説明

セパレータ構造

【課題】 鉄筋コンクリート構造体の構築に使用する両型枠を支持固定するとともに、型枠解体後に鉄筋コンクリート構造体の躯体の外壁面へ取り付けられる断熱材等の外断熱体の取着を、その自由度を広範に、かつ、工期を短縮したセパレータ構造を提供すること。
【解決手段】 軸棒1の一端側のネジ部2に盤体3を螺着し、他端側のネジ部2にアンカーブラケット4の内方側の一部が螺着され、外方側には外断熱体(図外)を取り付ける取付金具5が止めネジ軸14を突出して嵌合螺着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート打設時の型枠支持に使用されるとともに、型枠解体後に鉄筋コンクリート構造体の躯体の外壁面に外断熱体を接合できるセパレータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
型枠固定部と該型枠固定部をその両端部に位置決めする軸棒とから成るセパレータ構造と、型枠により構築される鉄筋コンクリート構造体が、型枠解体後の躯体の外壁面に外断熱体等を接合した技術は、特開平8−105181号公報(特許文献1)、特開平10−219891号公報(特許文献2)及び特開2004−36137号公報(特許文献3)に開示されている。
特許文献1に開示された技術は、型枠固定部2に接合される支持具C、Dを要する上、支持具C、Dを固定するボルト3が限定され、外付けの外断熱体等への取付け自由度が狭い。
特許文献2に開示された技術は、セパレータ12の支持桿13に螺合するねじ継手4の配設に手間取る。
特許文献3に開示されたコンクリートアンカーは、樹脂製の台座4の下端に管状ボルト8が植設されるとともに、管状ボルト8にボード固定用管状ナット11が外嵌螺合され、その上端にはセパレータ軸9を螺合する管状ナットが螺合されるので構造が複雑で型枠の組立てに手間を要する。
【特許文献1】特開平8−105181号公報
【特許文献2】特開平10−219891号公報
【特許文献3】特開2004−36137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は鉄筋コンクリート構造体の構築に使用する両型枠を支持固定するとともに、型枠解体後に鉄筋コンクリート構造体の躯体の外壁面へ取り付ける断熱材等の外断熱体の取着を、その自由度を広範に、かつ、工期を短縮したセパレータ構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明のセパレータ構造は、両端に配設される型枠固定部と、両型枠固定部に螺着されるネジ部を両端に設けた軸棒とからなるセパレータにおいて、
軸棒の一端側ネジ部に螺着される型枠固定部が、所要外形、所要厚の盤体からなり、他端側ネジ部に螺着される型枠固定部が、縦断面太鼓形のブラケット本体の両端に背の低い内フランジと、外方から所要の凹部が横設された背の高い外フランジとを一体にし、内側から前記凹部の底面に貫設して前記ネジ部に螺着する小ネジ孔と、該小ネジ孔より大径の大ネジ孔とが螺設されて成るアンカーブラケットから成り、所要径のフランジの一側に前記大ネジ孔に螺合する大ネジ軸を突設し、他側に止めネジ軸を突設し、前記フランジに回転手段を配設した取付金具を、その大ネジ軸を前記アンカーブラケットの大ネジ孔に螺合するとともに、フランジを凹部に嵌着し、振れ止めして成る。
【発明の効果】
【0005】
本発明のセパレータ構造によれば、一側の型枠を支持固定するアンカーブラケットが、その外側に外断熱体を取り付ける取付金具を螺合するものであるため、外断熱体の取付け孔に対応して取付金具の止めネジ軸を選択できるから、外断熱体の取付け自由度が広範となる上、該取付金具のフランジがアンカーブラケットの凹部に嵌合するため取付金具の振れ止めがなされ、外断熱体の取付け強度が増強され耐久性が向上する。また、構造が簡易であるから型枠組立てや外断熱体の接合も単純となって作業工程も短縮されて工期の短縮が図られ、作業の単純化による作業能率も向上し、製造単価も安価に提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明のセパレータ構造におけるアンカーブラケットに螺着される取付金具は、そのフランジに回転手段として回し孔を穿孔するものから、外方へ突出する止めネジ軸の金具本体に切欠き二面幅部を形成したものなどであり、止めネジ軸は大小各種のネジ径が選択されて準備される。
【実施例】
【0007】
本発明を実施例により説明すると、図1に示すように、軸棒1の一端側のネジ部2に所要外形(六角形や円形で一部に二面幅部を切欠いた形状等)、所要厚の盤体3を螺着し、他端側のネジ部2にアンカーブラケット4の内方側の一部が螺着され、外方側には外断熱体(図外)を取り付ける取付金具5が螺着される。アンカーブラケット4は図2に示すように、縦断面太鼓形のブラケット本体6の両側に背の低い内フランジ7と、外方から所要の凹部8が横向きに凹設された外フランジ9とが一体にされ、内側から凹部8の底面に向けてネジ部2に螺着される小ネジ孔10と小ネジ孔10に連通する大径の大ネジ孔11とが螺設されて成る。
アンカーブラケット4の外方側に螺着される取付金具5は、図3に示すように、外フランジ9の凹部8に内嵌する外径のフランジ12の一側に大ネジ孔11に螺合する大ネジ軸13を突設し、他側に止めネジ軸14を突設して成り、アンカーブラケット4に対して大ネジ軸13を大ネジ孔11に螺合するとともに、フランジ12を凹部8に嵌合して、取付金具5に負荷される荷重による上下方向の変位がフランジ12の外周と凹部8の内周との嵌合によって振れ止めが確保される。
取付金具5のアンカーブラケット4への取付けにおいては、分図(b)に示すように、回転手段として上下に貫設した長孔の回し孔12aを介して二股のハンドル(図外)で回転して大ネジ軸13を大ネジ孔11に螺合する。
【0008】
このようにして成るセパレータ構造Aは、図6に示すように、左右のネジ部2と止めネジ軸14に型枠15が挿通され、ネジ部2と止めネジ軸14の各外端からネジ軸16を突設した軸状ナット17がそれぞれ螺合され、各型枠15の外面に沿わせた縦パイプ又は横パイプなどの押さえ金18をフォームタイ(登録商標)19で押さえ、ネジ軸16に螺合したナット20で締め付け固定して型枠15の接合がなされ、適宜な鉄筋の配筋状態でコンクリートが打設されて鉄筋コンクリート構造体21が構築される。
このようにして構築された鉄筋コンクリート構造体21は、図7に示すように、両側の型枠15が解体され、軸棒1の一端側のネジ部2には内装材(図外)が接合され、取付金具5の止めネジ軸14には断熱材や外装材等の外断熱体(図外)が挿通されて適宜なナットで接合される。
【0009】
この他、鉄筋コンクリート構造体21の躯体の外壁面に外断熱体(図外)を接合する工程で使用する取付金具5としては、図4に示すように、アンカーブラケット4の凹部8に嵌着する円形の嵌着部22から円錐状の金具本体23を一体にし、金具本体23の一部に対向して切欠き二面幅部24を形成するとともに、一側にはアンカーブラケット4の大ネジ孔11に螺合する大ネジ軸13を突設し、他側に座金25を嵌着した止めネジ軸26を突設して成るものも提供される。
この態様の取付金具5は図5に示すように、セパレータ構造Aのアンカーブラケット4に対して大ネジ孔11に大ネジ軸13が螺合され、外フランジ9の凹部8に嵌着部22が嵌着されて、前記のように振れ止めされて接合され、鉄筋コンクリート構造体21の躯体の外壁面と座金25の間に外断熱体(図外)が設けられ、ナットで締め付け固定される。この場合、外断熱体(図外)の自重や風圧等による負荷に対し、振れ止め作用によってその取付け強度を強固にして対応でき、円錐状の金具本体23の形状により耐久性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明のセパレータ構造は、一端部のネジ部に盤体を螺着した軸棒と、軸棒の他端部に螺着されるアンカーブラケットと、アンカーブラケットに一端部を螺着して止めネジ軸を突出した取付金具とから成る簡易構造であるから、型枠の解体後直ちに外壁材の取付けができるので鉄筋コンクリート構造体の構築の工期短縮が図られ、取付金具がアンカーブラケットに対して振れ止め状態で嵌着されるから耐久性も向上し、外方の止めネジ軸が大小準備され得るから各種の外断熱体の接合に対応でき、利用の自由度が広範となるなどその需要は大いに期待される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係わるセパレータ構造Aの説明図。
【図2】アンカーブラケット4の説明図で、分図(a)はその正面図、分図(b)はその右側面図。
【図3】取付金具5の説明図で、分図(a)はその正面図、分図(b)はその右側面図。
【図4】他の実施態様における取付金具5の説明用正面図。
【図5】同上取付金具5をアンカーブラケット4に接合した状態の説明図。
【図6】セパレータ構造Aによる型枠組立ての説明図。
【図7】型枠解体後の鉄筋コンクリート構造体21の一部を示す説明図。
【符号の説明】
【0012】
1:軸棒
2:ネジ部
3:盤体
4:アンカーブラケット
5:取付金具
6:ブラケット本体
7:内フランジ
8:凹部
9:外フランジ
10:小ネジ孔
11:大ネジ孔
12:フランジ
12a:回し孔
13:大ネジ軸
14、26:止めネジ軸
15:型枠
16:ネジ軸
17:軸状ナット
18:押さえ金
19:フォームタイ(登録商標)
20:ナット
21:鉄筋コンクリート構造体
22:嵌着部
23:金具本体
24:切欠き二面幅部
25:座金
A:セパレータ構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に配設される型枠固定部と、両型枠固定部に螺着されるネジ部を両端に設けた軸棒とからなるセパレータにおいて、
軸棒の一端側ネジ部に螺着される型枠固定部が所要外形、所要厚の盤体からなり、他端側ネジ部に螺着される型枠固定部が縦断面太鼓形のブラケット本体の両端にそれぞれ背の低い内フランジと外方から所要の凹部が横設された背の高い外フランジとを一体にし、内側から前記凹部の底面に貫設して前記ネジ部に螺着する小ネジ孔と、該小ネジ孔より大径の大ネジ孔とが螺設されて成るアンカーブラケットから成り、所要径のフランジの一側に前記大ネジ孔に螺合する大ネジ軸を突設し、他側に止めネジ軸を突設し、前記フランジに回転手段を配設した取付金具を、その大ネジ軸を前記アンカーブラケットの大ネジ孔に螺合するとともに、フランジを凹部に嵌着し振れ止めして成るセパレータ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−23536(P2007−23536A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−204295(P2005−204295)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(505266271)
【Fターム(参考)】