説明

セラミック焼結体の評価方法および電子部品の製造方法

【課題】セラミック焼結体に含まれるセラミック粒子の結晶粒子径の分布と、セラミック焼結体の主成分原料の粒子径の分布と、からセラミック焼結体の焼結状態が適切かどうかを評価する方法を提供すること。
【解決手段】主成分原料および1種類以上の副成分原料を用いて製造されるセラミック焼結体の評価方法であって、主成分原料の粒子径の対数が正規分布に従い、セラミック焼結体の結晶粒子径を算出する工程と、結晶粒子径の対数が正規分布に従うか否かを判定する第1焼結評価工程と、第1焼結評価工程において結晶粒子径の対数が正規分布に従うと判定された場合、結晶粒子径を対数に変換し、変換した値を、平均値で規格化した値の分散と、前記主成分原料の粒子径を対数に変換し、変換した値を、平均値で規格化した値の分散と、が等分散であるか否かを判定する第2焼結評価工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック焼結体の評価方法および電子部品の製造方法に係り、さらに詳しくはセラミック焼結体の焼結性を評価する方法、およびこの評価方法を利用する電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器および電子機器の中には、多数のセラミック電子部品が利用されている。近年、機器の小型かつ高性能化に伴い、セラミック電子部品に対する更なる小型化、高性能化、高信頼性化への要求はますます厳しくなっている。このセラミック電子部品のセラミック層には用途に応じて、種々の材質のセラミック焼結体が採用されている。このようなセラミック焼結体は、所定の特性が得られるように配合された原料粉末を所定形状に成形し、所定条件で焼成することで得られる。
【0003】
焼成とは、粉末の集合体に熱を加えることで互いに結合させ、より緻密な状態(焼結体)とする操作である。焼結体の状態は焼成条件により左右され、焼結が不十分であっても、過剰であっても、所定の特性が得られない。
【0004】
そのため、セラミック焼結体の焼結状態が適切か否かを評価することは極めて重要である。このような評価を行う方法として、たとえば、特許文献1には、無機基板上に印刷された位置情報を、焼成前と焼成後とで比較し、焼成による形状変化や歪みを評価することにより、焼結状態を評価する方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、無機基板の焼成前に位置情報を印刷する工程が必要となり、工程の負荷が増えるという問題があった。また、焼成後においても位置情報が残存しているため、この位置情報が特性に悪影響を与える可能性が考えられた。さらには、最適な焼成条件が知られていない材料に対して適用できる方法ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−151274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、セラミック焼結体に含まれるセラミック粒子の結晶粒子径の分布と、セラミック焼結体の主成分原料の粒子径の分布と、からセラミック焼結体の焼結状態が適切かどうかを評価するセラミック焼結体の評価方法を提供することを目的とする。また、この評価方法を用いた、電子部品の製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るセラミック焼結体の評価方法は、
主成分原料および1種類以上の副成分原料を用いて製造されるセラミック焼結体の評価方法であって、
前記主成分原料の粒子径の対数が正規分布に従い、
前記セラミック焼結体に含まれる結晶粒子の結晶粒子径を算出する工程と、
前記結晶粒子径の対数が正規分布に従うか否かを判定することにより、前記セラミック焼結体の焼結性を評価する第1焼結評価工程と、
前記第1焼結評価工程において結晶粒子径の対数が正規分布に従うと判定された場合、該結晶粒子径を対数に変換し、変換した値を、変換した値の平均値で規格化した値の分散と、前記主成分原料の粒子径を対数に変換し、変換した値を、変換した値の平均値で規格化した値の分散と、が等分散であるか否かを判定することにより、前記セラミック焼結体の焼結性を評価する第2焼結評価工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
従来、粉体あるいは焼結体等の多結晶体においては、結晶等の粒子の粒度分布が対数正規分布に従うことが報告されている。したがって、セラミック焼結体が1種類の成分(原料)から構成される場合には、その原料の粒子径の対数が正規分布に従っており、その焼結体に含まれる結晶粒子の粒子径の対数も正規分布に従うことになる。
【0010】
一方、セラミック焼結体が2種類以上の成分から構成される場合には、2種類以上の成分(原料)を含む粉末を成形し、焼成することになる。この場合、各成分原料は対数正規分布を示すものの、粉末全体としては、粒子径の分布がいびつとなり対数正規分布を示さない。そして、焼成時にこれらの成分同士が互いに結びつき(焼結し)、これらの成分が混じり合った(固溶した)結晶粒子を形成する。
【0011】
したがって、セラミック焼結体が十分に焼結している場合には、1種類の結晶粒子で構成されていると考えることができる。その結果、結晶粒子の粒子径(結晶粒子径)の対数は正規分布に従っていると考えられる。
【0012】
しかしながら、焼結が不十分である場合には、各成分の混じり合いが少ない結晶粒子、すなわち、各成分の結晶粒子が形成される。このような結晶粒子の結晶粒子径は、それぞれの原料の粒子径を反映していると考えられる。その結果、結晶粒子全体としての結晶粒子径の分布はいびつとなり、結晶粒子径の対数は正規分布に従わないと考えられる。
【0013】
そこで、本発明では、上記のように、セラミック焼結体が2種類以上の成分から構成される場合において、セラミック焼結体が焼結しているか否かを、結晶粒子の結晶粒子径の対数が正規分布に従うか否かを判定することにより評価している(第1焼結評価工程)。
【0014】
具体的な判定方法としては、たとえば、測定した結晶粒子径を対数に変換し、これを正規確率紙にプロットして、その分布が正規分布を示すか否かを目視にて判断する方法が挙げられる。なお、結晶粒子径の対数が完全に正規分布に従う必要はなく、実質的に正規分布に従っていればよい。
【0015】
ところで、第1焼結評価工程において正規分布に従うと判定されたセラミック焼結体には、過剰に焼結しているものも含まれる。過剰に焼結していても、その結晶粒子径の対数は正規分布に従うからである。このような過剰焼結のセラミック焼結体は、結晶粒子の異常粒成長等に起因する構造欠陥や特性不良を生じるため好ましくない。過剰焼結のセラミック焼結体においては、異常粒成長等に伴う粒子径のバラツキにより、その分布の幅(分散)は、原料の粒子径の対数正規分布の幅よりもブロードになっている。
【0016】
そこで、本発明では、上記のように、第2焼結評価工程において、セラミック焼結体が過剰に焼結しているか否かを、結晶粒子径の対数を規格化した値が従う正規分布の分散と、主成分原料の粒子径の対数を規格化した値が従う正規分布の分散と、が等分散であるか否かを判定することにより評価している。セラミック焼結体は、通常、主成分と副成分とから構成されているため、本発明では、セラミック焼結体に占める割合が最も大きい主成分原料の粒子径の対数を規格化した値の正規分布と、結晶粒子径の対数を規格化した値の正規分布と、を比較して焼結状態を評価する。
【0017】
具体的な判定方法としては、たとえば、結晶粒子径の対数を規格化した値と、主成分原料の粒子径の対数を規格化した値と、を正規確率紙にプロットし、これを比較してそれぞれの分布の分散が等しいか否かを目視にて判断する方法が挙げられる。なお、それぞれの分散が完全に等しくなっている必要はなく、実質的に等しければよい。
【0018】
上記の第1焼結評価工程および第2焼結評価工程において、セラミック焼結体を評価することで、セラミック焼結体が適切に焼結しているか否かを簡便かつ正確に決定することができる。また、既存のデータとの比較により焼結状態を評価しないため、最適な焼成条件が知られていない原料を用いてセラミック焼結体を製造する場合であっても、本発明に係る評価方法を用いることにより、セラミック焼結体が適切に焼結しているか否かを簡便かつ正確に決定することができる。
【0019】
好ましくは、前記第1焼結評価工程および/または前記第2焼結評価工程において、統計的手法(仮説検定)を用いて前記セラミック焼結体の焼結性を評価する。
【0020】
統計的手法を用いて評価することで、より簡便かつ正確に評価することに加え、評価者による評価のバラツキを防止することができる。
【0021】
好ましくは、前記結晶粒子径を算出する工程において、撮像装置により撮影した結晶粒子の画像の信号を処理して、結晶粒子径を算出する。
【0022】
結晶粒子径の測定は、目視による手作業でも十分測定できるが、カメラなどの撮像装置により撮影した結晶粒子の画像を処理することで、より短時間かつ正確に結晶粒子径を算出することができる。そして、このようにして得られた結晶粒子径を用いることで、上記の効果をより高めることができる。
【0023】
また、本発明に係る電子部品の製造方法は、
主成分および副成分を有するセラミック焼結体から構成されるセラミック層を有する電子部品の製造方法であって、
粒子径の対数が正規分布に従う前記主成分の原料と、1種類以上の前記副成分の原料と、を用いて成形体を得る工程と、
前記成形体を所定の焼成条件により焼成して、前記セラミック焼結体を得る工程と、
上記のいずれかに記載の評価方法により、前記セラミック焼結体の焼結状態を評価する工程と、を有し、
さらに、前記第1焼結評価工程において正規分布に従わないと判定されたセラミック焼結体を、正規分布に従うと判定されるまで焼成を行う工程と、を有する。
【0024】
焼結が不十分であるセラミック焼結体を簡便に判別できるため、このような焼結体を再度焼成することで、十分に焼結させ、所望の特性を得ることが可能となる。また、最終製品において不良であると判定される前に、再度焼成できるため、歩留まりを向上させることができる。
【0025】
あるいは、主成分および副成分を有するセラミック焼結体から構成されるセラミック層を有する電子部品の製造方法であって、
粒子径の対数が正規分布に従う前記主成分の原料と、1種類以上の前記副成分の原料と、を用いて成形体を得る工程と、
前記成形体を所定の焼成条件により焼成して、前記セラミック焼結体を得る工程と、
上記のいずれかに記載の評価方法により、前記セラミック焼結体の焼結状態を評価する工程と、を有し、
前記第2焼結評価工程において等分散ではないと判定されたセラミック焼結体を不良品とする。
【0026】
過剰に焼結しているセラミック焼結体は特性が劣っており、しかも、焼結が不十分な焼結体とは異なり、これを適切な焼結状態とすることはできない。そこで、過剰に焼結しているセラミック焼結体を不良品とすることで、製品の特性のバラツキを防止することができる。
【0027】
あるいは、主成分および副成分を有するセラミック焼結体から構成されるセラミック層を有する電子部品の製造方法であって、
粒子径の対数が正規分布に従う前記主成分の原料と、1種類以上の前記副成分の原料と、を用いて成形体を得る工程と、
前記成形体を所定の焼成条件により焼成して、前記セラミック焼結体を得る工程と、
上記のいずれかに記載の評価方法により、前記セラミック焼結体の焼結状態を評価する工程と、を有し、
前記第1焼結評価工程において正規分布に従うと判定され、かつ前記第2焼結評価工程において等分散であると判定されるように、前記焼成条件を決定する。
【0028】
最適な焼結状態が分からない原料を用いてセラミック焼結体を製造する場合やスケールアップする場合などは、焼成条件の設定が困難であるが、上記の評価方法を適用することにより、簡便かつ正確に適切な焼成条件を設定することができる。
【0029】
本発明に係る方法により製造される電子部品としては、主成分および副成分を含むセラミック焼結体を有していれば特に制限されず、たとえば、セラミックコンデンサ、セラミックインダクタ、フェライト、LTCC、バリスタなどが例示されるが、好ましくは、セラミックコンデンサである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、セラミック焼結体の焼結状態が適切であるか否かを簡便かつ正確に評価することができる。また、焼結状態が知られていない原料を用いる場合やスケールアップする場合であっても、その焼結状態を簡便かつ正確に評価することができる。特に、統計的手法を用いて、焼結状態を評価することで上記の効果をより高めることができる。
【0031】
さらに、上記の方法を電子部品の製造方法に適用することで、製品の特性のバラツキを低減し、歩留まりも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0034】
積層セラミックコンデンサ
まず、本発明に係る方法により評価されるセラミック焼結体を誘電体層として有する積層セラミックコンデンサの全体構成について説明する。
【0035】
図1に示すように、本実施形態において、積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素体10を有する。このコンデンサ素体10の両側端部には、コンデンサ素体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4,4が形成してある。内部電極層3は、各側端面がコンデンサ素体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4,4は、コンデンサ素体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
【0036】
コンデンサ素体10の外形や寸法には特に制限はなく、用途に応じて適宜設定することができる。通常、外形はほぼ直方体形状とし、寸法は通常、縦(0.4〜5.6mm)×横(0.2〜5.0mm)×高さ(0.2〜1.9mm)程度とすることができる。
【0037】
誘電体層2の材質は、主成分と1種類以上の副成分とが含有されたセラミック焼結体であれば特に限定されない。本実施形態では、セラミック焼結体は、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムまたはこれらの混合物などの主成分と、希土類元素酸化物などの副成分と、を有する誘電体材料で構成される。また、各誘電体層2の厚みは、特に限定されない。
【0038】
なお、本実施形態において、「主成分」とは、セラミック焼結体全体に対して、70モル%以上、好ましくは90モル%以上含有されている成分をいう。
【0039】
内部電極層3を構成する導電材としては、特に制限されないが、たとえば、ニッケルまたはニッケル合金、銅または銅合金、銀、パラジウムまたは銀パラジウム合金であることが好ましい。
【0040】
外部電極4の材質も特に限定されないが、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。外部電極4の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。
【0041】
次に、本発明に係る方法により製造され、上記のセラミック焼結体を誘電体層として有する積層セラミックコンデンサの製造方法の一例を説明する。
【0042】
まず、誘電体層2に含有されることとなる誘電体原料粉末(主成分原料および副成分原料)を準備する。
【0043】
主成分原料および副成分原料としては、上記のセラミック焼結体に含有される主成分および副成分の酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができる。さらに、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、たとえば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。
【0044】
まず、主成分原料の粒子径を測定し、その対数の分布を求める。通常、原料粉末の粒子径の対数は正規分布に従っているため、本実施形態においても、主成分原料の粒子径の対数は正規分布に従う。すなわち、主成分原料の粒子径の対数をとった場合、その分布が正規分布を示す。また、その平均粒子径は特に制限されないが、通常、0.1〜10μm程度である。
【0045】
また、副成分原料についても、通常、その粒子径の対数は正規分布に従うが、本実施形態では、その正規分布は、主成分原料の粒子径の正規分布と異なっている。主成分原料の粒子径の正規分布と、副成分原料の粒子径の正規分布とが一致する場合、焼結が不十分であっても、その焼結体の結晶粒子径の対数は正規分布に従うと考えられるからである。
【0046】
なお、粉体の「粒子径」の定義はいくつか考えられる。たとえば、粉体粒子を測定して得られた径(短径、長径等)から算出された「粒子径」、粉体粒子の大きさ(投影面積、体積等)を、その大きさを有する特定形状(円、球等)の径として換算した「粒子径」(相当径)、粒子の形状と物理法則との関係から導き出される「粒子径」(有効径)が挙げられる。
【0047】
主成分原料粉末および副成分原料粉末の粒子径としては、上記のようにして算出された粒子径であれば特に制限されないが、原料粉末の粒子径を測定する手段として一般的に用いられているレーザー回折散乱法により算出された粒子径(有効径)であることが好ましい。
【0048】
次に、上記で準備した主成分原料および副成分原料を秤量して混合し、誘電体原料粉末を得る。混合する方法としては特に制限されず、ミキサー等を用いて乾式で行ってもよいし、誘電体原料粉末に水や有機溶媒などを添加し、ボールミル等を用いて湿式で行ってもよい。
【0049】
次に、誘電体原料粉末を所定形状に成形し、成形体を得る。成形する方法としては特に制限されず、たとえば、乾式成形、湿式成形、押出成形などが挙げられる。また、成形体の形状も特に限定されず、用途に応じて適宜決定すればよい。本実施形態では、誘電体原料粉末を塗料化し、グリーンシートを形成して積層セラミックコンデンサを製造するため、シート法あるいは印刷法を用いる。
【0050】
まず、一面上に内部電極層3を形成することとなる所定パターンの内部電極ペースト膜が形成されたグリーンシートと、内部電極層3を持たないグリーンシートとを、用意する。
【0051】
グリーンシートは、上記の誘電体原料粉末を塗料化したペーストを用いて形成される。そして、上述した導電材を含む内部電極ペーストを印刷法等の手段によって、グリーンシートの上に塗布することで、所定パターンの内部電極ペースト膜が形成されたグリーンシートが得られる。
【0052】
次に、これらのグリーンシートを重ね合せ、圧力を加えて圧着し、乾燥工程等の必要な工程を経た後、切断し、グリーン状態のコンデンサ素体10を取出す。切断は、ダイシングソー等を用いて行なうことができる。
【0053】
次に、取出されたグリーン状態のコンデンサ素体10を所定条件で焼成した後、コンデンサ素体10(主成分原料および1種類以上の副成分原料を用いて製造されるセラミック焼結体)を得る。
【0054】
得られたセラミック焼結体を切断し、公知の方法(たとえばSEM)により、セラミック焼結体の切断面を観察し、結晶粒子の粒子径(結晶粒子径)を測定する。
【0055】
測定する方法としては特に制限されず、切断面の写真から、目視で測定してもよいし、切断面の画像を処理し、処理後の画像から直接あるいは換算値として結晶粒子径を算出してもよい。
【0056】
また、結晶粒子径を測定する結晶粒子の数は、粒度分布を算出するのに十分な数であれば、特に制限されないが、300以上であることが好ましい。
【0057】
なお、結晶粒子の粒子径(結晶粒子径)の定義としては、上述した粉体の粒子径の定義と同様に考えることができる。本実施形態では、算出された結晶粒子の投影面積と同じ投影面積を有する円の直径を結晶粒子径(円相当径)とすることが好ましい。また、本実施形態では、原料の粒子径を有効径、結晶粒子径を相当径に換算(算出)しているが、換算(算出)方法の違いが、本発明に係る評価方法に影響を与えることはない。本発明に係る評価方法においては、粒度分布が重要であって、粒子径の絶対値は重要ではないからである。
【0058】
本発明に係るセラミック焼結体の評価方法は、上記で得られた主成分原料の粒子径および結晶粒子径の分布状態(粒度分布)を利用して行う。以下、本発明に係るセラミック焼結体の評価方法について詳細に説明する。
【0059】
第1焼結評価工程
本実施形態では、まず、結晶粒子を含む面のSEM写真を撮影し、その画像を処理して各結晶粒子の面積を算出する。次に、算出された面積を円相当径に換算し、さらにその値を対数に変換することで、結晶粒子径の対数の粒度分布を得る。そして、この粒度分布が、正規分布に従うか否かを判定する。正規分布に従う場合には、セラミック焼結体が焼結不足ではないと判断する。
【0060】
結晶粒子径の対数の粒度分布が正規分布に従うか否かの判定は、結晶粒子径を対数に変換した値を正規確率紙にプロットし、グラフの形状を目視により判断することで行ってもよいが、統計的手法(仮説検定)を用いて判定することがより好ましい。具体的な仮説検定としては、Shapiro−Wilk検定、1標本コルモゴロフ・スミルノフ検定、ピアソンのχ検定などが挙げられるが、本実施形態では、Shapiro−Wilk検定を用いて判定する。
【0061】
Shapiro−Wilk検定では、まず、「得られた結晶粒子径の対数の粒度分布が正規分布に従う」と仮定する(帰無仮説)。そして、この帰無仮説が正しいことを前提とした検定統計量を計算し、この検定統計量が棄却域(帰無仮説が棄却される範囲)内に入る確率を有意水準とする。本実施形態では、有意水準は0.05(5%)とする。
【0062】
そして、Shapiro−Wilk検定において、検定統計量のp値を算出し、これが、上記の有意水準よりも大きければ、上記の帰無仮説を棄却できない、すなわち、「得られた結晶粒子径の対数の粒度分布が正規分布に従う」ことを否定することはできない。この検定結果をもとにして、本明細書では正規分布に従っているとみなす。
【0063】
第1焼結評価工程において他の検定を用いる場合も、Shapiro−Wilk検定と同様にすればよい。たとえば、1標本コルモゴロフ・スミルノフ検定を用いる場合、有意水準を5%とする。また、ピアソンのχ検定を用いる場合には、有意水準を5%とする。
【0064】
このような検定方法を用いることで、得られた結晶粒子径の対数の粒度分布が正規分布に従うか否か、すなわち、焼結体の焼結状態を統計学的に評価することができ、偏りのない信頼性の高い評価が得られる。
【0065】
第1焼結評価工程において、焼結不足であると判断されたセラミック焼結体は再度焼成を行い、焼結しているか否かを第1焼結評価工程において評価し、適切に焼結していると判定されるまで繰り返し焼成すればよい。
【0066】
第2焼結評価工程
第1焼結評価工程において、焼結不足ではないと判断されたセラミック焼結体を、第2焼結評価工程において、過剰焼結であるか否かを判定する。第1焼結評価工程では、焼結しているか否かを判定できるが、適切な焼結状態と過剰焼結状態とを区別することはできない。過剰であっても焼結していることには変わりないため、その結晶粒子径は対数正規分布に従うからである。
【0067】
第2焼結評価工程では、結晶粒子径を対数に変換し、変換した値の平均値で規格化した値の分散と、主成分原料の粒子径を対数に変換し、変換した値を、変換した値の平均値で規格化した値の分散と、を比較する。この比較において、両者の分散が同程度であれば、適切な焼結状態であると判定する。なお、過剰焼結している場合には、異常粒成長等の影響により、結晶粒子径のバラツキが大きくなるため、両者の分散が異なる。
【0068】
両者の分散が同程度であるか否かの判定は、結晶粒子径を規格化した値および主成分原料の粒子径を規格化した値を正規確率紙にプロットし、分布の形状を比較して目視により判断することで行ってもよいが、統計的手法(仮説検定)を用いて判定することがより好ましい。具体的な仮説検定としては、F検定が挙げられる。
【0069】
まず、第1焼結評価工程において算出された、結晶粒子径の対数に変換した値を、変換した値の平均値で除することにより規格化する。また、主成分原料の粒子径を対数に変換した値を、変換した値の平均値で除することにより規格化する。これらの規格化した値をもとにF検定を適用する。F検定では、まず、「結晶粒子径の対数を規格化した値の分散と、主成分原料の粒子径の対数を規格化した値の分散と、の間に差がない(等分散である)」と仮定する(帰無仮説)。
【0070】
次に、F検定において、規格化された結晶粒子径の対数と、規格化された主成分原料の粒子径の対数と、を用いてp値を算出し、有意水準(0.05)よりも大きければ、上記の帰無仮説を棄却できない、すなわち、「結晶粒子径の対数を規格化した値の分散と、主成分原料の粒子径の対数を規格化した値の分散とが等分散である」ことを否定することはできない。この検定結果をもとにして、本明細書では正規分布に従っているとみなす。
【0071】
したがって、F検定を用いることにより、セラミック焼結体が過剰焼結しているか否かを判定することができる。過剰焼結していると判断されたセラミック焼結体は、不良品としてロットアウトすればよい。
【0072】
上記のように、第1焼結評価工程および第2焼結評価工程を経ることで、適切な焼結状態であるセラミック焼結体のみを簡便かつ正確に選別することができる。その結果、最適な焼成条件を設定することが可能となり、製品特性のバラツキを低減し、かつ歩留まりを向上させることができる。しかも、既存の焼結性に関する情報が必要ないため、新規材料の開発においても、最適な焼成条件を速やかかつ正確に選定することができる。
【0073】
そして、適切な焼結状態であると判定されたセラミック焼結体を有するコンデンサ素体の端面に外部電極4を形成することで、図1に示す積層セラミックコンデンサ1が得られる。そして、必要に応じ、外部電極4表面に、めっき等により被覆層を形成する。
【0074】
このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
【0076】
たとえば、上述した実施形態では、積層セラミックコンデンサの誘電体層としてのセラミック焼結体についての評価方法を例示したが、単板コンデンサの誘電体層であってもよい。また、主成分原料と1種類以上の副成分原料とから製造されるセラミック焼結体であれば、誘電体層に限定されず、サーミスタ層、抵抗体、バリスタ等であってもよい。
【0077】
さらには、セラミック焼結体の主成分および副成分として、窒化物、炭化物、ホウ化物等を用いてもよい。
【0078】
本発明に係る評価方法は、主成分原料の粒子径と、焼結体の結晶粒子径と、の関係のみを用いて評価しているため、セラミック焼結体が有する特性・材質の違いが、本発明に係る評価方法に影響を与えないからである。
【実施例】
【0079】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0080】
実施例1
まず、主成分原料としてチタン酸バリウムと、副成分原料としてMgO、Y、MnOおよびSiOを準備した。次いで、主成分原料および副成分原料をボールミルで混合し、誘電体原料粉末を得た。主成分原料の含有量は、誘電体原料粉末全体の94モル%を占めていた。なお、主成分原料の粒子径の対数の分布は正規分布を満足していた。
【0081】
次いで、得られた誘電体原料粉末:100重量部と、ポリビニルブチラール樹脂:10重量部と、可塑剤としてのジブチルフタレート(DOP):5重量部と、溶媒としてのアルコール:100重量部とをボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを得た。
【0082】
また、上記とは別に、Ni粒子:44.6重量部と、テルピネオール:52重量部と、エチルセルロース:3重量部と、ベンゾトリアゾール:0.4重量部とを、3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極層用ペーストを作製した。
【0083】
そして、上記にて作製した誘電体層用ペーストを用いて、PETフィルム上に厚み約5.0μmでグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを用いて、内部電極層を所定パターンで印刷した。その後、PETフィルムからシートを剥離し、内部電極層を有するグリーンシートを作製し、これを150層まで積層し、加圧接着することによりグリーン積層体とし、このグリーン積層体を長さ約2.0mm、幅約1.2mm、奥行き約1.2mmに切断することにより、グリーンチップを得た。
【0084】
次いで、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理、焼成およびアニールを行い、セラミック焼結体を誘電体層として有する積層セラミック焼成体を得た。
【0085】
焼成条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1250℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿したN+H混合ガス(酸素分圧:10−12MPa)とした。
【0086】
次いで、得られた積層セラミック焼成体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極としてIn−Gaを塗布し、図1に示す積層セラミックコンデンサの試料を得た。
【0087】
得られたコンデンサ試料について、下記に示す方法により焼結状態を評価した。
【0088】
セラミック焼結体の焼結状態の評価
まず、得られたコンデンサ試料を積層方向に垂直な面で切断した。その切断面の誘電体層(セラミック焼結体)部分をフッ酸でエッチング処理し、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、SEM写真を撮影した。
【0089】
このSEM写真をソフトウェアにより画像処理を行い、結晶粒子の境界を判別し、各結晶粒子の面積を算出した。そして、算出された結晶粒子の面積を円相当径に換算し、これを結晶粒子径とした。なお、結晶粒子径の算出は、300個の結晶粒子について行った。
【0090】
得られた結晶粒子径を対数に変換し、帰無仮説を「結晶粒子径の対数の分布が正規分布に従う」とし、有意水準を0.05(5%)とするShapiro−Wilk検定を行った(第1焼結評価工程)。その結果、p値は6%となり、帰無仮説を棄却できなかった。すなわち、実施例1のセラミック焼結体は、焼結していることが確認された。
【0091】
次に、帰無仮説を「主成分原料の粒子径の対数を規格化した値の分散と、結晶粒子径の対数を規格化した値の分散と、が等分散である」とし、有意水準を0.05(5%)とするF検定を行った(第2焼結評価工程)。その結果、p値は6%となり、帰無仮説を棄却できなかった。すなわち、実施例1のセラミック焼結体は、過剰に焼結していないことが確認された。
【0092】
以上より、実施例1のコンデンサ試料のセラミック焼結体は、焼結が不十分でもなく、過剰でもなく、適切な焼結状態であることが確認された。
【0093】
さらに、得られたコンデンサ試料について、下記に示す方法により、静電容量、CR積および構造欠陥を下記に示す方法により測定した。
【0094】
静電容量
静電容量C(単位はμF)は、コンデンサ試料に対し、基準温度25℃でデジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)0.5Vrmsの条件下で測定した。また、本実施例では10個のコンデンサ試料について行い、その平均値を静電容量とした。静電容量Cは、好ましくは1.0μF以上を良好とした。結果を表1に示す。
【0095】
CR積
コンデンサ試料に対し、絶縁抵抗計(アドバンテスト社製R8340A)を用いて、20℃において5V/μmの直流電圧を、コンデンサ試料に1分間印加した後の絶縁抵抗IRを測定した。CR積は、上記にて測定した静電容量C(単位はμF)と、絶縁抵抗IR(単位はMΩ)との積を求めることにより測定した。本実施例では、10個の試料について測定を行い、その平均を求めることにより評価した。CR積は1000MΩ以上を良好とした。結果を表1に示す。
【0096】
構造欠陥
コンデンサ試料を切断し、その断面を観察して、構造欠陥の有無を評価した。これを100個のコンデンサ試料に対して行った。本実施例では、クラックが観察されなかった場合を良好とした。結果を表1に示す。
【0097】
比較例1
焼成条件を、保持温度:1200℃、保持時間:2時間とした以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ試料を作製し、焼結状態の評価を行った。
【0098】
第1焼結評価工程において、比較例1の試料のp値は4%となり、帰無仮説が棄却された。すなわち、比較例1の試料は、焼結不足であることが確認された。さらに、この試料について、上記の特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0099】
比較例2
焼成条件を、保持温度:1300℃、保持時間:2時間とした以外は、実施例1と同様にして、コンデンサ試料を作製し、焼結状態の評価を行った。
【0100】
第1焼結評価工程において、比較例2の試料のp値は6%となり、帰無仮説が棄却できず、比較例2の試料は焼結していることが確認された。次に、第2焼結評価工程において、比較例2の試料のp値は4%となり、帰無仮説が棄却された。すなわち、比較例2の試料は、過剰に焼結していることが確認された。さらに、この試料について、上記の特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0101】
【表1】

【0102】
表1より、第1焼結評価工程および第2焼結評価工程において、焼結状態が適切であると判定された実施例1の試料は、静電容量、CR積が良好であり、構造欠陥も認められなかった。
【0103】
これに対し、表1から明らかなように、第1焼結評価工程において、焼結が不十分であると判定された比較例1の試料は、静電容量およびCR積が劣っていることが確認できる。また、表1から明らかなように、第2焼結評価工程において、焼結が過剰であると判定された比較例2の試料は、構造欠陥が認められることが確認できる。
【0104】
以上より、本発明に係る評価方法によれば、セラミック焼結体の焼結状態を簡便かつ正確に評価できることが確認できた。また、この評価方法を、電子部品の製造方法に適用することで、製品の特性のバラツキを低減し、歩留まりを向上できることが確認された。
【符号の説明】
【0105】
1… 積層セラミックコンデンサ
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極
10… コンデンサ素体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分原料および1種類以上の副成分原料を用いて製造されるセラミック焼結体の評価方法であって、
前記主成分原料の粒子径の対数が正規分布に従い、
前記セラミック焼結体に含まれる結晶粒子の結晶粒子径を算出する工程と、
前記結晶粒子径の対数が正規分布に従うか否かを判定することにより、前記セラミック焼結体の焼結性を評価する第1焼結評価工程と、
前記第1焼結評価工程において結晶粒子径の対数が正規分布に従うと判定された場合、該結晶粒子径を対数に変換し、変換した値を、変換した値の平均値で規格化した値の分散と、前記主成分原料の粒子径を対数に変換し、変換した値を、変換した値の平均値で規格化した値の分散と、が等分散であるか否かを判定することにより、前記セラミック焼結体の焼結性を評価する第2焼結評価工程と、を有することを特徴とするセラミック焼結体の評価方法。
【請求項2】
前記第1焼結評価工程および/または前記第2焼結評価工程において、統計的手法を用いて前記セラミック焼結体の焼結性を評価する請求項1に記載のセラミック焼結体の評価方法。
【請求項3】
前記結晶粒子径を算出する工程において、撮像装置により撮影した結晶粒子の画像の信号を処理して、結晶粒子径を算出する請求項1または2に記載のセラミック焼結体の評価方法。
【請求項4】
主成分および副成分を有するセラミック焼結体から構成されるセラミック層を有する電子部品の製造方法であって、
粒子径の対数が正規分布に従う前記主成分の原料と、1種類以上の前記副成分の原料と、を用いて成形体を得る工程と、
前記成形体を所定の焼成条件により焼成して、前記セラミック焼結体を得る工程と、
請求項1〜3のいずれかに記載の評価方法により、前記セラミック焼結体の焼結状態を評価する工程と、を有し、
さらに、前記第1焼結評価工程において正規分布に従わないと判定されたセラミック焼結体を、正規分布に従うと判定されるまで焼成を行う工程と、を有する電子部品の製造方法。
【請求項5】
主成分および副成分を有するセラミック焼結体から構成されるセラミック層を有する電子部品の製造方法であって、
粒子径の対数が正規分布に従う前記主成分の原料と、1種類以上の前記副成分の原料と、を用いて成形体を得る工程と、
前記成形体を所定の焼成条件により焼成して、前記セラミック焼結体を得る工程と、
請求項1〜3のいずれかに記載の評価方法により、前記セラミック焼結体の焼結状態を評価する工程と、を有し、
前記第2焼結評価工程において等分散ではないと判定されたセラミック焼結体を不良品とする電子部品の製造方法。
【請求項6】
主成分および副成分を有するセラミック焼結体から構成されるセラミック層を有する電子部品の製造方法であって、
粒子径の対数が正規分布に従う前記主成分の原料と、1種類以上の前記副成分の原料と、を用いて成形体を得る工程と、
前記成形体を所定の焼成条件により焼成して、前記セラミック焼結体を得る工程と、
請求項1〜3のいずれかに記載の評価方法により、前記セラミック焼結体の焼結状態を評価する工程と、を有し、
前記第1焼結評価工程において正規分布に従うと判定され、かつ前記第2焼結評価工程において等分散であると判定されるように、前記焼成条件を決定する電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記電子部品がセラミックコンデンサである請求項4〜6のいずれかに記載の電子部品の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−238976(P2010−238976A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86377(P2009−86377)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】