説明

センサ合理性診断

排気後処理システムにおいて用いられる3個の温度センサ415および425そして435のうちの1のセンサの合理性について判定するといったセンサ診断方法600であり、この診断方法は、第1のセンサ415と第2のセンサ425間の温度差を判定するステップ610と、第2のセンサ425と第3のセンサ435との間の温度差を判定するステップ610と、そしてこれらの温度差が許容される閾値の範囲内に収まっているかどうかを判定するステップ615と、二つの温度差を比較してエラーがある場合には、どのセンサがエラーであるかを判定するステップ620を具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサの合理性の診断に関するものであり、特に、排気後処理用触媒/フィルタシステムに関連する温度センサの機能性を診断する内燃機関装置、システム、及び方法の排ガス規制システムに関する。さらに具体的には、本発明は、排気後処理用の触媒/フィルタシステムにおけるインレンジサーミスタの合理性を検証する装置、システム、及び方法に関する。
【0002】
[関連技術]
ディーゼル排気微粒子用の触媒/フィルタの後処理システムは、ディーゼル微粒子除去装置(DPF)中の粒子状物質や煤を捕集するよう設計されている。DPFは時間が経つと粒子状物質で一杯になり、きれいにする必要がある。DPFのクリーニング方法の一つは、ディーゼル用酸化触媒(DOC)の使用を通して、蓄積した粒子を燃え尽きさせることによる。
【0003】
DOCは、プラチナやバラジウムなどの貴金属でコーティングされたハニカム状の基板を含むデバイスを通る流れである。この触媒は、排ガスの温度を上げながら粒子状物質を燃焼させて、DOCを通過する時に排ガスと相互に作用する。ディーゼル排気微粒子用の排気後処理システムにおけるDPFとDOCの組み合わせは、有害な汚染物質が大気中に流れ出ることを防ぐ為に使用されてきた。
【0004】
ディーゼル排気微粒子は、500℃以上の温度で燃焼する。粒子状物質が燃焼する時に、更なる温度上昇が見られることがある。これらの高い温度は、フィルタ材料がその構造を維持できる温度を超えることもある。温度センサは、DOC及びDPFを用いたディーゼル排気後処理システムの温度の監視に使用されている。このセンサは大抵サーミスタであり、作動している温度に応じて電気抵抗の度合いを変えるようになっている。センサによって提供された情報を用いて、後処理システムにおける潜在的な問題を診断し、更に、DPFの効果的な再生を制御するようにしている。
【0005】
政府の法規制に従って、2007年及びそれ以降のモデルイヤーに生産された大型車輌用エンジンは、エンジン製造者診断システム(EMD:Engine Manufacturer Diagnostic System)を搭載することが要求されている。このEMDシステムは排ガスシステムを監視して、故障の検出とその故障をオペレータに通知することができるものでなければならない。エンジン製造業者によって適切であると判定された場合は、EMDシステムは、排ガスシステム上で、サーミスタのような入力部品の故障を検出しなければならない。特にインレンジ合理性とは、システムの作動範囲内でのエンジンもしくは、排気後処理システムの特定の作動条件について合理的でない検出の温度を指している。
【0006】
排気ガスの温度サーミスタの合理性テストに用いられる方法の例には、キーオン診断がある。この診断は、エンジン冷却水の温度、吸気温度もしくはエンジン温度とサーミスタ読取を比較して、測定された温度間に著しい相違があるかを見るものである。このキーオン診断は、排気に無関係なシステムと排気温度とを比較しなければならず、正しい温度の読取値からオフセットしているセンサではなく、著しいエラーである温度センサ読取値を見つけるのに適している。
【0007】
もう一つの方法は、ディザと呼ばれ、サーミスタ温度が時間の経過とともに変わるかどうかを見る。この方法によると、長時間にわたって温度を測定して、温度の読取りが一点に固まっているかどうかを判定する。この方法は、正しい温度からはオフセットしているセンサを検知することはできないが、温度変化に正確に追従する。
【0008】
本発明は、これまでに開発されたサーミスタ合理性診断装置と交換可能であるか、あるいは以前の装置と関連させて用いることが可能であり、すべての車両プラットフォームと既存の後処理システムに適用可能である。本発明はまた、広範囲のアプリケーションで、圧力センサ、流量センサなどあらゆるタイプのセンサ用に構成されている。この診断は、触媒エレメントと少なくとも3つの温度センサを有する全ての製品に使用することができる。本発明は、範囲内で固まったサーミスタ、並びにオフセットしたサーミスタを診断する方法、システム及び装置を提供する。
【0009】
前述の考察から、全ての車両プラットフォームに適用可能であり既存の後処理システムコンポーネントを使用するサーミスタ診断が必要性なことは明白である。この診断処理は、触媒エレメントと温度センサが付いている全ての製品と互換性がなければならない。この診断処理は、正しい温度読取値から範囲で固まっているオフセットサーミスタ並びにオフセットしているサーミスタとサーミスタの診断ができるものでなければならない。
【発明の概要】
【0010】
本発明の1の態様においては、第1のセンサが第1の値を感知し、第2のセンサが第2の値を感知し、第3のセンサが第3の値を感知するセンサ診断方法が開示されている。この方法は、第1のセンサで測定した値と第2のセンサで測定した値間の第1の差を比較して、この2つの値の間の差が第1閾値の範囲内に入るかどうかを判定する。
【0011】
次いで、このセンサ診断方法は、第2のセンサで測定した値と第3のセンサで測定した値間の第2の差を比較して、この第2の値と第3の値の間の差が第2閾値の範囲内に入るかどうかを判定する。
【0012】
このように、このセンサ診断方法は、前記閾値の範囲外の測定差異を見つけることによって、あるセンサが他のセンサに関して合理的に作動しているかどうかを判定することができる。
【0013】
本発明の別の実施例では、温度センサの診断装置は、互いに物理的に間隔をあけて配置された第1、第2及び第3の温度センサを具えている。これらのセンサは、第1のセンサで感知された温度と第2のセンサで感知された温度間の第1の温度差を判定するように構成されている。これらのセンサは更に、第2の温度センサと第3の温度センサで感知された温度間の第2の温度差を判定するように構成されている。
【0014】
第1と第2の温度差は、閾値温度レベルと比較され、第1と第2の温度差が許容範囲内に入るかどうかを判定する。第1又は第2の温度差が許容範囲外になった場合、第1及び第2の温度差を比較して、この温度差の比較に基づいてセンサの合理性を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の利点が容易に理解されるように、本発明のより詳細な説明は、添付図面で図解された特定の実施例を参照して示す。これは、典型的な実施例を説明するのもであり、発明の範囲を制限するものではない。
【0016】
【図1】図1は、本発明による条件センサ配置の一実施例の概略図である。
【0017】
【図2】図2は、本発明による条件センサ配置の別の実施例の概略図である。
【0018】
【図3】図3は、本発明による条件センサ配置の別の実施例の概略図である。
【0019】
【図4】図4は、排気後処理システムに用いた本発明による条件センサ配置の別の実施例の概略図である。
【0020】
【図5】図5は、本発明による温度測定システムの一実施例を示す概略図である。
【0021】
【図6】図6は、本発明によるセンサ合理性診断方法の一実施例すフローチャートである。
【0022】
【図7】図7は、本発明によるセンサ合理性診断方法の別の実施例を示すフローチャートである。
【0023】
【図8】図8は、本発明による制御システムの一実施例を示す概略ブロック図である。
【0024】
【図9】図9は、本発明によるセンサ合理性判定方法の一実施例を示すチャート図である。
【0025】
[発明の詳細な説明]
この明細書を通して用いられている「実施例」、「実施例」もしくは類似の用語は、その実施例に関連して説明された特定の側面、構造又は特徴が、本発明の少なくとも1つの実施例に含まれていることを意味する。この明細書を通して「一実施例で」、「実施例で」もしくは類似のフレーズは全て、必ずしもそうではないこともあるが、同じ実施例に言及するものである。
【0026】
本発明のここに述べた側面、構造もしくは特徴は、1つ又はそれ以上の実施例において、適切な方法で組み合わせることができる。以下の記述において、様々な具体的詳細は、本発明の実施例の完全な理解をもたらすために提供されている。しかしながら、関連分野の当業者は、1つ又はそれ以上の具体的な詳細無しでも、又はその他の方法、構成部品、材料その他を用いて実施できる発明であることを認識するであろう。その他の実施例では、発明の観点を曖昧にすることを避ける為に公知の構造や材料、あるいは操作を詳細に示しておらず、又記述していない。
【0027】
図1は本発明による温度検知装置100の実施例を示す。温度検知装置100は、基板105と温度センサ110、115、及び120を具えている。
【0028】
図2に示すような実施例も発明の範囲に含まれており、この例は追加の温度センサ210、215、220、225、230、235、240を含む基板205を具える温度検知装置200を図示している。これらの追加の温度センサは7個に限定されるのではないが、少なくとも3個でなければならない。基板205は平面的である必要なく、内燃機関で見られるように、基板上の異なる場所に設置されたセンサを持つ3次元のものであってもよい。
【0029】
温度センサは、図1や図2に示すように、基板全体にランダムに配置することが可能であり、あるいは、直線的に配置するか、又は図3に示すように、他のよりシステム化して配置するようにしてもよい。図3は、温度センサ310、315及び320を含む基板305を示す。論理的な順序で設置された温度センサの一例は、内燃機関排気システムに一列に設置された温度センサであろう。
【0030】
ここで図4を参照する。装置400は、内燃機関(図示せず)で排気ガスを受ける排気後処理システムを示す。排気ガスは、排気チューブ410内に含まれており、矢印405で示す方向に進む。排気ガスは、サーミスタ415を通過して、そこで温度が測定される。排気ガスは、ディーゼル酸化触媒420を通過して、サーミスタ425を通過しそこで温度が測定される。この排気ガスは、ディーゼル微粒子除去装置430を通過して、サーミスタ435によって測定される。この実施例ではサーミスタが使用されているが、その分野における当業者は、本発明の精神から外れることなくその他の温度センサや測定装置を使用できることを認識するであろう。
【0031】
図4の実施例において、本発明を制限する目的ではなく、説明目的で、サーミスタ415をサーミスタ内のディーゼル酸化触媒内側サーミスタとして呼び、サーミスタ425をディーゼル酸化触媒外側サーミスタとして呼び、サーミスタ435は、ディーゼル微粒子除去装置外側サーミスタと呼ぶ。これらの用語は、図7を参照して更に充分に考察する。
【0032】
図4に示す実施例は、ディーゼル酸化触媒420と、ディーゼル微粒子除去装置430を説明しているが、その分野における当業者は、その他の排ガス後処理コンポーネントをこれらの位置に代用できることを認識するであろう。
【0033】
本発明の一実施例における温度センサの合理性診断用の複数の温度測定を示す概略図が図5に示されている。この実施例において、内燃機関505は、矢印によって示される方向に流れる排出ガスを生成する。この実施例に見られるように、排出ガスの温度測定は、ディーゼル酸化触媒515の入口でサーミスタ510によって行なわれる。又、排出ガス温度は、ディーゼル酸化触媒の出口でサーミスタ520によって、及びディーゼル微粒子除去装置525の出口でサーミスタ530によって測定される。
【0034】
ここに示す概略フローチャート図および方法の概略図は、一般的に論理フローチャート図として示されている。このように図に示す順序、若しくはラベル付けした手順は、この方法に関する一の実施例を示す。その他の手順及び方法は、図解された方法の機能・ロジックあるいは効果の点で一又はそれ以上の手順と同等であるか、また、その一部であると考えることができる。加えて、ここで用いたフォーマットとシンボルはこの方法の論理手順を説明するためのものであり、この方法の範囲を限定するものではないと理解するべきである。さまざまなタイプの矢印や線がこのフローチャートのダイアグラムの中で用いられているが、これらは対応する方法の範囲を限定するものではないと理解するべきである。幾つかの矢印あるいはその他の連結子は、この方法の論理フローを表示するためのみ用いられている。例えば、ある矢印は、図に示す方法について列挙された手順間の非特定時間の大気時間又はモニタ時間を表わすものである。更に、特定の方法が生じる順序は、図に示す対応する手順の順序に厳格に従うものでも、そうでないものであっても良い。
【0035】
図6は、本発明による、温度センサの合理性のようなセンサ合理性判定の方法600についての実施例を示す。方法600は、ディーゼルエンジンの排ガス後処理システムにおけるセンサ合理性テストに使用する実施例を示しているが、あらゆるセンサ構成に一般化してもよい。図に示すように、方法600はブロック605で始まり、サーミスタ510、520及び530のような温度測定センサによって差分又は作動温度が測定される。次いで、コントローラあるいはその他の装置あるいは人間が、差分温度が閾値範囲内に収まっているかどうかをブロック615で判定する。イエスであれば、それ以降の分析は行われず、この方法は、スタート605に戻って再開する。差分温度が閾値の範囲外であれば、次いで差分温度を比較して、どのサーミスタ温度センサあるいは他の測定装置が非合理であるかを判定する。
【0036】
本発明の差分温度とは、2個のサーミスタ、センサあるいは他の温度測定機器間の温度差を意味する。本発明で使用されているように、第1サーミスタと第2サーミスタは、測定された1番目と2番目のサーミスタを意味し、必ずしも一連の一番目と二番目のサーミスタである必要はない。差分温度は、時間内の特定時点で測定することができ、あるいは好ましい実施例においては、デルタ温度は2個のセンサ、サーミスタあるいは他の温度測定機器間の作動平均温度を意味することもある。
【0037】
図7は、本発明による温度センサ合理性判定方法700の、1実施例の更なる詳細を示している。図に示すように、この方法700はブロック705で始まっており、ブロック710でシステムの起動可能条件がチェックされる。ブロック710でチェックされる起動可能の条件の例には、サーミスタあるいはその他の電子部品内の回路導通チェックを、排気フローエラーのチェック及びハイドロカーボン(HC)添加器が不適切に動作している場所でのハイドロカーボン(HC)添加不良のチェックが行なわれる。何らかの起動可能条件が適合しない場合は、診断状態を、ブロック712で打ち切るように設定することによって診断を中止して、スタート705に戻る。
【0038】
ブロック715は、添加器をチェックして、DPFが再生しているか否かを判定する。DPFが再生されていれば、ブロック719で前記状態を設定することによって、再生現象が止まるまで、診断処理がリセットされる。診断処理が719でリセットされると、ブロック717でリセットされるアイテムは、サンプル番号をリセットしてゼロにすること、サーミスタでの作動中の合計差異をゼロにリセットすること、及び、記録された時間もゼロにリセットすることが含まれる。
【0039】
いったんDPFが再生を止めると、排気システムはHC非添加温度レベルに戻らなければならない。ブロック720では、診断処理がリセットされたかどうか、そしてブロック715で実施済みHC添加チェックがシステムが非HC添加温度レベルになるのに充分な時間継続されたかどうかをチェックする。追加の時間がブロック722で記録されて、719でシステムがリセットされる。
【0040】
ブロック725は、センサが診断可能な範囲に収まっているかをチェックする。排気システムが充分に冷めてから、ディーゼル酸化触媒入口側サーミスタ415、ディーゼル酸化触媒出口側サーミスタ425、及びディーゼル微粒子除去装置出口側サーミスタ435が診断可能な範囲内に収まっているかどうかをチェックする。排気フロー及びエンジンスピードも、それらが可能な範囲に収まっているかどうか判定する為に閾値に対してチェックされる。全部のサーミスタが閾値から外れている場合、診断処理727は行われない。
【0041】
もしディーゼル酸化触媒入口側サーミスタ415、ディーゼル酸化触媒出口側サーミスタ425、そしてディーゼル微粒子除去装置出口側のサーミスタ435、排気フロー、及びエンジンスピードが診断可能な範囲にあれば、診断処理はブロック730に進む。ブロック730では、差分温度はディーゼル酸化触媒420及びディーゼル微粒子除去装置430全体にわたって検出される。ディーゼル酸化触媒430全体の差分の温度は、ディーゼル酸化触媒入口側サーミスタ415で測定された温度とディーゼル酸化触媒出口側サーミスタ425で測定された温度における差である。ディーゼル微粒子除去装置全体にわたって検出された差分温度は、ディーゼル酸化触媒出口側サーミスタ425で測定された温度と、ディーゼル微粒子除去装置出口側サーミスタ435で測定された温度における差である。差分温度は、作動平均であり、ブロック730で記録される。ブロック730は、何回作動したかも記録する。
【0042】
ブロック735では、システムは、診断を行うのに充分な時間システムが作動したかどうかを判定する。この判定は、ブロック730で示される通り、システムが差分温度測定してロギングした回数と閾値レベルとを比較することによって行なわれる。もしシステムが診断処理を行うために充分な回数を作動していない場合は、システムは、ブロック737で追加の測定を1度行うことによってインクリメントされ、診断ステータスがセットされてブロック740で実行される。
【0043】
ブロック745は、システムがブロック735で決められたように十分な回数実行されると、ディーゼル酸化触媒420及びディーゼル微粒子除去装置430についての差分温度を、閾値レベルと比較する。この閾値は、上側温度閾値と下側温度閾値の両方を具えていてもよい。
【0044】
差分温度がブロック745で閾値レベルを外れていると判定されたら、その事象がエラーとしてロギングされ、そしてブロック737でロギングされているシステムの作動回路のロギング記録がゼロにリセットされる。ブロック730でロギングされている差分温度も、ブロック747でゼロにリセットされる。
【0045】
ブロック750では、差分温度が閾値レベルに収まっていると判定されると、故障カウンタが1回減って、ブロック737でロギングされているシステムの作動回数のロギング記録が、ゼロにリセットされる。ブロック730でロギングされている差分温度も、ブロック750でゼロにリセットされる。
【0046】
ブロック755で、エラーカウンタをチェックして、最近の故障が無かったかどうかを見る。システムに何か最近のエラーがなかったら、診断ステータスがブロック740で実行されるようセットされて、システムはリセットされる。しかしながらエラーがロギングされると、ブロック760でこのエラーを閾値に対して比較する。
【0047】
ブロック760でのエラーの数が閾値レベルよりも大きいかもしくは閾値レベルに等しければ、診断処理は、1又はそれ以上のサーミスタがエラーを起こしたことを記録765する。ブロック760でエラーが閾値レベルよりも少なければ、診断ステータスはプレリミナリーエラーにセットされて770、システムはスタート705にリセットされる。
【0048】
ここで図8を参照すると、本発明によるサーミスタ診断制御システム800の一実施例の示されている。図に示す通り、コントロールシステム800は、コントローラ810、1又はそれ以上のセンサ845、及びサーミスタ850を具える。コントローラ810は、入力モジュール815、条件モジュール835、温度差モジュール820、閾値モジュール840、比較モジュール825、そして出力モジュール830を具える。
【0049】
この分野で知られているように、コントローラ810と構成部品は、プロセッサ、メモリ、そして1又はそれ以上の半導体基板上の半導体ゲートで組み立てることができるインターフェースモジュールを具えている。各半導体基板は、回路カードの上に実装された1又はそれ以上の半導体デバイスでパッケージ化してもよい。モジュール間の接続は、半導体金属層、基板間配線、あるいは半導体デバイスを接続している回路カードトレース又は配線を通して行うことができる。
【0050】
システム800は、エンジンと、図4に示すような後処理デバイスとサーミスタを内蔵した排気後処理システムを操作可能にコントロールするこのサーミスタ415、425、そして435はサーミスタ850に相当する。上述した通り、サーミスタ850は、排気後処理システムに含まれる後処理デバイスに全体温度の差をモニタしており、これは後処理デバイスを再生する間に特に有用である。センサ845は、排気後処理システム又はエンジンのどこかに設置されたその他の温度センサ、圧力センサ、排気フローセンサ、及び/又は、その他のエンジンと排気条件センサを具えていてもよい。
【0051】
図に示す実施例におけるコントローラ800は、上述したサーミスタの合理性診断の動作を制御する。多くの場合、コントローラ800は、エンジン及び/又は排気後処理電子コントロールモジュールの一部であるか、又はこれを具えており、エンジン及び/又は排気後処理システムのその他の動作を制御する。
【0052】
入力モジュール815は、センサ845及びサーミスタ850からの複数の入力を受信するように構成されていて、温度及びその他の条件に相当するこれらの入力をセンサ845及びサーミスタ850によって判定する。条件モジュール835は、サーミスタの合理性診断テストを処理又は継続するための条件が充分であるかないかを判定するように構成されている。
【0053】
温度差モジュール820は、サーミスタ850間の温度差を判定するように構成されている。例えば、図4を参照すると、温度差モジュール820は、サーミスタ415及び425から受け取った温度を、ディーゼル酸化触媒420の温度差の判定に使うこともある。この実施例では、サーミスタ425及び435から受け取った温度を、ディーゼル微粒子除去装置430の温度差の判定に使うこともある。
【0054】
閾値モジュール840は、温度差が閾値範囲内に入るかどうかを判定するように構成されている。例えば、再び図4を参照すると、酸化触媒420及びディーゼル微粒子除去装置430の温度差についての閾値範囲が15度であれば、閾値モジュール840は、デバイス420及び430がその範囲から外れている範囲内に収まっているのかを判定する。閾値範囲は、アプリケーション毎に又同じアプリケーションでも時間によって、変えることができる。
【0055】
比較モジュール825は、温度差を比較して、その比較に基づいて1又はそれ以上のサーミスタ850のエラー又は不合理性を判定するように構成されている。比較に関する更なる詳細は、図9を参照して以下に述べる。
【0056】
出力モジュール830は、ディーゼルトラックはこの発明の装置を使用してダッシュボードのライトを点灯している場合のように、比較モジュール825で行った判定を出力するように構成されている。
【0057】
ここで図9を参照すると、比較モジュール825で行っているような本発明で用いる比較方法900の一実施例がグラフ形式で示されている。この方法900は、図4で示された装置400に関連して説明するが、この開示に照らして当業者は自明であるように、本明細に記載したいずれかの装置又はその他の関連する装置に使用することができる。方法900に示すものと同じ原理が、必ずしも温度ではなく、その他の条件を測定するものであるがその他の実施例に用いることができる。必要に応じて、サーミスタ間の同様の比較を、単にこの方法に追加することにより、3個以上である限りは、異なる数のセンサを使ってもよい。
【0058】
酸化触媒420の3つの温度差の値910、920及び930が示されていて、値910は判定された閾値範囲より上で、値920は閾値範囲より下で、値930は閾値範囲に収まっている。同じように、微粒子除去装置430の、3つの温度差の値940、950及び960が示されていて、値940は閾値範囲より上で、値950は閾値範囲より下で、そして値960は閾値範囲に収まっている。
【0059】
後処理デバイスが温度差値910と940(両方とも閾値より上、すなわち高又は正)を示している場合は、サーミスタ415、425及び435の内の少なくても2個エラー(故障又は非整合)であると判定される。排気後処理システムではサーミスタ415が最もエラーを起しそうであるので、その中で最もエラーでありそうな1個はサーミスタ415であるが、このアルゴリズムからはどのサーミスタがエラー状態にあるかのかを判定することができない。従って、オペレータは、サーミスタ415を交換して診断処理を行うことによって、再度他の機能障害を起こしているサーミスタを見つけてシステムをシステマティックに診断することができる。
【0060】
温度差値920及び950(両方とも閾値より下、すなわち低又は負)を示している後処理デバイスの場合では、上記の状態と同じように、サーミスタ415、425及び435の内の少なくても2個がエラー(故障又は非整合)であることと判定される。排気後処理システムではサーミスタ415が最もエラーを起こしそうであるので、その中でもっともエラーでありそうな1個はサーミスタ415であるが、このアルゴリズムからはどのサーミスタがエラー状態にあるかのかを判定することはできない。従ってオペレータは、サーミスタ415を交換して診断処理を行うことによって、再度他の機能障害を起こしているサーミスタを見つけてシステムをシステマティックに診断することができる。
【0061】
温度差値930及び960(両方とも閾値範囲内)を示している後処理デバイス場合は、サーミスタ415、425及び435の全てが正しく機能していることが判定される。理論的には、もし3個のサーミスタ全てが同じ方向かつ同じ度合いで非整合である場合は、診断処理は失敗するが、そのような可能性はかけ離れていて、実務的には、有り得ない。
【0062】
温度差の値910(高)を持つ酸化触媒420と温度差の値950(低)を持っている微粒子除去装置430の場合では、サーミスタ425がエラーであることが判定される。値920及び940とでも同じ結論になる。これは、サーミスタ425が不正確な温度を測定した場合に、両方の後処理デバイスについて、反対の等しいアンバランスが生じるためである。
【0063】
値910及び960(並びに920及び960)の場合では、サーミスタ415がエラーであることが判定される。微粒子除去装置430についての温度差は期待通りであり、方法900は、サーミスタ425及び435は正しく作動しており、サーミスタ415のディーゼル酸化触媒420についての読取りが悪いとの原因を残す。
【0064】
値930及び940(並びに930及び950)の場合では、サーミスタ435がエラーであることが判定される。酸化触媒420についての温度差は期待通りであり、方法900は、サーミスタ415及び425は正しく作動しており、サーミスタ435の微粒子除去装置430についての読み取りが悪いとの原因を残す。
【0065】
本発明は、その精神又は本質的な特徴から離れること無しに、その他の特定の形態で実施できる。ここで説明した実施例は、全ての点で説明的なものであり、制限的なものではない。従って、本発明の範囲は上述の記載より、むしろ添付の特許請求の範囲によって述べられている。請求項の意味の均等の範囲の中に入る全ての変更は、この範囲の中に包含されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサの診断方法において、
第1の条件値を検知する第1のセンサと、第2の条件値を検知する第2のセンサと、第3の条件値を検知する第3のセンサを提供するステップと、
前記第1及び第2の条件値間の第1の条件差を測定するステップと、
前記第1の条件差が第1の閾値範囲に入るかどうかを決定するステップと、
前記第2と第3の条件値間の第2の条件差を測定するステップと、
前記第2の条件差異が第2の閾値範囲に入るかどうかを決定するステップと、
前記第1の条件差と前記第2の条件差を比較するステップと、
を具えることを特徴とするセンサ診断方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法が更に、
前記センサのうちの少なくとも一つの合理性を判定するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記第1の条件差が前記第1の閾値範囲に入っており、前記第2の条件差が前記第2の閾値範囲に入っている場合、前記センサが合理的であると判定することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、
前記第1の条件差が前記第1の前記閾値範囲から外れており、前記第2の条件差が前記第2の閾値範囲に入っている場合、前記第1のセンサは非合理的で、前記第2及び第3のセンサは合理的であると判定することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法において、
前記第1の条件差が前記第1の閾値範囲に入っており、前記第2の条件差が前記第2の閾値範囲から外れている場合、前記第1と第2のセンサが合理的で前記第3のセンサは非合理的であると判定することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法において、
前記第1の条件差が前記第1の閾値範囲より大きく、前記第2の条件差が前記第2の閾値範囲よりも大きい場合、少なくとも二つのセンサが不合理であると判定することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項2に記載の方法において、
前記第1の条件差が前記第1の閾値範囲より小さく、前記第2の条件差が前記第2の閾値範囲よりも小さい場合、少なくとも二つのセンサが不合理であると判定することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法において、
前記第1の条件差が前記第1の閾値範囲よりも大きく、前記第2の条件差が前記第2の閾値範囲よりも小さい場合、前記第2のセンサが不合理であると判定し、前記第1のセンサと第3のセンサは合理的であると判定することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項2に記載の方法において、
前記第1の条件差が前記第1の閾値範囲よりも小さく、前記第2の条件差が前記第2の閾値範囲のよりも大きい場合、前記第2のセンサが不合理であり、前記第1と第3のセンサが合理的であると判断することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項2に記載の方法において、
前記センサが温度センサであり、前記条件値が温度であり、前記条件差が温度差であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記第1のセンサが第1のディーゼルエンジン排気後処理装置の入り口側の温度を検知し、前記第2のセンサが、前記第1の後処理装置の出口側と第2の排気後処理装置の入り口側の間の温度を検知して、前記第3のセンサが前記第2の後処理装置の出口側の温度を検知することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、
前記条件差は条件差の平均値であることを特徴とする方法。
【請求項13】
サーミスタの点検方法において、
エンジン排気後処理システムを提供するステップであって、当該システムが排気流ストリームに沿って間隔をあけて配置された第1のサーミスタと、第2のサーミスタと、第3のサーミスタを具えるステップと;
診断テストに基づいてそのサーミスタが不合理であるとの判定に達した後に当該サーミスタを前記システムから取り外すステップであって、前記テストが前記第1のサーミスタと前記第2のサーミスタの間の第1の温度差を測定するステップと、前記第1の温度差が第1の閾値を超えるかどうかを判定するステップと、前記第2のサーミスタと前記第3のサーミスタ間の第2の温度差を測定するステップと、前記第2の温度差として、前記第2の温度差が第2の閾値範囲を超えるかどうかを判定するステップと、前記第1の温度差と前記第2への温度差との比較を行うステップとを具えるステップと;
新しいサーミスタをインストールするステップと;
を具えることを特徴とするサーミスタの点検方法。
【請求項14】
複数のセンサについての前記合理性を診断を行う動作を実行するために、デジタル処理装置によって実行可能なマシンで読み取り可能な命令から成るプログラムを可視的に実施する信号担持媒体において、前記動作が:
第1のセンサと第2のセンサの間の第1の条件差を測定するステップと、
前記第1の条件差が第1の閾値の範囲に入っているかどうかを判定するステップと、
前記第2のセンサと第3のセンサの間の第2の条件差異を測定するステップと、
前記第2の条件差が第2の閾値の範囲に入っているかどうかを判定するステップと、
前記第1の条件差を前記第2の条件差と比較するステップと
を具えることを特徴とする信号担持媒体。
【請求項15】
請求項14に記載の信号担持媒体において、
前記命令が更に、前記センサの少なくても一つの合理性を判定するステップを具えることを特徴とする信号担持媒体。
【請求項16】
請求項15に記載の信号担持媒体において、
前記条件差が温度差であることを特徴とする信号担持媒体。
【請求項17】
サーミスタの合理性の診断が可能なエンジン排気後処理システムにおいて、
排気ガス流に一連に配置した第1のサーミスタと、第1の後処理デバイスと、第2のサーミスタと、第2の後処理デバイスと、及び第3のサーミスタと;
前記後処理システム内に配設した複数の条件センサと;
コントローラであって、
前記センサと前記サーミスタによって判定された条件と温度に相当する複数の入力を受信するように構成された入力モジュールと、
前記条件が、サーミスタの合理性診断テストを行う又は継続するのに十分であるかどうかを判定するように構成された条件モジュールと、
前記第1のサーミスタと第2のサーミスタの温度読取に基づいて前記第1の後処理デバイスの第1の温度差を判定し、前記第2のサーミスタと第3のサーミスタの温度読取に基づいて前記第2の後処理デバイスの第2の温度差を判定するように構成されている温度差モジュールと、
前記第1の温度差と前記第2の温度差が閾値範囲に入っているかどうかを判定するように構成された閾値モジュールと、
前記第1の温度差と前記第2の温度差を比較して、その比較に基づいて、1又はそれ以上のサーミスタのエラー判定を行うように構成された比較モジュールと、
前記比較モジュールが行った判定を出力するように構成された出力モジュールと、を具えるコントローラと;
を具えることを特徴とするエンジン排気後処理システム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムにおいて、
前記エンジンがディーゼルエンジンであり、前記第1の後処理デバイスがディーゼル酸化触媒であり、前記第2の後処理デバイスが微粒子除去装置であることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項17に記載のシステムにおいて、
前記温度差は、温度差の経時的平均値の累積であることを特徴とするシステム。
【請求項20】
温度センサ診断装置において、
互いに空間をあけて配置された、第1の温度センサと、第2の温度センサと、及び第3の温度センサと;
前記第1のセンサと前記第2のセンサによって検出された温度間の第1の温度差と、前記第2のセンサと前記第3のセンサによって検出された温度間の第2の温度差を判定する手段と;
前記第1の温度差と前記第2の温度差が許容範囲内に入っているかどうかを判定する手段と;
前記第1の温度差と前記第2の温度差とを比較する手段と;
前記温度差の比較結果に基づいて前記センサの合理性を判定する手段と;
を具えることを特徴とする温度センサ診断装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置において、
前記温度差は、温度差の平均値であることを特徴とする装置。
【請求項22】
エンジンの排気後処理で使用されるサーミスタの合理性診断方法において:
エンジンと排気の状態が合理性診断テストを行うのに満足の行くものであるかどうかを判定するステップと;
第1の後処理デバイスの第1の温度差分を判定し、前記合理性テスト中に得られた前回分の第1の差分に前記第1の差分を加算するステップと;
第2の後処理デバイスの第2の温度差分を判定し、前記合理性テスト中に得られた前回分の第2の差分に前記第2の差分を加算するステップと;
前記合理性テストが信頼に足るよう充分な時間が経過したかどうかを判定するステップと;
前記第1の温度差分と前記第2の温度差分の和を、それぞれ平均化するステップと;
前記平均値が閾値範囲内に入っているかどうかを判定するステップと;
前記平均値を互いに比較するステップと;
前記平均値の比較に基づいて、前記後処理デバイスに関連する1又はそれ以上のサーミスタに対してエラーを割り付けるステップと;
を具えることを特徴とするサーミスタの合理性診断方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
前記方法を実行する間、前記エンジンが稼働していることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法が更に、
特定のサーミスタについてのエラー数がエラー閾値を超えるまで前記方法を繰り返すステップと、エラーが前記閾値を超えたサーミスタに非合理性をラベル付けするステップと、を具えることを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2011−506912(P2011−506912A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515230(P2010−515230)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/068842
【国際公開番号】WO2009/006436
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(508210310)カミンズ フィルトレイション アイピー インク. (5)
【Fターム(参考)】