの輝度範囲1201と輝度範囲1201の間隔である輝度範囲間隔1202を算出し、輝度範囲間隔1202の最小値をそのバンドパスフィルタ群の最小輝度範囲間隔とする。そして、この最小輝度範囲間隔が最も大きいバンドパスフィルタ群を選択する。図12の輝度範囲間隔1202の横に記載されている数字は、図12における各輝度範囲間隔の値である。図12によると、最小輝度範囲間隔が最も大きいバンドパスフィルタ群はバンドパスフィルタ1109a及びバンドパスフィルタ1109dからなるバンドパスフィルタ群である。
【0051】
この様にしてバンドパスフィルタ選択手段101はリファレンススペクトルデータ記憶手段1101が記憶している複数のコードを判別可能な最少のバンドパスフィルタ群を1つ選択し、第一バンドパスフィルタ群としてシステムコントローラ1102に出力する。
【0052】
デコード手段1116は、画像処理手段1115で作成する測定スペクトルデータとリファレンススペクトルデータ記憶手段1101に記憶したリファレンススペクトルデータからまずある1つのコードのリファレンススペクトルデータを抜き出す。次に、抜き出したリファレンススペクトルデータと測定スペクトルデータからバンドパスフィルタ選択手段101で選択した第一バンドパスフィルタ群のある1つのバンドパスフィルタにおける輝度データを取り出し、測定スペクトルデータの輝度データがリファレンススペクトルデータの輝度データの輝度範囲1201以内であるかを判定する。この判定を第一バンドパスフィルタ群の他のバンドパスフィルタについても行う。その全ての判定結果において輝度範囲1201以内であれば、このリファレンススペクトルデータと測定スペクトルデータは一致したと判定する。もし、抜き出したリファレンススペクトルデータと測定スペクトルデータが一致しなければ、一致するまで他のコードのリファレンススペクトルデータを順次取り出して同様に判定する。
【0053】
以上のように構成されたスペクトルデコード装置の動作について詳細に説明する。
【0054】
リファレンススペクトルデータ記憶手段1101は、ビーズ群からユーザーにより任意に選択されたビーズのコードとそのリファレンススペクトルデータを記憶しておく。観察対象に注入されたビーズのコード(以下、コード群と称す)は、このリファレンススペクトルデータ記憶手段1101が記憶したコードの中からユーザーによって選択される。
【0055】
この時、バンドパスフィルタ選択手段101は上述した方法により、最少枚数の第一バンドパスフィルタ群を選択する。ここでは、バンドパスフィルタ1109a及びバンドパスフィルタ1109dからなるバンドパスフィルタ群が第一バンドパスフィルタ群として選択されたとする。
【0056】
次に、システムコントローラ1102は、ウェルプレート駆動手段1104を用いてウェルプレート1103に固定された観察対象がCCDカメラ1112の撮影範囲に入るようにウェルプレート1103をX軸またはY軸方向に移動させ、フォーカス手段1106を用いて観察対象内のビーズにフォーカスが合うように対物レンズ1105を移動させる。さらにシステムコントローラ1102は、回転フィルタ駆動手段1111を用いてバンドパスフィルタ選択手段101で選択した第一バンドパスフィルタ群の1番目のバンドパスフィルタ、ここでは例えばバンドパスフィルタ1109aを撮影範囲に移動する。
【0057】
次にシステムコントローラ1102は、励起光源制御手段1108を用いて励起光源1107の励起光を制御し、励起光を出力させる。励起光はダイクロイックミラー1114によって観察対象方向へ反射され、対物レンズ1105によって観察対象に集光される。 励起光を照射されることによって観察対象内のビーズが発光し、その発光は、ダイクロイックミラー1114を透過し、バンドパスフィルタ1109aによって特定の波長帯域の光のみ透過し、CCDカメラ1112に入射する。システムコントローラ1102は、CCDカメラ制御手段1113を用いてCCDカメラ1112の露光を制御し、入射してくる観察対象内のビーズの発光を撮影し、撮影した画像を画像処理手段1115に送る。
【0058】
1枚目の撮影が終ると、システムコントローラ1102は、回転フィルタ駆動手段1111を用いてバンドパスフィルタ選択手段101で選択した第一バンドパスフィルタ群の2番目のバンドパスフィルタ1109dに切り替えて1枚目の画像と同様に撮影する。
【0059】
このようにして、第一バンドパスフィルタ群の全てのバンドパスフィルタにおける撮影が終わると、画像処理手段1115は、CCDカメラ制御手段1113から送られてきた複数の画像より画像に写る全てのビーズをパターンマッチング等の技術で検出し、画像内にあるビーズそれぞれについて輝度データを算出し、測定スペクトルを算出する。
【0060】
次にデコード手段1116は、画像のビーズの測定スペクトルデータとリファレンススペクトルデータ記憶手段1101に記憶したリファレンススペクトルデータからまず1つのコードのリファレンスデータ、例えばコードAのリファレンスデータを抜き出す。次に、測定スペクトルデータとリファレンススペクトルデータからまずバンドパスフィルタ1109aにおける輝度値を取り出し、測定スペクトルデータの輝度値がリファレンススペクトルの輝度値の輝度範囲1201以内であるかを判定する。この判定を第一バンドパスフィルタ群の他のバンドパスフィルタについても行う。その全ての判定結果において輝度範囲1201以内であれば、このリファレンススペクトルデータと測定スペクトルデータは一致したと判定し、このビーズのコードを特定する。もし、抜き出したリファレンススペクトルデータと測定スペクトルデータが一致しなければ、一致するまで他のリファレンススペクトルデータ、コードB〜Dのリファレンススペクトルデータを順次取り出して同様に判定する。
【0061】
以上のようなバンドパスフィルタ選択手段101がリファレンススペクトルデータ記憶手段1101に予め記憶されているコードをデコード可能な必要最少の第一バンドパスフィルタ群を選択する動作は、リファレンススペクトルデータ記憶手段1101に記憶されているコードに増減が生じた場合にのみ行えばよく、増減が生じるまでは最も新しく選択されたバンドパスフィルタ群を用いて観察対象のデコードを行う。
【0062】
以上のように本実施例1においては、バンドパスフィルタ選択手段101がリファレンススペクトルデータ記憶手段1101に予め記憶されているコードをデコード可能な必要最少の第一バンドパスフィルタ群を選択し、この選択された第一バンドパスフィルタ群を用いて観察対象内のビーズのデコードを行うことにより撮影回数を減らすことができるため、測定時間を短縮することができる。
【実施例2】
【0063】
以下に、本発明の請求項2及び請求項8及び請求項9及び請求項10に記載された発明の実施の形態について、図4から図7を用いて説明する。
【0064】
図4は、本発明の実施例2におけるスペクトルデコード装置のブロック図である。
【0065】
実施例1の構成と異なるところは被検体情報記憶手段401を設け、バンドパスフィルタ選択手段402は被検体情報記憶手段401とリファレンススペクトルデータ記憶手段1101の情報からバンドパスフィルタ群の選択を行う点である。
【0066】
図5はウェルプレート1103を詳細に示した図である。図5において、ウェル501は、ウェルプレート1103上に格子状に並べられた穴であり、ここでは観察対象とはウェル501のことを言う。ウェル501にはそれぞれ番号が割り振られており、例えば、ウェルプレート1103にはX方向24個、Y方向16個、計384個のウェル501があり、X方向には1から24まで番号が振られており、Y方向にはAからPまで番号が振られているとすると、ウェル番号はX方向とY方向の番号を用いてA1からP24で示される。
【0067】
図4において、被検体情報記憶手段401はユーザーによって入力された最低1つ先のこれから測定するウェル内のコード群を記憶する。
【0068】
バンドパスフィルタ選択手段402は、被検体情報記憶手段401が記憶したコード群とそのコード群に対応するリファレンススペクトルデータから、被検体情報記憶手段401が記憶したコード群のビーズをデコード可能なバンドパスフィルタ群(以下、第二バンドパスフィルタ群と称す)を選択する。
【0069】
次に、動作について説明する。
ここで、今からウェルB1、ウェルD8、ウェルE12を測定することとして、被検体情報記憶手段401はユーザーによって入力されたウェルB1、ウェルD8、ウェルE12のコード群を記憶しておく。
【0070】
バンドパスフィルタ選択手段402は、被検体情報記憶手段401の次の測定で使用されるウェルB1のコード群のリファレンススペクトルデータをリファレンススペクトル記憶手段1101から抜き出し、以降は実施例1と同様にウェルB1のコード群のビーズをデコード可能なバンドパスフィルタ群を選択し、第二バンドパスフィルタ群としてシステムコントローラ1102に出力する。
【0071】
その後も実施例1と同様にスペクトル取得手段1117がウェルB1の測定スペクトルデータを取得し、デコード手段1116がデコードを行う。
【0072】
ウェルB1の測定が終ると同様にウェルD8、ウェルE12についてもそれぞれのウェルのコード群をデコード可能な最少の第二バンドパスフィルタ群をバンドパスフィルタ選択手段402が選択し、測定を行う。
【0073】
以上のように本実施例においては、被検体情報記憶手段401がこれから測定するウェル内のコード群を記憶することで、各ウェル501内のコード群に応じてバンドパスフィルタを選択でき、測定に用いるバンドパスフィルタを削減できることが多くなるため、測定時間を短縮できる。
【0074】
また、本実施例2ではバンドパスフィルタ選択手段402を、図6に示すようなブロック図にしても良い。
【0075】
図6において、最少バンドパスフィルタ選択手段600は初期枚数決定手段603と枚数決定手段602とバンドパスフィルタ組み合わせ選択手段601とデコード可否判定手段202とデコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203と最少枚数選択手段204で構成されており、初期枚数決定手段603は、枚数決定手段602が選択する最初のバンドパスフィルタ枚数を決定する。
【0076】
枚数決定手段602は、バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段601で選択するバンドパスフィルタ群の枚数を決定する手段であり、最初に決定する枚数は初期枚数決定手段603で決定したバンドパスフィルタ枚数である。
【0077】
バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段601は、8枚のバンドパスフィルタから枚数決定手段602で決定したバンドパスフィルタ枚数分のバンドパスフィルタを選択する。
【0078】
なお、デコード可否判定手段202、デコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203、最少枚数選択手段204、最少バンドパスフィルタ記憶手段205、信頼バンドパスフィルタ選択手段206は実施例1の構成と同じであるので、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0079】
次に、動作について説明する。
初期枚数決定手段603は、枚数決定手段602が選択する最初のバンドパスフィルタ枚数、例えば4枚を決定する。枚数決定手段602は、1回目の決定では初期枚数決定手段603で決定したバンドパスフィルタ枚数の4枚を決定する。バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段601は8枚のバンドパスフィルタから任意の4枚のバンドパスフィルタ群を選択する。デコード可否判定手段202は、バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段601で選択したバンドパスフィルタ群でコード群をデコード可能であるかを判定し、デコード可能であればデコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203に記憶する。以降バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段601は、4枚のバンドパスフィルタからなる全てのバンドパスフィルタ群を順次選択し、同様の処理を行う。バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段601が4枚のバンドパスフィルタからなる全てのバンドパスフィルタ群を順次選択し終えると、枚数決定手段602は、2回目の決定に入る。
【0080】
まず、枚数決定手段602は、デコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203にバンドパスフィルタ群が記憶されているかを確認する。バンドパスフィルタ群が記憶されていれば前回決定した枚数から1枚を引いた枚数を決定し、記憶されていなければ前回決定した枚数に1枚足した枚数を決定する。
【0081】
以降の動作は、枚数決定手段602が2回目に決定した枚数が、前回決定した枚数から1枚を引いた枚数であるか前回決定した枚数に1枚を足した枚数であるかによって異なる。
【0082】
まず、枚数決定手段602が2回目に決定した枚数が前回決定した枚数から1枚を引いた枚数である場合は、2回目に決定した枚数について1回目と同様にバンドパスフィルタ組み合わせ選択手段601およびデコード可否判定手段202を用いてデコード可能なバンドパスフィルタ群を判定し、デコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203に1回目の記憶情報に追加記憶する。枚数決定手段602は、3回目の枚数決定に入るがデコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203に前回決定した枚数のバンドパスフィルタ群があれば前回決定した枚数から1枚を引いた枚数を決定し再び2回目と同様に行い、なければ枚数決定を終了する。デコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203に前回決定した枚数のバンドパスフィルタ群がなく枚数決定手段602を終了すると、最少枚数選択手段204は、デコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203から最少枚数のバンドパスフィルタ群を選択する。
【0083】
次に、枚数決定手段602が2回目に決定した枚数が前回決定した枚数から1枚を足した枚数である場合は、枚数決定手段602はデコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203にバンドパスフィルタ群があることを確認するまで、前回決定した枚数から1枚を足した枚数を決定し、バンドパスフィルタ群があることを確認すれば枚数決定手段602を終了する。
【0084】
枚数決定手段602を終了すると、その後は実施例1と同様に最少枚数選択手段204は、デコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203から最少枚数のバンドパスフィルタ群を選択し、最少バンドパスフィルタ記憶手段205に記憶する。信頼バンドパスフィルタ選択手段206は、最少バンドパスフィルタ記憶手段205に記憶したバンドパスフィルタ群から最小輝度範囲間隔が最も大きいバンドパスフィルタ群を選択する。
【0085】
以上のように、枚数決定手段602がバンドパスフィルタ組み合わせ選択手段601の選択するバンドパスフィルタ群のバンドパスフィルタ枚数を前回のバンドパスフィルタ枚数におけるデコード可否判定手段202判定結果を用いて決定し、バンドパスフィルタ選択手段402で選択するバンドパスフィルタ群を決定する事により、デコード可能であるかどうかを判定するバンドパスフィルタ群を減らすことができるので、バンドパスフィルタ選択手段502の処理を高速に行うことができる。
【0086】
また、本実施例2のバンドパスフィルタ選択手段402は、図7に示すようなブロック図にしても良い。
【0087】
図7に示すブロック図が図6に示すブロック図と異なるところは、過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702を設けた点である。図7において最少バンドパスフィルタ選択手段700は、過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702と初期枚数決定手段701と枚数決定手段602とバンドパスフィルタ組み合わせ選択手段601とデコード可否判定手段202とデコード可能バンドパスフィルタ記憶手段203と最少枚数選択手段204で構成されており、過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702は、被検体情報記憶手段401が記憶している次に測定するウェルのコード群のコード数とそのコード群において過去に選択したバンドパスフィルタ群のバンドパスフィルタ枚数を記憶する。
【0088】
次に、図7のブロック図における動作について説明する。
まず、初期枚数決定手段701は、バンドパスフィルタ枚数記憶手段702から被検体情報記憶手段401に記憶した次に測定するウェルのコード群のコード数に対するバンドパスフィルタ枚数のなかで最も多く選択されたバンドパスフィルタ枚数を初期バンドパスフィルタ枚数として決定する。
【0089】
以降、信頼バンドパスフィルタ選択手段703がバンドパスフィルタ群を選択するまでの動作は、図6における動作と同様である。
【0090】
信頼バンドパスフィルタ選択手段703は選択したバンドパスフィルタ群をシステムコントローラ1102へ送ると同時に過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702へも送り、過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702は、送られてきたバンドパスフィルタ群のバンドパスフィルタ枚数と次に測定するウェルのコード群のコード数を記憶する。
【0091】
以上のように、コード数に対する過去に最も多く選択したバンドパスフィルタ枚数を初期枚数決定手段701で決定することにより、コード数に応じて最も選択する確率の高いバンドパスフィルタ枚数から判定を行うので、バンドパスフィルタ選択手段402の処理をユーザーのコードの使用状況に合わせてより高速に行うことができる。
【0092】
また、図7において過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702がコード数に対する過去のバンドパスフィルタ枚数を記憶する数を制限することもできる。
【0093】
例えばコード数が8の2つコード群、コード群M及びコード群Nがあり、これらのコード群に対してバンドパスフィルタ選択手段402が選択したバンドパスフィルタ群のバンドパスフィルタ枚数がそれぞれ、6枚及び3枚であったとする。また、今コード群Mのウェル30個を測定し終えたとする。
【0094】
この時、過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702がコード数に対する過去のバンドパスフィルタ枚数を記憶する数を制限しない場合は、過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702は、コード数が8においてバンドパスフィルタ枚数6枚の選択回数が30回であることを記憶している。次に、コード群Nのウェル1個を測定すると、過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702にはコード数が8において、バンドパスフィルタ枚数6枚の選択回数が30回であることバンドパスフィルタ枚数3枚の選択回数が1回であることを記憶される。このときコード数8において選択回数の最も多いバンドパスフィルタ枚数は6枚であるので、初期枚数決定手段701は、初期バンドパスフィルタ枚数を6枚とする。さらに、コード群Nのウェルの測定を行っていくとバンドパスフィルタ枚数3枚の選択回数が2回、3回と増加していく。さらにコード群Nの観察対象のウェルの測定を行っていき、バンドパスフィルタ枚数3枚の選択回数が31回になると、バンドパスフィルタ枚数6枚の選択回数が30回、バンドパスフィルタ枚数3枚の選択回数が31回となり、つまりコード数8において選択回数の最も多いバンドパスフィルタ枚数は3枚となる。したがって、初期枚数決定手段701は初期バンドパスフィルタ枚数を3枚とする。
【0095】
一方、過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702がコード数に対する過去のバンドパスフィルタ枚数を記憶する数を制限した場合について次に説明する。例えば過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702がコード数に対する過去のバンドパスフィルタ枚数を記憶する数を10個とし、過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702に各コード数に対応した10個のバンドパスフィルタ枚数を記憶することのできる先入れ先出し構造のメモリ(以下、FIFOメモリと称す)を用意する。図8に過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702のコード数8におけるFIFOメモリを示す。
【0096】
今、コード群Mのウェル30個を測定し終えたとすると、図8(a)のようにFIFOメモリにはバンドパスフィルタ枚数6枚が全てに入っている。次に、コード群Nのウェル1個を測定すると、コード数8におけるFIFOメモリは、図8(a)で記憶されているバンドパスフィルタ枚数が図8(b)のように出力側にシフトされ、バンドパスフィルタ枚数3枚が新たに入力される。なお、シフトによって出力されたバンドパスフィルタ枚数6枚の情報は削除される。このときコード数8においてFIFOメモリに記憶されている最も多いバンドパスフィルタ枚数は6枚であるので、初期枚数決定手段701は、初期バンドパスフィルタ枚数を6枚とする。さらに、コード群Nのウェルの測定を行っていくとFIFOメモリにはバンドパスフィルタ枚数3枚が新たに入力されるとともにバンドパスフィルタ枚数6枚が出力され削除されていく。さらにコード群Nのウェルの測定を行っていき、コード群Nのウェルの6回目の測定を行なうと、コード数8におけるFIFOメモリは図8(c)のように、図8(a)状態からバンドパスフィルタ枚数3枚が6個入力されバンドパスフィルタ枚数6枚が6個出力される。つまりコード数8におけるFIFOメモリに記憶されている最も多いバンドパスフィルタ枚数は3枚となる。したがって、初期枚数決定手段701は初期バンドパスフィルタ枚数を3枚とする。
【0097】
このように、過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702がコード数に対する過去のバンドパスフィルタ枚数を記憶する数を制限しない場合は、コード群Nのウェルの測定を行いはじめて31回目で初期枚数決定手段701の選択する初期バンドパスフィルタ枚数が6枚から3枚に変わったのに対して、過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702がコード数に対する過去のバンドパスフィルタ枚数を記憶する数を制限した場合は、コード群Nのウェルの測定を行いはじめて6回目で初期枚数決定手段701の選択する初期バンドパスフィルタ枚数が6枚から3枚に変わっており、ユーザーの使用状況によりすばやく対応することができる。
【0098】
以上のように過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段702がコード数に対する過去のバンドパスフィルタ枚数を記憶する数を制限することによりユーザーの使用状況の変化に追従し、バンドパスフィルタ選択手段402の処理をより高速に行うことができる。
【実施例3】
【0099】
以下に、本発明の請求項3に記載された発明の実施の形態について、図9を用いて説明する。
【0100】
図9は、本発明の実施例3のスペクトルデコード装置のブロック図である。
【0101】
実施例2の構成と異なるところは判別済被検体情報記憶手段902とセレクタ903を設けた点である。
【0102】
図9において、判別済被検体情報記憶手段902は、判別済みのウェルのコード群とそのコード群に基づいてバンドパスフィルタ選択手段402が選択した第二バンドパスフィルタ群を記憶していく。
【0103】
セレクタ903は、判別済被検体情報記憶手段902に記憶した判別済みのウェルのコード群と被検体情報記憶手段901に記憶した次に判別するウェルのコード群を比較し、両コード群が同じであれば、判別済被検体情報記憶手段902に記憶したコード群に対応したバンドパスフィルタ群を選択し、第三バンドパスフィルタ群としてシステムコントローラ1102に出力する。被検体情報記憶手段901に記憶した次に判別するウェルのコード群と判別済みのウェルのコード群が異なる場合、もしくは、判別済みのウェルのコード群が判別済被検体情報記憶手段902に記憶されていない場合、バンドパスフィルタ選択手段402に被検体情報記憶手段901の出力するコード群をデコード可能な第二バンドパスフィルタ群の選択を命令し、バンドパスフィルタ選択手段402が選択した第二バンドパスフィルタ群を第三バンドパスフィルタ群としてシステムコントローラ1102に出力するとともに、判別済被検体情報記憶手段902に被検体情報記憶手段901に記憶した次に判別するウェルのコード群と選択した第二バンドパスフィルタ群を記憶する。
【0104】
次に、本実施例3の動作について説明する。
まず、被検体情報記憶手段901は、ユーザーによって入力された最低1つ先のこれから測定するウェル内のコード群を記憶する。
【0105】
次にセレクタ903は、判別済被検体情報記憶手段902に記憶した判別済みのウェルのコード群と被検体情報記憶手段901に記憶した次に判別するウェルのコード群に基づき、バンドパスフィルタ選択手段402が出力する第二バンドパスフィルタ群あるいは判別済被検体情報記憶手段902が出力するバンドパスフィルタ群のいずれかを選択する。以降の動作は、実施例1と同様にスペクトル取得手段1117が測定スペクトルデータを取得し、デコード手段1116がデコードを行う。
【0106】
以上のように本実施例3においては判別済被検体情報記憶手段902に記憶した判別済みのウェルのコード群と被検体情報記憶手段901に記憶した次に判別するウェルのコード群を比較し、その結果で選択するバンドパスフィルタ群を決定することで、被検体情報記憶手段901に記憶した次に判別するウェルと判別済被検体情報記憶手段902のウェルが同じコード群であればバンドパスフィルタ選択手段402の処理を省くことができるため、高速に測定を行うことができる。
【実施例4】
【0107】
以下に、本発明の請求項4に記載された発明の実施の形態について、図10を用いて説明する。
【0108】
図10は、本発明の他の実施例4のスペクトルデコード装置のブロック図である。
【0109】
実施例1の構成と異なるところはデコード手段1002のデコード結果をバンドパスフィルタ選択手段1001に出力する点である。
【0110】
図10において、動作を説明する。
ウェルプレート1103上のウェル501に2つ以上連続して同じコード群が入っている場合、例えばウェルA1〜ウェルA5に同じコード群が入っており、この5つのウェルを続けて測定する場合には、まずバンドパスフィルタ選択手段1001は、1ウェル目のウェルA1を測定するとき8枚のバンドパスフィルタを用いたバンドパスフィルタ群を選択し、第四バンドパスフィルタ群としてスペクトル取得手段1117に出力する。以降、実施例1と同様にスペクトル取得手段1117はウェルA1の測定スペクトルを取得する。デコード手段1002はデコード測定スペクトルに基づきデコードを行い、このデコード結果をバンドパスフィルタ選択手段1001に出力する。このデコード手段1002のデコード結果から、ウェルA1だけでなくウェルA2〜ウェルA5内のコード群が分かる。
【0111】
次に、2ウェル目、ウェルA2の測定に移る。バンドパスフィルタ選択手段1001はデコード手段1002が出力したコード群に基づき第四バンドパスフィルタ群を選択する。そして以降は、1ウェル目と同様に測定する。
3ウェル目以降の測定は、2ウェル目と同様に行う。
【0112】
以上のように本実施例4においてはコード群が同じウェルを複数回以上続けて測定する場合、1ウェル目で測定したデコード結果を2ウェル目以降の測定で用いることにより、ユーザーがウェルのコード群の入力を行うことなく測定に使用するバンドパスフィルタ枚数を削減できるため高速に測定することができる。
【0113】
また、1ウェル目のコード群が2ウェル目以降のコード群を全て含んでいる場合において、1ウェル目で測定したデコード結果のコード群に基づいてバンドパスフィルタ選択手段1001が選択した第四バンドパスフィル群を用いて2ウェル目以降も判別可能である。
【0114】
このため1ウェル目のコード群が2ウェル目以降のコード群を全て含んでいる場合においても、1ウェル目で測定したデコード結果を2ウェル目以降の測定で用いることでユーザーがウェルのコード群の入力を行うことなく測定に使用するバンドパスフィルタ枚数を削減できるため高速に測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明にかかるスペクトルデコード装置は、互いに異なる輝度スペクトル分布を有する物質の種類を判別する際において測定速度を高速化するのに適している。
【0116】
また、本発明にかかるスペクトルデコード装置は、蛍光顕微鏡等として用いることにより、遺伝子発現解析装置の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の実施例1におけるスペクトルデコード装置のブロック図
【図2】本発明の実施例1におけるスペクトルデコード装置のバンドパスフィルタ選択手段の詳細なブロック図
【図3】本発明の実施例1におけるコードA及びコードBのリファレンススペクトルデータ図
【図4】本発明の実施例2におけるスペクトルデコード装置のブロック図
【図5】本発明の実施例2、実施例3、実施例4におけるウェルプレートの拡大図
【図6】本発明の実施例2におけるスペクトルデコード装置のバンドパスフィルタ選択手段の詳細なブロック図
【図7】本発明の実施例2におけるスペクトルデコード装置のバンドパスフィルタ選択手段の詳細なブロック図
【図8】本発明の実施例2における過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段のコード数8におけるFIFOメモリの図
【図9】本発明の実施例3におけるスペクトルデコード装置のブロック図
【図10】本発明の実施例4におけるスペクトルデコード装置のブロック図
【図11】従来のスペクトルデコード装置のブロック図
【図12】従来のスペクトルデコード装置、本発明の実施例1、実施例2、実施例3、実施例4におけるリファレンススペクトルデータの一例を示す図
【図13】従来のスペクトルデコード装置における測定スペクトルデータの一例を示す図
【符号の説明】
【0118】
101 バンドパスフィルタ選択手段
200 最少バンドパスフィルタ選択手段
201 バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段
202 デコード可否判定手段
203 デコード可能バンドパスフィルタ記憶手段
204 最少枚数選択手段
205 最少バンドパスフィルタ記憶手段
206 信頼バンドパスフィルタ選択手段
401 被検体情報記憶手段
402 バンドパスフィルタ選択手段
501 ウェル
600 最少バンドパスフィルタ選択手段
601 バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段
602 枚数決定手段
603 初期枚数決定手段
700 最少バンドパスフィルタ選択手段
701 初期枚数決定手段
702 過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段
703 信頼バンドパスフィルタ選択手段
901 被検体情報記憶手段
902 判別済被検体情報記憶手段
903 セレクタ
1001 バンドパスフィルタ選択手段
1002 デコード手段
1101 リファレンススペクトルデータ記憶手段
1102 システムコントローラ
1103 ウェルプレート
1104 ウェルプレート駆動手段
1105 対物レンズ
1106 フォーカス手段
1107 励起光源
1108 励起光源制御手段
1109a バンドパスフィルタ
1109b バンドパスフィルタ
1109c バンドパスフィルタ
1109d バンドパスフィルタ
1109e バンドパスフィルタ
1109f バンドパスフィルタ
1109g バンドパスフィルタ
1109h バンドパスフィルタ
1110 回転フィルタ
1111 回転フィルタ駆動手段
1112 CCDカメラ
1113 CCDカメラ制御手段
1114 ダイクロイックミラー
1115 画像処理手段
1116 デコード手段
1117 スペクトル取得手段
1201 輝度範囲
1202 輝度範囲間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる輝度スペクトル分布を有する物質に対して、透過帯域の異なる複数のバンドパスフィルタを用いて前記輝度スペクトル分布を測定し、前記物質の種類を判別するスペクトルデコード装置であって、輝度スペクトル分布の違いにより判別可能であるように予め用意された前記物質(以下、物質群と称す)から任意に選択された複数の物質に夫々固有の輝度スペクトル分布(以下、リファレンススペクトルデータと称す)と前記リファレンススペクトルデータに対応するコードを予め記憶しておくリファレンススペクトルデータ記憶手段と、前記リファレンススペクトルデータ記憶手段からリファレンススペクトルデータを取り出し、前記物質群を判別するために必要な枚数が用意された前記複数のバンドパスフィルタ(以下、全バンドパスフィルタと称す)から、前記複数の物質を判別するために最小限必要なバンドパスフィルタ(以下、第一バンドパスフィルタ群と称す)を選択するバンドパスフィルタ選択手段と、前記複数の物質の内、全てもしくは一部を抽出した複数の物質(以下、複数の被検体と称す)の輝度スペクトル分布を前記第一バンドパスフィルタ群を用いて取得するスペクトル取得手段と、前記スペクトル取得手段が取得した輝度スペクトル分布を前記リファレンススペクトルデータと比較して前記複数の被検体を判別するデコード手段と、を備えたことを特徴とするスペクトルデコード装置。
【請求項2】
互いに異なる輝度スペクトル分布を有する物質に対して、透過帯域の異なる複数のバンドパスフィルタを用いて前記輝度スペクトル分布を測定し、前記物質の種類を判別するスペクトルデコード装置であって、輝度スペクトル分布の違いにより判別可能であるように予め用意された前記物質(以下、物質群と称す)から任意に選択された複数の物質に夫々固有の輝度スペクトル分布(以下、リファレンススペクトルデータと称す)と前記リファレンススペクトルデータに対応するコードを予め記憶しておくリファレンススペクトルデータ記憶手段と、前記複数の物質の内、全てもしくは一部を抽出した複数の物質(以下、複数の被検体と称す)に対応する複数のコード(以下、コード群と称す)を予め記憶しておく被検体情報記憶手段と、前記被検体情報記憶手段に記憶された前記コード群に基づいて前記複数の被検体に対応する前記リファレンススペクトルデータを前記リファレンススペクトルデータ記憶手段から取り出し、前記物質群を判別するために必要な枚数が用意された前記複数のバンドパスフィルタ(以下、全バンドパスフィルタと称す)から、前記複数の被検体を判別するために最小限必要なバンドパスフィルタ(以下、第二バンドパスフィルタ群と称す)を選択するバンドパスフィルタ選択手段と、前記第二バンドパスフィルタ群を用いて前記複数の被検体の輝度スペクトル分布を取得するスペクトル取得手段と、前記スペクトル取得手段が取得した輝度スペクトル分布を前記リファレンススペクトルデータと比較して前記複数の被検体を判別するデコード手段と、を備えたことを特徴とするスペクトルデコード装置。
【請求項3】
互いに異なる輝度スペクトル分布を有する物質に対して、透過帯域の異なる複数のバンドパスフィルタを用いて前記輝度スペクトル分布を測定し、前記物質の種類を判別するスペクトルデコード装置であって、輝度スペクトル分布の違いにより判別可能であるように予め用意された前記物質(以下、物質群と称す)から任意に選択された複数の物質に夫々固有の輝度スペクトル分布(以下、リファレンススペクトルデータと称す)と前記リファレンススペクトルデータに対応するコードを予め記憶しておくリファレンススペクトルデータ記憶手段と、前記複数の物質の内、全てもしくは一部を抽出した複数の物質(以下、複数の被検体と称す)に対応する複数のコード(以下、コード群と称す)を予め記憶しておく被検体情報記憶手段と、前記被検体情報記憶手段に記憶された前記コード群に基づいて前記複数の被検体に対応する前記リファレンススペクトルデータを前記リファレンススペクトルデータ記憶手段から取り出し、前記物質群を判別するために必要な枚数が用意された前記複数のバンドパスフィルタ(以下、全バンドパスフィルタと称す)から、前記複数の被検体を判別するために最小限必要なバンドパスフィルタ(以下、第二バンドパスフィルタ群と称す)を選択するバンドパスフィルタ選択手段と、前記複数の被検体が注入された観察対象の内、判別済みの前記観察対象の前記複数の被検体の前記コード群と,該コード群を判別するための前記第二バンドパスフィルタ群(以下、判別済第二バンドパスフィルタ群と称す)を記憶する判別済被検体情報記憶手段と、前記被検体情報記憶手段が出力する前記コード群に基づいて、前記バンドパスフィルタ選択手段が出力する前記第二バンドパスフィルタ群あるいは前記判別済被検体情報記憶手段が出力する前記判別済第二バンドパスフィルタ群のいずれかを選択し第三バンドパスフィルタ群として出力するセレクタと、前記第三バンドパスフィルタ群を用いて前記複数の被検体の輝度スペクトル分布を取得するスペクトル取得手段と、前記スペクトル取得手段が取得した輝度スペクトル分布を前記リファレンススペクトルデータと比較して前記複数の被検体を判別するデコード手段と、を備え、前記セレクタは、前記被検体情報記憶手段が出力するコード群と前記判別済被検体情報記憶手段に記憶されたコード群が一致する場合には前記判別済第二バンドパスフィルタ群を前記第三バンドパスフィルタ群とし、前記被検体情報記憶手段が出力するコード群と前記判別済被検体情報記憶手段に記憶されたコード群が一致しない場合には、前記バンドパスフィルタ選択手段に前記第二バンドパスフィルタ群を選択させることを指示し、前記第二バンドパスフィルタ群を前記第三バンドパスフィルタ群とする、ことを特徴とするスペクトルデコード装置。
【請求項4】
互いに異なる輝度スペクトル分布を有する物質に対して、透過帯域の異なる複数のバンドパスフィルタを用いて前記輝度スペクトル分布を測定し、前記物質の種類を判別するスペクトルデコード装置であって、輝度スペクトル分布の違いにより判別可能であるように予め用意された前記物質(以下、物質群と称す)から任意に選択された複数の物質に夫々固有の輝度スペクトル分布(以下、リファレンススペクトルデータと称す)と前記リファレンススペクトルデータに対応するコードを予め記憶しておくリファレンススペクトルデータ記憶手段と、前記リファレンススペクトルデータ記憶手段から、前記リファレンススペクトルデータを取り出し、前記物質群を判別するために必要な枚数が用意された前記複数のバンドパスフィルタ(以下、全バンドパスフィルタと称す)から、前記複数の物質の内、全てもしくは一部を抽出した複数の物質(以下、複数の被検体と称す)を判別するために最小限必要なバンドパスフィルタ(以下、第四バンドパスフィルタ群と称す)を選択するバンドパスフィルタ選択手段と、前記第四バンドパスフィルタ群を用いて前記複数の被検体の輝度スペクトル分布を取得するスペクトル取得手段と、前記スペクトル取得手段が取得した輝度スペクトル分布を前記リファレンススペクトルデータと比較して前記複数の被検体を判別し、該複数の被検体のコード群を前記バンドパスフィルタ選択手段に出力するデコード手段と、を備え、前記バンドパスフィルタ選択手段は前記複数の被検体が注入された観察対象が複数存在する場合において、複数の前記観察対象の内最初の観察対象内の前記複数の被検体の輝度スペクトル分布を取得する際には前記全バンドパスフィルタを前記第四バンドパスフィルタ群として前記スペクトル取得手段に出力し、2つ目以降の観察対象内の前記複数の被検体の輝度スペクトル分布を取得する際には前記デコード手段が出力する前記コード群に基づいて前記第四バンドパスフィルタ群を選択し前記スペクトル取得手段に出力する、ことを特徴とするスペクトルデコード装置。
【請求項5】
複数の前記観察対象内の前記複数の被検体は全て同じ種類のコード群が含まれていることを特徴とする請求項4に記載のスペクトルデコード装置。
【請求項6】
前記バンドパスフィルタ選択手段は、入力されたコード(以下、入力コード群と称す)の前記複数の物質または前記複数の被検体(以下、入力物質と称す)を判別可能で、かつ最少枚数のバンドパスフィルタで構成される1つまたは複数のバンドパスフィルタ群候補を選択する最少バンドパスフィルタ選択手段と、1つまたは複数の前記バンドパスフィルタ群候補を記憶する最少バンドパスフィルタ記憶手段と、1つまたは複数の前記バンドパスフィルタ群候補から最適なバンドパスフィルタ群を選択し、前記第一バンドパスフィルタ群または前記第二バンドパスフィルタ群または前記第三バンドパスフィルタ群または前記第四バンドパスフィルタ群を出力する信頼バンドパスフィルタ選択手段とを備えることを特徴とする請求項1及び請求項2及び請求項3及び請求項4に記載のスペクトルデコード装置。
【請求項7】
前記最少バンドパスフィルタ選択手段は、前記全バンドパスフィルタから選択し得る全てのバンドパスフィルタ群を、1組ずつ順次出力するバンドパスフィルタ組み合わせ選択手段と、前記バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段が出力するバンドパスフィルタ群を用いて前記入力物質を判別可能であるかどうかを判定するデコード可否判定手段と、前記デコード可否判定手段で前記入力物質を判別可能であると判定されたバンドパスフィルタ群を記憶するデコード可能バンドパスフィルタ記憶手段と、前記デコード可能バンドパスフィルタ記憶手段に記憶されているバンドパスフィルタ群の中から、前記バンドパスフィルタ群候補を選択する最少枚数選択手段とを備えることを特徴とする請求項6に記載のスペクトルデコード装置。
【請求項8】
前記最少バンドパスフィルタ選択手段は、前記バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段が選択するバンドパスフィルタ群のバンドパスフィルタ枚数を決定する枚数決定手段と、前記枚数決定手段が選択する前記バンドパスフィルタ枚数の初期値を決定する初期枚数決定手段とをさらに備え、前記枚数決定手段は、前記バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段が前記全バンドパスフィルタのうち前記枚数決定手段から与えられるバンドパスフィルタ枚数で選択し得る全てのバンドパスフィルタ群を順次前記デコード可否判定手段に出力し、前記デコード可否判定手段が、前記バンドパスフィルタ組み合わせ選択手段が出力する全てのバンドパスフィルタ群の判別の可否を判定した後に前記デコード可能バンドパスフィルタ記憶手段を参照し、前記デコード可能バンドパスフィルタ記憶手段に少なくとも1つのバンドパスフィルタ群が存在すれば前記バンドパスフィルタ枚数より1枚少ないバンドパスフィルタ枚数を出力し、存在しなければ前記バンドパスフィルタ枚数より1枚多いバンドパスフィルタ枚数を出力することを特徴とする請求項7に記載のスペクトルデコード装置。
【請求項9】
前記最少バンドパスフィルタ選択手段は、過去の前記入力コード群のコード数と前記信頼バンドパスフィルタ選択手段が選択したバンドパスフィルタ群のバンドパスフィルタ枚数と該コード数毎に該バンドパスフィルタ枚数の頻度を記憶する過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段をさらに備え、前記初期枚数決定手段は、前記入力コード群のコード数が前記過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段に記憶されているコード数と同じ場合には、該コード数に対応する最も頻度の高いバンドパスフィルタ枚数を前記初期枚数決定手段に出力することを特徴とする請求項8に記載のスペクトルデコード装置。
【請求項10】
前記過去バンドパスフィルタ枚数記憶手段が、過去の前記入力コード群のコード数に対するバンドパスフィルタ枚数を記憶しておく数を制限することを特徴とする請求項9に記載のスペクトルデコード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−58194(P2006−58194A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241842(P2004−241842)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】