タイル壁
【課題】出隅を挟んだ両側の壁面にそれぞれタイルを配置したタイル壁において、容易に且つ低コストにて構築することが可能なタイル壁を提供する。
【解決手段】出隅コーナー部に、該出隅コーナー部を挟んだ両側の壁面にそれぞれ重なる2葉のベース片21,21と、該出隅コーナー部から各壁面と斜交方向に張り出した張出片22とを有するガイド材20が設置されている。タイル19の出隅コーナー部側の側部後縁を斜めにカットして斜面19dとし、この斜面19dを張出片22に対面させて出隅の両側にそれぞれタイル19が取付施工されている。
【解決手段】出隅コーナー部に、該出隅コーナー部を挟んだ両側の壁面にそれぞれ重なる2葉のベース片21,21と、該出隅コーナー部から各壁面と斜交方向に張り出した張出片22とを有するガイド材20が設置されている。タイル19の出隅コーナー部側の側部後縁を斜めにカットして斜面19dとし、この斜面19dを張出片22に対面させて出隅の両側にそれぞれタイル19が取付施工されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出隅を挟んだ両側の壁面にそれぞれタイルを配置したタイル壁に関する。
【背景技術】
【0002】
出隅を挟んだ両側の壁面にそれぞれタイルを配置したタイル壁の従来例として、特開2001−40856号公報に記載のものがある。
【0003】
同号公報では、出隅を挟んだ両側の壁面に、それぞれタイル掛止用の凸部を有するタイル掛止板が設置され、該凸部にタイル裏面の凹部を掛止させて各タイル掛止板にタイルが取付施工されている。同号公報では、出隅については、該出隅を回り込んで双方の壁面に重なるL字形の役物タイルが取付施工されている。
【0004】
L字形の役物タイルの製造方法の一例が特開2002−146999号公報に記載されている。
【0005】
この特開2002−146999号公報においては、長方形状のタイルを斜め45°にカットすることにより、それぞれタイル板面に対し斜め45°に傾斜した小口面を有する側片と主片とを製造し、これらの側片と主片との該小口面同士を接着剤で接着することにより、L字形の役物タイルとしている。
【特許文献1】特開2001−40856号公報
【特許文献2】特開2002−146999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特開2001−40856号公報のように、L字形の役物タイルを出隅に取付施工してタイル壁を構築する場合、この役物タイルを製造するために、斜めにカットしたタイル同士を接着剤で接着する必要があるため、手間やコストが掛かる。
【0007】
本発明は、出隅を挟んだ両側の壁面にそれぞれタイルを配置したタイル壁において、容易に且つ低コストにて構築することが可能なタイル壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のタイル壁は、出隅を挟んだ両側の壁面にそれぞれタイルを配置したタイル壁において、壁面に沿うベース片と、該ベース片に連なっており、出隅コーナー部から各壁面と斜交方向に張り出す張出片とを有したガイド材が設けられ、タイルの出隅側の側部後縁が斜めにカットされて斜面とされ、該斜面が該張出片に対面していることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2のタイル壁は、請求項1において、前記ガイド材は、出隅の両側の壁面に重なるように2葉の前記ベース片を備えており、前記張出片は、各ベース片に対し130〜140°の交叉角にて、該ベース片同士の交叉角部から延出していることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3のタイル壁は、請求項1において、前記ガイド材は、1葉の前記ベース片と、該ベース片の側縁に130〜140°の交叉角にて連なる前記張出片とからなることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4のタイル壁は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記壁面にタイル掛止板が設けられ、前記タイルは該タイル掛止板に掛止されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のタイル壁にあっては、出隅コーナー部に、該出隅コーナー部から各壁面と斜交方向に張り出した張出片を有するガイド材を設けている。そして、タイルの出隅コーナー部側の側部後縁を斜めにカットして斜面とし、この斜面を該張出片に対面させて出隅の両側にそれぞれタイルを配置している。これにより、L字形の役物タイルを用いることなく、出隅を挟んだ両側の壁面にタイルが連続した如き外観のタイル壁が構築される。
【0013】
かかる本発明のタイル壁によれば、L字形の役物タイルを製造する手間やコストが掛からないので、その分、容易に且つ低コストにタイル壁を構築することが可能である。
【0014】
なお、本発明のタイル壁にあっては、各タイルをガイド材の張出片に揃えて配置することができるので、施工が容易であると共に、仕上がりが美麗なものとなる。
【0015】
請求項2の態様によれば、ガイド材は、出隅の両側の壁面に重なる2葉のベース片を備えているので、このガイド材を出隅コーナー部に強固に取り付けることができる。また、ガイド材の位置決めも容易である。
【0016】
請求項3の態様によれば、ガイド材は、ベース片を1葉だけ有しているので、構成が簡易であり、且つ低コストである。
【0017】
請求項4の態様によれば、タイルはタイル掛止板に掛止されているので、タイルを接着剤等で壁面に接着した後、この接着剤等が硬化するまでにタイルがずれることが防止される。また、地震等によってタイルが壁面から脱落することも防止ないし抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
第1図は実施の形態に係るタイル壁の斜視図、第2図は第1図のII−II線に沿う断面図、第3図は第1図のIII−III線に沿う断面図、第4図はタイルの水平断面図、第5図はガイド材の斜視図、第6図はこのガイド材の長手方向と交叉方向の断面図である。
【0020】
出隅に立設された柱10の1対の外向きの面に沿って透湿防水シート11が張り渡されている。この柱10の該1対の外向きの面同士の交叉角部が出隅コーナー部となり、該透湿防水シート11に沿って該出隅の両側の壁面が構築されている。この実施の形態では、該出隅を挟んだ両側の壁面同士は略直交方向に延在している。
【0021】
この透湿防水シート11の外側に、該柱10の該1対の外向き面に重なるように縦胴縁12,13が重ね合わされ、釘又はビス(図示略)により各縦胴縁12,13が柱10に留め付けられている。縦胴縁12,13同士は、出隅コーナー部においてL字形を呈するように突き合わされている。この実施の形態では、縦胴縁12の出隅コーナー部側の先端部の裏面に縦胴縁13の出隅コーナー部側の先端部の木端面が突き合わされている。
【0022】
この出隅コーナー部にガイド材20が設けられている。第2,5図の通り、このガイド材20は、双方の縦胴縁12,13の外向き面にそれぞれ重なる2葉のベース片21,21と、該ベース片21,21の出隅コーナー部側の辺縁に連なり、該出隅コーナー部から各縦胴縁12,13の外向き面と斜交方向に張り出す張出片22とを有した略Y字形断面形状のものとなっている。
【0023】
この実施の形態では、該ベース片21,21同士は略直交方向に延在しており、各々の出隅コーナー部側の辺縁同士が略直角に連なっている。第5図の符号21aは、これらのベース片21,21同士の交叉角部を示している。この実施の形態では、第5図の通り、張出片22は、各ベース片21に対し約135°の交叉角θ1にて、該ベース片21,21同士の交叉角部21aから延出している。
【0024】
なお、この張出片22と各ベース片21との交叉角θ1は、この張出片22と対面する、後述のタイル19の出隅コーナー部側の側部に形成された斜面19dの角度に応じて(張出片22と該斜面19dとが略平行となるように)任意に設定される。一般的には、この交叉角θ1は130〜140°であることが好ましい。この実施の形態では、後述のように、該斜面19dとタイル19の裏面の延在方向Lとのなす角θ2(第4図)が約45°とされているので、この斜面19dとタイル19の裏面とにそれぞれ沿う張出片22と各ベース片21との交叉角θ1は、180°−θ2=約135°に設定されている。
【0025】
本発明においては、この張出片22の該交叉角部21aからの延出長さPは、1〜100mm程度であって、タイル壁構築後に該張出片22がタイル19の表面を越えて露出しない長さであることが好ましい。即ち、この張出片22の延出長さPは、ガイド材20の設置位置及びタイル19の厚みに応じて設定されることが好ましい。
【0026】
この実施の形態では、後述のように、各ベース片21の外側にそれぞれタイル掛止板14,15が設置され、各タイル掛止板14,15の外面にそれぞれタイル19が取り付けられるので、この張出片22の延出長さPは、各タイル掛止板14,15の厚みとタイル19の厚みとを考慮して、該張出片22が各タイル掛止板14,15の表面を越えてタイル19に係合し、且つタイル壁構築後に該張出片22がタイル19の表面を越えて露出しない長さに設定されている。
【0027】
なお、後述の第9〜11図及び第12〜14図の各実施の形態のように、各ベース片21がタイル掛止板14,15の外側に配置される場合には、各ベース片21の外側には実質的にタイル19のみが配置されるため、該張出片22の延出長さPは、このタイル19の厚みを考慮して、タイル壁構築後に該張出片22がタイル19の表面を越えて露出しない長さに設定される。
【0028】
本発明においては、この張出片22の厚みT1は、0.5〜5mm、特に1〜2mm程度であることが好ましい。
【0029】
第4図の通り、この実施の形態では、該ガイド材20は、出隅コーナー部の上端側から下端側まで延在する長尺状のものとなっているが、本発明においては、ガイド材20を上下方向の長さが短い短尺状のものとし、複数のガイド材20を出隅コーナー部に沿って多段に設置するようにしてもよい。本発明においては、該ガイド材20の上下方向の長さ(出隅コーナー部に沿う長さ)は、10〜7000mm、特に1000〜3500mmであることが好ましい。一般的には、このガイド材20の上下方向の長さは、建材の規格寸法に合わせて3030mmとされるのが好ましい。なお、長さに余裕のある長尺状のガイド材20を用意しておき、施工現場にて必要な長さにカットして出隅コーナー部に設置するようにしてもよい。
【0030】
このガイド材20の材質としては、合成樹脂やアルミ等の金属が挙げられる。この実施の形態では、合成樹脂又は金属を押し出し成形することにより、1対のベース片21,21と張出片22とがY字形に一体成形されている。ただし、ガイド材20の材質やベース片21及び張出片22の成形方法はこれに限定されない。
【0031】
本発明においては、各ベース片21の内向き面にそれぞれスポンジ等の軟質材が設けられてもよい。このように構成することにより、ガイド材20が取り付けられる出隅コーナー部の表面に不陸が存在していても、この不陸を該軟質材によって吸収することができる。
【0032】
各ベース片21は、各縦胴縁12,13の外向き面に重ね合わされてビス又は釘(図示略)によって各縦胴縁12,13に留め付けられている。なお、各ベース片21の縦胴縁12,13への固定方法はこれに限定されるものではなく、例えば接着剤や両面テープ等により各ベース片21が縦胴縁12,13に貼り付けられてもよい。
【0033】
各縦胴縁12,13の外側に、それぞれ、タイル壁の下地を構成するタイル掛止板14,15が重ね合わされ、釘又はビス(図示略)によって各タイル掛止板14,15が柱10に固定されている。この釘又ビスは、各縦胴縁12,13を貫通して柱10に打ち込まれている。
【0034】
第2図に示す通り、各タイル掛止板14,15の出隅コーナー部側の先端部は、それぞれ、その内向き面側(各縦胴縁12,13側)の角縁をガイド材20の各ベース片21と張出片22との交叉隅部に係合させるようにして各ベース片21に重なっている。各タイル掛止板14,15の該先端部と張出片22との間にはシーリング16が充填されている。
【0035】
各タイル掛止板14,15の外向き面には、タイル掛止用の凸部17が突設されている。この凸部17は、略水平方向に延在しており、複数条の凸部17が上下方向に所定の間隔をおいて多段に配設されている。各凸部17の延在方向の途中には、所定距離ごとに縦溝18が形成されている。この縦溝18は、各凸部17の上側に雨水等が溜まるのを防止するためのものである。第3図の通り、凸部17の上面は、タイル掛止板14,15の外向き面から離隔するほど上位となるように傾斜した斜面となっている。各凸部17の出隅コーナー部側の端面は、各タイル掛止板14,15の該出隅コーナー部側の端面と面一状となっている。
【0036】
タイル19は、左右方向に長い略長方形板状のものである。このタイル19の裏面には、凸部17が係合可能な凹部19aが設けられている。この凹部19aは、該タイル19の長手方向に延在しており、その両端側は、タイル19の左右両端面に臨んでいる。第3図の通り、この凹部19aの上側の段差面は、タイル19の裏面側ほど下位となるように傾斜した斜面となっている。
【0037】
タイル19は、この凹部19aを凸部17に掛止させて各タイル掛止板14,15に取り付けられ、接着剤(図示略)によって各タイル掛止板14,15の外向き面に接着されている。
【0038】
各凸部17に沿って、複数個のタイル19が水平方向に列状に、且つ上下方向に多段に設置されている。なお、この実施の形態では、各タイル19の上縁に雄実19bが設けられると共に、各タイル19の下縁に雌実19cが設けられており、下段側のタイル19の雄実19bに上段側のタイル19の雌実19cを係合させて各タイル19が取り付けられている。
【0039】
第2,4図の通り、最も出隅コーナー部側に配置されたタイル19は、その該出隅コーナー部側の側部後縁が斜めにカットされて斜面19dとされ、この斜面19dをガイド材20の張出片22に突き合わされるようにして取付施工されている。
【0040】
第4図の通り、この実施の形態では、該斜面19dと、タイル19の裏面の延在方向Lとのなす角θ2は、約45°となっている。
【0041】
本発明においては、第4図に示すように、タイル19の出隅コーナー部側の側部前縁を該タイル19の厚み方向に所定幅T2だけ残して側部後縁を斜めにカットすることが好ましい。この側部前縁の幅T2は、カット前のタイル19の厚みをT0とした場合に、0〜3T0/4程度、特にT0/4〜T0/2程度であることが好ましい。
【0042】
以上の通り、このタイル壁にあっては、出隅コーナー部に、該出隅コーナー部から該出隅の両側の壁面と斜交方向に張り出した張出片22を有するガイド材20が設けられると共に、タイル19の出隅コーナー部側の側部後縁を斜めにカットして斜面19dとし、この斜面19dを張出片22に対面させて出隅の両側にそれぞれタイル19を配置している。これにより、L字形の役物タイルを用いることなく、出隅を挟んだ両側の壁面にタイル19が連続した如き外観のタイル壁が構築されている。かかる構成のタイル壁によれば、L字形の役物タイルを製造する手間やコストが掛からないので、その分、容易に且つ低コストにタイル壁を構築することが可能である。
【0043】
なお、このタイル壁にあっては、出隅の両側において、各タイル19をガイド材20の張出片22に揃えて配置することができるので、施工が容易であると共に、仕上がりが美麗なものとなる。
【0044】
上記の実施の形態では、合成樹脂又は金属を押し出し成形することにより、各ベース片21と張出片22とがY字形に一体成形されているが、各ベース片21及び張出片22の成形方法はこれに限定されない。例えば、第7図のガイド材20Aのように、帯板状の鋼板を折り曲げて各ベース片21と張出片22とを成形してもよい。
【0045】
第7図のガイド材20Aは、帯板状の鋼板をその幅方向の中間付近で2つ折りし、この2つ折りの折り目から該鋼板の幅方向に所定距離(第5図の延出長さPに相当する距離)離隔した位置から、該鋼板の両長側辺側をそれぞれ開脚状に折り広げてY字形としたものである。このガイド材20Aにおいては、該鋼板の2つ折りの折り目から開脚状の折り目までの部分が張出片22となっており、開脚状に折り広げられた部分がそれぞれベース片21となっている。
【0046】
上記の各実施の形態のガイド材20,20Aは、それぞれ2葉のベース片21,21を有しており、これらのベース片21,21が、それぞれ出隅を挟んだ両側の壁面に重なるため、ガイド材20,20Aの出隅コーナー部への位置決めが容易であると共に、ガイド材20,20Aを出隅コーナー部に強固に取り付けることができる。ただし、本発明においては、第8図のガイド材20Bのように、ベース片21が1葉だけ設けられてもよい。このガイド材20Bは、構成が簡易であり、且つ低コストである。
【0047】
上記の各実施の形態では、縦胴縁12,13の外側にガイド材20,20A,20Bが設けられ、該ガイド材20,20A,20Bの各ベース片21の上に各タイル掛止板14,15が設置されているが、ガイド材の配置はこれに限定されない。本発明では、例えば、次の第9〜11図及び第12〜14図の各実施の形態のように、タイル掛止板14,15の外側にガイド材が配置されてもよい。
【0048】
第9図は、このようにタイル掛止板14,15の外側に配置されうるように構成されたガイド材20Cの斜視図、第10図はこのガイド材20Cを用いたタイル壁の斜視図、第11図は第10図のXI−XI線に沿う断面図である。
【0049】
この実施の形態のガイド材20Cは、各タイル掛止板14,15の外側にそれぞれ配置される2葉のベース片21,21と、該ベース片21,21の出隅コーナー部側の辺縁に連なり、該出隅コーナー部から各タイル掛止板14,15の外面と斜交方向に張り出す張出片22とを有している。
【0050】
このガイド材20Cにおいては、各ベース片21に、該ベース片21をタイル掛止板14,15の外面に重ねたときに該タイル掛止板14,15の各凸部17が係合可能な複数の切欠部23が形成されている。
【0051】
即ち、この実施の形態では、該ガイド材20Cは、各切欠部23に各凸部17を係合させて各ベース片21が各タイル掛止板14,15の外面に重ね合わされ、釘又はビス等の固定手段(図示略)により各ベース片21が各タイル掛止板14,15に固定されている。
【0052】
なお、第9図の通り、この実施の形態では、各ベース片21の幅方向における各切欠部23の幅は該ベース片21の幅よりも小さく、各切欠部23の奥側の縁部は張出片22の根元から離隔している。この切欠部23と張出片22との間のベース片21の残部の幅は、タイル掛止板14,15の出隅コーナー部側の辺縁同士の間の間隔と同等かそれよりも小さなものとなっている。
【0053】
このように切欠部23と張出片22との間にベース片21が残っていることにより、ガイド材20Cは、左右に撓みにくいものとなっている。
【0054】
このガイド材20Cの各ベース片21の上に、タイル19が取付施工されている。
【0055】
この実施の形態のその他の構成は、前述の第1〜6図の実施の形態と同様であり、第9〜11図において第1〜6図と同一符号は同一部分を示している。
【0056】
第13図は、タイル掛止板14,15の外側に配置されうるように構成された別のガイド材20Dの斜視図、第13図はこのガイド材20Dを用いたタイル壁の斜視図、第14図は第13図のXIV−XIV線に沿う断面図である。
【0057】
この実施の形態のガイド材20Dも、各タイル掛止板14,15の外側に配置される2葉のベース片21,21と、該ベース片21,21の出隅コーナー部側の辺縁に連なり、該出隅コーナー部から各タイル掛止板14,15の外面と斜交方向に張り出す張出片22と、各ベース片21に形成された複数の切欠部23を有している。
【0058】
この実施の形態では、該ガイド材20Dは、各ベース片21が各タイル掛止板14,15の各凸部17の外向き面に重ね合わされ、釘又はビス等の固定手段(図示略)により各ベース片21が各凸部17に固定されている。第13図の通り、各切欠部23は、上下に隣り合う凸部17,17同士の間に配置され、各切欠部23を介して該凸部17,17同士の間のタイル掛止板14,15の外面が露呈するようになっている。
【0059】
なお、第12図の通り、この実施の形態では、各切欠部23は、張出片22の根元まで形成されている。
【0060】
この実施の形態でも、該ガイド材20Dの各ベース片21の上に、タイル19が取付施工されている。
【0061】
この実施の形態のその他の構成は、前述の第1〜6図の実施の形態と同様であり、第12〜14図において第1〜6図と同一符号は同一部分を示している。
【0062】
上記の実施の形態はいずれも本発明の一例を示すものであり、本発明は上記の各実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施の形態に係るタイル壁の斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】タイルの水平断面図である。
【図5】ガイド材の斜視図である。
【図6】ガイド材の長手方向と交叉方向の断面図である。
【図7】別の構成例に係るガイド材の長手方向と交叉方向の断面図である。
【図8】別の構成例に係るガイド材を用いたタイル壁の断面図である。
【図9】別の構成例に係るガイド材の斜視図である。
【図10】図9のガイド材を用いたタイル壁の斜視図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】別の構成例に係るガイド材の斜視図である。
【図13】図12のガイド材を用いたタイル壁の斜視図である。
【図14】図13のXIV−XIV線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0064】
10 柱
12,13 縦胴縁
14,15タイル掛止板
17 凸部
19 タイル
19a 凹部
19d 斜面
20,20A〜20D ガイド材
21 ベース片
22 張出片
23 切欠部
【技術分野】
【0001】
本発明は、出隅を挟んだ両側の壁面にそれぞれタイルを配置したタイル壁に関する。
【背景技術】
【0002】
出隅を挟んだ両側の壁面にそれぞれタイルを配置したタイル壁の従来例として、特開2001−40856号公報に記載のものがある。
【0003】
同号公報では、出隅を挟んだ両側の壁面に、それぞれタイル掛止用の凸部を有するタイル掛止板が設置され、該凸部にタイル裏面の凹部を掛止させて各タイル掛止板にタイルが取付施工されている。同号公報では、出隅については、該出隅を回り込んで双方の壁面に重なるL字形の役物タイルが取付施工されている。
【0004】
L字形の役物タイルの製造方法の一例が特開2002−146999号公報に記載されている。
【0005】
この特開2002−146999号公報においては、長方形状のタイルを斜め45°にカットすることにより、それぞれタイル板面に対し斜め45°に傾斜した小口面を有する側片と主片とを製造し、これらの側片と主片との該小口面同士を接着剤で接着することにより、L字形の役物タイルとしている。
【特許文献1】特開2001−40856号公報
【特許文献2】特開2002−146999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特開2001−40856号公報のように、L字形の役物タイルを出隅に取付施工してタイル壁を構築する場合、この役物タイルを製造するために、斜めにカットしたタイル同士を接着剤で接着する必要があるため、手間やコストが掛かる。
【0007】
本発明は、出隅を挟んだ両側の壁面にそれぞれタイルを配置したタイル壁において、容易に且つ低コストにて構築することが可能なタイル壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のタイル壁は、出隅を挟んだ両側の壁面にそれぞれタイルを配置したタイル壁において、壁面に沿うベース片と、該ベース片に連なっており、出隅コーナー部から各壁面と斜交方向に張り出す張出片とを有したガイド材が設けられ、タイルの出隅側の側部後縁が斜めにカットされて斜面とされ、該斜面が該張出片に対面していることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2のタイル壁は、請求項1において、前記ガイド材は、出隅の両側の壁面に重なるように2葉の前記ベース片を備えており、前記張出片は、各ベース片に対し130〜140°の交叉角にて、該ベース片同士の交叉角部から延出していることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3のタイル壁は、請求項1において、前記ガイド材は、1葉の前記ベース片と、該ベース片の側縁に130〜140°の交叉角にて連なる前記張出片とからなることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4のタイル壁は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記壁面にタイル掛止板が設けられ、前記タイルは該タイル掛止板に掛止されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のタイル壁にあっては、出隅コーナー部に、該出隅コーナー部から各壁面と斜交方向に張り出した張出片を有するガイド材を設けている。そして、タイルの出隅コーナー部側の側部後縁を斜めにカットして斜面とし、この斜面を該張出片に対面させて出隅の両側にそれぞれタイルを配置している。これにより、L字形の役物タイルを用いることなく、出隅を挟んだ両側の壁面にタイルが連続した如き外観のタイル壁が構築される。
【0013】
かかる本発明のタイル壁によれば、L字形の役物タイルを製造する手間やコストが掛からないので、その分、容易に且つ低コストにタイル壁を構築することが可能である。
【0014】
なお、本発明のタイル壁にあっては、各タイルをガイド材の張出片に揃えて配置することができるので、施工が容易であると共に、仕上がりが美麗なものとなる。
【0015】
請求項2の態様によれば、ガイド材は、出隅の両側の壁面に重なる2葉のベース片を備えているので、このガイド材を出隅コーナー部に強固に取り付けることができる。また、ガイド材の位置決めも容易である。
【0016】
請求項3の態様によれば、ガイド材は、ベース片を1葉だけ有しているので、構成が簡易であり、且つ低コストである。
【0017】
請求項4の態様によれば、タイルはタイル掛止板に掛止されているので、タイルを接着剤等で壁面に接着した後、この接着剤等が硬化するまでにタイルがずれることが防止される。また、地震等によってタイルが壁面から脱落することも防止ないし抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
第1図は実施の形態に係るタイル壁の斜視図、第2図は第1図のII−II線に沿う断面図、第3図は第1図のIII−III線に沿う断面図、第4図はタイルの水平断面図、第5図はガイド材の斜視図、第6図はこのガイド材の長手方向と交叉方向の断面図である。
【0020】
出隅に立設された柱10の1対の外向きの面に沿って透湿防水シート11が張り渡されている。この柱10の該1対の外向きの面同士の交叉角部が出隅コーナー部となり、該透湿防水シート11に沿って該出隅の両側の壁面が構築されている。この実施の形態では、該出隅を挟んだ両側の壁面同士は略直交方向に延在している。
【0021】
この透湿防水シート11の外側に、該柱10の該1対の外向き面に重なるように縦胴縁12,13が重ね合わされ、釘又はビス(図示略)により各縦胴縁12,13が柱10に留め付けられている。縦胴縁12,13同士は、出隅コーナー部においてL字形を呈するように突き合わされている。この実施の形態では、縦胴縁12の出隅コーナー部側の先端部の裏面に縦胴縁13の出隅コーナー部側の先端部の木端面が突き合わされている。
【0022】
この出隅コーナー部にガイド材20が設けられている。第2,5図の通り、このガイド材20は、双方の縦胴縁12,13の外向き面にそれぞれ重なる2葉のベース片21,21と、該ベース片21,21の出隅コーナー部側の辺縁に連なり、該出隅コーナー部から各縦胴縁12,13の外向き面と斜交方向に張り出す張出片22とを有した略Y字形断面形状のものとなっている。
【0023】
この実施の形態では、該ベース片21,21同士は略直交方向に延在しており、各々の出隅コーナー部側の辺縁同士が略直角に連なっている。第5図の符号21aは、これらのベース片21,21同士の交叉角部を示している。この実施の形態では、第5図の通り、張出片22は、各ベース片21に対し約135°の交叉角θ1にて、該ベース片21,21同士の交叉角部21aから延出している。
【0024】
なお、この張出片22と各ベース片21との交叉角θ1は、この張出片22と対面する、後述のタイル19の出隅コーナー部側の側部に形成された斜面19dの角度に応じて(張出片22と該斜面19dとが略平行となるように)任意に設定される。一般的には、この交叉角θ1は130〜140°であることが好ましい。この実施の形態では、後述のように、該斜面19dとタイル19の裏面の延在方向Lとのなす角θ2(第4図)が約45°とされているので、この斜面19dとタイル19の裏面とにそれぞれ沿う張出片22と各ベース片21との交叉角θ1は、180°−θ2=約135°に設定されている。
【0025】
本発明においては、この張出片22の該交叉角部21aからの延出長さPは、1〜100mm程度であって、タイル壁構築後に該張出片22がタイル19の表面を越えて露出しない長さであることが好ましい。即ち、この張出片22の延出長さPは、ガイド材20の設置位置及びタイル19の厚みに応じて設定されることが好ましい。
【0026】
この実施の形態では、後述のように、各ベース片21の外側にそれぞれタイル掛止板14,15が設置され、各タイル掛止板14,15の外面にそれぞれタイル19が取り付けられるので、この張出片22の延出長さPは、各タイル掛止板14,15の厚みとタイル19の厚みとを考慮して、該張出片22が各タイル掛止板14,15の表面を越えてタイル19に係合し、且つタイル壁構築後に該張出片22がタイル19の表面を越えて露出しない長さに設定されている。
【0027】
なお、後述の第9〜11図及び第12〜14図の各実施の形態のように、各ベース片21がタイル掛止板14,15の外側に配置される場合には、各ベース片21の外側には実質的にタイル19のみが配置されるため、該張出片22の延出長さPは、このタイル19の厚みを考慮して、タイル壁構築後に該張出片22がタイル19の表面を越えて露出しない長さに設定される。
【0028】
本発明においては、この張出片22の厚みT1は、0.5〜5mm、特に1〜2mm程度であることが好ましい。
【0029】
第4図の通り、この実施の形態では、該ガイド材20は、出隅コーナー部の上端側から下端側まで延在する長尺状のものとなっているが、本発明においては、ガイド材20を上下方向の長さが短い短尺状のものとし、複数のガイド材20を出隅コーナー部に沿って多段に設置するようにしてもよい。本発明においては、該ガイド材20の上下方向の長さ(出隅コーナー部に沿う長さ)は、10〜7000mm、特に1000〜3500mmであることが好ましい。一般的には、このガイド材20の上下方向の長さは、建材の規格寸法に合わせて3030mmとされるのが好ましい。なお、長さに余裕のある長尺状のガイド材20を用意しておき、施工現場にて必要な長さにカットして出隅コーナー部に設置するようにしてもよい。
【0030】
このガイド材20の材質としては、合成樹脂やアルミ等の金属が挙げられる。この実施の形態では、合成樹脂又は金属を押し出し成形することにより、1対のベース片21,21と張出片22とがY字形に一体成形されている。ただし、ガイド材20の材質やベース片21及び張出片22の成形方法はこれに限定されない。
【0031】
本発明においては、各ベース片21の内向き面にそれぞれスポンジ等の軟質材が設けられてもよい。このように構成することにより、ガイド材20が取り付けられる出隅コーナー部の表面に不陸が存在していても、この不陸を該軟質材によって吸収することができる。
【0032】
各ベース片21は、各縦胴縁12,13の外向き面に重ね合わされてビス又は釘(図示略)によって各縦胴縁12,13に留め付けられている。なお、各ベース片21の縦胴縁12,13への固定方法はこれに限定されるものではなく、例えば接着剤や両面テープ等により各ベース片21が縦胴縁12,13に貼り付けられてもよい。
【0033】
各縦胴縁12,13の外側に、それぞれ、タイル壁の下地を構成するタイル掛止板14,15が重ね合わされ、釘又はビス(図示略)によって各タイル掛止板14,15が柱10に固定されている。この釘又ビスは、各縦胴縁12,13を貫通して柱10に打ち込まれている。
【0034】
第2図に示す通り、各タイル掛止板14,15の出隅コーナー部側の先端部は、それぞれ、その内向き面側(各縦胴縁12,13側)の角縁をガイド材20の各ベース片21と張出片22との交叉隅部に係合させるようにして各ベース片21に重なっている。各タイル掛止板14,15の該先端部と張出片22との間にはシーリング16が充填されている。
【0035】
各タイル掛止板14,15の外向き面には、タイル掛止用の凸部17が突設されている。この凸部17は、略水平方向に延在しており、複数条の凸部17が上下方向に所定の間隔をおいて多段に配設されている。各凸部17の延在方向の途中には、所定距離ごとに縦溝18が形成されている。この縦溝18は、各凸部17の上側に雨水等が溜まるのを防止するためのものである。第3図の通り、凸部17の上面は、タイル掛止板14,15の外向き面から離隔するほど上位となるように傾斜した斜面となっている。各凸部17の出隅コーナー部側の端面は、各タイル掛止板14,15の該出隅コーナー部側の端面と面一状となっている。
【0036】
タイル19は、左右方向に長い略長方形板状のものである。このタイル19の裏面には、凸部17が係合可能な凹部19aが設けられている。この凹部19aは、該タイル19の長手方向に延在しており、その両端側は、タイル19の左右両端面に臨んでいる。第3図の通り、この凹部19aの上側の段差面は、タイル19の裏面側ほど下位となるように傾斜した斜面となっている。
【0037】
タイル19は、この凹部19aを凸部17に掛止させて各タイル掛止板14,15に取り付けられ、接着剤(図示略)によって各タイル掛止板14,15の外向き面に接着されている。
【0038】
各凸部17に沿って、複数個のタイル19が水平方向に列状に、且つ上下方向に多段に設置されている。なお、この実施の形態では、各タイル19の上縁に雄実19bが設けられると共に、各タイル19の下縁に雌実19cが設けられており、下段側のタイル19の雄実19bに上段側のタイル19の雌実19cを係合させて各タイル19が取り付けられている。
【0039】
第2,4図の通り、最も出隅コーナー部側に配置されたタイル19は、その該出隅コーナー部側の側部後縁が斜めにカットされて斜面19dとされ、この斜面19dをガイド材20の張出片22に突き合わされるようにして取付施工されている。
【0040】
第4図の通り、この実施の形態では、該斜面19dと、タイル19の裏面の延在方向Lとのなす角θ2は、約45°となっている。
【0041】
本発明においては、第4図に示すように、タイル19の出隅コーナー部側の側部前縁を該タイル19の厚み方向に所定幅T2だけ残して側部後縁を斜めにカットすることが好ましい。この側部前縁の幅T2は、カット前のタイル19の厚みをT0とした場合に、0〜3T0/4程度、特にT0/4〜T0/2程度であることが好ましい。
【0042】
以上の通り、このタイル壁にあっては、出隅コーナー部に、該出隅コーナー部から該出隅の両側の壁面と斜交方向に張り出した張出片22を有するガイド材20が設けられると共に、タイル19の出隅コーナー部側の側部後縁を斜めにカットして斜面19dとし、この斜面19dを張出片22に対面させて出隅の両側にそれぞれタイル19を配置している。これにより、L字形の役物タイルを用いることなく、出隅を挟んだ両側の壁面にタイル19が連続した如き外観のタイル壁が構築されている。かかる構成のタイル壁によれば、L字形の役物タイルを製造する手間やコストが掛からないので、その分、容易に且つ低コストにタイル壁を構築することが可能である。
【0043】
なお、このタイル壁にあっては、出隅の両側において、各タイル19をガイド材20の張出片22に揃えて配置することができるので、施工が容易であると共に、仕上がりが美麗なものとなる。
【0044】
上記の実施の形態では、合成樹脂又は金属を押し出し成形することにより、各ベース片21と張出片22とがY字形に一体成形されているが、各ベース片21及び張出片22の成形方法はこれに限定されない。例えば、第7図のガイド材20Aのように、帯板状の鋼板を折り曲げて各ベース片21と張出片22とを成形してもよい。
【0045】
第7図のガイド材20Aは、帯板状の鋼板をその幅方向の中間付近で2つ折りし、この2つ折りの折り目から該鋼板の幅方向に所定距離(第5図の延出長さPに相当する距離)離隔した位置から、該鋼板の両長側辺側をそれぞれ開脚状に折り広げてY字形としたものである。このガイド材20Aにおいては、該鋼板の2つ折りの折り目から開脚状の折り目までの部分が張出片22となっており、開脚状に折り広げられた部分がそれぞれベース片21となっている。
【0046】
上記の各実施の形態のガイド材20,20Aは、それぞれ2葉のベース片21,21を有しており、これらのベース片21,21が、それぞれ出隅を挟んだ両側の壁面に重なるため、ガイド材20,20Aの出隅コーナー部への位置決めが容易であると共に、ガイド材20,20Aを出隅コーナー部に強固に取り付けることができる。ただし、本発明においては、第8図のガイド材20Bのように、ベース片21が1葉だけ設けられてもよい。このガイド材20Bは、構成が簡易であり、且つ低コストである。
【0047】
上記の各実施の形態では、縦胴縁12,13の外側にガイド材20,20A,20Bが設けられ、該ガイド材20,20A,20Bの各ベース片21の上に各タイル掛止板14,15が設置されているが、ガイド材の配置はこれに限定されない。本発明では、例えば、次の第9〜11図及び第12〜14図の各実施の形態のように、タイル掛止板14,15の外側にガイド材が配置されてもよい。
【0048】
第9図は、このようにタイル掛止板14,15の外側に配置されうるように構成されたガイド材20Cの斜視図、第10図はこのガイド材20Cを用いたタイル壁の斜視図、第11図は第10図のXI−XI線に沿う断面図である。
【0049】
この実施の形態のガイド材20Cは、各タイル掛止板14,15の外側にそれぞれ配置される2葉のベース片21,21と、該ベース片21,21の出隅コーナー部側の辺縁に連なり、該出隅コーナー部から各タイル掛止板14,15の外面と斜交方向に張り出す張出片22とを有している。
【0050】
このガイド材20Cにおいては、各ベース片21に、該ベース片21をタイル掛止板14,15の外面に重ねたときに該タイル掛止板14,15の各凸部17が係合可能な複数の切欠部23が形成されている。
【0051】
即ち、この実施の形態では、該ガイド材20Cは、各切欠部23に各凸部17を係合させて各ベース片21が各タイル掛止板14,15の外面に重ね合わされ、釘又はビス等の固定手段(図示略)により各ベース片21が各タイル掛止板14,15に固定されている。
【0052】
なお、第9図の通り、この実施の形態では、各ベース片21の幅方向における各切欠部23の幅は該ベース片21の幅よりも小さく、各切欠部23の奥側の縁部は張出片22の根元から離隔している。この切欠部23と張出片22との間のベース片21の残部の幅は、タイル掛止板14,15の出隅コーナー部側の辺縁同士の間の間隔と同等かそれよりも小さなものとなっている。
【0053】
このように切欠部23と張出片22との間にベース片21が残っていることにより、ガイド材20Cは、左右に撓みにくいものとなっている。
【0054】
このガイド材20Cの各ベース片21の上に、タイル19が取付施工されている。
【0055】
この実施の形態のその他の構成は、前述の第1〜6図の実施の形態と同様であり、第9〜11図において第1〜6図と同一符号は同一部分を示している。
【0056】
第13図は、タイル掛止板14,15の外側に配置されうるように構成された別のガイド材20Dの斜視図、第13図はこのガイド材20Dを用いたタイル壁の斜視図、第14図は第13図のXIV−XIV線に沿う断面図である。
【0057】
この実施の形態のガイド材20Dも、各タイル掛止板14,15の外側に配置される2葉のベース片21,21と、該ベース片21,21の出隅コーナー部側の辺縁に連なり、該出隅コーナー部から各タイル掛止板14,15の外面と斜交方向に張り出す張出片22と、各ベース片21に形成された複数の切欠部23を有している。
【0058】
この実施の形態では、該ガイド材20Dは、各ベース片21が各タイル掛止板14,15の各凸部17の外向き面に重ね合わされ、釘又はビス等の固定手段(図示略)により各ベース片21が各凸部17に固定されている。第13図の通り、各切欠部23は、上下に隣り合う凸部17,17同士の間に配置され、各切欠部23を介して該凸部17,17同士の間のタイル掛止板14,15の外面が露呈するようになっている。
【0059】
なお、第12図の通り、この実施の形態では、各切欠部23は、張出片22の根元まで形成されている。
【0060】
この実施の形態でも、該ガイド材20Dの各ベース片21の上に、タイル19が取付施工されている。
【0061】
この実施の形態のその他の構成は、前述の第1〜6図の実施の形態と同様であり、第12〜14図において第1〜6図と同一符号は同一部分を示している。
【0062】
上記の実施の形態はいずれも本発明の一例を示すものであり、本発明は上記の各実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施の形態に係るタイル壁の斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】タイルの水平断面図である。
【図5】ガイド材の斜視図である。
【図6】ガイド材の長手方向と交叉方向の断面図である。
【図7】別の構成例に係るガイド材の長手方向と交叉方向の断面図である。
【図8】別の構成例に係るガイド材を用いたタイル壁の断面図である。
【図9】別の構成例に係るガイド材の斜視図である。
【図10】図9のガイド材を用いたタイル壁の斜視図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】別の構成例に係るガイド材の斜視図である。
【図13】図12のガイド材を用いたタイル壁の斜視図である。
【図14】図13のXIV−XIV線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0064】
10 柱
12,13 縦胴縁
14,15タイル掛止板
17 凸部
19 タイル
19a 凹部
19d 斜面
20,20A〜20D ガイド材
21 ベース片
22 張出片
23 切欠部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出隅を挟んだ両側の壁面にそれぞれタイルを配置したタイル壁において、
壁面に沿うベース片と、該ベース片に連なっており、出隅コーナー部から各壁面と斜交方向に張り出す張出片とを有したガイド材が設けられ、
タイルの出隅側の側部後縁が斜めにカットされて斜面とされ、
該斜面が該張出片に対面していることを特徴とするタイル壁。
【請求項2】
請求項1において、前記ガイド材は、出隅の両側の壁面に重なるように2葉の前記ベース片を備えており、
前記張出片は、各ベース片に対し130〜140°の交叉角にて、該ベース片同士の交叉角部から延出していることを特徴とするタイル壁。
【請求項3】
請求項1において、前記ガイド材は、1葉の前記ベース片と、該ベース片の側縁に130〜140°の交叉角にて連なる前記張出片とからなることを特徴とするタイル壁。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記壁面にタイル掛止板が設けられ、前記タイルは該タイル掛止板に掛止されていることを特徴とするタイル壁。
【請求項1】
出隅を挟んだ両側の壁面にそれぞれタイルを配置したタイル壁において、
壁面に沿うベース片と、該ベース片に連なっており、出隅コーナー部から各壁面と斜交方向に張り出す張出片とを有したガイド材が設けられ、
タイルの出隅側の側部後縁が斜めにカットされて斜面とされ、
該斜面が該張出片に対面していることを特徴とするタイル壁。
【請求項2】
請求項1において、前記ガイド材は、出隅の両側の壁面に重なるように2葉の前記ベース片を備えており、
前記張出片は、各ベース片に対し130〜140°の交叉角にて、該ベース片同士の交叉角部から延出していることを特徴とするタイル壁。
【請求項3】
請求項1において、前記ガイド材は、1葉の前記ベース片と、該ベース片の側縁に130〜140°の交叉角にて連なる前記張出片とからなることを特徴とするタイル壁。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記壁面にタイル掛止板が設けられ、前記タイルは該タイル掛止板に掛止されていることを特徴とするタイル壁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−79365(P2009−79365A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247451(P2007−247451)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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