説明

タイヤバルブユニット

【課題】タイヤセンサの取り外しにかかる作業性を高めることができるタイヤバルブユニットを提供する。
【解決手段】タイヤバルブユニットUは、筒状のバルブステム12を有するタイヤバルブ1と、バルブステム12の一部を囲繞する弾性筒状部材16と、バルブステム12に固定されるタイヤセンサ2とを備え、弾性筒状部材16が車両用ホイールのリムRに装着されるとともに、タイヤセンサ2はタイヤの状態を検出すべくリムRの内側に配置される。弾性筒状部材16の筒内には、筒状の金属部材からなるカラー30が設けられ、バルブステム12は、カラー30の筒内に引き抜き可能に挿通されるステム中間部13Bを有する。ステム中間部13Bの外周には、カラー30の内周に密着するO−リング15A,15Bと、カラー30からの引き抜きを係止するタイヤセンサ2とが設けられる。また、タイヤセンサ2がステム中間部13Bから取り外し可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ状態監視装置に用いられ、車両用ホイールのリムへ装着されるタイヤバルブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用タイヤにおける空気圧等のタイヤ状態を車室内で監視するタイヤ状態監視装置が知られているとともに、この装置に用いられるタイヤバルブユニットが種々提案されている。このタイヤバルブユニットは一般的に、タイヤバルブ、弾性筒状部材及びタイヤセンサを備えてなる。タイヤバルブは、バルブ本体と、バルブ本体から延出するバルブステムとを有している。バルブステムは、金属製の硬質筒状部材である。弾性筒状部材は、例えばゴム製であって、バルブステムを囲繞する。タイヤセンサは、例えば空気圧センサであって、バルブステムに装着される。そしてこのタイヤバルブユニットは、弾性筒状部材を介して車両用ホイールのリムに装着される。
【0003】
このようなタイヤバルブユニットの一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されるタイヤバルブユニットは、バルブ本体から延出されるバルブステムに弾性筒状部材が一体的に形成されている。そして、タイヤバルブユニットは、弾性筒状部材がリムのバルブ装着孔に嵌入されることで気密性を維持しつつ車両用ホイールのリムに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−94208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タイヤセンサの故障時や車両用ホイールに対するタイヤの着脱作業時などには、車両用ホイールのリムからタイヤバルブユニットを取り外すことが必要になる場合がある。しかしながら、特許文献1に記載のタイヤバルブユニットでは、リムから取り外されることまで考慮された構造ではないため、取り外しにかかる作業性は低い。
【0006】
例えば、タイヤバルブユニットをリムから取り外す作業のとき、弾性筒状部材とバルブ装着孔との間に介在される工具等によって、弾性筒状部材や該弾性筒状部材の嵌入されているバルブ装着孔が傷付けられることが懸念される。そして、一度傷付けられたバルブ装着孔はタイヤバルブユニットとの間の気密性を損なわせる一因ともなり得る。そのため、タイヤバルブユニットを取り外す作業では、バルブ装着孔が傷付けられないように、弾性筒状部材を変形させる力や弾性筒状部材を引き抜く力を同時に少しずつ変更するという煩わしさがある。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タイヤセンサの取り外しにかかる作業性を高めることができるタイヤバルブユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、筒状のバルブステムを有するタイヤバルブと、前記バルブステムの周囲の一部を囲繞する弾性筒状部材と、前記バルブステムに固定されるタイヤセンサとを備え、車両用ホイールのリムに形成されたバルブ装着孔
の内周面と前記弾性筒状部材の外周面とが密着するように前記弾性筒状部材が前記リムに装着されるとともに、前記タイヤセンサは前記リムの内側に配置されて該リムに装着されるタイヤの状態を検出するタイヤバルブユニットであって、前記弾性筒状部材の筒内には、筒状の硬質部材からなるカラーが設けられ、前記バルブステムは、前記カラーの筒内に引き抜き可能に挿通される筒部を有するとともに、前記当該筒部の外周には、前記カラーの内周に密着する無端環状の弾性部材と、前記カラーからの前記筒部の引き抜きを係止する係止部材とが設けられ、前記係止部材が前記筒部から取り外し可能であることを要旨とする。
【0009】
このような構成によれば、弾性筒状部材のカラーの筒内にバルブステムの筒部が引き抜き可能に挿通され、かつ、カラーの外周と筒部の内周との気密性が弾性部材によって確保されるため、タイヤバルブユニットの機能が確保され、かつ、バルブステムが弾性筒状部材に対して引き抜き可能になる。これにより、例えば、カラーの筒内に挿通されたバルブステムの筒部が引き抜かれることにより弾性筒状部材を変形させたり、切断したりすること等が容易になることから、リムからの弾性筒状部材の取り外しを容易にすることができるようになる。すなわち、タイヤバルブユニットの取り外しにかかる作業性が高くなる。また、リムからの弾性筒状部材の取り外しが容易になるので、取り外し作業によりリムを傷つけるおそれも低減され、リムの傷による気密性の低下のおそれも低減される。
【0010】
また、タイヤバルブユニットがリムから取り外された場合、取り外し作業において弾性筒状部材には変形や傷を生じることが避け難く、気密性を保証する観点からは再利用が難しい。一方、弾性筒状部材から取り外されたタイヤバルブにあっては、変形や傷等が生じないため、再利用できることから、メンテナンス性の向上や費用の低減が図られるようになる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤバルブユニットにおいて、前記弾性筒状部材は、前記リムの内側から前記リムの外側へ延びる筒状に形成され、前記カラーは、前記バルブ装着孔の内部から前記リムの外側に延びる筒状に形成され、前記リムの内側における前記弾性筒状部材の内径が前記カラーの内径よりも大きいことを要旨とする。
【0012】
このような構成によれば、バルブステムは、カラーのない部分において弾性筒状部材に強く接触したり、強く締め付けられたりしないので、弾性筒状部材からの取り外しが容易になる。また、リムの内側にはカラーが延びていないことからバルブステムが引き抜かれた弾性筒状部材において、リムの内側部分を切断することも可能となるために、リムからの弾性筒状部材の取り外しがより容易になる。さらに、リムの内側にカラーがないので弾性筒状部材の内径をタイヤの内圧により外方に拡張させることができるようにもなることから、カラーを有する弾性筒状部材であれ、リムと弾性筒状部材との気密性を好適に維持することができるようになる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のタイヤバルブユニットにおいて、前記弾性部材は、前記筒部の外周に形成された溝に嵌合したゴム製リングであり、前記硬質部材は、金属材料からなることを要旨とする。
【0014】
このような構成によれば、硬質部材が硬質樹脂等で形成される構成と比較して、バルブステムに対するカラーの内周面の摩擦力が小さくなる。そのため、弾性筒状部材に対するバルブステムの取外しや弾性筒状部材へのバルブステムの挿通が容易になる。また、弾性部材による気密性が好適に確保されるようにもなる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤバルブユニットにおいて、前記バルブステムの筒部は、前記弾性筒状部材から前記リムの内側に突出する
部分に被結合部を備え、前記筒部は、前記リムの外側へ引き抜き可能に前記カラーに挿通され、前記係止部材は、前記被結合部に取り外し可能に連結された前記タイヤセンサであることを要旨とする。
【0016】
このような構成によれば、バルブステムがタイヤセンサに取り外し可能に直接連結され、かつ、カラーからの筒部の引き抜きを係止する係止部材としてもタイヤセンサが機能する。そのため、タイヤバルブとタイヤセンサとの連結に必要な部品の点数の軽減や作業の容易化が図られるようになる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のタイヤバルブユニットにおいて、前記被結合部には、ねじ溝が設けられ、前記タイヤセンサには、前記ねじ溝と螺合するナット部が設けられていることを要旨とする。
【0018】
このような構成によれば、バルブステムとタイヤセンサとの結合が螺合により容易になされるとともに、バルブステムを回転させることによって、例えば、タイヤの着脱作業に先立ってタイヤバルブユニットに連結されているタイヤセンサを取り外すことができるようになる。タイヤ着脱などの作業の際、リムに固定されているタイヤセンサにはタイヤの縁などが接触するおそれもあるが、タイヤセンサの拘束を解除してタイヤ内に落としておくようにすることでリムの縁などが接触することを防ぐことができるようになる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤバルブユニットにおいて、前記バルブステムの筒部は、前記弾性筒状部材から前記リムの外側に突出する被結合部を備え、前記筒部は、前記リムの内側へ引き抜き可能に前記カラーに挿通され、前記係止部材は、前記バルブステムの前記被結合部に取り外し可能に連結されることを要旨とする。
【0020】
このような構成によれば、バルブステムの被結合部に結合する係止部材として、例えば筒部よりも大きな外形を有する部品等を接続することにより、弾性筒状部材にバルブステムを固定することができる。すなわち、筒部から係止部材を取り外すという簡単な作業で、弾性筒状部材からバルブステムを引き抜く作業が行えるようになる。これにより、タイヤバルブの構成の自由度が高められて、タイヤバルブユニットの実施可能性も高められる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のタイヤバルブユニットにおいて、前記被結合部の外周のうち前記弾性筒状部材の先端に隣接する部位には、環状の溝が形成され、前記係止部材は、前記環状の溝に嵌合可能であるとともに前記カラーの内径よりも大きい外径を有するリングであることを要旨とする。
【0022】
このような構成によれば、弾性筒状部材へのバルブステムの固定がリングにより容易になされるようになる。すなわち、リングを取り外すことで、例えば、タイヤの着脱作業に先立ってタイヤバルブユニットのタイヤセンサをバルブステムとともに取り外すことができるようになる。タイヤ着脱などの作業の際、リムに固定されているタイヤセンサにはタイヤの縁などが接触するおそれもあるが、タイヤセンサの拘束を解除してタイヤ内に落としておくようにすることでリムの縁などが接触することを防ぐことができるようになる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載のタイヤバルブユニットにおいて、前記被結合部の外周のうち前記弾性筒状部材の先端に隣接する部位には、ねじ溝が形成され、前記係止部材は、バルブ機構を有するとともに、前記ねじ溝に螺合されることを要旨とする。
【0024】
このような構成によれば、バルブステムと係止部材との結合が螺合によりなされる。す
なわち、係止部材を取り外すことで、例えば、タイヤの着脱作業に先立ってタイヤバルブユニットのタイヤセンサをバルブステムとともに取り外すことができるようになる。タイヤ着脱などの作業の際、リムに固定されているタイヤセンサにはタイヤの縁などが接触するおそれもあるが、タイヤセンサの拘束を解除してタイヤ内に落としておくようにすることでリムの縁などが接触することを防ぐことができるようになる。
【0025】
また、構造が複雑であることなどから筒部に収納できないバルブ機構を有するタイヤバルブであれ、そのバルブステムを弾性筒状部材に挿通可能に構成することができるようになる。これにより、タイヤバルブの構成の自由度が高められて、タイヤバルブユニットの実施可能性も高められる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、請求項6〜8のいずれか一項に記載のタイヤバルブユニットにおいて、前記バルブステムの筒部には、ステム小径部と該ステム小径部の外径よりも大きい外径のステム大径部と、前記ステム小径部から前記ステム大径部に向けて前記ステム小径部の外径を前記ステム大径部の外径に連続的に拡大させるステムテーパ部とが設けられるとともに、前記ステム大径部に前記タイヤセンサが連結され、前記弾性筒状部材は、前記リムの内側に配置される部分に前記カラーの内径よりも大きい内径を有する弾性部材大径部を有し、前記カラーには、該カラーの長さ方向に沿うスリットが前記弾性部材大径部側の端部に形成され、前記弾性筒状部材に前記リムの内側から挿入された前記バルブステムの前記ステムテーパ部が前記カラーのスリットを前記ステムテーパ部に沿って拡開することをその要旨とする。
【0027】
このような構成によれば、カラーのスリットがステムテーパ部の傾斜面に沿って拡開されることにより弾性筒状部材が外周方向に押圧される。これにより、リムに対する弾性筒状部材の押圧力が高くなることから弾性筒状部材との間の気密性や、リムに対するタイヤバルブユニットの姿勢維持力が向上するようになる。
【0028】
また、バルブステムのステムテーパ部の傾斜面が弾性筒状部材よりも摩擦の小さいカラーを拡開することにより弾性筒状部材を変形させることから弾性筒状部材の変形を容易に行うことができるようにもなる。
【発明の効果】
【0029】
従って、上記記載の発明によれば、タイヤセンサの取り外しにかかる作業性を高くすることができるタイヤバルブユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明にかかるタイヤバルブユニットを具体化した第1の実施形態についてその概略構造を示す平面図。
【図2】同実施形態のタイヤバルブユニットについて、図1の2−2線における断面構造を示す側断面図であって、(a)は組上がり構造を示す図、(b)は分解構造を示す図。
【図3】本発明にかかるタイヤバルブユニットを具体化した第2の実施形態についてその概略構造を示す図であって、(a)は組上がり構造を示す側断面図、(b)は分解構造を示す側断面図、(c)はEリングの正面図。
【図4】本発明にかかるタイヤバルブユニットを具体化した第3の実施形態についてその概略構造を示す側断面図であって、(a)は組上がり構造を示す図、(b)は分解構造を示す図。
【図5】本発明にかかるタイヤバルブユニットを具体化した第4の実施形態についてその概略構造を示す図であって、(a)は組上がり構造を示す側断面図、(b)は分解構造を示す側断面図、(c)はスリット付きカラーの側面構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1及び図2に従って説明する。図1は、本実施形態のタイヤバルブユニットの平面構造の概略を示す図である。図2は、図1のタイヤバルブユニットの2−2線断面構造を示す図であって、(a)は組み上げた構造を示す図、(b)は(a)を分解した状態の構造を示す図である。
【0032】
本実施形態のタイヤバルブユニットUは、車両用タイヤ内の空気圧や温度等のタイヤ状態を監視するタイヤ状態監視装置に用いられるものである。図1に示すように、タイヤバルブユニットUは、タイヤバルブ1と該タイヤバルブ1に締結されたタイヤセンサ2とを備え、車両用ホイールのリムRに設けられるバルブ装着孔Rhに装着される。
【0033】
図2(a)に示すように、タイヤバルブ1は金属製のバルブ本体10を含み、該バルブ本体10の外周部にはキャップ10Aが装着される一方、該バルブ本体10内にはバルブ機構部品Vが収容されている。バルブ本体10は筒状のバルブステム12を含む。バルブステム12の筒内には、該バルブステム12の長手方向に延びる筒内空間としての連通路12Hが形成されている。バルブステム12は金属製の硬質筒状部材である。また、タイヤバルブ1は、バルブステム12の長手方向において該バルブステム12の外周における一部を囲む筒状の弾性筒状部材16を有している。そして、タイヤバルブユニットUは、タイヤバルブ1の弾性筒状部材16の外周面がリムRに形成されたバルブ装着孔Rhの内周面に密着するように、該弾性筒状部材16を介してリムRに装着される。なお、本実施形態では、タイヤバルブユニットUがリムRに装着された状態において、バルブ本体10はリムRの外側に位置し、タイヤセンサ2はリムRの内側に位置する。また、タイヤバルブ1の長手方向の端部であって、リムRの外側に位置する端部を先端とするとともに、リムRの内側に位置する端部を基端とする。
【0034】
図2(b)に示すように、バルブステム12は、それの長手方向の端部であって前記先端側にステム先端部13Aを有するとともに、同長手方向の端部であって前記基端側にステム基端部13Cを有している。バルブステム12は、ステム先端部13Aからステム基端部13Cに向かう順に外径が小さくなる多段状の外径を有している。すなわち、バルブステム12は、最も大きい外径を有するステム先端部13Aと最も小さい外径を有するステム基端部13Cとの間に、ステム先端部13Aの外径より小さく、かつ、ステム基端部13Cの外径より大きい所定の外径を有する筒部としてのステム中間部13Bを有している。ステム先端部13Aは、上記バルブ機構部品Vをその内部に収容している。ステム基端部13Cの外周には、バルブステム12の長手方向へ螺旋を描くねじ溝が形成されている。ステム中間部13Bは、その長手方向において弾性筒状部材16と略同じ長さを有する。ステム中間部13Bの外周には、該ステム中間部13Bの長手方向に所定の距離だけ離間した2つのリング溝14A,14Bが該ステム中間部13Bの周方向の全体にわたり凹設されている。ステム中間部13Bの外周では、これらリング溝14A,14Bを除いた部分において、その長手方向の略全幅にわたり所定の外径が連続している。リング溝14Aにはゴム製のO−リング15Aが嵌合されるとともに、リング溝14Bには同じくゴム製のO−リング15Bが嵌合されている。
【0035】
弾性筒状部材16は、バルブステム12のステム中間部13Bを囲繞する筒状に形成されている。弾性筒状部材16はゴム部材であって、バルブステム12のステム先端部13Aに向かって外径が小さくなるテーパ状をなす。弾性筒状部材16の外周面には、径方向外側に向かって延出する環状の第1係止部17及び第2係止部18が設けられている。第2係止部18は、弾性筒状部材16の基端部に設けられ、リムRの内側面との係合によって、弾性筒状部材16がリムRの外側へ移動することを係止する。第1係止部17は、第
2係止部18からリムRの厚さに相当する距離だけ弾性筒状部材16の軸方向に離間している。そして第2係止部18は、リムRの外側面との係合によって、弾性筒状部材16がリムRの内側へ移動することを係止する。これら第1及び第2係止部17,18間には、バルブ装着孔Rhの周囲のリムRの部分(装着部Ra)が嵌入される装着溝19が形成されている。本実施形態において、第1係止部17及び第2係止部18の各々は環状凸部であるが、周方向に沿って所定間隔を置いて配置された複数の突起によって構成されてもよい。すなわち、弾性筒状部材16は、第1係止部17と第2係止部18との間にリムRのバルブ装着孔Rhを挟むようなかたちで、リムRから脱落等することのないようにリムRに嵌合される。このため、取り外しの際、弾性筒状部材16の第1係止部17や装着溝19には、工具やバルブ装着孔Rhなどの摩擦や食込みによる傷が生じることが避けがたい。また、弾性筒状部材16の第2係止部18には工具の摩擦や食込みによる傷が生じることが避けがたい。このような傷は、バルブ装着孔Rhと弾性筒状部材16との気密性の維持に対する信頼性を低下させるおそれがある。
【0036】
弾性筒状部材16は、筒内に長手方向に沿うかたちの内周面を有しているとともに、該内周面には金属製の筒状部材からなるカラー30が接合されている。カラー30は、バルブステム12のステム中間部13Bを挿通させることのできる大きさの内径からなる内周面31を有している。カラー30の外周面32は、弾性筒状部材16を構成するゴム部材に一体形成されることにより弾性筒状部材16に固定されている。カラー30は、先端側(バルブステム12のステム先端部13A側)にカラー先端部33を有するとともに、弾性筒状部材16の装着溝19の略中央に対応する位置にカラー基端部34を有する。すなわちカラー30は、バルブステム12の長手方向に、カラー先端部33からカラー基端部34までの長さを有している。一方、弾性筒状部材16は、内部の基端側(バルブステム12のステム基端部13C側)にあってカラー30が設けられていない部分には、カラー30の内径よりも大きな内径からなる筒内部20Aを有している。筒内部20Aの内径は、例えば、カラー30の外径と同じ大きさである。筒内部20Aには、該筒内部20Aの径方向外側に凹設された凹部20が形成され、該凹部20はタイヤバルブユニットUがリムRに装着された状態においてリムRの内側に位置する。これにより、筒内部20Aとバルブステム12のステム中間部13Bとの間には、凹部20の深さに相当する隙間(筒内空間)が形成される。筒内空間は、タイヤ内の高圧空気の進入を通じて弾性筒状部材16を拡開させることで弾性筒状部材16のバルブ装着孔Rhへの当接力を高め、弾性筒状部材16のバルブ装着孔Rhへの好適な装着を維持する。
【0037】
タイヤセンサ2は、タイヤバルブ1の基端部、すなわち、バルブステム12のステム基端部13Cに結合される。タイヤセンサ2は、センサユニット(図示略)を収容する樹脂製のハウジング21を含む。センサユニットは、種々の電子部品やバッテリ、アンテナ等を含み、リムRに装着されるタイヤの状態(内部空気圧等)を検出する機能や、検出したタイヤ状態を車室内に設けられる受信装置(図示略)に送信する送信機能等を備えている。
【0038】
ハウジング21には、該ハウジング21をバルブステム12に連結させるための連結部22が設けられている。連結部22には、ハウジング21に埋設されたナット部としてのナット26が設けられている。ナット26は、バルブステム12のステム基端部13Cを嵌合させるものであり、ステム基端部13Cのねじ溝に嵌合可能な雌ねじ27を有している。該ナット26はステンレス等の金属材料によって形成され、インサート成形によってハウジング21と一体化されている。本実施形態のナット26は金属製であるが、硬質部材であれば樹脂製でもよい。これによりナット26には、バルブステム12のステム基端部13Cが螺合可能になる。すなわち、バルブステム12のステム基端部13Cをナット26に締め付けることで、タイヤセンサ2がバルブステム12に締結される。これにより、弾性筒状部材16の筒内からリムRの外側へバルブステム12を引き抜くことが、係止
部材であるタイヤセンサ2と被結合部であるステム基端部13Cとの螺合によって係止される。逆に、ナット26に対してバルブステム12のステム基端部13Cを緩めることで、タイヤセンサ2とバルブステム12との締結を解除するとともに、連結を外すこともできる。そして弾性筒状部材16の筒内からリムRの外側へバルブステム12を引き抜くことができる。
【0039】
ハウジング21には、ナット26のねじ穴の空間とハウジング21の外部の空間との間を連通させる連通孔23が形成されている。これにより、バルブステム12がナット26に螺合されたとき、バルブステム12の連通路12Hが連通孔23に連通する。すなわち、バルブステム12の連通路12Hからリムの内側(タイヤ内)への空気の流通が連通孔23により確保される。
【0040】
次に、このようなタイヤバルブユニットUの構成における効果等についてバルブステム12と弾性筒状部材16とに関わる内容を中心に説明する。
タイヤバルブユニットUをリムRに取り付ける場合、図2(a)に示すように組み立てられたタイヤバルブユニットUを、リムRの内側からバルブ装着孔Rhに挿通させるとともに、リムRの外側からキャップ10Aに治具を引っかけ、てこの原理などを用いてリムRの外側に引っ張る。これにより、タイヤバルブユニットUは、装着溝19がリムRのバルブ装着孔Rhに嵌合されることによりリムRに取り付けられる。その他の取り付け方法として、図2(b)に示すように、分解状態のタイヤバルブユニットUは、リムRに装着された弾性筒状部材16にリムRの外側からバルブステム12が挿通される。そして、弾性筒状部材16を挿通してリムRの内側に突出したバルブステム12のステム基端部13Cにタイヤセンサ2が螺合される。これにより、図2(a)に示すように、タイヤバルブユニットUが組上げられるとともにリムRに取り付けられるようにしてもよい。
【0041】
組み立てられたタイヤバルブユニットUにおいて、バルブステム12は、リムRに取り付けられたときリムRの外側になる部分では、ステム先端部13Aが弾性筒状部材16のカラー先端部33に当接する。一方、バルブステム12は、リムRに取り付けられたときリムRの内側になる部分では、ステム基端部13Cがタイヤセンサ2の連結部22に結合されることにより、タイヤセンサ2がリムRの内側の弾性筒状部材16(第2係止部18)に当接する。これにより、バルブステム12は、弾性筒状部材16に対する位置が固定される。また、ステム中間部13Bとカラー30の内周面31との間には、2つのO−リング15A,15Bが配置される。すなわち、各O−リング15A,15Bが弾性変形されることにより、各O−リング15A,15Bとステム中間部13Bとの間の気密性、及び、各O−リング15A,15Bとカラー30の内周面31との間の気密性がそれぞれ確保される。これにより、弾性筒状部材16のカラー30とバルブステム12との間において、リムRの内側とリムRの外側との間の気密性が良好に維持される。
【0042】
また、ステム中間部13Bとカラー30の内周面31は、それぞれ硬質の金属であることから、それらの間の摩擦が低く維持される。さらに、筒内部20Aの内径をカラー30の内径よりも大きい径としたことから、バルブステム12のステム中間部13Bの表面は、筒内部20Aからの摩擦力をほとんど受けない。そのため、弾性筒状部材16にバルブステム12を挿入する作業はもとより、弾性筒状部材16からバルブステム12を引き抜く作業が容易に行えるようになる。これにより、弾性筒状部材16へのバルブステム12の取り付け(挿入)作業や、弾性筒状部材16からのバルブステム12の取り外し(引き抜き)作業の作業性が高くなる。これにより、弾性筒状部材16から引き抜いてリムRから取り外したバルブステム12であれ、取り外し作業により傷付くおそれがないため、再利用することが可能である。なお、再利用する際には、O−リング15A,15Bを交換するようにしてもよい。
【0043】
一方、メンテナンス等のため、リムRからタイヤバルブユニットUを取り外す場合、バルブステム12を回転させることで、タイヤセンサ2との結合を緩ませることができるとともに結合を解除することができるようになる。バルブステム12を回転させる際、弾性筒状部材16との間の摩擦が大きいと作業が難しくなるが、本実施形態では、バルブステム12はカラー30との間の摩擦力を、O−リング15A,15Bとの摩擦力程度にすることができる。このため、弾性筒状部材16に挿通されたバルブステム12を回転させる作業を容易にする。なお、バルブステム12はタイヤセンサ2に螺合されていることから、回転されたタイヤセンサ2がリムRなどに引っかかるようにしておくことで、タイヤセンサ2がタイヤの内側にある場合でもバルブステム12を回転させることで、バルブステム12とタイヤセンサ2を分離することができる。
【0044】
弾性筒状部材16は、内部からバルブステム12が引き抜かれた後、リムRから取り外される。例えば、弾性筒状部材16では、バルブステム12が引き抜かれた空間にカラー30が接合されているが、バルブステム12が挿入されている場合に比べて、その剛性は低い。弾性筒状部材16の剛性の低下は弾性筒状部材16の変形を容易にすることから、バルブ装着孔Rhから弾性筒状部材16を取り外す作業が容易になる。また例えば、弾性筒状部材16はカラー30がリムRの内側まで設けられていないため、バルブステム12が引き抜かれた状態においてリムRの内側がゴム部材のみからなる。そのため、弾性筒状部材16の第2係止部18をリムRの内側に沿って弾性筒状部材16から切り取ることができるようになることから、第2係止部18を切り取ることにより弾性筒状部材16をリムRから取り外すようにしてもよい。これによっても、バルブ装着孔Rhから弾性筒状部材16を取り外す作業が容易になる。このように、弾性筒状部材16の取り外し作業が容易となることから、この作業がバルブ装着孔Rhに傷を付けるおそれが低減される。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のタイヤバルブユニットによれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)弾性筒状部材16のカラー30の筒内にバルブステム12のステム中間部13Bが引き抜き可能に挿通され、かつ、カラー30の外周と筒部の内周との気密性が弾性部材としてのO−リング15A,15Bによって確保される。このため、タイヤバルブユニットUの機能が確保され、かつ、バルブステム12が弾性筒状部材16に対して引き抜き可能になる。これにより、例えば、カラー30の筒内に挿通されたバルブステム12のステム中間部13Bが引き抜かれることにより弾性筒状部材16を変形させたり、切断したりすること等が容易になることから、リムRからの弾性筒状部材16の取り外しを容易にすることができるようになる。すなわち、タイヤバルブユニットUの取り外しにかかる作業性が高くなる。また、リムRからの弾性筒状部材16の取り外しが容易になるので、取り外し作業によりリムRを傷つけるおそれも低減され、リムRの傷による気密性の低下のおそれも低減される。
【0046】
(2)また、タイヤバルブユニットUがリムRから取り外された場合、取り外し作業において弾性筒状部材16には変形や傷を生じることが避け難く、気密性を保証する観点からは再利用が難しい。一方、弾性筒状部材16から取り外されたタイヤバルブ1にあっては、変形や傷等が生じないため、再利用できることから、メンテナンス性の向上や費用の低減が図られるようになる。
【0047】
(3)バルブステム12は、カラー30のない部分において弾性筒状部材16に、すなわち弾性筒状部材16の筒内部20Aに強く接触したり、強く締め付けられたりしないので、弾性筒状部材16からの取り外しが容易になる。また、バルブステム12が引き抜かれた弾性筒状部材16は、リムRの内側にはカラー30がないことから、そのリムRの内側部分である第2係止部18を切断することも可能となるので、リムRからの弾性筒状部材16の取り外しがより容易になる。さらに、リムRの内側にカラー30がないので弾性
筒状部材16の内径をタイヤの内圧により外方に拡張させることができるようにもなることから、カラー30を有する弾性筒状部材であれ、リムRと弾性筒状部材16との気密性を好適に維持することができるようになる。
【0048】
(4)金属製の硬質部材から形成されるカラー30は、バルブステム12に対するカラー30の内周面31の摩擦力が小さくなる。そのため、弾性筒状部材16に対するバルブステム12の取外しや弾性筒状部材16へのバルブステム12の挿通が容易になる。また、各O−リング15A、15Bによる気密性が好適に確保されるようにもなる。
【0049】
(5)バルブステム12がタイヤセンサ2に取り外し可能に直接連結され、かつ、カラー30からのステム中間部13Bの引き抜きを係止する係止部材としてもタイヤセンサ2が機能する。そのため、タイヤバルブ1とタイヤセンサ2との連結に必要な部品の点数の軽減や作業の容易化が図られるようになる。
【0050】
(6)バルブステム12とタイヤセンサ2との結合が螺合により容易になされるとともに、バルブステム12を回転させることによって、例えば、タイヤの着脱作業に先立ってタイヤバルブユニットUに連結されているタイヤセンサ2を取り外すことができるようになる。タイヤ着脱などの作業の際、リムRに固定されているタイヤセンサ2にはタイヤの縁などが接触するおそれもあるが、タイヤセンサ2の拘束を解除してタイヤ内に落としておくようにすることでリムの縁などが接触することを防ぐことができるようになる。
【0051】
(第2の実施形態)
本発明を具体化した第2の実施形態について図3に従って説明する。
なお、本実施形態のタイヤバルブユニットは、先の第1の実施形態に対してバルブステムの構造が相違するものの、その他の構成などは同様であることから、ここでは主に相違点について説明することとし、説明の便宜上、同様の構成などには同様の符号を付しその説明を割愛する。
【0052】
図3(b)に示すように、バルブステム12Aは、先端側にステム先端部40Aを有するとともに、基端側にステム基端部40Cを有している。また、バルブステム12Aは、ステム先端部40Aとステム基端部40Cとの間にステム中間部40Bを有している。ステム先端部40Aの外径と、ステム中間部40Bの外径と、ステム基端部40Cの外径とは、いずれも同一の外径になっている。すなわち、バルブステム12Aは、ステム先端部40Aからステム基端部40Cまで、リング溝14A,14Bを除いた部分において、同一の外径を連続的に有している。
【0053】
ステム先端部40Aは、長手方向へ螺旋を描くねじ溝が外周に形成されているとともに、バルブ機構部品Vをその内部に収容している。ねじ溝は、キャップ10Aのナット部としての雌ねじが螺合されるようになっている。また、ステム先端部40Aは、ステム中間部40Bに隣接する部分の外周に、環状の溝である被結合部としてのEリング溝41が形成されている。Eリング溝41は、図3(c)に示すように、半周より長い円弧を有する円弧状の係止部材としてのEリング45を嵌合させる溝である。
【0054】
ステム基端部40Cは、インサート成形によってハウジング21と一体化されているとともに、バルブステム12Aを貫通する連通路12Jを連通孔23に連通させている。すなわち、バルブステム12Bの連通路12Jからリムの内側(タイヤ内)への空気の流通が連通孔23により確保される。
【0055】
ステム中間部40Bは、バルブステム12AにおいてEリング溝41からハウジング21までの間の部分であるとともに、弾性筒状部材16の長手方向の長さと略同じ長さを有
している。ステム中間部40Bの外周には、O−リング15Aを嵌合させるリング溝14Aと、O−リング15Bを嵌合させるリング溝14Bとがそれぞれ設けられている。
【0056】
次に、このようなタイヤバルブユニットUの構成における効果等についてバルブステム12Aと弾性筒状部材16とに関わる内容を中心に説明する。
タイヤバルブユニットUをリムRに取り付ける場合、図3(a)に示すように組み立てられたタイヤバルブユニットUを、リムRの内側からバルブ装着孔Rhに挿通させるとともに、リムRの外側からキャップ10Aに治具を引っかけ、てこの原理などを用いてリムRの外側に引っ張る。これにより、タイヤバルブユニットUは、装着溝19がリムRのバルブ装着孔Rhに嵌合されることによりリムRに取り付けられる。その他の取り付け方法として、図3(b)に示すように、分解状態のタイヤバルブユニットUは、リムRに装着された弾性筒状部材16にリムRの内側からバルブステム12Aが挿通される。これにより、図3(a)に示すように、タイヤバルブユニットUが組上げられるとともにリムRに取り付けられるようにしてもよい。
【0057】
ところでタイヤバルブユニットUが組み立てられるとき、弾性筒状部材16に挿通され、挿通された弾性筒状部材16から先端側に突出したバルブステム12AのEリング溝41にEリング45が嵌め込まれる。すなわち、バルブステム12Aは、弾性筒状部材16をハウジング21とEリング45により挟み込むことで弾性筒状部材16に対して固定される。
【0058】
一方、メンテナンス等のため、リムRからタイヤバルブユニットUを取り外す場合、Eリング45を取り外すことで、バルブステム12Aを弾性筒状部材16からリムRの内側へ押し出すことができるようになる。これにより、弾性筒状部材16からバルブステム12Aを引き抜くことによって、タイヤセンサ2がリムRの内側に取り外されるようになる。バルブステム12Aを押し出す際、弾性筒状部材16との間の摩擦力が大きいと作業が難しくなるが、本実施形態では、バルブステム12はカラー30との間の摩擦力を、O−リング15A,15Bとの摩擦力程度にすることができる。このため、バルブステム12Aを弾性筒状部材16からリムRの内側に押し出す作業が容易になる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態のタイヤバルブユニットによっても先の第1の実施形態の前記(1)〜(4)の効果と同等もしくはそれに準じた効果が得られるとともに、次のような効果が得られるようになる。
【0060】
(7)バルブステム12AのEリング溝41に結合する係止部材として、バルブステム12Aよりも大きな外形を有するEリング45を接続することにより、弾性筒状部材16にバルブステム12Aを固定することができる。すなわち、弾性筒状部材16へのバルブステム12Aの固定が容易である。
【0061】
(8)逆に、バルブステム12AからEリング45を取り外すという簡単な作業で、弾性筒状部材16からバルブステム12Aを引き抜く作業が行えるようになる。すなわち、Eリング45を取り外すことで、例えば、タイヤの着脱作業に先立ってタイヤバルブユニットUのタイヤセンサ2をバルブステム12Aとともに取り外すことができるようになる。タイヤ着脱などの作業の際、リムRに固定されているタイヤセンサ2にはタイヤの縁などが接触するおそれもあるが、タイヤセンサ2の拘束を解除してタイヤ内に落としておくようにすることでリムの縁などが接触することを防ぐことができるようになる。これにより、タイヤバルブ1の構成の自由度が高められて、タイヤバルブユニットUの実施可能性も高められる。
【0062】
(第3の実施形態)
本発明を具体化した第3の実施形態について図4に従って説明する。
なお、本実施形態のタイヤバルブユニットは、先の第1の実施形態に対してタイヤバルブの構造が相違するものの、その他の構成などは同様であることから、ここでは主に相違点について説明することとし、説明の便宜上、同様の構成などには同様の符号を付しその説明を割愛する。
【0063】
図4(b)に示すように、本実施形態では、弾性筒状部材16は、ゴム部材の先端側から弾性筒状部材16の長手方向に突出するカラー嵌合部35を有する。カラー嵌合部35は、カラー30のカラー先端部33が先端側に所定の突出長さだけ延出されたものであることから、カラー30の内周面31と連続した内周面及び、カラー30の外周面32に連続した外周面を有する。
【0064】
図4(b)に示すように、タイヤバルブ1は金属製の係止部材としてのバルブ本体10Bを含み、該バルブ本体10Bの外周部にはキャップ10Aが装着される一方、該バルブ本体10B内にはバルブ機構部品Vが収容されている。バルブ本体10Bは筒状のバルブステム12Bを含む。本実施形態では、バルブ本体10Bは、該バルブ本体10Bの長手方向にあって基端側に結合部50を有している。すなわちバルブ本体10Bには、結合部50に結合される態様でバルブステム12Bが設けられている。結合部50には、筒状の内周に雌ねじの形成されたナット部としてのねじ部51が設けられ、ねじ部51の基端側には当該ねじ部51の内径よりも大きな内径を有する嵌合部52が形成されている。嵌合部52の内径は、カラー嵌合部35の外径、すなわちカラー30の外径に対応する大きさであるとともに、バルブ本体10Bの長手方向における嵌合部52の長さは、カラー嵌合部35の突出長さに相当する長さになっている。すなわち、結合部50の嵌合部52の内側にはカラー嵌合部35を嵌め込むことができるようになっている。
【0065】
図4(b)に示すように、バルブステム12Bは、先端側に被結合部としてのステム先端部55Aを有しているとともに、基端側にステム基端部55Cを有している。また、バルブステム12Bは、ステム先端部55Aとステム基端部55Cとの間にステム中間部55Bを有している。ステム先端部55Aの外径と、ステム中間部55Bの外径と、ステム基端部55Cの外径とは、いずれも同一の外径になっている。すなわち、バルブステム12Bは、ステム先端部55Aからステム基端部55Cまで、リング溝14A,14Bを除いた部分において、同一の外径を連続的に有している。
【0066】
ステム先端部55Aは、長手方向へ螺旋を描くねじ溝が外周に形成されている。ねじ溝は、バルブ本体10Bの結合部50に形成されているねじ部51に螺合することができるようになっている。
【0067】
ステム基端部55Cは、インサート成形によってハウジング21と一体化されているとともに、バルブステム12Bを貫通する連通路12Kを連通孔23に連通させている。すなわち、バルブステム12Bの連通路12Kからリムの内側(タイヤ内)への空気の流通が連通孔23により確保される。
【0068】
ステム中間部55Bは、ステム先端部55Aのねじ溝からハウジング21までの間に対応した長さを有しているとともに、弾性筒状部材16の長手方向の長さと略同じ長さを有している。ステム中間部55Bの外周には、O−リング15Aを嵌合させるリング溝14Aと、O−リング15Bを嵌合させるリング溝14Bとがそれぞれ設けられている。
【0069】
次に、このようなタイヤバルブユニットUの構成における効果等についてバルブステム12Bと弾性筒状部材16とに関わる内容を中心に説明する。
タイヤバルブユニットUをリムRに取り付ける場合、図4(a)に示すように組み立て
られたタイヤバルブユニットUを、リムRの内側からバルブ装着孔Rhに挿通させるとともに、リムRの外側からキャップ10Aに治具を引っかけ、てこの原理などを用いてリムRの外側に引っ張る。これにより、タイヤバルブユニットUは、装着溝19がリムRのバルブ装着孔Rhに嵌合されることによりリムRに取り付けられる。その他の取り付け方法として、図4(b)に示すように、分解状態のタイヤバルブユニットUは、リムRに装着された弾性筒状部材16にリムRの内側からバルブステム12Bが挿通される。これにより、図4(a)に示すように、タイヤバルブユニットUが組上げられるとともにリムRに取り付けられるようにしてもよい。
【0070】
ところでタイヤバルブユニットUが組み立てられるとき、弾性筒状部材16に挿通され、弾性筒状部材16の先端側に突出したバルブステム12Bのステム先端部55Aにバルブ本体10Bの結合部50のねじ部51を螺合することにより、結合部50の嵌合部52にカラー30のカラー嵌合部35が嵌合される。すなわち、バルブステム12Bは、弾性筒状部材16をハウジング21とバルブ本体10Bの結合部50とにより挟み込むことで弾性筒状部材16に対して固定される。
【0071】
一方、メンテナンス等のため、リムRからタイヤバルブユニットUを取り外す場合、バルブ本体10Bの結合部50を回転させることで結合部50とステム先端部55Aとの螺合を緩めて当該バルブ本体10Bの結合部50をバルブステム12Bから取り外すことができる。バルブ本体10Bの結合部50が取り外されることにより、バルブステム12Bを弾性筒状部材16からリムRの内側へ押し出すことができるようになる。これにより、弾性筒状部材16からバルブステム12Bを引き抜くことによって、タイヤセンサ2がリムRの内側に取り外されるようになる。バルブステム12Bを押し出す際、バルブステム12Bとカラー30との間の摩擦力を、O−リング15A,15Bとの摩擦力程度にすることができるため、バルブステム12Bを弾性筒状部材16からリムRの内側に押し出す作業が容易になる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態のタイヤバルブユニットによっても先の第1の実施形態の前記(1)〜(4)の効果と同等もしくはそれに準じた効果が得られるとともに、次のような効果が得られるようになる。
【0073】
(9)バルブステム12Bのステム先端部55Aに結合する係止部材として、バルブステム12Bよりも大きな外形を有するバルブ本体10Bの結合部50を接続することにより、弾性筒状部材16にバルブステム12Bを固定することができる。すなわち、弾性筒状部材16へのバルブステム12Bの固定が容易である。
【0074】
(10)バルブステム12Bと係止部材としてのバルブ本体10Bの結合部50の結合が螺合によりなされる。すなわち、バルブ本体10Bの結合部50を取り外すことで、例えば、タイヤの着脱作業に先立ってタイヤバルブユニットUのタイヤセンサ2をバルブステム12Bとともに取り外すことができるようになる。タイヤ着脱などの作業の際、リムRに固定されているタイヤセンサ2にはタイヤの縁などが接触するおそれもあるが、タイヤセンサ2の拘束を解除してタイヤ内に落としておくようにすることでリムRの縁などが接触することを防ぐことができるようになる。
【0075】
(11)構造が複雑であることなどからバルブステム12Bに収納できないバルブ機構部品Vを有するタイヤバルブ1であれ、そのバルブステム12Bを弾性筒状部材16に挿通可能に構成することができるようになる。これにより、タイヤバルブ1の構成の自由度が高められて、タイヤバルブユニットUの実施可能性も高められる。
【0076】
(第4の実施形態)
本発明を具体化した第4の実施形態について図5に従って説明する。
なお、本実施形態のタイヤバルブユニットは、先の第2の実施形態に対してタイヤバルブの構造が相違するものの、その他の構成などは同様であることから、ここでは主に相違点について説明することとし、説明の便宜上、同様の構成などには同様の符号を付しその説明を割愛する。
【0077】
図5(b)に示すように、弾性筒状部材16Bは、金属製の筒状部材からなるカラー30Bを備えている。カラー30Bは、バルブステム12Cのステム先端部40A及びステム中間部64を挿通させることのできる大きさの内径からなる内周面31を有している。カラー30Bの外周の外周面32は、弾性筒状部材16Bを構成するゴム部材に一体形成されることにより弾性筒状部材16Bに固定されている。カラー30Bは、先端側にカラー先端部33を有するとともに、基端側にカラー基端部34を有する。カラー基端部34の端部は、弾性筒状部材16Bの長手方向において、弾性筒状部材16Bの装着溝19の略中央に対応する位置に配置される。
【0078】
図5(c)に示すように、カラー基端部34には、カラー30Bの長手方向への複数の切り込み(スリット)36が設けられている。各スリット36は、カラー基端部34の端から先端方向へ形成されている。各スリット36の先端側の位置は、第1係止部17に対応する位置よりも更に先端側に寄った位置となっている。各スリット36は、カラー基端部34における弾性筒状部材16Bの変形に従って変形することができる。一方、弾性筒状部材16Bの筒内においてカラー30Bが設けられない基端側には、カラー30Bの外径よりも大きな内径を有する弾性部材大径部60が設けられている。そして、カラー30Bと弾性部材大径部60との間には、カラー30Bの外周面32に接する部分から弾性部材大径部60に向けて徐々に拡開した弾性部材テーパ部61が設けられている。弾性部材大径部60の内周面には、該弾性部材大径部60の径方向外側に凹設された凹部60Aが設けられ、該凹部60AはタイヤバルブユニットUがリムRに装着された状態においてリムRの内側に位置する。
【0079】
なお、本実施形態では、タイヤバルブユニットUが分解された状態において、弾性部材テーパ部61は、弾性筒状部材16Bの長手方向において装着溝19の中央よりも基端側に設けられている。
【0080】
図5(b)に示すように、バルブステム12Cの先端側には、カラー30Bの内径に相当する外径を有したステム先端部40A及びステム小径部としてのステム中間部64が形成されている。すなわち、ステム先端部40A及びステム中間部64は、カラー30Bに挿通される形状に形成されている。また、バルブステム12Cの基端側には、弾性筒状部材16Bにおける弾性部材大径部60の内径よりも小さい外径を有したステム大径部65と、ステム大径部65と同じ外径を有するステム基端部67とを有している。すなわち、ステム大径部65は、弾性筒状部材16Bの弾性部材大径部60に挿通される形状に形成されている。さらに、バルブステム12Cは、ステム中間部64とステム大径部65との間に、ステム中間部64からステム大径部65に向けて徐々に外径が大きくなるステムテーパ部66が設けられている。なお、本実施形態では、図5(a)に示すように、タイヤバルブユニットUが組み立てられた状態において、ステムテーパ部66は、弾性筒状部材16Bの長手方向において第1係止部17に対応する位置に設けられている。
【0081】
ステム先端部40Aにおいてステム中間部64に隣接する部分には、係止部材としてのEリング45を嵌合させる溝である被結合部としてのEリング溝41が形成されている。
ステム基端部67は、インサート成形によってハウジング21と一体化されているとともに、バルブステム12Cを貫通する連通路12Hを連通孔23に連通させている。すなわち、バルブステム12Cの連通路12Hからリムの内側(タイヤ内)への空気の流通が
連通孔23により確保される。
【0082】
すなわち、ステム中間部64は、Eリング溝41とステムテーパ部66との間に設けられている。また、ステム大径部65は、ステムテーパ部66とハウジング21との間に設けられている。なお、ステム中間部64の外周には、O−リング15Aを嵌合させるリング溝14Aと、O−リング15Bを嵌合させるリング溝14Bとがそれぞれ設けられている。
【0083】
次に、このようなタイヤバルブユニットUの構成における効果等についてバルブステム12Cと弾性筒状部材16Bとに関わる内容を中心に説明する。
タイヤバルブユニットUをリムRに取り付ける場合、図5(a)に示すように、組み立てられたタイヤバルブユニットUを、リムRの内側からバルブ装着孔Rhに挿通させるとともに、リムRの外側からキャップ10Aに治具を引っかけ、てこの原理などを用いてリムRの外側に引っ張る。これにより、タイヤバルブユニットUは、装着溝19がリムRのバルブ装着孔Rhに嵌合されることによりリムRに取り付けられる。その他の取り付け方法として、図5(b)に示すように、分解状態のタイヤバルブユニットUは、リムRに装着された弾性筒状部材16BにリムRの内側からバルブステム12Cが挿通される。これにより、図5(a)に示すように、タイヤバルブユニットUが組上げられるとともにリムRに取り付けられるようにしてもよい。
【0084】
いずれにせよタイヤバルブユニットUが組み立てられるとき、弾性筒状部材16Bを挿通して、リムRに取り付けられときにリムRの外側に突出するバルブステム12CのEリング溝41にEリング45が嵌め込まれることによりバルブステム12Cが弾性筒状部材16Bに対して固定される。
【0085】
ところで、バルブステム12Cのステムテーパ部66は、第1係止部17に対応する位置に設けられている一方、弾性筒状部材16Bの弾性部材テーパ部61は、弾性筒状部材16Bの長手方向において、装着溝19の略中央よりも基端側に設けられている。このため、弾性筒状部材16Bにバルブステム12Cが挿通されると、ステムテーパ部66は、弾性筒状部材16Bの長手方向において装着溝19の中央に対応する位置にて弾性部材テーパ部61に当接する。さらに、バルブステム12Cを押し込むと、先端側に移動するステムテーパ部66の傾斜面がゴム部材からなる弾性筒状部材16Bの弾性部材テーパ部61を弾性筒状部材16Bの径方向外側へ押し広げる。なお、弾性部材テーパ部61より先端側には、ステムテーパ部66よりも小さい内径のカラー30が配置されているが、カラー30のカラー基端部34にはスリット36が形成されていることから、弾性筒状部材16Bのゴム部材とともにカラー基端部34が押し広げられる。このときステムテーパ部66が、金属からなるスリット36を摺動しつつ、該スリット36及び弾性筒状部材16Bを拡開させながら、第1係止部17に対応する位置まで進入する。この進入により、弾性部材テーパ部61を構成するゴム部材、スリット36に対応するゴム部材、及びスリット36の基端側が、それぞれ弾性筒状部材16の径方向外側へ移動する。その結果、弾性筒状部材16Bの外形が、タイヤバルブ1の分解時の稜線M0の状態から外周方向へ盛り上がる稜線M1の状態へと変化する。なお、この弾性筒状部材16Bの盛り上がりにより、弾性筒状部材16Bでは、バルブ装着孔Rhへの嵌合力が高まるとともに、リムRに対する弾性筒状部材16Bの姿勢が維持されやすくなる。そして、弾性筒状部材16とリムRとの気密性や、バルブステム12Cの軸方向に対する該バルブステム12Cの傾動に対する耐性などが向上するようになる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態のタイヤバルブユニットによっても先の第1や第2の実施形態の前記(1)〜(4),(7)及び(8)の効果と同等もしくはそれに準じた効果が得られるとともに、次のような効果が得られるようになる。
【0087】
(12)カラー30Bのスリット36がステムテーパ部66の傾斜面に沿って拡開されることにより弾性筒状部材16Bが外周方向に押圧される。これにより、リムRに対する弾性筒状部材16Bの押圧力が高くなることから弾性筒状部材16Bとの間の気密性や、リムRに対するタイヤバルブユニットUの姿勢維持力が向上するようになる。
【0088】
(13)バルブステム12Cのステムテーパ部66の傾斜面が弾性筒状部材16のゴム部材よりも摩擦の小さいカラー30Bを拡開することにより弾性筒状部材16Bを変形させることから弾性筒状部材16Bの変形を容易に行うことができるようにもなる。
【0089】
なお、上記各実施形態は、例えば以下のような態様にて実施することもできる。
・上記各実施形態では、2つのO−リング15A,15Bが用いられる場合について例示した。しかしこれに限らず、O−リングは1つでも、3つ以上でもよい。
【0090】
・上記第1の実施形態では、ナット26はインサート成形によってタイヤセンサ2のハウジング21と一体化される場合について例示した。しかしこれに限らず、ハウジングにナット部を直接形成することによりナットを省略してもよい。このようにすれば、部品点数を少なくすることができる。
【0091】
・上記第4の実施形態では、弾性筒状部材16Bの筒内には弾性部材テーパ部61が設けられる場合について例示した。しかしこれに限らず、弾性筒状部材の筒内に弾性部材テーパ部が設けられず、例えば、直角やそのような角度に近い段差が設けられていてもよい。この場合であれ、バルブステムのステムテーパ部は、その段差部分を押し広げることができる。これにより、タイヤバルブの設計自由度の向上が図られるようになる。
【0092】
・上記第2〜第4の実施形態では、バルブステム12A(12B,12C)のステム基端部がインサート成形によってタイヤセンサ2のハウジング21と一体化される場合について例示した。しかしこれに限らず、バルブステムのステム基端部がタイヤセンサに固定されるのであれば、バルブステムのステム基端部をタイヤセンサに押入したり、タイヤセンサに接着したり、ピンやねじなどで固定したりしてもよい。このようにすれば、タイヤバルブユニットの設計自由度が高められる。
【0093】
・上記第2及び第3の実施形態では、ステム先端部40A(55A)の外径と、ステム中間部40B(55B)の外径と、ステム基端部40C(55C)の外径とは、いずれも同一の外径になっている場合について例示した。しかしこれに限らず、ステム先端部の外径と、ステム中間部の外径と、ステム基端部の外径とは、バルブステムが弾性筒状部材を挿通可能であれば、同一の外径でなくてもよい。例えば、各外径の大きさが、ステム先端部の外径≦ステム中間部の外径、ステム中間部の外径≠ステム基端部の外径のような関係にあってもよい。これにより、タイヤバルブユニットの設計自由度が高められる。
【0094】
・上記第4の実施形態では、バルブステム12Cのステム基端部67がそれに連続するステム大径部65と同じ外径を有する場合について例示した。しかしこれに限らず、バルブステムのステム基端部はそれに連続するステム大径部よりも大きい径や小さい径を有していてもよい。これにより、タイヤバルブユニットの設計自由度が高められる。
【0095】
・上記第2〜第4の実施形態では、バルブステム12A(12B,12C)が円筒形状である場合について例示した。しかしこれに限らず、バブルステムは弾性筒状部材の中を配置されるステム中間部や、ハウジング21に固定されるステム基端部の径方向に対する断面がそれぞれ楕円形や矩形などの多角形であってもよい。
【0096】
・上記第1の実施形態では、バルブステム12を回転させることによりタイヤセンサ2へ締結したり、タイヤセンサ2から離脱させたりする場合について例示した。しかしこれに限らず、タイヤセンサを回転させてもよい。これにより、タイヤバルブの設計自由度の向上が図られるようになる。
【0097】
・上記第1〜第4の実施形態では、リムRの内側からバルブ装着孔Rhに挿通されたタイヤバルブユニットUを、そのキャップ10Aに引っかけた治具をリムRの外側に引っ張ることにより、リムRに取り付ける場合について例示した。しかしこれ限らず、バルブ本体に形成されているバルブキャップを取り付けるためのねじ溝にバルブキャップの代わりに治具を螺合させてからリムの外側に引っ張ることにより、タイヤバルブユニットをリムに取り付けるようにしてもよい。これにより、タイヤバルブユニットの取り付け自由度が向上するようになる。
【0098】
・上記第1〜第4の実施形態では、バルブ本体10(10B)が金属製である場合について説明したが、これに限らず、バルブ本体は、硬質部材であれば樹脂、例えば硬質樹脂等で形成されてもよい。これによりバルブ本体の設計自由度が高められるようになる。
【0099】
・上記第1〜第4の実施形態では、バルブステム12(12A、12Bまたは12C)が金属製である場合について説明したが、これに限らず、バルブステムは、硬質筒状部材であれば樹脂、例えば硬質樹脂等で形成されてもよい。これによりバルブステムの設計自由度が高められるようになる。
【0100】
・上記第1〜第4の実施形態では、カラー30(30B)が金属製である場合について説明したが、これに限らず、カラーは、硬質部材であれば樹脂、例えば硬質樹脂等で形成されてもよい。硬質部材として硬質樹脂等が用いられた場合であれ、カラーは、カラーの内周面の摩擦力をバルブステムに対して小さくすることができる。そのため、弾性筒状部材に対するバルブステムの取外しや弾性筒状部材へのバルブステムの挿通が容易になる。
【0101】
・上記第1〜第4の実施形態では、バルブステム12(12A、12Bまたは12C)とカラー30(30B)の内周面31との両方が金属である場合について例示した。しかしこれに限らず、バルブステムとカラーの内周面との少なくともいずれか一方が金属以外の硬質部材であってもよい。バルブステムとカラーの内周面とのいずれもが硬質部材であれば、少なくともいずれか一方が金属以外の硬質部材であれ、それらの間の摩擦が低く維持されるようになる。
【0102】
・上記第1〜第3の実施形態では、筒内部20Aの内径とカラー30の外径とが同一である場合について例示した。しかしこれに限らず、筒内部の内径は、カラーの内径よりも大きければ、カラー30の外径より小さくても、カラー30の外径より大きくてもよいこれにより、弾性筒状部材の設計自由度の向上が図られるようになる。
【0103】
・上記各実施形態では、カラー30(30B)のカラー基端部34が装着溝19に対応する位置に配置される場合について例示した。しかしこれに限らず、カラーのカラー基端部は、装着溝に対応する位置よりもリムの内側方向に設けられてもよい。これによっても、弾性筒状部材は変形等が可能であるため、タイヤバルブの設計自由度の向上が図られるようになる。
【符号の説明】
【0104】
1…タイヤバルブ、2…タイヤセンサ、10…バルブ本体、10A…キャップ、10B…バルブ本体、12,12A,12B,12C…バルブステム、12H,12J,12K…連通路、13A…ステム先端部、13B…ステム中間部、13C…ステム基端部、14
A,14B…リング溝、15A,15B…O−リング、16,16B…弾性筒状部材、17…第1係止部、18…第2係止部、19…装着溝、20…凹部、20A…筒内部、21…ハウジング、22…連結部、23…連通孔、26…ナット、27…雌ねじ、30,30B…カラー、31…内周面、32…外周面、33…カラー先端部、34…カラー基端部、35…カラー嵌合部、36…スリット(切り込み)、40A…ステム先端部、40B…ステム中間部、40C…ステム基端部、41…Eリング溝、45…Eリング、50…結合部、51…ねじ部、52…嵌合部、55A…ステム先端部、55B…ステム中間部、55C…ステム基端部、60…弾性部材大径部、60A…凹部、61…弾性部材テーパ部、64…ステム中間部、65…ステム大径部、66…ステムテーパ部、67…ステム基端部、R…リム、Rh…バルブ装着孔、U…タイヤバルブユニット、V…バルブ機構部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のバルブステムを有するタイヤバルブと、
前記バルブステムの周囲の一部を囲繞する弾性筒状部材と、
前記バルブステムに固定されるタイヤセンサとを備え、
車両用ホイールのリムに形成されたバルブ装着孔の内周面と前記弾性筒状部材の外周面とが密着するように前記弾性筒状部材が前記リムに装着されるとともに、前記タイヤセンサは前記リムの内側に配置されて該リムに装着されるタイヤの状態を検出するタイヤバルブユニットであって、
前記弾性筒状部材の筒内には、筒状の硬質部材からなるカラーが設けられ、
前記バルブステムは、前記カラーの筒内に引き抜き可能に挿通される筒部を有するとともに、前記当該筒部の外周には、前記カラーの内周に密着する無端環状の弾性部材と、前記カラーからの前記筒部の引き抜きを係止する係止部材とが設けられ、前記係止部材が前記筒部から取り外し可能である
ことを特徴とするタイヤバルブユニット。
【請求項2】
前記弾性筒状部材は、前記リムの内側から前記リムの外側へ延びる筒状に形成され、
前記カラーは、前記バルブ装着孔の内部から前記リムの外側に延びる筒状に形成され、
前記リムの内側における前記弾性筒状部材の内径が前記カラーの内径よりも大きい
請求項1に記載のタイヤバルブユニット。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記筒部の外周に形成された溝に嵌合したゴム製リングであり、
前記硬質部材は、金属材料からなる
請求項1または2に記載のタイヤバルブユニット。
【請求項4】
前記バルブステムの筒部は、前記弾性筒状部材から前記リムの内側に突出する部分に被結合部を備え、
前記筒部は、前記リムの外側へ引き抜き可能に前記カラーに挿通され、
前記係止部材は、前記被結合部に取り外し可能に連結された前記タイヤセンサである
請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤバルブユニット。
【請求項5】
前記被結合部には、ねじ溝が設けられ、
前記タイヤセンサには、前記ねじ溝と螺合するナット部が設けられている
請求項4に記載のタイヤバルブユニット。
【請求項6】
前記バルブステムの筒部は、前記弾性筒状部材から前記リムの外側に突出する被結合部を備え、
前記筒部は、前記リムの内側へ引き抜き可能に前記カラーに挿通され、
前記係止部材は、前記バルブステムの前記被結合部に取り外し可能に連結される
請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤバルブユニット。
【請求項7】
前記被結合部の外周のうち前記弾性筒状部材の先端に隣接する部位には、環状の溝が形成され、
前記係止部材は、前記環状の溝に嵌合可能であるとともに前記カラーの内径よりも大きい外径を有するリングである
請求項6に記載のタイヤバルブユニット。
【請求項8】
前記被結合部の外周のうち前記弾性筒状部材の先端に隣接する部位には、ねじ溝が形成され、
前記係止部材は、バルブ機構を有するとともに、前記ねじ溝に螺合される
請求項6に記載のタイヤバルブユニット。
【請求項9】
前記バルブステムの筒部には、ステム小径部と該ステム小径部の外径よりも大きい外径のステム大径部と、前記ステム小径部から前記ステム大径部に向けて前記ステム小径部の外径を前記ステム大径部の外径に連続的に拡大させるステムテーパ部とが設けられるとともに、前記ステム大径部に前記タイヤセンサが連結され、
前記弾性筒状部材は、前記リムの内側に配置される部分に前記カラーの内径よりも大きい内径を有する弾性部材大径部を有し、
前記カラーには、該カラーの長さ方向に沿うスリットが前記弾性部材大径部側の端部に形成され、
前記弾性筒状部材に前記リムの内側から挿入された前記バルブステムの前記ステムテーパ部が前記カラーのスリットを前記ステムテーパ部に沿って拡開する
請求項6〜8のいずれか一項に記載のタイヤバルブユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−47686(P2012−47686A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192326(P2010−192326)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)
【Fターム(参考)】