説明

セラミック多層配線基板の製造方法

【課題】セラミック多層配線基板の最上層、最下層にのみ分割用溝を形成する従来技術では、破断は起点の分割用溝を斜めに破断して終点の分割用溝からずれることがあり、この結果、ばり、欠けにより不良品が発生して製造歩留りが低下する。
【解決手段】予め、最上層のグリーンシート1’及び最下層のグリーンシート7’を除くグリーンシート2’〜6’の各パッケージ境界に分割用溝G2〜G6を形成しておき、グリーンシート1’〜7’を圧着して積層し、最上層のグリーンシート1’及び最下層のグリーンシート7’の各パッケージ境界に分割用溝G1、G7を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミック多層配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、導電層及びガラスセラミックスを同時焼成する低温同時焼成セラミックス(LTCC)が開発されている。すなわち、導電層、たとえば、銀(Ag)、銅(Cu)の融点は962℃、1085℃と低い。この場合にあっても、誘電体セラミックスにガラスを添加したガラスセラミックスは銀、銅の融点より低い900℃程度で焼成できる。従って、導体及びガラスセラミックスを同時焼成できる。
【0003】
低温同時焼成セラミックスの製造方法は以下のごとく行われる。誘電体セラミックス、ガラス等の焼結助剤よりなる原料粉末、有機バインダー、可塑剤、溶剤を混合してスラリーを作り、このスラリーをドクターブレード成形機で柔軟性のあるグリーンシートに成形する。次いで、必要に応じてグリーンシートにスルーホールを形成し、銀、銅等の導体ペーストをスクリーン印刷法等によりグリーンシートのスルーホール及び表面に印刷してビア及び導電層を形成する。最後に、複数のグリーンシートを圧着して積層した後に、900℃程度で焼成する。
【0004】
図20は上述の低温同時焼成セラミックスの製造方法が適用される発光ダイオード(LED)用低背パッケージの断面図である。
【0005】
図20においては、ガラスセラミック層1、2、3、4、5、6、7が積層されて1つの集合基板を形成している。特に、作用、積層位置から、ガラスセラミック層1、2はリフレクタ層、ガラスセラミック層3はボンディング層、ガラスセラミック層4、5、6は内層、ガラスセラミック層7は下層と称する。
【0006】
ガラスセラミック層1、2は中心に開口部が形成された枠構造をなし、必要に応じて開口部の内壁に銀(Ag)等の高反射率金属層(図示せず)がめっき等によって形成されている。また、各ガラスセラミック層3、4、5、6、7には、たとえば銅(Cu)よりなるビア31、41、51、61、71及び導電層32、33、42、52、62、72が必要に応じて設けられている。
【0007】
また、ガラスセラミック層3の導電層33上にLED素子8をダイボンディングし、他の導電層33とLED素子8とをボンディングワイヤ9によって接続する。最後に、封止樹脂層10によってLED素子8、ボンディングワイヤ9を封止している。
【0008】
図21は従来のセラミック多層配線基板の製造方法を説明するためのフローチャートであって、図20のLED素子用低背パッケージに適用される。
【0009】
始めに、ステップ2101を参照すると、図20のガラスセラミック層1、2に対応するグリーンシート1’、2’(図22に図示)に開口部を形成すると共に、必要に応じてその内壁に電解めっき法等によって高反射率金属層たとえば銀(Ag)層を形成する。また、図20のガラスセラミック層3〜7に対応するグリーンシート3’〜7’(図22に図示)にレーザ加工法等により必要なスルーホールを形成し、これらのグリーンシート3’〜7’のスルーホール及び表面に銅(Cu)等よりなるビア及び導電層をスクリーン印刷法等により形成する。
【0010】
次に、ステップ2102を参照すると、図22に示すごとく、グリーンシート1’〜7’を圧着して積層する。尚、図22においては、グリーンシート1’、2’の高反射率金属層、グリーンシート3’〜7’のスルーホール、ビア及び導電層は図示省略してある。
【0011】
次に、ステップ2103を参照すると、図23に示すごとく、最上層のグリーンシート1’及び最下層のグリーンシート7’の各パッケージ境界に分割用溝G1、G7を形成する。尚、図23においても、グリーンシート1’、2’の高反射率金属層、グリーンシート3’〜7’のスルーホール、ビア及び導電層は図示省略してある。
【0012】
次に、ステップ2104を参照すると、積層されたグリーンシート1’〜7’を900℃程度で焼成する。尚、導電層等が銅等により形成されている場合、窒素雰囲気中で焼成を行い、導電層等の酸化を防止する。
【0013】
次に、ステップ2105を参照すると、ガラスセラミック層3’の導電層33上にLED素子8をダイボンディングする(図20を参照)。
【0014】
次に、ステップ2106を参照すると、LED素子8と導電層33とをボンディングワイヤ9によって接続する(図20参照)。
【0015】
次に、ステップ2107を参照すると、必要に応じて封止樹脂層10でLED素子8及びボンディングワイヤ9を封止する(図20参照)。
【0016】
最後に、ステップ2108を参照すると、ガラスセラミック層1側から加圧させて分割用溝G1、G7を利用して破断させて各LED用低背パッケージを個別化する。この結果、図24に示すごとく、ガラスセラミック層1〜7よりなるLED用低背パッケージが得られる。この場合、最上層のガラスセラミック層1及び最下層のガラスセラミック層7には分割用溝G1、G7が存在した部分G1’、G7’が観察される。尚、図24においては、ガラスセラミック層1、2の高反射率金属層、ガラスセラミック層3〜7のスルーホール、ビア、導電層、LED素子8、ボンディングワイヤ9及び封止樹脂層10は図示省略してある。
【0017】
たとえば、セラミック多層配線基板の最上層、最下層に分割用溝を形成する従来技術は特許文献1に記載され、また、セラミック配線基板の上下面に分割用溝を形成する従来技術は特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2003−249755号公報
【特許文献2】特開2008−28065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上述の従来のセラミック多層配線基板の製造方法においては、製造歩留りが低下し、この結果、製造コストが上昇するという課題があった。
【0020】
つまり、各LED用低背パッケージを個別化する際に、図25の点線X1に示す破断線のごとく、破断は分割用溝G1を起点に分割用溝G7を終点へ向って垂直に破断するが、セラミックの粒塊の位置、大きさが一定でなく、また、破断が進むにつれてガラスセラミック層1〜7も傾いていくので、図25の点線X2に示す破断線のごとく、破断は分割用溝G1を起点に斜めに破断して分割用溝G7からずれることがある。この結果、ばりY、欠けZにより不良品が発生して製造歩留りが低下する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述の課題を解決するために、本発明に係るセラミック多層配線基板の製造方法は、3つ以上のグリーンシートを積層する積層工程と、これら3つ以上のグリーンシートの最上層、少なくとも1つの中間層及び最下層に分割用溝を形成する分割用溝形成工程と、分割用溝が形成され積層されたグリーンシートを焼成して複数のセラミック層を形成する焼成工程と、複数のセラミック層を分割用溝を利用して破断させて個別化する個別化工程とを具備するものである。
【0022】
また、分割用溝形成工程において、各分割用溝の幅が3つ以上のグリーンシートの最上層、中間層及び最下層に従って順次大きくもしくは小さくなっている。あるいは、分割用溝形成工程において、各分割用溝の深さが3つ以上のグリーンシートの最上層、中間層及び最下層に従って順次大きくもしくは小さくなっている。さらに、焼成工程の前に、3つ以上のグリーンシートの少なくとも1つに分割用スルーホールを形成する分割用スルーホール形成工程を具備し、個別化工程において、分割用溝と共に分割用スルーホールを利用して複数のセラミック層を破断させるようにする。
【0023】
また、本発明に係るセラミック多層配線基板の製造方法は、3つ以上のグリーンシートを積層する積層工程と、これら3つ以上のグリーンシートの少なくとも1層に分割用スルーホールを形成する分割用スルーホール形成工程と、分割用スルーホールが形成され積層されたグリーンシートを焼成して複数のセラミック層を形成する焼成工程と、複数のセラミック層を分割用スルーホールを利用して破断させて個別化する個別化工程とを具備するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、個別化する際に、破断線が確実に垂直となり、従って、ばり、欠けによる不良品がなくなり、製造歩留りが向上し、この結果、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態としてのセラミック配線基板の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図2】図1の積層処理を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図3】図1の最上層、最下層分割用溝形成処理を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図4】図1の個別化処理を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図5】図4の個別化処理の詳細を示す断面図である。
【図6】図5の第1の変更例を示す断面図である。
【図7】図5の第2の変更例を示す断面図である。
【図8】図5の第3の変更例を示す断面図である。
【図9】図5の第4の変更例を示す断面図である。
【図10】本発明に係る第2の実施の形態としてのセラミック配線基板の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図11】図10の積層処理を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図12】図10の最上層、最下層分割用スルーホール形成処理を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図13】図10の個別化処理を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図14】図12の変更例を示す断面図である。
【図15】本発明に係る第3の実施の形態としてのセラミック配線基板の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図16】図15の積層処理を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図17】図15の分割用スルーホール形成処理を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図18】図15の個別化処理を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図19】図17の変更例を示す断面図である。
【図20】LED用低背パッケージを示す断面図である。
【図21】従来のセラミック配線基板の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図22】図21の積層処理を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図23】図21の分割用溝形成処理を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図24】図21の個別化処理を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図25】従来のセラミック配線基板の製造方法における課題を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明に係る第1の実施の形態としてのセラミック多層配線基板の製造方法を説明するためのフローチャートであって、図20のLED素子用低背パッケージに適用される。図1においては、図21のステップ2101とステップ2102との間にステップ101を付加してある。
【0027】
従って、ステップ2101にて、グリーンシート1’、2’に開口部を形成すると共に、必要に応じてその内壁に電解めっき法等によって高反射率金属層たとえば銀(Ag)層を形成し、グリーンシート3’〜7’にレーザ加工法等により必要なスルーホールを形成し、これらのグリーンシート3’〜7’のスルーホール及び表面に銅(Cu)等よりなるビア及び導電層をスクリーン印刷法等により形成した後に、ステップ101において、最上層のグリーンシート1’及び最下層のグリーンシート7’を除くグリーンシート2’〜6’の各パッケージ境界に分割用溝G2〜G6を形成する。
【0028】
次に、ステップ2102にて、図2に示すごとく、グリーンシート1’〜7’を圧着して積層し、ステップ2103にて、図3に示すごとく、最上層のグリーンシート1’及び最下層のグリーンシート7’の各パッケージ境界に分割用溝G1、G7を形成する。
【0029】
次に、ステップ2104にて、積層されたグリーンシート1’〜7’を900℃程度で焼成し、次に、ステップ2105にて、ガラスセラミック層3’の導電層33上にLED素子8をダイボンディングし、ステップ2106にて、LED素子8と導電層33とをボンディングワイヤ9によって接続し、次に、ステップ2107にて、必要に応じて封止樹脂層10でLED素子8及びボンディングワイヤ9を封止する。
【0030】
最後に、ステップ2108を参照すると、ガラスセラミック層1側から加圧させて分割用溝G1〜G7を利用して破断させて各LED用低背パッケージを個別化する。この結果、図4に示すごとく、ガラスセラミック層1〜7よりなるLED用低背パッケージが得られる。この場合、ガラスセラミック層1〜7には分割用溝G1〜G7が存在した部分G1’〜G7’が観察される。
【0031】
より詳しくは、ガラスセラミック層1側から加圧すると、図5の点線X1に示す破断線のごとく、破断は分割用溝G1を起点に斜めに破断しても分割用溝G2に及んだ時点で斜め破断が中断し、分割用溝G2から斜め破断が再開する。以下、同様に、斜め破断が進行しても、順次、分割用溝G3〜G6を介して分割用溝G7に終点の向って破断する。従って、セラミックの粒塊の位置、大きさが一定でなくとも、また、破断が少し斜めに進行しても、ばり、欠けにより不良品は発生しなくなり製造歩留りが向上する。
【0032】
このように、上述の第1の実施の形態によれば、歩留り向上により製造コストを低減できる。また、同時に、個別化の際のガラスセラミック層に加圧する力も小さくなるので、ガラスセラミック層へのストレス、個別化するための機械の磨耗、騒音も小さくできる。
【0033】
尚、上述の第1の実施の形態における分割用溝G1〜G7の形状はV字型、U字型等でもよい。また、グリーンシート1〜7の厚さTが100〜300μmであれば、分割用溝G1〜G7の幅Wは5〜30μm、分割用溝G1〜G7の深さDは30〜150μm(Tの30〜50%)である。
【0034】
さらに、上述の第1の実施の形態では、積層処理後のステップ2103に、最上層、最下層のグリーンシート1、7の各パッケージ境界に分割用溝G1、G7を形成しているが、積層処理前のステップ101において、グリーンシート2〜6の各パッケージ境界の分割用溝G2〜G6と共に形成してもよい。この場合には、図5の第1の変更例である図6に示すごとく、分割用溝G1〜G7の形状をすべて同一方向に向かせることができる。
【0035】
また、破断が進行するにつれてガラスセラミック層1〜7は傾いていくので、破断は依然として斜めに進行し易い。この結果、1つの分割用溝から破断線が次の分割用溝により受容し易くするために、図5の第2の変更例を示す図7のごとく、破断が進行するにつれて、分割用溝G1〜G7の幅W1〜W7のみを大きくしている。つまり、
W1≦W2≦W3≦W4≦W5≦W6≦W7
あるいは、図5の第3の変更例を示す図8のごとく、破断が進行するにつれて、分割用溝G1〜G7の深さD1〜D7のみを大きくしている。つまり、
D1≦D2≦D3≦D4≦D5≦D6≦D7
尚、破断方向がガラスセラミック層7からガラスセラミック層1へ向う場合には、上述の2つの式は、
W1≧W2≧W3≧W4≧W5≧W6≧W7
D1≧D2≧D3≧D4≧D5≧D6≧D7
となる。また、破断が進行するにつれて、分割用溝G1〜G7の幅W1〜W7及び深さD1〜D7を共に大きくもしくは小さくしてもよい。
【0036】
尚、図5、図6、図7、図8においては、分割用溝をガラスセラミック層1〜7のすべてに設けているが、分割用溝は、最上層のガラスセラミック層1、最下層のガラスセラミック層7及びガラスセラミック層2〜6の少なくとも1つに設ければ、従来に比較して製造歩留りを向上できる。たとえば、図5の第4の変更例である図9の(A)に示すように、分割用溝G1、G3、G4、G6、G7をガラスセラミック層1、3、4、6、7に設ける。また、図9の(B)に示すように、ガラスセラミック層(ボンディング層)3の分割予定位置に導電層33のパターンが形成されている場合にあって、この導電層33のパターンがたとえば焼成処理後の電解めっき処理のためにパッケージ間に接続されている必要がある場合には、ガラスセラミック層3の導電層33の当該パターン部分には分割用溝を設けない。
【0037】
図10は本発明に係る第2の実施の形態としてのセラミック多層配線基板の製造方法を説明するためのフローチャートであって、図20のLED素子用低背パッケージに適用される。図10においては、図1のステップ101の後にステップ1001を付加し、ステップ2103の後にステップ1002を付加してある。
【0038】
従って、ステップ2101にて、グリーンシート1’、2’に開口部を形成すると共に、必要に応じてその内壁に電解めっき法等によって高反射率金属層たとえば銀(Ag)層を形成し、グリーンシート3’〜7’にレーザ加工法等により必要なスルーホールを形成し、これらのグリーンシート3’〜7’のスルーホール及び表面に銅(Cu)等よりなるビア及び導電層をスクリーン印刷法等により形成し、ステップ101において、最上層のグリーンシート1’及び最下層のグリーンシート7’を除くグリーンシート2’〜6’の各パッケージ境界に分割用溝G2〜G6を形成した後に、ステップ1001において、最上層、最下層のグリーンシート1’、7’を除くグリーンシート2’〜6’の各パッケージ境界にレーザ加工法等により分割用スルーホールTH2〜TH6(図11参照)を形成する。尚、スルーホールTH2〜TH6はステップ2101におけるグリーンシート2’〜6’のスルーホールと同時に形成してもよい。
【0039】
次に、ステップ2102にて、図11に示すごとく、グリーンシート1’〜7’を圧着して積層し、ステップ2103にて、図12に示すごとく、最上層のグリーンシート1’及び最下層のグリーンシート7’の各パッケージ境界に分割用溝G1、G7を形成した後に、ステップ1002において、図12に示すごとく、最上層、最下層のグリーンシート1’、7’の各パッケージ境界にレーザ加工法等により分割用スルーホールTH1、TH7を形成する。
【0040】
次に、ステップ2104にて、積層されたグリーンシート1’〜7’を900℃程度で焼成し、次に、ステップ2105にて、ガラスセラミック層3’の導電層33上にLED素子8をダイボンディングし、ステップ2106にて、LED素子8と導電層33とをボンディングワイヤ9によって接続し、次に、ステップ2107にて、必要に応じて封止樹脂層10でLED素子8及びボンディングワイヤ9を封止する。
【0041】
最後に、ステップ2108を参照すると、ガラスセラミック層1側から加圧させて分割用溝G1〜G7及び分割用スルーホールTH1〜TH7を利用して破断させて各LED用低背パッケージを個別化する。この結果、図13に示すごとく、ガラスセラミック層1〜7よりなるLED用低背パッケージが得られる。この場合、ガラスセラミック層1〜7には分割用溝G1〜G7が存在した部分G1’〜G7’と共にスルーホールTH1〜TH7の半分が観察される。
【0042】
このように、上述の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態に比較して、さらに破断が垂直方向に進行し易くなるので、さらなる歩留り向上により製造コストを低減できる。また、同時に、個別化の際のガラスセラミック層に加圧する力も小さくなるので、ガラスセラミック層へのストレス、個別化するための機械の磨耗、騒音も小さくできる。
【0043】
さらに、上述の第2の実施の形態においても、積層処理後のステップ2102に、最上層、最下層のグリーンシート1、7の各パッケージ境界に分割用溝G1、G7及び分割用スルーホールTH1、TH6を形成しているが、積層処理前のステップ1001において、グリーンシート2〜6の各パッケージ境界の分割用スルーホールTH1〜TH6と共に形成してもよい。
【0044】
尚、図10、図11、図12、図13においては、分割用スルーホールをガラスセラミック層1〜7のすべてに設けているが、分割用スルーホールは、ガラスセラミック層1〜7の一部に設ければ、第1の実施の形態に比較してさらに製造歩留りを向上できる。たとえば、図12の変更例である図14に示すように、分割用スルーホールTH5、TH7をガラスセラミック層5、7に設けるだけでもよい。
【0045】
図15は本発明に係る第3の実施の形態としてのセラミック多層配線基板の製造方法を説明するためのフローチャートであって、図20のLED素子用低背パッケージに適用される。図15においては、図1の分割用溝形成ステップ101及びステップ2103を削除し、ステップ2102の後に分割用スルーホール形成ステップ1501を付加してある。
【0046】
従って、ステップ2101にて、グリーンシート1’、2’に開口部を形成すると共に、必要に応じてその内壁に電解めっき法等によって高反射率金属層たとえば銀(Ag)層を形成し、グリーンシート3’〜7’にレーザ加工法等により必要なスルーホールを形成し、これらのグリーンシート3’〜7’のスルーホール及び表面に銅(Cu)等よりなるビア及び導電層をスクリーン印刷法等により形成し、ステップ2102にて、図16に示すごとく、グリーンシート1’〜7’を圧着して積層した後に、ステップ1501において、図16に示すごとく、グリーンシート1’〜7’の各パッケージ境界にレーザ加工法等により分割用スルーホールTH1〜TH7を形成する。
【0047】
次に、ステップ2104にて、積層されたグリーンシート1’〜7’を900℃程度で焼成し、次に、ステップ2105にて、ガラスセラミック層3’の導電層33上にLED素子8をダイボンディングし、ステップ2106にて、LED素子8と導電層33とをボンディングワイヤ9によって接続し、次に、ステップ2107にて、必要に応じて封止樹脂層10でLED素子8及びボンディングワイヤ9を封止する。
【0048】
最後に、ステップ2108を参照すると、ガラスセラミック層1側から加圧させて分割用スルーホールTH1〜TH7を利用して破断させて各LED用低背パッケージを個別化する。この結果、図18に示すごとく、ガラスセラミック層1〜7よりなるLED用低背パッケージが得られる。この場合、ガラスセラミック層1〜7にはスルーホールTH1〜TH7の半分が観察される。
【0049】
このように、上述の第3の実施の形態によれば、従来に比較して、破断が垂直方向に進行し易くなるので、歩留り向上により製造コストを低減できる。また、同時に、個別化の際のガラスセラミック層に加圧する力も小さくなるので、ガラスセラミック層へのストレス、個別化するための機械の磨耗、騒音も小さくできる。
【0050】
尚、図15、図16、図17、図18においては、分割用スルーホールをガラスセラミック層1〜7のすべてに設けているが、分割用スルーホールは、ガラスセラミック層1〜7の一部に設ければ、従来に比較して製造歩留りを向上できる。たとえば、図17の変更例である図19に示すように、分割用スルーホールTH1、TH3、TH5、TH7をガラスセラミック層1、3、5、7に設けるだけでもよい。
【0051】
また、上述の実施の形態においては、個別化処理をガラスセラミック層1側から加圧させているが、ガラスセラミック層7側から加圧してもよい。この場合には、破断がガラスセラミック層7からガラスセラミック層1側へ進み易いように、上述の第1、第2の実施の形態において、多くの分割用溝のV字型またはU字型の向きを上側となるようにする。
【0052】
さらに、本発明はLED用セラミック多層配線基板以外にも、他の半導体装置、能動素子、受動素子用セラミック多層配線基板にも適用し得る。
【符号の説明】
【0053】
1:ガラスセラミック層(リフレクタ層)
3:ガラスセラミック層(ボンディング層)
4、5、6:ガラスセラミック層(内層)
7:ガラスセラミック層(下層)
1’、2’、…、7’:グリーンシート
8:LED素子
9:ボンディングワイヤ
10:封止樹脂層
G1、G2、…、G7:分割用溝
G1’、G2’、…、G7’:分割用溝が存在した部分
TH1、TH2、…、TH7:分割用スルーホール
X1、X2:破断線



【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つ以上のグリーンシートを積層する積層工程と、
前記3つ以上のグリーンシートの最上層、少なくとも1つの中間層及び最下層に分割用溝を形成する分割用溝形成工程と、
前記分割用溝が形成され積層されたグリーンシートを焼成して複数のセラミック層を形成する焼成工程と、
前記複数のセラミック層を前記分割用溝を利用して破断させて個別化する個別化工程と
を具備するセラミック多層配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記分割用溝形成工程において、前記各分割用溝の幅が前記3つ以上のグリーンシートの前記最上層、前記中間層及び前記最下層に従って順次大きくもしくは小さくなっている請求項1に記載のセラミック多層配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記分割用溝形成工程において、前記各分割用溝の深さが前記3つ以上のグリーンシートの前記最上層、前記中間層及び前記最下層に従って順次大きくもしくは小さくなっている請求項1に記載のセラミック多層配線基板の製造方法。
【請求項4】
さらに、前記焼成工程の前に、前記3つ以上のグリーンシートの少なくとも1つに分割用スルーホールを形成する分割用スルーホール形成工程を具備し、
前記個別化工程において、前記分割用溝と共に前記分割用スルーホールを利用して前記複数のセラミック層を破断させるようにした請求項1に記載のセラミック多層配線基板の製造方法。
【請求項5】
3つ以上のグリーンシートを積層する積層工程と、
前記3つ以上のグリーンシートの少なくとも1層に分割用スルーホールを形成する分割用スルーホール形成工程と、
前記分割用スルーホールが形成され積層されたグリーンシートを焼成して複数のセラミック層を形成する焼成工程と、
前記複数のセラミック層を前記分割用スルーホールを利用して破断させて個別化する個別化工程と
を具備するセラミック多層配線基板の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−84642(P2012−84642A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228468(P2010−228468)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】