説明

タイヤ加硫方法、及びタイヤ加硫機

【課題】不活性ガスを循環させるタイヤ加硫方法において、消費エネルギーを減らし、かつ、タイヤの生産性を高くする。
【解決手段】供給配管21を介してタイヤTの内部空間にガス(不活性ガス)を供給する供給工程と、戻り配管31を介してタイヤTの内部空間からガスを排出する排出工程と、回転式の循環装置60により戻り配管31を流れるガスを供給配管21へ供給する循環工程と、循環装置60を介して循環するガスを加熱装置52により加熱する加熱工程と、内圧出口ガス温度センサTC31(出口ガス温度センサ)により戻り配管31を流れるガスの温度を検出する出口ガス温度検出工程と、回転数減少工程とを備える。回転数減少工程は、内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度が回転数減少温度T1(第1温度)以上の場合、内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度が回転数減少温度T1未満の場合よりも、循環装置60の回転数をコントローラ70により減らす工程である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤを加熱及び加圧してタイヤを加硫するタイヤ加硫方法、及びタイヤ加硫機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に従来のタイヤ加硫方法及びタイヤ加硫機が記載されている。タイヤ加硫機は、モールドと、モールド内に設けられたブラダと、ブラダの内部空間に加熱加圧媒体を供給等する配管類とを備える。このタイヤ加硫機では、モールド内に未加硫のグリーンタイヤ(以下、単に「タイヤ」という)が入れられ、ブラダがタイヤ内面に沿わされ、ブラダの内部に加熱加圧媒体が導入される。そして、モールド及びブラダがタイヤを加熱加圧する。これによりタイヤ内で加硫反応が進行する。このタイヤ加硫方法により、タイヤのトレッドのパターンが成型される。
【0003】
特許文献1に記載のタイヤ加硫方法では、ブラダの内部空間に供給される加熱加圧媒体は、蒸気及び不活性ガス(窒素ガス)である。特許文献2に記載のタイヤ加硫方法では、加熱加圧媒体は、不活性ガスのみである。また、特許文献2に記載のタイヤ加硫機は(特許文献2の図1参照)、不活性ガスを循環させる循環装置(6)と、不活性ガスを加熱する加熱装置(8)とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−14413号公報
【特許文献2】特開2008−162269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、加熱加圧媒体として蒸気を用いている。そのため、特許文献1に記載の技術には、ドレーンによる温度差の問題(課題1)と、ドレーンによりタイヤの生産性が低下する問題(課題2)と、エネルギー消費量が大きい問題(課題3)とがある。また、特許文献2に記載の技術には省エネルギー化の余地がある(課題4)。
【0006】
(課題1)
特許文献1に記載の技術には、ドレーンによりタイヤ上下に温度差が生じる問題がある。この技術では、加熱加圧媒体である蒸気は、タイヤの加熱により熱を奪われて凝縮し、ドレーンとしてタイヤの下部にたまる。一方、高温の蒸気は、不活性ガス(窒素ガス)よりも比重が小さいので、タイヤの上部に集まる。よって、タイヤ上部に比べ、タイヤ下部の温度が低くなる。特許文献1の明細書中の表では、最もドレーンの影響の出る点(同文献の表中の(2e))が、その周りの点よりも2度〜7度程度低くなったことが示されている。このようにタイヤの上部よりも下部の温度が低いと、タイヤの上部よりも下部で加硫が遅くなる。よって、タイヤ上下で物性(詳細後述)の低下の速さが変わる。よって、この技術で製造されたタイヤの品質は、タイヤ上下の温度差の少ない加硫方式で製造されたタイヤよりも劣る。
【0007】
特許文献1に記載の技術では、上記の問題の抑制を図っているものの、十分に上記問題を抑制できない。詳しくは次の通りである。この技術では、加硫装置内に不活性ガスを間歇的に注入することで、加硫装置内の水蒸気と不活性ガスとを攪拌している。これによりタイヤ内の温度の平準化を図っている。しかし、上記の攪拌をしたとしても、ドレーンがなくなるわけではないので、タイヤ内の温度の平準化は不十分である。
さらに、この温度の平準化は、加硫時間が短い場合に特に不十分となる。特許文献1の明細書中には1時間程度の加硫時間が例示されている(同文献の明細書中に記載の例は大型のトラックバスタイヤのものと推測される)。一方、市場で最も多量に使われている乗用車用やライトトラック用のタイヤでは、加硫時間は10〜20分である。このように短い加硫時間の場合、上記の攪拌をしてもタイヤ内の温度は十分に平準化されない。
【0008】
(課題2)
特許文献1に記載の技術には、ドレーンが再蒸発することによりタイヤの生産性が低下する問題がある。ドレーンの再蒸発には、(a)圧力低下によるものと、(b)ブラダへの接触によるものとがある。
(a)タイヤ内の加熱加圧媒体(蒸気および不活性ガス)は、加硫終了時にタイヤから排気される。すると、タイヤ内の圧力が下がり、飽和蒸気温度が下がるので、タイヤ内のドレーンが再蒸発する。よって、タイヤ内の加熱加圧媒体の排気に長時間がかかる。
特に、タイヤ内の圧力が大気圧近くまで低下したときは、タイヤ内(及び配管)とタイヤ加硫機外部との圧力差が小さいので、加熱加圧媒体が排出されにくい。このときにドレーンが再蒸発すると、排気にかかる時間がより長くなる。
(b)タイヤ内から加熱加圧媒体を排気した後、タイヤをモールドから取り出す。このとき、ブラダが伸長されて(ブラダが動いて)、ブラダの100℃以上に加熱された箇所にドレーンが接触する。すると、ドレーンが再蒸発し、ブラダが膨張する。この膨張が、タイヤの取り出し不良の原因になる場合もある。なお、ブラダ膨張による問題の抑制を図るため、タイヤ加硫機に新たに真空ラインを設け、ブラダ内を真空状態にする技術もある。しかし、現実的には、真空ラインを設けても加熱加圧媒体を排気する時間が少し短縮されるだけで、排気時間は効果的に短くはならない。また、真空ポンプの追加によりコストが増える。また、真空ポンプを作動させるための消費エネルギーが増える。
【0009】
(課題3)
特許文献1に記載の技術には、エネルギー消費量が大きい問題がある。
この技術では、加硫に使用した蒸気は、不活性ガスと混合されているので、蒸気の熱エネルギーを有効に再利用することが困難である。実際には、不活性ガスと蒸気との混合ガスを冷却し、不活性ガスとドレーンとを分離して、不活性ガスを再利用している。すなわち蒸気の熱エネルギーは再利用されていない。
【0010】
(課題4)
特許文献2に記載の技術には、省エネルギー化の余地がある。
上述したように、同文献に記載のタイヤ加硫機は、不活性ガスを循環させる循環装置を備える。そして、タイヤの加熱加圧時に、この循環装置を常時回転させている。よってこの技術には省エネルギー化の余地がある。
なお、特許文献2には、タイヤの加熱加圧開始後から一定時間経過後に循環装置を停止しても良いとの記載もある(特許文献2の[0074])。しかし、循環装置を停止させると、タイヤ加硫機全体の温度が放熱により低下する。その結果、次のサイクルの加硫開始時点のブラダの初期温度が下がり、タイヤの温度上昇が遅くなることが考えられる。また、特許文献2には、循環装置の停止のタイミングについては記載されていない。
【0011】
そこで本発明は、不活性ガスを循環させるタイヤ加硫方法およびタイヤ加硫機であって、消費エネルギーを減らすことができ、かつ、タイヤの生産性を高くできる、タイヤ加硫方法およびタイヤタイヤ加硫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、タイヤを加硫するタイヤ加硫方法であって、供給配管を介してタイヤの内部空間に不活性ガスを供給する供給工程と、戻り配管を介して前記タイヤの内部空間から前記不活性ガスを排出する排出工程と、回転式の循環装置により前記戻り配管を流れる不活性ガスを前記供給配管へ供給する循環工程と、加熱装置により前記循環装置を介して循環する前記不活性ガスを加熱する加熱工程と、出口ガス温度センサにより前記戻り配管を流れる不活性ガスの温度を検出する出口ガス温度検出工程と、回転数減少工程とを備える。前記回転数減少工程は、前記出口ガス温度センサの検出温度が第1温度以上の場合、前記出口ガス温度センサの検出温度が前記第1温度未満の場合よりも前記循環装置の回転数をコントローラにより減らす工程である。
【0013】
第2の発明は、タイヤを加硫するタイヤ加硫機であって、前記タイヤの内部空間に供給される不活性ガスが流れる供給配管と、前記タイヤの内部空間から排出される前記不活性ガスが流れる戻り配管と、前記戻り配管を流れる前記不活性ガスを前記供給配管へ供給する回転式の循環装置と、前記循環装置を介して循環する前記不活性ガスを加熱する加熱装置と、前記戻り配管を流れる前記不活性ガスの温度を検出する出口ガス温度センサと、コントローラと、を備える。前記コントローラは、前記出口ガス温度センサの検出温度が第1温度以上の場合に、前記出口ガス温度センサの検出温度が前記第1温度未満の場合よりも前記循環装置の回転数を減らす。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、消費エネルギーを減らすことができ、かつ、タイヤの生産性を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】タイヤ加硫機の模式図である。
【図2】タイヤの断面図であり、実験での温度測定点の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜図2を参照してタイヤ加硫機1の実施形態、及び、タイヤ加硫方法の実施形態について説明する。
【0017】
タイヤ加硫機1は、タイヤTを加硫する装置である。タイヤ加硫機1は、タイヤTのトレッドパターンを形成する工程で用いられる。タイヤ加硫機1は、通常、一工場に数十台から数百台設置される。タイヤ加硫機1には、タイヤ加硫機1外部の配管が接続され、ユーティリティ(不活性ガス等)が供給及び排出される。以下「接続」とは、不活性ガス等が流通可能に接続されることを意味する。
【0018】
このタイヤ加硫機1では、タイヤTをその内側から加熱及び加圧(以下「加熱加圧」)する媒体は、不活性ガスである。この不活性ガスは、タイヤTの加硫温度(タイヤTを加硫するときの温度)で安定なガスであり、例えば窒素ガスである。この不活性ガスには水蒸気は原則含まれない。ただし、この不活性ガスには、微量(体積比で約1%未満)の水蒸気が混入していても良い。以下、不活性ガスを単に「ガス」とも言う。
【0019】
このタイヤ加硫機1は、タイヤTが配置される加硫装置10と、加硫装置10に接続された配管類20と、配管類20に設けられたセンサ類(センサPT21、TC31、PT51、TC51、及びTC60)と、コントローラ70と、を備える。
【0020】
(加硫装置)
加硫装置10は、タイヤTが内側に配置されるモールド11と、タイヤTの内面に沿うブラダ14と、ブラダ14へ供給するガスの入口である内圧入口12と、ブラダ14から排出されたガスの出口である内圧出口13とを備える。モールド11及びブラダ14を交換することにより、加硫するタイヤTのサイズを変更することができる。
【0021】
モールド11は、タイヤTにトレッドパターンを形成するための金型である。モールド11は、加熱されることでタイヤTを外面から加熱することができる。
【0022】
ブラダ14は、タイヤTを内面から加熱加圧するゴム製部材である。ブラダ14の内部空間に(タイヤTの内部空間に)ガスが導入される。なお、ブラダ14は一定期間使用後に交換が必要である。また、ブラダ14はなくても良い。すなわち、加硫装置10(タイヤ加硫機1)は、ブラダレスのものでも良い。
【0023】
(配管類)
配管類20は、加硫装置10に対してガスを供給及び排出する配管と、この配管に設けられた循環装置60と、この配管に設けられた弁等とで構成される。配管類20の詳細は次の通りである。
配管類20は、加硫装置10にそれぞれ接続された供給配管21と戻り配管31とを備える(なお、供給配管21を単に「配管21」とも言い、戻り配管31を単に「配管31」とも言う。以下に述べる各配管についても同様)。配管類20は、供給配管21に接続された低圧配管22と、戻り配管31に接続された排気配管32とを備える。
配管類20は、供給配管21と循環装置60とを接続する、供給側接続配管28及び供給側循環配管51を備える。配管類20は、戻り配管31と循環装置60とを接続する、戻り側接続配管38及び戻り側循環配管41を備える。配管類20は、循環装置60を基点として、配管51、28、21、加硫装置10、配管31、38、及び41で閉回路C1を構成する。
配管類20は、供給側循環配管51と戻り側循環配管41とに接続されたバイパス配管56を備える。配管類20は、循環装置60を基点として、配管51、56、及び41で閉回路C2を構成する。
配管類20は、戻り側循環配管41にそれぞれ接続された、大気開放配管42及び高圧配管46を備える。配管類20は、循環装置60にそれぞれ設けられた、供給側冷却配管61(冷却配管)及び排出側冷却配管66を備える。配管類20は、上記各配管に設けられた弁等を備える。なお、配管類20の各構成要素の接続や配置は、各構成要素の各機能を発揮できる範囲内で適宜変更しても良い。
【0024】
供給配管21は、タイヤTの内部空間にガスを供給する(供給工程)配管である。供給配管21は、内圧入口12を介して、タイヤTの内部空間に連通する。
【0025】
低圧配管22は、タイヤTの内部空間に低圧(後述)のガスを供給する配管である。低圧配管22には、上流側から順に、低圧ガス入口23と、手動弁24と、圧力制御弁25と、チェック弁26と、切換弁27とが設けられる。
低圧ガス入口23は、タイヤ加硫機1の外部から内部へのガスの入口である。
手動弁24は、タイヤ加硫機1の保守時に使用する手動の切換弁である。
圧力制御弁25は、低圧ガス入口23からタイヤTの内部空間に供給するガスの圧力を制御(調整)する弁である。
チェック弁26は、配管21・28側から低圧ガス入口23側へのガスの逆流を防止する弁である。
切換弁27は、配管21・28と低圧ガス入口23との連通及び遮断を切り換える弁である。切換弁27は、外部信号に応じて開閉できる弁である(後述する切換弁29、33、39、43、及び57も同様)。切換弁27(29、33、39、43及び57)は、例えば、空気式自動切換弁である(電動式自動切換弁などでも良い)。
【0026】
供給側接続配管28には、切換弁29が設けられる。切換弁29は、配管51・56と配管22・21との連通及び遮断を切り換える弁である。
【0027】
戻り配管31は、タイヤTの内部空間からガスを排出する(排出工程)配管である。戻り配管31は、内圧出口13を介して、タイヤTの内部空間に連通する。
【0028】
排気配管32は、タイヤ加硫機1の外部にガスを排気する配管である。排気配管32には、上流側(配管31側)から順に、切換弁33と、チェック弁34と、排気口35とが設けられる。切換弁33は、配管31・38と排気口35との連通及び遮断を切り換える弁である。チェック弁34は、排気口35側から配管31・38側へのガスの逆流を防止する弁である。排気口35は、タイヤ加硫機1の外部にガスを排気する部分である。
【0029】
戻り側接続配管38には、切換弁39が設けられる。切換弁39は、配管41・56と配管31・32との連通及び遮断を切り換える弁である。
【0030】
戻り側循環配管41には、チェック弁44が設けられる。チェック弁44は、高圧配管46及び循環装置60側から、配管38・42・56側へのガスの逆流を防止する弁である。
【0031】
大気開放配管42は、戻り側循環配管41内のガスを大気に開放させる配管である。大気開放配管42には、切換弁43が設けられる。切換弁43は、配管41と大気との連通及び遮断を切り換える弁である。
【0032】
高圧配管46は、タイヤTの内部空間に充填される高圧のガス(後述)を、配管41に(閉回路C1及びC2に)供給する配管である。高圧配管46には、上流側から順に、高圧ガス入口47と、手動弁48、圧力制御弁49とが設けられる。
高圧ガス入口47は、タイヤ加硫機1の外部から内部へのガスの入口である。高圧ガス入口47から供給される「高圧のガス」の圧力は、低圧ガス入口23から供給される「低圧のガス」の圧力よりも高い。
手動弁48は、タイヤ加硫機1の保守時に使用する手動の切換弁である。
圧力制御弁49は、高圧ガス入口47から配管41へ供給されるガスの圧力を制御(調整)する弁である。
【0033】
供給側循環配管51には、加熱装置52が設けられる。加熱装置52(ヒータ)は、循環装置60により循環するガスを加熱する(加熱工程)。
【0034】
バイパス配管56は、配管51・28と配管41・38とを接続する配管である。バイパス配管56には、切換弁57が設けられる。切換弁57は、バイパス配管56の連通及び遮断を切り換える弁である。
【0035】
循環装置60は、ガスを循環させる装置である。循環装置60は、戻り配管31を流れるガスを供給配管21へ供給する(循環工程)。循環装置60は、例えば圧縮機であり、例えばポンプ(ブロワ)である。循環装置60は、ガスを循環させたときに生じる圧力損失よりも大きい加圧能力を有するものである。
【0036】
この循環装置60は回転式である。循環装置60は軸受部60sを備える。循環装置60が循環させるガスが高温であるため、循環装置60が回転駆動すると、軸受部60sが高温になる。循環装置60の駆動源は、モータ60mである。モータ60mの回転速度を変えると、循環装置60の回転数が変わる。
【0037】
供給側冷却配管61(冷却配管)は、軸受部60sに冷却媒体を供給する(冷却媒体供給工程)配管である。この冷却媒体は、例えば冷却水である。供給側冷却配管61には、上流側から順に、冷却媒体入口62と、手動弁63と、流量制御弁64とが設けられる。冷却媒体入口62は、タイヤ加硫機1の外部から内部へ冷却媒体を供給する部分である。手動弁63は、タイヤ加硫機1の保守時に使用する手動の切換弁である。流量制御弁64は、供給側冷却配管61を流れる冷却媒体の流量を制御する弁である。
【0038】
排出側冷却配管66は、循環装置60から冷却媒体を排出する配管である。排出側冷却配管66には、上流側から順に、チェック弁67と、冷却媒体出口68とが設けられる。チェック弁67は、冷却媒体出口68側から循環装置60側への冷却媒体の逆流を防止する弁である。冷却媒体出口68は、タイヤ加硫機1の内部から外部へ冷却媒体を排出する部分である。
【0039】
(センサ類およびコントローラ)
配管類20には、下記のセンサが設けられる。
内圧入口ガス圧力センサPT21は、供給配管21を流れるガスの圧力を検出する。以下では、内圧入口ガス圧力センサPT21を単に「センサPT21」とも言う(他のセンサについても同様である)。センサPT21は、内圧入口12の近傍に設けられる。
内圧出口ガス温度センサTC31(出口ガス温度センサ)は、戻り配管31を流れるガスの温度を検出する(出口ガス温度検出工程)。センサTC31は、内圧出口13の近傍に設けられる。
加熱装置出口温度センサTC51(入口ガス温度センサ)は、加熱装置52で加熱されたガスの温度を検出する(入口ガス温度検出工程)。センサTC51は、配管51のうち、加熱装置52の出口側(下流側)に設けられる。なお、センサTC51の検出温度は、内圧入口12でのガスの温度とほぼ等しい。
加熱装置出口圧力センサPT51は、加熱装置52で加熱されたガスの圧力を検出する。センサPT51は、供給側循環配管51のうち、加熱装置52の出口側(下流側)に設けられる。
軸受温度センサTC60は、循環装置60の軸受部60sの温度を検出する(軸受温度検出工程)。
【0040】
コントローラ70は、内圧出口ガス温度センサTC31から入力された検出温度に応じて、モータ60mの回転数を変える(詳細は後述)。なお、コントローラ70には、センサTC51など、センサTC31以外のセンサを接続しても良い。
【0041】
(動作)
次に、タイヤ加硫機1の動作(タイヤ加硫方法)を説明する。タイヤ加硫機1の動作の概略は次の通りである。まず、タイヤ加硫機1が予熱(加熱)される。次に、モールド11内にタイヤTを搬入するとともに、低圧のガスでブラダ14を膨張させて、ブラダ14をタイヤTの内面に沿わせる(タイヤTの装着)。このとき、高圧のガスが閉回路C2を循環しながら予熱される。次に、高圧のガスがタイヤTに導入されてタイヤTを加熱加圧する。タイヤTの加硫中に、循環装置60の回転数が減らされる。タイヤTの加硫中に、軸受部60sが冷却される。以下、各工程を詳細に説明する。
【0042】
(タイヤ加硫機1の予熱)
タイヤ加硫機1の予熱は、モールド11及び配管類20を加熱して行う。タイヤ加硫機1の予熱は、モールド11にタイヤTを配置する前に行う。モールド11は、タイヤ加硫機1外部の熱源で加熱される。配管類20の加熱は次のように行われる。
まず、予熱用の短絡手段(図示なし)が内圧入口12と内圧出口13とを短絡させる。これにより閉回路C1が、ブラダ14内の空間に連通しない回路(系)となる。次に、切換弁29及び39が開かれる。加熱装置52がガスを加熱しながら、循環装置60がガスを閉回路C1(ブラダ14内の空間に連通しない閉回路C1)内で循環させる。このとき循環装置60の回転数は、最高回転数よりも低い回転数(例えば1000RPM)とする。これは、循環装置60の過負荷を防ぐためである。なお、閉回路C1はモールド11よりも熱容量が小さい。よって、循環装置60の回転数が上記のように低く設定されても、閉回路C1はモールド11に比べてはるかに短時間で加熱される。なお、予熱に用いるガスは、上述した不活性ガスである必要はない。また、モールド11やブラダ14の交換直後にも予熱が行われる。
【0043】
(タイヤTの装着)
次に、タイヤTをブラダ14に装着する。この工程は次のように行われる。
未加硫のタイヤT(グリーンタイヤ)がタイヤ加硫機1の外部から搬入される。このタイヤTは、モールド11内に(下部モールド上に)配置される。次に、切換弁29、33及び39が閉じられ、切換弁27が開かれる。次に、低圧ガス入口23から、配管22・21を介して、タイヤTの内部空間(ブラダ14の内部空間)に、低圧のガスが供給される。このガスの圧力は、圧力制御弁25で調整される。例えば、低圧ガス入口23において約0.1MPaのガスが、圧力制御弁25の出口において約0.01MPaに減圧される。ブラダ14は、内部空間にガスが供給されて膨張する。そして、ブラダ14はタイヤTの内面に沿う。これにより、タイヤTは、ブラダ14に装着されて加硫装置10に対して保持される。
【0044】
(高圧ガスの予熱)
タイヤTの装着と並行して、高圧のガスが次のように予熱される。
切換弁29、39、及び43が閉じられるとともに、切換弁57が開かれる。すなわち、閉回路C2が連通される。高圧ガス入口47から配管46を介して閉回路C2に、高圧のガスが供給される。加熱装置52がガスを加熱しながら、循環装置60がガスを閉回路C2内で循環させる。このとき循環装置60は、例えば定速(500RPMなど)で回転する。なお、加熱装置出口圧力センサPT51の検出圧力が設計圧力以上になった場合は、切換弁43を開くことにより、閉回路C2内のガスを大気に放出する。
このように、タイヤTを加熱加圧する前に、高圧のガスが予熱される。よって、タイヤTの加熱加圧の初期から、高温高圧のガスをタイヤTの内部空間に供給できる。その結果、タイヤTを加硫温度まで上昇させる時間が短縮され、タイヤTの生産性を向上させることができる。
【0045】
(タイヤTの加硫)
次に、タイヤTが加熱加圧されて、タイヤTが加硫される。モールド11は、タイヤTの外面側からタイヤTを加熱する。ブラダ14は、タイヤTの内面側からタイヤTを加熱加圧する。ブラダ14によるタイヤTの加熱加圧は次のように行われる。
まず、モールド11が閉じられる(上部モールドと下部モールドを締め付ける)。
次に、切換弁27、33及び43が閉じられる。切換弁29及び39が開かれ、その後直ちに切換弁57が閉じられる。すなわち、ブラダ14内にガスを循環させるように閉回路C1が連通される。そして次のように、高圧のガスの供給、循環、及び加熱が行われる。
【0046】
(高圧ガスの供給)
連通された閉回路C1に、高圧のガスが次のように供給される。
閉回路C1が連通した直後に、供給配管21の圧力が一旦低下する。内圧入口ガス圧力センサPT21は、この圧力低下を検出する。この検出結果に応じて、圧力制御弁49が開かれる。そして、高圧のガスが閉回路C1に供給される。すると、供給配管21の圧力は(後述する温度に比べ)短時間で復帰する。
圧力制御弁49は、この高圧のガスの圧力を調整する。例えば、タイヤTが乗用車用(大型のトラック用等でなく、一般的な乗用車用)の場合、供給配管21での圧力が例えば約2MPaになるように、圧力制御弁49がガスの圧力を調整する。なお、圧力制御弁49はガスの圧力を調整しなくても良い(圧力制御弁49はなくても良い)。すなわち、高圧ガス入口47におけるガスの圧力のまま、ガスが配管41に供給されても良い。
【0047】
(高圧ガスの循環)
循環装置60はガスを閉回路C1内で循環させる。この工程は次のように行われる。
ガスは、供給配管21を介してタイヤTの内部空間に供給される(供給工程)。ガスは、戻り配管31を介してタイヤTの内部空間から排出される(排出工程)。回転式の循環装置60は、戻り配管31を流れるガスを供給配管21へ供給する(循環工程)。このとき循環装置60の回転速度は、最大速度(例えば1750RPMなど)に設定される。これは、ガス及びタイヤTを急速に加熱させるためである。なお、閉回路C1を循環するガスの圧力は適切に調整されても良い。例えば、センサPT21の検出圧力に応じて、圧力制御弁49がこのガスの圧力を制御しても良い。また例えば、センサPT21の検出圧力が所定圧以上になった場合に、切換弁43を開くことにより、閉回路C1のガスを大気に開放しても良い。
【0048】
(高圧ガスの加熱)
加熱装置52は、循環装置60を介して閉回路C1を循環するガスを加熱する(加熱工程)。この工程は次のように行われる。
上記のように、低圧のガスがブラダ14を膨張させた後、閉回路C1に高圧のガスが供給される。高圧のガスの閉回路C1への供給を開始すると、供給配管21等のガスの温度が下がる。そこで、ガスの温度の低下に応じて、加熱装置52はガスを加熱する。加熱装置52は、加熱装置出口温度センサTC51の検出温度に基づいて出力を調整する。例えば、センサTC51の検出温度が所定値に維持されるように、加熱装置52は出力を調整する。なお、加熱装置52がガスを加熱すると、センサTC51の検出温度の上昇よりも遅れて、センサTC31の検出温度が上昇する。
【0049】
(循環装置60の回転数減少)
タイヤTの加硫中に、コントローラ70は循環装置60の回転数を減らす。この工程は次のように行われる。
コントローラ70には、回転数減少温度T1(第1温度)が予め設定されている。回転数減少温度T1は、タイヤTで加硫反応が進行する温度以上である。回転数減少温度T1は、例えば200℃である。
内圧出口ガス温度センサTC31は、戻り配管31を流れるガスの温度を検出する(出口ガス温度検出工程)。センサTC31の検出結果は、コントローラ70に入力される。内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度は、タイヤTの加熱加圧の開始から徐々に上昇していき、回転数減少温度T1に達する。
コントローラ70は、センサTC31の検出温度が回転数減少温度T1以上の場合、センサTC31の検出温度が回転数減少温度T1未満の場合よりも、循環装置60(モータ60mの)の回転数を減らす(回転数減少工程)。具体的には例えば、コントローラ70は、循環装置60の回転数を、最高回転数である1750RPMから500RPMに低下させる。タイヤTの加熱加圧の開始(タイヤTの内部空間への高圧のガスの供給開始)から、センサTC31の検出温度が回転数減少温度T1に達するまでの時間は、例えば約5分30秒である。なお、この時間は、ブラダ14の交換の直後にはブラダ14が充分加熱されていないため長くかかる。この時間は、同一条件で加硫サイクル(1本のタイヤTの加熱加圧開始〜終了を1サイクルとする)を繰り返すにつれて短くなる。これは、タイヤ加硫機1の温度が平衡状態に近づいていくからである。
【0050】
(循環装置60の軸受部60sの冷却)
循環装置60の回転中には、軸受部60sが冷却される。この工程は次のように行われる。
供給側冷却配管61は、軸受部60sに冷却媒体を供給する(冷却媒体供給工程)。軸受温度センサTC60は、軸受部60sの温度を検出する(軸受温度検出工程)。流量制御弁64は、センサTC60の検出温度に基づいて、供給側冷却配管61を流れる冷却媒体の流量を制御する(流量制御工程)。例えば、センサTC60の検出温度が一定値に維持されるように、流量制御弁64は冷却媒体の流量を制御する。また例えば、上述したように、コントローラ70が循環装置60の回転数を減らすと、循環装置60の軸受部60sの温度は下がり、センサTC60の検出温度が下がる。このとき、流量制御弁64は、冷却媒体の流量を減らす。
【0051】
(タイヤTの加硫の終了)
タイヤTの加熱加圧の開始から所定時間(例えば8分30秒)経過後に、タイヤ加硫機1はタイヤTの加熱加圧を終了する。この工程は次のように行われる。
切換弁29及び39が閉じられ、その後直ちに切換弁33が開かれる。すると、排気口35からタイヤ加硫機1外部にガスが排気される。ガスの排気の開始からある時間経過すると、内圧入口ガス圧力センサPT21の検出圧力が所定圧まで低下する。次に、モールド11が開かれ、加硫済みのタイヤTが取り出され、取出されたタイヤTが次の工程(タイヤ加硫機1外)に運ばれる。これでタイヤTの加硫の1サイクルが終了し、次のタイヤT(生タイヤ)の加硫のサイクルが開始可能となる。なお、加硫のサイクルを連続的に継続する場合には、タイヤ加硫機1の予熱は不要である。
【0052】
上記のようにガスが排気されるのと同時に、閉回路C2内の高圧のガスを予熱しても良い。この工程は次のように行われる。上記のように切換弁29及び39が閉じられ、さらに切換弁57が開かれる。すなわち、閉回路C2が連通される。そして、加熱装置52がガスを加熱しながら、循環装置60がガスを閉回路C2内で循環させる。
【0053】
タイヤTの加硫時間(タイヤTの加熱加圧の開始から終了までの時間)は、タイヤTのうち加硫の進行が最も遅い部分の温度履歴(加硫時の温度の履歴)に基づいて決定される。タイヤTの加硫時間の決定についての詳細は次の通りである。
一般にゴムの加硫においては、物性(タイヤの品質に影響を及ぼす物性)の低下度は、加硫の進行度に依存する。加硫不足の場合には物性は極端に低下する。加硫過度の場合には物性は徐々に低下する。この加硫の進行度は、タイヤT内部の位置によって相違する。これは、タイヤT内部の位置によって温度履歴が相違するからである。例えば、一般的な乗用車やライトトラック用のタイヤTでは、タイヤT内部のベルトエッジ83及び84(図2参照)近傍で加硫の進行が最も遅れる。このことは実験及び解析によって知られている。そこで、タイヤTのうち、最も昇温の遅い部分(最も加硫の進行が遅い部分)の温度履歴に基づいて「必要な加硫時間」が決定される。さらに、実際の加硫時間は、この「必要な加硫時間」よりも長くする。これは、タイヤTの寸法や温度履歴がばらつくことを考慮したものである。
【0054】
また、タイヤTの加硫時間の決定についての更なる詳細は以下の通りである。必要な加硫時間は、タイヤTの内部各点の温度履歴が分かれば求められる。タイヤTの内部各点の温度履歴は、境界条件を設定できれば解析により求められる。しかし、この境界条件を設定することは難しい。これは、ブラダ14及びモールド11の温度分布が均一ではないからである。そこで、タイヤT内部に温度センサーを組み込んだ試験用のグリーンタイヤを用いて、タイヤTの内部各点の温度履歴を測定する。そして、解析結果と測定結果とを比較検討することで、後述するteq(To)を算出し、タイヤTの必要な加硫時間を算出する。以下、teq(To)の算出を説明する。
一般にゴムの加硫反応の反応速度の温度依存性は次のアレニウスの式に従う。
k=A・exp[−Ea/(R・T)] (1)
kは温度Tにおける反応速度定数である。Aは温度に無関係な反応の頻度の定数である。Eaは活性化エネルギーである。Rは気体定数である。Tは絶対温度である。式(1)から、2温度間の反応速度比を得ることができ、温度T(t)と基準温度Toとの反応速度比を得ることができる。温度T(t)は時間とともに変化する温度である。基準温度Toは一定の温度である。そして、温度T(t)と基準温度Toとの反応速度比を、加熱開始時間t1から加熱終了時間t2まで積分する。すると、次式のように保持時間teq(To)が求まる。
teq(To)=∫exp[Ea/{R(1/To−1/T(t))}]dt (2)
ただし、teq(To)は、次の条件を満たす。加熱開始時間t1から加熱終了時間t2の間に温度履歴T(t)で加硫反応が進行した場合と、保持時間teq(To)の間に基準温度Toで加硫反応が進行した場合と、で加硫反応の進行度が等価である。
【0055】
(実験)
上述したタイヤ加硫機1及びタイヤ加硫方法でタイヤTを加熱加圧した(実施例)。また、従来のタイヤ加硫機およびタイヤ加硫方法でタイヤTを加熱加圧した(比較例1及び2)。そして、タイヤTの温度および消費動力を比較した。
【0056】
(実験条件)
実施例の実験条件は次の通りである。供給配管21に供給するガス(高圧の不活性ガス)の圧力は2.0MPaである。加熱装置52の設定温度は220℃である。循環装置60は、最大0.14MPaの差圧を発生させる能力があるブロワである。循環装置60の最大回転数は1750RPMである。タイヤTの加熱加圧開始後、内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度が200℃になった時点で、循環装置60の回転数を1750RPMから500RPMに減らした。
【0057】
比較例1の実験条件は、原則、上記実施例と同じである。ただし、タイヤTの加硫中は循環装置60を1750RPMで回し続けた。
【0058】
比較例2の実験条件は次の通りである。特許文献1に記載の発明と同様に、蒸気及び窒素ガスによりタイヤTを加熱加圧した。タイヤTの加硫当初は、1.4MPaの飽和蒸気をタイヤTの内部空間に入れた。そして、飽和蒸気の凝縮熱でブラダ14を加熱させた。飽和蒸気とドレーンでブラダ14内を充満させた後、1〜2分後に窒素ガスをタイヤTの内部空間に入れた。この窒素ガスは、2.1MPaの常温のガスである。
【0059】
(温度の測定)
図2に、タイヤTの断面を示す。タイヤTの温度の測定点は、上側のインナーサイドウォール81表面、下側のインナーサイドウォール82表面、上側のベルトエッジ83近傍、及び、下側のベルトエッジ84近傍である。インナーサイドウォール81及び82は、タイヤTの内部空間の流体の影響を受けやすい位置である(特に比較例2)。ベルトエッジ83及び84近傍は、タイヤTの中で加硫の最も遅れる位置である。温度の測定は、タイヤTの加硫前(成形時)にタイヤTに埋め込んだ熱電対により行った。
【0060】
表1〜3に、温度の測定結果を示す。表1〜3には、タイヤTの加熱加圧開始から5分30秒後、及び、同8分30秒後の結果を示す。表1には実施例の結果、表2には比較例1の結果、表3には比較例2の結果を示す。
【0061】
【表1】

【表2】

【表3】

【0062】
実施例の結果は以下のようになった。
内圧出口13のガスの温度(単に「ガス温度」ともいう)は、加熱加圧開始約1分後に180℃に到達した。ガス温度は、その後徐々に上昇し、加熱加圧開始5分30秒後に200℃になった。加熱加圧開始8分30秒後に加硫を終了した。
加熱加圧開始5分30秒後から同8分30秒後までのタイヤT内部各点の温度上昇(単に「温度上昇」ともいう)は、次のようになった。インナーサイドウォール81及び82の平均の温度上昇は4.35度だった。ベルトエッジ83及び84の平均の温度上昇は11.6度だった。
【0063】
比較例1(循環装置60の回転数減少なし)の結果は以下のようになった。
加熱加圧開始5分30秒後から同8分30秒後のタイヤT内部各点の温度上昇は以下のようになった。インナーサイドウォール81及び82の平均の温度上昇は6.9度だった。ベルトエッジ83及び84の平均の温度上昇は14度だった。これらのように、タイヤT内部各点の温度上昇は、実施例よりも比較例1の方が大きくなった。これは、比較例1では循環装置60の回転数を減少させず、実施例に比べ多くの熱をタイヤTに与えたからである。
インナーサイドウォール81及び82の温度上昇が、実施例(及び比較例2)に比べ比較例1では大幅に大きくなった。その結果、インナーサイドウォール81及び82が、ベルトエッジ83及び84に比べてより過加硫になった。
【0064】
なお、比較例1と実施例との条件の相違点は、加熱加圧開始5分30秒後に循環装置60の回転数を減らすか減らさないかである。すなわち、加熱加圧開始5分30秒後の時点では、比較例1と実施例とで実験条件は同一である。よって、加熱加圧開始5分30秒後の結果は、比較例1と実施例とで同一になるはずである。しかし、表1及び表2に示すように、結果は比較例1と実施例とで異なった。この結果の相違は、熱電対の貼り付け位置のずれや、タイヤTの初期温度(加硫前の温度)の相違など、タイヤ加硫機1外部の要因に起因していると考えられる。
【0065】
比較例2(蒸気及び窒素ガスによる加熱加圧)の結果は以下のようになった。
加熱加圧開始5分30秒後から同8分30秒後のタイヤT内部各点の温度上昇は次のようになった。インナーサイドウォール81及び82の平均の温度上昇は4.05度だった。ベルトエッジ83及び84の平均の温度上昇は9.8度だった。これらのように、タイヤT内部各点の温度上昇は、比較例1、実施例、比較例2の順で小さくなった。
また、比較例2では、上側のインナーサイドウォール81よりも、下側のインナーサイドウォール82の温度が低かった。上側のインナーサイドウォール81と下側のインナーサイドウォール82との温度差は、実施例(及び比較例1)よりも比較例2の方が大きかった。この温度差は、ドレーンの影響によるものである。
【0066】
(消費動力の測定)
実施例および比較例1の消費動力を比較した。この消費動力の測定は、加熱装置52及び循環装置60(図1参照)の電源の消費動力(消費電力)を測定することで行った。実施例では、加熱加圧開始5分30秒後から同8分30秒後までの間の消費動力を測定した、すなわち、循環装置60の回転数を減らした後かつ加熱加圧終了前の消費動力を測定した。比較例1では、加熱加圧開始から同8分30秒後までの間の消費動力を測定した。表4に消費動力の測定結果を示す。
【0067】
【表4】

【0068】
比較例1の消費動力は3.41kWだった。実施例の消費動力は2.48kWだった。この結果は、1台のタイヤ加硫機あたり(タイヤ1本あたり)の結果である。上述したように、通常は1工場あたり数十台から数百台のタイヤ加硫機1が設置される。よって、1工場あたりで考えれば、実施例は比較例1に比べ数十kW〜数百kW消費動力を減らせることになる(効果の詳細は後述)。
【0069】
(実施例と比較例2との加硫時間の比較)
上述したように、タイヤT内部各点の温度上昇は、実施例よりも比較例2の方が小さかった。よって、実施例の方が比較例2よりも加硫時間を短縮できる。ここで、実施例の加硫時間を、ベルトエッジ83及び84が必要な加硫度に到達するまでの時間に基づいて求める。また、比較例2の加硫時間を、下側のベルトエッジ84が必要な加硫度に到達するまでの時間に基づいて求める。すると、実施例では比較例2よりも加硫時間を約10%短縮できることが分かった。
【0070】
(実施例と比較例2とのその他の比較)
なお、比較例2のような技術(上記の特許文献1参照)では、通常、工場のユーティリティエリアから長い配管を通って、タイヤ加硫機内に高温の蒸気が供給される。よって、蒸気の熱が配管から放熱されることで、エネルギーが消費されてしまう。
一方、タイヤ加硫機1(実施例)では、タイヤ加硫機1内の加熱装置52がガスを加熱する。よって、加熱装置52を備えない加硫機(比較例2のような技術)に比べ、タイヤ加硫機1ではエネルギー消費を減らせる。
【0071】
(効果)
次に、図1に示すタイヤ加硫機1及びタイヤ加硫方法の効果を説明する。
【0072】
(効果1)
タイヤTを加硫するタイヤ加硫方法は、供給配管21を介してタイヤTの内部空間にガス(不活性ガス)を供給する供給工程と、戻り配管31を介してタイヤTの内部空間からガスを排出する排出工程と、回転式の循環装置60により戻り配管31を流れるガスを供給配管21へ供給する循環工程と、循環装置60を介して循環するガスを加熱装置52により加熱する加熱工程と、内圧出口ガス温度センサTC31(出口ガス温度センサ)により戻り配管31を流れるガスの温度を検出する出口ガス温度検出工程と、を備える。
【0073】
このタイヤ加硫方法は、回転数減少工程をさらに備える。回転数減少工程は、内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度が回転数減少温度T1(第1温度)以上の場合、内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度が回転数減少温度T1未満の場合よりも、循環装置60の回転数をコントローラ70により減らす工程である。
(a)循環装置60の回転数が減らされるので、循環装置60を回転させるためのエネルギーを減らせる。(b)また、循環装置60の回転数が減ると、循環装置60自体の発熱が減る。よって、循環装置60の発熱分のエネルギーを減らせる。(c)また、循環装置60の回転数が減ると、循環装置60により循環するガスの流速が下がり、ガスが流れる配管類20での圧力損失が減る。ガスの圧力損失が減るので、循環装置60で消費されるエネルギーを減らせる。上記(a)〜(c)より、循環装置60の回転数を減らすと、循環装置60で消費されるエネルギーは、累乗で減少する(指数関数的に減る)。
また、循環装置60の回転数が減ると、循環装置60により循環するガスの流速が小さくなり、ガスが流れる配管類20からタイヤ加硫機1外部への発熱が減る。よって、ガスを加熱する加熱装置52で消費されるエネルギーを減らせる。
【0074】
また、このタイヤ加硫方法は、タイヤTの内部空間にガスを供給することでタイヤTを加硫する方法である。すなわち、タイヤTを加硫するためにタイヤTの内部空間に蒸気を供給する必要がない。よって、タイヤTの加熱加圧媒体として蒸気を用いることによる課題(課題1)〜(課題3)が生じない。上記(課題1)が生じないので、タイヤTの品質を向上させることができる。上記(課題2)が生じないので、タイヤTの生産性を高くできる。上記(課題3)が生じないので、加熱加圧媒体として蒸気を用いることによるエネルギー消費を抑制できる。
【0075】
(効果4)
このタイヤ加硫方法に用いられる循環装置60は、軸受部60sを備える。このタイヤ加硫方法は、供給側冷却配管61(冷却配管)を介して軸受部60sに冷却媒体を供給する冷却媒体供給工程と、軸受温度センサTC60により軸受部60sの温度を検出する軸受温度検出工程と、流量制御工程とを備える。流量制御工程は、流量制御弁64により、軸受温度センサTC60の検出温度に基づいて供給側冷却配管61を流れる冷却媒体の流量を制御する工程である。
【0076】
軸受部60sを冷却媒体で冷却すると、軸受部60sが冷却された分、循環装置60により循環されるガスが冷却される。ガスが冷却されると、加熱装置52がガスを加熱する必要が生じ得る。加熱装置52がガスを加熱した場合は、加熱装置52でエネルギーが消費されることになる。一方、流量制御工程では、流量制御弁64が、軸受温度センサTC60の検出温度に基づいて供給側冷却配管61を流れる冷却媒体の流量を制御する。よって、軸受部60sは必要最小限に冷却される。したがって、加熱装置52で消費されるエネルギーを減らせる。
【0077】
(効果5)
タイヤTを加硫するタイヤ加硫機1は、タイヤTの内部空間に供給されるガスが流れる供給配管21と、タイヤTの内部空間から排出されるガスが流れる戻り配管31と、戻り配管31を流れるガスを供給配管21へ供給する回転式の循環装置60と、循環装置60を介して循環するガスを加熱する加熱装置52と、戻り配管31を流れるガスの温度を検出する内圧出口ガス温度センサTC31と、コントローラ70とを備える。コントローラ70は、内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度が回転数減少温度T1以上の場合に、内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度が回転数減少温度T1未満の場合よりも、循環装置60の回転数を減らす。このタイヤ加硫機1では、上記(効果1)と同様の効果が得られる。
【0078】
(効果8)
タイヤ加硫機1の循環装置60は軸受部60sを備える。タイヤ加硫機1は、軸受部60sに冷却媒体を供給する供給側冷却配管61と、軸受部60sの温度を検出する軸受温度センサTC60と、軸受温度センサTC60の検出温度に基づいて供給側冷却配管61を流れる冷却媒体の流量を制御する流量制御弁64と、を備える。このタイヤ加硫機1では、上記(効果4)と同様の効果が得られる。
【0079】
(変形例1)
上記実施形態では、内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度が回転数減少温度T1以上になった場合に、コントローラ70は循環装置60の回転数を言わば突然に(例えば1750RPMから500RPMに)減らした。しかし、コントローラ70は、循環装置60の回転数を徐々に減らしても良い(変形例1)。以下、上記実施形態と変形例1との相違点を説明する。
【0080】
コントローラ70には、回転数逓減開始温度T2(第2温度)から回転数減少温度T1までの間の範囲である回転数逓減温度範囲T2〜T1が設定される。回転数逓減開始温度T2は、回転数減少温度T1よりも小さい。回転数逓減開始温度T2は、回転数減少温度T1よりも、例えば10度小さい、また例えば20度や30度小さい。例えば、回転数逓減開始温度T2は190℃、回転数減少温度T1は200℃である。
【0081】
コントローラ70は、内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度が回転数逓減温度範囲T2〜T1内で上昇するのに伴って、循環装置60の回転数を徐々に減らす(回転数逓減工程)。「徐々に」とは、連続的に、または、複数段階に分けて、という意味である。この工程の詳細(具体例)は次の通りである。
タイヤTの加熱加圧当初(センサTC31の検出温度が回転数逓減開始温度T2未満の時)に、循環装置60の回転数が最高回転数(1750RPM)であるとする。タイヤTの加熱加圧を続けると、センサTC31の検出温度が回転数逓減開始温度T2(190℃)に達する。その後、センサTC31の検出温度は、回転数逓減温度範囲T2〜T1(190℃〜200℃の範囲内)で徐々に上昇する。これに伴い、コントローラ70は、循環装置60の回転数を最高回転数(1750RPM)から例えば500RPMまで徐々に減らす。
【0082】
循環装置60の回転数を徐々に減らす理由を説明する。上述した実験では、内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度は、加熱加圧開始から約1分後に180℃に到達し、その後徐々に200℃まで上昇した。このことから、センサTC31の検出温度が約190℃〜約200℃の範囲内では、循環装置60の回転数を徐々に減らしても、十分にタイヤTを加熱できると考えられる。そこで、タイヤ加硫機1では循環装置60の回転数を徐々に減らすこととした。なお、センサTC31の検出温度の上昇量と、循環装置60の回転数の減少量との関係は、実験を繰り返し行うこと等により適切に設定できる。
【0083】
(効果2)
次に変形例1のタイヤ加硫機1及びタイヤ加硫方法の効果を説明する。
このタイヤ加硫方法に用いるコントローラ70には、回転数逓減開始温度T2(第2温度)から回転数減少温度T1までの間の範囲である回転数逓減温度範囲T2〜T1が設定される。回転数逓減開始温度T2は、回転数減少温度T1よりも小さい。このタイヤ加硫方法は、内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度が回転数逓減温度範囲T2〜T1内で上昇するのに伴って、コントローラ70により循環装置60の回転数を徐々に減らす回転数逓減工程をさらに備える。
よって、タイヤTの加熱加圧開始時から、内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度が回転数減少温度T1になるまでの間、循環装置60を一定の回転数で回転させる場合に比べ、循環装置60の回転で消費されるエネルギーをより減らせる。
【0084】
(効果6)
タイヤ加硫機1のコントローラ70には、回転数逓減開始温度T2(第2温度)から回転数減少温度T1までの間の範囲である回転数逓減温度範囲T2〜T1が設定される。回転数逓減開始温度T2は、回転数減少温度T1よりも小さい。コントローラ70は、内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度が回転数逓減温度範囲T2〜T1内で上昇するのに伴って、循環装置60の回転数を徐々に減らす。このタイヤ加硫機1では、上記(効果2)と同様の効果が得られる。
【0085】
(変形例2)
変形例1では、コントローラ70は、内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度が上昇するのに伴って、循環装置60の回転数を徐々に減らした。しかし、コントローラ70は、センサTC51の検出温度と、センサTC31の検出温度との差が小さくなるのに伴って、循環装置60の回転数を徐々に減らしても良い(変形例2)。以下、変形例1と変形例2との相違点を説明する。
【0086】
上述したように、加熱装置出口温度センサTC51(入口ガス温度センサ)は、加熱装置52で加熱されたガスの温度を検出する(入口ガス温度検出工程)。なお、この「入口ガス温度センサ」は、加熱装置52の出口近傍に設ける必要はなく、例えば供給配管21に設けても良い。
【0087】
コントローラ70は、内圧出口ガス温度センサTC31検出温度が回転数逓減開始温度T2以上の場合、加熱装置出口温度センサTC51の検出温度と内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度との差が小さくなるのに伴って、循環装置60の回転数を徐々に減らす(回転数逓減工程)。
【0088】
センサTC51の検出温度とセンサTC31の検出温度との差に基づいて循環装置60の回転数を減らすことについて説明する。上述したように、タイヤTの加熱加圧当初は、センサTC31の検出温度の温度上昇は、センサTC51の温度上昇よりも遅れる。そしてタイヤTの加熱加圧を続けると、センサTC31の検出温度とセンサTC51の検出温度との差が徐々に小さくなる。そこで、この検出温度の差が小さくなるのに伴って、コントローラ70が循環装置60の回転数を徐々に減らす。
【0089】
(効果3)
次に変形例2のタイヤ加硫機1及びタイヤ加硫方法の効果を説明する。
このタイヤ加硫方法に用いるコントローラ70には、回転数減少温度T1よりも小さい回転数逓減開始温度T2が設定される。このタイヤ加硫方法は、加熱装置52で加熱されたガスの温度を加熱装置出口温度センサTC51(入口ガス温度センサ)で検出する入口ガス温度検出工程と、変形例2の回転数逓減工程とをさらに備える。変形例2の回転数逓減工程は、内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度が回転数逓減開始温度T2以上の場合、加熱装置出口温度センサTC51の検出温度と内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度との差が小さくなるのに伴って、コントローラ70により循環装置60の回転数を徐々に減らす工程である。このタイヤ加硫方法では、上記(効果2)と同様の効果が得られる。
【0090】
(効果7)
タイヤ加硫機1は、加熱装置52で加熱されたガスの温度を検出する加熱装置出口温度センサTC51をさらに備える。コントローラ70には、回転数減少温度T1よりも小さい回転数逓減開始温度T2が設定される。コントローラ70は、加熱装置出口温度センサTC51の検出温度が回転数逓減開始温度T2以上の場合、加熱装置出口温度センサTC51の検出温度と内圧出口ガス温度センサTC31の検出温度との差が小さくなるのに伴って、循環装置60の回転数を徐々に減らす。このタイヤ加硫機1では、上記(効果3)と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0091】
1 タイヤ加硫機
21 供給配管
31 戻り配管
52 加熱装置
60 循環装置
60s 軸受部
61 供給側冷却配管(冷却配管)
64 流量制御弁
70 コントローラ
T タイヤ
TC31 内圧出口ガス温度センサ(出口ガス温度センサ)
TC51 加熱装置出口温度センサ(入口ガス温度センサ)
TC60 軸受温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを加硫するタイヤ加硫方法であって、
供給配管を介して前記タイヤの内部空間に不活性ガスを供給する供給工程と、
戻り配管を介して前記タイヤの内部空間から前記不活性ガスを排出する排出工程と、
回転式の循環装置により前記戻り配管を流れる不活性ガスを前記供給配管へ供給する循環工程と、
加熱装置により、前記循環装置を介して循環する前記不活性ガスを加熱する加熱工程と、
出口ガス温度センサにより前記戻り配管を流れる不活性ガスの温度を検出する出口ガス温度検出工程と、
前記出口ガス温度センサの検出温度が第1温度以上の場合、前記出口ガス温度センサの検出温度が前記第1温度未満の場合よりも前記循環装置の回転数をコントローラにより減らす回転数減少工程と、
を備えるタイヤ加硫方法。
【請求項2】
前記コントローラには、前記第1温度よりも小さい第2温度から前記第1温度までの間の範囲である回転数逓減温度範囲が設定され、
前記出口ガス温度センサの検出温度が回転数逓減温度範囲内で上昇するのに伴って、前記循環装置の回転数を前記コントローラにより徐々に減らす回転数逓減工程をさらに備える、請求項1に記載のタイヤ加硫方法。
【請求項3】
前記コントローラには、前記第1温度よりも小さい第2温度が設定され、
入口ガス温度センサにより、前記加熱装置で加熱された前記不活性ガスの温度を検出する入口ガス温度検出工程と、
前記出口ガス温度センサの検出温度が前記第2温度以上の場合、前記入口ガス温度センサの検出温度と前記出口ガス温度センサの検出温度との差が小さくなるのに伴って、前記コントローラにより前記循環装置の回転数を徐々に減らす回転数逓減工程と、
をさらに備える請求項1に記載のタイヤ加硫方法。
【請求項4】
前記循環装置は、軸受部を備え、
冷却配管を介して前記軸受部に冷却媒体を供給する冷却媒体供給工程と、
軸受温度センサにより前記軸受部の温度を検出する軸受温度検出工程と、
流量制御弁により、前記軸受温度センサの検出温度に基づいて前記冷却配管を流れる前記冷却媒体の流量を制御する流量制御工程と、
をさらに備える請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ加硫方法。
【請求項5】
タイヤを加硫するタイヤ加硫機であって、
前記タイヤの内部空間に供給される不活性ガスが流れる供給配管と、
前記タイヤの内部空間から排出される前記不活性ガスが流れる戻り配管と、
前記戻り配管を流れる前記不活性ガスを前記供給配管へ供給する回転式の循環装置と、
前記循環装置を介して循環する前記不活性ガスを加熱する加熱装置と、
前記戻り配管を流れる前記不活性ガスの温度を検出する出口ガス温度センサと、
前記出口ガス温度センサの検出温度が第1温度以上の場合に、前記出口ガス温度センサの検出温度が前記第1温度未満の場合よりも前記循環装置の回転数を減らすコントローラと、
を備えるタイヤ加硫機。
【請求項6】
前記コントローラには、前記第1温度よりも小さい第2温度から前記第1温度までの間の範囲である回転数逓減温度範囲が設定され、
前記コントローラは、前記出口ガス温度センサの検出温度が前記回転数逓減温度範囲内で上昇するのに伴って前記循環装置の回転数を徐々に減らす、請求項1に記載のタイヤ加硫機。
【請求項7】
前記加熱装置で加熱された前記不活性ガスの温度を検出する入口ガス温度センサをさらに備え、
前記コントローラには、前記第1温度よりも小さい第2温度が設定され、
前記コントローラは、前記入口ガス温度センサの検出温度が前記第2温度以上の場合、前記出口ガス温度センサの検出温度と前記出口ガス温度センサの検出温度との差が小さくなるのに伴って、前記循環装置の回転数を徐々に減らす、請求項1に記載のタイヤ加硫機。
【請求項8】
前記循環装置は、軸受部を備え、
前記軸受部に冷却媒体を供給する冷却配管と、
前記軸受部の温度を検出する軸受温度センサと、
前記軸受温度センサの検出温度に基づいて前記冷却配管を流れる前記冷却媒体の流量を制御する流量制御弁と、
をさらに備える請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ加硫機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−56488(P2013−56488A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196760(P2011−196760)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】