説明

タイヤ空気圧監視システム、及びタイヤ空気圧監視システムの識別コード登録方法

【課題】コストの低減を図りつつ、より自由度の高い車両設計を可能とするタイヤ空気圧監視システムを提供する。
【解決手段】このタイヤ空気圧監視システムは、タイヤの空気圧を検出するとともに検出された空気圧の情報及び識別コードを含む検出信号を無線送信するセンサユニットU1〜U4と、検出信号を受信するとともに同信号に含まれる空気圧の情報に基づきタイヤの空気圧を監視する監視制御部13とを有している。この監視制御部13は、検出信号に含まれる識別コードと、自身に登録されている識別コードとの照合を行い、この照合を通じて検出信号に含まれる空気圧の情報が監視対象のタイヤの空気圧を示すものであるかを判断する。ここでは、監視制御部13が、自身の起動時に、センサユニットU1〜U4の識別コードを登録する処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のタイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システム、及びタイヤ空気圧監視システムの識別コード登録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)としては、例えば特許文献1に記載のシステムが知られている。この特許文献1に記載のタイヤ空気圧監視システムでは、タイヤの空気圧を検出するセンサユニットを車両の各車輪にそれぞれ設けるようにしている。ここで、センサユニットは、タイヤの空気圧を検出すると、検出された空気圧の情報、及び自身の識別コード(IDコード)を含む検出信号を生成してこれを無線送信する。そして、センサユニットから送信された検出信号は、車両に設けられた監視装置によって受信される。監視装置は、検出信号を受信すると、同検出信号に含まれる識別コードと、内蔵されるメモリに記憶されている識別コードとを照合することで、受信した検出信号に含まれるタイヤの空気圧の情報が監視対象のタイヤの空気圧の情報を示すものであるか否かを判断する。また監視装置は、このような判別手法に基づいて監視対象のタイヤの空気圧を監視しつつ、タイヤの空気圧に異常が検出された場合には、車両に設けられた表示部を通じてユーザに対して警告を行う。
【0003】
一方、このようなタイヤ空気圧監視システムでは通常、車輪とセンサユニットとが一体となっているため、例えばタイヤ交換などにより車輪が付け替えられると、それに伴って新たなセンサユニットが車両に取り付けられることとなる。このような場合、タイヤの空気圧を適切に監視するためには、新たに取り付けられたセンサユニットの識別コードを監視装置のメモリに記憶させる必要がある。そこで、上記特許文献1に記載のタイヤ空気圧監視システムでは、車両に登録スイッチを設けた上で、この登録スイッチがユーザによって押下操作された際に監視装置を登録モードに移行させるようにしている。監視装置は、登録モードに設定されると、まず、メモリに記憶されている識別コードの情報を消去する。その後、センサユニットから送信された無線信号を受信すると、同無線信号に含まれる識別コードをメモリに記憶させる。
【0004】
タイヤ空気圧監視システムとしてのこのような構成によれば、ユーザは、タイヤ交換時に登録スイッチを押下操作するだけで、センサユニットの識別コードを再登録することができる。このため、識別コードの再登録を容易に行うことができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−175972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、車両に登録スイッチを設けることとすれば、確かにセンサユニットの識別コードを容易に再登録することができるようにはなる。ただし、登録スイッチを車両に設けるとなると、車室内の意匠的な制約が無視できず、車両の設計の自由度を大きく制限する要因ともなりかねない。また、スイッチ分のコストアップにもなる。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コストの低減を図りつつ、より自由度の高い車両設計を可能とするタイヤ空気圧監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両のタイヤの空気圧を検出するとともに検出された空気圧の情報及び固有の識別コードを含む無線信号を送信するセンサユニットと、前記無線信号を受信するとともに同無線信号に含まれる空気圧の情報に基づき前記タイヤの空気圧を監視する制御部とを有して、該制御部は、前記タイヤの空気圧を監視するにあたり、前記無線信号に含まれる識別コードと、自身に登録されている識別コードとの照合を行い、該照合を通じて前記無線信号に含まれる空気圧の情報が監視対象のタイヤの空気圧を示すものであるかを判断するとともに、前記監視対象のタイヤの空気圧に異常が検出されるときに警告を行うタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記制御部は、車両の給電系統にバッテリを接続する動作が検知されるとき、前記センサユニットの識別コードを登録する処理を実行することを要旨としている。
【0009】
同構成によれば、車両の給電系統にバッテリを接続する動作を行うだけでセンサユニットの識別コードを登録することができるため、前述した登録ボタンを車両に設ける必要がない。このため、コストの低減を図りつつ、より自由度の高い車両設計が可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記制御部は、前記車両の給電系統に前記バッテリが接続されることを条件に起動するものであって、前記車両の給電系統に前記バッテリを接続する動作が行われたか否かの検知を、自身が起動したか否かに基づいて行うことを要旨としている。
【0011】
同構成によれば、制御部の起動に伴って車両の給電系統にバッテリを接続する動作を検知することができるため、車両の給電系統にバッテリを接続する動作を容易に検知することができるようになる。
【0012】
そしてこの場合、請求項3に記載の発明によるように、
・前記無線信号の送信を要求する起動信号を前記センサユニットに送信する送信部を更に備え、前記制御部は、前記センサユニットの識別コードを登録するにあたり、前記車両の給電系統に前記バッテリを接続する動作が検知されるとき、前記送信部から前記センサユニットに前記起動信号を送信する処理、並びに前記無線信号を受信した際にこれに含まれる識別コードを登録する処理を実行する。
といった構成、あるいは、請求項4に記載の発明によるように、
・前記センサユニットは、前記無線信号を所定の周期をもって送信するものであって、前記制御部は、前記センサユニットの識別コードを登録するにあたり、前記車両の給電系統に前記バッテリを接続する動作が検知されるとき、その時点以降に受信される前記無線信号に含まれる識別コードを登録する。
といった構成を採用することが有効であり、これによりセンサユニットの識別コードを容易に登録することができるようになる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記制御部は、前記無線信号に含まれる空気圧と同空気圧に対して設定された異常判定値との比較に基づいて前記監視対象のタイヤの空気圧に異常が生じているか否かを判定するものであり、前記センサユニットの識別コードを登録する処理に併せて、登録された識別コードと共に前記無線信号に含まれる空気圧に基づいて前記異常判定値を設定することを要旨としている。
【0014】
このようなタイヤ空気圧監視システムでは通常、無線信号に含まれる空気圧と、同空気圧に対して設定された異常判定値との比較に基づいてタイヤの空気圧に異常が生じているか否かが判断される。ところで、タイヤの空気圧の最適値は車両のユーザによって適宜に調整されることから、上記異常判定値については、予め設定された固定値とするよりも、ユーザが調整したその都度の空気圧の最適値に併せて設定することが望ましい。一方、センサユニットの識別コードを登録する作業は、前述のように、タイヤ交換時に行われることが多い。また、タイヤ交換時には通常、タイヤの空気圧が最適値に設定されている。したがって、センサユニットの識別コードを登録する作業が行われた時点でのタイヤの空気圧は、その最適値を示していると推定することができる。このため、上記構成によるように、センサユニットの識別コードを登録する処理に併せて、登録された識別コードと共に無線信号に含まれる空気圧に基づいて上記異常判定値を設定することとすれば、その都度のタイヤの空気圧の最適値に基づいて異常判定値を設定することができる。これにより、異常判定値を自動的に設定することが可能となるため、利便性が向上するようになる。 請求項6に記載の発明は、車両のタイヤの空気圧を検出するとともに検出された空気圧の情報及び固有の識別コードを含む無線信号を送信するセンサユニットと、前記無線信号を受信するとともに同無線信号に含まれる空気圧の情報に基づき前記タイヤの空気圧を監視する制御部とを有して、該制御部は、前記タイヤの空気圧を監視するにあたり、前記無線信号に含まれる識別コードと、自身に登録されている識別コードとの照合を行い、該照合を通じて前記無線信号に含まれる空気圧が監視対象のタイヤの空気圧を示すものであるかを判断するとともに、前記監視対象のタイヤの空気圧に異常が検出されるときに警告を行うものであり、同制御部に前記センサユニットの識別コードを登録するタイヤ空気圧監視システムの識別コード登録方法であって、車両の給電系統の配線がバッテリの正極端子及び負極端子に接続されるとき、前記センサユニットの識別コードを前記制御部に登録することを要旨としている。
【0015】
同方法によれば、例えばバッテリの正極端子から配線を一旦外した後に同配線を正極端子に接続する作業を行うだけで、センサユニットの識別コードを登録することができる。このため、識別コードの登録を容易に行うことが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、コストの低減を図りつつ、より自由度の高い車両設計が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの一実施形態についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてその監視制御部の不揮発性メモリに記憶されている識別コードの情報を模式的に示す図。
【図3】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてその監視装置の給電系の構成を示すブロック図。
【図4】車両のバッテリの斜視構造を示す斜視図。
【図5】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムによるセンサユニットの識別コードを登録する処理についてその処理手順を示すフローチャート。
【図6】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてその動作例を示すブロック図。
【図7】本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの他の例によるセンサユニットの識別コードを登録する処理についてその処理手順を示すフローチャート。
【図8】本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの他の例についてその監視制御部の不揮発性メモリに記憶されている識別コード及び異常判定値の情報を模式的に示す図。
【図9】本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの他の例によるセンサユニットの識別コードを登録する処理についてその処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの一実施形態について図1〜図6を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムの概要について説明する。
【0019】
図1に示すように、このタイヤ空気圧監視システムは、大きくは、車両の各車輪W1〜W4に一体的にそれぞれ設けられてそれらのタイヤの空気圧を検出するセンサユニットU1〜U4と、これらセンサユニットU1〜U4との無線通信を通じて各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧を監視する監視装置1とから構成されている。
【0020】
このうち、センサユニットU1には、図中の二点鎖線で囲まれる領域に示すように、監視装置1に無線信号を送信する送信部20、及び監視装置1から送信される無線信号を受信する受信部21が設けられている。また、センサユニットU1には、車輪W1のタイヤの空気圧を検出する空気圧センサ22が設けられている。そして、空気圧センサ22の出力は、演算処理装置(CPU)や不揮発性メモリ23aなどを有してマイクロコンピュータを中心に構成されるセンサ制御部23に取り込まれている。センサ制御部23は、送信部20による無線信号の送信制御、並びに受信部21を介して受信される無線信号の処理など、センサユニットU1にかかる各種制御を統括的に行う部分である。ちなみに、不揮発性メモリ23aには、センサユニットU1の固有の識別コード(IDコード)ID1が記憶(登録)されている。
【0021】
また、センサユニットU2〜U4は、センサユニットU1と同様の構成を有している。但し、センサユニットU2〜U4に搭載される不揮発性メモリには、それら固有の識別コードID2〜ID4がそれぞれ記憶されている。
【0022】
一方、監視装置1には、各車輪W1〜W4を含む通信エリアに無線信号を送信する送信部10、及びセンサユニットU1〜U4から送信される無線信号を受信する受信部11が設けられている。また、監視装置1には、各車輪W1〜W4のいずれかのタイヤに空気圧の異常が生じたときに警告表示を行う表示部12が設けられている。ちなみに、表示部12は、例えば車両のインストルメントパネルなどに設けられている。そして、送信部10による無線信号の送信制御、並びに受信部11を介して受信される無線信号の処理が、演算処理装置(CPU)や不揮発性メモリ13aなどを備えてマイクロコンピュータを中心に構成される監視制御部13を通じて実行される。この監視制御部13は、表示部12の駆動を制御する部分でもある。ちなみに、不揮発性メモリ13aには、図2に示すように、センサユニットU1〜U4のそれぞれの識別コードID1〜ID4が記憶されている。
【0023】
このような構成からなるタイヤ空気圧監視システムは次のように動作する。まず、監視制御部13は、例えば車載エンジンの始動中、タイヤの空気圧を検出する旨の指令を含む起動信号を所定の周期をもって生成するとともに、生成した起動信号を送信部10から各車輪W1〜W4に送信する。各車輪W1〜W4のセンサユニットU1〜U4では、起動信号が受信部21を介して受信されると、同起動信号がセンサ制御部23に入力される。センサ制御部23は、こうして起動信号が入力されると、空気圧センサ22を通じてタイヤの空気圧を検出する。そして、検出された空気圧の情報、及び不揮発性メモリ23aに記憶されている識別コードID1〜ID4を含む検出信号を生成するとともに、生成した検出信号を送信部20から送信する。監視装置1では、センサユニットU1〜U4からそれぞれ送信された検出信号が受信部11を介して受信されると、同検出信号が監視制御部13に入力される。監視制御部13は、こうして検出信号が入力されると、同検出信号に含まれる識別コードと、不揮発性メモリ13aに記憶されている識別コードとの照合を行う。そしてこの照合を通じて互いの識別コードが一致している旨を判断した場合には、受信した検出信号に含まれる空気圧の情報が監視対象のタイヤの空気圧の情報を示すものであると判断する。監視制御部13は、このような判断手法に基づいて監視対象のタイヤの空気圧の情報を取得するとともに、監視対象のタイヤの空気圧と予め設定された異常判定値との比較に基づいて、タイヤの空気圧に異常が生じているか否かを判定する。具体的には、例えば検出信号に含まれる空気圧の値が異常判定値よりも低い場合には、タイヤの空気圧に異常が生じている旨を判定する。そして、タイヤの空気圧に異常が生じている旨を判定した場合には、表示部12において警告表示を行う。
【0024】
ところで、このようなタイヤ空気圧監視システムでは、前述のように、各車輪W1〜W4とセンサユニットU1〜U4とが一体となっているため、例えばタイヤ交換などにより車輪が付け替えられると、それに伴って新たなセンサユニットが車両に取り付けられることとなる。そしてこのような場合、車両のタイヤの空気圧を適切に監視するためには、新たに取り付けられたセンサユニットの識別コードを監視装置1に登録し直す必要があることも前述の通りである。そこで本実施形態では、ユーザが車載バッテリの正極端子あるいは負極端子に接続されている配線を外した後に同配線をつなげるといった作業を行うことを条件に、すなわち車両の給電系統にバッテリを接続する作業を行うことを条件に、センサユニットの識別コードを監視装置1に登録するための処理を行うようにしている。以下、図3〜図5を参照してその詳細を説明する。はじめに、図3及び図4を参照して、監視装置1の給電系について説明する。
【0025】
図3及び図4に示すように、車両では、監視装置1をはじめ、各種車載部品の動作電源がバッテリBTによって確保されている。ここで、バッテリBTの正極端子2aには配線3aが接続されており、この配線3aを介してバッテリBTの正極端子2aと監視装置1の給電端子1aとが電気的に接続されている。また、バッテリBTの負極端子2bには、グランド電位におかれた配線3bが接続されている。そしてこの車両では、例えばユーザによってバッテリBTの正極端子2aから配線3aが外されたとすると、監視装置1への給電が停止される。すなわちこの場合には、上記送信部10や監視制御部13などが停止する。その後、ユーザによってバッテリBTの正極端子2aに配線3aが接続されると、監視装置1への給電が再び行われる。すなわちこの場合には、上記送信部10や監視制御部13などが起動する。なお、ユーザがバッテリBTの負極端子2bから配線3bを外した後に同負極端子2bに配線3bを接続する動作を行った場合にも、同様に送信部10や監視制御部13などが起動/停止する。
【0026】
そこで、本実施形態では特に、ユーザによってバッテリBTの正極端子2aあるいは負極端子2bに配線3a,3bを接続する作業が行われたときに監視制御部13が起動することに着目して、車両の給電系統にバッテリが電気的に接続されたか否かを、監視制御部13が起動したか否かに基づいて判断することとしている。そして、監視制御部13は、自身が起動した際に、センサユニットの識別コードを不揮発性メモリ13aに記憶させる処理を実行する。
【0027】
図5は、監視制御部13を通じて実行される、センサユニットの識別コードを不揮発性メモリ13aに記憶させる処理についてその手順をフローチャートで示したものである。なお、この処理は、前述のように、監視制御部13が起動した時点で実行される。
【0028】
同図5に示されるように、この処理では、はじめに、先の図2に例示した不揮発性メモリ13aに記憶されている識別コードの情報が消去されるとともに(ステップS1)、送信部10から起動信号が送信される(ステップS2)。その後、続くステップS3の処理として、検出信号を受信したか否かが監視されて、検出信号を受信した場合には(ステップS3:YES)、検出信号に含まれる識別コードが不揮発性メモリ13aに既に記憶されているか否かが判断される(ステップS4)。ここで、検出信号に含まれる識別コードが不揮発性メモリ13aに既に記憶されていた場合には(ステップS4:YES)、再度起動信号が送信される(ステップS2)。
【0029】
一方、検出信号に含まれる識別コードが不揮発性メモリ13aに記憶されていなかった場合には(ステップS4:NO)、その識別コードが不揮発性メモリ13aに記憶される(ステップS5)。また、続くステップS6の処理として、互いに異なる4種類の識別コードが不揮発性メモリ13aに記憶されているか否かが判断されて、互いに異なる4種類の識別コードが不揮発性メモリ13aに記憶される(ステップS6:YES)まで、ステップS2〜S5の処理が繰り返し実行される。そして、互いに異なる4種類の識別コードが不揮発性メモリ13aに記憶された場合には(ステップS6:YES)、監視制御部13はこの一連の処理を終了する。
【0030】
続いて、このような構成からなるタイヤ空気圧監視システムの動作、作用について説明する。
図6に示すように、例えばいま、ユーザが、センサユニットU1〜U4が取り付けられた車輪W1〜W4に代えて、センサユニットU5〜U8が取り付けられた車輪W5〜W8を車両に装着したとする。このとき、ユーザがバッテリBTの正極端子2aから配線3aを一旦外した後に同配線3aを正極端子2aに接続する作業を行ったとすると、まず、監視制御部13の不揮発性メモリ13aに記憶されている識別コードID1〜ID4の情報が消去される。また、監視装置1とセンサユニットU5〜U8との間で起動信号及び検出信号の授受が行われて、センサユニットU5〜U8の識別コードが不揮発性メモリ13aに新たに記憶される。このように、本実施形態のタイヤ空気圧監視システムによれば、前述した登録ボタンを車両に設けることなく、センサユニットの識別コードを監視装置1に登録することができる。したがって、コストの低減を図りつつ、より自由度の高い車両設計が可能となる。
【0031】
また、車両の製造時においては、車両に各車輪W1〜W4を装着した後に、製造工程の最後でバッテリBTの正極端子2a及び負極端子2bに配線3a,3bをそれぞれ接続する作業を行えば、その時点で監視制御部13が起動して、同制御部13を通じて各車輪W1〜W4のセンサユニットの識別コードを登録する処理が行われる。このため、車両の製造工程においてセンサユニットの識別コードを登録するための特別な作業を行うことなく、各車輪W1〜W4のセンサユニットの識別コードを監視制御部13に自動的に登録することができる。したがって、製造工数の低減を図ることができるようになる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)ユーザが車両の給電系統にバッテリBTを接続する動作を行うことを条件に、センサユニットの識別コードを登録する処理を実行することとした。これにより、前述した登録ボタンを車両に設ける必要がなくなるため、コストの低減を図りつつ、より自由度の高い車両設計が可能となる。また、車両製造時には、製造工程の最後で車両の給電系統にバッテリBTを接続する作業を行うことにより、特別な作業を行うことなくセンサユニットの識別コードを登録することができるため、製造工数の低減を図ることができるようにもなる。
【0033】
(2)車両の給電系統にバッテリBTを接続する動作が行われたか否かの検知を、監視制御部13が起動したか否かに基づいて行うこととした。これにより、車両の給電系統にバッテリBTを接続する動作を容易に検知することができるようになる。
【0034】
(3)監視制御部13では、車両の給電系統にバッテリBTを接続する動作が検知されるとき、送信部10から起動信号を送信する処理、並びに検出信号を受信した際にこれに含まれる識別コードを不揮発性メモリ13aに記憶させる処理を実行することとした。これにより、センサユニットの識別コードを容易に登録することができるようになる。
【0035】
(4)車両の給電系統にバッテリBTを接続する動作として、バッテリBTの正極端子2aに配線3aを接続する動作、あるいはその負極端子2bに配線3bを接続する動作を採用することとした。これにより、ユーザは、これらのいずれかの動作を行うだけでセンサユニットの識別コードを登録することができるため、識別コードの登録作業を容易に行うことができるようになる。
【0036】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・監視装置1から送信部10を省略するとともに、センサユニットU1〜U4から受信部21を省略した構成を採用することも可能である。この場合、上記センサ制御部23は、空気圧センサ22によるタイヤの空気圧の検出、並びに送信部20からの検出信号の送信を所定の周期をもって実行する。また、上記監視制御部13は起動時に登録モードとなって図7に示す処理を実行する。同図7に示すように、この処理では、不揮発性メモリ13aに記憶されている識別コードの情報が消去された後に(ステップS10)、監視制御部13の起動時から所定時間が経過したか否かが判断されて(ステップS11)、所定時間が経過していない場合には(ステップS11:NO)、検出信号を受信したか否かが監視される(ステップS12)。ちなみに、所定時間は、センサユニットU1〜U4の検出信号の送信周期よりも長い時間に設定されている。そして、検出信号を受信した場合には(ステップS12:YES)、検出信号に含まれる識別コードが不揮発性メモリ13aに既に記憶されているか否かが判断される(ステップS13)。ここで、検出信号に含まれる識別コードが不揮発性メモリ13aに記憶されていない場合には(ステップS13:NO)、検出信号に含まれる識別コードが不揮発性メモリ13aに記憶される(ステップS14)。また、ステップS12〜S14の処理は、監視制御部13の起動時から所定時間が経過する(ステップS11:YES)まで、繰り返し実行される。このような構成によれば、前述した送信部10及び受信部21を省略するといった構成を採用しながらも、センサユニットの識別コードを監視装置1に適切に登録することが可能となる。要は、車両の給電系統にバッテリBTを接続する動作が検知されるときにセンサユニットの識別コードを登録するための処理を実行するものであればよく、センサユニットの識別コードを登録するための方法については任意である。
【0037】
・監視制御部13により先の図7に例示した処理を実行するようにした場合、監視制御部13は、起動時から所定時間が経過するまでの期間、任意のセンサユニットの識別コードを登録する状態となっている。このため、仮に自車両に近接する他の車両にセンサユニットが搭載されているような場合には、他車両に搭載されたセンサユニットの識別コードが監視対象のセンサユニットの識別コードとして誤って登録されてしまうおそれがある。この場合、他車両のセンサユニットを通じて検出されるタイヤの空気圧が異常値を示すと、自車両のタイヤの空気圧に異常が発生していないにもかかわらず、上記表示部12を通じて警告が行われてしまうといった不都合が生じるおそれがある。そこで、監視制御部13では、起動時から所定時間が経過するまでに検出信号を受信したときに、受信した全ての検出信号に含まれる識別コードを不揮発性メモリ13aに一旦仮登録する。そして、仮登録された識別コードのうち、仮登録後に一定時間受信することのできた識別コードについては本登録し、それ以外の識別コードについては不揮発性メモリ13aから消去する。このような構成によれば、監視制御部13では、例えば自車両が他車両から離れるなどすれば、他車両のセンサユニットから送信される検出信号を受信することができなくなるため、他車両のセンサユニットの識別コードが誤って登録されることがない。このため、自車両のセンサユニットの識別コードのみを確実に登録することができるため、表示部12による警告を適切に行うことができるようになる。
【0038】
・上記実施形態では、車両の給電系統にバッテリBTを接続する動作として、バッテリBTの正極端子2aに配線3aを接続する動作、あるいはその負極端子2bに配線3bを接続する動作を採用することとした。これに代えて、例えばバッテリBTと監視装置1との間の給電経路に、過電流により給電経路を断線するヒューズが取り外し可能に設けられている場合には、このヒューズを取り付ける動作を採用してもよい。このような動作を採用した場合であっても、上記第1の実施形態による効果と同等の効果を得ることが可能である。
【0039】
・タイヤの空気圧の最適値は車両のユーザによって適宜に調整されることから、上記異常判定値については、予め設定された固定値とするよりも、ユーザが調整したその都度の空気圧の最適値に併せて適宜に設定することが望ましい。一方、センサユニットの識別コードを登録する作業は、前述のように、タイヤ交換時に行われることが多い。また、タイヤ交換時には通常、タイヤの空気圧が最適値に設定されている。したがって、センサユニットの識別コードを登録する作業が行われた時点でのタイヤの空気圧は、その最適値を示していると推定することができる。そこで、上記センサユニットの識別コードを登録する処理が行われたときに、登録された識別コードと共に無線信号に含まれる空気圧に基づいて異常判定値を設定するようにしてもよい。これにより、タイヤの空気圧の最適値に基づいて異常判定値を設定することが可能となる。具体的には、まず、図8に示すように、上記不揮発性メモリ13aには、識別コードID1〜ID4に関連付けして異常判定値Pth1〜Pth4をそれぞれ記憶させる。そして、監視制御部13は、検出信号を受信したとき、同検出信号に含まれる空気圧と、同検出信号に含まれる識別コードに対応する異常判定値とを比較して、前者が後者よりも低い場合には、タイヤの空気圧に異常が生じている旨を判定する。一方、監視制御部13は、先の図5に例示した処理に代えて、図9に示す処理を実行する。同図9に示すように、この処理では、検出信号に含まれる識別コードが不揮発性メモリ13aに記憶されていない旨が判断されたとき(ステップS4:NO)、検出信号に含まれる空気圧の値に基づいて異常判定値が演算される(ステップS7)。具体的には、例えば検出信号に含まれる空気圧の値の「80%」の値を演算してこれが異常判定値とされる。そして、続くステップS8の処理として、演算された異常判定値と、検出信号に含まれる識別コードとが関連付けされて先の図8に例示したように不揮発性メモリ13aに記憶された後、ステップ6の処理が実行される。このような構成によれば、その都度のタイヤの空気圧の最適値に基づいて異常判定値を設定することができるため、異常判定値を自動的に設定することが可能となる。このため、利便性が向上するようになる。
【0040】
・また、監視制御部13では、センサユニットの識別コードを不揮発性メモリ13aに記憶する処理に併せて、センサユニットU1〜U4が車両の右前輪、左前輪、右後輪、及び左後輪のいずれに位置しているかを登録する、いわゆるタイヤ位置登録を行ってもよい。なお、タイヤの位置を登録する方法は任意である。要は、車両の給電系統にバッテリを接続する動作が検知されるとき、センサユニットの識別コードを登録する処理に併せて、タイヤ位置登録を行うものであればよい。
【0041】
<付記>
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)車両のタイヤの空気圧を検出するとともに検出された空気圧の情報及び自身に固有の識別コードを含む無線信号を送信するセンサユニットと、前記無線信号を受信するとともに同無線信号に含まれる空気圧の情報に基づき前記タイヤの空気圧を監視する制御部とを有して、該制御部は、前記タイヤの空気圧を監視するにあたり、前記無線信号に含まれる識別コードと、自身に登録されている識別コードとの照合を行い、該照合を通じて前記無線信号に含まれる空気圧が監視対象のタイヤの空気圧を示すものであるかを判断するとともに、前記監視対象のタイヤの空気圧に異常が検出されるときに警告を行うものであり、同制御部に前記センサユニットの識別コードを登録するタイヤ空気圧監視システムの識別コード登録方法であって、前記車両には、車載機器とバッテリとの間の給電経路を過電流により断線するヒューズが取り外し可能に設けられ、前記車両に前記ヒューズが取り付けられるとき、前記センサユニットの識別コードを前記制御部に登録することを特徴とするタイヤ空気圧監視システムの識別コード登録方法。同方法によれば、車両に取り付けられているヒューズを一旦取り外した後に同ヒューズを車両に再度取り付ける作業を行うだけで、センサユニットの識別コードを登録することができる。このため、識別コードの登録を容易に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
BT…バッテリ、U1〜U8…センサユニット、W1〜W8…車輪、1…監視装置、1a…給電端子、2a…正極端子、2b…負極端子、3a,3b…配線、10,20…送信部、11,21…受信部、12…表示部、13…監視制御部、13a,23a…不揮発性メモリ、22…空気圧センサ、23…センサ制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のタイヤの空気圧を検出するとともに検出された空気圧の情報及び固有の識別コードを含む無線信号を送信するセンサユニットと、前記無線信号を受信するとともに同無線信号に含まれる空気圧の情報に基づき前記タイヤの空気圧を監視する制御部とを有して、該制御部は、前記タイヤの空気圧を監視するにあたり、前記無線信号に含まれる識別コードと、自身に登録されている識別コードとの照合を行い、該照合を通じて前記無線信号に含まれる空気圧の情報が監視対象のタイヤの空気圧を示すものであるかを判断するとともに、前記監視対象のタイヤの空気圧に異常が検出されるときに警告を行うタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記制御部は、車両の給電系統にバッテリを接続する動作が検知されるとき、前記センサユニットの識別コードを登録する処理を実行する
ことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記車両の給電系統に前記バッテリが接続されることを条件に起動するものであって、前記車両の給電系統に前記バッテリを接続する動作が行われたか否かの検知を、自身が起動したか否かに基づいて行う
請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記無線信号の送信を要求する起動信号を前記センサユニットに送信する送信部を更に備え、前記制御部は、前記センサユニットの識別コードを登録するにあたり、前記車両の給電系統に前記バッテリを接続する動作が検知されるとき、前記送信部から前記センサユニットに前記起動信号を送信する処理、並びに前記無線信号を受信した際にこれに含まれる識別コードを登録する処理を実行する
ことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
【請求項4】
前記センサユニットは、前記無線信号を所定の周期をもって送信するものであって、前記制御部は、前記センサユニットの識別コードを登録するにあたり、前記車両の給電系統に前記バッテリを接続する動作が検知されるとき、その時点以降に受信される前記無線信号に含まれる識別コードを登録する
請求項1又は2に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記無線信号に含まれる空気圧と同空気圧に対して設定された異常判定値との比較に基づいて前記監視対象のタイヤの空気圧に異常が生じているか否かを判定するものであり、前記センサユニットの識別コードを登録する処理に併せて、登録された識別コードと共に前記無線信号に含まれる空気圧に基づいて前記異常判定値を設定する
請求項1〜4のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項6】
車両のタイヤの空気圧を検出するとともに検出された空気圧の情報及び固有の識別コードを含む無線信号を送信するセンサユニットと、前記無線信号を受信するとともに同無線信号に含まれる空気圧の情報に基づき前記タイヤの空気圧を監視する制御部とを有して、該制御部は、前記タイヤの空気圧を監視するにあたり、前記無線信号に含まれる識別コードと、自身に登録されている識別コードとの照合を行い、該照合を通じて前記無線信号に含まれる空気圧が監視対象のタイヤの空気圧を示すものであるかを判断するとともに、前記監視対象のタイヤの空気圧に異常が検出されるときに警告を行うものであり、同制御部に前記センサユニットの識別コードを登録するタイヤ空気圧監視システムの識別コード登録方法であって、
車両の給電系統の配線がバッテリの正極端子及び負極端子に接続されるとき、前記センサユニットの識別コードを前記制御部に登録する
ことを特徴とするタイヤ空気圧監視システムの識別コード登録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−131455(P2012−131455A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287474(P2010−287474)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】