説明

スラット開閉装置

【課題】室内光の受光により電気エネルギを発生させ得るスラット開閉装置を提供する。
【解決手段】スラット開閉装置は、光が透過できる透光窓10をもつ構造物1に配設される基部2と、複数のスラット4を一方向に並設して形成され少なくとも一枚のスラット4を基部2に対して回動させる回動スラット4Rとし、構造物1の透光窓10を閉鎖可能なスラット群3と、回動スラット4Rを回動させる作動部7とを有する。回動スラット4Rは、受光に伴い電気エネルギを発生させるソーラー電池6を有する。回動スラット4Rは、スラット群3が透光窓10を被覆しているときにおいて、ソーラー電池6が室内光を受光するようにソーラー電池6が室内52側に指向する位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシャッタおよび/またはブラインドとして機能できるスラット群を有するスラット開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、横長シート状のスラットのうち太陽光が入射する側にソーラー電池およびシート状ポリマー電池を設けたブラインド装置が開示されている。特許文献2には、横長シート状のスラットのうち太陽光が入射する側にソーラー電池を設けたブラインド装置が開示されている。特許文献3には、回転ドラムに巻き取られるフレキシブルな広面積状のフィルムにソーラー電池が組み込まれたブラインドまたはオーニングが開示されている。このものは複数のスラットを備えるスラット群を有するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−82058号公報
【特許文献2】特開2004−27661号公報
【特許文献3】特表2008−527202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来技術によれば、室外の太陽光を受光して電気エネルギを発生させ得るものの、室内光の受光を意図したものではない。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、様相1の発明は室内光の受光により電気エネルギを発生させることを意図するスラット開閉装置を提供することを課題とする。様相2の発明は、室内光の受光により電気エネルギを発生させ、且つ、室外光の受光により電気エネルギを発生させることを意図するスラット開閉装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
様相1に係るスラット開閉装置は、(i)光が透過できる透光部をもつ構造物に配設される基部と、(ii)基部に保持され、複数のスラットを一方向に並設して形成され、少なくとも一枚のスラットを基部に対して回動させる回動スラットとし、構造物の透光部を被覆可能なスラット群と、(iii)回動スラットを回動させる作動部とを具備しており、(iv)回動スラットは、受光に伴い電気エネルギを発生させるソーラー電池を備えており、(v)回動スラットは、スラット群が透光部を被覆しているときにおいて、ソーラー電池が室内光を受光するようにソーラー電池が室内側に指向する位置に設けられている。
【0007】
スラット群が透光部を被覆しているときにおいて、回動スラットは、ソーラー電池が室内光を受光するようにソーラー電池が室内側に指向する位置に設けられている。このため回動スラットに保持されているソーラー電池は室内側に指向して、室内光を受光でき、室内光に基づいて電気エネルギを発生できる。
【0008】
様相2に係るスラット開閉装置によれば、回動スラットは、スラット群が透光部を被覆しているときにおいて、ソーラー電池が室内光を受光するようにソーラー電池が室内側に指向する第1位置と、回動に伴いソーラー電池が室外光を受光するようにソーラー電池が室外側に指向する第2位置とに切替可能に設けられている。
【0009】
スラット群が透光部を被覆しているときにおいて、回動スラットは、ソーラー電池が室内光を受光するようにソーラー電池が室内側に指向する第1位置に切り替えられている。このため回動スラットに保持されているソーラー電池は室内光を受光でき、電気エネルギを発生できる。また、回動スラットが回動するに伴い、回動スラットのソーラー電池が室外光を受光するように、回動スラットのソーラー電池が室外側に指向する第2位置に切り替えられる。このため回動スラットに保持されているソーラー電池は太陽光等の室外光を受光でき、電気エネルギを発生できる。
【発明の効果】
【0010】
様相1によれば、スラット群が透光部を被覆しているときにおいて、回動スラットは、ソーラー電池が室内光を受光するようにソーラー電池が室内側に指向する位置に設けられている。このため回動スラットに保持されているソーラー電池は、室内光を受光でき、電気エネルギを発生できる。
【0011】
様相2によれば、スラット群が透光部を被覆しているときにおいて、回動スラットは、ソーラー電池が室内光を受光するようにソーラー電池が室内側に指向する第1位置に切り替えられている。このため回動スラットに保持されているソーラー電池は室内光を受光でき、電気エネルギを発生できる。また、回動スラットが回動するに伴い、回動スラットのソーラー電池が室外光を受光するように、回動スラットのソーラー電池が室外側に指向する第2位置に切替られる。このため回動スラットに保持されているソーラー電池は太陽光等の室外光を受光でき、電気エネルギを発生できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1に係り、オーニング機能をもつシャッタ装置の斜視図である。
【図2】実施形態1に係り、透光窓を被覆して閉鎖している状態にあるスラット群を構成するスラットを示す側面図である。
【図3】実施形態1に係り、透光窓を被覆して閉鎖している状態にあるスラット群を示す側面図である。
【図4】実施形態1に係り、スラット群を構成するスラットのソーラー電池が室外光を受光できるようにスラットを回動している状態を概念的に示す側面図である。
【図5】実施形態1に係り、スラット群を構成するスラットのソーラー電池が室外光を受光できるようにスラットの回動端を回動している状態を概念的に示す要部の側面図である。
【図6】実施形態1に係り、スラット群を保持する回動ガイド部を室外側に回動させつつ、スラットのソーラー電池が室外光を受光できるようにスラットを回動ガイド部に対して回動している状態を概念的に示す側面図である。
【図7】実施形態2に係り、(A)は、オーニング機能をもつシャッタ装置において、回動ガイド部を室外側に回動させている状態を概念的に示す側面図であり、(B)は、オーニング機能をもつシャッタ装置において、回動ガイド部を室内側に回動させて固定ガイド部と整合させている状態を概念的に示す側面図である。
【図8】実施形態3に係り、室外側から視認した状態のシャッタ装置を概念的に示す正面図である。
【図9】実施形態4に係り、スラットを分解して概念的に示す斜視図である。
【図10】実施形態5に係り、スラットにソーラー電池を組み付けた状態を概念的に示す断面図である。
【図11】従来技術に係り、スラットを巻取体にロール状に巻き取っている状態を概念的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一視点によれば、構造物に形成されている透光部は、光を透過できる部位であり、透明ガラス、半透明ガラス、出入り用の開口、通風用の開口を例示できる。構造物は、家屋、マンションまたはビルなどの建築物、船舶などを例示できる。スラット群は基部に保持されており、複数のスラットを一方向に並設して形成されており、構造物の透光部を被覆して閉鎖可能である。一方向は垂直方向でも良いし、水平方向でも良い。一方向が垂直方向の場合には、スラット群は垂直方向に沿って開閉移動する。一方向が水平方向の場合には、スラット群は水平方向に沿って開閉移動する。
【0014】
スラットは当該一方向と交差する方向に沿って延設された板体またはボード等で形成できる。スラット群のうち少なくとも一枚のスラットは、基部に対して回動可能な回動スラットとされている。スラット群を構成するスラット全部を回動スラットとしても良い。スラット群を構成する所定枚数(例えば、スラット全部のうち1/2以下)のスラットのみを回動スラットとしても良い。回動スラットが回動すれば、透光空間がスラット間に形成されることが好ましい。透光部が開口であれば、透光空間は通風空間にできる。通風空間に通風されれば、スラットに保持されているソーラー電池の冷却を期待できる。作動部は回動スラットを回動とさせるものであり、モータ、流体圧シリンダ装置を有する構造でも良いし、ユーザの手作業で回動スラットを回動させる構造でも良い。
【0015】
回動スラットは、基部に対して回動可能に設けられた回動スラット本体と、回動スラット本体に保持され受光に伴い電気エネルギを発生させるソーラー電池とを有する。ソーラー電池は、光エネルギを電気エネルギに変換するものであり、太陽電池とも呼ばれる。ソーラー電池は、公知のものを採用でき、色素増感型、有機薄膜型、シリコン型、化合物型を例示できる。シリコン型は、アモルファスシリコン型でも良いし、多結晶シリコン型でも良いし、微結晶シリコン型、多接合型、球状シリコン型、電界効果型等でも良い。ソーラー電池で発生させた電機エネルギを蓄電させるキャパシタ、蓄電池等の蓄電要素が必要に応じて設けられていることが好ましい。蓄電要素は基部またはスラットに設けることができる。
【0016】
本発明の一視点によれば、回動スラットを回動できるため、室外光または室内光の入射角度が変化する場合であっても、回動スラットに保持されているソーラー電池の受光方向を入射角度に応じて調整でき、受光効率を高めにできる。
【0017】
本発明の一視点よれば、スラットの開閉移動を案内するガイド部が設けられていることが好ましい。この場合、ガイド部は、固定ガイド部と、固定ガイド部に対して室外側に向けて回動可能な回動ガイド部とを有する。ここで、ソーラー電池の回動角度θは、回動スラットの室外側への回動角度θ1と、回動ガイド部の室外側への回動角度θ2とに基づいて構成されることが好ましい。この場合、ソーラー電池の回動角度θの絶対値が大きくなるため、太陽光等の室外光の受光に有利となる。更に、ソーラー電池の回動角度θの範囲内で、ソーラー電池の受光方向を調整でき、太陽光等の室外光や室内光の受光効率を調整できる。
【0018】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について図1〜図6を参照して説明する。図面はあくまでも概念を示す図であり、細部の寸法等まで規定するものではない。スラット開閉装置としてのシャッタ装置は、オーニングシャッタ装置である。このシャッタ装置は、室外光等の光が透過できる透光部としての透光窓10をもつ構造物1において、透光窓は透明ガラス、半透明ガラスなどのガラスまたは開口で形成できる。ガラスとしては無機ガラス、有機ガラスでも良い。シャッタ装置は、透光窓10を覆うように配設される。構造物1の透光窓10の上部には、基部2が設けられている。基部2は収容室20を有する。更に、透光窓10の左右の側方にはガイド部23が設けられている。このガイド部23は、ガイド部23のうち相対的に下側に設けられた固定ガイド部24と、ガイド部23のうち相対的に上側に設けられた回動ガイド部25とを有する。回動ガイド部25の先端25eは、図略のアクチュエータまたは手作業により、固定ガイド部24に対して室外51側に向けて矢印WU,WD方向に回動可能とされている。固定ガイド部24および回動ガイド部25には、これらの長さ方向に沿ってガイド溝が延設されて形成されている。
【0019】
なお、回動ガイド部25の先端25eが矢印WD方向(室内52側)に回動し、回動ガイド部25が固定ガイド部24の延長線状に配置される。このとき、固定ガイド部24のガイド溝と回動ガイド部25のガイド溝とは、互いに連通する。回動ガイド部25の先端25eが矢印WU方向(室外51側)に回動したとき、固定ガイド部24のガイド溝と回動ガイド部25のガイド溝とは互いに連通しない状態となる。
【0020】
図2は、スラット4で形成されたスラット群3の要部を示す。図2に示されるように、スラット4は、室外51に対面する凸状をなす外壁面40と、室内52に対面する凹状をなす内壁面41と、一端4a側に設けられた凸部42と、一端4a側に設けられた回動軸43と、他端4c側に設けられた凹状の嵌合部44を形成する舌部45と、軸状をなす連結部46とを有する。一端4aは、スラット群3が透光窓10を被覆して閉鎖するときに上端部となる。他端4cは、スラット群3が透光窓10を被覆して閉鎖するときに下端部となる。スラット4のうち一端4aと他端4cとの間には、連結部46が形成されている。
【0021】
図3に示されるように、巻取体55は、軸芯P1回りで回転可能なほぼ円筒形状をなしており、巻取体55を軸芯P1回りで回転させる駆動モータを有する駆動源56を備える。基部2には、電気エネルギを蓄積できるキャパシタまたは蓄電池等の蓄電要素28が収容されている。巻取体55の軸芯P1は水平方向に沿っている。巻取体55の軸長方向の両端部には、線状部材57の長さ方向の一端57aが吊持されている。線状部材57は、ガイド部23(図1参照)に形成されているガイド溝に案内されて移動するものであり、ワイヤ、ロープ、チェーン等でほぼ直線状に形成されていることが好ましい。スラット群3は、構造物1の透光窓10を被覆可能且つ開閉可能なシャッタカーテンを形成しており、水平方向(長手方向,矢印L方向)に沿って延設された複数のスラット4を一方向(矢印U方向,矢印D方向,高さ方向)に並設して形成されている。
【0022】
スラット群3は、巻取体55の外周部に巻き取りおよび巻き戻し可能に設けられている。すなわち、連結部46は、各スラット4の長手方向(矢印L方向)の両端部に設けられている。スラット4の各連結部46は線状部材57にそれぞれ連結されている。従って、各スラット4は線状部材57により巻取体55に吊持されている。
【0023】
ここで、駆動源56が一方向に駆動して、巻取体55が軸芯P1回りで一方向(矢印PA方向)に回転すると、線状部材57は矢印U方向に上昇してスラット4と共に巻取体55の外周部に巻き付けられる。この場合、構造物1の透光窓10は開放される。これに対して駆動源56が他方向に駆動して、巻取体55が軸芯P1回りで他方向(矢印PB方向)に回転すると、線状部材57は巻取体55から巻き戻しされて矢印D方向に下降し、ひいては巻取体55に巻き付けられていたスラット4は矢印D方向に下降する。この場合、構造物1の透光窓10はスラット群3で閉鎖される。巻き戻しは、巻き状態を解除することを意味する。
【0024】
なお本実施形態によれば、前述したように、複数のスラット4からなるスラット群3を巻取体55の外周部に巻き取る方式とされているが、ソーラ電池6は破損しないようにされている。
【0025】
また本実施形態によれば、線状部材57を巻取体55に巻き取るものの、複数のスラット4からなるスラット群3を巻取体55の外周部に巻き取らない方式としてもよい。この場合においても、スラット4は上側で重ね合わせ状態に保持される。この場合においてもスラット4は回動可能とされている。
【0026】
本実施形態によれば、スラット群3を構成するスラット4のうち全部が回動スラット4Rとされている。回動スラット4Rは、回動軸43を中心として基部2に対して矢印RU方向(上向き),矢印RD方向(下向き)に回動可能に設けられており、ソーラー電池6を有する。スラット群3が透光窓10を被覆して閉鎖しているとき、ソーラー電池6は、室内52側、つまりスラット4の内壁面41側に配置されている。ソーラー電池6は、受光に伴い光エネルギを電気エネルギを変換させて発生させて発電する。発電面積および発電量を増加させるため、ソーラー電池6は、スラット4の長手方向(矢印L方向)に沿って延設されていることが好ましい。ソーラー電池6は、スラット4のうち室内52に指向する内壁面41のうち50%以上、60%以上、70%の面積を占めることが好ましい。但しこれに限定されるものではない。
【0027】
図2に示されるように、作動部として機能するヒンジプレート部材7がスラット群3の隣接するように設けられている。ヒンジプレート部材7は、スラット4の長手方向(矢印L方向)の両端側に隣接するように設けられている。ヒンジプレート部材7は、スラット群3が開閉移動する方向(矢印D方向,矢印U方向)に沿って、すなわち、構造物1の高さ方向に沿って延設されている。ヒンジプレート部材7は金属、硬質樹脂またはセラミックスで形成されており、高さ方向に間隔を隔てて並設された複数のヒンジ溝70を有する。通常時には、ヒンジプレート部材7はスラット群3から寸法K(図2参照)離れており、回動軸43はヒンジ溝70に係合していないため、ヒンジプレート部材7はスラット群3の開閉移動性を損なわない。この場合、ヒンジプレート部材7に対してスラット群3は矢印U方向に上昇したり、矢印D方向に下降したりでき、構造物1の透光窓10を開閉できる。
【0028】
連結部46は線状部材57に回動可能に連結されている。ここで、シャッタ装置がブラインド機能を発揮するとき、回動スラット4Rの他端4c側は、回動軸43を中心として矢印RU,RD方向に回動し、スラット最大回動量となる回動端とされている。すなわち、回動スラット4Rの回動端である他端4cは、回動初期において、回動軸43を中心として室内52向けて矢印RU方向(上向き)に回動する。このように回動スラット4Rが回動すれば、回動スラット4Rに保持されているソーラー電池6の受光面601の姿勢を調整できる。つまり、ソーラー電池6の受光面601の姿勢を、室内光LBの入射角度および太陽光等の室外光LAの入射角度に応じて調整でき、室内光LBおよび太陽光等の室外光LAの受光に有利である。この場合、ソーラー電池6の発電効率を高めることができる。
【0029】
図3は、スラット群3を構成するスラット4が閉鎖位置となり、スラット群3が構造物1の透光窓10を被覆して閉鎖している第1位置を示す。スラット群3は、透光窓10に対面して覆っている。透光窓10は、室外51と室内52とを仕切る。構造物1の透光窓10を完全に被覆して閉鎖しているときには、高さ方向において隣設するスラット4同士については、嵌合部44と凸部42とが嵌合し、閉鎖性および防犯性が高められている。図3に示されるように、ヒンジプレート部材7はスラット群3から寸法K離れており、スラット群3の開閉移動性を損なわない。このようにヒンジプレート部材7がスラット群3から離れている場合、駆動源56が駆動すれば、スラット群3は矢印U方向に上昇したり、矢印D方向に下降したりでき、構造物1の透光窓10を開閉できる。
【0030】
図3に示されるように、スラット群3が透光窓10を閉鎖して遮蔽している第1位置によれば、回動スラット4Rに保持されているソーラー電池6は、太陽光等の室外光LAを実質的に受光できず、太陽光等の室外光LAに基づいて積極的に発電できない。また図3に示されるように、スラット群3が透光窓10を閉鎖して遮蔽している第1位置によれば、室外51に存在する室外者はスラット群3を透視できず、室内52を視認することができない。このようにスラット群3が閉鎖位置に設定されているときには、回動スラット4Rに保持されているソーラー電池6は室外51に指向せず、室内52に指向している。このためソーラー電池6が室外者によって悪戯で破損されることが抑制され、ソーラー電池6に対する保護性が高められている。このように回動スラット4Rに保持されているソーラー電池6は、第1位置においては、室外51に指向せず、室内52に指向しているため、ソーラー電池6は室内光LBを効果的に受光して発電することができる。このため夜間においても室外光で発電できる。
【0031】
なお、シャッタ装置が全閉されているとき、前述したように高さ方向に隣設するスラット4同士の凸部42と嵌合部44とが嵌合するため、シャッタカーテンとして機能するスラット群3による防犯性を高めることができる。このようにシャッタ装置が全閉されているとき、スラット4のうち室内52側の内壁面41にはソーラー電池6が取り付けられているため、ソーラー電池6がスラット4の剛性を一層高めることを期待でき、防犯性を高めることを期待できる。
【0032】
次に、上記したシャッタ装置をブラインドとして機能させる場合について説明する。スラット群3が矢印D方向に下降している状態のとき、アクチュエータ75(図4参照)またはユーザの手作業により、退避位置XA(図4参照)で待機しているヒンジプレート部材7を、スラット群3に接近させる方向(矢印E1方向)に移動させてセット位置XBにセットさせる。このようにヒンジプレート部材7をセット位置XBにセットさせた状態で、駆動源56を駆動させて線状部材57を矢印U方向(上方,巻き付け方向)に持ち上げて移動させれば、図4に示されるように、スラット群3を構成するスラット4も同方向、つまり、矢印U方向(上方,巻き付け方向)に移動する。
【0033】
この結果、図5から理解できるように、ヒンジプレート部材7の各ヒンジ溝70に各回動スラット4Rの回動軸43が引っかかって係合する。この状態で、駆動源56を適量駆動させて線状部材57を矢印U方向(上方,巻き付け方向)に適量移動させれば、図4および図5に示されるように、回動スラット4Rの他端4c(嵌合部44)は回動軸43を中心として矢印RU方向(上方)に回動する。なおアクチュエータ75として空気圧シリンダ、油圧シリンダ等の流体圧シリンダ装置、モータ装置が例示される。
【0034】
上記したようにヒンジプレート部材7がスラット群3に接近すれば、ヒンジプレート部材7のヒンジ溝70に回動スラット4Rの回動軸43を係合させることができる。ひいては、回動スラット4Rを矢印RU方向(上方)に回動できる。回動スラット4Rの回動量は、ヒンジプレート部材7のヒンジ溝70と回動スラット4Rの回動軸43とが係合してから、駆動源56が駆動する駆動量(モータ回転量)、すなわち、線状部材57の上昇量に基づいて決定される。従って駆動源56はパルスモータとすることが好ましい。この場合、駆動源56に給電されるパルス数に応じて、駆動源56の回動量が決定される。従って駆動源56に給電されるパルス数に応じて、ソーラー電池6の姿勢が調整される。故に、ソーラー電池6の回動角度を大きくさせるためには、駆動源56に給電されるパルス数を増加させればよい。ソーラー電池6の回動角度を小さくさせるためには、駆動源56に給電されるパルス数を減少させればよいか、あるいは、ソーラー電池6の回動角度を大きくさせた後に、駆動源56を逆回転させれば良い。
【0035】
すなわち、図4および図5は、回動スラット4Rが矢印RU方向に回動するに伴い、回動スラット4Rのソーラー電池6が太陽光等の室外光LAを受光するように、回動スラット4Rのソーラー電池が室外51側に指向する第2位置に切替られている状態を示す。この場合、閉鎖状態の回動スラット4Rの下端である回動端および嵌合部44は、回動初期において、回動軸43を中心として室内52側において室内52側に近づくように矢印RU方向(上向き)に回動し、その後、回動スラット4Rの下端である回動端および嵌合部44は室外51に近づくように回動する。この結果、回動スラット4R間には透光空間49が形成されている。図4および図5に示されるように、太陽光等の室外光LAは、室外51から室内52に向けて、スラット群3の透光空間49を透過して回動スラット4Rのソーラー電池6の受光面601に入射できる。
【0036】
上記したように回動スラット4Rが回動軸43を中心として上下方向において回動すれば、回動スラット4Rのソーラー電池6の受光面601の姿勢を調整できる。ここで、回動スラット4Rの回動量に相当するソーラー電池6の法線(受光面601に対して垂直方向)の方向は、前述の記載から理解できるように、ヒンジプレート部材7のヒンジ溝70と回動スラット4Rの回動軸43とが係合してから、駆動源56が駆動する駆動量(モータ回転量)、すなわち、線状部材57の上昇量で決定される。換言すると、駆動源56が駆動する駆動量(モータ回転量)、すなわち、線状部材57の上昇量に基づいて、ソーラー電池6の受光面601の法線の方向を、太陽光等の室外光LAの入射角度、室内光LBの入射角度に応じて任意に調整することができる。ひいては室内光LB等の室外光LAの受光効率および室内光LBの受光効率を高めるのに有利である。この場合、ソーラー電池6の発電効率を高めることができる。
【0037】
また図4および図5に示されるように、回動スラット4Rの他端4cが矢印RU方向(上向き)に回動しているときには、前述したように、高さ方向において互いに隣設する回動スラット4R間には、透光空間49が形成される。ここで、ソーラー電池6の種類によっては、ソーラー電池6は昇温されると、発電効率を低下させるおそれがある。この点本実施形態によれば、上記した回動スラット4R間に形成される透光空間49は通風空間でもあるため、風による空気流は回動スラット4R間の透光空間49を通過できる。この場合、回動スラット4Rに保持されているソーラー電池6を風による空気流によって積極的に冷却できる。従って通風によってソーラー電池6の発電効率を高めることができる利点が得られる。すなわち、透光空間49は、太陽光等の室外光LAをソーラー電池6の受光面601に入射させる機能と、通風によりソーラー電池6の冷却を促進させる機能とを果たす。
【0038】
更に図4に示されるように、回動スラット4Rが矢印RU方向に回動しているときには、回動スラット4Rの他端4c(嵌合部44および舌部45)は室内52側に向かうにつれて上側に位置するように傾斜する。このため、室外者が透光空間49を介して室内52を矢印E3方向に直視するとき、直視性を低下させることができる。従って、ソーラー電池6で発電させつつも、室外者による覗き込みを抑制でき、室内52側のプライバシーの保護性を高めることができる利点が得られる。
【0039】
次に、図6はオーニングシャッタとして使用した状態を模式的に示す。図6に示されるように、回動ガイド部25に対して回動スラット4Rを図略のアクチュエータまたは手作業により矢印RU方向に回動させつつ、回動ガイド部25を室外51に向けて矢印WU方向に回動させた状態を示す。図6に示されるように、オーニングシャッタとして使用しているときには、前述したように、高さ方向において互いに隣設する回動スラット4R間には透光空間49がそれぞれ形成される。この場合、木漏れ日等のように、太陽光を透光空間49に透過させることができる。
【0040】
更に、図6に示されるように、太陽光等の室外光LAはスラット群3の透光空間49を透過して回動スラット4Rのソーラー電池6に入射できる。このためソーラー電池6は太陽光等の室外光LAに基づいて発電できる。また、スラット群3の透光空間49は通風空間でもあるため、風による空気流は回動スラット4R間の透光空間49を通過でき、回動スラット4Rに保持されているソーラー電池6を、風による空気流によって積極的に冷却できる。従って、通風によってソーラー電池6の発電効率を高めることができる利点が得られる。すなわち、スラット群3における透光空間49は、太陽光等の室外光LAをソーラー電池6に入射させる機能と、通風によりソーラー電池6の冷却を促進させる機能とを果たす。
【0041】
図6に示されるように、スラット群3をもつ回動ガイド部25を、基部側の固定ガイド部24に対して室外51側に向けて角度θ2で回動しているときの状態において、線状部材57を巻取体55に巻き付ければ、回動ガイド部25に保持されている回動スラット4Rは、回動軸43を中心として矢印RU方向に回動する。
【0042】
ここで、回動スラット4Rに保持されているソーラー電池6の回動角度をθとする。回動軸43を中心として回動スラット4Rが回動ガイド部25に対して室外51側へ回動する回動角度をθ1とする。固定ガイド部24に対して回動ガイド部25を室外51側へ回動させる回動角度をθ2とする。このとき、ソーラー電池6自体の合計回動角度θは、基本的には、回動角度θ1と回動角度θ2とを加算した角度に基づく(θ=θ1+θ2)。
【0043】
このようにθ=θ1+θ2の関係が得られるため、回動スラット4Rに保持されているソーラー電池6を室外51側に回動させる回動角度θを大きくさせることができる。更に回動角度θの範囲内で、ソーラー電池6の回動角度を調整できるため、太陽光等の室外光LA、室内光LBの入射角度に応じてソーラー電池6の姿勢を調整でき、受光効率を高めて発電効率を高めることができる。なお、オーニングシャッタとして使用される場合には、図6に示されるように、スラット群3の最下端が回動ガイド部25の先端25eよりも上方に位置しているとき、回動ガイド部25の先端25eを矢印WU方向(上向き)に回動させることが好ましい。
【0044】
(実施形態2)
図7(A)(B)は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図6を準用できる。以下、相違する部分を中心として説明する。ガイド部23は、相対的に下側に設けられた固定ガイド部24と、相対的に上側に設けられた回動ガイド部25とを有する。回動ガイド部25は、第1枢支部81fを中心として、固定ガイド部24に対して室外51側に向けて矢印WU,WD方向に回動可能とされている。
【0045】
更に説明を加える。アクチュエータ80は、基部2に設けられている固定ガイド部24に高さ方向に回動可能に第2枢支部82sにより枢支されており、空気圧シリンダまたは油圧シリンダ等の流体圧シリンダで形成されている。アクチュエータ80は、固定ガイド部24に第2枢支部81sを介して矢印F1,F2方向に回動可能に枢支されたアクチュエータ本体82と、アクチュエータ本体82から矢印W1,W2方向(アクチュエータ本体82の延長線に沿った方向)に伸縮可能に設けられた伸縮ロッド部83と、伸縮ロッド部83に揺動可能に第3枢支部81tを介して回動可能に枢支された揺動アーム84とを有する。揺動アーム84は、第4枢支部81hを介して互いに揺動可能に設けられた第1アーム84fおよび第2アーム84sを有する。第1アーム84fの端部は第5枢支部84xを介して回動可能にガイド部23に枢支されている。
【0046】
ここで、アクチュエータ本体82が一方向に作動して伸縮ロッド部83が矢印W1方向に伸張すると、図7(A)に示されるように、第4枢支部81hを介して第1アーム84fおよび第2アーム84sがほぼ一直線状に開放し、ひいては、回動ガイド部25が第1枢支部81fを中心として矢印WU方向(上向き)に回動し、固定ガイド部24に対して開放方向に回動し、屋根状となる。これに対して、アクチュエータ本体82が他方向に作動して伸縮ロッド部83が矢印W2方向に収縮すると、第1アーム84fおよび第2アーム84sが第4枢支部81hを介して折り畳まれる。ひいては、回動ガイド部25が第1枢支部81fを中心として矢印WD方向に下降して固定ガイド部24とほぼ平行に沿うように退避する。
【0047】
このようにしてアクチュエータ80の作動に伴い、回動ガイド部25が室外51側に矢印WU方向に回動する。図示はしないものの回動ガイド部25にはスラット群3が移動可能に保持されている。上記したように回動ガイド部25が第1枢支部81fを中心として固定ガイド部24に対して回動しているとき状態において、線状部材57を巻取体55に巻き付ければ、回動ガイド部25に保持されている回動スラット4Rは回動する。
【0048】
このとき、回動スラット4Rに保持されているソーラー電池6の回動角度をθとする。回動スラット4Rを回動ガイド部25に対して室外51側へ回動させる回動角度をθ1とする。更に、固定ガイド部24に対して回動ガイド部25を室外51側へ回動させる回動角度をθ2とする。このとき、ソーラー電池6の回動角度θは、基本的には回動角度θ1と回動角度θ2とを加算した角度となる(θ=θ1+θ2)。このようにθ=θ1+θ2の関係が得られる。このため、回動スラット4Rに保持されているソーラー電池6を室外51側に回動させる回動角度θを大きくさせることができる。
【0049】
(実施形態3)
図8は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1,2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図7を準用できる。以下、相違する部分を中心として説明する。図8に示すスラット開閉装置は、オーニングシャッタ装置ではなく、構造物1に形成されている人または車両等の出入り用の開口10D(透光部)を開閉させる通常のシャッタ装置に適用されている。
【0050】
構造物1の開口10Dの上部には基部2が配置されている。図8は室外51側からシャッタ装置を視認した状態を示す。スラット群3は、複数のスラット4を高さ方向(矢印U方向,矢印D方向)に並設して形成されており、透光部としての開口10Dを閉鎖している。基部2の収容室20には、横軸型の巻取体55が収容され、更に、巻取体55をこれの軸芯P1回りで回転駆動させる駆動源56が収容されている。ガイド部23はスラット4の長手方向(矢印L方向)の両端側に配置されており、高さ方向に沿って延設されている。ガイド部23のガイド溝に沿って線状部材57が昇降できる。このように線状部材57が昇降し、線状部材57に連結されている各スラット4は同方向に昇降する。これにより構造物1の開口10Dが開閉される。図示はしないものの、回動スラット4Rのうち室内側に指向する内壁面にはソーラー電池が保持されている。
【0051】
図8に示されるように、基部2の収容室20には巻取体55が横軸形に収容されている。駆動源56および蓄電要素28は、巻取体55と同軸的に巻取体55の長手方向(矢印L方向)の一端部に保持されている。蓄電要素28に蓄電された電力は、蓄電要素に隣設する駆動源56の駆動力として使用される。また、蓄電要素28に蓄電された電力は、回動ガイド部25を室外側に向けて回動させてオーニング機能を発揮させるアクチュエータの駆動力として使用されることにしても良い。この場合、商用電源と駆動源56とを繋ぐ給電用配線、および/または、商用電源とアクチュエータ80とを繋ぐ給電用配線を廃止することもできる。更に蓄電要素28に蓄電された電力は、ソーラー電池で発電させる室内光を点灯させる光源の電力として使用されることにしても良い。
【0052】
(実施形態4)
図9は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1〜3と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図8を準用できる。以下、相違する部分を中心として説明する。図9に示されるように、スラット4は、長手方向(矢印L方向)に延びるスラット本体400と、スラット本体400の長手方向の両端部に嵌合して取り付けられるキャップ空間415をもつキャップ410とを有する。スラット本体400は、一端4a側に形成された凸部42と、他端4c側に形成された嵌合部44を形成する舌部45と、室外51に対面する凸状をなす外壁面40と、室内52に対面する凹状をなす内壁面41と、スラット本体400の内部に形成された空洞状をなす中空室47と、中空室47に連通するように内壁面41に形成された取付凹状部48とを有する。
【0053】
スラット本体400は、これの長手方向(矢印L方向)に金属素材(例えばアルミニウム合金、炭素鋼、合金鋼)を押出成形または引抜成形することにより形成されており、長手方向(矢印L方向)にわたり同一または酷似の断面形状を有する。従って、凸部42、外壁面40、内壁面41、嵌合部44、舌部45、取付凹状部48は、スラット本体400の長手方向(矢印L方向)に沿って延設されている。なお場合によってはスラット本体400は硬質樹脂としても良い
図9に示されるように、スラット本体400の内壁面41には、外壁面40に向けて窪んでいる取付凹状部48が形成されている。ソーラー電池6が取付凹状部48内に収容されるように、ソーラー電池6が図略の組付具により組み付けられている。ソーラー電池6の受光面601は、スラット4の内壁面41の曲率にほぼ整合しつつ、内壁面41の延長線41rよりも寸法W3分、外壁面40に向けて退避するように凹んでいる。このため、スラット群3を巻取体55の外周部にロール状に巻き取ったときであっても、ソーラー電池6の受光面601の保護性を高めることができる。スラット群3が閉鎖状態に維持されているとき、ソーラー電池6の受光面601は、室内光LBを受光して発電できるように室内側に指向している。
【0054】
両方のキャップ410には、線状部材57Eに連結される連結部46と、前記したヒンジ溝に係合して回動中心を形成させる回動軸43とが長手方向(矢印L方向)に突出して形成されている。連結部46は、中央孔46mをもつ筒形状とされている。線状部材57Eは中央孔57mをもつ可撓性を有するパイプ状に形成されている。そして、スラット本体400に組み付けられたソーラー電池6の配線670(+線および−線)は、撓み性を高めるようにコイル671を部分的に形成しており、スラット本体400の中空室47およびキャップ410の中空室を通り、連結部46の中央孔46mを通過し、更に、線状部材57の中央孔57mに挿入されており、蓄電要素28まで接続されている。これによりソーラー電池6で発電された電気エネルギは収容室20側の蓄電要素28に蓄積される。
【0055】
(実施形態5)
図10は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1〜4と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図9を準用できる。以下、相違する部分を中心として説明する。図10に示されるように、スラット本体400の室内52側に指向する内壁面41には、室外51側に溝状に凹ませた構造をもつ取付凹状部48が形成されている。ソーラー電池6Eが取付凹状部48内に収容されるように、ソーラー電池6Eが図略の組付具により取付凹状部48の底壁48cに固定されて組み付けられている。
【0056】
ソーラー電池6Eの受光面601は、内壁面41の延長線よりも寸法W3分、外壁面40に向けて退避している。このため、スラット群3を巻取体55の外周部にロール状に巻き付けたときであっても、ソーラー電池6Eの保護性を高めることができる。更に図10に示されるように、回動スラット4Rのうち室内52側には係止部450,451が取付凹状部48の縁部に位置するように形成されている。係止部450,451には、硬質樹脂または金属等で形成された網状またはグリル状の保護部材460が着脱可能に取り付けられている。保護部材460は、光を通過させる開口461および遮蔽部462を有する。回動スラット4Rを巻取体にロール状に巻き取るとき等において、保護部材460はソーラー電池6Eの受光面601を保護できる。場合によっては保護部材460を廃止しても良い。
【0057】
スラット群3が閉鎖状態に維持されているとき、ソーラー電池6Eの受光面601は室内光LBを受光して発電できるように室内52側に指向している。スラット4のうち室内52側の内壁面41にはソーラー電池6Eが取り付けられているため、ソーラー電池6Eがスラット4の剛性を一層高めることを期待でき、防犯性を高めることを期待できる。スラット本体400にはこれの長手方向に延びる中空室47が形成されているため、軽量化を図ることができる。この場合、ソーラー電池6Eの搭載による重量増加を軽減できる。
【0058】
ソーラー電池6Eは色素増感型ソーラー電池である。図10に示されるように、このソーラー電池6Eは、基板600と、基板600の搭載面602に形成された透明導電膜603と、基板600の搭載面602側に設けられた色素増感型の複数のセル605で形成されたセル群609と、基板600の搭載面602側に設けられた第1外周シール部610と、電解質室611に収容された電解質613と、基板600の搭載面602側に設けられた膜状をなす第1バックシート部621と、基板600の搭載面602側に設けられ第2外周シール部612と、基板600の搭載面602側に設けられた膜状をなす第2バックシート部622とを有する。
【0059】
基板600は光透過性をもち、光が入射される受光面601と、受光面601に対して反対側に形成された搭載面602とを有する。基板600は無機ガラスでもよいし、有機ガラスでも良い。透明導電膜603の材質は、フッ素またはアンチモンをドープの酸化錫、インジウムに酸化錫に置換固溶させたITOが例示される。透明導電膜603には絶縁溝603cが形成されており、これにより透明導電膜603の連続性が切断され、透明導電膜603の連続導電性が切断されている。絶縁溝603cにより各セル605の電気絶縁性が高められ、基板600上における各セル605の直列接続が可能となる。この場合、隣設するセル605同士は、後述する対向電極608を介して電気的に接続されている。
【0060】
セル605は、透明導電膜603に互いに間隔を隔てて配置された複数配置されており、セル群609を形成する。単数のセル605は、透明導電膜603に積層された受光用の光極606と、光極606に積層されたセパレータ607と、セパレータ607に積層された対向電極608とを有する。光極606は、基板600の受光面601から入射した光を受光できるものである。光極606は、N型半導体(アナターゼ型酸化チタン)に光増感色素(光照射により電子放出性をもつ)を担持させて形成されていることが好ましい。セパレータ607は光極606と対向電極608との間に介在しており、ルチル型の酸化チタンの多孔質体で形成されていることが好ましい。対向電極608は光極606に対して所定の間隔を隔てて配置されている。対向電極608は、ハロゲンであるヨウ素に対して高い耐食性および導電性をもつカーボン系の微粒子の集合体、或いは、金属材料で形成されていることが好ましい。金属としては、チタン、タンタル、ニオブ、タングステン、白金などを例示できる。この場合、隣設するセル同士は、対向電極を介して電気的に接続されている。
【0061】
図10に示されるように、隣設するセル605同士は、隔壁として機能するリブ状の中間シール部630で仕切られている。第1外周シール部610は、基板600の搭載面602側において、複数のセル605で形成されたセル群609の外側を1周するように包囲する。第1外周シール部610および中間シール部630は、電解質613に対して化学的に安定で且つ電解質613に有害な物質を溶出させない材料が形成されていることが好ましい。例えば、ポリイソブチレン系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系などのポリオレフィン系材料、または、それらの共重合体等が挙げられる。ここで、第1外周シール部610および中間シール部630は、これらのポリオレフィン系材料に接着官能基を導入させた変性ポリオレフィン系材料で形成されていることが好ましい。具体的には、接着官能基としてカルボキシル基等を導入した変性(接着性)低密度ポリエチレンで形成されていることが好ましい。
【0062】
図10に示されるように、電解質室611には、流動性を有する電解質613が収容される。電解質613は、電解質物質を溶媒に溶解させた電解液とすることができる。この場合、溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピロニトリル等のニトリル化合物を用いることができ、あるいは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの溶媒またはこれらの混合溶媒を用いることができる。また、電解質としては、固体状電解質としても良い。電解質5はハロゲンイオン(ヨウ素イオン)を含む。
【0063】
図10に示されるように、第1バックシート部621は、電解質室611に収容されている電解質613が洩れないように電解質613を保持する電解質保持用であり、従って電解質室611をシールする。電気絶縁性およびガスバリヤ性を考慮すると、第1バックシート部621の母材は、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ボリエチレンテレテタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはポリブチレンナフタレート(PBN)が好ましい。図10に示されるように、第2外周シール部610は、基板600の搭載面602側において、第1外周シール部610の外側(外周側)を1周するように包囲するように枠状をなす。第2外周シール部612は、水蒸気透過及びガス透過に対して高いバリヤ性を有する材料で形成することが好ましい。具体的には、第2外周シール部612は、ブチルゴムで形成されているが、ウレタンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトリルゴムなどで形成しても良い。これらも水蒸気バリヤ性およびガスバリヤ性が低いためである。
【0064】
第2バックシート部622は、外部の水蒸気(液相としての水も含む)が電解質室611に進入することを抑える水蒸気バリヤ用であり、第1バックシート部621の全体を外側から覆うように配置されている。第2バックシート部622は水蒸気バリヤ性を高める膜であるため、高い水蒸気バリヤ性を有する金属を母材として形成されている。金属は、高分子材料よりも高い水蒸気バリヤ性を発揮できるものが好ましく、アルミニウム金属層、ニッケル層等で形成されていることが好ましい。アルミニウムは純アルミニウムでも良いし、アルミニウム合金でも良い。このように第2バックシート部622は金属で形成されているため、第1バックシート部621よりも高い水蒸気バリヤ性を発揮する。故に、色素増感型ソーラー電池の内部への水蒸気進入が長期にわたり抑制される。よって、電解質室611に保持されている電解質613、セル605等の性質の変化が抑制される。
【0065】
図10に示されるように、第2バックシート部622は、回動スラット4Rのうちスラット本体400の取付凹状部48の底壁48cにおいて、衝撃緩和機能を有する軟質の緩衝層482で接着されて保持されている。更に、緩衝層482の部分482a,428cは、基板600の側も弾性支持している。従ってシャッタ装置が作動するときにおいて、スラット4に保持されているソーラー電池6Eに衝撃が作用することが抑制され、ソーラー電池6Eの長寿命化に貢献できる。なお、図11はスラット巻き付け構造の従来構造を示す。従来構造では、図11に示されているように、スラット4Xを形成するスラット群3Xは、基部2Xの収容室20Xにおいて巻取体55Xの外周部にロール状に巻き取られている。
【0066】
本実施形態によれば、スラット本体400がロール状に巻取体に巻き取られるときであっても、スラット本体400の取付凹状部48に収容されているソーラー電池6Eの保護性を高め得る。スラット本体400はこれの長手方向に沿って金属素材を押し出し成形または引き抜き成形することにより形成できるため、外壁面40,内壁面41および中空室47を成形すると同時に取付凹状部48を簡便に成形できる。なお、ソーラー電池としては、色素増感型に限定されず、公知のものを採用でき、色素増感型、有機薄膜型、シリコン型、化合物型等の公知のソーラー電池を例示できる。
【0067】
(その他)
実施形態1では、巻取体55にスラット4をロール状に巻き取ることにしているが、これに限らず、巻取体55にスラット4をロール状に巻き取る方式を採用せずに、複数のスラット4を互いに上下に重ねてまとめた状態で上昇させてスラット群3を開放させても良い。この場合、スラット群3を下降させるためには、高さ方向において隣設するスラット4同士を離間させる。実施形態1では、ヒンジ溝70を有するヒンジプレート部材70が作動部として設けられているが、これに限らず、作動部は他の構造としても良い。スラット4は、室外51に対面する凸状をなす外壁面40と、室内52に対面する凹状をなす内壁面41とを有するが、これに限らず、外壁面40は凹状でも良いし、内壁面41は凸状でも良く、スラットの断面形状は特に限定されない。
上記した実施形態によれば、回動スラット4Rが回動軸43を中心として上下方向において回動することにより、回動スラット4Rのソーラー電池6の受光面601の姿勢を調整できる。これに限らず、回動スラット4Rが回動軸43を中心として水平方向に沿って回動することにより、回動スラット4Rのソーラー電池6の受光面601の姿勢を調整できるようにしても良い。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。上記した明細書から次の技術的思想も把握できる。
【0068】
[付記項1]光が透過できる透光部をもつ構造物に配設される基部と、基部に保持され、複数のスラットを一方向に並設して形成され構造物の透光部を閉鎖可能なスラット群と、スラット群のうち少なくとも一枚のスラットに保持され受光に伴い電気エネルギを発生させるソーラー電池を備えるスラット開閉装置。スラットに保持されているソーラー電池は、受光に伴い電気エネルギを発生させる。シャッタ閉鎖時に室内側に指向する壁面に、ソーラー電池が組み付けられていることが好ましい。
【0069】
[付記項2]光が透過できる透光部をもつ構造物に配設される基部と、基部に保持され、複数のスラットを一方向に並設して形成され、スラット群のうち少なくとも一枚のスラットを基部に対して回動させる回動スラットとし、構造物の透光部を閉鎖可能なスラット群と、スラットに保持され受光に伴い電気エネルギを発生させるソーラー電池を備えるスラット開閉装置。スラットに保持されているソーラー電池は、受光に伴い電気エネルギを発生させる。
【0070】
[付記項3]シャッタ閉鎖時に室内側に指向する内壁面に、室内光等の光の受光に伴い電気エネルギを発生させるソーラー電池を備えるスラット。このスラットはシャッタ装置またはブラインド装置に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、例えば、オーニング機能を有するシャッタ装置、オーニング機能を有しないシャッタ装置、シャッタ機能を有しないものの光入射機能を有するブラインド装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1は構造物、10は透光窓(透光部)、2は基部、20は収容室、23はガイド部、24は固定ガイド部、25は回動ガイド部、3はスラット群、4Rは回動スラット、4はスラット、400はスラット本体、410はキャップ、40は外壁面、41は内壁面、42は凸部、43は回動軸、44は嵌合部、45は舌部、46は連結部、4aは一端、4cは他端、51は室外、52は室内、55は巻取体、56は駆動源、57は線状部材、6はソーラー電池、7はヒンジプレート部材(作動部)、70はヒンジ溝、80はアクチュエータ、82はアクチュエータ本体、83は伸縮ロッド部、84は揺動アーム、LAは室外光、LBは室内光を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が透過できる透光部をもつ構造物に配設される基部と、
前記基部に保持され、複数のスラットを一方向に並設して形成され、少なくとも一枚の前記スラットを前記基部に対して回動させる回動スラットとし、前記構造物の前記透光部を被覆可能なスラット群と、
前記回動スラットを回動させる作動部とを具備しており、
前記回動スラットは、受光に伴い電気エネルギを発生させるソーラー電池を備えており、前記回動スラットは、前記スラット群が前記透光部を被覆しているときにおいて、前記ソーラー電池が室内光を受光するように前記ソーラー電池が室内側に指向する位置に設けられているスラット開閉装置。
【請求項2】
請求項1において、前記回動スラットは、前記スラット群が前記構造物の前記透光部を被覆しているときにおいて、前記ソーラー電池が前記室内光を受光するように前記ソーラー電池が室内側に指向する第1位置と、回動に伴い前記ソーラー電池が室外光を受光するように前記ソーラー電池が前記室外側に指向する第2位置とに切替可能に設けられているスラット開閉装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記回動スラットは、前記回動スラットの回動中心となる回動軸と、前記回動スラットのスラット最大回動量となる回動端とをもち、前記スラット最大回動量となる前記回動端は回動初期において前記回動軸を中心として室内側に向けて回動するスラット開閉装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記スラットの開閉移動を案内するガイド部が設けられており、前記ガイド部は、固定ガイド部と、前記固定ガイド部に対して室外側に向けて回動可能な回動ガイド部とを有するスラット開閉装置。
【請求項5】
請求項4において、前記ソーラー電池の回動角度θは、前記回動スラットの室外側への回動角度θ1と、前記回動ガイド部の室外側への回動角度θ2とに基づいて構成されるスラット開閉装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちの一項において、前記回動スラットは、前記スラット群が閉じている状態のとき室内に指向する内壁面と、室外に指向する外壁面とを有しており、前記ソーラー電池の受光面は、前記スラットの前記内壁面の延長線よりも外壁面に向けて退避しているスラット開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−64036(P2011−64036A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217428(P2009−217428)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】