セルフドリルアンカー
【課題】乾式壁単体、あるいは乾式壁及び重量物装着可能な構造部材に取付け可能な、乾式壁に用いるセルフドリルアンカー。
【解決手段】構造部材に取付けられた脆い材料に用いるセルフドリルアンカーであり、軸を有する細長いボディと、細長い締結具を受入れる軸方向の穴と、トルク伝達面を有する鍔状端部と、基部と、中間部と、先端部と、通常は鍔状端部の反対側にあるドリル先端とを備え、基部は、谷底とねじ山径とねじ山高さとを有する雄ねじを有し、中間部は、谷底と基部のねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径と基部のねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さとを有する雄ねじを有し、先端部は、ドリル先端に向かってテーパーになった谷底と基部のねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径と基部のねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さとを有する雄ねじを有することを特徴とする、セルフドリルアンカー。
【解決手段】構造部材に取付けられた脆い材料に用いるセルフドリルアンカーであり、軸を有する細長いボディと、細長い締結具を受入れる軸方向の穴と、トルク伝達面を有する鍔状端部と、基部と、中間部と、先端部と、通常は鍔状端部の反対側にあるドリル先端とを備え、基部は、谷底とねじ山径とねじ山高さとを有する雄ねじを有し、中間部は、谷底と基部のねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径と基部のねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さとを有する雄ねじを有し、先端部は、ドリル先端に向かってテーパーになった谷底と基部のねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径と基部のねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さとを有する雄ねじを有することを特徴とする、セルフドリルアンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脆い材料に用いるアンカーについてのものであり、特に、構造部材に取付けられる乾式工法壁(以下「乾式壁」と言う)に用いるセルフドリルアンカーに関する。
【背景技術】
【0002】
乾式壁は、脆い材料であるため、乾式壁に物品を取付けるのは難しい。従来、少なくとも3つの方法が用いられてきた。軽量物品として、小形プラスチック拡張アンカーが用いられてきた。通常、拡張アンカーの取付けには、3つの工程を要していた。すなわち、まず、乾式壁に穴を開け、次に、開いた穴にアンカーインサートをねじ込み、最後に、ねじ式締結具をアンカーへ挿入し、アンカーを拡げて乾式壁と係合させる。但し、拡張アンカーは、軽量物を保持できるにすぎない。
【0003】
重量物の用途には、トグルボルトが用いられてきた。トグルボルトは効果的であるが、相互に動く部品が含まれるため、一般に高価でもある。また、トグルボルトは、取付けが難しいことでも知られている。
【0004】
また、重量物を取付けるためのセルフドリルアンカーも、用いられている。通常、このようなセルフドリルアンカーは、そのアンカー自体で乾式壁に穴を開けることにより、取付けられる。また、アンカーは、乾式壁において引抜き力を高めるように、ねじ山高さが高いねじを備えている。セルフドリルアンカーの例として、ITW Buildexにより製造されてE-Z ANCORの商標で販売されているアンカーがあり、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に開示されている。なお、各特許は、本願の譲受人に対して譲渡されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4601625号
【特許文献2】米国特許第5190425号
【特許文献3】米国特許第5558479号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
セルフドリルアンカーは、乾式壁に単体で取付けられた場合に、重量物を保持するのに効果的であることが証明されている。しかし、ほとんどの場合、乾式壁は、ユーザーが眼にすることはない木製構造部材や柱に対して取付けられ、通常、このような構造部材の位置は、ユーザーに認識されたり点検されたりすることはない。標準セルフドリルアンカーのユーザーが、乾式壁に構造部材の位置でアンカーを取付けようとすると、そのアンカーは、構造部材内へねじ込まれてゆくことがなく、その場で回転して、アンカーの高いねじ山が潰れ、アンカーに不具合が生じ、乾式壁には見苦しい傷ができてしまう。例え、アンカーが少し構造部材内へねじ込まれたとしても、構造部材と強く係合し、ねじりにより構造部材を破断してしまう。
【0007】
必要とされているのは、乾式壁単体、あるいは乾式壁及び重量物装着可能な構造部材に取付け可能な、乾式壁に用いるセルフドリルアンカーである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
構造部材に取付けられた脆い材料に用いる新規のセルフドリルアンカーが提供されており、セルフドリルアンカーは、軸を有する細長いボディと、細長い締結具を受入れる軸方向の穴と、トルク伝達面を有する鍔状端部と、基部と、中間部と、先端部と、通常は前記鍔状端部の反対側にあるドリル先端とを備え、前記基部は、谷底と、ねじ山径と、ねじ山高さを有する雄ねじを有し、前記中間部は、谷底と、前記基部の前記ねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径と、前記基部の前記ねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さとを有する雄ねじを有し、前記先端部は、前記ドリル先端に向かってテーパーになった谷底と、前記基部の前記ねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径と、前記基部の前記ねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さとを有する雄ねじを有する。
【0009】
一実施例では、セルフドリルアンカーは、軸を有する細長いボディと、スプラインを有し細長いねじ式締結具を受入れる軸方向の穴と、トルク伝達面を有する鍔状端部と、基部と、中間部と、先端部と、通常は前記鍔状端部の反対側にあるドリル先端とを備え、中間部は先端部に向かってテーパーであり、先端部はドリル先端に向かってテーパーであり、ボディは、基部、中間部、並びに先端部に設置された第1雄ねじ及び先端部に設置された第2雄ねじを有し、第2雄ねじは、第1雄ねじのねじ山の間にあり、第1雄ねじ及び第2雄ねじは各々、ドリル先端に最も近いねじ山とリードとを有し、第1雄ねじは、基部にて、脆い材料を把持するためのねじ山径と高いねじ山高さを有し、第1雄ねじは、中間部にて、基部でのねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び、基部における高いねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さを有し、第1雄ねじは、先端部にて、基部でのねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び、基部における高いねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さを有し、第1雄ねじは、基部での高いねじ山高さと中間部でのねじ山高さとの間に移行領域を有し、第2雄ねじは、第1雄ねじのベース部でのねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び、第1雄ねじのベース部での高いねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さを有する。
【0010】
別の実施形態では、セルフドリルアンカーは、軸を有する細長いボディと、先端を有する細長いねじ式締結具を受入れるスプラインを有する軸方向の穴と、トルク伝達面を有する鍔状端部と、基部と、中間部と、先端部と、通常は前記鍔状端部の反対側にある元々の位置へ伸びたドリル先端とを備え、中間部は先端部に向かってテーパーが付いており、先端部はドリル先端に向かってテーパーが付いており、ボディは、基部、中間部、及び先端部に設置された第1雄ねじ、並びに、先端部に設置された第2雄ねじを有し、第2雄ねじは、第1雄ねじのねじ山の間にあり、第1雄ねじ及び第2雄ねじの各々は、ドリル先端に最も近いねじ山とリードとを有し、第1雄ねじは、基部にて、ねじ山径と高いねじ山高さを有し、第1雄ねじは、中間部にて、基部でのねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び、基部における高いねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さを有し、第1雄ねじは、先端部にて、基部でのねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び、基部における高いねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さを有し、第1雄ねじは、基部での高いねじ山高さと中間部でのねじ山高さとの間に移行領域を有し、第2雄ねじは、第1雄ねじのベース部でのねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び、第1雄ねじのベース部での高いねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さを有し、細長い締結具の先端がドリル先端の元々の位置を越えて伸びることができるようにする手段を有する。
【0011】
また、アンカー及び細長い締結具を、構造部材に設けられた脆い材料に取付ける方法が提供されており、この方法は、軸と、細長い締結具を受入れる軸方向の穴と、トルク伝達面を有する鍔状端部と、基部と、中間部と、先端部と、通常は前記鍔状端部の反対側にあるドリル先端とを備え、前記基部は、谷底と、ねじ山径と、ねじ山高さを有する雄ねじを有し、前記中間部は、谷底と、前記基部の前記ねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径と、前記基部の前記ねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さとを有する雄ねじを有し、前記先端部は、前記ドリル先端に向かってテーパーになった谷底と、前記基部の前記ねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径と、前記基部の前記ねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さとを有する雄ねじを有する細長いアンカーを提供するステップと、先端部が脆い材料を貫通して構造部材へねじ込まれて基部の雄ねじが脆い材料と係合するように、脆い材料へアンカーをねじ込むステップと、細長い締結具を軸方向の穴へ挿入するステップとを含む。
【0012】
また、セルフドリルアンカーを製造する方法が提供されており、この方法は、鍔状端部のあるキャビティと、基部と、中間部と、先端部と、通常は鍔状端部と反対側にある第2端部と、鍔状端部にてキャビティ内へ伸びた細長いコアとを有する型を、提供するステップを含み、基部は、谷底、ねじ山径、及びねじ山高さがある雌ねじを有し、中間部は、谷底、基部のねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び基部のねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さがある雌ねじを有し、先端部は、第2端部に向かってテーパーとなった谷底、基部のねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び基部のねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さがある雌ねじを有し、溶融した材料をキャビティへ供給するステップと、溶融した材料を固化させてアンカーを形成するステップと、アンカーを型から抜くステップとを含む。
これらの特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、添付の図面を参照しての以下の本発明に係る説明により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るセルフドリルアンカーの斜視図である。
【図2】本発明に係るセルフドリルアンカーの側面図であり、先端破断型の実施形態を示す。
【図3】セルフドリルアンカーの先端破断型の実施形態の断面図である。
【図4】脆い材料及び構造部材へ取付けたセルフドリルアンカーの先端破断型の実施形態の断面図である。
【図5】脆い材料内にのみ取付けられたセルフドリルアンカーの先端破断型の実施形態の斜視図であり、脆い材料の裏側からみた図である。
【図6】別案のドリル先端を有するセルフドリルアンカーの先端破断型の実施形態の側面図である。
【図7】取付けたセルフドリルアンカーの先端破断型の実施形態の側面図であり、セルフドリルアンカーを貫通して取付用締結具が挿入されている。
【図8】セルフドリルアンカーの先端破断型の実施形態の断面図である。
【図9】セルフドリルアンカーの先端分割型の実施形態の側面図である。
【図10】セルフドリルアンカーの先端分割型の実施形態の断面図であり、取付用締結具が挿入されている。
【図11】セルフドリルアンカーの缶切型の実施形態の側面図である。
【図12】セルフドリルアンカーの缶切型の実施形態の断面図である。
【図13】セルフドリルアンカーの缶切型の実施形態の断面図であり、セルフドリルアンカーの中へ取付用締結具が挿入されている。
【図14】セルフドリルアンカーの先端迂回型の実施形態の側面図である。
【図15】セルフドリルアンカーの先端迂回型の実施形態の断面図である。
【図16】別案のドリル先端を有するセルフドリルアンカーの先端迂回型の実施形態の側面図である。
【図17】セルフドリルアンカーの先端迂回型の実施形態の側面図であり、取付用締結具がアンカーを貫通し始めている。
【図18】セルフドリルアンカーの先端迂回型の実施形態の側面図であり、取付用締結具がドリル先端を迂回している。
【図19】セルフドリルアンカーの先端開放型の実施形態の側面図である。
【図20】セルフドリルアンカーの造形用型の開放状態の断面図である。
【図21】セルフドリルアンカーを造形するために閉鎖した型の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1から図4に、新規なセルフドリルアンカー10を示す。ここで、アンカー10は、図1から図4及び図7に示す破断用先端を含むいくつかの代表的な実施形態を用いて、その全体の概観が示されている。
【0015】
アンカー10は、構造部材2のような部材に取付けられた乾式壁1のような脆い材料に用いられるものである。新規のアンカー10は、軸6を持つ細長いボディ12を有し、軸方向の穴8が、細長い取付用締結具4を受入れるようになっており(図7参照)、鍔状端部14内にトルク伝達面15があり、鍔状端部14に最も近い基部18、中間部20、先端部22及びドリル先端16は、通常は鍔状端部14の反対側にある。なお、基部18は、乾式壁把持ねじ19のような雄ねじを有しており、谷底26、ねじ山27(直径DC)があって、ねじ山高さDHとなっている。中間部20は、構造部材把持ねじ21のような雄ねじを有しており、谷底28、乾式壁把持ねじのねじ山径DCよりも実質的に小さな直径MCのねじ山29があって、ねじ山高さMHは、乾式壁把持ねじのねじ山高さDHよりも実質的に小さくなっている。そして、先端部22は、ドリルねじ23のような雄ねじを有しており、乾式壁把持ねじのねじ山径DCよりも実質的に小さな直径TCのねじ山31があって、ねじ山高さTHは、乾式壁把持ねじのねじ山高さDHよりも実質的に小さくなっている。
【0016】
アンカー10は、図7に示すように、物品3を乾式壁1へ取付けるために、乾式壁へねじ込まれるものである。アンカー10が設置されると、取付用締結具4が、物品3を通過してアンカーの穴8内へ挿入される。アンカー10は、取付用締結具4単独の場合よりも、強く係合して引抜き強度が大きくなる。アンカー10は、乾式壁1にのみ取付けられて、従来のセルフドリルアンカーと同様に用いられてもよい。但し、アンカー10には、木製補強柱のような構造部材2に食込み係合可能な特徴があり、乾式壁1及び構造部材2にアンカー10をねじ込むときの大きな力に耐えられるように強度を増加している。
【0017】
脆い材料は、脆い材料が耐え得る負荷を増すために、物品3を脆い材料に取付けることを要求している建設界において使用されるいくつかの脆い材料の1つであっても良い。脆い材料の一例として、United States GypsumがSHEETROCKなる商標で販売している石膏ボードのような、石膏ベースの乾式壁1がある。通常、乾式壁1は、厚さが12.7mm(1/2インチ)又は15.9mm(5/8インチ)であるが、9.53mm(3/8インチ)というように別の厚さであってもよい。
【0018】
通常、乾式壁1のような脆い材料は、木製構造部材、合板のような構造部材に対して取付けられるものであるが、多層乾式壁のような別の脆い材料に取付けられることもある。その構造部材は、木製構造部材(例えば、406mm(16インチ)ごとに均等配置された2×4柱のような)又は金属製構造部材(鋼製構造柱)のような構造部材2であってもよい。構造部材は、破断しにくいため、実質的に、乾式壁1よりも引抜きに対して抵抗力がある。アンカー10は、別の多層乾式壁(すなわち別の脆い材料)に対して取付けられた乾式壁1に用いられてもよいが、本発明では、木製構造柱のような構造部材2とともに使用することについて説明する。
【0019】
図7に示すように、取付用締結具4は、取付けねじのようなねじ締結具であることが望ましい。なお、取付けねじは、細長い軸34を有し、一端には頭部35があり、他端には先端36がある。取付用締結具4は、アンカー10内部の穴8と係合するねじ5を備えている。取付用締結具4のねじ5は、UNC(ユニファイ並目)又はUNF(ユニファイ細目)のねじのような、規格ねじとすることができるが、特殊なねじとしても良い。取付用締結具4は、規格の#6、#7又は#8UNCねじであってもよく、頭部35にはフィリップス型式の凹部があり、長手方向の全長が約12.7mm(1/2インチ)から約50.8mm(2インチ)以上であり、20.3mm(1+1/4インチ)であることが望ましい。取付用締結具7は、ねじ密度が25.4mm(1インチ)当り約8条から約18条であってもよく、25.4mm(1インチ)当り15条であることが望ましい。
【0020】
取付用締結具4は、物品3の厚さATに合わせて様々な長さを持つことができる。アンカー10は、図7に示すように物品3が比較的薄い場合や比較的厚い場合に、長い取付用締結具4がアンカー10とともに使用できるように設計されていることが望ましい。物品3が比較的厚い場合は、アンカー10との係合長さをより長くする必要がある。アンカー10は、後述のように、取付用締結具の先端36がドリル先端16の元々の位置を越えて伸びることが可能な形状になっているので、当アンカー10よりも長い取付用締結具4を許容する。アンカー10は、取付用締結具4の先端がドリル先端16よりも伸びることを可能にしているので、取付用締結具4よりも短くともよい。アンカー10は、構造部材2内の埋め込みの深さに制限があるので、短いアンカー10が望ましい。これにより、締付けトルクが減少し、製造コストが安くなるので、取付けの際に取扱が容易になるとともに安定に保ちやすくなり、ねじ込む時間が短いため、ユーザーが複数のアンカー10を比較的短時間で最小の労力にて取付けることができる。
【0021】
アンカー。
図2、図3、及び図7に示すように、アンカー10は、おおよそ中空で細長いボディ12を備えている。ボディ12には軸6と、取付用締結具4を受入れる軸方向の穴8を囲む薄い壁38とがある。なお、軸方向の穴8は、細長いねじ式取付用締結具4を受入れるようになった、おおよそ円筒形の細長い部分と一組のスプライン44とを有する。ボディ12の鍔状端部14には、フランジ40が設置されている。なお、フランジ40には、フィリップス型式の凹部42内の面15のようなトルク伝達面がある。フィリップス型式の凹部42は、ドライバが外れるのを防ぎ、鍔状端部14に最も近い軸方向に伸びた基部18と、基部18と先端部22との間で軸方向に伸びた中間部20と、軸方向に伸びた先端部22と、及び通常は鍔状端部14とは反対側のドリル先端16とを最小にするために、フィリップス・スクウェア・ドライブ(ドライバ用フィリップス四角穴)であっても良い。なお、中間部20は、先端部22に向かってテーパーとなり、先端部22は、ドリル先端16に向かってテーパーになっている。アンカー10は、フィリップス型式ドライバのような手動式ドライバにより手動でねじ込み可能であることが望ましいが、機械式ドライバによりねじ込み可能であってもよい。
【0022】
図1から図3に示した実施形態では、アンカーボディ12には、基部18、中間部20、先端部22に位置する第1雄ねじ19、21、23’と、先端部22に位置する第2雄ねじ23”とが、含まれる。なお、第2雄ねじ23”は、第1雄ねじ23’のねじ山の間にある。第1雄ねじ19、21、23’及び第2雄ねじ23”は、いずれも、ねじ山径及びドリル先端16に最も近いリード56を有する。基部18における第1雄ねじ19は、ねじ山径DCと、乾式壁1を把持するための高いねじ山高さDHを持つ。中間部20における第1雄ねじ21は、ねじ山径DCよりも実質的に小さいねじ山径MCと、高いねじ山高さDHよりも実質的に低いねじ山高さMHを持つ。先端部22における第1雄ねじ23’は、ねじ山径DCよりも実質的に小さいねじ山径TCと、高いねじ山高さDHよりも実質的に低いねじ山高さTHを持つ。第1ねじ19、21、23’には、高いねじ山高さDHとねじ山高さMHとの間に、移行領域62がある。第2雄ねじ23”は、ねじ山径DCよりも実質的に小さいねじ山径TCと、高いねじ山高さDHよりも実質的に低いねじ山高さTHを持つ。
【0023】
図7に示すように、アンカー10は、アンカー10が取付けられた場合に、取付用締結具先端36をアンカー10のドリル先端16の元々の位置を越えて伸ばせるようにする手段を有することが望ましい。アンカー10は、取付用締結具先端36がアンカー10のドリル先端16を越えて伸びるように、取付用締結具4がアンカー10を貫通可能とする薄い壁38を、有してもよい。壁38を薄くすると、アンカー10の谷径が小さくなり、必要取付トルクが小さくなる。更に、壁38を薄くすると、アンカー10は、アンカー10の谷底を比較的小さくしたままで、外径が比較的大きな取付用締結具4を収容可能となる。例えば、壁38が0.508mm(0.02インチ)厚であり、後述のように充分に大きな一組のスプライン44があれば、アンカー10は、取付用締結具のねじ5が壁38に雌ねじを切ることなく、#6ねじ付き外径約3.56mm(0.14インチ)の取付用締結具、又は、#8ねじ付き外径約4.06mm(0.16インチ)の取付用締結具を、受入れることができる。また、壁38を薄くすると、アンカー10は、少量の材料で製造可能となるので、安価に製造できるようになる。一実施例では、アンカー10の壁38は、約0.254mm(0.01インチ)から約1.27mm(0.05インチ)であり、望ましくは約0.381mm(0.015インチ)から約0.762mm(0.03インチ)であり、更に望ましくは約0.635mm(0.025インチ)である。
【0024】
図3に示す一実施例では、スプライン44は、取付用締結具4と係合するように、アンカー10の穴8に設けられている。取付用締結具のねじ5は、取付用締結具4がスプライン44とそれゆえアンカー10と係合するように、相手側雌ねじ45をスプライン44内に切る。また、スプライン44は、アンカー10のボディ12が乾式壁及び構造部材2へねじ込まれる際にねじり力に耐えられるように、アンカー10に対して構造上の補強を加えている。
【0025】
スプライン44のある穴8の有効径は、外径すなわち取付用締結具4のねじ山径より小さいが、取付用締結具4の谷底ほど小径ではないので、スプライン44には取付用締結具4によりねじ切りされ、相手側雌ねじ45が形成される。穴8の有効径が、外径約3.454mm(0.136インチ)の#6のねじ付き取付用締結具4が、スプライン44に雌ねじを切るのには充分に小径であり、壁38内径が、外径約4.17mm(0.164インチ)の#8のねじ付き取付用締結具4がスプライン44にのみねじを切り、壁38にはねじを切らない大きさとなるように、内壁38からのスプラインの高さ44が選択されることが望ましい。好適な実施形態では、穴8は、壁38における内径が約4.32mm(0.17インチ)から約5.33mm(0.21インチ)であり、望ましくは約4.57mm(0.18インチ)から約5.08mm(0.2インチ)であり、より望ましくは約4.83mm(0.19インチ)であり、スプライン44は、高さが約0.381mm(0.015インチ)から約1.14mm(0.045インチ)であり、望ましくは約0.635mm(0.025インチ)から約0.889mm(0.035インチ)であり、より望ましくは約0.762mm(0.03インチ)であり、その結果、穴8のスプライン44における有効径は、約2.79mm(0.11インチ)から約4.06mm(0.16インチ)であり、望ましくは約3.05mm(0.12インチ)から約3.68mm(0.145インチ)であり、より望ましくは約3.30mm(0.13インチ)である。
【0026】
アンカー10は、アンカー10を乾式壁1及び構造部材2にねじ込むねじり力に充分耐えられるように強く、しかも、ねじ式取付用締結具4が雌ねじを切るのに充分な展性がある材質で、製造される。アンカー10の材質は、取付用締結具4の先端36がアンカー10のドリル先端16を越えて伸びてゆくことができるように、締結具4により貫かれたり破断したりすることが可能であることが望ましい。また、アンカー10は、その特定の形状に容易かつ安価に形成可能な材料で製造することができる。アンカー10は、錫ベースの合金、アルミベースの合金、マグネシウムベースの合金、銅、銅合金又は真鍮、及び亜鉛ベースの合金のような、アンカー10の形状へダイキャスト可能な金属又は合金製であってもよい。一実施例では、アンカー10は、Zamac1のような亜鉛合金製である。
【0027】
また、アンカー10は、例えば、デルロン、ナイロン、フィラー充填ナイロン(例えばガラス充填ナイロンのような)等のエンジニアリングプラスチックのような、プラスチックその他の高分子材料製であってもよい。但し、アンカー10は、アンカー10を乾式壁1及び構造部材2へねじ込むねじり力に充分耐えられる強度に製造されるべきである。
【0028】
先端部。
図1から図4に示すように、先端部22により、アンカー10は、ユーザーが手動でねじ込むことにより、乾式壁1及び構造部材2に穴をあけることができるので、事前の穴あけ工程を別途行う必要はない。先端部22には、ドリル先端16が含まれ、図2に示す好適な実施形態では、ドリル先端16は、ドリル先端16がボディ軸6の先端点46にくるように、おおよそ円錐状でありボディ12と同軸となっている。ドリル先端16は、乾式壁1の表面48及び構造部材2の前面と迅速に係合し案内する鋭利な先端点46を含む。また、ドリル先端16は、図6に示すように、アンカー10が乾式壁1及び構造部材2に最初に係合する手助けをするため、ドリル先端16の下部に平坦部52を含めることができる。
【0029】
先端部22は、乾式壁1及び構造部材2を係合させるために先端部22に設けたドリルねじ23を有する雄ねじを含む。ドリルねじ23は、谷底30及びねじ山31を含んでおり、ねじ山径TCは、乾式壁把持ねじ山の直径DCよりも実質的に小さく、ねじ山高さDHは、乾式壁把持ねじ山高さDHよりも実質的に小さい。また、ドリルねじのねじ山高さTHは、構造部材2への締付けトルクが、標準ユーザーにより手動で達成でき、アンカー10を構造部材2にねじ込めるように、充分小さくなっている。また、図3に最も良く示すように、ねじ23は、ねじ23のベース部と谷底30との間が湾曲しており、ねじ23のベース部に応力が集中しないようになっている。
【0030】
図2及び図3に示すように、ドリルねじの谷底30は、中間部20からドリル先端16へテーパーがついており、ドリル先端16に最も近いドリルねじの谷底30の断面積は、中間部20における断面積よりも小さくなっている。ドリルねじ23のねじ山高さTHは、先端部22の全長にわたって、実質的に一定のままとなっている。但し、谷底30が、特にドリル先端16のところで比較的小さくなっているので、ねじの高さTHは、例えば、構造部材把持ねじ21のねじの高さMHよりも高くするというように、高くなっていてもよい。これは、谷底30を小さくすることにより、ねじ山径TCを過大にすることなく、ねじ山高さを大きくすることができるからである。
【0031】
先端部のねじ23及び中間部のねじ21は、乾式壁1を貫いて乾式壁1と係合し、アンカー10を乾式壁1へねじ込む。乾式壁の裏側の構造部材2がある位置へ、アンカー10がねじ込まれると、ドリル先端16は、構造部材2に突き当たり、構造部材2が、例えば木製柱のように乾式壁1よりも硬ければ、アンカー10は、通常、軸方向に構造部材10の中へと進むことなく乾式壁1内で空転してしまう。ここで、そのことをストールと称する。アンカー10がストールすると、先端部のねじ23及び中間部のねじ21は、ドリル先端が構造部材2へねじ込まれてゆくに従って、乾式壁1に所定サイズの穴を開ける。最終的に、ドリル先端16は、構造部材2の中へ、所定深さ(通常は3.18mm(1/8インチ)から6.35mm(1/4インチ))まで穴を開ける。これにより、先端部のねじ23は、構造部材2と係合でき、乾式壁把持ねじ19が乾式壁1と係合できるように、アンカー10を構造部材2及び乾式壁1内へ引張り始める。
【0032】
乾式壁と乾式壁把持ねじ19との間に発生する把持力に関して、中間部のねじ21により乾式壁1に開けられた穴のサイズが重要であることが発見された。アンカー10が乾式壁内にのみねじ込まれる場合には、特に重要である。ねじ山径が約12.7mm(1/2インチ)の乾式壁ねじについては、乾式壁に開く穴は、直径が約6.35mm(1/4インチ)となることが理想的である。従って、先端部22は、乾式壁1内でアンカー10の引抜き強度を、実現可能な程度にまで最大化させるように、乾式壁に穴を開けるように設計されている。
【0033】
図2に示すように、特に、アンカー10が乾式壁1に対してのみねじ込まれて、取付位置の裏側に構造部材2が存在しない場合には、先端部22は、少なくとも1つのウイング54を含むことができる。ウイング54は、先端部22から径方向に外方へ突出して、乾式壁1の穴を拡げ、乾式壁1における引抜き強度を最大化するように選ばれた所定の直径の穴を形成する。ウイング54は、フランジ40に最も近い基部10の谷底の半径にほぼ等しくなった軸6から一定距離だけ伸びることが望ましい。なお、谷底の半径は、谷底の直径DRの半分である。ウイング54は、構造部材2に対しては穴を拡げずに、乾式壁1に対してのみ穴を拡げるように、構造部材2に突き当たると破断するように設計されている。
【0034】
図2に示す実施形態では、先端部22は、先端部22から径方向に外方へ突出した一対のウイング54を含んでいる。ウイング54は、先端部22の外周に均等配置されているので、一対のウイング54の各々は、約180°離れている。ウイング54は、径方向に外方へ突出しているので、ウイング54をまたぐ幅WWは、フランジ40近傍の基部18の谷径DRにほぼ等しくなる。ウイング54により拡げられた穴は、谷径DRにほぼ等しくなり、ウイング54は乾式壁1に必要な程度に穴を大きくして、乾式壁把持ねじ19との係合に必要な量のみ乾式壁1を残すことが望ましい。
【0035】
ドリル先端16が構造部材2に突き当たると、上述のように、ドリル先端16が構造部材に穴をあけながら一時的なストールが生じるので、アンカー10のねじは乾式壁1のねじ山をすり減らし始める。このため、ドリルねじ23が構造部材2に食込み、先端部22が構造部材に迅速に穴を開けて、アンカー10が進行する前に乾式壁のねじ山をすり減らし過ぎないようにして、乾式壁1の面48を傷つけないようにすることが、重要である。ドリルねじ23は、ドリルねじ23が構造部材2と迅速に係合するように、ドリル先端16に最も近い軸方向の位置へ可能な限り伸びてゆく。好適な一実施例では、ドリルねじ23は、実質的に前記ドリル先端16へ伸びて、図1、図2、及び図5に示すように、ドリルねじ23のリード56は、ドリル先端点46から軸方向に約0mm(0インチ)で設置される。なお、ドリルねじ23は、実質的にドリル先端16まで充分に(約1.52mm(0.06インチ)のところまで)伸びている。理想としては、ドリルねじ23はドリル先端16の最後まで伸びていることが望ましい。すなわち、先端点46とリード56との間があいていないということである。但し、ドリル先端は、先端に至ると谷底の直径が実質的に0mm(0インチ)となり、このようなドリル先端において、ドリルねじは実際には軸となる。このことより、ドリルねじが構造部材2と係合するのが困難になることがある。この理由から、ドリルねじ23のリード56は、ドリル先端16からわずかに間隔をあけて(例えば0.508mm(0.02インチ))設置されてもよい。
【0036】
アンカー10には、特にドリル先端16にて潰れてしまわずに強いねじり力に耐えられるように、充分な構造上の強度がある。上述のように壁38が薄くなると、アンカー10が潰れやすくなる。構造部材へねじ込まれる際に、薄い壁38は、アンカー10にかかる強いねじり力をほとんど支持できない。このことから、アンカー10、特にドリル先端16は、補強要素を含む。ドリルねじ23は、ドリル先端16に対して構造上の補強効果を有する。アンカー10を構造部材2にねじ込むのに強いねじり力を伴うため、この構造上の補強は重要である。特に、アンカーの壁38は薄く、それ自体によってはあまり構造上の補強を提供できないため、このことは重要である。
【0037】
図1及び図2に示すように、先端部22の外部ねじ23は、おおよそ螺旋状になって2条に配列された2つのねじ23’、23”を、含むことができる。ねじ23’、23”の2条構造により、先端部22周辺の構造が強化されて、アンカー10を構造部材2へねじ込むねじり力により先端部22が潰れないようにしている。また、2条ねじ23’、23”とすることで、構造部材2へ安定してねじ込まれるようになり、ドリル先端16を構造部材2と強く係合させることができる。更に、二重リードのねじ23’、23”は、アンカー10が迅速に係合して構造部材2へねじ込まれるように、ドリル先端16に最も近い軸方向の位置へ伸びる。
【0038】
2条の各ねじ23’、23”は、ねじ23’、23”の一方が他を追い越さないように、実質的に同じピッチPであることが望ましい。第2ねじ23”は、第1ねじ23’に対して、ねじ23’、23”のピッチPの約半分(すなわち、5.08mm(0.2インチ)のピッチに対しては約2.54mm(0.1インチ))だけ、軸方向に間隔をあけた位置をとる。先端部22に沿った全ての軸方向位置において、両側にねじ23’、23”があり、構造上の補強を加えている。2条のねじ23’、23”は、実質的に同じねじの高さTHになっていることが望ましい。
【0039】
2条ねじの第1ねじ23’は、第2ねじ23”が先端部にのみ設置されている一方で、中間部20にてねじ21としてつながっていてもよい。また、両ねじ23’、23”は、中間部20においても2条ねじとして続いており(図示せず)、中間部20に先端部22と同様の構造上の補強を加えてもよい。第2ねじ23”が中間部20へ伸びると、構造部材2に対する把持力が強化される。
【0040】
中間部。
上述のように、取付用締結具の先端36は、ユーザーが様々な長さの取付用締結具4を使用できるように、アンカー10のドリル先端16を越えて伸びるようになっていることが望ましい。但し、取付用締結具4が構造部材2と係合するときに、アンカー10が構造部材2を適切に把持していないと、取付用締結具4の回転により、取付用締結具のねじ5はアンカーを乾式壁1から外してしまう。これは「ジャッキング」として知られており、アンカー10は完全に破損し、乾式壁把持ねじ19は乾式壁1を傷つけてしまう。取付用締結具4が構造部材2へねじ込まれる時、構造部材把持ねじ21とドリルねじ23とを介して、アンカー10と構造部材2とを確実に係合させることにより、ジャッキングが起こりにくくなる。取付用締結具4がアンカー10を貫通しない場合、中間部20の把持力は、あまり重要ではない。但し、それでもなお、構造部材2との係合がアンカー10保持力の主要な根源となるため、アンカー10が構造部材2と適切に係合することが望ましい。
【0041】
図2及び図3に示すように、構造部材把持ねじ21は、中間部20に位置しており、谷底28及びねじ山29を含み、ねじ山径MCは、乾式壁把持ねじのねじ山径DCよりも実質的に小さい。図2に示す実施形態では、中間部20の谷底28は、おおよそ、円錐台状であり、谷底28が先端部22に向かってわずかにテーパーになって、特に木製構造部材において、アンカー10の必要取付けトルクを最小化している。これは、中間部20における谷径MR及びねじ山径MCを、小さくできるためである。一実施例では、構造部材把持ねじの谷底28は、約1/2度から約4度、望ましくは約2+1/4の角度のテーパーがついている。
【0042】
中間部20における最大のねじ山径MCは、乾式壁把持ねじ19と乾式壁1との把持力を最大化するように選択されることが望ましい。特に、アンカー10が乾式壁に対してのみ取付けられる場合には、そのようになる。例えば、アンカー10の乾式壁把持ねじの山の直径DCが約12.7mm(1/2インチ)であると、最大の構造部材把持ねじの山の直径MCは、約6.35mm(1/4インチ)以下であることが望ましい。
【0043】
以下に示す乾式壁把持ねじ19とは異なり、構造部材把持ねじ21は、ねじ山高さMHが、乾式壁把持ねじ19のねじ山高さDHよりも実質的に低くなっている。また、中間部20のねじ山径MCは、基部18のねじ山径DCよりも実質的に小さくなっているので、木製柱のような構造部材2にて必要とされる締結トルクが過大にはならない。構造部材把持ねじ21の山の直径MC及びねじ山高さMHは、上述のように、アンカー10が構造部材2へねじ込まれるときにストールする際、乾式壁1を傷つけたり破断させたりしないように、構造部材把持ねじ21がストール中には乾式壁と係合すること(乾式壁1が構造部材から離れるようにジャッキをかけることになる)の無いように、充分小さく選択されることが望ましい。
【0044】
中間部20及び先端部22のねじ山高さMH、THが高くなると、構造部材2における引抜き強度が大きくなるのであるが、これにより、アンカー10を木製その他の構造部材の材質へねじ込むのに必要なトルクが大幅に増加してしまい、ユーザーがアンカー10を取付けるのが難しくなる。手動式ドライバによる場合には、特に難しくなる。従って、ねじの高さMH、THは、中間部20が構造部材2へねじ込まれるときに許容可能なトルクとなるように、選択されるべきである。
【0045】
図1に示す一実施例では、中間部20のねじ21は、おおよそ、螺旋状のねじ21がドリルねじ23’の延長であり、乾式壁把持ねじ19(後述)へ伸びたものでる。また、中間部20の雄ねじ21を、先端部に示した2条のものと同様に2条として、中間部20に構造上の補強を加えてもよい。また、中間ねじ21は、ねじ21のベース部と谷底28との間に湾曲部を有して、ねじ21のベース部に沿って応力集中が発生しないようにしてもよい。
【0046】
中間部20と先端部22とが組み合わされた長さMLは、乾式壁1の厚さTよりも長いことが望ましく、アンカー10が構造部材2にねじ込まれる前にストールする場合に、基部18(後述)のねじ19の直径が大きいと、乾式壁1に対して係合しなくなる。これにより、乾式壁1をすり減らすとともに、乾式壁1の表面に大きな傷をつけてしまいやすくなる。また、長さMLは、乾式壁把持ねじ19が乾式壁1と係合する前に、先端部22が、乾式壁に対する穴開けを完了できるように、充分長くなっている必要がある。特にアンカー10が乾式壁にのみねじ込まれる場合には、そのようになっている必要がある。このことは、材料へねじ込むと、雌ねじ付き材料へねじ込むよりも、軸方向への進み方が緩やかになる傾向があるので、望ましいことである。例えば、アンカー10は、乾式壁1へねじ込まれるよりもはるかに早く、乾式壁把持ねじ19により乾式壁1へねじ込まれる。乾式壁把持ねじ19が乾式壁1と係合する前に、穴開け工程が完了していない場合、アンカー10を通すよりも、乾式壁把持ねじ19が乾式壁1をすり減らしてしまいやすくなる。更に、中間部20及び先端部22の長さMLと、アンカー10をねじ込むのに必要な締結トルクとのバランスをとるのは、重要なことである。特に、構造部材2へねじ込む場合には重要である。
【0047】
図1及び図2に示す実施形態に示すように、中間部20は、構造上の補強のためのリブ58を有する。リブ58は、軸方向に伸びて、中間部20の谷底28からわずかに径方向に外方へ突出していることが望ましい。リブ58は、更に基部18又は先端部22に位置して、構造部材2への穴開けとねじ込みの際のアンカー10に沿った構造上の補強を更に加えてもよい。
【0048】
好適な一実施例では、アンカー10は、2条のドリルねじ23’、23”及び軸方向のリブ58を含む。これらは、連携して先端部22及び中間部20の周囲に格子を形成して、アンカー10を構造部材2へねじ込むねじり力が大きいことによってアンカー10が破壊しないようにしている。また、図3に示す穴8の中のスプライン44は、アンカー10の格子構造を強化している。
【0049】
基部。
図1から図4に示すように、基部18は、アンカー10が物品3の荷重を乾式壁1で支持するように取付けられる場合、特に、アンカー10が乾式壁に対してのみねじ込まれる場合、乾式壁1との係合用雄ねじを有する。乾式壁把持ねじ19は、乾式壁把持ねじ19と乾式壁1とが係合するように、乾式壁1内に相手側雌ねじ60を切ってゆく。雄ねじは、直径DCのねじ山27及び直径DRの谷底26を有して基部18に位置するねじ19を含む。乾式壁把持ねじ19は、ねじ山27と谷底26との間の距離、すなわち、ねじ山高さDHが、構造部材把持ねじ21及びドリルねじ23と比べて高くなるように、高いねじになっている。乾式壁把持ねじ19を高くすることは、乾式壁1に雌ねじを切る乾式壁把持ねじ19の表面積を最大化するのに役立ち、引抜き強度が増大する。乾式壁把持ねじ19のねじ山高さは、構造部材把持ねじ21及びドリルねじ23の高さMH、THよりも実質的に高い。このことにより、乾式壁1における引抜き強度が増大する。乾式壁把持ねじの山27の直径DCは、基部18の全長にわたって実質的に同じでもよい。一実施例では、ねじ山27の直径DCは、谷底26の直径DRの約2倍になっている。
【0050】
図5に示すように、乾式壁把持ねじが乾式壁1の裏面50の紙に係合するように、乾式壁把持ねじ19の1回転の3/4程度が乾式壁1の後側に係合する。乾式壁の裏面50の紙51に係合することは、アンカー10を乾式壁に対してのみねじ込む場合に、特に重要である。なぜなら、紙51との係合が、アンカー10と乾式壁1との把持力の相当な部分を提供していることが、発見されたためである。高い乾式壁把持ねじ19の山により、アンカー10を構造部材2にねじ込むために非常に大きなトルクが必要になるため、乾式壁把持ねじ19は、構造部材2へねじ込まれることが意図されているわけではない。
【0051】
図2及び図3に示すように、基部18の谷底26は、中間部20に向かってテーパーになっていて、谷底26は、おおよそ、円錐台状になり、基部18の上部における谷底26の直径が、基部18の下部における谷底26の直径よりも大きくすることができる。図2に示す実施形態では、基部18におけるテーパーの谷底26及び中間部20におけるテーパーの谷底28は、おおよそ、連続しており、テーパーはほぼ同じ角度となり、谷底26、28がおおよそ、同一の円錐台に沿うようになって、アンカー10を弾丸型の形状としている。
【0052】
図1に示す実施形態では、基部18における雄のねじ19は、構造部材把持ねじ21と連続した1本のねじ19であるが、乾式壁把持ねじ19は、図2及び図3に示すように、ねじ山径DC及びねじ山高さDHが、中間部20におけるねじ山径MD及びねじ山高さMHよりも、実質的に大きくなっている。一実施例では、基部18におけるねじ山径DCは、中間部20におけるねじ山径MCの約2倍である。
【0053】
中間部20と基部18との間には、移行領域62があり、ねじ山径及びねじ山高さは、構造部材把持ねじ21から乾式壁把持ねじ19へ拡大してゆくことが、望ましい。一実施例では、移行領域62は、ねじの1回転の約3/4にわたっている。図1に示すように、乾式壁把持ねじ19は、おおよそ、らせん状であることが望ましい。また、乾式壁把持ねじ19は、上述のように、2本のねじによる2条螺旋ねじになっていて、2条螺旋ねじのうちの一方のねじが、乾式壁把持ねじ19のねじ山高さDHよりも低い細目ねじであってもよい。この第2ねじにより、アンカー10は更に補強される。また、乾式壁把持ねじ19は、ねじ19のベース部と谷底26との間が湾曲部になっていて、乾式壁のねじ19のベース部に応力が集中するのを最小化している。
【0054】
図2及び図4に示すように、乾式壁把持ねじ19の上端は、フランジ40とは間隔をあけて位置付けされ、フランジ40と乾式壁把持ねじ19との間に首部64を形成している。首部64により、フランジ40の上面が、図4に示すように乾式壁と同じ高さかそれより下に着座するようになる。なぜなら、フランジ40に達する前の首部64におけるねじ19の不連続部により、乾式壁1に形成された雌ねじ60内に空間が形成され、この空間が、フランジ40による近傍材料の圧縮を可能にするからである。また、首部64により、乾式壁把持ねじ19は、乾式壁表面48の紙49に対して確実に間隔をあけるようになるので、乾式壁把持ねじ19は、紙と係合してそれに絡みつき、乾式壁表面48に望ましくない外観をもたらすことがなくなる。首部64は、長さNLが約0.762mm(0.03インチ)から約2.54mm(0.1インチ)、望ましくは約1.78mm(0.07インチ)とすることができる。
【0055】
フランジ40を含む基部18の長さDLは、図4に示すように、乾式壁1の厚さTよりもわずかに長いことが望ましく、これにより、乾式壁1の裏面50の背後に、乾式壁把持ねじ19の一部がきて、裏面の紙51と係合することが望ましい。基部18の長さDLを慎重に選択し、アンカー10を構造部材2が設置されている位置へねじ込む場合、乾式壁1の裏面50にある紙51に係合する乾式壁把持ねじ19の長さを、乾式壁把持ねじ19の長さを構造部材2へねじ込むのに必要なトルクとバランスさせることが重要である。更に、アンカー10は、様々な厚さの乾式壁1に使用可能であることが望ましい。基部18を所定長さDLとすることにより、ねじ19は、裏面の紙51を乾式壁1における所定厚さのところに係合させることが可能となるが、裏面の紙51を厚い乾式壁内で係合させるには短すぎることにもなりうる。あるいは、その反対に、基部18があまり長いと、薄い乾式壁については、乾式壁把持ねじ19のかなりの部分が構造部材へねじ込まれねばならなくなる。すると、必要締結トルクが大きくなる。
【0056】
乾式壁把持ねじ19のピッチPは、乾式壁1内で乾式壁把持ねじ19が少なくとも完全に1回転するように、選択されることが望ましい。そして、1+3/4回転から2+1/4回転であることが望ましく、乾式壁1内に埋め込まれた乾式壁把持ねじ19が完全に2回転することが、更に望ましい。一実施例では、厚さが12.7mm(1/2インチ)あるいは15.88mm(5/8インチ)の乾式壁1について、乾式壁把持ねじ19のピッチPは、約3.18mm(1/8インチ)から約7.62mm(0.3インチ)である。乾式壁把持ねじ19のピッチは、構造部材把持ねじ21及びドリルねじ23のピッチとほぼ等しいことが望ましい。一実施例(図示せず)では、移行領域62に最も近い乾式壁把持ねじ19のピッチは、鍔状端部14に最も近い残りの部分のピッチよりも大きくなっている。このようにピッチが大きくなったねじが乾式壁1と係合すると、アンカー10を乾式壁10へ比較的迅速に引き込むことになり、発生しがちなあらゆるジャッキングを抑制するのに役立つ。
【0057】
鍔状端部。
図1から図4に示すように、フランジ40は、アンカー10の鍔状端部14に位置し、直径FDが、乾式壁把持ねじの谷底26に比べて大きくなっており、フランジ40が乾式壁表面48上の紙49と係合できるようにしている。一実施例では、フランジ40は、フランジ径FDが約11.4mm(0.45インチ)から約15.2mm(0.6インチ)であり、約13.1mm(0.515インチ)であることが望ましい。また、フランジ40は、ユーザーがアンカー10をドライバで回転できるように、トルク伝達面15がある。フランジ40には、ドライバ43の先端を受けるための溝42を含むことができる(図8参照)。なお、溝42は、特定の種類のドライバに対応させて構成される。溝42には、フィリップス型式ドライバを受けるためのフィリップス型式の凹部がある。
【0058】
溝42は、穴8の内径より大きくドライバ43に対応した有効径を有しており、アンカー壁38が、溝42にて、アンカー10に沿った他の軸方向位置におけるよりも薄くなっている。アンカー10にかかる全トルクが溝42に集中しがちなので、鍔状端部14は、アンカー10が完全にねじ込まれる前に破断することがある。特に、アンカーが構造部材2へねじ込まれる場合には、アンカー10を構造部材2へねじ込むのに強いトルクが必要になるので、破断しやすい。図3に示す一実施例では、アンカー10は、溝42において壁39が拡がっていて、溝42を補強する隆起66を形成している。隆起66における拡がった壁39は、溝42の軸方向の全長にわたり、アンカー10をねじ込む際に、溝42を充分に支持する。
【0059】
木製構造部材2の木材の硬度及び密度は、非常に多岐にわたる。硬度及び密度が多様であるため、フランジ40を乾式壁1内に着座させるのに必要な締結トルクが様々となるので、フランジ40の後面41は乾式壁48の表面と面一になるか、あるいはそれよりも低くなる。更に、アンカー10をねじ込むのに必要なトルクは、アンカー10を乾式壁1及び構造部材2内にねじ込むのみのときと比較して、フランジ40を乾式壁内に着座させるときに著しく増加する。ある種の場合には、着座トルクがあまりに増大するので、ユーザーがこのように大きなトルクを加え、過大なトルクを与えがちとなり、フランジ40を取付けるのみにとどまらず、ユーザーは、アンカー10を回し過ぎて、乾式壁1をいくらかすり減らしてしまう。必要な締結トルクが過大になると(すなわち、5.65Nm(50インチ・ポンド))、標準手動工具でフランジ40を取付けるのは困難又は不可能となる。
【0060】
この着座の問題を解消するために、アンカー10のフランジ40は、ユーザーに要求されるトルクの負荷を減少させるように、改良されてもよい。一実施例(図示せず)では、アンカー10には、フランジがないか、あるいは、乾式壁把持ねじ19のねじ山径DCよりも小径のフランジがついているので、必要な着座トルクは充分に減少する。このことにより、ユーザーは、フランジあるいはアンカー後端部を着座させやすくなり、トルクの不正常な増加が相当に減少しているか、あるいは消滅しているため、回転させ過ぎる可能性は少なくなる。
【0061】
破断フランジ。
図8に示すように、アンカー10には、破断フランジ40’がある。アンカー10には、刻み目、切欠き、スリット、又は小孔のような弱体化要素の破断領域68があり、一旦、ドライバ43がアンカー10に所定のトルクを加えると、フランジ40’がアンカーボディ12から破断するというように、所定のトルクで破断する。破断領域68は、アンカー10の軸方向位置に設置され、フランジ40’が破断した場合に、アンカーボディ12における残りの破断していない部分が、乾式壁表面48より下にくるものであり、アンカー10は依然として機能して、取付用締結具4を受入れることができる。フランジ40’の所定の破断トルクは、アンカー10を実質的にその全長にわたり乾式壁1及び構造部材2へねじ込むのに、通常、必要なトルクを超えた所定値をとり、フランジ40’が破断すると、アンカー10における残りの最も外側の部位は、乾式壁表面48と面一になるか、あるいはわずかに沈むようになっている。これにより、用途次第で追加仕上げをしたりしなかったりする良好な仕上げ外観を備えることとなる。
【0062】
以上で、本発明に係るアンカーの特徴について記述した。本発明に係る実施形態について以下に説明する。
【0063】
先端破断型の実施形態。
図1から図4及び図7に示すように、アンカー10の一実施例では、中間部20及び先端部22の少なくとも1つが弱体化されており、取付用締結具4が、ボディ12の一部16’を破断させて(図7参照)、取付用締結具の先端36がドリル先端16の元々の位置(図4参照)を越えて伸びることが可能になっている。
【0064】
アンカー10の先端破断型の実施形態は、アンカー10よりも長い取付用締結具4が用いられる場合に、図7に示すように、取付用締結具先端36が、アンカー10のドリル先端16を破断又は貫通して、アンカーボディ12よりも伸びることができるように、アンカー10と取付用締結具4のユーザーが、アンカー10が取付用締結具4を支持するのに充分長いかどうか心配することなく、物品3の様々な厚さに対応させて、特に長い取付用締結具4が使用できるように設計されている。又、取付用締結具先端36が、アンカーボディ12を貫通せずに穴8の中に残るような、短い取付用締結具4も使用可能である。
【0065】
図4及び図7に示すように、アンカー10の取付け後、取付用締結具4は、取付用締結具先端36が内側の穴8の奥部9を押すまで、穴8の中へねじ込まれる。なお、奥部9は、先端部22内の軸に設置されている。ユーザーが取付用締結具4をねじ込み続けると、先端部22にかかる押圧力が、先端部22の一部を、アンカーボディ12から破断分離させるのに充分大きくなる。図7に示す実施形態では、ドリル先端16’は、先端部の周囲を破断させ、取付用締結具4と係合したままであるので、ドリル先端16’は、取付用締結具4により構造部材内へ深く押し込まれる
【0066】
図1から図3における実施形態に示すように、先端部22は、アンカーボディ12の構造上の弱体化要素を含み、ドリル先端16が要求位置で確実に破断するようにしている。弱体化要素の一実施例として、軸方向の要求破断位置における、縦方向又は横方向の切欠き70のような、ねじ23内の破断個所がある。ねじ23により構造的補強がされるので、ねじ23における切欠き70が、アンカーボディ12内の構造上弱い部位となり、取付用締結具4が穴の奥部9を押すことにより発生する引張力に耐えられなくなる。また、切欠き70は、ねじ23が、取付用締結具4の回りで逆転しないようにするのにも役立つ。これにより、取付用締結具4がアンカー10から取り外される場合、アンカー10が乾式壁1から緩むことがないようになっている。一実施例では、切欠き70は、幅が約4.32mm(0.17インチ)であり、ねじ面における深さは約0.762mm(0.03インチ)である。
【0067】
図3に示すように、他の弱体化要素として、穴8の径に、軸上の要求破断位置にて、鋭い段をつけるということがある。段72があると、応力集中を発生させることが可能となり、これにより、ドリル先端16が段72にて破断する可能性が高まる。他の弱体化要素として、穴の奥部9のおおよそ円錐状の領域内における内部溝のような、アンカーボディ12におけるドリル先端16の要求破断位置にある溝又は小孔(図示せず)がある。
【0068】
図9及び図10に示す先端分割型の実施形態では、先端部22は、ドリル先端16に向かって軸方向に伸びる均等配置された軸方向のスリット74のような弱体化された領域を含む。弱体化された領域は、先端部22の壁38に弱体化された部分を備え、取付用締結具先端36が穴の奥部9を押してゆくと、取付用締結具4は、先端部22を、概ねスリット74’に沿って分割することになり、図10に示すように、ドリル先端16は、取付用締結具4により径方向に外方へ押される。ドリル先端16の分割された部分は、アンカーボディ12についたままであり、先端部のねじ23は、構造部材2と係合したままとなり、アンカー10と構造部材2とを強く係合させる。
【0069】
図2及び図3に示すように、アンカー10の先端破断型の実施形態には、先端部22から突出した一対のウイング54が含まれる。各ウイング54は、先端部22と結合しており、各ウイング54の一部がねじ23’、23”と結合し、各ウイング54の一部がドリルねじの谷底30に対して取付けられている。アンカー10のウイング54は、径方向に外方へ突出しているが、軸方向にわずかに下方へも伸びる先端55を備えている。その先端は、ドリル先端点46とほぼ同じ方向であり、紙49が裂けないように紙49に刻み目を入れる。一実施例では、ウイング54は、軸6から約2.54mm(0.1インチ)から約3.56mm(0.14インチ)、望ましくは約2.79mm(0.11インチ)だけ、先端部22から径方向に外方へ突出している。そして、ウイング54は、軸方向の長さが約1.52mm(0.06インチ)から約2.29mm(0.09インチ)である。一実施例では、一対のウイング54は、一対のウイング54をまたぐ幅WWが、約5.08mm(0.2インチ)から約7.11mm(0.28インチ)、望ましくは5.59mm(0.22インチ)となっている。
【0070】
現在使用されているほとんどの乾式壁1は、12.7mm(1/2インチ)又は15.9mm(5/8インチ)厚であるので、フランジ40を含む基部18の長さDLは、約11.1mm(7/16インチ)から約19.1mm(3/4インチ)、望ましくは約12.7mm(1/2インチ)から約17.5mm(11/16インチ)、更に望ましくは約15.9mm(5/8インチ)となる。基部18及びフランジ40の長さDLは、中間部20及び先端部22の長さMLとほぼ等しい。
【0071】
一実施例では、基部18は、ねじ山径DCが約11.4mm(0.45インチ)から約13.3mm(0.525インチ)、望ましくは12.2mm(0.48インチ)であり、フランジ40近傍での谷径DRが約6.10mm(0.24インチ)から約7.62mm(0.3インチ)、望ましくは6.35mm(1/4インチ)であり、ねじ山高さTHが約1.91mm(0.075インチ)から約3.56mm(0.14インチ)、望ましくは3.18mm(1/8インチで)ある。基部18における谷底26は、基部18の両側で、軸6に対して約1/2度から約3度、望ましくは約1度の角度で、中間部20に向かってテーパーとなっている。
【0072】
アンカー10の中間部20は、基部18近傍のねじ山径MCが約6.60mm(0.26)インチから8.89mm(0.35インチ)、望ましくは約7.11mm(0.28インチ)であってもよく、基部18近傍の谷径MRが約5.08mm(0.2インチ)から約6.35mm(1/4インチ)、望ましくは約5.59mm(0.22インチ)であってもよく、ねじ山高さMHが約0.254mm(0.01インチ)から約1.91mm(0.075インチ)、望ましくは0.889mm(0.035インチ)であってもよく、中間部20の谷底28は、軸6に対して約1度から約4度、望ましくは約2+1/4度の角度で、先端部22に向かってテーパーとなっている。図2に示す一実施例では、基部の谷底26についたテーパーの角度は、中間部の谷底28についたテーパーの角度と、実質的に等しい。
【0073】
アンカー10の先端部22は、最大のねじ山径TCが約5.84mm(0.23インチ)から約6.60mm(0.26インチ)、望ましくは約6.10mm(0.24インチ)であってもよく、最大の谷径TRが約4.57mm(0.18インチ)から約5.59mm(0.22インチ)、望ましくは約5.08mm(0.2インチ)であってもよく、ねじ山高さTHが約5.08mm(0.02インチ)から約1.78mm(0.07インチ)、望ましくは0.889mm(0.035インチ)であってもよい。ドリルねじの谷底30は、軸6に対して約10度から約20度、望ましくは約15度の角度で、ドリル先端16に向かってテーパーとなっている。中間部20及び先端部22の全長MLは、約12.7mm(1/2インチ)から22.2mm(7/8インチ)、望ましくは約15.9mm(5/8インチ)であってもよい。
【0074】
アンカー10は、軸方向に伸びた補強リブ58を備えており、補強リブ58は、構造部材把持ねじの谷底28に対して取付けられている。一実施例では、リブ58は、図2に示すように、従動側よりもドライバ駆動側(ねじ込み側)で幅広に谷底28から径方向に外側へ突出している。一実施例では、リブ58は、長さRLが約5.08mm(0.2インチ)から9.14mm(0.36インチ)、望ましくは7.11mm(0.28インチ)であり、幅RWが約1.02mm(0.04インチ)から約2.54mm(0.1インチ)、望ましくは2.03mm(0.08インチ)であり、リブ58は、谷底28から約0.381mm(0.015インチ)突出している。
【0075】
缶切型の実施形態。
図11から図13に示すように、アンカー10bの缶切型の実施形態が示されている。この実施形態では、中間部20b及び先端部22bの少なくとも一方の外径が、取付用締結具4のねじ山径すなわち外径よりも小さくなっているので、取付用締結具のねじ5が中間部20及び先端部22の少なくとも一方を貫通することができ、取付用締結具36がドリル先端16bの元々の位置を越えて伸びることが可能となっている。穴8と先端部22b又は先端部22b近傍の中間部20bの外側との間の壁38bは、充分に薄く、軸に充分近接しているので、取付用締結具のねじ5は、図13に示すように壁38bを切りながら通過することが可能であり、ドリル先端16bがアンカーボディ12bと分離するように、アンカーボディ12bの周囲を切断する。ドリル先端16bは、アンカーボディ12bから分離して、図7に示す先端16’と同様に、取付用締結具先端36と係合したままとなる。
【0076】
壁38bは、軸6に近接して位置付けられ、取付用締結具5が壁38bを切りながら通過することを可能にしているので、中間部20bの対応する谷径MR’は同様に小さくなっている。これにより、締結具を取付けるのに小さなトルクで済み、製造用材料を低減できる。
【0077】
また、アンカー10bは、先端破断型の実施形態のアンカー10のウイング54と同様に、一組のウイング54bを有する。一実施例では、ウイング54bは、軸方向に伸びているが、乾式壁1の表面に刻み目を入れるための先端を有しているわけではない。
【0078】
缶切型の実施形態におけるアンカー10の基部18bは、上述のアンカー10の先端破断型の実施形態と、ほぼ同様の寸法になっている。アンカー10bの中間部20bは、図2に示すアンカー10の中間部20と、若干異なっている。中間部28bの一部は、基部谷底26bに付いているテーパーよりも明らかに大きな角度で、先端部22bに向かってテーパーになっているので、構造部材把持ねじの谷底28bは、先端破断型の実施形態の構造部材把持ねじの谷底28よりも小さくなっている。構造部材把持ねじ28bの谷底が小さいと、取付用締結具5が壁38bを切りながら通過して、ドリル先端16bの一部をアンカーボディ12bから切り離してゆくことが可能となる。一実施例では、中間部20は、谷径MR’が約4.06mm(0.16インチ)から約5.59mm(0.22インチ)、望ましくは約5.08mm(0.2インチ)になっている。また、アンカー10bの先端部22bは、最大の谷径及びねじ山径が、先端破断型の実施形態のアンカー10よりも小さくなっている。
【0079】
先端迂回型の実施形態。
図14から図18に示すように、アンカー10cによる実施形態では、取付用締結具36がドリル先端16cを迂回できるように、中間部20c、22cの少なくとも一方が、取付用締結具36により貫通可能となっている。図15に示す実施形態では、穴8cは、中間部20cへ充分に伸びているわけではなく、図15に最も良好に示すように、実質上、中間部20及び先端部22cのほぼ全体が中実になっている。中間部20c及び先端部22c内に穴8cがほとんど無い場合は、これらの部分は、より小さい径を持つことができる。このことより、アンカー10cは、要求トルクが小さくて済むので、乾式壁1及び構造部材2へねじ込みやすくなり、乾式壁1及び構造部材2へ迅速にねじ込むことが可能となる。更に、中実の中間部20c及び先端部22cは、構造的にも強固である。一実施例では、アンカー10、10bの先端破断型の実施形態及び缶切型の実施形態について上述したねじ山径と比較すると、中間部20cはねじ山径MC”が約4.57mm(0.18インチ)から約5.59mm(0.22インチ)、望ましくは約5.08mm(0.2インチ)となっている。
【0080】
アンカー10cの穴8cは、取付用締結具4が側壁38cの薄い領域76を切断し押すように、設計されている。そして、図17及び図18に示すように、取付用締結具4は、取付用締結具4が通過しながら、中間部20c及びドリル先端16cを側方へ押してゆく。中間部20cは、取付用締結具4cにより側方へ押され、アンカーボディ12cに付着した状態を維持するように設計されているので、構造部材2と係合したままとなり、アンカー10cが抜けにくくするとともにアンカー10cにジャッキングが生じないようにしている。
【0081】
図15に示す実施形態では、穴8cには、穴の奥部9cに、薄い領域76に向かって傾斜した荷重受面78cがある。取付用締結具4がねじ込まれると、その先端36は、傾斜した荷重受面78cを押し、中間部20c及び先端部22cを側方へ押すように作用することになる。
【0082】
図16に示すように、薄い領域76は、中間部20を通過して伸びる平坦部52cにより成立している。また、中間部20には、中間部20が基部18に連なる位置の近傍に、切欠き80がある。切欠き80により、中間部20が取付用締結具4により側方へ押される時、中間部20が回動したり側面方向へ動いたりしやすくなる。
【0083】
先端開放型の実施形態。
図19に示すアンカー10dの先端開放型の実施形態では、先端部22dは、ドリル先端点を有していないが、開放型ドリル先端16dを有する。開放型ドリル先端16dにより、取付用締結具先端36が、アンカー10dを貫通したりその一部を破壊したりせずに、開放型ドリル先端16dを通過して伸びるように、同時に開放端アンカー10dが構造部材2を把持しつつ、取付用締結具4をねじ込むことが可能となる。
【0084】
アンカー10dは、ドリル先端の一部が、ドリル先端点から所定の軸方向長さ分を除去されていること以外は、先端破断型の実施形態のアンカー10と同様である。なお、穴8dの内径は、ドリル先端16dへ最後まで伸びており、ねじ式取付用締結具4の谷径よりも大きいことが望ましく、ねじ式取付用締結具4のねじ山径とほぼ同じかわずかに大きくなっていて、取付用締結具4がドリル先端16dを穴あけし過ぎる必要がないことが望ましい。
【0085】
開放型ドリル先端16dは、センタリング部82を含んでいる(図19参照)。センタリング部82は、穴あけ開始時に、乾式壁1と係合可能であって、アンカー10dが、確実に、要求位置で乾式壁1へねじ込まれるようにしている。センタリング部82は、先端84で合体する一組の薄い脚83を有してもよい。脚83は、最初に乾式壁1に穴を開けることができる充分な構造強度を有するが、最終的には脚83は、アンカー10dを乾式壁1及び構造部材2へねじ込む力により、つぶれることになる。
【0086】
取付方法。
ユーザーがアンカー10及び細長い取付用締結具4を、構造部材に設けられた乾式壁に取付ける方法は、軸6と、細長い取付用締結具4を受入れる軸方向の穴と、トルク伝達面15を設けた鍔状端部14と、通常は鍔状端部14の反対側にあるドリル先端16と、鍔状端部14に最も近い基部18と、中間部20と、ドリル先端16側へ伸びた先端部22とを有する細長いアンカー10を提供するステップを含む。基部18は、乾式壁把持ねじ19のような雄ねじを持ち、そのねじは、谷底26と、ねじ山径DCとねじ山高さDHを持つねじ山27とを有する。中間部20は、構造部材把持ねじ21のような雄ねじを持ち、そのねじは、谷底28と、ねじ山径MCが乾式壁把持ねじのねじ山径DCよりも実質的に小さく、ねじ山高さMHが乾式壁把持ねじの高さDHよりも実質的に小さいねじ山29とを有する。先端部22は、ドリルねじ23のような雄ねじを持ち、そのねじは、ドリル先端16に向かってテーパーがついた谷底30と、ねじ山径TCが乾式壁把持ねじのねじ山径DCよりも実質的に小さく、ねじ山高さTHが乾式壁把持ねじの高さDHよりも実質的に小さいねじ山31とを有する。前記取付け方法は、更に、ドリル先端16を乾式壁表面48に位置付けるステップと、先端部22を乾式壁1及び構造部材2へねじ込み、乾式壁把持ねじ19が乾式壁と係合するよう、アンカー10を乾式壁1内へねじ込むステップと、細長い取付用締結具4をアンカー10の軸方向の穴8に挿入するステップとから成る。
【0087】
一実施例では、取付方法は、取付用締結具先端36をドリル先端16の元々の位置よりも伸ばすステップと、図13に示す如く、中間部20bにて壁38bを取付用締結具のねじ5が切りながら通過するというように、中間部20又は先端部22の少なくとも一方に、細長い取付用締結具4で穴を開けるか、あるいは、図17及び図18に示すように、中間部20c又はドリル先端16cの側壁38cを取付用締結具先端36により貫通するステップと、図7に示すように、ドリル先端16’のようなアンカー10の一部を取付用締結具4で破断させるステップと、取付用締結具4を構造部材2と係合させるステップと、図7、図10、図13、及び図18に示すように、物品3を取付用締結具4に取付けるステップとを、更に含むことができる。
【0088】
製造方法。
図20及び図21に示すように、アンカー10の製造方法は、鍔状端部114と、鍔状端部114に最も近い基部118と、中間部120と、先端部122と、通常は鍔状端部114の反対側にある第2端部116と、鍔状端部114からキャビティ110へ伸びる細長いコア108とを持つキャビティ110を有する型100を提供するステップを備えている。基部118は、谷底126と、ねじ山径MDCとねじ山高さMDTとを持つねじ山127を有する雌ねじ119を持つ。中間部120は、谷底128と、第1部分のねじ山径MDCよりも実質的に小さいねじ山径MMCと第1部分のねじ山高さMDTよりも実質的に小さいねじ山高さMMTとを持つねじ山129を有する雌ねじ121を持つ。先端部122は、第2端部116へテーパーがついた谷底130と、第1部分のねじ山径MDCよりも実質的に小さいねじ山径MTCと第1部分のねじ山高さMDHよりも実質的に小さいねじ山高さMTHとを持つねじ山131を有する雌ねじ123を持つ。前記製造方法は、更に、亜鉛合金のような溶融した材料をキャビティ110へ流し込むステップと、溶融した金属を固化させてアンカー10を形成するステップと、アンカー10を型100から取出すステップとを含む。
【0089】
型のキャビティ110は、アンカー10と同じ形状であるため、材料が固化するとアンカー10が形成される。特に、型の鍔状端部114は、アンカー10の鍔状端部14を形成し、型の第2端部116は、ドリル先端16を形成し、基部118は基部18を形成し、中間部120は中間部20を形成し、先端部122は先端部22を形成し、細長いコア108は軸方向の穴8を形成する。
【0090】
本発明に係る新規のアンカーにより、ユーザーは、アンカーの取付け位置において、構造部材が乾式壁の背後に設置されているかどうかに関係なく、あるいは、構造部材があると分かっている場合でも、アンカーを乾式壁に取付けることが可能となる。また、このアンカーにより、取付用締結具先端をアンカーのドリル先端よりも伸ばして締結できるので、ユーザーは、様々な長さの取付用締結具を使用することが可能となる。
【0091】
本発明に係る上記説明により、当業者は、現在最良の形態と考えられるものを製造し使用することができるとともに、当業者は、例示した特定の実施形態及び方法の変形、組み合わせ、及び均等なものが存在することを、理解できるであろう。従って、本発明は、上記の実施形態及び方法に限定されるものではなく、特許請求の範囲のあらゆる実施形態及び方法に関するものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、脆い材料に用いるアンカーについてのものであり、特に、構造部材に取付けられる乾式工法壁(以下「乾式壁」と言う)に用いるセルフドリルアンカーに関する。
【背景技術】
【0002】
乾式壁は、脆い材料であるため、乾式壁に物品を取付けるのは難しい。従来、少なくとも3つの方法が用いられてきた。軽量物品として、小形プラスチック拡張アンカーが用いられてきた。通常、拡張アンカーの取付けには、3つの工程を要していた。すなわち、まず、乾式壁に穴を開け、次に、開いた穴にアンカーインサートをねじ込み、最後に、ねじ式締結具をアンカーへ挿入し、アンカーを拡げて乾式壁と係合させる。但し、拡張アンカーは、軽量物を保持できるにすぎない。
【0003】
重量物の用途には、トグルボルトが用いられてきた。トグルボルトは効果的であるが、相互に動く部品が含まれるため、一般に高価でもある。また、トグルボルトは、取付けが難しいことでも知られている。
【0004】
また、重量物を取付けるためのセルフドリルアンカーも、用いられている。通常、このようなセルフドリルアンカーは、そのアンカー自体で乾式壁に穴を開けることにより、取付けられる。また、アンカーは、乾式壁において引抜き力を高めるように、ねじ山高さが高いねじを備えている。セルフドリルアンカーの例として、ITW Buildexにより製造されてE-Z ANCORの商標で販売されているアンカーがあり、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に開示されている。なお、各特許は、本願の譲受人に対して譲渡されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4601625号
【特許文献2】米国特許第5190425号
【特許文献3】米国特許第5558479号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
セルフドリルアンカーは、乾式壁に単体で取付けられた場合に、重量物を保持するのに効果的であることが証明されている。しかし、ほとんどの場合、乾式壁は、ユーザーが眼にすることはない木製構造部材や柱に対して取付けられ、通常、このような構造部材の位置は、ユーザーに認識されたり点検されたりすることはない。標準セルフドリルアンカーのユーザーが、乾式壁に構造部材の位置でアンカーを取付けようとすると、そのアンカーは、構造部材内へねじ込まれてゆくことがなく、その場で回転して、アンカーの高いねじ山が潰れ、アンカーに不具合が生じ、乾式壁には見苦しい傷ができてしまう。例え、アンカーが少し構造部材内へねじ込まれたとしても、構造部材と強く係合し、ねじりにより構造部材を破断してしまう。
【0007】
必要とされているのは、乾式壁単体、あるいは乾式壁及び重量物装着可能な構造部材に取付け可能な、乾式壁に用いるセルフドリルアンカーである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
構造部材に取付けられた脆い材料に用いる新規のセルフドリルアンカーが提供されており、セルフドリルアンカーは、軸を有する細長いボディと、細長い締結具を受入れる軸方向の穴と、トルク伝達面を有する鍔状端部と、基部と、中間部と、先端部と、通常は前記鍔状端部の反対側にあるドリル先端とを備え、前記基部は、谷底と、ねじ山径と、ねじ山高さを有する雄ねじを有し、前記中間部は、谷底と、前記基部の前記ねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径と、前記基部の前記ねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さとを有する雄ねじを有し、前記先端部は、前記ドリル先端に向かってテーパーになった谷底と、前記基部の前記ねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径と、前記基部の前記ねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さとを有する雄ねじを有する。
【0009】
一実施例では、セルフドリルアンカーは、軸を有する細長いボディと、スプラインを有し細長いねじ式締結具を受入れる軸方向の穴と、トルク伝達面を有する鍔状端部と、基部と、中間部と、先端部と、通常は前記鍔状端部の反対側にあるドリル先端とを備え、中間部は先端部に向かってテーパーであり、先端部はドリル先端に向かってテーパーであり、ボディは、基部、中間部、並びに先端部に設置された第1雄ねじ及び先端部に設置された第2雄ねじを有し、第2雄ねじは、第1雄ねじのねじ山の間にあり、第1雄ねじ及び第2雄ねじは各々、ドリル先端に最も近いねじ山とリードとを有し、第1雄ねじは、基部にて、脆い材料を把持するためのねじ山径と高いねじ山高さを有し、第1雄ねじは、中間部にて、基部でのねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び、基部における高いねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さを有し、第1雄ねじは、先端部にて、基部でのねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び、基部における高いねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さを有し、第1雄ねじは、基部での高いねじ山高さと中間部でのねじ山高さとの間に移行領域を有し、第2雄ねじは、第1雄ねじのベース部でのねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び、第1雄ねじのベース部での高いねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さを有する。
【0010】
別の実施形態では、セルフドリルアンカーは、軸を有する細長いボディと、先端を有する細長いねじ式締結具を受入れるスプラインを有する軸方向の穴と、トルク伝達面を有する鍔状端部と、基部と、中間部と、先端部と、通常は前記鍔状端部の反対側にある元々の位置へ伸びたドリル先端とを備え、中間部は先端部に向かってテーパーが付いており、先端部はドリル先端に向かってテーパーが付いており、ボディは、基部、中間部、及び先端部に設置された第1雄ねじ、並びに、先端部に設置された第2雄ねじを有し、第2雄ねじは、第1雄ねじのねじ山の間にあり、第1雄ねじ及び第2雄ねじの各々は、ドリル先端に最も近いねじ山とリードとを有し、第1雄ねじは、基部にて、ねじ山径と高いねじ山高さを有し、第1雄ねじは、中間部にて、基部でのねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び、基部における高いねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さを有し、第1雄ねじは、先端部にて、基部でのねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び、基部における高いねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さを有し、第1雄ねじは、基部での高いねじ山高さと中間部でのねじ山高さとの間に移行領域を有し、第2雄ねじは、第1雄ねじのベース部でのねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び、第1雄ねじのベース部での高いねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さを有し、細長い締結具の先端がドリル先端の元々の位置を越えて伸びることができるようにする手段を有する。
【0011】
また、アンカー及び細長い締結具を、構造部材に設けられた脆い材料に取付ける方法が提供されており、この方法は、軸と、細長い締結具を受入れる軸方向の穴と、トルク伝達面を有する鍔状端部と、基部と、中間部と、先端部と、通常は前記鍔状端部の反対側にあるドリル先端とを備え、前記基部は、谷底と、ねじ山径と、ねじ山高さを有する雄ねじを有し、前記中間部は、谷底と、前記基部の前記ねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径と、前記基部の前記ねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さとを有する雄ねじを有し、前記先端部は、前記ドリル先端に向かってテーパーになった谷底と、前記基部の前記ねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径と、前記基部の前記ねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さとを有する雄ねじを有する細長いアンカーを提供するステップと、先端部が脆い材料を貫通して構造部材へねじ込まれて基部の雄ねじが脆い材料と係合するように、脆い材料へアンカーをねじ込むステップと、細長い締結具を軸方向の穴へ挿入するステップとを含む。
【0012】
また、セルフドリルアンカーを製造する方法が提供されており、この方法は、鍔状端部のあるキャビティと、基部と、中間部と、先端部と、通常は鍔状端部と反対側にある第2端部と、鍔状端部にてキャビティ内へ伸びた細長いコアとを有する型を、提供するステップを含み、基部は、谷底、ねじ山径、及びねじ山高さがある雌ねじを有し、中間部は、谷底、基部のねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び基部のねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さがある雌ねじを有し、先端部は、第2端部に向かってテーパーとなった谷底、基部のねじ山径よりも実質的に小さいねじ山径、及び基部のねじ山高さよりも実質的に低いねじ山高さがある雌ねじを有し、溶融した材料をキャビティへ供給するステップと、溶融した材料を固化させてアンカーを形成するステップと、アンカーを型から抜くステップとを含む。
これらの特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、添付の図面を参照しての以下の本発明に係る説明により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るセルフドリルアンカーの斜視図である。
【図2】本発明に係るセルフドリルアンカーの側面図であり、先端破断型の実施形態を示す。
【図3】セルフドリルアンカーの先端破断型の実施形態の断面図である。
【図4】脆い材料及び構造部材へ取付けたセルフドリルアンカーの先端破断型の実施形態の断面図である。
【図5】脆い材料内にのみ取付けられたセルフドリルアンカーの先端破断型の実施形態の斜視図であり、脆い材料の裏側からみた図である。
【図6】別案のドリル先端を有するセルフドリルアンカーの先端破断型の実施形態の側面図である。
【図7】取付けたセルフドリルアンカーの先端破断型の実施形態の側面図であり、セルフドリルアンカーを貫通して取付用締結具が挿入されている。
【図8】セルフドリルアンカーの先端破断型の実施形態の断面図である。
【図9】セルフドリルアンカーの先端分割型の実施形態の側面図である。
【図10】セルフドリルアンカーの先端分割型の実施形態の断面図であり、取付用締結具が挿入されている。
【図11】セルフドリルアンカーの缶切型の実施形態の側面図である。
【図12】セルフドリルアンカーの缶切型の実施形態の断面図である。
【図13】セルフドリルアンカーの缶切型の実施形態の断面図であり、セルフドリルアンカーの中へ取付用締結具が挿入されている。
【図14】セルフドリルアンカーの先端迂回型の実施形態の側面図である。
【図15】セルフドリルアンカーの先端迂回型の実施形態の断面図である。
【図16】別案のドリル先端を有するセルフドリルアンカーの先端迂回型の実施形態の側面図である。
【図17】セルフドリルアンカーの先端迂回型の実施形態の側面図であり、取付用締結具がアンカーを貫通し始めている。
【図18】セルフドリルアンカーの先端迂回型の実施形態の側面図であり、取付用締結具がドリル先端を迂回している。
【図19】セルフドリルアンカーの先端開放型の実施形態の側面図である。
【図20】セルフドリルアンカーの造形用型の開放状態の断面図である。
【図21】セルフドリルアンカーを造形するために閉鎖した型の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1から図4に、新規なセルフドリルアンカー10を示す。ここで、アンカー10は、図1から図4及び図7に示す破断用先端を含むいくつかの代表的な実施形態を用いて、その全体の概観が示されている。
【0015】
アンカー10は、構造部材2のような部材に取付けられた乾式壁1のような脆い材料に用いられるものである。新規のアンカー10は、軸6を持つ細長いボディ12を有し、軸方向の穴8が、細長い取付用締結具4を受入れるようになっており(図7参照)、鍔状端部14内にトルク伝達面15があり、鍔状端部14に最も近い基部18、中間部20、先端部22及びドリル先端16は、通常は鍔状端部14の反対側にある。なお、基部18は、乾式壁把持ねじ19のような雄ねじを有しており、谷底26、ねじ山27(直径DC)があって、ねじ山高さDHとなっている。中間部20は、構造部材把持ねじ21のような雄ねじを有しており、谷底28、乾式壁把持ねじのねじ山径DCよりも実質的に小さな直径MCのねじ山29があって、ねじ山高さMHは、乾式壁把持ねじのねじ山高さDHよりも実質的に小さくなっている。そして、先端部22は、ドリルねじ23のような雄ねじを有しており、乾式壁把持ねじのねじ山径DCよりも実質的に小さな直径TCのねじ山31があって、ねじ山高さTHは、乾式壁把持ねじのねじ山高さDHよりも実質的に小さくなっている。
【0016】
アンカー10は、図7に示すように、物品3を乾式壁1へ取付けるために、乾式壁へねじ込まれるものである。アンカー10が設置されると、取付用締結具4が、物品3を通過してアンカーの穴8内へ挿入される。アンカー10は、取付用締結具4単独の場合よりも、強く係合して引抜き強度が大きくなる。アンカー10は、乾式壁1にのみ取付けられて、従来のセルフドリルアンカーと同様に用いられてもよい。但し、アンカー10には、木製補強柱のような構造部材2に食込み係合可能な特徴があり、乾式壁1及び構造部材2にアンカー10をねじ込むときの大きな力に耐えられるように強度を増加している。
【0017】
脆い材料は、脆い材料が耐え得る負荷を増すために、物品3を脆い材料に取付けることを要求している建設界において使用されるいくつかの脆い材料の1つであっても良い。脆い材料の一例として、United States GypsumがSHEETROCKなる商標で販売している石膏ボードのような、石膏ベースの乾式壁1がある。通常、乾式壁1は、厚さが12.7mm(1/2インチ)又は15.9mm(5/8インチ)であるが、9.53mm(3/8インチ)というように別の厚さであってもよい。
【0018】
通常、乾式壁1のような脆い材料は、木製構造部材、合板のような構造部材に対して取付けられるものであるが、多層乾式壁のような別の脆い材料に取付けられることもある。その構造部材は、木製構造部材(例えば、406mm(16インチ)ごとに均等配置された2×4柱のような)又は金属製構造部材(鋼製構造柱)のような構造部材2であってもよい。構造部材は、破断しにくいため、実質的に、乾式壁1よりも引抜きに対して抵抗力がある。アンカー10は、別の多層乾式壁(すなわち別の脆い材料)に対して取付けられた乾式壁1に用いられてもよいが、本発明では、木製構造柱のような構造部材2とともに使用することについて説明する。
【0019】
図7に示すように、取付用締結具4は、取付けねじのようなねじ締結具であることが望ましい。なお、取付けねじは、細長い軸34を有し、一端には頭部35があり、他端には先端36がある。取付用締結具4は、アンカー10内部の穴8と係合するねじ5を備えている。取付用締結具4のねじ5は、UNC(ユニファイ並目)又はUNF(ユニファイ細目)のねじのような、規格ねじとすることができるが、特殊なねじとしても良い。取付用締結具4は、規格の#6、#7又は#8UNCねじであってもよく、頭部35にはフィリップス型式の凹部があり、長手方向の全長が約12.7mm(1/2インチ)から約50.8mm(2インチ)以上であり、20.3mm(1+1/4インチ)であることが望ましい。取付用締結具7は、ねじ密度が25.4mm(1インチ)当り約8条から約18条であってもよく、25.4mm(1インチ)当り15条であることが望ましい。
【0020】
取付用締結具4は、物品3の厚さATに合わせて様々な長さを持つことができる。アンカー10は、図7に示すように物品3が比較的薄い場合や比較的厚い場合に、長い取付用締結具4がアンカー10とともに使用できるように設計されていることが望ましい。物品3が比較的厚い場合は、アンカー10との係合長さをより長くする必要がある。アンカー10は、後述のように、取付用締結具の先端36がドリル先端16の元々の位置を越えて伸びることが可能な形状になっているので、当アンカー10よりも長い取付用締結具4を許容する。アンカー10は、取付用締結具4の先端がドリル先端16よりも伸びることを可能にしているので、取付用締結具4よりも短くともよい。アンカー10は、構造部材2内の埋め込みの深さに制限があるので、短いアンカー10が望ましい。これにより、締付けトルクが減少し、製造コストが安くなるので、取付けの際に取扱が容易になるとともに安定に保ちやすくなり、ねじ込む時間が短いため、ユーザーが複数のアンカー10を比較的短時間で最小の労力にて取付けることができる。
【0021】
アンカー。
図2、図3、及び図7に示すように、アンカー10は、おおよそ中空で細長いボディ12を備えている。ボディ12には軸6と、取付用締結具4を受入れる軸方向の穴8を囲む薄い壁38とがある。なお、軸方向の穴8は、細長いねじ式取付用締結具4を受入れるようになった、おおよそ円筒形の細長い部分と一組のスプライン44とを有する。ボディ12の鍔状端部14には、フランジ40が設置されている。なお、フランジ40には、フィリップス型式の凹部42内の面15のようなトルク伝達面がある。フィリップス型式の凹部42は、ドライバが外れるのを防ぎ、鍔状端部14に最も近い軸方向に伸びた基部18と、基部18と先端部22との間で軸方向に伸びた中間部20と、軸方向に伸びた先端部22と、及び通常は鍔状端部14とは反対側のドリル先端16とを最小にするために、フィリップス・スクウェア・ドライブ(ドライバ用フィリップス四角穴)であっても良い。なお、中間部20は、先端部22に向かってテーパーとなり、先端部22は、ドリル先端16に向かってテーパーになっている。アンカー10は、フィリップス型式ドライバのような手動式ドライバにより手動でねじ込み可能であることが望ましいが、機械式ドライバによりねじ込み可能であってもよい。
【0022】
図1から図3に示した実施形態では、アンカーボディ12には、基部18、中間部20、先端部22に位置する第1雄ねじ19、21、23’と、先端部22に位置する第2雄ねじ23”とが、含まれる。なお、第2雄ねじ23”は、第1雄ねじ23’のねじ山の間にある。第1雄ねじ19、21、23’及び第2雄ねじ23”は、いずれも、ねじ山径及びドリル先端16に最も近いリード56を有する。基部18における第1雄ねじ19は、ねじ山径DCと、乾式壁1を把持するための高いねじ山高さDHを持つ。中間部20における第1雄ねじ21は、ねじ山径DCよりも実質的に小さいねじ山径MCと、高いねじ山高さDHよりも実質的に低いねじ山高さMHを持つ。先端部22における第1雄ねじ23’は、ねじ山径DCよりも実質的に小さいねじ山径TCと、高いねじ山高さDHよりも実質的に低いねじ山高さTHを持つ。第1ねじ19、21、23’には、高いねじ山高さDHとねじ山高さMHとの間に、移行領域62がある。第2雄ねじ23”は、ねじ山径DCよりも実質的に小さいねじ山径TCと、高いねじ山高さDHよりも実質的に低いねじ山高さTHを持つ。
【0023】
図7に示すように、アンカー10は、アンカー10が取付けられた場合に、取付用締結具先端36をアンカー10のドリル先端16の元々の位置を越えて伸ばせるようにする手段を有することが望ましい。アンカー10は、取付用締結具先端36がアンカー10のドリル先端16を越えて伸びるように、取付用締結具4がアンカー10を貫通可能とする薄い壁38を、有してもよい。壁38を薄くすると、アンカー10の谷径が小さくなり、必要取付トルクが小さくなる。更に、壁38を薄くすると、アンカー10は、アンカー10の谷底を比較的小さくしたままで、外径が比較的大きな取付用締結具4を収容可能となる。例えば、壁38が0.508mm(0.02インチ)厚であり、後述のように充分に大きな一組のスプライン44があれば、アンカー10は、取付用締結具のねじ5が壁38に雌ねじを切ることなく、#6ねじ付き外径約3.56mm(0.14インチ)の取付用締結具、又は、#8ねじ付き外径約4.06mm(0.16インチ)の取付用締結具を、受入れることができる。また、壁38を薄くすると、アンカー10は、少量の材料で製造可能となるので、安価に製造できるようになる。一実施例では、アンカー10の壁38は、約0.254mm(0.01インチ)から約1.27mm(0.05インチ)であり、望ましくは約0.381mm(0.015インチ)から約0.762mm(0.03インチ)であり、更に望ましくは約0.635mm(0.025インチ)である。
【0024】
図3に示す一実施例では、スプライン44は、取付用締結具4と係合するように、アンカー10の穴8に設けられている。取付用締結具のねじ5は、取付用締結具4がスプライン44とそれゆえアンカー10と係合するように、相手側雌ねじ45をスプライン44内に切る。また、スプライン44は、アンカー10のボディ12が乾式壁及び構造部材2へねじ込まれる際にねじり力に耐えられるように、アンカー10に対して構造上の補強を加えている。
【0025】
スプライン44のある穴8の有効径は、外径すなわち取付用締結具4のねじ山径より小さいが、取付用締結具4の谷底ほど小径ではないので、スプライン44には取付用締結具4によりねじ切りされ、相手側雌ねじ45が形成される。穴8の有効径が、外径約3.454mm(0.136インチ)の#6のねじ付き取付用締結具4が、スプライン44に雌ねじを切るのには充分に小径であり、壁38内径が、外径約4.17mm(0.164インチ)の#8のねじ付き取付用締結具4がスプライン44にのみねじを切り、壁38にはねじを切らない大きさとなるように、内壁38からのスプラインの高さ44が選択されることが望ましい。好適な実施形態では、穴8は、壁38における内径が約4.32mm(0.17インチ)から約5.33mm(0.21インチ)であり、望ましくは約4.57mm(0.18インチ)から約5.08mm(0.2インチ)であり、より望ましくは約4.83mm(0.19インチ)であり、スプライン44は、高さが約0.381mm(0.015インチ)から約1.14mm(0.045インチ)であり、望ましくは約0.635mm(0.025インチ)から約0.889mm(0.035インチ)であり、より望ましくは約0.762mm(0.03インチ)であり、その結果、穴8のスプライン44における有効径は、約2.79mm(0.11インチ)から約4.06mm(0.16インチ)であり、望ましくは約3.05mm(0.12インチ)から約3.68mm(0.145インチ)であり、より望ましくは約3.30mm(0.13インチ)である。
【0026】
アンカー10は、アンカー10を乾式壁1及び構造部材2にねじ込むねじり力に充分耐えられるように強く、しかも、ねじ式取付用締結具4が雌ねじを切るのに充分な展性がある材質で、製造される。アンカー10の材質は、取付用締結具4の先端36がアンカー10のドリル先端16を越えて伸びてゆくことができるように、締結具4により貫かれたり破断したりすることが可能であることが望ましい。また、アンカー10は、その特定の形状に容易かつ安価に形成可能な材料で製造することができる。アンカー10は、錫ベースの合金、アルミベースの合金、マグネシウムベースの合金、銅、銅合金又は真鍮、及び亜鉛ベースの合金のような、アンカー10の形状へダイキャスト可能な金属又は合金製であってもよい。一実施例では、アンカー10は、Zamac1のような亜鉛合金製である。
【0027】
また、アンカー10は、例えば、デルロン、ナイロン、フィラー充填ナイロン(例えばガラス充填ナイロンのような)等のエンジニアリングプラスチックのような、プラスチックその他の高分子材料製であってもよい。但し、アンカー10は、アンカー10を乾式壁1及び構造部材2へねじ込むねじり力に充分耐えられる強度に製造されるべきである。
【0028】
先端部。
図1から図4に示すように、先端部22により、アンカー10は、ユーザーが手動でねじ込むことにより、乾式壁1及び構造部材2に穴をあけることができるので、事前の穴あけ工程を別途行う必要はない。先端部22には、ドリル先端16が含まれ、図2に示す好適な実施形態では、ドリル先端16は、ドリル先端16がボディ軸6の先端点46にくるように、おおよそ円錐状でありボディ12と同軸となっている。ドリル先端16は、乾式壁1の表面48及び構造部材2の前面と迅速に係合し案内する鋭利な先端点46を含む。また、ドリル先端16は、図6に示すように、アンカー10が乾式壁1及び構造部材2に最初に係合する手助けをするため、ドリル先端16の下部に平坦部52を含めることができる。
【0029】
先端部22は、乾式壁1及び構造部材2を係合させるために先端部22に設けたドリルねじ23を有する雄ねじを含む。ドリルねじ23は、谷底30及びねじ山31を含んでおり、ねじ山径TCは、乾式壁把持ねじ山の直径DCよりも実質的に小さく、ねじ山高さDHは、乾式壁把持ねじ山高さDHよりも実質的に小さい。また、ドリルねじのねじ山高さTHは、構造部材2への締付けトルクが、標準ユーザーにより手動で達成でき、アンカー10を構造部材2にねじ込めるように、充分小さくなっている。また、図3に最も良く示すように、ねじ23は、ねじ23のベース部と谷底30との間が湾曲しており、ねじ23のベース部に応力が集中しないようになっている。
【0030】
図2及び図3に示すように、ドリルねじの谷底30は、中間部20からドリル先端16へテーパーがついており、ドリル先端16に最も近いドリルねじの谷底30の断面積は、中間部20における断面積よりも小さくなっている。ドリルねじ23のねじ山高さTHは、先端部22の全長にわたって、実質的に一定のままとなっている。但し、谷底30が、特にドリル先端16のところで比較的小さくなっているので、ねじの高さTHは、例えば、構造部材把持ねじ21のねじの高さMHよりも高くするというように、高くなっていてもよい。これは、谷底30を小さくすることにより、ねじ山径TCを過大にすることなく、ねじ山高さを大きくすることができるからである。
【0031】
先端部のねじ23及び中間部のねじ21は、乾式壁1を貫いて乾式壁1と係合し、アンカー10を乾式壁1へねじ込む。乾式壁の裏側の構造部材2がある位置へ、アンカー10がねじ込まれると、ドリル先端16は、構造部材2に突き当たり、構造部材2が、例えば木製柱のように乾式壁1よりも硬ければ、アンカー10は、通常、軸方向に構造部材10の中へと進むことなく乾式壁1内で空転してしまう。ここで、そのことをストールと称する。アンカー10がストールすると、先端部のねじ23及び中間部のねじ21は、ドリル先端が構造部材2へねじ込まれてゆくに従って、乾式壁1に所定サイズの穴を開ける。最終的に、ドリル先端16は、構造部材2の中へ、所定深さ(通常は3.18mm(1/8インチ)から6.35mm(1/4インチ))まで穴を開ける。これにより、先端部のねじ23は、構造部材2と係合でき、乾式壁把持ねじ19が乾式壁1と係合できるように、アンカー10を構造部材2及び乾式壁1内へ引張り始める。
【0032】
乾式壁と乾式壁把持ねじ19との間に発生する把持力に関して、中間部のねじ21により乾式壁1に開けられた穴のサイズが重要であることが発見された。アンカー10が乾式壁内にのみねじ込まれる場合には、特に重要である。ねじ山径が約12.7mm(1/2インチ)の乾式壁ねじについては、乾式壁に開く穴は、直径が約6.35mm(1/4インチ)となることが理想的である。従って、先端部22は、乾式壁1内でアンカー10の引抜き強度を、実現可能な程度にまで最大化させるように、乾式壁に穴を開けるように設計されている。
【0033】
図2に示すように、特に、アンカー10が乾式壁1に対してのみねじ込まれて、取付位置の裏側に構造部材2が存在しない場合には、先端部22は、少なくとも1つのウイング54を含むことができる。ウイング54は、先端部22から径方向に外方へ突出して、乾式壁1の穴を拡げ、乾式壁1における引抜き強度を最大化するように選ばれた所定の直径の穴を形成する。ウイング54は、フランジ40に最も近い基部10の谷底の半径にほぼ等しくなった軸6から一定距離だけ伸びることが望ましい。なお、谷底の半径は、谷底の直径DRの半分である。ウイング54は、構造部材2に対しては穴を拡げずに、乾式壁1に対してのみ穴を拡げるように、構造部材2に突き当たると破断するように設計されている。
【0034】
図2に示す実施形態では、先端部22は、先端部22から径方向に外方へ突出した一対のウイング54を含んでいる。ウイング54は、先端部22の外周に均等配置されているので、一対のウイング54の各々は、約180°離れている。ウイング54は、径方向に外方へ突出しているので、ウイング54をまたぐ幅WWは、フランジ40近傍の基部18の谷径DRにほぼ等しくなる。ウイング54により拡げられた穴は、谷径DRにほぼ等しくなり、ウイング54は乾式壁1に必要な程度に穴を大きくして、乾式壁把持ねじ19との係合に必要な量のみ乾式壁1を残すことが望ましい。
【0035】
ドリル先端16が構造部材2に突き当たると、上述のように、ドリル先端16が構造部材に穴をあけながら一時的なストールが生じるので、アンカー10のねじは乾式壁1のねじ山をすり減らし始める。このため、ドリルねじ23が構造部材2に食込み、先端部22が構造部材に迅速に穴を開けて、アンカー10が進行する前に乾式壁のねじ山をすり減らし過ぎないようにして、乾式壁1の面48を傷つけないようにすることが、重要である。ドリルねじ23は、ドリルねじ23が構造部材2と迅速に係合するように、ドリル先端16に最も近い軸方向の位置へ可能な限り伸びてゆく。好適な一実施例では、ドリルねじ23は、実質的に前記ドリル先端16へ伸びて、図1、図2、及び図5に示すように、ドリルねじ23のリード56は、ドリル先端点46から軸方向に約0mm(0インチ)で設置される。なお、ドリルねじ23は、実質的にドリル先端16まで充分に(約1.52mm(0.06インチ)のところまで)伸びている。理想としては、ドリルねじ23はドリル先端16の最後まで伸びていることが望ましい。すなわち、先端点46とリード56との間があいていないということである。但し、ドリル先端は、先端に至ると谷底の直径が実質的に0mm(0インチ)となり、このようなドリル先端において、ドリルねじは実際には軸となる。このことより、ドリルねじが構造部材2と係合するのが困難になることがある。この理由から、ドリルねじ23のリード56は、ドリル先端16からわずかに間隔をあけて(例えば0.508mm(0.02インチ))設置されてもよい。
【0036】
アンカー10には、特にドリル先端16にて潰れてしまわずに強いねじり力に耐えられるように、充分な構造上の強度がある。上述のように壁38が薄くなると、アンカー10が潰れやすくなる。構造部材へねじ込まれる際に、薄い壁38は、アンカー10にかかる強いねじり力をほとんど支持できない。このことから、アンカー10、特にドリル先端16は、補強要素を含む。ドリルねじ23は、ドリル先端16に対して構造上の補強効果を有する。アンカー10を構造部材2にねじ込むのに強いねじり力を伴うため、この構造上の補強は重要である。特に、アンカーの壁38は薄く、それ自体によってはあまり構造上の補強を提供できないため、このことは重要である。
【0037】
図1及び図2に示すように、先端部22の外部ねじ23は、おおよそ螺旋状になって2条に配列された2つのねじ23’、23”を、含むことができる。ねじ23’、23”の2条構造により、先端部22周辺の構造が強化されて、アンカー10を構造部材2へねじ込むねじり力により先端部22が潰れないようにしている。また、2条ねじ23’、23”とすることで、構造部材2へ安定してねじ込まれるようになり、ドリル先端16を構造部材2と強く係合させることができる。更に、二重リードのねじ23’、23”は、アンカー10が迅速に係合して構造部材2へねじ込まれるように、ドリル先端16に最も近い軸方向の位置へ伸びる。
【0038】
2条の各ねじ23’、23”は、ねじ23’、23”の一方が他を追い越さないように、実質的に同じピッチPであることが望ましい。第2ねじ23”は、第1ねじ23’に対して、ねじ23’、23”のピッチPの約半分(すなわち、5.08mm(0.2インチ)のピッチに対しては約2.54mm(0.1インチ))だけ、軸方向に間隔をあけた位置をとる。先端部22に沿った全ての軸方向位置において、両側にねじ23’、23”があり、構造上の補強を加えている。2条のねじ23’、23”は、実質的に同じねじの高さTHになっていることが望ましい。
【0039】
2条ねじの第1ねじ23’は、第2ねじ23”が先端部にのみ設置されている一方で、中間部20にてねじ21としてつながっていてもよい。また、両ねじ23’、23”は、中間部20においても2条ねじとして続いており(図示せず)、中間部20に先端部22と同様の構造上の補強を加えてもよい。第2ねじ23”が中間部20へ伸びると、構造部材2に対する把持力が強化される。
【0040】
中間部。
上述のように、取付用締結具の先端36は、ユーザーが様々な長さの取付用締結具4を使用できるように、アンカー10のドリル先端16を越えて伸びるようになっていることが望ましい。但し、取付用締結具4が構造部材2と係合するときに、アンカー10が構造部材2を適切に把持していないと、取付用締結具4の回転により、取付用締結具のねじ5はアンカーを乾式壁1から外してしまう。これは「ジャッキング」として知られており、アンカー10は完全に破損し、乾式壁把持ねじ19は乾式壁1を傷つけてしまう。取付用締結具4が構造部材2へねじ込まれる時、構造部材把持ねじ21とドリルねじ23とを介して、アンカー10と構造部材2とを確実に係合させることにより、ジャッキングが起こりにくくなる。取付用締結具4がアンカー10を貫通しない場合、中間部20の把持力は、あまり重要ではない。但し、それでもなお、構造部材2との係合がアンカー10保持力の主要な根源となるため、アンカー10が構造部材2と適切に係合することが望ましい。
【0041】
図2及び図3に示すように、構造部材把持ねじ21は、中間部20に位置しており、谷底28及びねじ山29を含み、ねじ山径MCは、乾式壁把持ねじのねじ山径DCよりも実質的に小さい。図2に示す実施形態では、中間部20の谷底28は、おおよそ、円錐台状であり、谷底28が先端部22に向かってわずかにテーパーになって、特に木製構造部材において、アンカー10の必要取付けトルクを最小化している。これは、中間部20における谷径MR及びねじ山径MCを、小さくできるためである。一実施例では、構造部材把持ねじの谷底28は、約1/2度から約4度、望ましくは約2+1/4の角度のテーパーがついている。
【0042】
中間部20における最大のねじ山径MCは、乾式壁把持ねじ19と乾式壁1との把持力を最大化するように選択されることが望ましい。特に、アンカー10が乾式壁に対してのみ取付けられる場合には、そのようになる。例えば、アンカー10の乾式壁把持ねじの山の直径DCが約12.7mm(1/2インチ)であると、最大の構造部材把持ねじの山の直径MCは、約6.35mm(1/4インチ)以下であることが望ましい。
【0043】
以下に示す乾式壁把持ねじ19とは異なり、構造部材把持ねじ21は、ねじ山高さMHが、乾式壁把持ねじ19のねじ山高さDHよりも実質的に低くなっている。また、中間部20のねじ山径MCは、基部18のねじ山径DCよりも実質的に小さくなっているので、木製柱のような構造部材2にて必要とされる締結トルクが過大にはならない。構造部材把持ねじ21の山の直径MC及びねじ山高さMHは、上述のように、アンカー10が構造部材2へねじ込まれるときにストールする際、乾式壁1を傷つけたり破断させたりしないように、構造部材把持ねじ21がストール中には乾式壁と係合すること(乾式壁1が構造部材から離れるようにジャッキをかけることになる)の無いように、充分小さく選択されることが望ましい。
【0044】
中間部20及び先端部22のねじ山高さMH、THが高くなると、構造部材2における引抜き強度が大きくなるのであるが、これにより、アンカー10を木製その他の構造部材の材質へねじ込むのに必要なトルクが大幅に増加してしまい、ユーザーがアンカー10を取付けるのが難しくなる。手動式ドライバによる場合には、特に難しくなる。従って、ねじの高さMH、THは、中間部20が構造部材2へねじ込まれるときに許容可能なトルクとなるように、選択されるべきである。
【0045】
図1に示す一実施例では、中間部20のねじ21は、おおよそ、螺旋状のねじ21がドリルねじ23’の延長であり、乾式壁把持ねじ19(後述)へ伸びたものでる。また、中間部20の雄ねじ21を、先端部に示した2条のものと同様に2条として、中間部20に構造上の補強を加えてもよい。また、中間ねじ21は、ねじ21のベース部と谷底28との間に湾曲部を有して、ねじ21のベース部に沿って応力集中が発生しないようにしてもよい。
【0046】
中間部20と先端部22とが組み合わされた長さMLは、乾式壁1の厚さTよりも長いことが望ましく、アンカー10が構造部材2にねじ込まれる前にストールする場合に、基部18(後述)のねじ19の直径が大きいと、乾式壁1に対して係合しなくなる。これにより、乾式壁1をすり減らすとともに、乾式壁1の表面に大きな傷をつけてしまいやすくなる。また、長さMLは、乾式壁把持ねじ19が乾式壁1と係合する前に、先端部22が、乾式壁に対する穴開けを完了できるように、充分長くなっている必要がある。特にアンカー10が乾式壁にのみねじ込まれる場合には、そのようになっている必要がある。このことは、材料へねじ込むと、雌ねじ付き材料へねじ込むよりも、軸方向への進み方が緩やかになる傾向があるので、望ましいことである。例えば、アンカー10は、乾式壁1へねじ込まれるよりもはるかに早く、乾式壁把持ねじ19により乾式壁1へねじ込まれる。乾式壁把持ねじ19が乾式壁1と係合する前に、穴開け工程が完了していない場合、アンカー10を通すよりも、乾式壁把持ねじ19が乾式壁1をすり減らしてしまいやすくなる。更に、中間部20及び先端部22の長さMLと、アンカー10をねじ込むのに必要な締結トルクとのバランスをとるのは、重要なことである。特に、構造部材2へねじ込む場合には重要である。
【0047】
図1及び図2に示す実施形態に示すように、中間部20は、構造上の補強のためのリブ58を有する。リブ58は、軸方向に伸びて、中間部20の谷底28からわずかに径方向に外方へ突出していることが望ましい。リブ58は、更に基部18又は先端部22に位置して、構造部材2への穴開けとねじ込みの際のアンカー10に沿った構造上の補強を更に加えてもよい。
【0048】
好適な一実施例では、アンカー10は、2条のドリルねじ23’、23”及び軸方向のリブ58を含む。これらは、連携して先端部22及び中間部20の周囲に格子を形成して、アンカー10を構造部材2へねじ込むねじり力が大きいことによってアンカー10が破壊しないようにしている。また、図3に示す穴8の中のスプライン44は、アンカー10の格子構造を強化している。
【0049】
基部。
図1から図4に示すように、基部18は、アンカー10が物品3の荷重を乾式壁1で支持するように取付けられる場合、特に、アンカー10が乾式壁に対してのみねじ込まれる場合、乾式壁1との係合用雄ねじを有する。乾式壁把持ねじ19は、乾式壁把持ねじ19と乾式壁1とが係合するように、乾式壁1内に相手側雌ねじ60を切ってゆく。雄ねじは、直径DCのねじ山27及び直径DRの谷底26を有して基部18に位置するねじ19を含む。乾式壁把持ねじ19は、ねじ山27と谷底26との間の距離、すなわち、ねじ山高さDHが、構造部材把持ねじ21及びドリルねじ23と比べて高くなるように、高いねじになっている。乾式壁把持ねじ19を高くすることは、乾式壁1に雌ねじを切る乾式壁把持ねじ19の表面積を最大化するのに役立ち、引抜き強度が増大する。乾式壁把持ねじ19のねじ山高さは、構造部材把持ねじ21及びドリルねじ23の高さMH、THよりも実質的に高い。このことにより、乾式壁1における引抜き強度が増大する。乾式壁把持ねじの山27の直径DCは、基部18の全長にわたって実質的に同じでもよい。一実施例では、ねじ山27の直径DCは、谷底26の直径DRの約2倍になっている。
【0050】
図5に示すように、乾式壁把持ねじが乾式壁1の裏面50の紙に係合するように、乾式壁把持ねじ19の1回転の3/4程度が乾式壁1の後側に係合する。乾式壁の裏面50の紙51に係合することは、アンカー10を乾式壁に対してのみねじ込む場合に、特に重要である。なぜなら、紙51との係合が、アンカー10と乾式壁1との把持力の相当な部分を提供していることが、発見されたためである。高い乾式壁把持ねじ19の山により、アンカー10を構造部材2にねじ込むために非常に大きなトルクが必要になるため、乾式壁把持ねじ19は、構造部材2へねじ込まれることが意図されているわけではない。
【0051】
図2及び図3に示すように、基部18の谷底26は、中間部20に向かってテーパーになっていて、谷底26は、おおよそ、円錐台状になり、基部18の上部における谷底26の直径が、基部18の下部における谷底26の直径よりも大きくすることができる。図2に示す実施形態では、基部18におけるテーパーの谷底26及び中間部20におけるテーパーの谷底28は、おおよそ、連続しており、テーパーはほぼ同じ角度となり、谷底26、28がおおよそ、同一の円錐台に沿うようになって、アンカー10を弾丸型の形状としている。
【0052】
図1に示す実施形態では、基部18における雄のねじ19は、構造部材把持ねじ21と連続した1本のねじ19であるが、乾式壁把持ねじ19は、図2及び図3に示すように、ねじ山径DC及びねじ山高さDHが、中間部20におけるねじ山径MD及びねじ山高さMHよりも、実質的に大きくなっている。一実施例では、基部18におけるねじ山径DCは、中間部20におけるねじ山径MCの約2倍である。
【0053】
中間部20と基部18との間には、移行領域62があり、ねじ山径及びねじ山高さは、構造部材把持ねじ21から乾式壁把持ねじ19へ拡大してゆくことが、望ましい。一実施例では、移行領域62は、ねじの1回転の約3/4にわたっている。図1に示すように、乾式壁把持ねじ19は、おおよそ、らせん状であることが望ましい。また、乾式壁把持ねじ19は、上述のように、2本のねじによる2条螺旋ねじになっていて、2条螺旋ねじのうちの一方のねじが、乾式壁把持ねじ19のねじ山高さDHよりも低い細目ねじであってもよい。この第2ねじにより、アンカー10は更に補強される。また、乾式壁把持ねじ19は、ねじ19のベース部と谷底26との間が湾曲部になっていて、乾式壁のねじ19のベース部に応力が集中するのを最小化している。
【0054】
図2及び図4に示すように、乾式壁把持ねじ19の上端は、フランジ40とは間隔をあけて位置付けされ、フランジ40と乾式壁把持ねじ19との間に首部64を形成している。首部64により、フランジ40の上面が、図4に示すように乾式壁と同じ高さかそれより下に着座するようになる。なぜなら、フランジ40に達する前の首部64におけるねじ19の不連続部により、乾式壁1に形成された雌ねじ60内に空間が形成され、この空間が、フランジ40による近傍材料の圧縮を可能にするからである。また、首部64により、乾式壁把持ねじ19は、乾式壁表面48の紙49に対して確実に間隔をあけるようになるので、乾式壁把持ねじ19は、紙と係合してそれに絡みつき、乾式壁表面48に望ましくない外観をもたらすことがなくなる。首部64は、長さNLが約0.762mm(0.03インチ)から約2.54mm(0.1インチ)、望ましくは約1.78mm(0.07インチ)とすることができる。
【0055】
フランジ40を含む基部18の長さDLは、図4に示すように、乾式壁1の厚さTよりもわずかに長いことが望ましく、これにより、乾式壁1の裏面50の背後に、乾式壁把持ねじ19の一部がきて、裏面の紙51と係合することが望ましい。基部18の長さDLを慎重に選択し、アンカー10を構造部材2が設置されている位置へねじ込む場合、乾式壁1の裏面50にある紙51に係合する乾式壁把持ねじ19の長さを、乾式壁把持ねじ19の長さを構造部材2へねじ込むのに必要なトルクとバランスさせることが重要である。更に、アンカー10は、様々な厚さの乾式壁1に使用可能であることが望ましい。基部18を所定長さDLとすることにより、ねじ19は、裏面の紙51を乾式壁1における所定厚さのところに係合させることが可能となるが、裏面の紙51を厚い乾式壁内で係合させるには短すぎることにもなりうる。あるいは、その反対に、基部18があまり長いと、薄い乾式壁については、乾式壁把持ねじ19のかなりの部分が構造部材へねじ込まれねばならなくなる。すると、必要締結トルクが大きくなる。
【0056】
乾式壁把持ねじ19のピッチPは、乾式壁1内で乾式壁把持ねじ19が少なくとも完全に1回転するように、選択されることが望ましい。そして、1+3/4回転から2+1/4回転であることが望ましく、乾式壁1内に埋め込まれた乾式壁把持ねじ19が完全に2回転することが、更に望ましい。一実施例では、厚さが12.7mm(1/2インチ)あるいは15.88mm(5/8インチ)の乾式壁1について、乾式壁把持ねじ19のピッチPは、約3.18mm(1/8インチ)から約7.62mm(0.3インチ)である。乾式壁把持ねじ19のピッチは、構造部材把持ねじ21及びドリルねじ23のピッチとほぼ等しいことが望ましい。一実施例(図示せず)では、移行領域62に最も近い乾式壁把持ねじ19のピッチは、鍔状端部14に最も近い残りの部分のピッチよりも大きくなっている。このようにピッチが大きくなったねじが乾式壁1と係合すると、アンカー10を乾式壁10へ比較的迅速に引き込むことになり、発生しがちなあらゆるジャッキングを抑制するのに役立つ。
【0057】
鍔状端部。
図1から図4に示すように、フランジ40は、アンカー10の鍔状端部14に位置し、直径FDが、乾式壁把持ねじの谷底26に比べて大きくなっており、フランジ40が乾式壁表面48上の紙49と係合できるようにしている。一実施例では、フランジ40は、フランジ径FDが約11.4mm(0.45インチ)から約15.2mm(0.6インチ)であり、約13.1mm(0.515インチ)であることが望ましい。また、フランジ40は、ユーザーがアンカー10をドライバで回転できるように、トルク伝達面15がある。フランジ40には、ドライバ43の先端を受けるための溝42を含むことができる(図8参照)。なお、溝42は、特定の種類のドライバに対応させて構成される。溝42には、フィリップス型式ドライバを受けるためのフィリップス型式の凹部がある。
【0058】
溝42は、穴8の内径より大きくドライバ43に対応した有効径を有しており、アンカー壁38が、溝42にて、アンカー10に沿った他の軸方向位置におけるよりも薄くなっている。アンカー10にかかる全トルクが溝42に集中しがちなので、鍔状端部14は、アンカー10が完全にねじ込まれる前に破断することがある。特に、アンカーが構造部材2へねじ込まれる場合には、アンカー10を構造部材2へねじ込むのに強いトルクが必要になるので、破断しやすい。図3に示す一実施例では、アンカー10は、溝42において壁39が拡がっていて、溝42を補強する隆起66を形成している。隆起66における拡がった壁39は、溝42の軸方向の全長にわたり、アンカー10をねじ込む際に、溝42を充分に支持する。
【0059】
木製構造部材2の木材の硬度及び密度は、非常に多岐にわたる。硬度及び密度が多様であるため、フランジ40を乾式壁1内に着座させるのに必要な締結トルクが様々となるので、フランジ40の後面41は乾式壁48の表面と面一になるか、あるいはそれよりも低くなる。更に、アンカー10をねじ込むのに必要なトルクは、アンカー10を乾式壁1及び構造部材2内にねじ込むのみのときと比較して、フランジ40を乾式壁内に着座させるときに著しく増加する。ある種の場合には、着座トルクがあまりに増大するので、ユーザーがこのように大きなトルクを加え、過大なトルクを与えがちとなり、フランジ40を取付けるのみにとどまらず、ユーザーは、アンカー10を回し過ぎて、乾式壁1をいくらかすり減らしてしまう。必要な締結トルクが過大になると(すなわち、5.65Nm(50インチ・ポンド))、標準手動工具でフランジ40を取付けるのは困難又は不可能となる。
【0060】
この着座の問題を解消するために、アンカー10のフランジ40は、ユーザーに要求されるトルクの負荷を減少させるように、改良されてもよい。一実施例(図示せず)では、アンカー10には、フランジがないか、あるいは、乾式壁把持ねじ19のねじ山径DCよりも小径のフランジがついているので、必要な着座トルクは充分に減少する。このことにより、ユーザーは、フランジあるいはアンカー後端部を着座させやすくなり、トルクの不正常な増加が相当に減少しているか、あるいは消滅しているため、回転させ過ぎる可能性は少なくなる。
【0061】
破断フランジ。
図8に示すように、アンカー10には、破断フランジ40’がある。アンカー10には、刻み目、切欠き、スリット、又は小孔のような弱体化要素の破断領域68があり、一旦、ドライバ43がアンカー10に所定のトルクを加えると、フランジ40’がアンカーボディ12から破断するというように、所定のトルクで破断する。破断領域68は、アンカー10の軸方向位置に設置され、フランジ40’が破断した場合に、アンカーボディ12における残りの破断していない部分が、乾式壁表面48より下にくるものであり、アンカー10は依然として機能して、取付用締結具4を受入れることができる。フランジ40’の所定の破断トルクは、アンカー10を実質的にその全長にわたり乾式壁1及び構造部材2へねじ込むのに、通常、必要なトルクを超えた所定値をとり、フランジ40’が破断すると、アンカー10における残りの最も外側の部位は、乾式壁表面48と面一になるか、あるいはわずかに沈むようになっている。これにより、用途次第で追加仕上げをしたりしなかったりする良好な仕上げ外観を備えることとなる。
【0062】
以上で、本発明に係るアンカーの特徴について記述した。本発明に係る実施形態について以下に説明する。
【0063】
先端破断型の実施形態。
図1から図4及び図7に示すように、アンカー10の一実施例では、中間部20及び先端部22の少なくとも1つが弱体化されており、取付用締結具4が、ボディ12の一部16’を破断させて(図7参照)、取付用締結具の先端36がドリル先端16の元々の位置(図4参照)を越えて伸びることが可能になっている。
【0064】
アンカー10の先端破断型の実施形態は、アンカー10よりも長い取付用締結具4が用いられる場合に、図7に示すように、取付用締結具先端36が、アンカー10のドリル先端16を破断又は貫通して、アンカーボディ12よりも伸びることができるように、アンカー10と取付用締結具4のユーザーが、アンカー10が取付用締結具4を支持するのに充分長いかどうか心配することなく、物品3の様々な厚さに対応させて、特に長い取付用締結具4が使用できるように設計されている。又、取付用締結具先端36が、アンカーボディ12を貫通せずに穴8の中に残るような、短い取付用締結具4も使用可能である。
【0065】
図4及び図7に示すように、アンカー10の取付け後、取付用締結具4は、取付用締結具先端36が内側の穴8の奥部9を押すまで、穴8の中へねじ込まれる。なお、奥部9は、先端部22内の軸に設置されている。ユーザーが取付用締結具4をねじ込み続けると、先端部22にかかる押圧力が、先端部22の一部を、アンカーボディ12から破断分離させるのに充分大きくなる。図7に示す実施形態では、ドリル先端16’は、先端部の周囲を破断させ、取付用締結具4と係合したままであるので、ドリル先端16’は、取付用締結具4により構造部材内へ深く押し込まれる
【0066】
図1から図3における実施形態に示すように、先端部22は、アンカーボディ12の構造上の弱体化要素を含み、ドリル先端16が要求位置で確実に破断するようにしている。弱体化要素の一実施例として、軸方向の要求破断位置における、縦方向又は横方向の切欠き70のような、ねじ23内の破断個所がある。ねじ23により構造的補強がされるので、ねじ23における切欠き70が、アンカーボディ12内の構造上弱い部位となり、取付用締結具4が穴の奥部9を押すことにより発生する引張力に耐えられなくなる。また、切欠き70は、ねじ23が、取付用締結具4の回りで逆転しないようにするのにも役立つ。これにより、取付用締結具4がアンカー10から取り外される場合、アンカー10が乾式壁1から緩むことがないようになっている。一実施例では、切欠き70は、幅が約4.32mm(0.17インチ)であり、ねじ面における深さは約0.762mm(0.03インチ)である。
【0067】
図3に示すように、他の弱体化要素として、穴8の径に、軸上の要求破断位置にて、鋭い段をつけるということがある。段72があると、応力集中を発生させることが可能となり、これにより、ドリル先端16が段72にて破断する可能性が高まる。他の弱体化要素として、穴の奥部9のおおよそ円錐状の領域内における内部溝のような、アンカーボディ12におけるドリル先端16の要求破断位置にある溝又は小孔(図示せず)がある。
【0068】
図9及び図10に示す先端分割型の実施形態では、先端部22は、ドリル先端16に向かって軸方向に伸びる均等配置された軸方向のスリット74のような弱体化された領域を含む。弱体化された領域は、先端部22の壁38に弱体化された部分を備え、取付用締結具先端36が穴の奥部9を押してゆくと、取付用締結具4は、先端部22を、概ねスリット74’に沿って分割することになり、図10に示すように、ドリル先端16は、取付用締結具4により径方向に外方へ押される。ドリル先端16の分割された部分は、アンカーボディ12についたままであり、先端部のねじ23は、構造部材2と係合したままとなり、アンカー10と構造部材2とを強く係合させる。
【0069】
図2及び図3に示すように、アンカー10の先端破断型の実施形態には、先端部22から突出した一対のウイング54が含まれる。各ウイング54は、先端部22と結合しており、各ウイング54の一部がねじ23’、23”と結合し、各ウイング54の一部がドリルねじの谷底30に対して取付けられている。アンカー10のウイング54は、径方向に外方へ突出しているが、軸方向にわずかに下方へも伸びる先端55を備えている。その先端は、ドリル先端点46とほぼ同じ方向であり、紙49が裂けないように紙49に刻み目を入れる。一実施例では、ウイング54は、軸6から約2.54mm(0.1インチ)から約3.56mm(0.14インチ)、望ましくは約2.79mm(0.11インチ)だけ、先端部22から径方向に外方へ突出している。そして、ウイング54は、軸方向の長さが約1.52mm(0.06インチ)から約2.29mm(0.09インチ)である。一実施例では、一対のウイング54は、一対のウイング54をまたぐ幅WWが、約5.08mm(0.2インチ)から約7.11mm(0.28インチ)、望ましくは5.59mm(0.22インチ)となっている。
【0070】
現在使用されているほとんどの乾式壁1は、12.7mm(1/2インチ)又は15.9mm(5/8インチ)厚であるので、フランジ40を含む基部18の長さDLは、約11.1mm(7/16インチ)から約19.1mm(3/4インチ)、望ましくは約12.7mm(1/2インチ)から約17.5mm(11/16インチ)、更に望ましくは約15.9mm(5/8インチ)となる。基部18及びフランジ40の長さDLは、中間部20及び先端部22の長さMLとほぼ等しい。
【0071】
一実施例では、基部18は、ねじ山径DCが約11.4mm(0.45インチ)から約13.3mm(0.525インチ)、望ましくは12.2mm(0.48インチ)であり、フランジ40近傍での谷径DRが約6.10mm(0.24インチ)から約7.62mm(0.3インチ)、望ましくは6.35mm(1/4インチ)であり、ねじ山高さTHが約1.91mm(0.075インチ)から約3.56mm(0.14インチ)、望ましくは3.18mm(1/8インチで)ある。基部18における谷底26は、基部18の両側で、軸6に対して約1/2度から約3度、望ましくは約1度の角度で、中間部20に向かってテーパーとなっている。
【0072】
アンカー10の中間部20は、基部18近傍のねじ山径MCが約6.60mm(0.26)インチから8.89mm(0.35インチ)、望ましくは約7.11mm(0.28インチ)であってもよく、基部18近傍の谷径MRが約5.08mm(0.2インチ)から約6.35mm(1/4インチ)、望ましくは約5.59mm(0.22インチ)であってもよく、ねじ山高さMHが約0.254mm(0.01インチ)から約1.91mm(0.075インチ)、望ましくは0.889mm(0.035インチ)であってもよく、中間部20の谷底28は、軸6に対して約1度から約4度、望ましくは約2+1/4度の角度で、先端部22に向かってテーパーとなっている。図2に示す一実施例では、基部の谷底26についたテーパーの角度は、中間部の谷底28についたテーパーの角度と、実質的に等しい。
【0073】
アンカー10の先端部22は、最大のねじ山径TCが約5.84mm(0.23インチ)から約6.60mm(0.26インチ)、望ましくは約6.10mm(0.24インチ)であってもよく、最大の谷径TRが約4.57mm(0.18インチ)から約5.59mm(0.22インチ)、望ましくは約5.08mm(0.2インチ)であってもよく、ねじ山高さTHが約5.08mm(0.02インチ)から約1.78mm(0.07インチ)、望ましくは0.889mm(0.035インチ)であってもよい。ドリルねじの谷底30は、軸6に対して約10度から約20度、望ましくは約15度の角度で、ドリル先端16に向かってテーパーとなっている。中間部20及び先端部22の全長MLは、約12.7mm(1/2インチ)から22.2mm(7/8インチ)、望ましくは約15.9mm(5/8インチ)であってもよい。
【0074】
アンカー10は、軸方向に伸びた補強リブ58を備えており、補強リブ58は、構造部材把持ねじの谷底28に対して取付けられている。一実施例では、リブ58は、図2に示すように、従動側よりもドライバ駆動側(ねじ込み側)で幅広に谷底28から径方向に外側へ突出している。一実施例では、リブ58は、長さRLが約5.08mm(0.2インチ)から9.14mm(0.36インチ)、望ましくは7.11mm(0.28インチ)であり、幅RWが約1.02mm(0.04インチ)から約2.54mm(0.1インチ)、望ましくは2.03mm(0.08インチ)であり、リブ58は、谷底28から約0.381mm(0.015インチ)突出している。
【0075】
缶切型の実施形態。
図11から図13に示すように、アンカー10bの缶切型の実施形態が示されている。この実施形態では、中間部20b及び先端部22bの少なくとも一方の外径が、取付用締結具4のねじ山径すなわち外径よりも小さくなっているので、取付用締結具のねじ5が中間部20及び先端部22の少なくとも一方を貫通することができ、取付用締結具36がドリル先端16bの元々の位置を越えて伸びることが可能となっている。穴8と先端部22b又は先端部22b近傍の中間部20bの外側との間の壁38bは、充分に薄く、軸に充分近接しているので、取付用締結具のねじ5は、図13に示すように壁38bを切りながら通過することが可能であり、ドリル先端16bがアンカーボディ12bと分離するように、アンカーボディ12bの周囲を切断する。ドリル先端16bは、アンカーボディ12bから分離して、図7に示す先端16’と同様に、取付用締結具先端36と係合したままとなる。
【0076】
壁38bは、軸6に近接して位置付けられ、取付用締結具5が壁38bを切りながら通過することを可能にしているので、中間部20bの対応する谷径MR’は同様に小さくなっている。これにより、締結具を取付けるのに小さなトルクで済み、製造用材料を低減できる。
【0077】
また、アンカー10bは、先端破断型の実施形態のアンカー10のウイング54と同様に、一組のウイング54bを有する。一実施例では、ウイング54bは、軸方向に伸びているが、乾式壁1の表面に刻み目を入れるための先端を有しているわけではない。
【0078】
缶切型の実施形態におけるアンカー10の基部18bは、上述のアンカー10の先端破断型の実施形態と、ほぼ同様の寸法になっている。アンカー10bの中間部20bは、図2に示すアンカー10の中間部20と、若干異なっている。中間部28bの一部は、基部谷底26bに付いているテーパーよりも明らかに大きな角度で、先端部22bに向かってテーパーになっているので、構造部材把持ねじの谷底28bは、先端破断型の実施形態の構造部材把持ねじの谷底28よりも小さくなっている。構造部材把持ねじ28bの谷底が小さいと、取付用締結具5が壁38bを切りながら通過して、ドリル先端16bの一部をアンカーボディ12bから切り離してゆくことが可能となる。一実施例では、中間部20は、谷径MR’が約4.06mm(0.16インチ)から約5.59mm(0.22インチ)、望ましくは約5.08mm(0.2インチ)になっている。また、アンカー10bの先端部22bは、最大の谷径及びねじ山径が、先端破断型の実施形態のアンカー10よりも小さくなっている。
【0079】
先端迂回型の実施形態。
図14から図18に示すように、アンカー10cによる実施形態では、取付用締結具36がドリル先端16cを迂回できるように、中間部20c、22cの少なくとも一方が、取付用締結具36により貫通可能となっている。図15に示す実施形態では、穴8cは、中間部20cへ充分に伸びているわけではなく、図15に最も良好に示すように、実質上、中間部20及び先端部22cのほぼ全体が中実になっている。中間部20c及び先端部22c内に穴8cがほとんど無い場合は、これらの部分は、より小さい径を持つことができる。このことより、アンカー10cは、要求トルクが小さくて済むので、乾式壁1及び構造部材2へねじ込みやすくなり、乾式壁1及び構造部材2へ迅速にねじ込むことが可能となる。更に、中実の中間部20c及び先端部22cは、構造的にも強固である。一実施例では、アンカー10、10bの先端破断型の実施形態及び缶切型の実施形態について上述したねじ山径と比較すると、中間部20cはねじ山径MC”が約4.57mm(0.18インチ)から約5.59mm(0.22インチ)、望ましくは約5.08mm(0.2インチ)となっている。
【0080】
アンカー10cの穴8cは、取付用締結具4が側壁38cの薄い領域76を切断し押すように、設計されている。そして、図17及び図18に示すように、取付用締結具4は、取付用締結具4が通過しながら、中間部20c及びドリル先端16cを側方へ押してゆく。中間部20cは、取付用締結具4cにより側方へ押され、アンカーボディ12cに付着した状態を維持するように設計されているので、構造部材2と係合したままとなり、アンカー10cが抜けにくくするとともにアンカー10cにジャッキングが生じないようにしている。
【0081】
図15に示す実施形態では、穴8cには、穴の奥部9cに、薄い領域76に向かって傾斜した荷重受面78cがある。取付用締結具4がねじ込まれると、その先端36は、傾斜した荷重受面78cを押し、中間部20c及び先端部22cを側方へ押すように作用することになる。
【0082】
図16に示すように、薄い領域76は、中間部20を通過して伸びる平坦部52cにより成立している。また、中間部20には、中間部20が基部18に連なる位置の近傍に、切欠き80がある。切欠き80により、中間部20が取付用締結具4により側方へ押される時、中間部20が回動したり側面方向へ動いたりしやすくなる。
【0083】
先端開放型の実施形態。
図19に示すアンカー10dの先端開放型の実施形態では、先端部22dは、ドリル先端点を有していないが、開放型ドリル先端16dを有する。開放型ドリル先端16dにより、取付用締結具先端36が、アンカー10dを貫通したりその一部を破壊したりせずに、開放型ドリル先端16dを通過して伸びるように、同時に開放端アンカー10dが構造部材2を把持しつつ、取付用締結具4をねじ込むことが可能となる。
【0084】
アンカー10dは、ドリル先端の一部が、ドリル先端点から所定の軸方向長さ分を除去されていること以外は、先端破断型の実施形態のアンカー10と同様である。なお、穴8dの内径は、ドリル先端16dへ最後まで伸びており、ねじ式取付用締結具4の谷径よりも大きいことが望ましく、ねじ式取付用締結具4のねじ山径とほぼ同じかわずかに大きくなっていて、取付用締結具4がドリル先端16dを穴あけし過ぎる必要がないことが望ましい。
【0085】
開放型ドリル先端16dは、センタリング部82を含んでいる(図19参照)。センタリング部82は、穴あけ開始時に、乾式壁1と係合可能であって、アンカー10dが、確実に、要求位置で乾式壁1へねじ込まれるようにしている。センタリング部82は、先端84で合体する一組の薄い脚83を有してもよい。脚83は、最初に乾式壁1に穴を開けることができる充分な構造強度を有するが、最終的には脚83は、アンカー10dを乾式壁1及び構造部材2へねじ込む力により、つぶれることになる。
【0086】
取付方法。
ユーザーがアンカー10及び細長い取付用締結具4を、構造部材に設けられた乾式壁に取付ける方法は、軸6と、細長い取付用締結具4を受入れる軸方向の穴と、トルク伝達面15を設けた鍔状端部14と、通常は鍔状端部14の反対側にあるドリル先端16と、鍔状端部14に最も近い基部18と、中間部20と、ドリル先端16側へ伸びた先端部22とを有する細長いアンカー10を提供するステップを含む。基部18は、乾式壁把持ねじ19のような雄ねじを持ち、そのねじは、谷底26と、ねじ山径DCとねじ山高さDHを持つねじ山27とを有する。中間部20は、構造部材把持ねじ21のような雄ねじを持ち、そのねじは、谷底28と、ねじ山径MCが乾式壁把持ねじのねじ山径DCよりも実質的に小さく、ねじ山高さMHが乾式壁把持ねじの高さDHよりも実質的に小さいねじ山29とを有する。先端部22は、ドリルねじ23のような雄ねじを持ち、そのねじは、ドリル先端16に向かってテーパーがついた谷底30と、ねじ山径TCが乾式壁把持ねじのねじ山径DCよりも実質的に小さく、ねじ山高さTHが乾式壁把持ねじの高さDHよりも実質的に小さいねじ山31とを有する。前記取付け方法は、更に、ドリル先端16を乾式壁表面48に位置付けるステップと、先端部22を乾式壁1及び構造部材2へねじ込み、乾式壁把持ねじ19が乾式壁と係合するよう、アンカー10を乾式壁1内へねじ込むステップと、細長い取付用締結具4をアンカー10の軸方向の穴8に挿入するステップとから成る。
【0087】
一実施例では、取付方法は、取付用締結具先端36をドリル先端16の元々の位置よりも伸ばすステップと、図13に示す如く、中間部20bにて壁38bを取付用締結具のねじ5が切りながら通過するというように、中間部20又は先端部22の少なくとも一方に、細長い取付用締結具4で穴を開けるか、あるいは、図17及び図18に示すように、中間部20c又はドリル先端16cの側壁38cを取付用締結具先端36により貫通するステップと、図7に示すように、ドリル先端16’のようなアンカー10の一部を取付用締結具4で破断させるステップと、取付用締結具4を構造部材2と係合させるステップと、図7、図10、図13、及び図18に示すように、物品3を取付用締結具4に取付けるステップとを、更に含むことができる。
【0088】
製造方法。
図20及び図21に示すように、アンカー10の製造方法は、鍔状端部114と、鍔状端部114に最も近い基部118と、中間部120と、先端部122と、通常は鍔状端部114の反対側にある第2端部116と、鍔状端部114からキャビティ110へ伸びる細長いコア108とを持つキャビティ110を有する型100を提供するステップを備えている。基部118は、谷底126と、ねじ山径MDCとねじ山高さMDTとを持つねじ山127を有する雌ねじ119を持つ。中間部120は、谷底128と、第1部分のねじ山径MDCよりも実質的に小さいねじ山径MMCと第1部分のねじ山高さMDTよりも実質的に小さいねじ山高さMMTとを持つねじ山129を有する雌ねじ121を持つ。先端部122は、第2端部116へテーパーがついた谷底130と、第1部分のねじ山径MDCよりも実質的に小さいねじ山径MTCと第1部分のねじ山高さMDHよりも実質的に小さいねじ山高さMTHとを持つねじ山131を有する雌ねじ123を持つ。前記製造方法は、更に、亜鉛合金のような溶融した材料をキャビティ110へ流し込むステップと、溶融した金属を固化させてアンカー10を形成するステップと、アンカー10を型100から取出すステップとを含む。
【0089】
型のキャビティ110は、アンカー10と同じ形状であるため、材料が固化するとアンカー10が形成される。特に、型の鍔状端部114は、アンカー10の鍔状端部14を形成し、型の第2端部116は、ドリル先端16を形成し、基部118は基部18を形成し、中間部120は中間部20を形成し、先端部122は先端部22を形成し、細長いコア108は軸方向の穴8を形成する。
【0090】
本発明に係る新規のアンカーにより、ユーザーは、アンカーの取付け位置において、構造部材が乾式壁の背後に設置されているかどうかに関係なく、あるいは、構造部材があると分かっている場合でも、アンカーを乾式壁に取付けることが可能となる。また、このアンカーにより、取付用締結具先端をアンカーのドリル先端よりも伸ばして締結できるので、ユーザーは、様々な長さの取付用締結具を使用することが可能となる。
【0091】
本発明に係る上記説明により、当業者は、現在最良の形態と考えられるものを製造し使用することができるとともに、当業者は、例示した特定の実施形態及び方法の変形、組み合わせ、及び均等なものが存在することを、理解できるであろう。従って、本発明は、上記の実施形態及び方法に限定されるものではなく、特許請求の範囲のあらゆる実施形態及び方法に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脆い材料に用いるセルフドリルアンカーであって、
軸を有して壁が薄い細長いボディと、雄ねじと、締結具を受入れるようになった軸方向の穴と、基部の端と、基部の端の反対側にあるドリル端部と、前記ボディに設置された補強手段とを備え、
前記雄ねじ及び前記補強手段は、ともに、ドリル端部が脆い材料に当接した基板を貫くのに必要なねじり力に耐えられるように、前記ボディに充分な構造上の補強を提供し、前記基板は、前記脆い材料の硬度よりも大きい硬度になっており、
前記補強手段は、長手方向には前記軸方向の穴に沿って位置するとともに径方向には前記軸方向の穴へ伸びた少なくとも1つのスプラインを備えたことを特徴とする、セルフドリルアンカー。
【請求項2】
前記補強手段は、少なくとも2つのスプラインを備え、スプラインは、前記軸方向の穴の内径を形成する径方向の範囲を有し、前記軸方向の穴の内径は、前記締結具のねじの外径未満であり、前記締結具の谷径より大きいことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項3】
前記補強手段は、前記ボディ上に位置する軸方向のリブを、少なくとも1つ備えたことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項4】
前記補強手段は、前記ドリル端部に最も近いドリルねじを備えたことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項5】
前記ボディは、前記基部の端近傍の基部と、前記ドリル端部近傍の先端部と、それらの間の中間部とを、更に備え、前記第1補強手段は、前記中間部に第2雄ねじを備えたことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項6】
前記補強手段は、前記軸方向の穴に沿って長手方向に設置され、前記軸方向の穴へ径方向に伸びた少なくとも1つのスプラインと、前記ボディ上に設置され少なくとも1つの軸方向のリブから成る第2補強手段とを備えたことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項7】
第3補強手段は、前記ドリル端部の最も近くにドリルねじを備えたことを特徴とする、請求項6記載のセルフドリルアンカー。
【請求項8】
前記ボディは、前記基部の端近傍の基部と、前記ドリル端部近傍の先端部と、それらの間の中間部とを更に備え、第3補強手段は、前記中間部に第2雄ねじを備えたことを特徴とする、請求項6記載のセルフドリルアンカー。
【請求項9】
前記ボディは、壁の厚さが、約0.254mm(0.01インチ)から約1.27mm(0.05インチ)の範囲、望ましくは約0.381mm(0.015インチ)から約0.762mm(0.03インチ)の範囲、最も望ましくは約0.635mm(0.025インチ)であることを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項10】
前記ボディは、前記基部の端から前記ドリル端部に向かってテーパーになっていることを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項11】
前記雄ねじのねじ山高さは、前記基部の端から前記ドリル端部に向かってテーパーになっていることを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項12】
前記ボディは、前記基部の端近傍の基部と、前記ドリル端部近傍の先端部とを、更に備え、前記基部の雄ねじのねじ山高さは、前記先端部の雄ねじのねじ山高さよりも高いことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項13】
前記ボディは、前記基部と前記先端部との間に中間部を更に備え、中間部の雄ねじのねじ山高さは、前記基部の雄ねじのねじ山高さより小さいことを特徴とする、請求項12記載のセルフドリルアンカー。
【請求項14】
前記ボディは、前記基部の端近傍の基部と、前記ドリル端部近傍の先端部とを、更に備え、前記先端部の軸方向の長さは、前記脆い材料の厚さよりも長いことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項15】
前記ボディは、前記基部の端近傍の基部と、前記ドリル端部近傍の先端部と、それらの間の中間部とを、更に備え、前記中間部及び前記先端部の軸方向の長さは、前記脆い材料の厚さより長いことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項16】
前記ボディは、トルク伝達面を有するフランジを、前記基部の端に更に備え、前記フランジは、少なくとも1つの弱体化要素を有し、これにより、前記フランジは、取付の際に前記ボディから分離することを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項17】
前記ボディは、少なくとも1つの弱体化要素を有する先端部を、前記ドリル端部近傍に更に備え、ドリル端部は、取付の際に前記ボディから少なくとも部分的に分離することを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項18】
前記少なくとも1つの弱体化要素は、前記雄ねじ内の切欠きであることを特徴とする、請求項17記載のセルフドリルアンカー。
【請求項19】
前記少なくとも1つの弱体化要素は、前記軸方向の穴の第1内径と前記軸方向の穴の第2内径との間の移行部であることを特徴とする、請求項17記載のセルフドリルアンカー。
【請求項20】
前記少なくとも1つの弱体化要素は、前記ボディの前記壁における孔であることを特徴とする、請求項17記載のセルフドリルアンカー。
【請求項21】
前記少なくとも1つの弱体化要素は、前記ボディ内の軸方向の溝であることを特徴とする、請求項17記載のセルフドリルアンカー。
【請求項22】
前記少なくとも1つの弱体化要素は、前記ボディ内の少なくとも1つの軸方向のスリットであり、望ましくは、前記ボディ内に均等間隔に配置された一組の軸方向のスリットであることを特徴とする、請求項17記載のセルフドリルアンカー。
【請求項23】
前記ボディは、前記ドリル端部近傍の先端部と、前記基部の端近傍の基部とを、更に備え、前記締結具のねじが取付時に前記ボディの壁を先端部のところでのみ貫通するように、前記ボディの前記先端部における壁の厚さは、前記ボディの前記基部における壁の厚さより小さくなっていることを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項24】
前記ボディは、前記ドリル端部近傍の先端部と、前記基部の端近傍の基部と、それらの間の中間部とを、更に備え、前記締結具のねじが取付時に前記ボディの壁を中間部のところでのみ貫通するように、前記ボディの前記中間部における壁の厚さは、前記ボディの前記基部における壁の厚さより小さくなっていることを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項25】
前記ドリル端部は、平坦部を有することを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項26】
前記ボディは、前記ドリル端部近傍の先端部を更に備え、前記ドリル端部は、前記先端部の終結エッジ部を備えたことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項27】
前記ドリル端部にセンタリング部が設置されていることを特徴とする、請求項26記載のセルフドリルアンカー。
【請求項28】
前記ボディは、前記ドリル端部近傍の先端部を更に備え、先端部は、先端部から径方向に外方へ突出した少なくとも1つのウイングを有することを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項29】
前記少なくとも1つのウイングは、前記先端部のドリルねじと一体であることを特徴とする、請求項28記載のセルフドリルアンカー。
【請求項30】
前記少なくとも1つのウイングは、下方へ突出して先端にて終結することを特徴とする請求項28記載のセルフドリルアンカー。
【請求項31】
前記ボディは、前記ドリル端部近傍の先端部を更に備え、前記軸方向の穴は、前記先端部内には伸びていないことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項1】
脆い材料に用いるセルフドリルアンカーであって、
軸を有して壁が薄い細長いボディと、雄ねじと、締結具を受入れるようになった軸方向の穴と、基部の端と、基部の端の反対側にあるドリル端部と、前記ボディに設置された補強手段とを備え、
前記雄ねじ及び前記補強手段は、ともに、ドリル端部が脆い材料に当接した基板を貫くのに必要なねじり力に耐えられるように、前記ボディに充分な構造上の補強を提供し、前記基板は、前記脆い材料の硬度よりも大きい硬度になっており、
前記補強手段は、長手方向には前記軸方向の穴に沿って位置するとともに径方向には前記軸方向の穴へ伸びた少なくとも1つのスプラインを備えたことを特徴とする、セルフドリルアンカー。
【請求項2】
前記補強手段は、少なくとも2つのスプラインを備え、スプラインは、前記軸方向の穴の内径を形成する径方向の範囲を有し、前記軸方向の穴の内径は、前記締結具のねじの外径未満であり、前記締結具の谷径より大きいことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項3】
前記補強手段は、前記ボディ上に位置する軸方向のリブを、少なくとも1つ備えたことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項4】
前記補強手段は、前記ドリル端部に最も近いドリルねじを備えたことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項5】
前記ボディは、前記基部の端近傍の基部と、前記ドリル端部近傍の先端部と、それらの間の中間部とを、更に備え、前記第1補強手段は、前記中間部に第2雄ねじを備えたことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項6】
前記補強手段は、前記軸方向の穴に沿って長手方向に設置され、前記軸方向の穴へ径方向に伸びた少なくとも1つのスプラインと、前記ボディ上に設置され少なくとも1つの軸方向のリブから成る第2補強手段とを備えたことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項7】
第3補強手段は、前記ドリル端部の最も近くにドリルねじを備えたことを特徴とする、請求項6記載のセルフドリルアンカー。
【請求項8】
前記ボディは、前記基部の端近傍の基部と、前記ドリル端部近傍の先端部と、それらの間の中間部とを更に備え、第3補強手段は、前記中間部に第2雄ねじを備えたことを特徴とする、請求項6記載のセルフドリルアンカー。
【請求項9】
前記ボディは、壁の厚さが、約0.254mm(0.01インチ)から約1.27mm(0.05インチ)の範囲、望ましくは約0.381mm(0.015インチ)から約0.762mm(0.03インチ)の範囲、最も望ましくは約0.635mm(0.025インチ)であることを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項10】
前記ボディは、前記基部の端から前記ドリル端部に向かってテーパーになっていることを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項11】
前記雄ねじのねじ山高さは、前記基部の端から前記ドリル端部に向かってテーパーになっていることを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項12】
前記ボディは、前記基部の端近傍の基部と、前記ドリル端部近傍の先端部とを、更に備え、前記基部の雄ねじのねじ山高さは、前記先端部の雄ねじのねじ山高さよりも高いことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項13】
前記ボディは、前記基部と前記先端部との間に中間部を更に備え、中間部の雄ねじのねじ山高さは、前記基部の雄ねじのねじ山高さより小さいことを特徴とする、請求項12記載のセルフドリルアンカー。
【請求項14】
前記ボディは、前記基部の端近傍の基部と、前記ドリル端部近傍の先端部とを、更に備え、前記先端部の軸方向の長さは、前記脆い材料の厚さよりも長いことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項15】
前記ボディは、前記基部の端近傍の基部と、前記ドリル端部近傍の先端部と、それらの間の中間部とを、更に備え、前記中間部及び前記先端部の軸方向の長さは、前記脆い材料の厚さより長いことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項16】
前記ボディは、トルク伝達面を有するフランジを、前記基部の端に更に備え、前記フランジは、少なくとも1つの弱体化要素を有し、これにより、前記フランジは、取付の際に前記ボディから分離することを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項17】
前記ボディは、少なくとも1つの弱体化要素を有する先端部を、前記ドリル端部近傍に更に備え、ドリル端部は、取付の際に前記ボディから少なくとも部分的に分離することを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項18】
前記少なくとも1つの弱体化要素は、前記雄ねじ内の切欠きであることを特徴とする、請求項17記載のセルフドリルアンカー。
【請求項19】
前記少なくとも1つの弱体化要素は、前記軸方向の穴の第1内径と前記軸方向の穴の第2内径との間の移行部であることを特徴とする、請求項17記載のセルフドリルアンカー。
【請求項20】
前記少なくとも1つの弱体化要素は、前記ボディの前記壁における孔であることを特徴とする、請求項17記載のセルフドリルアンカー。
【請求項21】
前記少なくとも1つの弱体化要素は、前記ボディ内の軸方向の溝であることを特徴とする、請求項17記載のセルフドリルアンカー。
【請求項22】
前記少なくとも1つの弱体化要素は、前記ボディ内の少なくとも1つの軸方向のスリットであり、望ましくは、前記ボディ内に均等間隔に配置された一組の軸方向のスリットであることを特徴とする、請求項17記載のセルフドリルアンカー。
【請求項23】
前記ボディは、前記ドリル端部近傍の先端部と、前記基部の端近傍の基部とを、更に備え、前記締結具のねじが取付時に前記ボディの壁を先端部のところでのみ貫通するように、前記ボディの前記先端部における壁の厚さは、前記ボディの前記基部における壁の厚さより小さくなっていることを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項24】
前記ボディは、前記ドリル端部近傍の先端部と、前記基部の端近傍の基部と、それらの間の中間部とを、更に備え、前記締結具のねじが取付時に前記ボディの壁を中間部のところでのみ貫通するように、前記ボディの前記中間部における壁の厚さは、前記ボディの前記基部における壁の厚さより小さくなっていることを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項25】
前記ドリル端部は、平坦部を有することを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項26】
前記ボディは、前記ドリル端部近傍の先端部を更に備え、前記ドリル端部は、前記先端部の終結エッジ部を備えたことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項27】
前記ドリル端部にセンタリング部が設置されていることを特徴とする、請求項26記載のセルフドリルアンカー。
【請求項28】
前記ボディは、前記ドリル端部近傍の先端部を更に備え、先端部は、先端部から径方向に外方へ突出した少なくとも1つのウイングを有することを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【請求項29】
前記少なくとも1つのウイングは、前記先端部のドリルねじと一体であることを特徴とする、請求項28記載のセルフドリルアンカー。
【請求項30】
前記少なくとも1つのウイングは、下方へ突出して先端にて終結することを特徴とする請求項28記載のセルフドリルアンカー。
【請求項31】
前記ボディは、前記ドリル端部近傍の先端部を更に備え、前記軸方向の穴は、前記先端部内には伸びていないことを特徴とする、請求項1記載のセルフドリルアンカー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図14】
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【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−80605(P2011−80605A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284707(P2010−284707)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【分割の表示】特願2004−297971(P2004−297971)の分割
【原出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【分割の表示】特願2004−297971(P2004−297971)の分割
【原出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】
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