説明

タイヤセンサ装置及びタイヤ情報の伝達方法

【課題】 適切なタイヤ情報を得ることができるとともに、センサ装置を小型で低消費電力化することのできる、実用的なタイヤ情報の伝達方法と、これに用いられるタイヤセンサ装置とを提供する。
【解決手段】 センサ21(21A〜21C)と、このセンサ21で検出した信号をベースステーション30に送信する通信回路24と、車体側に設けられた電力供給装置41からの電波により上記センサ21を駆動するための電源電圧を発生する電力再生回路26とを備えた複数のセンサ・モジュール20A〜20Cをタイヤの所定の箇所にそれぞれ配置してタイヤの状態を検出するとともに、この検出された各タイヤの情報をベースステーション30に収集し、このベースステーション30に設けられた外部通信装置35から車体側の車両制御装置40に上記各タイヤの情報を送信するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに装着した各種センサからの情報を収集して処理し、車体側に送信するタイヤセンサ装置とタイヤ情報の伝達方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤ内に充填された気体の圧力を検出する圧力センサ装置を、例えば、ホイールのタイヤ空洞領域に面する表面に配置してタイヤ内圧を検出し、その情報を車体側に送信して、当該タイヤの内圧状態を運転者に報知するタイヤ空気圧監視装置が実用化されている。図5(a)は、従来の圧力センサ装置であるタイヤ圧力センサタグ50の構成を示すブロック図で、図5(b)はその斜視図である。このタイヤ圧力センサタグ50は、タイヤ内圧を検出する空気圧センサ51と、空気圧センサ51で検出されたタイヤ内圧信号を増幅するアナログアンプ52と、アナログアンプ52から送られてきた信号に基づいてタイヤ内圧の状態を表わす圧力信号を処理する処理回路53と、上記空気圧センサ51で検出され、処理回路53で処理された圧力信号に基づいて搬送波を変調し、アンテナ54から図示しない車体側に送信する送信機55と、これらの各部を駆動するための電源を供給する電池56とから構成される。上記空気圧センサ51は、基板57上に設けられたシリコンゴム等の弾性部材より成るダイアフラムにて構成され、アナログアンプ52、処理回路53、送信機55、更には、アンテナ54についても上記基板57上に形成される。また、ボタン型電池などの電池56は上記基板57に取付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記タイヤ圧力センサタグ50は電池駆動型であり、かつ、上記タイヤ圧力の情報を車体側に送信するための送信機55を備えていることから、電池寿命が短く、そのため、上記タイヤ圧力センサタグ50を定期的に交換する必要がある。
一方、図6に示すように、呼びかけユニット60Fからの搬送信号(質問信号)を受信して応答するRFトランスポンダをタイヤT内に取付けてタイヤ内圧データを収集するタイヤセンサ装置60が知られている。このタイヤセンサ装置60は、受信されたRF信号を整流して信号処理回路であるクロック回路61やシーケンサ回路62や図示しないドライブ回路などの他の回路に電力を供給するインターフェイス回路63を備え、上記質問信号であるRF信号を、オンチップ圧力センサにより計測されたタイヤ圧データに関するデジタル信号を送出するための電気的エネルギー源として用いる。したがって、電池を必要としないという利点があることから、長期的に安定してタイヤ内圧を検出することができる。なお、上記タイヤセンサ装置60は、質問信号を受けた時のみ送信回路64に設けられたオンボードの発振器が作動し、オンチップ圧力センサ60Pにより計測されたタイヤ圧データをアンテナ65から車体側に送出する(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方、自動車の走行安定性を高めるため、走行しているタイヤの状態を精度良く推定し、車両制御へフィードバックすることが求められている。これらの情報により、例えば、ABSブレーキや、これを応用した車体姿勢制御装置のより高度な制御が可能になり、安全性が一段と高められると考えられる。
そこで、図7(a),(b)に示すように、タイヤT内に配置され、ハウジング71の基板72上に設けられた圧力センサ73、温度センサ74、回転センサ75などの各種センサのドライバー76を、オンボード電源77により駆動するタイヤセンサ装置70が提案されている。このタイヤセンサ装置70は、車体側に設けられた遠隔質問源装置70Fからの質問信号を受信すると、上記各センサ73〜75を起動してタイヤ圧やタイヤ温度などのタイヤ情報を検出し、この検出されたタイヤ情報のデータをデジタル化してハウジング71内のトランスポンダ78の中央処理装置78aに送り処理した後、アンテナ79から車体側の車両制御装置70Sに送信するもので、これにより、様々なタイヤ情報を得ることができる(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−347811号公報
【特許文献2】特表2002−511355号公報
【特許文献3】特表平11−504585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記タイヤセンサ装置70は、センサが一箇所に集中されており、このため、例えば、タイヤの幅方向にセンサを配置して、横力によるタイヤの接地状態の情報を得るなど、センサをタイヤの所望の箇所にそれぞれ離隔して配置することができないなど、収集できるタイヤ情報に制限があった。
そこで、センサを一箇所に集中せず、タイヤ情報を得られ易い所定の箇所にそれぞれ配置することが考えられるが、上記センサを電池駆動した場合には、タイヤ情報の信号を車体側に送信するための大型の送信機が必要なことから、電池寿命が短くなってしまうといった問題点がある。また、上記センサ装置をRFトランスポンダで構成したとしても、各センサ装置に上記タイヤ情報の信号を車体側に送信するためには送信電力の大きな送信機を上記各センサ装置に取付ける必要があるため、センサ装置が大型化してしまうとともに、電力効率が悪いといった問題点があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、適切なタイヤ情報を得ることができるとともに、センサ装置を小型で低消費電力化することのできる、実用的なタイヤ情報の伝達方法と、これに用いられるタイヤセンサ装置とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、センサを一箇所に集中せず、タイヤ情報を得られ易い所定の箇所にそれぞれ配置するとともに、センサで得られたタイヤ情報を車体側に直接送信せず、車体側との通信を行うベースステーションに一旦収集して、上記ベースステーションから車体側に送信するようにすれば、適切なタイヤ情報を得ることができるとともに、センサ部に設ける送信装置を小型で消費電力の少ない送信装置とすることができるので、効率よく、かつ、走行中のタイヤに影響を与えることなく、タイヤ情報を収集できることを見いだし、本発明に到ったものである。
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、タイヤに配置されたセンサで検出したタイヤ情報を伝達する方法であって、タイヤの複数の箇所に、車体側から送信される電波を受信して作動するセンサ装置をそれぞれ配置するとともに、タイヤ内に、上記各センサ装置に接続され、車体側との通信を行うベースステーションを設けて、上記各センサ装置のセンサで検出したタイヤ情報を上記ベースステーションにて収集し、この収集されたタイヤ情報を、上記ベースステーションから車体側に送信するようにしたことを特徴とするものである。
なお、センサ装置とベースステーションとの接続は、電線による接続に限らず、電波、光(可視光、紫外線、赤外線)、光ケーブル等による接続も含むものとする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、タイヤに配置されたセンサで検出したタイヤ情報を車両側に伝達する装置であって、タイヤの所定の箇所に配置された、車体側から送信される電波を受信して作動して、当該タイヤの状態を検出する複数のセンサ装置と、上記各センサ装置に接続され、上記各センサ装置のセンサで検出したタイヤ状態の信号を処理して車体側に送信するベースステーションとを備えたことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のタイヤセンサ装置において、上記各センサ装置を、当該タイヤの状態を検出するセンサと、車体側から送信される電波を受信して上記センサを駆動する電源電圧を発生させる電力再生手段と、上記センサで検出したタイヤ情報の信号を上記ベースステーションに送信する送信手段とから構成したものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載のタイヤセンサ装置において、上記ベースステーションに、上記タイヤ状態の信号を格納する格納手段を設けたものである。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のタイヤセンサ装置において、上記ベースステーションに、上記格納手段に格納されたタイヤ情報のデータを、当該装置を搭載する車の通信仕様に合わせたデータに加工する手段を設け、上記加工されたデータを車体側に送信するようにしたものである。
請求項6に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載のタイヤセンサ装置において、上記ベースステーションに、車体側から送信される電波を受信して電源電圧を発生させる電力再生手段を設けたものである。
請求項7に記載の発明は、請求項2〜請求項6のいずれかに記載のタイヤセンサ装置において、予め特定したセンサ装置に電力を蓄積する手段を設けるとともに、当該センサ装置に装着されたセンサの回転角を検出する手段を設けて、予め設定された回転箇所におけるタイヤ状態を検出するようにしたものである。
請求項8に記載の発明は、請求項2〜請求項6のいずれかに記載のタイヤセンサ装置において、予め特定したセンサ装置に電力を蓄積する手段を設け、ベースステーションに当該センサ装置に装着されたセンサの回転角を検出する手段を設けるとともに、上記センサのタイヤ状態の検出タイミング信号を上記ベースステーションから上記センサ装置に送り、予め設定された回転箇所におけるタイヤ状態を検出するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、タイヤの所定の箇所に、車体側から送信される電波を受信して作動する複数のセンサ装置を配置するとともに、タイヤ内に、上記各センサ装置及び車体側との通信を行うベースステーションを設けて、上記各センサ装置のセンサで検出したタイヤ情報を上記ベースステーションにて収集し、この収集されたタイヤ情報を、上記ベースステーションから、車体側に送信するようにしたので、適切なタイヤ情報を得ることができるとともに、センサ装置を小型化でき、かつ、省電力化できる。
また、車体側への送信はベースステーションのみで行うので、電力の消費量を少なくでき、タイヤセンサ装置を長寿命化できる。
更に、上記ベースステーションに、上記タイヤ状態の信号を格納する格納手段を設けるようにすれば、送信するタイヤ情報の並べ替えを行うことが可能となるだけでなく、平均値の算出など上記タイヤ情報の演算をタイヤ側で行うことができるので、車体側へ効率的にタイヤ情報のデータを送信することができる。
このとき、上記ベースステーションに、上記格納手段に格納されたタイヤ情報のデータを、本発明の装置を搭載する車の車体側の通信仕様に合わせたデータに加工する手段を設け、上記加工されたデータを車体側に送信するようにすれば、車種やメーカーに応じて柔軟に対応できるので、汎用性の高いタイヤセンサ装置を提供することができる。
更に、予め特定したセンサ装置に電力を蓄積する手段を設けるとともに、当該センサ装置あるいはベースステーションに、上記センサ装置に装着されたセンサの回転角を検出する手段を設けて、予め設定された回転箇所におけるタイヤ状態を検出するようにすれば、タイヤ状態を一層精度よく検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の最良の形態について、図面に基づき説明する。
図1は、本最良の形態に係るタイヤ情報の伝達方法の概要を示す図で、図2はタイヤセンサ装置の構成を示す機能ブロック図、図3は上記タイヤセンサ装置の取付け状態を示す図である。各図において、1はタイヤ、2はリム2aとホイールディスク2bとから成るホイール、10は上記タイヤ1の所定の箇所にそれぞれ取付けられた複数のセンサ・モジュール20(20A〜20C)と、上記センサ・モジュール20の各センサで検出されたタイヤ情報の信号を受信して信号処理し、車体側に送信するベースステーション30とを備えたタイヤセンサ装置ある。また、40はベースステーション30から送られてきたタイヤ情報に基づいて車両の走行状態を制御する車両制御装置、41は上記センサ・モジュール20を駆動するための電力を供給する電力供給装置で、この車両制御装置40と電力供給装置41とは、いずれも車体側に設けられている。なお、上記電力供給装置41を車両制御装置40内に設けてもよい。
センサ・モジュール20は、センサと上記RFトランスポンダに相当する通信手段とを備えたもので、詳細には、タイヤ内圧やタイヤ温度などの各種タイヤ情報を検出するセンサ21(21A〜21C)と、各センサ21で検出された信号をタイヤの状態を表わすタイヤ情報信号に変換して出力する信号処理回路22と、送信アンテナ23を備え、上記ベースステーション30との通信を行う通信回路24と、受信アンテナ25を備え、上記電力供給装置41に送信される電波を受信して上記各センサ21を駆動する電源電圧を発生させる電力再生回路26を備えている。ここで、21Aはタイヤ1の気室内に設けられ、タイヤ内圧を検出する圧力センサ、21Bはタイヤ内に充填された気体の温度を検出する温度センサ、21Cはタイヤトレッド部の内面側に取付けられ、タイヤ1に入力する振動を検出する加速度センサである。
本例では、通信時におけるタイヤ1のゴムやコードなどの影響を少なくするため、図3に示すように、上記センサ・モジュール20を、タイヤ1から所定の間隔以上離隔した位置に配置するために、所定の厚さの免震構造部材27を介して、上記センサ・モジュール20をタイヤ1に取付けるようにしている。但し、加速度センサ21Cのみは、タイヤの振動を直接検出するため、タイヤ1の内面側に直接取付ける。
【0012】
また、ベースステーション30は、上記各センサ・モジュール20(20A〜20C)との通信を行うための第1のアンテナ31を備えた内部通信装置32と、上記センサ・モジュール20からのタイヤ情報を一時蓄積するメモリー33Mを備え、上記各センサ・モジュール20からのタイヤ情報の信号を処理する情報処理装置33と、車体側の車両制御装置40との通信を行うための第2のアンテナ34を備えた外部通信装置35と、内部電池36とを備え、上記各センサ・モジュール20から送信されるタイヤ情報信号を受信して処理し、当該タイヤの状態の情報を車体側の車両制御装置40に送信する。
このとき、上記第1のアンテナ31と内部通信装置32と内部電池36とはタイヤ気室側に、第2のアンテナ34と外部通信装置35とは上記タイヤ気室側の反対側に配置され、情報処理装置33はホイール2のリム2a上に配置される。なお、上記ベースステーション30は、従来のように、ホイール2に装着された図示しないバルブ装置に装着したバルブ一体型の構成としてもよい。
【0013】
次に、上記タイヤセンサ装置10を用いたタイヤ情報の伝達方法について説明する。
タイヤ1が転動し、センサ・モジュール20の一つが車体側に設けられた電力供給装置41の下部に位置すると、当該センサ・モジュール20の電力再生回路26に、上記電力供給装置41から電力供給用のRF信号が供給される。これにより、センサ21が駆動され、空気圧、温度、振動などのタイヤの状態を示す電気信号が信号処理回路22に出力される。信号処理回路22では、この電気信号をベースステーション30に送るためのタイヤ情報信号に変換した後、これを通信回路24に送り、送信アンテナ23からベースステーション30に送信する。
ベースステーション30では、上記タイヤ情報信号を第1のアンテナ31で受信し、内部通信装置32を介して、情報処理装置33のメモリー33Mに一時記憶する。情報処理装置33は、順次送られてくる空気圧、温度、振動の信号を車両制御装置40に送るための信号に変換するとともに、上記タイヤ情報を所定の順序に並べ替えたり圧縮処理するなどの加工を施した後、これを外部通信装置35に送り、第2のアンテナ34から車両制御装置40に送信する。
このとき、空気圧や温度などは、所定時間内での平均値を算出してこれを車体側に送るなど、上記ベースステーション30に演算装置を付加して上記タイヤ情報の演算をタイヤ側で行い、その演算結果のみ車体側に送るようにすれば、送信するデータを大幅に低減できるので、車体側へ効率的にタイヤ情報のデータを送信できる。
車両制御装置40では、上記送信されたタイヤ内圧や温度の情報に基づいて車両の走行状態を制御したり、上記振動のデータから路面摩擦係数を推定し、この推定された路面摩擦係数に基づいて車両の走行状態を制御する。
【0014】
また、加速度センサ21Cの情報などのように、タイヤが接地している時の情報が重要であるタイヤ情報を収集する場合には、電力再生回路26に畜電手段を設けて、加速度センサ21Cなどのセンサが、接地時のタイヤ情報(ここではタイヤの振動)を検出できるようにする必要である。
すなわち、電力供給装置41からの電力供給はセンサ・モジュール20が上記電力供給装置41の図示しないアンテナに向き合ったとき行なわれ、このとき、同時にタイヤ情報の検出が行なわれるが、上記加速度センサ21Cを備えたセンサ・モジュール20Cのように、電力供給とタイヤ情報検出のタイミングが異なる場合には、そのセンサ・モジュールに電力を蓄積する蓄電手段を設けるとともに、当該センサ・モジュールに装着されたセンサの回転角を検出する手段を設けて、センサが上記アンテナに向き合ったタイミングから各センサ位置を推定し、所定の角度回転した時にタイヤ情報を検出する。例えば、上記アンテナ位置をタイヤ中心の直上とすると、接地している位置は、加速度センサ21Cが上記アンテナに向き合った位置から約180度回転した位置になるので、そのタイミングでタイヤに加わる振動を検出すれば、検出精度を向上させることができる。
なお、ベースステーション30側にセンサの回転角を検出する手段を設け、センサのタイヤ状態の検出タイミング信号を上記ベースステーションから上記センサ・モジュールに送るようにしてもよい。
また、上記ベースステーション30に、上記各センサ21A〜21Cを同期させて制御する機能を設け、各センサのタイヤ情報を測定するようにすれば、各センサ・モジュール20A〜20Cからのタイヤ情報のうち、必要なタイヤ情報を適宜選択して測定したり、所定の時間毎に任意のタイヤ情報を測定して車体側に送信することができるので、タイヤ情報を効率的に得ることができる。また、これにより、通信を常時行う必要がないので、内部電池の電力消費量を少なくでき、タイヤセンサ装置10を長寿命化できる。
【0015】
このように、本最良の形態によれば、センサ21と、このセンサ21で検出した信号をベースステーション30に送信する通信回路24と、車体側に設けられた電力供給装置41からの電波により上記センサ21を駆動するための電源電圧を発生する電力再生回路26とを備えた複数のセンサ・モジュール20(20A〜20C)をタイヤ1の所定の箇所にそれぞれ配置してタイヤの状態を検出するとともに、この検出された各タイヤの情報をベースステーション30に収集し、このベースステーション30に設けられた外部通信装置35から車体側の車両制御装置40に上記各タイヤの情報を送信するようにしたので、センサ・モジュール20の通信装置として小型で消費電力の小さな送信回路24を用いることができる。また、センサ・モジュール20が小型化できるので、上記センサ・モジュール20をタイヤ情報を収集できる適切な箇所に配置することができる。したがって、適切なタイヤ情報を効率よく収集することができる。
また、車体側への送信はベースステーション30のみで行うので、電力の消費量を少なくでき、タイヤセンサ装置10を長寿命化できる。
【0016】
なお、上記最良の形態では、センサ・モジュール20A〜20Cをタイヤ周方向に等間隔に配置した場合について説明したが、センサ・モジュール20A〜20Cの配置方法はこれに限るものではなく、タイヤ径方向、あるいは、タイヤ周方向とタイヤ径方向との両方に配置してもよい。また、等間隔でなく、センサの種類及び個数に応じて任意の間隔に配置してもよい。
また、上記例では、ベースステーション30に内部電池36を設けたが、タイヤ1のホイール2に、タイヤの転動により発電する発電装置を設けて、上記ベースステーション30に電力を供給するようにしてもよい。また、ベースステーション30についても電力再生回路を設けて、車体側から上記ベースステーション30に電力を供給するようにすることも可能である。この場合にも、ベースステーション30は各センサ・モジュール20A〜20Cに電力を送る必要がないので、ベースステーション30についても小型化できる。また、内部電池36と電力再生回路とを併用してもよく、これにより、上記内部電池36の長寿命化を図ることができる。
更に、上記ベースステーション30に、メモリー33Mに格納されたタイヤ情報のデータを、本装置10を搭載する車の通信仕様に合わせたデータに加工する手段を設けて、上記データを車側の必要とする仕様のデータに工学的変換を施し、この加工されたデータを車体側に送信する、いわば、プロトコルコンバータ機能を持たせるようにすれば、車側とのスムースなデータ伝達ができるので、車種やメーカーに応じて柔軟に対応できる、汎用性の高いタイヤセンサ装置を得ることができる。
【0017】
また、上記例では、タイヤの状態を検出するセンサとして圧力センサ21A、温度センサ21B、及び、加速度センサ21Cを装着した場合について説明したが、装着するセンサの種類はこれに限るものではなく、タイヤトレッド部の歪状態を検出する歪センサや、タイヤの空気漏れを検出する音センサなどの種々のセンサを用いることができる。
例えば、図4に示すように、タイヤトレッド内側のタイヤ幅方向に、歪センサ21aを備えたセンサ・モジュール20Dを3個配置して、それぞれの箇所のタイヤ歪量を検出するようにすれば、横力などの影響によるタイヤ車体側の歪量と外側との歪量とを比較することができるので、有力なタイヤ情報を得ることができ、車両の走行安定性を向上させることができる。
また、上記例では、タイヤの状態の情報を車両制御装置40に送信する場合について説明したが、タイヤ状態の情報の送信先はこれに限るものではなく、タイヤの状態を監視するタイヤ監視システムなどのような、車体側に設けられた他の装置あるいは他のシステムに送信してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明によれば、適切なタイヤ情報を得ることができるとともに、センサ部を小型化でき、かつ、省電力化できるので、適切なタイヤ情報を効率よく収集することのできる実用的なタイヤセンサ装置を提供することができる。また、電力の消費量を少なくできるので、タイヤセンサ装置を長寿命化できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の最良の形態に係るタイヤ情報の伝達方法の概要を示す図である。
【図2】本最良の形態に係るタイヤセンサ装置の機能ブロック図である。
【図3】本最良の形態に係るタイヤセンサ装置の取付け状態を示す図である。
【図4】本発明によるセンサ・モジュールの配置方法の他の例を示す図である。
【図5】従来のタイヤ圧力センサタグの構成を示す図である。
【図6】従来のRFトランスポンダを備えたタイヤセンサ装置を示す図である。
【図7】従来のタイヤセンサ装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1 タイヤ、2 ホイール、10 タイヤセンサ装置、
20,20A〜20D センサ・モジュール、21 センサ、21A 圧力センサ、
21B 温度センサ、21C 加速度センサ、22 信号処理回路、
23 送信アンテナ、24 通信回路、25 受信アンテナ、26 電力再生回路、
30 ベースステーション、31 第1のアンテナ、32 内部通信装置、
33 情報処理装置、33M メモリー、34 第2のアンテナ、35 外部通信装置、36 内部電池、40 車両制御装置、41 電力供給装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの複数の箇所に、車体側から送信される電波を受信して作動するセンサ装置をそれぞれ配置するとともに、タイヤ内に、上記各センサ装置に接続され、車体側との通信を行うベースステーションを設けて、上記各センサ装置のセンサで検出したタイヤ情報を上記ベースステーションにて収集し、この収集されたタイヤ情報を、上記ベースステーションから車体側に送信するようにしたことを特徴とするタイヤ情報の伝達方法。
【請求項2】
タイヤの所定の箇所にそれぞれ配置された、車体側から送信される電波を受信して作動して、当該タイヤの状態を検出する複数のセンサ装置と、上記各センサ装置に接続され、上記各センサ装置のセンサで検出したタイヤ状態の信号を処理して車体側に送信するベースステーションとを備えたことを特徴とするタイヤセンサ装置。
【請求項3】
上記各センサ装置は、当該タイヤの状態を検出するセンサと、車体側から送信される電波を受信して上記センサを駆動する電源電圧を発生させる電力再生手段と、上記センサで検出したタイヤ情報の信号を上記ベースステーションに送信する送信手段とを備えたことを特徴とする請求項2に記載のタイヤセンサ装置。
【請求項4】
上記ベースステーションに、上記タイヤ状態の信号を格納する格納手段を設けたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のタイヤセンサ装置。
【請求項5】
上記ベースステーションに、上記格納手段に格納されたタイヤ情報のデータを、当該装置を搭載する車の通信仕様に合わせたデータに加工する手段を設け、上記加工されたデータを車体側に送信するようにしたことを特徴とする請求項4に記載のタイヤセンサ装置。
【請求項6】
上記ベースステーションに、車体側から送信される電波を受信して電源電圧を発生させる電力再生手段を設けたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のタイヤセンサ装置。
【請求項7】
予め特定したセンサ装置に電力を蓄積する手段を設けるとともに、当該センサ装置に装着されたセンサの回転角を検出する手段を設けて、予め設定された回転箇所におけるタイヤ状態を検出するようにしたことを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれかに記載のタイヤセンサ装置。
【請求項8】
予め特定したセンサ装置に電力を蓄積する手段を設け、ベースステーションに当該センサ装置に装着されたセンサの回転角を検出する手段を設けるとともに、上記センサのタイヤ状態の検出タイミング信号を上記ベースステーションから上記センサ装置に送り、予め設定された回転箇所におけるタイヤ状態を検出するようにしたことを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれかに記載のタイヤセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−215591(P2006−215591A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258300(P2004−258300)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】