説明

センサ構成

物質または身体をモニタし、かつ、または、治療するための機器である。当該機器は、センサ(1)を含み、少なくともその一部は使用中に身体、組織、体液または他の物質に接触するよう配置されており、さらにコンピュータ装置(3)を含む。センサ1およびコンピュータ装置(3)の両方は、無線通信リンクを介してそれらの間のデータ送信を容易にするための無線周波数回路(12、16)を含み、コンピュータ装置(3)は、ユーザ位置に基づいて無線リンク送信特性を選択するための、およびこれらの特性をセンサ(1)へ送るための、手段(15、17)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明はセンサの構成に関し、特に、体内移植可能型、および着用可能型医療用バイオセンサの構成に関するが、必ずしもこれに限られない。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
「バイオセンサ」は、生物学的もしくは生物学的な由来の検出要素が、物理化学的トランスデューサと一体化され、または密接に関連付けられて組込まれた、分析装置として定義される。バイオセンサは、アナログ信号をもたらすことも排除されるべきではないが、一般に単一の検体または関連する検体群に比例する、離散的もしくは連続的なデジタル電子信号を生成するよう設計される。
【0003】
バイオセンサの用途には多くの分野、たとえば環境センシング、化学製品生産、および飲食物の生産や準備などを含む。しかしながら、多大な関心を集める用途の一分野は、医療用の診断学、モニタリングおよび治療である。以下の説明は、考慮される問題および解決策が非医学的な用途を有し得ることが認識されるとはいえ、本来、これらの医療用途に対処するものである。
【0004】
医療用モニタリングバイオセンサの典型例は、ユーザ(すなわち患者)の体系内に存在するブドウ糖レベルを示す電気信号を生成するよう設計される、ブドウ糖バイオセンサである。今日のブドウ糖バイオセンサは、酵素または他の試薬を電極の表面上に固定する概念を基礎とする傾向があり、実質的なpH検出器をもたらす。患者から得られた試料、たとえば一滴の血液に試薬が晒されると、装置の電気的出力は試料のpH値を示し、したがって間接的にブドウ糖レベルを表す。商業上利用可能なブドウ糖バイオセンサは、使い捨てのテスト用片または要素を有する携帯型装置となる傾向がある。
【0005】
たとえば糖尿病患者の場合、検出されたブドウ糖レベルが「正常な」レベルから著しく外れたならば診断ができるように十分にフィードバックを行なうため、ユーザは自分のブドウ糖レベルを一日数回検査することが求められる。この型のバイオセンサには限界がある。特に、ユーザが血液試料を取るために自分の皮膚を刺し、次にバイオセンサを用いて、短いとはいえなお不便な検査手順を実行する必要があるので、ユーザは必要とされる頻度で検査を行なわないことがある。皮膚を刺すのは痛くもあり、また長期的に見れば結果として重大な皮膚損傷を生じかねない。これらの問題は、血中に存在する検体を測定し、したがって血液試料の準備を必要とする、他の型のバイオセンサにも等しく当てはまる。たとえば酸素、乳酸塩、硝酸、クレアチニン(creatinie)、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンなどの測定である。これらの検体の測定は、心臓病、慢性関節リウマチおよびパーキンソン病など多様な疾病について理解し、モニタリングするのに有用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
患者の皮膚に移植可能型または着用可能型バイオセンサを与えることで前の段落で考慮した問題を解決できることが今や認識されており、多くの研究者がそのような装置およびシステムの製造を目指して励んでいる。所与の状態について実質的に連続的なモニタリングを与えることができるバイオセンサは、ユーザおよび臨床医にフィードバックを与えるとともに、モニタされた値に直接的に応じて治療が加えられる場合、閉ループ治療システ
ム(closed loop treatment system)の展望をもたらす。たとえば、低血糖値が検出されることに応じて患者の体系にインシュリンを注入する提案がなされ、システムが製造されてきた。移植可能型および着用可能型センサは、両方とも固有の特別な利点を有し、異なる状況下で用いられ、異なる状態をモニタし、治療する。
【0007】
商業ベースに乗る移植可能型および着用可能型バイオセンサの開発が成功するための鍵としてはいくつかの要因がある。この中で主要となるのは低消費電力の必要性である。特に移植可能型センサの場合には、外科診断においてバッテリの交換が必要となるので、バッテリ寿命が極めて長くなければならない。装置の電源消費レベルを最小限にすることに加え、体内物質の電気化学反応を用いて、また身体によって発生される電界、磁界をさえ用いて装置に動力を供給すること(いわゆるエネルギスカベンジング(energy scavenging)手法)が考慮されてきた。使い捨てとなりやすい着用可能型センサの場合には、低価格性(たとえば数(英)ポンド以下)も有利である。センサと何らかのモニタリングおよび/または制御システムとの間でデータを送信する必要がある場合、たとえば電源消費を最小限にし、かつ規制要件を満たすために、(無線)送信機構を考慮すべきである。
【0008】
US6,441,747は、複数の着用されたバイオセンサトランシーバと通信するよう設計されるベースユニットを含む、医療用モニタリング無線プログラマブルシステムを記載する。
【0009】
US2004/0096959は、間質液を吸い出すために皮膚を貫通する極微針を有する皮膚用パッチの形のブドウ糖センサを記載する。ブドウ糖測定値は無線リンクを介してパッチから遠隔表示装置へ送られる。
【0010】
この分野に関連する他の文書は次の通りである:
IEEEトランスバイオメッド英語版(IEEE Trans biomed Eng)、第5巻第7号、1998年7月、526−532頁、
糖尿病技術治療(Diabetes Technol Ther)第1巻第3号、1999年、261−6頁、
医学英語物理(Med Eng Phys)第18巻8号、1996年12月632−40頁、
US20010041831、および
WO2000067633である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要約
本発明は、センサと何らかのローカルコンピュータ、たとえばベルト着用型、またはポケット型コンピュータとの間でデータを送信する無線データ送信システムを利用する、移植可能型または着用可能型バイオセンサのユーザが、政治的境界を越えて、より特定的には無線送信規則が異なる領域や国を越えた自由な移動を望むであろうという認識から生まれた。そのため、ユーザが適切な無線リンク要件を設定できるか、またはこの要件が本質的に自動的に設定され得るように、何らかの手段が与えられなければならない。
【0012】
ローミングを容易にしたいという望みは、たとえば国境を越えた、または食肉処理場間の食肉の追跡に用いられるpHセンサなどの非医学的センサと同様、化学的、電気的、磁気的センサなどを含む他の型の医用センサにも等しく当てはまることがさらに認識される。
【0013】
本発明の第1の局面によれば、身体または物質の特性をモニタするための機器が与えられ、機器は、
センサを含み、少なくともその一部が使用中に前記物質または身体に接触するよう配置され、さらに、
コンピュータ装置を含み、センサおよびコンピュータ装置は両方とも無線通信リンクを介したその間のデータ送信を容易にするための無線周波数回路を有し、コンピュータ装置はユーザの位置に基づいて無線リンク送信特性を選択するため、およびこれらの特性をセンサに送るための手段を有する。
【0014】
本発明の第2の局面によれば、病状をモニタし、かつ、または治療するための機器が与えられ、機器は、
センサを含み、少なくともその一部が使用中にユーザの身体、組織、または体液に接触するよう配置され、さらに
コンピュータ装置を含み、
センサおよびコンピュータ装置は両方とも無線通信リンクを介したその間のデータ送信を容易にするための無線周波数回路を有し、コンピュータ装置はユーザの位置に基づいて無線リンク送信特性を選択するため、およびこれらの特性をセンサに送るための手段を有する。
【0015】
本発明の実施例により、ユーザの位置にしたがって無線リンクの特性が構成されることが可能になる。ユーザが異なる規制要件を有する領域間を移動するにつれて、無線リンクの特性をこれにしたがって変えたり調整したりすることができる。これにより、機器が地域的な規制要件を満たすことが確実になり、さらに重要なことには、環境上の「ノイズ」が無線リンクに干渉する危険性を減じる。
【0016】
コンピュータシステムによって選択される特性は、
利用可能な無線周波数スペクトルと、
無線周波数搬送周波数と、
変調スキームと、
チャンネル帯域幅と、
送信電力と、
データ率と、
バイアス電圧と、
バイアス電流と、
制御信号と、
データ信号と、のうち1つ以上を含む。
【0017】
コンピュータ装置は、ユーザがたとえば列挙された選択肢から位置を選択できるようにするユーザインターフェースを含んでもよく、装置は、選択を受取るため、かつ装置のメモリから適切なパラメータを抽出するためのプロセッサを有する。
【0018】
代替的な実施例では、コンピュータ装置は、ユーザの位置を検出するための手段を含む。これは、たとえば全地球測位システム(GPS)などの全地球型衛星航法システム(GNSS)受信機、携帯電話機器、放送無線データを受取るための無線受信機を含むことができる。代替的には、手段は、離散的な全地球測位システム受信機、携帯電話機器、またはユーザが別個に保持する無線受信機と通信するための手段を含むことができる。
【0019】
センサは、
コンピュータプロセッサと、
コンピュータメモリ(RAMもしくはROMまたはその両方)と、
無線周波数受信機もしくは送信機またはその両方(トランシーバ)と、
信号処理回路と、
データ変換回路と、
バイアスおよび制御回路と、
ハードウェアまたはソフトウェアにおける信号処理アルゴリズムと、
のうち1つ以上を含み得る。
【0020】
コンピュータ装置は、
コンピュータプロセッサと、
コンピュータメモリ(RAMもしくはROMまたはその両方)と、
無線周波数受信機もしくは送信機またはその両方(トランシーバ)と、
ユーザインターフェースと、
データ変換回路と、
信号処理アルゴリズムと、
表示装置と、
入力装置と、のうち1つ以上を含み得る。
【0021】
コンピュータ装置は、携帯電話、高機能携帯電話(smart phone)、携帯情報端末(PDA)などを含んでもよい。
【0022】
本発明の第3の局面によれば、物質または身体をモニタし、かつ、または治療する方法が与えられ、機器は、
物質または身体の1つ以上のパラメータをモニタするためにセンサを用いることと、
無線通信リンクを介して前記センサとコンピュータ装置との間でデータを送信することと、
コンピュータ装置において、ユーザの位置に基づいて無線リンク送信特性を選択し、これらの特性をセンサに送ることとを含む。
【0023】
本発明の第4の局面によれば、病状をモニタし、かつ、または治療する方法が与えられ、機器は、
ユーザの身体、組織または体液の1つ以上のパラメータをモニタするためにセンサを用いることと、
無線通信リンクを介して前記センサとコンピュータ装置との間でデータを送信することと、
コンピュータ装置において、ユーザ位置に基づいて無線リンク送信特性を選択し、これらの特性をセンサへ送ることとを含む。
【0024】
選択された特性は、たとえばパラメータ値をセンサに送ることによって直接的に、または、コンピュータ装置の送信特性を設定して使用中の新しい特性をセンサが検出できるようにすることによって間接的に、センサに送られてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
発明の実施例の詳細な説明
図1には、人間が着用可能なモニタリングシステムが示される。これは、たとえば糖尿病を患うユーザのブドウ糖レベルを連続的にモニタするのに適切であり得る。システムは2つの主要な要素を含む。ユーザの皮膚、たとえばアーム2に貼付されるパッチの形の使い捨てセンサ1と、示される実施例においてユーザのベルト4に取付けられるコントローラ3とである。コントローラ3は、液晶表示装置(LCD)5およびキーパッド6を含むユーザインターフェースを含む。
【0026】
図2は、ユーザの皮膚に貼付されたセンサパッチ1の断面図を示す。パッチ1は、プラスチックもしくはファブリック材料または金属フォイルであり得る、可撓性キャリヤ7を含む。キャリヤ自体が十分に「粘着性」でない場合は、パッチが皮膚に固定され得るように、キャリヤの下側は接着剤でコーティングされてもよい。パッチの下側から突出するの
は極微針8のアレイ、たとえばアレイ100である。これらは、典型的に1000分の1マイクロメータの直径で、皮下注射針の形状、すなわちその中を通って延在する通路を備え、その通路が底部の先端で開口する形状である。パッチが皮膚に対して押圧されると、針が皮下レベルまで皮膚の表面を貫通し、間質液が針を通って上がりパッチに導かれることが可能になる。針のサイズが比較的小さいのでユーザに痛みを与えず、長期にわたる皮膚損傷がほとんど、または全くない結果となることが明らかである(「ENDOPORATOR」(EU FP5 IST−2001−33141))参照)。
【0027】
流体を針から活性なバイオセンサ構成要素9まで導くためのいくつかの手段(図示せず)が与えられる。この手段は、たとえば毛管もしくは管の集合、または何らかの種類の芯(wick)であり得る。バイオセンサ構成要素9は、たとえば、エルゼビア社(Elsevier BV)の「センサとアクチュエータ(Sensors and Actuators)2004」のレイラ・シェパード(Leila Shepard)およびクリス・トマゾー(Chris Toumazou)による「超低消費電力のバイオ化学センシングおよびリアルタイム分析用の弱反転ISFET(Weak Inversion ISFETs for ultra low power biochemical sensing and real time analysis)」に記載された種類のイオン感応電界効果トランジスタ(ISFET)ベースのバイオセンサであってもよい。用いられるバイオセンサの種類にかかわらず、センサは、出力において、サンプリングされた流体におけるブドウ糖レベルを示す電気信号を与える。
【0028】
ここで図3を参照して、センサパッチ1のさまざまな構成要素が概略的に示される。プロセッサ10の入力はバイオセンサ9の出力に結合される。プロセッサ10はメモリ11および無線周波数トランシーバ12にも結合される。トランシーバは無線周波数アンテナ13に結合される。さまざまな構成要素9−13が離散的な構成要素として与えられ得る一方、好ましい実現例では、これらはすべて単一の1片のシリコン上に形成される。さまざまな電装品に動力を供給するために電源14が与えられる。これはたとえばバッテリであり得る。バッテリは、新しいパッチについては、ユーザがパッチからストリップを引きはがすことによって活性化されてもよく、ストリップは電源供給リードからバッテリ端子を絶縁する。
【0029】
サイズを小さく、価格を安く押さえる必要がある一方でパッチを使い捨てにする必要性に迫られるので、パッチの電子工学的複雑さは絶対的に最小に保たれなければならない。この目的は、極めて低消費電力であるべき要求を満たすのにも非常に役立つ。モニタされる生データには、典型的にはパッチ電子部品によっては僅かな処理しか実行されない。生データはプロセッサ10によって単にデジタル化され、無線リンクを介してトランシーバ12によってコントローラ3に送信されることができる。
【0030】
コントローラ3の主要な要素は、図4に概略的に示される。これは、トランシーバ16に結合されたマイクロプロセッサ15、メモリ17、およびユーザインターフェース5、6を含む。トランシーバ16はアンテナ18に結合される。これらの構成要素はバッテリ19によって動力供給される。コントローラに対するサイズおよび電力消費の要件が、センサ1に対する要件よりも著しく緩いことが認識される。したがって、このシステムで用いられる手法は、モニタされた信号のほとんどの処理をコントローラ3で実行することである。これは、メモリ17においてプログラムコードとして格納され、プロセッサ15によってアクセスされる、いくつかの処理ルーチンを利用する。
【0031】
国が異なれば、コントローラ3とセンサ1との間の通信に用いられる無線リンクについて異なる要件が指定されていると考えられる。たとえば欧州連合の国々など、共通規格に同意している国がある一方、世界には多くのさまざまな「規格」があり得る。さまざまな規格によって、たとえば無線リンクに用いることができる無線周波数スペクトルが特定され得る。またこれらの規格は、たとえばCDMA、UWB、FMなどの、使用可能な送信
スキームをも特定し得る。したがって、規制要件を満たし、かつ無線リンクを介して送信されるデータの潜在的に深刻な干渉を回避するためには、普及している要件にしたがってモニタリングシステムが構成され得ることが重要である。
【0032】
この要求は、各領域に必要なパラメータをコントローラ1のメモリ17に格納することにより達成される。これは、国名によってアクセスされるルックアップテーブルの形であり得る。データは工場設定でもよいが、何らかの手段によって更新可能であるのが好ましい。これは、ウェブアクセスを有するPCへのUSBインターフェースを介してでも、または、必要なデータが等間隔に放送されるいくつかの特定の放送チャネルに合わされたデジタル無線受信機を介してでもよい。ユーザは、キーパッド6およびLCD表示5を用いてコントローラ3のセットアップモードに入ることができる。ユーザは自分の現在の位置を選択し、選択を受入れる。次いで、プロセッサ15は、メモリ17に格納されたルックアップテーブルをクエリし、適切な構成データを得る。トランシーバ16は適切に構成される。次いで、プロセッサ15は無線リンクを介してセンサパッチ1に必要な構成データが送られるようにする。次いで、センサパッチ1のトランシーバ12はこれに従って構成され、処理(および表示)のため、コントローラ3への(モニタされた)データの送信を開始することができる。
【0033】
ユーザの現在の位置の手動選択は比較的簡単に実現されるが、ユーザが位置を更新することを忘れて以前の位置を使い続けるならば、送信規制違反とともに、ユーザを危険に晒すという不利益をも有する。解決策は、自動的にユーザの位置を検出するための何らかの手段をコントローラに与えることである。たとえばこれは、コントローラ3にGPS受信機を一体化することにより達成し得る。GPS受信機は、ユーザの現在の位置、経度および緯度、ならびに時間をプロセッサ15に与える。GPS受信機20は破線を用いて図4に示される。メモリ17は、位置データを国IDに変換し、または無線リンクの構成パラメータに直接に変換するのに必要な情報を格納する。GPS受信機の代替として携帯電話受信機が与えられてもよく、受信機は、たとえば利用可能な携帯電話オペレータに基づいて位置を特定する。
【0034】
図5は、自動位置検出手順(すなわちGPSベース)を実現するモニタリングシステムの一般的な動作手順を示すフロー図である。ユーザはまずコントローラ3の電源を入れる。コントローラは、自己初期化プロセスの一部として、GPSモジュールおよびメモリに格納されたルックアップテーブルからユーザの位置を決定する。これはメモリに格納される。位置データは、コントローラがオンのときに生じるすべての領域の変化が確実に検出されるように、周期的にリフレッシュされ得る。ユーザは、センサ電子部品からバッテリを分離するフォイルタブを取除くことにより、バイオセンサ1の電源を入れる。電子部品に電力が加えられるとすぐに、センサコントローラ10は構成プロセスに入る。これにより、何らかのデフォルトの無線通信チャネルを用いて送られた、コントローラからの構成パラメータコマンドを待っているパッチが受信モードに入る。コントローラは、デフォルトのチャネルを介して、特定された位置に関連付けられたパラメータをパッチに送信する。パッチはこれにしたがってトランシーバ12を構成し、パッチとコントローラとの間のその後の通信は「新しい」無線チャネルによって伝えられる。この新しいリンクを介し、コントローラによってチャネル変更命令がパッチに送られ得る。パッチの起動および構成がうまくいけば、何らかの形の、たとえばLEDなどのパッチのインジケータによって表示され得るか、またはパッチからコントローラへフィードバック信号を送ることによって、コントローラが表示部に適切な表示を出す。代替的な手法によれば、コントローラの電源を入れた後、コントローラは、現在の位置について適切な無線チャネル上で周期的に放送してもよい。センサパッチに電源を入れると、センサは、放送を検出するためにチャネルの範囲、変調の型などを走査する。いったん検出されると、パッチはこのチャネルに合わせて構成する。
【0035】
本発明の範囲から逸脱することなく上述の実施例にさまざまな修正が加えられ得ることが、当業者には認識される。たとえば、パッチ1およびコントローラ3の電子部品や電装品は、離散的な機能要素、たとえばプロセッサトランシーバ、メモリとして示されるが、これらの要素は少なくともある程度までは合体されてもよい。たとえばトランシーバの機能のいくつかはプロセッサによって実現されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】ユーザが担持するモニタリングシステムを概略的に示す図である。
【図2】ユーザの皮膚に取付けられる、図1のシステムのバイオセンサのパッチを示す断面図である。
【図3】図2のバイオセンサの電子部品を概略的に示す図である。
【図4】図1のシステムのコントローラを概略的に示す図である。
【図5】図1のシステムを動作する方法を示すフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質または身体の特性または状態をモニタするための機器であって、
センサを含み、少なくともその一部が使用中に前記物質または身体に接触するよう配置されており、さらに
コンピュータ装置を含み、
前記センサおよび前記コンピュータ装置は両方とも無線通信リンクを介したその間のデータ送信を容易にするための無線周波数回路を有し、前記コンピュータ装置はユーザ位置に基づいて無線リンク送信特性を選択するための、およびこれらの特性を前記センサに送るための手段を有する、装置。
【請求項2】
病状をモニタし、かつ、または、治療するための機器であって、
センサを含み、少なくともその一部が使用中にユーザの身体、組織または体液に接触するよう配置されており、
コンピュータ装置を含み、
前記センサおよび前記コンピュータ装置は両方とも無線通信リンクを介したその間のデータ送信を容易にするための無線周波数回路を有し、前記コンピュータ装置はユーザ位置に基づいて無線リンク送信特性を選択するための、およびこれらの特性を前記センサに送るための手段を有する、装置。
【請求項3】
コンピュータシステムによって選択される前記特性は、
無線周波数スペクトルと、
無線周波数搬送周波数と、
変調スキームと、
送信電力と、
データ率と、
バイアス電圧と、
バイアス電流と、
制御信号と、
データ信号と、
チャンネル帯域幅とのうちの1つ以上を含む、請求項1または2に記載の機器。
【請求項4】
ユーザが位置を選択できるようにするユーザインターフェースを含み、前記装置は、前記選択を受取るための、および前記装置のメモリから適切な特性を抽出するためのプロセッサを有する、請求項1から3のいずれかに記載の機器。
【請求項5】
前記ユーザの位置を検出するための手段を含む、請求項1から3のいずれかに記載の機器。
【請求項6】
前記手段は、全地球型衛星航法システム受信機、携帯電話機器、または放送無線データを受取るための無線受信機を含む、請求項5に記載の機器。
【請求項7】
前記手段は、離散的な全地球型衛星航法システム受信機、携帯電話機器、または前記ユーザによって別個に保持される無線受信機と通信するための手段を含む、請求項5に記載の機器。
【請求項8】
前記コンピュータ装置は、無線リンク特性に位置をマップするルックアップテーブルを格納するメモリを含む、請求項1から7のいずれかに記載の機器。
【請求項9】
前記センサは、
コンピュータプロセッサと、
コンピュータメモリ(RAMもしくはROMまたはその両方)と、
無線周波数受信機もしくは送信機またはその両方(トランシーバ)と、
信号処理回路と、
データ変換回路と、
バイアスおよび制御回路と、
信号処理アルゴリズムと、のうち1つ以上を含む、請求項1から8のいずれかに記載の機器。
【請求項10】
前記コンピュータ装置は、
コンピュータプロセッサと、
コンピュータメモリ(RAMもしくはROMまたはその両方)と、
無線周波数受信機もしくは送信機またはその両方(トランシーバ)と、
ユーザインターフェースと、
データ変換回路と、
信号処理アルゴリズムと、
表示装置と、
入力装置と、のうち1つ以上を含む、請求項1から9のいずれかに記載の機器。
【請求項11】
物質または身体もしくはその状態をモニタし、かつ、または、治療する方法であって、前記機器は、
前記物質または身体の1つ以上のパラメータをモニタするためにセンサを用いることと、
無線通信リンクを介して前記センサとコンピュータ装置との間でデータを送信することと、
前記コンピュータ装置において、ユーザ位置に基づいて無線リンク送信特性を選択し、これらの特性を前記センサへ送ることとを含む、方法。
【請求項12】
病状をモニタし、かつ、または、治療する方法であって、前記機器は、
ユーザの物体、組織または体液の1つ以上のパラメータをモニタするためにセンサを用いることと、
無線通信リンクを介して前記センサとコンピュータ装置との間でデータを送信することと、
前記コンピュータ装置において、ユーザ位置に基づいて無線リンク送信特性を選択し、これらの特性を前記センサへ送ることとを含む、方法。
【請求項13】
前記選択された特性が、パラメータ値を前記センサに送ることによって直接的に、または、前記コンピュータ装置の送信特性を設定して使用中の前記新しい特性を前記センサが検出できるようにすることによって間接的に、前記センサに送られる、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−538963(P2008−538963A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508311(P2008−508311)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際出願番号】PCT/GB2006/050056
【国際公開番号】WO2006/114649
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(507354105)バイオ−ナノ・センシアム・テクノロジーズ・リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】BIO−NANO SENSIUM TECHNOLOGIES LIMITED
【Fターム(参考)】