スリット付き内側ライナを備えたチューブレスタイヤ及びその製造方法
インフレーションガスでインフレートされるようになったチューブレスタイヤであって、トレッド(40)を載せたクラウン補強材(80,90)を含むクラウン(25)と、クラウンの半径方向内方の延長部としての2つのサイドウォール(30)と、サイドウォールの半径方向内側に位置し、各々が環状補強構造体(70)を含む2つのビード(20)と、ビードの各々の中に繋留されたカーカス補強材(60)と、インフレーションガスに対して不透過性であってタイヤの内面を覆った内側ライナ(50)とを有し、内側ライナは、タイヤの各サイドウォール内において、半径方向最も外側に位置した環状補強構造体と、タイヤをリムに装着してその作業圧力までインフレートさせたときにカーカス補強材がその最も大きな軸方向幅を呈する場合の半径REとの間に半径方向に位置した少なくとも1つのスリット(200)を有し、スリットは、0.5〜5mmの最大半径方向高さHRを有すると共にタイヤの周囲又は周長の少なくとも半分にわたって延びている、タイヤ。このようなタイヤを製造する方法も又、開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブレスタイヤに関し、詳細には、これらタイヤをインフレートさせるガスに対してガス密である内側ライナに関する。本発明は又、これらタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インフレーションガスで膨張させられるよう設計された大抵のチューブレスタイヤは、「内側ライナ」、即ち、インフレーションガスに対して不透過性であり、タイヤの内面を覆うゴムコンパウンドを有する。この内側ライナは、ほとんどの場合、ブチル系ゴムコンパウンドで作られる。
【0003】
これら内側ライナがインフレーションガスに対して不透過性であるということにより、タイヤ製造にあたって問題が生じる。具体的に説明すると、タイヤの製造中に取り込まれた空気が特にビード及びサイドウォールの半径方向内側半部のところで内側ライナの下に蓄積してこの中に気泡を形成する場合がある。これら気泡は、タイヤの外観を損なうが、このような気泡が存在していることによりタイヤの寿命にも影響が生じる場合がある。具体的に説明すると、気泡は、内側ライナの密着性又は接着性低下を開始させる場合がある。深刻な場合、内側ライナは、ビード及びサイドウォールの内側部分から離脱する場合があり、それにより、シールの幾分かの減少及びタイヤを形成している材料中への相当の量の空気の侵入が生じ、これによりタイヤの寿命が短くなる場合がある。密着性低下は、使用者にタイヤを交換させる要因ともなる。このような理由で、タイヤ製造業者は、気泡の存在を検出するために硬化後にタイヤを吟味している。気泡の数及び/又はサイズが大きすぎる場合、タイヤは破棄される。
【0004】
この問題を解決するために幾つかの解決策が提案された。一例として、日本国特開昭60‐196331号公報は、レーザビームにより内側ライナを焼いて穴を形成することを提案している。これらの穴により、空気は、タイヤの製造中及び最初の加硫段階中に逃げ出ることができる。穴は、内側ライナが加硫中に流動することによって閉じ、それにより、加硫後に無傷の内側ライナを得ることができる。
【0005】
日本国特開2005‐238654号公報は、穴が設けられている内側ライナ及び適当な金型を用いた別の方式を記載している。
【0006】
気泡の生成という問題に対する別の解決策では、内側ライナによって覆われる表面積を減少させる。具体的に説明すると、ビード及びサイドウォールの半径方向最も内側の部分を内側ライナで覆わないようにすることが可能である。この種のタイヤは、タイヤを軽量化する目的で開発されたが、このようなタイヤには、気泡の生成による影響の受け具合が少ないという利点もある。このようなタイヤは、例えば、日本国特開平4‐090902号公報及び欧州特許第1228900号明細書から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本国特開昭60‐196331号公報
【特許文献2】日本国特開2005‐238654号公報
【特許文献3】日本国特開平4‐090902号公報
【特許文献4】欧州特許第1228900号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それにもかかわらず、このようなタイヤには欠点がある。具体的に言えば、内側ライナにより覆われている表面積の減少によりタイヤによって生じるノイズ(騒音)が増大し、特に空胴モード周波数範囲のノイズが増大することが注目される。したがって、このようなタイヤの使用により、タイヤが装着されている車両の車体振動が増大すると共にユーザの音響上の快適さが損なわれる。さらに、内側ライナにより覆われる表面積の減少により、経時的なインフレーション圧力の低下が増大する。
【0009】
本発明の一目的は、製造にあたり内側ライナとタイヤの隣接部分との間の気泡の生成を生じにくく、その結果、良好な寿命をもたらす一方で、インフレーション圧力の低下を最小限に抑えることができるチューブレスタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、インフレーションガスでインフレートされるチューブレスタイヤであって、
トレッドを載せたクラウン補強材を含むクラウンと、
クラウンの半径方向内方の延長部としての2つのサイドウォールと、
サイドウォールの半径方向内側に位置し、各々が少なくとも1つの環状補強構造体を含む2つのビードと、
ビードの各々の中に繋留されたカーカス補強材と、
インフレーションガスに対して不透過性であってタイヤの内面を覆った内側ライナとを有するタイヤによって達成される。
【0011】
内側ライナは、本発明の実施形態としてのタイヤの各サイドウォール内において、
半径方向最も外側に位置した環状補強構造体と、
タイヤをリムに装着してその作業圧力までインフレートさせたときにカーカス補強材がその最も大きな軸方向幅を呈する場合の半径REとの間に半径方向に位置した少なくとも1つのスリットを有する。
【0012】
スリットは、0.5〜5mmの最大半径方向高さHRを有すると共にタイヤの周囲の少なくとも半分(180°)にわたって延びている。
【0013】
スリットは、0.5〜5mm、好ましくは1.5〜2.5mmの最大半径方向高さを有し、タイヤの周囲の少なくとも半分(180°)にわたって延びている。
【0014】
このようなタイヤは、その製造中、気泡の生成を極めて著しく減少させることが注目された。というのは、内側ライナとタイヤの隣接部分との間に蓄積された空気は、内側ライナに設けられているスリットを通って逃げ出るからである。インフレーション圧力の低下は、内側ライナにより覆われている表面積が減少しているタイヤと比較してかなり減少している。さらに、ノイズ測定により、本発明のタイヤが生じるノイズは、ビード及びサイドウォールの半径方向内側部分を覆っていない内側ライナを備えた同等のタイヤのノイズよりも小さいということを確認することができる。
【0015】
好ましい実施形態によれば、スリットは、タイヤの周囲の少なくとも3/4にわたって(換言すると、270°にわたって)延びる。このようなスリットにより、空気は、事実上周囲全体上でこれに沿って抜け出ることができる。取り込み状態の空気の残部の拡散経路は、空気を短時間で(代表的には数分のオーダーで)排出することができるのに十分短い。したがって、単一のスリットは、取り込み状態の空気の全てを排出するのに十分であると言える。
【0016】
さらにより好ましくは、スリットは、タイヤの周囲全体にわたって延び、したがって、取り込み状態の空気は全て、スリットに向かうこの空気の周方向における拡散を利用しないで、容易に排出されるようになっており、このような拡散は、直ちに行なわれるというわけではない。
特定の実施形態によれば、スリットの半径方向高さは、その端のところでゼロに向かう傾向があり、したがって、スリットは、三日月の形をしている。
【0017】
好ましい実施形態によれば、スリットは、連続している。特に、スリットが非中断状態である場合、その空気排出能力は、最大になる。
【0018】
変形実施形態によれば、スリットは、内側ライナに設けられた一線をなす穴を有する。この実施形態は、特に、タイヤの周囲全体にわたって延びるスリットを提供することが望ましい場合に有利なことがある。スリットが連続している場合、製造中、内側ライナの3つの部分を取り扱うことが必要である。スリットが一線をなす穴(小さなスリットを含む)から成る場合、即ち、内側ライナに孔しか設けられていない場合、内側ライナは、単一品の状態で配置可能であり、それによりその取り扱いが容易になる。
【0019】
本発明の別の態様は、タイヤを製造する方法であって、タイヤのインフレーション用のガスに対してガス密であるゴムコンパウンドのストリップを角速度ωで軸線回りに回転する剛性コア上に配置することによりタイヤの内側ライナを製作するステップを有する方法に関する。幅Lのストリップは、ストリップ配置ツールにより剛性コア上に配置され、この配置ツールは、配置作業中、剛性コアの回転軸線に実質的に垂直な方向に運動速度Vで動かされる。角速度ω及び配置ツールの運動速度Vは、剛性コアの回転の終わりのところに位置するストリップの一部分が剛性コアの同じ回転の始まりのところに位置するストリップの一部分と接触するが、これとオーバーラップすることがなく或いはこれら一部分相互間の接触がオーバーラップを更に含むように選択される。
【0020】
これは、特に、
【数1】
(1)
の場合であり、上式において、Tは、剛性コアが丸一回転するのに要する時間である。この関係式の等号オプションは、オーバーラップなしの接触をもたらし、これに対し、不等号オプションは、オーバーラップありの接触をもたらす。2つの部分は、これら2つの部分が置かれた表面に垂直な方向において一方の部分が他方の部分の一部上に重ね合わされた場合にオーバーラップしていると呼ばれる。
【0021】
配置ツールの運動速度及び/又は剛性コアの回転速度は、
タイヤの製造プロセスの完了後に、半径方向最も外側の環状補強構造体が位置する半径方向位置と、
タイヤの製造プロセスの完了後に、タイヤがリムに取り付けられてその作業圧力までインフレートされたときにカーカス補強材がその最も大きな軸方向幅を呈する場合の半径方向高さとの間に半径方向に位置した内側ライナの一部分の配置中、瞬間的に、即ち、或る特定の時間の間、次の不等式、即ち、
【数2】
(2)
を満足するために変更され、したがって、剛性コアの一部分は、ストリップによって覆われないようになる。
【0022】
これにより、三日月形の連続スリットを有するタイヤが得られる。この方法の利点は、スリット付き又は有孔内側ライナプライを取り扱う必要なく、既存の方法の簡単な改造によってタイヤを得ることができるということにある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】先行技術のタイヤを概略的に示す図である。
【図2】先行技術のタイヤの概略部分斜視図である。
【図3】先行技術のタイヤの一部分の概略半径方向断面図である。
【図4】先行技術のタイヤの製造において繰り返し見受けられる問題を概略的に示す図である。
【図5】先行技術のタイヤの製造において繰り返し見受けられる問題を概略的に示す図である。
【図6】気泡が内側ライナの下に存在することによる内側ライナの密着性の低下を概略的に示す図である。
【図7】気泡が内側ライナの下に存在することによる内側ライナの密着性の低下を概略的に示す図である。
【図8】気泡が内側ライナの下に存在することによる内側ライナの密着性の低下を概略的に示す図である。
【図9】内側ライナとタイヤの隣り合う部分相互間におけるビードの付近の気泡生成の問題を解決することができるタイヤの一部分の概略半径方向断面図である。
【図10】本発明の実施形態としてのタイヤの一部分の概略半径方向断面図である。
【図11】考えられるスリットの幾何学的形状を概略的に示す図である。
【図12】考えられるスリットの幾何学的形状を概略的に示す図である。
【図13】考えられるスリットの幾何学的形状を概略的に示す図である。
【図14】考えられるスリットの幾何学的形状を概略的に示す図である。
【図15】考えられるスリットの幾何学的形状を概略的に示す図である。
【図16A】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図16B】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図16C】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図17A】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図17B】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図17C】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図18A】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図18B】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図18C】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図19A】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図19B】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図19C】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図20A】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図20B】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図20C】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図21A】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図21B】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図21C】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図22】本発明の第2の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図23】本発明の第2の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図24】本発明の第2の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図25】本発明の第1の実施形態としての方法における配置ツールの半径方向運動を概略的に示す図である。
【図26】本発明の第2の実施形態としての方法における配置ツールの半径方向運動を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
当業者であれば「半径方向」という用語の幾つかの異なる使い方を区別することが妥当である。第1に、この表現は、タイヤの半径を意味している。この意味では、点Aは、これが点Bよりもタイヤの回転軸線の近くに位置する場合、点B「の内側に半径方向に」(又は点B「の半径方向内側」)に位置するとされる。これとは逆に、点Cは、これが点Eよりもタイヤの回転軸線から遠くに位置する場合、点E「の外側に半径方向に」(又は点E「の半径方向外側」)に位置するとされる。小さい半径(又は大きい半径)の方向の運動が存在する場合、「半径方向内方(又は半径方向外方)」に運動が存在するとされる。半径方向距離について説明する場合にも、このような用語のこの意味が当てはまる。
【0025】
これとは対照的に、細線又は補強材は、細線又は補強材の補強要素が周方向と65°以上90°以下の角度をなす場合に「半径方向」と呼ばれる。指定されるべきこととして、本明細書においては、「細線」という用語は、全く一般的な意味で理解されなければならず、細線は、モノフィラメント、マルチフィラメント、ケーブル、もろより糸又はこれらと同等の組立体の形態をした細線を含み、したがって、これは、細線の構成材料又はゴムとのその密着性を促進するために被着される被膜とは無関係である。
【0026】
最後に、「半径方向断面」という用語は、この場合、タイヤの回転軸線を含む平面に沿う断面を意味している。
【0027】
「軸方向」は、タイヤの回転軸線に平行な方向である。点Eは、これが点Fよりもタイヤの中間平面の近くに位置する場合、点F「の内側に軸方向に」(又は点F「の軸方向内側」)に位置するとされる。これとは逆に、点Gは、これが点Hよりもタイヤの中間平面から遠くに位置する場合、点H「の外側に軸方向に」(又は点H「の軸方向外側」)に位置するとされる。タイヤの「中間平面」は、タイヤの回転軸線に垂直であり且つ各ビードの環状補強構造体から等距離のところに位置する平面である。
【0028】
「周方向」は、タイヤの半径と軸方向の両方に対して垂直な方向である。
【0029】
2つの補強要素は、本明細書においては、これら2つの補強要素相互間のなす角度が20°以下である場合に「平行」であると呼ばれる。
【0030】
本明細書において「ゴムコンパウンド」という表現は、少なくとも1種類のエラストマー及び少なくとも1種類の充填剤を含むコンパウンドである。
タイヤの「トレッド」という用語は、2つの主要な表面及び側面によって画定されたゴムコンパウンドの塊を意味するようになっており、一方の主要な表面は、タイヤが転動する際に路面に接触するようになっている。
【0031】
内側ライナが「スリット」又は「穴」を有すると表現される場合、これは、硬化後にタイヤの内面上に溝又は凹部が存在しなければならないということを意味するものではない。内側ライナのスリット又は穴にはインフレーションガスに対して不透過性ではないゴムコンパウンドを充填することが可能であり、これは、タイヤの硬化中、特に内側ライナに隣接して位置するタイヤの部分を形成するゴムコンパウンドの流れに起因する場合がある。重要なことは、タイヤの内面を覆うゴムがインフレーションガスに対して不透過性ではないスリットの形又は穴の形をしたゾーンが存在することである。
【0032】
「タイヤの内面」という表現は、この場合、タイヤをリムに装着してこれをインフレートさせたときにインフレーションガスと接触するようになっているタイヤの表面を意味する。
【0033】
図1は、先行技術のチューブレスタイヤ10を概略的に示している。タイヤ10は、トレッド40を載せたクラウン補強材(図1では見えない)を含むクラウンと、クラウンの半径方向内方の延長部として設けられた2つのサイドウォール30と、サイドウォール30の半径方向内側に設けられた2つのビード20とを有している。
【0034】
図2は、先行技術の異なるチューブレスタイヤ10の部分斜視図であり、図2は、タイヤの種々のコンポーネントを示している。タイヤ10は、インフレーションガスに対して不透過性であり、タイヤ10の内面を覆っているゴムコンパウンドで作られた「内側ライナ」50と、ゴムコンパウンドで被覆された細線61で作られているカーカス補強材60と、各々がタイヤ10をリム(図示せず)上に取り付け保持している環状補強構造体70を含む2つのビード20とを有している。カーカス補強材60は、ビード20の各々の中に繋留されている。タイヤ10は、2枚のプライ80,90を含むクラウン補強材を更に有している。プライ80,90は各々、各層中で平行であり且つ一方の層から他方の層にクロス掛けされ、周方向と10°〜70°の角度をなす細線補強要素81,91によって補強されている。タイヤは、クラウン補強材の半径方向外側に位置決めされたたが掛け補強材100を更に有し、このたが掛け補強材は、周方向に差し向けられると共に螺旋巻きされた補強要素101で形成されている。トレッド40がたが掛け補強材上に配置されており、タイヤ10を路面に接触させるのはこのトレッド40である。
【0035】
図3は、先行技術のタイヤの1/4の概略的な半径方向断面図である。タイヤ10は、補強材の第1の層80及び補強材の第2の層90で形成され、半径方向にトレッド40を載せているクラウン補強材を備えたクラウン25を有している。各補強材層は、ゴムコンパウンドで形成されたマトリックスで被覆されている細線補強材から成る。各補強材層の補強材は、互いに実質的に平行であり、2つの層の補強材は、いわゆるラジアルタイヤに関し、当業者には周知のように約20°の角度をなして一方の層から他方の層にクロス掛けされている。タイヤ10は、サイドウォール30及び2つのビード20を更に有し、各ビードは、環状補強構造体70、この場合、ビードワイヤを有している。タイヤ10は、一方のビード20から他方のビードまで延びると共に巻き上げ部又は上曲がり部65によって2つのビード20の各々の中に繋留されたカーカス補強材60を更に有している。カーカス補強材60は、この場合、実質的に半径方向に差し向けられ、即ち、周方向と65°以上90°以下の角度をなす細線補強材から成っている。タイヤの内面は、内側ライナ50で覆われている。タイヤ10の中間平面が参照符号110で示されている。
【0036】
これら内側ライナがインフレーションガスに対して不透過性であるということにより、タイヤの製造において問題が生じる場合がある。特に、タイヤの製造中に取り込まれた空気が特にビード及びサイドウォールの半径方向内側半部のところで内側ライナの下に蓄積し、そしてこの中に気泡を形成する場合のあることが観察された。図4は、先行技術のタイヤの製造において繰り返し見受けられる問題を示している。図3のタイヤ10のサイドウォール30の下側部分及びビード20が示されている。図示の部分では、内側ライナ50とビード及びサイドウォールの隣接の部分との間には気泡150が生成している。
【0037】
タイヤがその硬化用金型から出る際におけるこのような気泡の存在は、タイヤアーキテクチャ、例えば図3に示されているタイヤアーキテクチャに何ら限定されることはない。また、カーカス補強材60が巻き上げ部65によってはビード20内に繋留されておらず、図5に示されているように複数個の環状補強構造体70によって保持されたタイヤ中にこのような気泡を見出すことも可能である。以下では、カーカス補強材60の巻き上げ部を備えたタイヤだけが示されているが、このことは、本発明を限定する特徴では全くない。各ビード20は、最も外側の環状補強構造体70を有している。ビード20が複数の構造体70(例えば図2及び図5に示されている)を有する場合、最も外側の構造体は、タイヤの回転軸線から最も遠くに位置する構造体である。ビード20が単一の構造体70しか備えていない場合、「最も外側の環状補強構造体」という用語がこれに当てはまる。
【0038】
気泡150は、装着前にタイヤがユーザに提供する外観を損なうが、これらの存在は、寿命にも影響を及ぼす場合がある。具体的に説明すると、気泡は、内側ライナの密着性低下の開始としての役目を果たす場合がある。この欠点は、図6〜図8に示されている。図6は、タイヤの初期状態を示している。タイヤが用いられるにつれて(このことは、機械的応力及び発熱サイクルを意味している)次第に、内側ライナ50は、気泡150の付近でタイヤの隣接部分から離れる。したがって、気泡は、形状及び表面積(図7)を変える。深刻な場合、内側ライナ50は、図8に示されているように、ビード20及びサイドウォールの内側部分から離脱する場合がある。この離脱により、シールの或る程度の低下が生じると共に相当の量の空気がタイヤを形成する材料中に入り込む。密着性の低下は、クライアントにタイヤを交換させる要因でもある。
【0039】
気泡生成の問題に対する解決策としては、図9に示されているように内側ライナによって覆われる表面積を減少させることが挙げられる。タイヤ10は、内側ライナ50を有し、この内側ライナの半径方向内側端部51は、ビード20の半径方向外側に位置している。この種の内側ライナは、特に、日本国特開平4‐090902号公報及び欧州特許第1228900号明細書から知られている。当然のことながら、内側ライナは、かなり広い気泡生成ゾーンを覆っておらず、したがって、気泡を生成しやすい空気を取り込むことがないので、気泡生成の恐れが大幅に減少している。
【0040】
それにもかかわらず、このようなタイヤには欠点がある。特に、内側ライナにより覆われている表面積の減少によりタイヤによって生じるノイズが増大し、特に空胴モード周波数範囲のノイズが増大することが注目される。したがって、このようなタイヤの使用により、タイヤが装着されている車両の車体振動が増大すると共にユーザの音響上の快適さが損なわれる。さらに、内側ライナにより覆われる表面積の減少により、経時的なインフレーション圧力の低下が増大する。
【0041】
この欠点は、本発明の一実施形態としてのタイヤ、例えば図10に示されているタイヤ10によって解決される。図9のタイヤとの相違点は、内側ライナ50が環状補強構造体70の半径方向高さまで延び、この内側ライナがタイヤの各サイドウォール中に、環状補強構造体70と、タイヤをそのリム(図示せず)に装着してその作業圧力までインフレートさせたときにカーカス補強材60がその最も大きな軸方向幅を呈する場合の半径RE(図示されていないタイヤの回転軸線から測定される)との間に半径方向に位置したスリット200を有しているということにあるに過ぎない。この実施形態では、スリットの最大半径方向高さHRは、2.5mmである。この場合、スリット200には、タイヤの隣接部分から流動した所与の量のゴムコンパウンドが充填される。
【0042】
タイヤの硬化中に内側ライナが僅かに流動する場合があり、このことがスリットの半径方向高さを減少させるという作用硬化を持つということは注目されるべきである。硬化状態における半径方向高さHRのスリットを得るため、用いられる材料に応じて、生の状態で僅かに大きなスリットを提供することが必要な場合がある。
【0043】
環状補強構造体70の高さでのみ終端し、或いは、実際にはビードの受座21まで延びるが、スリット200によって中断される内側ライナ50を設けることにより、内側ライナ50とタイヤの隣接部分との間に閉じ込められる空気と関連した問題を著しく軽減することが判明した。さらに、この結果は、転動中、タイヤによって放出されるノイズを増大させないで達成される。この利点は、内側ライナ50が極めてヒステリシス特性を示し、これに対し、その下に位置するタイヤのゴム材料がそれほどでもないということによって説明できる。
【0044】
さらに、20℃におけるインフレーション圧力の静的損失は、内側ライナによって覆われる表面積が減少したタイヤと比較して著しく減少する。図3のタイヤの全体的構造を備えたタイヤに対して測定が実施された。例えば図3に示されている内側ライナを備えたタイヤは、4週間で(静的条件、20℃)そのインフレーション圧力のうちの40ミリバールを失った。内側ライナが設けられていない同一タイヤの場合、損失は、65ミリバールに達した。短くされた内側ライナ(例えば、図9に示されている内側ライナを備えたタイヤは、50ミリバールを失い、これに対し、本発明のタイヤ(図10)では、損失は、45ミリバール)に減少した。
【0045】
図11及び図12は、考えられるスリットの或る特定の幾何学的形状を概略的に示している。図は、周方向断面(タイヤの回転軸線に垂直な平面の図に対応しており、内側ライナ50で覆われたサイドウォールの内面がスリット200を有していることが図示されている。
【0046】
図11のスリット200は、3mmの一定半径方向高さHRを有し、このスリットは、タイヤの周囲全体にわたって延びている。したがって、閉じ込められた空気は全て、スリットに向かうこの空気の周方向における拡散を利用しないで、容易に排出される。
【0047】
これとは対照的に、図12のタイヤのスリット200は、タイヤの周囲全体にわたっては延びてはおらず、タイヤの周囲の3/4よりも僅かに長く延びているに過ぎない(α=295°)。スリットの半径方向高さは、3mmの最大値HRを有し、このような半径方向高さは、その端のところでゼロに向かう傾向があり、したがって、スリットは、三日月の形をしている。このようなスリットにより、空気を事実上周囲全体にわたって排出することができる。閉じ込められた空気の残部の拡散経路は、排出を短時間で可能にするほど短い。この種のスリットは、以下に説明する本発明の実施形態としての方法により容易に製造できる。
【0048】
本明細書で用いられる「スリット」という概念は、単純な連続スリット、例えば図11及び図12に示されているスリット200を含むだけではない。この概念は、内側ライナに設けられた一線をなす穴(又は一線をなす小さなスリット)を備えたスリットを含む。これは、図13〜図15に示されている。
【0049】
図13は、図11及び図12に示されているスリット200と同様な連続スリット200の一部分を示している。タイヤの曲率が抽象的に描かれている。このようなスリットは、空気を排出するための能力が最大になっている。
【0050】
図14及び図15は、各々、一線をなす穴201を含むスリットを示している。この方法は、特にスリットがタイヤの周囲全体にわたって延びる場合に有利なことがある。スリットが連続している場合、製造中、内側ライナの3つの部分を取り扱うことが必要である。内側ライナが穿孔されている場合、内側ライナは、単一品の状態で配置可能であり、それによりその取り扱いが容易になる。
【0051】
あらかじめ穿孔された気密ゴムコンパウンドのプライを用いることにより又は従来型製造プロセスによりドラム上で内側ライナの幾つかの部分を単に組み立てることによって本発明のタイヤを得ることが容易であることが、当業者であれば理解できる。原理的には、タイヤの製造後にスリットを切断形成することも可能である。しかしながら、これらの方法には、厄介であるという欠点がある。さらに、硬化済みのタイヤにする切断作業は、タイヤを損傷させる恐れがある。本発明の実施形態としての方法により、これらの問題をなしで済ますことが可能である。
【0052】
本発明の方法の第1の実施形態が図16A〜図21Cに示されている。ここでは、この方法の必要不可欠なステップについてのみ説明する。剛性コア上にストリップを配置するステップを含む方法は、当業者には周知である。とりわけ1つの例が欧州特許第0666165号明細書に与えられており、この欧州特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。2002年ミシュラン(Michelin)社によって発行されたパンフレット「ザ・タイヤ・ダイジェスト(The Tyre Digest)」に概要説明が載っている“C3M3”方法は、このような方法に対応している。
【0053】
図16Aは、回転軸線回りに角速度ωで回転させることができる剛性コア300を概略的に示している。図16B及び図16Cは、それぞれ、同一の剛性コアを、I‐I線(図16A参照)に沿って取った断面及びII‐II線(図16A参照)に沿って取った断面を示している。次の図では、部分B及び部分C(例えば、図17B及び図17C)は、それぞれ、I‐I線に沿った断面及びII‐II線に沿った断面に依然として対応している。
【0054】
図17Aは、本発明の実施形態としての方法の第1ステップを示している。タイヤをインフレーションさせるようになったガスに対して不透過性であるゴムコンパウンドがストリップ400(幅L)を供給手段350によって供給し、それ自体知られている配置ツール(図面を分かりやすくするために示されていない)によって剛性コア300に張り付ける。次に、剛性コア300を実質的に一定の角速度ωで回転させる。本発明の方法の第1の実施形態によれば、配置ツールは、剛性コアの回転軸線に実質的に垂直な方向で一定の初期速度V0で前進する。配置ツールは、例えば、米国特許出願公開第2007/0199661号明細書に開示されている配置ツールであるのが良く、この米国特許出願公開を援用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0055】
剛性コア300がその回転軸線回りに一回転するのに要する時間がTである場合、次のように表すことができる。
【数3】
(3)
剛性コアの一回転後に配置されるストリップの部分がこの回転中に配置されるストリップの部分の一部とオーバーラップするようにするためには、剛性コアの回転軸線に垂直な方向でストリップの幅L未満の距離Dだけ配置ツールを前進させなければならない。数学的な観点では、これは、以下の不等式に対応している。
【数4】
(4)
【0056】
方程式(3)を代入すると、この不等式を次のように書き直すことができる。
【数5】
(5)
【0057】
この条件をV0及びωの適当な選択によって満たすことができる。
【0058】
図18Aは、条件(5)が満たされた場合に剛性コア300の一回転後に得られる結果を示しており、即ち、最初の回転時に配置されるストリップ400の部分と次の回転時に追加されるストリップの部分にはオーバーラップが存在する。オペレータがこれらの条件を満たし続ける場合、スリットをほんの僅かでも備えない内側ライナ全体をタイヤのビード及びサイドウォール上に配置することが可能である。
【0059】
図18Aに示されている時点と図19Aに示されている時点との間で、オペレータは、 ‐タイヤの製造プロセスの完了後に、半径方向最も外側の環状補強構造体が位置する半径方向位置と、
‐タイヤの製造プロセスの完了後に、タイヤがリムに取り付けられてその作業圧力までインフレートされたときにカーカス補強材がその最も大きな軸方向幅を呈する場合の半径方向高さとの間に半径方向に位置したゾーン中の内側ライナの部分を配置し始める。
【0060】
この半径方向ゾーンにスリットを得るためには、配置ツールの運動速度Vを次のように増大させる。
【数6】
(6)
【0061】
当然のことながら、この不等式を満足させるために運動速度Vを一定に保つと共に剛性コアの角速度ωを減少させ(というのは、Tは、角速度ωに依存しているからである)、或いは両方の速度を適当に変更することにより2つの方式を組み合わせることも又可能である。しかしながら、最善の生産性を得るには、一定角速度ωを減少させず、しかも運動速度Vを増大させないことが好ましい。
【0062】
図19Aに示されている時点では、スリットの形成が始まっている。この時点と図20Aに示されている時点との間では、オペレータは、再び以下の不等式を満足させるために運動速度V(及び/又は剛性コアの角速度ω)を変化させる。
【数7】
(7)
この場合も又、結果として、連続して配置されたストリップの部分のオーバーラップが得られる。
【0063】
図20A、図20B及び図20Cは、このようにして得られたスリット200を示している。
【0064】
次いで、オペレータは、不等式(7)が満たされる配置条件でストリップの配置を続行する。
【0065】
したがって、上述した半径方向ゾーンには三日月の形をしたスリット200が得られる。この場合、スリット200は、約300°にわたって延びる。
【0066】
本発明のこの実施形態には、図21Aのゾーン500に対応したビードの僅かな部分が内側ライナによって覆われていないという不都合がある。或る特定のステップが図22〜図24に示されている本発明の方法の第2の実施形態により、この不都合を解決することができる。
【0067】
開始時点は、図17と同一である。第1の実施形態とは異なり、配置ツールは、最初の回転の持続時間のほぼ大部分の間前進しない。回転の完了直前に、配置ツールを剛性コアの回転軸線に垂直な方向に動かす。オーバーラップが存在するようにするためには、移動量は、ストリップの幅L未満でなければならない。次に、図22に示されている位置に達する。したがって、タイヤのビードに対応しているこの部分全体は、内側ライナによって覆われる。
【0068】
図23は、剛性コアの次の又は第2の回転後における状況を表している。先のステップとは異なり、配置ツールは、ストリップの幅Lを超える長さだけ動かされている。次に、スリットの開始部が生じる。
【0069】
スリット200は、図24に明確に見え、図24は、追加の回転後における状況を示している。この場合も又、この追加の回転の終了時における配置ツールの移動量は、ストリップの幅L未満であり、したがって、スリット200の形成が完了している。
【0070】
各回転時に配置ツールの移動量をストリップの幅L未満に維持しながら内側ライナの残部を配置する。
【0071】
図25及び図26は、本発明の方法の2つの実施形態に関する経時的な配置ツールの移動量を示している。
【0072】
図25は、本発明の方法の第1の実施形態(図18A〜図21C)に関する経時的な配置ツールの移動量Dを示している。ツールは、速度を増大させるスリットの開始(回転期間T2)に対応した回転中を除き、一定速度で前進し(コアの回転期間T1,T3,T4)したがって、この回転中における配置ツールの移動量は、ストリップの幅Lを超えるようになっている。
【0073】
図26は、本発明の方法の第2の実施形態に関し(図22〜図24)、経時的な配置ツールの移動量Dを示している。配置ツールは、剛性コアの各回転の終わり頃を除き、前進しない。スリットを形成するためには、回転の終了時におけるこの移動量は、配置されるべきストリップの幅Lを超えなければならない。
【0074】
当然のことながら、剛性コア及び配置ツールの複雑な運動を提供することによって本発明の方法の2つの実施形態を組み合わせることが可能である。それにもかかわらず、基本的な原理は、同一のままであり、即ち、スリットを形成することが望ましいゾーンに達すると、剛性コア及び配置ツールのそれぞれの移動量を変化させてコアの一回転中、配置ツールが配置されるべきストリップの幅を超える距離だけ半径方向に前進するようにする。
【0075】
図示されていないが、剛性コアの半径方向外側の配置の開始及びコアの内側に向かう半径方向の前進を提供することも可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブレスタイヤに関し、詳細には、これらタイヤをインフレートさせるガスに対してガス密である内側ライナに関する。本発明は又、これらタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インフレーションガスで膨張させられるよう設計された大抵のチューブレスタイヤは、「内側ライナ」、即ち、インフレーションガスに対して不透過性であり、タイヤの内面を覆うゴムコンパウンドを有する。この内側ライナは、ほとんどの場合、ブチル系ゴムコンパウンドで作られる。
【0003】
これら内側ライナがインフレーションガスに対して不透過性であるということにより、タイヤ製造にあたって問題が生じる。具体的に説明すると、タイヤの製造中に取り込まれた空気が特にビード及びサイドウォールの半径方向内側半部のところで内側ライナの下に蓄積してこの中に気泡を形成する場合がある。これら気泡は、タイヤの外観を損なうが、このような気泡が存在していることによりタイヤの寿命にも影響が生じる場合がある。具体的に説明すると、気泡は、内側ライナの密着性又は接着性低下を開始させる場合がある。深刻な場合、内側ライナは、ビード及びサイドウォールの内側部分から離脱する場合があり、それにより、シールの幾分かの減少及びタイヤを形成している材料中への相当の量の空気の侵入が生じ、これによりタイヤの寿命が短くなる場合がある。密着性低下は、使用者にタイヤを交換させる要因ともなる。このような理由で、タイヤ製造業者は、気泡の存在を検出するために硬化後にタイヤを吟味している。気泡の数及び/又はサイズが大きすぎる場合、タイヤは破棄される。
【0004】
この問題を解決するために幾つかの解決策が提案された。一例として、日本国特開昭60‐196331号公報は、レーザビームにより内側ライナを焼いて穴を形成することを提案している。これらの穴により、空気は、タイヤの製造中及び最初の加硫段階中に逃げ出ることができる。穴は、内側ライナが加硫中に流動することによって閉じ、それにより、加硫後に無傷の内側ライナを得ることができる。
【0005】
日本国特開2005‐238654号公報は、穴が設けられている内側ライナ及び適当な金型を用いた別の方式を記載している。
【0006】
気泡の生成という問題に対する別の解決策では、内側ライナによって覆われる表面積を減少させる。具体的に説明すると、ビード及びサイドウォールの半径方向最も内側の部分を内側ライナで覆わないようにすることが可能である。この種のタイヤは、タイヤを軽量化する目的で開発されたが、このようなタイヤには、気泡の生成による影響の受け具合が少ないという利点もある。このようなタイヤは、例えば、日本国特開平4‐090902号公報及び欧州特許第1228900号明細書から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本国特開昭60‐196331号公報
【特許文献2】日本国特開2005‐238654号公報
【特許文献3】日本国特開平4‐090902号公報
【特許文献4】欧州特許第1228900号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それにもかかわらず、このようなタイヤには欠点がある。具体的に言えば、内側ライナにより覆われている表面積の減少によりタイヤによって生じるノイズ(騒音)が増大し、特に空胴モード周波数範囲のノイズが増大することが注目される。したがって、このようなタイヤの使用により、タイヤが装着されている車両の車体振動が増大すると共にユーザの音響上の快適さが損なわれる。さらに、内側ライナにより覆われる表面積の減少により、経時的なインフレーション圧力の低下が増大する。
【0009】
本発明の一目的は、製造にあたり内側ライナとタイヤの隣接部分との間の気泡の生成を生じにくく、その結果、良好な寿命をもたらす一方で、インフレーション圧力の低下を最小限に抑えることができるチューブレスタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、インフレーションガスでインフレートされるチューブレスタイヤであって、
トレッドを載せたクラウン補強材を含むクラウンと、
クラウンの半径方向内方の延長部としての2つのサイドウォールと、
サイドウォールの半径方向内側に位置し、各々が少なくとも1つの環状補強構造体を含む2つのビードと、
ビードの各々の中に繋留されたカーカス補強材と、
インフレーションガスに対して不透過性であってタイヤの内面を覆った内側ライナとを有するタイヤによって達成される。
【0011】
内側ライナは、本発明の実施形態としてのタイヤの各サイドウォール内において、
半径方向最も外側に位置した環状補強構造体と、
タイヤをリムに装着してその作業圧力までインフレートさせたときにカーカス補強材がその最も大きな軸方向幅を呈する場合の半径REとの間に半径方向に位置した少なくとも1つのスリットを有する。
【0012】
スリットは、0.5〜5mmの最大半径方向高さHRを有すると共にタイヤの周囲の少なくとも半分(180°)にわたって延びている。
【0013】
スリットは、0.5〜5mm、好ましくは1.5〜2.5mmの最大半径方向高さを有し、タイヤの周囲の少なくとも半分(180°)にわたって延びている。
【0014】
このようなタイヤは、その製造中、気泡の生成を極めて著しく減少させることが注目された。というのは、内側ライナとタイヤの隣接部分との間に蓄積された空気は、内側ライナに設けられているスリットを通って逃げ出るからである。インフレーション圧力の低下は、内側ライナにより覆われている表面積が減少しているタイヤと比較してかなり減少している。さらに、ノイズ測定により、本発明のタイヤが生じるノイズは、ビード及びサイドウォールの半径方向内側部分を覆っていない内側ライナを備えた同等のタイヤのノイズよりも小さいということを確認することができる。
【0015】
好ましい実施形態によれば、スリットは、タイヤの周囲の少なくとも3/4にわたって(換言すると、270°にわたって)延びる。このようなスリットにより、空気は、事実上周囲全体上でこれに沿って抜け出ることができる。取り込み状態の空気の残部の拡散経路は、空気を短時間で(代表的には数分のオーダーで)排出することができるのに十分短い。したがって、単一のスリットは、取り込み状態の空気の全てを排出するのに十分であると言える。
【0016】
さらにより好ましくは、スリットは、タイヤの周囲全体にわたって延び、したがって、取り込み状態の空気は全て、スリットに向かうこの空気の周方向における拡散を利用しないで、容易に排出されるようになっており、このような拡散は、直ちに行なわれるというわけではない。
特定の実施形態によれば、スリットの半径方向高さは、その端のところでゼロに向かう傾向があり、したがって、スリットは、三日月の形をしている。
【0017】
好ましい実施形態によれば、スリットは、連続している。特に、スリットが非中断状態である場合、その空気排出能力は、最大になる。
【0018】
変形実施形態によれば、スリットは、内側ライナに設けられた一線をなす穴を有する。この実施形態は、特に、タイヤの周囲全体にわたって延びるスリットを提供することが望ましい場合に有利なことがある。スリットが連続している場合、製造中、内側ライナの3つの部分を取り扱うことが必要である。スリットが一線をなす穴(小さなスリットを含む)から成る場合、即ち、内側ライナに孔しか設けられていない場合、内側ライナは、単一品の状態で配置可能であり、それによりその取り扱いが容易になる。
【0019】
本発明の別の態様は、タイヤを製造する方法であって、タイヤのインフレーション用のガスに対してガス密であるゴムコンパウンドのストリップを角速度ωで軸線回りに回転する剛性コア上に配置することによりタイヤの内側ライナを製作するステップを有する方法に関する。幅Lのストリップは、ストリップ配置ツールにより剛性コア上に配置され、この配置ツールは、配置作業中、剛性コアの回転軸線に実質的に垂直な方向に運動速度Vで動かされる。角速度ω及び配置ツールの運動速度Vは、剛性コアの回転の終わりのところに位置するストリップの一部分が剛性コアの同じ回転の始まりのところに位置するストリップの一部分と接触するが、これとオーバーラップすることがなく或いはこれら一部分相互間の接触がオーバーラップを更に含むように選択される。
【0020】
これは、特に、
【数1】
(1)
の場合であり、上式において、Tは、剛性コアが丸一回転するのに要する時間である。この関係式の等号オプションは、オーバーラップなしの接触をもたらし、これに対し、不等号オプションは、オーバーラップありの接触をもたらす。2つの部分は、これら2つの部分が置かれた表面に垂直な方向において一方の部分が他方の部分の一部上に重ね合わされた場合にオーバーラップしていると呼ばれる。
【0021】
配置ツールの運動速度及び/又は剛性コアの回転速度は、
タイヤの製造プロセスの完了後に、半径方向最も外側の環状補強構造体が位置する半径方向位置と、
タイヤの製造プロセスの完了後に、タイヤがリムに取り付けられてその作業圧力までインフレートされたときにカーカス補強材がその最も大きな軸方向幅を呈する場合の半径方向高さとの間に半径方向に位置した内側ライナの一部分の配置中、瞬間的に、即ち、或る特定の時間の間、次の不等式、即ち、
【数2】
(2)
を満足するために変更され、したがって、剛性コアの一部分は、ストリップによって覆われないようになる。
【0022】
これにより、三日月形の連続スリットを有するタイヤが得られる。この方法の利点は、スリット付き又は有孔内側ライナプライを取り扱う必要なく、既存の方法の簡単な改造によってタイヤを得ることができるということにある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】先行技術のタイヤを概略的に示す図である。
【図2】先行技術のタイヤの概略部分斜視図である。
【図3】先行技術のタイヤの一部分の概略半径方向断面図である。
【図4】先行技術のタイヤの製造において繰り返し見受けられる問題を概略的に示す図である。
【図5】先行技術のタイヤの製造において繰り返し見受けられる問題を概略的に示す図である。
【図6】気泡が内側ライナの下に存在することによる内側ライナの密着性の低下を概略的に示す図である。
【図7】気泡が内側ライナの下に存在することによる内側ライナの密着性の低下を概略的に示す図である。
【図8】気泡が内側ライナの下に存在することによる内側ライナの密着性の低下を概略的に示す図である。
【図9】内側ライナとタイヤの隣り合う部分相互間におけるビードの付近の気泡生成の問題を解決することができるタイヤの一部分の概略半径方向断面図である。
【図10】本発明の実施形態としてのタイヤの一部分の概略半径方向断面図である。
【図11】考えられるスリットの幾何学的形状を概略的に示す図である。
【図12】考えられるスリットの幾何学的形状を概略的に示す図である。
【図13】考えられるスリットの幾何学的形状を概略的に示す図である。
【図14】考えられるスリットの幾何学的形状を概略的に示す図である。
【図15】考えられるスリットの幾何学的形状を概略的に示す図である。
【図16A】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図16B】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図16C】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図17A】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図17B】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図17C】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図18A】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図18B】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図18C】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図19A】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図19B】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図19C】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図20A】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図20B】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図20C】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図21A】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図21B】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図21C】本発明の第1の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図22】本発明の第2の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図23】本発明の第2の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図24】本発明の第2の実施形態としての方法を概略的に示す図である。
【図25】本発明の第1の実施形態としての方法における配置ツールの半径方向運動を概略的に示す図である。
【図26】本発明の第2の実施形態としての方法における配置ツールの半径方向運動を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
当業者であれば「半径方向」という用語の幾つかの異なる使い方を区別することが妥当である。第1に、この表現は、タイヤの半径を意味している。この意味では、点Aは、これが点Bよりもタイヤの回転軸線の近くに位置する場合、点B「の内側に半径方向に」(又は点B「の半径方向内側」)に位置するとされる。これとは逆に、点Cは、これが点Eよりもタイヤの回転軸線から遠くに位置する場合、点E「の外側に半径方向に」(又は点E「の半径方向外側」)に位置するとされる。小さい半径(又は大きい半径)の方向の運動が存在する場合、「半径方向内方(又は半径方向外方)」に運動が存在するとされる。半径方向距離について説明する場合にも、このような用語のこの意味が当てはまる。
【0025】
これとは対照的に、細線又は補強材は、細線又は補強材の補強要素が周方向と65°以上90°以下の角度をなす場合に「半径方向」と呼ばれる。指定されるべきこととして、本明細書においては、「細線」という用語は、全く一般的な意味で理解されなければならず、細線は、モノフィラメント、マルチフィラメント、ケーブル、もろより糸又はこれらと同等の組立体の形態をした細線を含み、したがって、これは、細線の構成材料又はゴムとのその密着性を促進するために被着される被膜とは無関係である。
【0026】
最後に、「半径方向断面」という用語は、この場合、タイヤの回転軸線を含む平面に沿う断面を意味している。
【0027】
「軸方向」は、タイヤの回転軸線に平行な方向である。点Eは、これが点Fよりもタイヤの中間平面の近くに位置する場合、点F「の内側に軸方向に」(又は点F「の軸方向内側」)に位置するとされる。これとは逆に、点Gは、これが点Hよりもタイヤの中間平面から遠くに位置する場合、点H「の外側に軸方向に」(又は点H「の軸方向外側」)に位置するとされる。タイヤの「中間平面」は、タイヤの回転軸線に垂直であり且つ各ビードの環状補強構造体から等距離のところに位置する平面である。
【0028】
「周方向」は、タイヤの半径と軸方向の両方に対して垂直な方向である。
【0029】
2つの補強要素は、本明細書においては、これら2つの補強要素相互間のなす角度が20°以下である場合に「平行」であると呼ばれる。
【0030】
本明細書において「ゴムコンパウンド」という表現は、少なくとも1種類のエラストマー及び少なくとも1種類の充填剤を含むコンパウンドである。
タイヤの「トレッド」という用語は、2つの主要な表面及び側面によって画定されたゴムコンパウンドの塊を意味するようになっており、一方の主要な表面は、タイヤが転動する際に路面に接触するようになっている。
【0031】
内側ライナが「スリット」又は「穴」を有すると表現される場合、これは、硬化後にタイヤの内面上に溝又は凹部が存在しなければならないということを意味するものではない。内側ライナのスリット又は穴にはインフレーションガスに対して不透過性ではないゴムコンパウンドを充填することが可能であり、これは、タイヤの硬化中、特に内側ライナに隣接して位置するタイヤの部分を形成するゴムコンパウンドの流れに起因する場合がある。重要なことは、タイヤの内面を覆うゴムがインフレーションガスに対して不透過性ではないスリットの形又は穴の形をしたゾーンが存在することである。
【0032】
「タイヤの内面」という表現は、この場合、タイヤをリムに装着してこれをインフレートさせたときにインフレーションガスと接触するようになっているタイヤの表面を意味する。
【0033】
図1は、先行技術のチューブレスタイヤ10を概略的に示している。タイヤ10は、トレッド40を載せたクラウン補強材(図1では見えない)を含むクラウンと、クラウンの半径方向内方の延長部として設けられた2つのサイドウォール30と、サイドウォール30の半径方向内側に設けられた2つのビード20とを有している。
【0034】
図2は、先行技術の異なるチューブレスタイヤ10の部分斜視図であり、図2は、タイヤの種々のコンポーネントを示している。タイヤ10は、インフレーションガスに対して不透過性であり、タイヤ10の内面を覆っているゴムコンパウンドで作られた「内側ライナ」50と、ゴムコンパウンドで被覆された細線61で作られているカーカス補強材60と、各々がタイヤ10をリム(図示せず)上に取り付け保持している環状補強構造体70を含む2つのビード20とを有している。カーカス補強材60は、ビード20の各々の中に繋留されている。タイヤ10は、2枚のプライ80,90を含むクラウン補強材を更に有している。プライ80,90は各々、各層中で平行であり且つ一方の層から他方の層にクロス掛けされ、周方向と10°〜70°の角度をなす細線補強要素81,91によって補強されている。タイヤは、クラウン補強材の半径方向外側に位置決めされたたが掛け補強材100を更に有し、このたが掛け補強材は、周方向に差し向けられると共に螺旋巻きされた補強要素101で形成されている。トレッド40がたが掛け補強材上に配置されており、タイヤ10を路面に接触させるのはこのトレッド40である。
【0035】
図3は、先行技術のタイヤの1/4の概略的な半径方向断面図である。タイヤ10は、補強材の第1の層80及び補強材の第2の層90で形成され、半径方向にトレッド40を載せているクラウン補強材を備えたクラウン25を有している。各補強材層は、ゴムコンパウンドで形成されたマトリックスで被覆されている細線補強材から成る。各補強材層の補強材は、互いに実質的に平行であり、2つの層の補強材は、いわゆるラジアルタイヤに関し、当業者には周知のように約20°の角度をなして一方の層から他方の層にクロス掛けされている。タイヤ10は、サイドウォール30及び2つのビード20を更に有し、各ビードは、環状補強構造体70、この場合、ビードワイヤを有している。タイヤ10は、一方のビード20から他方のビードまで延びると共に巻き上げ部又は上曲がり部65によって2つのビード20の各々の中に繋留されたカーカス補強材60を更に有している。カーカス補強材60は、この場合、実質的に半径方向に差し向けられ、即ち、周方向と65°以上90°以下の角度をなす細線補強材から成っている。タイヤの内面は、内側ライナ50で覆われている。タイヤ10の中間平面が参照符号110で示されている。
【0036】
これら内側ライナがインフレーションガスに対して不透過性であるということにより、タイヤの製造において問題が生じる場合がある。特に、タイヤの製造中に取り込まれた空気が特にビード及びサイドウォールの半径方向内側半部のところで内側ライナの下に蓄積し、そしてこの中に気泡を形成する場合のあることが観察された。図4は、先行技術のタイヤの製造において繰り返し見受けられる問題を示している。図3のタイヤ10のサイドウォール30の下側部分及びビード20が示されている。図示の部分では、内側ライナ50とビード及びサイドウォールの隣接の部分との間には気泡150が生成している。
【0037】
タイヤがその硬化用金型から出る際におけるこのような気泡の存在は、タイヤアーキテクチャ、例えば図3に示されているタイヤアーキテクチャに何ら限定されることはない。また、カーカス補強材60が巻き上げ部65によってはビード20内に繋留されておらず、図5に示されているように複数個の環状補強構造体70によって保持されたタイヤ中にこのような気泡を見出すことも可能である。以下では、カーカス補強材60の巻き上げ部を備えたタイヤだけが示されているが、このことは、本発明を限定する特徴では全くない。各ビード20は、最も外側の環状補強構造体70を有している。ビード20が複数の構造体70(例えば図2及び図5に示されている)を有する場合、最も外側の構造体は、タイヤの回転軸線から最も遠くに位置する構造体である。ビード20が単一の構造体70しか備えていない場合、「最も外側の環状補強構造体」という用語がこれに当てはまる。
【0038】
気泡150は、装着前にタイヤがユーザに提供する外観を損なうが、これらの存在は、寿命にも影響を及ぼす場合がある。具体的に説明すると、気泡は、内側ライナの密着性低下の開始としての役目を果たす場合がある。この欠点は、図6〜図8に示されている。図6は、タイヤの初期状態を示している。タイヤが用いられるにつれて(このことは、機械的応力及び発熱サイクルを意味している)次第に、内側ライナ50は、気泡150の付近でタイヤの隣接部分から離れる。したがって、気泡は、形状及び表面積(図7)を変える。深刻な場合、内側ライナ50は、図8に示されているように、ビード20及びサイドウォールの内側部分から離脱する場合がある。この離脱により、シールの或る程度の低下が生じると共に相当の量の空気がタイヤを形成する材料中に入り込む。密着性の低下は、クライアントにタイヤを交換させる要因でもある。
【0039】
気泡生成の問題に対する解決策としては、図9に示されているように内側ライナによって覆われる表面積を減少させることが挙げられる。タイヤ10は、内側ライナ50を有し、この内側ライナの半径方向内側端部51は、ビード20の半径方向外側に位置している。この種の内側ライナは、特に、日本国特開平4‐090902号公報及び欧州特許第1228900号明細書から知られている。当然のことながら、内側ライナは、かなり広い気泡生成ゾーンを覆っておらず、したがって、気泡を生成しやすい空気を取り込むことがないので、気泡生成の恐れが大幅に減少している。
【0040】
それにもかかわらず、このようなタイヤには欠点がある。特に、内側ライナにより覆われている表面積の減少によりタイヤによって生じるノイズが増大し、特に空胴モード周波数範囲のノイズが増大することが注目される。したがって、このようなタイヤの使用により、タイヤが装着されている車両の車体振動が増大すると共にユーザの音響上の快適さが損なわれる。さらに、内側ライナにより覆われる表面積の減少により、経時的なインフレーション圧力の低下が増大する。
【0041】
この欠点は、本発明の一実施形態としてのタイヤ、例えば図10に示されているタイヤ10によって解決される。図9のタイヤとの相違点は、内側ライナ50が環状補強構造体70の半径方向高さまで延び、この内側ライナがタイヤの各サイドウォール中に、環状補強構造体70と、タイヤをそのリム(図示せず)に装着してその作業圧力までインフレートさせたときにカーカス補強材60がその最も大きな軸方向幅を呈する場合の半径RE(図示されていないタイヤの回転軸線から測定される)との間に半径方向に位置したスリット200を有しているということにあるに過ぎない。この実施形態では、スリットの最大半径方向高さHRは、2.5mmである。この場合、スリット200には、タイヤの隣接部分から流動した所与の量のゴムコンパウンドが充填される。
【0042】
タイヤの硬化中に内側ライナが僅かに流動する場合があり、このことがスリットの半径方向高さを減少させるという作用硬化を持つということは注目されるべきである。硬化状態における半径方向高さHRのスリットを得るため、用いられる材料に応じて、生の状態で僅かに大きなスリットを提供することが必要な場合がある。
【0043】
環状補強構造体70の高さでのみ終端し、或いは、実際にはビードの受座21まで延びるが、スリット200によって中断される内側ライナ50を設けることにより、内側ライナ50とタイヤの隣接部分との間に閉じ込められる空気と関連した問題を著しく軽減することが判明した。さらに、この結果は、転動中、タイヤによって放出されるノイズを増大させないで達成される。この利点は、内側ライナ50が極めてヒステリシス特性を示し、これに対し、その下に位置するタイヤのゴム材料がそれほどでもないということによって説明できる。
【0044】
さらに、20℃におけるインフレーション圧力の静的損失は、内側ライナによって覆われる表面積が減少したタイヤと比較して著しく減少する。図3のタイヤの全体的構造を備えたタイヤに対して測定が実施された。例えば図3に示されている内側ライナを備えたタイヤは、4週間で(静的条件、20℃)そのインフレーション圧力のうちの40ミリバールを失った。内側ライナが設けられていない同一タイヤの場合、損失は、65ミリバールに達した。短くされた内側ライナ(例えば、図9に示されている内側ライナを備えたタイヤは、50ミリバールを失い、これに対し、本発明のタイヤ(図10)では、損失は、45ミリバール)に減少した。
【0045】
図11及び図12は、考えられるスリットの或る特定の幾何学的形状を概略的に示している。図は、周方向断面(タイヤの回転軸線に垂直な平面の図に対応しており、内側ライナ50で覆われたサイドウォールの内面がスリット200を有していることが図示されている。
【0046】
図11のスリット200は、3mmの一定半径方向高さHRを有し、このスリットは、タイヤの周囲全体にわたって延びている。したがって、閉じ込められた空気は全て、スリットに向かうこの空気の周方向における拡散を利用しないで、容易に排出される。
【0047】
これとは対照的に、図12のタイヤのスリット200は、タイヤの周囲全体にわたっては延びてはおらず、タイヤの周囲の3/4よりも僅かに長く延びているに過ぎない(α=295°)。スリットの半径方向高さは、3mmの最大値HRを有し、このような半径方向高さは、その端のところでゼロに向かう傾向があり、したがって、スリットは、三日月の形をしている。このようなスリットにより、空気を事実上周囲全体にわたって排出することができる。閉じ込められた空気の残部の拡散経路は、排出を短時間で可能にするほど短い。この種のスリットは、以下に説明する本発明の実施形態としての方法により容易に製造できる。
【0048】
本明細書で用いられる「スリット」という概念は、単純な連続スリット、例えば図11及び図12に示されているスリット200を含むだけではない。この概念は、内側ライナに設けられた一線をなす穴(又は一線をなす小さなスリット)を備えたスリットを含む。これは、図13〜図15に示されている。
【0049】
図13は、図11及び図12に示されているスリット200と同様な連続スリット200の一部分を示している。タイヤの曲率が抽象的に描かれている。このようなスリットは、空気を排出するための能力が最大になっている。
【0050】
図14及び図15は、各々、一線をなす穴201を含むスリットを示している。この方法は、特にスリットがタイヤの周囲全体にわたって延びる場合に有利なことがある。スリットが連続している場合、製造中、内側ライナの3つの部分を取り扱うことが必要である。内側ライナが穿孔されている場合、内側ライナは、単一品の状態で配置可能であり、それによりその取り扱いが容易になる。
【0051】
あらかじめ穿孔された気密ゴムコンパウンドのプライを用いることにより又は従来型製造プロセスによりドラム上で内側ライナの幾つかの部分を単に組み立てることによって本発明のタイヤを得ることが容易であることが、当業者であれば理解できる。原理的には、タイヤの製造後にスリットを切断形成することも可能である。しかしながら、これらの方法には、厄介であるという欠点がある。さらに、硬化済みのタイヤにする切断作業は、タイヤを損傷させる恐れがある。本発明の実施形態としての方法により、これらの問題をなしで済ますことが可能である。
【0052】
本発明の方法の第1の実施形態が図16A〜図21Cに示されている。ここでは、この方法の必要不可欠なステップについてのみ説明する。剛性コア上にストリップを配置するステップを含む方法は、当業者には周知である。とりわけ1つの例が欧州特許第0666165号明細書に与えられており、この欧州特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。2002年ミシュラン(Michelin)社によって発行されたパンフレット「ザ・タイヤ・ダイジェスト(The Tyre Digest)」に概要説明が載っている“C3M3”方法は、このような方法に対応している。
【0053】
図16Aは、回転軸線回りに角速度ωで回転させることができる剛性コア300を概略的に示している。図16B及び図16Cは、それぞれ、同一の剛性コアを、I‐I線(図16A参照)に沿って取った断面及びII‐II線(図16A参照)に沿って取った断面を示している。次の図では、部分B及び部分C(例えば、図17B及び図17C)は、それぞれ、I‐I線に沿った断面及びII‐II線に沿った断面に依然として対応している。
【0054】
図17Aは、本発明の実施形態としての方法の第1ステップを示している。タイヤをインフレーションさせるようになったガスに対して不透過性であるゴムコンパウンドがストリップ400(幅L)を供給手段350によって供給し、それ自体知られている配置ツール(図面を分かりやすくするために示されていない)によって剛性コア300に張り付ける。次に、剛性コア300を実質的に一定の角速度ωで回転させる。本発明の方法の第1の実施形態によれば、配置ツールは、剛性コアの回転軸線に実質的に垂直な方向で一定の初期速度V0で前進する。配置ツールは、例えば、米国特許出願公開第2007/0199661号明細書に開示されている配置ツールであるのが良く、この米国特許出願公開を援用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0055】
剛性コア300がその回転軸線回りに一回転するのに要する時間がTである場合、次のように表すことができる。
【数3】
(3)
剛性コアの一回転後に配置されるストリップの部分がこの回転中に配置されるストリップの部分の一部とオーバーラップするようにするためには、剛性コアの回転軸線に垂直な方向でストリップの幅L未満の距離Dだけ配置ツールを前進させなければならない。数学的な観点では、これは、以下の不等式に対応している。
【数4】
(4)
【0056】
方程式(3)を代入すると、この不等式を次のように書き直すことができる。
【数5】
(5)
【0057】
この条件をV0及びωの適当な選択によって満たすことができる。
【0058】
図18Aは、条件(5)が満たされた場合に剛性コア300の一回転後に得られる結果を示しており、即ち、最初の回転時に配置されるストリップ400の部分と次の回転時に追加されるストリップの部分にはオーバーラップが存在する。オペレータがこれらの条件を満たし続ける場合、スリットをほんの僅かでも備えない内側ライナ全体をタイヤのビード及びサイドウォール上に配置することが可能である。
【0059】
図18Aに示されている時点と図19Aに示されている時点との間で、オペレータは、 ‐タイヤの製造プロセスの完了後に、半径方向最も外側の環状補強構造体が位置する半径方向位置と、
‐タイヤの製造プロセスの完了後に、タイヤがリムに取り付けられてその作業圧力までインフレートされたときにカーカス補強材がその最も大きな軸方向幅を呈する場合の半径方向高さとの間に半径方向に位置したゾーン中の内側ライナの部分を配置し始める。
【0060】
この半径方向ゾーンにスリットを得るためには、配置ツールの運動速度Vを次のように増大させる。
【数6】
(6)
【0061】
当然のことながら、この不等式を満足させるために運動速度Vを一定に保つと共に剛性コアの角速度ωを減少させ(というのは、Tは、角速度ωに依存しているからである)、或いは両方の速度を適当に変更することにより2つの方式を組み合わせることも又可能である。しかしながら、最善の生産性を得るには、一定角速度ωを減少させず、しかも運動速度Vを増大させないことが好ましい。
【0062】
図19Aに示されている時点では、スリットの形成が始まっている。この時点と図20Aに示されている時点との間では、オペレータは、再び以下の不等式を満足させるために運動速度V(及び/又は剛性コアの角速度ω)を変化させる。
【数7】
(7)
この場合も又、結果として、連続して配置されたストリップの部分のオーバーラップが得られる。
【0063】
図20A、図20B及び図20Cは、このようにして得られたスリット200を示している。
【0064】
次いで、オペレータは、不等式(7)が満たされる配置条件でストリップの配置を続行する。
【0065】
したがって、上述した半径方向ゾーンには三日月の形をしたスリット200が得られる。この場合、スリット200は、約300°にわたって延びる。
【0066】
本発明のこの実施形態には、図21Aのゾーン500に対応したビードの僅かな部分が内側ライナによって覆われていないという不都合がある。或る特定のステップが図22〜図24に示されている本発明の方法の第2の実施形態により、この不都合を解決することができる。
【0067】
開始時点は、図17と同一である。第1の実施形態とは異なり、配置ツールは、最初の回転の持続時間のほぼ大部分の間前進しない。回転の完了直前に、配置ツールを剛性コアの回転軸線に垂直な方向に動かす。オーバーラップが存在するようにするためには、移動量は、ストリップの幅L未満でなければならない。次に、図22に示されている位置に達する。したがって、タイヤのビードに対応しているこの部分全体は、内側ライナによって覆われる。
【0068】
図23は、剛性コアの次の又は第2の回転後における状況を表している。先のステップとは異なり、配置ツールは、ストリップの幅Lを超える長さだけ動かされている。次に、スリットの開始部が生じる。
【0069】
スリット200は、図24に明確に見え、図24は、追加の回転後における状況を示している。この場合も又、この追加の回転の終了時における配置ツールの移動量は、ストリップの幅L未満であり、したがって、スリット200の形成が完了している。
【0070】
各回転時に配置ツールの移動量をストリップの幅L未満に維持しながら内側ライナの残部を配置する。
【0071】
図25及び図26は、本発明の方法の2つの実施形態に関する経時的な配置ツールの移動量を示している。
【0072】
図25は、本発明の方法の第1の実施形態(図18A〜図21C)に関する経時的な配置ツールの移動量Dを示している。ツールは、速度を増大させるスリットの開始(回転期間T2)に対応した回転中を除き、一定速度で前進し(コアの回転期間T1,T3,T4)したがって、この回転中における配置ツールの移動量は、ストリップの幅Lを超えるようになっている。
【0073】
図26は、本発明の方法の第2の実施形態に関し(図22〜図24)、経時的な配置ツールの移動量Dを示している。配置ツールは、剛性コアの各回転の終わり頃を除き、前進しない。スリットを形成するためには、回転の終了時におけるこの移動量は、配置されるべきストリップの幅Lを超えなければならない。
【0074】
当然のことながら、剛性コア及び配置ツールの複雑な運動を提供することによって本発明の方法の2つの実施形態を組み合わせることが可能である。それにもかかわらず、基本的な原理は、同一のままであり、即ち、スリットを形成することが望ましいゾーンに達すると、剛性コア及び配置ツールのそれぞれの移動量を変化させてコアの一回転中、配置ツールが配置されるべきストリップの幅を超える距離だけ半径方向に前進するようにする。
【0075】
図示されていないが、剛性コアの半径方向外側の配置の開始及びコアの内側に向かう半径方向の前進を提供することも可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフレーションガスでインフレートされるようになったチューブレスタイヤであって、
トレッド(40)を載せたクラウン補強材(80,90)を含むクラウン(25)と、
クラウンの半径方向内方の延長部としての2つのサイドウォール(30)と、
前記サイドウォールの半径方向内側に位置し、各々が少なくとも1つの環状補強構造体(70)を含む2つのビード(20)と、
前記ビードの各々の中に繋留されたカーカス補強材(60)と、
前記インフレーションガスに対して不透過性であって前記タイヤの内面を覆った内側ライナ(50)と、を有し、
前記内側ライナは、前記タイヤの各サイドウォール内において、
(i)半径方向最も外側に位置した環状補強構造体と、
(ii)前記タイヤを前記リムに装着してその作業圧力までインフレートさせたときに前記カーカス補強材がその最も大きな軸方向幅を呈する場合の半径REとの間に半径方向に位置した少なくとも1つのスリット(200)を有し、
前記スリットは、0.5〜5mmの最大半径方向高さHRを有すると共に前記タイヤの周囲の少なくとも半分にわたって延びている、
ことを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
前記スリット(200)は、前記タイヤの周囲の少なくとも3/4にわたって延びている、
請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記スリット(200)は、前記タイヤの周囲全体にわたって延びている、
請求項1記載のタイヤ。
【請求項4】
前記スリット(200)の半径方向高さは、その端のところでゼロに近づく傾向がある、
請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項5】
前記スリット(200)は、連続している、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記スリット(200)は、前記内側ライナ(50)に設けられた一線をなす穴(201)を含む、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項7】
請求項1、2、4又は5記載のタイヤを製造する方法であって、前記タイヤの前記内側ライナ(50)は、前記タイヤのインフレーション用のガスに対してガス密であるゴムコンパウンドのストリップ(400)を選択された角速度ωで軸線回りに回転する剛性コア(300)上に配置することにより作られ、幅Lの前記ストリップは、配置ツールにより前記剛性コア上に配置され、前記方法は、
前記配置作業中、前記配置ツールを前記剛性コアの前記回転軸線に実質的に垂直な方向に選択された運動速度Vで動かし、前記角速度ω及び前記配置ツールの運動速度Vに起因して、前記剛性コアの回転の終わりのところに位置する前記ストリップの一部分が前記剛性コアの同じ回転の始まりのところに位置するストリップの一部分と接触するが、これとオーバーラップすることがなく或いは前記一部分相互間の接触がオーバーラップを更に含むようにするステップと、
前記配置ツールの運動速度及び/又は前記剛性コアの前記角速度を瞬間的に変更するステップとを有し、このような速度変更は、
(i)前記タイヤの製造方法の完了後に、前記半径方向最も外側の環状補強構造体が位置する半径方向位置と、
(ii)前記タイヤの製造方法の完了後に、前記タイヤが前記リムに取り付けられてその作業圧力までインフレートされたときに前記カーカス補強材がその最も大きな軸方向幅を呈する場合の半径方向高さとの間に半径方向に位置した前記内側ライナの一部分の配置中に行われる、
ことを特徴とする方法。
【請求項1】
インフレーションガスでインフレートされるようになったチューブレスタイヤであって、
トレッド(40)を載せたクラウン補強材(80,90)を含むクラウン(25)と、
クラウンの半径方向内方の延長部としての2つのサイドウォール(30)と、
前記サイドウォールの半径方向内側に位置し、各々が少なくとも1つの環状補強構造体(70)を含む2つのビード(20)と、
前記ビードの各々の中に繋留されたカーカス補強材(60)と、
前記インフレーションガスに対して不透過性であって前記タイヤの内面を覆った内側ライナ(50)と、を有し、
前記内側ライナは、前記タイヤの各サイドウォール内において、
(i)半径方向最も外側に位置した環状補強構造体と、
(ii)前記タイヤを前記リムに装着してその作業圧力までインフレートさせたときに前記カーカス補強材がその最も大きな軸方向幅を呈する場合の半径REとの間に半径方向に位置した少なくとも1つのスリット(200)を有し、
前記スリットは、0.5〜5mmの最大半径方向高さHRを有すると共に前記タイヤの周囲の少なくとも半分にわたって延びている、
ことを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
前記スリット(200)は、前記タイヤの周囲の少なくとも3/4にわたって延びている、
請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記スリット(200)は、前記タイヤの周囲全体にわたって延びている、
請求項1記載のタイヤ。
【請求項4】
前記スリット(200)の半径方向高さは、その端のところでゼロに近づく傾向がある、
請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項5】
前記スリット(200)は、連続している、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記スリット(200)は、前記内側ライナ(50)に設けられた一線をなす穴(201)を含む、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項7】
請求項1、2、4又は5記載のタイヤを製造する方法であって、前記タイヤの前記内側ライナ(50)は、前記タイヤのインフレーション用のガスに対してガス密であるゴムコンパウンドのストリップ(400)を選択された角速度ωで軸線回りに回転する剛性コア(300)上に配置することにより作られ、幅Lの前記ストリップは、配置ツールにより前記剛性コア上に配置され、前記方法は、
前記配置作業中、前記配置ツールを前記剛性コアの前記回転軸線に実質的に垂直な方向に選択された運動速度Vで動かし、前記角速度ω及び前記配置ツールの運動速度Vに起因して、前記剛性コアの回転の終わりのところに位置する前記ストリップの一部分が前記剛性コアの同じ回転の始まりのところに位置するストリップの一部分と接触するが、これとオーバーラップすることがなく或いは前記一部分相互間の接触がオーバーラップを更に含むようにするステップと、
前記配置ツールの運動速度及び/又は前記剛性コアの前記角速度を瞬間的に変更するステップとを有し、このような速度変更は、
(i)前記タイヤの製造方法の完了後に、前記半径方向最も外側の環状補強構造体が位置する半径方向位置と、
(ii)前記タイヤの製造方法の完了後に、前記タイヤが前記リムに取り付けられてその作業圧力までインフレートされたときに前記カーカス補強材がその最も大きな軸方向幅を呈する場合の半径方向高さとの間に半径方向に位置した前記内側ライナの一部分の配置中に行われる、
ことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2011−530449(P2011−530449A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522482(P2011−522482)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060229
【国際公開番号】WO2010/018124
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060229
【国際公開番号】WO2010/018124
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]