説明

セラミック基材料と金属材料とから成る部品の製造工程

【課題】タービンブレード作製用等の部品のセラミック部分と非セラミック部分とが強固に機械的に結合されている部品の、製造工程を提供する。
【解決手段】セラミック基材料から成り、セラミック材料以外の材料で形成される細部機構を有する部品30の製造工程では、第1の補助部品44と、少なくとも1つの軸外の幾何学的機構34、36を有することで第1の補助部品44よりも複雑な形状を有する少なくとも1つの第2の補助部品46と、を含む部品を製造する。第1の補助部品は、セラミック基材料で形成される。第2の補助部品とその軸外の幾何学的機構とは、金属材料で別途に形成され、強固な機械的結合を生じるように第1の補助部品に結合される。部品は、例えばガスタービンエアフォイル部品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にセラミック基材料製品とその製造工程とに関する。特に、本発明は、ガスタービンエアフォイル部品の細部機構(例えばダブテール部、シャンク部、プラットフォーム部、及びチップシュラウド)を形成する、金属部分を含むセラミック基材料製品の製造工程に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンの効率を向上させるために、ガスタービンの動作温度の高温化が絶えず追求されている。鉄、ニッケル、及びコバルト基超合金の考案により高温性能が大幅に向上したが、代替材料の研究がなされている。セラミック材料は、その高温性能により冷却空気要件を大幅に緩和できるため、注目すべき一例である。本明細書において用いる場合、セラミック基材料には、均質なセラミック材料とセラミック基複合(CMC)材料が含まれる。CMC材料は一般に、セラミック基材に埋め込まれたセラミック繊維強化材を含む。強化材は、基材中に分散した不連続な短繊維であるか、又は基材中に配向された長繊維若しくは繊維束である。強化材は、基材割れが生じた場合に、CMCの荷重支持成分として機能する。一方、セラミック基材は強化材を保護し、その繊維の配向を維持すると共に、強化材に荷重を散逸させる役割を果たす。基材及び/又は強化材としての炭化ケイ素(SiC)等のケイ素基複合材料は、高温用途(例えば、航空ガスタービンエンジン及び発電産業に用いる陸上ガスタービンエンジンを含むガスタービンの高温部品)に特に重要である。
【0003】
長繊維強化セラミック複合材料(CFCC)は、ガスタービンのシュラウド、燃焼器ライナ、ベーン(ノズル)、ブレード(バケット)、及びその他の高温部品を含む様々な高温荷重支持用途において軽量、高強度、及び高剛性を備えるCMCの一種である。CFCCの注目すべき一例が、ゼネラル・エレクトリック社からHiperComp(登録商標)の名称で開発されており、炭化ケイ素及び元素態ケイ素又はケイ素合金の基材中に炭化ケイ素長繊維を含有する。SiC繊維は、炭化チタン(TiC)、窒化ケイ素(Si34)及びアルミナ(Al23)を含む様々なその他のセラミック基材にも、強化材として用いられてきた。
【0004】
CMC材料、特にSiC/Si‐SiC(繊維/基材)CFCC材料及び製造工程の例が、米国特許第5,015,540号、5,330,854号、5,336,350号、5,628,938号、6,024,898号、6,258,737号、6,403,158号、及び6,503,441号と、米国特許出願公開第2004/0067316号に開示されている。こうした工程の1つが、「プリプレグ」溶融含浸(MI)法として知られており、大まかには、複数のプリプレグ層を使用して、CMCを作製するものである。各々のプリプレグ層は、所望の強化材と、CMC基材の前駆体と、1つ以上のバインダーと、通常は炭素又は炭素源と、を含むテープ状構造体の形態である。プリプレグを加工処理(焼成を含む)して、前駆体を所望のセラミックに変換する必要がある。CFCC用のプリプレグは、全体として二次元の積層体を創出するために基材前駆体を含浸させた単一層の一方向配列トウを含む、二次元繊維アレイを含むことが多い。
【0005】
説明のために、ガスタービンエンジンの低圧タービン(LPT)ブレード10を図1に示す。ブレード10は、CMC材料を含むセラミック基材料から作製可能な部品の一例である。ブレード10は概して周知の種類のものとして示されており、航空ガスタービンエンジンのタービン部内で、ディスク又はロータ(図示せず)に取り付けられるようになっている。そのため、ブレード10は、図面では、タービンディスクの周縁部に形成される相補的なダブテールスロットと噛合することによりブレード10をタービンディスクに係止する、ダブテール部12を含む。図1に示すように、インターロック機構は、ダブテールスロットから形成される凹部に係合する、タング部14として示す突起を含む。ブレード10は更に、図面では、ダブテール部12が形成されるシャンク部20からエアフォイル18を分離する、プラットフォーム部16を有する。ブレード10は更に、ブレードチップシュラウド(図示せず)を備えることがあり、このブレードチップシュラウドは、同じ段内の隣接するブレードのブレードチップシュラウドと一緒に、バンドをブレードの周りに形成し、このバンドで、ブレードの振動を低減し、気流特性を向上させることができる。シール歯を組み込むことにより、ブレードチップシュラウドは更に、ブレードチップとこのブレードチップを取り巻くシュラウドとの間における燃焼ガスの漏出を減少させ、タービンの効率を高めることができる。
【0006】
エアフォイル18、プラットフォーム部16、ブレードチップシュラウドは、エンジンの運転中に高温燃焼ガスに直接曝されるので、その材料要件は非常に厳しい。更に、プラットフォーム部16及びブレードチップシュラウド(存在する場合)は、タービン部内の高温ガス流路の内側及び外側流路面を創出する、タービンブレードの重要な部分である。加えて、プラットフォーム部16は、高温燃焼ガスと、シャンク部20、そのダブテール部12、及びタービンディスクが曝されるより低温のガスとの混合を防ぐシールを創出し、ブレードチップシュラウドは、そのシール歯(存在する場合)とブレードチップを取り巻くシュラウドとの間における高歪み負荷と摩耗相互作用により、クリープに曝される。ダブテール部12も、ダブテールスロットとの係合によって生じる摩耗及び高負荷と、ブレード10により生じる高遠心荷重とに曝される、重要な部分である。
【0007】
セラミック基材料のタービンブレードを作製する現行技術による方法は、プラットフォーム部16、ダブテール部12、エアフォイル18、及びブレードチップシュラウド(存在する場合)を製造工程において1つのピースとして一体化させるステップを含み、金属製のブレードの作製に現在用いられている従来式のインベストメント鋳造法によく似ている。しかし、プラットフォーム部16、ダブテール部12、タング部14、及びブレードチップシュラウドは、ブレード10の幾何学的細部機構なので、これらの機構は、CMC部品を設計、製造し、一体化させてタービン用の手頃な生産設計にする上で、大きな課題を呈する。例えば、CMC材料を用いてプラットフォーム部16とブレードチップシュラウドとをエアフォイル18を一体化させる工程により、設計と製造工程が複雑になるため、結果的に経済的実用性がなくなるほど費用がかかる工程になりかねない。また、プラットフォーム部16とダブテール部12とそのタング部14は、界面/支持機能部を有するが、この部分には、CMC材料には厳しい構造的界面性能が求められる。その上、一般的なCMC材料は破断歪み性能が低く、ブレードチップシュラウドのシール歯と従来のシュラウド材料との間には、望ましくない摩耗相互作用が生じる可能性があるため、シュラウド付きブレード設計にCMC材料を導入する上で更なる課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7393182号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、セラミック材料を含むハイブリッド部品であって、これらの部品の細部機構は、セラミック材料以外の材料で形成されるものの、部品のセラミック部分と非セラミック部分とが強固に機械的に結合されている部品の、製造工程を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によると、工程では、第1の補助部品と、少なくとも1つの軸外の幾何学的機構を有することで第1の補助部品よりも複雑な形状を有する少なくとも1つの第2の補助部品と、を含む部品を製造する。この工程は、第1の補助部品をセラミック基材料で作製するステップと、その後に第2の補助部品とその軸外の幾何学的機構とを別途に形成するステップと、第2の補助部品を第1の補助部品に結合するステップと、を含む。第2の補助部品は少なくとも1つの金属材料で形成される。
【0011】
本発明の具体的な実施形態において、この部品はガスタービンのエアフォイル部品、例えばブレード又はベーンであり、この部品の第1の補助部品は、エアフォイル部と、第2の補助部品をこのエアフォイル部上に固着するナブと、を含み得る。更に、1つ以上の幾何学的機構が、エアフォイル部品のダブテール部、シャンク部、プラットフォーム機構部、及び/又はチップシュラウド部を含み得る。
【0012】
本発明の別の態様は、上述の工程により製造される部品であり、その非限定的な例が、ガスタービンのエアフォイル部品である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の技術的効果は、部品の或る一定の部分をセラミック基材料から作製する一方で、複雑な細部形状を有する部品のその他の部分を、セラミック基材料の温度性能を必要としない材料から作製できることである。本発明は、非セラミック材料で形成される複雑な細部形状が構造的界面性能を必要とする界面/支持機構である用途に特に有利であり、これらの複雑な細部形状が非セラミック材料から作製される結果、それほど労力を必要とせずに済む。或いは、部品全体をセラミック基材料から作製する場合に必要な水準の熟練労働者を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来技術に従ってCMC材料で形成されるタイプのタービンブレードを概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に従ってCMC材料で形成されるエアフォイル部分と、金属材料で形成されるプラットフォーム部分とダブテール部分と、を有するタービンブレードを概略的に示す斜視図である。
【図3】図2のタービンブレードを概略的に示す側面図であって、本発明の実施形態に従ってプラットフォーム部分とダブテール部分とを含むブレードのシャンク部分内に一体的なシャンクナブ部を有するエアフォイル部分を示す図である。
【図4】図2及び3のタービンブレードの一体的なエアフォイル部分及びシャンクナブの単独斜視図である。
【図5】図2及び3のタービンブレードの一体的なプラットフォーム部分及びダブテール部分の単独斜視図である。
【図6】図2及び3のタービンブレードの一体的なプラットフォーム部分及びダブテール部分の断面を示す斜視図である。
【図7】図6に示すダブテール部分の詳細断面図である。
【図8】本発明の別の実施形態に従ったダブテール部分を示す詳細断面図である。
【図9】本発明の別の実施形態に従ったダブテール部分を示す詳細断面図である。
【図10】本発明の別の実施形態に従ったダブテール部分を示す詳細断面図である。
【図11】一体的なエアフォイル部分及びシャンクナブへの、一体的なプラットフォーム部分及びダブテール部分の結合を助けるスロットを有するように改変した、図3のシャンクナブの単独斜視図である。
【図12】一体的なエアフォイル部分及びシャンクナブへの、一体的なプラットフォーム部分及びダブテール部分の結合を助ける穴を有するように改変した、図3のシャンクナブの単独斜視図である。
【図13】一体的なエアフォイル部分及びシャンクナブへの、一体的なプラットフォーム部分及びダブテール部分の結合を助ける突起を有するように改変した、図3のシャンクナブの単独斜視図である。
【図14】図2及び3のブレードの一体的なエアフォイル部分及びシャンクナブ上において、一体的なプラットフォーム部分及びダブテール部分の形成と結合とを同時に行う同時鋳造工程を概略的に示す図である。
【図15】図2及び3のブレードの一体的なエアフォイル部分及びシャンクナブと一体的なプラットフォーム部分及びダブテール部分との間の界面領域の一部分を概略的に示すと共に、両者間の化学的相互作用を阻害する界面の被膜系を示す図である。
【図16】本発明の別の実施形態に従ってCMC材料で形成されるエアフォイル部分と、金属材料で形成されるプラットフォーム部分、ダブテール部分、及びチップシュラウド部分と、を有するタービンブレードを概略的に示す斜視図である。
【図17】一体的なシャンク部とブレードチップナブを有するエアフォイル部分を示す、図16のタービンブレードの単独斜視図である。
【図18】図17に示すブレードチップナブの詳細断面図である。
【図19】本発明の別の実施形態に従ったブレードチップナブを示す詳細断面図である。
【図20】本発明の別の実施形態に従ったブレードチップナブを示す詳細断面図である。
【図21】本発明の別の実施形態に従ったブレードチップナブを示す詳細断面図である。
【図22】本発明の別の実施形態に従ってCMC材料で形成されるエアフォイル部分と金属材料で形成されるプラットフォーム部分とを有するタービンベーンを概略的に示す斜視図である。
【図23】図22のタービンベーンを概略的に示す側面図であって、プラットフォーム部分のポケット内に受け入れられる一体的なシャンクナブを有する各エアフォイル部分を示す図である。
【図24】エアフォイル部分へのプラットフォーム部分の結合を助けるスロットを有するように改変した、図23のシャンクナブの1つを示す単独斜視図である。
【図25】エアフォイル部分へのプラットフォーム部分の結合を助ける穴を有するように改変した、図23のシャンクナブの1つを示す単独斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明から、本発明のその他の態様及び利点の理解が深まるであろう。
【0016】
均質なセラミック材料と、短繊維及び/又は長繊維強化材料を含有し得るCMC材料と、を含むセラミック基材料を含有する部品の製造工程に関して本発明を説明する。様々な用途が予見可能且つ推定可能であるが、特に対象となる用途は高温用途、例えば陸上及び航空ガスタービンエンジンを含むガスタービンの部品である。更に、ガスタービンエンジンのタービン部内で用いるタービンブレード及びベーンを含むエアフォイル部品を特に取り上げる。本発明は、幅広く様々なセラミック基材料に適用可能であるが、特に本発明の対象となるセラミック基材料は、炭化ケイ素の基材中に強化材料及び/又は基材として炭化ケイ素、例えば炭化ケイ素の長繊維を含有するCMC等のケイ素含有CMC材料であると考えられる。しかし、その他のセラミック基材料も本発明の範囲内に含まれる。
【0017】
図2及び3に、航空ガスタービンエンジンに用いられる種類の低圧タービン(LPT)ブレード30を示す。図1の従来技術のブレード10と同様に、図2及び3に示すブレード30は、ガスタービンエンジンのタービン部内でディスク又はロータ(図示せず)に取り付けられるようになっている。そのため、ブレード30は、図面において、ブレード30をタービンディスクに係止するダブテール部分32を含む。ダブテール部分32は、ディスクの周縁部に形成される相補的なダブテールスロットと噛合するように構成される。図2及び3に示すように、インターロック機構は、両側に配置されるタング部34を含み、これらのタング部は、ダブテール部分32から突出してディスクのダブテールスロットから形成される凹部と係合する。ブレード30は更に、図面において、ダブテール部分32が形成されるシャンク部分40からエアフォイル部分38を分離するプラットフォーム部分36を有する。具体的な用途とブレード30が組み付けられるロータディスク(図示せず)とによって、ブレード30は、更に他の機構、例えばシャンク部分40上のエンジェルウィング42及びブレードチップのシュラウド(例えば図16及び17に示す)を含み得る。
【0018】
図1のブレード10に関する説明と同様に、エアフォイル部分38及びプラットフォーム部分36は、エンジン運転中に高温燃焼ガスに直接曝され、プラットフォーム部分36は、高温燃焼ガスの高温ガス流路の内側流路面を創出し、燃焼ガスと、回転システムの内部の、シャンク部分40とダブテール部分32とタービンディスクとが曝されるより低温のガスとの混合を防ぐシールを創出する、ブレード30の重要な部分である。加えて、ダブテール部分32は、ディスクのダブテールスロットとの係合と、ブレード30により生じる高向心荷重との結果として、摩耗と高荷重とを受ける。
【0019】
ブレード30のエアフォイル部分38は、高温燃焼ガスに直接曝され、且つ略線形の形状を有するので、セラミック基材料、特にCMC材料から作製するのに最適な候補となる。他方、エアフォイル部分38が自身の主要な軸に沿って略線形の形状を有するのに対し、プラットフォーム部分36とダブテール部分32とそのタング部34とは、ダブテール及びプラットフォーム部分32及び36は各々の主要な軸に対して横方向に配向された幾何学的特徴を形成するという意味で、エアフォイル部分38よりも複雑な形状を有する。更に、これらの軸外の幾何学的機構は、ブレード30の細部界面/支持機構なので、構造的界面性能を必要とするが、このことは、完全なCMCブレード(図1のブレード10等)を設計、製造し、一体化してタービン用の手頃な生産設計にする上で大きな課題を呈する。本発明は、CMC材料の高温性能を活かす一方で、CMC材料により複雑な形状を作製するという問題を回避可能な工程を提供する。特に、本発明は、エアフォイル部分38とシャンク部分40のナブ48とをCMC材料から単一のピースとして作製するステップと、単体形のエアフォイル部分38及びシャンクナブ48の作製に用いるCMC材料以外の材料によりプラットフォーム部分36及びダブテール部分32の一方又は両方を作製するステップとを含む。
【0020】
本明細書において用いる場合、シャンクナブという用語は、シャンク部分40全体の限られた部分、好ましくは内部の部分であって、更にダブテール部分32とそのタング部34とを含む部分を指す。図3に示すように、シャンクナブ48は、プラットフォーム部分36とダブテール部分32との形成に用いられる材料で、完全に包囲される。加えて、シャンクナブ48は、従来的にシャンクに必要とされる細部ダブテール機構(図1のシャンク20のダブテール部12及びタング部14等)が図2及び3に示すシャンクナブ48から完全に排除されるという点で、「形状簡略化」されると言える。
【0021】
セラミック基材料として、単体形のエアフォイル部分38及びシャンクナブ48は、周知のセラミック加工処理法により製造可能である。例えば、単体形のエアフォイル部分38及びシャンクナブ48は、プリプレグにより製造されるCMC材料であってよい。非限定的な例として、米国特許第5,015,540号、5、330,854号、5,336,350号、5,628,938号、6,024,898号、6,258,737号、6,403,158号、及び6,503,441号と、米国特許出願公報第2004/0067316号とに開示の加工処理法が挙げられる。具体的な例として、単体形のエアフォイル部分38及びシャンクナブ48は、複数のプリプレグが所望の強化材とCMC基材の前駆体と1つ以上のバインダーに加えて、個々の所望のCMC材料に応じて更に、場合によっては炭素又は炭素源も含有して形成される、前述のプリプレグ溶融含浸(MI)法により製造可能である。プリプレグは積層され、高い圧力と温度とを受けながら圧搾及び硬化処理され、任意のその他の適切な加工処理ステップを受けて、積層プリフォームとなる。その後、この積層プリフォームが真空又は不活性雰囲気中で加熱されて、バインダーが分解され、後に溶融含浸される多孔質プリフォームが製造される。CMC材料が炭化ケイ素のセラミック基材中に炭化ケイ素の強化材を含有する(SiC/SiC CMC材料)場合は、気孔中に含浸させ、基材中の炭素成分(炭素、炭素源又は炭素チャー)と反応させて気孔を埋めるために一般にケイ素が用いられる。しかし、以下の説明から明らかなように、本発明はその他の種類及び組合せのCMC材料にも適用される。
【0022】
エアフォイル部分38及びシャンクナブ48は略線形の形状なので、必要な積層工程には、多大な労力を全く必要とせず、且つブレード30全体がプリプレグにより作製される場合に必要な水準の熟練労働者を必要としない。図4に、エアフォイル部分38及びシャンクナブ48を含んでおり、完全にCMC材料から形成される、上述のようなCMC加工処理工程により作製可能な単体形CMC補助部品44を示す。図示のように、シャンクナブ48は、エアフォイル部分38の付根に隣接するナブ48の部分よりも幅広の断面を有する拡幅ノブ又は基礎部49を含む。この単純な機構もCMC加工処理工程で形成可能であり、ブレード30のダブテール部分32の固着の補助に望ましい。
【0023】
タービンエンジン性能の更なる向上を目指す傾向により、ガス流路の温度が上昇することから、CMC材料の使用が益々望まれるようになったが、ブレード30のダブテール、プラットフォーム及びシャンク部分32、36、40を含む、高温燃焼ガスに直接曝されないブレード部分には、温度性能が比較的低い材料、例えば現在入手可能で、ターボ機械に用いられているニッケル、コバルト、又は鉄基合金を用いてよい。注目すべきではあるが非限定的な例として、IN(インコネル)718、ルネN5(米国特許第6,074,602号)、ルネN6(米国特許第5,455,120号)、GTD444(登録商標)、ルネ77(米国特許第3,457,066号)、ルネ80、ルネ80H、及びルネ125等の超合金が挙げられる。図5に、図4のCMC補助部品44と一緒に、好ましくは図2及び3の完全なブレード30を形成する単体形補助部品46を示す。本発明の好適な態様によると、この補助部品46は1つ以上の上述の金属合金材料から形成される。超合金を用いてブレード30のダブテール、プラットフォーム、及びシャンク部分32、36、40を形成することにより、現行のCMC加工処理法の場合に存在する、生産可能性に関する数多くの制約事項に対処することができる。更に、周知の寿命予測方法及び分析手段を用いて、ブレード30、特には図2及び3のプラットフォーム部分36、ダブテール部分32及びそのタング部34に代表されるブレード30の細部界面/支持機構の適切な設計を検証することも可能になる。
【0024】
図4に示すCMC補助部品44からわかるように、図5の補助部品46は、予め作製された後に、シャンクナブ48を補助部品46に形成された相補的な空洞部52内に挿入することによりCMC補助部品44に組み付けるような構成ではないが、そのような方法が本発明の範囲に含まれないわけではない。その代わりに、本発明に至った研究の中で開発された1つの方法は、CMC部品44のシャンクナブ48の周りにおいて金属材料を鋳込むことにより補助部品46を形成するステップを含む。この方法は、一般的なCMC材料が金属性の補助部品46の形成に適する広範な金属材料の鋳込み温度よりも高い加工処理温度を有することに鑑みると実用的なので、確立された金属鋳造工程とCMC補助部品44とを組み合わせることが可能になる。その結果として、ブレード30全体をCMC材料により作製するという従来技術の必要性を回避することができ、更に生産環境において複雑な細部シャンク形状を作製しようとする際に遭遇する問題だけでなく、修理点検時にCMCブレード全体の動作状態の分析と関連付けを行おうとする際に遭遇する問題も回避することができる。ひいては、既存の製造技術を用いて鋳放しの金属材料を加工することにより、ブレード30の全ての細部機構、特にはダブテール、プラットフォーム、及びシャンク部分32、36、40に関連ある細部を作製することができる。
【0025】
上記に鑑みると、形状簡略化された単純なCMC補助部品44のシャンクナブ48の周りにおいて金属材料を鋳込んで、実質的にダブテール部分32及びそのタング部34と補助部品46のダブテール部分32の上のシャンクナブ48の部分を包囲するシャンクケーシング50と呼ばれる部分とを形成する被せ金属鋳物である単体形金属補助部品46全体を製造することができる。図2、3及び5において、単体形金属補助部品46は更に、ケーシングシャンク50がダブテール及びプラットフォーム部分32及び36間に配置されるようにプラットフォーム部分36を形成するものとして示されている。金属補助部品46により、シャンクケーシング50から延在するエンジェルウィング42を含む追加の機構も形成される。
【0026】
鋳込み金属ダブテール部分36とシャンクケーシング50との形成に使用可能な金属材料の熱膨張係数(CTE)は、一般的なCMC材料のCTEよりも通常は高いので、CMCシャンクナブ48の周りにおける金属材料の硬化中に、空洞部52を形成する鋳込み金属材料がCMC材料よりも大きく収縮してシャンクナブ48を加圧し、CMCナブ48の締り嵌め及び密着封入が行われ、金属補助部品46にCMC補助部品44が固着する。この固着は、補助部品46がシャンクナブ48の拡幅基礎部49を取り巻く結果として得られる固着能力に追加して達成される。非限定的な例として、適切な締り嵌めは、SiC−SiC CMC材料の場合の約4ppm/°CというCTEに対して、約14ppm/°CのCTEを有する上述のニッケル基超合金であるルネ80H等の金属材料により達成可能であると考えられる。このCTEの差によって、約2200°F(約1200°C)の鋳込み温度から室温への冷却時に約1%の歪みが生じて、その結果としてCMCシャンクナブ48が圧縮状態、そしてナブ48を取り巻く金属補助部品46が緊張状態となる室温応力状態がもたらされる。特に自身のダブテール部が動作時に圧縮状態となるブレードにおいては、この鋳込み工程によってもたらされる締り嵌めが、頑強な機械的結合を可能にする。
【0027】
図6は、ブレード30の補助部品44及び46間の界面領域の断面を示す斜視図であって、金属補助部品46を用いてシャンクナブ48をその基礎部49を含めて完全に包囲できる態様をより詳細に示す。図7は、図6に示すダブテール部分32の詳細端面図であって、金属補助部品46がシャンクナブ48の基礎部49を完全に包囲し、そうすることでブレード30が取り付けられるディスクダブテールスロットの表面と係合する圧力面35を形成する態様を示す。図8は、タービンロータディスク56のディスクダブテールスロット54内に取り付けられるブレードダブテール部分32Aを示す同様の端面図である。ダブテール部分32Aは図2〜7のダブテール部分32と同様であるが、金属材料がシャンクナブ基礎部49の下側表面を覆うように鋳込まれないという点で相違する。その代わりに、補助部品46は、圧力面35を形成するのに必要な程度にシャンクナブ基礎部49を覆う。図9は、図7に示すものと同様の図面であるが、図2〜8に示す1組のタング部34の代わりに複数組のタング部34B及び34Cを有するダブテール部分32Bを示す。また、金属材料は鋳込まれず、シャンクナブ基礎部49のいかなる部分も覆わない。その代わりに、補助部品46は、シャンクナブ48の基礎部49より上の表面を覆って、金属補助部品46を鋳込むことでダブテール部分32のタング部34Bと圧力面35との全体が形成されるようになっている。基礎部49は、事実上、下側の組をなすタング部34C全体を形成し、これらのタング部は、上側の組をなすタング部34Bによって形成される圧力面35に依存することにより、より低い荷重(存在する場合)を受ける。最後に、図10は、図9と同様であるが、金属材料がシャンクナブ基礎部49全体を覆うように鋳込まれて、その結果として金属補助部品46がダブテール部分32Bと両方の組をなすタング部34B及び34Cとの全体を形成するものとして示されている。
【0028】
図11及び12は、金属補助部品46へのCMC補助部品44の結合を助けるために、それぞれスロット60と穴62とを有するように改変した図3のシャンクナブ48の単独斜視図である。スロット60はシャンクナブ基礎部49の限定的な凹部として形成され、穴62は好ましくは基礎部49より上においてシャンクナブ48を完全に貫通する。いずれの場合も、金属材料が鋳込み工程においてスロット60及び/又は穴62に流入して、鋳込み材料が硬化することによってスロット60及び/又は穴62内に相補的なインターロック機構(図示せず)が創出されるようになっている。穴62の場合は、穴62内の鋳込み材料で、シャンクナブ48により分離されるシャンクケーシング50部分を相互接続することもできる。この連結作用は、シャンクナブ基礎部49により得られる固着能力を物理的に高めるので、補助部品44及び46間を更に頑強に、機械的に結合する。図11及び12にはスロット60と穴62とを二者択一の構成として示すが、スロット60と穴62とを組み合わせることも本発明の範囲内に含まれる。更に、その他の凹状表面機構(窪み又は凹部)をシャンクナブ48及び/又はその基礎部49に形成して同様の効果を達成することもできる。図13に示すように、凸状の表面機構(突起)63をシャンクナブ48及び/又はその基礎部49に形成し、これを単独で用いるか、又は凹部(スロット60及び/又は穴62)と組み合わせて用いて凹状表面機構と同様の固着作用を達成することもできる。
【0029】
CMC補助部品44上における金属補助部品46の「同時鋳造」工程は、様々な方法で達成可能である。図14に、CMC補助部品44とその単体形エアフォイル部分38及びシャンクナブ48との上における金属補助部品46とその単体形ダブテール、プラットフォーム及びシャンク部分32、36、40との成形と結合とを同時に行う同時鋳造工程を概略的に示す。図14に示すように、この工程は、金型64内で行われ、ダブテール、プラットフォーム及びシャンク部分32、36、40の所望の最終形状に近い形状の鋳物66が作製されるので、鋳物66に必要な鋳造後の加工量を最小限に抑えて補助部品46を作製できる。金型64は、任意の適切な設計、例えばセラミックシェルであってよい。金属材料の硬化後に、金型64を取り外して、CMC補助部品44のシャンクナブ48上に原位置で鋳込まれた同時鋳造補助部品46を得ることができる。特に、好ましい点として、この鋳造技術を実施することで、補助部品44のCMC材料と溶融金属材料との間(例えばケイ化物の形成)及び金型64との間において望ましくない化学反応を引き起こす可能性がある、従来のインベストメント鋳造工程において通常的に必要とされる高温と長時間露出とを回避できる。金型46内においてCMC部品44のシャンクナブ48を溶融金属材料中に立てる工程により、接触時間と温度とを最小限に保って望ましくない反応を防ぐことができる。
【0030】
金属補助部品46の形成に使用可能なその他の方法として、スピンキャスティング技術が挙げられる。当該技術分野において周知のように、スピンキャスティング工程は、部品の蝋製レプリカをセラミックで被覆した後、蝋を除去して部品の雌型(「金型」)を作ることにより金型を創出するという点で、従来のインベストメント鋳造工程と同様であり、その後、雌型を溶融金属で満たし、この金属が硬化して最終的な部品が形成される。スピンキャスティング技術と従来の鋳込み方法との相違は、後者は溶融金属を金型に充填するにあたり重力に依存するが、スピンキャスティング工程では金型を回転させて溶融金属に作用する遠心力を誘導する点にある。この付加的な力は、或る一定の鋳込み形状及び/又は材料において金型の完全な充填を確実にしながら許容可能な微細組織を得ると共に内部欠陥を無くす上で有利である。スピンキャスティングは、溶融金属がるつぼから回転金型の回転軸と整合する中央受口に注ぎ込まれる遠心鋳造工程とも相違する。溶融金属は当初は自身に作用する遠心力を有さないが、或る限られた時間が経つと回転中心から離れる方向に流れ、ゆっくりと遠心力を増していく。スピンキャスティングでは、装入材料(未溶融原料)が回転中心から或る距離だけ離れて溶解し、装入材料が溶融して回転が始まると直ちに溶融金属が遠心力の作用を受け、その結果として従来式の鋳造工程又は遠心鋳造工程のいずれよりも急速に金型が満たされる。
【0031】
なお、このとき、図5に示す補助部品46を予め作製しておき、後でこれをCMC補助部品に組み付けてもよい。例えば、補助部品46を2つ以上のピースとして作製し、これらの部品をシャンクナブ48の周りに組み付けた後、互いに溶接又はろう付けして完全な補助部品46にすることができる。但し、この方法では、CMC及び金属補助部品44及び46間の界面接触応力を調節し、鋳造技術で可能な有効加圧及び封入レベルに匹敵するCMCシャンクナブ48の有効加圧及び封入レベルを達成するために、精密機械加工が必要になる。しかし、この方法の利点は、さもなくば例えば過大な反応リスクを生じること又はCMC材料の温度性能を超えることから、補助部品44のCMC材料とは相容れない溶融温度を有する合金を使用できるところにある。事前作製技術を用いると、CMC補助部品44と金属補助部品46の個々のピースとの間の隙間をピースの組立時に埋めることができる。例えば、組立工程中に粉末蝋材で隙間を埋め、その後、蝋付け時に蝋材を十分に溶融させて補助部品46のピースを互いに接合することができる。例えば約2200〜約2300°F(約1200〜約1260°C)の範囲内のろう付け温度は、本発明において現在企図される殆どのCMC材料に適合する。
【0032】
補助部品44のCMC材料と補助部品46の溶融金属材料との間における望ましくない化学反応を鋳込み技術に依存して最小限に抑えることに加えて、又はその代わりに、本発明は、CMC及び金属補助部品44及び46間に施される界面被覆の使用を企図している。追加又は代案として、界面被膜を用いて、硬化時におけるCMC補助部品44の周りの金属の収縮に対する熱膨張率の適合性を高めることで、低温割れの発生を減らすことができる。図15に、図2及び3のブレードのCMC及び金属補助部品44及び46間の界面領域の一部分を概略的に示し、両者間の化学的相互作用を阻害する界面の被膜系70を示す。被膜系70は、様々な異なる材料から形成されるいかなる個数の被膜層を有して形成されてもよく、スラリー塗布法や大気プラズマ溶射(APS)法等の様々な加工処理法を用いて析出可能である。図15には、被膜系70を2つの別個の層72及び74を有するものとして示すが、被膜系70は単一層又は2つよりも多い層、例えば5つの層から形成可能である。CMC補助部品44に直接接触する層72は、例えばCMC補助部品44の材料に特に適合する材料、例えばガラス及び/又は液相形成材料から形成可能である。層72用の潜在的なガラス材料の例として、Shyh−Chin Huangらによる米国特許出願第12/984836号に開示の反応遮蔽被膜に関して記載された材料が挙げられ、この反応遮蔽被膜に関する前述の出願の内容を参照により本明細書に援用する。金属補助部品46に直接接触する層74は、例えば、層72と金属補助部品46との間において化学的及び物理的適合性の点で適切な遷移が得られる材料から形成される。例えば、層72に直接隣接する組成物は、層72のガラス及び/又は液相形成材料と同じであるか又は別な態様で適合性を有する一方で、層74は、補助部品46に直接隣接する組成物は補助部品46の形成に用いられる金属材料と同じであるか又は別な態様で適合性を有する漸変組成を有してよい。例えば、層74又は少なくとも補助部品46に直接隣接するその組成物は、補助部品46の金属材料と化学的に適合し、CMC及び金属補助部品44及び46間に熱膨脹適合性をもたらす延性金属発泡材を含有するか、又はこうした延性金属発泡材により構成される。発泡材に適する材料には、当該技術分野において周知の種類のFeCrAlY合金を注目に値するが非限定的な例として含む鉄基、コバルト基及びニッケル基合金等の高温耐酸化性合金が含まれると考えられる。好ましくは層72及び74が相俟って、被膜系70にある程度の適合性を与え、このことによって、被膜系70がCMC補助部品44の周りにおける金属補助部品46の硬化時の収縮に対応する、適合性を有する界面の役割を果たすことが可能になる。一般的には、被膜系70には約0.005〜約0.040インチ(約0.1〜1ミリメートル)の厚さが適すると考えられるが、これよりも小さい又は大きい厚さも可能である。
【0033】
図2〜15のブレード30はシュラウドを有さないが、図16及び17に、シュラウド付きのLPTタービンブレード80を示す。ブレード80は、エアフォイル部分84を形成するCMC補助部品82を含む。このブレードは更に、ダブテール部分86とプラットフォーム部分88とを含む。任意で、CMC補助部品82は、一般にブレード30に関して説明したものと同様に、ダブテール及びプラットフォーム部分86及び88を形成する金属補助部品により取り巻かれるシャンクナブ(図示せず)を有して形成されてよい。ブレード30とは対照的に、図16及び17に示すブレード80は、事実上、シュラウド部分92をエアフォイル部分84に結合するナブ94を形成するCMCエアフォイル部分84の先端においてシュラウド部分92を形成する金属補助部品90を含む。金属補助部品90は更に、図面では、一体的シール歯96を形成するものとして示されている。金属補助部品90は、ブレード30の金属補助部品46に関して述べたものと同様に形成可能である。
【0034】
図16及び18からわかるように、ブレードチップナブ94は、ブレード30に関して図4及び6〜13に示したシャンクナブ48と同様の形状を有してよい。具体的には、ブレードチップナブ94は、エアフォイル部分84に直接隣接する部分よりも幅広の断面を有すると共に、CMCエアフォイル部分84の先端における金属補助部品90及びそのシュラウド部分92の固着を補助する役割を果たす。同じくシャンクナブ48と同様に、ブレードチップナブ94は更に、金属補助部品90とそのシュラウド部分92と作製する同時鋳造工程において結果的に一体的な金属の相補的インターロック機構を創出する凸状及び凹状の表面機構を含んでよい。図19、20及び21に示すように、ナブ94は、様々な大きさ及び形状の貫通穴94A(図19及び20)及び/又はスロット98B(図21)を有してよい。貫通穴98Aの場合は、金属材料が鋳込み工程において穴98Aに流入して、鋳込み材料が硬化することによって穴98Aを完全に貫通して延在する金属の相補的連結クロスバーが創出されて、ナブ94により分離されたシュラウド部分92の両部分を相互接続するようになる。スロット98Bの場合は、スロット98B内の鋳込み材料が、スロット98Bを完全に貫通して延在する金属の相補的連結リブを創出して、ナブ94により分離されたシュラウド部分92の両部分を相互接続する。この連結作用により、ナブ94によりもたらされる固着能力が高まるので、CMC及び金属補助部品82及び90間の機械的結合の頑強性が更に高まる。図19〜21には凹状の表面機構のみ示すが、凸状の表面機構(突起)を穴98A及び/又はスロット98Bの代替又は追加として形成して、凹状表面機構と同様の固着作用を達成することができる。
【0035】
図22及び23に、ガスタービンベーンセグメント100を本発明のまた別の適切な用途として示す。ベーンセグメント100は、図面では、1対の内側及び外側プラットフォーム(バンド)104間に2つのエアフォイル部分(ベーン)102を有するが、単一のエアフォイル部分102又は2つよりも多い個数のエアフォイル部分102が存在する場合もある。ベーンセグメント100は、互いに組み付けられてタービンエンジンの環状のベーン組立体を形成する複数のベーンセグメントの1つである。エアフォイル部分102は、高温燃焼ガスに直接曝され、且つ略線形の形状を有するので、セラミック基材料により作製するのに最適な候補となる。そのため、各ベーンエアフォイル部分102をセラミック基材料、例えばCMC材料により単一のピースとして作製でき、一方又は両方のプラットフォーム部104をセラミック材料以外の材料から作製できる。図23に示すように、各エアフォイル部分102は対向して配置される1対のナブ106を含む。各ナブ106は、事実上、対向して配置される対状のタング部108を形成するダブテール機構である。更に、ナブ106はプラットフォーム部104の形成に用いられる材料に完全に包囲されて、ナブ106とそのタング部108とが、プラットフォーム部104を形成するために用いられる金属鋳造工程においてプラットフォーム部104に形成されるポケット110内に受け入れられるようになっている。図23からわかるように、各ナブ106とそのタング部108とは、エアフォイル部分102上において、エアフォイル部分102に直接隣接する部分よりも幅広い断面を有する部分を形成するので、ナブ106は、内側及び外側プラットフォーム104をエアフォイル部分102に固着するだけでなく、ナブ106をプラットフォーム部104のポケット110内に保持する固着機構の役割を果たすように構成される。ベーンセグメント100の製造に関するその他の態様は、図3〜21のタービンブレード30及び80に関する説明から理解できよう。
【0036】
図24及び25は、エアフォイル部分102への金属プラットフォーム部104の結合を助けるために、ナブ106がそれぞれスロット112及び穴114を有するように改変した図23のエアフォイル部分102の単独斜視図である。図11及び12に関して述べたスロット60及び穴62の場合のように、ナブ106の周りにおけるプラットフォーム部104の鋳込み工程において、金属材料がスロット112及び/又は穴114に流入して、鋳込み材料が硬化することによってスロット112及び/又は穴114内に金属の相補的インターロック機構(図示せず)が創出されるようになっている。穴114の場合は、穴114内の鋳込み材料はナブ106により分離されるプラットフォーム104の部分116を相互接続することもできる。この連結作用により、ナブ106とそのタング部108とにより得られる固着能力が物理的に高まるので、エアフォイル部分102とプラットフォーム部106との間の機械的結合が更に頑強になる。図24及び25には、スロット112と穴114とを二者択一の構成として示すが、スロット112と穴114とを組み合わせることも本発明の範囲内に含まれる。更に、その他の凹状表面機構(窪み又は凹部)をナブ106に形成して同様の効果を達成することができ、図13の突起63と同様の凸状表面機構(図示せず)をナブ106に形成することもできる。
【0037】
具体的な実施例に関して本発明を説明したが、明らかなように、当業者であればその他の形態を採用することもできよう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0038】
10 ブレード
12 ダブテール部
14 タング部
16 プラットフォーム部
18 エアフォイル
20 シャンク部
30 ブレード
32 部分
32A 部分
32B 部分
34A タング部
34B タング部
34C タング部
35 面
36 部分
38 部分
40 部分
42 エンジェルウィング
44 補助部品
46 補助部品
48 ナブ
49 基礎部
50 ケーシング
52 空洞部
54 スロット
56 ディスク
60 スロット
62 穴
63 突起
64 金型
66 鋳物
70 被膜系
72 層
74 層
80 ブレード
82 補助部品
84 部分
86 部分
88 部分
90 補助部品
92 部分
94 ナブ
96 歯
98A 穴
98B スロット
100 セグメント
102 部分
104 バンド
106 ナブ
108 タング部
110 ポケット
112 スロット
114 穴
116 部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の補助部品(44、82、102)と、少なくとも1つの軸外の幾何学的機構(34、36、42、104)を有することで前記第1の補助部品(44、82、102)よりも複雑な形状を有する少なくとも1つの第2の補助部品(46、90、104)と、を含む部品(30、80、100)の製造工程であって、
前記第1の補助部品(44、82、102)をセラミック基材料で作製するステップと、
前記作製ステップの後、少なくとも1つの金属材料で形成される前記第2の補助部品(46、90、104)とその前記軸外の幾何学的機構(34、36、42、92、96、104)とを別途に形成するステップと、
前記第2の補助部品(46、90、104)を前記第1の補助部品(44、82、102)に結合するステップと、を含む工程。
【請求項2】
前記第1の補助部品(44、82、102)への前記第2の補助部品(46、90、104)の前記結合ステップは、前記第1の補助部品(44、82、102)のナブ(48、94、106)上における、前記第2の補助部品(46、90、104)の締り嵌め及び封入を含むことを特徴とする、請求項1に記載の工程。
【請求項3】
前記セラミック基材料は、均質なセラミック材料と、短繊維及び/又は長繊維セラミック強化材をセラミック強化基材中に含有するセラミック基複合材料と、から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の工程。
【請求項4】
前記第2の補助部品(46、90、104)を別途に形成する前記ステップと、前記第2の補助部品(46、90、104)を前記第1の補助部品(44、82、102)に結合する前記ステップとは、前記金属材料を前記第1の補助部品(44、82、102)の或る部分(48、94、106)の周りにおいて鋳込むステップと、前記金属材料を機械加工して前記軸外の幾何学的機構(34、36、42、92、96、104)を創出するステップとを含み、
前記鋳込みステップにおいて前記第1の補助部品(44、82、102)の周りで前記金属材料が硬化することにより、前記第2の補助部品(46、90、104)が収縮し、前記第1の補助部品(44、82、102)の前記部分(48、94、106)が加圧されて、前記部分(48、94、106)が締り嵌め及び封入されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の工程。
【請求項5】
前記部分(48、90、104)は、前記第2の補助部品(46、90、104)を前記第1の補助部品(44、82、102)上に固着するように適合された拡幅機構(49、94、106)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の工程。
【請求項6】
前記鋳込みステップにおいて、前記第2の補助部品(46、90、104)の前記金属材料と前記第1の補助部品(44、82、102)の前記セラミック基材料との間の化学反応を阻害する被膜系(70)を、前記第1の補助部品(44、82、102)上に施すステップを更に含む、請求項4又は5に記載の工程。
【請求項7】
前記第1の補助部品(44、82、102)の表面部分(48、94、106)に少なくとも1つの凹部(60、62、98A、98B、112、114)を形成するステップを更に含み、前記鋳込みステップの結果として、幾らかの前記金属材料が前記少なくとも1つの凹部(60、62、98A、98B、112、114)に流入して、前記第2の補助部品(46、90、104)を前記第1の補助部品(44、82、102)に連結させる、請求項4〜6のいずれか1項に記載の工程。
【請求項8】
前記第2の補助部品(46、90、104)を別途に形成するステップは、前記金属材料を予め成形して前記第2の補助部品(46、90、104)のピースを形成するステップを含み、前記第2の補助部品(46、90、104)を前記第1の補助部品(44、82、102)に結合するステップは、前記第2の補助部品(46、90、104)の前記ピースを前記第1の補助部品(44、82、102)の或る部分(48、94、106)の周りにおいて互いに組み付けるステップと、前記ピースを互いに冶金的に接合するステップと、前記接合ステップの後、前記ピースを機械加工して第2の補助部品(46、90、104)とその前記軸外の幾何学的機構(34、36、42、92、96、104)とを創出するステップと、を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の工程。
【請求項9】
前記部品(30、80、100)はタービンエアフォイル部品(30、80、100)であり、前記第1の補助部品(44、82、102)はエアフォイル部分(38、82、102)とナブ(48、94、106)とを含み、前記第2の補助部品(46、90、104)は、前記エアフォイル部分(38、102)と前記ナブ(48、106)との間のプラットフォーム部分(36、104)と、前記ナブ(48)上のダブテール部分(32)と、前記ナブ(94)上のシュラウド部分(92)と、の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−148338(P2012−148338A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−279309(P2011−279309)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】