説明

センタピラー下部構造

【課題】車両側突時にセンタピラーの変形を抑制すると共に組付工程を短縮する。
【解決手段】車両側部の車両前後方向中間部にその長手方向を車両上下方向に沿って配置されたセンタピラー12の根元部12Aに隣接するフロアパネル30の上面にガセットベース40が設けられており、センタピラー12とガセットベース40との間にガセット42が架設されている。ガセットベース40におけるセンタピラー12側にはガイド部44、50が設けられており、ガイド部44、50の爪部44B、爪部50Bとガセットベース40の上壁部40Aとの間の隙間に、ガセット42の前フランジ42Cと後フランジ42Eが挿入されている。また、ガセット42の車幅方向内側部に形成されたフランジ42Hが、ガセットベース40の上壁部40Aの車幅方向外側部にボルト60によって固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等の車両におけるセンタピラーの下部を補強するセンタピラー下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両におけるセンタピラーの下部を補強するセンタピラー下部構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、方形状部材を内部に固定したセンタピラーの下部とフロアパネルに固定した係止部材の台座部との間に三角固定部材を固定することで、車両側突時にセンタピラーが車幅方向内側に変形するのを抑制している。
【特許文献1】実開平5−26750号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のセンタピラー下部構造では、三角固定部材の頂部をセンタピラーにボルトで固定すると共に、三角固定部材の底部を係止部材の台座部に4本のボルトによって固定している。このため、車両側突時にセンタピラーが車室内側方向へ変形する際に、三角固定部材の車幅方向外側部を台座部から浮き上がらせようとする力が、三角固定部材の車幅方向外側部と台座部とを結合する2本のボルトに集中する。この結果、センタピラーの車室内側方向への変形を抑制するためには、三角固定部材の車幅方向外側部と台座部とを結合するボルトの数を増やす必要があるが、ボルトの本数を増やすと組付工程が多くなる。
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、車両側突時にセンタピラーの変形を抑制できると共に組付工程を短縮できるセンタピラー下部構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明のセンタピラー下部構造は、車両側部の前後方向中間部にその長手方向を車両上下方向に沿って配置されたセンタピラーと、前記センタピラーの根元部に隣接するフロア部の上面に設けられたガセット取付部と、前記センタピラーと前記ガセット取付部との間に架設されたガセットと、前記ガセット取付部における前記センタピラー側に設けられ、前記ガセット取付部に対して前記ガセットの車幅方向への移動を可能とし、車両上下方向への移動を阻止する係合手段と、前記ガセットの車幅方向内側部を前記ガセット取付部に固定する固定手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
車両側部の前後方向中間部にその長手方向を車両上下方向に沿って配置されたセンタピラーの根元部に隣接するフロア部の上面にガセット取付部が設けられており、センタピラーとガセット取付部との間にガセットが架設されている。また、ガセット取付部におけるセンタピラー側には係合手段が設けられており、係合手段はガセット取付部に対してガセットの車幅方向への移動を可能とし、車両上下方向への移動を阻止している。更に、ガセットの車幅方向内側部は固定手段によってガセット取付部に固定されている。このため、車両側突時にセンタピラーが車室内側方向へ変形する際に、ガセットの車幅方向外側部をガセット取付部から浮き上がらせようとする力を、ガセットと係合手段との当接面積を大きくすることによって広範囲に分散できる。この結果、ガセットの車幅方向外側部がガセット取付部から浮き上がるのを確実に防止でき、センタピラーの車室内側方向への変形を抑制できる。また、ガセットをガセット取付部に固定する固定手段の数を少なくできる。
【0007】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載のセンタピラー下部構造において、前記係合手段は前記ガセット取付部に設けられた車両前後方向における一対のガイド部であり、前記前後一対のガイド部に前記ガセットの前後一対のフランジが係合してスライド可能とされたことを特徴とする。
【0008】
ガセット組付け時には、ガセットを車幅方向へスライドさせることで、ガセットにおける前後一対のフランジをガセット取付部に設けられた車両前後方向における一対のガイド部に容易に係合できるため、ガセットのガセット取付部への組付けが容易になる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の本発明のセンタピラー下部構造は、車両側突時にセンタピラーの変形を抑制できると共に組付工程を短縮できる。
【0010】
請求項2記載の本発明のセンタピラー下部構造は、組付作業性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明におけるセンタピラー下部構造の第1実施形態を図1〜図5に従って説明する。
【0012】
なお、図中矢印FRは車両前方方向を、矢印UPは車両上方方向を、矢印INは車幅内側方向を示す。
【0013】
図1に示される如く、本実施形態では、自動車車体の車幅方向両端下部に車両前後方向に沿って一対のロッカ10が配設されており、ロッカ10の車両前後方向中間部には、センターピラー12が車両上方へ向って立設されている。なお、図1では、車両右側のロッカ10とセンタピラー12を示している。
【0014】
ロッカ10はロッカ10の車幅方向外側部を構成するロッカアウタ14とロッカ10の車幅方向内側部を構成するロッカインナ16とを備えており、センターピラー12はセンターピラー12の車幅方向外側部を構成するセンタピラーアウタ18とセンターピラー12の車幅方向内側部を構成するセンタピラーインナ20とを備えている。
【0015】
ロッカ10の車幅方向内側には、ロッカ10と車幅方向に所定の間隔を開けてフロアメンバ22が長手方向を車両前後方向に沿って配置されおり、フロアメンバ22の車両前後方向から見た断面形状は、開口部を車両上方へ向けたハット断面形状となっている。また、ロッカインナ16とフロアメンバ22とはセンタピラー12の車幅方向内側において、フロアクロスメンバアウタ24によって連結されている。
【0016】
図3に示される如く、フロアクロスメンバアウタ24は長手方向を車幅方向に沿って配置されており、車幅方向外側端部24Aがロッカ10の車幅方向内側壁部10Aに、車幅方向内側端部24Bがフロアメンバ22の車幅方向外側壁部22Aにそれぞれ溶接等によって結合されている。
【0017】
図1に示される如く、フロアメンバ22の車幅方向内側におけるフロアクロスメンバアウタ24の車幅方向内側への延長線上には、フロアクロスメンバ26が長手方向を車幅方向に沿って配置されている。フロアクロスメンバ26の車幅方向から見た断面形状は、開口部を車両上方へ向けたハット断面形状となっており、車幅方向外側端部26Aがフロアメンバ22の車幅方向内側壁部22Bに溶接等によって結合されている。また、フロアメンバ22のフランジ22C、22Dの上面は、図1に二点鎖線で示すようにフロア部としてのフロアパネル30の下面に溶接等によって結合されており、フロアパネル30の車幅方向外側端部30Aはロッカインナ16の上壁部16Aの上面に溶接等によって結合されている。
【0018】
図4に示される如く、フロアクロスメンバ26のフランジ26B、26Cの上面は、フロアパネル30の下面に溶接等によって結合されている。なお、図示を省略したが、フロアクロスメンバアウタ24の車幅方向から見た断面形状も開口部を車両上方へ向けたハット断面形状となっており、フロアクロスメンバアウタ24のフランジの上面もフロアパネル30の下面に溶接等によって結合されている。
【0019】
図1に示される如く、センタピラー12の根元部12Aに隣接するフロアパネル30の上面にはガセット取付部としてのセンタピラーガセットベース(以下ガセットベースという)40が設けている。また、センタピラー12とガセットベース40との間にはセンタピラーガセット(以下ガセットという)42が斜めに架設されている。
【0020】
図2に示される如く、ガセットベース40の上壁部40Aは略水平に配置された矩形状平面となっており、ガセット42の取付面となっている。また、ガセットベース40の上壁部40Aの前端からは車両下方へ向かって前壁部40Bが形成されており、前壁部40Bの下端からは車両前方へ向かってフランジ40Cが形成されている。同様に、ガセットベース40の上壁部40Aの後端からは車両下方へ向かって後壁部40Dが形成されており、後壁部40Dの下端からは車両後方へ向かってフランジ40Eが形成されている。
【0021】
ガセットベース40の上壁部40Aの車幅方向内側端からは、車幅方向内側下方へ向かって傾斜壁部40Fが形成されており、傾斜壁部40Fの車両前後方向両端部には、それぞれ車幅内側方向へ突出した凸部40G、40Hが長手方向を車幅方向外側上部から車幅方向内側下部に向かって斜めに形成されている。また、ガセットベース40の傾斜壁部40Fの下端からは車幅内側方向へ向かってフランジ40Jが形成されており、フランジ40Jの前端部はフランジ40Cの車幅方向内側端部に、フランジ40Jの後端部はフランジ40Eの車幅方向内側端部にそれぞれ連続している。
【0022】
なお、ガセットベース40の各フランジ40C、40E、40Jは、それぞれフロアパネル30の上面に溶接等によって結合されている。
【0023】
ガセットベース40の前壁部40Bにおけるセンタピラー12側となる車幅方向外側には、係合手段としてのガイド部44が設けられている。ガイド部44は長方形の板材をL字状に屈曲することで形成されており、長手方向が車幅方向となっている。また、ガイド部44の縦壁部44Aの上端からは車両後方に向かって爪部44Bが形成されており、縦壁部44Aの下部が、ガセットベース40の前壁部40Bの前面上部に溶接等によって結合されている。なお、ガイド部44の爪部44Bとガセットベース40の上壁部40Aとの間には、隙間48が形成されている。
【0024】
同様に、ガセットベース40の後壁部40Dにおけるセンタピラー12側となる車幅方向外側には、係合手段としてのガイド部50が設けられている。ガイド部50は長方形の板材をL字状に屈曲することで形成されており、長手方向が車幅方向となっている。また、ガイド部50の縦壁部50Aの上端からは車両前方に向かって爪部50Bが形成されており、縦壁部50Aの下部が、ガセットベース40の後壁部40Dの後面上部に溶接等によって結合されている。なお、ガイド部50の爪部50Bとガセットベース40の上壁部40Aとの間には、隙間52が形成されている。
【0025】
ガセットベース40の上壁部40Aにおける車幅方向内側の前方側端部近傍と後方側端部近傍とには、それぞれ1個のガセット取付孔56が形成されている。
【0026】
ガセット42における車両上側部は傾斜壁部42Aとなっている。この傾斜壁部42Aは車幅方向外側上方から車幅方向内側下方へ向かって傾斜しており、ガセットベース40の傾斜壁部40Fに連結されている。ガセット42の傾斜壁部42Aの前端からは車両下方へ向かって前壁部42Bが形成されており、前壁部42Bの下端からは車両前方へ向かって前フランジ42Cが形成されている。同様に、ガセット42の傾斜壁部42Aの後端からは車両下方へ向かって後壁部42Dが形成されており、後壁部42Dの下端からは車両後方へ向かって後フランジ42Eが形成されている。
【0027】
なお、前フランジ42C、後フランジ42Eのフランジとはガセット42から板状に突出した連結部材である。
【0028】
図1に示される如く、組付け状態では、ガセット42の前フランジ42Cはガイド部44の爪部44Bとガセットベース40の上壁部40Aとの間の隙間48に挿入されており、ガセット42の後フランジ42Eはガイド部50の爪部50Bとガセットベース40の上壁部40Aとの間の隙間52に挿入されている。従って、ガイド部44の爪部44Bとガイド部50の爪部50Bとはガセットベース40に対してガセット42の車幅方向への移動を可能とし、車両上下方向への移動を阻止する構成となっている。
【0029】
図2に示される如く、ガイド部44、50の車幅方向に沿った各長さL1は、ガセット42の前フランジ42Cと後フランジ42Eとの車幅方向に沿った各長さL2の1/3以上に設定されている。
【0030】
従って、図5に示される如く、車両側突時に、他車両80のフロントバンパ80A等が、センタピラー12に衝突し、ガセット42における車幅方向外側部を、ガセット42における車幅方向内側部のボルト60とナット62とによる固定部を中心に、上方へ浮き上がらせようとする力(図5の矢印F1)が発生した場合には、この力F1を車幅方向に沿って長手形状とされたガイド部44、50によって広範囲に分散し、ガセットベース40で支持できるようになっている。
【0031】
図2に示される如く、ガセット42の傾斜壁部42Aの車両前後方向両端部には、それぞれ車幅内側方向へ突出した凸部42F、42Gが長手方向を車幅方向外側上部から車幅方向内側下部に向かって斜めに形成されている。即ち、これらの凸部42F、42Gは車幅方向外側上方から車幅方向内側下方へ向かって傾斜しており、ガセットベース40の凸部40G、40Hに連結されている。
【0032】
また、ガセット42の傾斜壁部42Aの下端からは車幅方向内側へ向かってフランジ42Hが形成されており、フランジ42Hの前端部はフランジ42Cの車幅方向内側端部に、フランジ42Hの後端部はフランジ42Eの車幅方向内側端部にそれぞれ連続している。
【0033】
ガセット42のフランジ42Hにおける凸部42F、42Gの車幅方向内側となる部位、即ち、凸部42F、42Gの中心線の延長線上にはそれぞれ1個のガセット取付孔58が形成されている。これらの取付孔58はガセットベース40の取付孔56の上部に重ねられており、これらの取付孔56には車両上方側から固定手段としてのボルト60が挿入されている。また、ボルト60はガセットベース40の取付孔56の下方側に配置された固定手段としてのナット62に締結されており、ガセット42のフランジ42Hはガセットベース40の上壁部40Aの車幅方向外側部にボルト60とナット62とによって固定されている。
【0034】
従って、ガセット42は、ガセットベース40とフロアパネル30を介して、ロッカ10、フロアメンバ22、フロアクロスメンバアウタ24及びフロアクロスメンバ26に結合されている。
【0035】
一方、ガセット42の前壁部42Bの車幅方向外側端からは車両前方へ向かってフランジ42Jが形成されており、ガセット42の後壁部42Dの車幅方向外側部には車両後方へ向かってフランジ42Kが形成されている。また、ガセット42の傾斜壁部42Aの上端からは車両上方へ向かってフランジ42Lが形成されており、フランジ42Lの前端部はフランジ42Jの上端部に、フランジ42Lの後端部はフランジ42Kの上端部にそれぞれ連続している。
【0036】
ガセット42のフランジ42Lにおける凸部42F、42Gの車幅方向外側となる部位、即ち、凸部42F、42Gの中心線の延長線上にはそれぞれ1個のガセット取付孔66が形成されている。これらの取付孔66には図3に示される如く、センターピラー12の車幅方向内壁部12Bに形成された取付孔(図示省略)に重ねられており、これらの取付孔66には車幅方向内側からボルト70が挿入されている。また、ボルト70はセンターピラー12の車幅方向内壁部12Bの車幅方向外側に配置されたナット72に締結されており、ガセット42のフランジ42Lはセンターピラー12の車幅方向内壁部12Bにボルト70とナット72とによって固定されている。
【0037】
従って、車両側突時にセンタピラー12に作用する衝突荷重(図5の矢印F2)の一部は、ガセット42の凸部42F、42Gとガセットベース40の凸部40G、40Hとを介して車両のフロア部に確実に伝達されるようになっている。
【0038】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0039】
本実施形態では、車両側部の前後方向中間部にその長手方向を車両上下方向に沿って配置されたセンタピラー12の根元部12Aに隣接するフロアパネル30の上面にガセットベース40が設けられており、センタピラー12とガセットベース40との間にガセット42が架設されている。また、ガセットベース40におけるセンタピラー12側にはガイド部44、50が設けられており、ガイド部44、50の爪部44B、爪部50Bとガセットベース40の上壁部40Aとの間の隙間48、52に、ガセット42の前フランジ42Cと後フランジ42Eが挿入されている。
【0040】
従って、ガイド部44の爪部44Bとガイド部50の爪部50Bとはガセットベース40に対してガセット42の車幅方向への移動を可能とし、車両上下方向への移動を阻止している。更に、ガセット42における車幅方向内側部となるフランジ42Hの前端部と後端部とがガセットベース40の上壁部40Aの車幅方向内側部にボルト60とナット62とによってそれぞれ固定されている。
【0041】
このため、図5に示される如く、車両側突時に、他車両80のフロントバンパ80A等が、センタピラー12に衝突し、ガセット42における車幅方向外側部を、ガセット42における車幅方向内側部のボルト60とナット62とによる固定部を中心に、上方へ浮き上がらせようとする力(図5の矢印F1)が発生した場合には、この力F1を車幅方向に沿って長手形状とされたガイド部44、50によって広範囲に分散し、ガセットベース40で支持できる。この結果、ガセット42の車幅方向外側部がガセットベース40から浮き上がるのを確実に防止でき、センタピラー12の車室内側方向への変形を抑制できる。
【0042】
また、本実施形態では、ガセット42の前フランジ42Cと後フランジ42Eとをガセットベース40の車両前後における一対のガイド部44、50に係合する構成としており、これらの部位にボルトナット等の固定部材を使用しない構成となっている。このため、ガセット42をガセットベース40に固定する固定手段の数を少なくでき、組付工程を短縮できる。
【0043】
従って、本実施形態では、車両側突時にセンタピラー12の変形を抑制できると共にガセット42の組付工程を短縮できる。
【0044】
また、本実施形態では、ガセット42をガセットベース40に取付ける際に、ガセット42を車幅方向外側(図2の矢印A方向)スライドさせることで、ガセット42の前フランジ42Cと後フランジ42Eとをガセットベース40の車両前後における一対のガイド部44、50に容易に係合できる。この結果、ガセット42のガセットベース40への組付け作業性を向上できる。
【0045】
更に、本実施形態では、車両側突時にセンタピラー12に作用する衝突荷重(図5の矢印F2)を、ガセット42の凸部42F、42Gとガセットベース40の凸部40G、40Hとを介して車両のフロア部に確実に伝達できる。この結果、センタピラー12に作用する衝突荷重F2を車両のフロア部で確実に支持できるため、車両側突時のセンタピラー12の車幅方向内側への変形を更に抑制できる。
【0046】
次に、本発明におけるセンタピラー下部構造の第2実施形態を図6に従って説明する。
【0047】
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0048】
図6に示される如く、本実施形態では、ガセットベース40に設けるガイド部44、50を、ガセットベース40をプレス成形する際に一体成形している。
【0049】
従って、本実施形態では第1実施形態と同様の作用効果を有すると共に、ガイド部44、50がガセットベース40に一体成形されているため、第1実施形態に比べて部品点数が少なくなり、組付工程を更に短縮できる。
【0050】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記各実施形態では、フロア部としてのフロアパネル30の上面にガセット取付部としてのガセットベース40を取付けたが、これに代えて、フロアパネル30にプレス加工等によってガセットベース40を一体成形した構成としても良い。
【0051】
また、フロアパネル30の上部にクロスメンバが配置されているフロア構造では、フロア部としてのクロスメンバの上面にガセット取付部を設けた構成としても良い。
【0052】
また、ガセット42の形状は上記各実施形態に限定されず、センタピラー12とガセットベース40との間に架設可能な形状であれば他の形状であっても良い。
【0053】
また、上記各実施形態では、ガセットベース40に設けた係合手段としてのガイド部44、50にガセット40の前フランジ42Cと後フランジ42Eとを係合してスライド可能としたが、係合手段はガイド部44、50に限定されず、ガセットベース40におけるセンタピラー側に設けられ、ガセットベース40に対してガセット42の車幅方向への移動を可能とし、車両上下方向への移動を阻止する構成であれば他の係合手段であっても良い。
【0054】
また、上記各実施形態では、固定手段としてボルト60とナット62の締結部材を使用したが、固定手段はガセット42の車幅方向内側部をガセットベース40に固定する手段であれば、締結部材以外にリベット等の他の固定手段でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態に係るセンタピラー下部構造を示す車両斜め前方内側から見た斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るセンタピラー下部構造のガセットとガセットベースを示す車両斜め前方内側から見た分解斜視図である。
【図3】図1の3−3線に沿った拡大断面図である。
【図4】図1の4−4線に沿った拡大断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るセンタピラー下部構造の車両側突状態を示す図3に対応する断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るセンタピラー下部構造のガセットベースを示す車両斜め前方内側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
10 ロッカ
12 センターピラー
12A センタピラーの根元部
22 フロアメンバ
24 フロアクロスメンバアウタ
26 フロアクロスメンバ
30 フロアパネル(フロア部)
40 センタピラーガセットベース(ガセット取付部)
42 センタピラーガセット
42C センタピラーガセットの前フランジ
42E センタピラーガセットの後フランジ
44 ガイド部(係合手段)
50 ガイド部(係合手段)
60 ボルト(固定手段)
62 ナット(固定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側部の前後方向中間部にその長手方向を車両上下方向に沿って配置されたセンタピラーと、
前記センタピラーの根元部に隣接するフロア部の上面に設けられたガセット取付部と、
前記センタピラーと前記ガセット取付部との間に架設されたガセットと、
前記ガセット取付部における前記センタピラー側に設けられ、前記ガセット取付部に対して前記ガセットの車幅方向への移動を可能とし、車両上下方向への移動を阻止する係合手段と、
前記ガセットの車幅方向内側部を前記ガセット取付部に固定する固定手段と、
を有することを特徴とするセンタピラー下部構造。
【請求項2】
前記係合手段は前記ガセット取付部に設けられた車両前後方向における一対のガイド部であり、前記前後一対のガイド部に前記ガセットの前後一対のフランジが係合してスライド可能とされたことを特徴とする請求項1に記載のセンタピラー下部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−153095(P2007−153095A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350155(P2005−350155)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】