説明

セキュリティシステム、セキュリティモニタ

【課題】火災発生後に火災発生状況を確認することができるインターホンシステム等を提供する。
【解決手段】住宅内に設置された受託火災警報器3と、室内に設置され各種のセキュリティ情報を表示する表示部12を備えたインターホン親機1(セキュリティモニタ)とを備えたインターホンシステム(セキュリティシステム)において、インターホン親機1は、住宅内に設置された住宅火災警報器3と接続され、当該住宅火災警報器3から所定時間ごとに煙濃度情報又は温度情報を受信し、現在から所定の情報保持期間だけ遡った期間に亘って受信された煙濃度情報又は温度情報を記憶しておき、記憶された煙濃度情報又は温度情報を表示部12により表示可能とする。火災時には直前に記憶された煙濃度情報又は温度情報を書き換え不能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災警報器とセキュリティモニタとの組み合わせによって構成されたセキュリティシステム、当該セキュリティシステムを構成するセキュリティモニタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、セキュリティシステムによって自宅のセキュリティを行う技術としては、下記の特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1には、インターホン親機に火災警報器を接続し、火災時にはインターホン親機から警報音を鳴動させている。
【特許文献1】特開平8−070361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の特許文献1に記載されたインターホンシステムでは、インターホン親機によって火災を検知したことを通知することはできるが、火災発生原因や火災発生場所を特定することはできなかった。
【0004】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、火災発生状況を確認することができるセキュリティシステム、セキュリティモニタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、住宅内に設置された火災警報器と、室内に設置され、各種のセキュリティ情報を表示する表示手段を備えたセキュリティモニタとを備えたセキュリティシステムにおいて、セキュリティモニタは、上述の課題を解決するために、住宅内に設置された火災警報器と接続され、当該火災警報器から所定時間ごとに煙濃度情報又は温度情報を受信する受信手段と、現在から所定の情報保持期間だけ遡った期間に亘って前記受信手段により受信された煙濃度情報又は温度情報を記憶する記憶手段とを備え、前記記憶手段に記憶された煙濃度情報又は温度情報を前記表示手段により表示可能とする。
【0006】
また、本発明は、室内に設置され、住宅内に設置された火災警報器と接続されたセキュリティモニタであって、上述の課題を解決するために、住宅内に設置された火災警報器と接続され、当該火災警報器から所定時間ごとに煙濃度情報又は温度情報を受信する受信手段と、現在から所定の情報保持期間だけ遡った期間に亘って前記受信手段により受信された煙濃度情報又は温度情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された煙濃度情報又は温度情報を表示する表示手段とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、セキュリティモニタによって火災警報器から所定時間ごとに煙濃度情報又は温度情報を受信して、現在から所定の情報保持期間だけ遡った期間に亘る煙濃度情報又は温度情報を記憶しておき、当該煙濃度情報又は温度情報を表示することができるので、火災発生時に火災発生状況を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
本発明は、例えば図1に示すように構成されたセキュリティシステムとしてのインターホンシステムに適用される。このインターホンシステムは、住宅内のセキュリティモニタとしての室内インターホン親機1に、室内機2、複数の住宅火災警報器3A,3B,3C,・・・(以下、総称する場合には単に「住宅火災警報器3」と呼ぶ。)、複数の制御機器4a,4b,・・・(以下、総称する場合には単に「制御機器4」と呼ぶ。)が接続されて、セキュリティシステムを構成している。また、このインターホンシステムは、住宅用ドアの施錠・解錠を行う電気錠5と、ドアホン子器6と、センサーカメラ7とが、室外機として、室内インターホン親機1に接続されている。すなわち、以下に説明するインターホンシステムは、本願特徴であるセキュリティモニタを含んだセキュリティシステムを実現する構成を含んでいる。
【0010】
室内機2は、室内インターホン親機1から供給された制御信号に従って動作し、室内インターホン親機1と同様に、音声信号の送受信、映像の表示や、各種操作が可能となっている。制御機器4は、室内インターホン親機1によって制御される各種機器からなる。
【0011】
住宅火災警報器3は、図2に示すように、制御回路31に、検知部32、警報部33、表示部34、操作部35、送受信回路36が接続されている。この住宅火災警報器3は、商用電源からの電力が電源部37を介して供給されて動作する。
【0012】
このような住宅火災警報器3は、検知部32によって検出している煙濃度及び/又は温度を制御回路31によって定期的に取得し、当該煙濃度及び/又は温度を煙濃度情報及び/又は温度情報として、送受信回路36によって室内インターホン親機1に送信する。この煙濃度情報及び/又は温度情報は、直接的に室内インターホン親機1に送信されても良く、他の住宅火災警報器3を介して室内インターホン親機1に送信されても良い。
【0013】
また、この住宅火災警報器3は、煙濃度及び/又は温度から火災を検知した場合には、制御回路11によって警報部33を動作させて警報音を発生させる。更に、表示部34は、例えば動作又は非動作状態を表示し、操作部35は、例えば住宅火災警報器3の各種設定を変更するに際して操作される。
【0014】
電気錠5は、住宅用ドアの施錠・解錠を電動モータによって切り換えるものであり、当該施錠・解錠状態が室内インターホン親機1によって検知される。
【0015】
ドアホン子器6は、呼出ボタン、マイク、スピーカなどを備える。このドアホン子器6は、呼出ボタンが操作されたことによって室内インターホン親機1に対して呼出信号を出力する。そして、ドアホン子器6は、マイクによって検出した音声信号を室内インターホン親機1に出力すると共に、室内インターホン親機1から出力された音声信号をスピーカによって音声出力する。
【0016】
センサーカメラ7は、人体検知センサとカメラとを備えているものである。このセンサーカメラ7は、玄関先などに人物を検知した時に、カメラを作動させて映像を室内インターホン親機1に出力する。
【0017】
室内インターホン親機1は、図3に示すように、制御回路11に、セキュリティ情報を表示する表示部(表示手段)12、記憶部(記憶手段)13、操作部14、マイク15、スピーカ16、室内機送受信回路(受信手段)17、室外機送受信回路18、給電回路19が接続されて、住宅内におけるセキュリティモニタとして機能する。この室内インターホン親機1は、商用電源からの電力が電源部20を介して供給されて動作する。
【0018】
表示部12は、室内インターホン親機1に組み込まれた液晶ディスプレイからなり、制御回路11から供給された表示データを用いて各種のセキュリティ情報を表示する。具体的には、センサーカメラ7によって撮像している映像や住宅火災警報器3の状態を示す情報などが表示部12に表示される。操作部14は、室内インターホン親機1の表面に設けられた通話ボタンや各種情報を表示させるためのボタンからなり、ユーザに操作される。ユーザの操作は、この操作部14によって検出されて制御回路11に操作入力信号として供給される。
【0019】
マイク15は、来客時においてドアホン子器6と室内インターホン親機1との間で音声の授受を行うに際して、ユーザの音声信号を生成する。この音声信号は、制御回路11によって、室外機送受信回路18を介してドアホン子器6に出力される。スピーカ16は、来客時においてドアホン子器6から送信された音声信号が供給されて、音声を出力する。また、スピーカ16は、火災の報知時には、警報音などを出力する。
【0020】
記憶部13は、制御回路11によって各種情報が書き込まれ、当該書き込まれた各種情報が読み出される。この記憶部13には、後述するが、住宅火災警報器3が定期的に室内インターホン親機1に対して供給する煙濃度情報及び/又は温度情報が書き込まれる。
【0021】
室内機送受信回路17は、住宅火災警報器3、室内機2及び制御機器4と接続されて、当該住宅火災警報器3、室内機2及び制御機器4との間で情報の授受を行う。具体的には、室内機送受信回路17は、各住宅火災警報器3から、定期的に煙濃度情報及び/又は温度情報を受信して、制御回路11に出力する。これによって、住宅火災警報器3ごとの煙濃度情報及び/又は温度情報は、記憶部13に蓄積される。
【0022】
室外機送受信回路18は、電気錠5、ドアホン子器6及びセンサーカメラ7と接続されて、当該電気錠5、ドアホン子器6及びセンサーカメラ7との間で情報の授受を行う。具体的には、ドアホン子器6との間で音声信号の授受を行い、センサーカメラ7から出力された映像を受信する。
【0023】
制御回路11は、室内インターホン親機1を統括して制御するマイクロコンピュータからなる。この制御回路11は、住宅火災警報器3から室内機送受信回路17を介して供給された煙濃度情報及び/又は温度情報を記憶部13に記憶させる。この煙濃度情報及び/又は温度情報は、各住宅火災警報器3から所定時間毎に送信される。具体的には、図4に示すように、制御回路11は、例えば3秒〜20秒といった所定時間T内において、各住宅火災警報器3に検知情報要求信号を送信し、送信先の住宅火災警報器3から検知情報通知信号を受信する。すなわち、制御回路11は、住宅火災警報器3が、3A,3B,3C,・・・,3Xからなる場合、所定時間T内で、当該3A,3B,3C,・・・,3Xのそれぞれに検知情報要求信号A,B,C,・・・,Xを送信し、当該検知情報要求信号A,B,C,・・・,Xに対する返信である検知情報通知信号A,B,C,・・・,Xを受信する。そして、制御回路11は、次の所定時間Tには、同じように各住宅火災警報器3に検知情報要求信号を送信して、検知情報通知信号を受信する。
【0024】
制御回路11は、住宅火災警報器3ごとに、現在から所定の情報保持期間だけ遡った期間に亘って受信された煙濃度情報又は温度情報を記憶部13に記憶させる。すなわち、制御回路11は、常に情報保持期間分の煙濃度情報及び/又は温度情報を蓄積するように、煙濃度情報及び/又は温度情報の更新作業を行う。
【0025】
そして、制御回路11は、操作部14から過去の煙濃度情報及び/又は温度情報を表示させる操作入力信号が供給された場合には、記憶部13から煙濃度情報及び/又は温度情報を読み出して表示部12によって表示される。
【0026】
このように定期的に各住宅火災警報器3についての煙濃度情報及び/又は温度情報を蓄積している状況において、住宅火災警報器3が火災を検知した場合には、住宅火災警報器3から室内インターホン親機1に、火災検知信号が送信される。この時、室内インターホン親機1は、室内機送受信回路17によって、住宅火災警報器3から送出された火災検知信号を受信した場合には、記憶部13に記憶された煙濃度情報又は温度情報の書き換えを禁止する。
【0027】
具体的には、図5に示すように、所定時間Tごとに取得した煙濃度情報及び/又は温度情報を、時刻情報及び書き換えフラグと共に記憶部13に記憶しておく。これにより、室内インターホン親機1は、所定時間Tごとに、時刻情報(秒単位でss1,ss2,・・・,ss51,ss52,・・・)と、書き換えフラグと、住宅火災警報器3ごとの情報の種別情報と、住宅火災警報器3ごとの煙濃度情報及び/又は温度情報とを記憶部13に記憶する。そして、制御回路11は、新たな煙濃度情報及び/又は温度情報が住宅火災警報器3から供給される毎に、常に情報保持期間分の煙濃度情報及び/又は温度情報を蓄積するように更新作業を行う。この状態にて、時刻情報が「ss52」を受信した後に、ある住宅火災警報器3から火災発生信号が供給されると、制御回路11は、当該時刻情報が「ss52」よりも前の情報保持期間分の煙濃度情報及び/又は温度情報についての書き換えフラグを「書き換え不能」とする。なお、書き換えフラグを「書き換え不能」とするタイミングは、火災発生信号を受信してから所定時間後にしても良い。
【0028】
このようにインターホンシステムによれば、室内インターホン親機1によって住宅火災警報器3から所定時間ごとに煙濃度情報又は温度情報を受信して、現在から所定の情報保持期間だけ遡った期間に亘る煙濃度情報又は温度情報を記憶しておき、当該煙濃度情報又は温度情報を表示することができるので、火災発生時に火災発生状況を確認することができる。また、これにより室内インターホン親機1は、火災発生信号が供給された直前での火災状態を表した煙濃度情報及び/又は温度情報を消去せずに、確実に残しておくことが可能となる。
【0029】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を適用したインターホンシステムのシステム構成図である。
【図2】本発明を適用したインターホンシステムにおける住宅火災警報器のブロック図である。
【図3】本発明を適用したインターホンシステムにおける室内インターホン親機のブロック図である。
【図4】本発明を適用したインターホンシステムにおいて室内インターホン親機が各住宅火災警報器の煙濃度情報及び/又は温度情報を取得する処理を説明するタイミングチャートである。
【図5】本発明を適用したインターホンシステムにおいて、室内インターホン親機による煙濃度情報及び/又は温度情報の保存状態を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 室内インターホン親機(セキュリティモニタ)
2 室内機
3 住宅火災警報器
4 制御機器
5 電気錠
6 ドアホン子器
7 センサーカメラ
11 制御回路
12 表示部
13 記憶部
14 操作部
15 マイク
16 スピーカ
17 室内機送受信回路
18 室外機送受信回路
19 給電回路
20 電源部
31 制御回路
32 検知部
33 警報部
34 表示部
35 操作部
36 送受信回路
37 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅内に設置された火災警報器と、
室内に設置され、各種のセキュリティ情報を表示する表示手段を備えたセキュリティモニタとを備えたセキュリティシステムにおいて、
前記セキュリティモニタは、
住宅内に設置された火災警報器と接続され、当該火災警報器から所定時間ごとに煙濃度情報又は温度情報を受信する受信手段と、
現在から所定の情報保持期間だけ遡った期間に亘って前記受信手段により受信された煙濃度情報又は温度情報を記憶する記憶手段とを備え、
前記記憶手段に記憶された煙濃度情報又は温度情報を前記表示手段により表示可能とすること
を特徴とするセキュリティシステム。
【請求項2】
前記受信手段により、前記火災警報器から送出された火災検知信号を受信した場合には、前記記憶手段に記憶された煙濃度情報又は温度情報の書き換えを禁止することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティシステム。
【請求項3】
室内に設置され、住宅内に設置された火災警報器と接続されたセキュリティモニタであって、
住宅内に設置された火災警報器と接続され、当該火災警報器から所定時間ごとに煙濃度情報又は温度情報を受信する受信手段と、
現在から所定の情報保持期間だけ遡った期間に亘って前記受信手段により受信された煙濃度情報又は温度情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された煙濃度情報又は温度情報を表示する表示手段と
を備えることを特徴とするセキュリティモニタ。
【請求項4】
前記受信手段により、前記火災警報器から送出された火災検知信号を受信した場合には、前記記憶手段に記憶された煙濃度情報又は温度情報の書き換えを禁止することを特徴とする請求項3に記載のセキュリティモニタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−9233(P2010−9233A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166305(P2008−166305)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】