説明

タイヤ及びこれを用いた電磁波給電システム

【課題】タイヤ内の空気圧、温度等を検出する検出装置の駆動に必要な電力をタイヤの外部から給電可能なタイヤの提供。
【解決手段】ホイール43に装着される金属メッシュや金属ワイヤ等を有しないタイヤ50の内側表面に、所定の線幅を有する独立した複数本の円形閉ループの導体箔53が設けられている。電磁波給電システムは、タイヤ50の外側の外部アンテナ80、タイヤ50の内側の内部アンテナ77、及び電源手段を備えている。外部アンテナ80は、高周波磁界をタイヤ50に対して放射して導体箔53に誘導交流を発生させる。内部アンテナ77は、導体箔53に発生した誘導交流により生じる高周波磁界を受信して受信信号を出力する。電源手段は、タイヤ50の内側に取り付けられ、前記受信信号を直流電力に整流して、タイヤ50内の所定の状態を検出する検出装置70に対して駆動電力を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、環境への悪影響を考慮して、古くなったタイヤを処理し易くするために金属のメッシュや金属ワイヤを有しないタイヤの出現に備えて、手軽に改造し以前の金属のメッシュやワイヤを有するタイヤと同じように、タイヤ側に取り付けられてタイヤ内の空気圧、温度等のような物理量を検出する検出装置の駆動に必要な電力をタイヤの外部から給電できるようにしたタイヤ及びこれを用いた電磁波給電システム、特に、金属のメッシュや金属ワイヤを有しないタイヤの高周波特性改善技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤ内の空気圧及び温度を検出する検出装置を備えたタイヤ状態検出システムに関する技術としては、例えば、次のような文献に記載されるものがあった。
【0003】
【特許文献1】特開平10−104103号公報
【特許文献2】特開2003−237328号公報
【特許文献3】特開2003−291615号公報
【特許文献4】特開2004−161113号公報
【0004】
特許文献1には、車両に設置した中央受信評価装置からなり、複数のホイールを有する車両に使用するタイヤ圧力モニタリング装置の技術が記載されている。
【0005】
特許文献2、4には、タイヤ空気圧等のタイヤ状態を車室内から確認できる無線方式のタイヤ状態監視装置に関する技術が記載されている。
【0006】
特許文献3には、タイヤの空気圧、温度等のタイヤ状態を検出し、このタイヤ状態を無線信号として送信するタイヤ空気圧検出装置の技術が記載されている。
【0007】
一般的に全てのアンテナには可逆定理が成立しているため、送信特性と受信特性は全く同じなので、以下に述べる説明は断りがない限り全て送信の場合の説明であるが、受信の場合も同様であるから説明は省略する。
【0008】
近年、コンピュータの超小型化、ワンチップ化が可能になったことで、自動車等の車両の開発技術も目覚ましい発展を遂げた。自動車に備えている各種の通信機器を始め、エンジンを制御する機構、ドライバ(運転者)の運転作業を補助する安全運転機構等はほとんどコンピュータが担っており、自動車の性能も進化し続けているのが現状である。その中で、車体を支えたり、移動させたりする車輪の役割も非常に重要であることは、専門家以外の一般の利用者はあまり気づいていないようである。
【0009】
以前、自動車の車輪はホイール、空気チューブとタイヤで構成されているのが一般的であったが、チューブレスタイヤが開発されてから、大型車を除いてほとんどの乗用車にはチューブレスタイヤが使われているので、乗用車の車輪はホイールとチューブレスタイヤ(このチューブレスタイヤを以下単に「タイヤ」と略称する。)で構成されるようになった。空気チューブがなくなったことで、タイヤのパンクは以前のように空気が徐々に漏れるのではなく急に破裂(バスト)し、重大な交通事故を招くことは少なくない。
【0010】
又、タイヤの空気圧とエンジンの燃費が深い関係をもっており、最適なタイヤ空気圧で走行するときの燃費効率はよく、同量の燃料でも走行距離が伸びることはよく知られている。給油スタンドで燃料を入れるときは、タイヤ空気圧もチェックしてくれるのはそのためである。
【0011】
一方、通常運転でタイヤの空気圧が最適な値になっても長時間、高速で車を運転するとタイヤ内の空気が激しく運動し、タイヤも変形しながら回転するので大量の熱が発生し、タイヤ内の温度は150℃前後まで上昇することがある。結果的に、タイヤ内の空気圧が最適な気圧だったはずなのに、前記発生した熱でタイヤ内の空気圧が上昇し、タイヤの破裂を起こすこともある。
【0012】
そのために、特許文献1〜4等に記載されているように、タイヤの空気圧及び温度を検出するタイヤ状態検出システムが開発され、現在、米国では新型車には全てタイヤ状態検出システムを搭載するよう義務付けられている。
【0013】
図4(A)、(B)は、従来のタイヤ状態検出システムの説明図であり、同図(A)は従来のタイヤ状態検出システムを備えた自動車の車輪構造及びアンテナ系統を示す外観図、同図(B)は同図(A)のタイヤ状態検出システムにおいてタイヤ内の空気圧及び温度を検出する検出装置を備えた車輪の断面と外部アンテナを示す図である。
【0014】
図4(A)に示すように、自動車の車体には、前輪用の車輪回転軸1と後輪用の車輪回転軸2が設けられ、これらの各車輪回転軸1,2に、ホイール3を介してタイヤ10がそれぞれ装着されている。各タイヤ10が装着された各ホイール3には、空気出し入れ口を有するバルブ20がそれぞれ取り付けられ、この各バルブ20内に小型の検出装置21がそれぞれ収納されている。検出装置21は、タイヤ10内の空気圧及び温度を検出するセンサ、装置全体を制御する制御回路、電磁波Rを送受信する内部アンテナ、装置駆動用の乾電池型ボタン電池等により構成されている。
【0015】
車体には、各バルブ20内の内部アンテナからのデータ及び指示を送受信する外部アンテナ30が取り付けられている。外部アンテナ30は、同軸ケーブルからなる伝送路31を介して、リーダ・ライタ(以下「R/W」という。)32に接続されている。R/W32は、高周波電源33から供給される高周波電力により駆動され、各バルブ20内の検出装置21に対する全てのデータを処理する装置であり、これには表示装置34が接続されている。表示装置34は、車室内に設定され、R/W32から送られてくるタイヤ10に関する物理的な状態の情報をドライバに対して表示する装置である。
【0016】
図4(B)に示すように、検出装置21が収納されたバルブ20がホイール3に取り付けられ、このホイール3の外周面にリング状のタイヤ10が着脱自在に装着されている。タイヤ10内には、強度を高めるためにスチル材等で形成された金属ワイヤ又は金属メッシュからなる補強部材13が埋設されている。バルブ20内に設けられた検出装置21の内部アンテナから、タイヤ10内の空気圧と温度のデータを伝送する電磁波Rが放射されると、これが外部アンテナ30で受信され、この受信信号がR/W32で処理され、タイヤ10内の空気圧と温度の値が表示装置34に表示される仕組みになっている。
【0017】
そのため、ドライバは運転席に着席しながら又は運転しながらタイヤ10内の空気圧力及び温度を知ることが可能になる。タイヤ10のバストは、タイヤ内の空気圧力と温度が決定的な原因なので、タイヤ10が危険な状態になったときドライバが対策を施せば、タイヤ破裂や交通事故を未然に回避できる。
【0018】
図5は、図4中のタイヤ10の構造の説明図である。
タイヤ10は、リング状のゴム部分からなるタイヤ本体11を有し、このタイヤ本体11の内側に、タイヤ10をホイール3に装着するときに引っ掛ける引っ掛け部分12が形成されている。タイヤ本体11内には、強度を高めるためにスチル材等で形成された金属ワイヤ又は金属メッシュからなる補強部材13が埋設されている。補強部材13の断面13aは、切断しなければ図5に示すようなループ状のワイヤがみられる。タイヤメーカによって補強部材13の配置の仕方は様々あるが、図5では一番簡単な配置が示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、従来の検出装置21を備えたタイヤ状態検出システムでは、次のような課題があった。
【0020】
従来のタイヤ内の空気圧及び温度を検出する検出装置21の電力源は乾電池型ボタン電池であり、市販の検出装置21の仕様によると、10年間以上装置に電力を供給し続けることになっている。しかし、電池である以上、いつかは消耗し、交換が必要になる。
【0021】
電池の交換時期は、検出装置21からの送信データに含まれている電池電圧により知ることができるが、電池代金よりも交換の手間がかなりかかる。
【0022】
そこで、バルブ20に収納される検出装置21内に、乾電池型ボタン電池に代えて、高周波電力を受け取るための電源部を設けることが考えられる。この構成では、高周波磁界を外部アンテナ30から放射し、これをバルブ20内の検出装置21の内部アンテナで受信し、この受信信号を電源部で直流電力に整流して検出装置21内の回路に供給する。これにより、電池レスの検出装置21を用いた電磁波給電システムの実現が可能になる。
【0023】
しかし、外部アンテナ30とバルブ20内の内部アンテナとは、タイヤ10の回転によって位置的にずれるので、外部からの電磁波給電を安定的に行うことが難しい。特に、タイヤ10内に埋設された金属メッシュや金属ワイヤからなる補強部材13は、古くなったタイヤ10を再利用する際の弊害になっているので、補強部材13を使用しなくても十分な強度を有するゴム部材からなるタイヤ、あるいは補強部材13を使用しないが少量の金属部材を有するタイヤ(このタイヤを本明細書では「無金属タイヤ」と称する。)の開発が行われつつある。将来、このような無金属タイヤが実用化された場合、前記の電池レスの検出装置21をタイヤ側に装着し、外部からの電磁波給電を安定的に行うことが益々難しくなることが予想される。
【0024】
本発明は、安定した電磁波給電が可能なタイヤと、これを用いた電磁波給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明のタイヤは、タイヤ本体の内側表面の一部分又は全体に前記タイヤ本体の回転方向に沿って、所定の線幅を有する独立した1本又は複数本の円形閉ループの導体を所定の位置に設けている。
【0026】
本発明の電磁波給電システムは、ホイールに装着された前記タイヤと、前記タイヤの外側の近傍に取り付けられ、高周波磁界を前記タイヤに対して放射して前記導体に誘導交流を発生させる外部アンテナと、前記タイヤと前記ホイールとの間の空間に配設され、前記空間において前記導体に発生した前記誘導交流により生じる高周波磁界を受信して受信信号を出力する内部アンテナと、前記タイヤの内側に取り付けられ、前記受信信号を直流電力に整流して、前記タイヤ内の所定の状態を検出する検出装置に対して駆動電力を供給する電源手段とを備えている。
【発明の効果】
【0027】
本発明のタイヤ及びこれを用いた電磁波給電システムによれば、タイヤ本体に円形閉ループの導体を設けているので、電力源である電池の寿命や残留電力に心配せずに、車両等のバッテリやエンジン等からの電力を用いて、特定の周波数の高周波磁界を電源手段に与え、この電源手段で整流した電源電力により検出装置を駆動させてタイヤの空気圧や温度等を常に精度良く検出できるようになる。
【0028】
又、タイヤが古くなって廃棄されるとき、金属メッシュや金属ワイヤを有する従来のタイヤと異なり、タイヤ本体の内側に設けられた円形閉ループの導体を剥がし取ることにより、簡単にゴムと導体を分離することができる。結果的に、古タイヤは純度の高いゴムの原材料になり再利用率が向上する。よって、従来のタイヤの処理のような環境汚染をもたらさないばかりか、再利用率を向上させ、タイヤの低価格化に期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
タイヤは、このタイヤ本体の内側表面の一部分又は全体に、所定の線幅を有する独立した1本又は複数本の円形閉ループの導体が所定の位置に設けられている。この導体は、例えば、金属材又は導電性繊維で形成された導体箔からなり、タイヤ本体の内側表面に接着されている。
【実施例1】
【0030】
(実施例1の構成)
図1(A)、(B)は、本発明の実施例1を示すタイヤ状態検出システムにおける電磁波給電システムの説明図であり、同図(A)はタイヤ状態検出システムを備えた自動車の車輪構造およびアンテナ系統を示す外観図、同図(B)は同図(A)中の電磁波給電システムを備えた車輪の断面と外部アンテナを示す図である。更に、図2は、図1中のタイヤの拡大断面図である。
【0031】
図1(A)では、従来の図4(A)と同様、見やすいように自動車本体が省略されている。自動車の車体には、従来の図4(A)と同様に、前輪用の車輪回転軸41と後輪用の車輪回転軸42が設けられ、これらの各車輪回転軸41,42に、ホイール43を介して無金属タイヤからなるタイヤ50がそれぞれ装着されている。各タイヤ50が装着された各ホイール43には、空気出し入れ口を有するバルブ60がそれぞれ取り付けられ、この各バルブ60内に、タイヤ内の空気圧及び温度を検出するためのタグ状の小型の検出装置70が、それぞれ収納されている。
【0032】
車体には、従来と異なり、各タイヤ50の側面の近傍に、数ターンの巻数を有するソレノイド状の外部アンテナ80がそれぞれ取り付けられている。各外部アンテナ80は、励振によって高周波磁界Hを発生して、各バルブ60に取り付けられたループ状誘導アンテナからなる内部アンテナ77で受信させると共に、その内部アンテナ77からのタイヤ内の空気圧及び温度のデータを受信する機能を有している。各外部アンテナ80は、同軸ケーブル等の伝送路90を介して、送受信器91に接続されている。送受信器91は、高周波電源92から供給される高周波電力に基づき、各外部アンテナ80へ電力を送信する電力送信器としての機能と、各タイヤ側から各外部アンテナ80を介して送られてくる送信信号を受信する受信器として機能とを有し、これには表示装置93が接続されている。表示装置93は、車室内に設定され、送受信器91から送られてくるタイヤ50に関する物理的な状態の情報をドライバに対して表示する装置である。
【0033】
タイヤ50は、図2に示すように、リング状のゴム部分からなるタイヤ本体51を有し、このタイヤ本体51の内側に、タイヤ50をホイール43に装着するときに引っ掛ける引っ掛け部分52が形成されている。タイヤ本体51の内側表面には、ある程度の幅と厚みを有する円形閉ループの導体(例えば、銅箔等からなる複数の円形閉ループ導体箔)53が、ゴム系接着剤等で貼り付けられている。円形閉ループ導体箔53は、タイヤ50が高速で回転することを考慮すれば等間隔で貼り付けることが理想的であるが、バルブ60に電磁波で給電することを考えると磁界強度を強めるためにバルブ60に近いところに円形閉ループ導体箔53の本数が多い方が良い。従って、バルブ60に近いところの円形閉ループ導体箔53の幅と間隔はやや細めにし、バルブ60から離れたところでは円形閉ループ導体箔53の幅と間隔をやや太くすることが望ましい。
【0034】
各タイヤ50の近傍に設置たれた外部アンテナ80は、図1(B)に示すように、抵抗とインダクタンスを有するので、高周波電源92からより効率良く高周波電力を受けるためにはコンデンサで構成される整合回路が必要である。図1(B)には、整合回路と組み合わせた外部アンテナ80の略図が示されている。外部アンテナ80には2個の整合用コンデンサ81,82が接続され、この整合用コンデンサ81,82により、外部アンテナ80と高周波電源92との間の整合回路が構成されている。
【0035】
外部アンテナ80はその周囲に高周波磁界Hを発生させるが、本実施例1では磁界成分のエネルギーを利用して誘導的にバルブ60に取り付けた内部アンテナ77に起電力を発生させ、これをタイヤ内の空気圧及び温度を検出するための検出装置70の電力源として用いる。
【0036】
検出装置70が収納されたバルブ60は、従来と同様、ホイール43に取り付けられ、このホイール43の外周面にリング状のタイヤ50が着脱自在に装着されている。タイヤ本体51の内側表面には、複数の円形閉ループ導体箔53が貼り付けられている。この円形閉ループ導体箔53は、ある周波数帯域に対して障害物になるが、ある周波数帯域に対して電磁波を誘導して伝播を助けることになる。本実施例1では、例えば、13.56MHzの電磁波を扱っているが、実際は略5MHz〜略50MHzまで前記の電磁波誘導現象が観察できる。
【0037】
図1(B)には、ホイール下部半分の断面図は示されていないが、バルブ60を除いた上部半分の断面図と同じである。又、タイヤ本体51内に貼り付けた複数の円形閉ループ導体箔53の誘導現象で、タイヤ50とホイール43の間の空間内に略均一な高周波磁界Hが分布しているが、外部アンテナ80とタイヤ内の内部アンテナ77との結合量(SパラメータでいえばS21)が略−10dB〜−20dBの間である。
【0038】
結合量S21の値は、タイヤ内の内部アンテナ77と外部アンテナ80との間の磁気エネルギーの送受信レベルを示すもので、高ければ高いほど少ない磁気エネルギーで信号を所望の条件で送受信できる。
【0039】
又、ファラデーの電磁誘導法則によれば、ループ状導体に磁束Φの磁界が通過し、時間的に変化すれば、その磁束変化量を弱めるように起電力Eが発生し、ループ状導体に前記磁界と反対方向に磁界を発生させる電流が流れる。起電力Eは次式(1)のように表される。
E=−dΦ/dt (1)
【0040】
この式(1)において、Φは、内部アンテナ77内の透磁率μとループの面積と高周波磁界Hの強度との積に等しく、アンテナを通過する磁束である。本実施例1は主にこの現象を利用したものである。
【0041】
タイヤ50の近傍に設置された外部アンテナ80によって発生した高周波磁界Hの方向は、タイヤ50の回転軸に略並行で、タイヤ内に設けた内部アンテナ77のインピーダンスをうまく整合すれば最大の誘導起電力を得ることができる。
【0042】
図3は、図1中のバルブ60の内部構成を示す図である。
バルブ60は、裏側が開口したケース状のバルブ本体61を有し、このバルブ本体61の側面に、円筒状の空気出し入れ口62が突設されている。空気出し入れ口62は、アルミ合金、スチル等の頑丈な金属でできており、これ以外のバルブ本体61は樹脂等でできている。バルブ本体61内には検出装置70が収納され、このバルブ本体61の裏側の開口部分が裏蓋により閉塞される構造になっている。
【0043】
検出装置70は、バルブ本体61内の回路素子搭載用の基板71と、バルブ本体外に引き出された内部アンテナ77とを有している。基板71上には、空気圧センサ72、温度センサ73、電子回路74、及び電源手段(例えば、電源部)75が搭載され、電線等の伝送路76を介して内部アンテナ77と接続されている。電子回路74は、装置全体を制御する制御機能、及び送受信機能等を有している。内部アンテナ77で受信された受信信号は、電源部75で直流電力に整流されて駆動電力に変換された後、各回路部分に供給される構成になっている。
【0044】
内部アンテナ77は、例えば、10ターン程度の銅線で作られたソレノイドアンテナであり、外部アンテナ80から放射された高周波磁界Hの電磁誘導により生じる誘導起電力によって高周波磁界を受信する。この内部アンテナ77は、最大の誘導起電力を得るために、そのループの面が高周波磁界Hに垂直になるように配置されている。
【0045】
通常、内部アンテナ77と回路素子搭載用の基板71との間に整合回路を設けた方が、両者間の反射損失が抑制されて効率良く高周波信号を伝送できる。前記整合回路は、1個の並列コンデンサと、1個の直列コンデンサとで構成されるが、図3では図示を省略している。
【0046】
(従来の図5のようなタイヤ10を使用しない理由)
図5に示すように、従来の全てのタイヤ10には、特殊なものを除いて、強度を高めるために金属メッシュ又は金属ワイヤからなる補強部材13がタイヤ本体11の中に入れられている。このようなタイヤ10を用いて、例えば、図1の電磁波給電システムを適用した場合、補強部材13があるために、特定の周波数に対して、外部アンテナ80とタイヤ10内の内部アンテナ77は、タイヤ10の回転によって位置的にずれても外部からの電磁波による給電エネルギーはほぼ安定していることを実験的に確認できた。
【0047】
従来、使用して古くなったタイヤ10は、金属メッシュ又は金属ワイヤからなる補強部材13を有するために再利用することは難しく、ほとんど放置するか、焼却するかしか方法はない。しかし、環境汚染問題は世界的な規模で広がっている今日、大量の酸素を必要とする焼却方法又は放置する方法は近い将来間違いなく許されないと想像できる。
【0048】
このことを予想したタイヤメーカは、タイヤ強度を維持しながら、金属メッシュ又は金属ワイヤからなる補強部材13を使用しないタイヤの開発に着手している。金属メッシュや金属ワイヤがなければ、古くなったタイヤのゴムの回収や再利用率が向上し、環境に悪影響を与えるような従来の処理方法から脱却できる。近年、従来のようにタイヤ10の強度を高めるために金属メッシュ又は金属ワイヤからなる補強部材13をタイヤ本体11の中に入れなくても十分な強度を有するゴム材料が開発され、近い将来実用化できる段階になった。但し、ホイール3と接続するタイヤ10の円形の縁(即ち、引っ掛け部分12)では、場合によって金属ワイヤを完全に除去することはできないかも知れない。というのはこの部分は、タイヤ10をホイール3に着脱するときに強い力で延ばされ、後に元の寸法に戻らなければならないからである。従って、ホイール3と接続するタイヤ本体11の引っ掛け部分12だけにワイヤが残されても、従来のタイヤと比べて近い将来のタイヤはほとんど金属メッシュや金属ワイヤを持たず、少量金属タイヤ又は無金属タイヤと呼んでも差し支えない。本明細書では、このようなタイヤを「無金属タイヤ」と称している。
【0049】
しかし、上述したように、金属メッシュや金属ワイヤがあるために、特定の周波数に対して、外部アンテナ80と内部アンテナ77はタイヤ10の回転によって位置的にずれても、外部からの電磁波による給電エネルギーはほぼ安定している。言い換えれば、金属メッシュや金属ワイヤを有しない無金属タイヤには、外部からの電磁波給電は安定的に行えないことを意味することになる。金属メッシュや金属ワイヤをもたない無金属タイヤのモデルを作成し、外部アンテナ80と内部アンテナ77は無金属タイヤの回転で位置がずれると、外部からの電磁波による給電は成り立たないという問題点があることが分かった。
【0050】
(実施例1の特徴)
本実施例1は、前記の問題点を解決し、金属メッシュや金属ワイヤを有しない図2のようなタイヤ50の場合でも、外部アンテナ80とタイヤ内の内部アンテナ77との間で行われる電磁波による給電は、タイヤ50の回転で生じる両アンテナ80,77の位置ずれに関わらず、安定した電磁波給電システムを実現する提供することを目的とする。
【0051】
本実施例1は、例えば、金属メッシュや金属ワイヤのような金属成分を有しないタイヤ50を使用する場合、電池レスタイヤ空気圧及び温度を検出する検出装置70は、電磁波を利用した電力給電が不安定になるので、タイヤ空気圧及び温度の詳細なデータを得ることが困難になる。しかし、電磁波による給電原理は、タイヤ本体11の中に埋め込まれた金属メッシュ又は金属ワイヤからなる補強部材13の電磁誘導を利用したもので、給電電磁波をタイヤ50とホイール43間の空間に広がるように補強部材13と同じ働きをするような代用品を設けることができれば、電池レスタイヤ空気圧及び温度を検出する検出装置70は、外部から電磁波による給電を安定的に受け、同様に作動するはずである。
【0052】
そこで、本実施例1では、タイヤ10の中に埋め込まれた補強部材13と同じ働きをするような円形閉ループ導体箔53を、タイヤ本体51内に貼着している。
【0053】
(実施例1の動作)
図1(A)において、高周波電源92から、例えば、数W(ワット)の13MHz帯の高周波電力が送受信器91に送信され、その高周波電力はそこで必要に応じた電力に分配され、伝送路90を通して各外部アンテナ80に給電される。
【0054】
各外部アンテナ80は、図1(B)に示すように、コンデンサ81,82からなる整合回路を備えているので、効率良く送受信器91から給電された高周波電力を電磁波として放射するが、ソレノイドの構造をしているので、軸方向に高周波磁界Hを放射する。高周波磁界Hは、タイヤ50の側面に垂直である。従って、図2のタイヤ50においても、外部アンテナ80から放射される高周波磁界Hは円形閉ループ導体箔53の大円に垂直で、各円形閉ループ導体箔53に磁束Φを発生させることになる。磁束Φは高周波磁界Hによって発生するものなので時間的に変化し、式(1)に示されたファラデーの電磁誘導法則に従って各円形閉ループ導体箔53に起電力Eを発生させ、結果的に各円形閉ループ導体箔53に交流が流れることになる。この交流によって各円形閉ループ導体箔53の大円内を始め、各円形閉ループ導体箔53付近の大円の外でも高周波磁界Hが発生する。
【0055】
高周波磁界Hの発生源である外部アンテナ80から遠く離れた場所においても高周波磁界Hが発生するから、タイヤ50の回転でバルブ60が外部アンテナ80から遠ざかったり、近づいたりしても、各円形閉ループ導体箔53の大円内にある限り、常にほぼ安定な高周波磁界Hの放射を受けることができ、一般的にいわゆる誘導現象である。又、各円形閉ループ導体箔53の本数、幅、間隔と配置分布によってループ状の内部アンテナ77の受けられる磁束の安定度が多少異なることがある。内部アンテナ77の受けられる磁束は交流磁束なので、式(1)に従って内部アンテナ77に起電力Eを発生させ、バルブ60に内蔵された検出装置70の空気圧センサ72、温度センサ73及びこれらのセンサ72,73を駆動、制御する電子回路74の電力源となる。
【0056】
空気圧センサ72及び温度センサ73で得られた情報は同じ13MHz帯の信号で、同じ電力供給経路で図1(A)の送受信器91に送り返され、この送受信器91で処理されて表示装置93に表示され、ドライバにタイヤ内の情報を提供する。
【0057】
(実施例1の効果)
もし、円形閉ループ導体箔53がなく、タイヤ50はゴムだけでできているならば、タイヤ50の回転でバルブ60は外部アンテナ80の限られた付近の領域に来るときだけが内部アンテナ77に起電力Eが発生し、バルブ60に内蔵された検出装置70の空気圧センサ72、温度センサ73及びこれらのセンサ72,73を駆動、制御する電子回路74を作動させることが可能になる。従って、円形閉ループ導体箔53の導入で、タイヤ50はゴムだけでできていても、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70が同じ性能を維持し、使用可能である。
【0058】
又、タイヤ50が古くなって廃棄されるとき、金属メッシュや金属ワイヤを有する従来のタイヤ10と異なって、タイヤ本体51の内側表面に貼り付けられた円形閉ループ導体箔53を剥がし取ることができ、簡単にゴムと金属を分離することができる。結果的に、古タイヤは純度の高いゴムの原材料になり再利用率が高くなるわけである。
【0059】
よって、実施例1は、従来のタイヤ10の処理のような環境汚染をもたらさないばかりか、再利用率を向上させ、タイヤ50の低価格化にも貢献する。
【0060】
(実施例1の利用形態)
本実施例1のタイヤ50の利用形態は、金属メッシュ又は金属ワイヤからなる補強部材13を有する従来のタイヤ10と全く同じである。ただ、ホイール43に装着するときに、もしタイヤ本体51の内側表面に貼られた円形閉ループ導体箔53の分布が一様でなければ、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70に最大の電力を供給できるように指示書に従って装着作業に気をつける必要がある。
【実施例2】
【0061】
実施例1は、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体51の内側表面に複数の円形閉ループ導体箔53を貼り付けて、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70に対応できるものであった。
【0062】
これに対して本実施例2では、考え方は同じであるが、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体51の内側表面に複数の円形閉ループ導体箔53を貼り付けるのではなく、この円形閉ループ導体箔53の代わりに、タイヤ本体51の内側表面に円形閉ループ導体膜を形成している。以下、詳細に説明する。
【0063】
(実施例2の構成)
図6は、本発明の実施例2におけるタイヤの内側を示す断面図である。
このタイヤ100は、リング状のゴム部分からなるタイヤ本体101を有し、このタイヤ本体101の内側に、タイヤ100をホイール43に装着するときに引っ掛ける引っ掛け部分102が形成されている。タイヤ本体101の内側表面には、例えば、銀膜等からなる複数の円形閉ループ導体膜103が形成されている。
【0064】
円形閉ループ導体膜103の形成の仕方は、以下のような方法で行える。
例えば、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体101の内側表面と同じ寸法の型を厚紙又は弾力性のあるプラスチックあるいはゴムで作成し、所望の円形閉ループパターンを切り抜きしておく。その型の形状を崩れないようにするために、所望の円形閉ループパターンを切り抜きするときは、全部切り抜きするのではなく、部分的に切り残しを施す必要がある。次に、その型をタイヤ本体101の内側表面に合わせて、密着させてから、例えば導電性ペースト、又は導電性塗料を型の切り抜きされたところに筆等で塗り、又は導電性塗料のスプレーを噴き付けて、ある程度乾燥してから型を外し、切り残しで繋がっていない円形閉ループ導体膜を、同じ導電性材料を使い筆等で塗って完全な円形閉ループ導体膜103を完成させる。
【0065】
本実施例2では、タイヤ本体101の内側表面に形成する円形閉ループ導体103は膜であるので、タイヤ100の高速回転によるバランスを心配する必要はない。即ち、円形閉ループ導体膜103の幅、間隔及び本数の分布は均一でなくても良い。
【0066】
(実施例2の動作)
本実施例2の動作は、実施例1の動作と全く同じであるので説明を省略するが、円形閉ループ導体膜103の厚みは円形閉ループ導体箔53の厚みと比べて何分の一薄い上に導電性ペースト、例えば銀ペースト、又は導電性塗料を用いたため導体箔と比べて抵抗がやや高いので、図1の内部アンテナ77の発生できる起電力は本実施例2の場合と比べて幾分か低下する。
【0067】
(実施例2の効果)
本実施例2では、事前に円形閉ループ導体膜103を形成する型を作成しておく手間はかかるが、この後の作業、即ち円形閉ループ導体膜103の形成作業は非常に迅速に行えるので、作業効率の向上が期待できる。
【0068】
又、タイヤ本体101の内側表面に形成された円形閉ループ導体膜103に含まれる金属は微量で、ほとんどゴムだけでできているタイヤと同じなので、古くなったとき、ゴムの原材料として使用しても問題はないが、どうしても円形閉ループ導体膜103に含まれる金属を完全に除去する必要があるならば、ハンドル小型切削機等で削って、粉になった金属と一部のゴムを掃除機等で吸い取れば良い。
【0069】
従って、本実施例2は、少々内部アンテナ77の発生起電力を犠牲にするが、量産性、経済性の観点から実施例1と比べてかなり優れていると言える。
【0070】
(実施例2の利用形態)
本実施例2の利用形態は、実施例1の利用形態と同じである。
【実施例3】
【0071】
本実施例3は、本実施例1、2と異なり、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤに全く手を加えずに、タイヤ本体の内側表面に着脱可能な金属メッシュ又は金属ワイヤからなる補強部材を有するタイヤ中敷を作成することが特徴である。以下、詳細に説明する。
【0072】
(実施例3の構成)
図7(A)、(B)は、本発明の実施例3におけるタイヤの内側を示す断面図であり、同図(A)はタイヤ中敷をタイヤ内に装着する前の図、及び同図(B)はタイヤ中敷をタイヤ内に装着した後の図である。
【0073】
本実施例3のタイヤ110は、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111と、この内側表面と同じ寸法を有し、該タイヤ本体111の内側表面に装着されるタイヤ中敷112とにより構成されている。タイヤ本体111は、リング状のゴム部分111aを有し、このゴム部分111aの内側に、タイヤ本体111をホイール43に装着するときに引っ掛ける引っ掛け部分111bが形成されている。タイヤ中敷112内には、導体(例えば、金属メッシュ、金属ワイヤ又は複数の円形閉ループ導体等)112aが設けられている。
【0074】
タイヤ中敷112は、タイヤ本体111に着脱し易くするために弾性体(例えば、弾力性のあるプラスチック系又はゴム系の材料)が好ましい。又、タイヤ中敷112の形状はタイヤ本体111の内側表面を模って作られ、厚みは略5mm程度で良い。このようなタイヤ中敷112をタイヤ本体111の内側表面に装着した本実施例3のタイヤ110は、従来の金属メッシュや金属ワイヤを有するタイヤ10とほぼ同じ電磁気的な特性を有することになる。
【0075】
一方、タイヤ110が高速回転するとき、又は急に回転を止められたときにタイヤ中敷112の回転速度をタイヤ本体111と同じようにしておかなければ摩擦等で破壊される虞れがあるから、タイヤ中敷112をタイヤ本体111に装着するときに部分的に接着剤(例えば、ゴム系接着剤等)でタイヤ本体111に接着させておけば安心である。しかし、あまり接着剤を大量に使うとタイヤ110が古くなってタイヤ中敷112をタイヤ本体111から外すときは困難である。
【0076】
(実施例3の動作)
本実施例3の基本的な動作は、実施例1、2と同じであるが、タイヤ中敷112の中に入れられる導体112aの構成(例えば、金属メッシュ、金属ワイヤ又は複数の円形閉ループ導体等)によって電磁気的な特性は異なり、主に外部アンテナ80と内部アンテナ77間の結合量(Sパラメータで言えばいわゆるS21)の値がかなり変わる。
【0077】
(実施例3の効果)
本実施例3では、金属メッシュや金属ワイヤ等を有するタイヤ中敷112を作成し、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させれば、金属メッシュや金属ワイヤを有する従来のタイヤ10と同様のタイヤ110が得られ、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70を改造することなく使用可能である。タイヤ110が古くなって交換する必要があるとき、タイヤ中敷112を外して新しい金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させれば良い。
【0078】
古くなったタイヤ本体111は全くのゴムだけなので、又ゴムの原材料としてすぐ再利用可能で、タイヤ中敷112もそのまま再利用できる。従って、本実施例3はタイヤ110の低価格化、高性能化に貢献するばかりでなく、環境にも極めて優しいものといえる。
【0079】
(実施例3の利用形態)
本実施例3の利用形態は、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面にタイヤ中敷112を装着させ、タイヤ110の電磁気的な特性を向上させることである。タイヤ中敷112をタイヤ本体111に装着しないと、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70は十分に機能できないことは明らかである。
【実施例4】
【0080】
本実施例4は、実施例3の変形であり、中敷内側表面に導体(例えば、複数の円形閉ループ導体箔)を設けたことが特徴である。
【0081】
(実施例4の構成)
図8は、本発明の実施例4におけるタイヤ中敷の内側を示す拡大断面図である。
このタイヤ中敷113は、図7のタイヤ本体111の内側表面に装着されるものであり、このタイヤ中敷113の内側表面には、ある程度の幅と厚みを有する複数の円形閉ループ導体箔113aが銅箔ゴム系接着剤等で貼り付けられている。円形閉ループ導体箔113aは、タイヤが高速で回転することを考慮すれば等間隔で貼り付けることは理想的であるが、図1に示すバルブ60に電磁波で給電することを考えると、磁界強度を強めるためにバルブ60に近いところに導体箔の本数が多い方が良い。従って、バルブ60に近いところの導体箔幅と間隔はやや細めにし、バルブ60から離れたところでは導体箔幅と間隔をやや太くする。
【0082】
タイヤ中敷113は、実施例3のタイヤ中敷112と同様にタイヤ本体111に着脱し易くするために、弾力性のあるプラスチック系又はゴム系の材料が好ましい。又、本実施例4のタイヤ中敷113の形状は、使用対象のタイヤ本体111の内側表面を模って作られ、厚みは略5mm程度で良い。タイヤ中敷113を図7のタイヤ本体111に装着したタイヤは、従来の金属メッシュや金属ワイヤを有するタイヤ10とほぼ同じ電磁気的な特性を有することになる。
【0083】
一方、タイヤが高速回転するとき、又は急に回転を止められたときに本実施例4のタイヤ中敷113の回転速度をタイヤ本体111と同じようにしておかなければ摩擦等で破壊される虞があるから、タイヤ本体111に装着するときに部分的に接着剤(例えば、ゴム系接着剤等)で接着させておけば安心である。しかし、あまり接着剤を大量に使うと、タイヤが古くなって本実施例のタイヤ中敷113をタイヤ本体111から外すときは困難である。
【0084】
(実施例4の動作)
本実施例4の基本的な動作は、実施例1と同じであるが、本実施例4のタイヤ中敷113の内側表面に貼り付けられた複数の円形閉ループ導体箔113aの寸法は、多少小さくなることによって電磁気的な特性も多少異なり、主に外部アンテナ80と内部アンテナ77間の結合量(Sパラメータで言えばいわゆるS21)の値が多少変わる。
【0085】
(実施例4の効果)
本実施例4では、内側表面に複数の円形閉ループ導体箔113aを施されたタイヤ中敷113を作成し、図7に示すような金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させれば、金属メッシュや金属ワイヤを有する従来のタイヤ10と同等のタイヤが得られ、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70を改造することなく使用可能である。タイヤが古くなって交換する必要があるとき、タイヤ中敷113を外して新しいタイヤ本体111の内側表面に装着させれば良い。
【0086】
古くなったタイヤ本体111は全くのゴムだけなので、又ゴムの原材料としてすぐ再利用可能で、タイヤ中敷113もそのまま再利用できる。従って、本実施例4はタイヤの低価格化、高性能化に貢献するばかりでなく、実施例3と同様に環境にも極めて優しいものといえる。
【0087】
(実施例4の利用形態)
本実施例4のタイヤ中敷113の利用形態は、実施例3と同じく、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させ、タイヤの電磁気的な特性を向上させることである。これをタイヤ本体111に装着しないと、従来の電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70は十分に機能できないことは明らかである。
【実施例5】
【0088】
本実施例5は、実施例3の変形であり、タイヤ中敷内側の表面に導体(例えば、複数の円形閉ループ導体膜)を設けることが特徴である。
【0089】
(実施例5の構成)
図9は、本発明の実施例5におけるタイヤ中敷の内側を示す断面図である。
実施例4は、タイヤ中敷113の内側表面に複数の円形閉ループ導体箔113aを貼り付けて、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70に対応できるようにしたものであった。これに対して本実施例5では、考え方は同じであるが、実施例4のようにタイヤ中敷113の内側表面に複数の円形閉ループ導体箔113aを貼り付けるのではなく、この円形閉ループ導体箔113aの代わりに、タイヤ中敷114の内側表面に、銀膜等からなる複数の円形閉ループ導体膜114aを形成している。
【0090】
円形閉ループ導体膜114aの形成の仕方は、以下のような方法で行える。
例えば、タイヤ中敷114の内側表面と同じ寸法の型を厚紙、プラスチック、ゴム又は金属箔で作成し、所望の円形閉ループパターンを切り抜きしておく。型の形状を崩れないようにするために、所望の円形閉ループパターンを切り抜きするときは、全部切り抜きするのではなく部分的に切り残しを施す必要がある。次に、型をタイヤ中敷114の内側表面に合わせて、密着させてから、例えば導電性ペースト、又は導電性塗料を型の切り抜きされたところに筆等で塗り、又は導電性塗料のスプレーを噴き付けて、ある程度乾燥してから型を外し、切り残しで繋がっていない円形閉ループ導体膜を、同じ導電性材料を使い筆等で塗って完全な円形閉ループ導体膜114aを完成させる。
【0091】
本実施例5では、タイヤ中敷114の内側表面に形成する円形閉ループ導体は膜であるので、タイヤの高速回転によるバランスを心配する必要はない。即ち、円形閉ループ導体膜114aの幅、間隔及び本数の分布は均一でなくても良い。従って、図1のバルブ60に電磁波で給電することを考えると、磁界強度を強めるためにバルブ60に近いところに円形閉ループ導体膜114aの本数が多い方が良いから、バルブ60に近いところの円形閉ループ導体膜幅と間隔はやや細めにし、バルブ60から離れたところでは円形閉ループ導体膜幅と間隔をやや太くする。
【0092】
本実施例5のタイヤ中敷114は、実施例3のタイヤ中敷112と同様に図7のタイヤ本体111に着脱し易くするために、弾力性のあるプラスチック系又はゴム系の材料が好ましい。又、本実施例5のタイヤ中敷114の形状は、使用対象のタイヤ本体111の内側表面を模って作られ、厚みは略5mm程度で良い。本実施例5のタイヤ中敷114をタイヤ本体111に装着すると、従来の金属メッシュや金属ワイヤを有するタイヤ10とほぼ同じ電磁気的な特性を有することになる。
【0093】
一方、タイヤが高速回転するとき、又は急に回転を止められたときに本実施例5のタイヤ中敷114の回転速度をタイヤ本体111と同じようにしておかなければ摩擦等で破壊される虞があるから、タイヤ本体111に装着するときに部分的に接着剤(例えば、ゴム系接着剤等)で接着させておけば安心である。しかし、あまり接着剤を大量に使うと、タイヤが古くなって本実施例5のタイヤ中敷114をタイヤから外すときは困難である。
【0094】
(実施例5の動作)
本実施例5の基本的な動作は、実施例2と同じであるが、本実施例5のタイヤ中敷114の内側表面に形成された複数の円形閉ループ導体膜114aの寸法は多少小さくなることによって、電磁気的な特性も多少異なり、主に外部アンテナ80と内部アンテナ77間の結合量(Sパラメータで言えばいわゆるS21)の値が多少変わる。
【0095】
(実施例5の効果)
本実施例5では、内側表面に複数の円形閉ループ導体膜114aを施されたタイヤ中敷114を作成し、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させれば、金属メッシュや金属ワイヤを有する従来のタイヤと同等のタイヤが得られ、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70を改造することなく使用可能である。タイヤが古くなって交換する必要があるとき、タイヤ中敷114を外して新しい金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させれば良い。
【0096】
古くなったタイヤ本体111は全くのゴムだけなので、又ゴムの原材料としてすぐ再利用可能で、タイヤ中敷114もそのまま再利用できる。従って、本実施例5はタイヤの低価格化、高性能化に貢献するばかりでなく、実施例3と同様に環境にも極めて優しいものといえる。
【0097】
(実施例5の利用形態)
本実施例5のタイヤ中敷114の利用形態は、実施例3と同じく、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させ、タイヤの電磁気的な特性を向上させることである。これをタイヤ本体111に装着しないと、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70は十分に機能できないことは明らかである。
【実施例6】
【0098】
本実施例6は、実施例4の変形であり、タイヤ中敷外側の表面に導体(例えば、複数の円形閉ループ導体箔)を設けたことが特徴である。
【0099】
(実施例6の構成)
図10は、本発明の実施例6におけるタイヤ中敷の内側を示す拡大断面図である。
このタイヤ中敷115は、図7のタイヤ本体111の内側表面に装着されるものであり、このタイヤ中敷115の外側表面には、例えば、銅箔等からなるある程度の幅と厚みを有する複数の円形閉ループ導体箔115aがゴム系接着剤等で貼り付けられている。円形閉ループ導体箔115aは、タイヤが高速で回転することを考慮すれば、等間隔で貼り付けることは理想的であるが、図1のバルブ60に電磁波で給電することを考えると、磁界強度を強めるためにバルブ60に近いところに導体箔の本数が多い方が良い。従って、バルブ60に近いところの導体箔幅と間隔はやや細めにし、バルブ60から離れたところでは導体箔幅と間隔をやや太くする。
【0100】
タイヤ中敷115は、実施例4のタイヤ中敷113と同様に図7のタイヤ本体111に着脱し易くするために、弾力性のあるプラスチック系又はゴム系の材料が好ましい。又、本実施例6のタイヤ中敷115の形状は、使用対象のタイヤ本体111の内側表面を模って作られ、厚みは略5mm程度で良い。このタイヤ中敷115をタイヤ本体111に装着したタイヤは、従来の金属メッシュや金属ワイヤを有するタイヤ10とほぼ同じ電磁気的な特性を有することになる。
【0101】
一方、タイヤが高速回転するとき、又は急に回転を止められたときに本実施例6のタイヤ中敷115の回転速度をタイヤ本体111と同じようにしておかなければ摩擦等で破壊される虞があるから、タイヤ本体111に装着するときに部分的に接着剤(例えば、ゴム系接着剤等)で接着させておけば安心である。しかし、あまり接着剤を大量に使うと、タイヤが古くなって本実施例6のタイヤ中敷115をタイヤ本体111から外すときは困難である。
【0102】
(実施例6の動作)
本実施例6のタイヤ中敷115の外側表面に貼り付けられた複数の円形閉ループ導体箔115aの寸法は、実施例1と同じであるから、基本的な動作も本実施例1と同じである。即ち、電磁気的な特性もほぼ同じく、主に外部アンテナ80と内部アンテナ77間の結合量(Sパラメータで言えばいわゆるS21)の値は本実施例1の場合とほぼ変わらない。
【0103】
(実施例6の効果)
本実施例6では、外側表面に複数の円形閉ループ導体箔115aを施されたタイヤ中敷115を作成し、図7のような金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させれば、金属メッシュや金属ワイヤを有する従来のタイヤ10と同等のタイヤが得られ、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70を改造することなく使用可能である。タイヤが古くなって交換する必要があるとき、タイヤ中敷115を外して新しい金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させれば良い。
【0104】
古くなったタイヤ本体111は全くのゴムだけなので、又ゴムの原材料としてすぐ再利用可能で、タイヤ中敷115もそのまま再利用できる。従って、本実施例6はタイヤの低価格化、高性能化に貢献するばかりでなく、実施例3同様に環境にも極めて優しいものといえる。
【0105】
(実施例6の利用形態)
本実施例のタイヤ中敷115の利用形態は、実施例3と同じく、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させ、タイヤの電磁気的な特性を向上させることである。これをタイヤ本体111に装着しないと電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70は十分に機能できないことは明らかである。
【実施例7】
【0106】
本実施例7は、本実施例3の変形であり、タイヤ中敷外側の表面に導体(例えば、複数の円形閉ループ導体膜)を設けたことが特徴である。
【0107】
(実施例7の構成)
図11は、本発明の実施例7におけるタイヤ中敷の内側を示す断面図である。
前記実施例5は、タイヤ中敷114の内側表面に複数の円形閉ループ導体膜114aを形成して、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70に対応できるようにしたものであった。これにたいして本実施例7では、考え方は同じであるが、実施例5のようにタイヤ中敷114の内側表面に複数の円形閉ループ導体膜114aを形成するのではなく、タイヤ中敷116の外側表面に銀膜等からなる複数の円形閉ループ導体膜116aを形成している。
【0108】
円形閉ループ導体膜116aの形成の仕方は、実施例5で述べた方法で行える。
例えば、タイヤ中敷116の外側表面と同じ寸法の型を厚紙、プラスチック、ゴム又は金属箔で作成し、所望の円形閉ループパターンを切り抜きしておく。型の形状を崩れないようにするために、所望の円形閉ループパターンを切り抜きするときは、全部切り抜きするのではなく部分的に切り残しを施す必要がある。
【0109】
次に、型をタイヤ中敷116の外側表面に合わせて、密着させてから、例えば導電性ペースト、又は導電性塗料を型の切り抜きされたところに筆等で塗り、又は導電性塗料のスプレーを噴き付けて、ある程度乾燥してから型を外し、切り残しで繋がっていない円形閉ループ導体膜を、同じ導電性材料を使い筆等で塗って完全な円形閉ループ導体膜116aを完成させる。
【0110】
本実施例7では、タイヤ中敷116の外側表面に形成する円形閉ループ導体は膜であるので、タイヤの高速回転によるバランスを心配する必要はない。即ち、円形閉ループ導体膜116aの幅、間隔及び本数の分布は均一でなくても良い。従って、図1のバルブ60に電磁波で給電することを考えると、磁界強度を強めるためにバルブ60に近いところに円形閉ループ導体膜116aの本数が多い方が良いから、バルブ60に近いところの円形閉ループ導体膜幅と間隔はやや細めにし、バルブ60から離れたところでは円形閉ループ導体膜幅と間隔をやや太くする。
【0111】
本実施例7のタイヤ中敷116は、実施例3のタイヤ中敷112と同様にタイヤ本体111に着脱し易くするために、弾力性のあるプラスチック系又はゴム系の材料が好ましい。又、本実施例7のタイヤ中敷116の形状は、使用対象のタイヤ本体111の内側表面を模って作られ、厚みは略5mm程度で良い。このタイヤ中敷116をタイヤ本体111に装着したタイヤは、従来の金属メッシュや金属ワイヤを有するタイヤ10とほぼ同じ電磁気的な特性を有することになる。
【0112】
一方、タイヤが高速回転するとき、又は急に回転を止められたときに、本実施例7のタイヤ中敷116の回転速度をタイヤと同じようにしておかなければ摩擦等で破壊される虞があるから、タイヤ本体111に装着するときに部分的に接着剤(例えば、ゴム系接着剤等)で接着させておけば安心である。しかし、あまり接着剤を大量に使うとタイヤが古くなって本実施例7のタイヤ中敷116をタイヤ本体111から外すときは困難である。
【0113】
(実施例7の動作)
本実施例7のタイヤ中敷116の外側表面に形成された複数の円形閉ループ導体膜116aの寸法は、実施例2と同じであるから、基本的な動作も本実施例2と同じである。即ち、電磁気的な特性もほぼ同じく、主に外部アンテナ80と内部アンテナ77間の結合量(Sパラメータで言えばいわゆるS21)の値は、本実施例2の場合とほぼ変わらない。
【0114】
(実施例7の効果)
本実施例7では、外側表面に複数の円形閉ループ導体膜116aを施されたタイヤ中敷116を作成し、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させれば、金属メッシュや金属ワイヤを有する従来のタイヤ10と同等のタイヤが得られ、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70を改造することなく使用可能である。タイヤが古くなって交換する必要があるとき、タイヤ中敷116を外して新しい金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させれば良い。
【0115】
古くなったタイヤ本体111は全くのゴムだけなので、又ゴムの原材料としてすぐ再利用可能で、タイヤ中敷116もそのまま再利用できる。従って、本実施例7はタイヤの低価格化、高性能化に貢献するばかりでなく、実施例3と同様に環境にも極めて優しいものといえる。
【0116】
(実施例7の利用形態)
本実施例のタイヤ中敷116の利用形態は、実施例3と同じく、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させ、タイヤの電磁気的な特性を向上させることである。これをタイヤ本体111に装着しないと、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70は十分に機能できないことは明らかである。
【実施例8】
【0117】
実施例1は、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体51の内側表面に複数の円形閉ループ導体箔53を貼り付けて、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70に対応できるようにしたものだった。これに対して本実施例8では、考え方は同じであるが、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体の内側表面に、実施例1のような複数の円形閉ループ導体箔53を貼り付けるのではなく、この円形閉ループ導体箔53の代わりに、複数ターンのソレノイド状導体箔を貼り付けるようにしている。
【0118】
(実施例8の構成)
図12は、本発明の実施例8を示すタイヤの構造の説明図である。
このタイヤ130は、リング状のゴム部分からなるタイヤ本体131を有し、このタイヤ本体131の内側に、タイヤ130をホイール43に装着するときに引っ掛ける引っ掛け部分132が形成されている。タイヤ本体131の内側表面には、例えば、銅箔等からなるある程度の幅と厚みを有する複数ターンのソレノイド状導体箔133がゴム系接着剤等で貼り付けられている。なお、図12では、見やすくするために複数ターンのソレノイド状導体箔133がタイヤ本体131の外に少しずらせて描かれているが、実際はタイヤ本体131の内側表面に貼り付けられている。
【0119】
ソレノイド状導体箔133は、タイヤ130が高速で回転することを考慮すれば、等間隔で貼り付けることは理想的であるが、図1のバルブ60に電磁波で給電することを考えると、磁界強度を強めるためにバルブ60に近いところにソレノイド状導体箔133の本数が多い方が良い。従って、バルブ60に近いところのソレノイド状導体箔幅と間隔はやや細めにし、バルブ60から離れたところではソレノイド状導体箔幅と間隔をやや太くする。
【0120】
(実施例8の動作)
本実施例8における図1の外部アンテナ80の動作は、実施例1、4、6とよく似ているので説明を省略するが、基本的に1つだけ異なることがあるためここで詳しく説明する。
【0121】
図1において、給電アンテナである外部アンテナ80は、タイヤ50とホイール43間の空間に高周波磁界Hを放射し、タイヤ50の側面に垂直である。従って、図12のタイヤ130においても、外部アンテナ80から放射される高周波磁界Hはタイヤ本体131の内側表面に貼り付けられたソレノイド状導体箔133の軸と並行で、即ちソレノイド状導体箔133の大円に垂直で、そこに磁束Φを発生させることになる。磁束Φは高周波磁界Hによって発生するものなので時間的に変化し、式(1)に示されたファラデーの電磁誘導法則に従ってソレノイド状導体箔133に起電力Eを発生させ、結果的にソレノイド状導体箔133に交流が流れることになる。この交流によってソレノイド状導体箔133に囲まれた空間を始め、その外側付近においても2次高周波磁界H’が発生する。
【0122】
図1の高周波磁界Hの発生源である外部アンテナ80から遠く離れた場所においても、高周波磁界Hが発生するから、タイヤ130の回転でバルブ60が外部アンテナ80から遠ざかったり、近づいたりしても、ソレノイド状導体箔内にある限り、常にほぼ安定な2次高周波磁界H’の放射を受けることができ、一般的にいわゆる誘導現象である。又、ソレノイド状導体箔133のターン数、幅、間隔と配置分布によってループ状の内部アンテナ77の受けられる磁束の安定度が多少異なることがある。内部アンテナ77の受けられる磁束は交流磁束なので、式(1)に従って内部アンテナ77に起電力Eを発生させ、バルブ60に内蔵された検出装置70の空気圧センサ72、温度センサ73及びこれらのセンサ72,73を駆動、制御する電子回路74の電力源となる。
【0123】
本実施例8において、基本的に1つだけ実施例1、4、6と異なることは、本実施例8の複数ターンのソレノイド状導体箔全体に流れる交流が同じで、実施例1、4、6の複数の円形閉ループ導体箔53,113a,115aに流れる交流が各円形閉ループ導体箔53,113a,115aによって異なることである。
【0124】
(実施例8の効果)
本実施例8では、1本の導体箔を巻いてソレノイド状導体箔133を構成するので、ソレノイドの各ターンに流れる誘導交流は同じで、これによってソレノイド状導体箔133に囲まれた空間内に発生する高周波磁界Hの強度は、実施例1、4、6の場合と比べてかなり安定である。
【0125】
又、タイヤ130が古くなって廃棄されるとき、実施例1と同様に、金属メッシュや金属ワイヤを有する従来のタイヤ10と異なって、タイヤ本体131の内側表面に貼り付けられたソレノイド状導体箔133を剥がし取ることができ、簡単にゴムと金属を分離することができる。結果的に、古タイヤ130は純度の高いゴムの原材料になり、再利用率が高くなるわけである。
【0126】
従って、本実施例8は、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70と組み合わせて使用されるときのタイヤ130の性能を向上させるばかりでなく、従来のタイヤ10の処理のような環境汚染をもたらさず、再利用率を向上させ、タイヤ130の低価格化にも貢献する。
【0127】
(実施例8の利用形態)
本実施例8のタイヤ130の利用形態は、金属メッシュや金属ワイヤを有する従来のタイヤ10と全く同じである。ただ、ホイール43に装着するときに、もしタイヤ本体131の内側表面に貼られた複数ターンのソレノイド状導体箔123の分布が一様でなければ、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70に最大の電力を供給できるように指示書に従って装着作業に気をつける必要がある。
【実施例9】
【0128】
実施例8は、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体131の内側表面に複数ターンのソレノイド状導体箔133を貼り付けて、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70に対応できるようにしたものだった。これに対して本実施例9では、考え方は同じであるが、実施例8のように金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体131の内側表面に複数ターンのソレノイド状導体箔133を貼り付けるのではなく、このソレノイド状導体箔133の代わりに、タイヤ本体の内側表面に複数ターンのソレノイド状導体膜を形成することである。
【0129】
(実施例9の構成)
図13は、本発明の実施例9を示すタイヤの構造の説明図である。
このタイヤ140は、リング状のゴム部分からなるタイヤ本体141を有し、このタイヤ本体141の内側に、タイヤ140をホイール43に装着するときに引っ掛ける引っ掛け部分142が形成されている。タイヤ本体141の内側表面には、複数ターンのソレノイド状導体膜143が形成されている。ソレノイド状導体膜143は、例えば、銀膜等からなる薄い膜であり、銀ペースト等の導電性ペースト、又は導電性塗料等で形成されている。なお、図13では、見やすくするために複数ターンのソレノイド状導体膜143がタイヤ本体1410の外に少しずらせて描かれているが、実際はタイヤ本体141の内側表面上に形成されている。
【0130】
ソレノイド状導体膜133の形成の仕方は、実施例2、5、7と同じような方法で行えるので、形成工程の説明を省略する。
【0131】
本実施例9では、タイヤ本体141の内側表面に形成されるものがソレノイド状導体膜143であるので、タイヤ140の高速回転によるバランスを心配する必要はく、ソレノイド状導体膜143の幅、間隔及びターン数の分布は均一でなくても良い。
【0132】
(実施例9の動作)
本実施例9の動作は、実施例8の動作と全く同じであるので、説明を省略するが、ソレノイド状導体膜143の厚みは、実施例8のソレノイド状導体箔133の厚みと比べて何分の一薄い上に、銀ペースト等の導電性ペースト、又は導電性塗料等を用いたため、導体箔133と比べて抵抗がやや高いので、図1の内部アンテナ77の発生できる起電力は実施例8の場合と比べて幾分か低下する。
【0133】
(実施例9の効果)
本実施例9では、事前にソレノイド状導体膜143を形成する型を作成しておく手間は掛かるが、この後の作業、即ちソレノイド状導体膜143の形成作業は非常に迅速に行えるので、作業効率の向上が期待できる。
【0134】
又、タイヤ本体141の内側表面に形成されたソレノイド状導体膜143に含まれる金属は微量で、ほとんどゴムだけでできているタイヤと同じなので、古くなったとき、ゴムの原材料として使用しても問題はないが、どうしてもソレノイド状導体膜143に含まれる金属を完全に除去する必要があるならば、ハンドル小型切削機等で削って、粉になった金属と一部のゴムを掃除機等で吸い取れば良い。
【0135】
従って、本実施例9は少々内部アンテナ77の発生起電力を犠牲にするが、量産性、経済性の観点から実施例8と比べてかなり優れていると言える。
【0136】
(実施例9の利用形態)
本実施例9のタイヤ140の利用形態は、金属メッシュや金属ワイヤを有する従来のタイヤ10と全く同じである。ただ、ホイール43に装着するときに、もしタイヤ本体141の内側表面に形成された複数ターンのソレノイド状導体膜143の分布が一様でなければ、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70に最大の電力を供給できるように指示書に従って形成作業に気をつける必要がある。
【実施例10】
【0137】
本実施例10は、本実施例3の変形であり、タイヤ中敷内側の表面に、金属材で形成されたソレノイド(例えば、複数ターンのソレノイド状導体ワイヤ)を設けたことが特徴である。
【0138】
(実施例10の構成)
図14は、本発明の実施例10を示すタイヤ中敷の構造の説明図である。
このタイヤ中敷117は、図7のタイヤ本体111の内側表面に装着されるものであり、このタイヤ中敷117の内側表面に、複数ターンのソレノイド状導体ワイヤ117aがゴム系接着剤等で貼り付けられている。ソレノイド状導体ワイヤ117aは、タイヤが高速で回転することを考慮すれば、等間隔で貼り付けることは理想的であるが、図1のバルブ60に電磁波で給電することを考えると、磁界強度を強めるためにバルブ60に近いところに導体ワイヤの本数が多い方が良い。従って、バルブ60に近いところのソレノイド状導体ワイヤ間隔はやや狭くし、バルブ60から離れたところではソレノイド状導体ワイヤ間隔をやや広くする。
【0139】
本実施例10のタイヤ中敷117は、実施例3のタイヤ中敷112と同様にタイヤ本体111に着脱し易くするために、弾力性のあるプラスチック系又はゴム系の材料が好ましい。又、本実施例10のタイヤ中敷117の形状は、使用対象のタイヤ本体111の内側表面を模って作られ、厚みは略5mm程度で良い。このタイヤ中敷117をタイヤ本体111に装着したタイヤは、従来の金属メッシュや金属ワイヤを有するタイヤ10とほぼ同じ電磁気的な特性を有することになる。
【0140】
一方、タイヤが高速回転するとき、又は急に回転を止められたときに、本実施例10のタイヤ中敷117の回転速度をタイヤ本体111と同じようにしておかなければ、摩擦等で破壊される虞があるから、タイヤ本体111に装着するときに、部分的に接着剤(例えば、ゴム系接着剤等)で接着させておけば安心である。しかし、あまり接着剤を大量に使うと、タイヤが古くなって本実施例のタイヤ中敷117をタイヤ本体111から外すときは困難である。
【0141】
(実施例10の動作)
本実施例10の基本的な動作は、実施例8と同じであるが、本実施例のタイヤ中敷117の内側表面に貼り付けられた複数ターンのソレノイド状導体ワイヤ117aの寸法は、多少小さくなることによって電磁気的な特性も多少異なり、主に外部アンテナ80と内部アンテナ77間の結合量(Sパラメータで言えばいわゆるS21)の値が多少変わる。
【0142】
(実施例10の効果)
本実施例10では、内側表面に複数ターンのソレノイド状導体ワイヤ117aが貼り付けられたタイヤ中敷117を作成し、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させれば、金属メッシュや金属ワイヤを有する従来のタイヤ10と同等のタイヤが得られ、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70を改造することなく使用可能である。タイヤが古くなって交換する必要があるとき、タイヤ中敷117を外して新しいタイヤ本体111の内側表面に装着させれば良い。
【0143】
古くなったタイヤ本体111は全くのゴムだけなので、又ゴムの原材料としてすぐ再利用可能で、そのタイヤ中敷117もそのまま再利用できる。従って、本実施例10はタイヤの低価格化、高性能化に貢献するばかりでなく、実施例3と同様に環境にも極めて優しいものといえる。
【0144】
(実施例10の利用形態)
本実施例10のタイヤ中敷117の利用形態は、実施例3と同じく、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させ、タイヤの電磁気的な特性を向上させることである。これをタイヤ本体111に装着しないと、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70は十分に機能できないことは明らかである。
【実施例11】
【0145】
本実施例は、本実施例3の変形であり、タイヤ中敷内側の表面に導体(例えば、複数ターンのソレノイド状導体箔)を設けたことが特徴である。
【0146】
(実施例11の構成)
図15は、本発明の実施例11を示すタイヤ中敷の構造の説明図である。
このタイヤ中敷118は、図7のタイヤ本体111の内側表面に装着されるものであり、このタイヤ中敷118の内側表面に、銅箔等からなる複数ターンのソレノイド状導体箔118aがゴム系接着剤等で貼り付けられている。ソレノイド状導体箔118aは、タイヤが高速で回転することを考慮すれば、等間隔で貼り付けることは理想的であるが、図1のバルブ60に電磁波で給電することを考えると、磁界強度を強めるためにバルブ60に近いところに導体箔の本数が多い方が良い。従って、バルブ60に近いところの導体箔幅と間隔はやや細めにし、バルブ60から離れたところでは導体箔幅と間隔をやや太くする。
【0147】
本実施例11のタイヤ中敷118は、実施例3のタイヤ中敷112と同様にタイヤ本体111に着脱し易くするために、弾力性のあるプラスチック系又はゴム系の材料が好ましい。又、本実施例11のタイヤ中敷118の形状は、使用対象のタイヤ本体111の内側表面を模って作られ、厚みは略5mm程度で良い。このタイヤ中敷118をタイヤ本体111に装着したタイヤは、従来の金属メッシュや金属ワイヤを有するタイヤ10とほぼ同じ電磁気的な特性を有することになる。
【0148】
一方、タイヤが高速回転するとき、又は急に回転を止められたときに、本実施例11のタイヤ中敷118の回転速度をタイヤ本体111と同じようにしておかなければ、摩擦等で破壊される虞があるから、タイヤ本体111に装着するときに部分的に接着剤(例えば、ゴム系接着剤等)で接着させておけば安心である。しかし、あまり接着剤を大量に使うと、タイヤが古くなって本実施例のタイヤ中敷118をタイヤ本体111から外すときは困難である。
【0149】
(実施例11の動作)
本実施例11の基本的な動作は、本実施例8と同じであるが、本実施例11のタイヤ中敷118の内側表面に貼り付けられた複数ターンのソレノイド状導体箔118aの寸法は、多少小さくなることによって電磁気的な特性も多少異なり、主に外部アンテナ80と内部アンテナ77間の結合量(Sパラメータで言えばいわゆるS21)の値が多少変わる。
【0150】
(実施例11の効果)
本実施例11では、内側表面に複数ターンのソレノイド状導体箔118aを貼り付けられたタイヤ中敷118を作成し、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させれば、金属メッシュや金属ワイヤを有する従来のタイヤ10と同等のタイヤが得られ、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70を改造することなく使用可能である。タイヤが古くなって交換する必要があるときは、タイヤ中敷118を外して新しいタイヤ本体111の内側表面に装着させれば良い。
【0151】
古くなったタイヤ本体111は全くのゴムだけなので、又ゴムの原材料としてすぐ再利用可能で、タイヤ中敷118もそのまま再利用できる。従って、本実施例11はタイヤの低価格化、高性能化に貢献するばかりでなく、実施例3と同様に環境にも極めて優しいものと言える。
【0152】
(実施例11の利用形態)
本実施例の利用形態のタイヤ中敷118は、実施例3と同じく、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させ、タイヤの電磁気的な特性を向上させることである。これをタイヤ本体111に装着しないと、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70は十分に機能できないことは明らかである。
【実施例12】
【0153】
本実施例12は、実施例11と考え方は同じであるが、タイヤ中敷内側の表面に複数ターンのソレノイド状導体箔118aの代わりに、複数ターンのソレノイド状導体膜を設けたことが特徴である。
【0154】
(実施例12の構成)
図16は、本発明の実施例12を示すタイヤ中敷の構造の説明図である。
このタイヤ中敷119は、図7のタイヤ本体111の内側表面に装着されるものであり、このタイヤ中敷119の内側表面に、銀膜等からなる複数ターンのソレノイド状導体膜119aが形成されている。
【0155】
ソレノイド状導体膜119aの形成の仕方は、実施例5と類似しているので詳細な説明を省略する。但し、本実施例12では、型となる厚紙、プラスチック、ゴム又は金属箔には円形閉ループパターンではなく、ソレノイド状パターンを切り抜きしておく。型の形状を崩れないようにするために、所望のソレノイド状パターンを切り抜きするときは、全部切り抜きするのではなく部分的に切り残しを施す必要がある。その後の作業は実施例5の場合と同じように行えば、タイヤ中敷119の内側表面にソレノイド状導体膜119aが得られる。
【0156】
又、本実施例12のタイヤ中敷119も材質的にも形状的にも、例えば実施例5と同様である。このタイヤ中敷119をタイヤ本体111に装着したタイヤは、従来の金属メッシュや金属ワイヤを有するタイヤ10とほぼ同じ電磁気的な特性を有することになる。
【0157】
一方、タイヤが高速回転するとき、又は急に回転を止められたときに、本実施例12のタイヤ中敷119の回転速度をタイヤ本体111と同じようにしておかなければ、摩擦等で破壊される虞があるから、タイヤ本体111に装着するときに部分的に接着剤(例えば、ゴム系接着剤等)で接着させておけば安心である。しかし、あまり接着剤を大量に使うと、タイヤが古くなって本実施例12のタイヤ中敷119をタイヤ本体111から外すときは困難である。
【0158】
(実施例12の動作)
本実施例12の基本的な動作は、実施例9と同じであるが、タイヤ中敷119の内側表面に貼り付けられた複数ターンのソレノイド状導体膜119aの寸法は多少小さくなることによって電磁気的な特性も多少異なり、主に外部アンテナ80と内部アンテナ77間の結合量(Sパラメータで言えばいわゆるS21)の値が多少変わる。
【0159】
(実施例12の効果)
本実施例12では、内側表面に複数ターンのソレノイド状導体膜119aが形成されたタイヤ中敷119を作成し、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させれば、金属メッシュや金属ワイヤを有する従来のタイヤ10と同等のタイヤが得られ、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70を改造することなく使用可能である。タイヤが古くなって交換する必要があるとき、タイヤ中敷119を外して新しいタイヤ本体111の内側表面に装着させれば良い。
【0160】
古くなったタイヤ本体111は全くのゴムだけなので、又ゴムの原材料としてすぐ再利用可能で、タイヤ中敷119もそのまま再利用できる。従って、本実施例12はタイヤの低価格化、高性能化に貢献するばかりでなく、実施例3と同様に環境にも極めて優しいものといえる。
【0161】
(実施例12の利用形態)
本実施例12の利用形態のタイヤ中敷119は、実施例3と同じく、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させ、タイヤの電磁気的な特性を向上させることである。これをタイヤ本体111に装着しないと、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70は十分に機能できないことは明らかである。
【実施例13】
【0162】
本実施例13は、実施例10の変形であり、タイヤ中敷外側の表面に導体(例えば、複数ターンのソレノイド状導体ワイヤ)を設けたことが特徴である。
【0163】
(実施例13の構成)
図17は、本発明の実施例13を示すタイヤ中敷の構造の説明図である。
このタイヤ中敷120は、図7のタイヤ本体111の内側表面に装着されるものであり、このタイヤ中敷120の外側表面に、複数ターンのソレノイド状導体ワイヤ120aがゴム系接着剤等で貼り付けられている。ソレノイド状導体ワイヤ120aは、タイヤが高速で回転することを考慮すれば、等間隔で貼り付けることは理想的であるが、バルブ60に電磁波で給電することを考えると、磁界強度を強めるためにバルブ60に近いところに導体ワイヤの本数が多い方が良い。従って、バルブ60に近いところのソレノイド状導体ワイヤ間隔はやや狭くし、バルブ60から離れたところではソレノイド状導体ワイヤ間隔をやや広くする。
【0164】
本実施例13のタイヤ中敷120は、実施例3のタイヤ中敷112と同様に、タイヤ本体111に着脱し易くするために、弾力性のあるプラスチック系又はゴム系の材料が好ましい。又、本実施例13のタイヤ中敷120の形状は、使用対象のタイヤ本体111の内側表面を模って作られ、厚みは略5mm程度で良い。このタイヤ中敷120をタイヤ本体111に装着したタイヤは、従来の金属メッシュや金属ワイヤを有するタイヤ10とほぼ同じ電磁気的な特性を有することになる。
【0165】
一方、タイヤが高速回転するとき、又は急に回転を止められたときに、本実施例13のタイヤ中敷120の回転速度をタイヤ本体111と同じようにしておかなければ摩擦等で破壊される虞があるから、タイヤ本体111に装着するときに部分的に接着剤(例えば、ゴム系接着剤等)で接着させておけば安心である。しかし、あまり接着剤を大量に使うと、タイヤが古くなって本実施例13のタイヤ中敷120をタイヤ本体111から外すときは困難である。
【0166】
(実施例13の動作)
本実施例13の基本的な動作は、実施例8とほぼ同じであるが、本実施例13のタイヤ中敷120の外側表面に貼り付けられた複数ターンのソレノイド状導体ワイヤ120aの幅寸法は、細くなることによって電磁気的な特性も多少異なり、主に外部アンテナ80と内部アンテナ77間の結合量(Sパラメータで言えばいわゆるS21)の値が多少変わる。
【0167】
(本実施例13の効果)
本実施例13では、外側表面に複数ターンのソレノイド状導体ワイヤ120aが貼り付けられたタイヤ中敷120を作成し、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させれば、金属メッシュや金属ワイヤを有する従来のタイヤ10と同等のタイヤが得られ、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70を改造することなく使用可能である。タイヤが古くなって交換する必要があるとき、タイヤ中敷120を外して新しいタイヤ本体111の内側表面に装着させれば良い。
【0168】
古くなったタイヤ本体111は全くのゴムだけなので、又ゴムの原材料としてすぐ再利用可能で、タイヤ中敷120もそのまま再利用できる。従って、本実施例13はタイヤの低価格化、高性能化に貢献するばかりでなく、実施例3と同様に環境にも極めて優しいものといえる。
【0169】
(実施例13の利用形態)
本実施例13の利用形態のタイヤ中敷120は、実施例3と同じく、タイヤ本体111の内側表面に装着させ、タイヤの電磁気的な特性を向上させることである。これをタイヤ本体111に装着しないと、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70は十分に機能できないことは明らかである。
【実施例14】
【0170】
本実施例は、実施例11の変形であり、タイヤ中敷外側の表面に導体(例えば、複数ターンのソレノイド状導体箔)を設けたことが特徴である。
【0171】
(実施例14の構成)
図18は、本発明の実施例14を示すタイヤ中敷の構造の説明図である。
このタイヤ中敷121は、図7のタイヤ本体111の内側表面に装着されるものであり、このタイヤ中敷121の外側表面に、銅箔等からなる複数ターンのソレノイド状導体箔121aがゴム系接着剤等で貼り付けられている。ソレノイド状導体箔121aは、タイヤが高速で回転することを考慮すれば、等間隔で貼り付けることは理想的であるが、バルブ60に電磁波で給電することを考えると、磁界強度を強めるためにバルブ60に近いところに導体箔の本数が多い方が良い。従って、バルブ60に近いところの導体箔幅と間隔はやや細めにし、バルブ60から離れたところでは導体箔幅と間隔をやや太くする。
【0172】
本実施例14のタイヤ中敷121は、実施例3のタイヤ中敷112と同様に、タイヤ本体111に着脱し易くするために、弾力性のあるプラスチック系又はゴム系の材料が好ましい。又、本実施例14のタイヤ中敷121の形状は、使用対象のタイヤ本体111の内側表面を模って作られ、厚みは略5mm程度で良い。このタイヤ中敷121をタイヤ本体111に装着したタイヤは、従来の金属メッシュや金属ワイヤを有するタイヤ10とほぼ同じ電磁気的な特性を有することになる。
【0173】
一方、タイヤが高速回転するとき、又は急に回転を止められたときに、本実施例14のタイヤ中敷121の回転速度をタイヤ本体111と同じようにしておかなければ、摩擦等で破壊される虞があるから、タイヤ本体111に装着するときに、部分的に接着剤(例えば、ゴム系接着剤等)で接着させておけば安心である。しかし、あまり接着剤を大量に使うと、タイヤが古くなって本実施例14のタイヤ中敷121をタイヤ本体111から外すときは困難である。
【0174】
(実施例14の動作)
本実施例14の基本的な動作は、実施例8と同じである。見方を変えれば、実施例8のタイヤ130に貼り付けられたソレノイド状導体箔133の内側に、導体材料を含まない中敷を装着するのと同じである。即ち、ソレノイド状導体箔121aをタイヤ部分と中敷の間に挟むのと同じである。タイヤ中敷121は弾力性のあるプラスチック系又はゴム系の材料のため、ほとんどタイヤとホイール43の間に発生する誘導磁界に影響を及ぼさないので、主に外部アンテナ80と内部アンテナ77間の結合量(Sパラメータで言えばいわゆるS21)の値は本実施例8の場合と同じである。
【0175】
(実施例14の効果)
本実施例14では、外側表面に複数ターンのソレノイド状導体箔121aが貼り付けられたタイヤ中敷121を作成し、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させれば、金属メッシュや金属タイヤを有する従来のタイヤ10と同等のタイヤが得られ、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70を改造することなく使用可能である。タイヤが古くなって交換する必要があるとき、タイヤ中敷121を外して新しいタイヤ本体111の内側表面に装着させれば良い。
【0176】
古くなったタイヤ本体111は全くのゴムだけなので、又ゴムの原材料としてすぐ再利用可能で、タイヤ中敷121もそのまま再利用できる。従って、本実施例14はタイヤの低価格化、高性能化に貢献するばかりでなく、実施例3と同様に環境にも極めて優しいものといえる。
【0177】
(実施例14の利用形態)
本実施例14の利用形態のタイヤ中敷121は、実施例3と同じく、タイヤ本体111の内側表面に装着させ、タイヤの電磁気的な特性を向上させることである。これをタイヤ本体111に装着しないと、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70は十分に機能できないことは明らかである。
【実施例15】
【0178】
本実施例15は、実施例12の変形であり、タイヤ中敷外側の表面に導体(例えば、複数ターンのソレノイド状導体膜)を設けたことが特徴である。
【0179】
(実施例15の構成)
図19は、本発明の実施例15を示すタイヤ中敷の構造の説明図である。
このタイヤ中敷122は、図7のタイヤ本体111の内側表面に装着されるものであり、このタイヤ中敷122の外側表面に、銀膜等からなる複数ターンのソレノイド状導体膜122aが形成されている。
【0180】
ソレノイド状導体膜122aの形成の仕方は、実施例5又は7と類似しているので詳細な説明を省略する。但し、本実施例15では型となる厚紙、プラスチック、ゴム又は金属箔には、円形閉ループパターンではなく、ソレノイド状パターンを切り抜きしておく。型の形状を崩れないようにするために、所望のソレノイド状パターンを切り抜きするときは、全部切り抜きするのではなく、部分的に切り残しを施す必要がある。その後の作業は実施例5の場合と同じように行えば、タイヤ中敷122の外側表面にソレノイド状導体膜122aが得られる。
【0181】
又、本実施例15のタイヤ中敷122も、材質的にも形状的にも例えば実施例5と同様である。このタイヤ中敷122をタイヤ本体111に装着したタイヤは、従来の金属メッシュや金属ワイヤを有するタイヤ10とほぼ同じ電磁気的な特性を有することになる。
【0182】
一方、タイヤが高速回転するとき、又は急に回転を止められたときに、本実施例15のタイヤ中敷122の回転速度をタイヤ本体111と同じようにしておかなければ、摩擦等で破壊される虞があるから、タイヤ本体111に装着するときに、部分的に接着剤(例えば、ゴム系接着剤等)で接着させておけば安心である。しかし、あまり接着剤を大量に使うと、タイヤが古くなって本実施例15のタイヤ中敷122をタイヤ本体111から外すときは困難である。
【0183】
(実施例15の動作)
本実施例15の基本的な動作は、本実施例9と同じである。見方を変えれば、実施例9のタイヤ140に施されたソレノイド状導体膜143の内側に、導体材料を含まない中敷を装着するのと同じである。即ち、ソレノイド状導体膜143をタイヤ部分と中敷の間に挟むのと同じである。タイヤ中敷122は弾力性のあるプラスチック系又はゴム系の材料のため、ほとんどタイヤとホイール43の間に発生する誘導磁界に影響を及ぼさないので、主に外部アンテナ80と内部アンテナ77間の結合量(Sパラメータで言えばいわゆるS21)の値は本実施例9の場合と同じである。
【0184】
(実施例15の効果)
本実施例15では、外側表面に複数ターンのソレノイド状導体膜122aが形成されたタイヤ中敷122を作成し、金属メッシュや金属ワイヤを有しない実施例3のタイヤ本体111の内側表面に装着させれば、金属メッシュや金属タイヤを有する従来のタイヤ10と同等のタイヤが得られ、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70を改造することなく使用可能である。タイヤが古くなって交換する必要があるとき、タイヤ中敷122を外して新しいタイヤ本体111の内側表面に装着させれば良い。
【0185】
古くなったタイヤ本体111は全くのゴムだけなので、又ゴムの原材料としてすぐ再利用可能で、タイヤ中敷122もそのまま再利用できる。従って、本実施例15はタイヤの低価格化、高性能化に貢献するばかりでなく、実施例3と同様に環境にも極めて優しいものといえる。
【0186】
(実施例15の利用形態)
本実施例15の利用形態のタイヤ中敷122は、実施例3と同じく、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させ、タイヤの電磁気的な特性を向上させることである。これをタイヤ本体111に装着しないと、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70は十分に機能できないことは明らかである。
【実施例16】
【0187】
本実施例16は、タイヤ中敷をネット状(網状)の導体ワイヤ又は導体箔で形成することを特徴とする。
【0188】
(実施例16の構成)
図20は、本発明の実施例16を示すタイヤの構造の説明図である。
このタイヤ150は、リング状のゴム部分からなるタイヤ本体151を有し、このタイヤ本体151の内側に、タイヤ150をホイール43に装着するときに引っ掛ける引っ掛け部分152が形成されている。タイヤ本体151の内側表面には、例えば、スチルワイヤ又は銅箔等で作られた導体ネット状中敷153が装着されている。導体ネット状中敷153は、事前に略タイヤの内側幅前後で線状導体(例えば、スチルワイヤや幅の狭い銅箔等)でネット状に編んで、これをタイヤ内側大円の周囲とほぼ同じ又は少し長めの長さに切断し、タイヤ内側形状にフィットするように型プレス加工等で形状を整えてから両端を熔接、半田付け等で接続させてから、タイヤ150の内側に装着する。
【0189】
本実施例16の導体ネット状中敷153をタイヤ本体151に装着したタイヤ150は、従来の金属メッシュや金属ワイヤを有するタイヤ10とほぼ同じ電磁気的な特性を有することになる。
【0190】
一方、タイヤ150が高速回転するとき、又は急に回転を止められたときに、導体ネット状中敷153の回転速度をタイヤ本体151と同じようにしておかなければ、摩擦等で破壊される虞があるから、タイヤ本体151に装着するときに、部分的に接着剤(例えば、ゴム系接着剤等)で接着させておけば安心である。しかし、あまり接着剤を大量に使うと、タイヤ150が古くなって導体ネット状中敷153をタイヤ本体151から外すときは困難である。
【0191】
(実施例16の動作)
本実施例16の基本的な動作は、従来の金属メッシュや金属ワイヤを有するタイヤ10と同じである。即ち、導体ネット状中敷153は、従来のタイヤ10の金属メッシュや金属ワイヤをタイヤ本体11の内側表面に設ける、あるいはタイヤ本体11の中からこのタイヤ本体11の内側表面に浮き上がらせるだけなので、基本的な動作は従来のタイヤ10の場合と変わらない。従って、外部アンテナ80と内部アンテナ77間の結合量(Sパラメータで言えばいわゆるS21)の値は、従来のタイヤ10の場合と略同じである。
【0192】
(実施例16の効果)
本実施例16では、タイヤ本体151の内側表面に導体ネット状中敷153を設けることによって、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70を改造することなく使用可能である。タイヤ150が古くなって交換する必要があるとき、導体ネット状中敷153を外して実施例3のような新しいタイヤ本体111の内側表面に装着させれば良い。
【0193】
古くなったタイヤ150のタイヤ本体151は全くのゴムだけなので、ゴムの原材料としてすぐ再利用可能で、導体ネット状中敷153もそのまま再利用できる。従って、本実施例16はタイヤの低価格化、高性能化に貢献するばかりでなく、実施例3と同様に環境にも極めて優しいものといえる。
【0194】
(実施例16の利用形態)
本実施例16の導体ネット状中敷153の利用形態は、実施例3と同じく、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させ、タイヤの電磁気的な特性を向上させることである。これをタイヤ本体111に装着しないと、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70は十分に機能できないことは明らかである。
【実施例17】
【0195】
本実施例17は、本実施例1〜16までに用いた導体材料(例えば、スチル、銅、銀等)を可能な限り全て導電性繊維(例えば、カーボン繊維)で代用することを特徴とする。
【0196】
(実施例17の構成)
タイヤの主材料であるゴムもカーボン繊維も、同じく炭素を主体とする有機高分子である。しかし、タイヤのゴムの電気抵抗は高く、ほとんど絶縁体であるのに対して、カーボン繊維の電気抵抗は小さく、良好な導電性を有し、抵抗率は略103Ωcm以下である。
【0197】
本実施例17は、実施例1〜16に用いた導体材料(例えば、スチル、銅、銀等)を全てカーボン繊維で置き換えて行ったから、構成はそれぞれ各実施例1〜16までの構成と基本的に同じである。しかし、実施例1〜16の中に用いられた導体材料の中には、例えば銅箔、銀の膜、スチルワイヤ等があるが、カーボン繊維をこれらの導体材料と同じように使用できるためには、まず事前にそれぞれの材料に近い形に加工しておく必要がある。
【0198】
例えば、カーボン繊維の直径は略10μm程度なので、このままでは銅箔、銀の膜、スチルワイヤ等の代用材料として使用できない。そのため、カーボン繊維を直径数百ミクロンの糸に製糸し、これを用いてさらに太い糸に加工する。これらのカーボン繊維で加工された糸を用いて薄手の布、厚手の布を編んだり、樹脂で固めてスチルワイヤのようなカーボンワイヤに加工したりしておけば、実施例1〜16の中に用いられた導体材料は全部カーボン繊維で代用可能になる。例えば、銅箔の代わりに厚手のカーボン布地、銀の膜の代わりに薄手のカーボン布地、スチルワイヤの代わりにカーボンワイヤを用いることができる。
【0199】
従って、本実施例17の構成は、多少の加工方法が異なっても、基本的に実施例1〜16の構成と同じである。
【0200】
(実施例17の動作)
本実施例17のタイヤの基本的な動作は、実施例1〜16までのそれぞれの動作と同じく、従来の金属メッシュや金属ワイヤを有するタイヤ10と同じである。即ち、本実施例17のタイヤの動作は、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤに外付けの金属箔(銅箔)や金属膜(銀膜)又は金属ワイヤ(スチルワイヤ)を設ける代わりに、カーボン繊維で作られた厚手のカーボン布地や薄手のカーボン布地又はカーボンワイヤを設けることにより、実施例1〜16の各々の動作とほぼ同じになる。従って、外部アンテナ80と内部アンテナ77間の結合量(Sパラメータで言えばいわゆるS21)の値は、従来のタイヤ10の場合と略同じである。
【0201】
(実施例17の効果)
本実施例17のようにカーボン繊維を利用すれば、実施例1〜16と同じ効果を得ることができる。しかも、カーボン繊維はタイヤのゴムと同じく炭素を主体とする有機高分子なので、互いに馴染みやすく接着力が金属の場合と比べて強い。又、カーボン繊維は強アルカリ、強酸、高温(略200℃まで)に強いので特性の劣化はなく、本実施例17のカーボン繊維を介する外部アンテナ80と内部アンテナ77間の結合量(いわゆるS21)の値は、タイヤの寿命に関わらず安定である。
【0202】
一方、カーボン繊維はタイヤのゴムと同じく炭素を主体とする有機高分子なので、タイヤが古くなって交換されるときに、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤと後で追加された各種のカーボン繊維で作られた各種の磁界誘導閉ループ又はソレノイドも一緒に処理できて、又ゴムの原材料としてすぐ再利用可能である。
【0203】
従って、本実施例17はタイヤの低価格化、高性能化に貢献するばかりでなく、実施例3と同様に環境にも極めて優しいものといえる。
【0204】
(実施例17の利用形態)
本実施例17の利用形態は、実施例3と同じく、金属メッシュや金属ワイヤを有しないタイヤ本体111の内側表面に装着させ、タイヤの電磁気的な特性を向上させることである。これをタイヤ本体111に装着しないと、電池レス又は電磁波給電タイヤ内空気圧と温度を検出する検出装置70は十分に機能できないことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】本発明の実施例1を示すタイヤ状態検出システムにおける電磁波給電システムの説明図である。
【図2】図1中のタイヤの拡大断面図である。
【図3】図1中のバルブの内部構成を示す図である。
【図4】従来のタイヤ状態検出システムの説明図である。
【図5】図4中のタイヤの構造の説明図である。
【図6】発明の実施例2におけるタイヤの内側を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例3におけるタイヤの内側を示す断面図である。
【図8】発明の実施例4におけるタイヤ中敷の内側を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の実施例5におけるタイヤ中敷の内側を示す断面図である。
【図10】本発明の実施例6におけるタイヤ中敷の内側を示す拡大断面図である。
【図11】本発明の実施例7におけるタイヤ中敷の内側を示す断面図である。
【図12】本発明の実施例8を示すタイヤの構造の説明図である。
【図13】本発明の実施例9を示すタイヤの構造の説明図である。
【図14】本発明の実施例10を示すタイヤ中敷の構造の説明図である。
【図15】本発明の実施例11を示すタイヤ中敷の構造の説明図である。
【図16】本発明の実施例12を示すタイヤ中敷の構造の説明図である。
【図17】本発明の実施例13を示すタイヤ中敷の構造の説明図である。
【図18】本発明の実施例14を示すタイヤ中敷の構造の説明図である。
【図19】本発明の実施例15を示すタイヤ中敷の構造の説明図である。
【図20】本発明の実施例16を示すタイヤの構造の説明図である。
【符号の説明】
【0206】
43 ホイール
50,110,130,140,150 タイヤ
51,101,111,131,141,151 タイヤ本体
53,100,111,103,113a〜115a 円形閉ループ導体箔
60 バルブ
70 検出装置
77 内部アンテナ
80 外部アンテナ
91 送受信器
92 高周波電源
116a 円形閉ループ導体膜
112〜122 タイヤ中敷
112a 導体
117a,120a ソレノイド状導体ワイヤ
118a,121a,133,143 ソレノイド状導体箔
119a,122a ソレノイド状導体膜
153 導体ネット状中敷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ本体の内側表面の一部分又は全体に前記タイヤ本体の回転方向に沿って、所定の線幅を有する独立した1本又は複数本の円形閉ループの導体を所定の位置に設けたことを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
前記導体は、金属材又は導電性繊維で形成された導体箔からなり、前記導体箔を前記タイヤ本体の内側表面に接着したことを特徴とする請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記導体は、金属膜又は導電性繊維で形成された導体膜からなり、前記導体膜を前記タイヤ本体の内側表面に形成したことを特徴とする請求項1記載のタイヤ。
【請求項4】
前記導体は、金属材又は導電性繊維で形成されたソレノイドからなり、前記ソレノイドを前記タイヤ本体の内側表面に設けたことを特徴とする請求項1記載のタイヤ。
【請求項5】
前記導体は、前記タイヤ本体の内側の形状に適合して切り抜かれた円形閉ループパターンの型に基づき、前記円形閉ループパターンを有する導体膜を前記タイヤ本体の内側表面に形成したことを特徴とする請求項1記載のタイヤ。
【請求項6】
前記円形閉ループパターンを有する導体膜は、導電性塗料により形成したことを特徴とする請求項5記載のタイヤ。
【請求項7】
前記導体は、前記タイヤ本体の内側の形状に適合して形成された円形閉ループパターンを有するスクリーンマスクに基づき、前記円形閉ループパターンを有する導電性塗料又は導電性ペーストからなる導体膜を前記タイヤ本体の内側表面に形成したことを特徴とする請求項1記載のタイヤ。
【請求項8】
タイヤ本体の内側の形状に適合した形状を有する所定の厚みの弾性体からなり、前記タイヤの内側に着脱自在に装着されるタイヤ中敷を備え、
前記タイヤ中敷の外側表面又は内側表面の一部分又は全体に、前記タイヤ本体の回転方向に沿って、所定の線幅を有する独立した1本又は複数本の円形閉ループの導体を所定の位置に設けたことを特徴とするタイヤ。
【請求項9】
タイヤ本体の内側の形状に適合した形状を有し、前記タイヤ本体の内側に装着されるタイヤ中敷を備え、
前記タイヤ中敷は、前記タイヤ本体の回転方向に沿って円形閉ループを形成する導体により構成したことを特徴とするタイヤ。
【請求項10】
前記導体は、金属メッシュ、金属ネット、金属ワイヤ、導電性繊維からなる繊維メッシュ、導電性繊維からなる繊維ネット、導電性繊維からなる繊維ワイヤ、又はソレノイドであることを特徴とする請求項8又は9記載のタイヤ。
【請求項11】
タイヤ本体の内側の形状に適合した形状を有する所定の厚みの弾性体からなり、前記タイヤ本体の内側に着脱自在に装着されるタイヤ中敷を備え、
前記タイヤ中敷内に、前記タイヤ本体の回転方向に沿って、導電性の補強部材を埋設したことを特徴とするタイヤ。
【請求項12】
前記補強部材は、金属メッシュ、金属ネット、金属ワイヤ、導電性繊維からなる繊維メッシュ、導電性繊維からなる繊維ネット、導電性繊維からなる繊維ワイヤ、又は、ソレノイドであることを特徴とする請求項11記載のタイヤ。
【請求項13】
ホイールに装着された請求項1〜12のいずれか1項に記載のタイヤと、
前記タイヤの外側の近傍に取り付けられ、高周波磁界を前記タイヤに対して放射して前記導体に誘導交流を発生させる外部アンテナと、
前記タイヤと前記ホイールとの間の空間に配設され、前記空間において前記導体に発生した前記誘導交流により生じる高周波磁界を受信して受信信号を出力する内部アンテナと、
前記タイヤの内側に取り付けられ、前記受信信号を直流電力に整流して、前記タイヤ内の所定の状態を検出する検出装置に対して駆動電力を供給する電源手段と、
を備えたことを特徴とする電磁波給電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−105544(P2008−105544A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289886(P2006−289886)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)
【Fターム(参考)】