説明

スラスト受け機構評価装置

【課題】実機に近い状態で、精度よく、かつ、効率的にスラスト受け機構を評価することができるスラスト受け機構評価装置を提供する。
【解決手段】スラスト受け機構評価装置21は、第一および第二の固定部材24、25と、先端に第一および第二の固定部材24、25の間に配置される偏心部30を有する駆動軸22と、偏心部30に装着され、第一および第二の固定部材24、25の間に設けられ、径方向に延びる突部45を含み、第一および第二の固定部材24、25に対して偏心回転運動を行う偏心用軸受23と、第一および第二のスラスト受け機構11a、11bにスラスト荷重を負荷するスラスト荷重負荷手段26とを備える。第一のスラスト受け機構11aは、第一の固定軌道輪を第一の固定部材24に装着して配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スラスト受け機構評価装置に関し、特にスクロール形コンプレッサ等に使用されるスラスト受け機構の偏心回転性能等を評価するスラスト受け機構評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用給湯機のスクロール形コンプレッサは、旋回スクロールと固定スクロールが組み合わさり、旋回スクロールが旋回運動をして、吸入、圧縮をおこなっている。ここで、スクロール形コンプレッサの作動原理について、簡単に説明する。図8(A)〜(D)は、スクロール形コンプレッサの作動原理の概略を示す図である。まず、図8(A)を参照して、スクロール形コンプレッサ101は、渦巻き形状の旋回スクロール102と、同じく渦巻き形状の固定スクロール103と、互いの渦巻き形状の中心に位置する圧縮冷媒ガスの吐出部105を含む。固定スクロール103は、他部材に固定されており、公転運動を行うことはできない。旋回スクロール102は、自転運動を行うことはできないが、公転運動を行うことができるよう構成されている。旋回スクロール102の公転運動により、旋回スクロール102と固定スクロール103との間に生じる吸入口106a、106bが開口し、圧縮室104a、104bに、冷媒ガスが吸入される。旋回スクロール102が、図8(B)、図8(C)、図8(D)の順に公転運動し、旋回すると、徐々に圧縮室104a、104bの容積が小さくなり、圧縮室104a、104b内に吸入された冷媒ガスが圧縮され、吐出部105から吐出される。
【0003】
このような構造のスクロール形コンプレッサ、すなわち、固定スクロール103が固定され、旋回スクロール102が偏心回転運動を行うスクロール形コンプレッサにおいては、相互間に発生する偏心スラスト荷重を受ける必要がある。このような偏心スラスト荷重を受けるスラスト受け機構が、特開2000−186680号公報(特許文献1)、特開2002−242857号公報(特許文献2)に開示されている。
【0004】
特許文献1および特許文献2によると、ころ軸受の転動軸心を、互いに垂直な方向に向きを変えて上下に2列に配列し、偏心スラスト荷重を受けることにしている。図9は、この場合のスラスト受け機構の基本構造を示す分解斜視図である。また、図10は、この場合のスラスト受け機構の一部を示す断面図である。図9および図10を参照して、スラスト受け機構111は、一対の軌道輪112a、112bと、一対の軌道輪112a、112bの間に配置される中間輪113とを含む。一方の軌道輪112aと中間輪113との間には、第一のころ114aが配置され、図9において縦方向(紙面上下方向)に転動軸心を有するように、第一の保持器115aによって保持されている。また、他方の軌道輪112bと中間輪113との間には、第二のころ114bが配置され、図9において横方向(紙面左右方向)に転動軸心を有するように、第二の保持器115bによって保持されている。すなわち、第一のころ114aと第二のころ114bとの転動軸心は、互いに垂直な方向に配列されている。このように構成することにより、スラスト受け機構111は、偏心スラスト荷重を受けている。
【0005】
ここで、特開2003−120664号公報(特許文献3)には、スラスト荷重を受けるスラスト軸受の回転性能を評価するために、スラスト軸受に偏心スラスト荷重を加え、これによりスラスト軸受の回転性能を評価する試験装置が開示されている。
【特許文献1】特開2000−186680号公報(段落番号0019〜0021、図3)
【特許文献2】特開2002−242857号公報(段落番号0029、図5)
【特許文献3】特開2003−120664号公報(段落番号0008〜0014、図1、2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したスラスト受け機構111の偏心回転性能を評価するためには、評価装置を用いて評価する必要がある。従来において、スラスト荷重を受けるスラスト軸受を評価する試験装置があるが、図11に示すように、放射状にころ117が配置されたスラスト軸受116を評価対象としている。このような試験装置は、一方の軌道輪を固定し、他方の軌道輪を偏心回転運動させて、偏心スラスト荷重を負荷することはできないため、実機に近い条件で評価することはできない。
【0007】
また、特許文献3に示す試験装置は、偏心スラスト荷重を負荷することができるが、これも上記した試験装置と同様、一方の軌道輪を固定し、他方の軌道輪を偏心回転運動させることはできないため、実機と異なる評価条件となってしまう。
【0008】
特に、上記した構成のスラスト受け機構の評価精度を上げるためには、スラスト受け機構に含まれる一方の軌道輪を、適切に偏心回転運動させる必要がある。
【0009】
さらに、一度に複数のスラスト受け機構を評価することができれば、効率的である。
【0010】
この発明の目的は、実機に近い状態で、精度よく、かつ、効率的にスラスト受け機構を評価することができるスラスト受け機構評価装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るスラスト受け機構評価装置は、相互間で偏心回転運動を行う第一の部材と第二の部材との間に介在してスラスト荷重を支持する第一および第二のスラスト受け機構を一度に評価する。また、スラスト受け機構評価装置は、第一の部材に固定した固定軌道輪と、第二の部材に固定した旋回軌道輪と、固定軌道輪と旋回軌道輪との間に配置した中間輪と、固定軌道輪と中間輪との間に配置した複数の固定軌道輪側ころと、固定軌道輪側ころを転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケットを有する固定軌道輪側保持器と、旋回軌道輪と中間輪との間に配置した複数の旋回軌道輪側ころと、旋回軌道輪側ころを転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケットを有する旋回軌道輪側保持器とを具備し、固定軌道輪側ころの転動軸心と旋回軌道輪側ころの転動軸心とが直交し、かつ、第一の部材から固定軌道輪および固定軌道輪側保持器を貫通して中間輪まで延在する固定軌道輪側ガイドピン、ならびに、第二の部材から旋回軌道輪および旋回軌道輪側保持器を貫通して中間輪まで延在する旋回軌道輪側ガイドピンを具備し、固定軌道輪側ガイドピンが固定軌道輪側ころの転動軸線と直交する方向に、固定軌道輪側保持器および中間輪の規制範囲内において移動可能で、旋回軌道輪側ガイドピンが旋回軌道輪側ころの転動軸線と直交する方向に、旋回軌道輪側保持器および中間輪の規制範囲内において移動可能としたことを特徴とする第一および第二のスラスト受け機構を一度に評価する。スラスト受け機構評価装置は、第一および第二の固定部材と、先端に第一および第二の固定部材の間に配置される偏心部を有する駆動軸と、偏心部に装着され、第一および第二の固定部材の間に設けられ、径方向に延びる突部を含み、第一および第二の固定部材に対して偏心回転運動を行う旋回部材と、第二の固定部材に対して第一の固定部材に向かう方向の力を付与して、第一および第二のスラスト受け機構にスラスト荷重を負荷するスラスト荷重負荷手段とを備える。第一のスラスト受け機構は、第一のスラスト受け機構に含まれる第一の固定軌道輪を第一の固定部材に装着して配置される。第二のスラスト受け機構は、第二のスラスト受け機構に含まれる第二の固定軌道輪を第二の固定部材に装着し、第二のスラスト受け機構に含まれる第二の旋回軌道輪を第一のスラスト受け機構に含まれる第一の旋回軌道輪に固定して配置される。ここで、突部の径方向の端面は、第一または第二の旋回軌道輪の内径面と転接している。
【0012】
第一および第二の旋回軌道輪は、転接する突部から力を受け、偏心部とともに偏心回転運動を行う。第一の固定軌道輪は、第一の固定部材により固定される。第二の固定軌道輪は、第二の固定部材により固定される。第一および第二のスラスト受け機構には、スラスト荷重負荷手段によってスラスト荷重が負荷される。このような評価条件は、上記したスクロール形コンプレッサ等において使用される条件に近いものである。
【0013】
この場合、第一および第二の旋回軌道輪を固定しているため、第一のスラスト受け機構の偏心回転軸と、第二のスラスト受け機構の偏心回転軸との同軸度を高くすることができる。そうすると、第一および第二の旋回軌道輪を、より適切に偏心回転運動させることができるため、精度よく、第一および第二のスラスト受け機構を評価することができる。
【0014】
さらに、第一および第二のスラスト受け機構を一度に評価することができるため、効率的である。
【0015】
したがって、このようなスラスト受け機構評価装置を用いることにより、実機に近い状態で、精度よく、かつ、効率的にスラスト受け機構を評価することができる。
【0016】
好ましくは、第一および第二の旋回軌道輪は、第一のスラスト受け機構に含まれる第一の旋回軌道輪側ガイドピンまたは第二のスラスト受け機構に含まれる第二の旋回軌道輪側ガイドピンによって、固定される。こうすることにより、第一または第二のスラスト受け機構に含まれる旋回軌道輪側ガイドピンによって、容易に、互いの旋回軌道輪を固定することができる。
【0017】
さらに好ましくは、旋回部材は、外輪と、複数のころとを含む偏心用軸受であって、外輪の外周面には、突部が設けられている。こうすることにより、偏心用軸受によって、より円滑に、互いの旋回軌道輪を偏心回転運動させることができるため、さらに評価精度を向上させることができる。
【0018】
さらに好ましくは、第一および第二の旋回軌道輪は、兼用されている。こうすることにより、第一および第二の旋回軌道輪を固定する手間が省けるとともに、第一または第二のスラスト受け機構に含まれる構成部材のうち、一方の旋回軌道輪を省略することができるため、より、効率的にスラスト受け機構を評価することができる。
【0019】
さらに好ましくは、突部の厚みは、固定された第一および第二の旋回軌道輪の軸方向の厚み以下である。偏心部の偏心回転運動に伴い、第一および第二の旋回軌道輪側保持器も偏心回転運動を行う。ここで、旋回軌道輪側保持器が、旋回軌道輪よりも内径側に位置する場合があり、突部と干渉するおそれがある。しかし、このように構成することにより、旋回軌道輪側保持器と、突部との干渉を防止することができる。
【0020】
さらに好ましくは、突部のうち、第一の固定部材に対向する面は、第一のスラスト受け機構に含まれる第一の旋回軌道輪側保持器のうち、第二の固定部材に対向する面よりも第二の固定部材側に配置され、突部のうち、第二の固定部材に対向する面は、第二のスラスト受け機構に含まれる第二の旋回軌道輪側保持器のうち、第一の固定部材に対向する面よりも第一の固定部材側に配置される。こうすることによっても、第一および第二のスラスト受け機構に含まれる旋回軌道輪側保持器と、突部との干渉を防止することができる。
【0021】
さらに好ましくは、スラスト荷重負荷手段は、駆動軸の中心軸線から偏心された位置にスラスト荷重を負荷する荷重点を含む。こうすることにより、第一および第二のスラスト受け機構に対し、偏心した位置にスラスト荷重を負荷することができるため、さらに実機に近い評価条件とすることができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、第一および第二の旋回軌道輪は、転接する突部から力を受け、偏心部とともに偏心回転運動を行う。第一の固定軌道輪は、第一の固定部材により固定される。第二の固定軌道輪は、第二の固定部材により固定される。第一および第二のスラスト受け機構には、スラスト荷重負荷手段によってスラスト荷重が負荷される。このような評価条件は、上記したスクロール形コンプレッサ等において使用される条件に近いものである。
【0023】
この場合、第一および第二の旋回軌道輪を固定しているため、第一のスラスト受け機構の偏心回転軸と、第二のスラスト受け機構の偏心回転軸との同軸度を高くすることができる。そうすると、第一および第二の旋回軌道輪を、より適切に偏心回転運動させることができるため、精度よく、第一および第二のスラスト受け機構を評価することができる。
【0024】
さらに、第一および第二のスラスト受け機構を一度に評価することができるため、効率的である。
【0025】
その結果、実機に近い状態で、精度よく、かつ、効率的にスラスト受け機構を評価することができるスラスト受け機構評価装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図2は、この発明の一実施形態に係るスラスト受け機構評価装置によって評価される第一および第二のスラスト受け機構のうち、第一のスラスト受け機構を示す分解斜視図である。図2を参照して、第一のスラスト受け機構11aは、第一の部材であるハウジング20aと、ハウジング20aに対して偏心回転運動を行う第二の部材としての回転部材20bとの間に介在して、ハウジング20aと回転部材20bとの間に発生するスラスト荷重を支持する。
【0027】
第一のスラスト受け機構11aは、平板状の環状部材であって片面に軌道面を有し、軌道面と反対側の面がハウジング20aに取り付けられる第一の固定軌道輪12aと、平板状の環状部材であって片面に軌道面を有し、軌道面と反対側の面が回転部材20bに取り付けられる第一の旋回軌道輪12bと、平板状の環状部材であってその両面に軌道面を有する第一の中間輪13aとを備える。第一の固定軌道輪12aと第一の旋回軌道輪12bとは、軌道面が対向するように配置される。第一の中間輪13aは、双方の軌道面が、第一の固定軌道輪12aの軌道面および第一の旋回軌道輪12bの軌道面と対向するように、第一の固定軌道輪12aと第一の旋回軌道輪12bとの間に配置される。
【0028】
第一のスラスト受け機構11aは、第一の固定軌道輪12aと第一の中間輪13aとの間に配置され、第一の固定軌道輪12aおよび第一の中間輪13aの軌道面と接する複数の第一の固定軌道輪側ころ14aと、第一の旋回軌道輪12bと第一の中間輪13aとの間に配置され、第一の旋回軌道輪12bおよび第一の中間輪13aの軌道面と接する複数の第一の旋回軌道輪側ころ14bとを備える。第一の固定軌道輪側ころ14aは、上下方向に配置される第一の固定軌道輪12aの軌道面および第一の中間輪13aの軌道面を転動する。第一の旋回軌道輪側ころ14bは、上下方向に配置される第一の旋回軌道輪12bの軌道面および第一の中間輪13aの軌道面を転動する。
【0029】
第一のスラスト受け機構11aは、平板状の環状部材であって複数の第一の固定軌道輪側ころ14aを保持する第一の固定軌道輪側保持器15aと、平板状の環状部材であって複数の第一の旋回軌道輪側ころ14bを保持する第一の旋回軌道輪側保持器15bとを備える。複数の第一の固定軌道輪側ころ14aは、その転動軸心が矢印Aの方向に整列して向くように、第一の固定軌道輪側保持器15aによって互いに平行になるように保持されている。同様に、第一の旋回軌道輪側ころ14bは、その転動軸心が矢印Aの方向と直交する矢印Bの方向に整列して向くように、第一の旋回軌道輪側保持器15bによって互いに平行になるように保持されている。第一の固定軌道輪側保持器15aには、ポケットに保持した第一の固定軌道輪側ころ14aの脱落を防止するため、第一の中間輪13a側および第一の固定軌道輪12a側にころ止め部(図示せず)が設けられている。同様に、第一の旋回軌道輪側保持器15bについても、ポケットに保持した第一の旋回軌道輪側ころ14bの脱落を防止するため、第一の中間輪13a側および第一の旋回軌道輪12b側にころ止め部(図示せず)が設けられている。
【0030】
第一の固定軌道輪12aには、180度間隔で相互に対向する位置に一対の第一の丸孔17aが設けられており、第一の中間輪13aおよび第一の固定軌道輪側保持器15aには、180度間隔で相互に対向し、長手方向が揃うように、一対の第一の長孔18a、19aが設けられている。一対の第一の長孔18a、19aは、半径方向に延びており、第一の固定軌道輪側ころ14aの転動軸線方向(矢印Aの方向)と直交する方向へのそれら自身の移動を許容し、その寸法関係は19a<18aとなっている。
【0031】
第一のスラスト受け機構11aは、ハウジング20aから第一の固定軌道輪12aおよび第一の固定軌道輪側保持器15aを貫通して第一の中間輪13aまで延在するよう、一対の第一の固定軌道輪側ガイドピン16aを備える。一対の第一の固定軌道輪側ガイドピン16aを、第一の丸孔17a、第一の長孔18a、19aに挿通することにより、各部材の周方向が位置決めされるとともに、第一の固定軌道輪12aはハウジング20aに固定される。また、第一の中間輪13aおよび第一の固定軌道輪側保持器15aは、第一の長孔18a、19aの許容範囲内で、第一の固定軌道輪側ころ14aの転動軸線方向と直交する方向、すなわち、矢印Bの方向またはその逆の方向に移動可能である。
【0032】
同様に、第一の旋回軌道輪12bには、180度間隔で相互に対向する位置に一対の第一の丸孔17bが設けられており、第一の中間輪13aおよび第一の旋回軌道輪側保持器15bには、180度間隔で相互に対向し、長手方向が揃うように、一対の第一の長孔18b、19bが設けられている。なお、第一の中間輪13aに設けられた一対の第一の長孔18a、18bは、相互に90度間隔で設けられている。一対の第一の長孔18b、19bは、半径方向に延びており、第一の旋回軌道輪側ころ14bの転動軸線方向(矢印Bの方向)と直交する方向へのそれら自身の移動を許容し、その寸法関係は19b<18bとなっている。
【0033】
第一のスラスト受け機構11aは、回転部材20bから第一の旋回軌道輪12bおよび第一の旋回軌道輪側保持器15bを貫通して第一の中間輪13aまで延在するよう、一対の第一の旋回軌道輪側ガイドピン16bを備える。一対の第一の旋回軌道輪側ガイドピン16bを、第一の丸孔17b、第一の長孔18b、19bに挿通することにより、各部材の周方向が位置決めされるとともに、第一の旋回軌道輪12bは回転部材20bに固定され、第一の中間輪13aおよび第一の旋回軌道輪側保持器15bは、第一の長孔18b、19bの許容範囲内で、第一の旋回軌道輪側ころ14bの転動軸線方向と直交する方向、すなわち、矢印Aの方向またはその逆の方向に移動可能である。
【0034】
このような構成により、ハウジング20aが固定された状態で、回転部材20bが偏心回転運動を行っても、第一の固定軌道輪側保持器15a、第一の旋回軌道輪側保持器15bおよび第一の中間輪13aは、矢印A、Bの方向またはその逆の方向への移動が許容され、第一の固定軌道輪側ころ14aおよび第一の旋回軌道輪側ころ14bが転動することにより、第一のスラスト受け機構11aは、回転部材20bと、ハウジング20aとの間の偏心スラスト荷重を支持することができる。
【0035】
次に、第一および第二のスラスト受け機構11a、11bの偏心回転性能を評価するスラスト受け機構評価装置について説明する。図1は、スラスト受け機構評価装置21の構成を示す概略図である。図3は、図1で示すスラスト受け機構評価装置21のうち、IIIで示す部分の拡大断面図である。なお、スラスト受け機構評価装置によって評価される第二のスラスト受け機構11bは、図3を参照して、第二の固定軌道輪12cと、第二の旋回軌道輪12dと、第二の中間輪13bと、第二の固定軌道輪側保持器15cと、第二の旋回軌道輪側保持器15dと、第二の固定軌道輪側ころ14cと、第二の旋回軌道輪側ころ(図示せず)と、一対の第二の固定軌道輪側ガイドピン(図示せず)と、一対の第二の旋回軌道輪側ガイドピン(図示せず)とを含み、その他の構成についても、上記した第一のスラスト受け機構11aと同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0036】
図1、図2および図3を参照して、スラスト受け機構評価装置21は、第一および第二の固定部材24、25と、先端に第一および第二の固定部材24、25の間に配置される偏心部30を有する駆動軸22と、偏心部30に装着され、第一および第二の固定部材24、25の間に設けられ、径方向に延びる突部45を含み、第一および第二の固定部材24、25に対して偏心回転運動を行う旋回部材としての偏心用軸受23と、第二の固定部材25に対して第一の固定部材24に向かう方向の力を付与して、第一および第二のスラスト受け機構11a、11bにスラスト荷重を負荷するスラスト荷重負荷手段26とを備える。
【0037】
偏心部30は、その回転中心軸33が、駆動軸22の回転中心軸34と、寸法Cだけ偏心している。第一および第二の固定部材24、25は、その径方向および周方向の位置がケーシング28によって定められている。なお、ここでは、第一のスラスト受け機構11a側に配置される固定部材を第一の固定部材24とし、第二のスラスト受け機構11b側に配置される固定部材を第二の固定部材25とする。また、第一および第二の固定部材24、25のうち、第二の固定部材25が、第一の固定部材24よりも上側に配置されている。
【0038】
第一のスラスト受け機構11aは、第一のスラスト受け機構11aに含まれる第一の固定軌道輪12aを第一の固定部材24に装着して配置される。第二のスラスト受け機構11bは、第二のスラスト受け機構11bに含まれる第二の固定軌道輪12cを第二の固定部材25に装着し、第二のスラスト受け機構11bに含まれる第二の旋回軌道輪12dを第一のスラスト受け機構11aに含まれる第一の旋回軌道輪12bに固定して配置される。第一の固定軌道輪12aは、その軌道面と反対の面を、下方に位置する第一の固定部材24に装着される。また、第二のスラスト受け機構11bに含まれる第二の固定軌道輪12cは、その軌道面と反対の面を、上方に位置する第二の固定部材25に装着される。なお、第一の固定部材24と第一の固定軌道輪12aおよび第二の固定部材25と第二の固定軌道輪12cの装着に際しては、径方向の位置において、第一の固定軌道輪12aに設けられた一対の丸孔17b等から90度位相をずらした位置に、それぞれ2箇所ずつ丸孔(図示せず)を設け、この丸孔にガイドピン(図示せず)を圧入することにより、それぞれの部材を装着する。
【0039】
第一の旋回軌道輪12bと、第二の旋回軌道輪12dとは、互いの軌道面と反対の面を転接するように、固定される。ここで、第一および第二の旋回軌道輪12b、12dの固定に際しては、第一のスラスト受け機構11aに含まれる一対の第一の旋回軌道輪側ガイドピン16bを、第二のスラスト受け機構11bに設けられた一対の第二の丸孔17dに圧入し、一対の第二の長孔18d、19dを挿通するように、互いの軌道輪を固定する。この場合、一対の第一の旋回軌道輪側ガイドピン16bは、第一のスラスト受け機構11aに含まれる第一の中間輪13aから、第一の旋回軌道輪側保持器15b、第一の旋回軌道輪12b、第二の旋回軌道輪12d、第二の旋回軌道輪側保持器15dを貫通して、第二のスラスト受け機構11bに含まれる第二の中間輪13bまで延在することになる。こうすることにより、一対の第一の旋回軌道輪側ガイドピン16bによって、第一および第二の旋回軌道輪12b、12d等の周方向の位置決めができるとともに、容易に、第一および第二の旋回軌道輪12b、12dを固定することができる(図3参照)。この場合、第二のスラスト受け機構11bに含まれる一対の第二の旋回軌道輪側ガイドピンを省略することができる。また、第二のスラスト受け機構11bに含まれる一対の第二の旋回軌道輪側ガイドピンを、第一の旋回軌道輪12bに設けられた一対の第一の丸孔17bに圧入等することにより、第一および第二の旋回軌道輪12b、12dを固定することにしてもよい。
【0040】
偏心用軸受23は、第一および第二の固定部材24、25の間に設けられ、軸部37および固定部27を介して、偏心部30に装着される。ここで、スラスト受け機構評価装置21に備えられる偏心用軸受23の構成について、説明する。図4(A)は、偏心用軸受23の軸方向の断面図である。図3および図4(A)を参照して、偏心用軸受23は、外輪41と、複数のころ42と、複数のころ42を保持する保持器43とを含む。偏心用軸受23は、ころ42の転動軸心が天地の方向に向くように配置される。偏心用軸受23には、ころ42および保持器43の軸方向の移動の規制等のため、フランジ44a、側板44bが設けられている。フランジ44a、側板44bは、その側面48a、48bが、外輪41の幅面47a、47bに転接するように取り付けられる。なお、ころ42および保持器43は、予め組み込まれた保持器付きころであってもよい。
【0041】
ここで、外輪41の外径面46には、径方向に延びる突部45が設けられる。外径面46からの突部45の突出量は、スラスト受け機構評価装置21に備えられたときに、突部45の径方向の端面49が、第一の旋回軌道輪12bの内径面56bおよび第二の旋回軌道輪12dの内径面56dに当接する突出量である。すなわち、スラスト受け機構評価装置21に備えられたときに、突部45の径方向の端面49は、第一および第二の旋回軌道輪12b、12dの内径面56b、56dと当接している。また、突部45の形状は、内径面56b、56dに沿う形状である。
【0042】
なお、図4(B)に示すように、偏心用軸受51は、軸方向に配置される2つのころ53a、53bを有するローラフォロアタイプ、すなわち、軸方向に配置される2つのころ53a、53bが組み込まれた厚肉の外輪52に、径方向に延びる突部54が設けられた構造としてもよい。
【0043】
図1、図2および図3に戻って、スラスト荷重負荷手段26は、第二の固定部材25に対して、矢印Eの方向、すなわち、第一の固定部材24に向かう方向に力を付与する。スラスト荷重負荷手段26は、駆動軸22の回転中心軸34から寸法Dだけ偏心した位置に、スラスト荷重を負荷する荷重点36を含む。この荷重点36から矢印Eの方向に力を付与することにより、第一および第二のスラスト受け機構11a、11bに対し、寸法Dだけ偏心した位置にスラスト荷重を負荷することができる。
【0044】
第二の固定部材25の上部側であって、第二の旋回軌道輪12dが装着される側と反対の側には、軸方向に凹み、最下点に荷重点36を有する凹部32が設けられている。凹部32内には、荷重点36を通る凹部32の中心軸31上に中心が位置するよう、荷重を負荷する荷重負荷用玉35が備えられている。凹部32の径方向の位置は、凹部32の中心軸31が、回転中心軸34よりも寸法Dだけ偏心した位置に設けられている。スラスト荷重負荷手段26は、第二の固定部材25に対して、この荷重負荷用玉35を通じて、第一の固定部材24に向かう方向に力を付与することにより、第一および第二のスラスト受け機構11a、11bに偏心スラスト荷重を負荷することができる。
【0045】
次に、上記した構成のスラスト受け機構評価装置21の動作について説明する。駆動軸22を回転させると、偏心部30は、駆動軸22の回転中心軸34から寸法Cだけ偏心して回転する。そうすると、偏心用軸受23も偏心回転運動を行い、これに伴って、突部45の端面49と当接する第一および第二の旋回軌道輪12b、12dも力を受け、偏心回転運動を行う。第一および第二の固定軌道輪12a、12cはそれぞれ、第一および第二の固定部材24、25に装着されており、固定される。
【0046】
このように第一および第二の固定部材24、25を固定して、偏心用軸受23を偏心回転運動させながら、スラスト荷重負荷手段26によって、第一および第二のスラスト受け機構11a、11bに対し、偏心スラスト荷重を負荷することにより、第一および第二のスラスト受け機構11a、11bを、実機に近い条件で評価することができる。この場合、第一のスラスト受け機構11aに含まれる第一の旋回軌道輪12bと、第二のスラスト受け機構11bに含まれる第二の旋回軌道輪12dとを固定しているため、第一のスラスト受け機構11aの偏心回転軸と、第二のスラスト受け機構11bの偏心回転軸との同軸度を高くすることができる。したがって、第一および第二の旋回軌道輪12b、12dを、適切に偏心回転運動させることができるため、精度よく、第一および第二のスラスト受け機構11a、11bを評価することができる。なお、偏心用軸受23によって、より円滑に、互いの旋回軌道輪を偏心回転運動させることができるため、さらに評価精度を向上させることができる。さらに、一度に第一および第二のスラスト受け機構11a、11bを評価することができるため、効率的である。
【0047】
以上より、このようなスラスト受け機構評価装置21を用いることにより、実機に近い状態で、精度よく、かつ、効率的に第一および第二のスラスト受け機構11a、11bの評価試験を行うことができる。
【0048】
なお、上記の実施の形態においては、第二の固定部材25が、第一の固定部材24の上方に位置することにしたが、これに限らず、第一の固定部材24が、第二の固定部材25の上方に位置するよう、配置してもよい。
【0049】
ここで、突部45の厚みは、固定された第一および第二の旋回軌道輪12b、12dの厚み以下とする。図5は、突部45付近の拡大断面図である。図5を参照して、突部45の厚みをFとし、固定された第一の旋回軌道輪12bと第二の旋回軌道輪12dの厚みをGとすると、F≦Gとする。
【0050】
偏心部30の偏心回転運動に伴い、第一および第二のスラスト受け機構11a、11bに含まれる第一および第二の旋回軌道輪側保持器15b、15dも偏心回転運動を行う。ここで、第一および第二の旋回軌道輪側保持器15b、15dが、第一および第二の旋回軌道輪12b、12dよりも内径側に位置する場合がある。すなわち、第一および第二の旋回軌道輪側保持器15b、15dの内径面57b、57dが、第一および第二の旋回軌道輪12b、12dの内径面56b、56dよりも、突部45側に配置される場合がある。ここで、F>Gであると、第一および第二の旋回軌道輪側保持器15b、15dの内径面57b、57dが、突部45と干渉するおそれがある。しかし、このように構成することにより、第一および第二の旋回軌道輪側保持器15b、15dと、突部45との干渉を防止することができる。
【0051】
また、突部45のうち、第一の固定部材24に対向する面58aは、第一のスラスト受け機構11aに含まれる第一の旋回軌道輪側保持器15bのうち、第二の固定部材25に対向する面59bよりも第二の固定部材25側に配置され、突部45のうち、第二の固定部材25に対向する面58bは、第二のスラスト受け機構11bに含まれる第二の旋回軌道輪側保持器15dのうち、第一の固定部材24に対向する面59dよりも第一の固定部材24側に配置される。こうすることにより、偏心回転運動を行う第一および第二の旋回軌道輪側保持器15b、15dと突部45との間にすき間を設けることができ、両部材の干渉を防止することができる。
【0052】
なお、上記の実施の形態においては、第一のスラスト受け機構11aに含まれる第一の旋回軌道輪12bと第二のスラスト受け機構11bに含まれる第二の旋回軌道輪12dとを固定することにしたが、これに限らず、第一の旋回軌道輪12bと第二の旋回軌道輪12dを兼用することにしてもよい。図6は、この場合の第一および第二のスラスト受け機構11c、11dをスラスト受け機構評価装置21に取付けた場合の突部45周辺の拡大断面図である。図6を参照して、旋回軌道輪12eは、その両面に軌道面60a、60bを有する。第一のスラスト受け機構11cは、旋回軌道輪12eを含む。第一のスラスト受け機構11cに含まれる第一の旋回軌道輪側ころ(図示せず)は、旋回軌道輪12eの一方の軌道面60aを転動する。また、第二のスラスト受け機構11dも、旋回軌道輪12eを含む。第二のスラスト受け機構11dに含まれる第二の旋回軌道輪側ころ(図示せず)は、旋回軌道輪12eの他方の軌道面60bを転動する。
【0053】
このように旋回側の軌道輪を兼用することにより、第一および第二の旋回軌道輪12b、12dを固定する手間が省けるとともに、第一または第二のスラスト受け機構11c、11dに含まれる構成部材を省略することができ、効率的になる。
【0054】
なお、この場合においても、偏心用軸受61に含まれ、外輪62の外周面に設けられた突部63の厚みは、旋回軌道輪12eの厚み以下とする(F’≦G’)。また、突部63のうち、第一の固定部材24に対向する面58a’は、第一のスラスト受け機構11cに含まれる第一の旋回軌道輪側保持器15b’のうち、第二の固定部材25に対向する面59b’よりも第二の固定部材25側に配置され、突部63のうち、第二の固定部材25に対向する面58b’は、第二のスラスト受け機構11dに含まれる第二の旋回軌道輪側保持器15d’のうち、第一の固定部材24に対向する面59d’よりも第一の固定部材24側に配置されるようにする。
【0055】
さらに、実機での冷媒雰囲気における希薄潤滑条件とするため、白灯油やPAG(ポリアルキレングリコール)オイルで構成される低粘度油等で評価する場合、灯油およびPAGオイルに対して耐性を有する四フッ化エチレン樹脂、水素化ニトリルゴム等のシールを備えてもよい。
【0056】
次に、上記したスラスト受け機構評価装置21を用いて、第一および第二のスラスト受け機構11a、11b等に含まれる軌道輪の摩耗量を評価する試験を行った。軌道輪の母線形状曲線71a、71bを、図7(A)および図7(B)に示す。
【0057】
なお、寸法C、寸法Dを含む具体的な試験条件は、以下の通りである。
【0058】
スラスト荷重 :1000N(荷重位置:中心軸線から12.5mmの位置)
回転速度 :1500r/min(公転半径2.5mm)
潤滑剤 :PAG+白灯油
図7(A)は、実機、すなわち、前述したスクロール形コンプレッサ等に備えられたスラスト受け機構の軌道輪の母線形状曲線71a、図7(B)は、この発明に係るスラスト受け機構評価装置に備えられ、偏心スラスト荷重が加えられたスラスト受け機構の軌道輪の母線形状曲線71bを示す。
【0059】
図7(A)を参照して、実機に備えられたスラスト受け機構に含まれる軌道輪の母線形状曲線71aは、3.5μm程度摩耗している。これに対し、図7(B)を参照して、固定部材側に取り付けられた軌道輪の母線形状曲線71bも、3.5μm程度摩耗している。
【0060】
このように、軌道輪の摩耗量がほぼ同じである。したがって、実機における軌道輪の最大摩耗量と、この発明に係るスラスト受け機構評価装置における軌道輪の最大摩耗量とがほぼ同じとなる。
【0061】
なお、上記の実施の形態においては、第一の旋回軌道輪12bと第二の旋回軌道輪12dとを、一対の第一の旋回軌道輪側ガイドピン16bで固定することにしたが、これに限らず、他にガイドピンを設け、このガイドピンにより、第一および第二の旋回軌道輪12b、12dを固定することにしてもよい。また、ガイドピン以外の部材で、第一および第二の旋回軌道輪12b、12d等を固定することにしてもよい。
【0062】
また、上記の実施の形態においては、第一および第二の旋回軌道輪12b、12dの内径面56b、56dを、突部45の径方向の端面49に当接させることにしたが、これに限らず、いずれか一方のみ、すなわち、内径面56bまたは内径面56dのみを転接させることにしてもよい。なお、旋回部材として偏心用軸受23を用いたが、これに限らず、径方向に延びる突部45を有する円板状部材であってもよい。この場合、突部45の径方向の端面49と第二の軌道輪12bの内径面56a等との転接面を転がせて、偏心回転運動させる。また、偏心用軸受23は、すべり軸受であってもよい。
【0063】
なお、上記の実施の形態において、寸法Dだけ偏心させた位置にスラスト荷重を負荷することにしたが、これに限らず、寸法Dを0として、偏心させない条件でスラスト荷重を負荷することもできる。
【0064】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明に係るスラスト受け機構評価装置は、実機に近い状態で、精度よく、かつ、効率的にスラスト受け機構を評価することができるため、大量生産されるスクロール形コンプレッサ等に備えられるスラスト受け機構の性能を評価する際に、有効に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の一実施形態に係るスラスト受け機構評価装置の概略図である。
【図2】スラスト受け機構評価装置によって評価される第一のスラスト受け機構を示す分解斜視図である。
【図3】図1に示すスラスト受け機構評価装置のうち、図1中のIIIで示す部分を表す拡大断面図である。
【図4】スラスト受け機構評価装置に含まれる偏心用軸受のうち、(A)ころ軸受タイプ、(B)ローラフォロアタイプを示す断面図である。
【図5】偏心用軸受に含まれる突部付近を示す拡大断面図である。
【図6】第一および第二のスラスト受け機構の旋回軌道輪を兼用した場合のスラスト受け機構をスラスト受け機構評価装置に取り付けた場合を表す断面図である。
【図7】スラスト受け機構評価装置によって試験されたスラスト受け機構に含まれる軌道輪の摩耗量を表す図であり、(A)実機におけるスラスト受け機構に備えられる軌道輪の母線形状曲線、(B)スラスト受け機構評価装置によって偏心スラスト荷重が加えられたスラスト受け機構の軌道輪の母線形状曲線を示す図である。
【図8】スクロール形コンプレッサの作動原理を示す概略図である。
【図9】従来におけるスラスト受け機構を表す分解斜視図である。
【図10】従来におけるスラスト受け機構の一部を示す断面図である。
【図11】従来におけるスラスト軸受を軸方向からみた概略図である。
【符号の説明】
【0067】
11a,11c 第一のスラスト受け機構、11b,11d 第二のスラスト受け機構、12a 第一の固定軌道輪、12b 第一の旋回軌道輪、12c 第二の固定軌道輪、12d 第二の旋回軌道輪、12e 旋回軌道輪、13a 第一の中間輪、13b 第二の中間輪、14a 第一の固定軌道輪側ころ、14b 第一の旋回軌道輪側ころ、14c 第二の固定軌道輪側ころ、15a 第一の固定軌道輪側保持器、15b,15b’ 第一の旋回軌道輪側保持器、15c 第二の固定軌道輪側保持器、15d,15d’ 第二の旋回軌道輪側保持器、16a 第一の固定軌道輪側ガイドピン、16b 第一の旋回軌道輪側ガイドピン、17a,17b 第一の丸孔、17d 第二の丸孔、18a,18b,19a,19b 第一の長孔、18d,19d 第二の長孔、20a ハウジング、20b 回転部材、21 スラスト受け機構評価装置、22 駆動軸、23,51,61 偏心用軸受、24 第一の固定部材、25 第二の固定部材、26 スラスト荷重負荷手段、27 固定部、28 ケーシング、30 偏心部、31 中心軸、32 凹部、33,34 回転中心軸、35 荷重負荷用玉、36 荷重点、37 軸部、41,52,62 外輪、42,53a,53b ころ、43 保持器、44a フランジ、44b 側板、45,54,63 突部、46 外径面、47a,47b 幅面、48a,48b 側面、49 端面、56b,56d,57b,57d 内径面、58a,58a’,58b,58b’,59b,59b’,59d,59d’ 面、60a,60b 軌道面、71a,71b 母線形状曲線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互間で偏心回転運動を行う第一の部材と第二の部材との間に介在してスラスト荷重を支持する第一および第二のスラスト受け機構を一度に評価するスラスト受け機構評価装置であって、第一の部材に固定した固定軌道輪と、第二の部材に固定した旋回軌道輪と、固定軌道輪と旋回軌道輪との間に配置した中間輪と、固定軌道輪と中間輪との間に配置した複数の固定軌道輪側ころと、固定軌道輪側ころを転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケットを有する固定軌道輪側保持器と、旋回軌道輪と中間輪との間に配置した複数の旋回軌道輪側ころと、旋回軌道輪側ころを転動軸心が互いに平行になるように保持するための複数のポケットを有する旋回軌道輪側保持器とを具備し、固定軌道輪側ころの転動軸心と旋回軌道輪側ころの転動軸心とが直交し、かつ、第一の部材から固定軌道輪および固定軌道輪側保持器を貫通して中間輪まで延在する固定軌道輪側ガイドピン、ならびに、第二の部材から旋回軌道輪および旋回軌道輪側保持器を貫通して中間輪まで延在する旋回軌道輪側ガイドピンを具備し、固定軌道輪側ガイドピンが固定軌道輪側ころの転動軸線と直交する方向に、固定軌道輪側保持器および中間輪の規制範囲内において移動可能で、旋回軌道輪側ガイドピンが旋回軌道輪側ころの転動軸線と直交する方向に、旋回軌道輪側保持器および中間輪の規制範囲内において移動可能としたことを特徴とする第一および第二のスラスト受け機構を一度に評価するスラスト受け機構評価装置において、
第一および第二の固定部材と、
先端に前記第一および第二の固定部材の間に配置される偏心部を有する駆動軸と、
前記偏心部に装着され、前記第一および第二の固定部材の間に設けられ、径方向に延びる突部を含み、前記第一および第二の固定部材に対して偏心回転運動を行う旋回部材と、
前記第二の固定部材に対して前記第一の固定部材に向かう方向の力を付与して、前記第一および第二のスラスト受け機構にスラスト荷重を負荷するスラスト荷重負荷手段とを備え、
前記第一のスラスト受け機構は、前記第一のスラスト受け機構に含まれる第一の固定軌道輪を前記第一の固定部材に装着して配置され、
前記第二のスラスト受け機構は、前記第二のスラスト受け機構に含まれる第二の固定軌道輪を前記第二の固定部材に装着し、前記第二のスラスト受け機構に含まれる第二の旋回軌道輪を前記第一のスラスト受け機構に含まれる第一の旋回軌道輪に固定して配置され、
前記突部の径方向の端面は、前記第一または第二の旋回軌道輪の内径面と転接している、スラスト受け機構評価装置。
【請求項2】
前記第一および第二の旋回軌道輪は、第一のスラスト受け機構に含まれる第一の旋回軌道輪側ガイドピンまたは第二のスラスト受け機構に含まれる第二の旋回軌道輪側ガイドピンによって、固定される、請求項1に記載のスラスト受け機構評価装置。
【請求項3】
前記旋回部材は、外輪と、複数のころとを含む偏心用軸受であって、
前記外輪の外周面には、前記突部が設けられている、請求項1または2に記載のスラスト受け機構評価装置。
【請求項4】
前記第一および第二の旋回軌道輪は、兼用されている、請求項1〜3のいずれかに記載のスラスト受け機構評価装置。
【請求項5】
前記突部の厚みは、固定された前記第一および第二の旋回軌道輪の軸方向の厚み以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のスラスト受け機構評価装置。
【請求項6】
前記突部のうち、前記第一の固定部材に対向する面は、前記第一のスラスト受け機構に含まれる第一の旋回軌道輪側保持器のうち、前記第二の固定部材に対向する面よりも前記第二の固定部材側に配置され、
前記突部のうち、前記第二の固定部材に対向する面は、前記第二のスラスト受け機構に含まれる第二の旋回軌道輪側保持器のうち、前記第一の固定部材に対向する面よりも前記第一の固定部材側に配置される、請求項1〜5のいずれかに記載のスラスト受け機構評価装置。
【請求項7】
前記スラスト荷重負荷手段は、前記駆動軸の中心軸線から偏心された位置にスラスト荷重を負荷する荷重点を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のスラスト受け機構評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−263675(P2007−263675A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87827(P2006−87827)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】