タイヤ空気圧監視システム
【課題】バーストしたタイヤの破片が歩行者へ接触することを未然に防止することのできるタイヤ空気圧監視システムを提供する。
【解決手段】このタイヤ空気圧監視システムでは、車両の各車輪W1〜W4に設けられたセンサユニットU1〜U4を通じてタイヤの空気圧を検出するとともに、検出されたタイヤの空気圧に異常が検出されるとき、車室内に設けられた表示部11を通じて警報を発する。ここでは、タイヤの空気圧に異常が検出されるとき、車両が低速で走行中であることを条件に、ホーン14の鳴動やハザードランプ15の点滅を行う。
【解決手段】このタイヤ空気圧監視システムでは、車両の各車輪W1〜W4に設けられたセンサユニットU1〜U4を通じてタイヤの空気圧を検出するとともに、検出されたタイヤの空気圧に異常が検出されるとき、車室内に設けられた表示部11を通じて警報を発する。ここでは、タイヤの空気圧に異常が検出されるとき、車両が低速で走行中であることを条件に、ホーン14の鳴動やハザードランプ15の点滅を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のタイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のタイヤの空気圧を監視するとともに、タイヤの空気圧に異常が検出されたときに警告を行うタイヤ空気圧監視システムが周知である。そして従来、この種のタイヤ空気圧監視システムとしては、例えば特許文献1に記載のシステムが知られている。
【0003】
この特許文献1に記載のタイヤ空気圧監視システムでは、タイヤの空気圧を検出するセンサユニットを車両の各車輪に設けるようにしている。このセンサユニットは、タイヤの空気圧を検出すると、検出された空気圧の情報などを含む無線信号を生成してこれを送信する。そして、センサユニットから送信された無線信号は、車両に設けられた監視装置によって受信される。監視装置は、受信した無線信号に含まれる空気圧の情報に基づいて各車輪のタイヤの空気圧を監視しつつ、タイヤの空気圧に異常が検出された場合には次のような態様で警告を行う。まず、ユーザが乗車している場合には、車室内に設けられたランプを点灯させるなどして車室内のユーザに対して警告を行う。また、ユーザが乗車していない場合には、ユーザの車両への接近を検知したときに、例えばヘッドランプを点灯させるなどして車室外のユーザに対して警告を行う。
【0004】
タイヤ空気圧監視システムとしてのこのような構成によれば、ユーザは、乗車しようとして車両に近づいたときにヘッドランプの点灯などによりタイヤの空気圧の異常を認知することができる。このため、タイヤの空気を補充したり、スペアタイヤに切り替えるなどの修復作業を乗車前に行うことが可能となるため、利便性が向上するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−247132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えばタイヤの空気圧が異常な状態のまま車両を走行させた場合、タイヤが異常発熱して、その熱にタイヤが耐えきれずに破裂する、いわゆるバーストが生じるおそれがある。そしてこのようにタイヤがバーストに至った場合、タイヤの破片が車両の周囲に飛散するため、飛散したタイヤの破片が車両周辺の歩行者に接触するおそれがある。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バーストしたタイヤの破片が歩行者へ接触することを未然に防止することのできるタイヤ空気圧監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の車輪に設けられたセンサユニットを通じて前記車輪に装着されたタイヤの空気圧を検出するとともに、前記センサユニットを通じて検出されたタイヤの空気圧に異常が検出されるとき、車両に設けられた警報手段を通じて警報を発するタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記警報手段として車室外に警報を発する車室外警報手段を備え、前記センサユニットを通じて検出されたタイヤの空気圧に異常が検出されるとき、前記車両が走行中であることを条件に、前記車室外警報手段により警報を発することを要旨としている。
【0009】
同構成によれば、車両の走行中にタイヤの空気圧に異常が生じると、車室外警報手段を通じて警報が発せられる。したがって、車両周辺の歩行者は車室外警報手段による警報を通じてタイヤの空気圧の異常を認知することができるため、タイヤがバーストに至るよりも前に車両から離れるなどの回避行動を取ることが可能となる。このため、バーストしたタイヤの破片が歩行者に接触することを未然に防止することができるようになる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記車室外警報手段により警報を発するための条件として、前記車両の速度が予め設定された低速判定値よりも低い速度であることを更に含むことを要旨としている。
【0011】
車両が高速で走行している状況では、車室外警報手段による警報を行った場合としても、歩行者は車両から離れるなどの行為を即座に取ることが難しいため、十分な警告効果を得られないばかりか、そのような警報は歩行者の混乱を招く要因ともなりかねない。したがって、上記構成によるように、車両が低速で走行している状況でのみ車室外警報手段による警報を発するようにすることで、歩行者の混乱を回避しつつ、十分な警告効果を得ることができるようになる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記車室外警報手段により警報を発するための条件として、前記タイヤがバーストに至る可能性があることを更に含むことを要旨としている。
【0013】
上述のように、タイヤの空気圧に異常が検出されるときに車室外警報手段により警報を発するようにした場合には、タイヤがバーストに至る可能性がほとんどない状況であっても警報が発せられるおそれがある。しかしながらこのような状況での警報は、過度な警告となってしまい、歩行者の混乱を招くおそれがあるため、好ましくない。この点、上記構成によれば、タイヤがバーストに至る可能性がある場合にのみ車室外警報手段から警報が発せられるため、歩行者の混乱を回避しつつ、必要十分な警告効果を得ることができるようになる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記車室外警報手段は、車両に設けられて対象物に似た音声を発する擬似音声発生装置であって、該擬似音声発生装置を通じてタイヤが異常であることを音声で通知することで警報を行うものであることを要旨としている。
【0015】
タイヤに異常が生じたときに例えば車両のホーンの鳴動などを行うだけでは、車両周辺の歩行者が警報であると認識せずに、運転者の操作によりホーンの鳴動が行われていると勘違いするおそれがある。このため、タイヤの異常を歩行者に適切に通知することができないおそれがある。この点、上記構成によるように、擬似音声発生装置を通じてタイヤに異常が生じていることを音声で通知することとすれば、歩行者はタイヤの異常を確実に認識することができるため、車両から離れるなどの行動を取り易くなる。したがって、より確実な警告効果を得ることができるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、バーストしたタイヤの破片が歩行者へ接触することを未然に防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの第1の実施形態についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図2】同第1の実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてその監視制御部の不揮発性メモリに記憶されている情報を模式的に示す図。
【図3】同第1の実施形態のタイヤ空気圧監視システムによる警報処理についてその処理手順を示すフローチャート。
【図4】車両のリモートキーレスエントリシステムのシステム構成を示すブロック図。
【図5】本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの第2の実施形態についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図6】同第2の実施形態のタイヤ空気圧監視システムによるタイヤのバーストを検出する方法、及びタイヤの空気圧の軽微な異常を検出する方法を説明するためのグラフ。
【図7】同第2の実施形態のタイヤ空気圧監視システムによるタイヤ異常検出処理についてその手順を示すフローチャート。
【図8】同第2の実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてその監視制御部の不揮発性メモリに記憶されている情報を模式的に示す図。
【図9】同第2の実施形態のタイヤ空気圧監視システムによる警報処理についてその手順を示すフローチャート。
【図10】同第2の実施形態のタイヤ空気圧監視システムによる乗降車時警報処理についてその手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの第1の実施形態について図1〜図3を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムの概要について説明する。なお、図1において、W1は車両の右前輪を、W2は車両の左前輪を、W3は車両の右後輪を、W4は車両の左後輪をそれぞれ示している。
【0019】
図1に示すように、このタイヤ空気圧監視システムは、大きくは、各車輪W1〜W4にそれぞれ設けられてタイヤの空気圧を検出するセンサユニットU1〜U4と、これらセンサユニットU1〜U4との無線通信を通じて各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧を監視する監視装置1とから構成されている。
【0020】
このうち、センサユニットU1には、図中の二点鎖線で囲まれた領域内に示すように、監視装置1に無線信号を送信する送信部20、及び車輪W1のタイヤの空気圧を検出する空気圧センサ21が設けられている。そして、空気圧センサ21の出力は、同じくセンサユニットU1に設けられたセンサ制御部22に取り込まれている。このセンサ制御部22は、空気圧センサ21を通じてタイヤの空気圧を所定の周期をもって検出するとともに、検出したタイヤの空気圧の情報、及び内蔵する不揮発性メモリ22aに記憶されているセンサユニットU1固有の識別コード(IDコード)ID1を含む無線信号を生成する。また、センサ制御部22は、生成した無線信号を所定の周期をもって送信部20から送信する。
【0021】
また、センサユニットU2〜U4は、センサユニットU1と同様の構成をそれぞれ有してなる。但し、センサユニットU2〜U4に搭載される不揮発性メモリには、それら固有の識別コードID2〜ID4がそれぞれ記憶されている。また、センサユニットU2〜U4も、タイヤの空気圧の情報、及び識別コードを含む無線信号を所定の周期をもってそれぞれ送信する。
【0022】
一方、監視装置1には、センサユニットU1〜U4から送信される無線信号を受信する受信部10、及び各車輪W1〜W4のいずれかのタイヤに空気圧の異常が生じたときに警告表示を行う表示部11が設けられている。なお、表示部11は、例えば車両のインストルメントパネルなどに設けられている。そして、受信部10を介して受信した無線信号は、同じく監視装置1に設けられた監視制御部12に取り込まれている。この監視制御部12は、不揮発性メモリ12aなどを有する電子制御ユニット(ECU)を中心に構成されるものであって、タイヤの空気圧を監視する処理を行う部分である。すなわち、監視制御部12は、受信部10から無線信号が入力されると、まずは、同無線信号に含まれる識別コードと、不揮発性メモリ12aに記憶されている識別コードとの照合を行う。ちなみに、不揮発性メモリ12aには、図2に示すように、各車輪W1〜W4の位置とセンサユニットU1〜U4の識別コードとがそれぞれ関連付けされたかたちで予め記憶されている。そして、監視制御部12は、上記照合を通じて互いの識別コードが一致している旨を判断した場合には、受信した無線信号に含まれる空気圧の情報が各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧を示すものであると判断する。監視制御部12は、このような判断手法に基づいて各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧の情報を取得するとともに、取得した各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧と予め設定された判定値との比較に基づいて、各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧に異常が生じているか否かを判定する。具体的には、各車輪W1〜W4のいずれかのタイヤの空気圧が予め定められた高圧判定値以上である場合、あるいは低圧判定値未満である場合には、タイヤの空気圧に異常が生じていると判定する。そして、監視制御部12は、タイヤの空気圧に異常が生じている旨を判定した場合、表示部11を通じて警告表示を行う。
【0023】
一方、図1に示すように、車両には、車両の速度を検出する車速センサ13が設けられている。そして、この車速センサ13の出力が監視制御部12に取り込まれており、監視制御部12は、この車速センサ13を通じて検出される車両の速度に基づいて車両が低速で走行しているか否かを判断する。ここで、監視制御部12は、タイヤの空気圧に異常が生じている旨を判定したとき、車両が低速で走行していることを条件に、車両に設けられたホーン14の鳴動、及びハザードランプ15の点滅を行うことで、車両周辺の歩行者に対して警告を行う。
【0024】
図3は、監視制御部12を通じて実行される、こうした警報処理についてその手順をフローチャートとして示したものであり、以下、この図2に基づいて同処理の具体的手順を総括する。なおこの処理は、上記センサユニットU1〜U4から送信された無線信号を受信した際に実行される。
【0025】
同図3に示されるように、この処理では、はじめに、無線信号に含まれる識別コードが不揮発性メモリ12aに記憶されている識別コードと一致しているか否かが判断される(ステップS1)。そして、互いの識別コードが一致している旨が判断された場合には(ステップS1:YES)、続くステップS2の処理として、タイヤの空気圧に異常が生じているか否かが判断される。このステップS2の処理では、前述のように、無線信号に含まれるタイヤの空気圧の値が高圧判定値以上である場合、あるいは低圧判定値未満である場合に、タイヤの空気圧に異常が生じている旨が判定される。ここで、タイヤの空気圧に異常が生じている旨が判断された場合には(ステップS2:YES)、車速センサ13を通じて検出される車両の速度に基づいて車両が低速で走行しているか否かが判断される(ステップS3)。具体的には、低速判定値をVthとするとき、車両の速度Vが、例えば「0<V≦Vth」なる条件を満たしている場合に、車両が低速走行している旨が判断される。なお、低速判定値Vthの値は、例えば時速20キロメートルなどに設定されており、不揮発性メモリ12aに予め記憶されている。そして、車両が低速で走行していない旨が判断された場合には(ステップS3:NO)、表示部11を通じて警告表示が行われて(ステップS5)、監視制御部12はこの一連の処理を終了する。
【0026】
一方、車両が低速で走行している旨が判断された場合には(ステップS3:YES))、ホーン14の鳴動、及びハザードランプ15の点滅が所定時間だけ実行される(ステップS4)。また、続くステップS5の処理として表示部11を通じて警告表示が行われて、監視制御部12はこの一連の処理を終了する。
【0027】
なお、無線信号に含まれる識別コードが不揮発性メモリ12aに記憶されている識別コードと一致しなかった場合(ステップS1:NO)、あるいはタイヤの空気圧に異常が生じていない旨が判断された場合には(ステップS2:NO)、監視制御部12はこの一連の処理を終了する。
【0028】
続いて、このような構成からなるタイヤ空気圧監視システムの動作、作用について説明する。
本実施形態のタイヤ空気圧監視システムでは、車両が低速で走行しているときにタイヤの空気圧に異常が生じると、ホーン14が鳴動したり、ハザードランプ15が点滅して、車室外に警報が発せられる。したがって、車両周辺の歩行者は、これらの警報を通じてタイヤの空気圧の異常を認知することができるため、タイヤがバーストに至るよりも前に車両から離れるなどの回避行動を取ることが可能となる。このため、バーストしたタイヤの破片が歩行者に接触することを未然に防止することができるようになる。
【0029】
また、タイヤの空気圧に異常が生じた状態を放置したまま、ユーザが車両を走行させた場合には、ホーン14の鳴動やハザードランプ15の点滅が定期的に行われるため、ユーザが煩わしさを感じると考えられる。したがって、ユーザはタイヤの空気圧を適正値に調整する作業を行わざるを得なくなるため、タイヤのバーストを未然に回避することができるようにもなる。
【0030】
一方、車両が高速で走行している状況では、ホーン14の鳴動やハザードランプ15の点滅を行ったとしても、歩行者は車両から離れるなどの行為を即座に取ることが難しいため、十分な警告効果を得られないばかりか、そのような警報は歩行者の混乱を招く要因ともなりかねない。したがって、車両が低速で走行している状況でのみ、ホーン14の鳴動やハザードランプ15の点滅を行うようにすれば、歩行者の混乱を回避しつつ、十分な警告効果を得ることができるようになる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)タイヤの空気圧に異常が検出されるとき、車室外に警報を発することとした。これにより、車両周辺の歩行者は、タイヤがバーストに至るよりも前に車両から離れるなどの回避行動を取ることが可能となるため、バーストしたタイヤの破片が歩行者に接触することを未然に防止することができるようになる。
【0032】
(2)車室外に警報を発するための条件として、車両の速度が予め設定された低速判定値Vthよりも低い速度であることを含むこととした。これにより、歩行者の混乱を回避しつつ、十分な警告効果を得ることができるようになる。
【0033】
(3)車室外への警報を、ホーン14の鳴動、及びハザードランプ15の点滅によって行うこととした。これにより、車両周辺の歩行者に対して的確に警告を行うことができるようになる。また、車室外へ警報を行うための機器を車両に新たに設ける必要がないため、コストの削減を図ることができるようにもなる。
【0034】
<第2の実施形態>
続いて、本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの第2の実施形態について図4〜図10を参照して説明する。なお、本実施形態のタイヤ空気圧監視システムが適用対象とする車両は、ハイブリッド車両や電気自動車など、電動機(モータ)を駆動源とする車両であるとする。またこの車両は、携帯機に設けられたスイッチを操作することによって車両ドアの施錠及び解錠を遠隔操作することのできる、いわゆるリモートキーレスエントリ(RKE)システムを搭載しているとする。以下、上記第1の実施形態の相違点を中心に説明する。
【0035】
上記第1の実施形態のように、タイヤの空気圧に異常が生じたときに車室外に対して警報を発するようにした場合には、タイヤがバーストに至る可能性がほとんどない状況であっても警報が発せられるおそれがある。しかしながらこのような状況での警報は、過度な警告となってしまい、歩行者の混乱を招くおそれがある。そこで本実施形態では、タイヤの空気圧及び内部温度に基づいて、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かを判定するようにしている。そして、タイヤがバーストに至る可能性がある場合には、車両が低速で走行していることを条件に、車室外に対して警報を発する。また、本実施形態では、上記RKEシステムを利用してユーザの乗車及び降車を検出するとともに、ユーザの乗車時及び降車時にタイヤがバーストに至る可能性がある場合にも、車室外に対して警報を発する。
【0036】
図4は、RKEシステムのシステム構成をブロック図として示したものであり、はじめに、RKEシステムについて説明する。
同図4に示されるように、このRKEシステムは、大きくは、ユーザによって所持される携帯機30と、車両に設けられた車載機40とから構成されている。
【0037】
ここで、携帯機30には、車両ドアを施錠する際に操作されるロックスイッチ31、及び車両ドアを解錠する際に操作されるアンロックスイッチ32が設けられている。そして、この携帯機30は、ロックスイッチ31がユーザによってオン操作されるとロック指令信号を無線送信する。また、アンロックスイッチ32がユーザによってオン操作されるとアンロック指令信号を無線送信する。
【0038】
一方、車載機40には、携帯機30から送信されるロック指令信号及びアンロック指令信号を受信する受信部41が設けられている。この受信部41は、各指令信号を受信すると、受信した指令信号を車載機40に設けられたRKE制御部42に伝達する。RKE制御部42は、ECUを中心に構成されるものであって、RKEシステムにかかる各種処理を統括的に行う部分である。すなわち、RKE制御部42は、受信部41からロック指令信号が伝達された場合、制御対象であるドアロック機構43を通じて車両ドアを施錠する。また、受信部41からアンロック指令信号が伝達された場合には、ドアロック機構43を通じて車両ドアを解錠する。また、RKE制御部42は、例えばCAN(Controller Area Network)などのバス型の車載ネットワークシステムを構成する通信バス16を介して上記監視制御部12と接続されており、この通信バス16を介して監視制御部12と各種データの授受を行う。具体的には、上記ロック指令信号及びアンロック指令信号に基づいて車両ドアの施錠及び解錠を行った際に、その旨を通信バス16を介して監視制御部12に伝達する。ここで、監視制御部12は、RKE制御部42から車両ドアを施錠したことを示す信号が伝達された場合には、ユーザが降車したと判断する。また、RKE制御部42から車両ドアを解錠したことを示す信号が伝達された場合には、ユーザが乗車しようとしていると判断する。
【0039】
次に、図5を参照して、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムのシステム構成について説明する。なお、本実施形態のタイヤ空気圧監視システムもその基本構成は先の図1に例示した構成に準ずるものであり、ここでは、先の図1に対応する図として、タイヤ空気圧監視システムのシステム構成を図5に示す。
【0040】
図5の二点鎖線で囲まれる領域内に示すように、センサユニットU1には、タイヤの内部温度を検出する温度センサ23が設けられている。そして、センサ制御部22は、この温度センサ23を通じてタイヤの内部温度を所定の周期をもって検出する。また、センサ制御部22は、空気圧センサ21を通じてタイヤの空気圧を検出する都度、その時系列的なデータから単位時間当たりの空気圧の変化量を演算する。そして、センサ制御部22は、無線信号を生成する際に、タイヤの内部温度、及び単位時間当たりの空気圧の変化量の情報も無線信号に含める。すなわち、センサユニットU1は、タイヤの空気圧、単位時間当たりの空気圧の変化量、タイヤの内部温度、及び識別コードID1を含む無線信号を所定の周期をもって送信する。
【0041】
また、センサユニットU2〜U4も、センサユニットU1と同様の構成をそれぞれ有している。すなわち、センサユニットU1〜U4も、タイヤの空気圧、タイヤの空気圧の単位時間当たりの変化量、タイヤの内部温度、及び識別コードを含む無線信号を所定の周期をもってそれぞれ送信する。
【0042】
一方、上記監視制御部12は、センサユニットU1〜U4からそれぞれ送信された無線信号を受信すると、前述した識別コードの照合を通じて各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧、単位時間当たりの空気圧の変化量、及び内部温度の情報を取得する。また、取得した各車輪W1〜W4のタイヤの状態量に基づいて、タイヤの空気圧に異常が生じているか否か、並びにタイヤがバーストに至る可能性があるか否かを判断する。具体的には、図6に示すように、各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧Pに関しては、前述した低圧判定値Pth1及び高圧判定値Pth2に加え、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かを判定するための判定値として2つの判定値Pth3,Pth4が予め設定されている。すなわち、低圧判定値Pth1よりも低い低圧側バースト判定値Pth3、及び高圧判定値Pth2よりも高い高圧側バースト判定値Pth4が設定されている。一方、タイヤの内部温度Tに関しては、高温判定値Tthが予め設定されている。そして、監視制御部12は、各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧P及び内部温度Tと、各判定値Pth1〜Pth4,Tthとの比較に基づいて、タイヤの状態を以下の(a1)〜(a6)に示すように判定する。
【0043】
(a1)図中に領域Aとして示すように、タイヤの空気圧Pが「P<Pth3」なる条件を満たしている場合。この場合にはタイヤがバーストに至る可能性があると判定する。
(a2)図中に領域Bとして示すように、タイヤの空気圧Pが「Pth3≦P<Pth1」なる条件を満たしている場合。この場合にはタイヤがバーストに至る可能性はないが、タイヤの空気圧に軽微な異常が生じていると判定する。
【0044】
(a3)図中に領域Cとして示すように、タイヤの空気圧Pが「Pth1≦P<Pth2」なる条件を満たしている場合。この場合にはタイヤの空気圧に異常が生じていないと判定する。
【0045】
(a4)図中に領域Dとして示すように、タイヤの空気圧Pが「Pth2≦P<Pth4」なる条件を満たして且つ、タイヤの内部温度Tが「T<Tth」なる条件を満たしている場合。この場合にはタイヤがバーストに至る可能性はないが、タイヤの空気圧に軽微な異常が生じていると判定する。
【0046】
(a5)図中に領域Eとして示すように、タイヤの空気圧Pが「Pth2≦P<Pth4」なる条件を満たしていて且つ、タイヤの内部温度Tが「Tth≦T」なる条件を満たしている場合。この場合にはタイヤがバーストに至る可能性があると判定する。
【0047】
(a6)図中に領域Fとして示すように、タイヤの内部温度Tが「T<Tth」なる条件を満たしている場合。この場合にはタイヤがバーストに至る可能性があると判定する。
一方、上記単位時間当たりの空気圧の変化量に関しては、急減判定値(<0)が予め設定されている。そして、監視制御部12は、単位時間当たりの空気圧の変化量と急減判定値との比較に基づいて、タイヤの状態を以下の(a7)に示すように判定する。
【0048】
(a7)単位時間当たりの空気圧の変化量が急減判定値以下である場合。この場合にはタイヤがバーストに至る可能性があると判定する。
そして、監視制御部12は、各車輪W1〜W4のいずれかのタイヤがバーストに至る可能性がある場合、車両が低速で走行していることを条件に、車室外に警報を発する。ここで、本実施形態では、先の図5に示すように、車両に設けられた擬似音声発生装置17を利用して車室外に警報を発するようにしている。この擬似音声発生装置17は、電動機の動力により車両が走行している際に、車両の接近を歩行者に知らせるべく、予め録音されたエンジン音などをスピーカから発するものであって、エンジン音の他、人工音声など、対象物に似た任意の音を発することができる。監視制御部12は、タイヤがバーストに至る可能性がある場合、その旨を擬似音声発生装置17から音声で通知することで、車室外に警報を発する。また、監視制御部12は、上記RKE制御部42から伝達される情報に基づいてユーザの乗車及び降車を監視しつつ、ユーザの乗車時及び降車時に各車輪W1〜W4のタイヤがバーストに至る可能性がある場合にも、擬似音声発生装置17から警報を発する。
【0049】
図7は、監視制御部12を通じて実行される、タイヤの空気圧の異常を検出する処理についてその手順をフローチャートとして示したものである。なおこの処理は、上記センサユニットU1〜U4から送信される無線信号を受信したときに実行される。なお、以下に述べる各フラグF11〜F14,F21〜F24はその初期値として「0」に設定されている。
【0050】
同図7に示されるように、この処理では、はじめに、無線信号に含まれる識別コードが不揮発性メモリ12aに記憶されている識別コードと一致しているか否かが判断される(ステップS10)。そして、互いの識別コードが一致している旨が判断された場合には(ステップS10:YES)、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かが判断される(ステップS11)。このステップS11の処理では、具体的には、無線信号に含まれるタイヤの空気圧、単位時間当たりの空気圧の変化量、及び内部温度の情報に基づいて上記(a1),(a5)〜(a7)の条件のうちのいずれかの条件が満たされている旨が判断されるとき、タイヤがバーストに至る可能性があると判断される。そして、タイヤがバーストに至る可能性がある場合には(ステップS11:YES)、図8に示すように、各識別コードID1〜ID4に対応するバースト判定フラグF11〜F14のうち、照合が行われた識別コードに対応するフラグの値が「1」に設定されて(ステップS12)、監視制御部12はこの一連の処理を終了する。
【0051】
一方、図7に示すように、タイヤがバーストに至る可能性がない場合には(ステップS11:NO)、続くステップS13の処理として、タイヤの空気圧に軽微な異常が生じているか否かが判断される。このステップS13の処理では、具体的には、無線信号に含まれるタイヤの空気圧P及び内部温度Tの情報に基づいて上記(a2)及び(a4)の条件のうちのいずれかの条件が満たされている旨が判断されるとき、タイヤの空気圧に軽微な異常が生じている旨が判定される。そして、タイヤの空気圧に軽微な異常が生じている旨が判定された場合には(ステップS13:YES)、図8に示すように、各識別コードID1〜ID4に対応する空気圧異常判定フラグF21〜F24のうち、照合が行われた識別コードに対応するフラグの値が「1」に設定されて(ステップS14)、監視制御部12はこの一連の処理を終了する。
【0052】
また一方、タイヤの空気圧に軽微な異常が生じていない旨が判定された場合には(ステップS13:NO)、各識別コードID1〜ID4に対応するバースト判定フラグF11〜F14及び空気圧異常判定フラグF21〜F24のうち、照合が行われた識別コードに対応する各フラグの値が「0」に設定される(ステップS15)。そして、監視制御部12は、ステップS15の処理を実行した後にこの一連の処理を終了する。
【0053】
なお、無線信号に含まれる識別コードが不揮発性メモリ12aに記憶されている識別コードと一致しない旨が判断された場合には(ステップS10:NO)、監視制御部12はこの一連の処理を終了する。
【0054】
次に、図9を参照して、監視制御部12を通じて実行される警報処理について説明する。なお、図9に示す処理は、例えば車両のイグニッションスイッチがオン状態であるときに所定の周期をもって繰り返し実行される。
【0055】
同図7に示すように、この処理では、はじめに、車両が低速で走行しているか否かが判断される(ステップS20)。そして、車両が低速で走行している旨が判断された場合には(ステップS20:YES)、バースト判定フラグF11〜F14のいずれかの値が「1」に設定されているか否かが判断される(ステップS21)。ここで、バースト判定フラグF11〜F14のいずれかの値が「1」に設定されている旨が判断された場合には(ステップS21:YES)、上記擬似音声発生装置17を通じて音声による警報が所定時間だけ実行される(ステップS22)。また、上記表示部11を通じて警告表示が行われて(ステップS23)、監視制御部12はこの一連の処理を一旦終了する。
【0056】
一方、バースト判定フラグF11〜F14の全ての値が「1」に設定されていない旨が判断された場合には(ステップS21:NO)、続くステップS24の処理として、空気圧異常判定フラグF21〜F24のいずれかの値が「1」に設定されているか否かが判断される(ステップS24)。ここで、空気圧異常判定フラグF21〜F24のいずれかの値が「1」に設定されている旨が判断された場合には(ステップS24:YES)、表示部11を通じて警告表示が行われて(ステップS23)、監視制御部12はこの一連の処理を一旦終了する。
【0057】
また一方、車両が低速で走行していない旨が判断された場合(ステップS20:NO)、あるいは空気圧異常判定フラグF21〜F24の全ての値が「1」に設定されていない旨が判断された場合には(ステップS24:NO)、監視制御部12はこの一連の処理を一旦終了する。
【0058】
次に、図10を参照して、監視制御部12を通じて実行される、ユーザの乗車時及び降車時に警報を発する処理について説明する。なおこの処理は、上記RKE制御部42から車両ドアを施錠したことを示す信号、あるいは車両ドアを解錠したことを示す信号が伝達されたときに実行される。
【0059】
同図10に示すように、この処理では、はじめに、バースト判定フラグF11〜F14のいずれかの値が「1」に設定されているか否かが判断される(ステップS30)。ここで、バースト判定フラグF11〜F14のいずれかの値が「1」に設定されている旨が判断された場合には(ステップS30:YES)、上記擬似音声発生装置17を通じて音声により警報が所定時間だけ発せられる(ステップS31)。
【0060】
一方、バースト判定フラグF11〜F14の全ての値が「1」に設定されていない旨が判断された場合には(ステップS30:NO)、監視制御部12はこの一連の処理を終了する。
【0061】
続いて、このような構成からなるタイヤ空気圧監視システムの動作、作用について説明する。
本実施形態のタイヤ空気圧監視システムでは、車両が低速で走行しているとき、各車輪W1〜W4のいずれかのタイヤがバーストに至る可能性がある場合にのみ、擬似音声発生装置17から車室外に警報が発せられる。これにより、歩行者の混乱を回避しつつ、十分な警告効果を得ることができるようになる。
【0062】
ところで、上記第1の実施形態のように、タイヤがバーストに至る可能性があるときに車両のホーン14の鳴動やハザードランプ15の点灯を行うだけでは、車両周辺の歩行者が警報であると認識せずに、運転者の操作によってホーン14の鳴動などが行われていると勘違いするおそれがある。このため、タイヤの空気圧の異常を歩行者に適切に通知することができないおそれがある。この点、本実施形態では、各車輪W1〜W4のいずれかのタイヤがバーストに至る可能性がある場合には、その旨が擬似音声発生装置17を通じて音声で通知されるため、歩行者は、タイヤがバーストに至る可能性があることを確実に認識することができる。このため、歩行者は車両から離れるなどの行動を取りやすくなるため、より確実な警告効果を得ることができるようになる。
【0063】
また、ユーザが乗車及び降車する際に、タイヤがバーストに至る可能性がある場合には、擬似音声発生装置17から車室外に警報が発せられるため、ユーザはタイヤがバーストに至る可能性があることを知ることができる。このため、ユーザは車両を運転する前にタイヤの空気圧を適正な空気圧に調整するなど、バーストを回避するための対策を施すことができるため、高い安全性を確保することができるようになる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、上記第1の実施形態による(1),(2)の効果と同等、もしくはそれらに準じた効果が得られるとともに、次のような効果がえら得るようになる。
【0065】
(4)タイヤがバーストに至る可能性があるときに車室外への警報を行うこととした。これにより、歩行者の混乱を回避しつつ、十分な警告効果を得ることが可能となる。
(5)タイヤがバーストに至る可能性があるか否かの検出を、センサユニットU1〜U4を通じて検出されるタイヤの状態量と、各判定値Pth1〜Pth4,Tth及び急減判定値との比較に基づいて行うこととした。これにより、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かを容易に検出することができるようになる。
【0066】
(6)タイヤがバーストに至る可能性がある旨を擬似音声発生装置17から音声で通知することで、車室外への警報を行うこととした。これにより、車両周辺の歩行者はタイヤがバーストに至る可能性があることを確実に認識することができるため、より確実に警報効果を得ることができるようになる。また、車室外へ警報を行うための機器を車両に新たに設ける必要がないため、コストの削減を図ることができるようにもなる。
【0067】
(7)車両のユーザの乗車時及び降車時にタイヤがバーストに至る可能性があるとき、車室外への警報を行うこととした。これにより、ユーザは車両を運転する前にタイヤの空気圧を適正な空気圧に調整するなど、バーストを回避するための対策を施すことができるため、高い安全性を確保することができるようになる。
【0068】
<他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第1の実施形態では、車室外に警報を発する車室外警報手段として、ホーン14及びハザードランプ15を利用することとしたが、これに代えて、例えば車両のヘッドランプや擬似音声発生装置などを利用してもよい。なお、ヘッドランプを利用する場合には、同ランプを点灯させることによって車室外への警報を行う。また、車室外に警報を発するための機器を車両に新たに設けてもよい。同様に、上記第2の実施形態では、擬似音声発生装置17に代えて、例えばホーン14やハザードランプ15などを利用してもよい。
【0069】
・上記第2の実施形態では、車両のユーザの乗車時及び降車時にタイヤがバーストに至る可能性があるときに車室外への警報を行うこととしたが、同構成は省略することも可能である。
【0070】
・上記第2の実施形態では、車両のユーザの乗車及び降車の検出を、RKEシステムを利用して行うこととしたが、例えば車両のスマートエントリシステムを利用して行ってもよい。ちなみに、スマートエントリシステムとは、例えば車両の周辺に設定された通信エリアに携帯機が進入したときに同携帯機と車載機との間で双方向の無線通信を行って車両ドアの施錠及び解錠などを行うシステムである。この場合、例えば車両の周辺に設定された通信エリアに携帯機が進入した旨が検知されたとき、ユーザが乗車しようとしていると判断する。また、同通信エリアから携帯機が退出した旨が検知されたとき、ユーザが降車したと判断する。また、これらRKEシステムやスマートエントリシステムを利用するといった方法の他、適宜の方法でユーザの乗車及び降車を検出してもよい。
【0071】
・上記第2の実施形態では、RKE制御部42と監視制御部12とを別々のECUにより構成することとしたが、それらを一つのECUにより構成してもよい。
・上記第2の実施形態では、擬似音声発生装置17から音声を発することで車室外への警報を行うこととしたが、例えば車両に搭載された電子音発生装置から適宜の電子音を発することで車室外への警報を行ってもよい。電子音発生装置としては、例えば車両ドアが解錠された際にピー音(電子音)を発する装置などを用いることができる。この場合、車両ドアが解錠された際に発せられる電子音とは別の電子音を用いて車室外への警報を行えば、車両周辺の歩行者に対して効果的な警告を行うことができる。
【0072】
・上記各実施形態では、車両が低速で走行していることを条件に車室外への警報を行うこととしたが、例えば車両が高速で走行しているときに車室外への警報を行ってもよい。要は、タイヤの空気圧に異常が検出されるとき、車両が走行中であることを条件に、車室外への警報を行うものであればよい。
【0073】
<付記>
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)請求項3に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記タイヤの空気圧の異常検出が、前記センサユニットを通じて検出される空気圧がその高圧判定値以上であることを条件に行われ、前記タイヤがバーストに至る可能性があることの検出が、前記センサユニットを通じて検出されるタイヤの空気圧と、前記高圧判定値よりも高い高圧側バースト判定値との比較に基づいて行われることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かを容易に検出することができるようになる。
【0074】
(ロ)請求項3に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記タイヤの空気圧の異常検出が、前記センサユニットを通じて検出される空気圧がその高圧判定値以上であることを条件に行われ、前記タイヤがバーストに至る可能性があることの検出が、前記センサユニットを通じて検出されるタイヤの空気圧と前記高圧判定値との比較、及び前記センサユニットを通じて検出される温度とその高温判定値との比較に基づいて行われることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かを容易に検出することができるようになる。
【0075】
(ハ)請求項3に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記タイヤの空気圧の異常検出が、前記センサユニットを通じて検出される空気圧がその低圧判定値未満であることを条件に行われ、前記タイヤがバーストに至る可能性があることの検出が、前記センサユニットを通じて検出されるタイヤの空気圧と、前記低圧判定値よりも低い低圧側バースト判定値との比較に基づいて行われることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かを容易に検出することができるようになる。
【0076】
(ニ)請求項3に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記タイヤがバーストに至る可能性があることの検出が、前記センサユニットを通じて検出されるタイヤの空気圧についてその単位時間当たりの変化量と、予め定められた急減判定値との比較に基づいて行われることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かを容易に検出することができるようになる。
【0077】
(ホ)請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記車室外警報手段は、車両に設けられたホーンであって、該ホーンの鳴動により警報を行うものであることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、車両周辺の歩行者に対して的確に警告を行うことができるようになる。
【0078】
(ヘ)請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記車室外警報手段は、車両に設けられたハザードランプであって、該ハザードランプの点滅により警報を行うものであることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、車両周辺の歩行者に対して的確に警告を行うことができるようになる。
【0079】
(ト)請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記車室外警報手段は、車両に設けられたヘッドライトであって、該ヘッドライトの点灯により警報を行うものであることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、車両周辺の歩行者に対して的確に警告を行うことができるようになる。
【0080】
(チ)請求項1〜4、及び付記イ〜トのいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記車室外警報手段により警報を発するための条件として、前記車両のユーザの乗車又は降車が検出されることを更に含むことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、ユーザが乗車及び降車する際に、タイヤの空気圧に異常が生じている場合には、車室外警報手段により警報が発せられるため、ユーザはタイヤの空気圧の異常を認知することができる。このため、ユーザは車両を運転する前にタイヤの空気圧を適正な空気圧に調整するなど、バーストを回避するための対策を施すことができるため、高い安全性を確保することができるようになる。
【符号の説明】
【0081】
U1〜U4…センサユニット、W1…右前輪、W2…左前輪、W3…右後輪、W4…左後輪、1…監視装置、10…受信部、11…表示部、12…監視制御部、12a…不揮発性メモリ、13…車速センサ、14…ホーン、15…ハザードランプ、16…通信バス、17…擬似音声発生装置、20…送信部、21…空気圧センサ、22…センサ制御部、22a…不揮発性メモリ、23…温度センサ、30…携帯機、31…ロックスイッチ、32…アンロックスイッチ、40…車載機、41…受信部、42…RKE制御部、43…ドアロック機構。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のタイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のタイヤの空気圧を監視するとともに、タイヤの空気圧に異常が検出されたときに警告を行うタイヤ空気圧監視システムが周知である。そして従来、この種のタイヤ空気圧監視システムとしては、例えば特許文献1に記載のシステムが知られている。
【0003】
この特許文献1に記載のタイヤ空気圧監視システムでは、タイヤの空気圧を検出するセンサユニットを車両の各車輪に設けるようにしている。このセンサユニットは、タイヤの空気圧を検出すると、検出された空気圧の情報などを含む無線信号を生成してこれを送信する。そして、センサユニットから送信された無線信号は、車両に設けられた監視装置によって受信される。監視装置は、受信した無線信号に含まれる空気圧の情報に基づいて各車輪のタイヤの空気圧を監視しつつ、タイヤの空気圧に異常が検出された場合には次のような態様で警告を行う。まず、ユーザが乗車している場合には、車室内に設けられたランプを点灯させるなどして車室内のユーザに対して警告を行う。また、ユーザが乗車していない場合には、ユーザの車両への接近を検知したときに、例えばヘッドランプを点灯させるなどして車室外のユーザに対して警告を行う。
【0004】
タイヤ空気圧監視システムとしてのこのような構成によれば、ユーザは、乗車しようとして車両に近づいたときにヘッドランプの点灯などによりタイヤの空気圧の異常を認知することができる。このため、タイヤの空気を補充したり、スペアタイヤに切り替えるなどの修復作業を乗車前に行うことが可能となるため、利便性が向上するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−247132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えばタイヤの空気圧が異常な状態のまま車両を走行させた場合、タイヤが異常発熱して、その熱にタイヤが耐えきれずに破裂する、いわゆるバーストが生じるおそれがある。そしてこのようにタイヤがバーストに至った場合、タイヤの破片が車両の周囲に飛散するため、飛散したタイヤの破片が車両周辺の歩行者に接触するおそれがある。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バーストしたタイヤの破片が歩行者へ接触することを未然に防止することのできるタイヤ空気圧監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の車輪に設けられたセンサユニットを通じて前記車輪に装着されたタイヤの空気圧を検出するとともに、前記センサユニットを通じて検出されたタイヤの空気圧に異常が検出されるとき、車両に設けられた警報手段を通じて警報を発するタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記警報手段として車室外に警報を発する車室外警報手段を備え、前記センサユニットを通じて検出されたタイヤの空気圧に異常が検出されるとき、前記車両が走行中であることを条件に、前記車室外警報手段により警報を発することを要旨としている。
【0009】
同構成によれば、車両の走行中にタイヤの空気圧に異常が生じると、車室外警報手段を通じて警報が発せられる。したがって、車両周辺の歩行者は車室外警報手段による警報を通じてタイヤの空気圧の異常を認知することができるため、タイヤがバーストに至るよりも前に車両から離れるなどの回避行動を取ることが可能となる。このため、バーストしたタイヤの破片が歩行者に接触することを未然に防止することができるようになる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記車室外警報手段により警報を発するための条件として、前記車両の速度が予め設定された低速判定値よりも低い速度であることを更に含むことを要旨としている。
【0011】
車両が高速で走行している状況では、車室外警報手段による警報を行った場合としても、歩行者は車両から離れるなどの行為を即座に取ることが難しいため、十分な警告効果を得られないばかりか、そのような警報は歩行者の混乱を招く要因ともなりかねない。したがって、上記構成によるように、車両が低速で走行している状況でのみ車室外警報手段による警報を発するようにすることで、歩行者の混乱を回避しつつ、十分な警告効果を得ることができるようになる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記車室外警報手段により警報を発するための条件として、前記タイヤがバーストに至る可能性があることを更に含むことを要旨としている。
【0013】
上述のように、タイヤの空気圧に異常が検出されるときに車室外警報手段により警報を発するようにした場合には、タイヤがバーストに至る可能性がほとんどない状況であっても警報が発せられるおそれがある。しかしながらこのような状況での警報は、過度な警告となってしまい、歩行者の混乱を招くおそれがあるため、好ましくない。この点、上記構成によれば、タイヤがバーストに至る可能性がある場合にのみ車室外警報手段から警報が発せられるため、歩行者の混乱を回避しつつ、必要十分な警告効果を得ることができるようになる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記車室外警報手段は、車両に設けられて対象物に似た音声を発する擬似音声発生装置であって、該擬似音声発生装置を通じてタイヤが異常であることを音声で通知することで警報を行うものであることを要旨としている。
【0015】
タイヤに異常が生じたときに例えば車両のホーンの鳴動などを行うだけでは、車両周辺の歩行者が警報であると認識せずに、運転者の操作によりホーンの鳴動が行われていると勘違いするおそれがある。このため、タイヤの異常を歩行者に適切に通知することができないおそれがある。この点、上記構成によるように、擬似音声発生装置を通じてタイヤに異常が生じていることを音声で通知することとすれば、歩行者はタイヤの異常を確実に認識することができるため、車両から離れるなどの行動を取り易くなる。したがって、より確実な警告効果を得ることができるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、バーストしたタイヤの破片が歩行者へ接触することを未然に防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの第1の実施形態についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図2】同第1の実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてその監視制御部の不揮発性メモリに記憶されている情報を模式的に示す図。
【図3】同第1の実施形態のタイヤ空気圧監視システムによる警報処理についてその処理手順を示すフローチャート。
【図4】車両のリモートキーレスエントリシステムのシステム構成を示すブロック図。
【図5】本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの第2の実施形態についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図6】同第2の実施形態のタイヤ空気圧監視システムによるタイヤのバーストを検出する方法、及びタイヤの空気圧の軽微な異常を検出する方法を説明するためのグラフ。
【図7】同第2の実施形態のタイヤ空気圧監視システムによるタイヤ異常検出処理についてその手順を示すフローチャート。
【図8】同第2の実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてその監視制御部の不揮発性メモリに記憶されている情報を模式的に示す図。
【図9】同第2の実施形態のタイヤ空気圧監視システムによる警報処理についてその手順を示すフローチャート。
【図10】同第2の実施形態のタイヤ空気圧監視システムによる乗降車時警報処理についてその手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの第1の実施形態について図1〜図3を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムの概要について説明する。なお、図1において、W1は車両の右前輪を、W2は車両の左前輪を、W3は車両の右後輪を、W4は車両の左後輪をそれぞれ示している。
【0019】
図1に示すように、このタイヤ空気圧監視システムは、大きくは、各車輪W1〜W4にそれぞれ設けられてタイヤの空気圧を検出するセンサユニットU1〜U4と、これらセンサユニットU1〜U4との無線通信を通じて各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧を監視する監視装置1とから構成されている。
【0020】
このうち、センサユニットU1には、図中の二点鎖線で囲まれた領域内に示すように、監視装置1に無線信号を送信する送信部20、及び車輪W1のタイヤの空気圧を検出する空気圧センサ21が設けられている。そして、空気圧センサ21の出力は、同じくセンサユニットU1に設けられたセンサ制御部22に取り込まれている。このセンサ制御部22は、空気圧センサ21を通じてタイヤの空気圧を所定の周期をもって検出するとともに、検出したタイヤの空気圧の情報、及び内蔵する不揮発性メモリ22aに記憶されているセンサユニットU1固有の識別コード(IDコード)ID1を含む無線信号を生成する。また、センサ制御部22は、生成した無線信号を所定の周期をもって送信部20から送信する。
【0021】
また、センサユニットU2〜U4は、センサユニットU1と同様の構成をそれぞれ有してなる。但し、センサユニットU2〜U4に搭載される不揮発性メモリには、それら固有の識別コードID2〜ID4がそれぞれ記憶されている。また、センサユニットU2〜U4も、タイヤの空気圧の情報、及び識別コードを含む無線信号を所定の周期をもってそれぞれ送信する。
【0022】
一方、監視装置1には、センサユニットU1〜U4から送信される無線信号を受信する受信部10、及び各車輪W1〜W4のいずれかのタイヤに空気圧の異常が生じたときに警告表示を行う表示部11が設けられている。なお、表示部11は、例えば車両のインストルメントパネルなどに設けられている。そして、受信部10を介して受信した無線信号は、同じく監視装置1に設けられた監視制御部12に取り込まれている。この監視制御部12は、不揮発性メモリ12aなどを有する電子制御ユニット(ECU)を中心に構成されるものであって、タイヤの空気圧を監視する処理を行う部分である。すなわち、監視制御部12は、受信部10から無線信号が入力されると、まずは、同無線信号に含まれる識別コードと、不揮発性メモリ12aに記憶されている識別コードとの照合を行う。ちなみに、不揮発性メモリ12aには、図2に示すように、各車輪W1〜W4の位置とセンサユニットU1〜U4の識別コードとがそれぞれ関連付けされたかたちで予め記憶されている。そして、監視制御部12は、上記照合を通じて互いの識別コードが一致している旨を判断した場合には、受信した無線信号に含まれる空気圧の情報が各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧を示すものであると判断する。監視制御部12は、このような判断手法に基づいて各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧の情報を取得するとともに、取得した各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧と予め設定された判定値との比較に基づいて、各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧に異常が生じているか否かを判定する。具体的には、各車輪W1〜W4のいずれかのタイヤの空気圧が予め定められた高圧判定値以上である場合、あるいは低圧判定値未満である場合には、タイヤの空気圧に異常が生じていると判定する。そして、監視制御部12は、タイヤの空気圧に異常が生じている旨を判定した場合、表示部11を通じて警告表示を行う。
【0023】
一方、図1に示すように、車両には、車両の速度を検出する車速センサ13が設けられている。そして、この車速センサ13の出力が監視制御部12に取り込まれており、監視制御部12は、この車速センサ13を通じて検出される車両の速度に基づいて車両が低速で走行しているか否かを判断する。ここで、監視制御部12は、タイヤの空気圧に異常が生じている旨を判定したとき、車両が低速で走行していることを条件に、車両に設けられたホーン14の鳴動、及びハザードランプ15の点滅を行うことで、車両周辺の歩行者に対して警告を行う。
【0024】
図3は、監視制御部12を通じて実行される、こうした警報処理についてその手順をフローチャートとして示したものであり、以下、この図2に基づいて同処理の具体的手順を総括する。なおこの処理は、上記センサユニットU1〜U4から送信された無線信号を受信した際に実行される。
【0025】
同図3に示されるように、この処理では、はじめに、無線信号に含まれる識別コードが不揮発性メモリ12aに記憶されている識別コードと一致しているか否かが判断される(ステップS1)。そして、互いの識別コードが一致している旨が判断された場合には(ステップS1:YES)、続くステップS2の処理として、タイヤの空気圧に異常が生じているか否かが判断される。このステップS2の処理では、前述のように、無線信号に含まれるタイヤの空気圧の値が高圧判定値以上である場合、あるいは低圧判定値未満である場合に、タイヤの空気圧に異常が生じている旨が判定される。ここで、タイヤの空気圧に異常が生じている旨が判断された場合には(ステップS2:YES)、車速センサ13を通じて検出される車両の速度に基づいて車両が低速で走行しているか否かが判断される(ステップS3)。具体的には、低速判定値をVthとするとき、車両の速度Vが、例えば「0<V≦Vth」なる条件を満たしている場合に、車両が低速走行している旨が判断される。なお、低速判定値Vthの値は、例えば時速20キロメートルなどに設定されており、不揮発性メモリ12aに予め記憶されている。そして、車両が低速で走行していない旨が判断された場合には(ステップS3:NO)、表示部11を通じて警告表示が行われて(ステップS5)、監視制御部12はこの一連の処理を終了する。
【0026】
一方、車両が低速で走行している旨が判断された場合には(ステップS3:YES))、ホーン14の鳴動、及びハザードランプ15の点滅が所定時間だけ実行される(ステップS4)。また、続くステップS5の処理として表示部11を通じて警告表示が行われて、監視制御部12はこの一連の処理を終了する。
【0027】
なお、無線信号に含まれる識別コードが不揮発性メモリ12aに記憶されている識別コードと一致しなかった場合(ステップS1:NO)、あるいはタイヤの空気圧に異常が生じていない旨が判断された場合には(ステップS2:NO)、監視制御部12はこの一連の処理を終了する。
【0028】
続いて、このような構成からなるタイヤ空気圧監視システムの動作、作用について説明する。
本実施形態のタイヤ空気圧監視システムでは、車両が低速で走行しているときにタイヤの空気圧に異常が生じると、ホーン14が鳴動したり、ハザードランプ15が点滅して、車室外に警報が発せられる。したがって、車両周辺の歩行者は、これらの警報を通じてタイヤの空気圧の異常を認知することができるため、タイヤがバーストに至るよりも前に車両から離れるなどの回避行動を取ることが可能となる。このため、バーストしたタイヤの破片が歩行者に接触することを未然に防止することができるようになる。
【0029】
また、タイヤの空気圧に異常が生じた状態を放置したまま、ユーザが車両を走行させた場合には、ホーン14の鳴動やハザードランプ15の点滅が定期的に行われるため、ユーザが煩わしさを感じると考えられる。したがって、ユーザはタイヤの空気圧を適正値に調整する作業を行わざるを得なくなるため、タイヤのバーストを未然に回避することができるようにもなる。
【0030】
一方、車両が高速で走行している状況では、ホーン14の鳴動やハザードランプ15の点滅を行ったとしても、歩行者は車両から離れるなどの行為を即座に取ることが難しいため、十分な警告効果を得られないばかりか、そのような警報は歩行者の混乱を招く要因ともなりかねない。したがって、車両が低速で走行している状況でのみ、ホーン14の鳴動やハザードランプ15の点滅を行うようにすれば、歩行者の混乱を回避しつつ、十分な警告効果を得ることができるようになる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)タイヤの空気圧に異常が検出されるとき、車室外に警報を発することとした。これにより、車両周辺の歩行者は、タイヤがバーストに至るよりも前に車両から離れるなどの回避行動を取ることが可能となるため、バーストしたタイヤの破片が歩行者に接触することを未然に防止することができるようになる。
【0032】
(2)車室外に警報を発するための条件として、車両の速度が予め設定された低速判定値Vthよりも低い速度であることを含むこととした。これにより、歩行者の混乱を回避しつつ、十分な警告効果を得ることができるようになる。
【0033】
(3)車室外への警報を、ホーン14の鳴動、及びハザードランプ15の点滅によって行うこととした。これにより、車両周辺の歩行者に対して的確に警告を行うことができるようになる。また、車室外へ警報を行うための機器を車両に新たに設ける必要がないため、コストの削減を図ることができるようにもなる。
【0034】
<第2の実施形態>
続いて、本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの第2の実施形態について図4〜図10を参照して説明する。なお、本実施形態のタイヤ空気圧監視システムが適用対象とする車両は、ハイブリッド車両や電気自動車など、電動機(モータ)を駆動源とする車両であるとする。またこの車両は、携帯機に設けられたスイッチを操作することによって車両ドアの施錠及び解錠を遠隔操作することのできる、いわゆるリモートキーレスエントリ(RKE)システムを搭載しているとする。以下、上記第1の実施形態の相違点を中心に説明する。
【0035】
上記第1の実施形態のように、タイヤの空気圧に異常が生じたときに車室外に対して警報を発するようにした場合には、タイヤがバーストに至る可能性がほとんどない状況であっても警報が発せられるおそれがある。しかしながらこのような状況での警報は、過度な警告となってしまい、歩行者の混乱を招くおそれがある。そこで本実施形態では、タイヤの空気圧及び内部温度に基づいて、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かを判定するようにしている。そして、タイヤがバーストに至る可能性がある場合には、車両が低速で走行していることを条件に、車室外に対して警報を発する。また、本実施形態では、上記RKEシステムを利用してユーザの乗車及び降車を検出するとともに、ユーザの乗車時及び降車時にタイヤがバーストに至る可能性がある場合にも、車室外に対して警報を発する。
【0036】
図4は、RKEシステムのシステム構成をブロック図として示したものであり、はじめに、RKEシステムについて説明する。
同図4に示されるように、このRKEシステムは、大きくは、ユーザによって所持される携帯機30と、車両に設けられた車載機40とから構成されている。
【0037】
ここで、携帯機30には、車両ドアを施錠する際に操作されるロックスイッチ31、及び車両ドアを解錠する際に操作されるアンロックスイッチ32が設けられている。そして、この携帯機30は、ロックスイッチ31がユーザによってオン操作されるとロック指令信号を無線送信する。また、アンロックスイッチ32がユーザによってオン操作されるとアンロック指令信号を無線送信する。
【0038】
一方、車載機40には、携帯機30から送信されるロック指令信号及びアンロック指令信号を受信する受信部41が設けられている。この受信部41は、各指令信号を受信すると、受信した指令信号を車載機40に設けられたRKE制御部42に伝達する。RKE制御部42は、ECUを中心に構成されるものであって、RKEシステムにかかる各種処理を統括的に行う部分である。すなわち、RKE制御部42は、受信部41からロック指令信号が伝達された場合、制御対象であるドアロック機構43を通じて車両ドアを施錠する。また、受信部41からアンロック指令信号が伝達された場合には、ドアロック機構43を通じて車両ドアを解錠する。また、RKE制御部42は、例えばCAN(Controller Area Network)などのバス型の車載ネットワークシステムを構成する通信バス16を介して上記監視制御部12と接続されており、この通信バス16を介して監視制御部12と各種データの授受を行う。具体的には、上記ロック指令信号及びアンロック指令信号に基づいて車両ドアの施錠及び解錠を行った際に、その旨を通信バス16を介して監視制御部12に伝達する。ここで、監視制御部12は、RKE制御部42から車両ドアを施錠したことを示す信号が伝達された場合には、ユーザが降車したと判断する。また、RKE制御部42から車両ドアを解錠したことを示す信号が伝達された場合には、ユーザが乗車しようとしていると判断する。
【0039】
次に、図5を参照して、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムのシステム構成について説明する。なお、本実施形態のタイヤ空気圧監視システムもその基本構成は先の図1に例示した構成に準ずるものであり、ここでは、先の図1に対応する図として、タイヤ空気圧監視システムのシステム構成を図5に示す。
【0040】
図5の二点鎖線で囲まれる領域内に示すように、センサユニットU1には、タイヤの内部温度を検出する温度センサ23が設けられている。そして、センサ制御部22は、この温度センサ23を通じてタイヤの内部温度を所定の周期をもって検出する。また、センサ制御部22は、空気圧センサ21を通じてタイヤの空気圧を検出する都度、その時系列的なデータから単位時間当たりの空気圧の変化量を演算する。そして、センサ制御部22は、無線信号を生成する際に、タイヤの内部温度、及び単位時間当たりの空気圧の変化量の情報も無線信号に含める。すなわち、センサユニットU1は、タイヤの空気圧、単位時間当たりの空気圧の変化量、タイヤの内部温度、及び識別コードID1を含む無線信号を所定の周期をもって送信する。
【0041】
また、センサユニットU2〜U4も、センサユニットU1と同様の構成をそれぞれ有している。すなわち、センサユニットU1〜U4も、タイヤの空気圧、タイヤの空気圧の単位時間当たりの変化量、タイヤの内部温度、及び識別コードを含む無線信号を所定の周期をもってそれぞれ送信する。
【0042】
一方、上記監視制御部12は、センサユニットU1〜U4からそれぞれ送信された無線信号を受信すると、前述した識別コードの照合を通じて各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧、単位時間当たりの空気圧の変化量、及び内部温度の情報を取得する。また、取得した各車輪W1〜W4のタイヤの状態量に基づいて、タイヤの空気圧に異常が生じているか否か、並びにタイヤがバーストに至る可能性があるか否かを判断する。具体的には、図6に示すように、各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧Pに関しては、前述した低圧判定値Pth1及び高圧判定値Pth2に加え、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かを判定するための判定値として2つの判定値Pth3,Pth4が予め設定されている。すなわち、低圧判定値Pth1よりも低い低圧側バースト判定値Pth3、及び高圧判定値Pth2よりも高い高圧側バースト判定値Pth4が設定されている。一方、タイヤの内部温度Tに関しては、高温判定値Tthが予め設定されている。そして、監視制御部12は、各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧P及び内部温度Tと、各判定値Pth1〜Pth4,Tthとの比較に基づいて、タイヤの状態を以下の(a1)〜(a6)に示すように判定する。
【0043】
(a1)図中に領域Aとして示すように、タイヤの空気圧Pが「P<Pth3」なる条件を満たしている場合。この場合にはタイヤがバーストに至る可能性があると判定する。
(a2)図中に領域Bとして示すように、タイヤの空気圧Pが「Pth3≦P<Pth1」なる条件を満たしている場合。この場合にはタイヤがバーストに至る可能性はないが、タイヤの空気圧に軽微な異常が生じていると判定する。
【0044】
(a3)図中に領域Cとして示すように、タイヤの空気圧Pが「Pth1≦P<Pth2」なる条件を満たしている場合。この場合にはタイヤの空気圧に異常が生じていないと判定する。
【0045】
(a4)図中に領域Dとして示すように、タイヤの空気圧Pが「Pth2≦P<Pth4」なる条件を満たして且つ、タイヤの内部温度Tが「T<Tth」なる条件を満たしている場合。この場合にはタイヤがバーストに至る可能性はないが、タイヤの空気圧に軽微な異常が生じていると判定する。
【0046】
(a5)図中に領域Eとして示すように、タイヤの空気圧Pが「Pth2≦P<Pth4」なる条件を満たしていて且つ、タイヤの内部温度Tが「Tth≦T」なる条件を満たしている場合。この場合にはタイヤがバーストに至る可能性があると判定する。
【0047】
(a6)図中に領域Fとして示すように、タイヤの内部温度Tが「T<Tth」なる条件を満たしている場合。この場合にはタイヤがバーストに至る可能性があると判定する。
一方、上記単位時間当たりの空気圧の変化量に関しては、急減判定値(<0)が予め設定されている。そして、監視制御部12は、単位時間当たりの空気圧の変化量と急減判定値との比較に基づいて、タイヤの状態を以下の(a7)に示すように判定する。
【0048】
(a7)単位時間当たりの空気圧の変化量が急減判定値以下である場合。この場合にはタイヤがバーストに至る可能性があると判定する。
そして、監視制御部12は、各車輪W1〜W4のいずれかのタイヤがバーストに至る可能性がある場合、車両が低速で走行していることを条件に、車室外に警報を発する。ここで、本実施形態では、先の図5に示すように、車両に設けられた擬似音声発生装置17を利用して車室外に警報を発するようにしている。この擬似音声発生装置17は、電動機の動力により車両が走行している際に、車両の接近を歩行者に知らせるべく、予め録音されたエンジン音などをスピーカから発するものであって、エンジン音の他、人工音声など、対象物に似た任意の音を発することができる。監視制御部12は、タイヤがバーストに至る可能性がある場合、その旨を擬似音声発生装置17から音声で通知することで、車室外に警報を発する。また、監視制御部12は、上記RKE制御部42から伝達される情報に基づいてユーザの乗車及び降車を監視しつつ、ユーザの乗車時及び降車時に各車輪W1〜W4のタイヤがバーストに至る可能性がある場合にも、擬似音声発生装置17から警報を発する。
【0049】
図7は、監視制御部12を通じて実行される、タイヤの空気圧の異常を検出する処理についてその手順をフローチャートとして示したものである。なおこの処理は、上記センサユニットU1〜U4から送信される無線信号を受信したときに実行される。なお、以下に述べる各フラグF11〜F14,F21〜F24はその初期値として「0」に設定されている。
【0050】
同図7に示されるように、この処理では、はじめに、無線信号に含まれる識別コードが不揮発性メモリ12aに記憶されている識別コードと一致しているか否かが判断される(ステップS10)。そして、互いの識別コードが一致している旨が判断された場合には(ステップS10:YES)、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かが判断される(ステップS11)。このステップS11の処理では、具体的には、無線信号に含まれるタイヤの空気圧、単位時間当たりの空気圧の変化量、及び内部温度の情報に基づいて上記(a1),(a5)〜(a7)の条件のうちのいずれかの条件が満たされている旨が判断されるとき、タイヤがバーストに至る可能性があると判断される。そして、タイヤがバーストに至る可能性がある場合には(ステップS11:YES)、図8に示すように、各識別コードID1〜ID4に対応するバースト判定フラグF11〜F14のうち、照合が行われた識別コードに対応するフラグの値が「1」に設定されて(ステップS12)、監視制御部12はこの一連の処理を終了する。
【0051】
一方、図7に示すように、タイヤがバーストに至る可能性がない場合には(ステップS11:NO)、続くステップS13の処理として、タイヤの空気圧に軽微な異常が生じているか否かが判断される。このステップS13の処理では、具体的には、無線信号に含まれるタイヤの空気圧P及び内部温度Tの情報に基づいて上記(a2)及び(a4)の条件のうちのいずれかの条件が満たされている旨が判断されるとき、タイヤの空気圧に軽微な異常が生じている旨が判定される。そして、タイヤの空気圧に軽微な異常が生じている旨が判定された場合には(ステップS13:YES)、図8に示すように、各識別コードID1〜ID4に対応する空気圧異常判定フラグF21〜F24のうち、照合が行われた識別コードに対応するフラグの値が「1」に設定されて(ステップS14)、監視制御部12はこの一連の処理を終了する。
【0052】
また一方、タイヤの空気圧に軽微な異常が生じていない旨が判定された場合には(ステップS13:NO)、各識別コードID1〜ID4に対応するバースト判定フラグF11〜F14及び空気圧異常判定フラグF21〜F24のうち、照合が行われた識別コードに対応する各フラグの値が「0」に設定される(ステップS15)。そして、監視制御部12は、ステップS15の処理を実行した後にこの一連の処理を終了する。
【0053】
なお、無線信号に含まれる識別コードが不揮発性メモリ12aに記憶されている識別コードと一致しない旨が判断された場合には(ステップS10:NO)、監視制御部12はこの一連の処理を終了する。
【0054】
次に、図9を参照して、監視制御部12を通じて実行される警報処理について説明する。なお、図9に示す処理は、例えば車両のイグニッションスイッチがオン状態であるときに所定の周期をもって繰り返し実行される。
【0055】
同図7に示すように、この処理では、はじめに、車両が低速で走行しているか否かが判断される(ステップS20)。そして、車両が低速で走行している旨が判断された場合には(ステップS20:YES)、バースト判定フラグF11〜F14のいずれかの値が「1」に設定されているか否かが判断される(ステップS21)。ここで、バースト判定フラグF11〜F14のいずれかの値が「1」に設定されている旨が判断された場合には(ステップS21:YES)、上記擬似音声発生装置17を通じて音声による警報が所定時間だけ実行される(ステップS22)。また、上記表示部11を通じて警告表示が行われて(ステップS23)、監視制御部12はこの一連の処理を一旦終了する。
【0056】
一方、バースト判定フラグF11〜F14の全ての値が「1」に設定されていない旨が判断された場合には(ステップS21:NO)、続くステップS24の処理として、空気圧異常判定フラグF21〜F24のいずれかの値が「1」に設定されているか否かが判断される(ステップS24)。ここで、空気圧異常判定フラグF21〜F24のいずれかの値が「1」に設定されている旨が判断された場合には(ステップS24:YES)、表示部11を通じて警告表示が行われて(ステップS23)、監視制御部12はこの一連の処理を一旦終了する。
【0057】
また一方、車両が低速で走行していない旨が判断された場合(ステップS20:NO)、あるいは空気圧異常判定フラグF21〜F24の全ての値が「1」に設定されていない旨が判断された場合には(ステップS24:NO)、監視制御部12はこの一連の処理を一旦終了する。
【0058】
次に、図10を参照して、監視制御部12を通じて実行される、ユーザの乗車時及び降車時に警報を発する処理について説明する。なおこの処理は、上記RKE制御部42から車両ドアを施錠したことを示す信号、あるいは車両ドアを解錠したことを示す信号が伝達されたときに実行される。
【0059】
同図10に示すように、この処理では、はじめに、バースト判定フラグF11〜F14のいずれかの値が「1」に設定されているか否かが判断される(ステップS30)。ここで、バースト判定フラグF11〜F14のいずれかの値が「1」に設定されている旨が判断された場合には(ステップS30:YES)、上記擬似音声発生装置17を通じて音声により警報が所定時間だけ発せられる(ステップS31)。
【0060】
一方、バースト判定フラグF11〜F14の全ての値が「1」に設定されていない旨が判断された場合には(ステップS30:NO)、監視制御部12はこの一連の処理を終了する。
【0061】
続いて、このような構成からなるタイヤ空気圧監視システムの動作、作用について説明する。
本実施形態のタイヤ空気圧監視システムでは、車両が低速で走行しているとき、各車輪W1〜W4のいずれかのタイヤがバーストに至る可能性がある場合にのみ、擬似音声発生装置17から車室外に警報が発せられる。これにより、歩行者の混乱を回避しつつ、十分な警告効果を得ることができるようになる。
【0062】
ところで、上記第1の実施形態のように、タイヤがバーストに至る可能性があるときに車両のホーン14の鳴動やハザードランプ15の点灯を行うだけでは、車両周辺の歩行者が警報であると認識せずに、運転者の操作によってホーン14の鳴動などが行われていると勘違いするおそれがある。このため、タイヤの空気圧の異常を歩行者に適切に通知することができないおそれがある。この点、本実施形態では、各車輪W1〜W4のいずれかのタイヤがバーストに至る可能性がある場合には、その旨が擬似音声発生装置17を通じて音声で通知されるため、歩行者は、タイヤがバーストに至る可能性があることを確実に認識することができる。このため、歩行者は車両から離れるなどの行動を取りやすくなるため、より確実な警告効果を得ることができるようになる。
【0063】
また、ユーザが乗車及び降車する際に、タイヤがバーストに至る可能性がある場合には、擬似音声発生装置17から車室外に警報が発せられるため、ユーザはタイヤがバーストに至る可能性があることを知ることができる。このため、ユーザは車両を運転する前にタイヤの空気圧を適正な空気圧に調整するなど、バーストを回避するための対策を施すことができるため、高い安全性を確保することができるようになる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、上記第1の実施形態による(1),(2)の効果と同等、もしくはそれらに準じた効果が得られるとともに、次のような効果がえら得るようになる。
【0065】
(4)タイヤがバーストに至る可能性があるときに車室外への警報を行うこととした。これにより、歩行者の混乱を回避しつつ、十分な警告効果を得ることが可能となる。
(5)タイヤがバーストに至る可能性があるか否かの検出を、センサユニットU1〜U4を通じて検出されるタイヤの状態量と、各判定値Pth1〜Pth4,Tth及び急減判定値との比較に基づいて行うこととした。これにより、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かを容易に検出することができるようになる。
【0066】
(6)タイヤがバーストに至る可能性がある旨を擬似音声発生装置17から音声で通知することで、車室外への警報を行うこととした。これにより、車両周辺の歩行者はタイヤがバーストに至る可能性があることを確実に認識することができるため、より確実に警報効果を得ることができるようになる。また、車室外へ警報を行うための機器を車両に新たに設ける必要がないため、コストの削減を図ることができるようにもなる。
【0067】
(7)車両のユーザの乗車時及び降車時にタイヤがバーストに至る可能性があるとき、車室外への警報を行うこととした。これにより、ユーザは車両を運転する前にタイヤの空気圧を適正な空気圧に調整するなど、バーストを回避するための対策を施すことができるため、高い安全性を確保することができるようになる。
【0068】
<他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第1の実施形態では、車室外に警報を発する車室外警報手段として、ホーン14及びハザードランプ15を利用することとしたが、これに代えて、例えば車両のヘッドランプや擬似音声発生装置などを利用してもよい。なお、ヘッドランプを利用する場合には、同ランプを点灯させることによって車室外への警報を行う。また、車室外に警報を発するための機器を車両に新たに設けてもよい。同様に、上記第2の実施形態では、擬似音声発生装置17に代えて、例えばホーン14やハザードランプ15などを利用してもよい。
【0069】
・上記第2の実施形態では、車両のユーザの乗車時及び降車時にタイヤがバーストに至る可能性があるときに車室外への警報を行うこととしたが、同構成は省略することも可能である。
【0070】
・上記第2の実施形態では、車両のユーザの乗車及び降車の検出を、RKEシステムを利用して行うこととしたが、例えば車両のスマートエントリシステムを利用して行ってもよい。ちなみに、スマートエントリシステムとは、例えば車両の周辺に設定された通信エリアに携帯機が進入したときに同携帯機と車載機との間で双方向の無線通信を行って車両ドアの施錠及び解錠などを行うシステムである。この場合、例えば車両の周辺に設定された通信エリアに携帯機が進入した旨が検知されたとき、ユーザが乗車しようとしていると判断する。また、同通信エリアから携帯機が退出した旨が検知されたとき、ユーザが降車したと判断する。また、これらRKEシステムやスマートエントリシステムを利用するといった方法の他、適宜の方法でユーザの乗車及び降車を検出してもよい。
【0071】
・上記第2の実施形態では、RKE制御部42と監視制御部12とを別々のECUにより構成することとしたが、それらを一つのECUにより構成してもよい。
・上記第2の実施形態では、擬似音声発生装置17から音声を発することで車室外への警報を行うこととしたが、例えば車両に搭載された電子音発生装置から適宜の電子音を発することで車室外への警報を行ってもよい。電子音発生装置としては、例えば車両ドアが解錠された際にピー音(電子音)を発する装置などを用いることができる。この場合、車両ドアが解錠された際に発せられる電子音とは別の電子音を用いて車室外への警報を行えば、車両周辺の歩行者に対して効果的な警告を行うことができる。
【0072】
・上記各実施形態では、車両が低速で走行していることを条件に車室外への警報を行うこととしたが、例えば車両が高速で走行しているときに車室外への警報を行ってもよい。要は、タイヤの空気圧に異常が検出されるとき、車両が走行中であることを条件に、車室外への警報を行うものであればよい。
【0073】
<付記>
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)請求項3に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記タイヤの空気圧の異常検出が、前記センサユニットを通じて検出される空気圧がその高圧判定値以上であることを条件に行われ、前記タイヤがバーストに至る可能性があることの検出が、前記センサユニットを通じて検出されるタイヤの空気圧と、前記高圧判定値よりも高い高圧側バースト判定値との比較に基づいて行われることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かを容易に検出することができるようになる。
【0074】
(ロ)請求項3に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記タイヤの空気圧の異常検出が、前記センサユニットを通じて検出される空気圧がその高圧判定値以上であることを条件に行われ、前記タイヤがバーストに至る可能性があることの検出が、前記センサユニットを通じて検出されるタイヤの空気圧と前記高圧判定値との比較、及び前記センサユニットを通じて検出される温度とその高温判定値との比較に基づいて行われることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かを容易に検出することができるようになる。
【0075】
(ハ)請求項3に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記タイヤの空気圧の異常検出が、前記センサユニットを通じて検出される空気圧がその低圧判定値未満であることを条件に行われ、前記タイヤがバーストに至る可能性があることの検出が、前記センサユニットを通じて検出されるタイヤの空気圧と、前記低圧判定値よりも低い低圧側バースト判定値との比較に基づいて行われることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かを容易に検出することができるようになる。
【0076】
(ニ)請求項3に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記タイヤがバーストに至る可能性があることの検出が、前記センサユニットを通じて検出されるタイヤの空気圧についてその単位時間当たりの変化量と、予め定められた急減判定値との比較に基づいて行われることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、タイヤがバーストに至る可能性があるか否かを容易に検出することができるようになる。
【0077】
(ホ)請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記車室外警報手段は、車両に設けられたホーンであって、該ホーンの鳴動により警報を行うものであることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、車両周辺の歩行者に対して的確に警告を行うことができるようになる。
【0078】
(ヘ)請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記車室外警報手段は、車両に設けられたハザードランプであって、該ハザードランプの点滅により警報を行うものであることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、車両周辺の歩行者に対して的確に警告を行うことができるようになる。
【0079】
(ト)請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記車室外警報手段は、車両に設けられたヘッドライトであって、該ヘッドライトの点灯により警報を行うものであることを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、車両周辺の歩行者に対して的確に警告を行うことができるようになる。
【0080】
(チ)請求項1〜4、及び付記イ〜トのいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記車室外警報手段により警報を発するための条件として、前記車両のユーザの乗車又は降車が検出されることを更に含むことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。同構成によれば、ユーザが乗車及び降車する際に、タイヤの空気圧に異常が生じている場合には、車室外警報手段により警報が発せられるため、ユーザはタイヤの空気圧の異常を認知することができる。このため、ユーザは車両を運転する前にタイヤの空気圧を適正な空気圧に調整するなど、バーストを回避するための対策を施すことができるため、高い安全性を確保することができるようになる。
【符号の説明】
【0081】
U1〜U4…センサユニット、W1…右前輪、W2…左前輪、W3…右後輪、W4…左後輪、1…監視装置、10…受信部、11…表示部、12…監視制御部、12a…不揮発性メモリ、13…車速センサ、14…ホーン、15…ハザードランプ、16…通信バス、17…擬似音声発生装置、20…送信部、21…空気圧センサ、22…センサ制御部、22a…不揮発性メモリ、23…温度センサ、30…携帯機、31…ロックスイッチ、32…アンロックスイッチ、40…車載機、41…受信部、42…RKE制御部、43…ドアロック機構。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪に設けられたセンサユニットを通じて前記車輪に装着されたタイヤの空気圧を検出するとともに、前記センサユニットを通じて検出されたタイヤの空気圧に異常が検出されるとき、車両に設けられた警報手段を通じて警報を発するタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記警報手段として車室外に警報を発する車室外警報手段を備え、前記センサユニットを通じて検出されたタイヤの空気圧に異常が検出されるとき、前記車両が走行中であることを条件に、前記車室外警報手段により警報を発する
ことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
【請求項2】
前記車室外警報手段により警報を発するための条件として、前記車両の速度が予め設定された低速判定値よりも低い速度であることを更に含む
請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項3】
前記車室外警報手段により警報を発するための条件として、前記タイヤがバーストに至る可能性があることを更に含む
請求項1又は2に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記車室外警報手段は、車両に設けられて対象物に似た音声を発する擬似音声発生装置であって、該擬似音声発生装置を通じてタイヤが異常であることを音声で通知することで警報を行うものである
ことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
【請求項1】
車両の車輪に設けられたセンサユニットを通じて前記車輪に装着されたタイヤの空気圧を検出するとともに、前記センサユニットを通じて検出されたタイヤの空気圧に異常が検出されるとき、車両に設けられた警報手段を通じて警報を発するタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記警報手段として車室外に警報を発する車室外警報手段を備え、前記センサユニットを通じて検出されたタイヤの空気圧に異常が検出されるとき、前記車両が走行中であることを条件に、前記車室外警報手段により警報を発する
ことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
【請求項2】
前記車室外警報手段により警報を発するための条件として、前記車両の速度が予め設定された低速判定値よりも低い速度であることを更に含む
請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項3】
前記車室外警報手段により警報を発するための条件として、前記タイヤがバーストに至る可能性があることを更に含む
請求項1又は2に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記車室外警報手段は、車両に設けられて対象物に似た音声を発する擬似音声発生装置であって、該擬似音声発生装置を通じてタイヤが異常であることを音声で通知することで警報を行うものである
ことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−166680(P2012−166680A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28883(P2011−28883)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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