説明

スペクトル情報抽出装置

【課題】 飛翔体により撮影された画像等を利用して対象物を解析し,管理する場合,解像度が対象物に対して低いことが多く,個別対象物を管理することが難しかった。
【解決手段】 解析対象とする物体についての高空間分解能画像503と低空間分解能画像502とを対応づける画像対応部と、上記高空間分解能画像を用いて、上記物体が低空間分解能画像の画素中で占める割合を求める空間解析部と、上記割合に基づいて、低空間分解能画像のスペクトル504を複数のスペクトル505に分解するスペクトル割当部とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトル情報を抽出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飛翔体に搭載したセンサなどにより,遠隔で広域に地表面を観測して樹木は作物を管理するということが行われている。しかし,飛翔体に搭載したセンサなどにより、遠隔から対象物を観測する場合に取得した画像の分解能が対象物に対して十分ではないことが多い。
【0003】
一方で、低空間分解能画像を高空間分解能化する技術の研究がすすめられている。非特許文献1や特許文献1では,高空間分解能画像と低空間分解能画像を組み合わせて高空間分解能化することが記載されている。
【0004】
非特許文献1には、高空間分解能画像の画素に対し、最も近くにある低空間分解能のスペクトルを割り当てる方法が示されている。
【0005】
特許文献1には、飛翔体に搭載されたレーダーで取得した画像と、光学センサで取得した画像を利用し、画像から得られるヒストグラムを調整して視認しやすくする方法が示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】C. Pohl, J. L. Van Genderen, “Multisensor image fusion in remote sensing: concepts, methods and applications”, Int. j. remote sensing, vol. 19, no. 5, pp: 823- 854, 1998.
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-47516 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1記載の方法では、画素間の距離のみを参照して処理を行うため、周辺画素の平均値または近似値に変更されてしまい,本来のスペクトル情報が失われるという問題がある。また、特許文献1記載の方法も同様に周辺画素の値をなまして利用するため、本来のスペクトル情報が失われてしまう。スペクトル情報が失われると、スペクトルから対象物の状態を推定する場合には推定誤差が大きくなってしまい、状態を把握することができない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、分解能が異なる複数の画像を利用し、対象物の認識とスペクトルの分離処理を組み合わせることにより、達成される。即ち、解析対象とする物体についての高空間分解能画像と低空間分解能画像とを対応づける画像対応部と、上記高空間分解能画像を用いて、上記物体が低空間分解能画像の画素中で占める割合を求める空間解析部と、上記割合に基づいて、低空間分解能画像のスペクトルを複数のスペクトルに分解するスペクトル割当部とを設けることとする。
【発明の効果】
【0010】
上記構成により、それぞれの対象物に対応するスペクトル情報を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態のスペクトル情報 抽出装置の機能構成図である。
【図2】本実施形態のスペクトル情報抽出装置の物理構成図である。
【図3】本実施形態における処理フローを示す図である。
【図4】本実施形態における、シーケンス図を示した図である。
【図5】本実施形態における、高空間分解能画像と低空間分解能画像から,スペクトル情報をもった高空間分解能画像を作成する例である。
【図6】本実施形態における、地図と低空間分解能画像から,スペクトル情報をもった高空間分解能画像を作成する例である。
【図7】本実施形態における、スペクトルから対象物体の状態を解析し,情報を管理する例である。
【図8】本実施形態における、状態解析部および状態管理部を追加したスペクトル情報抽出装置の機能構成図である。
【図9】本実施形態における、状態管理の例である。
【図10】本実施形態におけるデータ蓄積部の図である。
【図11】本実施形態における領域分割処理の図である。
【図12】本実施形態における領域分割処理の図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)について、図面を参照(言及図以外の図面も適宜参照)しながら詳細に説明する。なお、本実施形態において、各蓄積部はハードディスクや計算機上のメモリによって実現される。その代案として、ネットワーク上のハードディスクを用いてもよい。また、各処理部は、コンピュータにおいてプログラムを読み込むことで実行される。その代案として、ハードウェアとソフトウェアの協調によってなされるものであってもよい。
【0013】
図1、図2,図3,図10を参照して、本実施形態のスペクトル情報抽出装置の構成について説明する。図1は、本実施形態のスペクトル情報抽出装置101の機能構成図である。図2は、本実施形態のスペクトル情報抽出装置101の物理構成図である。図3は,本実施形態における処理フローを示す図である。
【0014】
図1に示すように、スペクトル情報抽出装置101は、処理部としてのユーザー設定部104,データ入力部105、画像対応部106、物体認識部107、空間解析部108,照合部109,スペクトル割当部110、結果調整部111と,記憶部(蓄積部)としてのデータ蓄積部102、演算結果蓄積部103とを備えて構成される。また、画像表示部112を備える。
【0015】
データ蓄積部102は、対象とする画像とスペクトルデータ(分光データ)を蓄積(記憶)する。データ蓄積部の内部構成を図10に示す。データ蓄積部102,1001には,衛星画像等の観測画像と参照とするスペクトルデータが蓄積されている。観測画像は、例えば多バンドセンサ(多バンドスペクトルセンサ)または単バンドで撮影された衛星画像(高解像度,低解像度画像)であり、スペクトルデータ(点データ)はスペクトルメーター等によって地上で観測されたデータである。対象画像は衛星画像に限らず、航空画像、ヘリコプター画像、無人偵察機画像,地上計測画像などでもよい。また、画像は単一ではなく、複数の時系列画像や複数のセンサ等で撮影した複数画像でもよい。さらに,観測画像は,位置情報や撮影条件などの属性情報を有する。スペクトルデータ1002は,対象物体の名称,状態とともに,各波長帯で観測した反射率等の観測データがテキスト情報として保存されている。スペクトルデータは,特定の波長域で観測された物体の反射率または放射率であり,観測物体の詳細な情報を有する。また,マイクロ波等の後方散乱係数などでもよい。また,スペクトルメーター等で観測した値から,モデル等によって複数のバリエーションを自動的に生成した擬似スペクトルデータでも良い。また,多バンドのセンサで空中から撮影した画像またはポイントデータから抽出したスペクトルデータでも良い。また、ここでは、データ蓄積部をスペクトル情報抽出装置の内部に保有する構成を示したが、スペクトル情報抽出装置の外部に置き、ネットワーク等を通じて記憶情報を送受信するようにしても良い。
【0016】
ユーザー設定部104は,ユーザーが解析対象の領域および対象物の設定を入力し,受け付ける。また,受け付けた入力情報はデータ蓄積部102に格納する。
【0017】
データ入力部105は、ユーザーが指定した解析対象とする高空間分解能(高解像度画像)および低空間分解能画像(低解像度画像)を入力し、データ蓄積部102に格納する。さらに、ユーザーが指定する解析対象領域の名称または画像ID等の情報をデータ蓄積部102に格納する。解析対象物は一つでもよいし、複数指定してもよい。さらに,解析領域は一つでもよいし,複数指定してもよい。
【0018】
ここで,高空間分解能画像とは,対象とする物体に対して十分に解像度が高く,対象物体を認識可能な画像である。対して低空間分解能画像とは,高空間分解能画像よりも低い空間分解能の画像であって、対象とする物体に対して分解能が低く,対象物体を個別に認識不可能,または対象物体よりピクセルサイズが大きい画像のことをいう。一般的には、高空間分解能画像は、単バンドの白黒画像で、低空間分解能画像は、多バンドのカラー画像である。
【0019】
画像対応部106は、データ入力部105で入力した高空間分解能画像と低空間分解能画像の位置を対応づける。画像に付属されている位置情報を利用して、自動的に位置合わせを行う(例えば、下記非特許文献2の技術を用いる)。また、手動により画像同士の対応点を抽出して位置合わせを行ってもよい。抽出した対応点情報は、演算結果蓄積部103に格納する。
【0020】
対応づけた画像において、データ入力部105で入力された対象領域の情報を画像の属性情報から抽出し、対応する属性の領域を画像上に配置する。
【0021】
物体認識部107は、画像対応部106で画像上に配置された解析対象領域の高空間分解能画像に対し、物体認識を行う。ユーザー設定部104で指定した対象物体を画像中から抽出する。例えば,下記非特許文献3に示されるように,家屋を高空間分解能な単画像から,自動的に抽出することができる。非特許文献3では,特定の物体に対して空間的な特徴量を設定し,対象物とそれ以外に分類することによって,対象物を抽出している。家屋のように,対象物体が屋根の表面,影面,屋上の付属物,窓など複数の領域から成り立ち,一つの物体を構成している場合には,上記非特許文献3の方法等を用いることで,物体単位で抽出することができる。さらに,対象とする物体は家屋に限らない。これにより,対象とする物体を一つ一つの領域に分けることができる。抽出した対象物体は,各物体に所属する画素を一つの領域として認識し,ID番号等をふって管理する。ID番号と対象物体の位置を対応づけ,演算結果蓄積部103に保存する。
【0022】
空間解析部108は,物体認識部107で高空間分解能画像から抽出した対象物体の個別領域が,対応する低空間分解能の画素中で占める割合を求める。また,同一画素中に対象物体だけでなく,単数または複数の他物体が占める割合を求める。ここで,割合は画素数を基に計算し,面積に相当する。
【0023】
照合部109は,対象物体のスペクトルデータをデータ蓄積部103から抽出し,低解像度画像のスペクトル情報を照合する。対象物体は,あらかじめユーザー設定部104でユーザーが指定した対象物体であり,該当する物体名称または属性から対象のスペクトルデータを検索し,抽出する。さらに,対象物体以外のスペクトルデータについても,低空間分解能画像中から該当スペクトルを抽出し,類似スペクトルデータをデータ蓄積部102に照合して抽出する。これにより,対象物と,対象物外であるが画素内に含まれる物質のスペクトルを抽出することができる。これにより,下記のスペクトル割当部110で,各対象物に最も近いスペクトルを割り当てることができる。データ蓄積部102のスペクトルデータと,低空間分解能画像のスペクトルデータが異なる波長域,波長帯の場合には,低空間分解能画像の波長域に合わせてスペクトルデータを加工する。
【0024】
スペクトル割当部110は,低空間分解能画像の画素ごとに照合部109で読み出した画像のスペクトル情報とデータ蓄積部から読み出したスペクトルデータを照合する。データ蓄積部には,地上で観測したスペクトルデータや,過去に衛星等で撮影されたスペクトルデータが蓄積されている。対象物体が画素中に占める割合は空間解析部108で求めているため,求めた割合に基づいて,物体毎のスペクトルと割合をかけ合わせて低解像度画像の画素に対応するスペクトルを推定する。スペクトルは,照合部でデータ蓄積部から読み出したスペクトルを検索し,最適なスペクトルの組み合わせを求めることで求める。組み合わせを求めるには,例えば以下の式(数1)により求めることができる。
〔数1〕 I = Σai×Si
ただし,aiはi番目の物体の面積比,Siはi番目の物体のスペクトル(ベクトル),Iは低空間分解能画像の対象画素におけるスペクトル(ベクトル)である。また,含まれる物体の数i=1…Nの場合,Σはi=1…Nの和を表す。
【0025】
数1は線形式であるが,これに限らず非線形の式でもよい。また,線形の式であってもこれに限らない。例えば,以下の式(数2)が挙げられる。
〔数2〕 I = Σai×φi
ただし,Φは関数である。Φは,スペクトルの形状や吸収特徴を関数表現したものである。例えば,混合ガウス関数などを用いてもよい。
Φがガウス関数の場合,以下の式で表現できる。
【0026】
〔数3〕φ=b×exp{-((x-u)^2}/(2c^2}}
ただし,uはガウス分布の平均,cは標準偏差,bは定数,xはスペクトルを表す。
数2を解くために,残差式または評価式を設定し,誤差がもっとも小さくなるスペクトルの組み合わせを,データ蓄積部から読み出して求める。またさらに誤差が小さくなるよう,求めたスペクトルの組み合わせに対し,反復計算などによってスペクトルの微小変形を行ってもよい。また,反復計算には最小二乗法やニューラルネット等の手法を用いてもよい。さらに,判別分析等の手法を適用してもよい。
〔数4〕 I = Σai×φi+ei
さらに,誤差項eiを設定してもよい。この誤差項は,大気や撮影状況の影響、補正誤差などである。
【0027】
なお,実際に画像として取得されたスペクトルと,地上でスペクトルメーター等によって観測したスペクトルは気象条件,物体の状態の違いなどにより異なることが多いため,あらかじめ大気補正等の処理をしてスペクトルデータを補正しておく。
【0028】
結果調整部111は,スペクトル割当部110で割り当てた各物体あたりのスペクトルを用いて,高空間分解能画像にスペクトルデータを割り当てていく。即ち、高空間分解能画像を再生成し、各物体あたりの詳細画像を得ることができる。これにより,高空間分解能かつ多バンドの画像(スペクトル分解画像)を生成することができる。
【0029】
画像表示部112は,結果調整部で作成した高空間分解能かつ多バンドの画像を表示する。物体認識部107で求めた物体認識の結果から領域の輪郭線を求め,画像上に重畳表示してもよい。
【0030】
次に、スペクトル情報抽出装置101の物理構成について説明する。図2に示すように、スペクトル情報抽出装置101は、ディスプレイ201、プリンタ202、演算部203、メモリ204、HDD(Hard Disk Drive)205、キーボード206およびマウス207を備えて構成され、それらがバス208によって接続されている。
【0031】
ディスプレイ201は、入力された画像等のデータを表示する。
【0032】
プリンタ202は、入力されたデータを印刷機等へ出力する。
【0033】
演算部203は、各種の処理エンジン2031を有し、処理命令が入力されると対応するエンジンソフトをメモリ204から読み出し、また、必要があればHDD205から蓄積されているデータを読み出して所定の演算を行う。また、計算結果をメモリ204に出力する。
【0034】
メモリ204は、処理エンジン管理部2041、演算情報管理部2042および設定条件管理部2043を有する。処理エンジン管理部2041は、演算部203での計算に使用する各エンジンのソフトを管理する。演算情報管理部2042は、演算部203で計算された計算結果を管理する。設定条件管理部2043は、キーボード206やマウス207から入力された条件を保存し、管理する。
【0035】
HDD205は、データ蓄積部102、演算結果蓄積部103を有し、それぞれが該当データを格納している。各データはID番号1305のようにIDで管理されており、効率的にデータにアクセスすることができる。HDD205に対してデータの読み出し命令が入力されると、対象データがアクセスされ読み出される。なお、HDD205はネットワーク上に設置されていてもよい。スペクトル情報抽出装置101はネットワークインターフェイスを備え、HDD205など各構成はネットワーク上に設置されてもよい。
【0036】
キーボード206及びマウス207は、各種設定条件を入力するユーザーによる操作のための手段である。
【0037】
図3は、本実施形態における処理フローを示す図である。
【0038】
ステップ301で、ユーザー設定部104はユーザーの入力を受け付け,データ入力部105はユーザーが指定した処理対象の画像および対象物体を入力し、データ蓄積部102にデータを蓄積する。
【0039】
ステップ302で、画像対応部106は入力データの低空間分解能画像と高空間分解能の位置を対応付けし、画像から解析対象の領域を抽出する。
【0040】
ステップ303で、物体認識部107は、画像対応部105で抽出した高空間分解能画像上の解析対象物領域から対象とする物体を抽出する。
【0041】
ステップ304で、空間解析部108は,物体認識部107で抽出した物体領域が低解像度画像の画素中に含まれる割合を求め,照合部108は該当物体のスペクトルデータをデータ蓄積部102から読み出してスペクトルの商号を行う。
【0042】
ステップ305で、スペクトル割当部110は,照合部109が読みだしたスペクトルデータを空間面積の割合に応じて割り当てる。空間解析部109は,分類処理部108で作成したクラスタリング結果画像に対して,フィルタリングなど所望の空間処理を行う。
【0043】
ステップ306で,結果調整部111は,スペクトル割当部110で求めた各領域のスペクトルを高解像度画像に反映する。
【0044】
ステップ307で,画像表示部112は,ステップ306で作成した高空間分解能かつ多バンド画像をディスプレイ201上に表示する。
【0045】
図4は、本実施形態における処理シーケンスを示す図である。ユーザー401が処理の開始を指示し、表示画面402上で処理対象画像を選択すると、演算部403に処理対象画像の設定情報が通知される。演算部403では対象となる画像をデータ蓄積部404に指定し、データ蓄積部404から必要となるデータを読みだす。
【0046】
次に演算部403では、読み出した画像を表示画面402上に表示し,解析対象とする領域の指定を求める。ユーザー401は,表示画面402上で処理対象領域や対象物を指示する。ここで,ユーザー401は処理対象とする領域をマウス等で選択してもよいし,対象とする領域のID番号等を入力してもよい。また,処理対象領域を複数選択してもよい。
【0047】
演算部403は,指定された対象領域を,データ蓄積部404から読み出しておいた画像上に設定する。演算部403は,指定領域内からあらかじめ設定した方法により物体認識を行う。演算部403では、生成した物体認識結果を表示画面402に表示する。表示画面402は,ユーザーに分類結果の修正有無を尋ねてもよい。ユーザーはそれを受けて,修正の指示をしてもよい。演算部403は修正を受け付け,修正指示に応じて結果を修正する。
【0048】
演算部403は,物体認識結果および低空間分解能画像を基に,データ蓄積部404からスペクトルデータを読みだす。演算部403は,あらかじめ指定した方法により,読みだしたスペクトルデータを各領域に割り当て,スペクトル分解画像を生成する。表示画面402は,生成したスペクトル分解画像を表示する。演算部403はスペクトル画像および物体認識結果をデータ蓄積部404に保存する。
【0049】
【非特許文献2】Remote Sensing Digital Image Analysis, Springer, J. A. Richards and X. Jia, pp.56-58, 2006
【非特許文献3】Y. Kazama and T. Guo, Proc. SPIE Europe Remote Sensing, Vol. 7477, 2009.
【非特許文献4】B. T. Lang, et al, Environmental Information for Planning, Politics and the Public, Vol. 2, pp.555 570, 2000.
【実施例2】
【0050】
次に、図1および図5を参照して、スペクトル情報抽出装置の利用例として、低空間分解能な多バンド画像と高空間分解能な単バンド画像を利用し,樹木のスペクトルを割り当てる例について説明する。
【0051】
図5は,樹木が複数存在する領域を対象に,低空間分解能画像の画素サイズが樹木のサイズよりも大きく,高空間分解能画像の画素サイズが樹木よりも小さい場合に,各樹木のスペクトル情報を抽出する例である。
【0052】
対象領域501には,樹木が3本存在し,その他の領域は土である。対象物体は樹木とし,樹木の種類は同じであるが,成長状態が異なる場合について説明する。ただし,対象物体以外の領域は単一ではなく,複数の領域が含まれていてもよい。
【0053】
低解像度画像502は,画素サイズが樹木よりも大きいため,樹木を一つずつ把握することはできない。また,樹木と土の混在なのか,樹木の状態がことなるのか,低解像度画像から判断することは難しい。そこで,高空間分解能画像503を利用して,物体認識部107が各樹木の領域と位置を抽出する。各樹木の画素の集合を領域として認識し,各樹木のID番号を振ってIDと位置を演算結果蓄積部103に保存する。物体認識部は,指定した自動抽出手法によって物体認識,抽出を行ってもよいし,ユーザーが画面上で対象物体の領域を指定してもよい。
【0054】
空間解析部108は,低解像度画像502の1画素に対応する高空間分解能画像の領域から,対象物体の占める割合(画素数)を抽出する。ここで,同じ樹木であっても個体が異なる場合には別の領域として割合を求める。具体的には,領域501に含まれる樹木1と樹木2は,低解像度画像の同一画素に含まれるが,樹木1の画素に占める割合,樹木2の画素に含まれる割合として抽出する。これにより,個体を区別することができる。
【0055】
照合部109は樹木のスペクトルデータをデータ蓄積部102から読み出し,低解像度画像のバンド幅に合わせて,対応する擬似スペクトルデータ504を作成する。疑似スペクトルデータは,データ蓄積部102から読み出したスペクトルに対して,対応する波長域の平均スペクトルを求めてもよいし,低空間分解能画像を取得したセンサの応答フィルタを重畳して求めてもよい。また,樹木のスペクトルは,品種や成長状態によって異なる場合があるので,対象となりうるスペクトルデータは全て抽出する。
【0056】
スペクトル割当部110は,空間解析部108で求めた樹木の割合を基に,スペクトルの分解を行う。低空間分解能画像のスペクトル504をスペクトル505のように2つ以上に分解する。具体的には,樹木のスペクトルをT,面積の割合をAtとし,土のスペクトルをS,面積の割合をAsとし,低空間分解能画像の画素から得られたスペクトルをIとした場合,以下の式(数5)で計算できる。
〔数5〕 I = At × T + As ×S
ただし,I, S, Tはベクトル,At, Asは定数である。
上記数5を満足するように,TおよびSの組み合わせを求める。スペクトルデータは気象条件や観測条件によっても大きく異なるため,低解像度画像のスペクトルデータについて,あらかじめ大気補正処理を行い,反射率等の比較できる値に変換しておく。また,データ蓄積部102のスペクトルデータを気象条件や観測条件等に合わせて変化させてもよい。
【0057】
なお,数5は例であって,式,含まれる対象物の数などはこれに限らない。
【0058】
結果調整部111は,スペクトル割当部110で求めたスペクトルを,対応する高空間分解能画像に割り当て,高空間分解能かつ3バンドの画像506を作成する。
【0059】
これにより,低空間分解能画像で多バンドの画像と,高空間分解能画像で単バンドの画像から,高空間分解能で多バンドの画像(スペクトル分解画像)を作成することができる。このスペクトル分解画像により,樹木を一本ずつ管理することが可能である。また,樹木一本ずつのスペクトル情報が得られるため,スペクトルデータから樹木の状態を把握することができる。
【0060】
樹木の場合,特定の含有物質の量が成長や収量に関連することがあり,特定の含有物が示すスペクトルの吸収特徴を利用することで,含有物の量を推定することが可能である。また,含有物の量は絶対量の把握が必要であるが,これに限らず,別物質の量との相関を用いることもできる。上記方法によって,植物の状態を把握し,状態に合わせて肥料や水等の量を調整して施すことができる。
【0061】
本発明によって,樹木一本ずつのスペクトルが把握できると,上述のような方法で樹木毎の状態を把握し,適切な施肥,水やりを行うことができるようになる。これによって,肥料の量をコントロールし,適切な量の使用ができるため,肥料の料金の削減,環境負荷の低減が可能となる。樹木の状態を把握し,その状態および樹木のIDまたは位置情報をサーバーに送り,管理してもよい。サーバー等のデータはモバイル端末からも読みだすことができ,樹木の管理者が現場にて状態や必要な肥料の量が確認できるようにしてもよい。
【0062】
ここで,本実施例の構成は樹木の管理だけでなく,農作物の管理,農地の管理,牧場の管理,水の管理,家屋等の人工物の管理,道路の管理等にも適用できる。
【0063】
本実施例の構成によって,解析対象物を所望の数だけ指定することができる。
【実施例3】
【0064】
次に図6を参照して,高空間分解能画像ではなく地図を利用したスペクトル情報抽出の実施例を説明する。
【0065】
図6は実施例2と同様に,指定領域内の樹木毎のスペクトルを求める例について述べる。
【0066】
ユーザー設定部104でユーザーが設定した対象領域601には,樹木と土が含まれる。ユーザー設定部では,最終的に求めたい画像サイズをユーザーが入力する。画素サイズを指定してもよいし,低空間分解能画像の解像度の何倍という入力でもよい。
【0067】
データ入力部105は,指定領域に対応する低空間分解能画像と地図を,データ蓄積部102から読み出す。ここで,地図は電子化された地図であり,道路や建物などがポリゴンとして保存されている。また,位置情報も保持している。ここでは,対象物が樹木であり,樹木の位置や大きさが示されている地図を利用する。ただし,解析対象によっては,所望の情報が記載されている地図を使用してもよい。
【0068】
画像対応部106は,データ入力部105が読みだした画像と地図の位置を対応づける。対応付けには,画像に付属するメタ情報から位置情報を抽出して位置合わせを行う。また,ユーザーが対応点を入力してもよい。
【0069】
物体認識部107は,地図から対象物体のベクトル情報を検索し,対象物体の領域を求める。
【0070】
空間解析部108は,低空間分解能画像の画素毎に含まれる対象物の面積を抽出し,画素内で占める割合を求める。
【0071】
照合部109は,対象物体に関連するスペクトデータをデータ蓄積部102から読み出す。
【0072】
スペクトル割当部110は,空間解析部108で求めた面積の割合と,照合部109で読み出したスペクトルデータを利用して,数2によって各領域のスペクトルデータを求める。
【0073】
結果調整部111は,ユーザー設定部104でユーザーが設定した画素サイズに合わせて地図データをリサンプリングする。リサンプリングは,例えばNearest Neighbor法を用いることができる。リサンプリングした地図データに対して,スペクトル割り当て部で求めた各領域のスペクトルを割り当て,指定した分解能をもつスペクトル画像を生成する。
【0074】
画像表示部112は,結果調整部111で作成したスペクトル画像を表示する。
【0075】
これにより,地図データを用いても高空間分解能かつ多バンドの画像を生成することができる。また,抽出したスペクトルを解析して樹木の状態を把握し,地図に反映することで,樹木状態マップを作成することができる。樹木の管理をより簡便に行うことが可能である。
【実施例4】
【0076】
次に,図7および図8を参照して,本発明により作成した高空間分解能かつ多バンドのデータから,樹木の状態を管理する例について説明する。
【0077】
図7は,樹木の一本ずつにIDを与え,状態等を管理する例である。図8は本実施例の機能構成図である。
【0078】
データ蓄積部には,植物の状態と必要な肥料や農薬の量が示されている表なども蓄積されている。
【0079】
結果調整部111で,高空間分解能な多バンド画像を作成し,作成した画像701には樹木の位置およびサイズが表示され,各樹木にはIDが付与されている。
【0080】
状態解析部801では,各樹木の領域に含まれる少なくとも1つのスペクトルデータを解析し,成長状態や物質の含有量を推定する。スペクトルデータは樹木領域の平均値でもよいし,ある画素のスペクトルデータでもよい。スペクトルデータ703は樹木のIDと対応付けされ,演算結果蓄積部103に蓄積される。また,成長状態は水分含有量や植生の活性度などで把握することができる。また,タンパク含有量や脂肪酸などをスペクトルから推定することができる。例えば,特許文献2に示す方法により,スペクトルからある物質の含有量または含有比を推定できる。
【0081】
状態解析部で推定した植生状態や含有量などは,演算結果蓄積部103に蓄積される。
【0082】
状態管理部では,状態解析部801によって解析した植物の状態や含有量と,データ蓄積部から読み出した農薬や肥料の対応表に応じて、今後の処置方法として必要な農薬や肥料の量を推定する。推定した値は,管理表702のように樹木IDと対応して管理される。
【0083】
上記状態解析部および状態管理部で把握した植生状態等は,位置情報を用いて地図に反映することができる。地図上に反映した植生状態,管理方法はネットワークを通じてモバイル端末に配信する。また,地図上ではなく,テキスト情報等でもよい。また,管理ID番号ごとの植生状態,植生管理方法が示された情報であってもよい。これにより,ユーザーがモバイル端末上で状態を確認しながら作業をすることができる。
【0084】
上記実施例より,樹木を一本ずつ詳細に管理することが可能である。これにより,適切な農薬や肥料の量を求めることができ,経済的かつ環境負荷を低減した管理を行うことができる。
【0085】
本実施例は樹木の管理について説明したが,作物,土壌,河川,海,湖,パイプラインなど,これに限らず適用することができる。
【0086】
【特許文献2】特開 2004-264245号公報
【実施例5】
【0087】
次に,図8および図9を参照して,植物に病気が発生した場合の対処方法提示について説明する。
【0088】
図9は,樹木が8本あるうち,ID3とID5の樹木に病気が発生した例である。
【0089】
状態解析部801は,結果調整部111で作成したスペクトル画像から,対象とする樹木のスペクトルを抽出し,病気の有無を解析する。例えば特許文献3は,スペクトル情報から植物の状態を把握する方法が示されている。
【0090】
上記手法等により,植物の病気有無を把握し,演算結果蓄積部103に保存する。
【0091】
状態管理部802は,管理表に記載されている各樹木の位置から,各植物間の距離を計算する。植物が罹患した病気が伝染性を持つ場合,伝染危険のレベルを,病気植物からの距離に応じて計算することができる。植物の病気有無を示した図901では,ID3とID5の樹木に病気が発生している。この場合,ID2,4,7,8は病気植物から所定の距離内にあるため,危険と判断し,ID1,6は所定の距離外にあるため,やや危険と判断する。このように,病気伝染や被害のハザードマップを作成することができる。
【0092】
画像表示部112は,危険状態を色付けして,地図または画像上に表示する。画像表示部で示した情報は,ネットワークを介してモバイル端末等へ配信してもよい。さらにユーザーは,現場状態を確認し,モバイル端末上で状態の修正等を行ってもよい。また,病気駆除などを行った場合には,駆除済みといった作業記録をモバイル端末上で入力してもよい。
【0093】
ユーザーは,作成したハザードマップを参照して,適切に農薬散布等の処置を最低限の量,領域において行うことができる。このように,地上で樹木を一本ずつ観測し,把握しなくても,飛翔体から観測したデータにより,樹木の状態を把握し,さらに適切な管理方法を示すことができる。
【0094】
本実施例では樹木について説明したが,土壌,作物,水質,オイル漏れの把握などにも適用することができる。
【0095】
【特許文献3】特開2004-213627
【実施例6】
【0096】
次に図11を参照して,対象物体が単一または少数の領域(樹木の日向,日影,屋根の領域など)からなる場合についての物体認識処理の代替手段について説明する。
【0097】
画像1101のように,家屋,木,道路が含まれる場合を考える。対象物体が木であっても,日向部分と日影部分で見え方が異なり,複数の領域に分けることができる。画像1101に対して,領域分割処理を行うことで,物体の領域を抽出することができる。領域分割としては,例えば下記非特許文献4のように,画素間のつながりや領域の形状,サイズなどをパラメータとして領域部を分割する方法がある。領域を分割した後に,手動によって対象物体の領域を抽出してもよい。また,解析対象物体以外の分割領域も保持しておく。領域分割を行った画像1102は,領域1,2のように複数の領域に分けられている。スペクトル割り当て部110は,得られた領域毎にスペクトルの分離,割り当て処理を行う。これにより,領域分割処理との組み合わせでスペクトル画像を得ることができる。
【0098】
さらに,物体認識処理や領域分割処理ではなく,既存の地図データを用いてもよい。地図には道路や家といった領域のポリゴンデータが保存されており,領域で分割されている。そのため,上記領域分割処理の結果と同等に扱うことができる。
【実施例7】
【0099】
次に図12を参照して,複数の物体を内包する大きな領域に分割し,スペクトル情報を得る手段について説明する。
【0100】
実施例6と同様に,画像1101のように,家屋,木,道路が含まれる場合を考える。画像1201は,大きな領域に分割した結果を示している。ここで,画像1101に含まれる3本の木のうち,木1202と木1203は正常であり,木1204は害虫被害を受けている場合を考える。
【0101】
画像1101に対し,物体認識部107は木や建物といった物体単位の領域を抽出する。
【0102】
空間解析部108は,各木の画像領域からスペクトル情報を抽出する。
【0103】
照合部109は,各木の領域スペクトルの類似度を計算し,木1202と木1203の領域から抽出したスペクトルの類似度が高い場合,木1202と木1203は同一とみなす。スペクトルの類似度は,スペクトル間の距離で表現することができる。また,尤度等で表現してもよい。この類似度により,木1204は,木1202や1203とは異なる状態または種類の木であると判定する。さらに,空間解析部108において,木1202と1203の二本の木を内包する領域を一つの領域として抽出する
照合部110は,画像から抽出した木1202と1203のスペクトルデータと,データ蓄積部102から読み出したスペクトルを照合し,最も類似度の高いスペクトルデータがメタ情報として保持している木の種類,状態等の情報を抽出する。
【0104】
結果調整部では,各スペクトルデータを領域に割り当て,さらに木の種類や状態といった情報を割り当て,画像表示部112で表示する。
【0105】
これにより,物体一つ一つだけでなく,複数の物体を内包するあるまとまった領域を管理し,領域単位でスペクトルから状態を把握することで,害虫被害の対処や施肥などに利用することができる。
【0106】
以上で本実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
【0107】
実施例では、衛星画像等の空中写真を用いたが、地上で測定するカメラ、センサ等の画像でもよい。地図データは、地図に限らず、何らかの位置情報(緯度経度や座標など)を含むデータであってもよい。
【0108】
その他、ハードウェア、プログラム等の具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0109】
101…スペクトル情報抽出装置、102…データ蓄積部、103…演算結果蓄積部、104…ユーザー設定部,105…データ入力部、106…画像対応部、107…物体認識部、108…空間解析部、109…照合部、110…スペクトル割り当て部、111…結果調整部、112…画像表示部,201…ディスプレイ、202…プリンタ、203…演算部、204…メモリ、205…HDD、206…キーボード、207…マウス、401…ユーザー,402…表示画面,403…演算部,404…データ蓄積部,501…解析領域,502…低空間分解能画像,503…高空間分解能画像,504…スペクトル,505…スペクトル,506…高空間分解能画像,601…解析領域,602…低空間分解能画像,603…地図,604…スペクトル,605…スペクトル,606…高空間分解能画像,701…画像,702…管理表,703…スペクトル,801…状態解析部,802…状態管理部,901…画像,1001…データ蓄積部,1002…スペクトルデータ,1101…画像,1102…画像,1201…画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析対象となる物体についての第1の空間分解能の画像データと、前記第1の空間分解能よりも空間分解能が低い前記解析対象となる物体についての第2の空間分解能の画像データとを入力する入力手段と、
前記第1の空間分解能の画像データと、前記第2の空間分解能の画像データとを対応付ける画像対応部と、
前記第1の空間分解能の画像データを用いて、前記解析対象となる物体が前記第2の空間分解能の画像データで占める割合を求める空間解析部と、
前記割合に基づいて、低空間分解能画像のスペクトルを複数のスペクトルに分解するスペクトル割当部と、
前記複数のスペクトルに基づいて、前記第1の空間分解能の画像データを再生成し、出力する手段とを、
有することを特徴とするスペクトル情報抽出装置。
【請求項2】
前記スペクトル情報抽出装置は、更に、スペクトルデータが蓄積されたデータ蓄積部を有し、
前記スペクトル割当部は、前記空間解析部で求めた割合と前記スペクトルデータを照合して,前記複数のスペクトルに分解することを特徴とする請求項1記載のスペクトル情報抽出装置。
【請求項3】
前記スペクトル情報抽出装置は、更に、スペクトル状態解析部を有し、
前記スペクトル状態解析部は、前記解析対象となる物体の少なくとも一つまたは所定の領域のスペクトルを解析し,前記物体の状態を推定することを特徴とする請求項2記載のスペクトル情報抽出装置。
【請求項4】
前記スペクトル情報抽出装置は、更に、スペクトル状態管理部を有し、
前記状態管理部は、前記推定された物体の状態に合わせて,処置方法を提示することを特徴とする請求項3記載のスペクトル情報抽出装置。
【請求項5】
更に、前記推定した物体の状態または前記処置方法を、地図上に重ね合わせて表示させる手段を有することを特徴とする請求項4記載のスペクトル情報抽出装置。
【請求項6】
前記処置方法は,ハザードマップを作成することであることを特徴とする請求項4記載のスペクトル情報抽出装置。
【請求項7】
前記第1の空間分解能の画像データは、地図データであることを特徴とする請求項1記載のスペクトル情報抽出装置。
【請求項8】
前記解析対象となる物体は複数あり、前記第1の空間分解能は前記物体それぞれを認識できる分解能であり、前記第2の空間分解能は前記物体それぞれを認識できない分解能であることを特徴とする請求項1記載のスペクトル情報抽出装置。
【請求項9】
前記解析対象となる物体は、複数の独立した物体であり、前記独立した物体の2つ以上を一纏めとして、前記複数のスペクトルのうちの1つのスペクトルを割り当てることを特徴とする請求項1記載のスペクトル情報抽出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−88876(P2012−88876A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234125(P2010−234125)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】