説明

セレノヒドロキシ酸化合物を使用してセレンが濃縮された光合成微生物、並びに栄養食品、化粧品及び医薬におけるこれらの使用

本発明は、セレノヒドロキシ酸化合物、特にD若しくはL形態での2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸、或いはこれらの化合物のエナンチオマー、塩又はエステル若しくはアミド誘導体を使用した光合成微生物の有機セレンの濃縮、並びにそれによって濃縮された微生物の、動物又はヒトの栄養上、化粧品又は医薬での使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にセレノヒドロキシ酸化合物を使用した、より詳細には(D,L)形態での2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸、或いはこの化合物のエナンチオマー、塩又はエステル若しくはアミド誘導体を使用した光合成微生物の有機セレンの濃縮(enrichment)、並びにこれによって濃縮された(enriched)光合成微生物の、動物又はヒトの栄養上、化粧品又は医薬での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
セレンは、特にヒトや哺乳類に必須の微量栄養素である(Wendel, A.; Phosphorus, Sulfur Silicon Relat Elem., 1992, 67, 1-4, 404-415)。特に、これはL(+)−セレノシステイン又はL(+)−セレノメチオニンの形態での、セレン含有タンパク質、例えばグルタチオンペルオキシダーゼ、チオレドキシン還元酵素及びセレノプロテインP等の生合成に関与する(Muller, S. 等, Arch. Microbiol., 1997, 168, 421)。
セレン欠乏症は、ヒトにおいて、特に非経口摂取を長期にわたり受けた患者において報告されている(Von Stockhausen, H.B., Biol. Trace Elem. Res., 1988, 15:147-155)。200μgのセレンの毎日の補給は、平均体重の成人に安全且つ十分であると考えられる(Schrauzer, G.N., J. Am. Col. Nutr., 2001, 20:1-14)。
【0003】
セレンは天然に、有機及び無機の2つの形態、で確認される。
【0004】
この無機化合物は、最も一般的には塩、例えば亜セレン酸ナトリウム又はセレン酸ナトリウム等である。これらの化合物は、ヒトや大抵の動物に非常に有毒である。
【0005】
有機化合物(有機セレン化合物)は、生体中で、特に、アミノ酸L(+)−セレノメチオニン、L(+)−メチルセレノシステイン及びL(+)−セレノシステインの形態により表される。
【0006】
L(+)−セレノメチオニンは、ヒト及び動物の有機セレンの主たる供給源である。しかしながら、食事を通してのみ得ることができるこのアミノ酸に対して、ヒト及び動物は栄養要求性を有する。
【0007】
従って、セレンは、理想的にはセレン欠乏症の治療または予防を目的とする食物サプリメント中にこの有機形態により取り込まれるべきである。
【0008】
よって、L(+)−セレノメチオニンを食事に補充することはそれほど有毒でなく、亜セレン酸ナトリウムの形態での摂取より良好なバイオアベイラビリティを供することを示すことは可能である、とされてきた(Mony, M.C.等, J. of Trace Elem. Exp. Med., 2000, 13:367-380)。
【0009】
現在のところ、基質として主として亜セレン酸ナトリウム、及びセレノメチオニンの形態での無機セレンを使用したもの以外、生体によるセレンの取り込みに関する代謝経路は知られていない。
【0010】
有機セレンの適当な供給は、高等植物(特に小麦、トウモロコシ、大豆)で確認することができ、80%を上回るセレンが、L(+)−セレノメチオニンから構成される(Schrauzer, G.N., J. Am. Coll. Nutrit., 2001, 20(1):1-4)。しかしながら、これらの植物のセレン濃度は、食品添加物を容易に且つ安価に生産することができるほど十分ではない。
【0011】
セレノメチオニンが豊富な組成物を得ることについて検討される1つのアプローチは、一定の微生物を無機セレンを使用して有機セレンを濃縮することである。一度濃縮されると、これらの微生物は出発原料として食品又は化粧品の調製のために使用することができる。
【0012】
多数の出版物は、例えば、セレン濃縮された酵母、より詳細には酵母サッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の調製を記載しており(Oh Tae-Kwang 等, patent KR950006950 of 06.26.1995)、これらをそれ自体として使用する又はこれらを食品組成物中に取り込む(Moesgaard S.等, patent DK200200408 of 09.16.2003);或いはセレン濃縮由来の製品、例えばセレン濃縮されたパン(Wang Boaquan, patent CN 1817143 of 08.16.2006)、牛乳(Jeng Chang-Yi, patent TW565432 of 12.11.2003)、卵(Cui Li等, patent CN1302723C of 03.07.2007)、チョコレート(In Gyeong Suk等, patent KR20040101145 of 11.08.2004)又はビール(Jakovleva L.G. 等, patent RU2209237 of 07.27.2003)を得ることを目的とするものである。健康食品領域では、セレン濃縮された酵母を含有する調製はまた、妊娠した女性(Wang Weiyi, patent CN1778199 of 05.31.2006)、又は低血糖患者の腸微小環境を改善するために提案される(Li Tao Zhao, patent CN1810161 of 08.02.2006))。デルモコスメティクス(dermocosmetics)分野において、セレン濃縮された酵母を含有する組成物が脱毛を減少する目的で(Kasik Heinz, patent DE19858670 of 06.21.2000)又は光老化の予防(Kawai Norihisa等, patent JP07300409 of 11.14.1995)で、開発される。セレン濃縮された酵母を含有する医薬製剤は、炎症性病態、例えば糖尿病に関連した網膜症等(Crary Ely J., patent US5639482 of 06.17.1997)、又は心臓血管系の炎症性病態(Nagy P.L. 等, patent HUT060436 of 09.28.1992)の予防及び治療で使用されている。
【0013】
細菌、より詳細にはプロバイオティック細菌は、それ自体もまたセレン濃縮の対象となる(Calomme M. 等, Biol. Trace Elem. Res., 1995, 47, 379-383)。ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)だけでなく、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバシラス・フェリントシェンシス(Lactobacillus ferintoshensis)、及びラクトバシラス・ブッフネリ/パラブッフネリ(Lactobacillus buchneri/parabuchneri)(Andreoni V. 等, patent US0258964)もまた、セレン濃縮された食物サプリメントとして記載される。酵母及び乳酸桿菌から産生されるプロバイオティックスの混合物は、免疫システム及び疾患に対する抵抗力を強化する目的で調製されている(Huang Kehe Qin, patent CN1283171C of 11.08.2006)。
【0014】
しかしながら、これらの調製物全てにおいて、セレン濃縮された微生物は無機セレンだけから調製される。従って、最も一般的に使用されるセレンの供給源は、微生物培地の可溶化された亜セレン酸ナトリウム又はセレン酸ナトリウムから成る。従って、濃縮された微生物は、人体で同化することができる有機セレンの十分な量を合成しているにも関わらず、未転換の無機セレンの高残留レベルをしばしば示し、これは同様の物を消費している人にとって危険であることがわかる。
【0015】
公開された先願のWO2006/008190で、セレノヒドロキシ酸タイプの新規の有機化合物が、ヒト及び動物でのL(+)−セレノメチオニンの合成のための前駆物質として供給することができるとして記載される。
【0016】
驚くことに出願人は、セレノヒドロキシ酸タイプの有機化合物、例えばWO2006/008190に記載されるものを、様々な光合成微生物の有機セレンを濃縮するために、培地に取り込むことができると記載している。得られた結果から、これらの化合物、特にL(+)−セレノメチオニンで、通常使用される無機化合物を使用して得られるものと同等の、又はそれを上回る収率で、このような微生物の濃縮を非常に効果的に可能にすることは明らかである。
【0017】
従って、セレノヒドロキシ酸タイプの有機化合物を使用した、光合成微生物の有機セレンの濃縮により、無機セレンを含まない有機セレンを産生し、そして先行技術の方法に関連した毒性の問題を解決することが可能となるのは明らかである。
【0018】
よって、濃縮された光合成微生物は、セレン欠乏症の予防又は治療に関して食品取引で、特に医薬、栄養又は化粧製品及び組成物を産生する目的で、直接使用することができる。
【発明の概要】
【0019】
本発明の詳細な説明
本願は、光合成微生物、つまり成長が光エネルギー源に依存的である微生物を得ることに関する。
【0020】
用語「微生物」は、以下の界:顕微鏡又は超顕微鏡レベルのサイズの真核又は原核細胞構造、並びに代謝及び生殖能を有するモネラ、原生生物、真菌又は原生動物、の1つに属する任意の生存している単細胞生物を意味することを目的とする。当該単細胞微生物は、フィラメント又はバイオフィルムの形成に関与してよい。
【0021】
好適には、本発明の光合成微生物は、真核性の微細藻類、より好適にはクロレラ(Chlorella)属の緑藻綱、或いは原核の微細藻類、例えばシアノ細菌、好適にはスピルリナ(Spirulina)又はアースロスピラ(Arthrospira)属(スピルリナ属(spirulin))のものである。後者は、食物サプリメントとして使用されるものとして、特に開発途上国で周知である。
【0022】
用語「有機セレン」は、少なくとも1つのセレン原子を化学構造に有する化合物を、少なくとも1つ含有する分子の集合体を意味することを目的とし、これらは生体によって生成されることができる、例えば特に、アミノ酸セレノメチオニン、メチルセレノシステイン及びセレノシステイン、或いはこれらを含むペプチド又はタンパク質である。
【0023】
従って、セレンが濃縮された光合成微生物は、それ自体として、又は食品添加物として使用することができる。これらは、例えば、トランスフォーム(transformed)製品の調製のための塩基として機能する組成物中に取り込むことができる安定な粉末を形成するように脱水してよく、また食品トランスフォーメーション方法でプロバイオティックスとして、例えば、発酵乳又は飲料を得る目的のために、生で使用することができる。
【0024】
従って、本発明の対象は、光合成微生物をセレノメチオニン及び/又はセレノシステインで濃縮するための新規の方法であり、光合成微生物がセレノヒドロキシ酸タイプの化合物を含んでなる培地で培養されることを特徴とする。
【0025】
好適には、セレノヒドロキシ酸タイプの化合物が一般式(I)の化合物、或いはこれらの前駆物質、塩又はエステル若しくはアミド誘導体であって:
【化1】

式中:
nが、0,1又は2であり;
が、OH,OCOR,OPO,OPO又はOR基であり;
が、OH,R,NHR,S−システイニル又はS−グルタチオニル基であり;n=1であり且つRがOHの場合は、RはOHとすることはできないと理解され;
が、アルコキシル,セラミド1,セラミド2,セラミド3,セラミド4,セラミド5,セラミド6a及び6b,S−システイニル又はS−グルタチオニル基,或いは以下:
【化2】

から選択される基、
である化合物。
【0026】
好適には、Rは、アルコキシル,S−システイニル又はS−グルタチオニル基であり;
ORは、(C1-C26)アルコキシル,セラミド1,セラミド2,セラミド3,セラミド4,セラミド5又はセラミド6a及び6b基、或いは以下:
【化3】

から選択される基である。
【0027】
好適には、ORは(C1-C26)アルコキシル基であり;
ORは、(C1-C26)アルコキシル,セラミド1,セラミド2,セラミド3,セラミド4,セラミド5又はセラミド6a及び6b基,或いは以下:
【化4】

の基から選択される基である。
好適には、ORは、(C1-C26)アルコキシル基であり;
ORは、ピルビン酸,乳酸,クエン酸,フマル酸,マレイン酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,パルミトレイン酸,オレイン酸又はリノール酸基,天然脂肪酸基或いは13−シス−レチノア−ト基であり;
は、H又は(C1-C26)アルキル基,天然アミノ酸或いは天然アミンである。
【0028】
上記の式(I)において:
用語「アルキル」は、直鎖又は環状、任意に分岐した、任意にフッ素化又はポリフッ素化の、1〜26個の炭素原子を含有し、且つ任意に1又は複数の炭素−炭素二重結合を含んでなる基、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、リノレイル、リノレニル又はパルミトイルを意味することを目的とし;
【0029】
用語「アルコキシル」は、直鎖又は環状、任意に分岐した、任意にフッ素化した或いはポリフッ素化した、1〜26個の炭素原子を含む、並びに任意に1又は複数の炭素−炭素二重結合を含んでなる一級、二級又は三級アルコールに由来する基、例えばメトキシル、エトキシル、イソプロポキシル、トリフルオロメトキシル、リノレオキシル(linoleoxyl)、リノレノキシル(linolenoxyl)又はパルミトキシル(palmitoxyl)を意味することを目的とし;
セラミドタイプのラジカルの構造は、特に「Cosmetic Lipids and the Skin Barrier」, Thomas Forster Ed. 2002, Marcel Dekker, Inc., p.2, 図2に記載され;
【0030】
用語「天然」は、植物及び動物界の生物の代謝、並びにヒトの代謝で確認される任意の対応する化合物を意味することを目的とし(Steglich W., Rompp Encyclopedia Natural Products, G. Thieme ed.);
用語「オリゴマー」は、互いにエステルタイプの結合によって結合する2〜15個のモノマーの結合によって形成される任意の化合物を意味することを目的とし;
用語「ポリマー」は、エステルタイプの結合によって互いに結合した、15個より多いモノマーの結合によって形成される任意の化合物を意味することを目的とする。
【0031】
本発明によれば、式(I)の化合物は好適には、カルシウム塩、亜鉛塩又はマグネシウム塩の形態で使用され、通常これによって培地における良好な溶解性、及び光合成微生物による良好な同化もまた得ることが可能である。
【0032】
本発明の好適な一実施形態では、光合成微生物は藍藻綱及び緑藻綱によって形成されるグループから選択される。従って、光合成微生物は、好適には藍藻綱又は緑藻綱、好適にはクロレラ属の緑藻綱及びスピルリナ(Spirulina)又はアースロスピラ(Arthrospira)属の藍藻綱で構成されるグループから選択される。
【0033】
本発明は、より詳細には、式(I)の化合物の使用であって、当該化合物は:
− L−2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸,
− D−2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸,
− DL−2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸,
又はこれらの化合物の塩から選択される(又は得られる)使用に関する。
【0034】
これらの化合物は、WO2006/008190に記載される。
【0035】
本発明の対象はまた、有機セレンが濃縮された光合成微生物であって、本発明の方法に従って得ることができる。このような微生物は、セレン当量に基づき通常500ppm以上、好適には1000ppm以上、より好適には2000ppm以上の有機セレン含有量、並びに微生物の乾燥重量で0.5%未満、好適には0.2%未満、より好適には0.1%未満の無機セレン含有量を有する。好適には、本発明は、光合成微生物が全セレンに対して無機セレンを1.5質量%未満、好適には0.5質量%未満、より好適には0.1質量%未満含んでなる場合に関する。
【0036】
言い換えれば、本発明の方法に従って濃縮された光合成微生物に存在する無機形態でのセレンの残渣は、通常微生物に存在する全セレンの1.5%未満の割合を占め、これは通常当該微生物の全乾燥バイオマス(乾燥重量)の0.5%未満を示す。
【0037】
本発明は、最も詳細には、有機セレンが濃縮された光合成微生物に関し、微生物のセレノメチオニンの形態でのセレンの含有量が、光合成微生物に存在する全セレンに対して、50質量%以上、好適には70質量%以上、より好適には80質量%以上、さらに好適には90質量%以上を示すことを特徴とする。このようなセレノメチオニンの割合は、微生物に存在する有機セレンの量及び質に関して、先行技術で得られたものと比較して、相当且つ著しく好適な改善を示す。
【0038】
特に、本発明は、微生物がセレン濃縮された緑藻綱微細藻類、好適にはクロレラ属のものであり、微生物が微生物の乾燥重量で1グラムあたり通常50マイクログラムセレン当量(μgSe/g)以上、好適には70μgSe/g以上、より好適には100μgSe/g以上のセレノメチオニン含有量を有することを特徴とする場合に関する。
【0039】
微生物の内部に有機分子の形態(セレノメチオニン、セレノシステイン等)又は無機分子の形態(セレン塩)で固定されたセレンの量は、微生物の乾燥重量の1グラムあたりのセレンの質量(μgSe/g)として表す。言い換えれば、光合成微生物のセレン含有量は、微生物の全乾燥バイオマスに対して、これらの有機又は無機分子で存在するセレン質量を算出することによって規定される。さらに、有機及び無機形態で存在するセレンの質量による割合はまた全セレンの質量に対するパーセンテージとして規定され表される。
【0040】
本発明の光合成微生物の全セレン及びセレノメチオニンの形態でのセレンの含有量は、それぞれ微生物の遠心分離及び凍結乾燥後のミネラル化(mineralization)及び酵素消化によって、例えば以下のMester, Z.等の(2006)Annal. Bioanal. Chem.385:168−180に記載されるLobinsky等の方法によって、測定することができる。
【0041】
本願の実施例で説明する、本発明に従って得られた結果は、光合成微生物、より詳細には緑藻綱及び藍藻綱微細藻類が、これらの微細藻類の乾燥重量で通常1グラムあたり100マイクログラムセレン当量(μgSe/g)以上、好適には200μgSe/g以上、より好適には500μgSe/g以上、さらに好適には1000μgSe/g以上、さらに1400μgSe/g以上の含有量で、セレノメチオニンの形態でセレンを蓄積することを示す。
【0042】
従って、本発明はより詳細には、有機セレンのセレノメチオニンの形態での含有量が、乾燥重量で通常100μgSe/g以上、好適には200μgSe/g以上、より好適には500μgSe/g以上、さらに好適には1000μgSe/g以上であることを特徴とする有機セレンが濃縮された緑藻綱又は藍藻綱に関する。
【0043】
有機セレンが濃縮されたこのような緑藻綱又は藍藻綱は、セレノメチオニンの形態での有機セレンの含有量が含有する全セレンの50%以上、好適には70%以上、より好適には80%以上、さらに好適には90%以上、さらに95%を示し、そして無機セレンの残存量が含有する全セレンの通常1.5%未満、好適には0.5%未満、より好適には0.1%未満であることを通常特徴とする。通常は、無機セレンの残存量は、乾燥重量で緑藻綱の全バイオマスの1%未満、好適には0.5%未満、より好適には0.2%未満、さらに好適には0.1%未満である。
【0044】
本発明はまた、本発明の方法に従ってセレンが濃縮された当該光合成微生物由来の、食品、化粧品又は医薬製品の製造に関する。この製造では、当業者に周知の技術を使用する。
【0045】
本発明の光合成微生物はまた、動物の栄養において、特に有機セレンが濃縮された二次誘導体、例えば魚、牛乳、又は卵を得る目的に対しても有用である。
【0046】
従って、生成され得られた製品及び分子は、前置きで概要を述べたものを含むさまざまな応用で、特に化粧剤、医薬又は栄養剤として有用である。
【0047】
本発明の対象はまた、本発明のセレン濃縮された光合成微生物の、化粧品、医薬品(若しくは治療薬)又は栄養製品(若しくは剤)としての使用である。
【0048】
本発明はまた、光合成微生物を含んでなる組成物、通常化粧組成物、医薬組成物又は栄養組成物に関する。
【0049】
本発明はまた、光合成微生物のための培地に関し、1又は複数の上に定義した式(I)の化合物を含んでなることを特徴とする。このような培地は、光合成微生物のセレンを濃縮する本発明の方法を実行するために有用である。
【0050】
特に、本発明は、少なくとも1つの式(I)の化合物、好適には2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸又はこの塩を、0.5〜2000mg/l、好適には1〜1000mg/l、より好適には2〜500mg/l、すなわちそれぞれセレン当量に基づき当該化合物の約0.2〜800mg/l、好適にはセレン当量に基づき当該化合物の0.4〜400mg/l、より好適にはセレン当量に基づき当該化合物の0.8〜200mg/lの濃度で含んでなる固体又は液体培地に関する。
【0051】
海洋起源の微細藻類に関して、最少培地を形成するために、式(I)の化合物は細菌濾過海水、又は、例えば、Aquarium Systems Inc.社由来の「リーフクリスタル(Reef Crystal)」培地から生成した人工海水で希釈することができる。
【0052】
本発明の微細藻類の調製方法は、特に1又は複数の以下の:
−培地、好適には微細藻類の成長に必須の化学元素を含む最少培地を調製する段階;
-培地中に、式(I)の化合物、好適には2−ヒドロキシ−4−メチル−セレノブタン酸をセレンの有機供給源として導入する段階;
-混合物のpHを6〜10の値に調整する段階;
-このように形成された混合物で培養下の当該微細藻類の前培養の播種菌液を、温度12〜45℃で、軌道振盪100〜500rpmで、さらに0〜20%の酸素及び0.3%〜20%の二酸化炭素を含有する雰囲気で、好適には24〜120時間置く段階;
-混合物を4000〜10000rpmで数分間遠心分離する、又は0.2マイクロメータフィルターを通して混合物を濾過しフィルターを生理食塩水でリンスする段階;
-細胞ペレットを生理食塩水に取り込む段階;
-4000〜10000rpmで数分間、再度遠心分離する段階;
-セレン濃縮された微細藻類を含有するモイストの細胞ペレットを回収する段階、
を含むことができる。
【0053】
モイストの細胞ペレットは、凍結乾燥又は風乾してよい。
【0054】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の実施例において示す。以下の実施例は、説明の目的でのみ供され、本発明の範囲を何ら限定することはできない。
【実施例】
【0055】
実施例1:独立栄養条件下での、2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸(THD-177)含有培地での、セレン濃縮されたクロレラブルガリス(chlorella vulgaris)微細藻類の産生
【0056】
実験条件
光独立栄養条件下で使用した株は、クロレラブルガリス(chlorella vulgaris)SAG211−11B:ゲッティンゲン(Goettingen)大学のSAGコレクション(collection)に由来する純粋培養株(SAG: Sammlung von Algenkulturen der Universitat Goettingen [ゲッティンゲン大学の藻類培養のコレクション])である。
【0057】
この株を、Stanley RY等(1971 Bacteriol. Rev. 35:171-205)によって記載されたBG−11培地(青緑色の培地)で培養し、この組成は以下の通りである(1リットルあたり):
(1)NaNO:1.5g
(2)KHPO:0.04g
(3)MgSO・7HO:0.075g
(4)CaCl・2HO:0.036g
(5)クエン酸:0.006g
(6)クエン酸鉄アンモニウム:0.006g
(7)EDTA−Na:0.001g
(8)NaCO:0.02g
(9)蒸留水:1.0L
(10)微量元素溶液:1ml/L
BO:2.86g
MnCl・4HO:1.81g
ZnSO・7HO:0.222g
NaMoO・2H:0.39g
CuSO・5HO:0.08g
Co(NO・6HO:0.05g
【0058】
pHを7.1に調整し、そして培地を121℃で15分間オートクレーブした。
【0059】
この株を、25℃、2400+/−200Luxで、光独立栄養条件下で、軌道振盪(80 rpm)、ODinit660nm=0.05で2〜7日間培養した。株のOD660nmは、48時間で0.5に到達する。
【0060】
培養条件
セレンの有機供給源、主として2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸(THD-177, Tetrahedron SAS, France, CAS: 873660-49-2)を、セレン当量に基づき0.5mg/l〜100mg/lの濃度で、すなわち、1.25mg/l〜250mg/lの2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸を投与した。培養の初めに、セレン含有の化合物を一度だけ(すなわち、培養液100mlあたり、0.125mg〜25mgの量)、又は一定時間ごとに数回添加した。なおこの間隔は6〜24時間であり、培養は2〜7日間維持した。
【0061】
実施例2:2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸(THD-177)(本発明の実施例)含有培地、又は亜セレン酸ナトリウム(比較例)含有培地での、混合栄養条件(光の存在及び培地中に炭水化物-グルコースの存在)下でのセレン濃縮されたクロレラブルガリス(chlorella vulgaris)微細藻類の産生:
【0062】
これらの試験において、使用した株は、クロレラブルガリス(chlorella vulgaris)SAG211−11B株:ゲッティンゲン大学のSAGコレクションに由来する純粋培養の株(SAG: Sammlung von Algenkulturen der Universitat Goettingen [ゲッティンゲン大学の藻類培養コレクション])であって、混合栄養条件下で以下の培地で培養した:
酵母抽出物 0.33g
牛肉抽出物 0.33g
トリプトース 0.66g
FeSO 0.66mg
グルコース 3.3g
蒸留水 qsp 1.0L
【0063】
pHを7.2に調整し、そして培地を121℃で15分間オートクレーブした。
【0064】
セレンの有機供給源、主として2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸(THD-177, Tetrahedron SAS, France, CAS: 873660-49-2)をセレン当量に基づき濃度20mg/lで、すなわち50mg/lの2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸を投与した。
【0065】
無機セレン供給源(NaSe, 亜セレン酸ナトリウム)をセレン当量に基づき濃度20mg/l、すなわち43.9mg/lの亜セレン酸ナトリウムを投与した。
【0066】
セレン含有の化合物を、クロレラブルガリス(chlorella vulgaris)株の指数増殖期(すなわち播種の3日後)に一度だけ添加した。
【0067】
分析用サンプルの調製:
7日間のインキュベーション後、0.2ミクロンのNalgeneの膜(a-PES, 直径90mmを参照されたい)を通して培地を濾過し、細胞残余分を生理食塩水でリンスした。セレン(セレン, セレノメチオニン及び亜セレン酸ナトリウム全て)含有の成分分析のために、ウェットの細胞集団を凍結乾燥した。
【0068】
クロレラブルガリス(chlorella vulgaris)のセレン含有成分の分析
サンプルのミネラル化後に、結合ICP質量分析(ICP coupled to detection by mass)によって全セレンをアッセイした。サンプルの酵素消化後に、Mester, Z.等の(2006)Annal.Bioanal.Chem.385:168−180においてLobinsky等によって記載される方法に従って、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析によってセレンのスペシエーションを行った。
【0069】
結果
以下の表1は、インキュベーション時間7日間で、3通りに得られた、セレン当量に基づく平均値を示す。
【0070】
【表1】

【0071】
THD177又はNaSeの形態で、この場合に20mgSe/lで添加したセレンの同用量に関して得られた結果から:
-添加をNaSeの形態で行う場合よりも、添加をTHD177の形態で行う場合の方が9倍の全Seが検出され;
-THD177の添加によって得られた、セレノメチオニンの形態で細胞内に蓄積されたセレンのレベルが、NaSeの形態での添加によって得られたものの44倍であり;
-細胞内にセレノメチオニンの形態で蓄積されたセレンのレベルは、NaSeでは20%のレベルであるのに比べ、THD177の形態で添加を行った場合は、実質的にセレン含有の細胞内化合物形態の100%(98.5%)に達し;そして
-添加がTHD177の場合は、全セレン中にSe(IV)が0.4%だけ検出され、一方NaSeの添加の場合は、全セレン中にSe(IV)が2.7%検出された、ことが示された。
【0072】
実施例3:2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸(THD-177)含有培地(本発明の実施例)又は亜セレン酸ナトリウム含有培地(比較例)で、独立栄養条件下での、セレン濃縮されたアースロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)微細藻類の産生:
これらの試験において、使用した株は、2009年8月4日に、パスツール研究所、25 rue du Docteur Roux 75724 Paris Cedex 15の、Collection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)[国立微生物培養コレクション]に、番号CNCM I−4218で寄託されたアースロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)3054−E0001の株である。
【0073】
3054−E0001株を独立栄養条件下で、以下の培地で培養した:
酵母抽出物 0.33g
牛肉抽出物 0.33g
トリプトース 0.66g
FeSO 0.66mg
蒸留水 qsp 1.0L
【0074】
pHを7.2に調整し、培地を121℃で15分間オートクレーブした。
【0075】
セレンの有機供給源、主として2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸(THD-177, Tetrahedron SAS, France, CAS: 873660-49-2)を、セレン当量に基づき濃度25mg/l、すなわち濃度62.5mg/lの2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸を投与した。
【0076】
無機セレン供給源(NaSe, 亜セレン酸ナトリウム)を、セレン当量に基づき濃度25mg/lで、すなわち54.4mg/lの亜セレン酸ナトリウムを投与した。
【0077】
アースロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)株の播種直後に、一度だけセレン含有の化合物を添加した(すなわち. T = 0)。
【0078】
分析用のサンプルの調製:
10日間のインキュベーション後、0.2ミクロンのNalgeneの膜を通して細胞ペレットを濾過し、細胞残余分を生理食塩水でリンスした。セレン(全セレン, セレノメチオニン及び亜セレン酸ナトリウム)含有の成分分析のために、ウェットの細胞集団を凍結乾燥した。
【0079】
アースロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)のセレン含有成分の分析
サンプルのミネラル化後に、全セレンを結合ICP質量分析によってアッセイした。サンプルの酵素消化の後に、Mester,Z.等の(2006)Annal. Bioanal. Chem.385:168−180においてLobinsky等によって記載された方法に従って、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析によってセレンのスペシエーションを行った。
【0080】
結果
以下の表2は、10日間のインキュベーション期間で3通りに得られた、セレン当量に基づく平均値を示す。
【0081】
【表2】

【0082】
得られた結果から、THD177又はNaSeの形態で添加したセレンの同一用量、この場合は25mgSe/lに関して:
−THD177の形態で行った添加に関しては、NaSeの形態で行った添加よりも8倍の全Seが検出され;
-THD177の添加によって得られた、セレノメチオニンの形態で細胞内に蓄積されたセレンのレベルは、NaSeの形態での添加によって得られたものより108倍高く;
-セレノメチオニンの形態で細胞内に蓄積されたセレンのレベルは、NaSeでは7%のレベルであるのに比べ、THD177の形態で添加を行った場合は、セレン含有の細胞内化合物形態の98%に達し;そして
-NaSeの添加の場合には全セレン中で2.9%のSe(IV)が検出されたのに対して、添加がTHD177の場合には、全セレン中の1.2%のSe(IV)だけが検出された、
ことが示された。
【0083】
実施例4:2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸(THD-177)含有培地での、セレン濃縮されたアースロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)微細藻類の産生(本発明の実施例)
この試験において、使用した株はアースロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)3054−E0001株である。比較は、
-本発明に従って、セレンTHD−177含有の化合物の添加を、アースロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)株の播種直後に一度だけ行った、前回の実施例である実施例3の結果、と
-実施例2のように、アースロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)株の培養の指数増殖期において、本発明に従って、セレンTHD−177の含有の化合物の添加を行った、新たな実験結果、との間で行った。
【0084】
結果
以下の表3は、10日間のインキュベーション期間で3通りに得られた、セレン当量に基づく平均値を示す。
【0085】
【表3】

【0086】
結果から、「指数増殖期中の添加」試験と比較して、「T0での添加」試験で全セレンが12%より多く、且つセレノメチオニンの形態でのセレンが30%より多く得られたことが示された。この違いは、「指数増殖期中の添加」試験よりも、「T0での添加」試験における、バイオマスとTHD177との長い接触時間の結果によるものとすることができる。
いずれの場合においても、細胞内Se(IV)レベルは全セレンの1%と低い状態である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光合成微生物をセレノヒドロキシ酸タイプの化合物を含んでなる培地で培養することを特徴とする、光合成微生物の有機セレンを濃縮するための方法。
【請求項2】
前記セレノヒドロキシ酸タイプの化合物が、以下に定義される一般式(I)の化合物、或いは該化合物の前駆物質、塩又はエステル若しくはアミド誘導体であって:
【化1】

式中:
nは、0,1又は2を表し;
は、OH,OCOR,OPO,OPO又はOR基であり;
は、OH,R,NHR,S−システイニル又はS−グルタチオニル基であり;
n=1且つRがOHの場合は、RはOHとすることはできないと理解され;
は、アルコキシル,S−システイニル又はS−グルタチオニル基,或いは以下の:
【化2】

から選択される基であり、
ORは、(C1-C26)アルコキシル基、又は以下の:
【化3】

から選択される基であり、
ORは、(C1-C26)アルコキシル基又は以下の:
【化4】

から選択される基であり、
ORは、ピルビン酸,乳酸,クエン酸,フマル酸,マレイン酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,パルミトレイン酸,オレイン酸又はリノール酸基、天然脂肪酸基或いは13−シス−レチノア−ト基であり;
は、H又は(C1-C26)アルキル基,天然アミノ酸又は天然アミンである、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(I)の化合物が:
-L−2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸,
-D−2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸,
-DL−2−ヒドロキシ−4−メチルセレノブタン酸,
又はこれらの化合物の塩から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記式(I)の化合物が、カルシウム塩、亜鉛塩又はマグネシウム塩の形態であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記光合成微生物が、藍藻綱及び緑藻綱によって形成されるグループから選択される、好適にはクロレラ属の緑藻綱及びスピルリナ(Spirulina)又はアースロスピラ(Arthrospira)属の藍藻綱で形成されるグループから選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法に従って得ることができる、有機セレンが濃縮された光合成微生物。
【請求項7】
前記光合成微生物が、該微生物のセレノメチオニンの形態でのセレンの含有量が、光合成微生物に存在する全セレンに対して、セレンの50質量%以上、好適には70質量%以上、より好適には80質量%以上、さらに好適には90質量%以上を示すことを特徴とする、請求項6に記載の有機セレンが濃縮された光合成微生物。
【請求項8】
前記光合成微生物が、全セレンに対して無機セレンを1.5質量%未満、好適には0.5質量%未満、より好適には0.1質量%未満含んでなることを特徴とする、請求項6又は7に記載の有機セレンが濃縮された光合成微生物。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の有機セレンが濃縮された光合成微生物、又は請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法に従って得ることができる有機セレンが濃縮された光合成微生物であって、当該微生物が緑藻綱であり、さらに微生物が微生物の乾燥重量で100μgSe/g以上のセレノメチオニン含有量を有することを特徴とする光合成微生物。
【請求項10】
前記微生物が、該微生物の全乾燥重量に対して、0.5質量%未満、好適には0.2質量%未満、より好適には0.1質量%未満の無機セレンを含んでなることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載の有機セレンが濃縮された光合成微生物。
【請求項11】
セレノメチオニンの形態での有機セレンの含有量が、含有するセレンの全質量の50%以上、好適には70%以上、より好適には80%以上、さらに好適には90%以上を示すことを特徴とする、有機セレンが濃縮された緑藻綱。
【請求項12】
セレノメチオニンの形態での有機セレンの含有量が、乾燥重量で100μgSe/g以上、好適には200μgSe/g以上、より好適には500μgSe/g以上、さらに好適には1000μgSe/g以上であることを特徴とする、有機セレンが濃縮された緑藻綱。
【請求項13】
無機セレンの残存量が含有する全セレンに対して、2質量%未満、好適には1.5質量%未満、より好適には1質量%未満であることを特徴とする、請求項11又は12に記載の有機セレンが濃縮された緑藻綱。
【請求項14】
無機セレンの残存量が、緑藻綱の全バイオマスに対して乾燥重量で、無機セレンの0.5質量%未満、好適には0.2質量%未満、より好適には0.1質量%未満に規定されることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項に記載の有機セレンが濃縮された緑藻綱。
【請求項15】
セレノメチオニンの形態での有機セレンの含有量が、含有するセレンの全質量の50%以上、好適には70%以上、より好適には80%以上、さらに好適には90%以上を示すことを特徴とする、有機セレンが濃縮された藍藻綱。
【請求項16】
セレノメチオニンの形態での有機セレンの含有量が乾燥重量で、100μgSe/g以上、好適には200μgSe/g以上、より好適には500μgSe/g以上、さらに好適には1000μgSe/g以上であることを特徴とする、有機セレンが濃縮された藍藻綱。
【請求項17】
無機セレンの残存量が含有する全セレンに対して、2質量%未満、好適には1.5質量%未満、より好適には1質量%未満であることを特徴とする、請求項15又は16に記載の有機セレンが濃縮された藍藻綱。
【請求項18】
無機セレンの残存量が、藍藻綱の全バイオマスに対して乾燥重量で、無機セレン0.5質量%未満、好適には0.2質量%未満、より好適には0.1質量%未満に規定されることを特徴とする、請求項15〜17のいずれか1項に記載の有機セレンが濃縮された藍藻綱。
【請求項19】
スピルリナ(Spirulina)又はアースロスピラ(Arthrospira)属に属することを特徴とする、請求項15〜18のいずれか1項に記載の藍藻綱。
【請求項20】
化粧剤、医薬、又は栄養剤としての、請求項6〜19のいずれか1項に記載の有機セレンが濃縮された光合成微生物の使用。
【請求項21】
請求項6〜19のいずれか1項に記載の、有機セレンが濃縮された少なくとも1つの光合成微生物を含んでなる組成物。
【請求項22】
前記組成物が、化粧、医薬又は栄養組成物であることを特徴とする、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の式(I)のセレノヒドロキシ酸タイプの1又は複数の化合物を含んでなることを特徴とする、光合成微生物のための培地。

【公表番号】特表2012−500647(P2012−500647A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524428(P2011−524428)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/FR2009/001044
【国際公開番号】WO2010/023384
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(506107612)
【Fターム(参考)】